「とっておきの唄。」ライクリ。(193)

注意。
ライクリ。
テスト期間中なのでグダグダ。
苦手な人はお逃げを。

ゆっくりでいいから。と彼女は言った。俺に彼女が出来たのだ。


ライナー「なあ。」

彼女は言った。

クリスタ「なあに?」

ライナー「ゆっくりでいいからさ、君が本当に笑って泣けるような2人にならないか?」

クリスタ「え?それ、本気で言ってるの?」

ライナー「ああ。」

クリスタ「ええ。ライナーがそう言ってくれるなら嬉しいよ・・・!」

俺が今まで生きてきた17年間の歴史に一つ大きな出来事ができたのだ。



それは、彼女ができたのだ。相手は俺より一つ年下のプリマドンナ。天使のような可愛さって言うからさ、まあ、ライバルは多かった。

クリスタ「ねえ!そうだライナー!」

ライナー「何だ?」

クリスタ「私、実はアルバム買ったんだ。これでさ、2人の思い出のアルバムにしようよ!いいかな?」

ライナー「じゃあ、ちょっとずつアルバムを重くしよう。」

クリスタ「うん!じゃあ、その代わりなんでも無い日も記念日にしよう!」

ライナー「どんなにめくっても終わりのない代わりに続きのあるアルバムの方がいいよな。」

クリスタ「そうだね!すごいよライナー!私もライナーみたいに強い人になれたらなあ・・・。」




ライナーは思う。このアルバムが魔法のようなアルバムになればいいと。2人だけのアルバムになればいいと。

2人の馴れ初めはこうだった。



ライナー「ああ・・・。今日も疲れたな・・・。」

モブ「ライナー凄かったじゃん!今日2打席連続ホームラン打ったよな。」

モブ「さっすがライナーニキ!」

コニー「期待してるぜ!ライナーニキ!」

ライナー「うっせーよ。コニー。」

ライナー達は歩く。急に雨が降り出した。

コニー「うわあ!雨!」

モブ「あ、俺今日傘持ってきてねえんだ!」

モブ「俺らこっちだから!じゃあな!」

彼らは走り出す。

コニー「またな!」

ライナー「おう。」

コニー「ライナー!あれ見ろよ!」

コニーの指差した方向を見る。そこには1人の少女が嫌がらせを受けていた。

クリスタ「あの!やめてください!急いでいるんで!」

不良「いいじゃねえか。俺らと遊ぼうぜ!」

不良2「15分だけでもいいから!」

クリスタ「本当にやめてください!」





コニー「どうする?でも、変に部停になったら嫌だし・・・。」

ライナー「コニー。」

コニー「ライナー?」

ライナー「これ持ってろ。」

コニー「え?ちょっとライナー?!」

ライナーは走り出す。

ライナーは不敵な笑みを浮かべる。

不良「なんだよ!面白え。喧嘩売ってんのか?」

ライナー「そうやる事がお前らの生きがいか?」

ライナーは顔にまた一つ不敵な笑みを浮かべる。

不良「ひ、ひいっ!すいませんでしたああ!!!」

不良達は逃げ出す。

ライナー「大丈夫か?」

クリスタ「あ、はい。あの、ありがとうございます。」

ライナー「あ、これ、良かったら使ってください。」

ライナーは傘を差し出す。

クリスタ「あ、大丈夫です。近くなんで。」

ライナー「いいえ。折り畳みがあるんで。」

ライナーは少女に傘を差し出すとその場を立ち去った。

クリスタ「あ、あの!せめて名前だけでも!」

それから数日が過ぎた。

ライナー「あ、痛。」

誰かとぶつかったみたいだ。

ライナー「すみません。」

ユミル「いってえな!前見ろよ!」

クリスタ「あ、あの!すみませんでしたあ!」

ライナー「あ、大丈夫です。」

クリスタ「あ、ユミル。先行ってて。」

ユミル「はいよ。」

ユミルは歩いて行く。

クリスタ「あ、あなたはもしかしてあの時の・・・。」

ライナー「え?ああそうか。」

クリスタ「あの、傘返したくても、名前が分からなかったんで、今日は持ってきてないんです。せめてお名前を教えてもらってもいいですか?」

ライナー「ああ。俺はライナー。ライナー・ブラウンだ。」

クリスタ「そうですか。私はクリスタ・レンズって言います。クリスタで構いません。」

クリスタ「あ、あの明日って時間ありますか?」

ライナー「明日。2時ぐらいなら。」

クリスタ「そうですか。じゃあ、明日、公園で2時半に。傘返したいんで。」

ライナー「あ、じゃあ、連絡先もらってもいいですか?もしかすると行けないかもしれないんで。」

クリスタ「あ、はい!」

2人は連絡先を交換する。

クリスタ「では明日公園で2時半に!」

クリスタは走り出して行く。

ライナー「(俺は何のために産まれてきたんだろうな・・・。)」







ユミル「何かあったのか?」

クリスタ「何でも。」

ライナーは待ち合わせの場所へ行く。

ライナー「(よし。今は2時23分。待ち合わせまで後7分ある。)」

ライナーはベンチに座る。その時だった。向こうの方から1人の少女が傘を抱えて走っているのが見えた。

クリスタ「あ!すいません!待ちました?」

ライナー「今来たばかりなんで。」

クリスタ「あ、はい!これ約束の傘!」

ライナー「どうも。じゃあ、用が済んだので、俺はこれで失礼します。」

クリスタ「待ってください!」

ライナー「はい?」

クリスタ「あの、学校教えてもらえませんか?」

ライナー「俺は、男子校に通っています。」

クリスタ「そうですか。私、女子校に通っているんです。」

ライナー「そうか。じゃあ、もう、多分会えないな・・・。」

クリスタ「あの!私と付き合ってもらえませんか?無理ですよね?気持ちだけで十分なんです。あの時、私、あなたの性格に惹かれました。」

クリスタ「いつでも返事ください。待ってます。」

ライナー「好き・・・か。」

ライナーは考える。だって、始めて自分の事を好きって言ってくれる女の子がいたのだから。




ライナー「今までゴリラゴリラ言われて来た俺だけど、そこまでしてきた奴はいねえな。」



どうする。ライナー・ブラウン。はいと言うべきか。いいえと言うべきか。




ライナー「今伝えちまおう。」



ライナーは携帯を開く。

クリスタへ。
ライナーです。今日の件、OKなんで、後日会ってもらえれば。



ライナーはそうやってクリスタの携帯に文章を送った。すぐの事だった。



ライナーへ。
クリスタです!じゃあ、土曜日の5時ぐらいって大丈夫でしょうか?




クリスタへ。
ライナーです。それ、6時ぐらいでもよろしいですか?



ライナーへ。
クリスタです!はい!大丈夫です!この前の場所で6時に!( ´ ▽ ` )ノ



こんな会話で最初は話していた。だけれど、会うたんびにお互いを意識するようになり、今にあたる。

ドシーン!!!

ライナー「うわあ・・・!」

ライナー「何だ、俺は夢でも見てたのか・・・。」

ライナー「飯食ったら素振りでもしに行くか。」



ライナーは階段を降りる。



ライナー母「ライナー!お友達来てるよ!」

ライナー「今行く!」


ライナーはドアを開ける。

ライナー「はーい?」

クリスタ「ライナー!会いたかったよ!」

クリスタはライナーに飛びつく。

ライナー「ちょっと待て。俺まだ着替えてねえからな。」

クリスタ「えー?じゃあ、待ってる!」

ライナー「悪いけど、10分待ってろ。」

クリスタ「はーい。」




ライナーママ「どしたの?あんたの友達?」

ライナー「そう。」

ライナーママ「ゆっくり噛んで食べなさいよ。」

ライナー「分かってるって。」

ライナー「終わった。」

クリスタ「早く行こう!これから私達どこへ行こうか?」

ライナー「俺は静かな場所でも、賑やかな場所でも、どちらでも構わない。」

クリスタ「いいの?」

ライナー「ああ。特にって言う行きたい場所もねえからな。」

クリスタ「へえ・・・。じゃあ、左側行こう!」

ライナー「ああ。分かった。」







ユミル「チッ!あの野郎!」

ミカサ「尾行するために私を呼んだの?」

ユミル「悪いか?」

ミカサ「あっそ。(私もエレンとこういう関係になれたらいいのに・・・。)」

サシャ「モゴモゴモグ(微笑ましいんで、そのままにしときましょうかねえ・・・。)」

クリスタ「正直言って私もどこでもいいんだよね。それぞれの好きな場所に行こうよ?ジャンケンしよ。」

ライナー「ああ。」

クリスタ「私がパーで、ライナーがチョキだから、ライナーの好きな場所ね!」

ライナー「分かった。」

正直言ってどこでもいい。それぞれの場所に君らしい君がいればそれはもう・・・。

地図にも無い場所へ。手を繋いで。

俺はたまたま入っていたインスタントのカメラを持って。




クリスタ「あー!気持ちいいね!ライナー!」

ライナー「そうだな。」

ライナーは花を摘む。

「君に似合う花なんだろうか?」

なんて本気で首を傾げた。

クリスタ「正直言って私もどこでもいいんだよね。それぞれの好きな場所に行こうよ?ジャンケンしよ。」

ライナー「ああ。」

クリスタ「私がパーで、ライナーがチョキだから、ライナーの好きな場所ね!」

ライナー「分かった。」

正直言ってどこでもいい。それぞれの場所に君らしい君がいればそれはもう・・・。

地図にも無い場所へ。手を繋いで。

俺はたまたま入っていたインスタントのカメラを持って。




クリスタ「あー!気持ちいいね!ライナー!」

ライナー「そうだな。」

ライナーは花を摘む。

「君に似合う花なんだろうか?」

なんて本気で首を傾げた。

バコン!バコーン!

クリスタ「(やっぱりライナーってすごいなあ・・・。)」

ライナー「(来た!)」

カキーン!

クリスタ「ホームランゾーン?!当たったの?!」

ライナー「ああ。店の人に言ってくるわ。」

クリスタ「行ってらっしゃーい。」





ユミル「糞かよ!あのゴリラ!クリスタに怪我させたらただじゃ置かないからな!」

ミカサ「あの人、時速150km台打っていたから、相当いいバッターだと思わない?サシャは野球やっていたんでしょ?」

サシャ「あ、はい。150キロにもなるとかなり速い方になりますね。」

ユミル「あんにゃろー!」

ミカサ「ちょっと待って!むやみに行っては行けない!」

ライナー「よし。」

クリスタ「ねえライナー!」

ライナー「どうした?」

クリスタ「私もやっていいかな・・・?」

ライナー「ネイルとか大丈夫か?」

クリスタ「ネイルはしてないよ!」

ライナー「じゃあ、この1番遅いやつやるか?」

クリスタ「やりたい!」

クリスタは目を輝かせる。





クリスタ「きゃあ!」

ライナー「貸せ。」

ライナー「球が来るだろ?」

クリスタ「うん。」

ライナー「ストライクゾーンってのがあってな。ストライクゾーンば普通、脇の下から膝下までなんだ。」

クリスタ「へえ。」

ライナー「で、自分が打てるなって思った位置に来たら思いっきり振る。まあ、タイミングの勝負で球がどうやって飛ぶかが分かるな。」

クリスタ「ねえ!じゃあもう一回やってもいい?」

ライナー「ああ。」




クリスタ「(自分が1番打てるなって思った所・・・。)」

ブン!バコーン!

クリスタ「当たった!」

ライナー「良かったな。」

クリスタ「うん!嬉しいよ!」

クリスタ「ライナー。」

ライナー「ん?」

クリスタ「今日、楽しかったね。」

ライナー「ああ。俺も今日はクリスタと一緒に居れて楽しかったよ。」

クリスタ「私もだよ!」

ライナー「家まで送ってくよ。」

クリスタ「ありがとう!やっぱりライナーは優しいね!」

ライナー「そうか・・・。」

2人は歩いていく。

クリスタはギターを鳴らす。

クリスタ「単純な僕の単純な唄・・・。大事な人の為だけの唄・・・。」

よくあるラブソング。でも、2人の前だけで特別であればいい。

誰でも見かけほど強くないし、自分で思うよりも泣き虫だから、1人で大丈夫って言わせたくない。

ねえ。ライナー。あなたは私の事どう思っているのかな?教えてよ・・・。

クリスタ「ライナーに会いたいな・・・。もう3週間も会ってないよ・・・。」

もうすぐ冬が終わり春になる。その前に早くライナーに会いたい。ライナーの側に居たい。そう思っていた矢先にある出来事が起きた。




クリスタ「え?うちの学校、あの学校と共学になるの?」

アニ「そうなんだって。今朝、うちのお父さんが言ってたんだよ。」

クリスタ「へー。制服とかも新しくなるのかな?」

アニ「多分ね。私は中学の時からずっとセーラー服だったから、普通のブレザーが来てみたいんだけどね。」

クリスタ「んね!ブレザー着たいよね!」

クリスタ「(男子校って、ライナーのいる学校だよね?これからはライナーと一緒に居れるんだ!待ちのがれていた春が来たよ・・・!)」

アニ「クリスタ、嬉しそうだね。」

コニー「ライナー!」

ライナー「何だ。コニー。」

コニー「朝よ、俺の母ちゃんが言ってたんだけど、俺らの学校共学になるんだって!」

ライナー「どこと?」

コニー「えーっと、あそこの女子校って言ってたな。」

ライナー「そうか。(確か、あそこってクリスタが居るところだよな。)」

コニー「あれ?言わない方が良かった?」

ライナー「人数が増えるな。」

コニー「そうだよな!」

ライナー「じゃあ俺、投球場に戻るから。」

クリスタ「ねえ。」

アニ「なんだい?」

クリスタ「アニってさ、彼氏とか出来たことある?」

アニ「無いね。」

クリスタ「アニって、スタイルいいし、胸も大きいしさ・・・。」

アニ「あっそ。」

クリスタ「今のごめん。忘れて。」

アニ「いや別に。気にしてないけど。」

ユミル「おー!クリスタ!いたいた!」

クリスタ「何?」

ユミル「そうそう!今日よ、あそこのイタリアンバイキングでデザート食べ放題が1000円でやってるらしいんだ!」

アニ「へえ。」

クリスタ「行きたい!」

ユミル「だろ?」

アニ「じゃあ、私は帰るよ。早くベースの方を仕上げたいしね。」

クリスタ「ちょっと待って!アニも一緒に食べようよ!そしたら新しい歌詞も浮かぶかもよ?」

アニ「あんたがそう言うんだったら行ってもいいけど・・・。」

クリスタ「あー!私ハーゲンダッツ食べたいなー!」

ユミル「よしよし。後でバイキングが待ってるから。」ナデナデ

バキーン!

ライナー「ナイピッチ!」

監督「おーい!クールダウンして上がれ!」

ライナー「はい!」

マルセル「ライナー。キャッチボールしてくれない?」

ライナー「はいはいはい。」

マルセル「何かあったのか?」

ライナー「いや、ちょっとスランプでさ・・・。」ハハ

マルセル「へえ・・・。ライナーらしくねえな。」

クリスタ「んー!おいしい!」

ユミル「だろだろだろ?」

アニ「(美味しいけれど歌詞が浮かばないよ・・・。)」モグモグ

ユミル「おー。やっぱり女神様は食べる時も可愛いなー。」

クリスタ「そう?下品だとは思うけどね。」

アニ「(甘酸っぱい味の苺タルト・・・、鼻をくすぐるようなパンナコッタ・・・。)」カキカキ

クリスタ「アニは歌詞作ってんの?」

アニ「ああ。遅れを取ったらやばいしね。」

クリスタ「私も書こう!」カキカキ

ユミル「(またあいつのでも書くのかよ・・・。)」

バタン・・・!

ライナー「あー。眠い。」

ピコピコピコ・・・

ライナー「誰だろ?」

電話の主はクリスタだった。

クリスタ「ライナー?」

ライナー「ああ。」

クリスタ「良かった!あ、明日って大丈夫?」

ライナー「明日か・・・。1日休みだ。」

クリスタ「じゃあ遊びに行こうよ!」

ライナー「どこへ?」

クリスタ「バッティングセンター行きたい!」

ライナー「分かった。考えとく。」





クリスタ「ライナー!」タッタッタ

ライナー「よう。」

ライナーは手を振る。

クリスタ「早く!早く行こうよ!」

クリスタはライナーのトレーナーの裾を引っ張る。

ライナー「ちょっ!待ってって!」

クリスタ「そうだった!どこ行く?」

ライナー「じゃあ、クリスタの好きなところで。」

クリスタ「えー?じゃあ、ついて来てくれるかな?」

ライナー「どこだ?ここ。」

クリスタ「ちょっと待ってて!」

クリスタは裏道の方へと消えて行く。

ライナー「(ってか、クリスタは何をするんだ?)」





クリスタ「ライナー!」

クリスタはギターを抱えている。

ライナー「ギターやってるのか?」

クリスタ「うん!」

クリスタはギターを鳴らす。

クリスタ「ゆっくりでいいから君が本当に笑って泣けるような2人になろう・・・。」

ライナーはクリスタの歌声に耳を向ける。彼女は綺麗な声で歌っている。今までに聴いたことの無いような美しい声で。




ジャン・・・ジャン・・・。

クリスタ「どうかな?」

ライナー「ああ。今までに聴いたことの無いような素晴らしい唄だった。」

クリスタ「本当?!嬉しいよ!!」

ライナー「クリスタが喜んでくらるならそれで。」

クリスタ「ライナーったら本当に優しいんだから!」

ライナー「そうか?俺は自分の事を優しく無いと思うけどな・・・。」

ユミル「だー!クリスタの第1号ファンは私だっつーの!何であいつが第1号なんだよ?!」

アニ「しょうがないよ。」

ミカサ「感傷的になってはいけない。まずは気持ちを落ち着かせる事が1番大切だと思う。」

ユミル「おい。」

アニ「はい?何?」

ユミル「私らの学校、あいつがいる学校とくっつくって言ってたよな。」

アニ「ああ。」

ユミル「そこでだ。」

ミカサ「そこで?」

ユミル「あいつに嘘をつかせる。そしてクリスタと別れさせる。」

アニ「普通そこまでするか?恋愛はどうでもいいけど、あんたがクリスタの気持ちになってごらんよ。」

ミカサ「アニの言うとおり。」

ユミル「ともかく!」

ミカサ「あなたがクリスタの立場になってみて考えて。」

ユミル「それがどうしたってんだよ!」

アニ「クリスタだって、あんたの事、大切に考えてあげてるんだよ?なのに、あんたはクリスタに彼氏が出来た事を祝ってあげないの?」

ユミル「すべて、あいつが悪いんだ・・・。」

ミカサ「あの人って?」

アニ「ライナー?」

ユミル「ライナー?」

アニ「あの人の名前、確かライナーって言ってたはず。私の家の近くに住んでいるんだよね。」

ミカサ「知らなかった。ねえ。アニ。その人について教えて。」

アニ「えーっと、私が聞いた話だと、その人野球が上手いらしくて、小学校の頃はサシャに聞けば分かると思うけど、確か一回小学生の時に野球の全国大会出たって。」

ミカサ「すごい・・・。エレンよりもかっこいい・・・。」

ユミル「へえ。それで?」

アニ「えーっと、その人頭も結構いいんだって。選抜クラスで学校に入ったらしいよ。」

ユミル「そうか・・・。」

ミカサ「だから、ユミル。」

ユミル「何だよ?」

ミカサ「ライナーとクリスタの事、応援してあげよ?」ニコッ

アニ「そうだよ。私らもユミルの話聞いてあげるからさ。」

ユミル「・・・分かった。」

クリスタ「あ、そうそう!ライナー!」

ライナー「何だ?」

クリスタ「あのさ、ライナーって私の事、どう思ってるの?知りたいよ・・・。」

ライナー「俺は、クリスタの事が好きだ。」

クリスタ「え?」

ライナー「ぶっちゃけて言うとクリスタが俺の初恋だ。」

クリスタ「そうなの?」

ライナー「ああ。本当だ。」

クリスタは涙を流す。

ライナー「どうした?」

クリスタ「嬉しいよ・・・。」

ライナー「なにが?」

クリスタ「ライナーと一緒に入れて・・・。」

クリスタ「そうだ!」

ライナー「はい?」

クリスタ「私の家に来てくれないかな?」

ライナー「いいけど。」

クリスタ「じゃあ、私に着いて来て!」

ライナーはクリスタに着いて行く。

ライナー「なあ?」

クリスタ「なあに?」

ライナー「お前の家ってさ、どんな感じなの?」

クリスタ「うちは普段親が居ないから、友達がたまに泊まりに来るんだけどね。」

クリスタ「はい!ここが私の家!」

ライナー「へえ。(うわあ・・・。すげえ大きい。)」

ライナー「お邪魔します。」

クリスタ「あ、靴揃えなくてもいいよ!」

ライナー「揃えないと悪いだろ。」

ライナーはリビングの椅子に腰掛ける。

クリスタ「はい!ライナー!ココア!」

ライナー「サンキュー。」

クリスタ「美味しい?」

ライナー「ああ。今日は寒かったからな。」

クリスタ「そうだよね。マフラー持ってくれば良かったよ・・・。って、はっくゅん!」

ライナー「大丈夫か?!お前具合わるいんじゃねえのか?!」

クリスタ「大丈夫、大丈夫だよ・・・!ライナー。気にしないで!」

クリスタは咳き込む。

ライナー「お前大丈夫か?」

ライナー「(すげえ熱だ。これは母ちゃんを呼んだ方がいいのか?)」

ライナーは電話を掛けようとしたその時だった。

フリーダ「あんた、誰?!」

ライナー「のわっ?!お前こそ誰だよ!」

フリーダ「私はフリーダ。あんたは?私はこの子の姉みたいな者よ。」

ライナー「俺はライナー。クリスタの友人です。突然ですいません。」

フリーダ「こっちこそ突然で悪かったわ。」

ライナー「すみません。」

フリーダ「何?」

ライナー「あの、クリスタ、すごい熱があるみたいで・・・。」

フリーダ「ん?どれどれ?」

フリーダはクリスタの頬に手を当てる。

フリーダ「すごい熱!あなたがクリスタをここまで?」

ライナー「いえ。クリスタが家に来てって言うんで。」

フリーダ「そう。急いで病院に連れて行きましょう。」

ライナー「はい!」

ライナーはクリスタを担ぐ。女の子を担いだのは始めてだ。

フリーダ「大丈夫?!」

ライナー「大丈夫です!」

フリーダ「急いで!」

家を飛び出す。クリスタの息が荒くなる。

ライナー「大丈夫か?クリスタ。もうすぐだからな。」

ライナー「熱か。」

フリーダ「分からないけれど、疲れが溜まってたのね。」

ライナー「そうなんですか。」

フリーダ「でも、一晩寝てたら良くなるわよ。」

ライナー「そうですか。」

フリーダ「ええ。」

ライナー「あ、俺、失礼します。」

フリーダ「玄関まで送って行くわ。」

ライナー「大丈夫です。」

フリーダ「いいのよ。」

ライナーは考える。

ライナー「(クリスタは何か持病でも持っていたのか?どうも最近おかしかったんだよな・・・。」

クーン・・・。

犬の声がする。

ライナー「のわっ?!何だ、犬か・・・。」

ライナーは犬を拾い上げる。

ライナー「よし。今日からお前は俺の家の一員だ。」

子犬は嬉しそうに返事をした。

ライナー「お前の名前は・・・。うーん。呼びやすいのがいいな。」

子犬「ワン!」

ライナー「腹減ったのか。」

ライナーは子犬の頭を撫でる。子犬は嬉しそうにライナーにお腹を見せる。

ライナー「お前の名前は・・・。うーんと・・・。」

ライナー「ルースなんかどうだ?」

ルース「ワン!」

ライナー「ルース、そうかルース。嬉しいのか。」

ライナーはルースのお腹を撫でる。

クリスタ「あれ?私、そうだ。風邪引いててってあれ?ライナーは?」

フリーダ「ああ。彼はあなたを病院まで担いでってくれたのよ。」

クリスタ「そうなの!?ねー!もー!起こしてよ!」

クリスタは咳き込む。

フリーダ「ともかく。」

クリスタ「何?」

フリーダ「安静にしておくのよ。」

クリスタ「はーい。」

フリーダは部屋から出て行く。

クリスタ「(ライナー、迷惑に思っていないのかな?)」

ライナー「そうか。そうか。」

ライナーは嬉しそうだった。

ルース「キャン!」

ライナー「取ってこーい!」

ルース「ワン!」キャッチ

ライナーの携帯が鳴る。

ライナー「誰だろ?こんな時間だから、監督かな?」

ライナーは電話に出る。

ライナー「もしもし?」

クリスタ「もしもし?ライナー?」

ライナー「クリスタか。どうした?体調は大丈夫か?」

クリスタ「うん。今は落ち着いてきたみたい。」

ライナー「そうか。じゃあな。」

クリスタ「ちょっと待って!」

ライナー「どうした?」

クリスタ「あの、あ、今日はありがとね!」

ライナー「おう。じゃあな。」

クリスタ「またね!バイバイ!」

電話を切る。

それから、2ヶ月が過ぎた。一つ学年も上がり、今日は統合式だった。





コニー「ライナー!」

ライナー「何だ?」

コニー「俺ら、ブレザーだぞ!学ランからの解放感っていいよな!」

ライナー「そうか?俺は、どうもネクタイにしっくり来ないんだが・・・。」

コニー「見ろよ!」

ライナーは目を向ける。視線のにはクリスタがいた。

クリスタ「あ・・・。」

アニ「どうしたの?あんたの彼氏じゃん。行ってきなよ。」

アニは耳打ちをする。

クリスタ「こんな所でー?恥ずかしいよ!まあ、ユミルがいなくてよかったけどさ!」

アニ「あいつはめんどくさいから来なかっただけでしょ。ほら、体育館行くよ。」

クリスタ「うん!」

クリスタは走り出す。

ライナーとクリスタは歩く。

「1人で大丈夫」なんて、絶対に言わせたくない。たとえ、それが嫌がろうとも、ムリヤリ連れて行く。

クリスタはギターを鳴らす。

クリスタ「地図にもない場所へ手を繋いで・・・。」

ライナーは散歩がてらに犬を連れて。

クリスタ「君の大切な犬も連れて・・・。」

ライナー「時々口ずさむその唄少し覚えたからちょっとでも一緒に唄わせて・・・」

クリスタ「え?ライナー覚えててくれたの?」

ライナー「だってクリスタがいつも唄っている唄だろう?」

クリスタ「やっぱり、ライナーって・・・。」

ライナー「よせよ。恥ずかしいから。」

クリスタ「うーん・・・。」

2人は沈黙に包まれる。その時間だけはなぜか不思議に思えた。

それから、1週間が過ぎる。ライナー達は最後の大会の為に毎日の猛練習をこなしていた。




ライナー「ふん!」カチッ

バーン!

コニー「あっ!?ライナー!お前のボール練習場出ていったよ!」

ライナー「マジかよ!」

2人は走り出す。

コニー「すいませーん!」

ライナー「そこにボール落ちてませんでしたか?」

クリスタ「はい?」

サシャ「これでしょうか?」

ライナー「あ、はい。」

ライナーはボールを受け取る。

クリスタ「(ライナーが練習してるところ始めて見たよ!)」

アニ「あんた、顔赤いよ?」

ユミル「あのゴリラの事で妄想してるんじゃねえの?」ハァ

ユミル「(あの、ゴリラ。クリスタを傷つけたりしたらただじゃ・・・。)」

クリスタ「ユミル!」

ユミル「クリスタ。お前中間大丈夫か?」

クリスタ「大丈夫だって!」

サシャ「でも、あの人場外ホームラン打つぐらいですから、4番とか打ってるんでしょうね。」

ミカサ「ふーん。エレンよりかっこいいじゃない。」

アニ「あんたの基準ってエレンだよね。」

クリスタ「んねー。」

ユミル「(あいつゴリラの顔した化け物かよ!)」

アニ「あ、そうそう。」

サシャ「なにが?」

アニ「あのさ、私、他の部活に入ろうと思うんだよね。」

サシャ「この学校、ソフトボールがあるんで、私はそこに入ろうと思います。」

監督「ライナー。」

ライナー「はい。」

監督「お前、今度から4番打て。」

ライナー「はい!」

監督「いいか?」

ライナー「ありがとうございます!」

監督「お前は誠実な奴だな。」

ライナー「そうですか。」

監督はライナーの前から立ち去る。

コニー「どうした?」

ライナー「いいや。何でも。」

コニー「トスしてくんね?」

ライナー「分かった。」

ライナーはボールの入ったカゴを持ち運ぶ。

コニー「あーあ。最近全然打てねえよ。」

ライナー「そうか?」

コニー「いいよな。お前は4番とかでよ。」

ライナー「お前は1番じゃん。」

コニー「だー!長打力が欲しいんだっつーの!」

ライナー「ふーん。」

コニー「ライナーお前聞いてる?」

ライナー「うん。でも、コース的には打ててるんじゃないか?」

コニー「そうか。」

ライナー「ああ。」

クリスタ「うーん。」

アニ「予習はちゃんとやろうよ。」

サシャ「そうですよねー。」

アニ「あんたは授業中ずっと寝てたろ。」

サシャ「昨日頑張ったんですよ!?」

アニ「へえ。」

アニ「(あの3人寝てんじゃん。)」

ミカサ「zzzz」

クリスタ「zzzz」

ユミル「zzzz」

サシャ「でも、そのままにしときましょう。」

アニ「そうだね。」

ライナーは考える。どうも最近、クリスタとの距離がつかめない。ふと思う。
「クリスタと別れよう」とも。

ライナー「どうなんだろうな。」

そうやって犬の散歩をしながら。

ライナー「お前はどう思うか?」

ルース「ウワゥ?」

ライナー「お前なんかに分からないよな。」

ライナーはため息をつく。何ヶ月かぶりかのため息だ。

ライナー「俺は、クリスタと別れたほうがいいのか?」

途方に暮れる。夏はもうすぐだ。その前に自分の18の誕生日があることに気が付く。

友人達が他の部活に入って行く中で、クリスタだけが音楽を続けた。他の友人達は掛け持ちで受け持つ友人もいた。

クリスタ「ワン、ツー、スリー!」

クリスタ「その後の歌詞が浮かばない・・・。」

外を見る。ソフトボール部が練習をしている。サシャが走っている。

クリスタ「私も頑張らなきゃな・・・。」

ギターの音が教室に響く。その時だった。誰かの音がした。

ユミル「何だよ。まだ練習してたのか?」

クリスタ「ユミルこそ何をしに来たの?」

ユミル「忘れ物だ。」

クリスタ「いいよね。ユミルは。」

ユミル「は?」

クリスタ「いつも自由で。」

ユミル「私が自由に見えるのか?」

クリスタ「だって、あなたは普通に授業を受けて、悩みも無しに人生を楽しんでるじゃない。」

ユミル「はあ?訳分かんねえ。私は戻るぞ。」

ユミルは教室を出て行く。

ライナー「うーん・・・。」

コニー「ライナー!勉強教えてくれ!」

ライナー「いいけど。」

コニー「っしゃあ!」

ライナー「どこを?」

コニー「もう1ページ目から訳分からん!」

ライナー「先生に聞けよ。」

ライナーはまたため息をつく。最近そればかりだ。

クリスタは案の定、その日の夕方ユミルと喧嘩した。くだらないような口論だった。






クリスタ「ユミルだって、私の事どうでもいいんじゃない。」

クリスタ「そんな事より、切り替えなきゃ・・・。」

クリスタの目から涙がこぼれる。その時だった。クリスタの目の前にハンカチが差し出された。

クリスタ「ライナー?」

ライナー「ああ。そうだ。俺だ。ライナーだ。」

クリスタ「そんな所で何をしてたの?」

ライナー「帰りだ。」

クリスタ「そうなんだ・・・。」

ライナー「どうかしたのか?」

クリスタ「ううん。なんでもないの・・・。」

ライナー「俺で良かったら話を聞いてやる。」

クリスタ「うん。実は・・・友達と・・・。」

ライナー「喧嘩したのか?」

クリスタは頷く。

ライナー「うーん。俺は、自分が悪いと思ったらすぐに謝るな。」

クリスタ「ライナーは男らしいよね。」

ライナー「はあ?そうか?」

クリスタ「うん!だって、ライナーは優しいし、強いし・・・。」

ライナー「へえ。」

ライナーはずっとその日はクリスタと一緒に居た。

クリスタ「ライナー。」

ライナー「クリスタ。」

クリスタ「大好きだよ・・・。」

ライナー「俺もだ。」

クリスタ「明日、ユミルに謝ってみるよ。」

ライナー「そうか。俺も、そっちの方が取ってり早いと思うんだ。」

クリスタ「だよね。」

2人は河川敷の草の上にずっと座っていた。

ライナーは立った。クリスタもそれに続けてついて行く。ライナーはクリスタの手を取って歩き出した。

5月になる。最後の夏の大会まで2ヶ月を切った。ライナーは打率を伸ばしていた。

コニー「あいつ、相当打率いいな。」

トーマス「そう思いますか?」

コニー「ああ。」

ライナー「(140kmのストレートか・・・。)」

ライナーはバットの先を芯に捉える。その瞬間だった。外野の後方まで飛んで行った。

カキーン!!!!

マルセル「ライナー!走れ!」

ライナーは走り出す。

コニー「三塁!いや、ホーム!」

ライナーはスライディングをする。

審判「セーフ!!!」

ベンチの方から歓声が上がる。

監督「ライナー。よくやった。」

ライナー「はい。」

監督「でも、もうちょっと腕を伸ばせ。」

ライナー「はい。」

コニー「すげえ!すげえよライナー!」

トーマス「うん!凄かったよ!」

ライナー「あっそ。」

ライナーは水筒を手に取る。

ライナー「ってゆーか。俺はずっとこのままでいいのか?」

ライナーは考える。正直言ってプロ入りなど、夢のまた夢だ。

ライナー「ふん!」カチッ

素振りを続ける。答えは帰ってこない。その時だ。誰かが走ってくる。

クリスタ「ライナー!」

ライナー「お、おう。お前こそ、何やってたんだ?」

クリスタ「ううん。私はたまたま通りかかっただけ。」

ライナー「そうか。」

クリスタ「ライナーに会えて嬉しいよ・・・。」

ライナー「のわっ!抱きつくな!」

クリスタ「え?嫌だった?」

ライナー「別に嫌じゃないんだけどさ、汗臭いぞ?」

クリスタ「ううん!別に!気にしてないよ!」

ライナー「じゃあ、帰るか。」

ライナーは自転車に乗る。クリスタを後ろに乗せて走り出す。

ライナー「クリスタ。」

クリスタ「ん?」

ライナー「その、ユミルって奴には謝ったのか?」

クリスタ「うん。謝ったよ。そしたら、こっちも悪かったって。」

ライナー「そうか。」

クリスタ「ライナーの大会っていつ?」

ライナー「ああ・・・それか。まだ、日程が分からないんだ。」

クリスタ「じゃあ わ日程分かったら教えてね!私応援しに行くから!」

ライナー「分かった。」

ライナーは自転車を走らす。

ライナー「お前の家ってここだよな?」

クリスタ「うん!バイバイ!ライナー!」

ライナー「ああ。またな。クリスタ。」

クリスタ「♪~」

アニ「大分仕上がって来たね。」

クリスタ「そうかな?」

アニ「見なくても分かるさ。」

クリスタ「ふーん。」

その時だった。部室のドアが開く。

ミカサ「大変!」

クリスタ「どうしたの?!」

ミカサ「今、救急車が来ていて、野球部の人1人倒れたって!」

クリスタは走り出す。

ユミル「お、おい?クリスタ!?」

ユミルは後をつける。

アニ「私らも一回追いかけよう。」

ピーポーピーポー・・・・。

クリスタ「ライナー!」

ライナー「のわっ?!」

コニー「おい!?ライナー?お前彼女居たのかよ?」

ライナー「・・・あ、ああ。ずっと皆には隠してた。」

クリスタ「大丈夫?心配したんだよ・・・?」

ライナー「ああ。俺は問題ない。」

ライナーは重い口を開く。

ライナー「実は・・・監督が倒れたんだ。」

クリスタ「え?」

全員が驚く。

コニー「そういや、最近監督、おかしかったよな。」

マルセル「やけに水飲む回数も多かったし・・・。」

アニ「そうだったんですか?」

トーマス「ああ。でも、あの人もずっと昔からいたらしいからね。多分、疲れが溜まっていたんじゃないのかな?」

ライナー「俺らはこれから監督の見舞いに行く。」

クリスタ「私も行く!」

ライナー「お前はそこで待ってろ。」

アニ「クリスタ!しょうがないよ!」

クリスタ「でも、でも!」

ライナーは立ち去る。

ライナー達は病院のベンチに座っていた。

コニー「監督、大丈夫かな・・・。」

ライナー「大丈夫だって 。」

ライナーはコニーの肩を叩く。その時だった。医者が出てきた。

マルセル「先生!監督は?!」

医者は重い口を開く。

医者「残念ながら、全力を尽くしましたが、無理でした・・・。」

医者「このまま、面会をしますか?」

ライナー「させてください!お願いします!」

ライナー「監督!監督!」

トーマス「なんで、何で、持病があった事を教えてくれなかったんですか?!」ボロボロ

コニー「もう一度でいいからノック打ってくれよー!!!!」ボロボロ

1人の看護師が静かに口を開いた。

看護師「午後、7時22分。死亡を確認しました。」

ライナー「・・・ありがとうございました。」

看護師「辛かったわね。」

ライナー「・・・はい。思い出の先生でしたから。」

その時、1人の中年の女性がライナーに話しかけてきた。

中年女「あの、野球部の主将さんですよね?」

ライナー「はい。あなたは?」

中年女「夫がこれをあなたに・・・。」

その女性は後ろで髪を一つ縛りにしている背の低い女性だった。

ライナー「監督の奥様でしたか。」

中年女「はい。」

ライナーは封筒を開ける。

ライナー「対戦表?」

コニー「ライナー!見せろ!」

トーマス「相手は・・・シーナ高校?」

マルセル「シーナ高校って強かった?」

トーマス「この前、試合したけどあんまり強く無かったな。」

コニー「絶対勝って甲子園出てやろうぜ!そしたらさ、監督も喜ぶよ!」

ライナー「そうだな。」

ライナーはニコリと笑う。

病院を出て、クリスタが駆け出してくる。

クリスタ「ライナー!どうだったの?」

ライナー「・・・ああ。」

クリスタ「やっぱり、駄目だったんだ・・・。」

ライナー「葬儀は5日後らしい。」

クリスタ「私も、ライナーの事、応援するからね。」

ライナー「・・・ありがとう。」

クリスタ「大丈夫?ライナー。目赤いよ?」

ライナー「ああ。日焼けだ。」

クリスタ「無理しないでね。」

ライナー「約束だ。」

クリスタ「うん!約束ね!」

ライナー「破ったら?」

クリスタ「針千本飲ます!」

ライナーは笑う。クリスタもつられて笑う。

家に帰宅する。ライナーは自分の部屋にこもる。





ライナー「どうして、どうして・・・!監督は、監督は・・・!」



ライナーは泣き出す。今まで無かったかのような泣き声で。こんな事、今まで無かった。むしろ、悲しかったようで、罪悪感も生まれた。

クリスタ「逆に、私がライナーに迷惑かけてるんじゃないのかな・・・。」

アニ「そんな事は無いさ。」

サシャ「そうですって!」

アニ「ライナーに思いをぶつけてこいって。」

サシャ「手紙でもいいんじゃないんですか?」

アニ「サシャあんたこぼしてるって。」

クリスタ「そうだよ。」

アニ「ま、いいけど。」ハァ

クリスタ「(ライナー、大丈夫かな・・・。)」

チーン・・・。

中年女「本日は、主人の為に集まっていただき、ありがとうございました・・・。」

喪主の女が言う。

葬儀屋「これから、お食事の時間とさせて頂きます。故人との時間をゆっくり楽しんで行って下さい・・・。」

会場がざわつく。

老婆「あんた、無理しすぎなんだよ・・・。」

老婆「でも、穏やかそうな顔してるじゃない・・・。」

ライナーは棺を覗く。

老婆「あなたはどこの?」

ライナー「俺は、監督に教えてもらっていました・・・。」

老婆2「あら、あなた。あそこの高校の生徒さん?」

ライナー「そうです。」

老婆1「頑張ってね・・・。応援しているから・・・。」

ライナー「ありがとうございます。」

ライナー「それにしても、本気で頑張らないとな。」

コニー「そうだよな!監督泣かしてやろうぜ!」

トーマス「ああ!」

ライナー達は葬儀場を出る。その時だった。ライナーの携帯に電話がかかる。

ライナー「もしもし?」

ライナーママ「ライナー?今、ちょうどあんたが会いたいであろうお客さんが来てるのよ。代わるね。」

ベルトルト「もしもし?」

その相手は数年前に連絡の行き途絶えたままの友人だった。

ライナーは家に帰宅する。

ライナー「ただいま。」

ライナーママ「おかえり。ご飯はあっちで食べてきたの?」

ライナー「ああ。着替えてくる。」

ライナーママ「ふーん。早くしなさいね。」

ライナー「分かっているって。」

ライナーママ「ごめんね。ベルトルト。折角来てくれたのに。」

ベルトルト「あ、大丈夫です。」

ベルトルトは1匹の子犬を撫でながらそう言った。

ライナーはリビングのドアを開ける。

ベルトルト「久しぶり。」

ライナー「ベルトルト?!お前、何でここに?」

ベルトルト「ああ。実は・・・。」

ライナー「実は?」

ベルトルト「色々事情があって、こっちに戻ることになったんだ。」

ライナー「お母さんとお父さん、どうなったんだ?」

ライナーの父親は自衛隊で普段は家に居ないのだ。

ベルトルト「実はさ、あの後離婚したんだけど、お母さんが死んで、僕はこれからお婆ちゃんの家で暮らすことになったんだ。」

ライナー「それは辛かったな・・・。」

ベルトルト「あ、うん。」

2人の間に沈黙が続く。

ライナーママ「ライナー。ベルトルト。」

ベルトルト「はい。」

ライナー「何だよ?」

ライナーママ「懐かしい物出してくるからちょっと待ってて。」

そういってライナーの母親が出してきたのはアルバムだった。

ライナーママ「ま、とにかく開けて見てみなさいよ。」

ライナーはアルバムを開く。

ベルトルト「これは、小学校の運動会の時だね。」

ライナー「ああ。1年か2年の時だったけか?ベルトルトが転けてさ、大泣きしてたよな。」

ベルトルト「今となると恥ずかしいよ・・・。」

ライナー「綱引きだな。」

ベルトルト「懐かしいね。」

2人は思い出に浸る。

ベルトルト「あ、もうそろ僕帰るね。」

ライナーママ「送って行こうか?」

ベルトルト「大丈夫です。」

ライナーママ「車出すからちょっと待ってて!ほら、ライナーも!」

ライナー「分かったよ・・・。」

ベルトルト「ライナー。」

ライナー「どうした?」

ベルトルト「ごめんね。こんな遅くまでお邪魔して。」

ライナー「ああ。別に気にしてないから大丈夫だ。」

ベルトルト「そう。」

ライナーママ「車出したよー!」

ライナー「今行く!」

ベルトルト「あ、この辺で大丈夫です。」

ライナーママ「ここでいいの?」

ベルトルト「はい。」

ベルトルトは車のドアを開ける。

ライナーママ「気を付けてね。」

ライナー「じゃあな。」

ベルトルト「またね。」

ライナーはベルトルトの背中を見送る。

ライナーママ「じゃあ、行くよ。」

ライナー「うん。」

梅雨の時期に入る。

ライナー「雨ばっかで鬱陶しいな・・・。」

クリスタ「しょうがないよ・・・。だってもう夏だよ?」

ライナー「そうだよな。」

ライナー「(夏体まであと1ヶ月か・・・。)」

クリスタ「あ、私こっちだから!じゃあね!」

クリスタは駆け出して行く。

ライナー「俺にできることは何だ?何なのか?」

ライナーは頭を抱えこむ。

ライナー「え?」

コニー「は?」

ライナー「新しい監督がくる?」

マルセル「まだ、分かっていないんだ。」

ライナー「そうか。じゃあ、俺練習に戻るから。」

コニー「素振りのバットどこだっけ!」

ライナー「多分部室の中だろ。」

トーマス「探してこいよ。」

コニーは部室の方へ走り出す。

ライナー「あ、これ・・・。」

クリスタは唄う。

クリスタ「♪~」

アニ「まだ唄っていたの?」

クリスタ「うん!」

アニ「頑張ってるね。」

クリスタ「あ、アニ!」

アニ「何?」

クリスタ「そこ座って!髪直してあげる!」

クリスタは椅子を持ってくる。アニはその椅子に腰を下ろす。

クリスタ「えい!」ギュム

アニ「?!?!」オドオド

クリスタ「いいなあ・・・うらやましいよ・・・。」モミモミ

アニ「ん、ふう・・・。(だから、揉むのは・・・やめてくれって・・・。)」

クリスタ「あー!手触りがいいから揉み応えあるよ!」

アニ「っぷはぁ!ちょっ!急に胸揉むなって!」

クリスタ「ごめんごめん。アニってさ、胸大きいからどれぐらいなのかな・・・って。」

アニ「そういうことで?」

クリスタ「うん・・・。ごめんね・・・。」

アニ「大丈夫だって。」

クリスタはギターを持つ。アニはまた椅子に腰掛ける。

クリスタ「それでは、聴いてください。」

クリスタ「誰でも見かけほど強く無いし自分で思うよりも泣き虫だから・・・。」

アニ「うん。いいんじゃない?」

クリスタ「本当に?!」

アニ「ああ。」

ドアが開く。

ミカサ「まだ唄っていたの?」

クリスタ「どうかした?」

ミカサ「そう。早く出ていって。」

アニ「はあ?!ミカサ、あんた何言ってんの?!」

ミカサ「今からここで、エレンに告白する。」

クリスタ「ねえ!!」

ミカサ「何?!」ギロ

クリスタ「まだ音合わせしてないんだけど!やるなら裏とかでやってよ!」

ミカサ「別の場所じゃないと駄目ってこと?」

クリスタ「そう!ここは音楽を楽しむ場所であんたが告白する場所じゃないの!!」

アニ「もう、無駄だよ。あの女に殴られんぞ。」

アニはミカサを睨む。

ミカサ「お前!」

アニ「かかって来いってんだよ!!」

クリスタ「ちょっ!アニ!やめてよ!」

その時だった。

バシッ!

クリスタ「エレン?」

アニ「何で、あんたがここに?」

エレン「6時間目の時に音楽でさ、係りの仕事忘れていたんだよ。」

アニ「あんたも、やるよね。」

ミカサ「エレン!こいつが・・・。」

エレン「お前、最低な奴だな。」

ミカサ「へえ?」

エレン「俺は、そんなミカサなんてもう見たくねえよ。なんで、罪のねえ奴を殴るんだ?」

ミカサ「それは・・・。」

エレン「どうせ、訳分かんないこと言うんだろう?もういいよ。俺は行く。」

ミカサ「エレン!」

エレンは部屋を出る。ミカサはエレンの後を追いかける。

クリスタ「何なの・・・!?」

アニ「あいつは中学ん時からこういう女なんだよ。」

アニの口からため息がこぼれる。

ライナーも夏体まであと1週間を切った。

コニー「うおりゃ!」

コニーのボールは外野まで飛んでいく。

コニー「セーフ!」

内野手モブ「くそ!」

モブ「コニーナイスライ!」

ライナー「ワンナウト、2塁。ランナー走るぞ!」

内外モブ「はい!」

トーマス「カーブか・・・。」

ライナー「ナイピッチ!」

審判「ストライク!」

内外モブ「ナイピッチー!」

2人は帰路に着く。

クリスタ「絶対、甲子園に出るの応援してる!」

ライナー「ありがとう。絶対ホームランを打つ。」

クリスタ「へへ・・・。」

クリスタは照れ臭そうだ。

ライナー「どうかしたのか?」

クリスタ「いや、なんでもない!」

ライナー「ああ。そう。」

クリスタ「ライナー?!待ってよ!」

ライナー「悪りい悪りい。」

2人は笑う。夏体までもうすぐだ。クリスタは唄う。ライナーはその唄を口ずさむ。

あれから、あっという間に1週間が過ぎ、今日は甲子園予選だった。負けたらもう、ここで引退だ。全力を尽くして頑張るしかない。




クリスタは観客席の方から、様子を見守る。

アニ「来た!」

クリスタ「本当だ!」

クリスタ「サシャ、プラカード係交換してくれないかな・・・。」

野球部が行進をしている。サシャの持っているプラカードの文字が光る。その後ろに背番号2のユニフォームを着たライナーが行進している。

開会式を終えたサシャが戻ってくる。

サシャ「すみません!」

アニ「いいって、いいって。」

クリスタ「ユミルは?」

アニ「知るか。めんどっちいから来ないんじゃない?」

サシャ「もうそろ、ミーナが来るはずなんですけどね・・・。」

アニ「へえ。会うのは久しぶりなんだけどね。」

クリスタ「何で?仲良かったじゃない?」

アニ「もともと、私らの学校は女子校だったろ?」

クリスタ「うん。」

アニ「いろいろあるじゃないか。学部がね。私は特進で入ったろ?」

クリスタ「私は普通科で入ったけど・・・、サシャもだよね?」

サシャ「はい!要するに、ミーナは家政科でこの学校に入ったから、アニとはすれ違いが多かったんですね!」

アニ「そういうこと。もうすぐ、一回戦始まるんじゃない?」

クリスタ「そうだった!ユミル来ないのかな?」

サシャ「ミカサは?」

アニ「エレンの事でさ、1週間ぐらい前に揉めたんだよ。それ、まだ引きずってんじゃないの?」

サシャ「そうですか。」

ミーナ「ごめん!お待たせ!」

アニ「大丈夫だって。」

サシャ「気にしてませんよ?」

ミーナ「一回戦目、どこ?」

アニ「うちとシーナ高校。」

ミーナ「良かった!」

ユミル「待ったか?」

クリスタ「ううん。全然。」

ユミル「なら良かった。」

ミーナ「言おうと思ったんだけど、私、皆の分のジュース買ってきた!」

アニ「ありがと。私お茶。」

サシャ「グリーンダカラで!」

クリスタ「私ジャスミンティー!」

ユミル「私は麦茶で。」

ミーナ「はいはーい!」

ミーナは手渡して行く。

サシャ「あ、もうそろ始まるみたいですね!」

クリスタ「本当だ!」

観客席の下では、野球部が声出しをしていた。


ライナー「勝つぞ!甲子園出てやるぞ!」

全員「オオーーー!!!」

ライナー「集合!」

全員「はい!」

審判「集合!」

相手側もこちら側も走り出す。

審判「これから、一回戦目、シーナ高校対シガンシナ学園高校の試合を始めます。プレイ!」

「お願いしまーす!!!!」

会場中に声が響きわたる。

サシャ「あ、先攻みたいですね。」

アニ「ピッチングしてる!」

サシャ「球はあまり早く無いみたいですね・・・。」

クリスタ「1番バッター出てきた!」

アニ「あの人誰?」

サシャ「ああ、3年生のコニーって人ですね。結構足速いですよ。ただ・・・。」

ミーナ「ただ?」

サシャ「あの人勉強が出来ないらしいですね・・・。」

観客席の下のベンチではライナー達が声を出しあっていた。

リヴァイ「お前ら。正々堂々と戦え。監督の為に出るんだろう?」

全員「はい!」

トーマス「コニー!頑張れよー!」

コニー「よし!決め球だ!」

コニーは走る。

審判「セーフ!」

ライナー「コニーナイラン!」

コニーの打ったボールはレフトゴロだった。

「ノーアウトー!ランナー1塁全身守備!」

ライナー「コニー!下がれ!投げてくる!」

コニーは2塁に進む。

マルセル「コニー!スライ!」

審判「セーフ!」

ベンチ全員「おおっっー!!!」

リヴァイ「コニー。気をつけろ。」

コニーはベンチにハンドシグナルを送る。

「ツーアウト!ランナー無しオールファースト!」

ライナーはバットを振る。

クリスタ「ライナー!」

サシャ「やっぱりあの人が4番じゃないと意味が無いですよね。」

クリスタ「がんばれ!ライナー!」

ライナーに思いが伝わったのか、その瞬間だった。ライナーが打ったのだ。

ベンチ「おおー!」

コニーがホームに生還する。

コニー「しゃらあああっ!!」

ライナーは2塁で止まる。

コニー「ライナー!ナイバッチー!」

クリスタ「ライナー!ナイバッチー!!!」

ミーナ「頑張れー!」

アニ「あー。あっちゃー。5番の人、ショートフライだ。」

ユミル「へえ。やるじゃん。あのゴリラ。」

ライナー「ノーアウトー!」

内外全員「ノーアウト!」

ライナー「ランナー無しオールファースト!」

内外全員「オールファースト!」

ベンチモブ「1番バッターです!」

内外全員「はい!」

トーマスが投げる。

ライナー「ナイピッチ!」

審判「ストラーイク!」

コニー「トーマスナイピー!」

ライナー「ナイスピッチ!」

クリスタ「頑張れ!ライナー!」

ライナー「打った、打った!サード!」

サードがファーストにボールを投げる。

ファーストモブ「アウト!」

審判「アウト!」

クリスタ「やったー!」

サシャ「でも、ツーアウトですからね。まだまだ油断は出来ませんよ?」

ユミル「あの3番打ってきそうだな・・・。」

ライナー「ツーアウト!ランナーなしオールファースト!」

「ナイファースト!」

「ナイッピー!」

ベンチモブ「3番バッターです!」

トーマスは変化球を投げる。バッターは空振る。

審判「ストライクー!」

クリスタ「あ!内野抜けた!」

アニ「ライトゴロか。」

ライナー「ツーアウト!ランナー1塁全身守備ランナー警戒!」

内外モブ「注意!警戒!」

ショートが真正面のライナーをスライディングキャッチで仕留める。

ライナー「ナイショート!」

ミーナ「まだまだこれからよね。」

ユミル「そうだな。」

アニ「今何回?」

サシャ「えーっと。今から7回の表ですね。」

クリスタ「次のバッター何番から?」

アニ「次は、2番からだね。」

クリスタ「ライナーの出番あるよね!」

アニ「そうだね。」

2番はセンターゴロで3塁まで出た。

コニー「ナイバッチー!」

トーマス「あ、打ったー!」

3番は送りバントで3塁ランナーを生還させた。そして、彼も生き残った。

コニー「よっ!ライナーニキ!」

クリスタ「ライナー!」

ユミル「やめとけって。」

アニ「あー。空振りかー。」

サシャ「気を取り直しましょう!」

アニ「あ!伸びる伸びる!落とせ!」

ミーナ「落ちた!」

クリスタ「お願い!走って!」

ライナーは走り抜ける。

トーマス「ライナー!回れ回れ!」

マルセル「ゆっくり!」

トーマス「スライ!」

審判「セーフ!」

ベンチからも観客席からも歓声が起こる。

この回でライナー達のチームは5点という得点を上げ、この試合は7対0と言う完全試合だった。

クリスタ「2回戦は?」

サシャ「2時15分からですね。」

アニ「相手は?」

サシャ「えーっと、シガンシナ商業とウォール教大学園のどっちか勝った方ですね。」

クリスタ「どっちにしても強い?」

サシャ「いやあ。多分シガンシナ商業が勝ち上がるでしょうね。」

アニ「ウォール教大って全然強くないんでしょう?」

サシャ「はい。ウォール教の人がほとんどの学校ですから。」

アニ「会場から少し歩くみたいだね。」

サシャ「今は・・・11時25分です。ご飯食べません?」

アニ「そうだね。」

クリスタ達は歩く。

アニ「あ!あれ、ライナーじゃない?」

サシャ「本当だ!」

ミーナ「行ってきなよ!」

クリスタ「ううん。今はいいの。」

ミーナ「行かないの?」

クリスタ「ええ。ライナーも多分練習したいだろうし。」

ユミル「またお前いい子ちゃん気取りしたいのか?」

クリスタ「そうじゃない。ライナーには勝って甲子園行って欲しいから。」

アニ「確かに。うちの学校、甲子園出てほしいね。」

ミーナ「そうだよね!」

笑い声が響く。

サシャ「モゴモゴモゴ・・・。」

ユミル「よく噛んで食べろって。」

アニ「あ。ウォール教大とシガンシナ商業はシガンシナ商業が4対1で勝ったって。」

クリスタ「本当!?」

アニ「ああ。本当だ。」

ミーナ「大変よねー。今日は暑いし。」

アニ「そうだね。」

ユミル「ふー。食った食った。」

アニ「今何分?」

ミーナ「ん・・・。今は12時53分。」

アニ「そうか。まだ時間あるな。」

サシャ「どうします?」

クリスタ「あ!試合会場行こうよ!」

アニ「2時15分からだろ?まだ時間あるよ。」

クリスタ「でも!一応見ておきたいの!」

ミーナ「分かったよ・・・。」

アニ「ったく。わがままなお嬢さんだね。」

ユミル「そうだそうだ!」

リヴァイ「2回戦目はシガンシナ商業だ。」

ライナー「来たか・・・。」

コニー「シガンシナ商業って強いっけ?」

トーマス「あんま強くは無い。」

コニー「よし!ホームラン打つぞ!」

リヴァイ「お前ら。軽い昼食でも取れ。」

全員「はい!」

クリスタ「まだ?」

アニ「あ、あれ。うちらの学校じゃない?」

ミーナ「本当だ。早いね。」

サシャ「早くアップを始めるんじゃないんでしょうかね。」

ミーナ「あ!ピッチャーの人投げた!」

サシャ「3年のトーマスって人です。」

アニ「へえ。」

サシャ「でも、シガンシナ商業って、不良が多いんですよね。」

アニ「へえ。」

サシャ「私の学校、中学校の時ですね。シガンシナ商業は不良の行くところって言われてましたもん。」

アニ「へえー。」

コニー「うへあ。本当不良ばっかだな。」

審判「集合!」

「はい!」

審判「シガンシナ学園とシガンシナ商業の試合を始める!プレイ!」

「お願いしまーす!」

クリスタ「先攻なんだ!」

ユミル「本当に不良ばっかだな・・・。」

サシャ「あー!あのセカンドの奴なんか私と同じクラスだったんですよ!」

アニ「あいつ、絶対染めてんだろ・・・。」

コニー「行った!」

マルセル「止まれ!いや、行けー!」

コニーはホームに生還する。

ライナー「おー!いいじゃんいいじゃん!」

トーマス「最後どうするんだよ・・・。」

「ノーアウトランナー2塁ー!」

ライナー「よしよし。」

トーマス「ライナー!俺の話聞いてる!?」

ライナー「悪い。」

ライナー「あ、行ってくるわ。」

トーマス「なんだよ!」

コニー「まあまあ。」

マルセル「あ、打ったー!」

コニー「伸びる伸びる!」

クリスタ「やったー!」

サシャ「やりますね!」

コニー「イェーイ!」

トーマス「やったな!」

この試合は5回コールドでやはり、完全試合を意味していた。

クリスタ「次は?」

サシャ「明日ですね。」

サシャ「次の試合に勝てば準決勝です。」

ミーナ「マジ?」

サシャ「はい。」

クリスタとライナーは2人きりだ。

クリスタ「お疲れ様!」

ライナー「ああ。」

クリスタ「明日も頑張ってね!」

ライナー「そうだな。言われたら頑張るしかないな。」

ライナーはニコリと笑う。クリスタもつられて笑う。

クリスタ「ちょっと待って!ついて来て!」

ライナー「またぁ?!」


地図にもない場所へ。
手を繋いで。
どこまででも君を連れて行く。
だからお願い。


「そばにいて。」

ライナー「何だよ。これ?」

クリスタ「お守り!」

ライナー「クリスタらしいな。」

ライナーは笑う。

クリスタ「そうかな?」

ライナー「俺も明日朝早いから送って行くよ。」

クリスタ「いいって!いいのに・・・。」

ライナー「お前みたいなのが1番狙われやすいんだよ。」

クリスタ「それ、ユミルにも言われた!」

ライナー「あっそ。」

ライナー「はい。着いた。」

クリスタは眠っていた。

ライナー「クリスタ。クリスタ。」ユサユサ

クリスタ「ぷはっ!?私、寝てた?」

ライナー「そりゃあ、もう。ぐっすりと。」

クリスタ「そうか!じゃあ、またね!」

ライナー「ああ。また明日も応援しに来るよな。」

クリスタ「もちろん!」

クリスタは大きな門に吸い込まれるように消えていった。それを見届けてからライナーは歩き出した。

ライナー「小鳥が夜明けを唄で合図。」

ライナー「とっておきの声でリズム取って・・・。」

ライナーはその唄を口ずさむ。

クリスタ「うちの学校何時から?!」

サシャ「えーっと。今日は、9時からトロスト西とですね。」

アニ「そうかい。」

クリスタ「楽しみー!」

サシャ「あれ?今日ユミルは?」

アニ「バイトがあるから行けねえってよ。」

サシャ「そうですか。」

クリスタ「あ、シガンシナ入った!」

アニ「本当だ!」

サシャ「こっからが勝負ですよ!」

サシャ「あ!試合開始です!」

アニ「本当だ!」

クリスタ「がんばれ!ライナー!」

アニ「後攻か。」

クリスタ「なんでー?」

サシャ「でも、後攻の方が有利なんですよ。」

クリスタ「そうなの?!」

サシャ「はい。攻撃する時間が増えたりしますね。」

アニ「そうなんだ。」

ライナー「ワンナウトー!ランナー無し!オールファーストー!」

クリスタ「あ!ライナー!」

コニー「こーい!」

相手校のバッターがセカンド方面にボールを転がす。

コニー「頼んだ!」

ファースト「ナイセカン!」

審判「アウト!」

クリスタ「やったー!」

アニ「次は、うちの攻撃だね。」

サシャ「はい。」

コニー「お願いしまーす!」

審判「プレイ!」

アニ「あ!空振り!」

サシャ「コントロールがいいんですねえ。」

アニ「打ったー!」

サシャ「2塁ヒットですね!」

クリスタ「次は、ライナー!」

サシャ「来ましたね。」

アニ「どんな攻撃をしてくるのかな。」

サシャ「初球行ったー!」

アニ「ボールだ。」

クリスタ「2球目もボールと・・・。」

サシャ「フォアボールですね。」

アニ「でも、ラッキーだったよね。」

サシャ「はい。」

クリスタ「5番空振り!」

サシャ「あ、でも打ちました!」

アニ「レフト前だ!」

3塁からコニーが生還する。

クリスタ「やったー!」

サシャ「次の回で最終回ですね。」

アニ「もったいないなあ。」

クリスタ「ライナーは?」

サシャ「さっき、6番で終わったんで、多分、一周しないと・・・。」

クリスタ「出番は無いってことよね。」

アニ「終わったよ。」

サシャ「うちの攻撃ですよー!」

クリスタ「イェーイ!」

クリスタは飛び跳ねる。その時だった。

「あの・・・。」

サシャ「何でしょう?」

クリスタ「あの、あなた、名前は?」

ベルトルト「あ、僕はトロスト高校の3年のベルトルトって言います。」

サシャ「私たちはシガンシナ学園の2年です。」

ベルトルト「シガンシナ学園?!あの今年から共学になった!?」

サシャ「そうですけど・・・。 用ですか?」

ベルトルト「試合を見にきたんだ。」

サシャ「そうですか。」

アニ「あ、見て!トーマスさんが打った!」

サシャ「ライトフライだー。」

クリスタ「試合終わっちゃった・・・。」

この試合は4対1で、ライナー達は準決勝に進む事になった。もし、県代表に選ばれたら、共学1年目での甲子園出場と言う名前がかかる。



クリスタ「終わっちゃったね。」

アニ「でも、 次が準決勝でしょ?」

サシャ「はい!流れ的にそうなりますね!」

サシャはペンを回す。

アニ「あんたってさ、ペン回し上手いよね。」

サシャ「そうですかねぇ・・・。」

3人は歩く。

クリスタ「次は?」

サシャ「次は、アインリッヒ大付属ですね。結構強いですよ。」

アニ「今年の春の選抜だよね?」

サシャ「はい。そうですね。」

クリスタ「ライナーきっつー。」

サシャ「さっきの試合、一回もヒット打ってませんでしたよね・・・。」

クリスタ「だから!次こそは絶対ホームラン打って欲しいの!!」

アニ「何時から?」

サシャ「2時半からです。」

アニ「今は・・・12時40分か。」

3人は少し歩く。

アニ「そうそう。私達ってさ、どうやって仲良くなったんだっけ?」

サシャ「確か、私とクリスタは最初同じクラスで知り合って・・・。」

クリスタ「で、ユミルの紹介でアニと仲良くなったから・・・。」

アニ「そうだっけか?」

クリスタ「そうだよ!」

アニ「あ、うちの学校。」

サシャ「まだ話してるんですね。」

リヴァイ「次のアインリッヒは春の選抜だ。」

リヴァイ「キャッチャーはライナー。」

ライナー「はい。」

リヴァイ「お前と同じぐらい肩が強い奴だ。」

ライナー「はい。」

リヴァイ「1番は50mを6秒前半で走る。確実に刺すように。」

「はい!」

リヴァイ「だが、ピッチャーのコントロールはあまり良くないらしい。ちゃんとサインを確認すること。」

「はい!」



アニ「アインリッヒの策か・・・。」

サシャ「そうみたいですね。」

アニ「あ、もう2時だ。」

サシャ「早く行かないとですね。」

クリスタ「もう!?」

アニ「食うのが遅いんだよ。」

サシャ「行きましょう!」

アニ「待て!」

3人は走り出す。

アニ「あんた足が速いんだよ・・・。」

サシャ「そういうアニも足速いじゃないですか?」

アニ「そりゃそうだけど・・・。」

クリスタ「行っちゃうよー!」

アニ「試合が始まったよ!」

クリスタ「本当だ!」

サシャ「すごい迫力ですね!」

アニ「次は先攻みたいだよ。」

カキーン!

ライナー「スライ!」

審判「セーフ!」

リヴァイ「コニー。警戒しろ。」

コニーはベンチにハンドシグナルを送る。

ライナー「ツーアウト!ランナー1塁オールファースト!」

ベンチモブ「4番バッターです!」

ライナー「ストライク!」

審判「ボール!」

マルセル「トーマス!いい球!」

トーマスが2球目を投げ込む。

カキーン!

ライナーは滑り込む。

審判「アウトー!」

コニー「ライナーナイキャッチー!」

リヴァイ「良くやった。」

ライナー「ありがとうございます。」

相手ベンチ「4番バッターです!」

リヴァイ「叩け。」

ライナー「はい。」

ライナーは打席に立つ。

ライナー「お願いしまーす!」

相手ピッチャーが一球目を投げ込む。

ライナー「(これだ!)」

ライナーはサード方向に打球を叩く。走り出し、ファーストベースに滑り込む。

審判「セーフ!」

コニー「おおっ!」

マルセル「わー!」

リヴァイはライナーにサインを送る。ライナーはハンドシグナルを送る。

アニ「5番打った!」

クリスタ「ショートゴロ?!」

サシャ「あ!落とした!」

ライナーは3塁まで走り、スライディングを交わす。

審判「セーフ!」

クリスタ「やったぁ!」

サシャ「まだツーアウトですけど、油断は・・・。」

6番はセンター前に強いゴロを転がす。ライナーがホームに帰る。

サシャ「すごい!ナイバッチ!」

7番バッターはサードゴロでアウトになり、この回はライナーが生還しただけの1点だった。

アニ「じっくり攻めないとね。」

サシャ「そうですね。」

クリスタ「あ!出てきた!」

サシャ「この人、知ってます。」

アニ「知ってんの?」

サシャ「小学校の頃、一緒に野球やってたんですよ。」

アニ「へー。」

クリスタ「ライナー!頑張って!」

ライナー「ノーアウト!」

ライナー「ランナー無し、オールファースト!」

サシャ「セカンドフライですね。」

アニ「これで、ワンナウトだ。」

サシャ「そうですね。アインリッヒはクラブ出身の人が多いんですね。」

アニ「ライナーもクラブだったよね?」

サシャ「あ、はい。」

クリスタ「そうなの?!」

サシャ「はい。確か、ウォールボーイズだった気が。」

クリスタ「あ!ツーアウトだよ!」

アニ「本当に!?」

サシャ「よしよし。」

サシャ「あ!打ったー!」

3番の打った球は右中間よりに飛んで行く。

サシャ「あー!」

ライナー「戻せ!」

そのうちにランナーは生還してしまい、1点を許してしまった。

コニー「すいませんでしたー!」

ライナー「巻け!」

マルセル「はい!」

ライナー「抑えるぞ!」

「ウス!」

アニ「4番はファーストフライみたいだね。」

サシャ「さて!巻き返しましょう!」

クリスタ「そうだよねー!」

サシャ「レフトゴロ!いや、左中間より?」

アニ「そうだね。」

クリスタ「頑張って!」

サシャ「よし!殺した!」

アニ「走れ!」

クリスタ「そうだ!」

審判「セーフ!」

クリスタ「しゃらあ!」

「ノーアウト!ランナー1塁オールファースト!」

クリスタ「あ!ライナー!」

ライナーがバットを振っている。

ライナー「お願いしまーす!」

クリスタ「ライナー!」

審判「ボール!」

クリスタ「よしよし。」

アニ「打った!」

ライナーの打った球は外野の後方まで飛んでいく。

クリスタ「観客に入った!」

サシャ「わー!」

サシャとアニは抱き合う。

クリスタの方向にボールが飛んで来る。

クリスタ「いたぁ!」キャッチ

クリスタ「ライナーが、打った・・・球・・・?」

サシャ「そうですよ!」

アニ「記念にずっと持ってなよ。」

クリスタ「うん!」

コニー「ライナー!」

トーマス「ナイバッチ!」

アインリッヒ大とは3対2でシガンシナ学園が下した。次は決勝だ。

クリスタ「サシャ!」

サシャ「何ですか?」

クリスタ「次どこ?」

サシャ「えーっと、次は・・・。」

アニ「ウォールローゼ東だね。」

サシャ「はい!」

クリスタ「燃えるよねー!」

サシャ「そうですね!」

サシャ「でも、来週なんで、楽しみですよねー。」

クリスタ「ね!そうだよ!」

3人は帰路に着く。

不良1「なあ!君らどこの高校!?」

アニ「私らは、シガンシナ学園だけど・・・?」

アニは警戒している。

不良2「俺らと遊ぼーよ!ね!10分だけでもいいからさ!」

サシャ「急いでいるんで!」

アニ「離せって!」

不良3「えー!いいじゃーん!ちょっとだけだからあー!」

アニ「胸ばっか見んなー!」

アニは殴りかかる。

不良3「おぐふ!」

不良3「いってー!」

アニ「お前らがこうするからああなるんだろ。」

アニ「さーて。私に殴られたいのはどこのどいつだい?」

不良1「この女怖え!」

不良2「逃げるぞ!」

不良達は逃げ出していく。

サシャ「アニ!」

クリスタ「すごーい!」

アニ「別に、なんとも思ってないから!」

アニ「早く帰ろ!」

サシャ「あー!待ってくださーい!」

クリスタ「待ってよー!」

クリスタ「いたた・・・。って、ライナー!?」

ライナー「そうだけど・・・?」

サシャ「やばいとこ見ちゃいましたねー。」

アニ「確かに。」

クリスタ「ライナーお疲れ様!」

ライナー「ってか、早く帰れよ。襲われるぞ?」

クリスタ「ライナーがいるから平気!」

ライナー「うわあっ!?ちょっ!?俺、荷物持ってんですけど!」

サシャ「あー。リア充爆発ー。」

アニ「まー。いいじゃない?本人が幸せなら。」

クリスタ「じゃあね!後で電話する!」

ライナー「お、おう・・・。」

2人は別れる。

クリスタはライナーに電話を掛ける。

クリスタ「あ、もしもし?ライナー?」

ライナー「そうだけど?」

クリスタ「うん!悪いんだけどさ、今から会えない?」

ライナー「いいけど・・・。」

クリスタ「じゃあ、7時半に本屋の前で!」

ライナー「分かった。」

電話を切る。クリスタはいそいそと準備を始める。

フリーダ「クリスター!」

クリスタ「何ー!?」

フリーダ「お客さんー!」

クリスタ「今降りるー!」

クリスタは2階から降り、玄関を開ける。

ライナー「おう。」

クリスタ「ライナー!?早いね!」

ライナー「ああ。風呂に入るのが早かったからな。」

クリスタ「そうなんだ!」

クリスタはライナーに抱きつく。

ライナー「のわっ!?ちょっ!?抱きつくなって!?」

クリスタ「いいじゃん!上がって!」

ライナー「え、じゃあ、お邪魔します・・・。」

ライナーは玄関に靴を揃える。白のTシャツにダメージ加工のショートパンツ姿のクリスタと普通のTシャツに部活ジャージのライナーの姿が鏡に映る。

クリスタの部屋に案内される。

ライナー「お邪魔します。」

クリスタ「遠慮しなくていいって!」

ライナー「いやあ・・・。」

クリスタ「ライナーってかっこいいなぁ・・・。」

ライナー「?」

ライナー「どうかしたのか?」

クリスタ「ううん!」

ライナー「そうか。」

ライナー「で?要件は?」

クリスタ「ライナーに来てもらいたい場所があるの!」

ライナー「いつもの場所か?ギター持ってるし・・・。」

クリスタはライナーの手を引っ張る。

クリスタ「早くー!」

ライナー「分かったって!」

レンズ邸の大きな玄関を抜けだす。

クリスタ「こっちこっち!」

ライナーは駆け出す。

こんなに大きな地図にもない場所へ。
手を繋いで・・・。

言葉が響く。

クリスタはライナーの側に寄り添う。ライナーはずっとその場に座っていた。

クリスタ「眠い・・・。」

ライナーは黙っている。クリスタは寝てしまった。

ライナー「寝たか・・・。」

ライナーは立ち上がる。クリスタをそっと草の上に寝かす。

ライナー「うあああ!」

ライナーは川に向かって小石を投げる。そして座る。

ライナー「クリスタは、俺の事、どう思っているのだろうか・・・。」

クリスタは幸せそうに眠っている。

クリスタ「ふああ・・・。ライナー?」

ライナー「帰るか。」

クリスタ「そうだね。」

2人は歩く。

クリスタ「ライナー。」

ライナー「はい?」

クリスタ「決勝、頑張ってね。」

ライナー「ああ。頑張ってみるよ。」

ライナーは笑う。クリスタもつられて笑う。そして、レンズ邸の大きな門へと吸い込まれて行く。

クリスタ「じゃあね。」

ライナー「じゃあな。」

ライナーはレンズ邸を後にする。

それから、1週間があっと言う間に過ぎた。

クリスタ「あ!ライナー!」

クリスタは指をさす。

アニ「頑張れー!」

サシャ「頑張ってくださーい!」

観客席から応援が響く。

審判「集合!」

審判「これから、ウォールローゼ東とシガンシナ学園の試合を始めます!礼!」

「お願いしまーす!」

アニ「先攻だ!」

クリスタ「頑張れー!」

ミーナ「打ったー!」

アニ「ラッキーヒットだ!」

サシャ「よし!」

クリスタ「2番バッターだ!どうか、ライナーまで続いてくれますように・・・。」

サシャ「フォアボールだ!」

クリスタ「あ、盗塁した!」

審判「セーフ!」

ミーナ「やったー!」

サシャ「3番バッターが出てきました!」

クリスタ「あ、デッドボール!」

サシャ「ランナー満塁ですね。」

ライナーがバットを振っている。

クリスタ「ライナー!」

サシャ「打ったー!」

アニ「入ったぞ!」

サシャ「走れ走れ!」

クリスタ「やったー!」

4人は抱き合う。この回は4点入れた。

ライナー「ワンナウトー!」

「ワンナウトー!」

ライナー「ランナー無しオールファーストー!」

ライナー「全身守備!」

クリスタ「あ、打ったー!」

サシャ「レフトフライですね。」

ミーナ「ツーアウトー!」

ライナー「ツーアウトー!ランナー無し、オールファースト!」

ミーナ「ショートフライだ!」

サシャ「よし!」

ミーナ「次、8番からだよね!」

サシャ「はい。」

アニ「あー。セカンドゴロか。」

クリスタ「次あるよ!」

ミーナ「9番だ!」

クリスタ「打った!」

サシャ「センター前だ。」

「ワンアウトー!ランナー1塁オールファースト!」

ミーナ「コニー先輩だ!」

クリスタ「空振だ!」

コニー「来たー!」

ライナー「おー!」

トーマス「ナイバッチ!」

「ワンアウトー!ランナー1、2塁オールファースト!」

サシャ「2番ですね。」

クリスタ「ライナーまで続いてくれますように!」

サシャ「バントだ!」

アニ「暴投だ!」

3塁のコニーがホームに帰ってくる。

クリスタ「ライナーまで続くよー!」

ミーナ「さっきからずっとライナーライナー・・・。」

ミーナは苦笑いだ。

アニ「3番は空振りか。」

クリスタ「次はライナーだ!」

サシャ「初球空振りですね。」

アニ「あ!打ったー!」

クリスタ「ショートフライだ。」

サシャ「がっかりしないで下さいよー!」

アニ「そうさ。次があるんだから。」

アニ「ほら。ライナー。」

クリスタ「本当に?!」

ミーナ「ええ。」

ライナー「ノーアウトー!ランナー無しオールファースト!」

クリスタ「ライナー!」

この回は完投で納めた。次は最終回だ。

クリスタ「あ、打ったー!」

アニ「ライトフライだ。」

ミーナ「あと2回あるのよね。最低でも。」

サシャ「打者はですね。」

アニ「打ったー!」

クリスタ「ショートエラーだ!」

「ワンナウトー!ランナー1塁オールファースト!」

クリスタ「暴投だ!」

ランナーは2塁に走る。

「7番バッターです!」

サシャ「打ったー!レフト2塁だ!」

前のランナーが生還する。

ライナー「ワンアウトー!」

ライナー「ランナー無しオールファースト!」

ライナー「来い!」

ライナーは構える。トーマスが投げる。

審判「ストライク!」

「ナイピッチー!」

ライナー「打った!ファースト!」

塁審「アウト!」

クリスタ「やったあ!」

ミーナ「次のを仕留めたら終わりね。」

ライナー「ツーアウト!ランナー無しオールファーストー!」

クリスタ「レフト!」

マルセル「アウトー!」

塁審「アウトー!」

審判「集合!」

審判「ウォールローゼ東対シガンシナ学園、6対0、シガンシナ学園!」

「ありがとうございましたー!」

クリスタ「甲子園ー!」

アニ「やったあー!」ポロポロ

サシャ「うわあー!」ポロポロ



この日シガンシナ学園は甲子園出場を決めた。

コニー「うわあー!」ボロボロ

トーマス「監督にだな!」

ライナー「行こう!」

ライナー達は走りだす。





ライナー達は監督の墓の前に居た。

ライナー「監督。甲子園出場が決まりました。」

コニー「俺たちも、俺たちで、ベストを尽くします。」

ライナー「ありがとうございました!」

ライナーは泣き出す。

コニー「おい!ライナー!」ボロボロ

その日の晩、クリスタはライナーの家に行く。

ピンポーン・・・。

ライナーママ「はーい?あら、クリスタちゃん?」

クリスタ「遅くにすいません。ライナー居ますか?」

ライナーママ「ああ。あの子は今、お風呂に入ってるわ。」

ライナーママ「折角だから、上がって行って。」

クリスタは玄関に上がる。

クリスタ「お邪魔しまーす・・・。」

ライナー「あぢー!」

風呂上がりのライナーが出てくる。

ライナーママ「ライナー!服着ろって言ってんでしょ!!」

ライナー「えっ?!クリスタ?」

ライナーママ「そうよ!今来てくれたんだから!」

ライナーママ「じゃあ、居間で待ってて。」

クリスタ「はい・・・。 」

クリスタはドアを開ける。

ルース「ワン!」

クリスタ「わっ?!えっ!?犬?!」

ルースは尻尾を振っている。

クリスタ「そんなに私の事が好きなの?」

ルース「ワン!」ペロペロ

クリスタ「くすぐったいよー!」

ライナーママ「もう遅いからご飯食べっていって。」

クリスタ「あ、すぐに失礼するんで。」

ライナーママ「いいのよ!食べっていって!」

ライナー「母ちゃん・・・。」

ライナーママ「早く座れ!」

ライナー「分かったよ・・・。」

クリスタ「おいしい!」

ライナーママ「良かったわ。」

ライナー「おせっかいな母ちゃんだよ・・・。」

クリスタ「あ!天ぷらもらっていいですか?!」

ライナーママ「はーい!」

ライナー「あ、俺も。」

ライナーママ「あんたは自分で取ってくる!」

ライナー「分かったよ・・・。」

クリスタ「ごちそうさまでした!」

クリスタ「あ、お皿片付けます!」

ライナーママ「(ってかこの子本当にいい子ねー。ガサツなライナーにはピッタリだわ。)」

ライナー「素振りしてくる。」

ライナーママ「はーい。」

クリスタ「終わったー!」

ライナーママ「おつかれさま。」

クリスタ「いいんですか!?」

ライナーママ「ええ。」

ライナーママ「待ってね。今お茶出すから。」

クリスタはソファーに腰掛ける。

ライナーママ「はい。麦茶。」

クリスタ「ありがとうございます!」

クリスタはそのお茶を飲み干す。

クリスタ「ぷはー!」

ライナーママ「よっぽど喉が乾いていたのね。」

クリスタ「すいません・・・。」

ライナーママ「やっぱ女の子はいいわねー。」

クリスタ「いやあ・・・。」

ライナーママ「ほら、うちって男ばかりだからさ。」

ライナーの母親は笑う。

ライナー「あちー。」

ライナーママ「あ、クリスタちゃん送って行くから。」

ライナー「じゃあ、俺送って行くわ。」

ライナーママ「そう?じゃあ、よろしくね。」

ライナー「クリスタ。」

クリスタ「うん!」

2人は家の玄関前のドアを開ける。ライナーは自分の自転車を出す。

ライナー「クリスタ。乗れ。」

クリスタ「いいの?」

ライナー「ああ。」

クリスタ「ねえ。ライナー。」

ライナー「明日って、どんな感じ?練習?」

ライナー「そうだな。練習だ。仕方がない。」

クリスタ「そうなんだ。」

ライナー「あ、でも1日は休みだ。」

クリスタ「じゃあ、その日、どっか行こうよ!」

ライナー「分かった。」

クリスタ「約束だよ!」

クリスタ「ねえ。アニ。」

アニ「なんだい?」

クリスタ「エレンとミカサ、どうなったんだろ?」

アニ「知らない。また元に戻ったんじゃない?」

クリスタ「そうかな・・・。」

アニ「私も聞いてないからさ。」

クリスタ「私もだよ!今日暑いよねー!」

アニ「ライナーの事が気になるの?」

アニは笑う。クリスタが釣られて赤くなる。

クリスタ「そ、そんな事は!」

アニ「ほらね。」

ライナー「ナイピッチー!」

トーマス「今のどんな感じ?」

ライナー「良かった。」

トーマス「そうか。」

ライナー「ああ。」

リヴァイ「お前ら。」

ライナー「はい!」

リヴァイ「ピッチングもいいが、ちゃんと水分補給もしろよ。」

トーマス「はい!」

リヴァイは去って行く。

ライナー「あと何球?」

トーマス「あと5球!」

ライナー「ストレート!」

トーマス「はい!」ビュッ

クリスタ「ってか、補習めんどくさいよー。」

アニ「私は自習の方だけどね。」

クリスタ「アニは頭いいなあ・・・。」

アニ「もともとこの学校頭良くないだろ・・・。」

クリスタ「そうだけどさ・・・。」

ユミル「おー!いたいた!」

アニ「久しぶりだね。」

ユミル「野球部、甲子園出たんだってな。」

クリスタ「そうそう!」

アニ「ユミルも来れば良かったのに。」

ユミル「バイトで忙しいんだよ。」

アニ「へー。じゃあ、私帰る。」

クリスタ「ばいばーい!」

ユミル「じゃあな。」

クリスタ「じゃあ、続けるか。」

ユミル「私もやるか。」

クリスタ「ねえ。ユミル。」

ユミル「何だ?」

クリスタ「ユミルはさ、好きな男子居ないの?」

ユミル「いねえな。私はお前だけだから。」

クリスタ「キモー。」

ユミル「悪いか?」

クリスタ「いや、ジョークの方ね!」ハハ

ユミル「なんだよー!」

2人は笑う。

ライナー「失礼しまーす。」

クリスタ「ライナー!?どうして?」

ライナー「先生に言われたんだよ。」

ユミル「ああ。あの無表情潔癖チビか?」

ライナー「そうだけど、俺は先生の眼鏡を取りにいけって言われただけだから。」

クリスタ「あー。あの先生ね。」

ライナー「そう。」

クリスタ「ライナー!今日、一緒に帰れる?」

ライナー「いいけど。」

クリスタ「じゃあ、終わったらメールして!」

ライナー「おう。」

ライナーは教室を後にする。

ユミル「なんだよ。また彼氏と喋ってんのかよ?」

クリスタ「悪い?私は別にユミルに彼氏が出来たら見守るよ?」ニコッ

ユミル「もういい。私の彼女になれ。」

クリスタ「くすぐったいてばー!」

ガラガラ・・・。

ハンネス「お前ら!もう、自習時間は過ぎてるぞ!」

クリスタ「本当だ!」

ユミル「私バイトだ!」

ユミル「じゃあな!クリスタ!私帰るわ!」

クリスタ「ばいばーい!」

ユミルは走っていく。

クリスタは校舎を出る。その時だった。誰かに話しかけられた。

コニー「ねえ!」

クリスタ「何ですか?」

コニー「ライナーのガールフレンドだよね?!」

クリスタ「あなたは野球部の・・・。」

コニー「そう!俺、野球部の3年のコニー・スプリンガー!」

トーマス「いきなりでごめん。俺は3年のトーマス・ワグナー。」

コニー「あの、1日って暇?」

クリスタ「その日は、ライナーと・・・。」

コニー「ちょうどよかった!その日、ライナーの誕生日なんだよ!」

クリスタ「ええええっっっ!?」

コニー「で、彼女のクリスタ?にお願いなんだけど、今大丈夫だったらさ、ライナーの誕生日プレゼント選んでくれない?」

クリスタ「私なんかで良ければ・・・。」

近くのショッピングモールの雑貨屋に入る。

クリスタ「ライナー、喜ぶかな・・・。」

クリスタが手に取ったのは、一つのスマホカバーだった。

クリスタ「あ、あの!ライナーの携帯ってこの機種ですか?!」

トーマス「うん!そうだったよな?」

コニー「ああ!」

クリスタ「じゃあ、この色って、ライナーは喜んでくれますよね?」

トーマス「うん!喜ぶよ。」

コニー「見ろよ!トーマス!」

トーマス「お、おいw名に被ってんだよwww」

コニー「悪りい!」

クリスタ「化粧品がたくさん・・・。」

コニー「すげえ香水の数・・・。」

コニー「これでいいよな!」

トーマス「ああ。」

クリスタ「じゃあ、私はこれで失礼します。」

コニー「おう!じゃあな!ちゃんとライナーに伝えといて!」

クリスタ「はい!じゃあ、1日に!」

クリスタはコニー達と別れる。






クリスタ「ライナー、喜んでくれるかな?」

クリスタ「ライナー、ここに来てって言ってたんだけど・・・。」

いつまで経ってもライナーは来ない。

クリスタ「もしかして、忘れているのかな・・・。」

足音が聞こえる。

ライナー「クリスタ!」

クリスタ「ライナー!遅いよ!」

ライナー「悪りい。母ちゃんに怒られてたんだ・・・!」

クリスタ「いいよ。許してあげる。」

ライナー「ありがとな。」

クリスタ「ライナー・・・!」\\\\\

クリスタはギターを抱えている。

ライナー「行くか。」

クリスタ「うん!」

ライナー「ってか、眠いよなあ。今、何時?」

クリスタは携帯を取り出す。

クリスタ「5時50分!」

ライナー「え?ああ。俺、5時に起きたんだった。」

クリスタ「おかげで私は5時半に起きたよ!?まだ寝巻きだよ!」

ライナー「俺の、いつもの癖だな。」

ライナーは笑う。クリスタはライナーに体をぶつける。

クリスタ「見て!」

ライナー「まるで、小鳥が夜明けを唄で合図しているみたいだな。」

小鳥が夜明けを唄で合図している。とっておきの声でリズムを取るように。

クリスタ「眠い・・・。」

ライナー「zzzz」

2人は眠ってしまった。

ライナーは夢を見た。

「4番、キャッチャー。ライナー・ブラウンくん。」

コニー「ライナー!頑張れよ!」

ライナー「おう!」

リヴァイ「ライナー!」

ライナー「はい!」

クリスタが観客席にいる。ライナーは思う。このなんでもない日にもドラマがあるって事を。

ライナー「お願いしまーす!」

審判「プレイ!」

かっとばせー!ライナー!
いけー!おせー!ライナー!
勝利ー!勝利ー!ライナー!

クリスタ「頑張ってー!ライナー!」

ライナーの脳裏にクリスタがギターを持って、何か唄を弾いている。そのような光景が浮かぶ。


ライナー「今だ!」

カキーン!

単純な僕の単純な唄。涙を止めるだけにある唄。不安の残る夜は思い出して欲しい。

クリスタ「打ったー!」

実況「入ったー!」

マルセル「ライナー、ゆっくりゆっくり!」

コニー「ライナーナイバッチー!」





ライナー「はっ!?俺、寝てたんだ・・・。」

クリスタは幸せそうに眠っている。

この日を僕は確かめ生きる。
この日に君を見つけて生きる。
このなんでも無い日が記念日になる。

クリスタはこういう事をアルバムに挟んでいたっけ。

クリスタ「ふああ・・・。ライナー?」

クリスタ「ライナー!ついて来て!」

だからどんなに大きな地図にもない場所へ。手をつないで。

クリスタ「魔法のアルバムあるでしょ?」

ライナー「ああ、あれ?」

クリスタ「あれに思い出を残したいの!」

クリスタはライナーの手を引っ張って走る。

ライナー「お、おい?」

クリスタ「いいから早く!」

着いた先は、クリスタの家だった。

クリスタ「ライナー!目つぶって!」

ライナーは目をつぶる。

コニー「ハッピバースデートゥーユー!」

クリスタ「目開けて!」

ライナー「うん?」

クリスタ「お誕生日、おめでとう!」

クリスタ「私からは、まず、唄のプレゼント!」

クリスタ「不安の残る夜は忘れないで・・・。君のための唄があること・・・。」

コニー「はい!これ、俺らから!」

ライナーは紙を開ける。

ライナー「勉強道具?」

コニー「おう!このボールペンのリフィルはクリスタと一緒に使ってくれよ!」

クリスタ「あはは・・・。」

トーマス「絶対だぞ!」

クリスタ「私からもう一個!」

クリスタ「はい!」

ライナー「携帯のカバー?」

クリスタ「ライナー、いつも同じのでしょ?だから新しいの欲しいかなって・・・。」

ライナー「このケータイのカバーオシャレだな。」

クリスタ「ふふ。」

ライナー「みんな、ありがとな。」

コニー「いやあ、俺らだって悪りいよ。」

トーマス「俺もライナーに迷惑ばっかかけてんじゃん。」

「今までありがとう!」

クリスタ「えー?」

トーマス「え?」

コニー「へえ?」

コニー「俺ら、一緒に言ったの?」

トーマス「そうじゃね?」

クリスタ「多分。」

ライナー「何だよ。冴えないな。」

ライナーは豪快に笑う。

クリスタ「ふふ。」

コニー「あっはっはっー!」

トーマス「ぎゃーっはっはっ!!」

ライナー「何が可笑しいんだよ?」

クリスタ「ライナー、クリーム付いてるよ!」

ライナー「えっ?!嘘!?本当だ!」

コニー「ライナー!」アハハ

クリスタ「かわいい!」アハハ

トーマス「はい。これ。」

コニー「彼女とのお出かけパスポート。」

トーマス「じゃあ、彼女の事大切にしてあげろよ。」

コニー「じゃあなー!お邪魔しましたー!」

コニーとトーマスはレンズ邸を後にする。

クリスタ「ライナー。行こうか。ライナーの好きな場所に。」

ライナー「分かった。」

2人は片付けをした後にレンズ邸を出て行く。

地図にもない場所へ。
手をつないで。手をつないで。

ライナー「暑いな。」

クリスタ「ね。」

ライナー「バッティングセンターでいいか?」

クリスタ「ライナー、もっと遠い所に行きたいのかなって・・・。これじゃあ、私の行きたい場所だよ・・・。」

ライナー「今から、遠い場所に行けるわけないだろ。ちょうどバッティングセンターに行きたかったんだ。」

クリスタ「そうなんだね。」

ライナー「分かってくれた?」

クリスタ「分かった!入ろ!」

ライナー「分かった!」

2人は手をつなぐ。

ライナー「(来た!)」

クリスタ「わー!」

ライナー「ホームランゾーンだ!」

クリスタ「やったね!ライナー!」

ライナー「お前も打つか?」

クリスタ「いや、私はいいよ。」

ライナー「いいのか?」

クリスタ「うん!」

ライナー「ホッケーでもやるか?」

クリスタ「やろうよ!」

ライナー「10回で100円か・・・。」

クリスタ「私が出すよ!」

カーン!コーン!

クリスタ「そりゃ!」

ライナー「ふん!」

カシュー!

クリスタ「ライナー強いよ・・・。」

ライナー「そうか?じゃあ、力を弱めるよ。」

クリスタ「はい!」

カシューッ!

クリスタ「やったー!」

ライナー「はは。」

クリスタ「ガンシューやりたい!」

ライナー「お、楽しそうだな。」

クリスタ「ねー!」

2人はバッティングセンターを後にする。

地図にもない場所へ。
手をつないで。手をつないで。


クリスタ「ライナー。」

ライナー「何だ?」

クリスタ「好きだよ・・・。」

ライナー「俺もだ。」

ゆっくりでいいから・・・。
君が本気に笑って泣けるような地図にもない場所へ・・・。


手をつないで・・・・。




END

BUMPOFCHICKENアルバム
FLAMEVEIN (廃盤)
FLAMVEIN+1より
とっておきの唄

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