姉「…妹を監禁しにきた」(59)

http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/storage/1327413569.html

やっと来たか

待ってたよ

>>4>>5
すいません、遅れました。

残業の御誘いに引っ掛かり、出向先から細々と…。

【2015年3月2日】
(マレーシア・ジョホールバル近郊)


姉「…暑い国だな」

兄「ん、赤道直下の雨季は毎年こんなものさ」

姉「兄上、兄上は暑い国は平気か? …私は死にそうだぞ」

兄「自分は雪国生まれ。 生来汗腺数が少なく平気そうに見えるだけだ」

姉「…ふむ、それで先刻から箸が進んでないのか」カチャカチャ

兄「否、まあ…」

姉「出された食事は残さず食べることが礼儀だ。しかし、マレーシアはスプーンで食事をする文化だと聞いていたが、案外箸文化も浸透しているものなんだな」

兄「ああ、そうじゃない。周りの人間の会話を聞いてみろ」

姉「?」

兄「この都市はマングリッシュよりもシングリッシュが公用語。だから箸文化も市民権を持っている」

むずくて分からん


姉「すまない、何を言っているのか…」

兄「マレーシア風の英語を使う人間が多いか、シンガポール風の英語を使うかという意味だ」

姉「ほうほう、同じ国でも北と南で違うのか」

兄「…多民族国家だからだ。 他にも敬虔なイスラム教徒の人々は道具を使わずに食事をとるのが一般的だ」

姉「ふむふむ」

兄「まあ、しかし食事の味付け自体は意外と共通点が多かったりする」

姉「なるほど」

兄「そもそも、このジョホールバルの発展には…」ウンウンチクチク

姉「ああうん、多弁な兄上も素敵だが、何故我々に衆人観衆の眼が集まってるんだろう?」

兄「ん、それはだな」

イスラム風の男
「よお、そこの珍しい観光客の御二人さん。あんたら日本人かい?」

兄「…韓国人だと言ったら?」

イ「馬っ鹿、んなもん冗談でも韓国人は自分を韓国人だと言わねえよ」ガハハ

>>「馬っ鹿、んなもん冗談でも韓国人は自分を韓国人だと言わねえよ」

よく知ってるな(・ω・)


兄「貴方が店主の言っていた協力者か?」

イ「その通りだ兄弟。良ければ早速商談に入ろうじゃないか」

兄「商談?」

イ「聞いていないのか? 我々はインドネシアまでの航路を用意する代わり…」チラリ

姉「?」

イ「…その代償として、マレーシアにも《メイド》派遣をお願いしたい」

兄「…それは、マレーシアが【家族補完計画】に批准していないことを知っての発言なのか」

イ「勿論だ。『コスト優先ならチャイニーズメイドを、クオリティを求めるならインドネシアンメイドを』。現職メイドに配慮してとはいうが、実際は中国や華僑らに配慮しての批准拒否だからな」

兄「内紛状態でも、中国は中国か…」

イ「ああ、悪いが東南アジアの政局は南沙諸島よりも複雑怪奇なものだ」

ゴルゴ13読んでる気分だ

( ・ω・)っ④"


イ「asean諸国の中でもあの計画は高く評価されていた。 だが、総ての国々が安易にサインしては各国の民族感情を逆なでしてしまう。 …ガス抜きの噴き出口として、マレーシアとラオスが選出されたのは日本人でも知っているだろう」

兄「ああ、有名な話だな」

イ「…あの会議からまだ一年足らず。我々の予想通り、周辺各国の華僑達は物流の最重要拠点を我々二国に変更し、我が国の経済は活性化し始めている」

兄「それでは駄目なのか?」

イ「駄目、ではない。 …『足りない』んだ」

兄「足りない?」

イ「ああ、経済の活性化は確かに生活環境を改善し、我々に多くの物的な喜びを教えてくれた。 その事に異論はなく、寧ろ感謝したい」

兄「…ふむ」

イ「しかし、同時に僅かこの数カ月の経済発展で、多くの社会規範が失われようとしている。 …この資料を見てくれ。 我が国の高級品や嗜好品の輸入量を表す資料だ」

兄「……」パラリパラリ

>>8>>10>>12
thanks!


イ「我々は上手い言葉を知らないが、日本や中国のバブル時代はただその国の既存文化の浪費を繰り返していた様にしか見えない。 …何も積み上げなかった結果が、その後の両国経済の衰退となったと、我々は判断している」

兄「…予め『先生』となるべき良質な教育者として《メイド》や《執事》を呼び寄せ、彼らを手本に人間として『上質なもの』を知らしめ、華僑バブル崩壊までの余裕がある間に人材育成の根本を立ち上げる…、か」

イ「その通り! 『多くの国を苦しめてきた閉塞感』を『人類史上初めて打破する国』という栄誉を、我等にくれないだろうか!」

兄「…………」
イ「…………」

兄「約束は出来ない」

イ「何故だッ?! 日本人はやはり臆病者なのか!!」

兄「…違う。自分に出来るのは、監察官の権限で支援必要国認定に多少の影響を与えられる程度だけだ。…最終判断は、《メイド部隊》極東支部にゆだねられる」


イ「それでいい。 十分過ぎる。 現役監察官から議題に挙げてくれれば何も問題ない」

兄「…良いのか?」

イ「良いも悪いも、核となる種火が確実なものでなくては火は燃えひろがらない」

兄「…了承した」

イ「そんな顔をしてくれるな兄弟。 我々の外交の腕前をあまり舐めてくれるなよ?」ニヤリ

兄「では、此方の案件だが…」

イ「ああ、インドネシアに入りたいんだったな」

姉「……」コクコク

イ「ふむ、現状では個人の渡航はどの国も認めてはいないわけだが…」


イ「…現在、マレーシア海軍では何故か臨時の戦時査察を二人ほど募集しているが、さてどうする兄弟?」

【スマトラ島従軍日記16】


妹「スマトラの幽霊は怖い」

妹「今夜も曳光弾の帯が私達の陣地から見える」

妹「以前は明るい赤色だった弾道が今日になって緑色に変わり、遂に手持ちのnato弾が尽きたことを知る」

妹「…この弾薬は隣のマレーシアからの横流し品。武器商人は何時の時代も元気だ」

妹「私的には、慣れ親しんだm-16a2から無骨なak-47に所持武装が変わったショックの方が大きい」

妹「これではまるで映画の中の少年兵そのものだ」

妹「……私達の本来の目的は何だったのだろう?」


妹「うん、あまり深くは考えてはいけない」

妹「まだ薬物と煙草が周りに出回っていない。事態はそこまで悪くないはずだ」

妹「インドネシアの軍人さんも足繁く私達のいる住民非難区まで通い、まだ楽しそうに話を聞かせてくれる」

妹「…但し、怪談話だけは頂けない。子供たちを寝かしつけるのは私達の役目なのだから」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
貴女の妹は、70年以上もかつての戦地を彷徨いたくないです」


妹「」

【スマトラ島従軍日記17】


妹「スマトラの雨季は長い」

妹「今日も雨」

妹「雨、雨、雨」

妹「連日の雨模様に、洗濯機や乾燥機の前は井戸端会議の会場となる」

妹「私はあまり口数の多い人間ではないので、お喋りな友人の存在が有難い」

妹「雨音が響く兵舎には、《何か》のメンバーは我々《ロベルタ》を含め、50名程しか残っていない」

妹「だから、殆どが顔見知りばかり」

妹「…幼はこの雨の中、元気にしているだろうか」

akの方が耐久性やメンテ面でも野戦向きだから我慢しろ妹よ

( ・ω・)っ④"


妹「それから今日、母国に帰る最終グループが狙撃を受けたらしい」

妹「…基地からポロニア国際空港に移動する最中、主幹道路での銃撃に皆驚いたそうだ」

妹「幸い、装甲車の中は無事だったらしい」

妹「地元警察が回収した弾丸は7.62x51mm」

妹「これが何処の軍隊の仕業なのか、それが今日のトピックとして場を賑わせています」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
貴女の妹は、大穴の米軍海兵隊にチョコバー3本です」

>>20
ありがとうございます~。
先ほどやっと帰社命令がでました。続きは今日の夜にでも…。
長い一夜、お付き合いくださり感謝感謝でございます!

【スマトラ島従軍日記18】


妹「スマトラの水道管は脆い」

妹「チーンという味気ない音を繰り返し、携帯食と共に食事を取りに来た兵士さん達に手渡す」

妹「…上水道が破裂し、外で泥水と共に噴きだしている」

妹「食堂の入口に土嚢が積まれ、仲間達が箒で水をかいている最中だ」

妹「下水道でなかったことが唯一の救い」

妹「暫くは断水となるらしく、食器洗いや洗濯には雨水を使うように進められた」


妹「復旧の目途は現在のところ立っていない」

妹「私達の周りは水が溢れているのに節水制限とは妙な感覚」

妹「今日の新たな発見は無し」

妹「けれども私はそれでいいと思う」

妹「いつか私が今日という日を思い返して笑えるよう、今日も日記を紡ぎ続ける」

「いえす、あいあむりとるしすたー。
貴女の妹は豆を食べていれば死にません」

【スマトラ島従軍日記19】


妹「スマトラの傷は深い」

妹「今日は避難区に新たな住人が北のアチェ州から到着した」

妹「子供ばかりが150名。大半が10歳以下の女の子ばかり」

妹「ボルネオ陥落以降、バンダ・アチェをはじめとした、インドネシアでの歴史の浅い同州への公的支援は行われていない」

妹「インドネシア政府に余裕がないのだ」

妹「住民は自主避難を余儀なくされ、経済的に余裕のある人間は既に脱出を始めていた」

妹「だから、この子供達がこの基地に送られてきた理由は察して欲しい」

妹「異邦人の我々を身分不相応なまでに歓待して下さり、くれぐれも、とお願いされてしまった」


妹「もう一つ、住民に必ず聞かれたのは、『何処まで戦線が迫ってきているか』だ」

妹「現地に残された家族は紛争時代の武器を持ち出してまで、『子供の帰ってくる場所』を護ろうとしている」

妹「私は手持ちのak-47と、以前結婚式で頂いたお酒を担当していた家族に譲り、その代わりに彼らの子供を預かった」

妹「イスラムの方々はお酒は禁じる人もいることは知っている」

妹「…でも、彼女の父親は受け取って下さり、戦争が終わったら飲み交わそうと約束して下さった」

妹「今、私のロッカーにはfn-fnc(旧インドネシア軍制式銃)が入っている」

妹「これは紛争時代、父親の軍功によって特別に上官から与えられた一家の『宝物』なのだそうだ」

妹「手持ちのnato弾は品切れ。…でもそれは重要じゃない」


「いえす、あいあむりとるしすたー。
貴女の妹は、約束を守る立派な人間を目指します」

>>1はインドネシアの地理や東南アジアの歴史背景に詳しい様だが何か理由があるのかな?

?( ・ω・)

>>27
特に理由はないですよ~。
単純に6だったので、某漫画の六郎さんにあやかってです。

【スマトラ島従軍日記20】


妹「スマトラの日々は長くて暗い」

妹「今日、極東支部から遺書を書くように指令が下った」

妹「それがどういう意味か、説明するのもめんどうだ」

妹「…私はこの日記を遺書代わりに提出することにする」

妹「出来の悪い私の死亡見舞金は、姉の学費に使ってくれるようお願いする」

妹「決して、不憫な娘だとは思って欲しくない」

妹「私は納得しているし、仲間もいる」

妹「これは私の選んだ決定なのだ」


妹「きっと後10年もすれば、世界は変わる」

妹「より良い方に、より良い方に」

妹「我々《ロベルタ》はその礎となるべく存在し、いつか帰国する時には私も姉離れを終えているだろう」

妹「明日から…」



(……… ここで文章は途絶えている ………)

まだ流れが読めないな

( ・ω・)っ④"

【スマトラ島従軍日記・ラストページ】


「…………」

「…以上が、3月4日の空襲後、焼け残った施設跡から発見されました」

「今日一日は一帯の捜索だけで、明日から北部の瓦礫を撤去する予定です」

「この日記を書いていたお姉さんに、新兵上がりの自分は大変お世話になりました」

「彼女は万事控え目で、あまり人前に立つことを好まない人でした」

「しかし、いつも誰かに取り囲まれ、明るく、親しみをもって接して下さいました」

「現在現場のどの同僚も、彼女や、彼女らが護ろうとした者を『救出』しようと動いています」

「この日記は、心配されている御家族の元に一刻も早くお届け下さい」

「…自分達は、《彼女ら》を必ず『発見』いたします」

「それが我々の任務であり、《彼女ら》との約束です」


3月7日
インドネシア陸軍 スマトラ方面軍現地指揮所より

>>33
業者か…(;-ω-)

【2015年 3月8日】


ニュースキャスター
『こんばんは、9時になりました』

『…兼ねてから衝突が危惧されていた東南アジア情勢でしたが、
 4日夜遅くから6日の朝にかけ、豪韓両国によるスマトラ島への空爆が行われ、
 多数の死傷者が出たとの報告が入っています』

『この空爆は、事前にインドネシア政府へ通知されていた軍事行動でしたが、
 一部の区域では市民に被害を出るなどの誤爆もあったともされ、
 現地紙は、空爆を許可した政府を一斉に糾弾するなど、
 インドネシア内では様々な波紋が広がっています』

『この事態を受け、各国は豪韓の二国に対する経済制裁の早期実現に向け…』ドータラコータラ

(同日 画材屋『銀杏と茶碗蒸し』店内)


プルルルル…ガチャリ

店「はい、もしもし…」

店「はい、その通りです」

店「…現在死者82名を数えています」

店「行方不明者?」

店「此方もまだ情報を集めている段階で明言は避けます」

店「…は? 邦人がいるかどうか?」

店「…あんたらの首の上には何が乗っかってるんだ。 居るにきまってんだろ」

店「言い出しっぺが、《ピンチ》になったら『ハイサヨナラ』なんて出来るわけないじゃん」

店「え? 政治生命?」

店「……おい」


店「…ああ、冗談ですかそうですか」

店「そうですよね、一国の総理大臣ともあろう御方がそんな器な訳ないですよね」ボソリ

店「否、なんでもありませんよ」

店「…それより如何なさる御つもりです?」

店「もう渡航制限や引き上げ勧告発令程度では話になりません」

店「自国民の国外脱出が完了するまでには、まだまだ時間が掛かるでしょう」

店「また各国からの非難覚悟で、金だけ出して他の国にお任せします?」

店「…ええ、無理でしょうね」


店「それが議長国としての最低限の務めです」

店「…ええ、都市部のライフラインは生きてますよ」

店「開戦時期の予想ですか?」

店「雨期明けでしょう。現在の天候では限定的な空爆が関の山です」

店「ゲリラ兵相手には大規模な陸上戦力の展開、というのは何処の世界でも常識でしょう」

店「…それか完全な焦土作戦しかありませんよ」

店「まあ、後者はありえませんがね」

店「残念ながら、今の(21)同盟の情報網がお出し出来る情報はそんなもんです」

店「勘弁して下さいな。こっちも万能じゃないんだ」

店「それでは、また」

ガチャリ…

店「……たった爆弾3発でこの様かよぉ…」

(更に同日 大韓民国 昌原市)


韓国軍国防部長官
「…さて諸君」

韓「諸君らも知っての通り、去る4日、勇猛果敢な我が空軍が大戦果を挙げた」

韓「皆も、我が国の歴史を知っているだろう…」

韓「我が国は誇りある朝鮮民族であるにも関わらず、
  経済崩壊前は、隣国の猿共に媚び諂い、無慈悲に酷使され、不当に扱われてきた」

韓「…そうだろう、諸君?」

韓「しかし、我が同胞達は決して差別に屈することなく、
  世界各国に種を播き、歓迎され、多くの貢献を残してきた」

韓「…そうだろう、諸君?」


韓「…だが、蓋を開けてみればどうだ!」

韓「たかだか金融危機程度で、世界は恩義ある我々を見捨て、
  愚図で人でなしの猿共の妄言に耳を傾け、あまつさえそんなものに命運を懸けようとしている!」

韓「…我が国が、こんなにも苦しんでいるというのにだッ!!」


韓「…そうだ、2006年の時もそうだ!」

韓「当時の我が大統領府が善意から、奴等を核の傘から放り出し、
  共に仮想敵国としようとしたにも関わらず!」

韓「『世界』はその耳を傾けようともしなかったッ!!」

韓「そのせいで我が同胞は軽んじられ、苦汁を飲まざるを得なかった!」

韓「豪州移民の件もそうだ!」

韓「…我が同胞達を救い出すべく、残り少ない油を使用してまで抗議したにも関わらず!」

韓「『世界』は、我々の当然の権利を罵倒してきたのだ!!」


韓「諸君!」

韓「我が空軍は大戦果を挙げた!」

韓「これは正当性のある我等にとって当然のことだ!」

韓「…だが、ここで満足してはいけない!」

韓「『世界』は現実に目を背け、まどろみに身を委ねようとしている!」

韓「それは『世界』の死を意味する!」

韓「誰かが正しい道を示して導かねばならない!」

韓「…様々な観点を鑑みて、その役目は我が朝鮮民族を於いて他にはあり得ない!」

韓「『世界』を導くには力が必要だ!」


「これは世界の意志なのだ!」

(ほぼ同時刻 米国 ホワイトハウス執政室)


高官
「大統領、諜報部から先程より韓国で大規模な集会が行われたと…」

大統領
「…君ねェ、この忙しい時につまんないニュースは放置しといてよ」

高「し、しかし…」

大「あのねェ、…君はあの国がどんな今状態か知ってる?」

高「い、一応は」

大「対外輸出量ゼロ。
  公式な原油輸入量ゼロ。
  imfの経済援助もない完全デフォルト状態…」

大「一般家庭向けの送電は一日たった二時間の外は、自家発電に頼るのみ」

大「…かつて全国民がit化していたit立国が、事実上、毎日たった二時間しか機能していないんだ」

大「んで輸入制限で資材も入らず、加工貿易はほぼ壊滅。
  主な働き口が、あれほど嫌われていた軍隊しかないという始末だ」

大「…これで、90年代に衰退したはずの軍拡派極右政党が躍進しないほうが異常だよ」


高「で、ですが…」

大「君に言われんでも、この二時間に限ってそちら系の団体からの連日署名が山と送られてきとる」

高「…………」

大「それよりどうだね? 『通貨』の件は?」

高「あ、はい…、調査委員会がこの半年の経過をまとめたと」

大「…簡潔に頼むよ」

高「ええと…、確かに停滞していた経済が動かす要因にはなったようです」

大「はっきりせんな。 …我々の予想を上回っているか、否か?」

高「…noでしょうね。 あまりに微弱過ぎて…」

大「ほらな! だから私は反対だったんだよ!
  『サブカルチャー』はあくまでも『サブ』の『カルチャー』に過ぎん!」


高「…お、御言葉ですが」

大「なに? なんだというのかね。
 『世界の正義』たる我が国が、再びその役目を取り戻せる様な案件かね?」

高「い、いえ…、しかし貧困層の減少と税収の微増、過疎地にも少なからず活気が…」

大「…それで次の選挙に勝てんの?」

大「わかるかね、『それ』は私の政策による成果ではない」

大「今の政権は、『メキシコ沖の原油流出で後手に回った頼りない指導者』という不名誉なレッテルしかないんだ」


高「では、《何か》が成果が出るほどに…」

大「当時の私達はあの案件に対し、初期段階では反対票を投じている。
  …後になって、nato、旧東側諸国、aseanの説得もあって、野党との譲歩に応じたんだ」

高「では…」

大「そうだよ。
  …何処かで『馬鹿なアメリカ親父政権』という認識を払拭しない限り、
  私や君は2年後には失職し、大不況の真っ只中に素っ裸で投げ出されるんだ…」

高「…………」

大「残念ながら、国民が求める『強くて格好いいアメリカ』を魅せるには著しく金がかかる。
  凡人の我々が『正義の味方』に変身するために必要なのは、青くて瑞々しい『ホウレン草』なんかじゃない」


大「…ああ、メキシコ湾どうにかなんねえかなあ」

どう言う風に進んでいくんだろうか…

( ・ω・)っ④"

【2015年 3月10日】
(マレーシア ペラ州ルム ルム軍港)


兄「…ん、やっと着いたか」

姉「やっと脚が伸ばせるな」ヤッホウ

兄「良く足を揉んどくと良い。 血栓でエコノミークラス症候群になるぞ」ヤレヤレ

イ「…非道ぇ言い草だな兄弟。 まあ否定しねえけどよ」

姉「ここはマレーシアのどの辺りに当たるんだ?」モミモミ

イ「ああ、ペナン島のちょい南だよ。 結構都会的だろう? …昔はこの辺りが凄ぇ栄えてたんだ」モミモミ

姉「? …『昔は』?」

イ「おおよ。まだマレーシア全体が、スズ鉱石なんかの輸出で生計を立てていた時期の話さ」

姉「今は違うのか?」

イ「…そうさな、今じゃ純粋なマレーシアとは呼びにくいな」

姉「ふむ?」

イ「元々中国系の多い土地柄だったんだが、
  去年辺りから外の華僑もこの街に住みつくようになってからは、ちょいとしたスラムになってやがる」


姉「兄上! 船だ! でっかい船だ!」

イ「…説明ぐらい聞けよ」

姉「イスラム! あの船は!」

イ「旧式フリーゲ-ト艦だ。 中を改装して博物館やレストランとして利用している。
  観光客向けの名所として、退役後を過ごしてる御機嫌な船さ」

姉「!」ワクワク

兄「…姉君、目的を見失うな」

姉「う、うむ…」

イ「まあまあ兄弟、この《メイド》の嬢ちゃんは海が珍しいんだろう」

兄「…そうなのか?」

姉「ああ、恥ずかしいことだがな。
  海を見るのは、私の人生の中で日ノ本のセトナイカイに続いて二度目なんだ」ウズウズ


イ「馬っ鹿、日ノ本の海なんて海じゃねえよ。
  あんなもん池だ、池。人生初の海を楽しんどけ!」ガハハ

兄「…………」

イ「ほらほら兄弟もそんな渋い顔をするんじゃねえ」

兄「だがな…」

スッ…

イ「…分かってるさ兄弟、だが、あれこれ悩んだって状況は変わらない。
  違うか?」ボソボソ

兄「…………」

イ「兄弟はここまでの道中、何を見てきた?」

兄「…鉄道と自動車の窓から見えるものを」

イ「そうだ。窓から見える南北マレーシアの現状だ。
  待ち合わせ場所をわざわざ南部のシンガポール側にしてまで、
  俺が兄弟に見せたかったものだ」

兄「見せたかったもの?」


イ「なあ兄弟、兄弟はマレーシアはaseanの中で何て呼ばれてるか知ってるか?」

兄「…『東南アジアの優等生』」

イ「応、その通り。
  モノカルチャー経済を脱皮した誇るべき立派な優等生様さ」

兄「それが一体?」

イ「…だがよ、実際はどうだったよ?
  そんなに発展してて、皆がみんな裕福な暮らしをしてるか?
  兄弟の国のように、夜中でも安心して出歩けるか?」

兄「……」

イ「マレーシアが多民族国家ってのは知ってるだろ?
  でもな、今のまま経済面で優等生であり続けることが、
  結局は、民族間での貧富、文化格差などを生んでいることが分かっただろう?」

兄「…それが見せたかったものか」

イ「…否、そうじゃない」

兄「?」

イ「兄弟に見せたかったのは、『優等生になれない人間』さ」


兄「『優等生になれない人間』?」

イ「…そうだ、『なれない人間』。
  観光地では絶対にお目にかかることの出来ない、
  兄弟が目指す《何か》の中では絶対に共存不可能な人間の集団」

兄「…マフィアやギャングと似たものか?」

イ「馬っ鹿、ボーリョクダンでもカモッラでもねえよ。
  奴らは仁義もしきたりって言葉を、容赦と一緒に捨てた人間さ」

兄「……」

イ「…少し前までは、この国には治安維持法が布かれてたんだ」

兄「治安維持法…」

イ「分かるだろう?
  まだこの国の『人権』って言葉の固定化が成されていない。
  政府の強権的支配がなり、いろんな人間が生まれちまう移行期にある」

兄「……」


イ「…だからよ、どうせ固定化させるなら時代の最先端でさ、
  今の時代に沿ってさ、俺らの国にあった倫理観にしてぇわけよ」

兄「イスラム、もしかして貴方は…」

イ「…おっと余計な詮索は止めてくれ。
  そろそろ飯にしようや、あっちで嬢ちゃんが呼んでるぜ」ブンブン

兄「……」

イ「…俺も兄弟も世界を憂う一己の戦士、今はそれ以上でも以下でもねぇよ」

兄「…分かった」

イ「おう、さっすが兄弟だ。 くれぐれも《メイド》の件を頼んだぜ」ガハハ

兄「……」コクリ

>>47
ありがと~。
それでは、ちょいと休憩を頂きます…。

(同日 スイス ジュネーブ《メイド部隊》本部)


情報統括部主任
「おはよう、変化は?」

主任補佐
「…予定通り遺品回収班が現地入りし、作業を開始したそうです」

主「おいおい、彼等は救助隊だと言っているだろう?」

補「失礼しました」

主「いいさ、で、被害報告は?」

補「この二日間の捜索結果は、軽傷24名、重傷8名、死者98名。
  把握している限りでは、残りの行方不明者は30名少々です」

主「…完全に直撃弾か」

補「ええ、偶然の産物だと言うなら着弾痕もお見せしますよ」

主「結構、…聞いてるだけで胃が痛くなる」

補「主任の方はどうでした?」

主「厳粛な抗議は行ったがね…、悪い意味で向こうの反応がないそうだ」

補「…やれやれ」


主「…意味深に笑うなよ」

補「いえいえ、お互い長生き出来そうにないので」

主「何を今さら。…それで、プロパガンダ用には使えそうか?」

補「それは存分に」

主「そうか、…そうだよな」

補「焼けた日記、破れた平服、千切れ跳んで誰のモノかも判らない手足、
  熱傷と裂傷に呻く隊員…」

主「…あ、走馬灯」

補「大丈夫です、私は前世の記憶が呼び覚まされそうですから」


主「《メイド》のお子さんが居るのか?」

補「《執事》の方ですがね…」

主「…不躾ながら、任地と配属を聞いても?」

補「聞くだけ野暮でしょう?」

主「…………」


補「御心配なく、…私は全員の安否が分かるまで眠りませんから」

http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/#1

すいません、書き直したくなり、移転しました。

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