妹「兄、どこ?」(319)

兄「なんじゃい、呼んだか」

妹「・・・兄がどこか行っちゃったのかと思った」

兄「縁起でもないこと言うなよ」

妹「だって・・・最近・・・」

兄「・・・また夢か?」

妹「・・・・・・うん」

兄「・・・・・・」

妹「・・・・・・兄がどこか行っちゃう夢」

兄「・・・・・・そうか」

妹「どこにも行かないでよ、兄」

兄「そりゃもちろんだ」

妹「こうやってダラダラ過ごす休日もいいよね」

兄「休日はいつもこうじゃないか」

妹「えへへ、そうだね」

兄「えへへ」

妹「気持ち悪い」

兄「えへへ」

妹「・・・」

兄「何か言ってよ」

妹「・・・」

兄「・・・」

妹「兄、友だちと遊園地行くことになった」

兄「えっ……?」

妹「やっぱり断った方がいいよね?」

兄(遊園地に行くとなると……チケット代とか交通費とか食費を含めると、一万くらい必要か?)


兄「……いいじゃん、行ってこいよ」

妹「……!」パアッ

兄「後で、お金やるからな」

妹「えへへ、ありがとう」

兄「えへへ、どういたしまして」

妹「……きもい」

兄「えへへ」

兄(……まあ、何とかなるだろ)

【学校】


ガヤガヤッ

兄「……」ガララ……

ピタッ シ-ン

クラA「うわ、来たよ……」

クラB「あんなことしといてよくまだ学校来れるよな」

兄(無視だ無視。相手にしてもしょうがない)スタスタ

兄(……机にイタズラ書き。椅子を隠されたのに比べたらこれくらいらなんともない)

クラ女A「頑張って無視してるの超ウケるんだけど」

クラ女B「それね」

クスクス…

兄(……さっさと授業始まんねえかな)

【授業中】


担任「それで、この式を変形して上の式を代入するとこの公式が導出できる」

兄「……」

担任「おい、兄、教科書の練習問題を解いてみろ」

兄「すみません、教科書忘れました」

クスクス…

担任「……何やってるんだバカやろう! 調子に乗ってるのか」

兄「すみません……」

クスクス……

兄(……トイレ行ってる間に取られるなんてしくじったな。しかも今日の科目の全て)

兄(……昼休みに探さないと)

【昼休み】


兄「やっと見つかった……」

兄(近くの空き教室の机の中にあったか……捨てられてないだけずっとマシだ)

グゥゥ…

兄(……腹減ったなあ。ただでさえ昼飯ヌキヌキ期間開催中なのに昼休み中、動き回ったし)

兄(はあ……こんなのをヘタすると卒業近くまでやらないといけないとか、学校やめてえ)

兄(……なんて、弱気になってる場合じゃねえよなぁ)

兄(弱味なんて見せたらあいつらをつけ上がらせるだけだ)

兄「うし、頑張ろ」

【放課後】


兄(バイトか)

兄(……バイト禁止の高校に入ったのは失敗だったな。身バレ防止で隣町まで自転車で行かないと行けないし)

兄(まあ、筋トレになると思えばいいんだ)

兄(運動部に所属してないと運動不足になりがちだもんな、うん)

【居酒屋】


兄「こんにちは」

大学生「おう、兄くん。今日もシフトか、大変だな」

兄「大学生さんもたくさん入ってるじゃないですか」

大学生「私大文系なんてクソ暇だからな。高校生の方が頭いいよ、絶対」

兄「いやいや……」

大学生「兄くんはどこ大に目指してんの?」

兄「あー、進学はしないですね」

大学生「え、今どき高卒はやべえよ」

兄「そうですかね?」

大学生「悪いこと言わないから大学行っとけよ。毎日楽しいしな!」

兄「はあ……」

兄(そんなお金の余裕ないんだよなぁ……)


・・・

兄「……疲れた」

大学生「高校生を真夜中までコキ使うとかブラック過ぎるよなー。違法だよ違法」

兄「でも、夜勤手当はちゃんと出してくれますからね。賄いもくれるし」

大学生「まあなぁ。でも高校生はちゃんと勉強しろよ!」

兄「はい」

大学生「まあ、人のこと言えないけどな! 今日もこれからダチも宅飲みだしな」

兄(大学生が遊んでばかりというのは側から見ると本当っぽいなぁ)

【自宅】


兄(……やっぱりバイト先まで片道一時間近くかかるのは辛すぎる)

兄(妹はもう寝たか……作り置きもちゃんと食べてるな)

兄(食器を洗って、ゴミをまとめて、今日の範囲を復習して、明日の予習を少しして……進学しないのに勉強すんのもアホらしいよな)シャ-

兄(進学校に入ったのはマジで選択ミスだった。当時はここまでになるとは思ってなかったが)カチャカチャ

兄(でも特待生制度で授業料を減免してもらってなきゃ、卒業すら危ういか)キュッキュッ

兄(蒸発した母親が戻ってくれば……いや、俺たちを捨てたやつを当てにするなんてアホか)フキフキ

兄(離婚した父親の仕送りも結局振り込まれてないしな)スタスタ

兄(……両祖父母とも亡くなってるし、俺がしっかりしなきゃ)カキカキ…

【翌朝】


兄(……眠い)トントン

妹「おはよ……」ポ-

兄「おう。今日はちゃんと起きたな。ご飯はもう少しかかるから、顔でも洗ってこい」

妹「うん……」ポ-


兄「はは、低血圧なやつめ」

妹「兄、ソーセージ一本ちょうだい」

兄「な、なんだと!? 成長期の若者から肉を奪うつもりかー!?」

妹「わたしのほうが成長期だもん。もーらいっ」ヒョイパク

兄「ぐぬぬ……ほうれん草の和え物の残すなよ」

妹「うん。あと、給食費なんだけど」

兄「ああ、後で渡すから」モグモグ…

妹「ありがと。あと口にもの入れながら喋るなんて行儀悪い」

兄「妹にお説教されちゃった……ぐすん」

妹「情けない。気持ち悪い」

兄「すまぬ」

妹「特別に許そう」

【学校】


ヒソヒソ…

兄(まーた、俺の悪口か。飽きない奴らだな)

クラ女C「この前、本屋で万引きがあったらしいよ」

クラC「犯人、絶対兄だろ」

兄(こちとら、妹に恥をかかせるようなことはしないと決めてるんじゃ。んなことするかアホ)

兄(授業料免除は出席態度も加味されるからな。今度からはトイレにカバンもってかないと……)



担任「兄、今日は教科書を忘れてないんだろうな? この問題を解いてみろ」

兄「はい」

カッカッ

担任「ちっ……正解だ。戻っていいぞ」

兄(教師が生徒に舌打ちすんなよ)

ガリベンキモ……
ネ-

兄(おいおい進学校)

【昼休み】


兄(腹減ったな)

グゥ……

クスクス…

兄(うわ、恥ずかしいな)

クラD「貧乏人が腹減らしてるぜ」

クラE「飯もロクに食えないほど貧しいのかよ」

兄(うるせえ! ……でもわりと事実なのが哀しいところ)

兄(しかし妹の遊園地代を捻出するためならば、これくらいの犠牲、喜んで払おうではないか!)ニヤッ

ウワ、キモチワルイカオ
ハンザイシャノカオネ

【小学校】

妹「……ごちそうさま」

妹友「妹ちゃんってよく食べるよね」

妹「大きくなるため」

妹友「わたしはニンジンもピーマンも嫌いだー!」

妹「好き嫌いは良くない。ちゃんと食べなさい」

妹友「お母さんみたーい」


少女A「そういえば妹ちゃんっていつも同じ服着てるよね」

少女B「確かに」

妹「……服、あまり持ってない」

妹友「買ってもらったらいいのにー」

妹「……でも」

少女A「今度の遊園地は違う服で来てよね」

少女B「そうだねー、いつも同じ服の汚い子と一緒にいたくないし」

妹「き、汚い……」

妹友「妹ちゃんは汚くないよー。でも、新しい服を買ってもらった方がいいよ! 裾とかヨレヨレだし」

妹「……うん」


【居酒屋】


兄「お疲れーっす……」

大学生「お疲れ」

兄「お先に失礼します……」

大学生「兄くん、ちょっといいん」

兄「はい?」

大学生「今週の水曜日と木曜日ってシフト入れない? ちょっと金曜日のレポートがヤバそうでさぁ」

兄「はあ、大丈夫ですよ」

大学生「マジ? 助かるー! 店長には連絡しとくから!」

兄「はい、分かりました」

兄(これで平日全部出勤か。キツいけど、家計が助かる)

兄(ただ、妹の相手ができなくて申し訳ないな)

【翌日】


妹「目玉焼きはサニーサイドアップこそ至高」

兄「……そんな単語よく知ってるな」

妹「テレビは何でも知っている」

兄「んん……まあ、俺も小さいころはテレビから色々と知識を仕入れてたな」

妹「……兄」

兄「ん?」

妹「その……新しい服」

兄「服が欲しいのか?」

妹「あ、ううん。……いらない」

兄「いいよ、遠慮すんなって。そっかー、女の子だもんな」


妹「……いいの?」

兄「妹はお兄ちゃんに甘える生き物なのさ。そして兄は可愛い妹を甘やかさないと死んじゃう生き物なのだ! うりうりー!」

妹「やめて」ビシッ

兄「あだっ」

妹「まったく……」

兄「すまんな。あ、そういえば、今週は木曜日と金曜日も遅いから、作り置きしとくから食って先に寝ててな」


妹「……大丈夫なの?」

兄「なに、寝てるよりも簡単なお仕事だからな。むしろテレビ見て勉強してる妹の方がしんどいくらいだぞ」

妹「大人は楽で羨ましい」

兄「ふはは、そうだろうそうだろう」

妹「……今週はほとんど一緒にいれないね」

兄「……ごめんな。でも休日はうざいくらい構ってやるから! そりゃもううんざりするくらい!」

妹「既にうざったい」

兄「ぐすん」


客「料理まだかよ! おせーんだよ!」

兄「大変申し訳ございません! ただいまお持ちいたします!」ペコペコ



客「おえっ……!」ゲロゲロ

兄「お客様、大丈夫ですか?」フキフキ…


客「注文ー!」

客「こっちもー!」

兄「少々お待ちくださいませ!」


兄「……おわっだ」グテ

大学生「今日は水曜日なのに人多かったなー」

兄「金曜日の酷い時に比べたらこれくらい……」

大学生「兄くんはガッツあるなー」

兄「いえいえ、それほどでも」フラフラ…

兄(……疲れた。でも帰って予習復習しないと……。あ、米もパンもなくなったんだっけ?)

兄(24時間スーパー遠いんだよな……でも、ないと妹の朝ご飯と夜ご飯がないし行くか……)


【自宅】

兄「つかりぇた……労働って大変。もう学校行くのやらー」

兄「……無遅刻無欠席無欠課も免除の条件とかマジ無理ゲーだろ」

兄「……でも、俺が高校さえ出られなきゃ、妹の高校と大学の授業料はどうなるんだよ」


兄「……頑張れ、俺! 負けるな、俺!」グッ

【学校】


ダンダン…

兄(今日の体育はバスケか)

クラE「へい、パス」

バスケ部「雑なパスだな、おい」

兄(まあ、俺にパスは回ってこないんだけどな!)

兄(体育の評価が落ちるだろーが。パス寄越せごらぁ。こちとらノーマークだぞ)

バスケ部「……」ブンッ

兄「って、来た! どフリーだぜ!」ヒュッ

シュパッ

兄「よしっ」

シ-ン

兄(明らかな盛り下がり……まあ、いいか!)

クラF「なにアイツにパスしてんだよ……」

バスケ部「あまりにノーマークだからついな」

バスケ部(それにアイツ、未経験者なのに普通に上手いしな)

【昼休み】


兄(体育の後は耐えられんくらい空腹だ。そういう時は水を飲む!)ゴクゴクッ

兄(あーうめーうめー……くそ、賄いまでの辛抱だ)

チョンチョンッ

兄「ん?」

女「どうも」

兄(同じクラスの……女さんだったか? さて、何か嫌がらせに来たか、何かの罰ゲームできたか)

女「これ、あげる」

兄「……菓子パン?」

女「空腹を水で満たすとか無理でしょ」



兄(……バレてる)

女「ご飯は食べた方がいいよ」

兄「虫とか入ってないよな?」

女「は?」

兄「あー、いや。なんでもない」

兄(前におにぎりもらったときはカメムシが入ってたんだよな。食べ物を粗末にしやがって)

女「大丈夫?」

兄「そういや、カメムシって虫の中では美味いらしいな。香りはパクチーに似てるらしいぞ」

女「……なんでカメムシの話?」

兄「というかパクチーの別名はカメムシソウらしいぞ。絶対にパクチー嫌いな人が付けたよな」

女「あなた、変わってるね」

兄「そうかな?」

兄(……開封はされてない。消費期限は切れてない。見た感じ問題もなさそう)


兄「ありがとな!」

女「それくらいで感謝されてもね」

兄「いやいや、嬉しいよ。女の子から物をもらうなんて久しぶりだしな」

女「……あなた、本当に変わってる」

兄「そうかもなー。だから、あまり俺に関わらない方がいいぞ!」ニカッ

女「……」

兄「ほんとサンキュー!」


兄(女さんか。あまり関わりはないけど、俺の陰口を言ったりするところは見たことないな)ガサッ

兄(良い人なんかね? まあ、それなら尚更俺に関わって欲しくないが。もちろん悪いヤツも関わって欲しくないけど)モグモグ

兄(あー、運動後に食う飯はうめー)モグモグ


【放課後】


兄(今日はHRが長引いたな。修学旅行なんて行かないっての)

女「兄くん」

兄「どうも」キョロキョロ

兄(……回りに他のクラスメイトはいなそうか)

兄「パンありがとな! おかげで昼休みの授業が眠くなったよ!」

女「あ、ごめんね……?」

兄「あー、いや、感謝してるんだけど」


女「……ふふっ」

兄「ははっ」

女「ねえ、この後用事ある?」

兄「あー、ごめん。ちょっとね」

女「塾とか? 頭いいもんね」

兄「いやいや、俺ん家が貧乏なの女さんも知ってるっしょ」

女「まあ、嫌でも聞こえてくるわね」

兄「塾なんて行ってる余裕ないよ。教科書とか参考書を丁寧に読み込めばギリギリ何とかなるし」

女「すごいね」

兄「そうかな? みんなが面倒臭がりなだけだと思うけど」

女「……塾でないとすると、何? もしかしてバイトとか?」

兄「ははは、まさか! ただ妹がいるから面倒を見てあげなきゃいけないんだよ」

女「……」

兄(食べ物で懐柔して、弱味を握ろうとしてる可能性もある。そうでなくても校則違反してるなんて話すもんじゃないからな)

兄「それじゃあな! 俺にあまり話しかけない方が幸せになれるぞ!」

女「……じゃあね」


【居酒屋】


兄「……ふんふん」

店長「なんだ、偉く機嫌がいいじゃないか」

兄「今日は久しぶりに昼ご飯を食べたんで調子がいいんすよ」

店長「お前……」

兄「あ、いや、ご飯を食べてなくてもちゃんと仕事はしますよ! 今までだってしてましたし!」

店長「そうじゃねえよ。育ち盛りなんだからちゃんと飯は食えよ」

兄「うーす」

店長「……まあ、あれだ。俺はゴミ箱の量とかそこまで気にしないし、帰る時のバイトにしても、酷いのでなければ無頓着だ」

兄「……ありがとうございます」

店長「はてさて、感謝されるようなことはしてないぞ。あ、他のバイトに悪影響を与えるのは許さない主義だぞ」

兄「はい、分かってます」

【自宅】


兄「店長の厚意で廃棄とか賄いをほぼ公然に持ち帰れるようになった」

兄「……しかし木曜日まで来ると疲れる」グテッ

兄「何とかならんかなぁ……勉強するのも辛い」

兄「奨学金を借りられるといいけど、 それも保証人になってくれるような親族もいないし不可能」

兄「人生って難しいな」

兄「今日は……寝るか」ガチャ

妹「すー……すー……」


兄「……俺のベッドで寝てるし。寂しかったのか?」ナデナデ

妹「……んー」ゴロン

兄「……頑張らないとな」ボソッ

兄(さて、歯食いしばって勉強するか!)

兄(俺は妹を幸せにする義務があるんだからな!)

【翌日】


妹「兄、もしかしてわたしのベッドで寝た?」

兄「あ、バレちゃった?」

妹「……ごめん、兄のベッドで寝て」

兄「いやいや、妹の匂いをくんかくんかして最高にハイだから!」

妹「……」

兄「真顔で引かないでください」

妹「……今日は和食」

兄「ワレワレハ、ニホンジン、ワショク、サイコウノゴチソウ」

妹「味噌汁おいしい」

兄「お、それは良かった。わざわざ煮干しから出汁を取ったこだわりの味だぜ」

妹「化学調味料を使わずに昔からの素朴な味を食べる。これこそ真なる贅沢」

兄「……俺、君が本当に小学生で俺の妹なのかたまに不安になるよ」


【通学路】


兄「はあ、学校は学校で遠いわ……片道20キロちょいって自転車で毎日通う距離じゃないと思う。坂も多いし」


老婆「うぅ……」プルプル

兄「重そうな荷物を持ったお婆さんが……駅に向かうのかな?」

兄「時間は……ギリギリ大丈夫かな、多分」


兄「お婆さーん!」


老婆「ほんとありがとねぇ……」

兄「 これくらい大したことじゃないです。学校があるので失礼します」

兄「ふう、ギリギリ!」

生徒会長「おはよう」

兄「あ、おはようございます」

生徒会長「君は特待生だったね。もっと早くこないとダメじゃないか」

兄「いやあ、すみません。今日はたまたま」

生徒会長「ふむ……兄くん、だったかな」

兄「わ、俺のことしってるんですか?」

生徒会長「君は校内ではわりと有名人だろう?」

兄「あー……そうかもしれませんね。それじゃあ、時間なんで失礼します」

生徒会長「……ああ」

【昼休み】


兄(わーい、昼ご飯だ! 店長さまさま!)

女「……」チラッ

兄「……」チラッ

女「……」フイッ

兄(……今更になって気付いたが、女ってわりと俺の方を見てるんだよな)

兄(とは言うものの、クラスの嫌悪の対象である俺を観察する目はわりと多いわけで、それ自体が特別なわけじゃない)

兄(ある意味クラスの人気者! うん、まったく嬉しくない!)

兄(……昨日のは気まぐれだろう。弱者に優しい私っていう気分で自己肯定感を高めたかったのかもしれない)

兄(うんうん、人間にとってそういうのは必要だもんな。思春期なら尚更)

兄(……あー、俺って最低)

兄(勉強しよ)パラッ


ウワ,ヒルヤスミモベンキョウトカ
ヒクワ-

兄(おい、進学校)

【放課後】


兄(さて、今週最後のバイトだ! これが終われば2日間も休める! いや、勉強はその分するけど)

女「兄くん」

兄(……周囲な他のクラスメイト怪しい存在はいない)

女「疑り深いんだね」

兄「……何か用?」

女「兄くんに興味があってね」

兄「好奇心は猫をも殺すという言葉がありましてね」


女「……本当にあの事件って兄くんがやったの?」

兄「……」

女「ねえ、どうなの?」

兄「俺はいつでもこう言ってきたよ、『俺はやってない』」

女「……そっか。信じるよ」

兄「……」

女「信じるって」

兄「ああ、うん。ありがとう!」ニコ

女「……」

兄「それじゃあな!」

女「あ、ちょっと……」

【居酒屋】

ガヤガヤ……

兄「ご注文は以上ですね。少々お待ちくださいませ」

兄(信じるねえ……策略なのか純粋なのか分からんが、どちらにせよそういう言葉はもう信じられないんだよなあ)

兄「13番テーブルと14番テーブルの注文です!」

金髪「あいよ! あー、金曜日は忙しいなぁ!」

兄「そうっすね」

兄(……皮肉でも嘲りでもなくて、そういうのが信じられて感動できる人が羨ましい)

店長「おらっ、持ってけ!」

兄「はいっ」

兄(……人を信じるには少し人に裏切られ過ぎたみたいだ)


担任「あの問題児、さっさと追い出してえ!」ヒック

兄(げっ、担任!? なんで隣町に……考えることは同じってことかクソ)

教師「おい、飲み過ぎだぞ」

担任「だってよー、絶対アイツがやったんだよな! あんな問題児の受け持ちとかマジで嫌だわ!」

教師「気持ちは分かるがなあ」

担任「次同じことやったらタダじゃおかねえ! 絶対に追い出してやる!」

教師「お前、あまり露骨にやるなよ。逆にお前の進退問題に関わるぞ」

兄(……俺の話かな。それより、変装しないと。エプロンとバンダナだけじゃ心許ない)

兄「マスクさん、一枚マスクを貰ってもいいっすか?」

マスク「えっ……はい」スッ

兄「伊達さん、今だけメガネ貸してもらえません? お願いします!」

伊達「あ? ……しゃーねーな」

兄「二人ともあざっす。……あと、あの席の客たちとはちょっとイザコザがあるんで、出来るだけ俺の代わりに接客してもらえると助かります」

マスク「えー、怖いかんじなの……?」

兄「や、そういうんじゃなくて、迷惑なホモです」

伊達「大変だったんだな……」ポンポン

【自宅】


兄「ただいま……」ゲソッ

妹「……おかえり」グシグシ

兄「……おいおいこんな時間まで起きてたのかよ」

妹「……兄の夢見た」

兄「えっ?」

妹「兄がどっかに行っちゃったの」

兄「またその夢か……俺はどこにも行かないよ。信じてくれ」ギュッ

妹「……うん、信じる」

兄(……俺は、この純粋な『信じる』を守ってやりたい。妹には喪って欲しくないんだ)

今日はここまで
明日かきます

乙じゃなくてポニテなんちゃら
大量投下でうれしい
しかも急速に展開してますな

ハッピーエンドになることを願う

【翌日】

兄「ふわとろオムレツサラダだ。一味とマヨネーズで召し上がれ」

妹「腕をあげたな」グッ

兄「ありがたきお言葉」

妹「今日は服を買いに行きたい」

兄「そうかそうか、行ってらっしゃい。3000円、いや5000円くらいあれば十分でしょうか、姫さま」スッ

妹「……?」

兄「……え、足りない?」サァ

妹「兄もついてくるでしょ?」

兄「マジで? 俺いらなくない?」

妹「妹友ちゃんも一緒」

兄「マジで俺いらなくない?」

【ショッピングモール】


妹「いつ来ても大きい」

妹友「ねー!」

兄「迷子になるなよ」

妹「そんなに子どもではない」

妹友「じゃあ、手つなご!」ギュ

兄「嫌じゃないならいいぞ」

妹「む……」

妹友「えへへ、恋人みたいだね!」ニパッ

兄「えっ、それはどうかな……?」


妹「……」ギュ

兄「お前もか」

妹「……妹を甘やかすのは兄の務め」

兄「その通りです」

兄(ちょっと周囲の目が辛いが……クラスの奴に会いませんように)

兄(あ、これフラグじゃね?)

【フィッティングルーム】


妹友「これはどう?」

兄「妹友ちゃんには早過ぎる気がするなあ」

妹「……ん」

兄「似合ってるけど、サイズはもう一つ小さい方がいいんじゃないか?」

妹「……これなら成長しても着れる」

兄「妹さま……」ホロリ

妹友「お母さんみたいなこと言うね」

兄「気持ちは嬉しいけどあまり気にしなくていいぞ。大した値段でも……なくもない」タカイナ…

妹「……もう少し安いところ行こ」

妹友「もっと可愛いお洋服を着てからにしようよ!」

店員(買わないから帰れよ)ニコッ

兄(……あの店員さんの目が怖い)


兄(結局、もう少し安いところで買ったから大した金額ではなかった)

兄(いやあ、やっぱり制服って楽だよな。買わなくていいからな)

妹友「あ、クレープだ」

妹「……!」

兄「お、買うか」

妹「い、いいの?」

兄「当たり前だろ! 妹友ちゃんにも奢ったる!」

兄(これは見栄でなく、妹の交友関係のためです……ほんとだよ?)

妹友「ほんと、お兄ちゃんありがとう!」

兄「はっはっは、それほどでも」

妹友「じゃあ、このデラックスストロベリー生クリームプリンアラモードデトックスエディション!」

兄「はっはっは、一番高いのとか遠慮がねえな」

妹「あ、わたしは……チョコバナナ」

兄「このデトックストロベリーなんちゃらを二つください」

妹「兄……?」

兄「ばーか、なに遠慮してんだよ。クレープくらい食べたいの食えよ」

妹「……うん、ありがとう」

妹友「おいしー!」

妹「……っ」アムッアムッ

兄「二人とも満足したようで良かった」

妹友「お兄ちゃんは食べないのー?」

兄「ん、あまりお腹空いてないからな」

妹友「じゃあ、一口あげる! あーん!」

兄「お、サンキュー!」ア-ン

妹「……む」

兄「お、美味い!」

妹友「でしょでしょ!」

妹「……兄」スッ

兄「え、いや、同じのだし……」

妹「ん!」

兄「い、いただきます」パクッ

妹「……」ニコッ

兄「うん、やっぱり美味い」

兄(……いやあ、楽しいな。平日の疲れが吹き飛ぶ)




女「……兄くん?」



兄(あー……フラグ回収しちゃったよ)



女「妹の服を買いに?」

兄「ああ……」

妹友「お兄ちゃん、わたしの他にも彼女がいるなんてー! 二股だー! 離婚だー!」

妹「しゅらば……」

女「……この娘たち兄くんの妹なの?」

兄「いや、この娘は妹の友達。あ、付き合ってないからな? 信じないでくれよ?」

女「え、ええ」



兄「こっちの借りてきた猫みたいに静かなのが俺の妹」

妹「……」ジッ

女「こんにちは」

妹「……」フイッ

女「……!」

兄「あー、ごめん、こいつ人見知りなんだ。失礼だからやめろって」

妹「……」ムスッ


女「……お兄ちゃんのことが好きなんだね」

妹友「好きだよー!」

兄「いや妹友ちゃんに言ったわけでは……なんにせよ、ありがとう」

女「ふふ……」

兄「どうかしたか?」

女「いや、 学校で見る兄くんと今の兄くん全然違うから」

兄「ああ……」

女「……ねえ、ちょっと二人だけで話したいことがあるんだけど」

兄「俺はないかな」

女「……きっと兄くんは今日私が見たことを学校で話されたくないとおもうんだけど」

兄「……二人とも、1000円あげるからゲーセンでも行ってきな」

妹友「ほんと!? 妹ちゃんいこー!」グイッ

妹「……」チラ

兄「……」ニコッ

今日はこのへんで

>>48
あざっす、どっちかというとコンスタントにやってきたいと思ってます

>>49
制約式から関数の最適解を導き出したいですね(数学弱者並の感想)

>>62
数学が苦手すぎて全然わからないけど、この兄妹にはマジで幸せになって欲しい……
乙です

兄「さて、脅迫してまで話したいことってなんだ?」

女「そんなつもりはなかったんだけど……ごめんね?」

兄「俺は言葉と行動が一致してない奴はトップクラスに嫌いなんだ」

女「ごめん」

兄「……それで、話したいことって?」

女「先月の事件の話」

兄「……昨日も言ったけど、俺じゃないよ」

女「昨日も言ったでしょ、信じるよ」

兄「……女さんもたいがい変わってるな」

兄(――先月、クラス内で結構な人数の金品が放課後に盗まれた。貴重品を学校に置きっ放しにするヤツらもアホだが)

兄(……そして真っ先に俺が疑われた。小金持ちの家庭ばかりの中、とりわけ貧乏だから仕方ないといえば仕方ない)

女「それだったら濡れ衣を晴らそうよ。そうすれば――」

兄「そんなことしても徒労だ」

女「そんなことは……」

兄「何になるっていうんだ? あの事件は学校で揉み消された。おかげで犯人捜しは行われなくなった」

兄(だから、学校の方から俺に対して直接的な処置はなかった。その曖昧な対応がクラスメイト、そしてその周囲の人間を苛立たせたわけだが)

兄(被害者の親の中には『貧乏な犯罪者は私の子どもと区別しろ』なんて過激なヤツもいたとか何とか)

女「……でも、みんな兄くんが犯人だと思ってる」

兄「まあな。だが、悪口くらい何ともないよ」

兄(特待生で居続けたいから教師たちから嫌われるのは避けたいんだが)

女「でも、この前は教科書を隠されてたでしょう」

兄「……」

女「ごめんなさい。一緒に探さなくて」

兄「……ああ」

兄(別に行動主義者じゃないけど、そういう社交辞令も偽善も結構なんだよな)


女「もちろん今は注意喚起がされて前よりは防犯してるけど、もしもまた同じような事件が起きたら? 」

兄「……また揉み消されそうだがな」

女「でも、兄くんが疑われるかもしれない。そして今度は冤罪被害を食らうかもね」

兄「……あー、そうだな」

女「だから、真犯人の見つけ出して潔白を証明しようよ」

兄「……パス」

女「……どうして?」

兄「真犯人を見つけ出すなんて不可能だろうし、そんなことに時間を回すほど暇でもないんでね」


女「それなら見つけ出さなくてもいい」

兄「は?」

女「他の人たちが、兄くんの代わりにその人を疑うようになればそれで私たちの勝ちよ。もちろん、罪を立証できれば大勝利だけど」

兄「どちらにしろ非現実な話だな」

女「そうかな……」

兄「それよりもむしろ、疑われてもアリバイがある状態にした方がまだ楽だ」

女「うーん」

兄「明確な証拠がない限り、おそらく逮捕はもちろん退学にもならないと思う」

女「そんなに楽観視もできないんじゃないかな。退学や停学の条件に『校内の風紀を著しく乱す者』というのがあるから」

兄「……はは、俺の存在自体が風紀を乱してるってか」

女「そういうつもりじゃ……」

兄「冗談だよ……冗談かな?」


女「……来月の下旬に校舎の中に監視カメラが導入されるって」

兄「へえ?」

女「もしかしたらその前にもう一度盗難が起きるかもしれない」

兄「どうしてそう思う」

女「盗み癖のある人って何度も繰り返すらしいよ。条件が厳しくなる前にもう一度するかも」

兄「盗みをゲームか何かだと思ってるのかよ」

女「わりとメカニズムは似てるらしいよ。依存症みたいなもの」

兄「ふうん?」

女「母親が臨床心理士だからか、小さい頃から人の心に興味があってね」

兄「ふーん、なんか納得」

女「何が?」

兄「君の、俺に対する奇妙な自己開示……自己呈示の方が正確かな……は、そこに由来してるのかと思ってな」

女「そんはことはないと思うけど……」

兄「無理に心的な距離を詰めようとしてくるからさ」

女「……臨床心理士はそういうことしないらしいよ。むしろその人の鏡になるんだって」

兄「ふうん……じゃあ君は向いてないよ」

女「……そうかもね。なるつもりはないから良いけど。それで、犯人探しする気になった?」

兄「あんまり……忙しいんだよ」


女「忙しい……バイトとか?」

兄「まさか」

女「男くんって嘘つくとき鼻がヒクヒクするよね」

兄「……そういう鎌かけは結構」

兄(……コイツ怖いな。俺がバイトしてるって実は知ってるのか、もしくは断片的な情報でもあるのか、ただの勘なのか)

兄「……仮に幸運なことに真犯人を見つけ出したとする。それが何になるんだ」

女「兄くんの誤解が解けるよ」

兄「それで? 『疑ってごめんちゃい、許してにゃん』なんて言われたら、受けた仕打ちをなかったことにして、仲良くしろと?」

女「それは……」

男「俺はそんなに寛大な人間じゃない。それよりも何もせずじっとして、そのうちシカト程度に落ち着くほうがマシだ」


女「でも……」

兄「……女さんはどうして俺に関わろうとするわけ?」

女「……好きだから?」

兄「ありがとう。で、ホントは?」

女「兄くん、高校生っぽくないから。冷めてて……そういう態度を作る人は少なくないけど、兄くんは本当に冷めてるっていうか」

兄「そんなことないよ。俺は子どもらしく冷めたふりをして格好つけてるだけだ」

女「……そうは見えないけど」

兄「そうなんだよ。それに俺なんかに関わっても何の得もない。むしろ損する。だから、お互いに別の世界の住人として暮らしましょうよ」

女「……」


兄「話は終わりか?」

女「うん、まあ……あ、連絡先交換しない?」

兄「悪い、ケータイ持ってないんだ」

兄(ほんとはバイト先とか妹と連絡つかないと不味いからガラケー持ってるけど、連絡先と住所は出来るだけ教えたくないんだよな)ブ-ブ-

女「……」

兄「……」ブ-ブ-

女「……出たら?」

今日はこの辺で、明日はちょっと無理かも

>>63
数学は苦手でも好きになった方が絶対にいい、人類の宝物だもの
言いたいことは、整合性の取れてない展開やご都合主義はなるべく排除した上で、みんなが納得できる結末を目指したいということです
読んでいただきありがとうございます

>>74
此方こそ素敵なSSをありがとうございます
ちょっと制約式について調べてみようかな
何はともあれ乙です

兄「はい、もしもし。……妹友か。え、はいはい。わかった、今行く」

女「何だって?」

兄「ゲーセンに来いだって」

女「なるほどね」

兄「ごめん、連絡先はちょっと……使った分だけお金かかっちゃう料金プランだし」

女「交換するだけしようよ。いざという時に必要になるかもだし」

兄「……分かったよ」

【ゲーセン】


妹友「お兄ちゃん、このぬいぐるみ取ってー!」

妹「あと2回……ぐぬぬ……」

兄「あ、もうお金は入れちゃったのね……そんなにこれ欲しいんか」

女「たしかに可愛いね」

兄(クレーンの強度は何とかなりそうか……位置もまあ……)

兄「ふはは、兄に任せろ!」ポチッ

ウィ---ン

ウィ---ン

ガシッ

ウィ---ン

妹友「わ、わ、わ……!」

ボトンッ

妹友「とれたー!」

妹「よくやった」グッ

兄「おう!」グッ

女「上手だね」

兄「たまたまだよ」

妹「むふふ」モフモフ


妹友「お兄ちゃん、わたしの分もー!」

兄「取れるかなぁ……アソコだろ?」ポチッ

女「さすがに無理じゃない?」

ウィ---ン

ウィ---ン

ガシッ

妹「……」ドキドキ

ウィ---ン

妹友「……っ」ゴクッ

ウィ---ン

女「わっ……」

ボトンッ

妹友「お兄ちゃんすごーい!」モフモフ

妹「やるな」グッ

兄「ふはは! クレーンゲームの神に愛されている!」

女「私も欲しいな。なんかこのぬいぐるみ、兄くんに似てない?」

兄「え、どこが?」

妹友「あ、なんか分かるかも!」

兄「マジで?」

女「のんびりした脱力系の顔つきとか」

兄「そうかなぁ……」

妹「……全然似てない」

兄「妹さまがそう言うなら似てないな!」

妹友「しすこんめー!」

兄「この子ったら、どこでそんな言葉を覚えてくるのかしら?」


女「ねえ、私にもぬいぐるみを取ってくれない?」

兄「まずは自分でやってみるといいよ」

女「絶対無理でしょ……いやでもわりと取れるのかな」チャリン ポチッ

ウィ---ン

妹友「あ、ズレてる」

ウィ---ン

スカッ

妹「まだまだ未熟」

女「……もう一回、あ、500円だと6回できるのね」チャリン

兄「……女さんて実は負けず嫌い?」




妹友「もふもふー!」

妹「苦しゅうない」モフモフ

女「結局取ってもらっちゃった」モフモフ

兄「今日はとても運が良かった」

女「……ありがとね」

兄「気にすんな。服も買ったし、帰るかね。そういや、女さんは一人だったのか?」

女「いや、家族と来て別行動してたの。時間だし、そろそろ戻るね」

兄「おう、じゃあな」

【自宅】


妹「兄、昼のあの高校生は?」モフッ

兄「俺の同級生。関わりはほとんどないんだけどな」

妹「ふうん……何の話してたの」モフモフ

兄「むふふ、アダルティなお話だよ」

妹「気持ち悪い……」モフッ

兄「ぐすん」

妹「……」

兄「その蔑んだ目はやめてください」


妹「隠し事する兄なんか嫌い」

兄「別に隠してなんかないって。ちょっと妹さまの可愛らしいお耳には縁遠い話題だから控えてるだけさ」

妹「ほら、そうやって」

兄「まあまあ。それより明日の準備はしたか? バナナはおやつに入るのか?」

妹「……遠足じゃない。兄はいつもそうやってわたしを子ども扱いする」

兄(だって、子どもじゃん)

兄「明日は天気も良いみたいだしな、遊園地楽しんでこいよ」

妹「……うん」

兄「土産話を期待してるかんな。ジェットコースターに乗ってこいよ」

妹「……怖い」

兄「ふふ、ちょっとお子様には早いかな」

妹「む……」

【翌日】


兄(さて、今日は掃除と洗濯、それからスーパーの特売に行って、あとは勉強か)

兄「取り敢えず朝食の食器を洗う」

兄「そして洗濯」

兄「その間に整理して、掃除機とコロコロ、仕上げにクイックルワイパー」

兄「脱水が終わった洗濯物を干しす」

兄「そしてスーパーに行く」チャリンッ

兄「良い天気だ。妹も楽しんでるかな」

【スーパー】


兄(お、卵が安い。一人1パックまでなのが惜しいな……)

兄(んー、ひじきもちょっと安いな。買うか)

兄(鶏肉も安い! 今日は親子丼かなー)

兄(パスタか……作り置きには向かないよな……これに手を出したら手軽過ぎて妹の栄養を偏らせてしまうだろうな……)

兄(でも今日の昼飯と、いざという時のために買うか)


兄(後は……)ウロウロ


バスケ部「……っ」バタリ

兄「あっ」

今日はここまでです。

>>75
最適化問題に興味があるならやはり微積分学ですかね、制約式下での最適化ならラグランジュ未定乗数について調べてみるといいかもしれません(数学ⅡかⅢ程度の前提知識と偏微分を薄っすらとでも知っていれば理解は可能かと思います)
また『数学ガール』などを読んでみると数学全体に興味が湧くかもしれません。私もまだ一巻の半分を読んだだけですが、飛び級の友人がよく初学者に勧めています(かく言う私も勧められた1人です)し、始まりとしては悪くないのかな、と個人的に思います
私自身、決して他人にアドバイスできるような能力も知識もありませんが、一分でもお役に立てれば幸いです

できる限り更新の頻度は高くしたいと思っています
ご愛読、レスポンスありがとうございます


バスケ部「……よお」

兄「おう……」

兄(……挨拶してくるとは意外だな)

バスケ部「……」

兄(気まず……無言になるくらいなら立ち止まるなよ)

兄「今日は部活、休みなのか?」

バスケ部「ん、おう。普段は土日もあるんだけどな」


兄「運動部は大変だな」

バスケ部「まあな。この貴重な一日中休みってのを噛み締めると、部活に行きたくなくなるよ」

兄「切実だなぁ……お疲れさん」

バスケ部「おう。お前も親の使いっ走りか?」

兄「まあ、そんな感じ。今は親がいないから正確には違うけど」

バスケ部「……そうなのか? じゃあ料理とか家事は全部自分で?」

兄「そうだな」

バスケ部「お前、すごいな」

兄「そんなことないって。手一杯だしな」


バスケ部「だって、家事とかやった上で特待生だろ?」

兄(バイトも週3,4でやってるけどな)

兄「運動部に所属してる方が俺からしたらすごいと思う」

バスケ部「そんなことねえよ。練習嫌だ以外の感情を失ってるわ」

兄「ははっ!」

バスケ部「……んー」

兄「どうかしたか?」

バスケ部「いや、お前って思ったよりもずっと話しやすいヤツだなって」

兄「そう思ってもらえるなら嬉しいよ。俺もお前が挨拶してくるとは思わなかった」

バスケ部「クラスメイトにあんなバッタリと鉢合わせたら、とりあえず挨拶するだろ」

兄「……そうかもしれないけど、それだけじゃなくてさ、ほら俺ってクラスでさ……」

兄(……なに言ってんだ俺? 女さんに毒されたか?)

バスケ部「……ああ。まあ、慣れてんだよ。中学時代も同じようなのがちょこちょこあったから」

兄(イジメが? 窃盗が? それとも両方か?)

バスケ部「まあ、そんで、そう言うことが起きるたびに容疑者が出てくるわけだ」

兄「あ、盗難の方ね」

バスケ部「ん?」

兄「なんでもない」


バスケ部「だけど、そいつが犯人じゃないってことも多くてな。頭から決めてかからない方がいいと思ってな」

兄「……」

バスケ部「ま、そういうわけ」

兄「なるほどな」

バスケ部「まだクラスメイトがどういう奴かはっきり分かってないってのもあるな」

兄「そうだな」

兄(俺も女さんみたいな変わった人がいるなんて知らなかったし)

バスケ部「でも、他のやつらも気味悪いんだろうよ。クラスの中か何処かに犯人がいるわけだからな」

兄「ああ……」


バスケ部「そろそろ行くわ。そんじゃな」

兄「あ、ちょっと待ってくれ」

バスケ部「……ん?」


兄「いやあ、ありがとう! お前のおかげで卵が2パック買えたよ!」

バスケ部「……おう。主夫みたいだな」

兄「そうだな」

バスケ部「じゃあ今度こそこれで。……俺にも体裁があるから学校ではあんまり話しかけないでくれ」

兄「……分かってるよ。卵ほんとサンキューな」

バスケ部「……おう」


兄(まあ、バスケ部の反応が正しいよな。クラスから疎外されてるヤツとわざわざ仲良くするなんて不合理だし)

兄(いや、むしろ学校で気まずい事態が起きないよう、未然にはっきりと宣言してるだけ、好感がもてる)

兄(まあ、全く傷ついてないといえば嘘になるが、こんなことでいちいち凹んでたらキリがない)

兄(……女さんも何かしらの思惑があるのか? 俺を退学させたいとか? 別に女さんに何か悪いことした覚えはないけど)

兄(女さんが実際の窃盗犯で、俺に完全に罪をなすりつけて追い出そうとしてるとか? これはわりと腑に落ちる仮説だな)

兄(それとも他のクラスメイトに便乗、もしくは脅されてとか? 純粋に俺に興味があるという可能性もゼロではないかもだが、うーん……)

兄(何にせよ、情報が少な過ぎて仮説もロクに立てられないな。時間と糖分の無駄だ)


兄(……しかし、バイト代の月平均が約7万。妹の給食費含む食費が約2万5千円。光熱水費電話代が1万円。種々の雑費が変動はあれどおおよそ1万円以下)

兄(家賃は唯一クソ母親に感謝したいところで、1年間の先払い契約だ。まあ、そうしないと信頼性のない一家に部屋を貸したりもしないしな。実際、男作って子ども捨てて半年もどっか行くような女だし)

兄(テスト期間とかでバイトが出来ない時に備えて2万円は貯金したい。そうすると交際費等にある程度気楽に使えるお金は5千円くらいか)

兄(貯金残高は5万ほど。蒸発したあの腐れビッチが俺の口座から勝手に抜き出してたのが辛いな。春休みの収入がパァになった時は本当に殺意が芽生えた)

兄(……まあ、俺の口座を作るのにかかった費用だと思うしかない)

兄(……正直、今回の遊園地は安くない出費だけど、妹には不自由な思いはさせたくない)

兄(今週は相当しんどかったが、シフトが増えたお陰で少しは余裕が出来たのも結果的には良かったな)

兄(……しかし、はやく大人になりてえ。さっさと完全に自立してしまいたい)

兄(卒業まであと2年弱……か。大きな不測の出費が出たら、もう余力はない)

兄(……不安になるな。何とかなるはずだ。何とかしなきゃいけないんだ)

兄(まあまあ、そんなことよりも妹さまたちは楽しんでらっしゃるかしらん)

今日はここまでです
ご愛読、レスポンスありがとうございます

バイト月7万とか頑張りすぎだ…

福祉相談受けに行けよ…体壊すぞ…

【遊園地】


妹友「ねえねえ、今度アレに乗ろうよ!」

妹「うん」

少女A「それにしても、混んでるね」

少女B「ねー」

妹「さすが夢の国……遊園地というかテーマパーク?」


少女A「あ、マスコットキャラの○ッキーだ!」

○ッキー「芸能界に卒論提出しちゃったンゴwww」

少女B「一緒に写真撮ってもらおうよ!」

妹友「それじゃああそこのお姉さんに撮ってもらお!」

妹「うん」

少女A「あたしのスマホでいいよね」




スタッフ「それじゃあ撮るね。はい、ポーズ」

妹「……」ニコ

○ッキー「本当に申し訳ございませんでした」

パシャッ

妹友「ありがとうございます!」

妹「……」ペコ

スタッフ「どういたしまして! 楽しんでいってね」

○ッキー「ゲスの極み、乙女です」


少女A「じゃあ、グループラインに写真貼っておくからね」

少女B「はーい」

妹「あ……」

妹友「妹ちゃんには、後でプリントしてあげるね!」

妹「うん、ありがとう」

少女B「……それにしてもさ、今時スマホも持ってないってヤバくない」

少女A「ねっ、遅れてるよね」

妹「……っ」

妹友「で、でもでもクラスにだって持ってない人はいっぱいいるよ」


少女A「でも妹ちゃんのお家って貧乏なんでしょ? ママが言ってた」

少女B「あ、うちのお母さんも言ってた」

妹友「そんなこと言わなくてもいいじゃん……!」

妹「妹友ちゃん、いいから」

妹友「……っ」

妹「ね……?」ニコ

妹友「う、うん……」




妹友「お腹すいたなー」

少女A「あそこにチュロスの屋台あるよ」

少女B「あたし、ポップコーン食べーたい」

妹友「あのドーナツも食べたいな!」

妹(……全部高い。兄にもらったお金、できるだけ残したいな……)




妹友「コスモシャトルに乗ろうよ!」

少女A「えー、怖いからヤダ」

少女B「絶叫マシンとか乗りたがる人の気持ちがわかんない」

妹友「楽しそうじゃん! 妹ちゃんもそう思うでしょ!?」

妹「う、うーん……」

少女A「あたしはパス」

少女B「あたしもー」

妹友「むー」




妹友「わあ、このキーホルダかわいい!」

妹「うん。これ、兄へのお土産にする」

少女A「このぬいぐるみかわいいー」

妹「……かわいい」キラキラ

少女B「おっきいね!」

妹友「うん!」

妹「……でも、すごく高価」チラッ

妹友「大きいぬいぐるみってビックリするくらい高いよねー」


少女A「これ、買っちゃおー」

少女B「お金もちー。あたし、どうしようかなー」

妹友「えー、親もいないのに、こんな高いの買ったら怒られない?」

少女A「べつにー。パパもママも欲しいって言ったらどうせ買ってくれるし」

少女B「いいなー。うちのお父さん、ケチだもん」

少女A「これくらい普通買えるでしょ」

少女B「じゃ、じゃーあたしも買おうかな」

妹友「えー」


妹「……」ジ-

少女A「妹ちゃんみたいな貧乏人は買えないでしょ」

妹「……うん」

妹友「……」ムカムカ

少女B「かわいそー」

妹「……それはちがう」

少女A「は?」

妹「たしかにうちは貧乏だけど、わたしには兄がいる。だから可哀想なんかじゃない」

少女B「イミわかんない」

妹「……分からなくてもいい」


少女A「前から思ってたけど妹ちゃんってヘンだよね。いつもよく分からない本ばかり読んでるし」

少女B「ねー」

妹友「……いいかげんにしてよ! もう知らない! 妹ちゃんいこ!」グイッ

妹「あ……」

少女A「ちょっと! どこ行くの!」

妹友「べつこーどー! もういっしょにいたくない!」

少女B「はあ!? アタマおかしいんじゃないの!?」

妹友「わたし、バカだもーん!」ベ-




妹「いいの?」

妹友「だって、友だちがバカにされたらイヤじゃん!」

妹「……ありがと」

妹友「いいのいいの! さ、二人で遊ぼ!」ギュッ

妹「……うん」ギュッ

妹友「さあ、コスモシャトルにのろー!」

妹「えっ」

妹友「さあさあ!」

妹「う、うん……」

【コスモシャトル】


ヒュォォォ---ッッ!!


妹友「きゃーっ! きゃーっ!」


シュゥゥゥン--ッ!


妹「…………」シロメ

今日はここまでです。

>>103
因みに7万の計算は{(850円×4時間)+(1.25×850円×2時間)}=5525←1日のバイト代(1.25は深夜の割増率)
これに日数の12をかけたものと13をかけたものを足して平均を取ると69562円です


>>104
その辺りは本編でできる限りフォローしていきたいと思います


ご愛読、レスポンスありがとうございます

>>120

当然のように深夜っておい
高校生ェ

妹友ちゃん…ええ子や…

>>120
妹に惨めな思いをさせないというのが主要、かつ周りの貧困に対する態度がこの有り様なら
最近の生活保護に対するイメージからして、死にかけるぐらい窮まらなければ行かないかなとは思うんだけどな…
親が福祉職で自分も資格勉強中だからか、女が気になって仕方無い
長文すまん、期待してる

兄「……んー、もう少し漸化式の練習問題を解いとくか」カリカリ

ブ-,ブ-

兄「着信……女さんからか」

ブ-,ブ-

兄「…………」

ピッ

兄「はい、もしもし」

女『もしもし兄くん? こんにちは』

兄「こんちは。どうかした?」


女『家の電話からかけていい? あまり料金がかさむと怒られちゃうから』

兄「分かった」

女『ありがと。ちょっと待ってね』プッ

兄「……なんだ? まあ、電話なら受信側に料金かからないからいいか」

ブ-

ピッ

女『兄くん、ごめんね』

兄「別にいいよ。それで何の用?」


女『特に用ってわけじゃないけど……今は何してたの?』

兄「少し勉強してたよ」

女『真面目だね』

兄「せざるを得ないんだよ。用がないなら切っていいかな?」

女『待ってよ。そんなに私のこと嫌いかな?』

兄「別に好きとも嫌いとも思ってないよ」

兄(不審には思ってるけど)

女『それなら会話くらいしてくれてもいいじゃない』

兄「話し相手は俺じゃなくてもいいだろ」


女『兄くんがいいんだけどな』

兄「どうして? 別に俺は女さんが考えてるような人間でもないし、君が望んでいるようなものは恐らく何も提供できないと思うが」

女『……ふふ、やっぱり兄くんって面白いね。普通の男の子はそんなこと言わないよ、多分ね』

兄「俺みたいなのを面白いという女さんの感性が面白いよ」

女『そうかもね……妹さんは?』

兄「出かけてるよ」

女『そうなんだ』


兄「……」

女『ご飯はもう食べた?』

兄「ああ」

女『何食べたの?』

兄「出来合いソースのパスタだよ」

女『育ち盛りなのにそれだけで足りるの?』

兄「ミートソースと白米って結構合うんだ」

女『炭水化物と炭水化物って……』

兄「カロリーが高いものは美味いという真理があってだな……」

女『それは本当に思うよ」


兄『そして女子力は摂取カロリーに比例するんだ』

女『……その論理でいくと、一番女子力が高いのはお相撲さんだね」

兄「実際、力士って体も柔らかいし、女子力高そうだ」

女『あはは、そうかも。相撲はよく見るの?』

兄「前は結構見てたかな。最近は見ないけど」

兄(夕方からバイトがあるからなー)

女『スポーツとか好きなの? 運動は結構できるって聞くよ』

兄「それほどでもないよ。中学の時は柔道やってた。おかげで耳の形がちょっと変になったかな」

女『あ、たしかに普通の人よりもちょっと出っ張ってるかも』

兄「まあ、そこまで目立つほど酷くないけどね。顧問とコーチが無茶苦茶スパルタで、何度体罰を受けたことか」

女『え、それは問題でしょ……?』

兄「問題だよ。なんど告発してやろうかと思ったことか。あの時期はほんと色々と鍛えられた。憂鬱で仕方なかったけど」

女『すごいね……』

兄「俺も自分で自分を褒めてやりたいよ」

兄(だから、バスケ部の気持ちもよく分かるんだよな)


女『兄くんは忍耐強いんだね』

兄「そんなことないよ。基本的にサボりたいとしか考えてないけど、環境がそうさせてくれないんだ」

女『そうなの?』

兄「まあ母子家庭だし」

兄(その母親は水商売して、挙句に客と蒸発するっていう……世の中のどこに、親の滞納した国保を払ってかつ親の分まで国保を払う子どもがいるんだよ)

兄(そんな親孝行な息子の金を奪るっていうんだから……はあ、もうやめよ)

女『……大変だね。だから特待生で居続けるために勉強してるんだね』

兄「ああ……私立の授業料と施設代なんて払えないからな。一年ごとに継続できるかどうかの審査があるし」

兄(逆に言えば、今年一杯頑張れば、そこまで頑張る必要もない。進学しないってのは、高校からすれば、特待生制度の無駄使いなんだろうけど)

女『そっか……修学旅行は行くんだよね?』

兄「そんなもん行かないよ』

女『えっ?』

兄「そんな余裕ないって。積立もしてないし』

女『……本当に行かないの?』

兄「ああ」

女『……』


兄「ははっ、やっぱり俺が盗難の犯人な気がしてきた?」

女『そんなわけないでしょ。そんな悲しい笑い方しないでよ』

兄「……してたかな」

女『兄くんだって、私と同じでまだ子どもなんだよ。まだもう少し、子どもでいていいんだよ』

兄「……ごめん、切るよ」

女『兄く――』プツッ



兄「子どもでいていい、か」

兄「はは、誰が望んでこんな生活してると思ってんだよ」

兄「持ってるヤツには持ってないヤツのことなんか分からないさ」

兄「俺だってもっと人を盲目的に信じられる子どもでいたかったよ。でも、もう無理だ」

兄「すう……はあ……」

兄「よしっ、やめやめ。俺は妹を幸せにできればいい。妹を幸せにできればそれでいいんだ」

兄(この言い方だと、まるで妹のせいにして自分の人生を犠牲にしてるみたいにも聞こえるな)

兄(だが、資源が有効である以上、優先順位をつけて適切に配分してくしかないだろ。それならば俺より妹を優先すべきだ)

兄(俺は男だ。最悪どうにかなる。その気になれば今みたいに働きながらでも学位を取る自信はある)

兄(だが妹は? 男女平等を唱えたって社会において格差は実在するし、これからもしばらく無くならないだろう。低学歴ならば尚更生き辛いはずだ)

兄(それにアイツはあまり体が強い方じゃない。過酷な労働なんてできない)

兄(それに結婚するにしろ学歴はある程度のフィルタになる。変な男に引っかかるリスクも減らせるはずだ)

兄(何よりも俺は自分の命よりも妹が大事だからな)

【最寄駅】


妹「ただいま……」

妹友「ただいまー!」

兄「おう、お帰り。楽しめたか?」

妹「うん……でも疲れた」

兄「さよかー」

妹「兄、宇宙飛行士にはなるな」

兄「うん? いや、目指してもなれないと思うが」


妹「重力が大きいと人間はあくまで物体だと思い知らされる」フッ

兄「小学生の発言とは思えないな……」

妹友「妹ちゃん、絶叫マシンが苦手みたい」

妹「そ、そんなことない。ちゃんと全部付き合った」

兄「おお、二人ともやるなぁ」

妹友「ただ、一緒に行った子たちとケンカしちゃった。ひどいんだよ!」

妹「そのはなしは……」

兄「もう暗いし、送ってくから歩きながら話そうか」

妹友「うん」



妹友「じゃあねー! また明日ー!」ブンブンッ

妹「……また明日」フリフリ

兄「……帰るか」

妹「……うん」

スタスタ

兄「ごめんな」

妹「え?」

兄「お前に嫌な思いさせて」

妹「そんなこと……」


兄「お前は何も悪くないからな。お兄ちゃんが悪いんだ。また嫌な思いをすることがあったらな、お兄ちゃんのせいだと思ってくれていいからな」

妹「違うよ」

兄「いいから。なっ?」ポンッ

妹「……」

兄「しかし、妹友ちゃんはいい子だよな」

妹「……うん」

兄「まあ、妹さまが一番可愛いけどな!」ギュッ

妹「うっ……はなせ」

兄「シスコンばんざーい!」

妹「きもちわるい……」

今日はここまでです
困ったことに全然話が進まない

>>123
序盤で触れてるのでご容赦ください
ブラックバイト、ブラック企業は健全な経済活動のためにも消滅して欲しいものですね

>>124
実社会においてもスティグマのために生活保護を受けようとしない家庭もいるでしょう
NHKのドキュメンタリーでも困窮した男性が『他所様に迷惑をかけたくない』と申請を渋っている姿があったのを覚えています
私は貧困について非常に浅学ですし、実務的な福祉制度、社会保障制度に至っては知り合いの保健師やインターネットにて情報収集するに留まっているため、専門的に勉強している方からすれば論外な箇所も出てくるでしょうが、その時はご指摘くださると幸いです
勉強頑張ってください

今日はここまでです
困ったことに全然話が進まない

>>123
序盤で触れてるのでご容赦ください
ブラックバイト、ブラック企業は健全な経済活動のためにも消滅して欲しいものですね

>>124
実社会においてもスティグマのために生活保護を受けようとしない家庭もいるでしょう
NHKのドキュメンタリーでも困窮した男性が『他所様に迷惑をかけたくない』と申請を渋っている姿があったのを覚えています
私は貧困について非常に浅学ですし、実務的な福祉制度、社会保障制度に至っては知り合いの保健師やインターネットにて情報収集するに留まっているため、専門的に勉強している方からすれば論外な箇所も出てくるでしょうが、その時はご指摘くださると幸いです
勉強頑張ってください

毎度ご愛読、レスポンスありがとうございます

【翌日・学校】


兄(あーあ、席が後ろでグチャグチャじゃん。まあ、机と椅子以外ないから楽だけどさ)

マダガッコウクンノカヨ
ハヤクシネヨ

『さっさと消えろ』
『死ねクソドロボー』
『腐れホモインポ』

兄(はいはい、机の落書きは消しましょうねぇ)キュッキュッ

兄(油性で書くのやめろよ。あの担任だと、俺が書いたとか言ってきかねないんだから)キュッキュッ

兄(アルコール消毒薬はさすがに隠さないよな。無くなったら先生に何か言われるしな)キュッキュッ

兄(引き出しには生ゴミか。腐敗具合からして金曜日に突っ込んだのか? これ、俺だけじゃなくて他にも迷惑じゃん。俺が一番迷惑だけどさ)ヒョイッヒョイッ

兄(靴に画鋲の古典的なものから始まったが、今朝はこんなものかね。中もアルコール消毒だな)キュッキュッ

兄(積極的なのはそのうち飽きるだろうが、陰口とシカトは続くだろうな)

兄(精神的に辛くないかと言われればもちろん辛い。警戒心を強め続けるのも普通に疲れるし……)

兄(でもこんなんで精神的疲労溜めるのもアホらしいし、ボーッとするか)ボケ-

兄(明日は雨予報かぁ……自転車移動が辛いよなぁ……。妹にちゃんと傘持ってくように言わないとなぁ)

ヒョイッ

兄(消しカス投げんな、小学生かよ)パッパッ

クスクス……
キモ-

兄(こんなんで笑えるとか、微笑ましい知能してんな、おい)

兄(うーん、やっぱりそういう言葉を使うと強がりに聞こえるな。なんか負けた気になる)

兄(……しかし、貧困って連鎖するよな。経路がいっぱいある)

兄(まず貧困家庭は親がろくでもない。虐待やネグレクトが多くなるだろうな。そうでなくても普通の母子家庭でも子どもと親の接する時間は少なくなるだろう。あとはお手本になるような人もいない)

兄(栄養状態も悪くなりがちだろうな。特に幼児期の栄養状態が子どもの認知能力に影響を与えるって実証分析もあるとか。俺の知能も他より劣ってんのかなぁ)

兄(病院とかもだな。国保は払ってるけど、そこまで気軽に行けるような所得じゃない。俺が払わなきゃ、国民健康保険だって滞納が続いたろうな。母親のヤツ、俺が高校に入るくらいから前の男と別れて荒んでたし)

兄(住んでるところも影響あるよなぁ。実際、今住んでるところもあまり治安が良くないし、妹を一人で登下校とか絶対にさせられない。借りてるアパートもボロいしな)

兄(何よりも勉強。現に俺は大学進学の道は絶たれてるし、特待生じゃなきゃ、私立の学校はもちろん、公立も厳しいくらいだ)

ポロッ

兄(だから消しカス投げてくんなっての)パッパッ




英語教師「それじゃあ、隣の人と一文ずつ交換で音読してください」

兄(出た、ぼっちといじめられっ子を殺す系のヤツ。仲良くない相手、特に異性でもキツいヤツだ)チラッ

クラ女C「……」ハァ

兄(はいはい、こっちを見向きともしないよね、当然だよね)

兄「じゃあ、俺最初に読んでいい?」

クラ女C「……ぇ」

兄「……小耳に挟んだけど、指定校推薦狙ってるんだろ? こんなくだらないことで評定落とすのは損だと思うぞ」ボソボソッ

クラ女C「……最初、どうぞ」

兄「おう――He was brought up in abject poverty……」



英語教師「じゃあ、どのグループか音読を発表してくれる人いませんか?」

兄「はい」

クラ女C「……ちょっ」

英語教師「お、兄、素晴らしいね。お願いします」

ヒソヒソッ

兄「ほら、立って立って」

クラ女C「……最悪」ボソッ


兄「Moonlight reflecting on the sea shimmered among the small fishing boats」

英語教師「はい、二人ともありがとう。かなり良かったですよ。クラ女Cももう少し声をはっきり出してくださいね」

クラ女C「……はい」

兄(隣の席が扱いやすいヤツでよかったわ。平常点稼いでおきたいからな)


【昼休み】


ホントアリエナイ
シンデホシイ…
キモイ

兄(……空腹っすわ)

兄(やっぱり厳しい日でも月曜日くらいは買った方が色々と効率がいいかもな)

ブ-,ブ-

兄(……女さんからの着信?)チラッ

女「……」ニコ

ガラッ

兄(……ついて来いってことか? 昨日、変なとこで通話切ったし、あまり話したくないけど……)

兄(……教室で悪口聞くのもウンザリだし行くかあ。鞄も持ってかねえと)

【踊り場】


女「来てくれたんだ」

兄「なんか用?」

女「兄くんはすぐに『何か用?』ってきくね」

兄「だって呼び出されてるわけだしな」

女「それは確かに。兄くんと話したいからじゃダメかな?」

兄「そんなこと生まれてから一度も言われたことがないから、怖いというかなんというか」

女「怖いかな?」


兄「他の男なら満更でもないんじゃないか? 有頂天になるヤツもいるかも」ゴソ

女「でも、兄くんは怖いんでしょ。もしかして饅頭怖いみたいな?」

兄「そうだな、満更でもないよ」パラッ

女「とか言いながら、古文の単語帳を開くんだ」

兄「古典単語覚え辛いから、何度もみないと覚えられないんだよ」

女「分かるよ。わりと外国語みたいなものだしね」

兄「なまじ日本語なのが余計混乱のもとだ」

女「でも昔の恋愛、素敵だよね。殆んど見ることもない異性と詠歌を通して恋慕して結婚するんだから」

兄「現代日本じゃ考えられないな」


女「通い婚というのもいいよね。いつでも会えるのではなくて、たまに会うからこそ愛が確かめられるって兼好法師が徒然草で書いてたよ」

兄「お互いの嫌なことを見ずにすむんだもんな。離婚も少なかったろう」

女「家に行かなければ離婚する必要もなかったろうしね。だんだん顔を見せなくなった夫を恨むような詠もあったね」

兄「時が経つのって無情だな」

女「……」

兄「どうした?」

女「兄くんの好きなタイプってどんな娘?」

兄「急に何じゃい」

女「気になるから」

兄「タイプね……人間の好みを類型化することにあまり意味を見出せないんだよな」

女「どういうことかな?」

兄「個人を抽象的な領域にカテゴライズするのは不可能だと思ってるんだよ。優しい人がいつでも優しいとも思えない」

女「……確かに完全な分類化は無理だろうね」

兄「そもそも人を好きになるっていう感覚が正直分からん」

女「……今まで生きてきた中で恋愛感情を抱いた子がいないの?」

兄「可愛いって思った子はいるよ。けど、それが恋愛感情や好意なのかは分からん」

女「恋愛感情を特別視しすぎなんじゃない? 大きくは生存欲求の変形ないし発展なんじゃないかな。そいうとマズローの欲求階層説支持者みたいだけど」

兄「生存欲求ね……」

女「ちなみに男性と女性で異性を重視する点の違いは統計的に有意らしいよ。男性は異性が他と肉体関係を持たないこと、女性は異性が他に恋愛感情を持たないことが重要だとか」

兄「へえ、直観とも整合性が取れてるように思うな」

兄「……」パラッ

女「ところで兄くんは今日もお昼を食べないの?」

兄「お前こそ飯食わないのか?」

女「食べるよ。というわけで、はい」スッ

兄「……その菓子パンはなに?」

女「ぼーっとしてたら多く買っちゃってね。食べ切れないからあげる」

兄「……一つ言っておくが、そういう同情とか、労りとかは止めてくれないか」

女「違うって。ただ多く買って困ってる私を兄くんに助けて欲しくてね」

兄「……」

女「消費期限は切れてないよ。もちろん虫なんて入ってない」

兄(……確かに、確認したところ大丈夫そうだが、餌付けされてる気分だな)

兄「サンキュー」

女「ところで先週の兄くんのお弁当は変わってたね」

兄「は?」

女「家庭で作る料理じゃあなさそうだったし、かといってコンビニやスーパーの惣菜でもなさそう……なんでだろうね」

兄「……あー、ほら……冷凍食品だよ。今は結構色々あるんだぜ」

女「ふうん、そっか。私、てっきりどこかのお店のものかと思ったよ。弁当箱に入ったのにね」

兄(……なんなの、ねえ、ほんとなんなの彼女は? 怖いんだけど)


兄(いい加減、しっかり問いただすか)

今日はここまでです、無駄話ばかりだなこいつら

ご愛読、レスポンスありがとうございます

更新頻度高くて嬉しい
次回動きがありそう?


兄「いい加減、君の目的を教えてくれないか?」

女「目的?」

兄「どうして俺にちょっかいを出すのか」

女「やっぱり警戒されてるんだ」

兄「あまり人を信じられる人生を送ってこなかったし、信じられる環境でもないんでね」

女「私は、そんなあなたを助けたいんだ。具体的に言えば、学校でのイジメをなくしてあげたい」

兄「どうして?」

女「うん?」

兄「そんなことして君に何の利得があるっていうんだ」

女「利他主義じゃダメかな」

兄「俺はそんなものは一切信じない」

女「……君のことが好きだから?」

兄「すまないが信じられないな。しかも疑問形だし」

女「兄くんは要するに私を追い払いたいんだ?」

兄「……そうだな。俺は君が怖い。なんで怖いかっていうと、俺は君のことをほとんど知らず、君が俺に害を与えないか不安なんだ」

女「そんなことしないよ」

兄「君は俺なんかよりもずっと聡いように見えるし、気づかない内に、君の罠に嵌って手遅れになりそうなんだ」

女「困ったな……なんて言えば信じてもらえるのかな」

兄「ここまで言って、それでも関わろうしてくるのは、ありがちな安い同情心じゃなさそうだな。そうすると何かしらの直接的な強い利得があるんだろう?」


女「ふふ、腹の探り合いだね」

兄「余計な糖分を使わせないでくれよ……俺が恐れてるのは、君に嵌められて窃盗か何かの濡れ衣を着せられて退学や特待生の取消をされることなんだ」

女「なるほどね」

兄「俺は君がこれをしないと証明できないなら君と深く関わる気はないよ」

兄(追加して、生活を壊さないことと金がかからないこともあるがな)

女「なるほど……それを証明するのは難しいね」

兄(そりゃそうだ)

女「でも、消極的にならできるかもね」

兄「は?」



女「兄くん、校則を破ってバイトしてるね?」


女「まず兄くんの家計の様子。非常に失礼ながら豊かな財政とは言えないこと」

女「スマートフォン、タブレットは持たずガラケー。この前あった土曜日の服装は見た目的にも結構古いものだった。それに昼ご飯さえ食べようとしないのは流石に異常だよね」

女「昼ご飯は大体おにぎりか安くてたくさん入っているスティックパンを持ってきたり、持って来なかったり――先週の木曜日と金曜日は新学期の中でも豪華だったね」

女「でも急に冷凍食品だけを詰めて持ってきたのは不自然。それに、木曜と金曜でバリエーションの差はそれなりにあった。冷凍食品ならば、中身はほとんど同じものになるはずなのに、とても不自然だ」

女「兄くんの普段の様子は大体他の生徒と比較しても疲れているように見えるかな。周りの話や兄くん話を聞く限り、体力は充分にありそうなのに奇妙だ」

女「兄くんの大人びた様子、イジメに対する抵抗力から見るに、自身に対する自負と同時に他の共同体に属してることも推察できる。逃げ場がある程度ないと、ああはなれないし、また他の共同体に何かしらの貢献がありそうにも思える。例えば家計の収入源になってるとか」

女「他にも匂わせる些細なことがちらほらとね」

兄「……長々と話したわりに確定的な証拠はないんだな」

女「ないよ」アッサリ

兄「えっ」

女「だって、そんなもの要らないから。『兄くんが校則を破ってバイトしてるようです』、と先生に言えばそれでおしまい」

兄「いやいや」

女「飲食のバイトでしょ。バイトの日にはエプロンなり名札なりの物的証拠を持ち歩くはずでしょ」

兄「……」

女「先週は少なくとも水曜日と木曜日は入ってたからその日あたりを狙って先生に言って持ち物検査をすればどう? もしかしたら今日もじゃない? もしも一週間ほど私があなたの帰りを調査したらどうなるかな?」

兄「……結局、信用度の高さかよ」

女「そういうこと。兄くん、担任にも露骨に嫌われてるしね」


女「勘違いしないで欲しいのは、この話をしたのは決して兄くんに危害与えたいわけじゃなくて、むしろその逆」

兄「……いつでも潰せるんだから、警戒しても無駄ってか」

女「危害を加えられるけど危害を加えない。そこには私に何かしらの利得があるってことだよ。証明になったかな?」

兄「いや、ならないな。まだ女さんが善人である可能性と、それとも退学以上の罰を俺に与えたい可能性が存在してる」

女「……疑い深いね。疲れるでしょう?」

兄「ああ、疲れるよ……そしてもう疲れた……女さんが善人であることを祈ることにした。俺の負けだよ」

女「勝ち負けじゃないけど、どちらかというと兄くんの勝ちだよ。安心してよ、後悔はさせないから」

兄「ああ、そう……」


女「そろそろ時間も押してるね。私は先に戻るから、パン食べてからおいでよ」

兄「女さんは食べなくていいのか?」

女「私は一食くらいあまり問題ないかな、それじゃあまた後で」

兄「……なあ、具体的に女さんは何をしようっていうんだ?」

女「それもまた後でね」

兄「……」


兄(とんでもないヤツに目を付けられたな)

兄(……というか、俺のこと観察し過ぎじゃないか?)

兄(しかも、結局動機が分からないし……困ったな)ビリッ

兄(……俺も女さんについて調べられそうなことを調べてみるか)ガサガサ

兄(うーん、参った)パクッ

兄(……パンうめえ)モグモグ

兄(はっ、やっぱり餌付けされてる!?)

【居酒屋】


兄「……はあ」シュルッ

大学生「兄くん、おいっす。先週シフト代わってくれてありがとねー」

兄「ああ、いいっすよ、別に。レポート大丈夫でした?」

大学生「おう、取り敢えず提出できた。コピペ最強だぜ」

兄(ほんとに大丈夫かよ……)

大学生「それより溜息ついてどうした?」

兄「ああ、いや。変なのに最近絡まれまして」

大学生「なになに、コレ、コレなのん?」クイクイッ

兄「小指立てないでください……女子ですけど、別に浮いた話じゃないですよ」

大学生「あ? 本当に女かよゴルァ!」

兄「なんでですかっ!」

伊達「コイツ、遊んでそうな見た目の割に全然女っ気ないんだよなぁ」

大学生「俺はな……高校が男子校でな……頑張って大学デビューしようとしたんだよ!」

兄「そうだったんすか」

大学生「彼女いない私大文系なんて底辺大学生だぞ! 世の階級の一番下だ! どうしてこうなっちまったんだ」ウッウッ…

兄「ガチ泣き……」

伊達「頑張れ負け組」ポンッ

大学生「うるせえ! リア充国立理系は滅びろ!」

兄「大学生は楽しそうですね……」

伊達「良くも悪くも自由だかんな。理系の場合は学期中、普通に高校生並みにコマ詰まってたりすんだよ」

兄「へえ……」

大学生「俺も伊達メガネかけたらモテるかな……」

伊達「お前はまず中身の問題だろ」

大学生「うがああぁぁっ!」


店長「テメェら仕事しろ!」

今日はここまでです
わりと兄妹が好感持たれてて意外です

>>159
基本的には毎日更新しますが、今週と来週は少し厳しいです
次は早くて金曜の夜です

ご愛読、レスポンスありがとうございます


兄「身体きつ……睡眠足りてないな……」

ザ-ザ-

兄「今日は一日中雨か……カッパ着ないと……」

妹「……」

兄「おはよう」

妹「……うん」

兄「今日、雨だからちゃんと傘持ってけよ」

妹「……うん」

兄「……体調でも悪いのか?」

妹「ちがうよ……」

兄「本当か? 熱は計ってみたか?」

妹「……だいじょうぶ」

兄(……本当に大丈夫なのか?)

兄「……分かった。少しでも変化があったら俺に伝えるんだぞ」

妹「……うん」

【昼休み・踊り場】

ザァァ…

女「今日はずっと雨らしいね」

兄「ああ、憂鬱だよ」

女「雨は嫌い?」

兄「ああ、移動すんの大変になるから」

女「こんな雨でも自転車なの?」

兄「まあね」

女「大変だね」

兄「それほどでも」

女「風邪ひかないようにね」

兄「ああ、ありがとう」

兄「そういえばさ、昨日、具体的に何をするか聞いてなかったんだけど」

女「そうだったね」

兄「俺はあまり時間がないんだよ」

女「そうみたいだね」

兄「……」

女「時間は取らせないよ。空いてる日でいいから」

兄「……それならいいけどさ。しかし、これだけ時間が経つと物的証拠もアリバイも分からなくなるよな」

女「そういうのは諦めてるよ」

兄「……どうしろと」

女「まずは絞り込みから始めよう」

兄「……絞り込みねえ」

放置してすみません。またしばらく滞ると思うので、気長に待っていてください。

勇者「女神から能力を授かった」
狐娘「復活じゃー!」男「・・・・・・」
蛇神「そんなお話」

最近だとこんなもの書きました(書いてる)ので、かわりにこちらでもどうぞ。

【小学校・教室】


少女A「ほんとあの子キモいの」

少女B「ね、ヘンだよねー」

少女C「ふーん、妹友ちゃんって、そんな子だったんだ」

少女D「…………」

妹「……っ」

少女A「そう思わない? ね、妹?」

妹「そ、そんな……」

少女B「思うよねー?」

妹「ぁ……ぅ……」

少女C「ね?」

妹「ぅ……」


妹友「なんの話してるのー?」タタッ

少女A「……しらけた」チッ

少女B「……」ハァ

妹友「え……? あ、昨日は二人ともゴメンねー! でも、AちゃんもBちゃんも悪いとおもうよ!」

少女C「いい子ぶるのやめたら?」

妹友「え?」

少女B「そういうのキモいし、ムカつく」

妹友「え、え?」

少女A「……あっち行こ」

少女B「うん」ギュッ

少女D「ぁ、…………」スタスタ

少女C「やだねぇ、妹ちゃんも行こ」ガシッ

妹「……ぅ」ヨタヨタ…



妹友「…………」ポツン

ザァァァ-……

妹友「ない……ない……」ボソッボソッ

妹「……どうしたの?」

妹友「あ……えっと、傘立てに差してた傘がなくなっちゃったの……お気に入りだったんだけどなぁ……」

妹「朝に使ってた、あの大きな苺柄のだよね?」

妹友「うん……他の人が間違えるはずないんだけどなぁ。名前のシールも貼ってたし」キョロキョロ

妹(……もしかして)

妹友「うーん、困っちゃう……」

妹「あ、よければ一緒……」

少女A「妹ちゃん、帰ろ」

妹「……ぁ」

妹友「……」

少女B「うわ、なに傘立てをガサゴソしてるの? ドロボーじゃないの?」

妹友「違うもんっ!」

少女C「大きな声だすとか、ぎゃくにホントっぽいよねー」

クスクス…

少女D「…………」

少女A「ほら、妹ちゃんも早くっ」イラッ

少女D「……っ」ビクッ

妹「……」

少女B「なにモタモタしてんのー」

妹友「……じゃあねー!」ダッ

妹「あっ……」



少女B「雨なのに傘もささないとかバカじゃん」

少女A「バカは風邪引かないからいいんじゃないの?」

少女C「あっはは!」

少女D「……」

妹「……」ズキズキッ

他のも読んでいただいてる方、感謝感激です

妹友だけが苛められるのか…クラスメイトには妹に暴言吐いた自覚無いんだろうな


心が痛くなってくるんで続き早よ

【自宅・深夜】


兄「ああ、クソ疲れた……」ポタポタ…

兄(……まさかカッパを切り刻まれてゴミ箱に捨てられるなんて……風邪引いたらどうすんだ)

兄(明日も曇りのち雨らしいし、困ったな……体はめちゃくちゃ大事な資本だし、また買うしかないか)

兄「……取り敢えずシャワーだな」



兄「ふう」

兄(締め切りが近い課題はないし、軽く予習するだけで今日はいいかな……)

妹「……兄、おかえり」

兄「……すまん、起こしちゃったか?」

妹「……ううん、眠れなかった」

兄「眠れない? 何かあったか?」

妹「…………」

兄「……ま、布団に入ろう。お兄ちゃんが眠るまでいい子いい子してやるぞ」ヘラッ

妹「……うん」

兄(……こりゃ、本当に何かあったな)

兄(でも、今日はマジで眠いし、聞くのはまた今度でいいよな)

妹「…………」



妹「…………」

兄(……眠ったか)ナデナデ

兄(……さすがに今日はもう寝るか。明日に響く)ファ…

兄(俺みたいに貧乏のせいで酷い目にあってないといいがな)

兄(同級生に比べて達観した節もあるとはいえ、まだまだ小さいもんな)

兄(……もしも、コイツが辛い目に遭ってたら、何をしてでも、止めてやる)

すぐ近所で例の監禁事件が起きててビックリしました
どこで何があるか分からないものですね

>>196
全部読んでくださってるなんて嬉しいです、ありがとうございます

>>197
クラス内のカーストに差があるでしょうから、少女たちは妹に対してあまりイジメの感覚はないでしょうね


ご愛読、レスポンスありがとうございます

【学校・昼休み】


クラA「昨日のあれ、最高だったわ」

クラB「ああ、兄ね。何ともなさそうな顔で、机の中とか探してて受けたわ」

クラ女A「犯行現場の再現かよってね」ケラケラ

クラ女B「めっちゃ挙動不審」ブフッ

クラC「ウケるよな!」

委員長「あ、あの……」

クラ女A「なに?」

委員長「その……修学旅行の保護者同意書、持ってくるように言われてて、その……あの……」オド…

クラ女B「なんでそんなビビってんの?」

クラA「おめーらが怖いんだろ」

クラB「ははっ、違いねえな」

ウッセェ!
ギャハハ!


クラ女C「私は出したけど」

クラC「俺も」

委員長「う、うん……あ、あと、クラ女Aさんとクラ女Bさんだけだから」

クラ女A「ちょっと待って。……ほら」ピラ

委員長「う、うん、ありがと……」

クラ女B「あ、忘れちゃった。せんせに伝えといて」

委員長「え、う、うん……」

クラC「委員長、雑用おつー」

クラA「みんなのドラえもん、委員長だもんな」

クラB「困ったときの委員長頼み!」

クラ女B「内申点大好き委員長!」

クラ女A「あははっ、それはさすがにひどいっしょ」

委員長「あは、あはは……それじゃ先生に出してくるね……」




クラ女A「委員長って、あんな真面目そうで、そこまで結構成績悪いんでしょ?」

クラA「出たー! 真面目系クズ!」

クラB「推薦で、実力より上の大学に行きたいやつー!」

クラ女C「あは、あはは……」ヒクッ



サッカー部「あいつらっていつでもクラスの誰かの悪口言ってるよな」モグモグ

陸上部「帰宅部の奴らはストイックさが足りてないんだよ」パクッ

テニス部「意味分かんね」

バスケ部「……」パクッ



クラ女A「しかし、兄をもっと懲らしめるいい方法ないかな。やっぱ信賞必罰って大事じゃん?」

クラA「それなー。頑張って無表情つくってるの見るのも飽きてきた」

クラB「でも、あんまりやり過ぎると、今度はこっちに来るし……」ボソッ

クラ女B「……故意じゃなきゃ問題ないでしょ?」ニタッ

クラC「うわっ、悪い顔だな」ニヤニヤ

クラ女C(メンドくさいからあんまり大事にしないで欲しいんだけど……うまい距離をとりたいけど)


バスケ部「…………」

テニス部「どうかしたか?」

バスケ部「……いや、別に」

あまりにも多忙で、更新が難しいです
大体の展開は決めてるので、たまの更新はできると思います
ただ、間隔が空く分、細かいところとかは雑になると思います(既に結構、細かいところがちぐはぐになってます、妹友の遊園地への言及とか、女さんの迷推理とか)が許してください

一方的に投下を遅らせるのも不平等だし、申し訳ないので、黒歴史含む今まで書いたものも書いた順に列記しておきます。上の作品ほど、黒歴史…と思わせて大体今読むと悶死しかけますが…


魔王「暇だな」
ダークエルフ「男の尻尾をもふもふしたい」
【閲覧注意】男「今日も殺すか」女「そうか」
勇者「幼女大好き」
魔王「正義について問う」
男「ち⚪︎こがバナナになった」
冒険者「未だ見ぬ世界へ」
男「寝取られたんだ」

あとは前掲したもので、たしか完結させたものは全てだったと思います
こう見ると結構書いてるな…

来てたのか

…うん、りはめより恐ろしいんだよな

彡(^)(^)「今日も保守に来たで~」

彡(゚)(゚)<保守やで


ドンドン…ッ

兄(今日の体育もバスケか。雨のせいかコートがちょっと滑るな)

キュッ…! キュッ…!

兄(またパスも来ずいない扱いになるのかな)

ヒュゥッ

兄「おっと?」パシッ

兄(ボールがきたから……ディフェンスがくる……)

ガッ

兄「ぐぅっ!?」

クラA「……」ニヤ

兄(こいつら……ディフェンスに、かこつけて、肘やら膝をぶつけてきやがる)

クラB「うらぁ!」ガッ

兄「……っ!」

兄(先生が席外してるからって好き勝手やりやがって)イラッ

兄「ぅらぁ!」グイッ

クラB「うぉっ!?」バタン

クラA「……ってぇ!?」


バスケ部(……二人にぶつかって体幹がぶれずにドリブル……かなりフィジカルが強いな)


兄(もう一人来て……お、バスケ部がノーマークじゃん)シュッ


バスケ部「……ナイスパス」ボソッ


シュッ  スパッ




クラA「おいおい! 今のファウルだろ!?」

クラB「ふざけんなよ!」

兄(おいおい……)


クラC「いつもの鬱憤を晴らすためってか? ほんとねえわ」

兄「はあ?」

兄(こいつら、マジで頭おかしいんじゃないのか)

バスケ部「あれがチャージングだっていうなら、お前たちのあれはどう見てもプッシング、ホールディングどころかアンスポだぞ」

クラB「なんだよそれ?」


テニス部「よく分かんないけど、ゴール後から続けていいんだよな?」


兄(パスが来たら、それにかこつけてど突かれるとかたまったもんじゃないな)

シュッ

兄(うわ、またパスが来たか)

クラA(クソが! 調子に乗ってんじゃねえぞ)ガッガッ

兄(…いって! くそっ、抜くか!)グイッ

クラA「いかせねぇ……」ツルッ



バスケ部「……あぶない!」




ドゴッ



体育教師「おいおい! 少し目を離した隙になにやってたんだ! 何があった!」アセッ

陸上部「ボールもった兄がクラAを抜こうとして、クラAがディフェンスでついてこうとしたら滑って二人がぶつかったんです」

クラA「いでぇぇ……!」ツゥ…

クラB「鼻血出てるぞ!?」


兄「ああ、いってぇ……」ムクッ

クラC「……」ギロッ


兄(いや、俺悪くないだろ。あっちもさすがにこれは事故だったんだろうけど……)ポンポン




ズキィィ……ッッ!!





兄「……っ!」



体育教師「誰かクラAを保健室に連れてけ……兄は大丈夫か?」


兄「……俺も、右腕が痛いんで保健室いってきます」

【保健室】

養護教諭「……レントゲン撮らないとはっきりは分からないけど、多分骨折してると思う」

兄「そ、そんな……!」

兄(骨折だと……!? 治療にいくらかかる!? バイトはどうするんだ!? 妹の食事は!? 利き手だぞ! なんもできないじゃないか!)

養護教諭「今すぐ病院に行きなさい。早退の紙は書いてあげるから」

兄「あ……でも早退したら特待生が」

養護教諭「あんなのカラ脅しに決まってるじゃない」

兄「……は?」

養護教諭「特待生制度といっても少しは成績も出欠も幅を持たせるものよ。ああでも、実際ここの基準は他に比べても厳しいからね。私も他校から転職してきた時は厳しい条件だと思った」

兄「……」

養護教諭「でもこういった緊急の用事とかならそんな問題ないよ」

兄「そうだったんですか……」

短くてすみません

>>217
調べてみましたがそういう小説があるんですね。無教養な人間で、普段ほとんど小説を読まないため知りませんでした。

ご愛読、レスポンス、保守ありがとうございます。
ここは3ヶ月くらいなら丸放置でも大丈夫ですから(まだ女神のがあった)、あまり熱心に保守していただかなくても大丈夫です、ありがとうございます。


養護教諭「 ささ、準備して! それとも友だちを呼んで持ってきてもらう?」

兄「……いや、自分で取ってきます」

養護教諭「そう? あ、そっか、まだちょっと授業中だもんね」

兄(いや、そういうんじゃないけど……それよりも問題はお金だ)

兄「あの、この治療費とかは……」

養護教諭「そうそう、用紙を書いてもらわないといけないんだ、はいこれ」

兄「はあ……」

養護教諭「学校内でのケガだから、災害給付金が出るよ」

兄「はあ……うちは、まあ、ひとり親なんで助成を受けられるんですけど、それを使ってもいいんですかね?」

養護教諭「あ、他の助成とかは使わずに3割負担でお金払ってね。多分、その方が全体でみて自己負担額が少ないと思うから」

兄「分かりました」

養護教諭「……しかし、しっかりしてるね。他の子はそんなこと聞かないよ。親御さんですらきちんと把握してないことも少なくないのに」

兄「いや、自分がそういうのしっかりしてないと、もうどうしようもないんで」

養護教諭「……立派だねぇ。きっと大人になった時に報われるよ」

兄「はは……そうだといいんですけどね」


【整形外科】


兄(……おじいちゃん、おばあちゃんばっかりだな。レントゲンとるのも時間がかかった)

兄(……右手の骨折はまずいよなぁ。字もろくにかけないし、家事もろくにできないし……自転車も乗れないから歩いて通学しなきゃ……)

兄(何よりもバイトか……店長にしばらくシフトに入れないって連絡しなきゃな)

ナース「次でお待ちの兄さーん」

兄「はい」

兄(ナースさんっていいよなぁ。白衣の天使……あと、マスクしてるからなおさら美人に見える)


医者「レントゲン見てもらうと分かるけど、ほら、ここにヒビ入ってるんだわ」カチカチッ

兄「……はい」

医者「ギプスつけよう。あと痛み止めと湿布を出すから」

兄「はい、ありがとうございます……」


兄(……ギプスつけて、薬局で薬をもらうまでさらにこれだけ時間がかかるとは……)

兄(あれだけ繁盛するなら整形外科医になれば生涯安泰なんじゃないか? 超高齢化社会だし……忙しそうだけど)


兄(……バイト先に連絡するか)


店長『骨折ねぇ……』

店長『……んー、兄には助けてもらってるけどさ、そんなに無理することないんじゃないのか?』

店長『ほれ、高校生なんだし、もっと勉強するべきだろ?』

店長『それに、高校生を深夜働かせるのはやっぱりまずいからなぁ……』

店長『居酒屋より、もっと高校生らしいバイトがあるだろ?』

店長『うちとしても長期で抜けられるなら新しくバイト雇いたいしなぁ……』

店長『そういうわけだから、時間がある時でいいからクリーニングに出してからエプロンとバンダナを置きに……あと、一筆書いてもらわないといけないな……とにかくそのうちきてくれ』

店長『今までありがとうな』


兄「……なんだよ、それ」


兄「…………」ギリッ

【自宅】


兄「ただいま!」

妹「えっ……?」

兄「おお、愛しき妹じゃないか! さあ、きょうだいの抱擁を交わそうぞ!」

妹「今日はバイトじゃ……その手はどうしたの?」

兄「ちょっと転んじゃってな! さあ、それよりギブミーハグプリーズ!」

妹「そのテンション気持ち悪い」

兄「ぐすん……あ、作り置きはもう食べたのか! じゃあ、早速食器かたしちまうか!」

妹「……兄は食べないの?」

兄「ふはは、実はもう食べて来たのだよ! 妹には冷めた作り置きを食べさせておいてな!」

妹「……ずるい」プクッ

兄「すまんな。明日はもっと美味いもん作ってあげるからな」ポンポン…

妹「約束だよ」

兄「おう!」

兄(無収入になっちまったし、俺の食費はできるだけ抑えないとな……)

兄(他にも俺の削れるもんは全部削らなきゃ……)

兄(……今月までの収入と、蓄えならなんとか夏休みまで暮らせるはず)

兄(夏休みは何個かかけもちして、来学期のための余裕も作っておきたいが……そんな上手くいくかな)

兄(ああ、くそ……焦るな、まずは今を何とかしないと……何よりも、妹には悟られないようにしなきゃ)

兄(腹立つことも気が滅入ることも嫌というほどあるが、嘆いても誰も助けてくれやしない)

兄(なんとかなる……なんとかなる……)

兄妹ss久々に読んだわ
続き期待してるよ
ところで妹が兄の会社の上司のDQNに脅されてそれを助けようとした妹の友達も犯されそうになるけど、妹の携帯のGPSで位置を確認して兄が助けるみたいな内容のss誰か知らない?
初めて読んだ兄妹ssでもう一回読みたい…

全裸

【学校】

兄「……」 ガラッ…

ヒソヒソ…
コワイヨネ…

兄(また俺の話かよ…俺が何をしたっていうんだ。どうして何もしてないのに、こんな腫れ物みたいに扱われなければいけないんだよ)イラッ

兄(机に落書き……カッターはやめろよ…板書するときに上手く書けなくなるだろうが)イライラッ

兄(そもそも無駄な手間を掛けさせるんじゃねえよ……バカばっかりだ、クソが)イライライラッ

兄(くそ、イライラしてもしょうがない……だけど、どうして俺ばかりがこんな目に合わなきゃいけないんだよ……!)


担任「この問題、兄、答えられるよな? 特待生だもんな?」

兄「……ええと」

兄(……発展問題、まだ予習してないところだ……なんだ、どこから手を付ければいいんだ……ああ、くそ、特待生を理由に圧力をかけやがって……そんなこと考えてる場合じゃない、問題に集中しろ……ああ、くそ、くそ、なんでこんな……)

担任「ちっ、これも分からずによく金も払わず学校に来れるな」

クスクス…

兄「……っ」プルプル…

担任「もういい、座れ。この問題はまず――」


【屋上への階段の踊り場】


女「大変だね、利き腕でしょう?」

兄「……なんだよ、なんか用か?」

女「……昼休みすぐに出てっちゃうから、びっくりしたよ」

兄「……何だっていいだろ」

女「……知ってる? 食事量を減らさざるを得ない人は、そうしなくていい人に比べてかなり幸福度が低いらしいね」

兄「……急になんだよ?」

女「途上国で行われた質問票の調査データを集計した結果だよ」

兄「……そりゃ、食事なんて人間の根本に関わるんだから、不自然じゃないだろ」

女「そうだね……パンあげるよ」

兄「だから、そういうのはやめてくれよ!」

女「……」

兄「……すまん、取り乱した」



女「……それから、貧困が認知能力に影響を与えるっていう調査結果もあるんだよね。低所得者ほど、処理能力が低い知能テストで示された。」

兄「……元から低いから、貧乏なのかもな。ホームレスの平均的なIQは大多数の平均的よりも低いってなんかで見たぞ」

女「確か、その実験では、お金に関する悩みがないときは同一のグループでもテストの点数が改善したんだよね。季節で収入に差がある途上国の農家に行ったんだったかな」

兄「……へえ」

女「マインドベースドの貧困の罠というのかな。貧困だから適切に物事を処理する能力が落ちる。処理能力が落ちるから成果が出せず、より貧しくなる」

兄「はっ、アリ地獄かよ」

女「まさにそうだね。貧困は、誰でも引きずりこまれるけれど、出るのは簡単じゃない」

兄「…………」イライラ

兄(ああ、イライラする……今の俺のことをバカにしてるんだろ)

女「そして、自分の力で出れる人は本当に少ないんだよ。ほとんどの人は後押しが必要なんだよ」

兄「はっ、それで、手助けとして俺にパンをくれると?」

女「こんなのじゃ、何の足しにもならないよ。でも、人間が希望を持ち続けるには支えが必要なんだよ。そして希望を持たなければ、人間は絶望的な振る舞いをしてしまう」

兄「……」

女「……あなたの希望は、きっと妹さんだよね。とても良い子そうだった」

兄「……ああ、よく出来た妹だ。俺なんかの妹にはもったいなすぎるくらいに」

女「……きっと妹さんは、兄くんのことが大好きだよね」

兄「……まあ、信頼はされてると思うが」

女「そんな大好きなお兄さんが、苦しんでる姿を、妹さんは見たくないよ」

兄(そんなの分かってるさ。だから、いつだって……)

女「兄くんは平均的な高校生よりもずっと大人びてるし、強いよ。それは自己制御の力にとも言えるよね。でも、人間のそうした自己制御は筋肉みたいなもの。絶対に消耗して、ある時、プツンと切れちゃうよ」

兄「…………」

女「人に頼ることは大事だよ。妹さんは兄くんの心の支えだろうけれど、それは助けてくれるものでなくて、自分を縛り付けて、休息を取ることを防ぐ鎖のようなものでしょう」

兄「そんなことは……」

女「妹さんのことが大事なら、今のままじゃダメだよ。環境も、兄くん自身も」

兄「じゃあ……じゃあ、どうしろっていうんだよ!? 俺が好きでこうなってると思うのかよ!? 俺だって……! 俺だってなぁ……!」ポロ…

女「……」

兄「俺だって……もっと普通の高校生らしくいたいよ……! でも、それじゃあダメなんだよ……ダメなんだ……!」ポロポロ…

女「……辛いんだよね。兄くんはすごいよ」



兄「……すまん。変なところ見せた」

女「ううん……兄くんの本音が聞けて嬉しかったよ」

兄「……女さんは、なんで……いや、なんでもない」

女「なんで兄くんの味方をするかって?」

兄「……相変わらず察しがいいな」

女「ありがと。……不当な目に遭ってる人がいたら、味方したくなるのが、人間の性質って気もするかな。あとはやっぱり、兄くんが気になってるから」

兄「…それは観察対象としてってことだよな」

女「本当にそれだけだと思う?」

兄「……違うのか?」

女「……秘密」クスッ

兄「……女さん、悪女だよな」

女「え、そうかな?」



兄「……ありがとな。少し気が楽になった」

女「そういってくれるなんて、嬉しいな。…ということで、改めて、パンあげる」

兄「……あー、でもやっぱりこういったものを貰うのは何か嫌なんだよ。クラスメイトって一方的にものを貰う関係じゃないだろ」

女「……兄くんも頑固だよね」

兄「アリ地獄に落ちて認知能力がダメになってるだな」

女「自虐的だね……それじゃあ、こうしようか」

兄「ん?」



女「兄くん、私の彼氏になってよ」

兄「……は?」

更新遅くてすみません……これからも遅いです……しかも大なり小なり矛盾が出てくるかもしれません……すみません
支援、レスしてくれている方、本当にありがとうございます、お陰様で投げ捨てずに更新できてます。

>>257
私は存じませんね。
もっと人の集まるところで尋ねた方が回答が集まるのではないでしょうか。

>>258
夏とはいえ、全裸は体に障るため、ちゃんと衣服を身につけた方がよろしいと存じます。


ご愛読、レスポンス、本当にありがとうございます……

女「私がお弁当を作ってあげるよ。それだったら食べ物を渡すのもかなり自然じゃないかな?」

兄「いやいやいや、ちょっと待って。女さん、その理屈はおかしい」

女「そうかな?」

兄「……俺と付き合うなんてダメだ。俺は、まあ、イジメを受けてる。巻き込まれるぞ」

女「それなら、まずは秘密にしていよう。さっさと、兄くんの冤罪を晴らしてしまえば、イジメは無くなるはずでしょ?」

兄「いやいやいや……」

女「何の問題もないよね?」

兄「そんな上手くいかないだろ……第一、俺は彼女を作る時間も金も意欲もないよ」

女「そんなに時間は取らせないよ。兄くんの事情は少しは察してるし、兄くんの都合に合わせるよ。そもそも、お弁当を渡す関係以上ではないから」

兄「……色々とおかしいぞ」


女「とにかく、明日からお弁当を作ってくるね。私としても早起きする習慣に料理の練習も出来るからね。やっぱり人間は少しは急き立てられないと行動できないから、ちょっと私を急き立てる理由になってくれないかな?」

兄「いや、待って」

女「兄くんにとってはいい話じゃない? お昼ご飯が確保できるんだよ。特にデートとか、電話とかで時間をもお金使うこともない」

兄「うーん……?」

女「私は、料理とか自分にとって、いい習慣を身につける練習ができる。それと、私も高校生だから彼氏が欲しいけど、あまり、ベタベタされたり色々と強要されるのは嫌で、兄くんならそういった心配もない。お互いにとって良い話だよ」

兄「いやぁ、付き合うってそんな簡単な話じゃないだろ……好きでもないヤツと付き合うべきじゃない」

女「あれ? 前に兄くんのこと、好きって言ったよね、」

兄「い、いや、それは冗談だろ?」

女「冗談じゃないかもよ……?」

兄「……なんなんだよ君は」

女「ふふ、じゃあそういうことで、明日、早速作ってくるね。昼休みにここでいいよね? それじゃあ」

兄「あ、おい……!」


兄「……おかしなことになったな」


ガチャッ

妹友母「おかえりなさ……」

妹友「……」ビショッ

妹友母「……どうしてびしょ濡れなの? 靴は?」

妹友「……」

妹友母「ねえ、何があったの?」

妹友「…………」

妹友母「……お風呂わかすから、取り上えず身体ふきなさい。ね?」

友妹「……」コクッ

ご無沙汰しています。
この話を書いている者です。
非常に更新が遅く、申し訳なく思っております。

ここから、あと1年は自身の進路のためにssを書くだけの時間を取れなくなると思います(もう少し具体的に言うと、人生で3度目の受験に備えてひたすら勉強しないといけないです)
必ず完結させることは約束しますが、それが何年かかるか断言できません。
進学後も相当な勉強が必要になってきますから。

「ssなんて片手間で書けるだろ」と思われる方もいるでしょうが、私はそこまで器用でも能力がある人間でなく、またssだとしても書く際にアレコレ考えてしまうため、まとまった時間がないと中々書けません。

同様に自身の書いている他のスレッドも更新はほとんどないと思います。
具体的には、

普者「勇者補正がなくなった…?」
男「ロリババアに囲まれた生活」

です。
(こちらの方が書きやすいため更新頻度は多いかもしれません)

いつもレスポンスを下さっている方々には本当に感謝しています。
「辛抱強く待ってて」とはとても言えませんが、ふと思い出した時に見ていただければ幸いです。

身勝手で申し訳ありません。


【その夜】

妹友父「……いじめられてる? 妹友が?」

妹友母「……びしょ濡れで帰ってきたんだよ? こんなの絶対異常だって」

妹友父「ただ、はしゃいで遊んでたら、水のあるところに落ちたとかじゃないのか? あの娘は昔からそそっかしいからな」

妹友母「それだけじゃないよ! 最近、いつも落ち込んだ様子だし!」

妹友父「落ち着けよ。あんまり決め付けて話すなって」

妹友母「この前も傘を差さずに帰ってきたんだよ!? あんなにお気に入りで、『雨が降ったら差すんだ、早く降らないかな』って言ってたのに『どっかに忘れた、ごめんなさい』って泣いてたんだよ!?」

妹友父「落ち着けって。子どもだし、そういうこともあるだろ。……今日は疲れてるからまた今度にしよう」

妹友母「……どうしてちゃんと聞いてくれないの? いつもそうだよ。そうやって先延ばしにして!」

妹友父「おいおい、なんでそんな話になるんだよ」

妹友母「自分の娘が辛い目に遭ってるかもしれないのにどうしてそんなに冷たくできるの!? ちゃんと考えてよ!」

妹友父「はあ? 俺が娘を蔑ろにしてると思ってんのか? 俺はお前が思い込みで突っ走って、ややこしいことにならないように言ってるんだぞ」

妹友母「……それならちゃんと妹友のことを見てよ! あの娘の様子がおかしいことが理解ってよ! 嘘つき!」

妹友父「お前……!」



妹友「……やめてえ!」


妹友父「お、起きてたのか……」

妹友「ごめんなさい……! ごめんなさい……! ぅぁぁああ……!」

妹友母「妹友は何も悪くないよ……? 泣かないで……ねっ?」

妹友「ごめんなさい……!ごめんなしゃっ……ぅっ……っっ……」

妹友父「ごめんな……よしよし……大丈夫だぞ。俺たちケンカしないからな、な?」

妹友母「そうだよ。ほらほら、泣かないで。心配しなくていいからね?」

妹友「ぅぅ……っ……」

妹友父「心配させてごめんなぁ。お前は本当に良い子だな」

妹友母「ありがとうね……」




妹友父「……眠ったか?」

妹友母「……うん」

妹友父「……ごめんな」

妹友母「私も言い過ぎたよ。ごめん」


妹友母「……子どものころ、イジメられてるって言いづらかったの」

妹友父「……昔いじめられてたのか?」

妹友母「ん……周りから見ればイジメってほどじゃなかったと思うけど、からかわれて、とても辛かったんだ。親には絶対に言いたくなかった。言っちゃダメな気がしたの。どうしてか分からないけど」

妹友父「……」

妹友母「妹友もそうかもしれないから、私たちから、優しく、真剣に聞いてあげないとダメだと思う。難しいと思うけど」

妹友父「ああ……でも、本当にそうならその両親含めてぶん殴ってやりたいぐらい憎い。俺の大切な娘を傷付けるなんて絶対に許せねえ」

妹友母「……妹友の前でそんなこと言わないでよ……気持ちは分かるけど」

妹友父「……分かってる。俺なりに、可能性に合わせて色々と検討しておくさ」

すみません、これだけです。多分ストーリー自体はそれほど長くはならないんじゃないかと思います。

どうでもいいですが、ここ一年勉強がとても楽しいです。
周りの優秀な方や熱意溢れる方から刺激を貰って頑張れてます。
好きなことを好きなだけできるのは本当に幸せなことですね。

女「模試の手応えはどう?」

兄「右腕がこれだとな……別に大学受験しないから受けても無駄だし、授業料免除とは何の関係もないから適当に受けた」

女「ああ、兄くんはそうだよね」

兄「女さんはどうなんだ?」

女「今回はあまりふるわないかもね」

兄「やっぱり親に怒られたりするもんか?」

女「あはは、ぶたれちゃうかも」

兄「そんな厳しいのか?」

女「あはは、さすがにそれはないよ」

兄「……」

女「冗談を真に受けられると困惑しちゃうよ」

兄「困惑させるような冗談を言うなよ」



女「ふふ、ごめんね。腕の調子はどう?」

兄「良くはない。利き手じゃないから板書もろくにできないしな」

女「それは大変だ。お薬はちゃんと飲んでる?」

兄「せっかく処方されてるからな……医者みたいなこと聞くんだな」

女「あはは、そうだね」

兄「早く治ってくれないと新しいバイトも見つけられないぜ」

女「奨学金を借りたら? 成績がいいなら無利子のも借りられるし、利子付きでも今の生活を助けるのに役立つと思うけど」

兄「そうしたいのは山々だけど連帯保証人がいないんだよ」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年02月10日 (水) 22:12:27   ID: DvKEURid

続きはよ

2 :  SS好きの774さん   2016年02月29日 (月) 18:10:45   ID: 8ErQ1Ikd

はよはよ

3 :  SS好きの774さん   2016年03月03日 (木) 20:09:10   ID: jj1Teolf

面白いですね!早く続きが読みたいです!

4 :  SS好きの774さん   2016年03月18日 (金) 15:32:57   ID: KJgOPjnC

はよ!

5 :  SS好きの774さん   2016年03月26日 (土) 09:00:02   ID: c846VX3d

気長に待つか

6 :  SS好きの774さん   2016年04月05日 (火) 20:44:33   ID: 5y-dbZbM

兄と妹と妹友には幸せになって欲しい…

7 :  SS好きの774さん   2016年04月09日 (土) 09:08:48   ID: t67wQlcX

はよはよはよはよ

8 :  SS好きの774さん   2016年08月06日 (土) 18:00:13   ID: N0gHkZBT

はーよ!はーよ!

9 :  SS好きの774さん   2016年08月07日 (日) 22:38:56   ID: 3KvYVKfe

頑張ってくれ!

10 :  SS好きの774さん   2016年08月10日 (水) 21:33:05   ID: UTl7JHDB

この話好きだわ
続き頑張って欲しい

11 :  SS好きの774さん   2016年10月23日 (日) 22:17:13   ID: 8qPh9I9s

くっそ期待

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