ルセア「ベルン軍、ですか……」 (85)


リキア《孤児院》



ルセア「チャド、ルゥ、みんなを頼みます」

チャド「ちょ、ちょっと待てよ院長先生! いくらベルンの兵隊が来たからって、大げさすぎるだろ!」

ルゥ「そうだよ! わざわざ避難するなんて!」

ルセア「……なにが起きるか分かりません。何もなければそれで良し。なにかあったときに動きはじめては遅いのです」

チャド「だ、だったら院長先生も!」

ルセア「ええ。すぐに向かいます。ですが、ベルン軍はもうすぐそこまで来ています。いつ矛先が向けられるか分かりません」

ルゥ「でも……」

ルセア「大丈夫。すぐにまた会えます。……会えないときは、ルゥ、あなたに渡した書状をアラフェンの教会に」

チャド「院長先生!」

ルゥ「そんなこと言わないでよ!」

ルセア「あなたたち2人だから言うのです。大丈夫、先生はこれでもウデに自信はありますから」

チャド「……約束だぞ、院長先生! 絶対、絶対だからな!」

ルゥ「チャド!?」

チャド「仕方ないだろ!? チビたちに怖い思いはさせられねえ! 」

ルゥ「……分かった」

ルセア「……さあ、行きなさい。私なら大丈夫ですから」



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ルセア「……行きましたか。さて、私の持ち物は……使いかけのライトニングときずぐすりだけ」

ルセア「生活苦でほとんど売ってしまいましたからね……」

ルセア「ですが、あの子たちの未来のためです」

ルセア「そのためならば、この命惜しくはありません」

ルセア「噂に名高きベルン軍、いか程のものか……」


<おい! 誰かいるか!


ルセア「……来ましたね」




ベルン兵「この施設の責任者は貴様か!?」

ルセア「ええ。この孤児院の院長を務めております、ルセアと申します」

ベルン兵「そうか! これよりこの地はベルン軍の統治下に入る! ついては食料品や衣料品、すべてを我が軍に献上せよ!」

ルセア「断ります」

ベルン兵「なんだと!? 断るのであれば焼き討ちにするぞ!」

ルセア「生憎、あなた方が起こした戦乱のおかげでこの施設には何もありません」

ベルン兵「なんだその口の利き方は! 貴様、命が惜しくないのか!」

ルセア「……そうですね。命は惜しいです。ですが、神に仕える身として、嘘はつけません」

ベルン兵「ならばとっとと神の許へ逝け! くらえ!」

ルセア「ライトニング!」ビカッ

ベルン兵「!?」ドサッ

ルセア「……ふふ、だいぶ動きが衰えました。しかし……」


<なんだ!? 今の光は!?
<おい!? 大丈夫か!?

ルセア「……やはり、こうなりますか。さて、どれだけ持ちこたえられるか……」



ベルン兵1「……!? これは……!?」

ベルン兵2「うそだろ……、死んでる……」

ベルン兵3「いったい何が……」

ルセア「……全部で10人、ですか」スッ

ベルン兵4「! 何者だ貴様!」

ルセア「当孤児院の院長、ルセアと申します」

ベルン兵5「……その書は光魔法の……こいつは貴様がやったのか?」

ルセア「ええ。いきなり槍を向けられましたので、仕方なく」

ベルン兵6「そうか、ならばこれは我らベルン軍に対する反逆罪だ。死ね!」ビュッ

ルセア「ライトニング!」ビカッ

ベルン兵6「!?」ドサッ

ベルン兵7「!? 馬鹿な、一撃だと!?」

ルセア「これでも司祭ですので。あなた方一般兵よりは」

ベルン兵8「こ、この!」ビュッ

ルセア「おや」スッ

ベルン兵9「くらえ!」ビュッ

ルセア「ふむ」スッ

ベルン兵10「あ、当たらねえ! なんだこいつ!」ビュッ

ルセア「……この程度、モルフの大軍に比べればどうということは……」スッ スッ



ベルン兵「「「「「「」」」」」」プスプス


ルセア「ふう……実戦を離れてから久しいとはいえ……もう息が上がりますか」ハアハア

ルセア「くっ、あんな雑兵にライトニングをかなり使ってしまいました」ハアハア

ルセア「……しかし、大陸最強のベルン軍が……この程度ですか?」

スレーター「これは……どういうことだ!?」

ルセア「!」

スレーター「貴様! 何者だ!」

ルセア「ライトニング!」ビカッ

スレーター「!?」ドサッ

ルセア「しまった、とっさにライトニングを……! アーマーナイトの雑兵ごときに……!」

ルセア「……え? 雑兵ですよね?」

ルセア「……兵が退いていく……」

ルセア「……正直、信仰を欠かしたことはないので、魔力の低下を感じたことはありませんでしたが……」

ルセア「……えー……」

ルセア「……あ、この人意外とお金もってる……いやいや、さすがに……神に仕える身ですし……」

ルセア「……」ソーッ



チャド「院長先生!」

ルセア「!?」ビクッ

チャド「うっ、ひでぇなこりゃ。チビたちとルゥは置いてきて正解だな」

ルセア「チャ、チャド! どうしてここに!?」

チャド「ベルンの連中がいなくなったから来たんだ! それにしても……これ院長先生がやったの?」

ルセア「え、ええ。まぁ」

チャド「……すっげー……院長先生、ホントは強かったんだな」

ルセア「……当然です。キミたちを守るためなら、先生は修羅にでもなれます」キリッ

チャド「こえー……あれ、先生それ……」

ルセア「え?」

チャド「カネと……宝玉? なんか汚れてっけど」

ルセア「あ、いや、違っ」アセッ

チャド「……そうだよな! 生きるためだ! そりゃ盗みもやるさ!」

ルセア「ち、違います! チャド、これは」

チャド「よーし! 院長先生! おれもっと盗賊の腕磨くよ!」

ルセア「い、いけません! チャド! チャド!?」


数日後、リキア《平野》



フレアー「……ここか。スレーターがやられたというのは」

竜騎士「はっ! 遠くから見ていた者の話によれば、司祭の光魔法でやられたと」

フレアー「ふん、ベルン軍人の恥め。このままその司祭とやらを放っておいては、我らベルン軍の沽券に関わる」

竜騎士「そのとおりです」

フレアー「行くぞ、ベルン竜騎士の強さを十分に見せてやれ!」

リキア《孤児院》



ルセア「ルゥ、みなを頼みます」

ルゥ「無茶だよ! 飛竜があんなに!」

ルセア「大丈夫です。先生を信じてください」

ルゥ「チャドもいないしレイもいない! ボクにどうしろって言うのさ!」

ルセア「……2人はいつか帰ってきます。だからそれまで、あなたが子どもたちを」

ルゥ「院長先生は!?」

ルセア「先生もです。大丈夫、きっと戻りますから」

ルゥ「……うん。院長先生、絶対だからね!」



ルセア「……さて、今度はベルン軍が誇る竜騎士部隊。前の有象無象の集団とは訳が違うでしょう」

ルセア「……私があんなことをしたばかりに、チャドは盗賊の修行をすると孤児院を出てしまった……」

ルセア「思春期とはいえ……なんですか……盗賊王に俺はなるって……」

ルセア「いえ、これも私のせい……」

ルセア「聖女エリミーヌよ、どうか私をお導きください」


竜騎士「はっ!」ビュッ

ルセア「ライトニング!」ビカッ

竜騎士「!?」ドサッ


フレアー「ほう、さすがにスレーターを倒しただけはある」

ルセア「はあ、はあ……くっ」

フレアー「だが、悲しいかな、兵力が違う。こちらはまだまだ竜騎士がいるぞ?」

ルセア「……ライトニングを新調するんじゃなくて、シャインにでもするべきでしたかね……」

フレアー「ふん、楽にしてやれ」

竜騎士1「はっ」バサッ

ルセア「ここまでか……」



ルゥ「ファイヤー!」ボゥ

竜騎士1「うお!?」

ルセア「!? ルゥ!?」

ルゥ「ぼ、ボクだって戦う! 院長先生だけに戦わせるなんて嫌だ!」

竜騎士1「このガキ……!」

ルゥ「ひっ……!」

フレアー「ふん、実力不足だ小僧」

ルセア「ルゥ! 逃げなさい!」



???「リザイア」

竜騎士1「ガ、アァ!?」ドサッ

フレアー「な!? 闇魔法だと!?」

ルゥ「え……」

レイ「よう、何やってんだ馬鹿兄貴」

ルセア「レイ!?」

ルゥ「レイ! どうしてここに!?」

レイ「こないだチャドに会ってよ、孤児院が襲われたって聞いて……まぁ、なんだ。気が向いて」

ルゥ「心配して来てくれたんだね! ありがとう、レイ!」

レイ「ばっ、ちげえよ! そんなんじゃねえ!」



フレアー「ふん! シャーマンが1人増えた程度で調子に乗るな! 全軍突撃! ヤツらを殲滅しろ!」


しーん……


フレアー「……?」


どさどさどさどさ……


フレアー「!? な、に?」

ルセア「竜騎士が……全滅?」


レイ「あー、そこのおっさん。ベルン軍がリキアの孤児院に手を出したって情報さ、けっこう出回ってるんだよ」

ルゥ「?」

レイ「そんで、そんな話を聞かされたら……俺たちを置いていった馬鹿親たちも帰ってきたりする訳で」






ジャファル「……」ザッ


ルセア「ジャファルさん!?」

フレアー「!? ま、まさか【死神】ジャファル……」


ルゥ「……え? アレ、お父さん? 」

レイ「らしいぞ? それから」



???「私のかわいい子どもたちとルセアさんに……」

フレアー「!?」

ニノ「なにしてんのよ! エイルカリバー!!」

フレアー「ぎゃああああああ!?」ボシュウ!


ルセア「ニノさん!?」


レイ「うわ〜……跡形もねえ……アレが俺たちの母さん」

ルゥ「……こわっ」



ルセア「ジャファルさん、ニノさん、どうしてここに?」

ニノ「どうしても何も! あんな話聞いたら放っておけないよ!」

ジャファル「……」

ニノ「ジャファルも噂を聞いて駆けつけたみたいで、さっきそこで合流したんだ! 私があれだけ探しても見つけられなかったのに!」

ルセア「そうでしたか……」

ジャファル「……ルセア」

ルセア「は、はい!?」ビクッ

ジャファル「……子どもたちを……すまなかった……」

ルセア「い、いえ、2人ともいい子でしたので」

ジャファル「そうか……」




ルセア(……はじめて名前呼ばれた……びっくりした……)ドキドキ


ルゥ「お父さん! お母さん!」

ジャファル「!」

ニノ「ルゥ! レイ! 大きくなったね!」

レイ「そりゃそうだろ。何年経ったと思ってんだ」

ルゥ「レイ!」

ジャファル「……」

ニノ「……ごめんなさい」

レイ「ふん、自分たちが好き勝手ほっつき歩いてる間、俺たちがどんな生活をしてきたと……」

ルゥ「レイ! いい加減にしなよ! ホントは喜んでるくせに!」

レイ「はあ!? なんでそうなるんだよ!」

ルゥ「だってレイが喜んでるときっていっつもそんな風に左のまゆ毛が」

レイ「黙ってろ馬鹿兄貴!」


ルセア「レイ」

レイ「げっ」

ルゥ「院長先生」

ルセア「孤児院を勝手に抜けたことは……1度おいておきましょう」

レイ「……」

ルセア「あなたのお父さんとお母さんが今日ここに駆けつけた意味、あなたなら分かるでしょう?」

レイ「……さあね、院長先生が心配だったんじゃねえの?」

ルセア「レイ、あなたは聡い子です」

レイ「……はあ、分かったよ。ホントは全部知ってるし」

ジャファル「!」

レイ「父さんが姿くらました理由も、母さんが父さんを探しに行った理由も、全部知ってる」

ニノ「!」

ルゥ「……うん、前に1度院長先生から教えてもらったしね」

レイ「そんときは信じられなかったが……外に出て、各地を回って、色んな話をすり合わせたら……たぶん本当だろうって分かった」

ジャファル「……」

ニノ「……」

レイ「だからまあ……さっきは色々言ったけど、別にそこまで憎んでもねえよ」

ジャファル「……」

ルゥ「あ、ぼくも同じだからね! チャドや院長先生たちとも仲良くなれたし!」

ニノ「……」






ジャファニノ「「(;▽;)」」ブワッ

ルゥレイルセア「「「!?」」」ビクッ


ニノ「ごめんなさい! 本当ごめんなざいいいい!!」エーン!

レイ「おわっ、ちょっ、ガキかアンタ!」

ジャファル「ずばだ……がっだ……」ポロポロ

ルゥ「お、お父さん! なんで無表情で涙流してるの!?」

ルセア(……ジャファルさんって、こんな泣き方するんだ……)

ニノ「うわああああん!!」

ジャファル「……おお……!」ポロポロ


ベルン《砦》



ナーシェン「ふ、フレアーがやられただと!?」

兵士「は、はっ! 竜騎士1個小隊を引き連れて村々を陥落しようとしたところ、返り討ちに……」

ナーシェン「な、ならばベルンの誇る最強ほ竜騎士隊がそこらの村民風情にやられと言いたいのか!? フザけるのも大概しろ貴様!!!」

兵士「し、しかし、報告ではそのように……!」

ナーシェン「そんな馬鹿げた話があるか! ええい、そもそもあんなヤツらを先行させたのが間違いなんだ!」ガタッ

兵士「しゅ、出撃なさいますか?」

ナーシェン「当たり前だ! これ以上手をこまねいていては陛下に合わせる顔がない!」

兵士「承知しました! すぐに出撃準備を!」タタッ

ナーシェン「くそっ! マードック将軍もブルーニャ将軍も順調に進軍しているというのに! とんだ誤算だ!」


リキア《孤児院》



ルセア「……そうですか、ヒース殿とヴァイダ殿が……」

ジャファル「……」コクリ

ルセア「……さすがはベルン最強の竜騎士。ジャファルさんですら退かざるを得ないとは」

ニノ「ヒースさん……ヴァイダさん……」

ジャファル「……おそらく、軍に戻っているだろう。 あの女からは並々ならぬ執念を感じた」


子ども「レイお兄ちゃーん」キャッキャッ

レイ「だー! うっとうしい! まとわりつくなチビども!」




ルゥ「た、大変だ! ま、またベルン軍が!」

ジャファル「!」

ルセア「またですか!?」

ルゥ「うん! しかも前より数が多い!」

ニノ「うそ……」

レイ「なんだってこんな孤児院を狙ってくるんだか……院長先生、なんか隠し持ってる?」

ルセア「何もかもとうに売り払ったはずですが……!」




ニノ「……ジャファル、見える?」

ジャファル「……兵種が多い。本気で軍を編成してきたようだ……」

ルゥ「空には飛竜が大勢いるし……いくらなんでもまずいかも……」

レイ「こんな孤児院にムキになんなくていいだろ、クソッ」

ルセア「どうしてこんなことに……」

ジャファル「! 【三竜将】ナーシェンだ」

ニノ「!? うそでしょ!?」

レイ「【三竜将】……ベルンの最高幹部か」

ルゥ「ベルンでいちばん強い人が来たってこと……? な、なんで?」

ルセア「それだけ怒りを買ってしまったということですか……」


ニノ「ど、どうしよう……?」

ジャファル「……俺が引き受ける」

ルゥ「む、無理だよ!」

レイ「あの大軍を1人で相手できるわけねえだろ!?」

ジャファル「……」

ルセア「ジャファルさん……」

ジャファル「……分かっている。もう2度と、お前たちとは離れない」

ニノ「!」

ルゥ「父さん……」

レイ「……ふん」

ジャファル「……ルゥ、レイ、お前たちは施設内から魔法で援護してくれ。ニノ、ルセア、お前たちは回り込み、敵大将を」

ルセア「! 【三竜将】を倒せと?」

ニノ「さ、さすがにそれは……」

ジャファル「ベルンは数で圧倒してくるだろう。大将の周りは手薄になる」

ルゥ「その、圧倒する数を、父さんが相手するの?」

レイ「現実的じゃないな。おまけに向こうの大将は確か、弓も風魔法も弱点にならないんじゃなかったっけ?」

ジャファル「デルフィの守りだ。所有者の特効を打ち消す。だが、そもそも飛竜の魔防は低い。勝ち目があるならこの2人だ」

ニノ「……」

ルセア「……分かりました」

ジャファル「……勝ち目は薄い。だが、これが1番まともな策だ」

ルゥ「分かった。やろう」

レイ「あの大軍からチビ連れて逃げられねえしな。やるしかねえか」

ルセア「ルゥ、レイ、子どもたちを頼みます」

ニノ「……ジャファル」

ジャファル「?」

ニノ「ふふ、いっぱいしゃべるようになったね」ニコ

ジャファル「……ああ、お前のおかげで俺は変われた」



リキア《平野》



ナーシェン「半刻以内に落としてこい! これ以上! ベルンの武勇に泥を塗るな!!」

兵士「はっ!!」

ナーシェン「まったく! さっき見えたが、あれはボロボロの廃墟ではないか!」

ナーシェン「どうやったら負けるのだ……」

ナーシェン「くっくっくっ、だが、もはやこれまで。全員八つ裂きにしてやる」


リキア《林》



ニノ「……あれがナーシェン……周りには部下が5人くらい?」

ルセア「他はみな孤児院の方に……ジャファルさんたち、大丈夫でしようか?」

ニノ「大丈夫だよ。ジャファルは強いから……それより、どうやって攻めよっか?」

ルセア「私が周りの部下の相手をします。ニノさんはナーシェンを」

ニノ「……大丈夫?」

ルセア「ええ。まず私が注意を引きつけますので、ニノさんはその隙に奇襲を」

ニノ「……無理しないでね?」

ルセア「ふふ、この作戦がすでにかなり無理のあるものですが」クス


リキア《孤児院》



ジャファル「ちっ……」

ジェネラル「ふははは! 【死神】ジャファル、恐るるに足らず!」

ルゥ「ファイヤー!」ボウ

パラディン「遅いわ!」

レイ「ミィル! くそっ、数が違いすぎる!」

ジャファル「レイ! 気を抜くな!」

ジェネラル「それは貴様とておなじこと!」

ルゥ「わっ、わっ! 危ない!」

スナイパー「おらおら! なぶり殺しにしてやるよ!」ビュッ ビュッ

レイ「クソ! もう持たないぞ!」

狂戦士「もらった!」ビュッ

ルゥ「レイ! 手斧!」

レイ「!」




ギィン!


狂戦士「!?」

レイ「あ、あぶねー……」

ルゥ「斧を、弾いた?」

???「……なんとか、間に合ったかな?」

ジャファル「! お前は……」

ジェネラル「ぬ、何者だ貴様!?」

???「失礼、ここはルセアという者の孤児院で間違いないかな」

レイ「あ、ああ」

???「そうか」フフ

ルゥ「あの、あなたは……?」

???「安心していい。君たちの味方だ」






カレル「【剣聖】カレル、縁あって、この孤児院を守らせてもらう」




パラディン「か、カレルだと!?」

スナイパー「馬鹿な! なぜここに!?」

ジャファル「【剣聖】……? 【剣魔】ではないのか……?」

ジェネラル「ええい! 【剣聖】が何する者ぞ! 我が鎧に死角なし! いざ!」

カレル「………」スッ



ギィンギィンギィンギィンギィン!



ジェネラル「……馬鹿な、ぐはぁ!!?」

カレル「残念、アーマーキラーだ」

狂戦士「は、はえぇ! 本物だ!」

ジャファル「……」


ザシュ!


狂戦士「あっ、ガ……!」ドサッ

ジャファル「隙だらけだ」

パラディン「くっ、【死神】と【剣聖】を同時に相手しろというのか!」

スナイパー「なんで、こんな孤児院に大物ばかりが!」


リキア《平野》



ルセア「ライトニング!」ビカッ

ドルイド「!?」ドサッ

兵士「!? 何者だ!」

ナーシェン「ほぅ……これはこれは、みすぼらしい司祭もいたものだ。くっくっくっ」

ルセア「ライトニング!」ビカッ

兵士「!?」ドサッ

ナーシェン「目障りだ、私が始末してくれる!」

ルセア「!」


???「やめろ!」バッ

ルセア「!?」

ナーシェン「な、なんだこいつは!」

チャド「院長先生から離れろ!」

ルセア「チャド!?」

ナーシェン「ええい! 私に触るな!」ブン

チャド「うわああ!」ドサッ

ルセア「チャド! 無茶を……!」

ナーシェン「汚いガキが私に触れおって……! まとめて八つ裂きにしてくれる!!」バサッ



チャド「と、盗ったぞ!」バッ

ナーシェン「!? き、貴様、それは私の」

ニノ「エイルカリバー!!!」バッ

ナーシェン「デルフィのまmグアアアああああ!?」ボシュウ!

チャド「うわあ、跡形もねえ……」

ウォーリアー「な、ナーシェン様がやられ」

ルセア「ライトニング!」ビカッ

ウォーリアー「!?」ドサッ

賢者「くっ、撤退だ! 全軍撤退!」



わああああああああああ……!




<おーい!


ルゥ「院長先生たちだ! わぁ、チャドもいる!」

レイ「はあ? アイツ今ごろ来やがったのかよ」

ジャファル「ニノ! 無事だったか!」

ニノ「えへへ〜、ジャファル! 私頑張ったよ!」ブイ

カレル「久しぶりだね、ルセア」

ルセア「!? カレルさん、ですか?」

チャド「おっ、おっさん間に合ったみたいだな! 道案内した甲斐があったぜ!」

カレル「ああ、ありがとうチャドくん」


ルセア「お久ぶりです、カレルさん。見違えました」

カレル「ああ、君から授かった安らぎ。それがすべてだった」

ルセア「安らぎ……そうですか。確かに、今のカレルさんはとても穏やかに思えます」

カレル「そう、それこそが剣の道を極める者の心得だった。もはや私は争いごとを好まないが、君には恩を返せなくてはならない」

ルセア「いえ、それはカレルさんが自らたどり着いた境地。私は何もしておりません」

カレル「……ならば、1人の友として、君を助けよう。私の身体、しばし君に預ける」





チャド「……なあ、おっさん」

ルセア「これ、チャド。カレルさんに向かってなんて口の利き方を」

カレル「構わないよ。なんだい、チャド君」

チャド「………分かってると思うけど、院長先生は男だぞ?」

ルセア「?」

カレル「? 知っているが?」

チャド「イヤ、わかってんならいいんだ。それと、用心棒ありがとな」

カレル「お互い様だよ。君のおかげでたどり着くことができた」

今回はここまで
明日完成させますらー

ますらーらってなんだwww
ますから、ね

再開します

その前に訂正
>>31>>32の間に
↓が入ります


リキア《孤児院》



ルゥ「! 兵士が退いていく……」

レイ「ってことは……ははっ、すげえ! ホントにやっちまったんだ! 院長先生と母さん!」

ジャファル「ニノ……!」

カレル「……ルセアの姿が見えないのはそういうことか」

ルゥ「やった! やったやった! ボクたち勝ったんだ!」

レイ「ははははは! すんげえや! 大陸最強のベルン軍が尻尾巻いて逃げてやがる!」

ジャファル「……【剣魔】、いや、【剣聖】、礼を言う」

カレル「! ああ、受け取っておこう」

以下、>>33の続きになります。


ベルン《ベルン城》



ゼフィール「……ナーシェンが?」

ベルン兵「は、はっ! 伏兵の襲撃を受け、討ち取られたとのこと!」

ゼフィール「……」

ベルン兵「敵の追撃はなく、ナーシェン様が率いていた軍は敗走し、国境の砦にまで退いています!」

ゼフィール「……軍の被害は?」

ベルン兵「兵の1割がやられた他、戦意を喪失しているとのこと!」

ゼフィール「戦意喪失……大陸最強の我がベルン軍が?」

ベルン兵「い、いえ、その……」

ゼフィール「……リキア攻略、ナーシェンには荷が重すぎたか」ガタッ

ベルン兵「ひっ、あの、そのっ!」

ゼフィール「ブルーニャをサカから呼び戻せ。ナーシェンの残存軍と合流し、リキアへ向かう」

ベルン兵「! へ、陛下自ら向かわれるのですか?」

ゼフィール「不服か?」

ベルン兵「め、滅相もございません! すぐに準備を!」




ゼフィール「……」


サカ《ブルガル》



ブルーニャ「ナーシェンが……!?」

ベルン兵「はっ! ブルーニャ将軍にあっては直ちにベルンに戻られたいとのこと!
     これより陛下自ら軍を率い、ナーシェン将軍の残存兵と共にリキア攻略に向かわれるとのことです!」

ブルーニャ「……承知しました。ジュテ族がこちらに寝返っている今、サカの戦況は覆らないでしょう」

ベルン兵「それと、これはナーシェン将軍の策の引き継ぎになるのですが……」

ブルーニャ「?」

ベルン兵「リキアの盟主、オスティア侯爵の部下を寝返らせてあります。あとは合図さえあれば、いつでもクーデターを起こすと」

ブルーニャ「そうですか。ナーシェンにしては上出来です。
      陛下の進軍時期に合わせ、連絡を。オスティア侯爵さえいなければリキアなど雑魚の寄せ集めです」

ベルン兵「はっ。では、そのように」

ブルーニャ「ええ。……ああ、そういえば、ナーシェンはどこの軍にやられたのですか?」

ベルン兵「……孤児院です」

ブルーニャ「はい?」


リキア《孤児院》



ルセア「……なんと、バアトルさんが」

カレル「ああ、妹と結ばれ、娘を授かった。ただ、妹は病弱だったからね……」

ルセア「……カアラさんに、聖女エリミーヌの加護がありますよう……」

カレル「ありがとう。妹もきっと喜ぶ」



チャド「とまあ、そんな感じで。ラガルトっておっさんに色々教わってたんだ」

ニノ「そうなんだ。よかったぁ。ラガルトおじさん、元気なんだ」

チャド「あれ? おばさん知ってるの?」

ニノ「おばっ……そっか、私ももう親なんだもんね〜」ニコニコ



子ども「ジャファルおじさ〜ん」キャッキャッ

ジャファル「!? ……!? !?」

レイ「あっはっは、伝説の【死神】がチビたちにまとわりつかれて身動き取れなくなってら」ケタケタ



レイ「た、大変だ! ま、またベルン軍が!」

ルセア「!」

カレル「来たか……」

チャド「まだ来るのかよ!」

ルゥ「し、しかも前の倍くらいいる!」

ニノ「嘘……! ジャファル?」

ジャファル「……あの旗印、おそらくベルン国王ゼフィール……!」

レイ「は、はあ!? なんで国王がわざわざこんなところの孤児院に来るんだよ!?」




チャド「……今度という今度は無理くさいな。すでに囲まれてる」

ルセア「! そんな……」

カレル「……ジャファル、1点集中突破しかないと思うが?」

ジャファル「ああ、俺たちで活路を開く」

ニノ「わ、私も!」

レイ「無茶言え。なぶり殺しだろ」

ルゥ「それに、子どもたちも守らないと……」



ルセア「……いいでしょう。殿は私がやります」

カレル「! できるかい?」

ルセア「やらなければなりません。カレルさんとジャファルさんで前を。
    ニノさん、レイ、お二人の援護を。ルゥ、チャド、後に続き、子どもたちを守りなさい」

チャド「……で、最後に院長先生が1人? 無理だよ!」

ジャファル「……他に策もない」

ルゥ「父さん! でも!」

ニノ「……ルセアさん、どうか死なないで」

ルセア「大丈夫。今度もきっと、聖女エリミーヌ様が導いてくださいます」

レイ「……最後の最後まで能天気だな、くそっ」


リキア《平野》



ゼフィール「……あのようなところに住む司祭に、ナーシェンが負けたと?」

賢者「はっ……」

ゼフィール「……」

ブルーニャ「陛下。お言葉ですが、あそこはリキア攻略においてなんの利点もありません。時間を割く必要はないかと」

ゼフィール「もっともだ。だが、ブルーニャよ。大陸最強のベルン軍の誇り、汚されたままで良いはずもなかろう?」

ブルーニャ「はっ。是非もありません」

ゼフィール「ならば、わし自ら引導を渡してやろう」

ブルーニャ「! 陛下が出られずとも、私が!」

ゼフィール「かまわぬ。リキア攻略の前の良い座興だ。貴様、案内をいたせ」

賢者「は、はっ!」



リキア《平野》



ゼフィール「ほう……貴様か。ナーシェンを討ち取ったのは」

ルセア「!! まさか、ベルン国王ゼフィール……!」

ゼフィール「ふむ……武人ではないようだが、貴様はいったい……?」

ルセア「……当孤児院の院長、ルセアと申します」




<わああああああ!
<ギイン! カアン!


ルセア「! 向こうで戦闘が……」

ゼフィール「ほう、逃がすか。司祭よ」

ルセア「……どうか、私1人の命で見逃してはもらえないでしょうか?」

ゼフィール「ならぬ。……だが、貴様の戦いぶりに免じてわし自らが相手をしてくれよう」

ルセア「くっ、ライトニング!」ビカッ

ゼフィール「ふん」スッ

ルセア「! 見切られ」

ゼフィール「死ね」ズオッ






ギィン!


ゼフィール「なに?」

ルセア「……?」

???「待たせたな、ルセア」

ルセア「……あ、あなたは……」












レイヴァン「相変わらず無茶をするなお前は」

ルセア「レイモンド様っ……!」



ゼフィール「……よく受けたな、勇者よ」

レイヴァン「ふっ、さすがだなゼフィール王。並みの力ではない」

ゼフィール「……貴様1人でこの戦況が覆ると?」

レイヴァン「1人? あの旗印が見えないか?」

ゼフィール「?………馬鹿な……」


リキア《平野》



ベルン兵「で、伝令! リキア同盟軍が襲撃! 総大将はオスティア侯爵ヘクトル!」

ブルーニャ「!? 馬鹿な!!」

ベルン兵「現在東部に展開中の我が軍と交戦中! さらに孤児院側の伏兵と挟撃され、東部は壊滅状態です!」

ブルーニャ「そんなはずはない! オスティアの内通者にクーデターを起こすよう伝えたはずです!」

ベルン兵「オスティアに向かわせた斥候が帰陣しました! 現在オスティア領地に混乱なし! 至って平穏であるとのこと!」

ベルン兵「重ねて申し上げます! オスティアの内通者と連絡取れず! 」

ブルーニャ「そんな……いったい、どうなっているのですか!?」


リキア《オスティア城》



オズイン「つまり……お前たちは寝返ったと見せかけ、敵の内情を探っていたと」

デビアス「そうです! 相手の信用を得るため、内々に進めてきた秘策であります!」

レイガンス「その策がようやく実を結び! 我々はベルン国王が攻め入る情報を入手し! 今回の結果に至ったのだ!」

オズイン「では、我々オスティアを裏切るつもりは毛頭なかった、と?」

デビアス「当然でございます!」

レイガンス「我らはヘクトル様に忠誠を誓った身だぞ!」

セーラ「ホントは?」

デビアス「大陸最強(笑)のクセにww孤児院相手に負けるとかwwwwwwwww」

レイガンス「雑魚すぎwwwwwwwwwwww寝返る価値wwwないwwwwwwwww……はっ」

セーラ「だってさ」

オズイン「牢屋に入れておけ」

バース「はっ」

ウェンディ「行きますよ、将軍」

デビアス「は、図ったな貴様!」

レイガンス「おのれクソ女! もうその服装年齢的にキツ」

セーラ「ライトニング!!!!!」ビカッ

レイガンス「!?」ドサッ

オズイン「こら、処刑はまだ先だ。セーラ、こら」


リキア《孤児院》



ヘクトル「おう、ゼフィール殿」

ゼフィール「……オスティア侯爵ヘクトルか」

ヘクトル「荒々しい言葉使いは勘弁してくれよ? 若えころの血が騒いじまってしょうがねえんだ。
     ……もっとも、俺の同盟の領土を荒らそうとした馬鹿を相手に敬意を表する必要もねえだろ?」

ゼフィール「ふん、リキアの腰抜けをよくもここまで集められたものだ」

ヘクトル「悪いな、これでも何世代も前から繋がってきた盟友たちだ。そう簡単に崩れるほど俺たちの絆は脆くねえんだよ」

ロイ「その通りです!」

エリック「ソウダソウダー」

ヘクトル「……エリック、てめえは後で話がある」

エリック「」



ヘクトル「さて、ゼフィール殿。口上はここらでよかろう。その首貰い受ける! 全軍斉射! 次いで突撃せよ!」

ゼフィール「小癪な! 迎え討て! ベルン軍よ!」




ヒュンヒュンヒュンヒュン!!

ギィン! ギィンギィン!

わあああああああああああ!!




マーカス「フェレ騎士隊前へ! 追撃せよ!」

ヴァイダ「飛竜部隊! 抜かれんじゃないよ!」




ボォウ! ビカッ! ギュオオ!

おおおおおおおおおおお!!

カアン! ギイン! ズドン!




ヘクトル「逃げんなあ! ゼフィール!」

ブルーニャ「あそこだ! ブルーニャ隊! 陛下をお守りせよ!」














ヘクトル「我が軍の勝利だ! 勝鬨を挙げよ!!」


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!


マーカス「……ゼフィール国王は取り逃がしましたな」

ロイ「さすがはベルン軍……。これだけの兵力をもってしても、ようやく互角だなんて……」

エリック「……」コソコソ

ヘクトル「どこ行こうとしてんだ? エリック」

エリック「」


リキア《孤児院》


ルセア「レイモンド様、まさかオスティア軍に入っていたとは」

レイヴァン「……雇われていただけだ。俺はどこまで行っても傭兵だ」

ヘクトル「ルセア! 久しぶりだな!」

ルセア「! ヘクトル様!」

ヘクトル「話はすべて聞いた。悪かったな、俺たちが至らないせいでとんでもない負担をかけた」

ルセア「……大丈夫です、と言えば嘘になりますね」

ヘクトル「すまない。そこでなんだが、オスティアに来てくれないか?」

ルセア「私がオスティアに?」

ヘクトル「ああ。そこで孤児院を開いてほしい。もちろん費用は全部公費で負担する」

ルセア「……」

ヘクトル「今いる子どもたちも全員連れてきてもらって構わない。ここで孤児院を開くよりもいい環境だ」

レイヴァン「引き受けろ、ルセア。その方が俺の気も休まる」



ルセア「……お断りします」

ヘクトル「なに?」

レイヴァン「ルセア……?」

ルセア「都市部であるオスティアよりも、この地の方が孤児は多くいます。それに……なんだかんだであそこは思い出の詰まった施設ですから」

ヘクトル「だが、安全面ではとてもじゃないが……」

ルセア「ええ。だから孤児院が必要なのでしょう?」

ヘクトル「む……」

レイヴァン「諦めろ、オスティア侯」

ヘクトル「レイヴァン?」

レイヴァン「こいつはこうなったらテコでも動かん。終いにはお前と一戦交えるとまで言い始めるぞ」

ルセア「……」

ヘクトル「……ふっ、それはいただけねえな。だが、今までベルン軍を退けてきた功績だけは受け取ってくれないか?」

ルセア「ええ。喜んで」


ベルン《ベルン城》



マードック「陛下! お待ちしておりました!」

ゼフィール「マードック? 何故ここに? イリア攻略はどうした」

マードック「! 伝令からは何も聞いておられませんか?」

ブルーニャ「我々はリキアからここに来ましたが、伝令は受け取っておりません」

マードック「……各地で我らベルンに対抗する者が現れ、ベルン軍は後退を余儀なくされています」

ゼフィール「なに……?」

マードック「特にサカにあっては、こちら側についていたジュテ族が向こうに寝返ったと」

ブルーニャ「なっ」

マードック「不測の事態であったため、不在の陛下に代わり、このマードックが全軍の指揮を取っていた次第です」



エトルリア《西方三島》



エキドナ「リキアじゃ孤児院が頑張ってんだ! 私らレジスタンスも負けてらんないよ!!」


おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!



ゴンザレス「おれ、たたかう! がんばる!」



イリア《雪原》


ユーノ「マードック将軍がいない今が好機!」

フィオーラ「天馬騎士隊出撃! ベルン軍を追い払え!!」





サカ《草原》



ダヤン「寝返った者が再び寝返ったか」

ラス「孤児院に敗れるようでは信用もなくなる。父よ、サカの掟に従い、他国の者どもを追い返すときだ」

ダヤン「……うむ。サカの誇り、見せるは今だ!!」



ベルン《ベルン城》



ゼフィール「……」

マードック「……」

ブルーニャ「……」

ゼフィール「1度、全軍を退かせよ。軍を立て直す」

マードック「はっ!」

ブルーニャ「直ちに!」

ゼフィール「……解放の時はまだ先か……」







リキア《孤児院》



ルセア「レイ、チャド、まだ拭き残しがありますよ?」

レイ「いいだろそんなところ! 細かすぎだぞ院長先生!」

ルセア「いけません」

チャド「だいたいなんで今さら孤児院抜けた罰なんか……」

ルセア「悪いことをした者は罪をつぐなう。当然のことです」



ニノ「ね? 見える?」

ルゥ「うーん、見えるような見えないような……」

ニノ「それが妖精さん。理魔法を扱うなら、妖精さんたちと仲良くならなきゃダメだよ?」

ルゥ「うん、分かった!」



ジャファル「……こうか?」

子ども「うん! そしたら今度は反対側をこうやって折って……」

カレル「……折り紙か。作るのは初めてだな……」




レイヴァン「邪魔するぞ」

ルセア「! レイモンド様!」

レイヴァン「………ほう、こうして見ると本当に院長先生っぽく見えるな」

ルセア「っぽく、じゃなくて本当の院長先生ですから」クスクス



レイ「……チャド、今のうち」タタッ

チャド「おう、ダッシュで逃げるぞ」タタッ



ルセア「レイモンド様、今日はどうしてここに?」

レイヴァン「オスティア侯のおつかいだ。傭兵を便利屋かなにかと勘違いしているようでな」ガサゴソ

ルセア「?」

レイヴァン「受け取れ。お前の功績、20万ゴールドだ」

ルセア「!? う、受け取れません!」

レイヴァン「何を言ってる。功績を受け取ると言ったのはお前だぞ?」





ルゥ「どう? そのお菓子、ボクが作ったんだ!」

ニノ「美味しい! 料理の才能あるよ、ルゥ!」


ルセア「し、しかし、こんな大金……」

レイヴァン「まっとうな対価だと思うぞ? 自分のやったことを思い返せ」

ルセア「……」

レイヴァン「お前の施設にカネがないのは知ってる。お前の身勝手な謙虚でまた施設ごと路頭に迷うつもりか?」

ルセア「わ、分かりました。では、ありがたく頂戴します」

レイヴァン「ああ。それと、これからリキア全土で公共福祉の充実に努めるそうだ。エリミーヌ教だけで孤児院を賄うのは無理だろう?」

ルセア「……何から何まで、ありがとうございます。レイモンド様」

レイヴァン「礼ならオスティア侯に言え。俺は伝えただけだ」

ルセア「ええ。……オスティア侯と、この時代に公共福祉に資金を回すように進言したお節介な傭兵さんに、礼をお伝えください」

レイヴァン「……かなわないな、お前には」



ジャファル「…………できた!」

子ども「すごーい! ジャファルおじちゃん上手!」

カレル「……………くっ」










【リキアの聖者】ルセア

かくして、彼はどんなときでも孤児院の院長であり続けた。
どんなときでも決して譲らず、そして救いの手が伸びてくる彼を、人々は聖者と崇めた。
そんな彼が院長を務める孤児院はいつも笑顔で溢れていたという。







〜fin〜

このSSはここまでです。
登場人物がわんさかいて申し訳ない。
攻略サイト見ながらじゃないと書けなかった。

いつもの人じゃなくて申し訳ない。
前に

エリウッド「ヘクトル! 久しぶりだな!!」
http://ex14.vip2ch.com/i/responce.html?bbs=news4ssnip&dat=1435833998

を書いた方の作者です。
時間があったらまたGBA版FEのSSを書きたいです。

あ、イドゥンどうしたってツッコミは胸の中にしまっておいてください……

毎回設定ガバガバで申し訳ありません……

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