幻想郷に来た貴方が女の子と仲良くなる話 (805)

※東方projectの二次創作安価スレです

※タイトル通りです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1457832167

~1日目~


貴方は目を覚ました。
ふああ、と大きな欠伸をしてから体を伸ばし、朝が来たというサインを身体に認識させる。

しかし貴方はここで早速違和感を覚える。
体を伸ばした拍子に背中から、ザリザリ、という砂や小石が擦れる音が聞こえて来たからである。

そして段々と目が覚めて来るにつれ、覚えた違和感は更に大きい物となる。

見上げれば広がる青空。
見渡せば広がる雑木林。
見下ろせば広がる石畳。

自分は間違いなく昨夜、このような場所で寝ていた筈はない。


そして何より、目の前の―――――――

安価:↓2

1.神社などは見たことが無い。

2.屋敷などは見たことが無い。

3.寺などは見たことは無い。

1.神社などは見たことが無い。(博麗神社)


赤い鳥居が印象的な、そこそこに立派な神社だ。

しかし人の気配はせず、風に揺られて聞こえる木々のざわめきのみ貴方の耳に入って来るばかりである。
けれども寂れた、ということは無く、整備されているようなのが分かり、貴方は少しほっとした。

いずれにせよ、ここはどこか。それのみ分かれば更に安心出来ることは確か。
そう思った貴方は、神社の神主や巫女、或いは参拝客がいないか探し始めた。

そのついでで、一応礼儀としてお賽銭も入れておく貴方だった。
何故就寝していた筈の自分の服装は普段着で、財布や携帯電話を所持していたかは更に貴方の疑問を膨らませてはいたが。

さて、正門にはどうやら誰もいないようなので、裏を探し始めると、そこには早速誰かがいた。


その人物は――――――

安価:↓2

1.掃除をしている、大きなリボンを付けた紅白カラーの女の子だった。

2.煎餅を齧っている、魔女みたいな帽子を被った白黒カラーの女の子だった。

3.酒を呑んでいる、二つの角らしき物をを頭に付けた小さな女の子だった。

1.掃除をしている、大きなリボンを付けた紅白カラーの女の子だった。 (博麗霊夢)


鼻歌まじりに庭の掃除をしている巫女を見つけた。

まだ年は自分より全く若いであろう容姿であり、見習いの巫女かな、と貴方は思った。
ともかく、人を発見できたことは貴方にとって僥倖。
早速貴方は、ごめん下さい、と、声をかけるのであった。

「ん?あら、どうも」

貴方が声をかけると、女の子は一旦掃除の手を止め、貴方に返答をしつつ、会釈した。

貴方は早速質問をする。ここはどういう場所なのだろうと。

「はぁ、博麗神社だけれども…。知らないってことは無いわよね」

貴方の質問に訝しげな表情をして答える女の子だった。
しかし、彼女は「当然」と言う様に答えるが、貴方は神社の名前を言われてもピンと来ない。

勉強不足で申し訳ない、と貴方は彼女に謝る。

「いえ、謝られてもしょうがないけど。博麗って言って分からない?」

博麗、の名を強調して尋ねる女の子だったが、やはり貴方は分からない。と答える。
そうすると、彼女は少しだけ目つきを鋭くして、貴方を品定めする顔つきになった。

じぃ、と見られるのは余り気分の良い物では無い。
それが可愛い女の子ならば、居心地の悪さも倍率ドン、更に倍である。

「…人里にある服装じゃない、博麗が分からない」

「妖気も感じない、となれば…」

と、独り言をブツブツと呟いたと思えば、そこで彼女は貴方を睨むのを辞めた。
ようやく、ふう、と貴方は溜息をつき落ち着く。

「ああ、ごめんなさいね。少し気になることがあったから」

軽く謝罪の言葉を述べた後、彼女は片手に持っていた箒を立てかけると貴方に振り返る。

「とりあえず、説明があるから少し上がって頂戴な」

と言い、履物を脱ぐとさっさと神社の中に入って行ってしまった。
兎に角貴方も靴を脱ぎ、上着の汚れを軽く払ってから彼女の後を続くことにした。

「ここは貴方の住む世界とは違うわ」

部屋へと案内され、座らされるや否やそんなトンデモ発言を彼女はする。

「呆れたというか気まずいというかカワイソーというかそんな表情ね」

貴方の表情を見て心境を読み取ったのか、ジト目で彼女は言う。
しかし貴方がそういう表情をするのも無理はない。
巫女かと思いきやオカルトマニアだった、と思うのも無理はない。

「まあ、先に説明するわ。この土地は幻想郷。そして、ここは博麗神社」

「幻想郷は貴方の世界で忘れられた物が流れ着く土地。神様とか、妖怪とか、ね」

「そして人間も流れ着くこともある。貴方みたいに。それを私達は『外来人』とか呼んでるわ」

「…貴方、もしかして自殺とかする最中だったりしない?そういうのが主に此方に来るのよ」

衝撃的な発言が次々に飛び出して来るが、ともかく最後の質問にだけはっきりと「NO」と貴方は答えた。
自殺願望など元より無く、健康で文化的な生活をしていただけだ、と貴方は返答する。

「成程。それなら話は…複雑になって来るのよ」

簡単になる、のでは無く複雑になる、とはどのようなことだろうか。と、貴方は彼女に問う。

「普通、外の世界の人がうっかり此方に流れ着く、なんてことは無いの」

「考えられるのは、結界の故障か、なんらかの能力を使われたか…」

「いずれにせよ、イレギュラーな出来事には違いないわ」

さて、と彼女はここで一旦説明を区切り、お茶を啜った。
貴方にもお茶は出ているのだが、話が突然すぎて手が伸びない。

その様子を見てか、彼女は貴方に言う。

「ところで、自己紹介が遅れたわね。私は博麗霊夢。博麗神社の巫女やってるわ」

ここまでで貴方は彼女の名を知らなかったことに気づき、貴方も自己紹介を返す。

「ん。どうも。それじゃあ、ここまでで何か質問はある?」

と、互いに自己紹介を終えると、質問は無いかと彼女は尋ねる。


早速貴方は――――――

安価:↓2

1.今までの話は本当なのか、と、確認した。

2.自分は元の世界に帰れるのか、と、尋ねた。

3.ハイカラな服だね、と、褒めた。

3.ハイカラな服だね、と、褒めた。(特にイベント無し)


貴方は当初より気になっていた巫女装束を褒めることにした。
何せ腋が空いていると言う前衛的なコスチューム。これを開発したデザイナーは発想が豊かだったのであろう。

「む…貴方、結構余裕ありそうなのね」

だいぶ呆れ顔になった霊夢である。とはいえ、自分の衣装を褒められて少し気を良くしたようだ。
一応は警戒心を和らげることは出来たのかもしれない。

「で?何がハイカラなのよ」

と、肝心の部位を尋ねられた。
ここで腋、と馬鹿正直に答えるのは愚の骨頂であろう。と判断した貴方は、スカートっぽい所が。と答える。

「ふうん?まあ、外の巫女服は袴でお堅い感じがあるから、これは好みなのよ」

と、スカートの端を摘まんでヒラヒラさせる霊夢。腋と言わなくて正解だったようだ。

「まっ。混乱して詰め寄られないだけマシだけど。さて」

と、言い、座り直して、再び話を始める姿勢を整えた。

「ここからは貴方がさっきまでの話を理解した前提で話を進めさせてもらうわ」

再びオカルト的な話が始まるのだが、信じられない云々を言うのは今はやぐらだと貴方は判断する。
そういうのは先ほどの質問タイムで言って置けば良かったのだが、つい服に言及してしまったのでそれも逃す。

「自殺願望があって流れ着いた外来人も、ここに辿り着くことはあるのよ」

「それで本人が帰りたい、と言えば私が帰してあげるのだけれども」

「今回、貴方が来た原因が分からない以上、迂闊に結界を超えさせることは出来ないの」

「まあ、詰まる所。今は貴方を元の世界に帰すことは出来ない、ということ」

貴方は今明かされる衝撃の真実に絶句してしまう。
もしもこれまでの話が本当ならば、異世界に来た上で、帰る手段を失われたということになる。

「あー、ショックなのは分かるけれども。別に放り出そうって訳じゃないわ」

と、同情するような口調で、貴方に何か提案を出そうとしている。
貴方は、どうやら希望が見えたかも知れないと、彼女の次の言葉を待つ。

「貴方を帰しても異常が無いことが分かり次第、貴方を元の世界に帰すし」


「それが分かるまでの間は――――――」

安価:↓2

1.「ここに住まわせてあげるから」

2.「人里に住めるよう言ってあげるから」

1.「ここに住まわせてあげるから」 (博麗神社に住む)


「どうかしら?」

と、貴方にとって都合のいい展開になる発言を彼女は言う。
異世界で女の子と一つ屋根の下で暮らす、というありきたりな展開だが、現実になるととても混乱する。
とはいえ、もしこれを断って気分を悪くし、放り出されたら一巻の終わりである故、すぐさま了承と返した。

「よろしい。まあ、短いか長いかは分からないけど、これからよろしくね」

なんとも流れるように貴方の衣食住が約束され、これでいいのかな、と貴方は心の中で複雑な表情をした。

「それじゃ、取りあえず私はやることがあるから…貴方は、境内の掃除をやってて貰える?」

「まあ、余り時間はかからないと思うから、その間だけで良いわ。その後で幻想郷について色々教えるわね」

早速貴方に掃除を押し付けた霊夢は、言うだけ言ってから部屋から出て行ってしまう。
ポカン、と少し呆ける貴方だったが、ともあれ掃除の任を与えられたのは確か。
右も左も分からない以上、言われた事をやるしかない貴方は、先ほどの庭で掃除を始めるのだった。

掃除を始めて早くも10分。
先ほどまで彼女が掃除をしていたおかげか、もう粗方庭の掃除は終えてしまった。

とはいえ、終えたからと休むのは時間が勿体ない。
そう思う貴方は、神社の中でも少し見ようかと入って行った。

神社の中は特に複雑な構造はしておらず、居間だとか台所だとか、
案外俗な作り方をしているのが分かった。

それにしても彼女以外の人物は見当たらない。
そこそこに立派な神社ならば、常に何人かは在中しているのかと貴方は疑問に思う。

こうして歩き回り、もう見るところも無くなった貴方は再び先ほど掃除していた庭へと出た。


すると――――――

安価:↓2

1.右腕に包帯を巻いた女の子が空から飛んできた。

2.長い金髪の女性が境内で寛いでいた。

3.緑髪で巫女服を着た女性が誰かを探している様だった。

ちょい間を開けます。
夜に再開するかもです。

1.右腕に包帯を巻いた女の子が空から飛んできた。


貴方はそんな馬鹿な、と目を擦って再び空を見て確認するが、間違いなく女の子が飛んできている。
この状況で否が応でも、ここは自分のいた世界とは違うと再認識させられてしまう貴方であった。

さて、その女の子はどうやら正門に降り立った様子。
貴方は兎に角、一体彼女は何者か確かめるために正門へと向かった。

「霊夢ー?いますかー?いるんでしょうー?」

少々大きめな声で貴方を招き入れた巫女の名を呼ぶ女の子。
遠目で確認出来たが、腕には包帯を巻き、シニョンキャップを被った女の子である。

「うーん…いないのかしら。お裾分けしようと思ったのに」

と、呟く彼女の片腕に持っているのは一升瓶の様だ。
お酒を霊夢の様な少女に分ける、とは考え辛いので、やはり神主らしき人はこの神社にいるのだろう、と貴方は確信する。


さて、この女の子に対して貴方は――――――

安価:↓2

1.霊夢は出かけている旨を伝えに行った。

2.怪しがられるのも何なので裏に引っ込んだ。

2.怪しがられるのも何なので裏に引っ込んだ。(特にイベント無し)


自分の立場を考えれば、霊夢の客の対応を居候数十分の自分がするのはどうかと思った貴方。
加えてその客は貴方の目が確かならば、空を飛んできた奇妙な少女。

君子危うきに近寄らず。カカッっとバックステッポ。ここは裏に引っ込もうと判断をした。
そうして踵を返した瞬間に。

「さて、困ったわね。このお酒はどうするべきか…」

「そこの貴方はどう思いますか?」

と、物陰からこっそり覗いていた事がバレてしまう貴方。

観念してひょっこりと姿を現し、どうも。と貴方は挨拶をする。

「こんにちは。さて、このような場所に人間が一人。神社の主はどうやら留守」

「主が留守の神社の裏方からひょっこりと現れた貴方は何者ですか?」

と、問い詰める口調で貴方に質問する女の子。

取りあえず貴方は、外来人と言うらしい。と返答をした。

「外来人…?ふうん、話には聞いた事がありますが、成程」

先ほどの霊夢と同じ様に、貴方を品定めする女の子。
そしてやはり霊夢と同様、彼女も可愛いと思える部類に入るので、居心地の悪さも倍率ドン、である。

「よし。理解しました。どうやら貴方は偶然幻想郷に迷い込み」

「霊夢からその事実を聞き、何かしらの理由で彼女の留守を任されている」

「そんなところでしょう?」

と、まさかの超速理解で貴方の状況をピタリと彼女は当てた。

「姿格好を見れば人里の人間で無いと分かるし、外来人なんて言葉を知る機会も限られている」

「まあ、最初は泥棒の類かと疑いはしましたが、箒を片手にした泥棒なんて聞いたことないですしね」

そう言ってやれやれと腕を組む彼女。
貴方はここでようやく、箒を持ったまま正門へ向かったことに気づき、苦笑いをした。

「ところで、どうして私を覗くような真似を?」

と、ここで再び彼女からの問い。
正直に言うと怪しい人物と思ったら。であるが、彼女からすれば貴方の方が余程怪しい人物である。


貴方は彼女の問いに――――――

安価:↓2

1.空から飛んできて驚いたから。と答えた。

2.霊夢の客人に勝手に対応してはまずいから。と答えた。

3.ハイカラな服装で眺めていたかったから。と答えた。

2.霊夢の客人に勝手に対応してはまずいから。と答えた。


「まあ、確かにそうですね。良い判断です」

貴方の返答には納得して貰った様子。
言い方を変えれば居留守なのだが、特に彼女は気にしなかった模様。

「ところで、霊夢はいつ頃帰るかは聞いていますか?」

その質問に貴方は、余り時間はかからないと言っていたことを伝える。

「成程。それではもうじき帰って来ると。そうしたら貴方も外の世界に帰るのですね?」

実はそうは行かないみたい。と貴方は答える。
それに対し当然というか、彼女は眉を潜ませた。

「帰らない?…いえ、帰れない、ということですか?」

自分の意志で、ではなく、環境的な意味で、と彼女は聞き返す。

貴方は事のあらましを大雑把に伝えると、彼女はまたも腕組をして考え始める。

「原因不明の外来人?まさか、結界に何かが…?いえ、それよりも幻想郷に影響は…」

これまた霊夢と同様にブツブツと独り言を始める女の子。
貴方はその間、返答も出来ないので、手持無沙汰に、これからどうしようかと思いを馳せていた。

「待たせたわね…と、あんたも来てたの」

と、ここで霊夢は帰宅した。
勿論ふよふよと空を飛んでから、である。見るのは二度目なので貴方も驚かない。

「霊夢。まさか結界に異常が?」
「無い」

ばっさりと女の子の言葉を切り捨てる霊夢。

「紫も調べるって言ってるけど、多分異常は見つからないと思うわね」
「根拠は?」
「勘と経験」
「…ま、いいか」

とんとん拍子に会話が進んでいくが、最後の霊夢の発言に納得する女の子に思わずツッコミを入れたくなる貴方だった。

「とは言っても、大事をとってすぐに帰すわけにはいかないけどね」
「それはそうね。…それじゃあ、貴方は暫くは幻想郷に住むことになるのですね」

何だか可哀想な物を見る様な目で言われてしまう。

「まあ、これから顔を合わせることもあるかもしれませんし、自己紹介しておきましょう」

「私は茨木華扇。仙人…の、修行中の身です」

仙人。貴方にとっては亀の甲羅を背負った人物が漫画で知るところ。

貴方も簡単に自己紹介をし返す。

「霊夢。彼はこの後…」
「あー、暫く彼はウチに泊めることになるわね」
「なるほ…ど……?」

ピタ、と固まる。
霊夢はどうしたという表情をする。貴方はこれはまずいという表情をする。

世間一般的に考えてやはりどこの馬の骨とも知らない男が女性の家に厄介になる。
これは幻想郷でも日本でも変わらない常識の様である。

「んー?…変な奴。まあいいか。このお酒お土産でしょ?貰うわね」

言うや否や、固まっている華扇の抱える一升瓶をふんだくる。

「んじゃ、大分遅れたけど朝ごはんにでもしましょうか。手伝って貰える?」

酒を片手に、少々気分を良くする霊夢は神社に入りながら貴方を手招きする。
固まる彼女を脇目に、急ぎ足で彼女の後へと続いた。


フリーズした華扇が解凍するまではこれから数秒後の話。

彼女が貴方と霊夢を居間に座らせ、男女関係云々などについて説教を始めるのはこれから十数秒後の話。

「私は霊夢に迫ったりはしません」という誓約書を書かされ、ご飯を食べれるようになるのはこれから数時間後の話。

ようやく貴方はここで、この神社には霊夢一人で住んでいること。酒を飲むのに年齢制限は無い事を知ることが出来た。

「ああ、もうこんな時間…あのうるっさい仙人のせいで一日が終わっちゃったわ」

華扇からの説教イベントの後、再び幻想郷の説明をして貰うのだったが、
色々と勉強しているうちに既に日は傾き始めてしまっていたらしい。

「うーん…色々と説明したのは久しぶりね。まあ、大まかには分かったでしょう?」

霊夢はグイ、と背筋を伸ばして体を解している。説明に疲れたのか、説教に疲れたのかは密に、密に。

「さて、と。質問は何かある?」

実の所、まだまだ詳しい説明は聞きたいのだが、
疲れている様子の彼女にあれこれ聞くのは気が引ける。

ここは三つまでに絞っておくべきか。


貴方は――――――

安価:↓1~3


自由に質問をお願いします。
※解答できないと判断したものは一つ下にスルーさせて頂きますので、ご了承ください。

1.仕事は何をすればいいのか


「そうね。神社の手伝い…は、当然として。自分でお金を稼ぎたいってことよね?」

貴方の心境を汲み取ってくれる霊夢。
実際その通りで、手伝いはするにしても、一時でも何か職を得たいと思うのは男のサガかもしれない。

「…よし。うってつけの働き口を思い付いた。明日案内してあげるわ」

何やら紹介するバイト先に自身がある様子。
頼もしいその姿に思わず、お願いします。と敬語になる。

「任されなさい。無理って言っても押し付けるから」

その言葉に打って変わって急に不安になる貴方であった。

2.この世界には人間以外にどんな種族がいるのか


「妖精。幽霊。鬼。神。エトセトラ…まあ、一緒くたに『妖怪』という場合もあるわね」

どうやら細分化すればまだまだ多い様だ。

「まあ、自分の種族に誇りを持っている奴もいるから、まとめて妖怪、というのは辞めておいた方がいいかもね」

成程、これは一つの貴重な意見なのかもしれない。
どの様な場合にせよ、普通の人間は大抵の妖怪には太刀打ち出来ない。
これは説明の間に教わったことである。

「貴方の世界だって人間の間で種族分けされてるんでしょ?オタクだとか、リア充だとか…」

それは細分化し過ぎだし、どこでそんな言葉を覚えたのか。
そう貴方が突っ込むと、ん、間違ったかな…と難しい顔をする霊夢だった。

3.タブーなことはある?


「喧嘩を売らない。買わない。持ち込ませない」

成程簡潔で分かり易い。

「会話の出来る妖怪は、普段人間を積極的に襲う事は少ないわ」

「でも、会話が出来る妖怪は力のある妖怪。喧嘩なんてすれば絶対に無事では済まないわ」

ぞっとしない話だが、これは心に刻んでおくべきであろう。
しかし、持ち込ませない、とはどういう意味なのだろうか。

「私に面倒を押し付けるなってこと。特にこれだけは決して破ってはいけないタブーだからね」

ピシャリ、と貴方に念を押して言う。
しかし、タブーとは破る為にあるもの、と貴方はどこかで聞いた事はある。

本当に困ったら助けて貰おうと心のどこかで考えていた。

「さて、それじゃ、話はここまでね」

すっくと立ち上がり、軽く体を伸ばす。

「私は晩御飯の支度を始めるけど…貴方はどうする?」

「今日、色々あり過ぎて疲れたでしょうから、休んでてもいいわよ?」

有り難く、霊夢はこちらを気遣ってくれる。

実際問題、異世界召という出来事に少しばかりの疲労を貴方は感じている。
とはいえ、家主に全部任せきりでもいいのか、という呵責も生まれてくる。


さて、貴方は――――――

安価:↓2

1.霊夢を手伝う。(霊夢:好感度UP)

2.少し休ませて貰う。(ランダムエンカウント)



※好感度は最初【知り合い】からスタートします。
 好感度の上昇につれ、

→【友人(小)】→【友人(中)】→【友人(大)】
 →【親友(小)】→【親友(中)】→【親友(大)】
 →【恋慕(小)】→【恋慕(中)】→【恋慕(大)】
 →【親愛】

と成長していきます。
上昇量はコンマで決定する予定ですが、今回の選択肢の場合のみ一つのみの上昇とさせて頂きます。

1.霊夢を手伝う。(霊夢:好感度UP)


霊夢:【知り合い】→【友人(小)】


「ありがと。助かるわ」

貴方の手伝いの申し出に、少しだけ微笑みながら返してくれた。
早速、台所へと向かい準備と進める。

「昼ご飯の時も思ったけど、こうして台所に二人並んで立つのって新鮮なのよね」

ふと、そう告げる霊夢。

思えば、彼女は何時から一人でこの神社にいるのだろうか。
説明の中で、彼女が妖怪退治を生業としていることは聞いた。
そしてそれも何時から一人でしていることだろうか。

いくつかの何時から一人で、という疑問が頭の中で考えついた先に口に出た言葉は、
じゃあ、此方に居る間は、出来るだけ二人でご飯を作ろうか。というものであった。

「んー…。まあ、都合が合えばね」

返って来たのは素っ気ないような、しかし拒否はしない言葉だった。

さて、晩御飯を終えると、すっかり夜になってしまう。
普段ならまだまだ夜はこれから、と起きている筈だが、やはり心の疲れが体に来てしまう物。
貴方はうとうとし始めてしまう。

「あらあら、もうおねむかしら?」

くすくす、とからかう口調で笑われてしまう。

「まあ、今日はお疲れ様といった所ね。もう休んだら?」

この提案に、貴方は素直に従う。
食欲、睡眠欲からは人間逃れられないものである。


「布団は押し入れに入ってるから。寝巻は…別にいらないわよね」

寝室に案内された後、布団の場所を教えて貰う。

「それじゃ、お休みなさい」

そう言って、襖を閉めようとする霊夢に、貴方は声をかける。

「どしたの?」

ここで貴方はようやく、彼女からは言われたが自分から言っていない一言を告げる。







―――これから、よろしくお願いします。






「…昼間に言ったけれど、ま、いいか。よろしくお願いします。」





~1日目・終~


霊夢:【友人(小)】

華扇:【知り合い】


※今後、数キャラは出す予定です。


今回はここまでとします。今後の展開も行き当たりで考えることになりますので、
ゆっくりな進行になると思いますがよろしくお願いします。

~2日目~


貴方は目を覚ました。
寝ぼけ眼のまま辺りを見渡すと、見慣れない部屋の構造が目に入る。

昨日の一日は長い夢であった。ということは無く、これが現実と突き付けられる。

とはいえ、衣食住は整っており、今日は家主の親切で仕事も紹介してくれるとのこと。
モンスターに怯えながら洞窟で生活、などとは程遠い環境にいることは不幸中の幸いである。

そこまで考えて貴方はふと外を見ると、山際の空が少し明るくなってきているのが見える。

どうやらまだまだ早朝の様だ。
昨夜は早く寝てしまったので、早過ぎる時間に目が覚めてしまった。

この時間帯では恐らく霊夢もまだ夢の中だろう。


そこで、貴方は――――――

コンマ下1桁:↓2


0~2.朝食作りをすることにした。(霊夢イベントor新キャライベント)

3~5.境内の掃除をすることにした。(華扇イベントor新キャライベント)

6~9.二度寝をすることにした。(新キャライベント)

コンマ下1桁:↓2


0~3.階段を登って昨日の仙人がやって来た。(華扇)

4~6.木陰から3人ほどの視線と声を感じた。(新キャラ)

7~9.空から石に乗った女の子が降って来た。(新キャラ)

すみません。↑の前にこれを置いて下さい。

3~5.境内の掃除をすることにした。(華扇イベントor新キャライベント)


すっかり目は冴えたので、朝の体操と兼ねて掃除をすることにした。

寝巻から普段着に着替えて外に出ると、朝方な事もあってか少し肌寒い。
紛らわせるためにも貴方は早速箒で庭を掃いていく。

訊き忘れていたが、今の季節はなんなのだろう。
貴方の記憶が確かならば、此方に来た時の外の世界の季節は春だった筈。

果たして此方の世界でも春なのか、別の季節なのか、或いは四季など無いのか。


そんな事を考えながら掃除をしていると――――――

コンマ下1桁:↓2


0~3.階段を登って昨日の仙人がやって来た。(華扇)

4~6.木陰から3人ほどの視線と声を感じた。(新キャラ)

7~9.空から石に乗った女の子が降って来た。(新キャラ)

4~6.木陰から3人ほどの視線と声を感じた。(新キャラ)


貴方はその木陰へと視線を向ける。
しかし、貴方が視線を向けた瞬間、先ほどまでの視線と声は消えてしまう。

不思議に思いながらも掃除を再開する。
そうして掃除を進めると、空も明るくなってきて太陽がその姿の全体を現す。

そろそろいい感じだ、と貴方は箒を立てかけ、神社の中へと戻ろうとする。

「あのー、すみません」

すると後ろから、少女の声が聞こえて来た。
貴方はその声に振り返ると、そこには笑顔で話しかける3人の少女の姿があった。

目を引くのは、その少女は全員が、背中に透明な羽の様なものが生えていること。

「貴方って、昨日博麗神社にいたわよね」
「それで、朝から掃除をしているってことは…もしかしてここに住んでるってこと?」

セミロングな金髪の女の子が貴方に問う。
うん、昨日からね。と返事を帰すと、セミロングの子は後ろの二人にドヤ顔をしていた。

「絶対見間違えたかと思ったのに…」
「しかも本当に住んでただなんて…」

黒髪のロングヘアーの子と、金髪の縦ロールの子はコソコソとそんなことを言う。
若干信用されていないのだろうか。

「おっと!自己紹介が遅れたわね。私はサニーミルク。妖精よ」
「スターサファイアです。よろしくお願いします」
「ルナチャイルドよ。私達はこの近くの森に住んでいるの」

三人の自己紹介に、貴方も自己紹介で返す。
妖精、という言葉は昨日聞いたが、見た目は人間の少女とそう変わりは無いと貴方は感想を抱く。

そして貴方は、霊夢に用があったの?と尋ねる。

「用は無いわ。サニーが、霊夢さんが神社に男を連れ込んだって話を昨日聞いたからね」
「確かめに行ったってわけよ!」

確かにそれは真実ではあるが、人が聞いたら誤解する言い方である。

「まあ、それが本当なら、同じく霊夢さんには世話になっている身として挨拶に来るつもりだったんですよ」

世話になっている、と聞き、貴方の中で霊夢は世話焼きな人だという印象を強める。

それにしても、妖精は頭が悪いと霊夢から聞いたが、挨拶に来るなんて律儀な性格をしていると感心する。
本来なら新人の自分が行かなければならないのだが。

「それじゃあ用件はそれだけ。掃除の邪魔して悪かったわね」
「それでは失礼しますね」
「また会う機会があればよろしくー」

と、慌ただしく帰っていく三人の妖精。貴方も手を軽く振って彼女等を見送る。



場所は一時変わり、ここは先ほどの三匹の妖精、別名「三月精」の住んでいる大木での話。

「よーし。取りあえずこれで繋がりは持てたわ」

「これから少しずつ交流を図って油断させていけばいいわけね」

「そう。一緒に住んでいるなら霊夢さんの弱点の一つでも分かるはず…」
「それを上手く聞き出して、期が来れば神社を乗っ取る!」

「(回りくどすぎる気がする…)」

「ふふふ…怖いわー自分の頭の良さが怖いわー」

「さすが伝説の三月精のリーダーね」

「(そのうち目的を忘れてる気がする…)」

天狗になるサニーミルク。それを煽てるスターサファイア。不安を感じるルナチャイルド。

彼女等の作戦が成功する日は来るのだろうか。

ちょっとしたイベントも終わり、神社の中へと入ると、美味しそうな匂いが漂ってくる。

「おはよ。庭の掃除しててくれたのね」

朝食の用意をしている霊夢に、貴方も朝の挨拶を返す。
ご飯に味噌汁に魚におひたし。純和風な朝食に思わず涎が溢れそうになる。

「貴方はご飯派かしら?パン派だったら…我慢してね」

実質一択の選択肢だが、貴方は派閥についていないのでどちらでもいける口である。

「それならいいわ。それじゃ、頂きます」

霊夢に続き貴方も頂きます、と言い。朝食を食べ始める。

昨日の昼食、夕食も感じていたが、やはり料理は非常に美味しく、箸が進む。
女の子の手料理と言うポイントも少なからずあるせいだろうか。

「やっぱり男の子だからかしら。良い食べっぷりね」

自分の料理を美味しく食べられるのは悪い気はしないのだろうか。
少しだけ笑みを浮かべながら貴方の食事ぶりを評価するのだった。


さて、朝食を終えると、昨日から話に上がっていた、仕事の話を始める。

「貴方に紹介する仕事だけど――――――」

安価:↓2


1.「雑貨屋なら大丈夫そうね」

2.「人里で教師を募集してたわ」

3.「人形劇って興味ある?」

3.「人形劇って興味ある?」(新キャラ)


人形劇は貴方もよく知っている。子供の頃は貴方もテレビ番組でよく見ていた"たち"である。

「テレビ?まあ、好きだったのならそうでないよりやりやすいわよね」

「知り合いが人里で人形劇をやってるのよ。で、最近人気が上がって来てね」

「少しばかり大がかりな舞台を作ってやるらしいのだけど、手伝いが欲しいとか言ってた気がするから」

「裏方役としてやってみない?」

貴方はその提案を拒否する理由は無い。
魔法の人体実験やら、地下強制労働所やらを紹介されることも考慮していた貴方にとって、
やりがいの感じそうな仕事を紹介されるのはとても嬉しい事であった。

「ふふ、結構乗り気ね。それじゃ、早速向かいましょうか」

そう言うと、貴方と霊夢は神社の外へと向かう。しかしここに来て一つ問題が。

「あー、そういえば貴方って飛べないわよね。当たり前だけど…」

ここに来て肝心の事を思い出す霊夢。
どうやらその人形劇を披露する知り合いはそこそこ遠くに住んでいる様だ。歩いては行けないだろうとのこと。

「まあ、しょうがない。ほら、離さないでね」

と、軽く溜息をつくと、クイと貴方の手を繋ぎ、そのまま貴方を連れて宙へと浮き始めてしまう。
当然と言うか、貴方は慌てた声を出す。

「こらこら、女の子と手を繋いだからってはしゃがないの」

呆れた様に貴方を宥める霊夢だが、彼女の指摘は見当違い。
貴方が慌てているのは当然、霊夢と共に空を飛ぶ事態について。
足が地につかない恐怖を、当人の元へと着く時間まで味わう事となった。

「着いたわよー。いつまで震えてるのよ」

どうやら無事かどうかはさておき目的の場所へと着いた様子。
貴方はようやく地面の感触に安心することが出来た。

「アリスー?いるー?」

霊夢は貴方を放って置き、軽くドアをノックして、恐らくは部屋主の名を呼んでいる。
すると、家の中からパタパタと音が近づいてくる。どうやら在宅の様だ。

「霊夢、どうしたの?…ん?」

家から出て来た金髪の女性は、霊夢を、そして次に貴方を見ると、不可解な表情を見せた。

「あんた、人形劇で人手が欲しいとか言ってたわよね」
「まあ、言ったけど…」
「この人雇って頂戴」
「…いきなり過ぎる、と指摘するのは諦めるとするわ」

はぁ、と軽く溜息をつくのはアリスという女性。
幻想郷の住民は突発的な事象に慣れてしまっているのだろうか、と考える。

「まあ、取りあえず入りなさいな。中で詳しく聞くから」

諦めた様に中に招いてくれる。
アポ無しで見知らぬ人を雇えと言われて応対してくれる人は恐らくは現代日本いはいないだろう。

「私はアリス・マーガトロイド。魔法使いよ。よろしくね、人間さん」

魔法使い。またも始めて出会う種族である。貴方は驚きつつも、自己紹介を返す。

「外来人ねぇ…。で、この人に人形劇の仕事をして貰うって話よね?」
「そうよ。困ることは無いでしょ?」
「うーん、それは、まあ、無いと言えば無いけれども」
「じゃあ決定。この後は打ち合わせするんでしょ?奥で待ってるわね」

そう言い残して部屋の奥へと勝手に行く霊夢。
傍若無人、と言えば居候の身で大変失礼な言葉だが、ふと頭に過ってしまうのであった。

「全く、相変わらずね。…それで、貴方はいいわけ?」

ここで貴方に話の対象が移る。
勿論仕事が貰えるなら是非やりたいけれど、迷惑なら断るつもりだ、と貴方は告げる。

「さっきも言ったけど、困ることは無いわ。報酬も払うつもりもある」

「それに、男の子なら人形劇なんて、とか言うなら手伝わせないけれど」

「貴方は割と乗り気の様だからね。それなら構わないわ」

なんと寛容な言葉をかけてくれるのか、と貴方は少し感動している。
いずれにせよ、好意的に受け止めているのを聞くと、どうやら仕事は入ったようだ。

「まあ、色々と聞きたい事はあるけど…取りあえず、何か質問はある?」


ここで貴方に質問する権利を与えられる。貴方は――――――

安価:↓2


1.仕事はどんなことをやるのか。と質問した。

2.ここには一人で住んでいるのか。と質問した

3.人形は全て手作りなのか。と質問した。

少し席を外します。
今日中に再開できなかったらすみません。

3.人形は全て手作りなのか。と質問した。


「ええ、手作りよ。一つ一つ丁寧に作ったんだから」

得意げな顔をする。余程自分の人形には自信があるそうだ。

「勿論よ。何せ、人間の魂が入っているんだから」

貴方は、ピシ、と固まる。そして、魂だって?と聞き返した。

「ここまで精巧な人形を作るのは無機質な素材だけでは出来ないわ」

「この付近に迷い込んだ人間の魂を抜き出して、人形に詰め込む」

「それが私の能力だ…いや、ごめんって。冗談よ。逃げなくていいから」

ドアノブに手をかけたまま、心臓に悪い冗談は辞めていただきたい。と貴方は懇願する。

「まあ、魂を込めて作るって意味では間違って無いわ。比喩表現で言えばね」

美しい人形を作る秘訣は、心(精神的な意味で)ということらしい


その後、劇を開く日程や、内容について軽く説明を受け、取りあえず一通りは理解した。
自分が動きをするかは、当日に聞かされるらしい。

「もう終わったみたいね。そろそろ昼時だから出ましょうか」

一区切り話がついたのを見計らって、先ほどまで奥にいた霊夢が話しかける。

「あら、もうそんな時間なのね。折角だから食べてく?」
「そう?この後で人里で案内ついでにそこで昼ご飯にしようと思ってたけど」

アリスはどうやら貴方と霊夢に昼食を振る舞ってくれるつもりの様だ。
一方霊夢は、人里で外食しようと考えていた様だ。

「貴方はどうする?」

ここで貴方に選択肢を出される。

ここで昼食をご馳走になるか、人里で外食にするか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.アリスの手料理を頂きたいと言った。(アリス:好感度UP)

2.人里で外食にしようかと言った。(霊夢:好感度UP)

1.アリスの手料理を頂きたいと言った。(アリス:好感度UP)


「それじゃ、ご馳走するわね。嫌いな物とかある?」

無いよ。と貴方は返事をする。
しかしご馳走になると言ってしまった後で、魔法使いが口にするものと人間の口にするものに相違は無いか。
もしかしたらゲテモノを食わされるのかも知れないと心配になる。

「大丈夫よ。感性は人間だから。自称都会派とか言ってるし」

貴方の心配は杞憂に終わるようだ。それは何よりである。

「そうね、折角だからちょっとしたパフォーマンスでも見せましょう」

アリスは、クイ、と手、と言うより指先を細かく動かし始める。

すると、先ほどまで貴方の見ていた、飾り物と思っていた人形が動き始める。
それも手や足の一部分を動かすのでは無く、全身がまるで生きているかの様に動いている。
そしてその人形たちは事もあろうか、調理器具を出し、材料を混ぜ、火を付け、焼き始めた。

「…と、まあ。人形達の華麗な昼食づくりのお披露目でした。なんてね」

出来上がったパンケーキを皿に盛り付けると、アリスと人形達は軽くお辞儀をする。
霊夢はやる気の無さそうに軽くパチパチと拍手をする。

一方貴方は、驚きの表情をしつつも、素晴らしい物が見れたと大喝采状態だった。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2


アリス:【知り合い】→【友人(中)】


「それ程でもありますわ」

クスクスと笑いつつ褒められたことを喜ぶ素振りを見せる。
そこそこに彼女と打ち解けることは出来たみたいだ。


昼食のパンケーキを食べ終え、軽く談笑した後にアリス邸を後にする霊夢と貴方。

「それじゃ、人形劇をやる日が来たら人里に来て頂戴ね」

仕事をする日には現地集合との事。
実際彼女の家の付近の森は、人間が足を踏み入れるには宜しくない環境。彼女の家に向かうべきでは無いのだろう。

「また飛ぶけど、今度は騒がないで頂戴ね」

再び貴方は手を霊夢に引き寄せられながら宙へ。
二度目は声を出すことはしないが、やはり怖い物は怖い。
博麗神社から人里へは舗装された道があるそうで、貴方が用がある際は今後はそちらを使えとの事。

時間と体力を使っても、是非そちらを使わせて頂くと決める貴方だった。

「ここが人里よ。普通の人間はここにしかいないわ」

数分間の空の旅を終え、着地したところは件の人里。
江戸時代の城下町、という雰囲気がぴったり来るようなそんな風景だった。

「早速だけど、貴方ってお金持ってたわよね?出して見なさい」

知らない人が聞いたらカツアゲにも聞こえるのだが、貴方は大人しく取り出す。
中身はそこそこにお金が入っているようだ。

「んー、そこそこに入ってるのね。取りあえずこれはそのままじゃ使えないから…」

霊夢は遠慮無く貴方の財布から全額を抜き取り、空の財布を返す。
元々この世界での使い道が分からないので手持無沙汰になるのは分かっていたが、気分は余りよろしくは無い。

「これは此方のお金に換金してくるわ。ついでに貴方の普段着も買って来る」

どうやら外の世界のお金を換金出来る場所があるとのこと。
イレギュラーでは無く幻想郷に入って来た人間の持つ金に需要が出来たのだろうと貴方は推測する。

「その恰好じゃ人里で目立ちすぎるでしょ?」

貴方の普段着を買ってくる事については、外のファッションと此方とでは大いに差があること。
確かに歩く人々から何となくじろじろと見られている気は貴方もしていた。

「私が用事を済ませてる間、少し人里を探索してなさいな」

「視線は…まあ、珍しい格好だ位にしか思われてないから気にしない様、努力して」

そう言うと、彼女はさっさとどこかへ向かって行ってしまう。
後を着いていくのも何なので、貴方は言われた通りプラプラしようと務める。視線は気にしない。


すると――――――

安価:↓2


1.カメラを此方に向けながら女の子が飛んできた。(新キャラ)

2.マントを羽織る珍しい格好の女の子が歩いていた。(新キャラ)

3.道行く人々に説教をして回る女の子がいた。(新キャラ)

1.カメラを此方に向けながら女の子が飛んできた。(新キャラ)


「はーいどうも!突然ですがこの私、射命丸文が貴方に密着取材を申し込んじゃったりしちゃいますね!」

突然現れ、突然話され、突然カメラのシャッターを切られる。
あっけに取られた貴方にお構いなしに目の前の女の子は貴方に話を続ける。

「その恰好からして、外来人って奴ですよね?いやはやこれは幸運ですね」

「何せ此方に来る外来人の9.9割は妖怪の餌、0.09割はその日にとんぼ返りの二択ですから!」

「まあ0.01割位は守矢とかの変人が来るわけですがそれはさておき」

「業界初の男性の外来人に取材!これは話題になりますねぇ!と、言う事で早速聞かせて頂きたいことが…」

と、ここまで立て続けに話され、ようやく貴方はここでちょっと待って、と口に出せる。

「はい?あぁ、私は射命丸文。鴉天狗件新聞記者やっております」

と、ここでようやく彼女が何者かを貴方は把握する。
そして一応は貴方も自己紹介をし返し、続いて貴方は彼女に質問をする。

「むぅ、質問をしていたのは私なのにー。まあいいでしょう。それが終わったら色々聞かせて貰いますからね」

取りあえずは質問の許可を頂けたようだ。
先ほどまでの彼女の剣幕に押され気味だったが、少しは質問をしてペースを返さなくてはならないだろう。


貴方は――――――

安価:↓2


1.天狗について質問をした。

2.カメラについて質問をした。

3.新聞記者について質問をした。

3.新聞記者について質問をした。


「うーん、まあ、これはいわば私の趣味ですね」

少しだけ考える素振りを見せた後、はっきりと彼女は答える。

「ああ、仕事では無いですよ。面白いことを面白く書く。これが私の楽しみなんです」

「ある意味生き甲斐とも言えるかも知れませんね」

しみじみと自分の新聞に対する思いを貴方に伝えて来る。
貴方は、別に自分は面白い記事が書けるような人物で無いと思うけど、と萎縮しながら告げる。

「安心してください!その辺は私の想像でカバーしますから!」

想像力が足りているのも困りものである。

「ああ、新聞は文々。新聞という名で出版しておりますで、よろしければ一部お試し下さい」

と言い、貴方にその新聞をスッと出す。
それを見てみると、~だろう、~と思われる、と言った文章が多く見られ、想像で面白おかしく改変してあろう記事が見て取れる。

「さて、質問が無いようでしたらここいらで私から再び取材させて頂きたいのですが!」

目をギラつかせて貴方に迫る文。


さて、質問にはどう答えようか――――――

安価:↓2


1.包み隠さず答えよう。(文:好感度UP 霊夢:好感度1下落)

2.隠すべきところは隠そう。(特に無し)

2.隠すべきところは隠そう。(特に無し)


「ふーむ成程…はい…ほう…」

貴方は彼女の質問に無難に答えていく。
特に、貴方が霊夢の神社に居候をしていると知ったのならば、週刊ゴシップ記事垂涎物である。
しかし全く接点の無いというのは返って怪しまれる可能性もあるので、幻想郷のイロハを教えてくれた先生、という位置づけである。

「ふむ。一先ずこれで取材は終わりです!ご協力有難うございました!」

満足した、という表情を見せ、礼を言うなり何処かへと飛び立ってしまう文。
貴方は無駄に疲れた、と大きく溜息をつくのだった。


「お待たせ。…なんか、疲れてる?」

片手に貴方の普段着入りの袋を持つ霊夢が帰って来るなり、貴方の疲労ぶりを見て疑問に思った。
貴方は変な新聞記者に会ったよ、と告げる。

「あー、成程ね…。運が悪かったわね、お疲れ様」

どうやらバッドイベントのようなもので、予測不可能回避不可能みたいな位置づけらしい。
ポン、と貴方の肩を軽く叩いて労う霊夢。彼女に関して下手なことを言わなかった事は好プレーだったと貴方は自分を褒めていた。

「それじゃ、帰りましょうか。ついでに食材も買ったから、持ってて貰える?」

貴方に買い物袋を二つ受け渡す。
そして今度は貴方の両手が塞がっているので、貴方の両腕を持って宙へと飛ぶ。

なんとも奇妙な姿で神社へと帰っていく二人を人里の人間は多く目撃した。

神社へと帰宅し晩御飯を済ませると、またも貴方に早くも睡魔が襲いかかる。

「あらら、今日も早寝なのね。まだ大きくなるつもり?」

別に成長したくて規則正しい生活をしているわけではないが、慣れない環境のせいか、はたまた今日も色々あってか。
大きな欠伸をしてから、悪いけど、先に寝るよ。と霊夢に告げる。

「はい、お休み。また明日」

と、お茶を啜りながら貴方に返事をする。


布団に潜れば、すぐに瞼が自然と落ちて来る。
寝付きが非常にいいのは有り難い事だ。

明日も頑張ろう。と意気込んでから、貴方は就寝した。

~2日目・終~


霊夢:【友人(小)】

華扇:【知り合い】

サニーミルク:【知り合い】

スターサファイア:【知り合い】

ルナチャイルド:【知り合い】

アリス:【友人(中)】

文:【知り合い】


※新キャラは今後、以前の選択肢で外れたキャラから出します。
 ただし登場する確率は低くする予定です。

今回はここまでとします。

※好感度変動を隠して見ます。



~3日目~


貴方は目を覚ました。
やはりと言うか、またも早朝に目を覚ましたようだ。
早寝早起き病知らずと言う言葉通り、体の調子は非常に良い。

このまま二度寝するのは勿体ないので、何かしようと思う。


貴方は――――――



安価:↓2

1.朝食作りをすることにした。(霊夢or新キャラ)

2.境内の掃除をすることにした。(華扇or三月精or新キャラ)

1.朝食作りをすることにした。(霊夢or新キャラ)


貴方はここで霊夢に男の手料理を振る舞ってみようと考えた。
一人暮らしをしていたこともあって人並には家事が出来ると自負している。

早速貴方は台所へと向かった。
通り道に彼女の寝室があるので、起こさないよう抜き足差し足で歩く。
肝心の朝食創りは、食器や食材のある位置は既に把握しているので大きなミスさえ無ければこのまま何事も無く終えるだろう。

開始してからそこそこに時間は経ったようだ。
そろそろ霊夢も起きてくる頃だろう。


そう思っていると、台所に――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. 眠たそうに瞼を擦りながら霊夢が台所に来た。(霊夢)

9.  白黒カラーの魔女みたいな帽子を被る女の子が台所に来た。(新キャラ)

0.  2本の角らしきものを頭に刺した酒臭い女の子が台所に来た。(新キャラ)

0.  2本の角らしきものを頭に刺した酒臭い女の子が台所に来た。(新キャラ)


「うおーい霊夢、お腹空いたよーなんかくれい」

そう言いつつ台所に現れたのは、貴方の見知らぬ女の子。
どうやら霊夢と知り合いの様だが、生憎彼女はまだ起きていない可能性が高い。

「ん…おっと、霊夢はまだ寝ていたか。いかんねえ、年頃の女の子は男より早起きせんと」

ここでようやく貴方を認識し、ちょっとしたボヤきをする。
その女の子は至って平然、普通に会話しているが、貴方は少々狼狽えている。

彼女からして見知らぬ男性が一人暮らしの女の子の台所で料理している。
この様子を事情の知らない子が見たら色々と宜しくない解釈をされそうである。

「ちょっと失礼。…あむっ…。うん。中々美味いじゃない。酒のつまみには薄味だがね」

そう言って既に完成していた卵焼きをひょい、と一つまみ。

ようやくここで貴方は、君は誰だ、と質問が出来た。

「んー?ああ、こうして顔を合わせるのは初めてだったね」

「私は伊吹萃香。霊夢とは…まあ、友達。の様な、そうでもないような?」

彼女は友達(仮)とのこと。

「それにしても男の子が料理出来るなんて、偉いじゃないか」

ケラケラと笑いながら貴方の背中をパシパシと叩く。
貴方はその行動にふと、親戚の叔母のがこんな性格だったな、と思い出していた。

「そいじゃあ、朝食には一緒させて貰おうかね。大丈夫だろう?」

当たり前の様に朝食を頂こうとする萃香。
まあ、少し時間はかかるけどあることはある。と貴方は返す。

「頼むよ。んじゃ、私は寝坊助でも起こしに行こうかね」

そう言って、腰に抱えた瓢箪を一口飲んでから、くるりと振り返る萃香。

その彼女に貴方は待ったをかける。

「ん?何か用かな?」

と、小首を傾げて尋ねる仕草は少しだけ可愛いと貴方は思う。
しかし漂わせてる酒臭さが全て台無しにしているとも思えるが。


ここで貴方は最も尋ねたかった事を質問した。それは――――――

安価:↓2


1.その頭に付いているのは何だ、ということ。

2.自分の事を知っているのか、ということ。

3.好き嫌いはあるのか、ということ。

3.好き嫌いはあるのか、ということ。


「む。そうだねー…炒った豆は駄目だ。あれは良くない」

ふむ、と少しだけ考えた後で嫌いな物を言う萃香。

分かったよ。と貴方は告げ、彼女の分も追加で作ることにする。

「ところで、もう聞くことはないのかな?」

貴方は、うん。ありがとう。と言って、彼女に手を振る。
それを見て萃香は一瞬、意外そうな顔をしてから、台所を後にした。

それを確認した後で貴方は、なんで自分の事を知ってるのかな、と今更ながらに疑問に感じていた。


「…ふーん。案外肝が座っているのか、呑気な奴なのか…」

「たった三日で馴染むものなのか。いやはや、外の人間も存外、愉快じゃないか」

「まあ、精々頑張りたまえよ男の子。っと…霊夢ー。朝ごはん出来るよー」

さて、霊夢も起きたところで朝食とする三人。
丸机に三人囲って、頂きます、と挨拶をしてから箸を付ける。

「悪いわね、朝食まで作って貰っちゃって」
「居候になってるんだからそれくらいしなきゃ。だろう?」
「あんたが言うなタダ飯喰らい」

礼を言う霊夢と、当然だと言う萃香。
まるで二人は姉妹みたいだ、などと呑気に貴方は考えほっこりとする。

「ところで、あんた、この人の事って知ってたっけ?」
「一方的にね。時々『視てた』から」

視てた、とは人里でのことだろうか。

「いんや、この神社で。霊夢が男を囲ってるのを見てちょっと観察してた」
「成程ね。暫くの間結界張って塵一つ入れない様にするわ」
「まあ、待て待て。おかげで今朝に誤解せずに済んだじゃ無いか」

貴方は二人の会話に疑問符が出る。

「有体に言えば覗き見してたってことみたいよ」
「人聞きの悪い事を。偶然目に入っただけさ、もうしないよ」

悪気の無いように言う萃香だが、貴方はいつ覗かれてたのかと冷や冷やしていた。
もし変な行動をしてそれを見られたのなら、早速引きこもりになってしまう。

朝食を終えたところで、霊夢が話しかけてくる。

「ところで貴方は今日は何か予定はあるの?」

今日はどうするか、との話だ。

「私は行く所あるから、暇なら一緒に行こうかと思ったのだけど」
「お、デートか。全く最近の子は手が早いんだからねえ」
「出てけ」

茶化す萃香に対し厳しい口調。
言われた当の本人はヘラヘラと瓢箪に口を付けつつゴロゴロしている。


今日は貴方は――――――

安価:↓2


1.仕事がある日だ。と、予定は入っていた。

2.霊夢に着いていこうかな。と、予定は無いので提案に賛成した。

3.人里を観光しようかな。と、予定を入れた。

2.霊夢に着いていこうかな。と、予定は無いので提案に賛成した。


「分かったわ。…また飛ぶけど、もう大丈夫でしょ?」

やはり飛ぶのか、と少しだけ後悔はする。

「んじゃ、私は帰るね。ご馳走様でしたっと」

食べるだけ食べてさっさと萃香は帰ってしまう。
結局一体何の妖怪なのかを聞きそびれてしまった。

「ったく。結界までは張らないけど注意しなきゃね…」

ブツブツと文句は出るが、それは当然と言えるだろう。
プライバシーの保護はどの世界でも重要なのだ。

「まあ、それはさておき。早速行くわよ」

ひょいと彼女は立ちあがり、それが即ち貴方の空への旅への招待の合図。

気合を入れ直して彼女の手を取るも、やはりなるべく下は見ない様に精一杯努力する貴方だった。

実は貴方は気付いていないが、この時の霊夢は貴方のリアクションを密かに楽しんでいる。
今行く場所は飛ばなくてもいけるのだが、時間短縮とそれを両方兼ねて彼女は貴方とのランデブーを選択した。

「ほら着いたわ。しっかりしなさい。男の子でしょ」

やはり精神的疲労に溢れる貴方に喝を入れられる。
三度目の正直とは行かなかったようだ。

「ここは香霖堂って所。色々売ってるわ。雑貨屋みたいな所ね」

そこそこ大きいが、所々痛んでいる様子の雑貨屋。
前にはみょうちくりんな置物があり、店の名前からもどんなのが売ってるか想像がつかない。


「ん…なんだ、霊夢…と、やあ、いらっしゃい」

店のドアを開けると、なんともやる気の無さそうな男性、恐らくは店員が挨拶をしてくる。

「君が例の外来人だね。よろしく、森近霖之助だ」

さっきまで座っていた彼が立ち上がり、貴方に挨拶をする。
貴方も返すが、例のとは何か、と言う質問をする。

「ああ、ほら。新聞に載ってたんだ。色々聞かれたんだろう?」

成程、と貴方はここで合点がいく。
霊夢の所には無かったが、彼女は新聞を取らないのだろうか。

「勝手に配られてる時は見るけど、普段は見ないわ。デタラメばっかりだし」
「それを承知で見ているのが大半さ。面白い物も時々あるしね」

デタラメ、という単語に不安は覚えるが、それを知ってて見るのなら少しは安心なのかもしれない。
無難に答えたつもりの昨日のインタビューがどれだけ改変されてるかは知りたくないが。

「君が外来人ってのは確かなんだろう?それじゃあ、少し見て貰いたい物があるのだが」

と、店の奥からガサゴソと何かを漁る霖之助。
その間に貴方は霊夢に、ここに何の用があったのかと尋ねる。

「時々使えるものが売ってるからちょくちょく来てるのよ」

「無くても暇は潰せるし」

少女の溜まり場、となれば、この香霖堂という雑貨屋は現代のコンビニみたいなものだろうか。

「お待たせ。これらなんだけど、どうだい?」

と、霖之助が持ってきた物は大量のガラクタ。
しかし、そのガラクタ達は貴方が外の世界で目にしたことのあるものばかりだ。

「そんなガラクタ見せてどうするのよ」
「外の世界の物だ。彼が使い方さえ教えてくれればガラクタで無くなるよ」

と、意気揚々と貴方にこれは、これは、と見せて来る霖之助。
そして使い方を教えたなら、興奮してこれが開発された経緯は恐らく~など、憶測で語り始める。

しかし見せて来たものはどれも電気、電池が必要な物ばかりで、どうやらそれは幻想郷では簡単に手に入らないものらしい。
とはいえ彼はがっかりすることは無く、満足そうな表情を浮かべていた。

霊夢はそれを「ふーん」とか適当な相槌を打ちながら眺めている。


そんな感じで時間を過ごしていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. 昨日の新聞記者が入店して来た。(文)

9.  長い金髪の女性が入店して来た。(新キャラ)

0.  緑髪で巫女服を着た女性が入店して来た。(新キャラ)

1~8. 昨日の新聞記者が入店して来た。(文)


「こんにちはー。と、おお!昨日の!」

入店するなり、貴方を見て驚きの声を上げる文。
こんにちは、と挨拶をする。

「どうもこんにちは!昨日はありがとうございますね。おかげでいい記事が出来ましたよ」

いい笑顔で礼を言われるが、貴方は昨日、大したことは話してないはずだ。

「言ったでしょ。デタラメばかりって。きっと貴方、妖怪か人間か分からない謎の生命体とか書かれてるわよ」
「おや、お読みになって無いのに随分正確に当てるんですね」

なんてこった。と、今更ながらに後悔した。

「さて、霊夢さんは放って置いて、また取材させて頂いて宜しいですかね?」
「放って置かれるのはあんたよ。帰らせて貰うわね」
「ああ、どうぞお一人で」
「…面倒になって来たな、僕は奥に引っ込むよ」

なんともややこしくなって来た様だ。頼みの綱の霖之助も逃げてしまった。
このままだと再び質問攻めされるだろう。


さて、どうしようか――――――

安価:↓2


1.霊夢とさっさと一緒に帰る。(???:好感度変動)

2.大人しくインタビューを受ける。(???:好感度変動)

1.霊夢とさっさと一緒に帰る。(霊夢:好感度UP)


「そうね。さ、行きましょ」

スッ、と貴方の手を取り、香霖堂を出る霊夢と貴方。
そしてそのまま宙へと浮いてしまう。

しかし当然、新聞記者はこの程度でインタビューを辞めることは無い。
文もまた飛ぶ貴方たちに併走するように飛んでくる。

「おおっと、逃がすわけには行きませんね。次またいつ会えるかも分かりませんのに」
「全く、パパラッチてのはしつこくて失礼な物ね。外の世界でもそうなのかしら?」

どうだろうか、と曖昧な返事を返す。
実際取材を受けるのは疲れるが嫌いでは無い、と貴方は感じていたが、それは内緒。

「さて、どうしたものかしら…」

うーむ、と悩んでいる様子。やはりというか、貴方を抱えていることは足枷になっているのだろう。
見れば、博麗神社からは遠いが人里からは近い様だ。

「ここなら妖怪も人間を襲えないし…仕方ないか」

すると、彼女は懐からゴソゴソと札を取出し、貴方の服のポケットにねじ込ませる。

「安全とは思うけど、一応ね。これがあればその辺の妖怪は襲って来ないだろうから…」

何が始まるんだ、と貴方は展開が読めず焦りを見せる。
宙に浮いていることは既に頭から抜けているほどである。

「悪いわね。道なりに行けば人里まで行けるから」

「神社までの帰りは道なりに行けば、その札があれば大丈夫よ。それじゃ、行くわね」

ぼそ、と貴方に耳打ちすると、彼女は急降下を始める。貴方は最早悲鳴すら出ない。

「おっと!天狗から振りきれるとお思いですか!」

当然彼女も着いてくる。しかし、取材一つにどこまで熱心なのだろうか。

こうして地面スレスレまで来て、いよいよ地上に着こうかと言う瞬間に、

「ほっ」

霊夢は貴方をゆるやかに降ろして、

「うりゃっ」
「っと!?いきなりですね、まあそちらがそのつもりなら!」

後ろから追ってくる天狗を蹴りで迎撃した。
そしてそのまま二人は再び急上昇、そして何処かへと猛スピードで飛び立ってしまう。
どうやら文の相手は霊夢がしてくれるみたいだ。

しかしながら、結局貴方は一人でポツンと、人里に近い森に放置を受けることとなってしまった。
とはいえ、どうやらこの頂いた札には彼女が言うには妖怪避けの効果があるらしい。
貴方は霊夢に感謝すると共に、ついでに人里で観光するか、と歩みを進めるのだった。


※好感度上昇のコンマ判定は後ほどやります。


今回はここまでとします。

人里に近いおかげもあってか、霊夢の渡してくれた札の効果もあってか。
貴方は何事も無く人里へと辿り着く。

今日の服装は先日買った、幻想郷における一般的なファッションの服なので、
変な服装だとじろじろと見られたりはしない。


はずだったが、何故だか昨日以上に視線を貴方は感じている。
理由は、今頃霊夢と空の旅に出ているであろう新聞記者が原因であることは確定的に明らかだった。

その視線は好奇心から懐疑心に。
変な服装の奴だな。から、変な奴だな。にランクアップしてしまった。
人の噂も七十五日と言うが、此方には来ることも多くなるのにそんなに長い間噂されるのも困る。

幸いなのは、霖之助が言う通りならば、元々彼女の記事は信用が薄い事。
無害であることが分かればすぐに視線も無くなるだろう、と希望的観測は捨てないで行こうと思った。


そう思いながらフラフラしていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. 茶屋で団子を頬張る華扇を見つけた。(華扇)

9.  小屋から子供達に手を振って見送る女の子がいた。(新キャラ)

0.  マントを羽織る女の子がじろじろと此方を見ていた。(新キャラ)

1~8. 茶屋で団子を頬張る華扇を見つけた。(華扇)


「んー。もぐもぐ、このお団子がまた…」

笑顔一杯に、そして口一杯に団子を含み満足げな表情を浮かべるのは、
幻想入り初日に貴方と霊夢に長々と説教をかます仙人であった。

「むぐ…ん…?もご、もがもが!」

貴方の姿を確認するなり、ビシ、と指を突き付けつつ何かを喋っている。
眉を潜ませていることから恐らくは良くない事を言っているようだが、いかんせん口に含んだ物が発音の邪魔をする。
落ち着いて、飲み込んで。と、貴方は彼女に注がれた物であろうお茶を差し出しつつ、彼女を宥める。

「んぐ、こく…。ふう、ありがとうございます。いや、違くて」

「人里で貴方が謎の生物Xだとか噂されているんですよ!一体どういうつもりですか!」

どういうつもりだ、は此方の台詞である。
外の世界から来た、特に普通の一般人だ。と答えたらどうやってそうなるのか。

「気を付けなさい。貴方に変な噂が立つと一緒に住む霊」

霊夢まで巻き込まれる、と言おうとする彼女にストップ、と言葉を遮る。
霊夢と住んでいることを知られるのはまずく、この往来にその噂を広める輩が潜んでいるか知れない。

「おっと…確かに、すみません。軽率でしたね」

「…あの、今更ですがね。やはり男女が二人で一つ屋根の下。というのは良くない事だと思います」

「貴方は霊夢が幻想郷においてどれほど重要なポジションにいるか理解出来ないでしょうけど」

「私としては彼女に影響の出ることは出来るだけ避けておきたいんですよ」

彼女は霊夢の保護者的存在なのだろうか。
しかし、男女が一つ屋根の下は、恋人でも無いのに良くないと言う意見には同意できる。

「まあ、貴方が常識のある方であるのがせめてものの救いですけどね」

貴方の持つ考えは、どうやら彼女には印象が良いらしい。
別に草食系男子という訳では無いが、世話になっている人の気持ちは裏切りたくない思いはある。

「…ふむ、まあ。それが本音ならいいのですけれど」

実の所、先ほどの言葉は当然本音だが、加えて萃香や三人の妖精がいつ覗いているのか。
監視されている状態でどうこうしようと言う気持ちは貴方には無かった。

「で、もし、今後長い間同居を続けて色々問題を起こさない自身はおありで?」

この問題には随分と粘り強く執着する華扇。
だが確かに、恐らくは霊夢の友人であろう彼女にしてみれば、何時間違いが起きるかと思うと穏やかでいられないだろう。

いい友人だな、とほっこりしつつも、この質問にはきちんと答えなくてはならないだろう。


貴方は――――――

安価:↓2


1.問題にならない様、努力するつもりだ。と答えた。(???:好感度変動)

2.先の事はどうなるか分からない。と答えた。(???:好感度変動)

2.先の事はどうなるか分からない。と答えた。(華扇:好感度UP+1)


「…現代人にありがちなあやふやな答えですね」

やれやれと言った表情で言われてしまう。
しかし、貴方は特に自分には関係ない、といった意味で言ったわけでは無い。と弁解する。

「おや、どんな意味で?」

腕組みをする彼女に、貴方は答える。

勿論今は自分がどう生活を送るか精一杯で、何か邪な思いを抱くなんて事は無い。
ただ、同居を続けていくうちに気持ちがどう動いていくかは自分でも分からない。
彼女とは今後とも何も無い。と、ここで言い切ってしまうのは、将来の自分に責任が無さ過ぎるのではないか。
だから今は、分からない。と、少しばかり長々とした説明を終える。

「……」

貴方の弁解を黙って聞いている華扇。
それを見て、まだ三日なのに何を言っているのか。と自分に突っ込みを入れる貴方。

「…ふーん。成程成程。ま、逃げの答えだけれども、一応は嘘はついてない様ね」

「絶対に無い。と言われるより信用は出来るわ。よろしい。この質問はもうしませんよ」

意外と貴方の逃げの答えは彼女には納得行くものだった様だ。
恥ずかしさに顔を熱くしつつも、貴方はそれは何より。と答えるのだった。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

1~4 +1 ボーナス+1 = +2


華扇:【知り合い】→【友人(中)】


「さて、と。今日は人里には貴方一人で来たのですか?」

残っていた茶を飲み終わってから経つと、貴方にそう尋ねる。
途中まで霊夢と居たけど、事情があって別れた。と告げる。

「えー…もう喧嘩別れですか?」

ニヤニヤしながら呆れた視線をこちらに向けて来る。
違うもん。と反論すると、含み笑いされてしまう。

「まあ、帰るならそろそろの方がいいですよ。神社までは少し歩きますから」

「夜になったら神社までの道でも帰路で妖怪に襲われるってこともあり得ますし」

なんとも恐ろしいことを言われる。
貴方は慌てて、それじゃあもう行くよ、と告げ、人里を後にする。

「はい、さようなら。霊夢によろしくと伝えておいてくださいね」

その際に言伝を頼まれ、後ろ手を振って応える貴方だった。

華扇に脅されて急ぎ足で戻ったが、着いた時間はまだ夕暮れ時。
妖怪が活動を始める時間までまだまだ長そうだ。

霊夢はまだ帰っておらず、文とまだドッグファイトをしているのだろうか。
と、このまま手持無沙汰に時間を潰すのも暇なので、貴方は晩御飯と風呂の準備に取り掛かることにした。


「あー…疲れた。鴉を追っ払うのも楽じゃないわ…」

と、夜になり星々も見えてきそうな時間に霊夢はようやく帰宅。
若干くたびれた様子があり、貴方は彼女を心配する。

「別に平気よ。向こうは平気で無いけど」

どうやら完膚なきまでに叩きのめしたらしい。ご愁傷様。と貴方は合掌。

「ん…あれ、ご飯出来てたの?」

くん、と霊夢は鼻をならす。夕食の匂いに気付いたようだ。
ご飯は温め直せるから、先に風呂に入って来なよ。と貴方は催促する。

「あら、気が利いてるわね」

それを聞いて上機嫌になる霊夢。
勿論貴方は沸かしただけで入っていない。一番風呂は家主の特権である。

「ねえ」

風呂場へと向かう際に、振り向いて貴方に霊夢が話しかける。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

1~4 +1


霊夢:【友人(小)】→【友人(中)】


「貴方って便利ね。もう三人くらい分身出来ないかしら?」

一家に貴方が四台くらい欲しいらしい。
一家に一台で我慢してよ、と苦笑いで貴方は言う。

「ふふ。冗談よ。ありがとね」

そう言って、パタパタと風呂場へと向かっていく。

貴方は一人、分身出来る妖怪とかいないのかな。などとどうでもいいことを考えながらご飯を温め直すのだった。


その後は温め直した晩御飯を食べると、今日はどうやら霊夢の方が疲れが先に来た様子。

「ふあ…無駄に疲れたわ。もう寝るわねー…」

そう言い残し、彼女は先に寝室へと向かった。


さて、一人残された貴方は――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. このまま起きてるのも寂しいので寝ることにした。(三日目終了)

9・0. 境内に出て風に当たることにした。(三月精)

1~8. このまま起きてるのも寂しいので寝ることにした。(三日目終了)


~3日目・終~


霊夢:【友人(中)】
華扇:【友人(中)】
三月精【知り合い】←纏めました
アリス:【友人(中)】
文:【知り合い】
萃香【知り合い】



一旦中断します。

※四日目は試験的に多数決制を導入して見ます。



~4日目~


貴方は目を覚ました。
幻想郷で迎える4回目の朝ともなれば、体のリズムはもう外の世界の時間帯を忘れている。
やはり早朝に目覚める貴方であった。

そしていつも通り、朝の日課をやるつもりだ。


貴方は――――――

多数決安価:↓1~3


1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or新キャラ)

2.境内の掃除をすることにした。(華扇or三月精or新キャラ)

1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or新キャラ)


どうやら霊夢は貴方と同じくらいに寝たが、疲れのせいかまだ寝ているみたいだ。
起きた時に朝食が用意されている喜びは、貴方が子供の時によく分かっている。
いつまで此方にいるか分からないが、可能な限りはそれを振る舞おうと考えていた。

台所に到着し、食材を確認すると、若干量が減って来たのが見られた。
そろそろ買い出しに行く時期かもしれない。

しかし、食材は少ないのに、酒が常に大量にストックしてあるのはどうなのだろう。


こうして朝食作りに励んでいると――――――

コンマ下1桁:直下


1~4.眠たそうに瞼を擦りながら霊夢が台所に来た。(霊夢)

5~8.酒臭さを隠すことなく、萃香が台所に来た。(萃香)

9~0.長い金髪の女性がいつの間にか貴方の横に居た。(新キャラ)

1~4.眠たそうに瞼を擦りながら霊夢が台所に来た。(霊夢)


「ふあ…おはよ…」

欠伸を隠すことなく、台所に入って来る。
もうすぐ出来るから待っててね、と、今の料理の出来具合を説明する。

「んー…待ってるのも暇だし、手伝うわよ」

そう言うと貴方の隣に立ち、割烹着を着る。
彼女の割烹着姿は何度か見たが、中々どうしてマッチしている。

「じゃあ、炒め物しておくわね」

霊夢は、貴方の作りかけの野菜炒めの仕上げに入るようだ。
貴方も味噌汁の味の仕上げに取り掛かる。

「…~♪~♪」

ふと、隣から上機嫌そうな鼻歌が聞こえてくる。
どうやら思わず口に、と言うより、鼻に出てしまったようだ。

割烹着姿の女の子が料理しながら鼻歌をする光景は、まるで幼な妻のようだ、などと可笑しな考えが頭に浮かんでしまう。


そんな霊夢に、貴方は――――――

多数決安価:↓1~3


1.その歌って何?と尋ねた。(霊夢:好感度変動???)

2.負けじと鼻歌で対抗した。(霊夢:好感度変動???)

1.その歌って何?と尋ねた。(霊夢:好感度UP)


「え、あ…いやいや、これは何でも無いのよ」

何故だか慌てて、まるで弁解するように何でも無いという。
貴方はいい曲だなと思ったので是非詳細を聞きたいところなのだが。

「ええい。うっさい。盗み聞きしてんじゃない」

手は炒め物をしつつ、足は貴方を蹴って来る。
文との初撃も見たが、この巫女は少し足癖の悪いようだ。

しかし、隣に立たれてそこで鼻歌をされたら盗まなくても耳に入ってしまうのだ。

「ほら。もう出来るわよ」

蹴りを入れつつも、どうやら炒め終わったようだ。
どうやらこの話はここまで、ということらしいので、残念ながら詳細は聞けない。

後ほど、この曲が、さる異変の道中で流れた自らのテーマ曲だと知ることになるとかならないとか。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

9・0 +3


霊夢:【友人(中)】→【親友(中)】


「なんか、さ。料理作ってくれるのって有り難いわね」

ふと、食事中にそんなことを霊夢が漏らす。
自分は役に立ててるかな。と貴方は彼女の言葉を嬉しく思う。

「うーん。役に立ってるのは当然だし、それに何というか…」

「ほっとする。って言い方、ちょっと可笑しいかしらね?」

ううむ、と悩みながら霊夢はそう口にする。
しかしどうやら、自分は彼女にとってまったりできる要因の一つらしい。

此方こそ霊夢が居るとほっとするよ。と返す。

「んー…そっか。ならよし」

自分の返答は納得いくものだったらしい。再び二人で作った朝食に舌鼓を打つ。
こうしてまったりとした朝を迎えることが出来た。

朝食を終えたのなら一日のスタート。
貴方は後片付けをし、霊夢の淹れてくれたお茶を飲みつつ今日の行動を考える。

どうやら霊夢はこの後出かけて来るとの事で、外出の支度に取り掛かっている。
今回は自分は着いて行けない場所へと行く様だ。

詳しく尋ねると、なんとかと言う館にお呼ばれしているそうだ。

着いて来てもいいけど、命の保証は出来ない。と霊夢は告げる。
有体に言えば着いてくるな、と言う事。

見てみたい気もしたが、怖いもの見たさで生命の危機に陥りたくない。
貴方は固まった笑顔で彼女を見送った。


と、いうわけで貴方は――――――

多数決安価:1~3


1.仕事がある日だ。と、予定は入っていた。

2.神社の倉庫の整理でもしよう。と思い立った。

3.人里を観光しようかな。と思い立った。

三択で多数決取る痛恨のミス
すみませんやり直します。




安価:↓2


1.仕事がある日だ。と、予定は入っていた。

2.神社の倉庫の整理でもしよう。と思い立った。

3.人里を観光しようかな。と思い立った。

1.仕事がある日だ。と、予定は入っていた。


今日は初めてのお仕事の日であった。
アリスの人形劇の裏方。それ自体は楽しみだが、人里の人達には変な目で見られないかが一番の心配だった。


「成程ね…道理で変な視線を感じるわけだわ」

人里に着き次第、アリスと人形劇のセットを整えている最中に溜息をつかれながら言われる。
流石に二日では視線はまだ「怪しい奴」である。

「まあ、三日もすれば治まるわよ。また文屋に捕まりさえしなければね」

最早お邪魔キャラ的な扱いを受けているが、果たして本人はどう思っているのだろうか。
何となく、嫌われるのも記者の定めだとかで割り切ってると思う。

「多分割り切ってるでしょうね…と、セットは取りあえず完成。と」

中々大舞台なセットだ。個人でやる人形劇のスケールでは無い。

「なんだか暇つぶしで始めたのが好評になっちゃってね。少しずつ劇の内容を濃くしているうちにこんなんになったわ」

お客の期待には応えたいというファンサービス精神の現れである。

「さて、まだ時間はあるけど、貴方はどうするの?」


どうやらまだ劇の開始には時間があるようだ。貴方は――――――

コンマ下1桁:直下


1~8.アリスと話して時間を潰すことにした。(アリス)

9.  考えていると、桃のアクセサリーを帽子に付けた女の子が話しかけて来た。(新キャラ)

0.  考えていると、手に笏を持った女の子が話しかけて来た。(新キャラ)

1~8.アリスと話して時間を潰すことにした。(アリス)


「そう?じゃあ、打ち合わせの確認でもしておきしょうか」

貴方の初仕事のこともあってか、懇切丁寧に教えてくれる。
こうした劇の補佐と言うのは、貴方は意外に面白く感じていた。

「で、ここでその道具を用意して、次に…」

今回の劇は、勇者が世界を乗っ取ろうとする魔王を倒しに行くという単純なストーリー。
一件子供向けなのだが、彼女の精巧な人形の動きは大人をも魅了するものがある。
これは前評判を聞かずとも、一昨日貴方が見た人形の手料理を見れば一目瞭然であった。

「…よし、それでいいわ。本番で焦らないようにね」

リハーサルは終了し、軽く貴方に注意を諭す。
貴方は勿論賃金の為にやるが、それに加えて昨日で落ちた人里での自分の評価を取り戻す。
これもまた視野に入れて頑張ろうと心に誓うのだった。

「あまり気張り過ぎないようにね。多少のミスなら、まあ、誤魔化せるから」

と、優しく貴方に声をかけるアリス。
確かに気張り過ぎて精神的同様によるミスを誘うのはよろしくない。

こうしているうちに、そろそろ開演の時間がやって来た。


少しばかり緊張していた貴方は――――――

多数決安価:↓1~3


1.人と言う字を掌に書いて飲み込んだ。(アリス:好感度変動???)

2.ふと、近くにいた人形の頭を撫でた。(アリス:好感度変動???)

1.人と言う字を掌に書いて飲み込んだ。(アリス:好感度UP+1)


「…なに、それ?」

貴方の奇怪な行動にアリスが突っ込みを入れる。
これは緊張をほぐす為の外の世界のおまじないと説明した。

「緊張をほぐす為の、ねえ。それで、効果はあったの?」

そう聞かれるが、実際の所さほど効果は無い。

「まあ、所詮おまじないだしね。それじゃ、ほら」

ほら、と言う声と共に、彼女のそばにある人形がフワリと宙に浮く。
そして、おもむろに貴方の頭を撫で始めた。

「はい、なでなで~…なんてね」

人形が撫でる際に、アリスはそのような事を言う。
お堅い雰囲気のする美人な彼女であったが、案外お茶目な一面もあるようだ。

「…む、何よその目は」

貴方が生暖かい視線を送っていると、彼女が抗議する。
そんな彼女と人形に貴方は、ありがとうね。と礼を言った。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2 ボーナス+1 = +3


アリス:【友人(中)】→【親友(中)】


「折角サービスしてあげたんだから、頑張って頂戴ね?」

と、ウインクして貴方にエールを送ってくれる。
可愛い子からの応援に俄然気合の入る、現金な貴方であった。


「…と、こうして無事幻想郷に平和は訪れるのでした。めでたしめでたし」

アリスのナレーションが終わり、貴方が幕を下ろす。
それと同時に、観客からは拍手喝采。人形劇は大成功に終わった。

「ふう、お疲れ様。中々いい動きしてたわよ」

片づけをしつつ、労いの言葉をかけてくれる。
結局舞台では特にミスをすることも無く、スムーズに進行は出来たようだ。

しかし、結構大がかりな劇で、これを一人でやるとしたら相当大変だろう。

「まあ、出来なくは無いけど。やっぱり手伝いがあると助かるわ。ありがとね」

出来なくは無い、という自信があるそうだ。そして、礼を言うと共に今日の日給が渡される。

「お疲れ様。またやる時は頼むわね」

そう言って、片付けた舞台を複数の人形に抱えさせ、そのまま空へと飛び立っていく。
本当に魂でも入っているんじゃないかと思う人形の動きに、暫しあなたは見とれていた。

「ふうん。上手く行って良かったじゃないの」

神社に帰る頃には、すっかり日が暮れてしまった。
しかし今回は霊夢が風呂と晩御飯を用意してくれていたようだ。

そして現在、手料理を頂きつつ彼女と会話をしている。

「にしても、その人形劇の内容って今まで解決した異変を模倣したものじゃないの」

と、霊夢が面白くなさげにボヤく。
そういえば、勇者と魔王というありきたりな展開だが、ヒロイン的な役柄は存在していなかった気がする。
若干王道では無いと感じたが、彼女の言葉で納得がいった。

ところで、どうして不機嫌そうなの、と聞くと、

「その異変解決したの私よ。著作権料寄越せっての」

冗談めいて、ぷくーっと頬を膨らませる。
貴方はその仕草に笑いつつ懐にしまってた日給を差出し、では此方を代わりにお納めください。と宥めて言う。

「ん?…このお金、貴方のお給料でしょ?貴方のだからとっておきなさいよ」

しかし、彼女はそれを突っぱねる。
だが貴方も、世話になっているんだから少しくらいこうやって返させてよ。と言うが、

「そんなのお互い様よ。それに、著作権料なら直接アリスからせしめるから」

少しばかり恐ろしい事を言うが、貴方からの施しは受けないそうだ。
少しだけ悩んだが、そんなに言うならば、と貴方は再び懐へとしまった。

「…もし、本当に困ったら借りるかもだけど」

ボソ、と念のためにの様に言う所は少し締まらない巫女さんであった。

~4日目・終~


霊夢:【親友(中)】
華扇:【友人(中)】
三月精【知り合い】
アリス:【親友(中)】
文:【知り合い】
萃香【知り合い】


今回はここまでとします。

※また普通の安価にして見ます



~5日目~


貴方は目を覚ました。
昨日はこの世界に来て初めての仕事をしたせいか、少しだけ体が疲れを引きずっている。
貴方の雇い主は汗一つかかず涼しい顔をして複数の人形を使っていたことを思い出し、
少しだけ自分を情けなく思った。

さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or新キャラ)

2.境内の掃除をすることにした。(華扇or三月精or新キャラ)

2.境内の掃除をすることにした。(華扇or三月精or新キャラ)


深呼吸をして朝の空気を存分に吸い込むと、急に頭が覚醒する気がする。
貴方はぐい、と伸びを一つしてから、よし、と気合を軽く入れてから箒を取り、掃除を始めた。

以前よりは少し遅く起きたからか、既に太陽はきちんと見える位までは昇っている。
そのおかげか前に掃除した時よりも暖かい気がして、掃きつつも朝の気持ちよさを堪能していた。

それにしても、この神社は何時頃からあるのだろうか。
古びてるようでもあるが、老朽化は感じさせない。
荘厳さがあるような、無い様な。そんな不思議な雰囲気を漂わせると、貴方は感じていた。


こうして掃除を進めていると――――――

コンマ下1桁:↓2


1~4.先日、団子を口一杯に頬張っていた華扇が来た。(華扇)

5~8.ふと、木陰から一人の視線を感じた。(三月精)

9~0.箒に跨って空から女の子がやって来た。(新キャラ)

5~8.ふと、木陰から一人の視線を感じた。(三月精)


貴方は何か木陰から視線を感じていた。
しかし、キョロキョロ見渡しても誰も見当たらない。
普通なら気のせいかと思うのだが、萃香の覗いていた発言を先日聞いていたせいか慎重になっている。

「……」

ピタ、と貴方は動きを止めると、

「っ!……」

何か息を呑むような声が聞こえた。これは貴方の聞き違いでは無い。再び掃除を始めると、

「ほっ…」

明らかにほっとした溜息をつく声がした。
最早誰かがどの様に覗いているかは分からないが、いることは確かである。
しかし見渡してもやはり誰かがいる様子は無く、おかしいな、と貴方は悩む。

だが貴方はそこで、前に会った三人の妖精を自称する少女達と出会ったことを思い出す。
あの時も貴方は視線と声を感じたのに見つけることは出来なかったが、もしかして何かトリックを使っているのではないかと考えた。


そこで試しに、あの時に会った妖精の一人の名前を呼ぶことにした――――――

安価↓:2


1.サニーミルク、と呼びかけてみた。

2.スターサファイア、と呼びかけてみた。

3.ルナチャイルド、と呼びかけてみた。

3.ルナチャイルド、と呼びかけてみた。(三月精:変動無し)


「……」

呼びかけて見たが、反応は無い。
やはり気のせいか。と思い直して掃除の再開をしようとすると、

「ていっ!」

と言う声と共に、貴方の背中にコツン、と何かを当てられる感触がした。
何だ、と思って貴方は振り向く。

「おはよう、居候さん」

すると、ニィ、と八重歯を見せながらニヤけながら笑うサニーミルクがそこにいた。
貴方は急に現れた彼女に驚きつつも、おはよう。と返した。

「貴方、ここの掃除当番でも任されてるの?」

貴方の片手に持つ箒を指差しながら指摘する。
朝食を作ることもあるし、そうで無い時は掃除を貴方はしている。

「ふうん。あれね、専業主夫って奴よね!それになるつもりかしら?」

まだまだ幼いだろうにピンポイントな言葉を知っている妖精である。

「それで、質問なんだけどさ!れい…」

れい、まで言いかけて、はっ、と口を噤むサニーミルク。
もごもごと口ごもり、せわしなく目線を動かしているが、どうしたのか。

「あ、いやー…さ、最近どうよ!?」

まるで娘との会話の切り出し方に困る父親の様な質問をされてしまう。
しかし先ほどの言いかけた、れい、とは何なのだろうか。

「いやいや、気にしないで!で、で!どうなの!」

ホラホラ、と言わんばかりに貴方の回答を催促してくる。
当人は若干冷や汗をかいているようだ。

「(行き成り、霊夢さんって何が弱点、は無いわよね流石に…)」

うっかり口を滑らせようとした彼女の誤魔化し方は、非常に下手な物だった。
そういう君はどうなの、と貴方は逆に尋ねる。

「私?当然、人間に悪戯してたわ。妖精の本分を立派に果たしたのよ」

フンス、と胸を張って自慢げに話すサニーミルク。
彼女の目の前にいる人間もそうなのだが、それを彼女は分かっているのだろうか。


さて、次は貴方の回答する番。貴方は――――――

安価:↓2


1.人形劇の補佐をした。と言った。(三月精:好感度変動???)

2.新聞に載った。と言った。(三月精:好感度変動???)

1.人形劇の補佐をした。と言った。(三月精:好感度UP+1)


「人形劇?確か、アリス…だっけ、その人がやってるってのは知ってるわよ」

どうやらこの話には食いついてきた様子。やはり、女の子ならば人形に興味があるようだ。
貴方はどんな物語だったか、人形の動きはどうだった、と説明を始める。

「…ふうん。…ほうほう。…ね、それから?…わお」

最初は興味無さげな彼女だったが、貴方の説明が進むにつれ、もっと聞かせて欲しいとねだりだす。
それを見て貴方は、それじゃあ、今度見に来なよ。と誘ってみる。

「うー…駄目よ。余り人里に立ち入りたくないの。妖精だし」

ばれない自身はあるけどね、と一応は自分をフォローしている。
人里では人間以外ご禁制なのだろうか。その割には文は出入りしていたようなのでまた別物なのだろう。

じゃあ、アリスに頼んでここでやって貰う様に言ってみるよ。と別の提案を出す。

「本当!?…あ、いやいや。まあ、期待して無いけど。上手く行ったら見に来てもいいけど?」

ごほん、とわざとらしく咳払い。
興味無い様に見せるのは、、大人びたいからなのか。妖精のプライドか何かか。

とはいえ、上機嫌になるのは隠さないサニーミルクだった。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

9・0 +3 ボーナス+1 = +4


三月精:【知り合い】→【親友(小)】


「それじゃあそろそろ帰るわね!ばいばい!」

帰るころには、ブンブンと手を振って貴方に別れを告げる。
元気な彼女に笑いつつも、貴方も大きく手を振って彼女を見送った。

「…貴方、あの妖精のこと知ってたの?」

と、その瞬間に後ろから霊夢が話しかけて来た。
少し急に声がしたことで驚きつつも、きちんと朝の挨拶はする。

「おはよ。…あんなでも力はある妖精よ。注意しておくことね」

貴方に釘を刺しに来たようだ。しかし、あどけない少女でも確かに妖精。
能力が使えるのならば、自分など手も足も出ないだろう。と、貴方自身思いを改めた。


「スター!ルナ!もしかしたら近くで人形劇を見れるかもしれないわよ!」
「まあ、それは素敵ね!一度見たいと思っていたわ」
「…貴女、何しに行ってたの?」

貴方が彼女たちに対する認識を改めている頃、三人の妖精はのどかな会話をしていた。

掃除を終えると、今日は霊夢の手料理。
やはり美味しいと舌鼓を打ちつつ、胃に納めていく。

「そういえば、そろそろ買い出しに行こうと思うんだけど」

と、食事中にそんな言葉を漏らす。
貴方は食材が減って来た様なそうで無い様な、と、思い出していた。

「貴方は今日はどうする?」

さて、今日はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.霊夢の買い出しに付き合うよ。と言った。

2.香霖堂に遊びに行こうと思う。と言った。

3.神社の倉庫でも片付けておく。と言った。

1.霊夢の買い出しに付き合うよ。と言った。


「うん。それじゃ、一服したら行きましょうか」

そう言って貴方に食後のお茶を淹れてくれる。
貴方は礼を言い、熱々のお茶を息で冷ましつつそれを飲み干すと、いそいそと準備を始めた。


「時間もあるし、今日は歩いて行ってみましょうか」

外に出て鳥居を括ったところで、意外な事に霊夢は今日は貴方を連れて飛ばない提案をする。
空の旅が少しだけ怖い貴方は特に断る理由も無いので、それに賛成した。

「どうかしら。幻想郷には慣れて来た?」

神社から人里までの並木道を、そんな会話をしながら歩いて行く。
他には、変な妖怪とは関わっていないか、誰かと喧嘩したりしなかったか。などと。
喧嘩こそしてはいないが、変な妖怪とは関わってしまっている。二人ほど。

「萃香はカウントに入れなくていいわよ。損得のある嘘さえつかなければほとんど無害だから」

彼女は嘘が嫌いらしい。損得、と言うのが頭につくのは、冗談めいた嘘ならば寛容な所もあるとのことだ。
しかしそうならば、変な妖怪はまだ新聞記者としか関わっていないことになった。

「私がいる所では変な事させないから。それ以外ならうまく逃げなさいね」

少なくとも一緒にいれば頼もしい事この上無いだろう。
そうで無ければ、やや辛いだろう。元気は良い事だが、ベクトルを謝るのはご勘弁。


こうして話しながら暫く歩いていると、ようやく人通りのある場所までやって来た二人。
そこそこに時間はかかったが、買い物を楽しむ余裕は十二分にありそうだ。

「二人いるとやっぱり減るのも早いわよね。もう少し買っておこうかしら」

そこそこに食料は買い込んだが、二人で、それも一人は男だと減りも早い。
念のために、と、まだ買い物は続けるようだ。

「それと、後はお酒ね。家にある分じゃ足りないわ」

貴方の記憶が確かならば、倉庫にまだ酒は大分ストックしてた筈。
随分飲むんだね、と驚きながら貴方は言う。

「んー…まあ、結構必要になるのよ。そのうち」

霊夢は少し悩んだような顔つきをしてから、そのうち、という曖昧な表現をする。
そのうちはそのうちなのだろう。


こうして買い物を続けていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~8.いつの間にか文が隣で歩いていた。(文)

9.  緑色の長い髪をした女の子が前から歩いてきた。(新キャラ)

0.  箱の様な形の帽子を被った女の子が話しかけて来た。(新キャラ)

1~8.いつの間にか文が隣で歩いていた。(文)


「悪いわね。色々と持って貰っちゃって」
「いえいえ、そんなこと無いですよ。どうかご遠慮なさらずに」
「……」
「どうも、こんにちは。お二人さん」

霊夢への返答を貴方の隣で歩いていた文が替わりに答えた。
返答の内容は貴方の答えるべき内容だったので、特に貴方は不満を持たない。

不満を持つ前に、何時の間にいたのかと驚きで反応すら出来なかっただけであるが。

「一昨日ボロボロにしてやったのに、まだ足りないの?被虐体質なのかしらね」
「ああいえ。今日は取材はしませんよ。明日は一応仕事なので新聞は作れません故」

人差し指を振って、NOと答える。
どうだか、と疑う事を隠さない声を出しながら霊夢は呟いている。

「じゃあ何で話しかけたのよ」
「知り合いに話しかける位いいじゃないですか。ただ親睦を深めようと思っただけですよう」
「あっそ。生憎こっちはそんな気分じゃないの」

どうもこの二人は相性が良くないようだ。明らかにギスギスした雰囲気が漂っている。

「それにしても、お二人で買い物…あ、デートの最中でしたか。これは確かに失礼しましたね」
「割るわよ。頭を」
「おお、こわいこわい。外来人さん、か弱い乙女を護ってくださいな」

若干芝居がかった口調で貴方の背中へとこそこそ隠れる文。
それを見て霊夢ははあ、と肩を竦めるのだった。

しかし貴方は、自分への取材が原因で二人の関係を悪くはしたくない、と考えている。
こんな時は皆で甘い物でも食べて、親睦を深めるのも良いのではないか。

幸いにも貴方の懐には昨日貰った日給が丸々入っている。
女性二人に奢る位の日給は入っていた筈。勿論、余程の大食いで無ければであるが。

ただ、それでは両手に華。これを二人が不愉快に思わない、とも限らない。
二人の仲が良好ならば事は簡単だが、幾分そこまでよくは無さそうであるのが問題か。


さて、貴方は結局――――――

安価:↓2


1.二人を甘味屋へ招待することにした。(???:好感度変動)

2.今回は辞めておくことにした。(???:好感度変動)

2.今回は辞めておくことにした。(霊夢:好感度UP)


「さて、こちらも暇では無いのでお暇させて頂きますよ」
「だったら何しに来たのよ」
「だから、知り合いだから話しかけただけですってばー。それではまた、お二人さん」

ヒュウ、という風切音をさせると、文はそのまま飛び立ってしまった。
急に来たかと思えば、急に去ってしまう。どうにも彼女の性格を捉えきれていない貴方だった。

「やれやれ、と言った所ね。まあ、今日はしつこくなかっただけマシだけどね」

やはり文には辛辣な口な霊夢。
とはいえ、きちんと相手をしている分、意外に喧嘩するほど仲が良いという法則には乗っ取っているのかもしれない。

「ま、取りあえず買い物は終わりね。それじゃ…」

帰る、と彼女が言いかけたその時に、くぅ、と可愛らしい腹の虫が聞こえた。
貴方が鳴らした物では無い。となれば、貴方のそばにいるもう一人が原因だろう。

「……」

フイ、と貴方に背を向ける様に振り返る霊夢。その表情は推して知るべき。
貴方は、そう言えば、この前華扇が団子を食べていた茶屋を思い出したんだけど、寄ってみないか。とわざとらしく提案を出す。

「…行く」

表情は見せないままで少し間はあったが、貴方の提案には乗ってくれる様だ。
ありがとうございます華扇さん。と、勝手に名前を出した詫びと礼を心の中で言う事にした。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3


今回はここまでとします。

1~4 +1


霊夢:【親友(中)】→【親友(大)】


「んー…美味し」

目を細めながら、注文した団子を存分に味わっている。
甘い物は人並みに好きな貴方も、口一杯にまで頬張りたくなる気持ちが分かる程の美味しさである。

「貴方のも美味しそうね。貰うわよ」

そう言うや否や貴方の食べていた柏餅に箸を付け、そのまま彼女の口に放り込まれてしまう。
相手の確認を取らない所は彼女らしいかもしれない。

「これも美味しいわね。こっちのも食べてみる?」

串に刺さった団子を一つ取り、はい、と貴方の皿に置かれる。
文の言う通りデートみたいだな、などと思いつつも、それを口に運ぼうとすると、

「…しっ」

小さな掛け声と共に、外に向かって何かを投げた霊夢。
その動作の早さと来たら、周りは勿論、目の前の貴方ですら手を動かしたかどうかとすら思える程でだった。

一体何をしたのかと貴方が思うより早く外から、

『あやややや!?』

聞き覚えのある声で、変わった悲鳴が聞こえて来た。

「シャッターは切られなかったわ。証拠は無いから安心しなさい」

霊夢はそう貴方に一言。先ほど言われた、変な事はさせない宣言は伊達では無いと言うことである。
結局、二人での穏やかな時間はこれ以降、邪魔が入ることなく過ぎて行った。

帰り道は流石に買い物袋も持っているので歩くのは辛い。
それは霊夢も同じだった様で、以前と同様に貴方ごと抱えて神社まで飛んで行ってくれた。。
彼女曰く、その時は重さは飛んでいる間は感じない様だが、何度も女の子の世話になるのは引け目を感じる貴方。

「じゃ、代わりに晩御飯の支度は任せるわね」

そのお返しは夕食作りということだ。
その位ならば貴方にとってお安い御用である。

「私は…ちょっと昼寝でもしてくるわ」

今は夕暮れ時。昼寝をするには半端な時間だが、ふああ、と欠伸をしつつ居間を後にした。
出来上がったら起こしに行こうと思いつつ、貴方は支度に入る。


一人寂しく晩御飯を作っていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. またも酒臭さを漂わせつつ萃香が来た。(萃香)

9・0. 外から何かが落ちる様な音がした。(新キャラ)

1~8. またも酒臭さを漂わせつつ萃香が来た。(萃香)


「やっほー。また勝手にお邪魔するよ」

片手を上げながら気軽な挨拶。貴方もやっほーと返す。

「霊夢は?居間にいなかったんだけど。…寝てるぅ?で、貴方はご飯仕度かね」

「早くも尻に敷かれてるねえ、だらしないぞ男の子」

そう言いつつ貴方の背中をバシバシと叩く。これは前に見た光景と一緒である。
人里の道中で世話になったのでそのお返しだよ、と説明。

「成程ね。…よし、霊夢が居ないなら」

すると、おもむろに腰に付けていた瓢箪を取り、ポン、といい音をさせて蓋を開ける。
また飲むのか、と思いきや。

「一杯どうかな?」

萃香は貴方に瓢箪を差し出した。中身は間違いなく酒だろう。

貴方は幻想郷に来てから酒を呑んだことは無い。もし口を付けるならば初飲酒と言う事になる。

「お、そりゃあ名誉なことだ。鬼の酒を初めに呑めるなんて光栄な事だよ。さっ」

貴方の手に瓢箪を押し付けられる。既に彼女の中で貴方が呑むことは決定してしまったららしい。
とはいえ、要らない。と突っぱねるのは彼女に失礼だろう。


問題は、鬼の酒というフレーズが気になるところだが――――――

安価:↓2


1.ほんの少しだけ呑むことにした。(萃香:好感度変動??? 霊夢:好感度変動???)

2.取りあえず一口分は飲むことにした。(萃香:好感度変動??? 霊夢:好感度変動???)

1.ほんの少しだけ呑むことにした。(萃香:好感度UP 霊夢:好感度変動無し)


ちびっ、という効果音が似合いそうなくらいの量だけ口に付ける。

「何だい、そんな少しだけでいいの?遠慮しなくていいのに…」

不満そうに言う萃香だが、彼女が言葉を言い切る前に、貴方の悲鳴にそれは遮られる。

喉が焼ける様に辛く、これまで味わった事の無い度数のアルコール。
貴方は口と喉を抑えてバタバタと悶える。そして湯呑みに水を注ぎ、ガブガブと飲み込んだ。

「あ、あららら。そこまでキツかったかな?」

貴方の想像以上のリアクションにヘラヘラと笑いつつも、一応は心配そうに声をかけてくれる。

「いやあ悪い悪い。やっぱりこいつは人間にゃキツイもんなんだねえ」

貴方が呑んだのと同じ筈の酒を、彼女は平気な顔をしてガブガブと呑む。
強靭な肝臓の持ち主であることは間違いないのだが、貴方は彼女の言っていた、鬼の酒、というフレーズが気になっていた。

「ん?鬼の酒は言葉通りさ。…ああ、この前は言って無かったね」

「私はね、鬼なんだよ」

萃香はニヤリと笑う。その笑みは、幼い風貌と裏腹に長い年月を生き、強大な力の持ち主と分かる様な荘厳な雰囲気を感じさせた。
しかし見る者を怯えさせるはずのその笑みが、先の一口で酔っぱらってしまったせいか恐ろしく思う事が出来ない。
だから炒った豆が嫌いだったのか。と納得するに留まる。

「むう、余り驚いてはくれないか。酔わせたのは不味かったな」

妖怪の本分は恐怖を抱かせる事。それを果たせないのは彼女にとって少し不満だったのかもしれない。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2


萃香:【知り合い】→【友人(中)】


「それでそんなに顔赤くしてんのね。…ったく」
「怒らないであげてよ。私が飲ませちゃったせいだからさ」
「元よりあんたに怒ってんのよ」

晩御飯は萃香を含めた三人で仲睦まじく食卓を囲む。
霊夢と萃香は晩酌もありつつだが、貴方は先の一口で既に酒は受け付けない。

「それにしてもやっぱり料理上手いねえ。いい主夫を見つけたじゃないか」
「抓るわよ。…いや、今抓る」

少しだけ霊夢の左手が机の下に深く潜った。すると萃香が痛い痛いとバタバタ悶える。
今頃机の下では萃香の腿辺りが霊夢によって抓られているのだろう。

「ところで、次の宴会はいつやるんだい?そろそろ時期だろう」
「んー…まあ、近いうちにやるわ」

人里で霊夢の言っていた、酒がそのうち必要になる、というのは、宴会の為だったのだろう。と貴方は合点がいった。
近いうちっていつー、と駄々をこねる様に聞く萃香と、はいはい、と面倒そうに返す霊夢を見ながら、博麗神社の夜は過ぎて行った。

~5日目・終~


霊夢:【親友(大)】
華扇:【友人(中)】
三月精:【親友(小)】
アリス:【親友(中)】
文:【知り合い】
萃香:【友人(中)】


一旦中断します。

~6日目~


貴方は目を覚ました。
昨夜は強力な酒を呑まされてすっかり酔ってしまったが、一晩眠るとすっかり酒は抜けていた。
あの酒を一口分飲んでいたのなら散々な目にあっていただろう。
それを常飲している鬼と言うのは、他の妖怪とは一線を画すほどの酒豪だと深く感じていた。

さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or新キャラ)

2.境内の掃除をすることにした。(華扇or三月精or新キャラ)

1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or新キャラ)


昨日、買い出しに行ったおかげか食材は潤沢にある。
暫くは一食一汁三菜の理想的な食事を通せるだろう。
それ故か、何時もより気合を入れて作ろうとする貴方だった。

一品多く作ったためか、完成は何時もより少しだけ遅くなってしまう。
勿論それでもまだまだ朝早いくらいだが、そろそろ霊夢も起き出す頃だろう。


後は仕上げの段階に入った頃に――――――

コンマ下1桁:直下


1~4.先ほどまで境内の掃除をしていた霊夢が来た。(霊夢)

5~8.こそこそとつまみ食いをしに萃香が来た。(萃香)

9~0.何も無い空間から腕が出て来た。(新キャラ)

9~0.何も無い空間から腕が出て来た。(新キャラ)


綺麗でスラリとした美しい腕。それが、奇妙な事に腕"だけ"が空間からにょっきり出ている。
そしてその腕は、徐に出来上がったおかずの上まで来て、それを一つまみ。

普通ならば呆気に取られ反応出来ないか、悲鳴を上げて逃げ出すかの二択。
しかし、この六日間で奇妙な出来事に慣れ過ぎていた貴方は普通では無く、その腕を捕まえた。

どうやら貴方の行動に驚いたようで、ビクリと反応するのが分かる。
すかさず貴方はその腕をくすぐった。腕退治である。

腕はジタバタと暴れ、手に取ったはずのおかずは既に放してしまっている。
しかし貴方はその腕の持ち主が来るか、霊夢が来るまでは辞めるつもりは無い。


十秒ほど経ってから一回、くすぐりを中断する。その腕は何となく疲れているかのように感じる。
どうだ、参ったか。などと独り言を貴方は言う。

「…ええ、参りましたわ。ですから放して頂けないでしょうか」

突然、貴方の背中から声が聞こえて来た。
後ろを振り向いて声の主を確認すると、長い金髪を持つ女性が貴方の背後に立っていた。
兎に角何者かを知らなくてはならないと思い、驚きつつ確認を取ると、

「私はその腕の持ち主ですわ。ほら、この通り」

と、片腕を上げて答えられる。見ると、肘より先が無い。
しかし、貴方の握ってる手は開いたり閉じたりしている。

成程。腕を飛ばす能力の持ち主か。と貴方は勝手に納得し、その腕を放した。

「いえ、違うのですけれど…まあいいか」

小声でボヤきつつも、その腕は主の元へと帰って行った。

「初めまして、外来人さん。八雲紫と申しますわ」

綺麗なお辞儀をして挨拶をする。つられて貴方も深々とお辞儀をしてしまう。
しかし貴方は紫という名前に一つ心当たりがあった。
幻想入り初日に、霊夢と華扇がその名前を出していたことを思い出す。

「ええ。今現在、結界の異常を調べているのが私ですわ。この度は此方に不手際があった様で申し訳ありません」

またもお辞儀をされるが、殊勝に出られてしまうと、普段我が道を行く様な性格の人達と交流しているせいか変に動揺してしまう。
貴方は此方の世界も楽しんでいるから気にしない様にフォローする。

「あら、そうですの。ならもう謝罪はしないことにしましょう」

パッ、と態度を変え、申し訳なさそうにしていた筈の表情がすぐに無くなる。
やはりこの人も我が道を行く性格だったと気付くのは今更の話。

「まあ、まだ調べはしますが結界に異常はまだ見つかってませんわ」

「もう少し続けますが、それでも問題無ければすぐにでもお帰ししますので、今しばらく幻想郷をお楽しみください」

屈託のない笑顔でそう言われる。
帰る、という単語に少しだけ引っ掛かりを覚えてしまう貴方だったがとにかく、うん、ありがとう。と返事をした。

「…んー…」

すると、じぃ、と貴方を見つめて来る。
もうこの世界に来て見つめられるのは何回だろうか。
更にこの人も多分に漏れず可愛い女の子。何度も向こうのペースに持ち込まれるのは気持ちが良い物では無い。


なので貴方は――――――

安価:↓2


1.どうしておかずを摘まんだのだ、と尋問した。

2.手の他に足も離せるのか、と質問した。

3.ハイカラですね。と容姿を称えた。

3.ハイカラですね。と容姿を称えた。


「あ、え…そうですか?」

貴方が指摘すると、しきりに身嗜みを確認し始める。
彼女も含めてだが、幻想郷には素敵な服装を着る女性が多いと感じていた。
しかし人里の人々は至って同じ様な格好だったので、彼女達のオーダーメイドなのだろう。

「うーん、余り容姿は気にしたことは無いのですが…あの、どの辺りがハイカラなので?」

霊夢と同様、どのポイントに感じたのかは気になるらしい。
全体が、と答えたかったのだがそれでは曖昧過ぎるので、特に感じた、前掛けの下の部分のデザインが、と答えた。

「成程。外の世界の方々は此処にハイカラさを感じるのですね」

これまた霊夢と同様、前掛けをヒラヒラさせる紫。
少しだけ笑顔を見せている所を見ると、良い答えだったのかも知れない。

ところで、朝食は一緒に食べてくか、と貴方は提案を出す。

「あ、いえ。家で式…部下が待っているので、これで失礼致しますわ」

貴方の提案を断ると、フワリと体を浮かせる。
それ自体には驚かない貴方だったが、次の瞬間、空間に亀裂が入った。

「今回はご挨拶に参りました。以後よろしくお願い致しますわね。それでは、良き幻想郷生活を」

そう言い終えると、その亀裂の中に彼女は消えて行ってしまった。
それを見て、腕を飛ばす能力では無かったとようやくここで貴方は気付く事が出来た。

「ああ、あれはスキマ妖怪よ。また変なのに目を付けられちゃったわね」

二人で朝食を取っている最中、貴方が紫と出会った話をすると、霊夢はそのような感想を漏らす。
どうやら面倒くさい部類に彼女は位置するらしい。

「とは言っても強い妖怪だからね。機嫌は取らなくてもいいけど損ねる意味も無いわ」

取りあえず、普通な態度を取っていればよろしいと言う事。
勿論誰であろうと機嫌を悪くさせるようなことはしたくないが、胸に刻んでおいた。


さて、朝食を終えたなら今日は貴方は――――――

安価:↓2


1.今日は仕事をしよう。

2.神社でのんびりしよう。

3.香霖堂で買い物をしよう。

3.香霖堂で買い物をしよう。


外の世界、此方の世界問わず色々な物が置いてあるその店は貴方にとって非常に興味が惹かれるものである。
前回は色々あってかゆっくりと見ることが出来なかったので、今回はじっくりと眺めようと思っていた。

「分かったわ。そんなに危険な所じゃないけど、一応お守りは預けておくわね」

今回、人里以外のエリアで貴方が一人で訪れるのは初めてである。
人里からそう遠くない所で安全な筈だが、彼女から妖怪避けのお守りを貰い念のための安全の確保をしておく。
万全の準備を整え、香霖堂へと歩みを進めた。


「やあ、君か。この前はどうも」

店に入ると、店頭で本を読んでいた霖之助に出迎えられる。
お茶まで用意している辺り、そうそう客が頻繁に訪れて忙しいということは無さそうだ。

「ゆっくり見ていくといい。君にとっては幻想郷の品物は珍しいものばかりだろうし」

確かに、棚に置いてあるものは貴方の知り得ないものばかりである。
呪詛の道具や魔除けの札などがあるが、これらは外の世界では専門の人達しか扱ってないはずだ。

「その辺りのが欲しいなら霊夢の方がいい物を作れるだろう。君とは親しいんだろう?」

そういった品物を見ていると、霖之助にアドバイスを受けられる。
ならば貴方の持つお守りは予想以上の効果を見せているということだと思われる。


店主と話しながら物色していると――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. お邪魔します、と一声かけてから華扇が入店して来た。(華扇)

9.  箒を片手に持つ白黒カラーの女性が入店して来た。(新キャラ)

0.  緑髪で巫女服を着た女性が入店して来た。(新キャラ)

9.  箒を片手に持つ白黒カラーの女性が入店して来た。(新キャラ)


「お邪魔ー。…おお、珍しい。普通っぽい客がいる」
「普通でない客や冷やかしは所望してないのだがね」
「それは良くないな。そんな奴は追い出すべきだ。店のイメージが下がる」
「下がろうが上がろうが来る客層は変わらないから既に諦めてるよ」

魔女っ子スタイルの女の子は入店するなり親しげに店主と語らう。
その様子からして二人は知り合いかと尋ねる。

「まあ、そんなところだ。大した物は無いけど好きなだけ見て行ってくれ」
「それは君が言う台詞では無いね」

軽口を叩きあう二人からすると、そこそこに仲は良さそうだと思われる。

「…ところでお前、その首から下げてるの、お守りだよな?」

ふとここで女の子が貴方の首元にぶら下げているお守りを指差した。
貴方は妖怪避けのお守りらしい、と答える。

「ふーん…いや、霊夢が似たような奴持ってたから少し気になっただけだ」

特に深い意味は無いんだ、とそれに続ける。

「どうしたんだい、魔理沙」
「まあ、その。人里で霊夢が男と同居してる、だなんて噂を聞いたもんで、ちょっと気になってな」

何と貴方と霊夢の関係が噂になってしまっているらしい。
その事実を知る者は誰しも噂にするような人達では無い筈。
しかし貴方と霊夢が人里を歩いている様子は見られている筈なので、そこから立ってしまったと思われる。

「それ、もしかして君の事じゃないのか?」
「え…マジか?」

目線を貴方に向けつつ話しかけてくる霖之助。それに反応して女の子も再び貴方に視線を向けて来た。
彼も貴方と霊夢が一緒にこの店に入るのを見ている筈だったので、容易に予測できるだろう事柄であった。

「へー。外来人か。そりゃ珍しい」

結局貴方は二人に博麗神社に住まわせて貰っている経緯を説明することになった。
彼女をよく知る人達からは印象は良くないと考えていたが、存外受け入れている様子。

「それじゃあ、暫くは幻想郷にいるわけか。まあ霊夢といるなら食われることは無いな」

さらっと言ってくれるが、幻想郷において妖怪に食われるというのは果たして珍しくない事なのか。
ともかく霊夢といるのは安心なのは、重々承知している。

「まあ、これから会うかもしれないから一応名前は教えておくよ」

「霧雨魔理沙。普通の人間で、普通の魔法使いだ。よろしく」

魔法使いならば普通では無い筈だが、これも彼女流の自己紹介なのだろう。
彼女に見習って貴方も普通の外来人だと返す。

「霊夢はいい子かは分からないが、少なくとも悪い子ではないからね。よろしくしてやってくれよ」

保護者の様な言葉をかけてくる霖之助。男と女が同居という点は二人はそこまで気にしないらしい。

「まあ、今日は面白い話も聞けた。来たかいがあったな」

そう満足げに言われるが、貴方の心配は彼女が面白半分にあちらこちらにそれを言い触らさないかだった。
受け入れる人がいれば、受け入れられない人もいる。
あまりトラブルを作るようなことにならないで欲しいと願う貴方だった。


それはさておき、彼女に聞きたかったことがある。それは――――――

安価:↓2


1.霊夢とは友達なのか、ということ。

2.霖之助とは恋人なのか、ということ。

3.その服はお手製なのか、ということ。

1.霊夢とは友達なのか、ということ。


「え、あー…まあ、うん。友達だ」

口ごもりながら答えるが、友達、とはっきり言うのはどことなく気恥ずかしいのだろう。

「…なんだよお」

無意識に顔に笑みが浮かんでいた貴方を、ムッとした表情で問う。
霊夢を友達と言ってくれる人がいて安心した。と貴方は笑った理由を言う。

「…お前って、霊夢の兄か父親か?」

なんだこいつは、と言いたげな目線を向けながら言われる。
素直な感想を言ったまでだが、思い返して見ればまだ一週間も経ってないのに何様のつもりな発言であった。

「ま、普通じゃ無く変な外来人だが悪い奴では無さそうだな。少しだけ安心したぜ。少しだけな」

変な奴、と認定されてしまったが、ある程度の信用を彼女から得ることが出来た。


さて、こうして話していると、どうやら夕暮れ時の様だ。
お守りがあるとはいえ日が落ちるまで外にいては危険だろう。
貴方はここいらで店を後にすることにした。

「そうかい。気を付けて行くんだよ」
「外来人は専ら妖怪の餌だからな。精々祈りながら帰るんだな」

と、二人それぞれの反応を示しながらも貴方も見送ってくれた。

貴方は帰りの坂道を気を付けて、祈りながら登って行く。
受け取っていたお守りのおかげも相まってか、帰りの道でも誰にも会うことなく帰宅できた。

「お疲れ様。楽しかった?」

貴方が神社に帰宅すると、境内の掃除を終えた霊夢が出迎えてくれた。
貴方は今日の出来事を彼女に報告する。

「魔理沙にあったのね。…でも、人里で噂になってるなんてね」

やはり彼女としてもこれは公になって欲しく無いのだろう。
そこで貴方は、暫くは人里で一緒に行くのは辞めた方がいいね、と提案する。

「何で?」

何で、と返されるとは貴方も予想しておらず、目を丸くしてしまう。
こういう噂をされるのは気持ちが良い物では無いと思うのだが。

「そういうものなの?でも事実だし、別にその程度の噂で何とも思わないわね」

彼女がどう思われるか、というのには彼女自身は拘っていない様だ。
貴方は特に困ることは無いので、それならば、と妥協する。

「第一荷物持ちが居なくなるのは困るのよ」

噂より荷物持ちが彼女にとって重要の様だ。
変わった人だ、と失礼な事を考えつつも、貴方は彼女と晩御飯の準備に取り掛かることにした。

晩御飯を終えて、今は霊夢は風呂に入っている。
貴方は神社の外へと出て、美しく光る星々を見ている。

外の世界に居た時は、暇を持て余した時には本を見たり、ゲームをしたり、ネットサーフィンをしたりと、
主に人工物を見ることが多かった。

此方には本はあれども、それ以外の先ほど例に挙げた嗜好品は無い。
だからこそ、暇の潰し方をどうするか、と考えたこともあった。

しかし、ふと空を見上げたならば、そこには貴方の世界では滅多と見られないほどの星々がそこにはある。
それを眺めるのは、以前の様な暇の潰し方と同等以上に時間を忘れさせてくれる。


そんな風に眺めていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~8. 風呂が空いたと言う声が聞こえて来た。(六日目終了)

9・0. 寝巻に着替えた霊夢が歩いてきた。(霊夢)

~6日目・終~


霊夢:【親友(大)】
華扇:【友人(中)】
三月精:【親友(小)】
アリス:【親友(中)】
文:【知り合い】
萃香:【友人(中)】
紫:【知り合い】
魔理沙【知り合い】



一旦中断します。

~7日目~


貴方は目を覚ました。
今日で幻想郷に来て一週間。ようやくこの生活に慣れて来た節はある。
とはいえ、まだまだ幻想郷初心者。より此方の環境を知る必要はあった。

さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or紫)

2.境内の掃除をすることにした。(華扇or三月精or魔理沙)

1.朝食作りをすることにした。(霊夢or萃香or紫)


貴方の朝食の腕前は霊夢や萃香には認められているほど。
以前は自分のためだけに作っており、誰かに食べて貰うことは無かったが、
いざ美味しいと言って貰うとやはり嬉しいもの。

主夫になるのも悪くないかも。などと変な考えもしてしまう。
自分の考えに少し恥ずかしさを覚えつつ、朝食の支度を整えていく貴方だった。


すると――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.先ほどまで境内の掃除をしていた霊夢が来た。(霊夢)

4~6.こそこそとつまみ食いをしに萃香が来た。(萃香)

7~9.紫の物と思わしき腕が現れた。(紫)

0.  二桁目の数値を参考(10の場合霊夢)好感度判定に+1




※【親愛】まで進んだ時点でそのキャラとのエピローグ的な話をした後、終了します。

7~9.紫の物と思わしき腕が現れた。(紫)


先日と同じく、何もない空間から現れるその腕。
本体を知っているので昨日ほどでは無いが、それでも不気味さは感じる。

貴方はおかずの乗った皿を取り、その手に差し出す。

「…こういう時、普通は驚くものですのよ」

腕を起点として空間に裂け目が入り、紫の体がその場に出て来た。
しかし出てきたのは上半身のみ。下半身はまだ裂け目の中へと入ったままだ。

「なんだか随分慣れてしまった様ですわね。向こうに帰ってから苦労しますわよ?」

面白くなさそうに紫は言う。
今ではテレビなどでよく取り上げられる怪奇現象も、貴方にとっては、また妖怪か。と納得してしまう。

しかし、それ以上に、またも"帰る"という単語に引っ掛かってしまう。

「…もしかして、帰りたくない。とか考えていますの?」

顔には出てないはずだが、その引っ掛かりを彼女はすぐに察してしまう。

「まあ、別にお好きにすれば宜しいと思いますが…。苦労しますわよ」

現代人には過ごしにくい筈の環境。今は神社の世話になっている身なので不自由こそ感じてはいない。
しかし、いざ人里で一人暮らしするとならば、他に仕事を探したり育った環境の違う人々と接したりと、苦労はするだろう。

「さて、そろそろお暇しますが…その前に。あむっ」

ひょいと貴方が差し出していた皿のおかずを一つまみ。
そのまま口に運ばれる。

「ふむ…まあ、アリじゃないですか」

むぐむぐと咀嚼しながら貴方のおかずの感想を一言。
彼女的には貴方の料理の腕前はアリとのこと。

「さて、霊夢にバレたらうるさい事言われますし…」

そう言うと、やはり空間に現れた裂け目に入っていく紫。
完全に入って行ってしまう前に、貴方は一言声をかけた。

「あら、何か?」

もう少しで上半身全てが入ってしまうところで留まる。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食を一緒に食べないか。と誘った。(紫:好感度変動???)

2.結界の修理は手伝えないか、と申し出た。(紫:好感度変動???)

2.結界の修理は手伝えないか、と申し出た。(紫:好感度UP)



「はあ、お気持ちだけ受け取っておきますわ」

つまりは、やんわりと断られてしまう。
こういったデリケートな部分は彼女たちの様な専門的な人達に全て任せた方がいいのだろう。
しかし、結界の修復は自分の為でもあるため、何か出来ないかと申し出てみた貴方だった。

「貴方は気にしなくても大丈夫ですわ。直に終わりますので。それでは」

軽く会釈をして、そのまま全身が裂け目へと飲み込まれる。
一体あの空間はどうなっているんだろう、と貴方は考えている間に、完全に紫の姿はこの場から消えていた。

「ふあぁ…おはよ…」

と、紫が帰ってから入れ違う様に霊夢が台所に来た。
どうやら今起きたようだ。

「あら、まだおかずは出来てない様ね。手伝ってあげるわ」

貴方は彼女の発言に疑問を持つ。確かにおかずは既に出来ていた筈だったし、今しがた紫に摘ままれたばかりだ。
しかし机の上を見ると、皿もろともその姿は消えていた。

確実に犯人は分かっていたが、霊夢も気付いていない様だし、貴方も騒ぎを起こしたくないので黙っていることにした。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

9・0 +3


紫:【知り合い】→【友人(大)】


「もぐもぐ…男の子の手料理と言うのもオツなものね」
「紫様?その料理、どうされたんです?」
「んー…貰った」
「はぁ?」

貴方の知らない所で、紫と、彼女曰くその部下が語らっていた。
そして紫の手には件のおかず。当然と言うか、犯人は彼女だった。


「ご馳走様―。…どうしたの?」

食後に、微妙な顔つきをしている貴方を心配している。
消費量よりも減っている食材に気付かないか、それが気がかりで変な顔になってしまっていたらしい。
大丈夫だよ。ありがとう、と心配してくれた礼を言う。

「そう?まあ、貴方がそういうなら」

これ以上言及しないことが今の貴方にはありがたかった。


さて、今日は――――――

安価:↓2


1.仕事のある日だ、準備をしよう。

2.人里で何か買い物でもしよう。

3.神社でのんびりと過ごそう。



安価を取ったところで今回はここまでとします。

2.人里で何か買い物でもしよう。


人里では人形劇や買い物に付き合って訪れたりしていたが、個人でゆっくりと過ごしたことは無い。
そろそろ一人で色々とショッピングを楽しみたいと貴方は感じていた。

「買い物?それじゃ、お土産宜しく。なんてね」

冗談の様に発言をしながら、霊夢は貴方を見送る。
人里から神社までの道のりは既に把握しているので、もう空のランデブーをすることは無いと貴方は少しだけほっとしていた。

因みに、本当にお土産を買うかどうかは検討中。


さて、そこそこ長い時間をかけて人里へと到達する。
貴方は昨日の、霊夢との噂話を気にかけていたが、どうやら人の目はそこまで貴方に興味が無い様子。
時折すれ違った人が、チラ、と視線は向けるが、嫌悪の視線では無く、また外来人か。位の程度。

霊夢の人気が人里でどの程度か分からないが、もし噂が真実として広がったとするならば、
果たして自分への評価はどうなることか。

その時を想定し、なるべくいい人として振る舞おうと心に誓う貴方だった。


さて、どこで買い物をしようか――――――

コンマ下1桁:直下


1~4.手芸店で裁縫道具でも見よう。(アリス)

5~8.文房具店でペンでも見よう。(文)

9・0.少し小腹が空いてきた。(新キャラ)

1~4.手芸店で裁縫道具でも見よう。(アリス)


貴方の着る服は、以前に買ったこの一張羅のみ。
もし不慮の事故などで破れなどしたら、そのまま人里などを練り歩かなくてはならないことになる。
裁縫はまるで得意でないが、もしもの時は自分で縫わなくてはならない。
その為、私用の裁縫道具は買っておこうと判断した。

「…貴方?こんにちは。珍しいわね、こんな場所に来るなんて」

店内に入ると、早速貴方の雇い主であるアリスと遭遇する。
挨拶を交わすと、続けて珍しい、などと言われてしまう。

「うーん、男の子が裁縫ってあまりイメージ湧かなかったかしらね」

「貴方って人形劇も乗り気だったし、意外と女の子らしい趣味があったり?」

そんなことは無い筈。と貴方は曖昧な返事をする。
しかし、手料理が好きだったりもするので彼女の言う事も一理あるかも、と考えていた。

「ところで、貴方って裁縫は出来るの?」

貴方は痛い所を突かれる。実の所、裁縫は子供の頃、授業で教わって以来である。
体が覚えているかは自身が無い貴方だった。

「ふむ…それじゃ、貴方がよければ教えてあげるけど、どう?」

なんとも、その提案は貴方にとって僥倖である。
アリスがいいのなら、ぜひお願いしたい。と、貴方は頭を下げてお願いした。

「ええ、そうそう。…やっぱり手先が器用なのね。上手よ」

貴方はその後、アリスの家に招待され、現在指南を受けている。
練習用にエプロンを縫っているが、師の教えが上手いおかげもありスムーズに進んでいる。

「でも今更だけど、霊夢に縫って貰えれば良かったんじゃないの?一緒に住んでるんでしょ?」

と、アリスが疑問を口にする。
ビクリと貴方は反応し、何で同居してる事を知っているのか質問を質問で返してしまう。

「お、当たってた。まあ、霊夢がわざわざ連れて来るからそうかなって思ったわけよ」

若干ブラフが入っていたようで、まんまと引っ掛かってしまう。
とはいえ、彼女の性格をよくは知らないが、誰彼構わず言い触らす性格では無い筈なのでそこは安心する。
そして次に彼女の質問に、何時までも世話になるわけには行かないから。と返答した。

「ふうん?なら、何時かは神社を出るってことかしら」

顎に手を当てて彼女は再び質問する。
霊夢は何時まで、とは明確に言わなかったが、もし結界の確認が予想以上に長引くなら住まいを考慮する必要はあるだろう。

「成程ね。…ねえ。もし博麗神社を出ることになったなら」

「ここに住んでみる?人形劇も続けるなら、て条件付きだけど」

「まあ、住み込みのアルバイトみたいなものね。どうかしら?」

片目を瞑りつつ、貴方に問うアリス。
気軽に、かつ突然な質問だが、男性にそのような質問を投げかけるのはどうなのだ、と貴方は狼狽えながら考えた。


貴方は彼女に――――――

安価:↓2


1.君さえよければお願いしたい。と答えた。(アリス:好感度変動???)

2.その時まで考えさせてほしい。と答えた。(アリス:好感度変動???)

1.君さえよければお願いしたい。と答えた。(アリス:好感度UP+1)


「うん…分かったわ。もし、その時が来たら。ね」

貴方の返答に軽く微笑んで答えるアリス。
あくまでもし、の話だが、またも住まいを見つけられるのはとても嬉しい話だった。

「部屋は余ってるから用意しておくわ。私物とかはそれ程無いでしょ?ベッドとかは用意しておくから…」

あれが必要だ、これが必要だ、と色々提案を出される。
まるで近日中にでも住むことが決定しているかの様な様子だった。

「…こういうのはシミュレーションしておくのが大事なの」

貴方がそれを指摘すると、コホン、と咳払いを一つして反論される。
しかし、確かにシミュレーションは大事だろう。

「そう。大事なの。それよりも、さっさと続きをするわよ」

ここで話を最初に戻し、裁縫の指南を受け直す。
とはいえ、元々器用だったおかげもあってか、その後も特にやり直しなどをされることなく、順調に進む。

結局、貴方の当初想定していたスパルタな指導は受けることなく、裁縫の授業は終了した。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

1~4 +1 ボーナス+1 = +2


アリス:【親友(中)】→【恋慕(小)】


「それじゃあ、神社まで送っていくわね」

その後、出された紅茶を飲みつつ雑談をしていると、既にいい時間になっていた。
そして貴方が人里からここに来た時と同様、これから送ってくれると言う事だ。

「貴方も飛べるようになれればいいのにね。頑張ればなれるかもよ?」

貴方を人形に運ばせながら、そのような事を言う。
しかし冗談の様な口ぶりなので、やはり普通の人間には出来ないだろう、と思われる。

「まあ、貴方の年からはちょっとキツいかもね。…と、着いたわよ」

早くも赤い鳥居の前に到着する。やはり歩きとは雲泥の差である。

「それじゃあね。…あの」

送ってくれた礼と、別れの言葉を言って神社に入ろうとする貴方にアリスが一声かける。
なんだろう、と待っていると、

「考えておいてよ」

一言そう言って、そのまま飛び立って行ってしまった。
考えておけというのは、言うまでも無くアリス宅での同居の提案についてだろう。

「おかえりー。ご飯手伝ってくれるかしら?」

貴方がアリスのの飛び立って行った方角を何となく眺めていると、霊夢が手伝いを求めて来た。
住まいの事を考えておけとは言われたが、今は霊夢に世話になっている身。
貴方は返事をして、夕食作りを手伝うことにした。

夕食も終え、昨日と同じくこの時間帯、霊夢は風呂に入っている。
そして貴方も昨日と同じく、外へと出て夜空に浮かぶ星々を眺めていた。

ロマンチストでは無かったはずだが、余りにはっきりと綺麗に映る星を眺めていると、
つい、それを掴めるのでは無いかと手が伸びてしまう。

しかしそれが何のきっかけになったかは分からないが、ここで貴方は思い出していた。
そう言えば人里でお土産として羊羹を買っていた筈だ、と。

霊夢は冗談として言っていたが、世話になっている身としてそれ位はしようと思っていた貴方。
彼女が風呂から上がったなら一緒に食べようと考えていた。


そう考えながら夜風に当たっていると――――――

コンマ下1桁:直下


0~4.霊夢が風呂から上がった様だ。(霊夢)

5~9.近くの木がガサガサと動いた。(三月精)

5~9.近くの木がガサガサと動いた。(三月精)


貴方はその音にビクリと反応する。
驚きはしたものの、以前もこのような事はあり、それは悪戯好きな妖精の一人だった。

そう思いつつその音がした方角を目を凝らして覗いてみる。
すると、何やら人影の様なものは見えた。

「……」

やはり誰かはいることが分かる。しかし、声は出さない様だ。
容姿こそ確認は出来なかったものの、背丈からして貴方の胸までも無いくらいだろう。
この事からも、きっと例の妖精達の誰かだろうと予測される。

ここで貴方は以前の霊夢の言葉を思い出す。
妖精といえども、能力を持っているから気を付けろ、と言う事。
しかし、どうもそれが今は使われているか分からない。或は、使われていないだろう。


試しに、貴方はその人影に向かって名前を呼んでみることにした――――――

安価↓:2


1.サニーミルク、と呼びかけてみた。

2.スターサファイア、と呼びかけてみた。

3.ルナチャイルド、と呼びかけてみた。

3.ルナチャイルド、と呼びかけてみた。(三月精:変動無し)


「ぶー。外れでーす。どうもこんばんは」

呼びかけて出てきたのは、黒髪をロングにしたスターサファイアだった。
こんばんは、と貴方は挨拶を返す。

「霊夢さんは?…ああ、お風呂ですか。ちょうど良かった」

ちょうど、とはどう言う事だろうか。

「サニーが貴方とお話しして楽しそうだったから、私もお話ししたいなあって思ったんです」

「でもほら、霊夢さんが来たら退治されちゃうでしょう?」

霊夢はそこまで物騒には見えないのだが、曰く、彼女は人間以外には割と容赦無いらしい。
貴方が妖精に襲われている、と彼女が判断すれば、有無を言わさず忽ち退治されてしまうとの事。

「ですから、今なら丁度いいんですよ。ねえ、お話ししましょう?」

くい、と貴方の服の裾を摘まんで笑顔でそう懇願される。
流石に断る理由も無いので、貴方は快くそれを受け入れることにした。

「ありがとうございます!…よし」

何がよしなのかは分からないし、その時に見せた顔が悪戯を考える子供の様な笑みではあったが、
それに貴方は気付かなかった模様。

「わあ、そうなんですか。ありがとうございます」

貴方が今日、アリス宅でティータイムの時に雑談した内容の一つである、
妖精に人形劇を見せてやりたいと言う事を提案したこと話すと、嬉しそうにお礼を言うスターサファイア。
サニーミルクとは違い、彼女は素直な性格の様だ。

「成程。…それで、少し質問があるんですけどね」

ここでスターサファイアは貴方に質問をしたいと言う。
その時の顔は何となく神妙な顔つきになっていると、貴方は錯覚した。

「…霊夢さんって、貴方と」

と、と言った所で、くぅ、と可愛らしい腹の虫が聞こえた。
これは先日貴方が聞いた事のある音と似ている音である。勿論その音の主は目の前の彼女だろう。

「…ちょっと小腹が空いただけですよ。質問の続きしますね」

腹の虫に関しては素直に認めつつ、本題を続けようとする彼女。
しかし貴方はここで、ちょっと待ってて、と神社の中に駆け足で戻った。

「あ、ちょっと!…むぅ、いい感じだったのに惜しい所で逃げられたわ」

残された彼女は一人ごちる。いい感じかどうかは彼女基準。

一分後、貴方は彼女の元へと戻る。片手には人里で買って来たお土産の羊羹がある。

「お帰りなさい。…それ、なんです?」

彼女が貴方のお土産を指差し、当然の疑問を口に出す。
貴方は羊羹だよ、とそれを彼女に差し出し、続けて、帰ったらみんなで食べてね。と彼女に告げた。

「え、あの。別にそんなつもりじゃ…」

差し出された羊羹を受け止めつつも、遠慮する様な発言をする。
しかし笑顔を浮かべているのを見ると、貰う気は満々の様だった。


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

1~4 +1


三月精:【親友(小)】→【親友(中)】


「今日はありがとうございます。それではそろそろ失礼しますね」

そう言って、フワリと体を浮かせて森の奥へと消えてしまった。
結局最後に何を質問したかったのかは分からず仕舞いのままである貴方だった。

「お風呂空いたわよー?…ん、どしたの?」

ここで霊夢が風呂が空いた事を貴方に知らせて来た。
しかし貴方は本来、霊夢に出すべき土産を別の人に渡してしまったことを申し訳なく思い、何となく謝ってしまう。
当然、霊夢はまるで意味が分からんという顔をしていた。


「おかえり!スター、あの人間の様子、どうだったの?」
「うーん、そうね…帰りにお土産の羊羹を貰っちゃったわ」
「…え、何で?」

住まいへと帰って来たスターサファイア。そこで報告会が行われていた。

「羊羹!?いい土産ね!ナイスよスター、どこにあるの?」
「ええ、美味しかったわ。もう寝るわね」
「…もしかして貴女、一人で全部食べちゃったの?」

みんなで、という貴方の発言は彼女には都合よく届かなかったようだ。

~7日目・終~


霊夢:【親友(大)】
華扇:【友人(中)】
三月精:【親友(中)】
アリス:【恋慕(小)】
文:【知り合い】
萃香:【友人(中)】
紫:【友人(大)】
魔理沙【知り合い】



今回はここまでとします。

※本日からコンマによる新キャライベントを消します。


~8日目~


貴方は目を覚ました。
幻想郷に来たばかりの頃は朝起きて外に出ると肌寒さを感じていたが、今は少しずつ外気が暖かくなってきているように思える。
やはり四季は存在していて、春が深くなってきているだろうと貴方は考えた。

さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。


「んあ…おはよ…」

珍しく貴方と同じくらいに霊夢が目が覚めたようで、寝ぼけながらも挨拶をされる。
貴方もそれに返事をした後、掃除をしてくることを彼女に告げる。
代わりとして朝食の支度をお願いすると、多少渋っていたものの了承してくれた。

朝日を浴びつつ、大きく深呼吸を一つ。
空気の美味しさというのは、外の世界に居た頃はどこでもよく分からない貴方だったが、
幻想郷の空気は少なくともそちらよりも澄んでいることが分かる。


自然の有難味を体で感じつつ掃除をしていると――――――

コンマ下1桁:↓直下


1~3.階段を上って華扇がやってきた。(華扇)

4~6.またも木陰から一人の視線を感じた。(三月精)

7~9.箒に跨って空から魔理沙がやって来た。(魔理沙)

0.  二桁目の数値を参考(10の場合霊夢)好感度判定に+1

※(10の場合霊夢)これは説明の例えのつもりでしたので、今回は華扇ちゃんです。

0.  二桁目の数値を参考 好感度判定に+1

1~3.階段を上って華扇がやってきた。(華扇)


「おや、お早うございます。境内の掃除ですか、精が出ますね」

貴方が掃除をしている様子を見つつ、華扇が挨拶をする。
挨拶を返して続けて、こんな朝早くどうしたの、と貴方は尋ねる。

「当然。貴方が誠実にしているか視察に来たのです」

腕組みをして、何となく高圧的な態度に見える感じで言う。
視察と言うが、現状貴方は特に問題は起こしていないはずである。

「霊夢の厚意にかまけてヒモになっているなら矯正する必要はありますから」

ヒモ扱いは実に心外だ。と貴方は反論する。
掃除や料理、買い物と行った家事手伝い等は当然しているし、彼女が望めば賃金を納めることも辞さないつもりであった。

「へえ…。案外、生真面目なんですね。なんだ、詰まらない」

彼女の口を尖らせている所を見るに、彼女としては貴方を矯正したかった様子である。
今のは冗談か、と彼女に詰め寄ると、

「…?」

首を傾げられる。貴方はこれまで真面目にしていて正解だったようだ。

普段誰かに振り回されていることが多い彼女は、振り回す側になりたいという願望を持っていることを貴方は知らない。

「ところで、貴方が来たばかりの時は触れなかったのですが…霊夢は修行をしていますか?」

霊夢が修行している。というより、何を持って修行とするか分からない貴方である。

「それっぽいことなら何でもいいんですよ。座禅を組むのだって修行の内ですし」

そう彼女は言うが、それっぽいことは特に無かった。と貴方は記憶している。
しかし、貴方は常に霊夢と一緒に居たわけでは無い。
ならば、人の知らぬところで努力を続けている可能性は十分にある。

「…いえ、知らぬ所なら絶対に努力しないのが霊夢です」

貴方の憶測をばっさりと両断する華扇。
そして、はぁ、と溜息。彼女と霊夢の関係は知らないが、苦労させられていることを貴方はその様子から察した。

「…まあ、貴方には関係の無い話でしたね。とにかく、ご息災で何よりです」

と、ここで話は終わりの様子。先ほどまで苦い顔つきだったが、パッと元の表情に戻す。

「それではそろそろ失礼しますね。貴方はこれからも真面目に生きる様に」

そう言いつつ貴方に人差し指を突き付ける華扇。
その仕草に思わず、はい、と貴方は敬語で返してしまった。

「うむ。よろしい」

貴方の態度に華扇は満足げである。誰かを説く事。これは彼女にとって一つの楽しみなのかも知れない。


別れ際に貴方は――――――

安価:↓2


1.今度、人形劇を見においでよ。と誘った。(華扇:好感度変動???)

2.今度、何か食べに行こうよ。と誘った。(華扇:好感度変動???)

2.今度、何か食べに行こうよ。と誘った。(華扇:好感度UP+1)


「む、むむっ。それは…何とも魅力的な提案ですね」

急に話に食いついてくる華扇。
以前会った時に、茶屋で団子を美味しそうに頬張っていたので何となく誘ってみたが、
貴方の思うよりも彼女にとってそれは魅力的な提案だったそうで。

「仕方ないですね。貴方が来いというなら私もやぶさかではありません」

コホン、と一つ咳払いをして、貴方の提案に乗ってくれるようだ。
貴方は社交辞令的な意味合いで言ったのだが、思ったよりも乗り気な彼女に多少驚きつつも、
好意的な返事をしてくれたことに嬉しく思っていた。

「(この人を盾にすれば萃香に会ってもやり過ごせそうだし…)」

美味しい物は食べたい。しかし会いたくない人もいる。
ここでいざと言うときに貴方にカバーに入って貰い、人里での食べ歩きを満喫したいと華扇は考えていた。


しかし、貴方と萃香が、彼女の知らぬところで萃香と友人になっていたことを知ることは無い。


好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1+ボーナス+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

すみません、判定は↓でお願いします。

5~8 +2 ボーナス+2 = +4


華扇:【友人(中)】→【親友(大)】


「さて、今度こそ失礼します。また会いましょうね」

片手を上げて貴方に別れの挨拶をする華扇。それに貴方も応える。
来た時は階段からだったが、帰る時は飛んで帰るようだ。

「…今、仙人が来てなかった?」

華扇が見えなくなったと同時に、霊夢がひょっこり神社から現れた。
少しばかり会話をしていたことを霊夢に伝える。

「あれに会ったら口うるさいから。追っ払ってくれてありがとね」

別に追っ払ったわけでは無く、不本意なお礼を言われてしまった。


「ふふふ、これで色々と食べ歩きが出来るわねー」

今まで嘗ての知り合いに会わないかおっかなびっくり趣味の食べ歩きをしていた節があったが、それが解消できそうで上機嫌に飛ぶ華扇。

「それにしても、男の子と人里を歩くなんてまるで逢引ね。なんて」

「……あれ?」

まるで、では無くその通りではないかと彼女が悶えるのはそう遠くない話であった。


すみません、今回は短いですがここまでとします。

「ご馳走様でした」

霊夢曰く、口うるさい仙人と別れ、朝食を終えた貴方と霊夢。
軽く一服しつつ雑談などをしてから、今日は何か予定はあったか、と、あらかじめ買って置いた手帳を見る。


さて、今日の予定は――――――



安価:↓2


1.人形劇の仕事をする日だった。

2.神社の倉庫の整理をする日だった。

3.香霖堂に行く日だった。

2.神社の倉庫の整理をする日だった。


「よし。それじゃあ、今日中に終わらせちゃいましょうか」
「おーっし。力仕事なら任せろー」

神社の裏にある倉庫の前で、貴方と霊夢、そして萃香の三人は、はたきや雑巾を持って集まっていた。
萃香は先ほど遊びに来たのだが、倉庫の整理をするという話をすると快く協力してくれるとのこと。
因みにそのお駄賃は倉庫にある酒一本とのことだった。

「それじゃ、私は掃除。あんたは取りあえず荷物を外に出してね」
「あいよ。こんなもん、ものの数秒で全部やってやるさ」
「丁寧に扱いなさいよ。一個でも壊したらお酒は無しだからね」
「ぐむ…仕方あるまいね。酒には変えられない」

二人の分担は決まったようだ。
素性を知らないと分担は逆にした方がいいと思えるが、流石は鬼の力。
男の貴方でも持つのに苦労する荷物を、片手でまるでボールを持つかのように軽々と運んでいく。

方や霊夢は、パタパタとはたきをかけていく。時折埃が舞ってしかめっ面をしている。


貴方はどちら側で作業をしようか――――――

コンマ下1桁:直下


0~4.掃除を手伝うことにした。(霊夢)

5~9.力仕事を手伝うことにした。(萃香)

5~9.力仕事を手伝うことにした。(萃香)


「お、普段主夫やっててもやっぱり男の子だねえ。感心感心」

貴方が荷物運びを手伝うと、萃香は労いの言葉をかけてくれる。
しかし貴方が倉庫の中と外で一往復する間に、彼女は貴方の倍の荷物を倍の速度で運んで行く。

「そりゃ鬼は力持ちだからね。こんなの楽勝だとも」

貴方は汗水たらしているが、彼女はまるで涼しい顔。
妖怪の人間のスペック自体違うので、誰もが、彼女自身もこれは普通のことだと思っている。
しかし貴方は思わずその姿を、凄いなあ、と口に出してしまう。

「…いや、普通だってばこんなの」

手をヒラヒラさせて、ふつー、ふつー、と呟く萃香。
普段、彼女が余り褒め慣れてないのか、少し照れている様子がある。
あるいは、力に関しては友人に更に上が居ることを知っているので、その面で言われることが無かった為なのかも知れない。

「それよりもさ、早く運ばないと日が暮れちゃうよ。急ごう急ごう」

貴方の肩を少し背伸びをして、ポン、と叩いて催促する萃香。
日が暮れるとは言うが、彼女の参入で予定よりも相当に時間は早く終わると思われる。
恐らく照れ隠しなのだろう、と貴方は考えていた。

「…何さ」

そう考えていると、ムッとした眼で見られてしまう。
いざこざを持ち込むと萃香諸共貴方は霊夢にどつかれてしまう。そう考え、貴方はテキパキと作業を再開した。

「ようし、いい感じだね。さっさと終わらせて酒を頂こう」

萃香に尻を叩かれて作業を進めた結果、早くも荷物運びは中盤を過ぎた様子。
作業が進むにつれて近づく報酬の酒に、萃香は上機嫌になっていく。

「これ終わったらさ、貴方も一緒に呑もうよ。前は散々な目に会わせちゃったしね」

貴方にとっては嬉しい様な、そうで無い様な申し出をされる。
以前、朝っぱらから一口で酔わされた記憶があるので、
彼女が満足するまで呑まされるのは体が持つのかと不安になっていた。

「安心おしよ。死ぬまで呑ませようってんじゃないから」

屈託のない笑顔で言われるが、それは貴方にとって安心できない話だった。
死ぬまで飲まされはしない。しかしその手前までは飲まされるかもしれない。

「ともかく、そいつは終わってからの話だね。さ、続けようか」

パン、と手を叩いて再び作業開始の合図を出される。
実の所、彼女の作業ペースに後押しされて、力量以上に張り切ってしまい手や腕が疲れて来た貴方だった。
しかし、自分よりもまるで小さい女の子が頑張っているのに自分は休めない、と自らに喝を入れる。

その女の子は自分より遥かに年を取っているのだが、それはさておき。


こうして作業を続けていると――――――

安価:↓2


1.自分の近くの荷物が崩れて来た。(萃香:好感度変動???)

2.萃香の近くの荷物が崩れて来た。(萃香:好感度変動???)

1.自分の近くの荷物が崩れて来た。(萃香:好感度上昇+1)


元々の積み方が甘かったのと、土台となる荷物をずらしてしまったのが相まって突如上から荷物が崩れてきてしまう。
貴方がそれに気づいた時は既に荷物が落下している最中で、もう数瞬で頭に命中するのは明らかだった。
その衝撃に備えて、思わず目を瞑ってしまう。

「よっ、と」

しかし、来るであろう衝撃は来ない。
瞑っていた目を開けると、貴方の頭の上ギリギリで萃香が荷物をキャッチしてくれていた。

「大丈夫かい?災難だったねえ」

貴方の失態を見てニヤニヤと笑いながら、ヒョイ、と落ちて来た荷物を投げる様に地面に置く萃香。
しかし、その荷物が地面に落ちると同時に、ガシャン、という聞こえてはいけない音が荷物の中から聞こえて来た。

「…もしかして、やっちゃった?」

やっちゃった様だ。中身を確認すると、大皿等の割れ物が入っていたのが確認できた。
勿論、中身は見事に割れてしまっており、萃香がそれを見て、本日初めてかきたくない汗をかく。
すると、トタトタと此方に歩み寄る足音が聞こえてきた。

「なんか割れた音がしたんだけど…」

音を聞いて様子を見に来た霊夢。それを見て、酒が無くなるかも、と慌てふためく萃香。
そこで貴方は、ごめん、荷物を崩して割っちゃった。と彼女の代わりに謝ることにした。

「んー?…こんな大皿あったのね。まあ、使わないだろうしいいか。紙で包んで捨てておいてね」

別段、割ってしまった事に関して起こる気配は無さそうだ。そのまま先ほどまでの作業場所に戻って行く。

「…あの」

霊夢が去った後で、決まりの悪そうな顔をして萃香が話しかけて来る。
ここで貴方はようやく、さっきはありがとう。と彼女に礼を言う事が出来た。


好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

またすみません、直下でお願いします。

1~4 +1 ボーナス+1 = +2


萃香:【友人(中)】→【親友(小)】


「あー、なんだ。此方こそ済まないね」

霊夢から庇って貰った形になったことを謝罪する。
これで割ったのが萃香だと知られたら、要らない物だったとしても霊夢は酒を寄越さないだろう、と危惧していたようだ。
そんなことは無いだろうと彼女に言うと、

「いや、霊夢ならくれないだろうよ。そういう奴だから」

どうやら幻想郷の住民にとって、貴方の思っているよりも霊夢は厳しい性格をしている様子。
兎も角、ちょっとした事件も去った所で再び作業を開始する。

萃香は先ほどの事からペースダウンをして慎重に作業を進めている。
酒を一つ飲むにも必死になっている姿は、見た目相応だと思われる様子だった。


「よし。こんなもんね。二人ともお疲れ様」
「よーし!ねえ霊夢。お酒頂戴な」
「早速ね…まあ、いいわよ。約束だし」

その後、掃除を終えまた荷物を整理して中に入れると、萃香のペースダウンも響いてか夕暮れになっていた。
しかし元は二人で、それも数日掛かりでやる予定だったので、大幅に予定が早まったと言えるだろう。

「はい。また頼むわねー」
「酒があれば頼まれるさ。それじゃ、二人ともまたね」

萃香が別れを言うと、今まで神社に来た人達とは違い、飛ぶのではなくその場で消えてしまった。

「あー、これはあいつの能力みたいなもんよ。さ、おゆはんにしましょ」

特にその状況に驚くことは無く、夕食の支度へと戻って行く霊夢。
妖怪は誰しも能力を持っているのか、と新たな疑問が生まれつつ、貴方も霊夢に続いて行った。

~8日目・終~


霊夢:【親友(大)】
華扇:【親友(大)】
三月精:【親友(中)】
アリス:【恋慕(小)】
文:【知り合い】
萃香:【親友(小)】
紫:【友人(大)】
魔理沙【知り合い】



一旦中断します。

~9日目~


貴方は目を覚ました。
昨日は倉庫での作業をしたせいか、久方ぶりの筋肉痛が貴方を襲った。
手を開いたり閉じたりする度に腕が突っ張るかのような痛みを感じるが、
それでも今朝の仕事は欠かすわけにはいかない。

さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。

1.朝食作りをすることにした。


フライパンを持つ際にも腕の痛みを感じるが、この程度なら朝食作りに差支えない。
軽く揉み解してマッサージしてから、早速貴方は取りかかった。

何度も朝食を作っていると、次第に霊夢の好みを貴方は分かって行く。
味噌は赤か白か、肉が好きか魚が好きか。焼き加減はどうか。

特に彼女にああしろこうしろと文句は言われたことは無いが、
どれが美味しいと言われる内に自然と覚えてしまったようである。


こうして作業を進めていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.先ほどまで境内の掃除をしていた霊夢が来た。(霊夢)

4~6.こそこそとつまみ食いをしに萃香が来た。(萃香)

7~9.紫の物と思わしき腕が現れた。(紫)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

4~6.こそこそとつまみ食いをしに萃香が来た。(萃香)


「…もぐもぐ」

急に聞こえて来た咀嚼音に、貴方は慌てながら後ろを振り向く。
すると、出来たばかりの漬物を許可無く食べている萃香が居た。

「んあ…や、おはよ」

バレたからと慌てることも申し訳ない顔もすることなく、自然に彼女は挨拶する。
しかしそれに貴方も驚くことも怒ることも無く、普通に挨拶を返す。

「むむむ。突然現れたってのに驚かないんだねえ。慣れ過ぎやして無いかい?」

貴方の反応が面白くないようで、口を尖らせながら貴方の腿の辺りを突いている。
しかし貴方としては、その手の出現方法に関しては紫と言う前例があるので大した反応は出来ない。

「ぐぬ、紫め。先にやってやがったか。そちらで驚かされたんだね」

どうやら萃香は紫と知り合いのようだ。
しかし貴方は初めて会った時、突然腕が出て来たが、くすぐったということを話した。

「えー…貴方さあ、やっぱりどっかおかしいんだよ」

貴方の武勇伝に溜息をついて呆れる萃香。

普通なら紫にしろ萃香にしろ、突然現れたのならば驚くのが常である。
しかし、二日目で空を飛ばされた事から、少々怪奇現象に麻痺している貴方だった。

「ところでさ、私の分はあるんだよね?」

さも当然、と言った風に尋ねる萃香。
とはいえ、貴方は彼女の様に突然来ては朝食を食べるという人が来てもいいようにいつも多めに作っている。

「そっか。いやはや、本当に気が利いてるねえ。貴方って」

自分の分があると知るや否や、機嫌が良くなって貴方を褒める。
取りあえず褒められているので、貴方も素直にそれにお礼を言う。

「昨日も私を庇って貰っちゃったし。実の所、貴方の事結構気に入ってるんだよね」

そう言いながら笑顔を浮かべるが、その笑みはいつもの様な屈託のない、という物では無い。
この笑みは前に、自分は鬼だと告げた時と同じく、まさに彼女は人外だと再認識させる様な、独特の凄んだ笑みだった。

「…なあ。知ってるかい?鬼ってのはね、気に入った人間を攫って行っちゃうんだ」

「今じゃ鬼自体が全然地上にはいないからね。そういった風習は廃れたんだけど…」

「だが今此処に、鬼がいる。鬼の気に入った人間は、其処にいる」

「さて、攫ってしまおうか。…そう言ったならば、どうするかね?」

声こそいつも通りのトーンではあるが、その目つきはいわば鬼そのもの。
いつもとギャップが違いすぎて、貴方はすっかり彼女の雰囲気に飲まれてしまっている。

だが肝心の、攫う、と言うのはピンと来ない。
食べるなら食べると言うだろうし、第一何処へと連れてかれると言うのだろうか。


その疑問を解決するべく、貴方は一つ彼女に質問した――――――

安価:↓2


1.自分が攫われたら何処に連れてかれるのか。と質問した。(萃香:好感度変動???)

2.自分が攫われたら何をされてしまうのか。と質問した。(萃香:好感度変動???)

1.自分が攫われたら何処に連れてかれるのか。と質問した。(萃香:好感度UP+1)


「そうだな、旧都に連れて行ってやろう。地上には住めなくなった妖怪がうじゃうじゃいるのさ」

話に食いついてきたのを見て、自身の仲間の住む場所を話し始める。
そこにはどんな妖怪がいるのかと貴方は続いて尋ねた。

「私と同じ鬼だとか、心を読む妖怪や嫉妬狂いの妖怪が住んでいるんだよ」

彼女が言うには、その妖怪たちは能力が地上では忌み嫌われてしまった為、そこに住まわざるを得なかったとの事。
能力にも善し悪しがあるのか、と、ここで貴方は初めて知った。

そこで貴方は更に、その鬼とは仲は良いのか、と尋ねた。

「あ、うん。まあね、特に勇儀って鬼とは昔から仲はいいけど」

ポリポリと頬を掻きながら答える萃香。どうやら今でも交友はあるようだ。

「…何だよ、ちっとも怖がらないじゃないか」

ちぇ、とまたも口を尖らせて不機嫌そうな顔になってしまう。
とはいえ、もし彼女に攫われてしまったのならば、そちらの環境を色々と知っておかねばならない、と貴方は考えていた結果、質問を繰り返すことになった。

「あのな。普通は、攫わないでくれ、て懇願する物なんだよ」

「攫った後の環境なんて知ったこっちゃないだろう?」

冷静になってみれば、それは当然の反応である、と貴方自身も思った。
しかし、彼女と住むことも悪くは無いか、などとも冷静に考えていた。


好感度上昇値:直下(コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2 ボーナス+1 = +3


萃香:【親友(小)】→【恋慕(小)】


「…悪くない、とか。何言ってるのさ。全く」

貴方の考えに対し、腕組みをして呆れる様な声で言う萃香。
その仕草はどこぞの仙人を何となく彷彿させるものだった。

「まあ、攫ったりはしないよ。冗談だ。そんなことしたら地上にだっていられなくなるし」

「それに紫とか霊夢とか…まあ、貴方にも嫌われたくはないしね」

そう言い切った後で、腰にある瓢箪に口を付ける。
顔が赤らんでいるのは酒に酔っているせいか、あるいは自分の言動に照れているのか。

貴方は、取りあえず、ご飯出来たから一緒に食べようか。と、元々の目的である朝食に誘う。

「ん、ああ、そうだね。そうしよう。私が運んであげるよ」

そう言うと、萃香は頼まれること無く盛りつけた器を運ぶ。
今の彼女はいつもより少しだけお淑やかに感じる様な、そんな気もするが、とにかく貴方は霊夢を起こして三人で食卓を囲むことにした。


「ああ、美味いねえ。なあ霊夢、こいつくれないかい?」
「駄目に決まってるでしょ」

先ほどは少しだけお淑やかに見えたが、朝食時には霊夢とそんな会話をしている様に、元に戻っていた。

「じゃ、ご馳走様でしたっと。私は帰るね」

昨日と同じく、空気に溶け込む様に消えてしまう萃香。
後ほど霊夢から聞いた話に寄れば、密度を操る能力でこのような芸当をしているとのこと。

「まあ、『視ていた』てのは、その能力で霧になって監視していたってことよ」

だからこそ、此方からは気付くことは出来ず、いつの間にか近くに彼女は居れると言う事らしい。
貴方は改めて、誠実に振る舞って生きようと決心した。


さて、今日はどうしようか――――――



安価:↓2


1.仕事のある日だ、準備をしよう。

2.香霖堂に行ってみよう。

3.神社でのんびりと過ごそう。



安価を取ったところで今回はここまでとします。

3.神社でのんびりと過ごそう。


「あら、今日は神社にいるの?」

朝食後、貴方は今日は予定が無い事を霊夢に伝える。
特にすることは無いので、神社でのんびりしようと考えていた。

方や、どうやら霊夢は何処かに出かける準備をしている様だ。

「まあ、昨日は頑張ってたからね。特別に休みをあげましょう」

腰に手を当てつつ、霊夢は仕方ない、と言った表情で貴方に休みの許可を出す。
貴方は一言、ありがとう、と彼女に礼を言いつつ、出かける彼女を見送った。


さて、今日一日休みを頂いたわけだが、何をするにも筋肉痛が響いて満足に動ける気はしない。
ゴロン、と座布団を枕にしつつ仰向けに寝転ぶ。

大きく伸びをして、深呼吸。
ここ最近は一人でのんびり、という事は無かったので、ある種の新鮮味を感じつつダラダラと一日を過ごそうと貴方は考えていた。


しかし、その考えは――――――

コンマ下1桁:直下


0~4.目の前に急に現れた紫に崩されてしまった。(紫)

5~9.バタバタと神社に入って来た魔理沙に崩されてしまった。(魔理沙)

0~4.目の前に急に現れた紫に崩されてしまった。(紫)


「御機嫌よう」

突如、貴方の目の前に逆さまに映った紫が現れた。
怪奇現象には慣れていても、突然の不意打ちには貴方も驚き、小さく悲鳴をあげてしまう。

「あらあら、ようやく望み通りの反応をありがとうございます」

高級そうな扇子で口元を隠しながら、上品に笑う紫。今日は珍しく最初から彼女の全身が出ているようだ。

さて、恐らく彼女は霊夢と話に来たのだろう、と貴方は判断するが、生憎と彼女は出かけてしまっている。
貴方は、済まないけど、と頭に付けてその事を彼女に告げる。

「そうですの?何時頃に帰るかは聞いています?」

その質問に、貴方は分からないと答えるしかない。
もしも大事な約束があるとするならば、霊夢はそれを忘れてしまっているのだろうか。

「ああいえ、霊夢が居ないなら仕方ありませんわね」

しかし、紫は特に残念そうにしていない。急ぎの用事では無いと言う事だろうか。

「暇潰しに来ただけですから。貴方が私の相手をして下さればそれでいいですわ」

急ぎでも約束でも無く、突発的に神社に来たとの事。
とはいえ、彼女は結界を調べてくれている一人。それは貴方の為にも繋がるので、ぞんざいな扱いなどもっての外。
それじゃ、お茶とお菓子を用意してくるね、と、貴方は一人、席を立った。

「突然来たのに歓迎して頂いて申し訳ありませんわね」

お茶請けの煎餅を食べつつ、貴方と紫は雑談している。
彼女曰く、霊夢は突然来た自分に対しては余り歓迎はしてくれないみたいだ。

「霊夢ったら、私には冷たいんですのよ。用も無く来るなって追い返されることも少なくないですわ」

ぷくー、と頬っぺたを膨らませて怒っている風に見せているが、あからさまに本気ではない怒り方である。
二人の関係は恐らくそういう関係なのだろうと感じさせた。

「まあ、いいですわ。貴方はきちんと持て成してくれますし」

「ふむ…そうですわね、寧ろ貴方だけの時に来た方がいいかもしれませんわね」

出涸らしじゃないお茶も出してくれるし、と呟きつつ、貴方の出した出涸らしじゃないお茶を啜る。
まさか思っていた以上にぞんざいな扱いを受けているとは貴方も知らず。

此処で貴方はふと、結界は現在どんな状況にあるのか気になり、彼女に尋ねる。
特に催促するわけでは無いが、ただ何となく現状を知りたいと思っていた。

「もう数日で終わると思いますわ。異常も見当たらないし、問題無さそうです」

そう言いつつ、また煎餅に手を付ける。
それを見て貴方も、そうなんだ、ありがとね。とお礼を述べて、煎餅に手を付けた。

「…嬉しそうにするか悲しそうにするかどちらかにして下さらない?」

貴方の気の抜けた返答に仏頂面で答える紫。

とは言っても、あと数日、といざ答えられると反応し辛い。
あと数日で帰れるのか、と、あと数日で別れるのか、の二つが頭の中で回ってしまっている。


貴方はもうすぐ外の世界に戻れると知って――――――

安価:↓2


1.取りあえず嬉しそうにした。(紫:好感度変動???)

2.取りあえず悲しそうにした。(紫:好感度変動???)

1.取りあえず嬉しそうにした。(紫:好感度UP+1)


「うむうむ。よろしい」

彼女は、勿論元々は貴方の為にやっている、と言うわけでは無いが、貴方にとってそれが元の世界に帰る唯一の手段。
ならば彼女に感謝すると共に、自分にとって喜ばしいことだと伝えるのが労いと言えるのかも知れない。

「ふふ、貴方の為に頑張ってますのよ」

貴方の為に、と言う言葉を強調させて、流し目で貴方を見つめる。
先ほどまでの頬っぺたを膨らませていた子供っぽい雰囲気とは違い、その表情は妖艶という言葉がしっくりくる。
貴方は初めて見る紫の一面に、思わずドギマギしてしまう。

「…なんてね、あくまでついでですわ」

そう言って紫は目を閉じる。先ほどまでの妖艶な表情は既にそこには無かった。
子供っぽいのか大人っぽいのか分からない。掴み処の無い彼女に思わず首を傾げる。

「どちらが本当の私か。どちらも本当の私ですわ」

貴方は何も喋っていないはずだが、彼女には簡単に考えを読み取られ先に答えを出されてしまう。

「女性というものは二面性を持つものですわ。ゆめゆめ忘れない様」

ぴし、と扇子を貴方に突き付けて再び上品に笑う。
結界云々の話から女性についての鞭撻をされるとは思わなかったが、ゆめゆめ貴方は忘れない様に頭にメモをした。


好感度上昇値:直下(コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2 ボーナス+1 = +3


紫:【友人(大)】→【親友(大)】


「いいですか、女性には常日頃、容姿を褒めるのが大事で…」

その後も何故か女性の扱いについて語られる。
とは言え、元々、両者暇を持て余しそうになっていたのでこの講義は良い暇つぶしとなっていた。

「ただいまー…紫、また勝手に来てたのね」

こうして話をしているうちにだいぶ時間は経ってしまっていたようで、用事を終わらせた霊夢が帰って来た。
紫は笑顔で挨拶をするが、霊夢は呆れたような顔を浮かべている。

「ほら、早速実践してみなさいな」
「は?あんた、何吹き込んだのよ?」

容姿を褒める事、というのをやってみろと言う事らしい。
貴方は、今日も可愛いね、と、ありきたり過ぎる口説き文句を試してみた。

「…大丈夫?」

霊夢は自分の頭をつんつん、と指差して言う。言葉には出さないが、貴方のそこが大丈夫かと尋ねたのだろう。

「霊夢は恥ずかしがりですから。本当は嬉しいと思ってますのよ」
「帰れ」

手に持ったお祓い棒を構える霊夢。萃香の時と違って暴力に物を言わせようとしているのが見て取れる。
怖い怖い、と言いつつ、紫は別れの言葉を告げると、いつも通り体を空間の切れ目へと沈め、そのまま姿を消してしまった。

時は過ぎ、夕食を取った後、現在霊夢は風呂に入っている。
貴方は今朝から相も変わらず、神社の外へと出てダラダラとしていた。

貴方は一日神社で過ごしていたので、せめて夕食作りや風呂掃除位はしようとしていたが、
折角休みをあげたんだから今日はゆっくりしていて欲しい、とは霊夢の言葉。
結局貴方は丸一日を何もせず終わることとなった。

そのおかげか、筋肉痛も大分痛みは無くなってきており、明日からはまたバリバリ仕事が出来るだろう。
次は霊夢に休みを取って欲しいと思いつつ、外の空気を吸っていた。


こうして休んでいると――――――

コンマ下1桁:直下


0~4.風呂から上がった霊夢が歩いてきた。(霊夢)

5~9.近くの木陰に人影を見つけた。(三月精)

0~4.風呂から上がった霊夢が歩いてきた。(霊夢)


「あ、ここにいたの。上がったわよ」

寝間着姿に着替えた霊夢が、貴方に風呂を催促する。
貴方は返事をして、脱衣所へと歩こうとするが、そこに霊夢が一言話す。

「あの、お風呂から上がったら晩酌に付き合ってくれるかしら?」

酒を飲むようなジェスチャーをして、晩酌の誘いが貴方に来る。
思い返せば、此方に来てからまともに酒を飲んだことは無い。そう思った貴方は、その誘いに快諾する。

「そ。待ってるわね」

手を振って、機嫌の良さそうに居間へと戻って行く霊夢を見送り、貴方は早速風呂へと入ることにした。


「それじゃ、かんぱーい」

コツン、と、日本酒の並々入ったお猪口をぶつけ、口を付ける。
するとすぐに、喉元が心地よい熱さになるのを感じ、思わず大きく息を吐く。

「お、良い飲みっぷりね。もう一杯かしら?」

空になった貴方のお猪口に、またも並々注いでくれる。
貴方も返杯をして、これまた同時に、ぐい、と一気に二人とも飲みほし、大きく息を吐く。
実に息の合った二人に、思わず二人とも笑いが漏れてしまう。

「ところで、何で急に私が可愛いだなんて言ったのよ」

霊夢と飲み続け、酔いが回ってきた頃に数時間前の事柄を穿り返されてしまう。
変に誤解を招きたくないので、紫に絆されてしまった、と正直にここは話しておく。

「本当にー?誰彼構わず言ってるんじゃないの?」

ニヤついた笑みを浮かべて肘で脇腹を突かれてしまう。
しかし残念なことに、そのような口説きはしたことは無い、とこれまた正直に話しておく。

「ふーん。じゃあ私が初めてなのね」

色々誤解の招きそうな発言ではあるが、一応はその通りである。と貴方は返事をする。
それに対し霊夢は、ふーん、と興味があるのか無いのか分からない曖昧な返事を一つ。

だが、更に霊夢はそれに続けて言う。

「…あのさ、紫が何言ったか分からないけど」

「そう言う事、余り女の子に言うもんじゃ無いと思うわよ?」

「色々と誤解を招くものなのよ。…と、思うんだけど、私は、個人的に」

最後の方が尻すぼみになってしまう。
酔っていたとはいえ、全く自分らしくない発言をしてしまった、と頭を抱えてしまいそうな勢いである。

両者の間に何となく居心地の悪い様な、気まずい沈黙が流れてしまう。
迂闊に原因を作った貴方に、流さないまま言及してしまった霊夢。
程よく酔っていた筈の頭が少しだけクリーンになって来るのを感じる。


この空気を戻す為に――――――

安価:↓2


1.貴方は勢いよく酒を飲んだ。(霊夢:好感度変動???)

2.霊夢は勢いよく酒を飲んだ。(霊夢:好感度変動???)

1.貴方は勢いよく酒を飲んだ。(霊夢:好感度UP)


「あ、ちょっと…!」

こういう時は酔って、水に、というよりも酒に流してしまうのが一番。
そう考えた貴方はお猪口ではなく、湯呑み一杯分の日本酒を勢いよく飲んだ。

しかし、幻想郷の酒は外の世界の酒よりもアルコールが強い傾向にある。
只でさえそうなのに、更に湯呑み一杯も日本酒の一気飲みをしたのならば、それこそ酔いがあっという間に回ってしまう。

「えと、大丈夫?…じゃ、ないわよね」

目をぐるぐる回している貴方を見て、霊夢が溜息をつく。
急いで席を立つと、どうやら水を淹れてくれた様だ。貴方の口元に水の入った湯呑みを当て、流し込んでくれる。
だがそれでも一度完璧に酔ってしまうと、簡単に抜けてはくれない。

「もう、慣れない事するからよ。今日はもう寝ましょ」

水を飲んでもふらついている様子の貴方を見て、今日の晩酌は終わりと告げられる。
そして情けない事に、自分より年下の少女に肩を貸して貰い、寝室まで連れて行かれることになった。

「んしょ…ほら、しっかりしなさいよ男の子」

貴方を支えつつ、喝を入れる霊夢。
結局、先ほどの変な空気は消すことが出来たが、格好のつかない醜態を見せることになってしまった。


好感度上昇値:直下
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

9・0 +3


霊夢:【親友(大)】→【恋慕(大)】


「ほら、着いたわよ。…よいしょ」

もたつきながらも何とか寝室に辿り着き、布団に寝かせられる。
貴方はベロンベロンに酔ってしまいながらも、お礼と謝罪を霊夢に言って置く。

「はいはい、いいから寝なさいよ。休みは今日だけなんだからね」

そう言うなり、貴方の上に布団をかけられる。
酔ってしまった所に、布団の心地良さが相まってすぐに睡魔が襲ってくる。
完全に落ちてしまう前に、お休み、と一言霊夢に告げる。

「…うん、おやすみなさい」

霊夢はそれに返事をすると、貴方の頭を撫で始める。
その手の感触に安心感を感じると、そのまま完全に眠気が頭を支配した。

「…ふふ」

眠りにつく際に最後に聞こえてきたのは、自然と漏れたであろう、彼女の含み笑い。

手の感触と、優しい声。
自分ですら覚えてない、子供の時以来の多くの温もりに包まれながら、貴方は眠りについた。

~9日目・終~


霊夢:【恋慕(大)】
華扇:【親友(大)】
三月精:【親友(中)】
アリス:【恋慕(小)】
文:【知り合い】
萃香:【恋慕(小)】
紫:【親友(大)】
魔理沙【知り合い】



今回はここまでとします。

~10日目~


貴方は目を覚ました。
昨日、霊夢から頂いた休みのおかげで、貴方は筋肉痛による身体の痛みはすっかり取れていた。
その代わりに、昨夜一気飲みをした影響か頭が少しだけ重く感じている。
枕元に置いてある水差しにそのまま口を付け、喉奥へと流し込むと、すると大分重さは和らいだように感じた。


さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。

1.朝食作りをすることにした。


昨日は二人とも随分飲んでしまったので、今朝は胃に優し目のあっさりとした献立にした方が良いだろう。
本音を言えば己の体調を考えて自分がそうしたいと思ってる貴方だったが。

ご飯は食べやすいようにお握りにして、油を使わない、野菜を中心としたメニューにする。
此方の世界は肉や魚よりも野菜が安いので、遠慮無くふんだんに使える。

言い方は良くないが、今朝は簡単な調理だったので、いつもより早く朝食作りを終える事が出来そうだ。
仕上げに味付けをして完成間近になる。


そんな時に――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.いつもより霊夢が早起きして来た。(霊夢)

4~6.今回は素直に挨拶をしながら萃香が来た。(萃香)

7~9.背後から酒の匂いを漂わせながら紫が現れた。(紫)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

4~6.今回は素直に挨拶をしながら萃香が来た。(萃香)


「お早う」

彼女にしては珍しく、挨拶をしてから台所へと入って来る。
貴方も返事をしようとするが、徐に近づいてきたと思えば、すんすん、と貴方の身体の匂いを嗅いでくる。
なんだなんだ、と貴方は慌てふためいていると、むっとした表情でようやく萃香は離れた。

「…お酒、呑んでたんだ。ずるいなあ」

どうやら、昨日の酒が抜けきっておらず残り香を嗅ぎ取られてしまう。
霊夢との晩酌に自分が誘われなかったのが気に入らない、と言う表情。

「ふん。この前一緒に呑もうって言ったのに、先に霊夢と呑んじゃうなんて」

そう言えば、と貴方は思い返すと、一昨日に一緒に呑もうとか言っていた事を思い出す。
ちょっとした事件のおかげですっかり忘れていたが、萃香はきちんと覚えていた様だ。

約束を違えたわけでは無いが、彼女が怒っている理由を察するに、
自分よりも先に別の誰かと呑んでいた、というのが気に食わない原因と貴方は考えていた。

「……」

無言で貴方を睨む萃香。しかし怒っている、と言うよりは、拗ねていると言った方が正しい雰囲気を出している。
なんとか機嫌を直して貰うために、次は萃香が満足するまで付き合うよ、と新たな約束を取り付ける。

「よし、言ったね。男に二言は無いね。嘘ついたら攫っちゃうからね」

先ほどまでの拗ねた顔が何処へ行ったか。ケロリと笑顔になってしまう。
どうやら拗ねていたわけでも無く、貴方の先の言葉を誘っていた彼女の演技であった様子。

鬼が満足するまでならば、つまり自分は確実に潰れているだろう。
迂闊な事は言うべきでは無い、と遅まきながら反省する貴方だった。

それは置いておいて、貴方は、今日も食べて行くか、と萃香に尋ねる。

「いや、いいよ。朝ごはん食べに来たわけじゃないから」

珍しく、と言うより、貴方が知る中では今回初めて朝食を目的として神社に来たわけでは無いとの事。
それでは、自分か霊夢に用事でもあるのかと気になる。

「んー…用は無いけど、来たくなった。駄目だったかな?」

頭の後ろで手を組みながら答えられる。
別段、彼女が来て困ることは無いので、好きな時に来ればいい、と貴方は拒まないことを言う。

「ああ、それは嬉しいな。外の世界の奴らは、鬼が来るなんて知ったらあの手この手で追い出すものだからね」

来た時とは打って変わって、貴方の返答に気分を良くしている。
あの手この手、というのは貴方の知る限りでは、節分に豆を撒く事だが。

「それさ。鬼は外、なんて酷い話だ。気持ちは分からんでもないがね」

過去に鬼がした所業を考えれば、と思いにふける萃香。
とは言え、外の世界の、世間一般が知る鬼と言うのは禍々しい化け物という言葉がしっくりくる外見をしているもの。
萃香の様な小さい鬼ならば外に追い出そうとはしないのではないか、と貴方はフォローした。

「むむっ。小さいとか、馬鹿にしてんのかこらっ」

フォローのつもりだったが、小さい、という言葉が癪に障ったのか、貴方のふくらはぎを蹴っ飛ばし始めた萃香。
全く本気で蹴ってはいない筈だが鬼の手加減は人間の貴方にはかなり痛い物がある。


彼女を宥める為に、貴方は――――――

安価:↓2


1.頭を撫でて宥めた。(萃香:好感度変動???)

2.言葉を訂正して宥めた。(萃香:好感度変動???)

2.言葉を訂正して宥めた。(萃香:好感度UP+1)


「おりゃおりゃっ。…ん、何が間違いだったってさ」

萃香は蹴りを一旦止めて、貴方の弁解を聞いてくれる様子。
しかし、肝心の弁解の内容を考えてはおらず、えーと、と貴方は考えてしまう。

「ほら、何さ。言ってみなよ。また蹴っちゃうよ」

ほらほら、と催促されるが、貴方は上手い言葉は思いつかない。
可愛い鬼だ、と言おうとしたが、昨日はその単語でやらかしてしまったので迂闊には使えないだろう。

そこで、綺麗な鬼だ、と貴方は慌てて訂正の言葉を告げる。

「…あの、それは、どうなの」

言ってからすぐに貴方も気が付いたが、それは可愛い以上に迂闊に使ってはいけないだろう。
何を言っているんだ、と笑い飛ばしてくれれば良かったと貴方は考えていたが、残念ながらその思いは届かず。

しかし、今のは冗談だ、というのは実に失礼な発言。貴方は引っ込みがつかず、昨日の霊夢の時と同じく変な空気になってしまう。

「あー、あれだ。正直に言えば、嬉しいと言えば嬉しい。がね、もうちょい雰囲気を考えておくれよ」

後ろ手でせわしなく指を弄りながら答える萃香。
その顔の赤らみの正体は、酒に酔っ払っているだけのみにあらず。
いつも貴方の見ている酔っ払いで快活な彼女はそこにおらず、ただの少女の様な彼女がそこに居た。


好感度上昇値:直下(コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

1~4 +1 ボーナス+1 = +2


萃香:【恋慕(小)】→【恋慕(大)】


「…ねぇ、一つ頼まれてくれるかい」

両者押し黙ってしまった空気の中で、萃香が会話を切り出す。
何かな、と、多少動揺しながらも貴方は返事をした。

「次は一緒に呑みたいって話あったじゃん。それなんだけど」

「最初は、霊夢も一緒に三人で、って私は考えてたんだけどさ」

「やっぱり二人で呑みたい。て話。どうかな」

その話に、貴方は快諾する。と言うよりも、元より二人で呑むのだろうと考えていたので、
改めて確認を取られる必要は無かった。

「ああ、それは良かった。約束したよ。忘れないでおくれ」

そう言って、ようやく再び笑顔を見せてくれた萃香に貴方は安堵する。
すると、段々と彼女の体が薄くなっていくのが見えて来た。

「それじゃあ、帰るね。また会うときは、宜しくね」

酒を呑み交わす約束を取り付けて、満足げな表情を浮かべて萃香は消えて行く。

そうこうしているうちに、今から霊夢の声が聞こえて来た。
既に時間は大分経っていたらしく、貴方は少し慌てて朝食を運んで行った。


一旦中断します。

萃香が去った後、貴方と霊夢はいつもより軽めの朝食を取る。
腹持ちはそれ程良くないのでどうか、と貴方は思っていたが、彼女的には満足そうだ。

貴方は、昨日の一気飲みで介抱して貰った事に申し訳なかったと謝罪する。
それに対して霊夢は、どういたしまして、と、体調壊すような飲み方をするな、の二点を貴方に告げた。。

貴方は彼女の寛大な心遣いに感謝すると共に、今日の予定を確認した。


今日は――――――



安価:↓2


1.人形劇の仕事をする予定だ。

2.人里で何か買い物をしておこう。

3.霖之助に呼ばれていた。

3.霖之助に呼ばれていた。


「霖之助さんに?分かったわ。気を付けてね」

貴方が香霖堂に行くことを言うと、霊夢は玄関先まで見送ってくれた。
一体何の用事だろう、と思いつつ、飛べばすぐに着く程度の長い道のりを歩み始めた。


「や。来てくれたね」

三度目だが、どの場合も店頭で本を読みつつの客の対応をしている辺り、彼は余り仕事熱心では無いのかもしれない。
だが、彼曰くこの商売も趣味の内なので、売りたい一心で頑張ると言う事は今後も無いのだろう、と貴方は推測した。

「まあ、売れる事に越したことは無いがね。さて、頼みごとなんだけど」

霖之助はカウンターの下から大きな箱をいくつか取り出し、積み上げる。
中身は貴方の予想通り、外の世界の物が多く入っていた。

「君が来たから調べるのが捗ると思ってね。色々拾って来たんだ」

さあ、見てくれ教えてくれと言わんばかりに、箱の中身を見せて来る。
中には電池で喋る人形とかもあり、実用性の無い娯楽品なども多く入っていた。


こうして彼と談義していると――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.お邪魔します、と一声かけてから華扇が入店して来た。(華扇)

4~6.こんにちはー、と元気な声で文が入店して来た。(文)

7~9.邪魔するぜー、と勢いよくドアを開けて魔理沙が入店して来た。(魔理沙)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

4~6.こんにちはー、と元気な声で文が入店して来た。(文)


「こんにちわー!と、これはこれは、ご無沙汰してます」

貴方の姿を確認するなり、わざとらしく深々とお辞儀をして挨拶してくる。
どーも、と貴方は軽めの挨拶にしておいた。

貴方は、彼女はすぐにインタビューだインタビューだと騒ぎ立てるかと思いきや、
何やらキョロキョロとせわしなく目線を変えて周囲を警戒している様子がある。

「あのあの、今日はあの鬼巫女は来てないんでしょうかね…?」

彼女の挙動不審はその気がかりから生まれたようだった。
鬼巫女、とは貴方の知る巫女は一人しかいないので、恐らくはその人の事なのだろう。
今日は一人で来た。と貴方は説明をしておく。

「ほっ。もう何度も邪魔されるわけには行かないですからねえ…」

先日、貴方が見てない所でこっぴどくやられた事から警戒心が高まっている様子。

しかし、彼女曰く鬼巫女がいないことを知ると、前回と同じ様に貴方にぐいぐいと質問を迫って来る。

「さてさて今日は色々と聞きたいことがあるんですがねー」
「おいおい待ってくれよ。彼は僕が呼んだんだ。先に此方の用事を済ませてからにして貰おうか」
「今日は頼みますよ店主さん。帰りに何か買って行ってあげますから」
「…まあ、また今度呼べばいいか」

あっさりと買収される店主こと霖之助。
貴方は、売買は趣味では無かったのか、と勝手ながらに彼を恨むことにした。

「…と、まあ今日は質問はこれくらいにしておきましょうか」

これくらい、という彼女のインタビューは日が傾き始める時まで続いた。
途中休憩を挟みつつだが、彼女との問答は非常に疲れるものであった。

貴方は疲れと、時間的に早くも神社に帰る時間となってしまったことを二人に言う。

「おや、もうお帰りですか?いやあ、今日は申し訳なかったですねえ」
「本当だよ。折角色々かき集めた道具がまた埃を被るじゃないか」
「多少埃を被った方がアンティークっぽさが出ますよ。このボールペンての頂きますね」
「いい加減な事言うなよ。はい毎度あり」

トントン拍子に進んでいく会話を見送りながら、貴方は別れの言葉を言おうとする。
するとここで文が一つ提案を出した。

「お待ちください。今日は拘束してしまったお詫びに、人里まで連れて行ってあげますよ」

「勿論飛んで、です。どうですか?」

との提案。本音を言えば、どうせ運んでくれるなら博麗神社まで連れて行って欲しいと思う貴方。
しかし彼女は貴方の住まいを知らない一人。連れて行って貰うなら人里で適当な場所が安全牌だろう。

気になることは、彼女は何事も無く届けてくれるだろうか、という所。
一度彼女の飛行を見てはいるが、相当に早かった記憶がある。


この提案に貴方は――――――

安価:↓2


1.やっぱり一人で歩いていく。(文:好感度変動???)

2.彼女にお願いしてみる。(文:好感度変動???)

2.彼女にお願いしてみる。(文:好感度UP+1)


「了解!この射命丸文、全力で連れて行って差し上げましょう!」

自分の胸をトン、と叩き、任せろというポーズを取る。
全力、と言う言葉が非常に気になる貴方だが、好意は快く受け止めようと考えていた。

「それじゃ、この次こそ頼むね」

彼女と店を出る際に霖之助から言葉をかけられる。
貴方はそれに返答して店を出ると、お願いするよ、と文に宅急便を頼んだ。

「お任せ下さい!さあ、掴まって」

静かに両手を差し出してくる文。
その手を握ると、彼女は優しく握り返してくれる。先ほどは少し不安だったが、それに安心感を覚える貴方。

「よし、飛びますよ。大丈夫ですね?」

一声かけると、文はゆっくりと貴方の手を握りながら飛び上がる。
霊夢との遊覧飛行で慣れているのも相まってか、幻想郷の雄大な景色を宙から眺めることも出来る。

「さて、それじゃ…」

しかし、何となく彼女の声色が変わった様な気がして嫌な予感が頭を過ると共にゾクリと背筋が冷える。
その嫌な予感はこういう場合、大抵は当たる物で。

「行きます…よ!」

よ、と声をかけると共に、とんでもない速度で飛行を始めてしまう。
その余りの早さに、貴方は、ひえー、だの、ぎえー、だのと情けない悲鳴を上げる事になってしまった。


好感度上昇値:直下(コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2 ボーナス+1 = +3


文:【知り合い】→【友人(大)】


「もしもーし?大丈夫ですかー?」

ここは人里の往来。そのど真ん中に降ろされ、へたり込んで座る貴方に大丈夫かと尋ねる文。
結局物凄い早さで振り回され、人里の上空を何回か往復するという無駄な飛行までさせられる。
その結果、現状にある。

「いやあ、すみませんね。つい気合が入っちゃって」

謝罪の言葉と同時に、パシャ、という効果音が貴方の耳に入る。
カメラに収められているのだろうが、それが気にならないほど疲弊してしまっている。

「では、お大事に、ということで!また会いましょうね!」

貴方に別れの言葉を言うと、風を切る音がして、軽く砂ほこりを立てる。
ふとその砂ほこりの辺りを見ると、既に彼女は飛び立って行ってしまった様だ。

誰に恨み節を吐く事も出来ず、更に言えばこのグロッキーな状態で神社へと戻らなくてはならない。
若干二日酔いの貴方の体に、バッドイベントが振りかかってしまった。

その後、ヘトヘトになりながらも帰宅し、夕食作りを始めた貴方。
霊夢はどうやら何処かに出かけているようで、今現在一人で神社にいる。

朝はあっさり目で野菜中心だったので、夜はしっかり栄養を摂れるよう魚を焼くことにする。
いい香りに焼き上がり、食欲を誘う。

後は、ご飯も炊きあがる頃には霊夢も帰って来る筈。
軽く境内の掃除をしつつ、彼女の帰りを待つことにした。


こうして掃除をしていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.霊夢が帰って来たようだ。(霊夢)

4~6.近くの木陰に人影を見つけた。(三月精)

7~9.アリスが神社を訪ねて来た。(アリス)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

4~6.近くの木陰に人影を見つけた。(三月精)


何となく神社の近くの雑木林を眺めると、そこに人影が見える。
小柄な人影であり、羽の様なシルエットが背中から生えているのが見えた。

恐らく、神社の裏の木に住んでいる妖精の一人であることは確かな筈。

貴方が不意にその木陰に近づくと、慌てた様に離れて行く。
しかし、再び元の位置に戻ると、また木陰から貴方を覗いているのが確認できた。

近づけば対象は逃げる。離れれば対象は近づく。
この様な子供っぽい駆け引きを何度か繰り返すが、終わりが見えて来そうにない。
悪戯のつもりか、遊びのつもりか、或いは何か考えがあってか。

貴方は恐らくは知り合いの三人の妖精の誰かだろう、と予測している。
そうなれば、その内の誰かの名前を呼んでみるのが効果的だと判断した。

問題は、一体誰なのかは分からない事。
押し黙って考えるが、木々の揺れさえ聞こえない静寂が訪れるのみ。


やはり試しに、貴方はその人影に向かって名前を呼んでみることにした――――――

安価↓:2


1.サニーミルク、と呼びかけてみた。

2.スターサファイア、と呼びかけてみた。

3.ルナチャイルド、と呼びかけてみた。

2.スターサファイア、と呼びかけてみた。(三月精:変動無し)


……

呼びかけるも、静寂が帰って来るのみ。
気が付けば木陰から人影も消えてしまっていた。

諦めたのか飽きたのか、帰ってしまったのかと考え、再び掃除に戻ろうとする。

「…どうも」

すると、いつの間にか貴方の後ろに立っていたのはルナチャイルドだった。
多少驚いてしまうが、挨拶をされたのでそこはきちんと返す。

「最近、サニーやスターが世話になっているようね」

その物言いだと良くない意味に聞こえてしまうが、実際にいい意味で世話をしているので何とも言えない。
世話と言えば、この前あげた羊羹は美味しかったか、と感想を聞く。

「…知らないわ。スターが全部食べたから」

しゅん、と落ち込むかのような表情を見せる。
貴方はまさか一人で食べてしまったとは知らず、それは残念だった、としか言えない。
当のルナチャイルド本人は、別にどうでもいいけど、と詰まらなそうに呟いていた。

「大体、妖精に人形劇見せたいとか、お土産あげるとか、変わってるのよ。貴方」

ジト、とした目で貴方を見つめて来る。
彼女はそう言うが、貴方にとっては妖精、妖怪以前に少女を相手にしているという感触しか無い。
なので、そういう物かな、と曖昧な返事を返してしまう。

「そう言う物よ。…まあ、私がどうこう言う立場じゃないけど」

三人の妖精の中では落ち着きのある様に見えるルナチャイルド。
大人びている、或いは大人ぶっているのかも知れない。


今回はここまでとします。

「…で、ちょっと貴方に聞きたいことがあるのだけど」

人間と人外のあり方についての持論を述べた後で、ルナチャイルドは話を切り替える。
目線の高さがかなり違うので、貴方は少し屈んで彼女に合わせた。

「ありがとう。…それで、聞きたいのは霊夢さんのことなんだけど」

その、あの、等と口ごもり言い辛そうにしている。
貴方自身も霊夢をどこまでも知っているわけでは無いので、彼女に関する質問は出来るだけ本人にして欲しいと思っている。

「れ、霊夢さんって…何が好きなの?」

言いにくそうにしていた割には、まるで霊夢のファンの様な質問をしてきたルナチャイルドに貴方は安堵する。
甘いものは喜んで食べてたよ、と貴方は自らの記憶から答える。
しかし当の質問者は、そうなの、と、興味があるのか無いのか分からないあやふやな返答をした。

「(本当は何が嫌いかを聞きたかったけど…まあ、今回はこの位にしておいた方がいいわね)」

腕を組んでうんうん、と頷く。そうしたかと思えば、突然踵を返す。

「それじゃ帰るわ。また来るわね」

と、言い、神社の裏の森へと歩みを進めようとするルナチャイルド。
しかしその彼女に貴方は、ちょっと待って欲しいと声をかける。

「…なに?」

歩みを止めつつも、若干の警戒心を見せて来る。
そんな彼女に、飲み物の一杯でもあげるよ、と神社の中へと貴方は戻って行った。

「いや、いらない…けど…ああもう、仕方ない…」

特に何か欲しいわけでは無かったが、同居人の信頼を得ておけば霊夢の自分達へのガードも緩くなるだろう、と、
断り切れないルナチャイルドだった。


少しして――――――


コンマ下1桁:直下

好感度上昇値
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2


三月精:【親友(中)】→【恋慕(小)】


「あ、珈琲…」

神社から戻って来た貴方の片手ずつに珈琲の入ったカップが握られていた。
その内の一つを彼女に差し出すと、ありがとう、と一言呟いてから受け取る。

今日、香霖堂でたまたま売ってた外の世界の珈琲豆を売ってたので衝動買いした物である。

「…美味しい」

ルナチャイルドは先ほどまでの警戒心ある顔つきは、今では落ち着いた顔で珈琲を味わっている。
貴方としては本当はジュースを出したかったのだが生憎無く、お茶ではつまらないので、と出したものだがどうやら功を為したようだ。

「ん、ん…ご馳走様。ありがとね」

ふう、と一息つき、貴方にカップを返すと、そのまま飛び去って行く。
それと同時に、霊夢が外出から帰って来た。となれば、そろそろご飯も炊きあがる頃合いだろう。
貴方は彼女を出迎えると共に、夕食が出来ることを霊夢に伝え、神社へと入って行った。


「おかえりルナ!今日の報告は何かしら!?」
「期待してるわよルナ。さあ、お願いするわ」
「んー…残念だけど、まだ何が弱点とかは聞けないわね」

今回も今回で報告会が行われている。しかし、ルナチャイルドの答えに二人はがっかりしている様だ。

「何よ、人形劇何時やってくれるか分からないの!?」
「お土産とか無いのかしら?ダメダメね」
「…珈琲は美味しかったわ」

結局主旨を忘れた二人に、ムスッとして自分だけ美味しい思いをしたことを伝える彼女だった。

~10日目・終~


霊夢:【恋慕(大)】
華扇:【親友(大)】
三月精:【恋慕(小)】
アリス:【恋慕(小)】
文:【友人(大)】
萃香:【恋慕(大)】
紫:【親友(大)】
魔理沙【知り合い】

~11日目~


貴方は目を覚ました。
久方ぶりにすっきりとした朝を迎える。
この三日間の二日酔いや筋肉痛がすっかりと無くなり、自然と口から、よし、と独り言が出てしまう程。
襖を開けて外の空気を目一杯吸い込み、朝の日課に取り組むとした。


さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。


毎日掃き掃除、と言うのも面白みが無いので、今回は拭き掃除中心にやることにした貴方。
手に届く場所は出来るだけ汚れを落とす。参拝客から見える所は綺麗にしておくべきだろうと貴方は思った。

しかし、肝心の参拝客は来るのだろうか、とこれまた貴方は思う。
人里の人間はあまり人里から出ないと聞くので、わざわざ神社までお参りには来ないのではないか。

加えて紫や萃香といった力のあるだろう妖怪が日常的に訪れる始末。
これは尚更人を避ける事では無いかと貴方は危惧している。

とはいえ、霊夢自身特にそれを気にしている様子は無いので問題は先送りなのだろう。


そんなことを考えていると――――――

コンマ下1桁:↓直下


1~3.階段を上って華扇がやってきた。(華扇)

4~6.突然背中を誰かに突かれた。(三月精)

7~9.箒に跨って空から魔理沙がやって来た。(魔理沙)

0.  二桁目の数値を参考(10の場合霊夢)好感度判定に+1

4~6.突然背中を誰かに突かれた。(三月精)


「つんつん、ふふ…」

突然指で背中を突かれ、ビクリと体を震わせて反応してしまう。
なんだなんだ、と思って後ろを振り向く。だがしかし、誰もいない。これは何時だったか誰かにされた悪戯に似ている。

こういう悪戯をするのは、妖精の三人組の誰かだろう、と貴方は予測している。
しかし、肝心の誰か、までは貴方は分からない。

「それっ!」

パシッ、という音を立てて、貴方の腿を引っ叩かれる。
またも振り向くも、やはり誰も見当たらない。そこには小さな足跡が残るばかりである。

「くすくす、鈍くさいなあ…」

小声ではあるが、失礼な言葉をかけられたことは分かってしまう。
しかしどうにも姿が見当たらないので、犯人を捕まえることも出来ない。

誰かの名前を呼べば、吃驚して出てきてくれるかも知れないと貴方は考えた。


貴方は――――――

安価↓:2


1.サニーミルク、と呼びかけてみた。

2.スターサファイア、と呼びかけてみた。

3.ルナチャイルド、と呼びかけてみた。

1.サニーミルク、と呼びかけてみた。(三月精:好感度UP+1)


「ぬぁっ!?…くぅ、バレたか」

吃驚した声がすると共に、貴方の目の前にいきなりサニーミルクの姿が現れる。
萃香の時とは違い、全体像がくっきりと見えるものだった。

「むー。姿は見えて無いのに、よく私だって分かったわね。褒めてあげるわ」

確かに姿こそ見えないが、声は丸聞こえなので分かってしまう物だった。
彼女の言動から察するに、サニーミルクは姿を消す事を可能とする能力を持っているのだろう。
そんな彼女は腰に手を当てて偉ぶっている。バレた事に関しては特に悔しがってはいない様だ。
貴方は、今日も遊びに来たのかと偉ぶる彼女に尋ねた。

「そうよ!色々話して貰いたいことがあるんだから」

「(スターとサニーは目的忘れちゃってるから、私がしっかりしないとね)」

口角を上げて、悪どい笑みを浮かべているサニーミルク。
こういった顔をするたびにチラリと見える八重歯は、きっと彼女のチャームポイントなのかな、と貴方は考えていた。

とりあえずお茶でも持ってくるね、と貴方は歓迎の準備をしに神社へと入る。

「あ、じゃあ冷たいのね!」

ピシッと手をあげて温度の注文をされる。
貴方は、はいはい、と返事をして、まだ起きぬ家主に迷惑をかけない様、静かに茶を淹れ、彼女の元へと持って行った。

「でさー、霊夢さんって嫌いなのあるの?」

昨日のルナチャイルドの質問とは逆の、何が嫌いか、という質問。
しかし、霊夢が好き嫌いをしているのは貴方は見たことは無い。
調理したものは何でも美味しそうに食べてくれている。と貴方は答える。

「あ、えっとね、ちょっと違くて…」

眉を八の字に潜ませてサニーミルクは答える。
貴方は何やら言いにくそうにしている彼女を見て、どうしたんだろうと考えた。
とにかく、彼女の顔を見つつ次の言葉を待つ。

「う…うーんと…あの、貴方は何が好きなの!?」

目線をあちらこちらに向けたかと思えば、握りこぶしを作りつつ貴方の好みを突然訪ねて来る。
貴方は急に大声を出されたので驚いたが、辛い物かな、と答えを出した。

「あ、辛い物、そうなの…辛い物ね、うん」

またも眉を潜ませている。どうしたかと思いつつも、サニーミルクは何が好きか、と返しの質問をした。

「え?私?甘い物なら好きだけど…」

その回答に貴方は、じゃあ今度来た時甘いものをご馳走するよ、と返事をする。
すると、潜ませていた眉は直り、目を見開いて笑顔になった。

「本当!?約束よ、三人分用意しててね!」

先ほどまでの微妙な表情はどことやら、太陽の様に眩しい笑顔を見せるサニーミルクだった。


好感度上昇値 (コンマで出た上昇値+1)
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

直下でお願いします。

1~4 +1 ボーナス+1 = +2


三月精:【恋慕(小)】→【恋慕(大)】


「ねえ、今度はお返しに貴方の好きな辛い物、持ってきてあげるからね!」

そろそろ帰る、と言ったサニーミルクがその際に貴方に告げる。
楽しみしてるよ、と彼女の頭を撫でつつ、期待する言葉をかけた。

「ん…ふふ、任せておいてよ!ばいばい!」

頭を撫でられて上機嫌になっている彼女を微笑ましく思うと共に、手を振って帰る彼女を見送った。
森の中を鼻歌まじりに駆けて行く彼女の後ろ姿は、突然、その姿を消す。
また能力を使ったのだろうと思いつつ、貴方は掃除の再開をした。


「スター!サニー!辛い物を盗みに行くわよ!」
「あら、どうして?貴女って辛党だったけ」
「行くなら一人で行って来なさいよ。辛い物は好きじゃないの」

今回のサニーミルクの作戦は、あまり他の二人には好意的に受け止められてない様子。
第一に、どうして、と言うのが念頭にあるのだろう。

「あの外来人が好きだって言ってたの。甘い物と交換してくれるわよ!」
「そうなの。だったら協力してあげるわ」
「…なら、私も別にいいけど」

しかし理由を告げたならば、納得して協力的になる二人。
さて、その本心は甘い物が欲しいからか、貴方を喜ばせたいからか。

修正:

×「スター!サニー!辛い物を盗みに行くわよ!」
○「スター!ルナ!辛い物を盗みに行くわよ!」 」

拭き掃除を終え、神社に入るといい匂いが貴方の食欲をそそる。
丁度朝食の準備が整った様で、手を洗って居間に入ると、霊夢が貴方の茶碗にご飯をよそってくれる所だった。
礼を述べつつ、丸机に座り向かい合って朝食を食べ始める。

いつもの光景であった。

さて、今日は体調もすこぶる調子がいいので、出かけるとしよう。


今日は――――――



安価:↓2


1.人形劇の仕事をする予定だ。

2.人里で何か買い物をしておこう。

3.甘味屋にでも行ってみよう。

1.人形劇の仕事をする予定だ。


人形劇の公開日なので人里へと来たのだが、肝心の雇い主はまだ来ていない様だ。
予定の日と集合時間は間違っていない筈なので、恐らく支度に時間がかかっているのだろうと推測する。

因みに、人里の貴方に対する視線は幾分か良くなった様だと貴方は感じている。
ちょくちょく金を落としていることや、人形劇のバイトがいい影響を与えている模様。
そして霊夢との同居の噂は早くも下火になっている。
七十五日どころか、数日間でしか無かった。

さて、まだ一時間は劇の開始まで時間はあるのにもかかわらず人はチラホラと集まりつつある。
その人々と挨拶を交わしながら待つも、そろそろ打ち合わせもしなければならないと若干の焦り。
加えて暇が貴方を襲ってくる。


そうして待っていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.慌てた表情でアリスがやってきた(アリス)

4~6.劇を見に来た華扇が話しかけて来た。(華扇)

7~9.箒に乗って来た魔理沙が話しかけて来た。(魔理沙)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

1~3.慌てた表情でアリスがやってきた。(アリス)


「ごめん!待たせたわね」

貴方がどうしようか、と悩んでいると、ようやく雇い主であるアリスが飛んで来る。
珍しく慌てており、若干ながら息も上がっている模様。
貴方はらしくないその様子を見て、大丈夫か、と声をかける。

「え、ええ…悪いわね、ちょっと出がけに色々あって…」

ふう、と一息ついて、ようやく落ち着いた様だ。
すると、早速いそいそと人形達に舞台の準備をさせ、小道具を出し始めた。

「よし、余り時間は無いけど、そんなに難しくないから打ち合わせは軽くでいいわね?」

劇の台本を貴方に見せながらアリスは言う。
打ち合わせと言っても、台本でどこでどうするかは書かれているし、
裏方で人前には出ないので、記憶出来なくとも見ながら行動すればいいので特に難しい事は無かった。

「ええ。頼むわね」

貴方が了承したのを見て、彼女は打ち合わせを開始する。


その内容を見ると、やはり善と悪はあっても、お約束とも言える誰かを助ける、というのは無い。
前回霊夢から聞いていた、異変解決をモチーフとしているからだろう。

「まあ、大分内容はシリアスにしているけどね。異変って本当はもっとなあなあでやってるのよ」

彼女曰く、実は人形劇の方が真剣みがあるとのこと。
放って置けば大事になることも、その多くは解決はするものの、妥協で済ませているケースが多いらしい。

「…と、これで冒険は終わりです、ありがとうございました」

アリスと、彼女の操る人形達が揃って礼をする。
と、同時に、やはり観客達は盛大な拍手を送ってくれる。
人形達の精巧で躍動感のある動きは、誰しも心奪われてしまうだろう、と思わせる程のものだった。

「ふう、今回も上手く行ったわね。それじゃ、片付けましょうか」

成功の余韻を味わう暇も無く、アリスと貴方は舞台と小道具を片付け始めた。
本来は十人位は必要と思える程の舞台装置と道具の数々。
当初、これを一人で人形達と合わせてやろうとしていたのだから驚きである。

「そんな大したことじゃ…いえ、そうね。貴方がいてくれて助かったわ」

一瞬、出しかけた言葉を訂正して、貴方を労ってくれる言葉をくれる。
彼女の素直な言葉に、どういたしまして、と返事をしつつも、少しばかり貴方は照れた。

「一人でやるのも気楽だと思ってたけど、二人でやるのも楽しい物よね」

「もう一体大きな人形を操作しているみたいで…なんてね」

ペロ、と舌を出して冗談を言うアリス。
しかしあくまで冗談ではあるが、確かに彼女の言われるがままに動いている貴方は、ある意味彼女にとっての人形だろう。
確かにそうかも、等と真剣に考えている貴方を、彼女は苦笑いしていた。


ここでふと、貴方は気になっていたことをアリスに尋ねた――――――

安価:↓2


1.いつもより遅れて来た理由について。(アリス:好感度変動???)

2.人形劇を始めた理由について。(アリス:好感度変動???)

1.いつもより遅れて来た理由について。(アリス:好感度上昇UP)


「え…あの、もしかして怒ってたりする?」

この質問に太子て不安げに貴方を見るアリスだが、貴方は別に責めるつもりで聞いたわけでは無いと弁解する。
ただ何となく、会話を繋げるために聞いた程度である。

「それならいいのだけれど…。まあ単純に言えば、突然知り合いが訪ねて来たのよ」

成程、出がけに応対することになったので、遅れてしまったのか。と貴方は合点がいった。
その人は友達かな、と貴方は続けて質問をする。

「…少なくとも友達とは呼べない人…でも無い、神様なんで…」

乾いた笑いをしながら、その尋ね人、ではなく、尋ね神との関係を答えられる。

「まあ、その方の応対で時間かかっちゃったの。ごめんね」

結局謝れてしまうが、寧ろ彼女が疲れている様子を見て貴方は逆に労いの言葉をかけた。


『外から来た人間の男の子?ほうほう』

『人形劇を手伝ってくれていると?ふむふむ』

『そして一緒に住むかもしれない、と。なるほどねえ…』

『で、結婚はいつなの?子供は何人作るの?ねえねえねえねえ』


「(こんなことがありました。とは、流石に言えないわよね…)」

アリスとその知り合いとの対話はこの様な物だったそうな。
顔を赤らめつつ、困った様な表情をするアリスに貴方は困惑した。


好感度上昇値:直下
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

5~8 +2


アリス:【恋慕(小)】→【恋慕(大)】


「コホン、そう言えば忘れてたけど、はい。今日の分よ」

アリスはわざとらしく咳ばらいを一つすると、貴方に日給を渡す。
顔を赤らめた理由は貴方には分からず仕舞いである。

「それじゃ、私は帰るけど…貴方も帰るのなら、送って行ってあげるわね」

劇の片付けを完了すると、貴方の返事を聞く前に貴方の手を握るアリス。
これは飛ぶ合図をするサインである。
しかし、まだ時間に余裕はあるので、今日は歩いて行くよ。と遠慮をする。

「あ、確かにそうね。…じゃあ、私も歩いて行くわよ?」

結局飛ぶにしろ飛ばないにしろ、貴方を神社まで連れて行くつもりの様だ。
断るのも何となく失礼であるし、帰る道筋までの話し相手も欲しかった所。
アリスさえよければ、お願いするよ。と、以前に同居を考えさせられた時と同じ返答をする。

「うん、いいわよ。それじゃ、行きましょ」

舞台道具は人形達に持たせ、貴方とアリスはそのまま神社へと歩き出した。
人形達そのものよりも重い道具をそれぞれが持てていることについては、最早言及しない貴方。

因みに、飛ばないのに握られている片手に気付いて離すのは人里を出た後の事だったとか。



一旦中断します。


※好感度にボーナスがつく選択肢を選んだ場合

(○○:好感度UP+1)
 
 好感度上昇値:直下 (コンマで出た上昇値+1)

 の二つを書いています。 よって今回は普通の上昇値です。混乱させてしまってすみません。

貴方は、神社の階段の下でアリスと別れることにした。
というのも、博麗神社までの階段は中々どうして段数の多い石段であり、
ここを登るのは女の子には辛いだろうと貴方は判断した為。

森を優雅に飛び立つ彼女を見送ると、初めて見る人ならうんざりするほど長い階段を登り始める。
貴方はもう見慣れた光景なので、すいすいと軽々登っていく。

とはいえ、登り切る頃には少しだけ肩で息をする程度には疲れる。
やはり飛ばないのならば、女の子にはきつい階段であると感じられる。
貴方の知る女の子は皆飛べるので、そう考える事自体あまり無いが。


こうして階段を上ると、神社には――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.霊夢が腰かけていた。(霊夢)

4~6.魔理沙が腰かけていた。(魔理沙)

7~9.紫が腰かけていた。(紫)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

4~6.魔理沙が腰かけていた。(魔理沙)


「お、よーう。あんたか、普通の外来人」

腰かけながらぼりぼりと煎餅をかじりつつお茶を啜っている魔理沙。
まるで家主のごとく図々しい彼女に一言挨拶をして、霊夢は、と尋ねる。

「居ない様だな。全く、私が来た時に居ない霊夢は駄目な方の霊夢だ」

次の煎餅に手を伸ばしつつ、怒る様な口調で霊夢を批判する。
暴論を言う彼女に苦笑いしながらも、貴方は皿に盛られている煎餅に手を伸ばした。

「ところでさ、香霖からこれ借りたんだけど」

徐に持っていた鞄の中を漁ると、何か箱に入っているものを取り出す。
香霖、というのは香霖堂の事だろう。

「これ、分かるか?」

貴方に差し出したのは、外では世界的に有名であろうパーティゲームの一つだった。
どうしてこれが香霖堂にあるかは分からないが。

「香霖もどう遊んでいいか分からないってな。あんたなら知ってるだろうって」

どうだ?と期待のある視線で尋ねてくる魔理沙。
当然貴方も知っているゲームなので、教えるから一緒にやろう、と誘ってみる。

「お、流石だ。ご指導ご鞭撻のほどよろしく頼むよ」

そこまで大袈裟なゲームでは無い事は確かである。

「…成程、で、抜いた積み木を積み上げて行って、塔を倒したらそいつが罰ゲームと」

貴方は彼女の持ってきたゲームの説明を一分程度で終える。それほど単純なゲームである。
因みに罰ゲームはあってもなくてもいいが、ある方が盛り上がる、と貴方は思っていた。
複数人数でやるゲームではあっても、二人でやるにも十分楽しめるだろう。

「簡単なゲームだな。ま、暇つぶしにはいいか」

「よし、やろうやろう。罰ゲームは夕食に招待して貰おう」

かなり乗り気で始めようとする魔理沙。
貴方が勝った場合の罰ゲームも決めようと思ったが、

「どうせ私が勝つから決める必要なんてないさ」

得意顔で楽勝、と言っている。初めてのゲームで強気になれるのは彼女の強みなのだろう。
とはいえ、肝心の貴方への罰ゲームも夕食なのでさほど気合を入れる必要は無い。

「私からな。よ…と。ほら、簡単だ」

すぐに始めているが、教えた手順通りにやっている。
積み木の塔が低いうちは確かに簡単なのだが、高くなるとそうは行かない物。
そして倒した時のショックも比例的に大きくなっていく。


さて、貴方は――――――

安価:↓2


1.本気で頑張る。(魔理沙:好感度変動???)

2.適度に頑張る。(魔理沙:好感度変動???)

1.本気で頑張る。(魔理沙:好感度UP)


「…私の番だな…」

開始から十分ほど経過して、既に開始と比べれば相当高さが上がっている。
にも拘わらず、塔の中身は抜かれてスカスカなので、安定感はまるで無い。
いつ崩れてもおかしくない状態で木製の塔はそびえ立っていた。

「ここを抜いて…どうだっ…」

最初の勇ましい抜き方と置き方から一変して、非常に慎重になっている。
しかし、無事置き終わり、貴方の手番が来る。筈だったが。

「あっ」

魔理沙が小さく声を漏らすと同時に、あたかもスローモーションな動作に見えるかの様に、塔は崩れ落ちた。
とうとう安定に限界が来てしまい、この瞬間ゲームの勝者は貴方となった。

「…違う。今、あんたが揺らしたからだな」

しかし、頬を膨らませながら、またも暴論を出して負けを認めない魔理沙。
やはり塔の高さと敗北時のショックは比例するものだと貴方に実感させる。

「そうとも。元々こんなゲーム、別に楽しくなかったし」

少しばかり拗ねてしまった様だ。
機嫌を直す為に、今日は晩御飯食べて行くかい、と、ゲームを片付けながら尋ねた。

「む…それはいいな。食べていくぜ」

それは彼女が貴方へと約束した罰ゲームだったが、別に罰にしなくてもご馳走する気持ちは貴方にあった。


好感度上昇値:直下
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

9・0 +3


魔理沙:【知り合い】→【友人(大)】


「おお、美味い。霊夢、いい拾い物したな」
「拾い物言うな」

本日食卓を囲むのは、 貴方と霊夢に加えて魔理沙の三人。
霊夢は魔理沙が夕食を共にすると知って、呆れたような表情を見せるも、結局断らなかった。

貴方の料理には魔理沙も満足の行く出来だった様子。

「なあ、こいつ家に一つ欲しいな。借りて行っていいか?」
「萃香と同じ様な事言うのね」
「うぐ、酔っ払いと同じなのはなー…」

こうして二人を見ると、まるで姉妹の様だと貴方は感じていた。
二人は幾度となく異変を解決した人間。どこか似ている所があるのだろう。

「…なあ、罰ゲームのことなんだけど」

すると、ボソ、と耳打ちするように貴方に話しかける魔理沙。
罰ゲームの件の事らしいが、貴方は最初から特に気にはしていなかったので、別にいいよ、と返答する。

「…本当か?太っ腹だな、気に入ったぜ」

その返答に機嫌を良くして、背中をパシパシと叩いてくる。
姉妹は霊夢とでは無く、萃香となのかも知れない、と貴方は一人で感じていた。

~11日目・終~


霊夢:【恋慕(大)】
華扇:【親友(大)】
三月精:【恋慕(大)】
アリス:【恋慕(大)】
文:【友人(大)】
萃香:【恋慕(大)】
紫:【親友(大)】
魔理沙【友人(大)】



今回はここまでとします。

~12日目~


貴方は目を覚ました。
寝ぼけ眼のままフラフラと洗面台へ向かうと、そのまま冷水で顔を洗う。
水の冷たさと濡れる感触が頭と体を覚醒させ、朝のリズムを整えさせる。
その後、貴方は荒々しく顔と少し濡れた前髪を手ぬぐいで拭き取ると、朝の日課を始める事にした。


さて、今朝はどうしようか。


貴方は――――――

安価:↓2


1.朝食作りをすることにした。

2.境内の掃除をすることにした。

1.朝食作りをすることにした。


貴方の料理の腕前に関しては、霊夢、萃香、魔理沙からはお墨付きを頂いている。
しかしご馳走した中で唯一、紫からだけは美味いという言葉は頂いていない。

部下がいるとのことだが、その人が余程料理が上手いのか。
何となく彼女にも認めて貰いたいと今日も気合を入れて作る貴方。

実際の所、胡散臭いだとか言われている彼女が、素直に相手を褒めないことは周知の事実。
貴方がそれを知る由もないのは、幻想郷に来て間もない事もあって仕方の無い事だった。


こうして朝食を作っていると――――――

コンマ下1桁:直下


1~3.いつもより霊夢が早起きして来た。(霊夢)

4~6.突然肩に萃香がのしかかって来た。(萃香)

7~9.背後から酒の匂いを漂わせながら紫が現れた。(紫)

0.  二桁目の数値を参考。更に好感度判定に+1

4~6.突然肩に萃香がのしかかって来た。(萃香)


「よっ。今日も朝から頑張るね」

料理をしていた貴方の肩に、突如ズシンと重みが加わる。
驚きと重みに思わず声が出しつつ、後ろによろめいてしまう。

「なんだよ、そんなに重たく無いだろう?」

少しだけ不機嫌な声が後ろから聞こえると、飛び降りたのか肩の重みは消え失せる。
そのまま貴方が後ろに振り返ると、腰に手を当てて口を尖らせている萃香が目に入る。

「だらしが無いぞ。男の子なら女の子一人支えられないと」

握り拳を軽く貴方の腰に叩きつける萃香。
彼女の体重自体は非常に軽いのだが、それでも突然肩に負担が関わるとよろめいてしまうのは普通である。

それはさて置き、貴方は、まだ出来て無いからもう少し待っててね。と、彼女にお願いする。

「そう?…あの、貴方がよければ、だけどさ。私も手伝ってもいいけど?」

目線を横に向けつつ、手を後ろで組みながら手伝いを申し出る。
彼女は酒の誘いやつまみ食いはするけれど、こうして手伝いをすると言ってくれるのは初めてだ、と貴方は思いつつ、
ありがとう。と素直に彼女の厚意を受け入れる。

「ようし、任せてよ。鬼の力を見せてやるからね」

貴方と同様に気合を見せる萃香。
ほどほどにと苦笑いしながら、貴方は彼女の手伝いに感謝した。

「うああっ、焦げた、どうしよう」

貴方が萃香の手伝いを受け入れた数分後、早くもトラブルが発生してしまう。
魚を焼く火力を強くし過ぎた様だが、取りあえず貴方はドンマイと励ましつつ、助言をする。

「しまった、崩しちゃった…」

先ほどの焼き魚を取り出すときに身が崩れてしまったらしい。
緊張の余り力を入れ過ぎた様だが、またもドンマイと励ましつつ、助言をする。

「…やば、零した」

魚を皿から零してしまったらしい。貴方は、それは自分のにするよ、と励ましつつ、助言をした。


「…面目無い。手伝いするなんて言っててこの様とは」

萃香は先ほどの失敗続きに、とうとうしょげてしまう。
貴方は気にしてないことと、手伝ってくれた事に礼を言って彼女を慰める。
それと、どうして今日は手伝ってくれたのか、と気になっていた疑問を彼女にぶつけた。

「まあ、その…誰しも、女は料理の一つくらい出来た方がいい、て思うのだろう?」

「だから、今回はその最初の一歩のつもり、だったんだけどさ」

言いにくそうにしているが、どうやら女の子の嗜みと言う物に興味を持ち始めた様。
貴方としては特に意識したことは無いので、何とも言えないと思っていた。
とはいえ、その様な事を意識し始めた彼女には何かしら助言をする必要があるのかも知れない。


彼女に貴方は――――――

安価:↓2


1.自分が料理を教えようと言った。(萃香:好感度変動???)

2.料理が出来なくても問題無い言った。(萃香:好感度変動???)

2.料理が出来なくても問題無い言った。(萃香:好感度UP)


「む…そういうものかな?」

そういうものだよ、と貴方はフォローする。
誰しも得意不得意はあるもので、料理が出来なくとも女らしくないとは思わないと貴方は主張する。

「…そっか。それなら、もう料理はいいかな」

ふと、憑き物が落ちた様にすっきりとした顔をする萃香。
落ち込んでも立ち直るのが早い、と貴方は感心していた。

「貴方は、気にしないんでしょ?」

少し不格好に出来上がった焼き魚を居間に運ぼうとする萃香は、立ち止まりつつ首だけ此方に向けながら質問をする。
貴方はそれに、自分は気にしない、と改めて答えた。

「うん。なら、いいんだよ」

そう一言言い、ニカッと彼女は笑顔を見せ、再び歩き出した。
居間へと料理を運ぶ彼女に追随して、貴方も食器を運び着いて行く。
先のはあくまで個人の意見なのだが、彼女が納得したのならそれでいいか、と貴方は考えた。

「…まあ、でも。手伝いで足を引っ張らない位には、頑張ろうかな」

ぼそ、と呟く彼女に貴方は同意する。
頑張るのは伝わっても、少しだけでも結果を出して欲しいのは、残念ながら共通の認識だった。


好感度上昇値:直下
1~4 +1
5~8 +2
9・0 +3

1~4 +1


萃香:【恋慕(大)】 →【親愛】


「ねえ、あのさ」

そろそろ霊夢も起き出して、さあ三人で朝食だ、という時に萃香が話しかけてくる。
その部分だけで言えば特に珍しいことでも無い出来事。

しかし、その声色や表情は、彼女と出会ってから始めて聞く、そして見る物だった。

「今日の夜中、起きていてくれるかい?一緒に呑みたいんだ」

内容は酒豪の彼女らしい物。夜中、というのは、もしかしたら、二人きりで呑みたいから、という物かも知れない。
そう前回に彼女と約束したことを貴方は思い出していた。

「うん。無理そうなら、別の日でもいいけど」

いつもは自らの頼みを、強要すると言ってもいい程に押し付ける彼女が、
何故か今回の頼みに限ってはしおらしく頼んでくる。
その様子に少しだけ動悸の上がる貴方だが、約束は守ると彼女の頼みを了解する。

「…ありがとう。霊夢が寝てから、部屋に行くね」

約束を取り付けた現在も、声色は上がり調子にならないまま。

しかし、霊夢が起きて三人で朝食を囲む頃には、元通りになっていた萃香だった。



萃香が【親愛】を獲得したので、エピローグに入ります。

~12日目・夜~


現在、夜中の十一時位だろうか。貴方は現在、蝋燭に火を灯しながら一人の女の子を待っている。
霊夢は既に貴方にお休みを告げて、今なら揺すっても目は覚まさないだろう。
昔なら、子の刻と言うのかな、等と貴方が考えていると、貴方をこの時間まで起きるよう頼んでいた張本人が静かに訪れた。

「…こんばんはー。起きてるか―い?」

外から静かに襖をノックして、小声で貴方が起きているかを確認するのが聞こえる。
大声をあげて家主が起きては大目玉を喰らうので、貴方も静かに、起きてるよ、と返事をして、襖を開ける。

「お、良かった。覚えていてくれたんだね」

ニコニコと笑う彼女の脇に抱えるのは一升瓶。幼い顔とは裏腹に、立派な酒瓶を持ってきた。
貴方はそのギャップに少しだけ微笑むと、用意していた盃を二つ、取り出した。

「へへ。ありがとうね。並々おくれよ」

彼女の片手には大き目の盃に、注文通り溢れそうになるまで注ぐ。
そして、彼女は器用にもそれを片手で持ちつつ、零さないまま貴方の盃に返盃する。

「…っと。んじゃ、はい」

注がれた自らの盃を貴方に差し出す。
それを見て貴方も、自らの盃を萃香に向ける。

「よし。それじゃあ、乾杯。と」

コツン、盃同士の当たる高い音が響き渡る。
勢いよく酒を呑み干していく萃香とは対照的に、ちびりと少しずつ呑み始める貴方。

二人だけの宴が始まった。


今回はここまでとします。

「ぷはあ。やっぱり二人だと一人で呑むよりも旨く感じるねえ」

萃香は一息で豪胆に酒を呑み干すと、再び自分の盃に注いでいく。
貴方も負けじと呑んでいくが、アルコール度数の強さも相まってか全く彼女のペースには追いつけない。

「あははは、無理しない方がいいよ。酔い潰れては話も出来ないだろう」

ポン、と盃を持っていない手で貴方の肩を叩く。
以前、霊夢と呑んた時の様な姿を晒したくは無いと貴方は考え、彼女の忠告通り一度盃を置く。

「そうそう、夜は長いんだ。じっくりと楽しもうじゃないか」

その間にさえ萃香は留まることなく酒を呑み続ける。
彼女の腰にある瓢箪からは、今呑んでいる物とは比較にならないほどの強さを持つ酒が入っている。
それを常飲している彼女にとって、この程度なら問題にならない。

「…さて、貴方に話しておきたいことがある」

二杯目の酒を飲み干してしまうと、萃香は真剣な表情へと変わる。
真面目な話をするのだろう、と、貴方がそれを察すると、思わず正座に居直す。

「はは、楽にしててもいいけれど。まあ、いいか」

「…単刀直入に話すけど」

「紫から、結界に問題が無いから、すぐにでも貴方を帰せると聞いた」

「やっぱり、そんな顔になるよね」

貴方はその事実を聞いて、まずは驚きが。次に、喜びと寂しさの感情が同時に湧き上がる。
それらが混ざり合って、なんとも難しい表情になってしまうが、それを萃香は分かっていた様子で語る。

「此方に来てまだ短いとは言え、随分馴染んで来てしまった様だね」

溜息を一つすると、三杯目の酒を呑み始めて行く。
貴方はそれを見つめながら、一つの事を考えていた。

帰るべきか、残るべきか。

「明日にでも、紫は帰るか帰らないかを尋ねてくるはずだよ」

「帰ると言ったのならば、二度と幻想郷に来ることは無いだろう」

「残ると言ったのならば、二度と幻想郷を出ることは無いだろう」

「…選択して欲しい。今、此処で」

萃香は話している間、真っ直ぐと貴方の目を見つめる。
貴方はその視線に耐えられず目線を逸らしてしまい、どう彼女に返答したら良いのか分からないでいた。

本音を言えば、外の世界に生活の拠点を戻しつつ、暇あれば幻想郷を尋ねたい。と貴方は考えている。
しかしそんな事は出来ない。たった今、釘を刺されてしまう。

普通ならば。もし、未練が無ければ。貴方は喜んで帰るとはっきり言えただろう。

しかし、彼女の言う通り此方の世界に随分と馴染んでしまったらしい。
不便だと思っていた生活は、何時の間にかそれが当然だと思い始めている。
一癖二癖もあるが、仲の良い友人も出来た。女の子の比率が多い気もするが。

目の前の彼女も、その内のまた一人。

「決められない様だね。優柔不断は良くないと思うよ」

眉間に皺を寄せながら、萃香は非難するかのような言葉を貴方にぶつける。
貴方は、面目ない、と謝りつつも、そう簡単に答えられる質問では無いと考えさせられている。

「…そう。分かった。決められないのなら、決めさせてあげる」

貴方はその言葉に思わず逸らしていた視線を萃香に戻すと、三杯目の盃を飲み干す姿が目に入る。
そして空になった杯をおもむろに床に放ると、貴方の傍へとにじり寄って来た。
ニヤリと口角の吊り上がった悪どい笑みと、嘘を見抜くような鋭い目つき。

貴方はその迫力に盃を落とし、手を床について少し後ろにのけ反ってしまう。
落とした拍子に少し中身の入っていた盃から酒が零れて畳を濡らす。

「選ぶ必要が無ければ、悩む必要もあるまい」

貴方の両肩を、決して力強くとは言えないほどの力で押す。
酔っていたのと、萃香の迫力が加わってか、自分でも驚くほどあっさり彼女に押し倒されてしまった。
そのまま萃香は貴方に覆いかぶさると、再び語りだす。

「なあ。覚えているよな?鬼ってのはね、気に入った人間を攫って行っちゃうんだ」

覚えている、と貴方は機械的に返事をする。それはいつだったか聞いた内容と同じもの。
しかし、そのシチュエーションは大いに違っていて。

「私は、貴方を気に入っている。一人の人間として、気に入っている」

「だから、攫おうと思う。地上から地底では無く、外の世界から幻想郷へと」

酒に酔っているせいか、その他の事象も相まってか、萃香の頬は赤らんでいる。
貴方の両肩を掴んでいる手は、痛みを感じない程度に力が入っている。
いつの間にか顔も近づいて来ており、彼女の口から漏れる吐息を感じとれる。

アルコールに混じる、甘い香り。

「向こうの世界に帰って欲しくないんだよ」

貴方の目を見つめて離さない萃香。その目から視線を逸らせない貴方。
誰かが言っていた、女性は二面性を持つ、と言う言葉をこの瞬間、貴方は思い出していた。
快活で時折子供っぽくも見える彼女は、今は一人の女性として貴方の目には見えている。

そんな貴方の様子を見た萃香は、一言告げる。

「攫われてくれ」

簡潔に、一言告げる。

結局のところ、今此処で幻想郷に残るか残らないかの選択肢を迫られていることには変わりない。
しかし先ほどと違う所は、無言を貫けば、あるいは悩めば、貴方は"攫われて"しまうだろう。
迷う、という選択肢を捨てられてしまった今、ここで決めなくてはならない。


貴方は彼女に――――――

安価:↓2


1.攫われる。(萃香:好感度変動???)

2.攫われない。(萃香:好感度変動???)


※どちらでも物語上には関係ありませんが、エンディングが少し変わります。

2.攫われない。(萃香:好感度UP+1)


萃香:【親愛】 →【親愛+1】


「っ…。そう、か。分かったよ」

静かにそう言って、萃香は貴方から離れる。
その刹那、少しだけ痛みを感じる程度に肩を強く握られる。

「脅すようで悪かったよ。ごめん」

先ほど放ってしまった盃を取り、再び酒を注ぎ始める。既に四杯目だった。

「空気を悪くしたね。ああ、零しちゃったし、また注いであげるよ」

貴方の落とした盃を拾い、酒を注いでから貴方に渡す。
それと同時に、酒瓶は空になる。ピチョン、と、水滴が落ちてそれを伝える。

「…空いたか。これを呑んだら、お開きだね」

そう言うと、先ほどの様に豪快に飲み干すのではなく、静かに口を付け始める萃香。
それは酔って勢いが無くなったからか、少しでも貴方との時間を長く過ごしたいからか。

しかし貴方はそれを見て、先ほどまでとは違い、ぐい、と一息に注がれた酒を呑み干す。

「あっ…」

貴方の飲み干した姿を見て、萃香は寂しそうに声をあげてしまう。
じっ、と貴方と自らの盃を交互に見つめたかと思うと、貴方と同じ様に一気に飲み干した。

「…ん、はあ。飲んだ。ああ、飲んだよ。少し、悪酔い、したようだ」

「付き合って、貰って、ありがとうね。愉しかった。愉しかったよ」

愉しかった、と言いつつも、寂しそうに目を伏せる萃香を見て、貴方は酔ったせいで少し声を大きくして、違う、と言う。

「違う…?って、何がかい?」

愉しい、というのが違うのか、と意味の分からないという表情を見せる萃香。
貴方は、違うとは、攫う攫われないの話では無い、と言う。

「何だよ、言ってる事が分からない」

萃香はキョトンと困惑した顔を浮かべるが、貴方自身も酔っていて上手く話を纏められないでいる。
舌も回らなくなって来ているが、少しずつ酔った頭で整理して話し始める。

攫われて残る、となると、まるで自分の意志では無いように思えて嫌だった。
自分の処遇を萃香に押し付けるみたいな形になって嫌だった。
だから、そういう話では無く、自分で残りたい。と言いたかった。と。

それを聞いて萃香は、驚いた表情を浮かべ、話し始める。

「……………」

「それで、いいの?」

「私は、嬉しい。貴方が残るって言ってくれた事は」

「でも、今までの生活を全て捨てる事になる。それでも…」

「残って、くれるの?」

背丈が大きく違うせいで、萃香は貴方を見上げる形になっている。
ここからは、しっかりと視線の高さを合わせて話す必要があるだろう、と貴方は思い、
屈んで萃香の目の高さに視線を合わせた。

「…?」

目を合わせたまま、黙る貴方に萃香はまたも不可解な顔を浮かべる。
しかしそれも意に介せず、貴方は小さく深呼吸をして、自分の想いを伝える。


―――幻想郷が好きだ。だから残らせて欲しい。

―――この住民が好きだ。この生活が好きだ。

―――萃香が好きだ。

―――君と一緒に過ごして行きたい。


貴方の言葉に、押し黙る萃香。
彼女の返事を待っていると、少しずつ萃香の目が潤み始めて来る。
鬼の目にも涙、などと考えている貴方に、萃香はようやく話し出す。


「…後悔しないね」

「鬼は、嘘が嫌いだ。そんな言葉をかけておいて嘘でしたは、通用しない」

「酔った勢いで言って覚えて無いも、通用しない」

「覚えたからね、忘れないからね、その言葉」

「…そう、なら。私も言わなきゃだね」


「…私も、貴方を…」

~20日目~


貴方は目を覚ました。

生活環境が再び変わって一週間が経過する。
幸運にも人里の空き家を住まいとさせて貰っており、神社に居た頃よりは不便なものの十分な生活を送れている。

さて、朝食を食べたのならば、今日は仕事が休み。
貴方はお土産の団子を抱えつつ、以前、貴方が暮らしていた博麗神社へと向かう。


「あら、いらっしゃい」

山道を歩き終え、神社を訪れると、境内の掃除をしていた霊夢が貴方を出迎える。
貴方は挨拶をすると、手土産の団子を彼女に渡す。

「ありがとね。ここに来るのでちゃんとしたお土産持ってきてくれるのは貴方だけよ」

霊夢は礼を述べつつそれを受け取ると、神社を親指で指差して言う。

「アレ、もう待ってるわよ。呼んでくる?」

彼女の提案に、ありがたいと言いつつも、自分で呼んで来ると貴方は答える。
そして家主に許可を得ると、神社の裏口へと貴方は向かった。

「………」
「神聖なる神社で逢引の待ち合わせとは、なんとも生意気ですわね」
「別に気にしてないわよ」
「本当に?」
「うるさい」

いつの間にか霊夢の隣に現れて話しかけるのは、やはり紫。
突然現れた彼女に、霊夢は箒を片手に不機嫌そうな顔を浮かべていた。

「仕方ないんでしょ。人里で会ったら驚かせるみたいだし、ここなら分かり易いだろうからって」
「本心はどうですの?」
「ムカつく」
「ふふ、正直ですわねえ」

軽口で語り合う二人。
しかし、紫は突然真面目な表情になり、霊夢に話す。

「でも、よかったの?貴女も、彼の事…」
「いいの。今更私がどうこう言う話じゃないし」
「…そう」
「それに、一晩泣いたらスッキリしたから」
「………」
「…何よ」

「霊夢、可愛い」
「うるさいっ」


神社の裏口へと貴方が来ると、目的の人物である萃香はそこに腰かけていた。
貴方は彼女に声をかけると、気付いた萃香は満面の笑みを浮かべ、貴方を出迎えた。

「待ってたよ。来てくれたね」

貴方に駆け寄ったかと思うと、そのまま体をポスンと貴方の体に納める。
頭は貴方の胸の下辺りあり、そのままぐりぐりと擦りつけるように埋める。
貴方はその頭を優しく撫でると、気持ちよさそうな声を出す。

「んー…これ、好きだなあ。もっと味わいたいところだけど…」

名残惜しそうな声を出すと、そのまま貴方から離れる。
そして、貴方の手を取り、そのまま宙へと一緒に浮き上がる。




「さあ、行こうか。一緒に行こう」



「一緒に過ごして行こう」



「ずっと、一緒にいよう」



「…大好きだよ」


幻想郷に来た貴方が萃香と仲良くなる話 ※恋人編※ 終


                     ,、      ∨/  `ー- .,_\ .,ゝ ||   l
                       i; \     ,/  _ ,,... ,.冫', て ||   .l
                ____     l; ; ; ;\   ル''" ; ; ; ; ノ, -'"\ヽ、ヾ_   l
              `ヽ. `'_、 〈; ; ; ; ; ;ヽ ,/; ;; ; ; ; ;ッ'´   _,.-'''"  |、  ',
                `.、 \.|; ;; ;; ;; ;_∀ .-‐ -/    /´.    ,! `⌒´.'、
                 ヽ ヘ: ; ;,. '"     /   ./、     〈 三三三.〉
                       ',   X゙     ~"`^ヘ、__,.' ` 、   └レ-廴ノ
                       ヽ.,' /    `  、`..、 ヽ   ' , へ、  l   ',
                      ,イ  l .i、   _ _ ,ヽ  > ',   ゛, 、`.ソ     ',
                      〃l .,'i i.  ',~''、 `ヽ7大ミ゛',  i.   ', /      / 、
                 〃 l. i l. ',. ',.,ゞ `"゙'ベン  i.  li    , '      ,、´`ヾヽ
                  ll. ヽ从 ' ,. '゙f㍉     リ  !l _ , '     / ゙ 、 ', ',
                   l!     `''´ヽ.lゞ′' , 冫.,'  ,i'´      , ' ',    ヽ i i
                      ゛     ,ノ´ 冫_ `'  ,' .,'{   ,  ´,. ' ',  ',   ヾ',.'
                      _ .ノ´  ___.〈 __,.,`ベ,' ,.' (  ,' ., ´  i  .i     ',
                      , ''"    f ´_,,..卅__. `,.'  i ,' / /   i  l   l     .i
            , ‐‐- 、__l   _ ,.//., '´l ヾ ` i.  l ゝ,.' ,'   .l     !     l
              r ´ ̄`ミl_}_,ィ ´  弋._/o/l.  ',  ', ! `7ノ_,,..  .l      i     .!
           ,' _ _ _.ノ  `ヽ   /o./ {,-'´  {=}  `´/   !     .l     l
            ´   ´      `ム7.o./       i `.、- イ{|   i       i|    ,'
´ ̄ `ヾ''- ._                ム/o/         }  ',   l   l      ,'l    /
;;;;;;;;;;;;;; ヽ. :: .` .、  r‐ェ、, - 、  _,,..〉三_ `ヽ     ',  l  .!   ',    , ' ,'   ,.'
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;;;;;;;;;;; i ::::::::: :::::::::: ::::::::: (`; ,、 ::::::::::::::: '., :::::::::::::::::::::::::::::::::: i    ',       .i

これで終わります。
選択肢で1を選んだ場合のエンディングや、他のキャラのエンディング。
或いは二代目を製作するなどの意見があれば、随時対応出来ればと思います。

安価に参加して下さった皆様。ありがとうございました。

二回目を作るには残りレス数が少ない気がするので、既存キャラのエピローグをやりたいと思います。

対象は最終日の好感度が【恋慕(大)】のキャラです。 安価でどのキャラをやるか決定します。

投下は不定期になると思いますので、ご了承ください。



安価:↓2

1.霊夢

2.三月精

3.アリス

1.霊夢


~12日目・夜~


夕食を終えて、風呂も入った後で、貴方は神社の外で腰かけて風に当たっていた。
風呂上がりで火照った体を冷ますと同時に、この時間帯に一種の趣味となった天体観測をするためもある。
望遠鏡等の観測機器は一切無いが、街灯などで夜空の暗さを遮る物は無く、肉眼でも圧倒されるほどの輝く星々を見ることができる。

「また、ここに居たの」

趣味にふけている貴方に、霊夢が寝間着姿のまま歩いてきた。
軽く風が吹いているためか、片手で自分の髪をさらりと撫でている姿が少しだけ艶っぽい。

「隣、いい?」

貴方の座る位置の隣を指差しながら、霊夢は尋ねて来た。
勿論断る理由は無く、快諾する。

「ありがと。…ところで、そんなに星が好きなの?前もここにいたけど」

隣に座るや否や、貴方にそのような質問をする。
外に居た時はいちいち興味を示すことは無かったが、幻想郷だと綺麗過ぎてつい見てしまう、と答える。

「ふうん。よく分からないわね」

霊夢も貴方と同様に夜空を見上げるが、興味は余り示していない。
もう十数年と見慣れている光景ならば、今更感動もしないのだろうと貴方は思った。

「まあ、星を見ながらの酒は美味しいのは分かるわ」

女の子が風情の無い事を、と貴方が苦笑いしながらそれに返答すると、なにおうと霊夢は貴方の腿を軽く叩いてくる。
静かな夜に、ペチンペチンと乾いた音が響き渡る。

「…でも、こうして貴方と見るのは好きよ」

叩くのを中断して、再び空を見上げた霊夢はポツリとそう言葉を漏らす。
「好き」と言う言葉に少しだけ鼓動が早くなってしまう。

「こうして見てると、色々物思いに耽っちゃうわね」

貴方はそれに同意する。

単純に綺麗だ、と最初は感じ、その内星とは関係の無い事まで考えだしてしまう。
明日のご飯はどうするか、掃除もやっておくか、誰が急に来訪するか。
仕事はあるのか、香霖堂も寄るか、晩酌に付き合うか。

何時から幻想郷で過ごすのが楽しくなったのか。何時から幻想郷に住む人々を好きになったのか。

「何時になると、自分は帰る日が来るのか」

突然呟いた霊夢の言葉に貴方は、はっとして彼女に振り向く。
彼女はじい、と貴方を見つめている。

「何となく、考えてる事が分かっちゃうわ。そんな顔してたもの」

そう言いながら、霊夢はクスクスと貴方に笑う。
ズバリ言い当てられた貴方は、居心地が悪そうに頬を掻いて照れ隠しをしてしまう。

そんな貴方に、霊夢は言葉を続ける。

「安心しなさい。まだもう少しだけかかるけど、そう遠く無い日に調査は終わる」

「きっと大丈夫よ。紫も貴方が居なかった事情は帳尻合わせしてくれるって言ってるし」

「貴方は心配しなくていい。貴方はその日まで普通に過ごしていればいい。…だから」

「そんな顔、しないで」

彼女に言われてようやく気が付いたが、どうやら酷い顔をしていたらしい。
顔の筋肉が強張ってしまっているのを、強く瞼を閉じて整える。

それを見て霊夢は、貴方に向けていた顔を軽く俯かせながらまた言葉を続ける。

「貴方は帰れると知ったなら、喜ばなくてはならないのよ」

「寂しいと思っても、そんなの一時なんだから」

「幻想郷の事なんて、覚えなくていいんだから」

そう漏らす彼女の手は、膝の上で固く結ばれている。
声のトーンからも、その言葉は本音では無い事を貴方は分かってしまう。
だからこそ、貴方は再び霊夢の言う「そんな顔」に戻ってしまう。

此方では多くの人々や妖怪に世話になった。

覚えなくていいと彼女は言うが、それはきっと出来ない事だろう。
外の世界では二度と有り得ないだろう体験の数々。
霊夢と初めて空を飛んだ事は、一生忘れる事など出来ない。

寂しさなど一時と彼女は言うが、それはきっと一時に無いだろう。
個性のあふれる貴方の友人達との何でも無い日々。
霊夢と再び過ごせぬ日々を、一時の寂しさになど出来ない。

だからこそ、貴方は彼女に本音で伝えてしまう。
霊夢と会えなくなって喜べなんてしない、と。

「…そう、言うんだ」

俯いていた霊夢の口から、少し震えながらの言葉が出る。
結ばれていた拳は、先ほどよりも更に少し強く握られる。

「貴方、自分で結構酷い事言ってるって自覚ある?」

貴方は霊夢にそう言われつつ、じと、と睨まれてしまう。勿論分かっている、と貴方は返答する。
自惚れで無ければ、霊夢は貴方を気の置けない人だと思ってくれていると貴方は感じている。
帰ることを前提にしているのならば、余計に悲しませているだけ、というのは貴方も理解していた。

「分かってるんだ。…じゃあ、私も分かってて酷い事言うわね」

霊夢は俯かせていた顔をあげて貴方を向くと、悪戯な笑顔を浮かべる。
そして貴方の目を少しの間強く見つめると、ようやく言葉を出す。

「博麗の巫女としては、こんな事言ってはいけないんだろうけどね」

「私も、貴方が帰るのに、良かったね、なんて言えない」

悪戯な笑みが消える。その顔は、真剣な表情に。

「もっと此処に居て欲しい。もっと一緒に過ごして欲しい」

真剣な表情が消える。その顔は、悲しい表情に。

「だから、お願い」

悲しい表情のまま、貴方を見つめていた瞳が潤み始め。

「帰らないで」

潤み始めた瞳から一粒の雫が流れ落ちる。

しかし、貴方はそれを見て気持ちが軽くなり、表情が和らぐ。
貴方のここ数日の悩みの種となっていた出来事が、この瞬間吹き飛んでしまったからである。


貴方は、分かった。残るよ。と、さも軽い頼み事を承諾するかの様に返答した。

「…え」

貴方のあっけらかんとした返答に、目を丸くする霊夢。
それとは対称的に、貴方はニコニコと笑いながら彼女を見つめている。

「この、状況で、冗談なんか…!」

涙をこらえるように下唇を噛みながら、霊夢は貴方を糾弾する。
しかし貴方は、冗談では無く、ここに残る。と、やはり軽い口調で発言する。

「…私が、変な事言ったから怒ってるの?だから、そんな事言うの?」

自身の寝巻の裾を握りながら、今度は少し怯えるかのような声で貴方に尋ねて来る。
質問と返答が整合性が取れてないが、彼女が貴方の言葉を嘘だと思い込んでいるのが原因だと感じている。
そこで、貴方は落ち着かせる為に、彼女の頭に手を置いて優しく撫でる。

「ん…、分からないわよ。何が、したいのよ」

貴方の手を拒絶せず、大人しく撫でられているが、それでも混乱している様子。
少しの間そうしていた後、霊夢が落ち着いて着た頃を見計らって貴方は彼女に本意を告げる。

最近残るか残らないかずっと迷っていたけれど、霊夢の言葉で迷いが取れた。だから思わず笑いが毀れた。
怒っているのではなく、からかっている訳でもない。
ただ、帰らないでと言ってくれた事に礼を述べたい。と。

「…違う。私は、我儘を言っただけ」

「私のせいで、残るって言ったのなら、お願い。忘れて」

ごめんなさい、と呟きながら、霊夢は貴方に懇願する。
しかし、貴方はその言葉に反抗するように少しだけ乱暴に頭を撫でまわす。
驚いた表情で悶える彼女に、自分の残る理由を改めてしっかりと言葉にして伝える。


それは――――――

安価:↓2


1.霊夢が好きだから残る。ということ。(霊夢:好感度変動???)

2.幻想郷が好きだから残る。ということ。(霊夢:好感度変動???)

1.霊夢が好きだから残る。ということ。(霊夢:好感度UP+1)


霊夢:【親愛】 →【親愛+1】


「………」

貴方の告白に、霊夢は黙ってしまう。
貴方は頭を撫でていた手をゆっくりと放して、彼女の顔を見つめる。

少しだけ風が吹き、彼女の髪をさらさらと揺らす。
今、聞こえるのは葉が風に揺られる音のみ。風が止むと、再び静寂が訪れる。

その静寂が訪れると共に、霊夢は貴方の胸元へと軽く顔を埋める形となる。

「…ん」

それからくぐもった声を出すと、両腕を貴方の背中へと回す。
貴方も霊夢に対して、片手を頭に、空いた手は彼女の背中へと回す。

「ふふ。気持ちいいなぁ」

背中へ回された手と、貴方の頭を撫でる感触から来る安心感を、存分に味わっている様子の霊夢。
声のトーンからして先ほどまでの困惑は治まり、すっかりと落ち着いている様子。

「あーあ。駄目よね、こんな事して」

彼女の呟く、駄目だというのは、先ほども言っていた博麗の巫女としては言ってはいけない事にも繋がっているのだろうか。

貴方は博麗の姓がどれほどの影響力を持つか未だによく分かってはいない。
とはいえ、幻想郷においては重要なポジションにいることは理解している。

しかし、胸に埋めていた顔を上げて、泣き笑いの表情で貴方を見つめる彼女は。
一人の女の子として、貴方の好きな女の子として、貴方の目に映っている。

「もし私が、博麗の巫女だから貴方とは一緒にいられない。なんて言ってたらどうするの?」

再び悪戯な笑みを浮かべてくる彼女の発言は、まるで本気に言ってない事が汲み取れる。
ちょっとした意地悪で言っているのだろうが、貴方は真剣に考える。
少しの間をおいて出した結論は、それでも許されるのならば、想い続けるというもの。

「…ふふ、格好つけちゃってる」

方や、クスクスと笑われてしまい、確かに臭かったと赤面してしまう貴方。
方や、からかう口調ではあったものの、本音は嬉しいと赤面してしまう霊夢。

「でも、まあ。私も貴方のおかげで、吹っ切れた気がする」

そういう彼女の表情は、言葉通りすっきりとしている。
先ほどの貴方の様に屈託のない表情で貴方を見つめる。

「後々になって、誰かに色々言われると思うけれど」

「まあその時はその時よね。うん」

一人で納得して頷く霊夢。
誰か、とは幻想郷のお偉方だろうし、色々、とは勿論貴方の事だろう。
残念ながら、男でありながら護る、と言えないのが辛い所ではあるが。

「そういうの気にしなくていいの」

「一緒にご飯食べて、掃除して、お酒に付き合ってくれるだけでいいの」

これまでの事を、これからもする。
これだけならばこれまでと変わらないが、これからは意味合いも変わって来る。

「そう言えば、まだ言って無かったわよね」

ふと、霊夢がそう言うと、静かに貴方との距離を更に縮めてくる。
肩と肩が触れ合いそうな距離で、隣り合わせに座る。
貴方と霊夢、二人で夜空を見上げながら。

「私も好きです」

「一緒に居てください」

簡単な二言。そして決定的な二言。
何事にも捕われない筈の彼女にとって、この言葉はある意味縛りつける物。
それを貴方は噛みしめながら、彼女に返答する。


―――勿論、一緒に居るよ。

―――何年経っても、何十年経っても。

―――君の傍に居るよ。


貴方が言い切った後で、本日何度目か、訪れる静寂。
しかしそれは二人にとって居心地の悪い物では無かった。

堅く、しかし優しく握られた霊夢の右手と貴方の左手。
貴方の左肩に感じる重みは、すっかりと預けられた霊夢の頭。

ぴったりと寄り添う二人を歓迎するか、しないのか。
幻想郷の夜空には、いつも通り星々が輝いていた。

~????日目~


貴方は目を覚ました。

今日は、いつもより長く寝てしまっていたらしいと太陽の上り具合から貴方は感じた。
最近就寝の時間が不定期になってしまっている。

布団からゆっくり起きると、少しだけ体の自由が利かなくなった体で、貴方は居間へと向かう。
すると、今から二人の女性の声が聞こえて来た。

「それじゃ、そろそろお暇するよ」
「はい、また何時でも来て頂戴ね」

どうやら帰る頃だったようで、一人の女性、というよりも女の子は、箒に跨って神社を飛び立つのが見えた。
初めて会った時とはほとんど変わらない姿で、霧雨魔理沙は神社を後にした。

「あ、お早うございます。今、久しぶりに魔理沙が来てたんですよ」

貴方に気付いたもう一人の女性は、博麗霊夢は、貴方に朝の挨拶をした。

少しだけ白髪の増えて来たものの、それでも指をすり抜けるさらつきを持つ髪の毛。
瑞々しさは減っているが、数え切れないほど貴方の手を握った手。
増えて来た皺は、その数だけ貴方と共に過ごした時間を証明している。

「魔理沙を見てると、魔法で若く作るのも悪くないかな、なんて思ったりしますよ」

少しだけしゃがれた声で冗談を言う霊夢。
魔理沙も年をとるが、見た目は少女の姿を魔法で維持しているとの事。
それでも寿命は普通の人間と変わら無いが、研究に没頭したいがため、体が言う事を聞かなくなるのを避けるためであると。

貴方は霊夢の右隣へとゆっくり座る。
朝の陽ざしと静かに流れるそよ風が心地よく感じる。

「それじゃ、朝ごはんにしますか?」

座った貴方に、霊夢は朝食はと尋ねて席を立とうとする。
しかし貴方は、もう少しここに居て欲しいと彼女を制止した。

「…そうですか。分かりました」

そう言ってから再び霊夢は座ると、先ほどの貴方との距離をより縮めた。
このシチュエーションは嘗て、貴方と霊夢が体験した事であり。

「こうしていると、思い出しますね」

霊夢はそう言うなり、貴方の左手を右手で繋ぐ。
そして、何時かの様に貴方の左肩へと頭を預ける。

ふと貴方は、幸せだなあ、としみじみ感じていた感想を口に出す。

「ええ、私もですよ」

先ほどよりも強く手を握られ、貴方の手を通して彼女の体温が伝わって来る。


何年経っても、何十年経っても。
霊夢の傍に居た貴方は、共に、緩やかに年を重ねて行く。
一つ一つの出来事を通して一緒に生きて来た証を、年月が刻み続けて行く。




「貴方が此処に残ってくれた事」



「私と共に生きてくれる事」



「本当に幸せです」



「これからも一緒に居て下さいね。"あなた"」


幻想郷に来た貴方が霊夢と仲良くなる話 ※夫婦編※ 終

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               ヽ: :!: :√ i\  ´   〉 \: :\  >,ー 、_ 、 ` ー-=ニ二..__,..  -─  ¨´ _,. '´     \
             八 | /   l  >  /    \: :`くゞ /   `、: : : .._: : : : : : : _____  -─ "´  ─‐-
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.           , ゙: : : ://i     ハ       /,'ヽ: : ヽ    ヽ-‐┐: : : : : : : : : : : : :             `丶、',
          /: : : : : /∧    /、ハ     /ゞ'´.∧ : : ',     \人-   ._  : : : : :        ─-      \
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          ': : : ::{:::::::::}∧/::/ `i:::::\/ゞ'´::::::::::::|_.! : : ,!、 /  />  \: : : : : : : : : : ̄ ̄   `丶、     ヽ
         ハ: : : :',:::::::::y'::::::/   |:::::::::ゞ'´::::::::::::::::::|メ|: : ,'i '"  </    \: : : : : : : : : :       \
.          {  ヽ、: :\::::::::::/   .|::::::::::::::::::::::::::::::::::|ミi: ://  />         \: : : _____ : : :       \

これで終わります。

また別キャラのエピローグもやる時は不定期ですので、ご了承ください。

途中で二週目に入るかもしれませんが、その時は宜しくお願い致します。

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