西住みほ「恋人ができました」 (55)

沙織「ええええ!」

華「こ…、恋人って…」

みほ「うん、恋人っていうか、将来を誓いあった人かな…。それで、ぜひ
みんなにも紹介したいし、沙織さんってこういうことに詳しいから意見を聞きたいし、
今度の日曜日いいかな?」

沙織「そ…、それはいいけど…」

みほ「ありがとう!じゃあよろしくね!」

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麻子「沙織、先を越されたな」

沙織「なんでよ…、女子力を磨き続けた私よりもなんであのサイコが先に…」

華「一体どんな物好きなんでしょうか…」

麻子「二人してひどいこと言ってるなあ」

優花里「もしかしてあの人かなあ」

沙織「知っているのか雷電!?」

優花里「誰が雷電ですか。西住殿がボコミュージアムの存在を知ってから、大洗に帰港する度に
入り浸っていたのは知ってると思います」

沙織「そうだねえ、毎回つき合わされてウンザリだったからねえ」

華「ボコショーを3回連続で見せられたときは『一思いに殺してくれ』と思いました」

麻子「秋山さんは最後まで付き合ってたな」

優花里「それで、常連客になったおかげでボコミュージアムの従業員の人たちとすっかり
仲良くなって、特にボコショーの着ぐるみの人と親密になって…」

華「どんな人なんですか?」

優花里「さあ、それが私も着ぐるみ姿しか見たことなくて」

麻子「まあ今度会えるんだし」

日曜日・ボコミュージアム…

ボコ「やあみほ!来てくれたんだな!」

みほ「うん!言ってたように友達も一緒だよ!」

沙織「今日はよろしくお願いします。あの、お名前はなんて仰るんですか?」

みほ「沙織さん、なに言ってるの?ボコに決まってるじゃない」

ボコ「そうだぜ!おいらボコだぜ!」

沙織「いや、そうじゃなくて中の人の…」

みほ「中の人?ボコはボコだよ?」

ボコ「そうだぜ!おいらボコだぜ!じゃあステージが終わったらまた会おうぜ!」

みほ「がんばってね!」


ボコショー終了後…

ボコ「待たせたな!じゃあ着替えてくるぜ!」

沙織「ようやく中の人に会えるわね」

優花里「どんな人なんでしょうねえ」

ボコ(ポロシャツとスラックス着用)「やあ!お待たせ!」

沙織「ええ…」

みほ「もう!みんなドン引きしてるじゃない!だから言ったでしょ、今時ポロシャツの襟を
立ててる人なんていないって!うちのお父さんだってやらないよ!」

優花里「い…いや、ツッコミ所はそこじゃなくて…」

ボコ「じゃあ行こうか!給料も出たし、今夜はおごるぜ!」

みほ「ありがとう!じゃあみんな行こうか!」

優花里「ねえ!アレって中に人が入ってるんですよね!?そうだと言ってください!」

近所の居酒屋…

大将「よおボコちゃん、その子が言ってた彼女かい?」

ボコ「そうだぜ!みほとその友達だぜ!大将!とりあえず生中!みんなは未成年だからなんかソフトドリンク!
あと適当に料理お願い!」

沙織「なんで誰もなにも言わないのよ…」

華「奇怪に思ってる我々の方がおかしいのでしょうか…」

優花里「もう世の中が信じられない…」

麻子「なんか怖いことになりそうだから帰っていいかな?」

みほ「みんな!お料理おいしかったね!」

ボコ「あの大将は居酒屋始める前は大きな料亭の職人さんだったからな」

優花里「西住殿、そろそろ帰らないと学園艦の連絡船の時間が…」

みほ「みんなは先に行ってて。私は外泊許可をもらってるから」

沙織「えっ」

華「外泊って…」

麻子「うわぁ…」

街道沿いのケバいラブホ

ボコ「みほ、本当にいいのかい?」

みほ「うん…、私、ボコだったら…」

ボコ「犯ーってやる犯ーってやる犯ーってやるぜ♪」

みほ「あっ…♡」


ラブホの前・電柱の陰

愛里寿「あの泥棒猫…!」

熊本・西住家

ボコ(礼服着用)「お義父さん!お義母さん!お嬢さんを僕にくださいだぜ!」

しほ「 」

常夫「 」

みほ「お願い!私たち真剣に付き合ってるの!」

しほ「み…、みほ、これは一体…」

ボコ「おいらボコだぜ!」

常夫「き…君、自分の仕事に誇りを持ってるのはよくわかるが、こういう席では
着ぐるみは脱いで来るべきだと思うが…」

みほ「お父さん、なに言ってるの?ボコはボコだよ?」

ボコ「そうだぜ!おいらボコだぜ!」

しほ「ま…まさか…」

ボコ「ああっ!お義母さん!いきなり人を全裸にするなんて!」

しほ「ジッパーも継ぎ目も何もない…、まさか着ぐるみじゃなくてこういう生命体だとでもいうの!?」

ボコ「そうだぜ!おいらボコだぜ!」

常夫「いや、それもういいから」

ボコ「えーっと、これが運転免許証で、これが住民票の写しで、こっちが戸籍謄本で、
あとこれがパスポートで、これがタスポで…、あ、結婚を認めてくれたらタバコはやめます!」

みほ「うれしいっ!」

しほ「法律上、人間扱いはされてるようだけど…」

常夫「だっ…、だめだだめだだめだ!普通の男でも許せないのにこんな名状しがたいモノに娘をやれるかぁぁぁ!」

みほ「お父さんひどい!差別するの!?」

しほ「いや、これは差別とかそういうのじゃなくて、えーっと、なんて言ったらいいのか…」

みほ「お願い!私のお腹の中には彼の赤ちゃんがいるの!」

しほ「 」

常夫「 」

バタンキュー

みほ「ああっ!二人ともどうしたの!菊代さん!救急車!救急車!」

西住家・ボコ家結婚披露宴会場

みほ「みんな!来てくれてありがとう!」

沙織「みぽりん、ウェディングドレスきれいだね…」

みほ「ありがとう!これ以上お腹が大きくなると着れなくなっちゃうから式を前倒しにしてもらったんだけど…、
じゃあ式場の人と打ち合わせがあるからまた後でね!」

華「ご両親もお姉さんも憔悴しきってますね…」

沙織「そりゃそうだよ、夫婦そろって心筋梗塞で倒れて退院してからまだ1週間も経ってないんだし」

優花里「お姉さんは『待ったぁぁぁ!』って叫びながら式場に戦車で突っ込もうとして逸見殿に止められたそうですし」

沙織「それより新郎側の親族席がすごいことになってるんだけど…」

華「あれだけ大勢の正装したボコさんが集まると壮観ですね」

麻子「夢に出そうだ…」


式場の前・電柱の陰

愛里寿「あの泥棒猫…!」

まほ「うう…、みほ…、どうしてこんなことに…」

エリカ「隊長、もうそのくらいにしたほうが…、未成年が大酒飲んでクダまいてるだけでも大問題なんですから…」

まほ「頼む…、一人にしてくれ…」

まほ「うう…、みほ…」

どんっ

まほ「気をつけろ!どこに目をつけて歩いて…君は?」

愛里寿「まほさん?」


ガード下のおでん屋台…

まほ「そうか…、君もボコのことが…」

愛里寿「はい…、彼のためにボコミュージアムの再建もやりました。でも彼が選んだのは
私ではなくてみほさんだったんです…」

まほ「私も振られてしまった…、血の繋がった姉妹で、決して結ばれてはならないってわかってたのに…、
振られた者同士、仲良くなれるかもしれないな…」

愛里寿「まほさん…、優しいんですね…♡」


ホテル街に消える二人…

みほ「いやあ、ビックリだねえ、まさかお姉ちゃんと愛里寿ちゃんが婚約を発表するなんて」

優花里「西住殿のコレ以上にビックリすることなんてありませんけどね…」

華「ショックのあまり逸見さんと大学選抜チームの中隊長3人が倒れて入院しちゃいましたね」

麻子「島田流の家元に至っては心筋梗塞起こして集中治療室送りだし」

沙織「何人病院送りにすれば気が済むのよこの姉妹は…」

華「それにしても、だいぶお腹が大きくなってきましたね」

みほ「来週から産休に入るんだ、予定日はまだだいぶ先だけど」

沙織「そ…そうなんだ…」

みほ「そうだ、沙織さん、この写真見て欲しいんだけど」

沙織「なに?ボコさん?」

みほ「違うよ、従兄弟のバコさんだよ。結婚式で会ったでしょ?」

沙織「そうだっけ…、あの一族は個体の識別が難しくて…」

みほ「彼、テキ屋さんやってて、サメ釣りとか型抜きとか手広くやってる人なんだけど、
結婚式で沙織さん見てひとめぼれしちゃって、料理上手な家庭的な子だって言ったら
ぜひ紹介してくれって」

華「よかったですね、うまくいけば玉の輿ですよ」

沙織「そうかなあ…」

みほ「私ね、今とっても幸せなんだ。お姉ちゃんたちも幸せになって欲しいな。
ああ、この幸せをみんなにわけてあげたい!」

優花里「どうでしょう…、正直いらないです…」


                終

おまけ劇場

沙織「みぽりん、ずっと気になってたんだけど、ボコさんの子作りって…」

みほ「ああ、それはね、琉球に伝わるコツカケの術を使って、普段は体内に収納してあるの」

沙織「…」



今度こそ終

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