ゴルゴ13 『ブレッド・ヘッド』 (44)

パッーン! パッーン! パッーン!

カンッ! カンッ! カンッ!

ハンバーガーキッド「さすがアンパンマン!全部命中だ!」

アンパンマン「ありがとう、ハンバーガーキッドの教え方がうまいおかげだよ」

ハンバーガーキッド「ハハハ、そうかい?」

ハンバーガーキッド「しかし驚いたよ、急に『拳銃を貸してくれ』なんて言うもんだからさ」

アンパンマン「……」

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アンパンマン(ゴルゴ13……奴は必ず僕を一発で仕留めにくるはず……)

アンパンマン(しかし、その裏をかけば……)

アンパンマン(必ず僕の手でやってやる……たとえどんな敵が相手でも……)


ハンバーガーキッド「アンパンマン!アンパンマン!おい聞いてるのか!?」

アンパンマン「……ん、ああ、ごめん」

アンパンマン「次は寝た体勢での射撃を試させてくれないかい?」

ハンバーガーキッド「OK」

~数時間前~


てんどんまん「てんてん どんどん♪ てん どんどん♪」

かまめしどん「かまかま~どんどん♪ かま~どんどん~♪」

カツドンマン「くろぶた おにくを パンこに つけて~♪」


ゴルゴ「……」スタスタ スタスタ

てんどんまん「あ、そこのお人!アタシの天丼を食べていくザンス!」

カツドンマン「いえいえ、食べるならミーのカツ丼の方がおいしいですよ」

かまめしどん「いんや、おらの釜めしが一番だ」

てんどんまん「天丼!」

カツドンマン「カツ丼!」

かまめしどん「釜めし!」

どんぶりマントリオ「なにを~!」ガチャガチャ ボカボカ ドカドカ


ゴルゴ「……」チラッ

ゴルゴ「…………」スタスタ スタスタ

てんどんまん「あ、行ってしまうザンス!」

カツドンマン「ちょ、ちょっと待ってくださ~い」ガシッ

ゴルゴ「!」


ビュンッ バキッ


カツドンマン「うぎゃっ」ドシッ

かまめしどん「な、なしてカツドンマンを殴るだ!?」

ゴルゴ「俺の後ろに立つな」ギロッ

どんぶりまんトリオ「うっ……」


ゴルゴ「…………」スタスタ スタスタ スタスタ




かまめしどん「お、おら一瞬背筋が凍っただ……」

てんどんまん「いったい何者だったザンス……」

――――――――

――――

――

――パン工場

アンパンマン「ということがあったそうなんです」

バタコ「まぁ、後ろに立っただけで殴られるなんて怖いわ」

チーズ「アンアン!」

ジャム「うーん、もしかしたらその人はゴルゴ13かもしれないねえ……」

アンパンマン「ジャムおじさん、知ってるんですか!?」

ジャム「私も噂でしか知らないんだけどね、ゴルゴ13という超A級のスナイパー、殺し屋がいるんだよ」

バタコ「殺し屋ですって!?」

ジャム「ゴルゴは銃器の扱いや格闘技にも長けていて、その道ではプロフェッショナルなんだ」

ジャム「そして、彼はその用心深さから後ろに立たれることを異常に嫌うという……」

ジャム「カツドンマンが殴られたのも、後ろに立つなという言葉も、その人がゴルゴ13なら納得できるよ」

アンパンマン「へぇ~、世の中にはそんなに用心深い人がいるんですねぇ~」





クモメカ「ピピピピピピピピ」

――バイキン城

ばいきんまん「グフフフフ、いいこと聞いちゃったもんねー」

ばいきんまん「ゴルゴ13に依頼してアンパンマンを殺してもらえば……」

ドキン「ねえ、ばいきんまん!あたしお腹すいたー」

ばいきんまん「もうドキンちゃん!俺様今それどころじゃないの!」

ばいきんまん「さっそくゴルゴを探しに行かなくちゃ!」ピューン

ドキン「あっ、ちょ、ちょっとーーー!」

――湖畔

ばいきんまん「うーん、探してみたは良いものの俺様ゴルゴ13がどんな姿なのか知らないんだった……」

ばいきんまん「なかなか見つからないなあ……」







ゴルゴ「……」


ばいきんまん「おっ、見慣れない奴!」

ばいきんまん「きっとあいつがゴルゴ13に違いない!」

ばいきんまん「よーし……」ピューン

ガサガサ ガサガサ

ばいきち「やあ、おじさん!僕ばいきちって言うんだ、よろしくね!」

ゴルゴ「……」ジロッ

ばいきんまん(うっ……手強そうな奴……)

ばいきんまん(やっぱりこいつがゴルゴで間違いない……)

ばいきち「お、おじさんの名前はゴルゴ13でしょ?」

ゴルゴ「何のことだ……」

ばいきち「とぼけたって無駄だ!」

ばいきち「俺様!……じゃなかった、僕はおじさんがゴルゴ13だって知ってるんだよ!」

ゴルゴ「……」

――パン工場

アンパンマン「しかし、なんでそんな人がこの近くに来てるんですかね?」

ジャム「たぶん彼は休暇でこの世界に来てるんじゃないかなあ」

アンパンマン「えっ、休暇ですか?」

ジャム「ゴルゴ13くらいの大物の殺し屋になると命を狙われることも多いからね」

ジャム「どこにいても気を抜くことができないから、せっかくの休暇でも保養にならない」

ジャム「しかしその点この世界は平和でゴルゴを狙うような人もいないから安全というわけだよ」

アンパンマン「なるほど……」

ばいきち「実はアンパンマンっていう、とーっても悪い奴がいて町のみんなが困ってるんだ!」

ばいきち「そいつをおじさんにやっつけてほしくて……」

ゴルゴ「……」

ばいきち「と、当然この依頼、受けてくれるよね?」

ゴルゴ「断る」

ばいきち「ありがとう!……って、えーーーっ!?」

ばいきち「俺様!……じゃなくて、僕がこんなに頭を下げてお願いしてるんだよ!」

ゴルゴ「何のために生まれて、何をして生きるのか……」

ゴルゴ「それは俺自身が決めることだ」

ばいきち「そ、そんなあ……」

――パン工場

アンパンマン「でも、この世界に仕事をしに来てるってことも考えられるんじゃないですか?」

アンパンマン「もしかしたらゴルゴ13は誰かの命を狙っているのかも……」

チーズ「アンアン……」

バタコ「チーズも怖いって」

ジャム「うーん、その可能性は限りなく低いと思うよ。彼の依頼料はとても高額だからね」

ジャム「お金以外での依頼も受けないことはないけど、基本的には高額なお金を銀行に振り込ませる」

ジャム「でもこの世界にはそもそもお金という物自体がない」

ジャム「よほどのことがない限り彼、ゴルゴ13がこの世界で仕事をすることはありえないんだよ」

アンパンマン「お金……ですか……」

ジャム「とにかくゴルゴには関わらないのが一番だよ」

ばいきち「どうして俺様の……じゃなくて、僕の依頼を受けてくれないの!?」

ゴルゴ「俺は依頼人の隠し事を許さない……」

ゴルゴ「お前は変装をしている」

ばいきんまん(なっ!?俺様の変装がばれてる!?)

ばいきんまん「く、くそぅ!こうなったら意地でも依頼を受けさせてやる!!」バッ


ドシーン ドシーン

ドシーン ドシーン


ゴルゴ「!?」

だだんだん「…………」ドシーン ドシーン

ばいきんまん「ハヒフヘホーーーーー!」

ばいきんまん「ゴルゴ13!俺様の依頼を受けないなら、この“だだんだん”で踏み潰してやるぞー!」

ゴルゴ「……」

ゴルゴ「…………」カチャッ


ズキューーーーーン

カーーーン


ばいきんまん「ナハハハハ、そんな攻撃が、だだんだんに効くかーーーwww」

ゴルゴ「……」


ゴルゴ「……」タタタタタッ

ばいきんまん「あっ、コラ!逃げるな!」

ばいきんまん「待てーーーーー!」ドシーン ドシーン

――岩場

ゴルゴ「……」タタタタタッ

ばいきんまん「どこへ逃げても同じだー!」ドシーン ドシーン

ばいきんまん「おとなしく観念しろー!」ドシーン ドシーン



ゴルゴ「…………」タタタタタッ

ゴルゴ「…………」クルッ


ばいきんまん「!?」



ズキューーーーーン ズキューーーーーン

ガシャーン ガシャーン


ばいきんまん「なーーーーーっ!だだんだんの両目がやられたっ!?」

ばいきんまん「しまった!これじゃ何も見えない!」


ばいきんまん「くそー!こうなりゃヤケだ!」

ばいきんまん「手当たりしだい踏み潰してやるううううう!」


だだんだん「…………」ドシーン ドシーン

だだんだん「…………」ドシーン ドシーン


ばいきんまん「うわっ、足場が不安定だ」グラッ

ばいきんまん「うわあああああああああああああああ!」


だだんだん「」バターーーーーン

ばいきんまん「ぐぬぬ……ひどい目にあった…………」パカッ

ばいきんまん「ハッ……!!」


ゴルゴ「……」カチャッ

ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン



ばいきんまん「ぐわっ……」バシュッ

ばいきんまん「バ…………バイバイ…………キ…………ン…………」

ばいきんまん「」バタッ



ゴルゴ「…………」

ドキン「もう!ばいきんまんどこ行ったのよ、まったく!」



ばいきんまん「」



ドキン「あ、いたいた!」

ドキン「ちょっとー、そんなところで何寝てるのよー」ヒューン



ばいきんまん「」

ドキン「えっ!?」

ドキン「な、何これ……」

――パン工場

バタコ「大変よ!みんな聞いて!」

チーズ「アンアン!」

アンパンマン「どうしたんですか?」

バタコ「ドキンちゃんが自殺したらしいの」

ジャム「な、なんだってー!?本当かいバタコ!?」

バタコ「ええ。しかも遺体のそばには、遺書とばいきんまんの死体があったんですって」

アンパンマン「えっ、ばいきんまんの死体!?ばいきんまんも死んだんですか!?」

バタコ「それが、ばいきんまんの頭は銃で撃ち抜かれてたって……」

バタコ「ドキンちゃんの遺書には『ばいきんまんの後を追って死にます』と書いてあったそうよ」

アンパンマン「ジャムおじさん! 銃で撃たれたって、まさか……!?」

ジャム「おそらくゴルゴ13の仕業だろうねえ……」

アンパンマン「じゃあ、やっぱりゴルゴは仕事をしにここへ来てたってことですか!?」

アンパンマン「ばいきんまんを殺すために……」

ジャム「いや、もしかしたら、ばいきんまんの方から攻撃をしたのかもしれないねえ」

ジャム「そして返り討ちにあったんじゃないかな。ばいきんまんならやりかねない……」

アンパンマン「そんな……」

アンパンマン「ばいきんまんが死ぬなんて……」

アンパンマン「た、確かにばいきんまんには悪いところもあります……」

アンパンマン「でも、だからって、いくらなんでも殺すなんて……」

アンパンマン「僕、ゴルゴが許せません!!」

アンパンマン「僕がばいきんまんの仇を討ちます!!」

ジャム「アンパンマン!自分が何を言ってるのか分かってるのかい!?」

ジャム「ゴルゴ13を相手にするということがどういうことか!?」

アンパンマン「それ相応の覚悟はしてます」

ジャム「そうか……君がそこまで言うなら……」

アンパンマン「大丈夫です。僕に秘策があります」

ジャム「くれぐれも気を付けるんだよ」

アンパンマン「はい」ピューン


ジャム・バタコ「それいけ!アンパンマン!」

チーズ「アンアン!」

――西部の町

アンパンマン「おーい、ハンバーガーキッドー!」ヒューン

ハンバーガキッド「おっ、アンパンマンじゃないか。どうしたんだ?」

アンパンマン「突然で悪いんだけど拳銃を貸してほしいんだ。撃ち方も教えてほしい」

ハンバーガーキッド「おいおい、いったい何があったんだよ!?」

アンパンマン「それは聞かないでほしい……君を巻き込みたくないんだ……」

ハンバーガーキッド「そうか……分かったよ……何か特別な事情があるんだな」

ハンバーガーキッド「アンパンマンがそこまで言うなら詮索はしない」

ハンバーガーキッド「でも他に俺にできることがあれば何でも言ってくれ」

アンパンマン「ありがとう!」



――パン工場

バタコ「アンパンマンひとりで大丈夫かしら……」

チーズ「アンー……」

ジャム「……バタコ!やっぱり私たちも行こう!」

バタコ「そ、そうよね!」

バタコ「私たちだってばいきんまんを悼む気持ちは同じだもの!」

ジャム「よし!そうと決まればアンパンマン号で追いかけるよ!」

バタコ「はい!」

チーズ「アンアン!」

ハンバーガーキッド「よし、これで撃ち方は完璧だ」

アンパンマン「本当にありがとう、ハンバーガーキッド」

ハンバーガーキッド「なーに、いいってことよ」

ハンバーガーキッド「じゃあこの銃を君に貸すからな。必ず返しに来いよ」

アンパンマン「うん……」

アンパンマン「それじゃあ、行ってくるよ」ピューン

ハンバーガーキッド「……」

アンパンマン(ジャムおじさんの話によるとゴルゴ13は射撃だけでなく格闘も超一流だ)

アンパンマン(おそらくアンパンチもアンキックも効かない……)

アンパンマン(1対1の接近戦でゴルゴに勝つことはできないだろう……)

アンパンマン(ましてや銃での勝負なんて僕がゴルゴ13に勝てるはずもない……)

アンパンマン(でも……僕にだって勝機はある!)

アンパンマン(ゴルゴ13は超一流のスナイパーだ。相手を一発で仕留めるために必ず頭か心臓を狙うはず)

アンパンマン(僕の胸には“命の花”が宿っている……心臓を狙われたら終わりだ……)

アンパンマン(しかし、もしゴルゴが頭を撃ってくれれば……僕の顔はパンでできているから死ぬことはない……)

アンパンマン(ゴルゴがパンの頭を撃って、僕が死んだと思い込めば……)

アンパンマン(その隙につけ入れることができれば……)

アンパンマン(顔が吹っ飛んで力が出なくたって、狙いを定めること、引き金を引くことくらいはできるっ!!)

――岩場

アンパンマン(ゴルゴの背格好はてんどんまん達から聞いている)

アンパンマン(探すのにそう時間はかからないはず……)







ゴルゴ「……」スタスタ スタスタ



アンパンマン(いたっ!!)

アンパンマン「…………」ヒューン

アンパンマン「あなたがゴルゴ13ですね」スタッ

ゴルゴ「…………」

アンパンマン「僕はアンパンマンです」

アンパンマン「あなたが殺したばいきんまんの仇を討ちに来ました」カチャッ

ゴルゴ「…………」

アンパンマン「…………」










ゴルゴ「……」バッ


ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン


アンパンマン「ぐはっ……」バシュッ

ゴルゴ「…………」

アンパンマン「……」バタッ



アンパンマン(……や、やった!!)

アンパンマン(ゴルゴ13は僕の頭を撃ったぞっ……!!)

アンパンマン(あとは背中を見せてくれさえすれば…………)



ゴルゴ「……」スタスタ スタスタ



アンパンマン(……よしっ!!)

バタコ「今の銃声は何!?」

チーズ「アンアンアン!」

ジャム「きっとアンパンマンとゴルゴ13だ!行こう!」

バタコ「はい!」ブーン



ジャム「ここからはアンパンマン号で行ったら気付かれてしまう。歩いて行こう」

ジャム「顔を焼いておいてよかった。念のため新しい顔も持っていったほうがいいね」

バタコ「ジャムおじさんより私の方が足が速いです」

バタコ「私が持っていきます!」

ジャム「頼んだよ」

ゴルゴ「…………」スタスタ スタスタ



アンパンマン(ゴルゴ13、背中がガラ空きだ……)

アンパンマン(しかも僕が死んだと思い込んでいる……)

アンパンマン(今なら僕への警戒はゼロ……)



アンパンマン(見ていてくれ、ばいきんまん!)

アンパンマン(今、君の仇を討つよ…………)

バタコ「ハアハアハア」

バタコ(あっ、アンパンマンがいた!)

バタコ(顔が吹き飛んで倒れている……!?)

バタコ(きっと力が出なくてピンチなんだわ!)

バタコ(よーし……)



バタコ「アンパンマン!新しい顔よ!!」



ゴルゴ「っ……!?」クルッ

ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

バタコ「きゃっ」バチッ

アンパンマン(ば、バタコさん!?)


新しい顔「…………」コロコロ コロコロ

新しい顔「」ポテッ



ゴルゴ「ブレッドヘッド(パン頭)……」

ゴルゴ「……!?」バッ

アンパンマン(し、しまったっ……!!くそっ……!!)カチャッ



ズキュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン

~夜~



『カバオ、夜更かしはいけませんよ。もうおやすみなさい』


カバオ「はーい!」




 カツッ!!




カバオ「ん、何だろう?窓に何か当たったのかな?」

ガチャッ

カバオ「あれ~?なんにもないや」

カバオ「あ!今日の夜空はお星さまがいっぱいだ~!」

https://www.youtube.com/watch?v=GwxA3zK_bwE

ED
https://www.youtube.com/watch?v=bAyBZ4AtnAs




おわり

ジャムおじさんたちが余計なことをしなければアンパンマンは今でも空を飛んでいたのだろうか
いややはりゴルゴ相手にして勝てるはずもなかったのだろうか

あと最後に窓に当たったらしきものは何だったんだろう

>>40
窓に当たったのはゴルゴが投げた小石です。

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