【モバマスSS】 幸福のひととき (19)

「「乾杯」」

二つの声が綺麗に重なる

グラスがこちりと鳴って、琥珀色の液体が揺れた

ぷはっ……うん、美味しいですね

「ええ、これはたまりせん」

相変わらず良い飲みっぷりですね♪

「あ……いつの間にかグラスが空に……」

首に手を添える彼の仕草

困ったような、何とも言えない顔が可愛らしい






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「次のご注文は、どうなさいます?」

そうですね、とメニューを開き、じぃっと見つめている

むむ……と真剣な眼差し、メニューに穴があいちゃいそう

「……高垣さんと同じものでお願いします」

むぅ、相変わらず他人行儀ですねこの人は

少しジト目で睨んだ後に、私と同じエールを注文した

次のご注文は、どうなさいます?

「そうですね……」とメニューを開き、じぃっと見つめている

むむ……と真剣な眼差し、メニューに穴があいちゃいそう

「……高垣さんと同じものでお願いします」

むぅ、相変わらず他人行儀ですねこの人は

少しジト目で睨んだ後に、私と同じエールを注文した

最近、シンデレラプロジェクトのほうはどうですか?

喉を潤わせてから、彼に質問をした

「……」

始めは行き先が見えていないような気がした

彼とアイドル達の見えない壁

挫けてしまわないかな? 私が支えてあげたい……なんて思ってしまった時もあった

けれど、それは杞憂だった

「順調です。もう私が付いていなくてもそれぞれの道は見えていると思います」

嬉しそうな、そして悲しそうな声

けれど、彼は珍しく笑顔を見せた

「私は皆さんのおかげで変われることができました」

……胸がもやもやする

それから彼は色々な話を聞かせてくれた

……さっきのもやもやがどんどん大きくなっていく感覚

楽しそうに話す彼を見て、ああ……と思う

私の知っているプロデューサーさんではないんだ

その話の中に私はいないから

もう私のプロデューサーじゃないから……

「高垣さん? どうしました?」

きゃあっ! ……すみません

いけないいけない、せっかくの楽しいお酒の席なのに

いつ彼とこうやって飲めるかもわからないんだから、楽しまなくちゃ

私もおかわりしちゃいますね♪

今日は飲みましょう、決してお酒に逃げてるわけじゃないですよ?

……飲みすぎちゃったかも

あれから何杯飲んだのかな

彼は全く変わらない顔でグラスを傾けている

体が大きいとお酒も強いのかしら?

なんて、けらけらと笑っていたら心配されちゃった

「高垣さん、そろそろ止めておいたほうが……」

まだ大丈夫です、もう少しだけ良いですよね?

最後の一杯という条件で、貴方との時間を伸ばすことができた

最後はIPAで締めましょう

「IPAとは何かの略でしょうか?」

それは決まってます! いっぱいプロデューサーさんを愛……なんでもないです

「はぁ……」

これはちょっと方向性が違う

うぅ……目の前がゆらゆらする

「高垣さん、大丈夫ですか?」

はいぃ……あ、やっぱり駄目かも……

「少し外で風に当たって行きましょう」

さぁ、と強引に腕を引かれて外に出る

あぁ……あまり揺らさないでくださいぃ……

「今日は風が気持ち良いですね」

ここ……どこですか?

「近くの公園ですよ、しばらくゆっくりしてください」

では、お言葉に甘えて……

「高垣さん!? それはちょっと」

暗いから見えないです、はい

……んー、この膝枕ちょっと固いですね

「はぁ……仕方ないですね」

あ、また首に手を添えてる! 私も真似しちゃおっと

そうです、仕方ないんです

……もう、もっと反応してくれても良いじゃないですか

「す、すみません……」

ふふん、いい気味です

あの時は届かなかった手が

今では届く

貴方をこんなにも近くに感じることができる

……何がいけなかったんでしょうか?

尋ねたのは自分か、はたまた彼か

「私の力不足です、すみません」

そんなに悲しそうな顔をしないで?

俯く彼の頬に手を添える

凄く熱い……

「高垣さん?」

鈍感なプロデューサーさんに教えてあげます

「は、はぁ……」

少なくとも私はそんな答えは求めていません

私は貴方のおかげで前に進むことができたのだから

私は感謝してるんですよ?

貴方はちゃんとしたプロデューサーでした

だから、そんな顔をしないで?

……私のプロデューサーさん?

「そう、ですね……」

あ、久しぶりにプロデューサーって呼んじゃった

何だか気恥ずかしい……

―――
――これは夢……かな

大きな背中と懐かしい匂い

ごつごつした手が優しく私を包んでいる

プロデューサーさん?

「はい、なんですか?」

私のプロデューサーさん?

「そう、ですよ」

そっかぁ、嬉しいです……

現実か、夢かはわからない

けれど、私のプロデューサーさんは今ここにいる

不愛想でちょっと顔が怖いけど

本当は不器用で優しい、可愛い人

夢なら良いよね?

プロデューサーさん、―――です

「高垣さんっ?」

夢だから許してくださいね?

うん、夢だから……ね?




おしまい

読んでくれた方に感謝を
楓さんとビアバー行きたくて書いてみました
短くて申し訳ないです……

お酒を嗜む方、ビールもなかなか面白いので是非お試しを

ビールは炭酸がね・・・日本酒燗がナンバーワン

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