二宮飛鳥「──出逢い(ハジマリ)のクロニクル」 (22)

注:アニメ設定
あと、作者は熊本弁が苦手なので、違和感があったらすまぬ



─346プロ・玄関ホール─

蘭子「うーまれてーくるーあーさとー♪ ふふふーふーふーふーふーふーふーふー♪」

ドサッ…

「…………」スッ…

「もし、そこのキミ──……」

蘭子「おそろいーねわたしーたーちー♪ ふふふふーふふ…………♪ ……──♪」カカカカッ

「……遅かった、か」

「……フッ。丁度いい機会だ。彼女とは以前から一度直接会って話がしたいと思っていたし……これを、《灰被り(かのじょ)》達のお城まで、届けてあげるとしよう」


…………
………

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─シンデレラプロジェクト・プロジェクトルーム─


蘭子「あ、あれっ!?」

未央「んっ? そんなに慌ててどうしたの、らんらん?」

蘭子「な、何でもない! 心配は不要ぞ!」

未央「……そう? それならいいけど……」

蘭子「それよりも、汝は間もなく鍛錬の場へと出向く必要があった筈……そろそろその身を戦闘形態へ移行すべきではないか?」

未央「え? ああ、もうこんな時間か……教えてくれてありがと! それじゃ、行ってくるね!」カカッ

蘭子「うむ! 旅の神クロンの追い風を!」

蘭子「…………ふぅ」

蘭子(スケッチブック……どこかに落としちゃった……)

蘭子(あれには、今度プロデューサーに見せるつもりの衣装のデザイン案とか、今書いてる小説の設定とか、色々書いてあるのに……)

蘭子(もしも中身を誰かに見られちゃったらどうしよう……うう、想像しただけで恥ずかしいよぉ……)

コンコンコン…

蘭子「む? こんな時に一体誰が……まあいい、入るがよい」

ガチャッ…

「──失礼するよ」

蘭子「……汝れは……確か……」

「……光栄だね。現在進行形で大活躍中のシンデレラプロジェクト──……そのメンバーの一人であるキミに、顔を覚えて貰えていたとは」

「……とりあえず、意味はないかもしれないけれど、こうやって直接会うのは初めてだし──……折角だからここでちゃんと自己紹介をさせて貰おうか」

飛鳥「ボクはアスカ。二宮飛鳥──……この346プロの末席を汚させて貰っている、しがないアイドルさ。できれば、今後共よろしくしてやって欲しいな」

蘭子「っ…………」トゥンク…

蘭子「わ、我が名は神崎蘭子……シンデレラプロジェクトの一員にして、ローゼンブルクエンゲルの名を戴きし者……」

蘭子「……貴方を、私の新たな眷属として認めるわ。我らが紡ぎし絆は、きっと永久に途切れぬモノとなるであろう!」

飛鳥「ふふっ……どうやら無事に受け入れて貰えたようで嬉しいよ」

蘭子「して、飛鳥よ。汝れは、何故我らが居城へと参ったのだ?」

飛鳥「おっと、そうだった──……いや、そんなに大した用がある訳ではないのだけれど──……ただ、キミにこれを届けようと思ってね」スッ…

蘭子「! これは……我が魔導書(グリモワール)!」

飛鳥「キミがこれを落とした瞬間(とき)、ボクもそこに居合わせていてね。残念ながらタイミングが悪くてその場で渡すことはできなかったから、こうやってここまで持ってきてあげた、ということさ」

飛鳥「……大切なモノなんだろう? だったら、もう離さないようにしないと、ね?」

蘭子「…………っ」

飛鳥「……蘭子?」

蘭子「…………と……う」

飛鳥「?」

蘭子「あ……ありが……と……う……」

飛鳥「…………」

飛鳥「なるほど……それがキミの自然体の姿か。普段テレビやイベントの場で見せているクールな顔も素晴らしいけど──……今のような、可愛らしい歳相応の少女のような表情も悪くない。いや、むしろ非常に好ましいね」

蘭子「か、かわいっ……!? た、戯れはよせ!」

飛鳥「ふふっ……別に照れなくてもいいのに」

蘭子「む、むぅ~!」

飛鳥「さて、それはそうと……一つ、キミに頼みたいことがあるのだけれど」

蘭子「……頼みたいこと?」

飛鳥「そのスケッチブック──……いや、キミの言うところの魔導書を、是非ともボクに見せては貰えないだろうか」

蘭子「!?」

蘭子「なっ──なにを言っている!? 我が眷属といえど、禁忌に軽々しく触れる事は断じて許さぬぞ!」プンプン

飛鳥「……まあ、その反応は当然のものだろうね。……勿論、タダで見せてもらおうとは思っていないよ」スッ…

蘭子「? そのノートは……」

飛鳥「ボクも、恥ずかしながら素人なりに《創作活動》に勤しんでいてね……このノートには、ボクが今紡ごうとしている物語(ロマン)の構想(プロット)や設定(マテリアル)の殆ど全てが記されている、いわば聖典(ヴェーダ)とでも呼ぶべきモノさ」

飛鳥「もしもキミがその魔導書をボクに見せてくれるというのなら──……この聖典に記された全てを、キミに開示しよう」

飛鳥「それでもダメだと言うのなら、仕方がない。その時は、潔く諦めるさ」

蘭子「……そこまでして、なぜ我が禁忌を紐解かんとする? 汝れの行為は、我等のような瞳を持つ者にとって、地獄の炎に焼かれるに等しき苦行であろうに」

飛鳥「……ボクは、キミがアイドルとして輝く姿を初めて見た時から、ずっと思っていた」

蘭子「…………」

飛鳥「キミが紡ぐセカイとボクの描くセカイは、カタチは似通えどその方向性はまるで別物だ……だけど、もしもその二つのセカイを重ね合わせることができれば、より素晴らしいモノを生み出す原動力になるのではないか、とね」

飛鳥「……もちろん、必ずしもそれでよい結果が生まれるとは限らない。だけどボクは知りたいんだ。キミとボクの可能性を」

飛鳥「だから、ボクはもっとキミのセカイについてより深く知りたいし、キミにもボクのセカイについて理解(わか)って貰いたい……」

飛鳥「その為にも、キミのセカイの全てが集積されているであろう、キミにとってのアカシックレコードとでも言うべきその魔導書を、是非とも繙いてみたいんだ……」

蘭子「…………」

飛鳥「……ダメかな?」

蘭子「…………」

蘭子「……よかろう」

飛鳥「────!」

蘭子「だが──その……何だ……」

飛鳥「……うん?」

蘭子「……その……笑わない、でね?」

飛鳥「…………」

飛鳥「ふふっ……なんだ、そんなことか……」

飛鳥「……ああ、約束するよ。ボクは決して、キミの純粋な想いを踏みにじったりはしないと──……今日この場所で新たに生まれた友情に誓おう」


…………
………

武内P(…………)ピクッ

武内P(……プロジェクトルームの中から話し声?)

武内P(確か、今日のこの時間……プロジェクトのメンバーの中でフリーなのは神崎さんだけの筈ですが……)

コンコンコン…

武内P「失礼します──……」ガチャッ

武内P「……?」

飛鳥「……ふむ、なるほど。だったら、主人公の能力は────で、それに合わせて外見も────こんな感じにしたらどうだろうか?」サラサラ

蘭子「か、かっこいい……」

飛鳥「ふっ……お褒めに預かり恐悦至極……なんてね」ドヤッ

武内P「…………」

武内P(……一体何がどうなってこのような状況になったのかはわかりませんが……)

蘭子「わぁー……」キラキラ

武内P(……とても、良い笑顔です)

武内P「…………ふむ」携帯取り出しポパピプペ

武内P「……もしもし、CoPさんですか? 実は、そちらの部署に所属しているアイドルの……二宮飛鳥さんに関して、一つ相談したいことが……」


…………
………

その後、蘭子と飛鳥は『ダークイルミネイト』という部署を跨いだユニットを結成。
その独特な世界観でコアなファンを多く生み出すことになるのだが……それはまた別のお話。

おわり

おまけ


─都内某カラオケ店─


飛鳥「『生まれてくる意味、死んでいく意味。君が生きている、今。十一文字の伝言……幻想物語、第五の地平線──』」

飛鳥「『……そこに物語はあるのだろうか』」


…………
………


蘭子「さすがは我が片翼! 見事な詠唱であった!」

飛鳥「ありがとう、蘭子。キミが演じた双子の人形も、とても魅力的(チャーミング)だったよ」

蘭子「ふふ……この程度造作も無きこと」ドヤァ

蘭子「して、次の演目は如何に?」

飛鳥「そうだね……ボクとキミとで歌うのなら……『石畳の緋き悪魔』でいいんじゃないかな? 今度は男役と女役を交代してさ」

蘭子「うむ、心得た!」


…………
………

未央「いやあ、何というかあの二人……カラオケでも独自の世界観を作り上げてるよねぇ」

卯月「ですねー」

凛「…………」ボー

未央「……しぶりん?」

凛「え? あ、ごめん。何?」

卯月「凛ちゃん、さっきからボーっとしてますけど大丈夫ですか? もしかして、体調が良くないとか……」

凛「いや、別にそういうのじゃないよ。ただ少し考え事してただけだから、気にしないで」

卯月「? はい……」

凛「…………」

凛(……サンホラ……Sound Horizon、だっけ? あの二人がさっきから歌ってるのって)

凛(……まぁ、悪くないかな)

凛(……今度、CD貸して貰おう──……)


今度こそおわり

あすらんと一緒にカラオケに行ってサンホラを合唱したいだけの人生だった

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