ガルパンSS・みほ「黒森峰大学かあ」 (30)

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ガルパンSS・みほ「進路かあ」
ガルパンSS・みほ「進路かあ」 - SSまとめ速報
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の続きになります
書いてくれという声が多かったのでがんばったよ

それではよろしくお願いします

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 黒森峰大学は何かとご縁のある黒森峰女学園の母体組織です。大学は共学なんです。
 学園艦に着くとお姉ちゃんが出迎えてくれました。
「よく来たな、みほ」
 お姉ちゃんに合うのは久しぶりだから嬉しい。私は後ろのみんなを紹介しました。

「私達みんなで一緒の大学に行こうって考えているの」
「そうか」
「わあ、あの西住まほ選手とこんな近くでお会いできるとは……不肖秋山優花里、光栄の至りであります!」
「そ、そうか」
 優花里さんにブンブン振るような握手をされてさすがのお姉ちゃんも困ってる。珍しいなあ。
「ほらゆかりん、みほのお姉さん困ってるからやめなって」
 沙織さんが引き離してようやく優花里さんの「ハイ」は収まったみたいです。

「では行こうか」とお姉ちゃんが歩き出すのでみんなで着いて行きました。
「隊長、パンツァー・フォーはやらないのか」と麻子さんがニヤニヤしていましたが私は首を振りました。
「よその船でそんな恥ずかしいことできないよ」
「何の話だ?」
「な、何でもないのお姉ちゃん。そうだ、ちょっとお腹減ったかなあなんて」
 私のお願いにお姉ちゃんは少し時計を見ていましたが「少し遠いが構わないか」と聞いてきます。
「大丈夫だよね、みんな」
「うん!」
「はい」
「勿論です」
「沙織、おぶって」
「はぁ!? そういう流れじゃないでしょもー!」

 大丈夫そうなのでお姉ちゃん曰く一番カレーの美味しい学食を目指します。
「大学と言っても高校の学園艦と基本的には変わらない。商業施設より大学の施設が多いのが違うと言えば違う」
「高校は校舎の周りに街があるって感じだったけど、大学は校舎と街が混ざってるみたい」
「そうだな、学生が運営をしている自治寮もある」
 お姉ちゃんの指差す先にはちょっとぼろぼろな木造のアパートがあって、薄汚れた額には「ヴェスヴィオ寮」と書いてあります。
「実はここにはな……」と話し始めたお姉ちゃんを遮って「おーい!」と呼ぶ声があったので私は振り返りました。

「西住みほじゃないか! 久しぶりだなあ!」
「あなたは、アンチョビさん!」
 一年ぶりにお会いしたアンチョビさんは、素敵な私服姿。
 沙織さんが「髪下ろしたんですね。お似合いですよ!」と言ったら「まあ流石にツインテは子供っぽいからなあ」と笑っています。
 アンチョビさんとは全国で戦った時のようにハグを交わしたんだけど、爽やかなレモンの匂いがしました。

「元気そうで何よりだ。おいまほ、今日来るなんて聞いてなかったんだけど?」
「言っていないからな」
「こいつめ。今から食事か?」
「ああ、えちおぴ屋のカレーを食べに行くところだった」
 お姉ちゃんが首肯するとアンチョビさんはニヤリと笑ってさっきのぼろぼろな木造アパートを親指で指し示します。
「カレーも悪くはないが、せっかく遠路はるばる見学に来たのだからご馳走しようじゃないか」
「いいのか千代美」
「今度のコンパ代おごって」
「それは構わないが……」
 華さんが「コンパ、大人な響きですね」と熱っぽい視線を浴びせているので私は力なく笑いました。

「ここはアンツィオ高出身者が中心になって運営してる寮なんだ。アンツィオってあんまり裕福じゃない子も多いから、助け合いの精神でね」
 寮の床や壁の老朽化は隠せませんが、掃除が行き届いていて大事に住んでいる事が伝わってきます。
 麻子さんは興味深そうにあちこち見ているようです。
「家賃はいくらなんだ」
「聞いて驚け、5000円だ!」
「安い! 西住さん、黒森峰に決めよう」
「え、まだ一校目だけど……」
 麻子さんの剣幕に驚いていると沙織さんがまあまあと執り成してくれました。
「麻子、おばあに迷惑かけたくないんだよね~」
「べ、別にそう言うんじゃない」

「家族思いのいい子じゃないか! そういえば君らⅣ号戦車の?」
 アンチョビさんに聞かれてそれぞれがポジションと自己紹介をしました。
「まほ、みほちゃん以外の子も即戦力じゃないか。白雪なんかに行かれた日にゃヤバイんじゃないのか」
「勿論。だけど私はみほの意志を尊重したいし、お前のとこの子たちやエリカは来るから」
「お姉ちゃん……」
 私はなんだか嬉しくなってしまいました。
 沙織さんに肩をポンポンと叩かれて「良かったね、みぽりん」と言われたので顔が熱いです。
「ま、うち以外も見学行ってからゆっくり決めると良いよ。推薦のみほちゃん以外は受験校絞れなくて大変かもしれないけど」
 確かに、みんなが過去問を解く時間が減っちゃうから早めに決めないといけません。

「千代美、私は腹が減った」
「はいはい、じゃあ大鍋にお湯沸かして」
「あ、私も手伝います!」
「ほんとー? 助かるよ沙織ちゃん」
 アンチョビさんは1人でご飯の予定だったそうですが、買い溜めの食材を惜しみなく使って私達の分まで美味しいパスタを作ってくれました。
「私は課題やらなきゃいけないからここで見送るぞ」
「色々ありがとうございました」
「良いって良いって、みほちゃんたちが来年黒森峰に来てくれたら嬉しいよ」

 アンチョビさんと別れた私たちは戦車道チームの部室を見に行くことになりました。
「普通はキャンパスツアーというと研究施設とかも見せるんだけど、どこか見たい所はあるか」
 そうお姉ちゃんから聞かれたんだけど、私たちは特に何もなかったので推薦理由でもある戦車道を見に行くのは自然な流れだよね。
「うわあ、おっきい!」
「すごいね!」
「壮観です」
「ティーガーにパンターに……あ、あれは80センチ列車砲ですか!?」
「流石に名門だな、大洗とはエライ違いだ」
 私たち5人は戦車道部の規模に驚きました。

 お姉ちゃんが「なにか乗って行くか」と聞くので「Ⅳ号はある?」と私は答えました。
「ええ、それじゃいつもと変わらないじゃないですか。ティーガー乗りましょうよぉ」
「ゆかりん空気読んで!」
「でもぉ、せっかくティーガーがこんなに沢山あるのに……」
 優花里さんは残念そうだけど、やっぱりⅣ号にはお世話になって、いつの間にか好きになっていたから。
「ほら、ゆかりんはよくても麻子なんか大変だよ? 操縦の仕方は戦車ごとに違うんだから」
「マニュアルがあればすぐ動かせるが」
「あんたも空気読みなさいっての!」
「みほさんが推薦者なのですから、みほさんに従うのが筋ではないでしょうか?」
 華さんがまとめてくれて、私たちは黒森峰大のⅣ号戦車に乗り込みました。

「なんか同じ戦車でもよそのって感じがする」
「そうですね、匂いも違う気がします」
 お姉ちゃんが「とりあえず練習場を何周かしてこい。Ⅳ号ならみんな顔が出せて見学には丁度いいだろう」と言いました。
「じゃあみぽりん、いつもの!」
「西住殿、お願いします!」
 みんなが私を見ています。引退からしばらく乗っていなかったから、なんだか懐かしい感覚です。
「パンツァー・フォー!」

「飛ばすぞ」
「見学なのに飛ばしたら意味ないでしょ!」
 みんなでわいわい言いながら戦車道の練習場を走ります。
「風が気持ち良いなあ」
「そうですねえ……ねえ西住殿、私たちは去年の全国や大学選抜との戦いの時見ているだけでしたけど、お姉さんと仲直りできて本当に良かったですね」
「え、うん。よかったよ。ほんと」
 私は見放されたって思ってたけどそんなことはなくて、お姉ちゃんはずっとお母さんの説得もしてくれていたらしいんです。
「なんか怖い人かと思ってたけど意外に優しい感じだよね!」
「見かけは怖いがとんだ良い人……国芳か。勉強したな、沙織」
「え、なにそれ。受験に出るの?」
「さあな」
「やめてよ麻子ー!」
 麻子さんと沙織さんはいつも通り。きっとどこに言ってもこの調子でやっていけるんだろうな。

 私たちが車庫に戻ってくるとお姉ちゃんの他に何人かの学生さん達がいました。
「おかえり、みほ」
「只今戻りました……えっと、そちらはもしかして」
「久しぶりね、みほさん」
 お姉ちゃん以外の学生さんは皆さんあの、私のせいで負けた年卒業なさった黒森峰女学園の先輩方でした。
「あ、その節は私の軽率な判断で。でも助けは必要だったんです! あ、じゃなくて。誰かに代わりに救助を指示すればよかった話なんですけど、体が動いてしまって。操縦手に何も伝えず外に出たのは私のミスでした。先輩方の花道に泥を塗ってしまって、本当にごめんなさい」
 私は今までずっと謝りたかったんです。勿論優花里さんたちに励まされて自分の行動が間違いではなかったと思っています。
 だけどあそこで撃破されないようにすることも絶対出来たんです。それがずっと悔しくて、逃げるように転校したことも悔しくて。

>>14
(誤)きっとどこに言ってもこの調子でやっていけるんだろうな。
(正)きっとどこに行ってもこの調子でやっていけるんだろうな。

サーセン

 私が深く頭を下げると、先輩が顔を上げてと仰ります。
「ありがとう。実を言うと私たちはもう怒ってないよ」
「あのときはそりゃカチンときちゃって色々言っちゃったけど、あなたが助けなかったら優勝したとしても晴れやかな気持ちになることはなかった」
「それに去年も今年も決勝戦見たわよ! あんなすごい指揮をするみほさんを見たら尊敬しか無いわ」
「あの、えっと、許してくださるんですか」
 先輩方は私を見て不思議そうな顔をしています。
「許すも何も、また一緒に戦いたい」
「まほがあなたが来てるってついさっき伝えてきたから慌ててきたんだよ」
「この子はいつも連絡が遅いんだから」

 お姉ちゃんを見ると穏やかに微笑んでいました。
「みほ」と、お姉ちゃんが私を呼びます。「お前が実家や黒森峰に負い目を感じることは、もう無いんだ」
 その瞬間、私の中で感情が堰を切ったように暴れだし、目から雫になってこぼれ落ちました。
 私は何年ぶりかに、わんわん声を出して泣きました。

「それでは見送ろう」
 私が落ち着いた頃、もういい時間になっていました。
 お姉ちゃんは「泊まっていくか」と言ってくれたんだけど、5人もいるからちょっと難しい。
 それに沙織さんが陸の観光もしたいというのでホテルを取ってあるんです。だからここでお別れになります。
「お姉ちゃん、色々ありがとう」
「お前と私は家族だ。家族に遠慮は、もうするなよ。お母様も含めてね」
「うん!」
 こうして黒森峰大学の見学は終わりました。
 正直黒森峰女学園の先輩たちへの苦手意識はあったんだけど、お姉ちゃんのおかげで色々解消できたから良かったです。
 他の3校も見ないと決められないけど、黒森峰も良いなって思いました。

おわり
たまには変態じゃないお姉ちゃんを
まほチョビってよくね?僕はそう思いました

あと前スレで出したのこり三校全部やります
黒森峰→そのまま
サンダース→そのまま
白雪→黒の反対で島田流派閥なイメージ
スターリン→ロシア語の単語思いつかなかったアレでほんとアレ

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