妹「トリック オア トリートですよ」 (28)


妹「―――――――兄さん」

兄「え?」


妹「え?…って知らなかったんですか?兄さん」

兄「いや…だってそんなリア充祭りなんて俺には関係ないし」

妹「関係ないだなんて…リア充祭りかどうかはともかく、兄さんが望めばすぐにでも兄さんの言うリア充とやらになれるというのに……」

兄「すぐにでもって……それはお前とって事か?」


妹「勿論そうですよ」にこ


 

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兄「…………お前…まだそんな事言ってんのか」はぁ

妹「たまにはいいじゃないですか?」

兄「たまにはって……お前、もうとっくに俺の事は諦めたんじゃなかったのか?」

妹「勿論、諦めてますよ。それでも…いつかその時が来るのを待っているんです。諦めたまま…それでもずっとずっと待ち続けているんです」

兄「ずっと待ってるって……」

妹「それ位の覚悟と想いがなければ、実の兄に『好き』だなんて、とても言えませんから……」


兄「…………その気持ちは嬉しいし、兄冥利に尽きるが、でもな…そんなお前に言うのは心苦しいのだけど、俺が心変わりする事なんて絶対にないからな?」


 


妹「…………判ってますよ兄さん。それより…ほらどうです?」ひょこ

兄「どうですって……ん?」

妹「はぁ…やっと気付きましたか?」

兄「もしかしてその恰好……ネコか何かか?」

妹「ええ。猫耳と尻尾を着けた黒猫の仮装です。今日はハロウィンですから」

兄「……黒ネコか……まぁ確かにお前っぽいな」

妹「何が私っぽいのかよく分かりませんが、取り敢えず褒め言葉として受け取らせて頂きます」

兄「それならそれでいいが……」

妹「………………」すすっ

妹「――――――――ほら兄さん妹ネコだにゃん!」にこ


兄「!?」ドキッ


 


妹「ふふ…今、私の事を見てドキッとしましたね?」

兄「……してないよ?全くちょーしに乗るんじゃないよ?」

妹「もう…素直じゃないんですから……」ふふ…

兄(全く……でもまぁ確かに長い黒髪に猫耳って合うんだよな。特にこいつは見た目もいいし、目も切れ長で……って、これはコイツの前でだけは、絶対に口に出しては言えんが……)

妹「ん?どうかしましたか?兄さん」


兄「いや…なんでもないよ」


 


妹「そうですか……でも兄さん」

兄「ん?」

妹「今…私の仮装を見て可愛いと思いましたね?」

兄「!!い…いやそんな事はな―――――」

妹「ふふ…こういう時は素直になった方がいいですよ?むしろ改めて私に心奪われちゃったんじゃないですか?」クス

兄「妹のコスプレに心奪われる兄なんて断固としていない!!」キッパリ

兄「あと改めても何もお前に心奪われた事なない!びっくりさせられたこと何度もあるが」

妹「はぁ……もう、女の子がこんな恰好しているのに…相変わらず女の子に興味がないのですか?ディーノ兄さん」


兄「誰がディーノ兄さんだっ!?」


 


妹「ふふ…話が逸れてしまいましたね。では、改めまして…トリックオアトリート!」

兄「!!」はっ

兄「ああ…そうか……」
ごそごそ…
すっ

兄「ほい、このお菓子やるよ。とっておきのやつだけど今日は特別だ」

妹「…………………………」ふい

兄「え?」

妹「…………」プイッ

兄「いらないのか?お前、このお菓子好きじゃなかったっけ?」

妹「……………………………いりません」


兄「え?」


 



妹「…………」

兄「いらないって……お前それじゃハロウィンの意味が……」

妹「トリックオアトリート………………です」

兄「――――――あっ!お菓子をくれなきゃイタズラするぞってやつか!?」


妹「……………」こく…

兄「ああ…そうかじゃあ、代わりに俺にイタズラを―――――――って嫌に決まってるだろ!」

妹「そうですか……」

兄「そうだよ。ここは大人しくお菓子貰っとけ?」

妹「………………なら……」すっ

兄「ん?どうしたんだ。目を瞑ってつっ立って?」



妹「それなら、代わりに兄さんが私にイタズラをして下さい////////」



 



とりあえず今回はここまでです
それでは。


兄「ああ…俺の代わりにお前をって事か―――――――って」

兄「わけが分からないよ!?」あにっぷい

妹「さあっ早くしてください!!」ずいっ

兄「そ…そんな事言われてもだな……」たじ…

妹「もうっ早くしないと私が――――――――」

兄「分った分かった!!トリックするから!」


妹「――――ではお願いします……」すっ…


 


兄(うーんイタズラといっても、どうすれば……まぁ普通ならイキナリ抱き付いたりすれば驚くだろうけど……)

妹「……………………///////」ドキドキ…

兄(コイツの場合、それだと逆に悦びそうなんだよな…………)うーむ

妹「……………………………///////」どきどき…


兄(だけど――――いつもやられっぱなしじゃ、流石に癪だしな……よしっそれなら――――――――)
すっ
こちょこちょ


 



妹「あっ…//////////」

こちょこちょ

妹「……ん…//////あっ……あああ…………////////」

兄「どうだ!くすぐったいだろう?」ニヤリ
こちょこちょ

妹「……あ…んん―――く…くすぐったいです……///////」」はぁはぁ

兄(うーん。ちょっと苦しそうだし、そろそろやめてやるか)ふむ
すっ…

妹「―――――えっ。もう終わりですか?」はぁはぁ

兄「そうだよ。結構苦しそうだったし、まぁお前もこんなもんで許して欲しいだろ?まぁこれに懲りて――――――」

妹「まだです」


兄「え?」


  


妹「まだ私は全然、ほんの少しも懲りてませんよ。なんなら、今度は私が兄さんに―――――」

兄「うっ!わ…分ったよ。後悔するなよ?」すっ
こちょこちょ

妹「あ…ああ………もっ…もっと――――――///////」ビクビクン

兄(ん?こ…こいつもしかして……)はっ
すっ

妹「え?ま…まだ―――――――」

兄「…………お前。苦しそうなフリして感じてただろ?」

妹「え?」ドキッ


兄「え?じゃないよ。危うく騙されるところだった」




妹「そっそんな事―――――――」

兄「あるだろ?」

妹「……………………………………………………………はい……//////」こく…

兄「まったく…俺のクラスじゃ、お前はこの学校で一番の清楚系美少女みたいな感じに言われてんのに……」はぁ

妹「………………」

兄「まさか、そんな清楚な筈の俺の妹の正体が、こんなにくすぐられて悶え悦ぶ様な痴女だったなんて」はぁ

妹「――――そんな事言われても……だっ…だったら寧ろ干物妹みたいな方がよかったですか?」
兄「どっちも嫌だよ!というか何でイキナリ干物妹が出て来るんだよ?あっそうか…そうだな…だったらお前は差し詰め、痴女妹(ちもうと)と言ったところだな」うんうん

妹「え?」

兄「え?」

妹「上手い事言ったつもりですか兄さん?」

兄「いやそうだけど」


妹「え?」

兄「え?」



兄「まぁいい……だがその相変わらずの痴女っぷり。お前・・・もしかしてまた……」

妹「また…なんですか?」

兄「いや…その……また、は…穿いてないんじゃ……」

妹「安心してください。勿論…………穿いてないですよ?」

兄「えっ!?」

妹「何だったら、確かめてみますか?」
すっ…

兄「おいっ!?やめろって!!」

妹「……冗談ですよ。残念でしたか?兄さん」クスクス…

兄「残念も何もそんなハシタナイ事はダメだろ?まぁ……そうだな…そういうコトは、お前に彼氏が出来たらシテあげなさい」

妹「え?」

兄「まぁ俺も彼女が出来てそんな事されたら、理性が飛んでうっかりルパンダイブをしちまうだろうし……」


妹「……………」むー


 


兄「どうした?そんな膨れ面して」

妹「もうっ兄さん何て知りません!」ぷいっ

兄「……まったく、俺をからかったり、そう思ったら突然、膨れっ面になったり……お前はそんな面倒臭い奴だったかな?」

妹「私は兄さんの前だけ、わがまま娘ですから」どやっ

兄「どや顔でそんな事を言うんじゃないよ?まったくタチが悪いな」

妹「そうですね…確かに今の私はネコですし」


兄「そのタチじゃないよ!?」


 


妹「そんな事を言って本当はまんじりと見たかったんじゃないのですか?兄さん」

兄「この世の中に妹のパンツやら何やらを、まんじりと見たい兄なんていない」きっぱり

妹「…………もう素直じゃないですね。兄さん」

兄「俺がいつでも素直だよ?ネコを被ってるお前と違ってな。ネコだけに」

妹「……兄さんが思っているより、遥かに上手い事は言ってませんよ」


兄「別に上手い事を言ったつもりはないよ?素直な気持ちを言ったまでだ」


 


妹「…………もういいです。今日のところはコレくらいにしておきます」

兄「おっ今日はやけにあっさりしてるな」

妹「私も少しは学習しているつもりですから」

兄「学習?」

妹「そうですよ。このままいくと、いつも…いつの間にか兄さんの掌で転がされているというか、いい様に丸め込まれているというか……」

兄「はぁ……そんな心算はないけどな」

妹「とにかく。私も何時までも言い包められている訳にはいかないですから」


兄「…………その言葉、そっくりそのままお前にお返しするよ」


 


妹「はぁ…判りました――――――もういいです」
すっ

兄「ん?これは…お前が付けてたネコミミ……?」

妹「コレを付けて、少し待ってて下さい」

兄「?いや…はっ!まさかお前、俺にイタズr―――――――」

妹「違いますから!いいから付けておいてください!!」

兄「お…おう……」びくっ


妹「…………では」
バタン…


兄「何なんだよ?一体?まぁ…いいか―――――」すっ
すちゃ


 


――――――。


がちゃ…

妹「お待たせしました……良かった、付けていてくれて」

兄「可愛い妹の頼みだからな。俺に出来る事なら聞いてやるよ」

妹(兄さん――――――――)きゅん

妹「ありがとうございます兄さん」(おじぎ)

兄「勘違いするんじゃいぞ。あくまでも出来る事だけだからな?まぁそれはいいとして、一体、何――――――ん?それは……」

妹「兄さん。改めて今日は何の日ですか?」

兄「今日は…ハロウィンって日、らしいな……」

妹「でしたら。仮装している人が何を言うのか、ぐらいは分ってますよね?」

兄「…………分ったよ。トリックオアトリート」


妹「はい。ではこれを上げます」
すっ


 


兄「これは……チーズケーキ?」

妹「はい。私謹製のチーズケーキです」

兄「これ…本当にお前が作ったのか?」

妹「疑い深いですね……折角めいっぱいの愛情を込めてお作りした、愛妹ケーキだというのに」


兄「そうか、それはわr―――――愛妹ケーキ!?」びくっ


 


妹「そうですよ。うまく出来てますよね?さっき味見もしましたから、味も大丈夫だと思います」

兄「そうか…お前、結構料理上手だしな……」

妹「ありがとう御座います兄さん。兄さんにそう言って貰えなんて、素直に嬉しいです」にこ

兄!!」どきっ

兄(…………まったく…ホントにコイツが妹じゃなかったらな…………)ちら

妹(ん?)


兄(いや…じゃなかたったら俺なんて相手にもされてないか)はは…

妹「?」はて


 


兄「でもお前……もしかして俺がチーズケーキが好きなの知ってて……」

妹「ふふ…」

兄「お前…良く知ってたな……」

妹「当り前じゃないですか。兄さんの事なら何でも知ってますよ?勿論、兄さん以上に」にこ

兄「ははは。そうか……」

兄(ん?よくよく考えると…今、さらっと怖い事を言われなかったか?)ぞくっ
…ちら

妹「………………」ん?
にこ

兄「…………まぁいいか……」


妹「んふふ」にこにこ


 



兄「じゃあ。ありがたく頂戴するよ」

妹「はい」

兄「でもお前がこんな普通にいいモノくれるなんて、もうナンかほっこりコリすけだよ」


妹「え?」

兄「え?」


 


妹「本当は………………お菓子よりもイタズラをシタりサレタりしたかったのですけど……」

兄「俺はするのもされるのも嫌だよ」


妹「…………もう。そう言うと思いました」はぁ

兄「はは。お前もちょっとは俺の事が分かってきたな?」


妹「もういいです。では改めまして。今日は――――――」


妹「ハッピーハロウィン」


妹「―――――――――ですよ。兄さん」
にこ



はいおーしまい。



 

これでおしまいです
ヤマなしオチなしのお話でしたが
どうにか終わらせる事が出来ましたが
やはりこのジャンルはいかがなものかと思います

それでは。

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