【アイマス】一方通行「アイドルをプロデュースだァ?」【禁書】 (589)

一方通行「アイドルをプロデュースだァ?」

土御門「あぁ、お前にはこれから765プロでプロデュース活動してもらう」

一方通行「……グループはいつから職業斡旋組織になったンだよ」

海原「えっと、新手の嫌がらせか何かですか土御門」

土御門「えらくマジさ」

一方通行「イかれてンじゃねェのかテメェは?」

土御門「イかれてるとしたら上の奴らだ。直々の命令だからな」

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結標「てゆうかこの人格破綻者にアイドルをプロデュースさせるとか何が目的よ?」

土御門「さぁな、ただ一方通行に向かわせろとしか言われてない」

海原「何故彼なんでしょうね?単純にアイドルをプロデュースさせたいなら僕の方が適任だと思いますが……」

一方通行「やっすい挑発だなァ!ショタコンにストーカーがよォッ!!」

土御門「言っとくが拒否権は無いぞ、これは正式な命令だからな」

一方通行「チッ、つーかよォ学園都市にアイドルとか存在すンのか?それっぽいのなんてオリジナルくらいだろ?」

海原「ぽいではなく御坂さんはアイドルですよ一方通行さん」

一方通行「テメェの中でだけだろ死ね」

土御門「あぁ、その事なんだが一方通行には学園都市の外に出てもらう」

海原「マジですかお前が死ね」

結標「そんなの良く罷り通ったわねというか全員死ね」

土御門「俺は関係無いだろ」

土御門「まぁ、そういう事で明日からお前は暗部から仮釈放だ。休暇だと思って楽しんでこい」

一方通行「…………」

結標「まぁ、このロリコンがアイドルの子と接しても楽しめるとは思わないけどね」プククッ

一方通行「ハッ!なンだァそりゃァ?今の笑い声かァ?きっめェなァッ!!」

結標「ア、アンタにだけは言われたくないわよッ!!」

土御門「受け取れ一方通行」ヒョイ

一方通行「チョーカーか?」パシッ

土御門「アイドルをサポートするのに杖では不便だろうと、上からの支給品だ。それがあれば杖無しでも行動できるし活動限界も無い」

海原「暗部にしては随分太っ腹じゃないですか」

一方通行「上の奴らは馬鹿か?俺が自分達に叛旗を翻すとは思わねェのかよ」

土御門「ちゃんと考えてるさ、それを付けてる時はお前の演算能力が半減する」

一方通行「なるほどねェ……で、なンでわざわざ半減に留めてるンだよ?全部失くしちまえばいいじゃねェか」

結標「それ本気で言ってる?能力の無いあなたなんてただのパンキッシュもやしよ?」

土御門「まぁ、そういう事だな。これは完全にご厚意というやつさ」

海原「半減でも充分化け物ですけどね」

一方通行「チッ、くっだらねェ……」

土御門「分かったらさっさと支度しろ」

一方通行「へィへィ」ハァ-ッ

海原「あの、最後に言いですか?何でこの件を伝えるのに僕と結標さんまで呼ばれたんですか、関係ないですよね?」

土御門「想像してみろ、このカニバリズムもやしウルトラマン野郎がアイドルのプロデュースをするんだぞ?俺たちにとって愉快なニュースだと思ってな」

海原「どんな顔で営業するつもりなんでしょうねw」

結標「くっwwwちょっとw笑っちゃ可哀想じゃないww」

一方通行「お前らホンット良い性格してるよなァ挽き肉にしてやりてェよ……」

土御門「まぁまぁ、ある程度の情報はお互いに共有するものだろ」

海原「それにこう見えて結構心配してるんですよ?」

結人「そうね、だって私達……」

土結海「仲間だもんげwwwwwwwwwwww!!!」

一方通行「オレがいねェ間に守りたかったモノを失った後死ね」

ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜東京〜〜〜


一方通行「ここか……」

一方通行(ボッロい雑居ビルだなァ、看板らしいのとかガムテープじゃねェか…)

一方通行(つーかいきなり来たけど話は通ってンだろうなァ?)

一方通行「まぁ取り敢えず入ってみるか」ガチャ

一方通行(中も外見通りじゃねェか、本当にアイドル事務所なんだろうなァ)キョロキョロ

小鳥「あの〜どちら様でしょうか?」

一方通行「あン?」

小鳥(いやんッ!かなりのイケメンねえ……性別がどっちかわからない、けどそこがイイわ!!)

一方通行「……おめェこそ誰だよ?」ギロッ

小鳥(新しくスカウトしたアイドルの子かしら?その鋭い眼光もグッドよ!)

小鳥「あ、私765プロの事務員の音無小鳥です」ニコッ

一方通行「アクセラレータ」ムスッ

小鳥「えっ?」

一方通行「チッ、オレの名前だよッ!そう呼ンでくれりゃあいい」

小鳥(まさかのオレッ娘キター!それにしても変わった名前ねえ)

小鳥「ア、アクセラレータちゃんね、分かったわ」

一方通行「あァ?ちゃンだァ!?」

ガチャッ

高木「おぉ!来てくれたかね一方通行君!」

小鳥「あ、社長〜おかえりなさい!」

一方通行「」

一方通行(社長くッッッッッろ!!!!!!)

高木「いや〜待ってたよ一方通行君!」

一方通行「…………」

一方通行(なンでコイツこンな黒いンだよ……顔とかわかンねェじゃねェか)

小鳥「あの〜社長、この子は新しいアイドルですか?」

高木「ん?ハハハッ、違うよ音無君!この子は我が社待望のプロデューサーさ!!」

小鳥「えぇ〜〜っ!!!けどこの子まだ未成年ですよね!?」

高木「ん〜どうだろうねえ、私も実は彼の詳しいプロフィールは知らないんだ」

小鳥「なんで知らない子を雇ったんですかぁ〜!!」

高木「いや〜、私の友人の紹介でね?プロデューサーが居ないと言ったら彼はどうか、と顔写真を送ってきたんだよ。その写真を見てピン!と来てねぇ」

小鳥「またそれですか……というか、え?彼なんですか?彼女じゃないんですか?!」

高木「ハハハッその点についても彼に聞いてみようじゃないか」



一方通行「……その前によォ、アンタにオレを紹介したって腐れ野郎は何処のどいつだ?」

高木「なんだ、直接知らされてきたわけじゃなかったのかい?紹介してくれた友人の名はアレイスターだが」

一方通行(予想はしてたが……チッあの野郎何考えてやがるッ!?)ギリッッ

一方通行「でェ?アレイスターと友人とほざきやがるてめェは何者だよ、どういう関係だ?」

高木「私はただの芸能プロダクションの社長高木順二朗だよ一方通行君、そしてアレイスターとは……メル友だ」

一方通行「は?」

高木「メル友だ」

小鳥(社長メル友とかいるんだ……私はいないけど)

高木「さぁ君の疑問には答えた。次はこちらの番だ一方通行君」

一方通行「……名前は、覚えてねェ。だからさっきそこの女にも言ったが一方通行でいい」

高木「ふむ」

小鳥(厨二病ってやつかしら?)

一方通行「見た目は……見りゃわかンだろ男だ、一応な。年齢はアー、確か15、6だったかァ?家族はいねェ。今までは学園都市に住ンでた」

小鳥(プロフィールが曖昧過ぎる……というか学園都市って学生は自由に行き来できる場所じゃないわよね?)

高木「なるほど、良く分かったよ」

小鳥「えぇ!?今ので分かったんですか!?というか16歳ですよ!?法律的にプロデュース活動なんて出来ませんよ!!」



高木「アレイスターがそこは不自由なく出来るようにすると言っていたからきっと大丈夫さ!」

小鳥「……そのアレイスターさんというのは何者なんですか〜!?」

一方通行「糞みてェな権力者だ、しかも並じゃねェ……アイツが行動に移した以上オレにもてめェらにも拒否権なンざ存在しねェのさ」

高木「そういうことさ。それに音無君!彼の目を見たまえ!実際に目と目で話してみて分かったが彼ならきっと立派なプロデューサーに成れると確信したよ!ははははは!!」

一方通行(えっえ?!いつ目と目が合ったンだよッ!つーか目ェどこだよコイツ黒過ぎて怖ェよ!!…………帰りてェ)

小鳥「はぁーそうですねぇ」

小鳥(まぁイケメンで若いし、しかも学園都市ってことは将来エリートよね?納得しない理由なんてないでしょ小鳥!!)

小鳥「けど、あの子たちが納得してくれるでしょうか?」

一方通行(この人あンまオレの事歓迎してねェのかなァ……まァそりゃそォだよなァ)

高木「う〜ん、それは一方通行君次第だろうねぇ。時に一方通行君!!」

一方通行「あン?」

高木「これから君と私は一応は上司と部下だ」

一方通行「?……あァ」

高木「二人っきりの時は今のままで良いが、アイドルの子たちの前では敬語を使ってくれたまえ」

一方通行「そりゃまたなンで?」

高木「何故ってそっちの方が社長と部下っぽいだろう!?」

一方通行「……はァ」



小鳥(社長にとって初めての男の部下だものね……ひけらかしたいのかしら)

小鳥「あ!でも私にはいつでもタメ口でいいからね一方通行君!」

一方通行「……ありがとうございます音無さン」

一方通行(どーせ逃げれないンだしこれ以上嫌われないようにしとこ……)

小鳥「ピヨッ!なんでぇ!?」

一方通行「そンでェ社長?アイドルをプロデュースって具体的にどォすりゃ良いんだァ?」

高木「あぁ、音無君。彼に例のものを」

小鳥「はい社長!」シュタッ、スッ

一方通行「これは?」ペラ...ペラ...

小鳥「はい!それはいつプロデューサーさんが来ても良いように用意しておいたマニュアル、小鳥’Sマニュアルです」

一方通行「ふゥン……」パラパラパラ

一方通行(うわァ、これオレが色ンな奴に頭下げなきゃいけねェって事だよなァ?しかもアイドルのメンタル面のフォローとか知らねェよ面倒臭ェ……)パラパラパラパラパラ

小鳥(あぁっ!あんなに頑張って作ったのに流し読みされてる……もしかして分かりにくかったかなぁ)ショボ-ン

一方通行「分かった全部覚えた」

高木「流石、アイツの紹介だけあって優秀だねキミィ!!」



小鳥「私の説明が分かりにくかったんじゃなかったの!?」

一方通行「あ、あァ……別に普通に分かりやすかったけど」

一方通行(つゥかオレが分からないレベルの文書とか存在しねェと思うがなァ)

小鳥「良かったわあ」パァァ

一方通行「現状を把握しときたいンだけどよォ、オレは誰をどこまでプロデュースしてそのアイドルは今アイドルランク何ランクなんだ?」

高木「誰、というより全員だね」

一方通行「全員だァ!?この事務所には何人のアイドルがいンだよ?」

高木「12人だ。この12人のアイドルをAクラスのトップアイドルにしてもらいたい!ちなみに殆どの子が現在Eランクだ」

一方通行(……何が休暇だ土御門の野郎ォ!!何年帰れねェと思ってやがるッ!!)

一方通行「才能ねェンじゃねェのそいつら?」

高木「いいや、彼女達はダイヤの原石さ、それも特大のね。そこは私が保証する」

一方通行「じゃあなンでEランクなンだよ……」

小鳥「それはプロデューサーがいなかったから今まで彼女達のセルフプロデュースに任せてたからなのよ……」



一方通行「セルフプロデュース……どンだけ終わってンだよこの事務所は…………」

高木「ハハッ」

小鳥「早速アイドルの子達を紹介してあげたいところなんだけど、もう全員帰っちゃってるのよねえ」

高木「あぁ、だから君に本格的に動いてもらうのは明日からになる」

一方通行「……そォか」

高木「まぁ、もちろん君一人に全てを背負わせたりはしない!何か助けて欲しい事があったらいつでも言ってきたまえ!!私達はもう仲間なのだから!!」

小鳥「良い事おっしゃいますね社長!!私ももちろん助けるから、一緒に頑張ろうね一方通行君」ニコッ

一方通行(マジで始まっちまうのか、プロデュース活動……)

高木「さ、今日は説明ばかりで疲れたろう。もう帰っていいから明日に備えてゆっくり休みなさい」

一方通行「あァ、そうすッ………」

一方通行(どこに帰ンだよオレ……)



一方通行「……あのォ〜社長ォ、ちょっと助けてもらいたい事があるンですがねェ〜」

高木「!早速かいキミィ!!一方通行君は可愛いなぁ!」

小鳥(やっぱり社長男の部下が嬉しいのね)

カクカクシカジカ

高木「ふ〜む、どうしたものかなぁ。本来なら会社が用意した社宅に住んで貰うとこだが知っての通りウチは弱小プロダクションだからねえ」

小鳥(!これはチャンスよ小鳥!!)

小鳥「あ、なら一方通行君はしばらくの間私のウ「そうだ!!」

高木「社宅が無いのなら会社を家にしてしまえばいい!良いアイディアだとは思わないかね!!」

小鳥「で、でも此処には満足なベッドやお風呂も無いじゃないですか!!その点私のウチな「かまわねェっスよ音無さン」

一方通行「屋根があンならオレは大丈夫だァ社長。幸いここにはソファーもあるし、風呂も探せばあンだろ」

一方通行(風呂行くの面倒臭かったら能力使えばいいしなァ)



小鳥「…………」

高木「そう言ってくれるかい!!この事務所にあるものは好きに使ってくれて構わないからね」

一方通行「あァ」

高木「では私たちは今日の所はもう帰るよ、そうだ!これからご飯でも食べに行くかい?もちろん私の奢りだ!!」

一方通行「いや、悪ィけどよしとくわ」

高木「そうか残念だ……では日を改めてだな!行こう音無君、ではな一方通行君!!」

小鳥「マタアシタ」

一方通行「お疲れ様でした音無さン」

バタンッ

一方通行「……変わった社長だなァ」

一方通行(そういやこの会社何時始業なンだ……?)

一方通行(……いいや面倒臭ェ、もう寝ちまおう腹も減ってねェし)バスッ

一方通行(中々寝心地良いソファじゃねェか)



一方通行(……プロデューサーとかオレに勤まンのかなァ?アイドルってオレと同世代の女だろォ?思春期とかうぜェンだろォなァ……)ゴロン

一方通行(……やべェ、本気で嫌になってきた……打ち止め元気にしてっかなァ?まァ黄泉川達のとこだから大丈夫か。大丈夫なのか?)ゴロン

一方通行(アイツが作れる料理炊飯器を用いたものだけになンじゃねェのかww…………………………………………一緒に頑張ろうね一方通行君、か……現実逃避してる場合じゃねェ。頑張ろう……)スヤァ

〜〜〜翌日〜〜〜






パシャッ!パシャッ!...フヒッ!パシャッ

一方通行(あァン?なンだァこの音は?つゥかもう朝かァ?)ユラァ

一方通行「音無さン?」

小鳥「ひゃッ!!ア、一方通行君起きてたの!?」ササッ

一方通行(いきなり話かけたらビビるよなァ)

一方通行「あァ〜すンませン今起きたトコです。驚かせちゃいましたねェ」

小鳥「い、良いのよそんな事全然気にしなくて!!」ダラダラ



一方通行「つゥか音無さン事務所来ンの早くないスか?まだ7時ですよ」トケイチラッ

一方(それともこの事務所こンぐらいが始業時間なのかァ?……社長黒いしなァ)

小鳥「えっ!?あ〜いやぁ〜」ダラダラ

小鳥(い、言えないわ!早い時間に事務所に来て一方通行君の寝顔を盗撮してそれを使って良からぬ事をしようとしてたなんて絶対言えない!!)

小鳥(落ち着いて小鳥!あなたにはこんな事もあろうかと用意しておいた保険があるじゃない!!)

小鳥「ア、一方通行君が多分朝ご飯とかまで買ってないだろうと思って色々買ってきたのよお〜、もしかして余計なお世話だったかな」ニ.ニコッ!

一方通行「あ、ありがとうございます!」ジ-ン

一方通行(なンて良い人なンだ音無さン……不安だった時に久しぶりに人に優しくされたから余計心にきやがるッ!)プルプル

小鳥(ごまかせたかな?もうひと押しよ!)



小鳥「あとコレ、社長からよ!」スッ

一方通行「……金じゃないスか」ビラ

小鳥「給料が出るまでこれで凌いでくれ、って。あ、心配しないでそれはお給料の前借りとかじゃなくて単純に社長のご厚意だから!」

一方通行(ッンとにこの人らはよォ!)

一方通行「……ありがとうございます、オレ…社長と音無さンの役に立ちますから」

小鳥(か、間一髪だったわね。明日からはもっと気をつけよう)

小鳥「そうそう、社長から伝言も預かってるんだけど……今日は11時ぐらいまで事務所の外にいて欲しいそうよ?」

一方通行「外ッスか」

小鳥「えぇ、一方通行君にはウチの子達のサプライズとして登場してほしいみたい。どうかしら?」

一方通行「はァ……別に社長の頼みなら断る気ねェスけど」

小鳥「分かったわ、社長にも伝えとくわね……そうだ!お金も貰った事だし生活必需品でも揃えてきたらどうかしら!!一方通行君さえ良かったら私も付き合うわよっ!?」

一方通行「や、オレ1人でいいッス。音無さンは休ンでて下さい」

小鳥(ふ、振られたわ〜)オロロ

一方通行(これ以上この人達に世話を焼かせるわけにはいかねェ……)



〜〜〜外〜〜〜

一方通行「生活必需品つってもなァ……」

ガヤガヤガヤガヤ

一方通行(大抵コンビニで足りンじゃねェのかァ?)

一方通行(あァ服とか買うかァ。汚れなンて本来なら能力使って消しちまえばいいが、なンで洗濯しないンだとか言われたら面倒だしなァ)

一方通行(そもそも能力について説明すンのがたりィ、それに年頃の女は毎日同じ服の奴とか嫌いな気がする……チッくっだらねェ)

一方通行(社長がくれた金は……あンまり使いたくねェなァ、安い服屋か…安い服屋なンてわかンねェぞ?!殆どカードで済ましてたからなァ……)

一方通行(まてよ?確か前に黄泉川達がユニクロの服が安いとか言って馬鹿みてェに買い込ンでやがったよな?)クカカッ!

一方通行(……オイオイやべェなァあっというまに進展しちまったァ!そうと決まりゃ早速買い出しだ)エッ-イィ☆



〜〜〜ユニクロ〜〜〜

一方通行「さて……」キョロキョロ

一方通行「……!」カチャ

一方通行「………」カチャ

一方通行「………!!」カチャ

一方通行(イイねイイね最っ高だねェ!きっちり服屋やってンじゃン!!三下向けの店だと思ってナメてたぜユニクロくンよォ)

一方通行「これとか特に……」カチャ

土御門『やるよこのアロハ……ッ!!いいから!黙って受け取れ一方通行!!』

結標『クスッ何よその格好?あなたまさかその服格好良いとか思って着てるんじゃないでしょうね?』プッ

海原『おや!一方通行、相変わらず愉快な服装をしていますね。前から聞こうと思っていたんですがあなたには何の罰ゲームが科せられているんですかw?』

打ち止め『えっ、あなたの服装?正直無いかなって……』

打ち止め『あ、でもでもその変テコな服は嫌いだけどあなたの事は大好きだよってミサカはミサカは最高のフォローをしてみたり!!』エヘヘッ

一方通行「……………………」

ご飯食べてくる



一方通行「…………白と黒の無地のものを何着か買おう」

アリガトウゴザイマシタ-!!

〜〜〜外〜〜〜



一方通行「出費は結構抑えられたな」

一方通行(さてどうするか……そこら辺ブラつくかァ?ここなら歩いてても絡まれねェだろうしな)

一方通行「………………」ブラブラ

一方通行(どいつもこいつも平和ボケした面してンなァ。学園都市じゃ考えらンねェ……でもコレが普通なんだよなァ)

「は、離して下さいぃ!!」

一方通行「あァ?」



不良「へへ、良いじゃんかよ暇してんでしょ?」

不良2「そーそー、君遊び馴れて無さそうなトコがいいよねどっか行こうよぉ〜」

雪歩「だ、誰か助けてっ……」

一方通行(裏路地から叫び声したと思ったら……学園都市以外にもあンなゴミみてェのがいンだな)スタスタスタ

不良2「すみませーん!!この子を僕達から助けてくれる親切で勇気のある人いますかー!!」

不良「いるわけねえってw!さて、助けも来ないことが分かったところで……」

雪歩「ひっ……」

一方通行「よォ、シケた遊びでハシャいでンじゃねェぞォ三下ァ?そんな事よりもっと面白い遊びで盛り上がろうぜェ」ケタケタ

雪歩「え……」

不良「あぁ?なんだてめぇ!!」

一方通行「……通りすがりの悪党だ」

不良2「ふざけた事言ってんじゃ…ブハァ!?」

一方通行「あァあァ、つい虫ケラに触わっちまったよォ」アハッギャハッ!



不良2「」ビクビク

不良「お、おい……」

一方通行「おォおォ可哀想にィ、鼻が折れて頬骨が陥没してやがるゥ」ニタニタ

一方通行「でもよォ、これでもコイツは運が良い方なんだぜェ?普通は俺の前に立ったヤツはミンチになるンだからよォッ!」ニヤァッ!

不良「ヒ、ヒィー!!」ダッ

一方通行「……あァ?愉快にケツ振りやがってェ、誘ってンのかァ?」ドンッ!

不良「ガッ!?だ、誰か」

一方通行「助けなンて来ねェよ、てめェら自身がそう言ってたじゃねェか」

不良「あ、うあ、あぁっ!!」ジタバタ

一方通行「引き金はお前らが引いたンだァ……末路も受け取れ」ビキビキゴキバキッ!!

不良「がァああああああッ!!!うぅうっ……」

一方通行「さて……」クルッ

一方通行「立てるか?」

雪歩「は、はいぃっ!」



一方通行「……チッ、ンなにビビンなくてもてめェを取って食ったりしねェよ」

雪歩「あ、違うんです!これはあなただけじゃな「でェ?」

雪歩「え?」

一方通行「なァンでお前みたいな大人しそうな奴がこンなとこいンだよ?」

雪歩「そ、それは友達との待ち合わせに遅れそうで……こ、ここは近道なんですぅ!」

一方通行「ふゥン…まァもうこれに懲りたら二度とこンな怪しげな道は通らないようにすンだな。毎回助けがあるか分かンねェンだからよォ」

雪歩「は、はい、本当にありがとうございました!!」オジギッ!

雪歩「…………」

雪歩「あのぉ〜、」チラ

雪歩「!、居なくなっちゃった…まだ名前も聞いてないのに…………し、少女マンガみたい///」



一方通行(糞がッ!人が折角良い気分の時によォ……)

一方通行(ここから765プロまでそォ距離は無ェ……ここら辺にあァいう輩がいるって分かっただけでも収穫か)

一方通行(小鳥’Sマニュアルにもプロデューサーたるものアイドルを全てのものから守るべしって書いてあったしなァ)

一方通行(まァ……そろそろ時間だし最後にコンビニ行くか)


アリガトウゴザイマシタ-!

ウィーン

一方通行「……」プシュッ

一方通行「……」ゴクゴク

一方通行「ぷはァ!やっぱ缶コーヒーはブラックに限るぜェ」ヴヴヴヴッ

一方通行「ン、……あァ社長かァ、あァ…あァ……分かった、ドアの前で待機だな?すぐむかう」パタンッ

一方通行「さァて、行くとしますかァ……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜765プロ〜〜〜

ガヤガヤガヤ

社長「あーオホンッ、皆すまないがこっちに集まってくれるかい?」

亜美「なになに社長〜」トテテッ

真美「なんか重大発表〜?」トテテッ

伊織「まさかこの事務所潰れるとかじゃないでしょうね?」

響「なっ!?そんなの自分困るぞ」

やよい「えぇ〜!それは私も困るかな〜って」

律子「そんなわけないでしょ?良いから黙って聞いてなさい」

社長「うむ、ありがとう律子君。話というのは他でもない、ついに待望のプロデューサーが来てくれたんだ!」

全員「えぇ〜〜〜〜っ!!!!!!」

律子「やっと、やっと私への負担が……」ウルウル

雪歩「プ、プロデューサーってやっぱり男の人ですよね…」

あずさ「良い人だといいわ〜」

千早「はぁ、やっとですか……」



社長「さぁ、入ってくれたまえ!」

一方通行「!」

一方通行(緊張すンなァ)ガチャ

社長「ささっ、こっちに来て自己紹介を」

一方通行「あァー、今日からお前らのプロデューサーを務める一方通行でェす、よろしくゥ」ペコッ

全員「………………」ポカ-ン

春香(え、本名?)

貴音(面妖な出で立ちをしていますね……)

真(性別はどっちなんだろう?)

美希(真くんに負けず劣らずのイケメンなの)

社長「ど、どうしたんだい皆、ほら拍手拍手〜」パチパチパチ

全員「…………」パチ...パチ...

一方通行(そりゃァ受け入れてもらえねェよな。まァ馴れてンけどな……)

パチパチパチパチ!

一方通行「ん?……」チラ

小鳥「フフッ」パチパチパチ

一方通行(音無さン……)



雪歩「あ、あの!!」

一方通行「あァ?」

雪歩「先程はありがとうごさいました一方通行さん!!」

一方通行「てめェは……」

真「え、じゃあこの人がさっき言ってた雪歩を助けてくれた人!?」

雪歩「うん」

春香(不良みたいだけど良い人なんだなぁ)

一方通行「アイドルだったのかよ」

雪歩「はい、荻原雪歩です。よろしくお願いします」

一方通行「……ッンめェ、アイドルのくせにあンなとこほっつき歩いてンじゃねェ!!自分の体は大事な商売道具って自覚ねェのかァ!!あァ!?イイか!?二度とあンなとこ1人で歩くンじゃねェ!!」

雪歩「ひぃ!ごごごごめんなさいぃ!!」

春香(良い人……?)

一方通行(糞がァ!ゴミ掃除はボチボチやろォと思ってたが今日から徹底的にやるしかねェ)



社長「おや、そんな事があったのかい?やはり君を雇って正解だったよ。さて、皆も一方通行君に色々聞きたいところがあるだろしここで質問タイムといこうか」

律子「はい!」

社長「はい、律子君」

律子「一方通行さんは見たところかなりお若いですが何歳なんですか?」

一方通行「16ゥ」

あずさ「あらあら〜」

律子「16!?アイドル達を仕事先に送れないじゃないですか!!」

雪歩「年下だったんだぁ」

小鳥「その事なんですが、一方通行君これを」

一方通行「免許証?」

社長「生年月日も確認してみたまえ」

一方通行「……あァ、今のは嘘だァ。本当は20歳、車の免許もちゃンとあンぞ」ホレ

全員(えぇ………………)

律子「…………」

社長「まぁまぁ律子君、彼については心配いらないよ。身元も私が保証する」

律子「……まぁ、社長がそう言うなら。ただ、アイドル達が一方通行の車に乗る前に私に彼の運転技術を見定めさせて下さい。もし事故でも起こされたら笑い事じゃすみませんからね」



一方通行「構わねェ」

小鳥「一方通行君、運転できるの?」ボソボソ

一方通行「大丈夫ッす」ボソボソ

一方通行(最悪能力使えばいいしなァ)

亜美「りっちゃんの質問は終わり?」

真美「じゃあ次は真美たちの番ね!」

社長「あぁ、どうぞ」

真美「その髪って染めたの〜?」

亜美「瞳はカラコン〜?」

一方通行「地毛。自前」

亜美「えぇ〜!それだけー?」

真美「それでは質問の回答になってないよキミィ」

一方通行「うっぜェぞ糞ガキども」

亜美「あぁ!?暴言だ暴言!!」

真美「社長ー叱ってー、真美たち心を傷付けられたYO!」

社長「………一方通行、この後社長室に来なさい」

一方通行「!……はィ」

小鳥(社長ニッコニコしてるわねえ、今まで叱るとかなかったものね)



社長「さて、他には」キョロ

真「はい」

社長「はい、菊地君」

真「その……一方通行は男?女?」

小鳥「やっぱり気になるわよねえ」

一方通行「……見てわかンねェか?」

真「わかんないから質問したんじゃないか」

一方通行「男だ」

真「はぁー、やっぱそうだよね」

真(男の人に間違われる苦しみを共有できる人に出会えたと思ったんだけどな)

貴音「よろしいですか?」

社長「四条君」

貴音「質問という訳ではないのですが…………」ズイッ

一方通行「!」ビクッ

貴音「……」ジ-

一方通行「……」

一方通行(顔近ェよ、息が掛かってンだが……)



響「ちょちょっ、貴音〜!いきなりどうしたんさー?」

貴音「……いえ、私の勘違いでした。お気になさらず」スッ

一方通行(なンだァこの女ァ……?)

真美「うひゃー、お姫ちんいきなりチューしちゃうのかと思ったよ〜///」

雪歩「わ、私もです〜///」

伊織「私、いいかしら?」ビッ

社長「水瀬君」

伊織「あんた、見るからに怪しいのよねえ…ちゃんと自分の経歴を一から説明しなさいよ」

一方通行「あァ?経歴っつってもなァ……ンなのどォでも良くねェか?」

一方通行(ボロが出ンのもうぜェしな)

伊織「良くないわよ、言い方変えてあげましょうか?アンタみたいな素性もわかんない奴にプロデュースされたくないって言ってんの!!」

やよい「い、伊織ちゃん…」



一方通行「……小学校以前の記憶はねェがいいか?」

伊織「言ってみなさい」

一方通行(いちいち癪に障るガキだなァ……)

一方通行「つっても経歴らしい経歴は無ェがな。小学校からつい昨日まで学園都市で住ンでた」

伊織「学園都市ですって?」

一方通行「……オレはいわゆるエリートでよォ、学園都市の研究所で色ンな研究に協力してた。この髪やら目やらはその研究の影響だ」

伊織「…………」

一方通行「あァ最終学歴は高校中退で良いのかなァ、クカカッ!まァ、小中高とまともに学校なンてもンには行ってなかったけどなァ」

一方通行「そンでダラダラ生きてたとこをお偉いさんからお呼びが掛かってこの765プロに配属されたって訳だ」

一方通行「……これで良いかよ?」

社長「ちなみに彼を呼んだのは私自身の意思でもある」

伊織「…………」

春香「学園都市出身なの!?良いなぁ、学園都市って言ったら学生の憧れだよね!」

美希「そーいや、クラスメイトが学園都市にどうしても行きたかったとか嘆いてたの」

伊織「馬鹿ねぇ、学園都市はそんなに良い場所じゃないのよ」



一方通行「………外の人間にしちゃあ、よォくご存知じゃねェかデコっぱち」

伊織「誰がデコっぱちよ!!私には水瀬伊織っていうスーパーアイドルに相応しい名前があんのよ!!」

美希「デコちゃんはデコちゃんなのー」

一方通行(水瀬?……水瀬っつったら水瀬財閥だよなァ、どォりで学園都市の実情を知ってる訳だ)

一方通行「それでェ?オレはお前のお眼鏡に叶ったンかよ水瀬伊織」

伊織「叶うわけないでしょっ!だからこのアタシに信用されたきゃアンタの実力で示しなさいよ!!」フンッ

一方通行(一応は認めたってか……ツンデレってやつかァ?だァから年頃のガキは面倒くせェンだよ)

千早「あの」

社長「如月君」

千早「さっきの話からすると、あなたは望んでプロデューサーになったわけではないんですよね?」

一方通行「まァな」

千早「アイドルのプロデュース経験もないんですよね?」

一方通行「あァ」

千早「……そんなあなたにプロデューサーなんて勤まるんですか?」

あずさ「年下の子にプロデュースされるなんて私は嬉しいけど〜」

千早「そういう問題ではないですあずささん」



一方通行「やってもねェうちに出来るなンてのたまうつもりはねェよ」

一方通行「ましてオレは初心者だァ。だから別に今すぐに信用して欲しいなンざ言わねェ、さっきのデコの言う通り自分で勝ち取るからよォ」

一方通行「良い機会だから言っとくが、オレの目標はお前ら全員トップアイドルだ」

千早「全員って……」

雪歩「わ、私なんかじゃ無理ですよぅ〜」

あずさ「私だってみんなより年上だしね〜」

一方通行「無理なンかじゃねェ……オレが可能にしてやる、オレはその為に呼ばれてきたンだ」

亜美「ヒュー!!かっこE!!惚れちゃいそうだぜぇアクセラレータァァあああ!!!」

一方通行「お前それ二度と言うな。トラウマが甦った」

響「自分は別にどこの誰がプロデューサーだろうと気にしないぞ。自分は完璧だからな!」

やよい「うっうー!これから一緒に頑張りましょう一方通行さん!ハイ、タッーチ!」スッ

一方通行「……?」



やよい「うぅ、ハイタッチすると元気が出るんですよー?もう一回行きますよハイ、タッーチ」スッ

一方通行「……」スッペチンッ

やよい「いぇい!!」エヘヘ

一方通行(……可愛いじゃねェか!!)

春香「私の夢もトップアイドルなの、これから一緒に頑張ろうね一方通行?千早ちゃんもいいよね?」

千早「まぁ、私はプロデューサーとしてやる気があるか確認したかっただけだから……」

社長「うむ、質問はこのくらいかな?じゃあ早速いつもの業務に戻ろうか」

小鳥「と言っても殆どの子は仕事無いんですけどね、はは……」

一方通行「あ、じゃあ1人1人と面談していいスか?」

小鳥「?」

一方通行「いやァ、そいつ自身の人となりを知っとかねェとどんな仕事が合ってるか分かンねェかなって……」

社長「それもそうだね、ではどんな順番に……」

律子「あ、なら竜宮の子を先にして貰っていいですか?午後から仕事があるんです」



一方通行「竜宮?」

社長「竜宮小町といって我が社で唯一のCランクのユニットだよ、律子君が企画してね。メンバーは」

亜美「亜美とぉ!」

あずさ「私と」

伊織「私よ」

律子「ちなみにリーダーは伊織よ」

一方通行「なるほどねェ、じゃあ水瀬からこっちのソファ来い」クイクイ

伊織「ちょっとぉ!名字で呼ぶんじゃないわよ」

一方通行「あァ!?デコって呼ぶなっつったり名字で呼ぶなっつったりなンなンでェすかァッ!?」

伊織「名字で呼ばれるの嫌いなのよ……だから特別に伊織ちゃん☆って呼ばしてあげる。光栄に思いなさい」

一方通行(これからやってく奴らだから色々我慢してたけどよォ…好い加減ブチ切れそォだぜェ……)ワナワナ

春香「あ、なら私たちの事も呼び捨てで呼ぶのはどうかな?」

一方通行「あ?」

春香「だって一方通行は私たちと仲良くなりたいんだよね」

一方通行「……信用してくれりゃそれでいい」

春香「同じ事だよ、私たちだって早く仲良くなりたいし!良いよねみんな?」

全員「さんせー!」



春香「はーい、決定しましたー。じゃあよろしくね一方通行っ!」

一方通行「……ケッ」プイ

小鳥(良かったわね、一方通行君)

社長「順二朗か……中々良いじゃないか!!」





〜〜〜来客用ソファ〜〜〜

伊織「面談って何すんのよ?」

一方通行「そォだなァ、ここはベタにアイドルになった理由でも聞いとくかァ?」

伊織「そうねえ、私がアイドルになった理由は家族を、特に兄様たちに私を認めてもらう為よ!私は水瀬の力を借りずに立派になるの…ならなきゃいけないのよ……」

一方通行「……なるほどねェ」

伊織「笑わないの?」

一方通行「笑わねェだろ……まァ世界平和目指してるとか言われたら笑っちまうかもしンねェが」

伊織「ふ〜ん」

一方通行「会った時から気になってたンだけどよォ、その大事に抱えてるぬいぐるみはなンだ?」



伊織「シャルル・ドナテルロ18世よ。私の大事な宝物なの」ナデナデ

一方通行「厳つい名前してンのな」

伊織「そういえばアンタ身体のカラーリングがウサギそのものじゃない。撫で撫でしてあげましょうか?にひひっ」

一方通行「ハッ、言われ慣れ過ぎて挑発にもなンねェよ」

一方通行「……お前やりたくねェ仕事とかあンのか?」

伊織「何よソレ、やりたい仕事じゃなくて?」

一方通行「やりてェ仕事ができねェより、やりたくねェ仕事が続いた方が精神的にキツイだろ」

伊織「さぁね、それは人によるんじゃないかしら?まぁでもやりたくない仕事なんてないわよ。プロである以上なんだってやってみせるわ」

一方通行「そりゃ安心だ」

伊織「伊織ちゃんはスーパーアイドルになるんだから当然でしょ!ま、竜宮もまだまだ忙しいしアンタにプロデュースされるのは先の事でしょうけどね」

一方通行「良い事じゃねェか……面談はこンなとこだな」

伊織「あら、もう終わり?なんだか拍子抜けね」

一方通行「元々そンなに時間割く気は無かったからなァ……あァそうだ」スッ

一方通行(ついでにコイツらの健康状態も調べてやるか)



伊織「な、何よ?」

一方通行「何って握手だよ…これからよろしく頼むわ伊織」

伊織「ア、アンタ意外に熱血!?しょうがないわね!はい、これでいいんでしょっ!?」ギュッ

一方通行(うン、異常無し)

一方通行「おォ、次の奴連れてきてくれ」

一方通行(水瀬伊織か、最初は糞生意気なガキだと思ってたが、ありゃあワザとでけェ態度取る事によって自分追い込ンでンだなァ)

一方通行(仲間内にもキツイ口調だったが、今にして思えばあいつ、オレが怒鳴った時周りの奴らがビビってねェかちょくちょく伺ってやがった)

一方通行(自分に対して要求するものが高くて仲間思い。仕事は選り好みしねェし上昇志向も半端じゃねェ……なるほどォ?リーダーつゥのも納得だ)

ドタドタドタ!!

亜美「はいはーい!妹の双海亜美どぇーっす!!」

真美「姉の双海真美でーっす!!」

亜美真美「「2人揃って亜美真美でーす!!」」

一方通行「…………」



亜美「あれれ〜まさかのノーリアクション?」

真美「反応悪いよー兄ちゃん!」

一方通行「その兄ちゃンてのはなンだよ…?」

真美「だってこれから一緒にいるんでしょ」

亜美「じゃあ兄ちゃんは兄ちゃんじゃん!!」

一方通行「……交互に喋んなうざってェ、どこぞのクローンを思い出してくる」

一方通行「とりあえず真美、失せろ」ポイ

真美「うわわっ!!…もう〜レディはもっと丁寧に扱わなきゃダメじゃん兄ちゃん!って真美がどっちで亜美がどっちかもう分かるの!?」

一方通行「髪型で判断してるだけだ、流石に髪下ろされたら分かンねェよ。まだな」

亜美「んっふっふ〜、これは良い事を聞きましたなぁ真美隊員」カミホドキ

真美「そうですなぁ亜美隊員」カミホドキ

一方通行「なンのつもりだァ?」

亜美真美「ソレッ」グルグルグルグル

一方通行「…………」

亜美真美「「ハイッ!どっちが亜美ちゃんでしょうか!?」」ハァハァ



一方通行「イヤ、髪の長さ違ェから意味ねェだろォがよ」

亜美「うあうあ〜!ちまった〜!!」

真美「む〜兄ちゃんナイスツッコミだねぃ!」

一方通行「もォいいか?後つかえてンだからさっさとやるぞ」

亜美「じゃあもう亜美と真美の2人いっぺんにやっちゃう!?」

真美「そしたら時間削減だよ〜!」

一方通行「……てめェらの思考が完全に一緒ならそれで構わねェが違ェだろ?分かったら真美は呼ばれるまで大人しくしてろ」

真美「……はーい」テクテク

一方通行「チッ、無駄な時間食っちまった。さて、余計な事はせず聞かれた事にただ粛々と答えやがれ亜美」

亜美「なッ!?この場には表現の自由も無いというのかぁ!!」

一方通行「…………アイドルになった理由は?」

亜美「そんなの面白そーだからに決まってるっしょ!!」

一方通行「面白そォか、実際どォなンだァ?お前はこの事務所でも数少ねェ、アイドルらしい活動してるアイドルの1人だ」

亜美「そりゃ〜面白いよ〜。りっちゃんは怖いけど竜宮でテレビ出たり歌唄ったり」

一方通行「へェ、律子ってあの眼鏡だろ?確かにうるさそォだな」

亜美「うるさいなんてもんじゃないよチミィ!ありゃ鬼軍曹の名が相応しいね」



一方通行「やりたくねェ仕事は?なンかあるか」

亜美「う〜ん、やりたい仕事なら一杯あるんだけどなぁ……あ!真面目な雰囲気なのはちょっと勘弁かなぁテレビでまで勉強なんてしたくないよぉ」

一方通行「わかった。頭に入れとく……面談は終わりだ、これからよろしくな亜美」スッ

亜美「うん!楽しくやろうね兄ちゃん!!」ギュッ

一方通行(双海亜美、まだまだ悪戯盛りって感じかァ?つっても中坊だからなァ……家も放任なンだろう。伸び伸び育てられてンだな)

一方通行(それと物怖じしねェメンタルもありそォだ、礼儀がうるさくねェとこじゃなきゃ何処に出しても平気だろォな)

一方通行(やる気もあるみてェだし……ただ、アイツ見てっとクソガキ思い出しちまうンだよなァ)

あずさ「失礼します〜」

一方通行「どォぞォ」

あずさ「三浦あずさです。よろしくね一方通行ちゃん」

一方通行「…………」

あずさ「あらあら?もしかして嫌だったかしら?」

一方通行「……や、もう何でもいいスよあずささン」

あずさ「あら〜、呼び捨てにしてくれるんじゃなかったの〜?」

一方通行「ちゃん付けやめンならそれでもいいがなァ」



あずさ「んー、考えとくわ」

一方通行「まァ、お好きにどォぞ……さて早速だがアイドルになった理由は?」

あずさ「運命の人に探してもらう為よ」

一方通行「う、運命ィ?」

あずさ「そう。おかしいかしらね、この年になってもそんなの信じてるなんて」

一方通行「べっつにィ?…そォいうのは他人が笑う筋合いはねェだろ……つゥかさっきも年齢気にしてたみてェだけどなンで?」

あずさ「なんでって……アイドルで21よ?それにまだCランクだし〜、Aランクになる頃には何歳なのかしら?」ハァ

一方通行「心配いらねェ、20代後半でもそこらのアイドルより綺麗な女を2人知ってる。それに見た目が良けりゃ年齢なンて関係ねェんじゃねェか?」

あずさ「そ、そうかしら?」

一方通行「そォだろ、アイドルランクだってCランクなンてすぐに脱却させてやるよ」

あずさ「カッコいいわね一方通行ちゃん。じゃあお姉さん期待しよかなぁ」フフッ

一方通行「ちなみになンかやりたくねェ仕事とかあるか?」

あずさ「ん〜そうねぇ、選り好み出来る立場じゃないっていうのは分かってるんだけど露骨なお色気路線はちょっと……」



一方通行(せっかく良いスタイルしてンのに持ったいねェ……そォいや黄泉川も胸への視線に時々うンざりするとかボヤいてたっけかァ?)

一方通行(あずささンおっとりしてるし、セクハラまがいの事やられて来たンだろォな……絶対にやめてあげよう)

一方通行「わかった、あずささンにその仕事は入れないようにする。面接は以上でェす」

あずさ「ふふっありがとね。竜宮小町は私で終わりだけど次は誰を呼ぶ?」

一方通行「律子を呼ンできてくれ」

あずさ「律子さん?わかったわ」

一方通行「これからよろしく、あずささン」スッ

あずさ「あらあら〜、私がオバちゃんになる前にプロデュースしてね一方通行ちゃん!」ギュウ

一方通行(…………ちょっと身長にしては太り気味か?いや、でけェの2つぶら下げてンだからそりゃそォか)

一方通行(三浦あずさ……いきなりちゃン呼びとはなァ。性格はおっとりで雰囲気もふわふわしてやがるいわゆる癒し系だなァ……だから竜宮小町に呼ばれたのか?)

一方通行(他のメンバーがあの2人だしなァ。年長者としての自覚もあるみてェだし、静かなムードメーカーになってくれそォだな)

一方通行(つゥか、トップアイドルになる前に運命の人とやらが見つかっちまったらどォする気なんだァ?…………まァまた機会があったら聞いてみっか)



律子「あずささんに呼ばれたんだけど、どうかした?一方通行」

一方通行「どォかしたも何も面談だ」

律子「えぇ!?私にもするの?」

一方通行「するだろ」

律子「けど、みんなにはアイドルになった理由とか聞いてるんでしょ?」

一方通行「おォ」

律子「じゃあ私には何聞くつもりなのよ」

一方通行「そォだなァ…プロデュース方針とかかァ?知ってた方が色々やりやすい事もあンだろしなァ」

律子「プロデュース方針……そうねぇ、やっぱり効率重視よ。ガンガン売り込まなきゃこの事務所潰れちゃうしね」

一方通行「…………そォか。ちなみに竜宮小町でなンで真美じゃなくて亜美の方を選ンだンだ?」

律子「何でって、あの2人双子だけど亜美の方が芸歴がちょっと長いのよ。だから単純にメンバーを選出する時点で真美より亜美の方が技術があったし」

律子「何より亜美の天真爛漫さが竜宮小町には不可欠って思ったから……かしらね」



一方通行「なるほどねェ……効率重視とか言うもンだから、アイドルの事をぞんざいに扱う奴だと思っちまったぜェ」

律子「あはは、流石にそこまで魂売ってないわよ。効率も大切だけど何より大事なのはアイドルだし……私の方こそ安心したわ」

一方通行「?」

律子「一方通行がアイドル達を大切にしようとしてるのが分かったから。アンタ言っとくけど第一印象最悪よ?最初来た時どこの不良かしらと思ったわ」

一方通行「ハッ、言うじゃねェか」

律子「で、アンタのプロデュース方針は?私だけ聞かれるのも何だか釈じゃない」

一方通行「正直なところまだ決まってねェ……まァまずはこの事務所の奴ら全員から信用を得ねェとなァ。じゃねェとプロデュースどころじゃねェよ」

律子「確かにそうねぇ……ま、竜宮の子たちの様子を見る限りそれも時間の問題じゃないかしら」

一方通行「あァ?」

律子「結構好感触の様だったわよ?伊織なんて結構人の好き嫌い激しいのに……まぁアンタもかなり激しそうに見えるけど」

一方通行「流石プロデューサー殿、見る目あンじゃねェか」アハギャハッ



一方通行「ッとォ、今更だがオレはアンタに敬語使った方がいいのかァ?先輩で年上だろ?」

律子「い、意外にそういうの気にするのね。別にいいわ、何だかムズッかゆいしね」

一方通行「そォか、これからよろしく頼む律子」スッ

律子「えぇ、よろしくね一方通行!」ギュ

律子「そうだ、次呼ぶ順番どうするの?」

一方通行「あァー、年下からで。うるさそォだし」

律子「わかったわ」

一方通行(秋月律子か……まだ成人してねェのにしっかりしてンなァ、しかもオレ来る前は1人でプロデューサーやってたってンだから凄ェよな)

一方通行(同僚になるわけだし年頃の女の扱いとかプロデュースに行き詰まったら相談してみっかァ)

一方通行(つゥかアイツ、アイドルはやンねェのか?行けると思うがなァ……まァそれを言ったら音無さンもか)

真美「やっと真美の番〜?遅いよ兄ちゃん!」



一方通行「やっぱおめェが最年少か」

真美「ブッブー、最年少は亜美の方だよ」

一方通行「数秒の差だろォが」

真美「重量な事だよ!」

一方通行「重要って言いてェのかァ?で、おめェがアイドルになった理由はなンだ」

真美「ん〜、亜美がやっててめっちゃ面白そうだったから?」

一方通行「ふゥン」

真美「うあうあ〜、反応薄過ぎるよ兄ちゃん!」

一方通行「予想してたからなァ」

真美「それじゃつまんないから兄ちゃんにだけもっと詳しく教えてあげるよ」

一方通行「はい、どォぞォ……」

真美「最初はね、双海亜美っていう芸名で亜美と真美が入れ替わりながらやってたんだよ?」

一方通行「は?」

真美「そんでやってる内に何だかなぁって。だって真美が頑張ってもぜ〜んぶ亜美が褒められてることになるっしょ?」

一方通行「そりゃあなァ」



真美「だから双海真美として業界激震のデビューを飾る事になったんだよ」

一方通行「にしても、よくバレなかったなァ」

真美「そん時は髪の長さ一緒だったしね!あ、でもお姫ちんには最初っからバレてたよ〜。あ、お姫ちんってのはさっき兄ちゃんにめっちゃ近寄った人だよ」

一方通行「あァ、あの銀髪か……やるじゃねェか。お前らが知らねェだけで癖とかあンじゃねェの?」

真美「それはないよ!亜美も真美もそういうのにはめっちゃ気を付けてたもん!」

一方通行「へェ……じゃあ次に移るがやりたくねェ仕事とかあるか?」

真美「やりたくない仕事ぉ〜?うーん……亜美の代わりの仕事とかはやりたくないかな」

一方通行「一応聞くがなンでだ?」

真美「だって、亜美と違う真美になりたかったのに、双子ってだけで亜美の代わりさせられたら意味ないじゃん!」

一方通行「だな。そォいう場合があったら気を付けとく」

一方通行「面談はこれで終了だ、よろしくな真美」スッ

真美「うん、かっちょよくプロデュースしてよね兄ちゃん!」ギュ



一方通行(双海真美、2人で出てきた時と随分印象が違ったなァ。今にして思えば一番最初に吹っ掛けてくンのは全部亜美の方だったかァ?)

一方通行(一緒くたにされたくねェか……真美の方が多分繊細なンだな。姉ちゃンなンだし色々あったンだろう)

一方通行(亜美は分かンねェが真美は結構亜美を意識してる、となると竜宮小町の件は堪えてンじゃねェか?……さっさと有名にさせてやンなきゃなァ)

やよい「失礼しまーっす」

一方通行「あァ、ハイタッチの」

やよい「はい、高槻やよいです!よろしくお願いします一方通行さん」ガル-ン

一方通行「おォ、早速だけどよォ……やよいがアイドルを目指した理由はなンなンだ?」

やよい「それは……私の家は貧乏ですし大家族なので私がお金を稼ぎたいんです」

一方通行「……親はいねェのか?」

やよい「2人ともいますよ!ただ、お父さんのお仕事の収入が安定しないんです。だからお母さんもパートをしているんです」

一方通行「そォか……大変だな」



やよい「確かに大変ですけど、長女の私が頑張らなきゃなーって」

一方通行「偉いじゃねェか。やりたくねェ仕事とかはあるか」

やよい「そうですねー、高い場所に登るのとかはちょっと苦手かもです。あ、それと出来れば日中以外のお仕事は……」

一方通行「ン?」

やよい「弟たちに夜ご飯作ってあげなきゃなので」

一方通行「あァ、わかった覚えとく」

一方通行「これからガンガン金稼ごうなやよい」スッ

やよい「はい!頑張っていきましょー!」ムギュウ

一方通行(栄養が不足気味みてェだな……糞が!!絶対ェ腹一杯食えるようにしてやるからな)

一方通行(高槻やよい、すげェ明るい奴だなァ。しかもあの年で家事全般こなしてやがる。メンタル面も相当強いンじゃねェか)

一方通行(しかもコイツなンかスッと人の心の中に入ってくンだよなァ……それが全然嫌に思わねェってのも立派な才能だよなァ)

一方通行(やよいは性別年齢問わず支持されるアイドルになりそォだ)

響「はいさーい!自分の名前は我那覇響だぞ!」ビョンッ

一方通行「おォ、取り敢えず座れよ」



一方通行「えー、響がアイドルになった理由はなンだ?」

響「そりゃあ家族にご飯を食わせる為だぞ。それと実家への仕送り」

一方通行「…………響も貧乏なのか?」

響「ん?あぁ、自分には家族が多いんだ。ハム蔵!」

ハム蔵「ぎゅい、ぎゅいぎゅっぎゅ!」ヒョコ

一方通行「……なンだそりゃあ」

響「見ての通りハムスターだ。ウチに帰ればまだまだいるぞ」

一方通行「ハムスターが?」

響「ううん、いぬ美だろ、へび香だろ、ねこ吉ワニ子ブタ太モモ次「だァもういい!」

一方通行「お前が動物好きって事はわかった。響はやりたくねェ仕事はあるか?」

響「やりたくない仕事……別にないぞ、自分完璧だからな!」

一方通行「そりゃあいい」

響「む、だからって変な仕事ばっか取ってこないでよー?」

一方通行「…………」



響「うぎゃー!なんでそこで沈黙するんだー!」

一方通行「冗談だァ、ちゃンとわかってる」

一方通行「面談はこれで終わりだ。まァ、これからよろしくな響」ス

響「あぁ、よろし」スッ

一方通行「……w」ヒョイッ

響「…………」

一方通行「…………」

響「…………」

一方通行「出来心だ、そんな怒ンなよホラ」ギュ

響「……よろしく」ムスッ

一方通行「おォ、よろしくなァ」

一方通行(おォ、超優良健康児って奴かァ?……身長はこの年にしては小さいみてェだけど)

一方通行(我那覇響、やよいとはまた系統が違う明かるさを持ってる奴だなァ。完璧って自称するだけあって筋肉の状態がかなりいいし、ダンスとか上手いンじゃねェか?)

一方通行(動物好きみてェだし、そういう系のロケとか受けさせるといいかもなァ。響も全年齢層向けだよな)

一方通行(なンつゥか、アイツ見てるとイジりたくなンだよなァ)



美希「入るよー?」

一方通行「おォ」

美希「美希の名前は星井美希なの。よろしくね。じゃ」クルッ

一方通行「待てコラ面談になってねェンだよそれじゃあ」ガシ

美希「えー、ミキはもう眠くて眠くて仕方ないの……あふぅ」

一方通行「10分も掛かンねェから寝ンな」

一方通行「おめェがアイドルになった理由は?」

美希「んー、アイドルって何だかキラキラしてるからかな。だからミキもアイドルになってキラキラしたいなって思ったの」

一方通行「なるほどねェ。何かやりたくねェ仕事があったら教えてくれ」

美希「ミキ、疲れる仕事はやりたくないかな」

一方通行「……は?」

美希「ミキは〜、頑張らないでアイドルになりたいの」

一方通行「…………冗談のつもりか?」

美希「ううん、真剣だよ?」キョトン

美希「ねぇねぇ、そんなことより一方通行ってかなりイケメンなの。アイドル事務所のプロデューサーなんて彼女怒っちゃわない?」



一方通行「ンなもンいねェよ」

美希「えぇいないの!?じゃあもしかして一方通行ゲイ!?ゲイの人は初めて見るの……」

一方通行「なンでそォなンだよ……」

美希「だって見た目も女の子みたいなの」

一方通行「別に好きでこの見てくれになった訳じゃねェよ」

美希「でもミキはぁ〜、中性的な人って好きだよ?あはっ☆」

一方通行「無駄な情報ありがとよ。面談終了ォ、よろしくな美希」スッ

美希「うん、ミキのアイドル活動頑張ってなの」ギュウ

一方通行「てめェが頑張れよ」

一方通行(星井美希か、容姿もスタイルも抜群だけどやる気がなァ……今の面談じゃアイツの方向性全く見えなかったな)

一方通行(しかもアイツ他の奴に比べて恋愛に興味ありそォだったけど大丈夫なのか?よくは知らねェがアイドルって恋愛しちゃダメなンじゃねェの?)

一方通行(……それとなく意識しとくか)



千早「入るわよ」

一方通行「おォ、座ってくれ」

千早「えぇ」ストン

一方通行「……」

千早「…………」

一方通行「……自己紹介どォぞォ」

千早「如月千早よ」

一方通行「千早がアイドルになった理由はなンだ?」

千早「……厳密に言えばアイドルになりたかった訳じゃないわ。正直興味も無いし」

一方通行「じゃあなンでここにいンだよ?」

千早「私は歌手になりたい……そしてそれにはアイドルが一番手っ取り早いと思ったのよ。それと社長にスカウトされたのもあるわ」

一方通行「なるほどなァ……やりたくねェ仕事は?あンなら言ってくれ」

千早「歌以外の仕事よ」

一方通行「徹底してンなァ……出来るだけおめェらの意志は尊重しようと思ってたンだけど歌以外となるとちょっとなァ」

千早「わかってる、別にやりたくないだけで、与えられた仕事はこなすわ。仕事を選べるようになったらそうしてちょうだい」



一方通行「あァ、わかった。これで面談は終了だ」

千早「そう」スッ、スタスタ

一方通行「待て待て」

千早「……まだ何か?」

一方通行「おら、握手だよよろしくな千早」スッ

千早「…………」ソロ-

一方通行「チッ」ギュウ!

千早「キャ!」

一方通行(あァ?……コイツ食生活どォなってンだァ?)

一方通行「お前……ちゃンとした飯食ってンのか?」

千早「……別にちゃんと栄養は取ってるわよ。もういいんでしょう?それじゃ」

一方通行(栄養ってサプリメントだろォが……なンだかなァ……)

一方通行(如月千早、なンだか取っつきにくい奴だったなァ。アイドルに興味ねェとか言ってやがンし)

一方通行(食生活にも問題ありそォだし、身体は触ったら折れそォなくれェ細ェし大丈夫かァ?まァ俺が言えた義理じゃねェけどよォ)



一方通行(だが腹筋はかなり鍛えてやがった……歌以外どォでもいいってかァ……?)

春香「失礼しまーっとっとぉ!?」ガタンッ

一方通行「ぐゥッ!?」ガツンッ

一方通行「…………何してくれてンだてめェ」

春香「あはは……またやっちゃった」コツン☆

一方通行「何……?そォいう路線で売ってくのお前?」

春香「な!?わざとじゃないよ!私ドジだから色んなとこで転んじゃうの……」

一方通行「これから気ィつけろ……じゃあ自己紹介してくれ」

春香「はい!天海春香です!!私の目標はさっき言ったよね?」

一方通行「あァ……アイドルになった理由もトップアイドルになりたかったからっつゥ事でいいのか?」

春香「ううん、アイドルになった理由は別にあってね……と言っても別に大したことじゃないんだけど」

一方通行「聞かせてくれ」

春香「うん、子どもの頃からすっごい憧れてるアイドルの人がいてね、あぁこの人みたいになれるかなぁ……この人みたいになりたいなぁって思ったのがアイドルを目指したきっかけかな」

一方通行「そォか」

春香「それでね、私もその人みたいに誰かに憧れられるアイドルになりたいの」

一方通行「良い目標じゃねェか……春香はなンかやりたくねェ仕事とかあンのか」



春香「うーん、特に無いかな?どんな仕事も全力全開で頑張っちゃうよ!!」

一方通行「そォかい、そりゃ助かる」

一方通行「面談はこれで終わりなンだがァ……」

春香「?」

一方通行「…………その、なンだ。さっきはオレが他の奴らと早く溶け込めるように気ィ回してくれて……ありがとよ」ボソボソ

春香「……ん〜?なぁにぃ?聞こえなかったなぁ」ニヤニヤ

一方通行「あァッ!?てめェその頭についてるリボン引き千切ってただの凡個性にされてェのかァッッ!!!!」

春香「ひ、ひぃ!うぅ……みんなは見た目に反して優しかったって言ってたのに〜」

一方通行「チッ、まァよろしくなァ春香ァ……仕事楽しみにしとけ……」スッ

春香「えぇ……?」ギュ

一方通行(良く転ぶらしいから身体のどっかの感覚狂ってンのかと思ったが、そォじゃねェみてェだな)

一方通行(天海春香、オレが想像するアイドルってあンな感じなンだよなァ。王道を征くって奴か……今ンとここの事務所であいつ以外にテンプレートなアイドルいなかったし)

一方通行(春香にはコッテコテのアイドルの仕事してもらうのが良いかもなァ)



一方通行(本人の目指してる場所もそこだろォしなァ)

真「もう入ってもいいのかな?」

一方通行「おォ、座ってくれ」

真「うん、僕の名前は菊地真!よろしね!」

一方通行「僕ゥ?」

真「あっ、これは子どもの頃からの癖で……勘違いしないでね僕は女の子だから!」

一方通行「ンなもン見りゃわかる」

真「えぇっ!ホントに!?」

一方通行「なンだァ?男と間違われたりしてンのか?」

真「うん、そんなのしょっちゅうだよ……女の人から告白された回数の方が多いしね……」

一方通行「そォか大変そォだな………話は変わるが真がアイドルになった理由ってなンだ?」

真「……話変わってないよ一方通行」

一方通行「あン?」

真「僕、ちゃんと可愛い女の子になりたくてアイドルになったんだ」

一方通行「……今のままでも充分なンじゃねェのか?」

真「そりゃ、女の子に人気なのも結構嬉しいけど……今のままじゃ嫌なんだ。こう、なんて言うかなぁ……フリフリっと、プリプリっとした格好がしたいんだ」



一方通行「なるほど……やりたくねェ仕事はあるか?」

真「やりたくない仕事?特に無いかなぁ……ただ男扱いされる仕事が続いたらストレス溜まると思う」

一方通行「わかった。これで面談終わりだ、よろしくな真」スッ

真「へへっ、よろしくね一方通行!」ガシッ

一方通行(そォとォ鍛え抜いてやがる……アイドルなのに)

一方通行(菊地真、これがボーイッシュって奴なのかァ?同性にモテるみてェだから女向けにプロデュースすンのが良いンだろうが)

一方通行(本人が男扱いはちょっとっつってたからなァ、上手くガス抜きさせてやンねェと)

一方通行(フリフリのプリプリねェ……まァ今度本人にしたい格好してもらうか)

雪歩「し、失礼します〜」

一方通行「おめェか」

雪歩「は、 はい!萩原ゆ「いや、さっき名前は覚えたから良い」

雪歩「そ、そうですか」



雪歩「あの、お礼させて下さい!」

一方通行「はァ?……あァ、絡まれた時のか。別にいらねェ」

雪歩「でも!」

一方通行「お礼したいンなら今度からは気をつけろ」

一方通行(まァ今日の仕事終わり次第ここら辺のゴミ共は全員潰すつもりだから、そォいう心配はいらねェがな)

雪歩「……はぃ」シュン

一方通行「そンでェ?雪歩がアイドルになった理由はなンだ?」

雪歩「はい……その、私、ダメダメな自分を変えたくてアイドルになったんです」

一方通行「ダメダメ?」

雪歩「私ひんそーちんちくりんだし、男の人が苦手だし、性格も臆病で……うぅ、こんなダメダメな私は穴掘って埋まってますぅ〜!!」

一方通行「男が苦手か……じゃあ、あン時ビビらせちまったのか。悪かったな」

雪歩「いえ!そんなことないです!一方通行君はカッコ良かったです!!」

雪歩「あっ///か、格好良かったというのはあのそういうことじゃなくて」アタフタ

一方通行「あァー、分かってるから落ち着け」

一方通行「……ちなみに雪歩がやりたくねェ仕事はやっぱ男と多く絡む仕事か?」

雪歩「は、はい。でもいつかは出来るようになりたい、です」



一方通行「良い心掛けじゃねェか……ま、お互い頑張るぞ雪歩」スッ

雪歩「…………」

一方通行「っと、そりゃ苦手なンだから触ンのにも抵抗あるよなァ」

雪歩「いえ!や、やらせてください」

一方通行「お、おォ……」

雪歩「…………ッ!」ギュウウウウ

一方通行「痛ェ痛ェ痛ェ」

雪歩「ああ……!ご、ごめんないぃ!」

一方通行「お、お前意外と握力あンのな」

一方通行(萩原雪歩、気弱な奴だったなァ。しかも男が苦手ってアイドルとして致命的じゃねェか?)

一方通行(……まァでも、本人に治す気があンだから平気か。オレにも触れたし男が絶対無理ってわけでもねェみてェだしな)

一方通行(男っていうのはあァいう弱っちそォな女が好きなンじゃねェか?打ち止めの野郎がなンかぐちぐち言ってた)

一方通行(……当たりめェだが、オレは一般に好かれるよォなタイプや最近のアイドルの傾向も流行りの曲もなンも知らねェ)

一方通行(アイツらを本格的にプロデュースする前にそこら辺の知識を学ぶ必要があンなァ……雪歩が根性みせたンだ、オレがやらねェわけにはいかねェ)



貴音「失礼致します」

一方通行「おめェで最後だよな?」

貴音「はい、私の名前は四条貴音と申します。よろしくお願いしますね一方通行」

一方通行「あァ。じゃあまず、貴音がアイドルになった理由を教えてくれ」

貴音「それは……アイドルの頂点に立つ事が私の使命であるから、ですね」

一方通行「使命だァ?誰からのだよ?」

貴音「……ふふっ、それはとっぷしぃくれっとです」

一方通行「…………まァ言いたくねェンなら良いけどよ。貴音はやりたくねェ仕事あるか?」

貴音「ありません。どの様な仕事も頂きを目指すのならその一つ一つが価値のあるものとなりましょう」

一方通行「そォか、じゃあ貴音がその頂きに出来るだけ早く登れるように頑張ろうな」スッ

貴音「はい、共に参りましょう一方通行」ギュ

一方通行(!!……か、解析できねェだと……?)

一方通行「お前……"何"だ……?」

貴音「………………はて」



一方通行「とぼけてンじゃねェ……そォいやお前最初オレの事見た後に勘違いとか言ってたなァ……それとなンか関係あンのか?」

貴音「……警戒、疑問、敵対、そしてほんの少々の恐怖と好奇心と言ったところでしょうか」

一方通行「あ?」

貴音「今のあなたの心情です」

一方通行「…………マジで何者だよ」

貴音「よいですか一方通行?」

一方通行「?」

貴音「初対面の女性の肉体を本人の許可無く探る、というのは無礼極まりない行いです」

貴音「今回は初めてなので不問にしますが、次からは許しませんよ?ふふっ、では」クルッスタスタ

一方通行「……」ポカ-ン

一方通行(四条貴音、構造が人間の物じゃなかった……非科学か?しかもあいつオレの心まで読んでやがった)

一方通行(オレへの刺客?いや、違ェだろうが!周りの反応からしてアイツは昔から居た。そンで多分周りにもなンか隠してる、だが何を……)



一方通行(………やめよう、仲が良いヤツらにも言ってねェンだ、無理矢理探られンのは嫌なンだろう)

一方通行「フゥー……缶コーヒー飲みてェ」ドサ

小鳥「ふふっお疲れ様、コーヒーは冷蔵庫にあったので良かったのよね」コトッ

一方通行「ッ!?……聞いてたンスか音無さン」

小鳥「あー、私の事は名前で呼んでくれないんだぁ。そうよね私みんなと全然年違うもんね」

一方通行「……コーヒーありがとうございます、こ、小鳥さン///」

小鳥(くぅわあいい〜!!やっぱいいわぁ年下美少年)

小鳥「うんうん、それでみんなの印象はどうだった?」

一方通行「まァ、なンとなくは掴めたかなァ……後はそれぞれの実力をみたいっスね」

小鳥「あぁ、それならレッスンを観にいくといいわね。今日は竜宮の子以外レッスンの予定あるし」

一方通行「なるほど、じゃあそォします」

小鳥「あっ、それと一方通行君が面談してる間に一方通行君のデスク用意しといたわよ。後パソコンもね」

一方通行「あ、ありがとうございます!」



一方通行(レッスン場に行く前にパソコンで色々見とくか)

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ーーーー
ーー



一方通行「………色んな事調べまくったわけだが」

一方通行「そォか、オレが今までしてた服装はやっぱ一般ウケしねェもンだったンだな……」ハァ

一方通行(だが、アイドルのステージ衣装とか営業の仕方とかは色々わかった。後はコンサートの映像とか観てェがそれは夜やるか)

一方通行「じゃあオレ、レッスン場行ってきます」

小鳥「はい、行ってらしゃ〜い」

一方通行(行ってらしゃい、か……)




〜〜〜レッスン場〜〜〜

一方通行「おォーやってるやってる」

真美「あれ?兄ちゃんじゃん!もぉ〜こんなとこ来て仕事サボッちゃダメっしょー」

一方通行「サボりじゃねェ。てめェらの練習風景を観察すンのも仕事だ」

雪歩「うぅ、見られてると思うと緊張します〜」

響「そうかな?自分は逆に見られた方がやる気でるぞ」

一方通行「オレの事は気にすんな。壁の一部とでも思ってくれりゃあいい」



真「壁の一部にしては物凄い目立つ色合いしてるけど」

やよい「一方通行さんはもやしみたいなんで私は安心するかなーって」

一方通行「……」

一方通行「……え?」

千早(高槻さんかわいい……)

春香「…………ふはっw」

一方通行「なァにがおかしンですかァ春香さァン」ギロッ

春香「さっ!みんなレッスンの続きしよ!」

全員「おー!!」

一方通行「…………」

千早「〜〜〜・」

一方通行(歌一本つってるだけあってうめェなァ)

響「それっ」キュッキュッ

真「よっ」キュッキュッ

一方通行(すげェすげェ。やっぱあいつら良い筋肉してるだけあンな)

一方通行(他の奴らも思ってた程悪くねェし……けどEランクなンだろ?プロデュースって重要なンだなァ)



一方通行「……で?なンでてめェはそこで体育座りしてンだよ」

美希「あはっ、壁が喋りかけてきたの!」

一方通行「腹立つわァお前」

美希「ミキ、疲れちゃったから休憩中」

一方通行「……お疲れ中のとこ悪ィンだけどよォ、今日全員分の歌とダンスみるつもりなンだよ」

美希「え〜めんどくさいの〜」

一方通行「ちょろっとやってくれりゃすぐ消える。だがやンねェならここに居座ってずっとお前に催促し続けンぞ」

美希「う〜、それはヤなの。わかった!じゃちょっとやってくるからミキのこと見ててね?」

一方通行「あァ」

美希「〜〜〜・」キュッキュッ、スタン、クルッ

一方通行「…………」

美希「はい、終わったよっ!これでいいんだよねっ?」

一方通行「……おォ、お疲れ。じゃあオレは消える。あンまサボンなよ?」

美希「はーいなの」


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〜〜〜事務所〜〜〜

高木「おぉ、おかえり一方通行君」

一方通行「おォ」

高木「レッスン場に行っていたんだろ?君の目にどう写ったんだいうちのアイドル達は」

一方通行「思ってたより悪くなかった……現時点ですげェって思えるとこを持ってる奴も何人か居たし、特に……星井美希」

高木「美希君か!良いだろう彼女?まさに天才の名がふさわしい」

高木「ただ……本人のやる気がね」

一方通行「みてェだなァ」

高木「そうそう!君は今日実際に我が社のアイドルに会った訳だがどうプロデュースしていくか決まったかね」

一方通行「個人個人の方向性についてはまだだ。スタイルに関して言えば、取り敢えず1人に絞ってやってくかなァ」

高木「なるほど、確かに最初の内はその方がいいかもしれない」

一方通行「ちなみに誰を最初にプロデュースして欲しいとかあンのか?」

高木「いや、そこの判断は君に任せるよ。では、私は社長室にいるから何かあったら呼んでくれたまえ」

一方通行「わかった」



一方通行「さァて」ギシッ

一方通行(全員プロデュースするにはオレ自身ある程度の実績を持たねェとなァ。じゃねェとアイツらも信用してくれねェだろうし)

一方通行(となると、最初にプロデュースする奴は既に実力があって、現状のオレでも言う事を聞いてくれかつ仕事を選ばねェ奴が理想だ)

一方通行(千早……ダメだ。実力は今の765プロじゃ頭一つ抜けてるが、オレをまだまだ信用してねェから言う事聞いてくれるとは思わねェし、最初は歌の仕事なンて取れねェだろう)

一方通行(美希……も今のオレじゃ手に負えねェな。アイツみたとこかなりの気まぐれだ。地雷踏み抜いちまいそォで怖ェし、何よりやる気の出させ方がわかンねェ)

一方通行(さて……)

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ーー





貴音「わ、私ですか……?」

一方通行「あァ、以上の理由から貴音が最適と判断した」



貴音「……」

一方通行「なンだよ不満か?」

貴音「いえ、私を選んで下さった事は真、嬉しいのですが……正直、あの面談の後ではきっと私は気味が悪いと、避けられるのだろうと思っていましたので」

一方通行「その事なンだけどよォ、オレもお前らに知られたくねェ事がある。だからオレはもォお前の事を勝手に調べたりしねェから安心しろ」

一方通行「それに、オレが居たとこじゃあ心ン中探られるなンて日常茶飯事だったしおめェぐらいじゃ気味悪ィとは思わねェよ」

貴音「……それが例え人間では無かったとしてもですか?」

一方通行「関係ねェな………つゥか良ォく考えりゃお前が何者だろォがどォでも良い話だった」

貴音「え?」

一方通行「トップアイドルになりてェお前と、トップアイドルにしてェオレ。そンだけありゃ充分だろ」

貴音「ふふっ、そうですね。真、その通りです一方通行。改めて、プロデュースよろしくお願い致します」ペコ

一方通行「あァ、まァ取り敢えずは最初はオレが頑張って仕事取ってくっからその後は頼ンだ」

貴音「はい、心静かにその時を待つとしましょう」



一方通行「じゃあ、また明日な」

貴音「はい。一方通行、小鳥嬢、お疲れ様でした」ペコ

一方通行「おォ」

小鳥「お疲れ様、貴音ちゃん」

貴音「では……」バタン

小鳥「最初に貴音ちゃんを選ぶとは少し意外だったわ」

一方通行「そォっすか?」

小鳥「なんというか、一方通行君にはちっちゃい子と居るのが収まりがいい気がしたから」

一方通行「あァー、オレここ来る前にしばらくクソガキと暮らしてた事があったンすよ。その所為かも知ンないすね」ポリポリ

小鳥「あら、そうなの?ふふ、私の女の勘も中々ね!」

小鳥(その子と何で今は暮らしてないの?とか聞かれたくないんだろうなぁ)

一方通行「そォすね」

小鳥「あ、そうだ!夜ご飯まだ食べてないわよね?もし良かったら一緒に食べに行かない?!」グワッ

一方通行「いや、今日はちょっと……」

小鳥「そうね……まだ早いわよね……」シュン

一方通行「……明日なら」

小鳥「明日ね!」パァッ



小鳥「じゃ、私もそろそろ上がらせてもらうわね?」

一方通行「はい、お疲れさンでした」

小鳥「お疲れ様っ♪」バタン

一方通行「…………さて」

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〜〜〜765プロダクション界隈〜〜〜

不良「ぐわああああッッ!!!!」バキバキ

一方通行「やべェよ!一気に飛ンじまったァッ!!」ッエ-イ

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不審者「く、くるなぁ……!」

一方通行「圧縮ゥッ圧縮ゥッ!犯罪件数を圧縮ゥッ!!!」ゴウッ


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チンピラ「……でよぉー」

チンピラ2「はは、マジかよ……ん?」クルッ

一方通行「くかこきくくけこきくかかこッ」ニタァ


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翌日

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



律子「おはようございます!」

小鳥「あ、おはようございます律子さん」

律子「小鳥さん今朝のニュース見ました!?」

小鳥「今朝?あぁ、ここら辺で何十人も病院送りになった事件の事ですか?」

律子「何でそんな平静でいられるんです!?うちの子達にもしもの事があったら……」

小鳥「……多分、それは平気だと思いますよ?」

律子「え?」

小鳥「ネット掲示板によると被害にあった人達はそれなりに悪い事をしてた人達らしいです」

律子「そうなんですか」

小鳥「それに犯行現場にはこの区で悪行をしたら必ず潰すってメッセージが残されていたそうですよ」

律子「それはまた、正義か悪かよくわからない行為ですね」

小鳥「そうですね。被害者は口を揃えて白い化け物にやられたって証言してるらしいです」



律子「白い化け物ねぇ……」チラッ

亜美「うっわ!兄ちゃん目ん玉だけじゃなく白いとこも真っ赤じゃん!!」

真美「ゆきぴょんとかが見たら怖くて泣いちゃうよ!」

一方通行「あァー、昨日徹夜でアイドルのライブDVDとかPVとか見てたわ。だから寝てねェ」

一方通行(掃除に思ってたより時間割いちまったからなァ。DVDとか見ンの次の日に持ち越せば良かった……)

真美「いいな〜兄ちゃんは。真美たち夜ふかししてたらメッチャ怒られるよ?」

亜美「不公平だよ〜」

律子「……はは、流石に無いですよね。身体細いし」

小鳥「あ、もしかして一方通行君だと思ったんですか?無理があり過ぎますよそれは〜」

律子「ですよね……馬鹿なこと考えてないで仕事に取り掛かりますか」

小鳥「そうですよ」



小鳥(私も白い化け物が何となく気になって、学園都市をちょろっと調べたら出てきちゃったのよね)

小鳥(学園都市第1位一方通行……ベクトル操作って何なのかよく分からないけど、アレやったの多分一方通行君よね?)チラ

一方通行「たりめェだろォが。てめェらガキなンだからさっさと寝とけ」

亜美「子供扱いしないでよね!自分はドルオタのくせに!」

一方通行「違っげェよ、オレはこれからの傾向と対策をだなァ……あ、伊織」

伊織「ん?何よ?」

一方通行「歌詞は意味わかンねェけど、すげェ良いと思ったぞ『SMOKY THRILL』」

伊織「あら、アンタ中々見る目あるじゃない」

亜美「ちょっと〜、あずさお姉ちゃんはまだ事務所いないから分かるけど何でいおりんだけ褒めるのさ〜」

一方通行「あァお前いたの?ちっちゃ過ぎて見え……痛!何しやがンだクソガキこらァっ!!」

小鳥(やり方は過激すぎだけど、きっとあの子達を思っての事よね……)



一方通行「おォ、そォだ。律子、さっさとドライブ行くぞ」

小鳥「は?」

律子「……な、何を言ってるのかしら一方通行」

一方通行「あァ?おめェが言ったンだろォが。オレが車運転出来ンのか試すンだろ?」

律子「あぁ、そういえば!」

真美「そういえばそんなこと言ってたね」

亜美「りっちゃんずるいよ〜サボりじゃん!営業時間なのに」

律子「失礼なこと言わないで。これも仕事のうちよ」

小鳥「じ、じゃあ私も……」

伊織「あんたのそれは確実にサボりじゃない」

小鳥「うう……」

亜美「亜美達も連れてってー兄ちゃん」

真美「真美達が兄ちゃんのドライブテクをチェックしてあげるよ」

律子「必要ありません、事務所で大人しくしてなさい」

亜美真美「えぇ〜」

一方通行「チッ、うるせェなァ。帰りに缶コーヒー買ってきてやっからそれで我慢しろ」

真美「……いや、マジでいらないから」



亜美「ていうか何でそんな缶コーヒー買うの?冷蔵庫開けたら真っ黒で亜美はトラウマになりそうだったよ……」

一方通行「あ?必要だろォが!」

伊織「あ、それ殆ど冷蔵庫から出しといたわよ?プリン入れたかったら」

一方通行「なンて事してくれてンだよこのデコがよォ!!!」

律子「はい、怒鳴らない。悪いのは一方通行よ?冷蔵庫はみんなの物なんだから、独り占めしたら駄目でしょう?」

一方通行「くっ……」

律子「ほら、また2人が騒ぎ出す前にさっさと行くわよ!それとコーヒー一本貰うわね」

一方通行「あ!てめェちゃンと金払えよ!!」

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ーー

一方通行「…………」ブ--ン

律子「上手いもんね、学園都市でも運転してたの?」

一方通行「いや、あんまり」



一方通行「でェ?オレは合格かよ?」

律子「そうね、むしろ私より上手いくらいよ」

一方通行「そォかい……じゃあもう帰るぞ?」

律子「えぇ、お願い」

一方通行「…………」ブ--ン

律子(ブレーキとかの負荷を感じないから寝そう……)

一方通行「…………」キキ-ッ

律子「ちょっと何でコンビニで停まるのよ、あんたまさかさっきの話本気だったの!?」

一方通行「ちっげェよ!あいつらに悪ィから飲み物でも買って行ってやろォかなって思ったンだよ」

律子「あら、優しいじゃない。私はカフェオレね」

一方通行「てめェも降りろよ……そして全員分の飲み物を選べ。オレはまだあいつらの好み知らねェからなァ」

一方通行「それとお前の分は奢ンねェぞ?今のオレは金ねェからな」

律子「あぁ、じゃあ私も半分出すわよ」

一方通行「それはダメだ。何か違ェ気がする」

律子「ふふっ、何よそれ」クスッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜事務所〜〜〜

律子「ただいま戻りましたー!」

小鳥「あ、おかえりなさい!」

亜美「おっかえりぃ!ねね、土産は!?」

一方通行「おら、受け取れ極悪ツインズ」

真美「ブラックコーヒー…………」ドンビキ

亜美「君には失望したよ一方通行……」

一方通行「冗談だ。ほら」

真美「あっ、サイダーじゃん!あんがと兄ちゃん〜」プシュッ

亜美「亜美達を罠に掛けるなんて兄ちゃんもワルですなぁ」ゴクゴク

律子(冗談でコーヒー買うなら私にも買ってくれたら良かったのに……)

一方通行「ほら、伊織も」

伊織「あら、まぁどうしてもって言うなら飲んであげてもいいけどね」

一方通行「はいはいツンデレ」

伊織「ツンデレじゃないわよ!!」

真「いいなぁ三人とも」ヒョコ



一方通行「真、来てたのか」

真「うん、おはよう一方通行」

一方通行「おォ、つゥか全員分買ってきてあるから勝手に飲んでくれ」

真「へへっ、やーりぃ」

一方通行「だから後から来た奴にも伝えとけ」

真「はーい」

真美「ねーねー兄ちゃん、真美達は今日何すんの〜?」

一方通行「一心不乱にレッスン」

真美「えぇ〜、最近レッスンばっかじゃん……」

一方通行「だってお前ら仕事ねェじゃン」

真美「そーれをどうにかするのが兄ちゃんの役目っしょっ!?」

一方通行「オレ昨日来たンだぞ?無茶言うンじゃねェ。それにまずは貴音のプロデュースに専念するって決めたからお前らの番はもォちょい後だ」

真美「えぇ!何それ真美知らないよ!?」



一方通行「そりゃあまだお前らに言ってねェし」

真美「何でお姫ちんなの?……!!まさか惚れたな兄ちゃん!?」

一方通行「なンでそォなンだよ……総合的に見てお前らの中で最初に選ぶならアイツが最善だって判断したンだよ。貴音はすぐブレイクするだろォし」

真「なるほどね、貴音は同じ女の子の僕でもたまにドキッてしちゃうことあるしなー」

一方通行「…………あァ」

真「え……何その間」

真美「別にお姫ちんと一緒に真美達もプロデュースしてくれてもいいじゃんよ〜」

一方通行「今のオレにお前ら全員まとめてプロデュースする技術ねェよ。お前らだって中途半端なのは嫌だろォが」

真美「そりゃあ……うん」

一方通行「わかったらレッスン行ってこい」

真美「ちぇっ…………」トボトボ

真「よぉし!僕も今の内に牙を磨いとくね一方通行!」タッタッタ

一方通行「うん、お前そォいうとこだわ女にモテるの」



一方通行「さて…………」プルルルル

一方通行「あ、どォもォ。765プロの者ですゥ」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

貴音「なるほど、それで真美は落ち込んでいるのですね?」

真「うん、そうなんだよ」

貴音「真美」ムギュウ

真美「え……お姫ちん?」

雪歩(いいなあ……)

春香「知ってる?アレあすなろ抱きって言うんだよ」

真「知ってるからちょっと静かにしてて」

貴音「何を悲観する必要があるのです?一方通行の言動、裏を返せば成熟した技術を持って真美をぷろでゅーすするという事です」

真美「うん……」

貴音「私なぞあの人に取っては実験台のようなもの……私は皆の踏み台でしかないのです」ヨヨヨ

真美「そんな事ないッ!兄ちゃん言ってたよ?お姫ちんはすぐ売れるって、総合的に見て今のオレに一番良いって」ギュ



貴音「ふふ、真美は真、良き子ですね」ナデナデ

真美「うあうあ〜やめてよお姫ちん」

雪歩(いいなあ……!)

真美「お姫ちん真美の事慰めてくれたんしょー?もう大丈夫だよ」

貴音「はて?」

真美「わかってるよ!ありがと!!お姫ちん」ホッペニチュッ

貴音「真美は大胆なのですね」

小鳥「うわああああ!!!」パシャパシャパシャパシャ

響「何でカメラ持ってるんだ……そしてずっと見てたのか?」

一方通行「おォ、お前ら帰ってきて……千早と美希は?やよいは今日居ねェンだったな」

春香「その2人ならまだレッスン場にいるよ」

一方通行「千早は分かンだけど美希もか?」

一方通行(つゥか何で小鳥さンはカメラなンて持ってンだ……?)

響「美希は千早の言うことだけはそこそこ聞くからなー」

真「唯一のさん付けだしね」



一方通行「ふゥン、あの2人性格からして合わなそォだけどなァ」

貴音「だからこそでしょう。相反するもの同士、惹かれ合うというのは世の摂理です」

雪歩「それ、わかります」

真「たしかに」

一方通行「そンなもンか……あ、貴音明日オーデションな」

春香「き、急に話題変えるなぁ」

貴音「はい、わかりました」

真美「頑張ってねお姫ちん!」

貴音「えぇ、皆の分も頑張ってきますね」ニコ

一方通行「じゃあ今日もォ解散な」

全員「はーい!」

小鳥「うぇへへぇ……たかまみ?いや、まみたか?」

一方通行「小鳥さン」

小鳥「……はいぃ!!」

一方通行「全員帰ったし、約束通り飯食い行きますか?」

小鳥「あ、そそうね!」

一方通行「ただ……」



一方通行「オレあンま金無いンで高い所は……」

小鳥「平気よ!私から誘ったんだし今日はお姉さんが奢っちゃうわ♪」ウィンクッ

一方通行「え、でも……」

小鳥「いいのよ、ほら行きましょ!夜は待ってくれないわ!!」

小鳥(大人の女しか出せない魅力で悩殺しちゃうゾ☆一方通行君!!)


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜居酒屋〜〜〜


小鳥「」チ-ン

一方通行「……大丈夫すか?」

小鳥「……てゆうかさぁ、一方通行君も法律上は20歳なのよねぇ」ユラァ

一方通行「はァ、そォっすけど」

小鳥「なら飲めオラァッ!!!」グワンッ

一方通行「ぶッ!?」ゴクゴクゴク

小鳥「オラオラオラオラオラァ!!」ヘッドロックッ

一方通行「〜〜〜〜〜ッ」グビグビグビ



一方通行「ごぶっ!?……ゲホッ、ゴホッ」

小鳥「あらぁ、いい飲みっぷりじゃない一方通行くぅん」

一方通行(綺麗で常識人だった小鳥さンが酷い時の黄泉川達みてェになってやがる……酒っつゥうのは怖ェなァ。体内のアルコールは分解っとォ)

小鳥「あー、こんな筈じゃなかったのにぃ。私は年下の男の子相手に何やってんだろ」ゴク

小鳥「……死のう、この酒と共に。私が死んでも誰も悲しまない」ゴクゴクゴク

一方通行「一杯いますよ悲しむ奴はァ。オレも小鳥さンが居なくなったら嫌っす」

小鳥「ホントにぃー?嘘だぁ」

一方通行「ホントっす」

小鳥「じゃあチュウして!今すぐギヴミーキス!!」

一方通行「いや、それはちょっと……」

小鳥「うわぁん!!死んでやるぅ!!」

一方通行「取り敢えず出ましょう」

小鳥「お財布はぁー何処にあるでしょうか?!ヒントは胸ポケットでっす」ケタケタッ

一方通行「すンませン、勝手にカバン開きます」

小鳥「いや〜ん☆」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜夜道〜〜〜

小鳥「うぅ、歩けない」ヨロヨロ

一方通行「オレで良かったらおぶります」スッ

小鳥「ひゃっほー!」ビョン

一方通行(!……やべェ背中に胸が……クソかてめェ!!無防備な相手に邪な気持ち抱くなンざァ三下以下の悪党だ)

小鳥「意外と力持ちなのね一方通行君」

一方通行「まァ、はい」テクテク

一方通行(能力使ってるしなァ)

小鳥「けど、わざわざおんぶを買って出るなんてぇ一方通行君も男ね」ホッペニツンツンッ

一方通行「……まァ、小鳥さンが変な奴に絡まれても困るンで」テクテク

小鳥「またまたぁ〜、そんな人達は一方通行君が昨日病院送りにしちゃったじゃなぁい」

一方通行「え、知ってたンすか……?」ピタッ

小鳥「うん、気になって調べちゃったのよ。学園都市の学生で一番凄いのよね、ナデナデしてあげる」ナデナデ

一方通行「なンでアイツらには黙ってくれたンすか?」



小鳥「あんまり詮索されたくないんでしょ?それにあの子達の為だって信じてたもの」

一方通行「…………なンで、そンな奴の事簡単に信じンだよ。しかもそれをアンタらに隠してたンだぞ?」

小鳥「……」スヤスヤ

一方通行「…………」

一方通行「行くか」スタスタ

ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行「着きましたよォ小鳥さン」

小鳥「うーん、カバンの中に鍵入ってるから」

一方通行「……」ガサゴソ...ガチャッ

一方通行「じゃあオレ帰ります」

小鳥「ベッドまで運んでえー」

一方通行「……」スタスタ

一方通行「じゃあ降ろしますよォ」ソロ-



小鳥「捕まえた!!」ダキッ

一方通行「!?ちょっと小鳥さン!」ドギマギ

小鳥「グゥ……グゥ……」

一方通行「寝ちまった。しまった鍵は……大丈夫か。徹底的に取り締まったし」

一方通行「…………一応鍵掛けてどっかに鍵隠しとくか。隠し場所はメールしたらいいよな」

一方通行「…………ありがとォございました小鳥さン」バタンッ

ーーーーーー
ーーーー
ーー

一方通行「…………」プルルルッ

一方通行「……土御門か?……あァ、そこそこだァ……上にオレの情報は徹底的に隠しとけって言っとけ」

一方通行「……あァ……あァ……チッ、うるせェな、じゃあな」プッ

一方通行「オレも帰って寝よ……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜窓のないビル〜〜〜

土御門「どういうつもりだアレイスター」

アレイスター「土御門か……呼んだ覚えは無いんだが」

土御門「言いから答えろ。何故一方通行を外に出した?しかもプロデューサーだと?今度は何を企んでいる?」

アレイスター「…………」

土御門「珍しくだんまりか」

アレイスター「……企んでるとかそういうのやめよう」

土御門「は?」

アレイスター「だから、もうそういうのやめよう土御門」

土御門「な、何を言ってる?」

アレイスター「ふむ……『竜宮小町』を知っているか土御門?」

土御門「……新しい魔術組織か何かか?」

アレイスター「ハァ…………今絶賛売り出し中のアイドルユニットだ。馬鹿が」

土御門「…………」



アレイスター「…………」

アレイスター「本当に知らないのか……?」

土御門「知らないと言っている」イライラ

アレイスター「無知をこれほど呪ったことは無い。あずささんのあの溢れんばかりの母性を知らんとは……」

土御門「……」

アレイスター「おっと、もちろん竜宮小町はあずささんだけでは無い。いおりんのキュートさには参るし亜美からは元気が貰える」

アレイスター「そして、これは此処だけの話なのだが竜宮小町はプロデューサーまで可愛いんだ……私は彼女のファンでね」

土御門「で、その竜宮なんたらがどうした?」

アレイスター「土御門、貴様……!次竜宮小町の名前を間違えてみろ……生きていた事を後悔させてやる」

土御門「今まさに後悔しているところだ……それで?何故竜宮小町を話題に出した」

アレイスター「彼女達の歌を聴いてみろ、争う事など馬鹿らしくなってくる。いや……彼女達のファンとして黒い行いをしている者など言語道断、ファンを名乗る資格無し、といったところか」

土御門「本気で言ってるのか……?」



アレイスター「あぁ、近い内に魔術サイドにも絶対不可侵の外交を行う。その時は仕事をして貰うぞ土御門」

土御門「相手がその要求を飲むと?」

アレイスター「飲むさ……私が用意した交渉内容は殆どこちら側が無条件降伏をするようなものだからな」

土御門「暗部も取り潰すのか?」

アレイスター「ゆくゆくはな……暫くはお前らにこの都市の自警団になってもらう」

土御門「なに?」

アレイスター「学園都市をクリーンな都市にするのだ。人権を無視した研究も廃止だ。というか学園都市自体の基盤を壊す……だが、そうなると」

土御門「はぐれ者が出るから……自警団な訳か。統括理事会はどうするつもりだ?」

アレイスター「私に従わない者は潰す……私は早くこの都市を正常な状態にしアイドル達のライブを開いてもらいたい」

土御門「そんなものの為にお前が今まで積み上げてきた物を壊すのか」

アレイスター「私にとっては命を懸けるに値する……私は疲れたのだよ土御門、そんな私を癒やしてくれたのは竜宮小町だ」



土御門「それは分かったが……何故一方通行を送ったのかがまだだ」

アレイスター「あぁ、そうだったな。そもそも私が竜宮小町と出会ったのは友人がメールで動画を送ってきたからだ」

土御門「おい」

アレイスター「まぁ、聞け。その友人というのが竜宮小町が所属する765プロという会社の社長でな。この子達は素晴らしいなと褒めたら竜宮小町に引けを取らない子がまだ9人もいると言う」

アレイスター「心が躍ったよ……!私は直様催促した。他の子達の映像も寄越せと、だがそれは叶わなかった。何故なら」

土御門「おい、もう少し普通に喋れないのか」

アレイスター「……何故なら765プロは人材不足で満足にアイドルをプロデュース出来ないからだと……!私は神を呪った……こんな理不尽を赦すなどッ、貴様は何とつまらない男だとッ!!」

土御門(もう……何も言うまい……)

アレイスター「神が手を差し伸べないのなら私が差し出すしかない……私はそいつに送ってやったよ。学園都市で頭脳が優れた者をピックアップしてな。この写真の中から好きな奴を選べ、直ぐに用意してやると」

土御門「……」

アレイスター「そして選ばれたのが一方通行だ」

土御門「アイツが聞いたら発狂しそうだな……選考理由は?」

アレイスター「知らん、奴もまた多くを語らん男だ」



土御門「……というか暗部も潰すんじゃ、一方通行を縛るモノが無いじゃないか。人質を取るのもやめるんだろ?」

アレイスター「あぁ、だが一方通行にはノルマを提示した。勿論人質は解放するが、条件をクリアするまではプロデューサーになってもらう」

土御門「条件をクリアした後は?」

アレイスター「それは知らん。私には関係ない話だ、一方通行の好きにするといい。つまりは」

土御門「分かってる。その条件をクリアするまでは一方通行に今の話をしなければいいんだろ」

アレイスター「あぁ………話は以上か?納得したなら今すぐ消えろ。竜宮小町が出る生放送の時間に迫っている」ソワソワ

土御門(……結果的には数え切れない人間が救われるんだ。いくら馬鹿らしくてもそれでいいだろ土御門……!)イライラ


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ーー


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


小鳥「死のう……」ドヨ-ン

律子「朝っぱらから何を言ってるんですか」



小鳥「うぅ律子さん〜、実は……」カクカクシカジカ

律子「さ、最低過ぎる……」ドンビキッ

小鳥「ですよね……もうお嫁に行けない……」

響「なんくるないさー!ピヨ子はお嫁に行けないとかそんな事気にするには年齢がおそ……痛!ちょっとやめ……うぎゃ!」

やよい「そうですよー!小鳥さんは綺麗だから大丈夫でーっす!!」ピョンッピョン

小鳥「やよいちゃん!!」ムギュッ

やよい(うっ、小鳥さんちょっとお酒臭い……)

一方通行「つゥか、気にしなくていいすよあンなン」

小鳥「聞いてたの一方通行君!?」

一方通行「そりゃあ真向かいで話されたら……」

小鳥「うぅ……」

一方通行「これに懲りずにまた誘って下さい」

小鳥「……はい!」パァア

あずさ「じゃあその時は私もお呼ばれされようかしら」

一方通行「あァ、そォいやあずささンも成人してたなァ。つい忘れちまったよ」

あずさ「あらあら〜、一方通行ちゃんは年上の女を喜ばせるのが上手いのねぇ」

律子「というか、年の割に結構女慣れしてるわよね」



あずさ「そういえば、面談の時に私より年上で綺麗な女を2人知ってるって言ってたわねぇ」

響「何だか話が怪しい流れになってきたぞ」

一方通行「あァ、そりゃあ暮らしてたからな……一緒に」

あ律小「!?」

律子「あずささんより年上の!?」

小鳥「女性と一緒に!?」

あずさ「あらあらあらあら〜」

やよい「何で耳を塞ぐんですか響さん〜」

響「や、やよいは聞いちゃダメさー///」

一方通行「…………勘違いしてるみてェだが保護者だぞ?」

響「だ、だよね!いくら何でもそんな訳ないって、自分は分かってたさー!」パッ

やよい「やっと聞こえますー」

律子「そ、そうよね。ちなみに年齢は?」

あずさ「20代後半らしいですよ」

小鳥(私が一方通行君の保護者だったら…………ダメ!エッチな事しか思いつかない……!)

一方通行「それに……小鳥さンには言ったがオレと一緒にガキも住ンでたしな」



小鳥「あ、そう言えば……」

貴音「おはようございます」ガチャ

一方通行「来たか……来て早々悪ィがもう出るぞ。この時間帯は道が混む」

貴音「そうなのですね。皆と話をしたいところですが……致し方ありませんね」

やよい「うっうー!貴音さんも一方通行さんも頑張って来て下さい!」

響「自分達もここから応援してるさー!」

一方通行「おォ」

貴音「では、行って参ります」パタン

律子(なるほど、だから同年代に比べて年上の人の方が話しやすそうにしてるのね。それと亜美真美にちょっかいかける理由も分かったわ)ウンウン

あずさ(みんな納得してたみたいだけど……何だかそこそこ年の離れた保護者の方がいやらしくないかしら〜)モンモン

小鳥(小鳥ィ!お前ェ保護者とか言ってオレの体が目的だったンだろォ?違うわ!一方通行!信じて!!じゃあ身体に同じ質問してやるよ……ダ、ダメぇ!ひゃあん!!)ポワ-ン

やよい「私たちも頑張りましょうね響さん!」

響「そうだな!貴音たちに負けてられないさー!」

やよい「うっうー!!ハイ、ターッチ」

や響「イェイ!!」


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〜〜〜車内〜〜〜


貴音「そう言えば、肝心な事を聞いてませんでしたが今日は何のオーディションなのですか?」

一方通行「新人アイドルを発掘する企画らしい。合格したらTV出れんぞ」

貴音「良くいきなりそんな仕事を取ってこられましたね」

一方通行「オーディション受けるだけだしそンな敷居は高くねェからなァ……まァだからこそ倍率はすげェンだけどな」

貴音「そうなのですか……あの、私何も特別な用意をしてないのですが」

一方通行「平気だろ」

貴音「……今更ジタバタしてもしょうがありませんね」

一方通行「お前なら行けるさ」


〜〜〜オーディション会場〜〜〜


貴音「過去がぁ〜明日に変わりぃ〜・」

一方通行(やっぱアイツ他のに比べてオーラあンなァ……)


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貴音「ふぅ……」



一方通行「お疲れさン。良かったぞ」

貴音「ありがとうございます。やはりプロデューサーがいると違いますね」

一方通行「オレはまだお前らに何もしてねェぞ」

貴音「いえ、そばに居てくれるだけで心強いというものです……1人では心細いですから」

一方通行「まァ、役に立てたンなら良かったわ。じゃあ次のオーディション行くぞ」

貴音「まだあったのですね」

一方通行「そォ言うな。これもプロデューサーが居ればこそだ」

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春香「それでオーディションを3つも受けたの!?」

貴音「はい」

雪歩「お疲れ様です四条さん。これ、良かったら飲んで下さい」コト

貴音「ありがとうございます雪歩。雪歩の淹れるお茶は真、心が癒されますね」



美希「オーディションを1日に3つもとかミキならボイコットしちゃうな」

一方通行「てめェは練習すらサボってンじゃねェか」

美希「むぅ、今日はちゃんとやったの!」

春香「はは……今日はって」

一方通行「まァ、貴音ももうちょい辛抱してくれ。後少しで楽になっから」

貴音「はて……と、言いますと?」

一方通行「そりゃあオーディション受けたやつの本番の収録日とかは集中させてやりてェからなァ」

千早「もしかして全部受かる気なの?」

一方通行「?あたりめェだろォが。なンでわざわざ落とされに行かなきゃいけねェンだよ」

千早「それはみんなそうでしょうけど」

一方通行「オレは貴音なら受かるってヤツしか受けさせてねェ、だから平気だ」

貴音「しかし、一方通行。今日受けたものには映画の物もありましたが」

一方通行「あン?お前手応え無かったのかァ?ミステリアスな女の役だからお前以外適任居なかったぞあのオーディション会場には」



雪歩「あ!それは四条さんにピッタリですぅ」

一方通行「だろ?」

貴音「何だか照れますね」

一方通行「真顔だけどな、今お前」

春香「結構考えてるんだね一方通行」

一方通行「足りめェだろォが。何だと思ってたンだよ」

真美「おめェら!!あの重役と枕してこォい!あァ!?簡単だろォが、何ならオレが犯してやろォか!!?……こんな感じ?」

美希「真美そっくりなの!」キャッキャッ

千早「そっくりはそっくりだけど、一体どこから……」

一方通行「ツッコミ入れるとこそこじゃねェだろ……お前も結構ズレてンのな」

雪歩「お、女の子がそんな事言ったらダメだよ///」

真美「えぇ〜真美は兄ちゃんが言った事真似しただけだよ〜?」

雪歩「ひぃぃぃ!!」アトズサリッ

一方通行「おめェも簡単に信じンなよ」



春香「あっ、しまった!終電の時間が!!」

一方通行「まだそンな時間じゃねェだろ」

春香「私んち遠いから……ここ来るのに2時間掛かるし」

一方通行「マジか」

春香「じゃあ私もう帰るね!」ダッ

千早「私も行くわ春香」ソッ

一方通行「おら、お前らも春香たちと一緒にさっさと帰れよ」

美希「えぇーミキたちはまだここにいるよ?」

貴音「私も今日は皆と話足りません」

真美「兄ちゃんも一緒に話そう?ほれ、ここ座んなよ」ポンポン

雪歩「あ、じゃあ私一方通行さんのお茶淹れてきますね」

一方通行「あァ!?いらねェよ!」

雪歩「………」ウルウル

一方通行「…………なるべく苦めで頼む」

雪歩「はい!」パアァ!!

貴音「そういえば一方通行はここに住んでいるのですよね?」

一方通行「それがどォした?」

貴音「一体どこで寝ているのかと」

一方通行「応接室のソファ」

美希「あぁ!だからあそこのソファに枕と毛布があったんだね」



真美「……ぶふっw」

一方通行「…………笑い所なンてねェだろォが」

真美「いや、兄ちゃんアウトローを気取ってんのにちゃんと枕とか買うんだなって」

一方通行「気取ってねェよ……後、枕とかは社長が用意してくれたンだよ」

貴音「あの方は良き御仁ですね……」

真美「ふ〜ん、その枕ってやっぱ黒色なの?」

一方通行「いや……」

美希「枕ならここにあるの」

一方通行「ッ!?なンッでてめェが持ってンだよ返しやがれ!!」ブンッ

美希「ヤなの!ミキこれ気に入っちゃった」ヒョイッ

真美(ハート柄とかwww)

貴音「愛らしい装飾ですね一方通行」

雪歩(何か私が居ない間に盛り上がってる……)



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ーー

一方通行「チッ、あいつらやっと帰りやがった」

高木「おや?君だけかい?」ガチャッ

一方通行「あァ、居たのかよ?小鳥さンもちょっと前に帰った」

高木「ふむ……どうだい一方通行君?これから一緒に食事にでも」

一方通行「構わねェが……」

高木「よし、どうせだから高い店に行こう……!」

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〜〜〜高級レストラン〜〜〜


一方通行「またえらい高そォな店に来たなァ……大丈夫なのかよ」

高木「案ずるな一方通行君。経費でどうとでもなる」

一方通行「律子に怒られても知らねェぞ」

高木「なぁに、君も立派な共犯者だ。ささっ、とりあえず飲みたまえ」コポコポ

一方通行「芸能事務所の社長が未成年に酒飲ますなよなァ」ゴク

一方通行「美味ェ……!」キラキラ

高木「ふふ、酒の旨さが分かるならもう子供では無いのだから心配いらないな……なに、音無君が君と飲み交わしたと言っていたから羨ましくてね」



一方通行「そォかい……おら、アンタも飲めよ」コポコポ

高木「美女にお酌をしてもらうのも良いがこういうのも良いねぇ……!」ゴク

一方通行「ケッ……」ゴク

高木「どうだい調子は?あの子たちとも上手くやっているようじゃないか」

一方通行「3日目でする質問じゃねェなァ……まだわかンねェよそンなの」

高木「君なら大丈夫さ……おぉ見たまえこの料理を!!」キラキラ

一方通行「あン時はバタついてたから追求しなかったけどよォ」イタダキマス

高木「ん?」モグパク

一方通行「ピンときた!とかじゃなくてちゃンとしたオレを選んだ理由を教えてくれよ」ガツガツ

高木「……聞いても意味が無いと思うが」チュルンッ

一方通行「それを決めンのは社長じゃなくオレだ」ズズ-

高木「それもそうだね……何十人かの写真が送られてきてね、その中から君を選んだんだ」ムシャッ

一方通行「ふゥン」ボリボリッ

高木「何故それが君だったかは……君が助けを求めているように見えたからだ」パキッ

一方通行「……なンだと?」ピタッ



高木「周りを信用していない瞳をしていた。その表情も苦しみの中でもがいているようだったよ」

一方通行「ハッ!誰と勘違いしてンだよオッサン?」

高木「少なくとも私にはそう見えたのさ」

一方通行「それでェ?なンでそんな奴をわざわざ呼び出したンだよ?765プロっつゥのは慈善活動もやってンのかァ?知らなかったぜ」

高木「放って置けなかった、というのも事実だが君の瞳に何か輝くものが見えたのも事実だ」

高木「その輝きは平和な場所でこそより強く輝くものだ。私はその輝きとアイドルが合わされば凄い事になると信じている」

一方通行「アンタはオレが何をしてきたか知らねェからそンな事が言えンだよ……」

高木「知っているさ、君が何をし、どういう結末を迎えたか……もちろん打ち止め君の事もね」

一方通行「ッ!!なら!!なンでオレなンかをあいつらのそばに置いてンだよッ!?」ダンッ!!!!

ザワザワザワ

社長「ふふ、場所を変えようか?」

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〜〜〜公園〜〜〜


高木「確かに君は一般的な道徳的観念から見れば許されない事をしたのかもしれない」

高木「だがねぇ……君だけが悪いわけではない。一番悪いのは我々大人だ」

一方通行「だからってオレの罪が軽くなるわけじゃねェ……」

高木「だが君はあの事件に関わった大人達とは決定的に違う……何故なら君は反省し、正常な道を歩もうとしたじゃないか」

一方通行「それが如何に馬鹿げた事だったかも知ってンだろォ?悪人は一生泥ォ啜って生きて行かなきゃ駄目なンだよ……」

高木「それも大人達が勝手に君を追い詰めただけだ。君は間違っていないし失敗もしていない」

高木「陰気な場所に居る事に慣れてはいけない一方通行君。此処での生活で君本来の輝きを取り戻すといい」

一方通行「てめェも小鳥さンもイカれてンだ……なンでオレの事知っても普通に喋れンだよ」

高木「一方通行君、世界は君が考えている程悪意では満ちていない。どうか私たちの事を信じて欲しい」

高木「そして、此処で皆んなに一杯優しくし、優しくされるといい。そんな温かいものの積み重ねがきっと君が抱える重みを軽くしてくれる」



一方通行「…………」

高木「と、君の保護者の方なら言うのではないかな?」

一方通行「…………もォ言われたよ。同じようなことを」

高木「そうか、良い人に巡り会えたんだね君は」

一方通行「オレにはもったいねェぐらいだよ……」

響(いぬ美の散歩をしてたら社長と一方通行が密会してたぞ……)コソッ

高木「どうだい、私の解答は終わりだが納得してくれたかな?」

一方通行「……あァ」

響「ッ!?」

響「社長ッ!!」

高木「ん?」クルッ

響「弱い者イジメはやめるさーっ!!!」ポカポカポカ

高木「イタタタ!な、何を言っているんだね我那覇君!?」

響「だって一方通行泣いてるぞ!社長が泣かしたんだろ!?」

一方通行「バッ!泣いてねェよ!!ぶっ殺すぞてめェ!!!」

響「嘘つけ泣いてたぞ!」

一方通行「泣いてねェッつってンだろ!!」

高木「ほら、どうだい一方通行君。彼女たちは良い子ばかりだろう。君の人生はきっとこれからもっと楽しくなるよ」

一方通行「期待しねェでおくよ……」

響「あれ……何さーこの空気は?」



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〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「ふゥ…………」ゴロン

黄泉川『そのくだらないものの積み重ねがお前の負債を返済していくじゃんよ』

一方通行「……」

一方通行「チッ、黄泉川の作った飯、久し振りに食いてェなァ………………」スヤァ


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数週間後


律子「おめでとう一方通行!新人のくせにやるじゃない!」バシンッ

一方通行「痛ェ」

千早「まさかホントに全部オーディション通るなんて」

一方通行「別にオレは何もしてねェよ。やったのは貴音だ」

小鳥「もー、謙遜なんかしちゃって」



律子「素直に喜びなさいよ。それにアンタが来てから事務仕事が格段に楽になったんだから」

亜美「ふ〜ん、そうなの?」

律子「そうよー?ホームページも以前に比べて見やすくしてくれたし」

一方通行「つゥかオレが来る前が色々お粗末過ぎたンだよ。どォ考えても効率的じゃねェし、セキュリティの面も……」ブツブツブツブツ

千早(何を喋ってるのかしら)

小鳥(仕事が簡略化したからこそサボりポイントがことごとく消えていったんだけどね……)

亜美「やるねぃ兄ちゃん!伊達にハート柄に包まれて寝てないね」

一方通行「……なンで知ってンの?」

亜美「んっふっふ〜。ちょっと前に真美隊員から就寝中の兄ちゃんの写メが送られて来たんだよー」パカッ

一方通行「はい、削除ォ」ピッピッ

亜美「あぁっ!?何すんのさー!!」

一方通行「あのガキ、そォいや一回だけやたら早くここに来てた時あったな。こォいう事だったのか」

亜美「いっくら消しても無駄だよ兄ちゃん?真美からまた送ってもらえばいいだけだし!」



一方通行「その画像も消しゃいいだろォが」

律子「それは手間かもね。アンタの画像全員に送られてたし」

一方通行「は?」

千早「あ、そういえば来てたわねそんなメール。どう返信しようか迷ったわ」

一方通行「最悪だわアイツ……」

律子「そんな恥ずかしいなら新しいの買っちゃえばいいじゃない。給料も出たでしょ?」

一方通行「駄目だ、せっかく社長が買ってくれたンだから無駄にする訳にはいかねェ」

律子「アンタ本当変なとこで義理堅いわよね……」

小鳥(まぁ私は写メより凄い一方通行君の恥ずかしい写真一杯持ってるけどね。着替えとか)

亜美「ていうか兄ちゃん、給料出たんならどっか家探せばいいじゃん」

千早「それもそうね」

一方通行「オレもそォ社長に言ったンだが」

小鳥「私が反対しました」



亜美「なんでー?」

小鳥「一方通行君はホントに荷物無しでこっちに来たから色々とお金が必要なのよ。スーツ代でかなりお金掛かっているし」

亜美「スーツぅ?そういうのって普通経費で落ちるもんなんじゃないの律っちゃん?」

律子「普通の、ならね」

千早「そういえば一方通行のスーツってオーダーメイドなの?」

一方通行「既製品じゃオレに合うサイズねェンだよ」

律子「それだけじゃないわ。亜美、一方通行に触ってみなさい」

亜美「ん?……!触り心地よっ!!」

律子「そりゃそうよアルマーニだものね……」ハァ

亜美「それって亜美でも知ってるブランドじゃん」

小鳥「カッコいいでしょ♪社長と一緒に選んだのよお」

律子「そして初孫の成人式の用意をする老夫婦の如くあらゆるオプションを付けまくったんですよねっ!」イラッ

小鳥「ろ、老夫婦は流石にヒド過ぎますよ律子さぁん……」

亜美「つまり、兄ちゃんのスーツにはメッチャお金掛かってるってことなんだね」

一方通行「あァ、そンで事務所に金を払ってもらうのは悪ィから建て替えって形にしてもらったンだ」



千早「成る程。だから住む所を借りられないのね」

千早(一方通行は無理に借金を負わされた感じね)

律子「まぁ、それにいつでも事務所に誰かが居るっていうのも不測の事態に対応できるから正直助かるのよ。だからまぁ私も一方通行がここに居ることに賛成したわけ」

千早「なるほど」

亜美(律っちゃんはそうなんだろうけど、多分ピヨちゃんは違うよね。ピヨちゃんのロッカー開けたら兄ちゃんの写真一杯あったし……)

亜美「ふむ、つまり兄ちゃん君はお金に困ってる訳だね?」

一方通行「まァ、そうだが。なンだよそのノリ」

亜美「ふー、では亜美の肩を揉みたまえ。10分で1000円やろう」チョイチョイ

一方通行「ざっけンな。そのチョンマゲ掴んで向いのビルまで吹っ飛ばすぞ」


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〜〜〜車内〜〜〜


貴音「今日はあの映画の撮影でしたね」

一方通行「あァ、セリフ覚えてきたか?ま、つっても一言二言だけどよ」



貴音「もちろんです。いかな端役であろうと意味のあるものですから」

一方通行「ふゥン、良い心掛けじゃねェか」

貴音「……」ジ-

一方通行「ンだよ、言っとくが今日は飯奢ンねェからなァ。奢る時はお前に何か仕事が決まった時って決めたから」

貴音「それは残念ですね。いえ、そうではなく……最近優しくなりましたか一方通行?」

一方通行「はァ?」

貴音「最近のあなたから発せられる気配は以前のように刺々しく無くなりましたから……そうですねその変化は一方通行がはぁと柄の枕と毛布に包まれていると判明した次の日からでしょうか」

一方通行「……お前マジで凄ェな」

貴音「えぇ、私も驚いております……まさかはぁと柄にそのような効能が隠されているとは……!」

一方通行「ウチのアイドルでまともな思考してンのって伊織だけだよな」

貴音「ふふっ、ほんの冗談ではありませんか一方通行」

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〜〜〜撮影現場〜〜〜

貴音「〜〜〜〜〜〜〜」

俳優「〜〜〜〜〜」

貴音「〜〜!」

カーットォ!!

一方通行(上手ェなァアイツ。こンなちょっとの役の為に役作りとかしてンのかな)

スタッフ「あ!765プロさん!!」タッタッタ

一方通行「ん?」クルッ

スタッフ「実はですね……」

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ーー

一方通行「という訳でお前の出番増加」

貴音「それは真ですか……?」

一方通行「あァ、監督がお前の演技見てただの脇役にすンのは惜しいからどうしても出番増やしたいってよ。良かったなァ」

一方通行「しかも、こっちにも時間の都合あンのに無理矢理やってもらって悪ィからってかなり美味しい役にしてくれるってよ」

貴音「時間の都合、ですか?……確か今日はこの仕事だけの予定では無かったのですか?」

一方通行「わざわざあっちから頭下げてンのに何の駆け引きもしねェでハイ、お願いします。じゃあ勿体ねェだろォ?」



貴音「ふふふっ、一方通行は悪い殿方なのですね」

一方通行「ンだァ?今頃気付いたのかよ」ニタァ

一方通行「つゥかおめェは大変だぞ?どンだけ出番増やされるかは知らねェがこの場でセリフ覚えてやンなきゃいけねェンだからなァ」

貴音「大丈夫です。一方通行が生んで下さったこの機会、無駄には致しません!」キリッ

一方通行「チャンスを生ンだのはお前自身さ。まァ終わったら飯奢っから頑張れよ……あァでも高ェとこはダメだ。せいぜい屋台の何かだなァ」

貴音「そんな事を気にしなくても良いのです。そのお気持ちが嬉しいのですから」

一方通行「そォかァ?じゃあ金無ェのはマジだから気持ちだけ受け取っといてくれ」

貴音「なっ!?」

一方通行「冗談だよ……車の時の仕返しだ」

貴音「一方通行はいけずです!」プンスカッ!



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜夜道〜〜〜

一方通行(チッ、あの女オレが会計済ましてる間にどっか行きやがった)キョロキョロ

貴音「………」

一方通行「……」

一方通行「おい、お前が見てる先には月しかねェぞ」

貴音「えぇ、ですから月を眺めているのです」

一方通行「そォいや、お前仕事終わりに月見てること多いよなァ。なンかあンのか?」

貴音「月を眺めていると心安らぎます。ご覧下さい一方通行、今宵の月のあの輝きよう……」

一方通行「くだらねェ。月なンていつ見ても変わンねェよ」

貴音「ふふっ、残念ではありますが一方通行らしいですね……今日はご馳走様でした一方通行。私は帰るとしますね」

一方通行「あァ?何言ってンだ送って行くに決まってンだろ」

貴音「独りで歩きたい夜もあるのです……それでは」



一方通行「あ、テメッ!……オイ!」

一方通行「……行っちまいやがった。チッ、月がなンだってンだよ?」ミアゲッ

月「…………」

一方通行「……高ェ所から見下ろしてンじゃねェぞコラ」ジ-


ーーーーーー
ーーーー
ーー

数週間後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「はい、その件はそちらにお任せしますので……はい……はい、よろしくお願いしますゥ」プッ

小鳥「貴音ちゃんのPV製作、順調そうね!」

一方通行「はい、最近は歌番組にも出れるよォになったし順調っすね」

小鳥「けど、演出とかも全部あっちに任せちゃって良かったの?」

一方通行「まァ、打ち合わせで目指す方向性は一緒って分かったし……それに全部任せる、つった方が信頼得れるかなって」

一方通行「あの製作会社小さいスけど、良いもん作る会社なンで長い付き合いしたいンすよ。うちのアイドルが売れればPV作る会社も有名になって金も入るだろォし」

一方通行「765プロの映像作品と言ったらあの会社、って成れたら言うこと無しっす」

小鳥「そうなの……色々考えてるのねえ〜。貴音ちゃんもDランクに上がったし、頼りにしてるわよ一方通行君!」

一方通行「うす」



一方通行(多分Cランクも結構直ぐに行けンな。問題はどのタイミングで他の奴をプロデュースするかだ……まだ貴音1人に専念した方がいいか?)

一方通行(ン?チッ!コーヒー切れてンの忘れてた)

一方通行「小鳥さン、オレコンビニ行きますけど何か買ってきます?」

小鳥「ううん、大丈夫よー。いってらっしゃい」

一方通行「…………てきます」ボソボソ

小鳥「ふふっ」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜外〜〜〜

一方通行「たまには新作のコーヒーもいいなァ」ニタァ

真美「兄ちゃん外であんま笑わない方がいいよ……」

一方通行「うォッ!?てめェ急に現れンなよ。学校は終わったのか?」

真美「うん……あ、兄ちゃん荷物持つよ!」ヒッタクリ!

一方通行「あァ?」

真美「兄ちゃんはお疲れのようですな〜、肩でもお揉みしましょうか?」



一方通行「何言ってンだおめェ?」

真美「いいからいいから」グイ

一方通行「触ンな」ググ

真美「……大人しくしてって」ググググ

一方通行「だァッー!!離しやがれ!マジでなンなンだよ!!」

真美「だって真美は兄ちゃんに恩を売んなきゃなんだよ!じゃないと兄ちゃん真美の事プロデュースしてくれないじゃん!!」

一方通行「はァ?……チッ、前も言ったがオレが成長したらお前が嫌がろォとプロデュースすンだよ。納得したンじゃなかったのかよ」

真美「した……けど」ウツムキ

一方通行「けどなンだよ?」

真美「もう……学校で双子の売れてない方って言われるのはやだよ……」

一方通行「…………」

一方通行「……チッ」ポパピプペ....プルルル

一方通行「あ、どォも!私765プロの……はい!はい!あの雑誌の件で貴音より適任の子がいるンですが」チラ

真美「え?」

一方通行「えェ!それはもちろン……そうです、今絶賛売り出し中で……」ガシガシ

真美「うわっ!ちょっとぉ〜///」




一方通行「はい、プロフィールをお送りしますンで……はい……はい、失礼します」パタン

一方通行「これから二度と周りからそンなナメた事言わせねェ……絶対ェにだ」

真美「うん……」

一方通行「だからよ……その、アレだ……元気出せよ」ポリポリ

真美「兄ちゃん兄ちゃん兄ちゃああん!!」ダキッ

一方通行「ぐっ!?」

真美「真美これからメッチャ頑張るよ兄ちゃん!!」

一方通行「あァ、じゃねェと困る。わかったから離れろ」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「つゥことで、お前に取れる時間少なくなったから」

貴音「はい……仕方ない事とは言え少々寂しくなりますね」

一方通行「チッ、お前が寂しいのは奢りで飯食えなくなることだろ」

貴音「ふふっ……両方、と言っておきましょうか」

真美「ごめんねぇお姫ちん〜」

貴音「真美が謝る事ではありませんよ」ナデナデニコッ

真美「うあうあ〜」



やよい「うっうー!良かったね真美!!」

真「けど良いなぁ2人とも……プロデュースしてもらえて」

一方通行「あァ、その事なンだけどよ。お前らにもこれから仕事取ってくることにした」

真「本当に!?」

一方通行「あァ、流石にでけェ仕事はまだ1人で任せらンねェけどよ……お前らだけでも出来そォな仕事とかオーディションをオレが紹介するって形で」

雪歩「ふ、不安です」

一方通行「もちろン自分で無理そォだとか気に食わねェって判断したら断ってくれていい。どのみちお前ら全員プロデュースってなっても何人かはオレが付いて行けねェ場合があるだろォし」

一方通行「今の内にそォいう1人で自分の分相応な仕事を取捨選択する技術を学ンどいてもらいてェンだ」

一方通行(売れてねェって嫌な思いしてンのは真美だけじゃねェはずだ……確かに大変になるだろォが全員プロデュースだって結局はオレが無理すりゃそれで済む話だ)

貴音「……」

一方通行「別に平気だからこっち見ンなよ」

貴音「まだ何も言ってませんが」

春香「2人ともすっかり仲良しだね」

一方通行「チッ、じゃあ取り敢えず仕事割り振っからメモれ」



一方通行「まず貴音、は前言った予定に変更はねェ。お偉いさンが居るよォなウザッてェ仕事ン時はオレも同行する」

貴音「助かります」

一方通行「次、真と響。おめェらは近い内に開催されるダンスコンテスト荒らしてこい」

響「ダンスコンテスト?」

一方通行「あァ、プロの連中がゴロゴロ居るその筋じゃ有名なコンテストらしい。規模もでけェから注目度高けェぞ」

真「そんなとこにアイドルのボク達が行っちゃっていいの?」

一方通行「参加条件は特に指定されてねェからなァ」

響「プロのダンサー達と勝負するのか、ちょっと不安だぞぉ……」

一方通行「平気だよ、おめェは完璧なンだろ?」

響「そ、そうさー、自分は完璧さー!!」

一方通行「お前ら全体練習でダンスやってる時、周りに合わせるために結構セーブしてンだろォ?そのリミッター外しゃあ優勝は言い過ぎかもしンねェけどイイ線行ける」

響「何言ってるんだ一方通行、やるからには優勝だぞ!」

一方通行「まァ、それに越したことァねェな。曲は自分達で決めていいぞ。振り付けはトレーナーと相談しながら決めてくれ」

真「くぅぅぅぅ、燃えてきたああ!!」

美希「ミキ、応援しに行くね真クン!」



一方通行「おめェは読モのオーディション受けてこい」

美希「読者モデルならアイドルになる前からミキ何回もなってるよ?」

一方通行「それは街角スナップ、みてェなコーナーだろ?オレが言ってンのはその雑誌に契約されるモデルになってこいっつってンだ」

美希「それ、何が違うの?」

一方通行「全然違ェよ。まず金貰えるし、定期的に雑誌に載るしなァ。後そこで有名になりゃあブランドの方からこの服着ろってお願いしてくる。ファッション誌は好きなの選べ。お前いっつも事務所で見てンだろ?」


美希「けど、ミキが見てる雑誌はミキくらいの年の子載ってないよ?」

一方通行「だがその雑誌に年齢制限なンてねェンだろ?しかも読モは入れ替わり激しいからチャンスもある。良かったな。お前が第一人者だ」

美希「あはっ、それって面白そうかも!」

一方通行(自分が興味ある事だったらコイツも本気出すだろ)

一方通行「次千早、お前はラジオのパーソナリティーな」

千早「私がラジオ?1人で?」



一方通行「いや、お前の役目はメインパーソナリティーじゃなくてサポートの方。あずささンが今度からやるラジオのな」

千早「あずささんの……」ホッ

一方通行「あずささンからの指名だ。内容はリスナーからリクエストされた曲を2人が歌う、っていう感じらしい」

千早「それは凄く楽しみね」

一方通行「あァ、詳しい段取りとかは律子から話すっつってたからそれを待っててくれ」

千早「わかったわ」

一方通行「じゃあ次やよい。やよいはヒーローショーの司会のオーディション」

やよい「司会ですかっ!?私に出来るんでしょうか〜」

一方通行「そォ難しくはねェと思うぞ?多分これガチの司会じゃなくて怪獣に襲われる役込みだろうし」

やよい「そうなんですか」

一方通行「あ、怪獣とか、もしかして怖ェか?」

やよい「いえ!ヒーローさんが助けてくれるから大丈夫でーすっ!」

一方通行「そォかよ」フッ
パシャッ!
真美(あんな笑い方すんだ)

春香(一方通行ってやよいにだけは優しいよね)



一方通行「次雪歩。お前は貴音と一緒に詩の朗読会な」

雪歩「四条さんと!」キラキラ

一方通行「お前ポエムとか好きなンだろ?なら読むのとかも得意だろ。声も良いし……まァ扱いは貴音のバーターみてェになるけど」

雪歩「いえ!四条さんのバーターなんて光栄です!!」

一方通行「そ、そうか」

貴音「共に参りましょう萩原雪歩」ファサッ

雪歩「はい!」キュッ

一方通行「……次春香。春香は、CDショップの前でCDの手売りな」

春香「うん、頑張るね!」

一方通行「……なンで私だけこンな仕事なの!とかねェの?」

春香「え、なんで?手売りだったらCD買ってくれた人ともお喋り出来るし、私そういうの好きだし……」

一方通行「お前って何気にえらいよなァ……」シミジミ

春香「えへへ、そうかなぁ」テレテレ

一方通行「一応言っとくが、お前に出来そうなオーディションがねェわけじゃなくて敢えてCDの手売りをしてもらうだけだからな?安心してくれ」

春香「どういうこと?」



一方通行「お前らの中で春香だけはどォいうアイドルにプロデュースするかもう決めてンだ」

春香「そうなの?」

一方通行「あァ。おめェにはみんなから親しまれる正統派アイドルになって欲しいから、そォいう泥臭い下積みをしてきたっつゥバックグラウンドが欲しいンだよ」

春香「なるほどー」

一方通行「だから最初の方は他の奴らより華やかな仕事は少ねェかもしンねェ。嫌だったら……」

春香「大丈夫だよ!それに私CDの手売りのお仕事を泥臭いなんて思わないし……一杯売れるかどうかはアレだけど」

一方通行「そォか。ま、仕事ン時は小鳥さンが同行してくれっから安心しろ」

一方通行「で、真美はオレが鬼のように営業してくっからそれに備えてろ」

真美「アイアイサーだよ兄ちゃん」ビシッ

一方通行「まァ、こンな感じか?……あァ、仕事先でトラブルあったりヤバそォだったら速攻で電話しろ」

一方通行「後、権力ある奴に何か下衆いこと言われても絶対ェ従うな。信用出来そォな奴に何か誘われても返事する前にまずオレに電話しろ……わかったな?」

全員「はーい!」

一方通行「良し、じゃあミーティング終了ォ、解散」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数日後

〜〜〜収録現場〜〜〜


真美「お疲れ様でしたー」ペコ

一方通行「良い感じだったぞ。次もお前に頼むってよ」

真美「マジで!?やったよ兄ちゃん!!」ピョンピョン

一方通行「おォ良かったなァ。つゥかお前中1にしてはスタイル良いから中坊向けのファッション雑誌とかハマり役かもな」

真美「そうかなぁ、スタイルならミキミキの方が真美よりグンバツだよ?」

一方通行「あいつは中坊に見えねェからダメだろ」

真美「たしかに」

一方通行「これからもっとお前に仕事来ンぞ。中学生アイドルって数が少ねェみてェだからなァ」

真美「そうなの?」

一方通行「ネット調べた限りだから、目立たねェだけで人口は多いかもしンねェがお前の壁になりそォな奴はいね……いや、いるか1人」

真美「えぇ!?誰々?帰国子女のボンキュッボンとか?」

一方通行「おめェの女のステイタスってスタイルなのな……そうじゃなくてウチに凄いのがいンだろォが。竜宮小町の双海亜美だよ」

真美「あ……」



真美「亜美と仕事を取り合うってこと……?」

一方通行「ただ単純に有名な中学生アイドルは誰だって話だ。そこまでエグい事にはなンねェだろ流石に。製作側からしても双子のアイドルなンてセットで揃えてェだろォし」

真美「でも真美は竜宮小町に入れなかったよ?」

一方通行「それは律子がお前らを単なるセットで終わらせたくなかったからだろ。双子のまま有名になったら2人での仕事ばっかになりそォだし、真美は真美、亜美は亜美の良さを引き出したかったンじゃねェの?」

真美「亜美にない真美の良さってどこさ?」

一方通行「あァ?……まだわかンねェよ、サイドテールとか?」

真美「兄ちゃん適当過ぎっしょ!!」

一方通行「ちゃンとおめェの魅力引き出してやっから心配すンなよ。おら次の現場さっさと行くぞ」

真美「あっ、じゃあクレープ屋寄って!前にあずさお姉ちゃんがここの近くに美味しいクレープ屋があるって言ってたんだ〜」

一方通行「嫌だめンどくせェ」

真美「あ〜贔屓だ!!お姫ちんには奢るくせにぃ」

一方通行「チッ、あの大食らい女ベラベラとッ…………!」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜公園〜〜〜


一方通行「店って路上販売かよ」

真美「ん〜〜♪」パクパク

真美「兄ちゃんも食べる?メッチャ美味しいよ!」

一方通行「いらねェ。見てるだけで胸焼けしそォだ」

真美「缶コーヒーばっか飲んでると白い髪の毛が真っ黒になっちゃうよ」

一方通行「別にこだわりねェよ」

真美「うっそだぁー、その割にはサラッサラじゃん。ほらこんなにも!」サラ-ン

一方通行「さっわンなうざってェ!」イラッ

ザワザワザワ

一方通行「?」

「おい、あれ!」
ザワザワ
「うわ亜美ちゃんじゃねえの?」
ザワザワ
「亜美テレビより可愛い!」
ザワザワ
「俺サイン貰ってきちゃおっかな」
ザワザワ
「何かの撮影か?」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜公園〜〜〜


一方通行「店って路上販売かよ」

真美「ん〜〜♪」パクパク

真美「兄ちゃんも食べる?メッチャ美味しいよ!」

一方通行「いらねェ。見てるだけで胸焼けしそォだ」

真美「缶コーヒーばっか飲んでると白い髪の毛が真っ黒になっちゃうよ」

一方通行「別にこだわりねェよ」

真美「うっそだぁー、その割にはサラッサラじゃん。ほらこんなにも!」サラ-ン

一方通行「さっわンなうざってェ!」イラッ

ザワザワザワ

一方通行「?」

「おい、あれ!」
ザワザワ
「うわ亜美ちゃんじゃねえの?」
ザワザワ
「亜美テレビより可愛い!」
ザワザワ
「俺サイン貰ってきちゃおっかな」
ザワザワ
「何かの撮影か?」

真美「…………」

一方通行「……」チラ

一方通行(プロデューサーなンて立場じゃなかったらコイツ等全員今すぐにでもミンチにしてやンのによォ……!まァプロデューサーじゃなかったら殺意も湧かなかったわけだが)

一方通行「おい、そろそろ行くぞ?残りは車で食え」

真美「うん……」

青年「あの!」

真美「!」ビクッ

青年「亜美ちゃん良かったらサイン下さい!!」

真美「あ、あの……まみっ、わ、私は……」オロオロ

一方通行「おい……突っ立ってねェで道ィ開けろや糞野郎」ギロッ

一方通行(我慢我慢我慢我慢ガマンがまんガマンがま……)

青年「ひっ」

一方通行「行くぞ」グイ

真美「う、うん」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜車内〜〜〜

一方通行「……」

真美「……」

ブオォーン



一方通行「……クレープ食わねェの?」

真美「いらない」ウツムキ

一方通行「ならくれよ」ヒッタクリ

真美「胸焼けはどうしたのさ兄ちゃん」

一方通行「……」モグモグ

一方通行「ウェッ……女ってのはなンだってこンな甘いもン食えンだァ?」

真美「何それ自分から食べといて、兄ちゃん変な顔w」プッ

一方通行「うるせェな、他に今すぐお前を笑わせられる方法が思いつかなかったンだよ」

真美「えっ…………兄ちゃんキザ過ぎwww」

一方通行「……」イラ

真美「でも、ま……ありがと。ちょっと元気出たよ」

一方通行「これから楽しみじゃねェか」

真美「ん?」

一方通行「さっきみてェな雑音が、マミチャンカワイイー、とかに徐々に変わって行くのを体験できるってのは」

真美「変わるのかな?」

一方通行「何の為にオレがいると思ってンだ」

真美「兄ちゃん……」

一方通行「だからこのクレープの残り食え」ヒョイ



真美「えぇー、結局それがしたかっただけぇ?」

一方通行「違ェよ!お前とオレでてっぺん取るまでその糞忌々しい悔しさの味忘れンなって事だ……ンで、トップアイドルになったらまたあそこに食い行こうぜ……2人でよ」

真美「!……」バクバクバクッ

真美「真美、この味忘れないよ兄ちゃん」ニッ!

一方通行「あァ、オレも忘れねェ」ニッ

一方通行「じゃあ千里の道も一歩からだァ、次の仕事も気合入れてくぞ」

真美「うっうー!」

一方通行「パクってンじゃねェよ」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

一ヶ月後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜

亜美「たっだいまぁー」バシ-ン!

律子「ドアは静かに開けなさい」

小鳥「あ、おかえりなさい」

貴音「おかえりなさいませ」

伊織「あら?今日は2人だけ?」

小鳥「みんな仕事に行ってるのよ」

亜美「えーそうなのー?ちぇ、せっかく久しぶりにこんな長い時間事務所いれるのに」




あずさ「最近はみんなもちょっとずつ忙しくなってきてるものね」

律子「全員Dランクですからね。一方通行様様よ」

小鳥「けど竜宮小町もBランクになったじゃないですか。流石は律子さんです」

伊織「当然よ!むしろ遅過ぎたくらいだわ」

律子「色々準備期間があったんだからしょうがないでしょ?」

亜美「準備?何の?」

律子「ふっふっふっ、まだ秘密よ」

あずさ「気になります〜」

律子「今はそんな事より今日の仕事!と言っても現場入りまでかなり時間あるから自由に休んでて」

亜伊あ「はーい!」

亜美「あ、そうだ。お姫ちん!」

貴音「何ですか亜美?」

亜美「兄ちゃんのお話してよー」

貴音「一方通行の事をですか?」

亜美「だって亜美たち竜宮で忙しいからあんま兄ちゃんと話せないんだもん。兄ちゃんが来てから結構経つのにさー。みんなん中で一番詳しいのお姫ちんっしょー?」

小鳥「確かに一方通行君と一番長い時間いるのは貴音ちゃんかしらね」

あずさ「あら、それ私も聞きたいわ〜」

伊織「ふぅん、面白そうじゃない。暇潰しに話してよ」

小鳥「そうね。私も興味あるわ」

律子「小鳥さんはいっつも会ってるでしょうが。ナチュラルに混ざってないで仕事して下さい!」カタカタカタッ

小鳥「……」カタ....カタ..カタ



貴音「話ですか……そうですね。あ、基本的に肉類しか食しませんね」

あずさ「あんなに細いのに!?」ガタ-ン!

亜伊「!?」ビクッ

貴音「はい。かなりの偏食家で野菜などは一切口にしません……甘味も口に合わないようです」

亜美「で、飲み物はコーヒーしか飲まないんでしょ?兄ちゃんの健康状態はどうなってるんだろうね」

貴音「あぁ、飲み物なら雪歩が淹れるお茶は飲みますよ」

伊織「へぇ、意外ね」

亜美「ね、こンなン飲めるかァ!とか言って目の前で捨てそう」

貴音「一方通行はそういう事はしませんよ……いえ、そういえば一回ありましたね」

あずさ(特別なダイエット法とかあるのかしら)

亜美「聞きたい聞きたい!」

貴音「春香が間違えて私達の為に作ってきたお菓子を一方通行の為に苦めに作った物と間違えて一方通行に渡してしまったのです」

伊織「それだけで捨てたの?」

貴音「本来の一方通行はこの程度では怒りません。その前日に春香と真美と響が共謀し、一方通行がどの程度の甘さまで食せるかを無理矢理試していたのです」

亜美「あぁ、それムービーを家で真美に見せてもらったことある」

貴音「その経緯があったため、一方通行は春香から渡されたお菓子は自分への宣戦布告だと思い、お菓子が入った袋を春香の顔面に叩きつけたのです」



伊織「何してんのよアンタ達……」

亜美「顔面とかwwww」

貴音「後は真のトレーニングに付き合ったり……雪歩の為に女装した時もありましたね」

亜美「女装!?」

あずさ「まぁ!」チラッ

小鳥「もちろん撮ってあります!後でお見せしますね」カタカタ...タッ-ン!

貴音「あの状況で……良く撮りましたね小鳥嬢」

伊織「どういうことよ?」

貴音「そもそも、男性が苦手な雪歩の為の特訓の一環で女装をしたのですが……」

亜美「したのですが……?」

貴音「一方通行は雪歩の前でしかその姿を見せなかったのです」

伊織「?別に普通じゃない」

貴音「正気ですか水瀬伊織?あの一方通行が女装をしたのですよ。そしてその後の雪歩の感想が私達の欲求をより強く駆り立てさせました」

伊織(まだそんな親しくないんだからわかんないわよ)

あずさ「どんな感想だったの?」

貴音「あの姿を見れないなんて正直言って可哀想……あの雪歩がそこまで言ったのです」

亜美「それでみんなで特攻したんだ?」

貴音「如月千早を除いて、ですがね」



伊織「え、やよいも?」

貴音「やよいは春香の発案で一方通行の怒りを鎮める要員として同行してもらいました」

伊織「……」

あずさ「それで、どうなったのかしら?」

貴音「あの惨劇は口にしたくはありません」

亜美「そりゃないっしょー」

貴音「そうですね……私が恐怖のあまり泣いたくらいと言えばわかるでしょうか」

亜美「えぇ!?」

伊織「アンタが泣いたの!?」

律子「本当ですか?」ボソボソ

小鳥「いえ、横一列に並ばされて1人1人その写真データを携帯から削除させられたくらいです……まぁ本当にそれくらい怖かったですけど」ボソボソ

あずさ「一方通行ちゃんって怒ったら怖い子なのね」

貴音「いつもは優しいですよ。良く気を遣っていますし」

伊織「そういう話をしなさいよ」

貴音「それは一方通行から口止めされていますので」

伊織「何よそれ?」

貴音「はぁ、何でもプロデューサーがアイドルに優しくするのは当たり前なのだからその様な事をわざわざ口にするな、と」

亜美「筋が通っているというか通っていないというか?」

あずさ「一方通行ちゃんは照れ屋さんなのね。そういうのって可愛いわぁ」

小鳥「あぁ、それ分かります!この前なんか……」

律子「手を止めないで下さいよぉ」ビキビキ



亜美「けどいーなーみんな。兄ちゃんと遊べてさっ」

律子「あら、私じゃ不満かしら」

亜美「だって律っちゃん厳しいじゃん!」

伊織「確かにね」

律子「……次のレッスン楽しみね」

亜美「うあうあ〜!そりゃないよ〜」

あずさ「あ、あら〜」

貴音「では一方通行にめぇるをしたためるというのは如何でしょう?真美や美希は良く送っていますよ」

亜美「あー、なるほどね」パシャ

伊織「…………何撮ってんのよ」

亜美「いやぁ、兄ちゃんに構って貰えないからいおりんが拗ねてるぞっ、て送ろうと思って」カチカチカチ

伊織「ちょっと!勝手な事しないで!」

亜美「んっふっふ〜、もう送っちゃったよ〜ん」ピロン

亜美「返信はや……構って欲しいのはお前だろうがだってさ」カチ...カチ

貴音「見事に看破されていますね」

伊織「……」

亜美「あ、後オレンジジュースとサイダーと紅茶が冷蔵庫にあるから勝手に飲め、だって」

あずさ「まぁ♪」

伊織「あいついっつも用意してんの?」



小鳥「みんなの好みのジュースはいっつも用意してるわね」

伊織「……バッカみたい」

亜美(でも飲むんだ)

律子「私には?」

亜美「ん、ちょっとまって……律っちゃんがキレた、と」カチカチカチ.....ピロン

亜美「お前は勝手にオレの飲んでんだろうが知ってんだぞ!?だってさ」

律子「飲んでいいってことよね」

小鳥「お茶休憩にしましょうか♪」

律子「は?」

小鳥「……」カタ..カタ....カタ..

伊織「私は少し寝ようかしら……行く時になったら起こして」

律子「わかったわ」

ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜応接室〜〜〜

伊織「……」

伊織(何だかここも一気に生活感溢れる場所になったわね。まぁあいつが寝泊まりしてるんだから当然だけど)



伊織(どうせだから枕とか使わせてもらおう…………美希の匂いがする。アイツもここで寝てんのね)

伊織(にしても凄い寝心地良いわねこの枕……あぁ……もう寝そう……)

ーーーーーー
ーーーー
ーー

律子「伊織!起きなさい!早く!!」

伊織「ひゃっ!?なによぉ」グズ

律子「早くしないと飛行機の時間間に合わないのよぉ〜」オロオロ

伊織「!!何でもっと早く起こさないのよ!?」ガバッ

律子「事務所の時計の電池が切れてたのよ!」

小鳥「申し訳ないです……」

伊織「別に小鳥のせいじゃないでしょ。電池がいつ切れるかなんてわかんないんだし」

小鳥「伊織ちゃん……」

小鳥(天使だわぁ)

律子「ほら、用意したんならさっさと行くわよ!?じゃあ小鳥さん私達行ってきますね!」ダッ

亜伊あ「行ってきまーす!」ダダッ

小鳥「お、お気をつけて〜」

ーーーーーー
ーーーー
ーー



真美「たっだいまー!」バシ-ン!

一方通行「ただいま戻りましたァ」

小鳥「おかえりなさい」

貴音「おかえりなさいませ」

真美「ふぅ〜、今日も疲れたねぇ兄ちゃん!」ドスン

一方通行「あァ、主にお前のボケの相手がなァ」

真美「なんだとぉ!!」

一方通行(もォ今日は仕事ねェしスーツ脱ご)

ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜応接室〜〜〜


一方通行「ふゥ」ヌギヌギ

一方通行「あン?」チラッ

一方通行「…………なンでこンなとこいンだシャルル?」

シャルル「……」グッタリ



〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


真美「……でねー」

貴音「そうなのですか」

小鳥「ふふ」



一方通行「小鳥さン!!」

小鳥「ッ!?」

貴音「なんと!?」

小鳥(スーツ脱ぎかけだとぉっっ!?)

真美「うあうあ〜、兄ちゃんセクハラだよぉ〜」

一方通行「律子達今日飛行機で大阪ですよね?」

小鳥「は、はい///」ニヘラ

小鳥(いつも盗撮してるけど、そんな近付かれると……!)

一方通行(普通に届けても間に合わねェよなァ……こっちで預かってるってメールすりゃ済むか?いや、ガキの頃ずっと一緒に居るンだから無ェだけで不安だよな)

一方通行「ちょっと出てくる……」

真美「行ってら〜」

貴音「行ってらっしゃいませ」

小鳥「ふへへぇ///」トリップ!


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜外〜〜〜

一方通行(人に見られねェように行かねェとな……雲の上まで行けば平気だろ)

一方通行「クカカッ!何気に久し振りじゃねェかァ能力使うのも。学園都市第一位様ともあろォもンがよ」ゴウッッッ

一方通行「待ってろやシャルル、直ぐにご主人様のとこに連れてってやるからよォ!!」ビュンッ!!

シャルル「……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜飛行機〜〜〜

伊織「ッ!?」キョロキョロ

亜美「どったのいおりん〜?」

伊織「な、なんでもない……」

伊織(どうしよう……シャルルがいない……何処で置いてきちゃったの?車の中?事務所?そうだ!電話……飛行機じゃ無理だわ……シャルル)ジワァ

ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜空港〜〜〜

あずさ「ふぅ、やっぱり長距離移動は疲れますね」ノビ-

律子「そうですねぇ……ん、伊織?」

伊織「私ちょっと電話してく……」

一方通行「伊織!!」

亜美「え、兄ちゃん?」

伊織「……っ!シャルル!!」

一方通行「ほら」

伊織「シャルル!ごめんねシャルルゥ!」ウルウル

一方通行「事務所に忘れてたからよ。大事な相棒なンだろ?」

伊織「だから届けてくれたの?」

一方通行「いなきゃ不安だろ?」

伊織「その…………あり…………がと///」ボソッ

一方通行「いちいち礼なンか言うなよ。アイドルの為にプロデューサーが動くのは当然だろォが」ナデ

伊織「な、撫でないでよ!」

亜美「あぁ!シャルルがいないから様子が変だったのか」

律子「一方通行!?こっちで仕事なんか無いわよね!?」

一方通行「あァー、うンいやァ」

律子「何よ……」

あずさ「一方通行ちゃんも迷子かしら?」

一方通行("も"ってなンだ?)



伊織「……パパが新しくきたプロデューサーがどんな男か見定めたいって言うから一方通行はここまで無理矢理連れてこられたのよ」

亜美「そうなの?」

伊織「私もパパも今日ぐらいしか空いてる予定ないから」

亜美「え、じゃあシャルルは?」

伊織「私が散々そんなの嫌って言ったから人質に取られたのよ」

あずさ「そうだったの」

伊織「だからちょっと10分くらい空けるわね?パパも空港にまで来てると思うから」

律子「あぁ、じゃあ私もご挨拶に……」

伊織「いいわよ来なくて!ほら、行くわよ一方通行!」グイ

一方通行「お、おゥ」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

一方通行「あァー、ありがとなァ。誤魔化してくれたンだろ?」

伊織「別にいいわよお礼なんて」

一方通行「言い訳としては無理あったけどなァ」

伊織「うっさい!!」

一方通行「お前マジでシャルル取られたりとかしてンの?」



伊織「そんな事されるわけないでしょ」

一方通行「そォか、そいつァけっこう」

伊織「されてたら何なのよ?」

一方通行「あァ?そりゃあお前お父様と徹底抗戦だろ」

伊織「個人のアンタが財閥に?」

一方通行「資金力とかじゃボロ負けだが戦闘力じゃ小国くらいじゃオレを止めらンねェよ」ケタケタッ

伊織「飛行機に乗ってる私達より速く移動できるくらいだものね。実際どういう手品使ったのよ」

一方通行「それは……トップシークレットだ」

伊織「はぁ?」

一方通行「任務は達成したしオレはもう帰る。仕事頑張れよ?それとこの件はもォ気にすンな。魔法に掛かったとでも思っとけじゃあな」スタスタスタ

伊織「あ!……何なのよもう」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「……」

貴音「……どうしました一方通行?」

一方通行「いや、口癖みてェなもンは移るンだなって」

貴音「はて?」

一方通行「こっちの話だァ気にすンな」




ーーーーーー
ーーーー
ーー

数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「……」グッタリ

一方通行(最近疲れが出てる気がする……あいつら仕事色ンな種類あるからなァ……初対面の人間と喋ンのって疲れが溜まンだよなァ)

律子「ちょっとー?何寝てんのよ」

一方通行「あー」グッタリ

小鳥「もしかして具合悪い?」

一方通行「いや、ちょっと疲れただけ……です」

律子「コーヒー取ってきてあげましょうか?」

小鳥「え?」

律子「何です?」

小鳥「いや、いつもの律子さんなら怒るかなって」

律子「そんないつも怒りませんよ……それに一方通行はちゃんと仕事はしてますからね」

小鳥「はは」



律子「そうだ、一方通行はユニットを作る気ないの?」

一方通行「ユニット?」

律子「えぇ、個々のプロデュースをするのもいいけどユニットをプロデュースするのもいいんじゃない?」

一方通行「ユニットかァ……考えてなかったなァ。つゥか今はそれより例の件だろ」

律子「その件ならご心配無く!……アンタも骨を折ってくれてるしね」

一方通行「別に同じ事務所なンだから当然だろ」

小鳥「社長も楽しみにしてましたよ!もちろん私も!」

一方通行「つか、さっさと全員に言……」プルルル…ピッ

一方通行「はい……ッ!?はい、分かりました。いえ、申し訳ございませン。……失礼します」

一方通行「出てくる……」

律子「ち、ちょっと、何事よ!?」

一方通行「美希がオーデション会場から消えたってよ」

小鳥「えぇ!?」

一方通行「捜してくる。入れ違いでアイツが帰ってきたら教えてくれ」バタン

律子「美希……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜外〜〜〜


一方通行(取り敢えずオーデション会場の近くに来ては見たが……)キョロキョロ

一方通行(まァ、見つかンねェよなァ……あの女携帯の電源も切ってやがるし……まさか何かの事件に巻き込まれた?)

一方通行(……どォする?だとしたら何か手を考えねェと……あ?あそこの河原に倒れてンの……)ドンッ!!

一方通行「美希ィィ!!!」ザザ-ッ

美希「っ!?」ガバッ

一方通行「お前大丈夫か!?ケガはねェかッ!?」

美希「び、びっくりしたの」パチクリ

一方通行「そンな事よりケガは……」

美希「ケガ?美希はここでひと休みしてただけだよ?」

一方通行「寝てたってか?…………はァ、くっだらねェ」ゴロン

美希「何してるの?」

一方通行「お前のおかげで疲れがドッと出たから休憩してンだよ」

美希「ミキを連れ戻しに来たんじゃないの?」

一方通行「今更連れ戻した所でなァ……今回のオーデションは大作映画の主演だから、集中出来てねェお前じゃ確実に落ちる」



美希「オーデションの数合わせでミキを選んだんじゃないの?」

一方通行「はァ?何で自分の事務所のアイドルにンなくだらねェ事させなきゃなンねェンだよ。オレはお前なら行けると思ったから行かせたンだよ。一番最初にもそォ言ったろォが」

美希「そっか……」

一方通行「それがバックれた理由か?」

美希「オーデション会場にいた子たちが言ってたの……もう映画の主演は決まってるって。これは単なる出来レースだって。だからミキやる気なくなっちゃったの」

一方通行「何だと?……チッ…すまねェな。クソみてェなオーデション紹介しちまって」

美希「……サボっちゃったのは事実なの」

一方通行「……」

美希「ミキ、もう帰るね?」

一方通行「お前さ……アイドル楽しい?」

美希「全然。一方通行が来て少しは変わるかなって思ってたけどあんまり変わらなかったの」

一方通行「あァ、見ててわかる」

一方通行「ぶっちゃけよォ、いつまで立ってもお前の扱い方だけはわかンねェから聞くがお前のキラキラしたいって具体的になンなンだァ?どォやったら楽しくアイドル活動できンの?」



美希「ミキね……竜宮小町に入れてもらいたかったの」

一方通行「……」

美希「だからお仕事ミキなりに頑張ったけど律子…さんがミキは竜宮小町に入れられないって」

一方通行「それがやる気ねェ理由か?」

美希「うん、いくら頑張っても無駄なんじゃやる気なんて無くなるの」

一方通行「お前、まさか何で竜宮小町に入れねェのかわかンねェの?」

美希「分かんないよ!ミキ、ちゃんとやればデコちゃんにだって負けないよ!?なのに……律子はきっとミキの事嫌いなの」

一方通行「はァ……お前ダメダメだわ。色ンな意味で」

美希「一方通行もミキの事嫌いなんだね。じゃあほっといてなの」

一方通行「最後まで聞けや金髪毛虫」

美希「ミキ、毛虫じゃない」

一方通行「まず、一つ目。伊織を舐めすぎだ。ユニットのリーダーってのはプレッシャーが他よりあるもンだ。そンな中あいつは安定したクオリティ見せてンだ。あの年齢でな」

美希「……」



一方通行「まァ、もちろンあずささンと亜美のサポートあってこそなンだろォが。お前と伊織の決定的な差はプロ意識の高さだよ」

美希「プロ意識?」

一方通行「あァ、アイツはアイドルたるもの、って感じで行動してンだろ?それにアイツは常に求められるもの以上の成果を上げようとしてンだ」

一方通行「オレが律子でも765プロの中から選ぶとしたら迷わずリーダーは伊織にしたぜ?」

美希「ミキが竜宮小町に入れないのはデコちゃんに負けてるから?」

一方通行「…順に説明すっから待ってろ」

一方通行「二つ目。そしてこれがオレが一番言いてェ事だ。律子がてめェの事を嫌ってるわけねェだろォが!てめェ知能がその無駄にでけェ胸にいってンじゃねェのかッ!?なンならもうデカくなンねェよォに弾き飛ばしてやろうか!?あァッ!?」ギロ

美希「し、失礼だし、口汚すぎるの」

一方通行「悪かったなァ口汚くてェ。これが本来のオレの言葉遣いだ。てめェらの前じゃあ意識して抑えてンがなァ」

美希「……でも律子はミキのやる事にすっごい怒るし、ミキにだけさん付けを強要するの」

一方通行「それはお前が外で敬語使わねェからだろォが。律子が怒んのはそれだけてめェに期待してるって事だ。絶対ェ成功してもらいてェンだよお前には」

美希「それ本当?信じられないの」

一方通行「本当だっつってンだろ。律子はいっつもおめェの事心配してンだよ、事務所でも良く聞かれるしなァ」

美希「……」

一方通行「信じらンねェなら事務所帰って、リツコ!ミキノコトキライナノ!?って聞いてみろよ」

美希「それミキの真似?正直イラつくの」



一方通行「三つ目、オレだってお前の事が嫌いじゃねェよ」

美希「面と向かって嫌いって言える人は中々いないの」

一方通行「お前そンな疑り深い奴だったかァ?……ウチの事務所で一番才能ある奴はお前だとオレは思ってる」

美希「千早さんより?」

一方通行「あァ、一番最初にお前ら全員の歌とかダンス見たろ?上手いな、って思う奴は当然いたけど、心を動かされたのはお前だけだ。あの時点ではな」

美希「そ、そうなの?」

一方通行「そォだよ。オレだって暇じゃねェンだからやる気ねェ奴なンてほっときてェけどよ、お前の魅力がそォさせねェンだ。だからオレも律子も構うンだよ」

美希「嬉しいけど、みんな勝手だと思うな……」

一方通行「あァ?」

美希「ミキが何やっても、ミキなら当然、ミキなら出来るって言ってくるの。それでちょっと出来なかったら何で本気出さないの?って。ミキが努力してる事も知らないで」

一方通行「それだけお前を評価してンだろ?」

美希「そんなの言ってくんなきゃ分かんないの!」

一方通行「よォするに褒めて欲しいって事か?」

美希「ミキは褒められて伸びるタイプなの。でもみんなは褒めてくれないの」

一方通行「まァ確かに律子は褒めて伸ばすタイプじゃねェわなァ……ならオレが褒めてやるよ」

美希「一方通行は直ぐ怒りそうなの」

一方通行「そりゃお前が間違ってたらキレるが、頑張ったらお前が満足行くまで褒めてやる」

美希「本当?」



一方通行「あァ。で、次四つ目。お前が竜宮小町に入れねェ理由だ。それは……」

美希「……」ゴクッ

一方通行「お前の人格も技術も関係ねェよ。ただ単純に竜宮小町は3人ユニットって企画だからだ。つまり特に理由なンかねェンだよ普通に考えて」

美希「そういうものなの?」

一方通行「そォいうもンなンだよ」

美希「そっか……」

一方通行「五つ目」

美希「まだあるの?」

一方通行「お前オレが作るユニットのリーダーになれ」

美希「一方通行の?」

一方通行「竜宮小町になれねェなら竜宮小町並みの…いや、それを超える存在になりゃ良いじゃねェか」

美希「でも、一方通行はさっきミキにはプロ意識が無いって言ったの」

一方通行「ンなもン人気が出りゃ勝手につくだろ。それに言ったろ?オレはお前が一番才能あるって思ってるってよォ。嫌なのか?」

美希「ヤじゃないの!」ブンブンッ



美希「ミキ、竜宮小町見たいになれるかな。一方通行のユニットならキラキラできる?」

一方通行「お前らをキラキラさせンのがオレの役目だ」

美希「約束して?ミキをずっと、ずぅーっとキラキラさせるって」

一方通行「あァ、やってやるよ」

美希「じゃあハイ!指切りなの!」スッ

一方通行「あァ!?ンな事するかよ」

美希「一方通行の嘘つき……」ウルウル

一方通行「チッ、オラよォ!」キュッ

美希「あはっ!ゆ〜びきぃりげんまん……」ユビキッタッ!!

一方通行「満足かよ」

美希「うん………うん!ミキ、もっとアイドル頑張ってみるの!だからハニーはミキがキラキラしてるとこちゃんと見ててね!」

一方通行「ハニィだァ?普通そこはダーリンじゃねェのか?」

美希「ううん、ハニーはハニーなの!」

一方通行「つゥか勝手に人の呼び名変えてンじゃねェよ!」

美希「ミキやめないよ?あ、でもでも下の名前教えてくれたらそっちでもいいかも!」

一方通行「……ハニーでいい。それと取り敢えずお前がオレに一番最初に見せる姿はキラキラしてる姿じゃねェぞ?」

美希「?」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


律子「アンタ何考えてんのよ!!ホントにガミガミガミガミ……!!!!」ビキビキ

美希「ごめんなさいなの、もうしないの」シュン

一方通行(迫力がすげェな……)ドンビキッ

律子「いいえ!今日という今日は許しません!」

美希「律子…さんはミキの事が嫌いだからそんなに怒るの?」

律子「……っなわけ無いでしょっ!?嫌いだったらこんな怒んないわよ!!ガミガミガミガミ……!!」

美希「……」チラ

一方通行(だから言ったろォが)コクッ

律子「ちょっとアンタどっち向いてんの!?」

小鳥「ま、まぁ律子さん今日はそのくらいで……せっかく久しぶりに全員揃ったんですから」

律子「ダメです、美希には言いたい事が沢山……」

美希(ハ、ハニー……!助けてなの!)ウィンクッ

一方通行(長くかかりそォだしな……)

一方通行「もう十分だ律子。お前が言いたい事はここに来る前にオレが言ったからよ。それに今回はクソみてェな仕事を回したオレも悪ィンだ……ここらで勘弁してやってくンねェか?」

律子「……まぁ一方通行がそう言うんなら。別に私だって好きで叱ってるんじゃないんだし」

小鳥(律子さんの私と一方通行君への信頼の差がすごい)

一方通行「コイツもそこンとこは分かってる、なァ?」

美希「うん!ミキはもう律子とハニーに迷惑掛けないように頑張るって決めたの!」

全員「ハニー!?」



一方通行「……お前それ全員の前でも言うのかよ」

律子「早速迷惑の種が出来たんだけど……説明してもらえるかしら一方通行」

一方通行「説明って言われてもよォ……」

美希「ミキが一方通行はハニーって決めたの!だから誰に何を言われようと辞めるつもりないよ?」

真美「アイドルにプロデューサーが手を出してどうすんのさハニー」

亜美「ハニーは左遷決定っしょー」

一方通行「手ェ出すわきゃねェだろォが!」

美希「ちょっとー、ミキ以外がハニーの事ハニーって呼んじゃヤなの!!」

亜真美「えー」

律子「……」ギロッ

美希「す、凄んでも無駄なの」

律子「はぁ……絶っっっ対に仕事先でハニーって言うんじゃないわよ?一回でも呼んだらハニー禁止ね」

美希「了解なの!」ビシッ

伊織「ていうか、何で全員集められたわけ?話があるんならさっさとしなさいよ」



あずさ「もしかしてあの時仰ってた……」

律子「はい!じゃあ社長、お願いします!」

高木「うむ、実はだね……来月、765プロASライブを開催することになった!!」

全員「ライブ!?」

ワイワイ ガヤガヤ キャッキャッ!

律子(うんうん)ニコニコ

一方通行(いつも、いつの間にかいるよな社長)

小鳥(美味しい役目持ってくなぁ……律子さんに言わせてあげたらいいのに)

ーーーーーー
ーーーー
ーー

一方通行「つゥことで、今日からライブにかけては現状決まってる仕事だけやって後はレッスン漬けな」

亜美「竜宮も?」

律子「悪いけどアンタ達は番組から声が掛かる限り仕事してもらうわ。他の子達よりは大変だけど……」

伊織「何言ってんのよ!そんなの軽くこなしてやるわ!」

真美「言うねぃいおりん〜」

伊織「ふんっ、アンタ達も頑張んなさいよね……私だけ頑張ってもしょうがないんだから」



響「あったりまえだぞ!」

雪歩「みんなで初めてのお仕事楽しみです」

真「うん、だよね!まぁ……殆どのお客さんが竜宮目当てなんだろうけど。はは…」

一方通行「ファンなンて奪っちまえよ。ライブで」

あずさ「まぁ!今の聞きましたか律子さん?」

律子「流石、鳴り物入りで来ただけあって言うことが違いますねぇ……感じ悪い」

一方通行「なっ!?別に本気で奪えって言ったわけじゃ……」

あずさ「おしおきよっ♪」ムギュ

一方通行「むぐゥーっ!?」

一方通行(胸で……息吸えねっ……!)ジタバタッ

小鳥(うわぁ、私も一方通行君におしおきしてぇ……!)パシャパシャ

美希「ピピーッ!あずさは今直ぐハニーから離れるの!イエローカードなの!」グググッ

あずさ「あら〜、レッドカードじゃなくて良かったわぁ」スッ

真美「ライブかぁ〜」

亜美「今こそ亜美たちのジツリキを見せる時だね!」

やよい「わたし、上手くできるでしょうか……?」

貴音「大丈夫です、皆がついておりますよ」

千早「楽しみね……本当に」

春香「ねえねえ、みんなで円陣組もうよ!」



社長「良いねぇ、やりたまえ!!」

小鳥「ビデオとカメラの準備はオッケーです!」

律子(それはいつもじゃないですか小鳥さん)

春香「掛け声はどうしようか?」

響「えいえいおー、とかじゃないのか?」

亜美「え〜それだとあんま締まらないっしょー」

響「そ、そうかな?なら……」


あーだこーだ

ーーーーーー
ーーーー
ーー

10分後


一方通行(纏まりなさ過ぎンだろコイツら……)イライラ

一方通行「決まンねェなら円陣なンて辞めちまえようざってェ」

全員「……」

ガヤガヤガヤ

それはない!! 話に入ってくんなモヤシ!見損ないました……!いるよねー空気読めない奴って!残念かなーって ちょっと黙ってなさいよ!! いくら何でもヒド過ぎますぅ!

ガヤガヤガヤ

律子(うわぁ……女の子が大勢で話してるとこに割って入ったりするから……)



一方通行「あァァァッ!!マジでうざってェェェッ!!掛け声なンてもンはなァ!適当に765プロファイトー、とかでいいンだよ!!くだらねェ事に時間使ってねェでさっさとレッスンに行きやがれ!!!」

全員「……」

全員「それだぁ!!」

一方通行「あァ!?」

春香「じゃあ竜宮のリーダーだし、伊織が掛け声でいいよね?」

伊織「はぁ?春香が言い出しっぺなんだからアンタがやんなさいよ」

春香「えぇ!?でもぉ……」

千早「私も春香が良いと思うわ」

春香「千早ちゃん……みんなも?」

アイドル「……」コクッ

春香「///……じ、じゃあいくよ?765プロォ……ファイトォー!!」

アイドル「おぉーーー!!!」

小鳥「ふふふ」パチパチパチ

律子(絶対成功させてあげなくちゃね)パチパチパチ

高木「素晴らしい……!!実に素晴らしい!!」パチパチパチ

一方通行(最初っから意見すりゃ良かった)パチ…パチ



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数日後

〜〜〜レッスン場〜〜〜


トレーナー「ハイッ!そこでターン!!」

全員「はぁ……はぁ」クルッ

一方通行(結構仕上がって来たじゃねェか)

雪歩「あっ……」ドテンッ

一方通行(1人を除いてだが)

トレーナー「ストップ!」

雪歩「うぅ、みんなゴメンなさい」ジワァ

真「気にする事なんかないよ雪歩」

響「そうだぞ。最初の頃より上手くなったじゃないか」

雪歩「でも、私いつまでたっても……」

伊織「ふんっ、泣き言いってないでさっさと立ちなさいよ!」

真「伊織!!」

伊織「な、何よ!?出来ないなら出来るまでやるしか無いでしょ!?」



真「だからって……言い方ってものがあるだろっ!?」

やよい「あ、あの休憩にしませんか?みんな疲れててピリピリしてるかなーって」

伊織「じゃあ何よ!?優しくしたら上手くなるっての!?そんな訳ないじゃない!!」

やよい「い、いおりちゃん」オロオロ

雪歩「私、ライブ出るのやめます……!」

全員「……」

一方通行「……なに言ってンだァお前?」

雪歩「だって……ひっぐ、私がいるせいでみんながケンカして…ぐすっ……こんな私なら居ない方がいいんです」ポロポロ

響「そんな事ないぞ!自分たちは……」

貴音「響」スッ

響「貴音?」

貴音「何を甘えているのです萩原雪歩?水瀬伊織の言う通りです。私たちはアイドルなのですから出来ないのならば出来るまでやるしかないのです。あなたのそれは逃げなのでは無いですか?一度頭を冷やしてきなさい!」

雪歩「っ!!」ダッ

響「おい貴音!!」

一方通行「お前、真じゃねェけどよォ、もう少し言い方ねェのかよ……」ハァ



貴音「あの程度で折れる萩原雪歩ではありませんよ。それに……行ってくれるのでしょう一方通行?」

一方通行「チッ……」ポリポリ

貴音「頼りにしていますよ一方通行?真、心優しきプロデューサーを持って私たちは果報者ですね、ふふっ」

一方通行「言ってろ」

美希「むぅ……」

真美「これはアレだね、あぎゅうだね」

春香「阿吽の呼吸ね」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜外〜〜〜


雪歩「うぅっ……ひっぐ、ぐすっ」

一方通行「お前、そンな涙ばっか出してっと干涸びンぞ」

雪歩「一方通行君……?」

一方通行「おら、飲めよスポーツドリンク。ちゃンと水分補給しねェと体調崩す……本番に差し支えンだろォが」スッ

雪歩「でも私出ない……です」ボソ

一方通行「出ンだよ!……つゥかオレがここで良いつってもオレ以外の誰も許可しねェよ」



雪歩「こんな私なのにですか?」

一方通行「お前、自分を低く見過ぎだろ」

雪歩「だって私なんてひんそーでちんちくりんでダンスもできなくて……」

一方通行「あいつらと大して変わンねェよ」

雪歩「っ!!なんて事言うんですか!?みんなは私なんかより全然凄いです!!」

一方通行「だったらてめェも凄ェンじゃねェの?同じ事務所に居ンだからよ」

雪歩「わ、私なんて、たまたまアイドルになれただけです」

一方通行「それはねェよ。765に来た最初の日に社長が全員ダイヤの原石っつってたからよォ」

雪歩「そ、そんなの……」

一方通行「オレも最初ンなわけねェだろって思ってたけどよ、最近はわかンだよ。社長が言ってた意味が」

雪歩「でも、実際私はみんなよりダンス出来ないじゃないですか……」

一方通行「出来てねェわけじゃねェけどなァ……」

雪歩「え?」

一方通行「お前はステップとか位置とかちゃンと覚えれてンだよ」



雪歩「でも上手く行きませんよ?」

一方通行「それはお前が周りを伺いながらチマチマやってっからだ。おめェのダンスには思い切りの良さ、自信が足ンねェンだよ」

雪歩「自信……」

一方通行「メンタルっつても良いけどよ、だから伊織と貴音はわざと厳しめに言ったンだろ」

雪歩「けど私に自信なんてつかないですよ」

一方通行「ちゃンと成長してンだから自信持てよ」

雪歩「成長したとこなんてないですぅ……」

一方通行「あンだろォ、まともにオレの目見て喋れるよォになったじゃねェか。この近い距離でも震えなくなったし」

雪歩「あ……」

一方通行「それに最近じゃあ男のスタッフ相手でもちょっとずつ話せる様になったし……あァいい機会だからステップアップな」

雪歩「えっ!」

一方通行「オレにタメ口で話せ。実年齢お前の方が上なンだし」

雪歩「い、いきなりそんなの無理です!」

一方通行「……」

雪歩「ア、一方通行君?」

一方通行「……」プイ

雪歩「…………ち、ちゃんとこっちみて?」

一方通行「なンだァ?」



雪歩「これ疲れます。緊張するし……」

一方通行「……」

雪歩「えぇ、またぁ〜?」オロオロ

一方通行「オレはこれからお前がオレに敬語を使ってくる限り喋ンねェ」

雪歩「うぅ……わかりまし、分かったよ一方通行君」

一方通行「ほら、このオレ様にタメ口で話してンだ。自信なンて有り余ってンだろ?」

雪歩「……」

一方通行「……」

雪歩「ぷっ」

一方通行「元気が出て何よりだよクソが」

雪歩「だって……くくっ、一方通行君にオレ様って似合い過ぎふふっ」

一方通行「……そォやって笑ってろよ。泣き顔よりそっちの方が似合うンだからよ」プイ

雪歩「えっ///」キュン

一方通行「行こうぜ?どォせあいつらおめェの事が気になってレッスンしてねェだろォから」

雪歩「自信を持って踊れるかな?」

一方通行「……頼りになる仲間と踊ってるって思えばいいンじゃねェか?それに不安だったら遠慮無く助けてもらえばいい。それを嫌がる奴らじゃねェだろ」

雪歩「うん!」ニコッ



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜レッスン場〜〜〜


一方通行「おら、連れて来たぞ」ガチャ

貴音「雪歩」ニコッ

伊織「キツく当たって…わ、悪かったわね」

雪歩「ううん、言ってくれてありがとう。みんなも……途中で抜け出したりしてごめんなさい!!もう出ないなんて言わないから!!」

春香「うん!早速レッスンしよ?」

雪歩「あ、あのね……私いまいち自分のダンスに自信持てないの…だからみんなにチェックして貰いたいっていうか」

亜美「あ、亜美もそれやってほしい」

やよい「わたしもお願いしたいですーっ」

千早「全員で全員のダンスをチェックするというのは良いかもしれないわね」

春香「あ、じゃあ何個かグループに分けてやろうよ!」

ワイワイガヤガヤ

貴音「上手く雪歩を奮い立たせてくれたのですね」チラッ



一方通行「……あァ、貴音はお前の事嫌いかもしれねェけど2人で頑張ろうなって」

貴音「ふふ、ご冗談でしょう?」

一方通行「……」

貴音「な、何故その様な事を……」オロオロ

貴音「ゆ、雪歩!違うのですよ。先程のは……」タッタッタ

一方通行(気配で分かるもンじゃねェンだな)


ーーーーーー
ーーーー
ーー

ライブ当日


〜〜〜ライブ会場〜〜〜


一方通行(律子達遅っせェなァ……もうすぐリハだぞ)

真美「兄ちゃん、亜美たちまだ来ないの?」

春香「あっち天気大荒れなんでしょ?大丈夫かなぁ」

一方通行「……今更心配しても仕方ねェ。ま、オレらは先に用意しとくぞ」

春真「はーい」

一方通行(スタッフと打ち合わせしとくか……)



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜楽屋前廊下〜〜〜

一方通行(やべェ!本番間に合いそうもねェなァ)プルルルッ

一方通行「……亜美か、どんな感じだ?」

一方通行「……あァ、だろォな……おゥ、こっちは何とか…律子に伝えてくれ」

一方通行「天候はおめェのせいじゃねェしこンぐらいのケチが付いたところで竜宮の勢いは止まらねェ、だから気にすンなって」

一方通行「ン?……そォだなァ……まァお前の姉ちゃんを信じてろ……ちょっと待て、あいつらに電話変わっから」

一方通行「おい、亜美から電話だ」ガチャ

真美「亜美から!?もしもし!?」パシッ

一方通行「つゥかお前らさっさと着替えとけ」バタン

一方通行(クソがッ!!どォする!?……そォだ、あの三下ン時みてェに大気を操りゃ……馬鹿か!?演算能力を半分にされてンだろォが!!)

一方通行(じゃあ、律子達を迎えに能力使って行くか?車一台ぐらい持てンだろ、能力がバレたくねェって言ってる場合でもねェし……いや、駄目だ。どンなに急いでもライブが始まっちまう。流石にあいつらをこの状況で置いてけねェ)

一方通行(腹ァ括るしかねェンだ……オレも……あいつらも)



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜楽屋〜〜〜


一方通行「入るぞ」ガチャッ

真「どうにかして竜宮の穴を埋めないとね……」

やよい「はい……」

雪歩「私達だけ出て、ファンの人達は怒ったりしないかな……?」

響「う〜、そう言われると不安になってきたぞぉ……」

全員「……」

一方通行(良くねェ流れだな。さっさと発破かけてやりてェとこだが、まずはオレよりコイツ等の誰かに言ってほし……)

春香「ねぇ、思ったんだけどさ……私達には竜宮小町の代わりは出来ないよ」

千早「春香?」

春香「だからね、まずは私達自身が楽しむ事を考えてみない?そうじゃなきゃお客さんも楽しめないよ」

真美「はるるん……」

一方通行(ナイスだ春香……)



一方通行「あァ何?お前らブルっちまってたのww?」

響「む、一方通行は怖くないのか?」

一方通行「怖くねェよ、オレがお前らを一番近くで見てンだからなァ」

全員「……」

一方通行「だからお前は心置きなくダンスコンテスト4位のパフォーマンス見してこいよ」

響「あー!人が気にしてる事を〜!」ワナワナ

真「はは……」

一方通行「つゥか竜宮には悪ィけど良い機会じゃねェか」

貴音「どういうことですか?」

一方通行「765プロは竜宮だけじゃねェってとこ気付かせてやれよ。記者も芸能関係者もかなりいることだしよ……チャンスだと思え」

美希「チャンス……」

一方通行「それに春香の言う通りだ」

春香「え?」

一方通行「お前らこれから数えきれねェぐれェのライブを経験すンだ……そン中でもでけェ箱での初ライブなンて思い出上位だろ?それを楽しめなかったらもったいねェンじゃねェの?」

雪歩「はい……うん!」



一方通行「だったら、今ここでしょげてねェでライブを成功させる作戦を練るぞ」

やよい「作戦ですかー?」

一方通行「あァ、取り敢えずこれを見てくれ」スッ

真「これは?」

一方通行「竜宮小町がこれねェ時用のセットリストだァ。オレとスタッフで決めといた」

千早「いつのまに……」

一方通行「そンでまだ本番までには時間あっからこのセットリストの順番は融通利くンだよ……だからお前らの意見も聞きてェンだ」

貴音「私達のですか?」

一方通行「あァ……プロデューサーならこォいうのはビシッと決めなきゃいけねェンだけどよ、オレはオレでまだまだやンなきゃならねェことがあンだ。だから、こォ……」

春香「分かってるよ一方通行。いっしょに助け合おう……!」

一方通行「……あァ、頼む」ペコ

全員「……」

真美「ぶふっ!?兄ちゃんもしかしてそれで頭下げたつもりなのww?」

千早「あぁ!頭下げたの今?何してるのかと思ったわ」

貴音「面妖な立ち振る舞いでしたね」

一方通行「ッッうるッせェな!!頭下げンのだけは未だに慣れねェンだよ///!!!!」



響「あははは!!なんでそこで恥ずかしがるんさー!!」

やよい「一方通行さん!頭の下げ方はこうですー!」ガル-ン

真「くくっ、やめてよやよい……ww」

雪歩「わ、笑っちゃ可哀想だよ……w」

一方通行「……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行「で、どォする?」

千早「私を一番手にして」

一方通行「別にいいけど、いきなりバラードかよ?」

千早「えぇ、お願い」

春香「千早ちゃん?」

一方通行「……わかった。お前なら心配ねェし」

美希「ハニー、このままやってもインパクトが足りないの」

一方通行「まァ、無難に作ったからな」



美希「ミキ的にはそれじゃダメだと思うな」

一方通行「案があンだろ?言ってくれ」

美希「こことここ、ミキが連続で歌うの」

響「流石の美希でもこんなダンサンブルな曲連続で踊ったら……」

美希「でも上手くいったら、ダンスに詳しくない人でも一目で凄かったってなるよね!?」

真「そりゃそうだけど……」

一方通行「わかった、やれ」

美希「いいの?ミキ失敗しちゃうかもしれないよ?」

一方通行「しねェ。それはオレが誰よりも知ってる」

美希「ハニー……」

一方通行「響も真も心配ならバックダンサーすンのはどォだ?お前らならいけンだろ」

真「任せて!」

響「自分がついてればなんくるないさー!」

美希「あはっ!心強いの!」

一方通行「誰か他には何かあるか?」

貴音「ここの部分なのですが……」

一方通行「あァ、それはな……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜舞台袖〜〜〜


春香「うぅ、どうしよう始まっちゃうよ〜」

一方通行「さっきまでの威勢はどォした」

春香「だって〜」

響「春香は情けないなぁ」スタスタ

一方通行「……てめェも手足同時に出して歩くくれェ緊張してっけどな」

響「……!うぎゃー!?」

一方通行(全員緊張してンな……無理もねェ。このライブの前にもうちょいでけェ箱で歌わせられてたらなァ)

一方通行(まァ、ンな下らねェ事考えてねェで今に集中しねェと)

一方通行「おい、アレやれよ」

真美「アレって?」

一方通行「円陣。ちったァ気合い入ンじゃねェの」

やよい「うっうー!私もやりたいです!!」

雪歩「わ、私も」

真「よし、じゃあ組もうか」




春香「良いみんな?竜宮小町が来るまで力一杯最後まで楽しもう!」

春香「765プロォーファイトー!!!」

全員「おー!!」

一方通行(頑張れよ……)

一方通行「千早!」

千早「何かしら?」

一方通行「客にはもォ竜宮小町は遅れるってアナウンスしてあンだ。だからブーイングとかすげェだろォけどよ」

千早「気にするなって事?」

一方通行「ちげェ。黙らしてこい……お前の歌声でな」

千早「えぇ、最初からそのつもりよ。じゃあ行ってくるわ」

春香「千早ちゃん!!」

千早「……」コクッ……スタスタ



〜〜〜〜・

千早『泣くこと〜ならたやすいけれど〜・』



一方通行「おら、次の奴さっさと準備しとけ!それ以外の奴は奥に引っ込ンで待機してろ!」

美希「ここで見てるの!」

真美「真美もそーするー」

響「自分も」

一方通行「……他の奴らもかよ?」

全員「……」コクッ

一方通行「チッ……歌い終わったら休め。衣装替えのタイミングも間違えンな。それが出来ンなら好きにしろ」

千早『蒼い〜鳥〜いま幸せ……近く〜にあっても〜・』



一方通行(トップバッターで歌うっつゥのはあいつらを安心させるって意味もあったのかもなァ……)

スタッフ「一方通行さん!」

一方通行「はいはい、今行きますよっと」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

響「いよいよだぞ」

真「バックで踊るのは2曲目だけでいいの?」

一方通行「あァ、お前らだって自分の番あンだろォが」

美希「行ってくるね」

一方通行「あァ、かましてこい」

美希「ちゃんと美希がキラキラしてるとこ見ててね?」

一方通行「退屈させンなよ?」

美希「あはっ、もちろんなの!じゃあ、元気出して……行くのー!!」ダッ



〜〜〜〜〜・


美希『グッバイメモリーズいつか過ぎ〜ゆく〜春風舞う陽〜だまりの〜』

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ーーーー
ーー

一方通行「よし、助けに行ってこい」

真「りょーかい!」

響「行ってくるさー!」



美希『ねぇ、消えてぇしまっても…捜してくれますかぁ〜・』


ーーーーーー
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ーー


ワアァァァァァアアア!!!!!


美希「ハァ…ハァ……ハ、ハニー。ミキ、ちゃんとキラキラしてた?」

一方通行「あァ、すげェよ……お前」

美希「えへ…へ、これでハニーはミキに釘付けな……の」フラッ

一方通行「おっと」ダキッ

美希「あ……」

一方通行「奥行って汗拭いてこい。ゆっくり休め」

美希「うん…でも今はもう少しこうしててもいい?」ギュッ

一方通行「……好きにしろよ」

響(なんて居づらい空気なんだ……)

真(水飲も……)スタスタ


ーーーーーー
ーーーー
ーー



一方通行「お前ら、良く繋いだ。次の曲終われば竜宮が来る」

春香「あれ?もうそんな時間経った?」

真美「必死にやってたからねー」

千早「次の曲って」

雪歩「全員で歌うやつだ」

やよい「自分REST@RTですね」

貴音「計った様なたいみんぐですね」

真「何とか穴は埋められたかな?」

一方通行「穴埋めねェ……」

響「なんさーその妙な間は?」

一方通行「穴埋め以上の成果だろ。誇って良いンじゃねェの?」

美希「でも、まだまだ足りないの!」

一方通行「あァ、分かってる。さァ、客ももォお前らの味方だ……きっちり楽しンでこい!!」

アイドル「はい!!」

ーーーーーー
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ーー


輝いたぁ〜スッテージに立ぁてば〜・

最高の〜気分をあっじ、わえる〜・



一方通行(コイツ等のこォいう姿見るともっと頑張ンなきゃと思うよな……)


ワアァァァァァアアア!!!!!

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ーー

〜〜〜楽屋前〜〜〜


律子「一方通行!!」

一方通行「ん?……おォ」

伊織「みんなは!?」

一方通行「楽屋ン中にいるよ。話せねェだろォけど」

亜美「?」ガチャッ

あずさ「あら〜、みんな寝てるわね」

伊織「……」ニコッ

律子「さぁ!時間無いんだから急いでステージに出れる準備して!」

竜宮「はーい」タッタッタッ

一方通行「セットリストはメールで送った通りだ。スタッフにも言ってあるから心配いらねェ」

律子「………一方通行、本当に今日はありがとう」

一方通行「あァ!?同じ事務所に居ンだから当然だろォが、くだらねェこと言ってンじゃねェよ!」



律子「うん、そうだけど……本当にあなたが765プロに来てくれて良かった」

一方通行「…………やめてくれよそォいうの」

律子「恥ずかしいの?」

一方通行「オレなンか居なくたって大した違いねェよ」

律子「もー、何でそうやって逃げるの!」

一方通行「逃げる……?」

律子「いつもそうじゃない。最初は単なる照れ隠しかと思ってたけど、アンタは自分を低く見積り過ぎよ!?」

一方通行「……」

律子「もう一方通行は事務所にもアイドル達にも必要な存在なんだからちゃんと自覚しなさい!」コツン

律子「………もちろん私にもね。アンタが竜宮の勢いは止まらないから気にすんなって言ってくれて…結構救われたの……ありがと」

一方通行「…………」

律子「じゃあ、私もそろそろ行くわね」

一方通行「あァ」

律子「今日は本当にお疲れ様。後は私に任せてアンタも寝ててもいいのよ?」



一方通行「そォさせてもらうかな」

律子「じゃあね」

一方通行「あァ、頑張ってくれ」

一方通行(必要な人間ね……)

高木「一方通行君!」

一方通行「社長……と小鳥さン」

小鳥「今日は良く頑張ったわね一方通行君」

一方通行「一番頑張ったのはアイドルですよ。それにオレも社長達が助けてくれたから何とかなっただけです」

高木「いやいや、君の采配は見事なものだったよ」

一方通行「つゥか、竜宮観てやれよ。こンなとこ来てねェでよ」

高木「まぁ、まだ時間があるからね。その前に最大の功労者を労っておかないと。ね、音無君!」

小鳥「はい!それにしてもかなり眠そうね一方通行君」

一方通行「流石にちょっと……」

小鳥(眠そうな顔もいいなぁ。カメラを持ってきてないのが悔やまれるわね)

一方通行「律子がよ……」

高木「ん?」



一方通行「オレは765プロに必要な人間だとよ……こンなオレを」

高木「その通りじゃないか」

一方通行「誰かの為に頑張るのは悪くねェと思っちまった。誰かに頼るのも頼られンのも……自分が自分じゃねェみてェですげェ気持ち悪ィ」

高木「戸惑っているのかい?……良い事なんだよそれは」

一方通行「そォか……」

小鳥(アレ?私、すっごい場違いじゃない?)

高木「さぁ、今はゆっくり休みたまえ765プロの救世主君」ポン

一方通行「気安く…触ン……な」ス-ス-

高木「見たまえ音無君!この無垢な表情を!!」

小鳥「はは…」

小鳥(何この寝取られ感……いつの間にか一方通行君の女房役が私から社長に……)

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ーー

伊織「みんなお待たせー!!」

亜美「ごめんね!兄ちゃん姉ちゃん!」

あずさ「じゃあ、早速行きますよ〜。歌うのはもちろんこの曲」

竜宮「SMOKYTHRILL!!」

ワアァァァァァアアア!!!!!



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ーー

一ヶ月後

〜〜〜レッスン場〜〜〜



一方通行(あのライブから一気に知名度上がったよなァ……何かタイフーンライブとか名前も付いちまってるし)

一方通行「つゥ事でこのメンバーでユニット組むからな」

響「どういうことだよ……」

美希「遂に来たの!」

貴音「胸が高鳴りますね」

一方通行「ユニット名はフェアリー、リーダーは美希」

貴音「ふぇありぃ?」

響「一方通行が名前考えたの?」

一方通行「なンで?」

響「いや……」

一方通行「異存があンなら変えてももいいぞ」

美希「ミキ的にはこれでオッケーってカンジ!」

貴音「私も気に入りました」

響「べ、別に自分だって気に入らないわけじゃないぞ!?」

響「た、ただ、一方通行が1人で考えたって想像すると……w」

一方通行「お前殺すわ」



響「ちょっ!?辛辣過ぎるぞ!!」

一方通行「いいか?このユニットのテーマはセクシーでカッコイイ、女に憧れられるアイドルだ」

一方通行「当然、曲も衣装もその系統になるから意識しておいてくれ」

響「ん?じゃあ何でこの人選なんだ?女性ファン狙いなら真を入れた方がいいんじゃ?」

一方通行「あァーそれなァ……つか、今オレが考えてること全部言った方がいいか?後からちょくちょく聞かれンのもうぜェし」

貴音「是非お聞きしたいですね」

響「自分が選ばれた理由はやっぱり気になるさー」

一方通行「そォだな……まず美希をユニットデビューさせたかったンだよ」

美希「あは☆」

一方通行「そンで、美希に実力でもメンタル面でも負けねェ奴って事で貴音と響をオレが選ンだンだ」

貴音「つまり、一方通行自身が事務所の中から私を選んだと?」

一方通行「そォだけど、なンだよ?」

貴音「いえ、私はもうそれで十分です。満足しました」

響(貴音がニッコニコしてる……)

響「ていうかそれだけ?」

一方通行「順に説明する」



一方通行「まず美希のファン層は他の奴らに比べて極端に男に偏ってンだ。だからここで女ファンを増やしてェ」

響「真的な?」

一方通行「そォいうこと」

美希「えっミキ、女の子のファンいないの?」

一方通行「いねェわけじゃねェけど、少ねェな。つかお前学校でイジメられたりしねェの?」

美希「?別に女友達いっぱいいるよ?」

一方通行「良い環境に居ンな。美希はオレの見立てじゃ女に嫌われやすいタイプだ」

貴音「そうですか?」

響「そんな事思ったことないけど」

一方通行「そりゃお前らがアイドルだからだ。普通の女は美希を見てて面白くねェンじゃねェか?天才肌で無礼で顔良しスタイル良しだからな」

美希「ミキ、そういうの良く分かんない。嫉妬するくらいなら自分を磨いた方がよっぽど有意義だと思うな」

一方通行「そォいう態度だよ」

美希「う〜ん、ミキに変われって事?」

一方通行「いや、ンな余計な事しねェで今まで通り振る舞え」



美希「でもでも、今のままじゃ女の子ファン増えないんでしょ?ミキ、女の子のファンも欲しいの」

一方通行「そこはオレの腕の見せ所だろ。美希には若けェ女のカリスマになってもらう。最初の方に読モばっかさせてたのもその布石だ」

美希「カリスマ?」

一方通行「あァ、カリスマ的な存在になったら女は届かない憧れとしてお前を追うようになる。春香とは正反対のアイドルって言えば分かりやすいか」

美希「春香と正反対……」

一方通行「不満か?」

美希「ううん、ハニーがミキの事いっぱい考えてくれてすっごい嬉しいの!」

響「けどカリスマってそんな簡単になれるもんなの?」

一方通行「簡単になれたらカリスマじゃねェよ。けどこいつなら簡単になれる。オーラもあるし、自分がどう見えてるか客観視できる天才だから」

貴音「客観視……ですか?」

一方通行「あァ……美希、お前ライブとか撮影の時とか自分がどォ写ってて、どォやれば一番良く見えるか分かっててやってンだろ?」

美希「え、それって当然じゃないの?」

響「普通は分かんないぞ……」

美希「そうなの?」

一方通行「まァ、そういうことだ」



響「………」

一方通行「しょげンなよ。お前もマジで何でもこなせるオールラウンダーだから。完璧っつゥのも言い過ぎじゃねェ」ガシガシ

響「しょげてない!」

一方通行「つか、オレの一発目のユニットだからどォ転ンでもいいよォにオールラウンダーを意識して集めたンだけどな」

貴音「なるほど」

一方通行「まァ、もっと狙いを持って人選もしたけど……じゃあ次は響を選ンだ理由行くか」

響「へっへーん!それは自分が完璧だからでしょ!?」

一方通行「技術的にはその理由だ……だが理由としちゃあお前の将来性を見越してが一番でけェかな」

響「自分の将来性?」

一方通行「あァ、お前は一般の奴らとか製作者にどンな印象持たれてるか分かるか?」

響「完璧でカッコイイ?」

一方通行「ちげェ……動物好きの明るい、やよいとはまた違ったマスコットキャラだ」

響「うぎゃー!何さーそれ!自分もう高校生だぞ!?マスコットキャラって……」

一方通行「まァ、事実だし需要もあるしな」

響「うぅっ、じゃあ……自分フェアリーのコンセプトに合ってないぞ」シュン

一方通行「だから入れたンだよ……お前は確かにテレビとかじゃイジられキャラみてェなとこがあるけど、踊ってる時はマジでカッコイイからな」

響「そ、そうかなぁ」ニヘラッ

一方通行「つまりだ……可愛い響っつゥキャラは勝手に外野が作ってくし世間に広がってく。だから事務所は格好良い響を作ってく」

一方通行「したら、テレビでお前を知った奴らはお前のパフォーマンスを見て度肝抜かれンだろォし、やよいとも差別化できる」



貴音「ぎゃっぷ萌え……と言われるものですね?」ドヤァ

一方通行「まァ、そうなンだが……お前はどこで知ってくンだよそォいう単語を?」

貴音「以前、あずさと小鳥嬢が事務所で一方通行にぎゃっぷ萌えをした瞬間を言い合っていたので」

一方通行「こ、小鳥さンが?」テレッ

美希「ちょっ、何でそこで恥ずかしがるの!?美希だってハニーのギャップ萌え言えるの!!ハニーは美希の仕事終わりにいっつも頭撫でてくれるの!」

響「それギャップ萌えじゃなくてただ単に美希が萌えた瞬間だぞ」

貴音「毎回ですか?」ジロッ

一方通行「なンだよ?コイツとはそォ約束したからオレは約束を守っただけだ」

貴音「私にはただ単にご飯を奢るだけなのにですか?」

一方通行「十分だろォが。言っとくがてめェの飯代でどンだけオレの財政が圧迫されてっか分かってンのか!?」

貴音「ではこうしましょう。一方通行のお金がある時は何処かに連れて行って下さい。しかし無い時は美希の様に私を褒めて下さい。そして今宵、回らないお寿司屋に行きましょう」

美希「ダメなの!ハニーに頭撫でて貰えるのはミキだけなの!」

貴音「我慢しなさい星井美希」



美希「ヤ!我慢するのは貴音の方なの!」

貴音「……聞き分けの無い子です」ブォッ!!

美希「!?」ビクッ

響「えっ」

一方通行「オイッ!?」

貴音「ならば私が一方通行の代わりに撫でましょう」ナデナデ

美希「人に撫でらるのは気持ちいいの……」トロン

美希「でも!ハニーの代わりは誰にも出来ないの!」

響「でも一方通行って結構みんなの頭撫でるよね」

美希「は?」

響「いや、は?じゃなくて……見たことないか?」

貴音「ありませんね」

一方通行(何でコイツこのタイミングで言ったンだろ)

響「亜美真美とやよいは当然として、伊織にまでやってたのは驚いたぞ」

美希「デコちゃん?なんかデコちゃんはそういうの嫌がりそうだけど」

響「伊織が仕事でちょっと失敗してヘコんでる時に……ね!」チラッ

一方通行「ね、じゃねェぞこのクソ女。まァ美希の言う通り文句は言ってたが、嫌がってる顔じゃなかった……と思う」

響「事務所で頭撫でられた事無いのは千早とあずさと貴音と律子とピヨ子だけだぞ」



一方通行(春香の頭撫でた事あったっけかァ?……あァ、アイアンクローもカウントされてンのか)

響「逆に一方通行の頭撫でた事あるのはあずさだけだけどね」

一方通行「はァ!?いつだよオレ知らねェぞ!?」

響「一方通行が疲れて仮眠してる時にやってたぞ」

一方通行(寝てる時に触られても気付かねェとは……随分と俗ボケしてンじゃねェか)

美希「じゃあこれで2人目なの!」ナデナデ

貴音「3人目です」ナデナデ

一方通行「マジでうぜェ……今すぐ手を離せ」

響「そうだぞー!まだ貴音が選ばれた理由聞いてないしさー」ヘラヘラ

一方通行(こいつッ……どっかでヤキ入れた方がいいな)

一方通行「貴音を入れたのは……まァ、オレが一番最初にプロデュースしたアイドルってのがあるな。思い入れもあるし」

貴音「ふふっ、思いは同じです一方通行」

美希「むぅ……」

一方通行「それとこのユニットのコンセプトに到達しつつあるからかな」

響「どういうこと?」

一方通行「お前らファンの間での貴音の2つ名知ってっか?」

響「銀色の王女……だっけ?」

美希「あぁ!ミキも聞いた事ある!」



貴音「面妖な……」

一方通行「貴音は男からも女からも同じぐらい人気高けェンだ。羨望の存在としてな。つまりフェアリーにぴったりの人材なンだよ」

一方通行「まァ、貴音を入れた一番の理由はメンタル面のバランスを取る為なンだがな」

響「メンタル面の?」

一方通行「ユニット活動してく内に美希は絶対進化する。そォなると響も競うようにレベル上がるだろォな」

一方通行「そンな時動じないでどっしり構えてられるメンタルを持ってンのは貴音だ。自分をしっかり持ってっからブレねェで居られる。ユニットにはそォいう奴が不可欠だ」

一方通行「竜宮で例えるならあずささンの役割りだな」

美希「ハニーは一杯考えててお利口さんなの!」

一方通行「お前らの事考えンのがオレの仕事だしな」

貴音「私に出来るでしょうか?」

一方通行「別に今までの説明はオレの単なる印象の話だから役割に縛られる必要は無ねェよ。お前らがノビノビとやれたらオレはそれでいい」

一方通行「心配いらねェよ。お前ら歌声の相性良いしな。それに……月と星と太陽だしよ」

響(笑うな……笑うなッ……)ギュッ

貴音「感性豊かになりましたね一方通行」ニコ

美希「あはっ☆目指すはハニーの一番星なの!」ダキッ

一方通行「っ!抱きつくな!!」

響「え……アレ?」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

一方通行「じゃあ曲掛けンぞ、これ歌詞な。タイトルはオーバーマスター」ピラ



〜〜〜〜〜〜〜〜・


美希「カッコイイの!」キラキラ

響「でも歌詞が……自分に合うかなぁ」ポリポリ

一方通行「合う。だが全員歌う時はいつもより声低めにな」

貴音「歌詞に全員の名前が入っているのですか?」

一方通行「あァ、デビュー曲だし紹介の意味も込めて」

貴音「趣向を凝らした図らいですね」

美希「ホントだー!」

響「気付かなかったぞ」

一方通行「振り付けも結構激しいが……やれるよな?」

美希「もっちろんなのー!」

響「自分の腕の見せ所だぞ!」

貴音「無論ですね」

一方通行「よし、じゃあもう直ぐトレーナーが来るはずだから休憩してろ。オレはもう行く」

美希「え〜、ハニーは見てくれないの?」

一方通行「オレの担当何人だと思ってンだよ」



響「ワガママ言っちゃ駄目だぞ美希」

美希「うん……」

貴音「頑張って下さいね一方通行」

一方通行「あァ、お前らもなァ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数週間後


小鳥「フェアリー、大大大ブレイクね!」

一方通行「やってくれましたよアイツ等」

律子「これは私達もうかうかしてられないわね」

一方通行「お前ら抜かしてやっから覚悟しとけ」ニッ

律子「ふふ、言っとくわ」

雪歩「みんな凄いなぁ。私も頑張らないと!」

一方通行「じゃあ早速新曲出すか」

雪歩「えぇっ!?それはいきなり過ぎだよ……」

一方通行「今ユニット組んでねェ奴で期間限定でユニット組ませて曲リリースするっつゥ企画が進行中なンだよ」

一方通行「で、曲の歌詞とかコンセプトとか見る限りお前が一番合ってンだ」



雪歩「私が……」

一方通行「頑張れよ?一発目の売り上げが良かったらこの単発企画がシリーズ化されっから。この後どォなるかはお前に懸かってる」

雪歩「ひ、ひぃ……そんな言い方されるとプレッシャーが……」ジワァ

一方通行「……」ニヤニヤ

律子(小学生が好きな子をイジメるやつみたいね)

小鳥(ここで真王子が来て一方通行君と2人で雪歩ちゃん取り合ってくれたら最高なのになぁ……)

雪歩「あの、ユニットなんだよね?私以外のメンバーは誰なの?」

一方通行「千早だろォな。今ンとこ」

雪歩「なんだ、千早ちゃんがいるなら……ううんそんな心持ちじゃダメだよね」

一方通行「そォいうことだ。持ちつ持たれつで頑張ってくれ」ポン

雪歩「うん!」

小鳥(何今の自然な感じ……うっらやましぃ……)

律子(この人こんな顔に出やすくて良く今まで生きてこられたなぁ)

雪歩「そういえば曲のコンセプトって何なの?私にピッタリなんだよね?」ワクワク

一方通行「一言で言えば…………女の情念?」

雪歩「……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜収録スタジオ〜〜〜


雪歩『インフェルノォォォ!!!』

雪千『全て〜燃える愛になれ、赤裸に今焦がして・』

〜〜〜〜〜〜〜〜・


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜楽屋〜〜〜



一方通行「お疲れさン。2人とも歌も振り付けも完璧だったぞ」

千早「ありがとう……それにしても萩原さんには驚いたわ。貴方がこんな感情移入できる人だったなんて」キラキラ

一方通行「確かに……初めて聴いた時は想定の遥か上だったなァ。雪歩に任して正解だった」

雪歩「えへへ……でも多分、他の曲ではこの曲程クオリティ高く出来ないと思う」

千早「?」



雪歩「この曲の子に、それこそ本当に感情移入して歌ったからだと思う」

一方通行「お前ぐらいの年頃の女なら普通キャピキャピっとした恋愛ソングの方が共感するもンなンじゃねェの?」

雪歩「そうかもしれないけど……でも恋愛とかって可愛い、とか綺麗、とかばかりじゃなくて独占欲とか嫉妬とかもあると思うのだから……」

一方通行(なるほどなァ。雪歩に恋愛系の仕事任すのもアリかな……)

雪歩「……って私は何を!?穴掘って埋まってます〜///」ブォンッ!!

一方通行「埋まんなら外で埋まれ!ここは屋内だ」ヒッタクリッ

雪歩「あぁ!?スコップ返して下さいぃ!」

一方通行「断る…………そォいや千早はこォいう曲歌う時どォしてンだ?お前もかなり気持ち入ってたけど」

千早「私?私は曲と対話するわね。そうすると向こうの方から話かけてくるから」

雪歩「確かにそういうのってあるかも」

一方通行(何言ってンだてめェ?っつったらキレるよなァ……まァ雪歩の反応からして演者にしか分からねェもンもあンだな)

一方通行「帰るか。事務所寄る用ねェならもォ直接家まで送っけど?」




千早「私は平気」

雪歩「私も」

一方通行「よし、じゃあ行くか」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜車内〜〜〜


雪歩「あ、私ここで大丈夫」

一方通行「あ?お前ンちまで送るっつたろォ」

雪歩「ううん、大丈夫だよ?だからここで降ろして」

一方通行「何の遠慮してンだァ?それにもうすぐそこじゃ……」

雪歩「いいから!!」

千早「!?」ビク

一方通行「お、おォ。そこまで言うなら……」

雪歩「送ってくれてありがとう一方通行君、千早ちゃんも明日ね?」

千早「え、えぇお疲れ様萩原さん」


バタン


一方通行「……オレ何かしたか?」

千早「私には分からないわ」

一方通行「はァ……ミステリアスキャラとか1人で手一杯なンだけど」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

ブロロロロロー

一方通行「……」

千早「……」

一方通行「なンか喋れよ気不味いだろォが」

千早「何かと言われても」

一方通行「お前事務所でもあンま喋りかけてこねェよな」

千早「用件も無いし……」

一方通行「ふゥン」

千早「なに?」

一方通行「べっつにィ?」

千早「…………1つあったわ。話したいこと」

一方通行「なンだ?」

千早「何で私の歌を聴く時苦しそうな表情をするの?」

一方通行「……」

千早「気の所為じゃないわよね?」

千早「私の歌が気に食わないってこと?」

一方通行「そォじゃねェよ……」



千早「じゃあ何?あなたの前で初めて蒼い鳥を歌った時酷い表情をしてたわ」

一方通行「……自分の嫌な過去が甦ってくるからだ。別にお前のレベルが低いとかそォいうのじゃねェから安心しろよ」

千早「嫌な過去……」

一方通行「何だよ?」

千早「何でもないわ。ただ、歌い手の想いは伝染するものなのね」

一方通行「…………ついでにオレからも1ついいか?」

千早「?」

一方通行「お前何で笑わねェの?」

千早「言うほど笑わないかしら?」

一方通行「別に普段だけの話じゃなくてよォ……1人で歌ってる時に笑ってンの見た事ねェよ。歌うの好きなンだろ?楽しくねェのかよ」

千早「歌ってる時に笑う気持ちになんてなれないわよ……」

一方通行「なンで?」

千早「何で…?何でって…………ッ!!あなたには関係無い!!」

一方通行「……」

千早「あ」

千早「ごめんなさい、私……」

一方通行「いい、オレも弾みで聞いて悪かったな。てめェの事情を話さねェのに相手の腹ァ見ようってのはフェアじゃねェからなァ」



一方通行「貴音には内緒にしてくれよ?アイツには一回ドヤされてっからさァ」

千早「まぁ、別に何でもいいけれど……あなたの事情とやらにも興味無いし」

一方通行「ハッ、そォかよ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー



一方通行「ここでいいか?」

千早「えぇ、送ってくれてありがとう」

一方通行「当然だ。じゃ、明日も遅れンなよな」

千早「遅れないわよ」バタン

一方通行「…………………………ハァ」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「……」ガチャ



小鳥「あ、おかえり一方通行君!」

一方通行「あれ……まだ居たンですか?」

小鳥「…………仕事が」

一方通行「手伝います」ガタ

小鳥「律子さんにはどうか内密に……」

一方通行「分かってますよ」

一方通行「……」カタカタカタ

小鳥「……」カタカタ……チラ

小鳥「何かあったの?」

一方通行「え?」

小鳥「元気ないから」

一方通行「あァー、まァ別に何かあったって言う程の事は……」

小鳥「お姉さんに言ってみなさい。一方通行君の悩みを華麗に解決してあげるわ!」

一方通行「でもなァ……」

小鳥「もう!いっつも助けられてるからたまには私が助けたいのよ。先輩の言うことは素直に聞くものよ?」

一方通行「……別に喧嘩とかした訳じゃないンですけど、アイツ等にもそれぞれ秘密とか悩みとかあって」

一方通行「オレは自分なりに結構アイツ等と打ち解けたつもりではいたンですけど、知らねェ事はまだまだ沢山あるンだなって思ったらちっとばかし落ち込みました……」



小鳥「ふむふむ」

一方通行「それと……アイツ等が何かに悩ンでンなら解決してやりてェンですけど、それがトラウマみてェなもンならオレが土足で踏み込ンでいいもンなのか……って」

一方通行「オレ自身はアイツ等に自分の事は何も喋らねェし、知られたくないってのに……」

小鳥「なるほどね〜。難しく考え過ぎじゃない?」

一方通行「いやいやいやいや」

小鳥「別に相手の事情を知るのに自分の事情を教える必要は無いじゃない」

一方通行「いや、それだとフェアじゃないっつゥか……」

小鳥「それでいいと思うけど」

小鳥「それに相手の事情なんておかまいなしで土足で踏み込んでいいのよ」

一方通行「えェ……」

小鳥「悩みなんて他人から見たら簡単に解決するって事の方が多いんじゃないかしら?今の私たちみたいに」

一方通行「うーン……」

小鳥「一方通行君はあの子たちに拒絶されるのが怖いのよ。だから考えなくていい事まで考えるの」

一方通行「そりゃあまァ……はい」

小鳥「拒絶されるっていうのは怖いけど、本当に解決したいなら一方通行君が歩み寄らなきゃ!」

一方通行「……」

小鳥「どう?悩みは解決したかしら?」

一方通行「楽にはなりました」

小鳥「そっか!頑張りなさい男の子!応援してるぞっ!」バシッ

一方通行「うす……」

一方通行(なァーンかこの人には逆らえねェンだよなァ)

ーーーーーー
ーーーー
ーー

翌日

あずさ「新曲聴いたわよぉ?とっても良かったわ!」

雪歩「本当ですか!?ありがとうございます!」

千早「あずささんに褒めてもらえるのは嬉しいですね」

やよい「私も聴きました!すっごいカッコ良かったですーっ!」

千早「高槻さん……!!」

一方通行「おい、もォ行くぞ。早く支度しろ」

雪歩「あ、ちょっと待ってて」ドタバタ

千早「…………分かってるわ」スッ

一方通行「……」

春香「一方通行、もしかして千早と何かあった?」コソッ



一方通行「…………あァ?」

春香「千早ちゃん、何か一方通行に対してだけいつもと違うから」

一方通行「そォかァ?アイツいつもあンな感じだろ」

春香「……それ本気で言ってる?」

一方通行「チッ、うるせェな。てめェに言われなくても分かってンだよ」

春香「本当かなぁ?じゃあ何で誤魔化したりしたの?」

一方通行「……てめェが直ぐにアイツの異変に気付いたのが悔しかったンだよ」

春香「何でそれが悔しいの?」

一方通行「あァーもォーうっぜェよ!おめェもこれから仕事あるンだろォが。オレと喋ってねェでさっさと準備しろ」

春香「何かしたんでしょー?貴音さんに言っちゃうよー?」

一方通行「なァーンでアイツが出てくンだよ」

春香「だって良く叱られてるじゃん」

一方通行「ンな何回も叱られてる訳じゃねェ」

春香「この前のは?」

一方通行「ありゃあオレ悪くねェだろォ。なンで豚骨ラーメン嫌いっつっただけでキレらンなきゃなンねェンだよ……」

雪歩「もう出れるよ一方通行君!」

一方通行「おォ、千早は?」

千早「えぇ、終わったわ」

一方通行「よしじゃあ行くか」



あずさ「3人とも頑張ってね」

やよい「うっうー!張り切って行きましょー!」

一方通行「別にオレは頑張ンねェよ」

雪歩「行ってきます!」

千早「さ、行きましょう」

春香「行ってらっしゃーい!」

一方通行「てめェそのリボン引き裂かれたくなかったらアイツには黙ってろよ……この本体リボン女が」バタン

やよい「……」

あずさ「すごい捨て台詞を吐かれたわね春香ちゃん……」

春香「たった今貴音さんに言うことが決定しましたよ」


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ーーーー
ーー


車内

一方通行「お疲れ」

千早「えぇ、今日は疲れたわ……インタビューを受けるというのは結構大変よね」

一方通行「違う雑誌だからって、同じ質問されてンのに毎回違う回答すっから疲れンだよ」

千早「何処の記者にも同じ事しか言わないなんて、私たち目当てで買ってくれているファンにもその会社にも悪いじゃない」

一方通行「そォかァ?真面目な奴……つゥか雪歩は?アイツ来ねェと帰れねェンだけど」

千早「電話が来てたからすぐそこで話てるんだと思うわ」

一方通行「そォか」

千早「えぇ」

一方通行「……」

千早「……」



一方通行「なァ」

千早「何?また沈黙が嫌とか言うつもり?」

一方通行「そォじゃなくてよ、お前オレの事情に興味ねェっつったろ?」

千早「えぇ」

一方通行「だがオレはお前の事情に興味あンだよ」

千早「…………いきなり何?」

一方通行「なンつゥかこう……アレだ。おめェが苦しンでンなら助けてやりてェ」

千早「私の事なんか放っておいて」

一方通行「ほっとかねェ。オレは昨日決めたンだよ。てめェらの意思なンか無視して勝手に助ける」

千早「何よそれ……」

一方通行「まァ、無理矢理聞き出そうって訳じゃねェから安心しろよ。ただ、オレはお前をいつでも助ける準備が出来てるって事を知っとけ」

千早「……」

一方通行「別に過去の事じゃなくてもキツイ事があったら頼れ。てめェは何でも1人でこなし過ぎなンだよ」

千早「最初に事務所に来た時とは別人ね。あなたはもっと人との距離が適切に測れる人だと思ってたわ」

一方通行「あいつらと付き合ってたらンなもン皆無になるって事ぐらいわかンだろ。だからお前もオレらに一線引くのいい加減やめろ」



千早(オレら……ね)

千早「何であなたがそこまで私に構うの?どうでもいいじゃない」

一方通行「てっ……めェはいつまでもグチグチよォ……!!オレはてめェの笑ってる姿が見てェンだよ悪ィかッ!!!」

雪歩(うわぁあ!!何か凄い事言ってる!!は、入るに入れない)

千早「……」

一方通行「あ///」

一方通行「……何言わせやがンだこのアマ。て、てめェ、今の誰かに言いやがったら不幸な目に合わせるからな」

千早「勝手に言ったんじゃない」

一方通行「チッ」

千早「……」

千早「……これからはもう少し一方通行に頼るようにしてみるわ」

一方通行「おゥ」

千早「昔の話は……したいと思ったらするわよ」

一方通行「あァ」

雪歩「ごめんお待たせー!」ガチャ

千早「別に大丈夫よ」

一方通行「じゃあ車出すぞ」

一方通行(なンだこのタイミング……まさか聞かれてたンじゃねェだろォな)



一方通行「こっからだと千早ンちが近ェか?」

千早「そうね」

一方通行「じゃあお前からな」

千早「えぇ」

雪歩(何の話してたのとか聞かない方がいいよね)ドキドキドキ

一方通行「そォだ。千早、お前もっと笑った方がいいぞ」

雪歩(えぇっ!?私がいるのにその話続行するの一方通行君!?)

千早「ちょっと、流石にしつこいわよ」

一方通行「あァ、そォじゃなくてインタビューな。これから人前で喋る機会多くなンだろォから営業スマイルの1つでも身につけたら楽なンじゃねェの?」

一方通行「お前だっていちいち撮影ン時にもっと笑えとか言われンのうぜェだろ」

千早「楽しくないのに笑えないわ」

一方通行「聞いたか雪歩?お前と一緒だと笑う気分には到底なれねェだとよォ」

雪歩「うぅ、でもしょうがないよね。私なんて面倒くさいし泣き虫だし」ウルウル

千早「ちょ、ちょっと!違うの萩原さん私はそういう意味じゃ……一方通行!」



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ーーーー
ーー

一方通行「今日もお疲れさン」

千早「えぇ、じゃあ2人ともまた明日」

雪歩「うん、じゃあね!」

バタン

一方通行「さて……と、家の近くで良いンだよなァ?」

雪歩「あ、あの……もし良かったら私の家に寄っていかない?」

一方通行「あァ?ンだよ急に。昨日とはえれェ違いじゃねェか」

雪歩「あ、一方通行君が嫌だったらいいんだよ!?なんか、お父さんが私のプロデューサーに会ってみたいって」

一方通行「嫌じゃねェ。行くよ」

雪歩「ホント?」

一方通行「あァ。つゥか何で昨日は駄目だったンだ?」

雪歩「それは……私の家をみんなに知られるの恐いかなって。態度が変わったら立ち直れなさそうだし」

一方通行「意味わかンねェ」

雪歩「その、私の家ちょっと特殊っていうか何というか」

一方通行「土建屋だっけか?」

雪歩「うん、そうなんだけど……」



一方通行「なンだよ?てかその口振りじゃあオレに知られンのはいいのか?」

雪歩「うん、一方通行君なら大丈夫そう」

一方通行「ふゥン」

雪歩「あ!でもそれは一方通行君がどうでも良いって訳じゃ無いよ!?一方通行君が私の事嫌いになったら私……」

一方通行「あァー、分かってっから一々言わなくていい。信頼の証として受け取っとく」

一方通行(にしても知られたら態度変わる家とかどンなンだ?)

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ーーーー
ーー

〜〜〜雪歩宅〜〜〜



若衆「「「お嬢!!お勤めご苦労様ですッ!!!」」」

雪歩「た、ただいま……」

一方通行(あっこれヤクザだ……)

若衆「ッ!?お嬢、そのチンピラ誰ッスか!?」

若衆「てめぇ、誰の娘に手ぇ出してんのか分かってんのか!?」

雪歩「み、皆さんやめて下さい!この人は私のプロデューサーです!!」



若衆「この方がお嬢の……失礼しました!!」

若衆「し、失礼しました!!」

一方通行「や、気にしてねェからンな頭下げねェでくれ」

若衆「し、しかし」

雪歩「私たちもう中に入りますから!お父さんも待ってるし」

若衆「そうですね!さっ、どうぞ客間でおくつろぎ下さい!親父にはワシが取次ますんで」


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ーー


〜〜〜客間〜〜〜

一方通行(ヤクザの家ってやっぱ和風なンだなァ)キョロキョロ

雪歩「引いた?引いたよね!?」

一方通行「引いてない引いてない」

雪歩「うぅ……」

雪歩父「入るぞ」スパン

雪歩「あ、お父さん」

雪歩父「おう、そちらの方が……」

一方通行「一方通行です。お嬢さンのプロデュースをさせてもらってます」ペコ



雪歩父「……」

一方通行「……」

雪歩「……」ハラハラ

雪歩父「雪歩、お前は自分の部屋に行ってろ」

雪歩「えぇっ、何で!?」

雪歩父「俺はこの方と2人きりで話がしてぇ」

雪歩「だ、駄目だよそんなの。ちょっと話すだけって言ってたのに」

雪歩父「いいから」

一方通行「雪歩、オレは平気だから休ンでろ。お前も仕事で疲れたろ?」

雪歩父「おら、客人もこう言ってんだ」

雪歩「で、でも」チラ

一方通行「安心しろよ」

雪歩「お父さん、一方通行君に何か言ったり、何かしたら一生許さないから……」パタン



雪歩父「……くく、一生ときたか」

一方通行「……それで、ご用件というのは?」

雪歩父「兄ちゃん、慣れねえ敬語は使わなくていい。それと足も崩しな」

一方通行「これでも一応練習したつもりだったンだかなァ……ンで?何の用だよ?」

雪歩父「男嫌いのあいつが上機嫌で男の話するもんだから興味が湧いてなぁ、一目拝んでみようと呼び出したのよ」

一方通行「別に雪歩は男嫌いな訳じゃねェだろ。ただ苦手なだけだ……その苦手な理由も今日やっと分かったがな」

雪歩父「分かったような口叩くじゃねぇか小僧」ギロ

一方通行「実の親父よりは分かってンじゃねェか?」ギラ

雪歩父「……」

一方通行「……」

雪歩父「いや、悪ぃな兄ちゃん。あんたがちゃんとあの子の事見てくれてんのか試したんだ。気ぃ悪くしねぇでくれ」

一方通行「もし不合格だったら簀巻きにしてたか?」ケタケタ

雪歩父「いやぁ、兄ちゃん相手じゃ難しいんじゃねえか?…………あんたカタギじゃねえだろ?」

一方通行「……」



雪歩父「血生臭さは隠しきれてねぇ。それが兄ちゃんと2人きりで話そうと思った理由だ」

一方通行「へェ」ニタリ

雪歩父「何か可笑しい事でも言ったか?」

一方通行「いやァ?オレは安心したンだ。オレが何者か判別もつかねェよォな雑魚ヤクザのとこに雪歩置いといたンじゃ不安で仕方ねェからさァ」アハギャハッ

雪歩父「そうだったらどうしたんだ?」

一方通行「ンなもン雪歩連れ出して終わりだ……力付くでな」

雪歩父「ヤクザの娘奪うってか?……くく、良いねぇ兄ちゃん!いい胆力だ。気に入ったぜ」

雪歩父「おい!上等な酒持ってこい!!」

若衆「へい!」

雪歩父「今夜は宴だ!あんたも飲め!!」

一方通行「おい、オレ車で来てンだぞ!」

雪歩父「泊まっていきゃあ良いじゃねえか!」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


ドンチャンドンチャン


雪歩「ちょっとお父さん!どういうこと!?」

雪歩父「あぁ?何だ今頃来たのか?」

雪歩「自分が追い出したくせに……一方通行君は!?」

雪歩父「たった今俺と盃交わしたとこだ」

一方通行「何言ってやがる……?」

雪歩父「おいおいおいおい、ヤクザの親分から酒貰うってのはそういうことだぜ」

一方通行「アンタが無理矢理呑ませたンだろォが」

雪歩「相手にしなくていいよ、私の部屋にいこ一方通行君」グイ

一方通行「お、おゥ」

一方通行(雪歩の不機嫌な顔って初めて見たなァ。やっぱ家族にはそォいうもンなのか)

雪歩父「まぁ、待てよ。お気に入りのプロデューサーと2人きりで話したいのも分かるけどなぁ」

雪歩「お、お父さん!!」

雪歩父「兄ちゃん、コイツは家に帰ったらあんたの話ばっかすんだよ。今日はプロデューサーに褒められたとか言ってな」



雪歩「や、やめてよ///」

雪歩父「ちっと前までは男と喋るだけで一苦労だったのによ。なぁ?」

若衆「へい、最近はお嬢もワシらとも喋ってくれるんで嬉しい限りです」

雪歩父「それもこれもあんたのおかげなんだろ?」

一方通行「別にオレは何も……頑張ったのは雪歩だろ」

雪歩「私は一方通行君と喋るのを努力だとか頑張りだとか思ってないよ」

雪歩「私は一方通行君と喋りたいと思うから喋るの」

一方通行「そォか」フッ

雪歩父「別に兄ちゃんに限った話した訳じゃねえだろ。頭ん中兄ちゃんの事ばっかか!確かにこの兄ちゃんはお前好みの綺麗な男だもんなぁ」

雪歩「なな何言ってるの///!?」

雪歩父「どうだい兄ちゃん?あんたウチの組を継いでみるってのは。雪歩も満更でもねえんだろ?……お前ら、未来の親分に挨拶しねぇか!!」

若衆「一方通行の兄貴!」

若衆「兄貴!よろしくお願いします!」



雪歩「やめてよ、一方通行君に迷惑かけないで!」

雪歩父「どうなんだ兄ちゃん?」

一方通行「無理だなァ」

雪歩父「それは雪歩じゃ不満、ってわけか?」

雪歩「……」

一方通行「そォじゃねェ……オレはずっとこっちで暮らすわけにはいかねェンだ」

雪歩「え?」

雪歩父「何か事情でもあんのかい?」

一方通行「あァ」

雪歩父「……そりゃあ残念だ。ま、考えが変わったら言ってきな。この話は雪歩に好きな奴が出来るまで有効だからよ」

一方通行「そォかい」

雪歩父「さて……おら、雪歩。後はこの兄ちゃんお前が独り占めしていいぞ。お前の部屋に布団敷いてやれ」

一方通行「は、はァ?まさか雪歩の部屋で寝ンのか?」

雪歩「ちょっと……本当に怒るよ?」



雪歩父「じゃあお前兄ちゃんを何処で寝させるつもりだ」

一方通行「この家広いンだからどっかしらあンだろ」

雪歩父「いや、うちの舎弟で一杯だ。余ってる部屋なんてねぇ。それにあんたは客人だ……粗末なとこで寝てもらっちゃ萩原組の沽券に関わる」

雪歩「でも……」

雪歩父「まぁお前がこの綺麗な兄ちゃんがウチのむさっ苦しい舎弟共とザコ寝すんのが良いってならいいがよ。コイツら寝相悪いぞ〜。兄ちゃん寝てる間に抱き締められちまうかもなぁ」

一方通行(不快過ぎる……)

雪歩「それは嫌」

雪歩父「じゃあ決まりだ。ほれさっさと用意しろ」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜雪歩の部屋〜〜〜


一方通行(良い匂いがする……これ雪歩の髪の匂いと一緒か?女の洗髪料って香り強いよな)



雪歩「ゴメンね一方通行君」

一方通行「ン?」

雪歩「こんな事になっちゃって。お父さんには明日キツく言っておくから」

一方通行「別に楽しかったからいい」

雪歩「ほんと?」

一方通行「あァ、良い家族じゃねェか」

雪歩「怖くなかった?」

一方通行「ちっとも……つゥか別にアイツ等にも隠さなくて良いじゃねェか。それで態度変わる奴らでもねェンだし」

雪歩「うん、でもわざわざ言う事でもないから」

一方通行「まァ、確かに」

雪歩「そろそろ寝よっか!明日も早いし寝坊したら千早ちゃんに怒られちゃうよ」

一方通行「あァ」

雪歩「じ、じゃあ電気消すね///」カチ

一方通行「おォ」ゴソゴソ



一方通行(うォっ、久々の布団気持ち良いな)ヌクヌク

雪歩「な、何だか緊張しちゃうね」

一方通行「何もしねェから心配すンなよ」

雪歩「しししてないよ!?」

一方通行「それはそれで危機感なさ過ぎだけどなァ」

雪歩(ぅぅぅ!!どういう意味なんだろ。こんなの絶対寝れない)ドキドキドキ

雪歩(一方通行君は平気なのかな?)チラ

雪歩(目瞑ってる……ていうかこっち向きなんだ)

雪歩「一方通行君?寝てる?」

一方通行「ンだよ?」

雪歩「!!ごめんもう眠っちゃったかなって」

一方通行「寝そォ」

雪歩「そ、そっか」

雪歩(うぁあああ!!こんな普通の会話でも心臓が飛び出しそう!助けてぇぇ真ちゃん!!)



雪歩(と、とりあえず今日あった事を思い出して落ち着こう……………………あっ)

雪歩「一方通行君……ずっとここに居れないってどういう意味だったの?」

一方通行「……」

雪歩「一方通行君?」

一方通行「……」ス-ス-

雪歩「寝てる……」

雪歩(疲れてるのかな?そうだよね、いっつも私達のために動いてくれてるし)ジ-

雪歩(うわぁ///男の子の寝顔って初めて見たなぁ。一方通行君寝顔可愛いなぁ……いつもはそうは見えないけど本当は私よりも年下なんだもんね)ジ-

雪歩(もう少し近付いちゃお)ゴソゴソ

雪歩(まつ毛長いなぁ、肌もすっごい綺麗だし。髪も長くてサラサラで女の子みたい…………)

雪歩「……」ツンツン

一方通行「……ゥン」

雪歩「ふふっ……」ペタペタ

雪歩(うっわ!やっぱり触り心地スベスベ!)



雪歩「……」

雪歩(美希ちゃんとかだったら寝顔にキスとかするのかな?)

雪歩「……」ソ、ソロ-

一方通行「……」ス-ス-

雪歩「……」ゴクッ

一方通行「……ン」ゴロン

雪歩「ッ!?」ガバッ

雪歩「私何を……///」ブンブンブンブン

雪歩「いつもありがとう一方通行君。また明日から一緒に頑張ろうね?」ナデナデ



ーーーーーー
ーーーー
ーー


数日後


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



真美「兄ちゃーん!!」

一方通行「宿題なら手伝わねェ自分でやれ」カタカタカタ

真美「違うよその話じゃないよー。それはそれで困るけどさ」



一方通行「じゃあなンの話だァ?」

真美「例のユニットのやつだよ!真美の出番はいつくんのー?真美もインフェルノォ!って叫びたい」

一方通行「あァ……お前の扱いで悩ンでンだよなァ」

真美「えぇっ!?真美だけ曲出してもらえないとか!?」

一方通行「いや、そォじゃなくて……次の曲、オレの頭ン中じゃお前も構想メンバーなンだが、そうすっとやよいがなァ……」

一方通行「問題はどォアイツを口説くかだ……いっそのこと社長に人肌脱いでもらうか?」ブツブツ

真美「ちょっとー真美を置いてかないでよー」

一方通行「あァ悪ィ……ちょっとそこで待ってろ。社長と話してくる」

真美「だから何をさー!」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

一方通行「次のユニットはこのメンバーな」

真「やーりぃ!やっと出番かぁ!」

春香「私たちは3人なんだね」

真美「兄ちゃん結局さっきの話はなんだったの?」



一方通行「あァ最初はお前とやよいを組ませようと思ってたンだよ」

真美「そうなの?」

一方通行「おォ、けど……この前お前等全員に色々新曲歌ってもらっただろ?」

真「あぁ、やったね。あの中から自分のソロ曲とかも選ばれるんだっけ?」

春香「まぁ、明らかに誰用に用意されたか分かる曲もあったけどね」

一方通行「そォだ。で、今回ユニットで出す曲もあン中にあってよォ、その曲歌ってる真美があまりにハマってたンで急遽予定変更したンだ」

真美「おぉ!さっすが兄ちゃん見る目がありますなぁ」

春香「それで、その肝心の曲ってどれなの?」

一方通行「HoneyHeartbeat」

真「あーあれね!確かに真美の歌い方面白いし楽しそうだった」

一方通行「この曲で一番驚いたのは春香のだったけどな」

春香「わたし?」

一方通行「おォ、お前ラップならウチで一番上手ェンじゃねェか?」

春香「えへへ、そうかな〜?」



真「ボクは!?ボクは!?」

一方通行「そりゃあお前も不可欠だろ。この曲は力強さとか勢いとか重要だし」

一方通行「この曲に限った話じゃねェけど、曲に真の声が入ると芯が通るからなァ。お前は貴重な歌声持ってるよ」

真「くぅ〜、良い事言うなぁ一方通行」

一方通行(だからこそ女にモテるンだろうがな……言わねェけど)

真美「ん?あれ、じゃあやよいっちはどうなんの?」

一方通行「オレと社長の間で秘密裏に計画が進められてるから言えねェなァ」

真美「何それ気になるじゃん」

一方通行「今は人の事より自分の事に集中しろよ。衣装合わせしに行くぞ」

真「どんな衣装!?可愛いやつ?」グイ

一方通行「……あの曲歌っておいて良くそンな事言えンな」アトズサリ

真「え……何でそんな露骨に距離とるの?」

一方通行「ついこの間、人に渾身のボディブロー放った奴の台詞じゃねェなァおい」



春香「えぇ!?何それそんな事あったの!?」

真美「あぁ〜、兄ちゃんが生々しいゆきぴょんの残り香を漂わせて出勤してきた日の事だねぃ?……ゆきぴょん同伴で」

春香「それって///……一方通行、アイドルにそういうことしちゃいけないんだよ?」

一方通行「真がてめェと同じ勘違いしてなァ……ちゃンと説明する間もなくやられたンだよ」

真「だから……ごめんって、謝ったじゃないか!」

一方通行「謝っても腹の痛みは消えねェぞコラ」

真美「兄ちゃんまこちんにやられた瞬間その勢いで体浮いてたもんね」

春香「見たかったなぁw一方通行がやられるとこ」

真美「凄いってもんじゃなかったよ!マンガみたいだったもん!まぁ凄すぎて笑い話にする気にはなれないんだけどね……はるるんに見せてあげたら?」

春香「?」

一方通行「……」ピラ

春香「うわ……真っ白いお腹に拳の形した青アザが……」



真「うぅ、ごめん///」

一方通行「何顔赤らめてンだコラァ!!全然可愛くねェからなァ!!!!」

春香「にしても一方通行って普段から、オレ喧嘩強いしぃ〜、って感じ出してるのに普通に喰らっちゃうんだ?」プッ

一方通行「……お前嫌い」

春香「え、あれ?本気でヘコんだ?」アセアセ

真美「まこちんと2人で喋ってる時にいきなりだもんね……しょうがないよ兄ちゃん」ナデナデ

春香「どんな流れで……」

真美「いや真美達もね?兄ちゃん事務所でお泊りしてるのに朝帰りなんておかしいなぁとか思ってたんだよ。しかもゆきぴょんと一緒に来たし」

春香「うんうん」

真美「でね、兄ちゃんからかってたら兄ちゃんの体からゆきぴょんの匂いがする事に気付いて、みんな……あ、ヤバいなって雰囲気になったの」

春香「みんなの反応見たかったぁ……!」

真美「ヒドイもんだったよー。ミキミキは兄ちゃんに事情聞く前に泣いちゃってたし、千早お姉ちゃんはメッチャ兄ちゃんの事睨むし」



真美「お姫ちんはシュンってなって俯いちゃってたよね。ひびきんはー……あれひびきんはどうだったっけ兄ちゃん?」

一方通行「ヘラヘラしてたろ……つゥかアイツがオレの体から雪歩の匂いがするっつったンだよ……わざわざ全員に聞こえるよォな声でな」

春香「響って結構一方通行の事イジるよね」

一方通行「てめェもな」

真美「それでちょっと遅れてまこちんが来てー、まこちん気付かないのかなぁって思いながら様子見てたらいきなりズドン」

真「ゆ、雪歩を守らなきゃって……」

一方通行「その雪歩に怒鳴られてたけどな。ざまァみろ」

春香「雪歩が真に?」

真美「うん、めっちゃヤバい迫力だった」

真「アレは怖かったなぁ」

一方通行「オレの方が怖かったわ。あの日はお前の前に立つだけで手が震えたぞ」

春香「で、結局何で一方通行から雪歩の匂いがしたの?」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数日後


〜〜〜楽屋〜〜〜


一方通行「お前どォした?」

真「なにが……?」

一方通行「露骨にイライラしてンじゃねェか。王子様特集に不満か?」

真「そう言うわけじゃないんだけど……ジュピターって知ってる?」

一方通行「知ってるも何も今日共演してンじゃねェか」

真「うん、そのジュピターが卑怯な手ばっかり使うなって」

一方通行「卑怯な手ェ?何の事だ?」

真「わかんない……お前らみたいな奴らは目障りだってさ」

一方通行「ふゥン……まァ、ほっとけ。やっかみみてェなもンだろ?お前ら最近話題のアイドルだから」



真「自分達の方が有名なのに?」

一方通行「確かに……」

真「もう!いきなりこんな事言われてストレス溜まるよ……可愛い格好もさせてもらえないし」ハァ

一方通行(こりゃどっかでガス抜きさせてやンなきゃだなァ)

一方通行「帰ろうぜ?」

真「うん」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜テレビ局内〜〜〜


真「あ」

一方通行「ン?」

冬馬「チッ、またあったな765プロ」

北斗「チャオ☆」

翔太「うわぁ真っ白だ!」キラキラ



真「何の用?」ギロ

冬馬「用なんざねぇよ。お前らが俺たちが歩いてるとこに来たんだろうが胸糞悪ぃ」

真「なんだと!」

一方通行(こいつ何か垣根の野郎を彷彿させンなァ)

翔太「話たくないなら無視すればいいのに……冬馬君は子どもだなぁ」

北斗「そちらのエンジェルちゃんは見ない顔だね?……ん、男?」

一方通行「あァ……」

北斗「な!?……こんな悲劇があっていいのか。神様も中々罪深い事をする」

冬馬「ん?てことはお前がプロデューサーか?」

一方通行「そォだけど?」

冬馬「ハッ……アンタの悪事は色々聞かせてもらってるぜ。噂通りの見た目してんじゃねえか」

一方通行(悪事、何がバレたンだ?パパラッチぶっ飛ばした事とか?)

真「一方通行がそんな事するわけないだろ!!勝手な事言うな!!ね、一方通行!?」

一方通行「お、おォ」



一方通行「ちなみによ……そのお前らが聞いた悪事ってのはどンなのだ?」

冬馬「あぁ?そんなの一杯あり過ぎて言えねえよ。ただアンタ、自分とこの売れてねぇアイドルに手ぇ出してるらしいじゃねえか」

冬馬「それを黙ってみてる周りの奴も最低だぜ!仲間じゃねぇのかよ」

真(あ……)

一方通行(あのボディブロー思い出しちまった……)

冬馬「フン、図星で何も言えねえか。いいか!てめえらみてえな最低な奴らは俺達ジュピターが叩き潰す……お仲間にも伝えとけ」

北斗「じゃあね真ちゃん、チャオ☆」

翔太「白いお兄さんもバイバーイ」

一方通行(確実にやっかみじゃなかったな。しかも嘘の情報教えられてるし……じゃあ誰の入れ知恵だ?事務所の社長とか?)

真「ムカつくムカつくムカつく!」

一方通行「はは、キレた時の伊織みてェになってンぞ。今度こそ帰るぞ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「真、喜べ。また仕事決まったぞ」

真「ホントー?へへっやーりぃ!」

一方通行「女の子がイケメンにされたいシチュエーションの再現VTRに出てもらう」

真「……」

一方通行「……」

真「一応聞くけどさ、ボクが女の子や……」

一方通行「男役だ」

真「……」

一方通行「女役は雪歩にオファー来た。相手が雪歩だしリラックスしてやれンだろ、良かったな」

真「何にもよくない!!!!」

一方通行「言うと思った」

真「雪歩ばっかずるい!ボクだって可愛い格好したい!!」



一方通行「ンな事言われても……なァ?」

雪歩「格好いい真ちゃんも可愛いよ!」

一方通行(何言ってンだこいつ)

真「うぅ、もっと可愛い仕事取って来てよ一方通行」

一方通行「お前の場合取ってくる間もなくバンバンオファーくっからそれで埋っちまうンだよなァ」

真「やだやだやだやだぁ!」ジタバタ

雪歩(可愛い……)

一方通行「ハァ……じゃあさァ、お前がしたい服装してくれよ今。それによって売り方検討するから」

美希「なになに?真くんがコスプレするの?」ヒョコ

一方通行「ちょうどいいやお前も審査員な」


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真「きゃっぴぴぴーん!みんなのアイドル菊地真ちゃんナリよー☆まっこまっこりーん」キャル-ン

雪歩「……」

一方通行「なンだァ……てめェ?」

美希「ミキ的にはナシなの!」

一方通行「お前的じゃなくてもナシだよ」

真「えぇ!?これそんなダメ?」

一方通行「お前それ自分に似合うと思ってンの?」

真「ちぇっ、わかってるよ……ボクには男の格好の方がお似合いだって言うんでしょっ」

一方通行「ちげェよ……おい美希、真に似合う服選ンでやれ。この前2人で話してた感じで」

美希「ハイなの!行こっ真くん」グイッ

真「う、うん」

雪歩「あ、じゃあ私も……」

一方通行「お前は格好いい服選びそォだから駄目」

雪歩「うぅ……って2人で話?服の?」

一方通行「収録始まるまで暇だった時に事務所の奴らはどンな格好が似合うか2人で言い合ってたンだよ」




雪歩「そうなんだ。真ちゃんにはどういう服が似合うってなったの?」

一方通行「そりゃ見るまでのお楽しみだろ」


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ーー

美希「じゃーん!」

真「ど、どう///」

雪歩「わぁ……すっごく綺麗だよ真ちゃん!」

一方通行「いい感じじゃねェか。やっぱお前にはシンプルな服の方が似合うな」

美希「でしょでしょー!ハニー誰のおかげ?ねぇねぇ、誰のお手柄!?」

一方通行「うるっせェなァ、てめェだよ」ナデナデ

美希「きゃうん!」エヘヘ-

真「でもやっぱ可愛い系じゃないんだね……」

一方通行「まァ、どっちかっつったら綺麗系だわなァ」

美希「真くんはこういう路線が似合うと思うな」



真「そっか……」

一方通行「ンだァ?まだ不安なのかよ?」

真「う、ううん!凄く嬉しいよ……けどやっぱり……」

一方通行「……つまりアレかお前?フリフリの服着たいっていうよりお姫様扱いされてェンじゃねェの?」

真「え?」

一方通行「お前基本どこ行っても女扱いされねェンだろ。どぎついドレス着たいっていうのはそォいう心の表れだろ」

真「うん、そうかも……」

一方通行「わかった、まずオレがお前をお姫様扱いしてやる」

真「例えば?」

一方通行「た、例えば?、そォだなァ……エスコートは当然として……あァ靴履かせるとか?」

雪歩「ぶっ」

一方通行「なンだよ」ギロ

雪歩「いや、絵本に出てくる王子様みたいだなぁって」

一方通行(そりゃあ王子様なンてクソガキが読ンでやがった絵本でしか知らねェし)



真「本当にしてくれる?」

一方通行「あァ、それだけじゃねェ……あのメルヘンな格好も着れる機会を設けてやる」

真「本当!?」

一方通行「ミニライブのDVDの初回特典何にするか迷ってたンだよ。それでドレス着て寸劇でもやれよ」


真「一方通行ぁ!!」ダキッ

一方通行「ぐっ」

美希「……」ムス

雪歩(その場合寸劇って誰が王子様やるんだろう?四条さんとか?)

一方通行「それによ、お前キャラ崩さねェよォにしてンのか知らねェけど、テレビでもっと可愛い物好きって公言していいぞ?」

真「いいの?」

一方通行「おゥ、そォやって菊地真は可愛い物好きって広げてけよ。そしたらそォいう関係の仕事も自然と増えるさ」

真「うん!」



一方通行「さァて、じゃあ早速ガラスの靴に履き替えるかお姫様?」

真「えっちょっ、いいよみんなの前では///」

雪歩(2人きりの時はやるんだ)

美希「えぇ〜、ハニーの王子様見てみたいの〜」

一方通行「見せもンじゃねェぞ……じゃあ何して欲しいンだ?」

真「コンビニまでエスコートとか?欲しいマンガがあるんだ」

一方通行「えっらい安上がりなお姫様だなァ」

真「いいでしょ別に!」

一方通行「ほら、お手をどォぞ」スッ

真「…………やっぱ無理!恥ずかしいよぉ!」

一方通行「チッ、オレだって恥ずかしいンだよ!やるンなら早くしろ!」

真「いい!今まで通りでいい!!……でもコンビニは行こ?」

一方通行「そォかよ……コンビニ行くけど?」

美希「ミキ、おにぎり!」

雪歩「わたしは大丈夫だよ」



一方通行「わかった……行くぞお姫様」スタスタ

真「お姫様呼びもしなくていいよぉ///!!」タッタッタ

雪歩「はは……」

美希「真くん満更でも無さそうだったね」

雪歩「ね!……でも美希ちゃん良かったの?」

美希「なにが?」キョトン

雪歩「え、いや、真ちゃんだけ一方通行君にお姫様扱いって美希ちゃんだったら怒るかなって」

美希「ううん、ミキ怒らないよ?だって真くんはハニーの口車に乗せられてたけど、ハニーがミキ達をお姫様扱いするのはいつもの事なの!」

雪歩「……確かに」

美希「それに靴を履かせてもらうのは……ハニーは結構天然さんだから絶対真顔でやるの。流石にそれは恥ずかしいの///」

雪歩(えっ、恥ずかしい事なの?私普通に受け入れそう……)



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数日後


〜〜〜収録スタジオ〜〜〜


真「ボクこう見えて可愛いものに目が無いんですよ〜」

司会「えぇ!?それ本当?意外だなぁ」

春香「本当ですよ!この前なんか……」

真美「まこちんには困ったものですなぁ」

ワイワイガヤガヤ

一方通行(アイツ……)

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スタッフ「一旦休憩入りまーす!」

ガヤガヤ

一方通行「お疲れ、楽屋に弁当届いてるぞ」

真「もうお腹ペコペコだよぉ」



一方通行「オレちょっと用があるから勝手に食ってていいぞ」スッ

春香「えっ?……ってもう居ないし。あれ?真美は?」

真「さっき走ってどっか行っちゃったよ。トイレ我慢してたのかな?」


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〜〜〜セット置き場〜〜〜


真美「……」チョコン

一方通行「こォーンなとこに居やがった……隠れんぼなら鬼用意しろよ」

真美「兄ちゃん……」

一方通行「どォした?さっきから様子変だぞお前」

真美「ちょっと疲れただけだよ…………もう!兄ちゃん仕事取り過ぎ!真美はまだ中学生なんだかんね!」

一方通行「オレにも言えねェことか?」

真美「ほっといてってば!!」

真美「ほっといてよ……すぐいつもの、ひっく、調子に、戻るからっ」ポロポロ

一方通行「……」ダキッ

真美「兄ちゃん……ぅっ、ひっ、セクハラだよ」ボロボロ

一方通行「訴えたりなンだり好きにしろよ……お前が泣き止ンだ後にな」ギュウ



真美「うぅ、くぅっ、うわぁぁぁぁんっ!!」ギュウ

一方通行「……」ナデナデ


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一方通行「ちったァ落ち着いたか?」

真美「……」ギュウ

一方通行「何があったンだ?」

真美「この番組の偉い人が……双子はどっちも変わんないからキャスティングが楽で良いって笑いながら話してるの聞いちゃったの……」

一方通行「……」ギリッ

一方通行「見る目ねェンだなァ……この番組もその内打ち切り決定だな」

真美「ねぇ兄ちゃん、真美頑張ったよ……兄ちゃんと約束した日から歌もダンスもお芝居もいっぱいいっぱいいっぱい頑張ったよ!?」

一方通行「あァ、オレが一番知ってるよ」

真美「けどどんなに頑張っても誰も真美を真美として見てくれない!!何で!?真美が竜宮小町じゃないから!?亜美より後にデビューしたから!?」



一方通行「真美……」

真美「双子だから、だって……こんなんじゃ亜美にまで迷惑かかるよね。真美、アイドルなんてやらない方が良かったのかな」

一方通行「そンな事ねェよ」

真美「兄ちゃんに何がわかんの?」

一方通行「分かるさ。オレはお前のファンだから……双海真美がアイドルやっててくれて良かったと思う」

真美「……じゃあ亜美と真美の違い言ってみてよ」

一方通行「真美は左利きだ」

真美「そんなのちょっと見てたら分かるし」

一方通行「真美は髪の手入れに手間を掛けてる。責任感があるし、悪戯する時はみンなが本気で嫌がりそォな事はしねェ。亜美は容赦ねェけど」

一方通行「後はそォだなァ……亜美より若干声が低ィな、自分でも分かンだろ?それとどっちかつったら寒色系の色が好きとか」

一方通行「それから……ゲームの進め方も結構違うよなァ。亜美はガンガン進ンでギリギリの感じを楽しむ感じだけど、お前はコツコツレベリングして危なげなくクリアすンのが好きなンだろ」

真美「……」

一方通行「どォだ、全部正解だろ?ぶっちゃけ今ならお前らの髪の長さが一緒だろォが完璧に判別できンぞ」



一方通行「お前の理解者は今ここに確かに存在してンだから自信持てよ」

真美「兄ちゃん……」

一方通行「外野のうぜェ野次なンかほっとけよ。お前らの違いが分かンねェ業界関係者なンて最初っからアイドルの事金稼ぎの道具としか思ってねェ」

一方通行「そいつらの言動に一々付き合うだけ損だぜ?それによ、見てる奴はちゃンとお前を見てる。是非真美ちゃンで、つって何件もオファー貰ってンだ」

一方通行「ファンレターだって右肩上がりだろ?学校でももォお前を馬鹿にする奴なンていねェンじゃねェか?」

真美「うん、もうなくなった」

一方通行「だろ?安心しろよ、お前はちゃンとあン時より前に進ンでる。稽古も無駄なンかじゃねェ」

一方通行「だから……だからアイドルなンてやらなかった方が良いなンて言わねェでくれよ」

真美「真美が辛い時はそばに居てくれる?」

一方通行「あァ、オレがついてる……また、こンな事があれば何度でも何時間でも一緒に居てやる。だから……負けンな真美」



真美「うん」ギュウ

真美「兄ちゃんはあったかいね……」

一方通行「生きてンだから当然だろォが」

真美「ううん、そうじゃなくて……」

真美(そっか。真美、兄ちゃんのこと……)

真美「真美ねぇ、亜美とは違う所また一つ出来たよ」

一方通行「ふゥン、どンなところだ?」

真美「それはね……教えてあげないよっ!」ニッ

一方通行「はァ?」

真美「んっふっふ〜。兄ちゃん自身が見つけてよ!真美のプロデューサーでしょ?……ほら、真美はもう大丈夫だから行こっ」タッタッタ

一方通行「なンだってンだよ……けどまァ、元気が出たよォで何よりだ」



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数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



真美「ねぇ亜美……」コショコショ

亜美「おっいいですなぁ」ニタァ

真美「じゃあ行くよ」コソ

亜美「あいさー」コソ

一方通行「……」ペラ

春香「あっ、一方通行何読んでるの?」ヒョコ

一方通行「本」

春香「……」

やよい「小説ですか?」

一方通行「いや、ただのビジネスマナーの本だ。律子から借りてな」

やよい「一方通行さんは頭良いのにまだ勉強するなんて偉いなぁ」

一方通行「家事と学生とアイドル同時にやってるお前の方が凄ェだろ」

伊織「やよいが凄いのは当然じゃない」

やよい「そんな、私なんか全然ですよ」

一方通行「いや、マジで。そォだ、今度よォ……!?」



??「目隠ししたの、どーっちだ!!」

一方通行「……」

??「んっふっふ〜!言っとくけどもし外したら兄ちゃんにはエッグい罰ゲームが待ってるかんね」

響(アレ、卑怯じゃないか?)

小鳥(可愛いマネするわねぇ)

一方通行「……声出してンのが亜美、オレの目ェ隠してンのが真美」

貴音「お見事、流石です一方通行」

千早「良く分かるわね……」

亜美「なんで……」ドンビキ

真美「兄ちゃんには分かるんだねっ!」エヘヘ

一方通行「ったく、なンだァ?この前の話信じてなかったのかよ?」

真美「ううん、再確認したかったんだよ」

一方通行「ふン…………っ!次はどこの馬鹿だ?」

美希「目隠ししてるのだぁれーだぁ」ダキ



一方通行「おにぎり馬鹿か」

美希「あは☆バレちゃったの!やっぱり愛の力かな?」

一方通行「その愛の力とやらを確かめてェならもっと隠す気出せよ」

あずさ「……」ソロ

律子「あずささんまでやらなくていいでしょう」

あずさ「あぁん、もうちょっとだったのにぃ」

真「みんな!!」バァンッ

伊織「何よ騒々しいわねぇ」

雪歩「これ、これ見て下さい!!」

小鳥「これってTVジョン?」

亜美「ん?ちょっと待ってよ、何で亜美達が表紙じゃないの?」

真美「次のやつに載るって話だったよね?」

あずさ「あらあら、先方さんが間違えてしまったのかしら」

伊織「そんなわけないでしょ!?」

春香「私たちの代わりにジュピターが載ってるね」



千早「どういう事かしら?」

高木「これは……」

真「一方通行これって……」

一方通行「まァ、偶然じゃあねェだろォなァ」

高木「どういう事だい?」

一方通行「ちっと前にオレと真がコイツ等に喧嘩売られてンだよ。てめェらは潰すってなァ」

一方通行「あいつら、ウチの事務所は汚い事やってるってある事ない事吹き込まれてるみたいだったぜ」

響「何だそれ!?自分たちはそんな事してないぞ!!」

貴音「では961ぷろが圧力を掛けた結果がこの表紙、ということですね」

一方通行「あァ、だろォな」

やよい「何でそんな事を……」

高木「それは私に原因があるのだろう」

一方通行「あァ?」

小鳥「……」



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ーー

高木「と、いうことだ」

律子「そんな関係が……」

一方通行「ンだァそれ?こいつら関係ねェじゃねェか。勝手に2人でやってろよ」

高木「そう単純な話でも無いのさ」

一方通行「……」

伊織「それより……このまま黙ってるつもりじゃないでしょうね!?そんなの有り得ないわよ」

律子「分かってるわ。今すぐ出版社に抗議を……」

高木「無駄だよ……この状況が覆るような可能性を残す程黒井は甘くない」

律子「くっ……」

一方通行「無駄、でもねェだろ」

小鳥「一方通行君?」

一方通行「電話借せ律子」ヒョイ

一方通行「……」プルルル



一方通行「……よォ、TVジョン見たぜ。中々愉快な事になってンじゃねェか……違ェ、謝罪が欲しいわけじゃねェンだなァ」

一方通行「アンタらも大変だったンだろォ?わかるぜェ……あァ、これは貸し、だ。良い仕事回してくれること期待してる。もしこの借りを返さねェってンなら……分かるよなァ?」

雪歩(お弟子さんの誰よりも怖い)ゾクッ

一方通行「……あァ、良い関係を築けたら良いなァ」ガチャン

一方通行「ふゥ……これで溜飲は下がったか伊織?」

伊織「ふん、べっつに!」プイ

真美「けど、これからも邪魔されるって事だよね?」

貴音「これもほんの挨拶、と呼べる程度のものでしょう」

全員「……」

美希「でも別にそんなの平気じゃない?」

響「へ、平気か?」

美希「だってこの表紙、ミキたちの方がすっごく綺麗に撮れてたよ?結局はミキたちが負けなければいい話なの」

千早「そうね」フッ



亜美「ミキミキの言う通りっしょー!」

やよい「負けないように頑張りまーっす」

ワイワイガヤガヤ

高木「うむ、みんな!これから黒井も色々な手を使ってくるだろう。それをここにいるみんなで乗り切ってやろう!!」

全員「はい!」

一方通行「……」

小鳥「不満?」ボソ

一方通行「…………はい」

小鳥「そうよね……けどもう少しそっとしておいてあげて。あの2人も中々複雑なのよ……」

一方通行「……小鳥さンがそォ言うなら」


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〜〜〜車内〜〜〜


春香「何だか大変な事になっちゃったね」

一方通行「だなァ」



春香「どういうことしてくるんだろうね」

一方通行「取り敢えずはお前らの番組にブッキングしまくってくンじゃねェの?」

春香「まぁ、やる事は変わんないんだけどね」

一方通行「あー?」

春香「私はみんなと違って取り立てて凄い所は無いからとにかく頑張らないと!生っすか!?も始まるし」

一方通行「あァ、司会業頑張ってくれや」

春香「もうっそれだけ?生放送だからすごい緊張するんだけど……転んじゃったらどうしよう」

一方通行「放送事故にならねェレベルの失敗ならいくらでもしてくれていいぞ。ファンもそォいうとこ楽しみにしてンだろォし」

一方通行「ただまァ……パンチラは勘弁して欲しいなァ。お前は清純派で売ってンだからあンま性的な部分出して欲しくねェンだよなァ」

春香「清純派で売ってるって言い方やめてくれない?それじゃあ私が本当は清純じゃないみたいだよ」

一方通行「どの口が言うンだァ?この前真とやたらエロい少女漫画の話で盛り上がってたじゃねェか」

春香「あれは少女漫画じゃなくてレディースコミックっていうんだよ。一方通行は何にも知らないなぁ」



一方通行「……」イラッ

春香「それにアレ私たちのじゃないし、あずささんが持ってきてくれたんだよ」

一方通行「知ってる」

春香「え、話したっけ?」

一方通行「いや、無理矢理あずささンに読まされて感想言わされたンだ……」

春香(セクハラじゃん)

春香「一方通行ってあずささんと小鳥さんの玩具にされてるよね」

一方通行「……否定はしねェ」

一方通行「そォいやさァ……」

春香「うん?」

一方通行「ウチのアイドルってお前以外何か叶えてェ事があって手段としてアイドルになってンだよな」

春香「あぁ……確かに」

一方通行「どォだ今の気持ちは?お前がウチのアイドルで今一番夢の近くにいるが」

春香「今の気持ち?んー良く分かんないかなぁ?」



春香「今はただみんなと事務所でお話しして笑い合って、色んなお仕事出来るのが楽しいって事しかないよ。一方通行もそうでしょ?」

一方通行「まァな」

春香「ふふっ素直になったね一方通行」

一方通行「言われ過ぎてイラ立ちも覚えねェよ」


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〜〜〜スタジオ〜〜〜


スタッフ「合図出しましたら春香さんにはこちらの方に来て頂いて……」

春香「はい!分かりました!」

一方通行(アイツは誰よりも連帯を重視してる……今が楽しくて仕方ねェだろォよ)

一方通行(だが、これからもっと有名になりゃそれこそプライベートがねェくらいに忙しくなる……そうなりゃ今程他の奴らに会えなくなる)

一方通行(そン時おまえはどォすンだ……?)



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数週間後

〜〜〜765プロスタジオ〜〜〜



一方通行「さァ、期間限定ユニットのトリだ。待たせたなやよい」

やよい「うっうー!すっごく楽しみです!!」

やよい「あれ?でも私は誰と歌えばいいんですかー?」

律子「そこで、私たちがいるわけよ」

あずさ「このメンバーで集められたってことは……」

亜美「やよいっちと組むのって」

伊織「ふふん、私でしょ?」ドヤァ

小鳥「……」

伊織「はぁ、人気者は辛いわねぇ」ファサ

やよい「伊織ちゃんと歌えるなんて……嬉しいなぁ」

伊織「私もよやよい」

一方通行「何を先走ってやがンだ半デコ。やよいと組むのはお前じゃねェよ」

やよい「えぇー!?」

伊織「は、はぁ!?じゃあ誰よ!?亜美!?それともあずさ!?」



一方通行「違ェ。やよいと組むのは……てめェだ、律子」

竜宮「えぇぇぇぇっっ!!?」

律子「……………………小鳥さんとあずささんが昨日呑ませ過ぎたのかしらね一方通行?」

一方通行「シラフだ」

伊織「また呑みに行ってたの?」

あずさ「だって、一方通行ちゃンは聞き上手なんですもの〜」

亜美「そーいや真美が飲み会の写メ欲しいって言ってたよ?兄ちゃんの酔ってるとこ見たいんだってさ〜」

あずさ「う〜ん、どうしようかしら〜」

亜美「え?ダメなの?」

小鳥「誰かに見せるのはちょっと勿体無い気が……」

あ小「ねー!」

律子「そっっっんな事はどうでも良いんです!!」バァン

律子「からかってるつもりならアンタと言えど本気で怒るわよ!?」

一方通行「もォ怒ってンじゃねェかよ」



一方通行「ふざけてねェ、真剣だ。しかもお前には拒否権ねェぞ?これは社長命令だ」

律子「なっ!?」

高木「うむ、そういうことだ」

律子「し、社長!!何で私なんですか!?私みたいな素人じゃなくても竜宮の誰かでいいじゃないですか!!」

一方通行「素人じゃねェだろォ?映像見てオレは感動したぜェ?……律っちゃン?」ニヤニヤ

伊織「あぁそっか、アンタ律子がアイドルやってた時の事知らないンだったわね」

律子「だからって……私はもうアイドルじゃないのよ!」

高木「しかし先方からの指示でね、律子君を是非……との事だ。現役時代の君のファンだったそうだよ」

一方通行「しかも今回はあのハンバーガーチェーンとのコラボだ。断ったらどンだけ損か分かンねェお前じゃねェよなァ?」

律子「ぐぬぬぬ…………じ、じゃあ竜宮小町は!?」

一方通行「おいおい、この事務所にはお前以外に優秀なプロデューサーが1人いるじゃねェか」



亜美「よっ!さっすがビンビンプロデューサー!」

伊織「敏腕よ」

あずさ「新進気鋭のプロデューサーって雑誌にインタビュー受けたくらいだものね」

亜美「ミキミキがめっちゃ喜んでたもんね〜。真美も事務所にその本あんのにわざわざ買ってくるし……」

あずさ「あら、私も買ったわよ?」

亜美「そうなの?」

あずさ「伊織ちゃんもよね?」

伊織「……なわけ無いでしょ」

やよい「私は持ってないです……」

伊織「後で私のあげるわよ。だからみんなには内緒にしなさい」ボソ

一方通行「あンなン買う価値ねェよ」

亜美「照れてる照れてる」

高木「撮影は社長室で行ったンだがね……いやぁこれが中々大変だったよ。何せ大人しく座ってないから」



一方通行「ンな話今しなくて良いだろォが……ということで分かったな律子?」

律子「まだ……まだみんなの気持ちを聞いてないわ。いくら会社の事情だからってアイドルに無理強いするのは……」

亜美「え?亜美は全然いいよ?家で真美がめっちゃ自慢してくるから前から兄ちゃんのプロデュースってどんな感じか気になってたんだぁ」

あずさ「良い気分転換になりそうです」

伊織「何より、アンタがアイドルしてるところ見たいしね」

一方通行「決定だ」

律子「くぅ……」

高木「ははは、楽しみにしているよ律子君!」

小鳥「歌っている姿は全ての記録媒体に納めるので安心して下さい!」

律子「勘弁して下さいよ……」

やよい「よろしくお願いします律子さん!!」ガル-ン



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翌日

〜〜〜レッスン場〜〜〜


律子「ハァッ……ハァッ……ハァ」ゼ-ゼ-

一方通行「ほらよ」ポイ

律子「んっ……んぐ……」ゴクゴク

律子「ふぅー」

一方通行「散々嫌がってた割にはノリノリじゃねェか」

律子「そりゃあね。やるからには真剣にやるわよ……やよいにも迷惑掛けたくないし」

やよい「迷惑だなんてそんな……律子さんと一緒にやれて嬉しいです!」

律子「ふふ、ありがとう。……それで?アンタは暇なの一方通行?」

一方通行「ちっと様子見に来ただけだ、もォ行くよ」

律子「あの子たちのこと頼むわよ?」

一方通行「わーってるよ。お前はそンなの気にしねェで練習に打ち込め。今はプロデューサーじゃなくてアイドルなンだからよォ」バタン



律子「ったく、自分が引っ張り出したんでしょうが」

やよい「じゃあ、練習の続きやりましょーっ」ピョン

律子「も、もうちょっと休ませて……」


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〜〜〜車内〜〜〜


一方通行「竜宮はやっぱトークにしても何にしても安定感あるよなァ。危なげねェっつゥか」

伊織「あったりまえじゃない」

亜美「フェアリーはそうじゃないの?」

一方通行「美希がポロっと言う時あるからなァ。アイツの場合わざとかもしンねェけど……貴音もいきなり素っ頓狂な事言いやがるし」

あずさ「あらあら〜」



一方通行「っと……着いたぞ亜美」

亜美「ありがと兄ちゃん〜、そうだ!真美呼んでくる?」

一方通行「別に呼ばなくていいだろォ。事務所で会ってンだから」

亜美「ふ〜ん、まいっか。じゃあねみんなお疲れぃ〜」ヒラヒラ

伊織「じゃあね」

あずさ「お疲れ様亜美ちゃん」

一方通行「お疲れさン」

ブロロロロロッ

伊織「そういえばアンタ最近真美と仲良いわよね」

一方通行「別に前から変わンねェだろォが」

あずさ「というより真美ちゃんが前よりもっと懐いた感じ?」

伊織「そうそう、それよ」

あずさ「モテモテねぇ一方通行ちゃん」

一方通行「モテモテって……お前らからみて真美以外に誰にモテてンだよオレは」



あずさ「まず美希ちゃんね」

伊織「貴音もそうでしょ」

一方通行「多分その2人とも好物の飯かオレだったら飯を取るだろォな」

あずさ「もう、そんな事言っちゃ駄目でしょう?」

一方通行「いやマジで。美希とかアイツ、数あるおにぎりの一つ食っただけでマジギレしやがったからな」

一方通行「ハニーなンて知らないの!ミキ、ハニーなンて大っ嫌い(裏声)とか言ってよォ」

伊織「似てないわよw」

あずさ「それでどうなったの?」

一方通行「何か小鳥さンに大量のおにぎり買って貰ったみてェで、そのおにぎりの束を満足気に抱き締めながらさっきはごめンねとか言ってきたよ」

あずさ「お腹空いてたのねぇ」

伊織「さっきの続きだけど、雪歩もそうよね?アンタはアンタで最近コーヒーより雪歩のお茶なんでしょ?律子が事務所にコーヒーが補充されないって嘆いてたわ」



あずさ「雪歩ちゃんのお茶は美味しいものね」

一方通行「確かに美味ェけど、違ェンだ」

伊織「?」

一方通行「あいつオレが缶コーヒー飲ンでンとジッと見てくンだよ。私のお茶なンて缶コーヒーに勝てるはずないよね……って」

伊織「……」

あずさ「そ、それだけ一方通行ちゃんに飲んで欲しいのよぉ」

伊織「ま、逆にアンタがお熱なのは千早みたいだけどね」

一方通行「そォいう言い方は止せや。ただほっとけねェだけだよ」

伊織「言っとくけどアンタ構い過ぎよ?この前なんて千早の代わりにiPodに曲入れてたじゃない」

一方通行「アイツ機械に弱いらしくてな。やり方分かんねェらしいからやってやったンだよ」

あずさ「千早ちゃん喜んでたわよ?前から興味あったんだけど多分自分じゃできないから中々手が出なかったけど、一方通行ちゃんがやってくれたって」

一方通行「そォか」フッ

あずさ(可愛い……)キュゥン



伊織「アンタって面倒見良いわよねぇ」

一方通行「そりゃお前もだろ」

伊織「わ、私はそんなんじゃないわよ」

一方通行「なァーにを恥ずかしがってンだかこのデコちゃンは」

伊織「アンタまでデコちゃん言うな!!」

一方通行(美希のが写った……)

あずさ「あらあら〜」

一方通行「着いたぜあずささン。ここで良いンだよなァ?」

あずさ「えぇ、大丈夫よありがとう」

一方通行「……明日迎えに行ってやろォか?そしたら迷子の心配もねェし」

あずさ「う〜ん、仕事に行く前にちょっと散歩するのが好きなのよねぇ……って、ちょっとワガママ過ぎかしら?一方通行ちゃんにも迷惑掛けてしまうし」

一方通行「いや、あずささンの好きにしてくれ。お前らにはストレス無く仕事して欲しいし、何よりアイドルに掛けられる迷惑なンてプロデューサー業務の一環だろ?」



あずさ「ふふ、ありがとう」ナデナデ

一方通行「撫でンな!」パシッ

あずさ「うふふふ相変わらず釣れないわ〜。じゃあ2人ともまた明日ね」

一方通行「あァ」

伊織「じゃあねあずさ」

ブロロロロロッ

一方通行「さて……お前は事務所で待ってりゃ迎えの車が来るンだよな?」

伊織「……帰りたくないわ」ポツリ

一方通行「……はァ?」

伊織「……なーんてね!もう今日は疲れたわ。さっさと事務所に帰りましょ?」

一方通行「どこに連れてって欲しいンだよ?」

伊織「……」

一方通行「言えよ伊織」

伊織「……誰もいない場所に連れていって、一方通行」

一方通行「……わかった」ブォ-ン



ーーーーーー
ーーーー
ーー

一方通行「高速乗っけど、その前になンか買うか?」

伊織「いらない……」

一方通行「わかった」

伊織「どこ連れて行く気よ」

一方通行「誰も行ねェ場所に行きてェンだろ?」

伊織「そ、そうだけど」

一方通行「お前今の状況分かってンのか?」

伊織「?」

一方通行「自分の足は奪われて、密室で、助けもろくに呼べねェ、そンな所で女のお前が男のオレと一緒に居ンだぞ?しかも主導権を握られてな」チラ

伊織「へ、変態っ!///」ドキドキドキ

一方通行「ハァ……危機感持てって言ってンだよ。お前お付きの運転手にもこンな事頼ンでンじゃねェだろォなァ」

伊織「なんだ、そういう話?別にこんな事誰にでも頼むわけじゃないわよ。アンタには迷惑掛けていいんでしょう?」



一方通行「ならいいがよ……それに、この程度の事迷惑とは思わねェし」

伊織「当然よね。この伊織ちゃんと2人っきりでドライブできるんだから」

一方通行「まァ、そォだな」

伊織「……ちょっと、そこはいつもみたいに悪態つくとこじゃないの?」

一方通行「自分で言って何を照れてンだよお前は」

伊織「照れてない!」

一方通行「ンでェ?どォして家に帰りたくねェンだ?そろそろ教えてくれよ」

伊織「色々ストレスが溜まっただけよ……行く先々でアイドルじゃなくて水瀬のご令嬢扱いされるし……」

伊織「私知名度って観点から見て分不相応な仕事が多いのよ。何でか分かるでしょ?"水瀬"伊織だからよ……やってられないわ」

一方通行「覚悟の上だろ?」

伊織「けど良い気持ちはしないわよ……それで何だかなぁって思ってるところにお父様が……」

一方通行「お父様が?」

伊織「そんなに水瀬の名が付いて回るのが嫌なら手取り早く有名になるためにもっとでかい事務所に行けって……話も進めてるみたいなの」

一方通行「……」



伊織「そんなの絶対嫌!みんなと離れたくないし、何より水瀬の力を頼るなんて本末転倒よ!」

一方通行「お前が居なくなったら困ンなァ……」

伊織「わかってるわよ。竜宮小町に穴は開けられないわ」

一方通行「いや、そォじゃなくてよォ。オレがお前を近くで見れなくなンじゃねェか」

伊織「は、はぁ!?何言ってんのよあんた!!」

一方通行「そりゃそォだろ。オレはお前らのファンだしなァ……最初はアイドルとか知ったこっちゃねェって思ってたけどよ」

伊織「もぅ、何なの!本当に調子狂うわ///」

一方通行「みんなと離れたくねェって言ってみたらいいじゃねェか」

伊織「え?」

一方通行「今までの話聞く限りお前の親父はそンなお前の嫌がる事する奴だとは思わねェけどな」

伊織「でも……」

一方通行「駄目だったらそン時考えりゃ良いじゃねェか。なァに、心配すンなよオレがいる」

伊織「そうね、アンタが居てくれると思うと凄く心強いわ……凄くね」

一方通行「は、はァ?」

伊織「急に態度変えられると焦るでしょ?さっきの仕返しよ!」



伊織「でもそうよね……何もしないで逃げるなんて私らしくなかったわ。帰ってみたら話してみる」

一方通行「……着いたぞ」ガチャ

伊織「どこよここ……丘?」バタン

一方通行「着いてこい」スタスタ

伊織「?」スタスタ

伊織「うわぁ……!」

一方通行「すっげェ星だろ?デートの名所らしいぞ」

伊織「何でそんなとこに連れてくんのよ。アンタ私とデートしたかったの?」

一方通行「いや、アイドルが疲れてる時のリフレッシュ法の一つにデートスポット巡りって小鳥’Sマニュアルに……」

伊織(小鳥’Sマニュアルって何よ……)

伊織「デートスポットなのに人はいないのね」キョロキョロ

一方通行「本来のデートスポットはここよりもうちょい下にあンだ……流石にアイドルが男と2人でそォいうとこに居ンのは不味いからな」

伊織「なら心配いらないんじゃない?パッと見じゃ男って分かんないわよアンタ」

一方通行「へいへい」



伊織「それにしても本当に綺麗……」

一方通行「……」

伊織「ねぇ一方通行?」

一方通行「あン?」

伊織「私の言う事にお父様が納得してくれなかったとしたら……私と一緒に逃げてくれる?」

一方通行「どこまで?」

伊織「私とアンタの事を知ってる人間がいないとこまで……」

一方通行「……そン時クソガキが1人参加しても良いっつゥンなら一緒に逃げてやるよ」

伊織「学園都市で一緒に住んでた?それも面白そうね」

一方通行「そォならねェ事を祈ってるよ」

伊織「帰りましょうか。少し冷えてきたわ」

一方通行「冷えたンならさっさとそォ言えよ。オレに気遣いなンて期待すンな」バサ

伊織「バッ、いらないわよ///」

一方通行「うぜェな。黙って着てろ!風邪引かれても困ンだよ」

40分くらい外す



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ーーーー
ーー

翌日

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



美希「それでねー律子…さんが怒っちゃったの」

一方通行「怒っちゃったの、っておめェが怒らせたンだろ」

美希「えぇー、ミキはアドバイスしただけだよ?」

一方通行「お前のアドバイスってマジで使えなさそォだもンな」

千早「まぁ確かに……否定は出来ないわね」

美希「むー、千早さんまでヒドイのー」

ガチャ

伊織「おはよう」

美希「デコちゃんおっはよーなの!」

千早「おはよう水瀬さん」

小鳥「おはよう、伊織ちゃん」



一方通行「よォ伊織……おら、てめェもいつまでもゲームしてねェでさっさと準備しろよ。もォすぐあずささンも来ンだろ」

亜美「うぅ亜美は兄ちゃんの記録を抜くまでこの手を休めるわけには……」ピコピコ

一方通行「くかかッ、てめェにゃあ抜けねェだろォなァ。真美にも言っとけ。もしオレの記録を抜けたらご褒美くれてやるよ」

亜美「言ったなー!!ピ、ピヨちゃんアドバイスを……」

一方通行「おっと、小鳥さンに頼るのは無しだ。そしたら直ぐに抜かされちまうからな」

亜美「くっ……」

千早「そんなところで私の声マネしないで」

小鳥(ゲーム、したかったなぁ……)

伊織「一方通行、ちょっと」クイ

一方通行「あン?」

伊織「昨日あの後お父様に話したの……アンタの言った通り納得してくれたわ」

一方通行「良かったじゃねェか」

伊織「そうね……けどまぁ、ちょっとだけ残念な気がしないでもないわ」チラ

一方通行「あァ?」

伊織「なーんてね!にひひっ♪」タッタッタ




一方通行「……」ポリポリ

美希「……」ギュウ

一方通行「何してンだよ……」

美希「デコちゃんの顔に嫉妬しちゃった。何かあったんでしょ?」

一方通行「まァな。ンでそれは取り立てて口にする程の事でもねェ……だから離れろ」ググ

美希「ヤーなーのー」グググ

小鳥(……)REC

亜美(ピヨちゃんまた隠し撮りしてる……)



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ーー


数日後

〜〜〜撮影スタジオ〜〜〜


一方通行「次亜美だからなァ。準備出来たか?」

亜美「バッチしっしょー」



一方通行「そン次はあずささン……ン?」

伊織「いないのよねぇ」キョロキョロ

亜美「そう言えばお昼の後から見てないよね……」

伊織「!!……961プロの仕業?」

一方通行「かァ?そンな不穏な空気は感じねェが……どっかで迷ってンじゃねェか?」

亜美「どっちにしろ心配だよ!」

一方通行「まァ、オレが探してくっからお前らはここにいろ。なンかあったら連絡してくれ」

亜美「アイアイサー」

伊織「わかったわ」

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一方通行(あずささン電話繋がンねェ……まさかスタジオの敷地外に行ったわけではねェだろォし)

一方通行「お……」ヴヴヴヴ

一方通行「どこいンだよあずささン?……いや、別に迷ってンのは言われなくてもわかる……なンか目印になるもンねェか?」

一方通行「……コンビニだァ!?なンでスタジオの外行って……つゥかコンビニなンて目印にもなンねェよ!!……もしもし?……もしもし!?」



一方通行「切れやがった……」

一方通行(外か……まァ、あずささン歩きだし、そォ遠くまでは行ってねェだろ……上から探すか)


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〜〜〜ビルの屋上〜〜〜


一方通行(……)キョロキョロ

一方通行(ンだァ、あの集団は?……!中心に居ンのあずささンじゃねェか?)


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〜〜〜外〜〜〜

ガヤガヤ

あずさ「ど、どうしましょう?」

一方通行「どけコラッ!邪魔なンだよ!!……見つけたぞあずささン」

あずさ「一方通行ちゃん!」

一方通行「さァ、行くぞ?」グイ



あずさ「待って!」

一方通行「?」

老人「タクシー乗り場の場所はどこかのう?」

一方通行「……あのでかい建物が見えンだろ?それ目指してデカい通りだけ歩いてけばつく」

あずさ「あら〜、逆方向でしたねぇ。申し訳ございません」ペコ

老人「ええんじゃええんじゃ。アンタみたいな別嬪さんと歩けたんだから」

あずさ「まぁ」ニコ

子ども「うっひっく、ママはどこ?ママぁー!!」ビエ-ン

青年「是非先程のお礼を!」

黒服「あっ!見つけたぞあの女だ!」

店員「お客さん忘れ物です!」

男「助けてー女神様ー!!」

ワイワイガヤガヤ

一方通行「なンだこれは……」



あずさ「いつのまにか大変な事になってて」エヘヘ

一方通行「大変なンて騒ぎじゃ……」

ワーワーギャーギャー

あずさ「ごめんなさい。聴き取りづらくて、もう一回……」

ワーワーギャーギャー!

一方通行「……」ブチッ

一方通行「うるっせェェェェッッ!!」ドゴォン

あずさ(え、コンクリートに穴が……)

一方通行「てめェら!!何うちのアイドルに助け求めてンだコラァッ!!この道突き当たりまで進んで右曲がれ!」

一方通行「そのまま道なりに行きゃあ交番がある。助けて欲しいならそこ行けよ。後、泣いてるガキは……そォだなァ、てめェが連れてけ。いいな?」グイ

青年「は、はい」

一方通行「それ以外の奴等」チラ

黒服「……」

一方通行「は、もォいいや面倒くせェ。どォせ何かの勘違いだろ?……あずささン」ダキッ

あずさ「きゃっ」

あずさ「ア、一方通行ちゃん?」

一方通行「首の後ろに手ェ回せ。振り落とされねェよォにな」



あずさ「は、はい///」ギュウ

一方通行「飛ぶぞ……」キィィン……ドヒュン!

全員「……」ポカ-ン


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〜〜〜空中庭園〜〜〜


一方通行「とりあえずここまで来りゃあ平気だろ」

あずさ「一方通行ちゃん……さっきのは」

一方通行「学園都市出身だからな。あァいう事も出来ンのさ。他の奴らには言うなよ。色々うるさそォだから」

あずさ「フフ、わかったわ」

あずさ「……あら?ここ、式場かしら?」

一方通行「庭園だが、式場にも使うらしいな。今日は結婚式やってねェみたいだけど」



あずさ「綺麗ねぇ。結婚式をするのならこういう場所でしたいわ」スタスタスタ

一方通行「おい、あンま動くなよ。あンたはマジでどォ迷子になるか予測がつかねェ」

あずさ「ごめんなさい……」シュン

一方通行「別に謝罪なンざしなくていい」

あずさ「私って駄目よね……いつまで経ってもこんなみんなに迷惑掛けて……もっとしっかりしないと」

一方通行「別にンな無理してしっかりしなくてもいいじゃねェかよ」

あずさ「でも……」

一方通行「そのほんわかしたとこがあずささンの良い所じゃねェか。あンたのその雰囲気にウチの事務所の奴らは助けられてンだから」

あずさ「そうなのかしら?」

一方通行「そォなンだよ」

あずさ「けど直ぐに迷子になってしまうし……」

一方通行「それがなンだよ。あずささンが何処にいようが何処まで行こうがオレが必ずアンタを見つけ出してやる」

一方通行「誰にも迷惑なンざ言わせねェし迷惑だなンて思わなくていい。だから心配すンなよ」

あずさ「あ///」キュン

あずさ(何だかプロポーズを受けたみたい。場所も場所だし)カァッ



あずさ「あぁ、もうどうしましょう///」ドキドキ

一方通行「おい、聞いてンの?」

あずさ「そうよね、一方通行ちゃん……ううん、一方通行君は男の子だもの。ちゃんは駄目よね」

一方通行「何を今更……まァ、君づけで呼ンでくれるにこした事はねェけど」

一方通行「つゥかそろそろ行こうぜあずささン?仕事の時間が迫ってンだ」

あずさ「あら、駄目よ一方通行君?」

一方通行「はァ?」

あずさ「最初に約束したじゃない。私が君って呼んだら呼び捨てにするって」

一方通行「あー、言ったかもしンねェな……」

あずさ「言ったの!だからほら、ね?」

一方通行「行くぞ…………あ、あずさ//」

あずさ「はい!」ニッコリ


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ーー

数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


あずさ「という経緯があったんです」



小鳥「いーなー。私も一方通行君に呼び捨てにされたいです」

あずさ「言ってみたら案外やってくれるかもしれませんよ?一方通行君は優しいから」

小鳥「いえ、それが……頑なに呼び捨てにしてくれないんです」

貴音「それは一方通行が小鳥嬢を心より敬服しているからでしょう」

小鳥「そうなの?」

貴音「はい。一方通行は冗談で我々を貶める事はありますが小鳥嬢に関しての事は一度も口にした事がありません」

貴音「逆に我々が冗談で小鳥嬢を貶めようものなら烈火の如く怒ります」

あずさ「愛されてますね」

小鳥「えへへ///」

小鳥(っていうか私、貶められてるんだ……アイドルの子たちに)

貴音「故に……」

小鳥「?」

貴音「我々の中で小鳥嬢に良い感情を持つ者はごく少数です」

小鳥「!?……そんなぁ!!」ジワァ

貴音「うふふ、冗談ですよ」



小鳥「もぅ!」プンプン

貴音「ふふ、一方通行と話す内に冗談を言い合うのが癖になってしまいました」

あずさ「そういえば一方通行君は?」キョロ

小鳥「やよいちゃんと響ちゃんと一緒に給湯室でなにかしてるみたいですよ?」


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ーー


一方通行「こンな感じか?」トントントン

響「そうそう、中々筋が良いさー」トトトトトン

一方通行「……」ペロ

一方通行「良いンじゃねェか?」

やよい「……」ペロ

やよい「ちょっと辛いかなーって」

一方通行「そ、そォか、どォすりゃ良いンだ?」

やよい「そういう場合はですねー……」

一方通行「……なるほど」ジ-



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律子「ちょっと千早、アンタまたカロリーメイト?」

千早「お昼はあまり空腹にならないからこれで充分よ」

律子「とか言ってアンタ最近痩せたんじゃない?ちゃんと栄養には気をつけなきゃダメでしょう?」

千早「そういう律子だってコンビニ弁当じゃない」

律子「わ、私はほらアレよ!最近疲れてて朝起きれないだけよ!」

千早「私もそうよ」

律子「アンタそんなタイプじゃないでしょ……」

伊織「はい」スッ

千早「え?」

伊織「私のお弁当分けてあげる。水瀬の食品技術の粋を極めたものだからきっと頬っぺた落ちちゃうわよ?」

伊織「だからもっと太りなさいよ。見てるこっちが心配だわ……」



千早「そんな、大丈夫よ……でも、ありがとう水瀬さん。あなたの心遣いが本当に嬉しいわ」

伊織「だーかーらぁー……」

一方通行「おゥ、まな板女。相変わらず飯はサプリメントか?」

千早「……」イラッ

一方通行「ンなもンボソボソ食ってねェでこれ食え」ゴト

律子「これって……」

伊織「カレー?」

千早「こんなものどこから……」

響「それ、一方通行が作ったんだぞ!」

やよい「はい、初めて料理したのに上手です!」

律子「え、でも今までカレーの匂いなんて……」

一方通行「ン?そォなのか?」

一方通行(邪魔されたくねェから能力使ったンだよ)

律子「それ私も食べてみていい?」

一方通行「おゥ、勝手によそってこい」

律子「やたー」ルンルン



一方通行「そら、冷めねェうちに食えよ」

千早「いいわよ……」

一方通行「よくねェだろ。この前なンてフラついてやがったじゃねェか。抱き止めたの誰だと思ってやがる」

千早「アレは単なる寝不足よ」

一方通行「だとしても強ェ体になってもらわねェと困るンだよ……目指せ真の肉体」

伊織(無茶過ぎ……)

一方通行「それに食生活改善したら歌のレベルもアップすンだろ?」

千早「!」

一方通行「別に家で飯作れとは言わねェから、せめてここ来た時くらい、ものはオレが用意してやるから食えよ」

千早「わかったわ……いただきます」カチャッ

伊織「……」ホッ

響「じゃあ自分たちも食べようか」

やよい「いっただっきまーす!」

貴音「おや、芳しい香りがしますね」ヒョコ

一方通行「来たよ面妖腹ペコ女が」



貴音「!?その反応はあんまりではないですか一方通行!!」

小鳥「これ一方通行君が作ったの?」

あずさ「まぁ、美味しいそうね〜」

やよい「皆さんの分もありますよ!」

響「今日事務所にいる人数計算して一方通行が食材買ってきたんだもんな!……もちろん貴音も一杯食べられる量を」

貴音「一方通行……」ニコ

一方通行「まァ、お前らも自分で用意するより作ってもらった方が楽だろ?だからこれからはオレが作ってやる。昼時に事務所にいる奴に限るが。味の保証は……そこの2人だ」

やよい「一方通行さんは飲み込みが早いので教えがいがあります!」

響「もっともっとレパートリーを増やしてやるぞ一方通行!」

一方通行「おゥ」

小鳥(あ、てことは私毎日一方通行君の手料理食べられるんだ……やったー!!)

あずさ「あら?でも食費は?」

一方通行「経費で落ちンだろ」

伊織「え、平気なの?」

一方通行「ダメなンて言わせねェよ。お前らのおかげでかなり金儲けてンだから……なァ?」

律子「そうね。今のウチは資金的にみたら貧乏プロダクションの枠から大きく外れるし、社長も許可してくれると思うわ」



一方通行「そォいう事だから遠慮はいらねェよ」

伊織「お金の面は分かったけどアンタは平気なの?」

一方通行「あン?」

貴音「一方通行はただでさえ多忙の身。その上食事まで用意して頂くというのは……」

一方通行「べっつに平気だよ。むしろここ来る前よか健康だァ」

一方通行「つゥかよ……さっさと食わねェと昼休憩終わるぞ」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


全員「ごちそうさまでした!」

律子「さぁて、仕事仕事」

一方通行「あ、お前の事務仕事全部終わらせといたぞ」

律子「え?」

一方通行「流石にアイドルやって、事務もやるなンてのはしンどいだろ?」

律子「一方通行ぁ……」ウルウル



伊織「まぁ、こいつがアンタが苦しむ原因作った張本人だけどね」

律子「あ、そうだった」キッ

貴音「大変美味しゅうございました。一方通行、貴方は本当に万能ですね」

小鳥「確かに何でも出来ちゃうわよね」

響「ま!自分の方が完璧だけどね!」

一方通行「ハッ……そォだなァ」

響「今馬鹿にしたろー!?」

一方通行「してねェ」

あずさ「一方通行君は良いパパになりそうね。ご飯が上手い男の人はモテるわよぉ〜」

やよい「はい!私もそう思います」

一方通行「オレが父親なンて想像もしたくねェよ」

千早「美味しかったわ。一方通行」

一方通行「おゥ」

千早「あなたは本当、どんどん変わっていくわね」

一方通行「……お前だって変わってるだろ?」



千早「どうかしら……自分では分からないわ」プイ

一方通行「……」

やよい「今日は私に付いてきてくれるんですよね一方通行さん?」

一方通行「おォ、やよいの新番組だからなァ」

千早「高槻さんの新番組?」

伊織「お料理さしすせそ、よね」

響「料理番組なのか?いいなぁ」

やよい「はい、そうなんです!緊張しますけど今から楽しみで」エヘヘ

千早(頑張って……高槻さん)フフ

一方通行「丁度良い機会だから学ばせてもらうぜェ先生?」

やよい「あぅ、余計緊張しちゃますよぉ」

律子「ちゃんと"私の分まで"仕事しなさいよ一方通行!?」

一方通行「あァーもォーうるっせェなァ。わかってるよ」ヒラヒラ


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜スーパー〜〜〜



一方通行「いやァ、それにしても料理ってのは色々手間暇かけるもンなンだなァ。収録見てて感心しちまったよ」

やよい「タイトルを何回も噛んじゃいましたけど……」



一方通行「ン?別に良かったぜ?ディレクターも絶対使うっつってたし」

やよい「えぇー!?恥ずかしいですよぉ」

一方通行「大丈夫だろカワ……変ではなかったし」

やよい「?」

一方通行「つゥかマジでいいのか?オレも付いて行っちまって」

やよい「もちろんです!今日はもやしパーティの日ですけど、私の新番組の初収録を記念して……なんとキャベツも入れちゃいます!」

やよい「だから一方通行さんにも来て欲しいんです。もしかして嫌でしたか?」

一方通行「嫌なわけねェだろ?にしても記念か……ならオレは記念に肉買ってってやる」

やよい「えぇ!いいですいいですお肉なんて!!」

一方通行「オレだって祝いたンだよ。好意には黙って甘えとけ」ポン

やよい「一方通行さん……」

一方通行「さ、さっさと買い行こうぜ?弟たちも腹空かせてンだろ?」

やよい「はい!」ニカッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜外〜〜〜


やよい「あ、ここの小学校に私も通ってたんですよ」

一方通行「へェ、そォなのか?」

やよい「はい…………あれ?」

少年A「なんとか言えよ高槻!」ドガ

長介「ぐっ」

少年B「本当の事だから怒ったんだろー?」バキッ

長介「うぐっ」

やよい「あなたたち何してるの!?」

少年C「やべぇアイドルの姉貴が出てきたぞ!逃げろー!!」

一方通行「……」

やよい「長介!!長介どうしたの?ケガしてるよ?ここも、ここも!」ソッ

長介「触るなっ!」パシン

やよい「えっ?」

長介「姉ちゃんには関係ないだろ!?ほっといてよっ!!」

やよい「何でそんな事言うの?私たちは家族なのに……」



長介「くっ!」ダッ

やよい「っ!待って長介!!」

一方通行「やよい、オレが行く」

やよい「一方通行さん?」

一方通行「こォいうのは男同士の方が良いンじゃねェか?お前は飯の準備しててくれよ。これでもすげェ楽しみにしてンだぜ?お前ンちのタレは特別なンだろ?」

やよい「でも…………はい、長介をよろしくお願いします。一方通行さん」

一方通行「任せなァ」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜土手〜〜〜


長介「うぅっ、ひっく、ひっ」ポロポロ

一方通行「また随分とベタなとこで泣いてンじゃねェか」



長介「!!」キョロキョロ

一方通行「心配しなくてもお前の姉ちゃんはいねェよ」

長介「あんたは姉ちゃんと一緒にいた?」ゴシゴシ

一方通行「一方通行、姉ちゃンのプロデューサーだよ」

長介「プロ、デューサー……」

一方通行「オレの事はどォでもいい。それよりお前何があったンだ?」

長介「……」

一方通行「別に姉ちゃンに告げ口したりしねェから安心しろよ。それにオレだったら助けになれるかもしンねェぜ?」

長介「…………じつは」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行「なるほどなァ。あのガキ共がやよいの事馬鹿にしやがったからとっちめようとして逆にやられたわけか」

長介「うん、姉ちゃんには言えないよ。きっと傷つくから」

一方通行「……悔しいから泣いてたのか?」



長介「悔しいよ……姉ちゃんは俺たちの為に頑張ってくれてるのにそれを馬鹿にされて何も出来ないなんて」

一方通行「ふゥン……イイなァお前……良い男じゃねェか」

長介「え?」

一方通行「長介っつったなァ?殴り合いのやり方教えてやる」

長介「大人が子どものケンカの協力していいの?」

一方通行「別にオレは善人じゃねェしなァ、ンなの関係ねェよ。で、やンのか?やらねェのか?」

長介「やる……」

一方通行「良し」

一方通行(あの野郎にぶっ飛ばされた時を思い出せ……確か)

一方通行「拳の握り方はこォだ」

長介「こ、こう?」

一方通行「おゥ、後は……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

長介「えいっ」ブンッ

一方通行「効かねェなァ」パシ

一方通行「腕じゃねェ……腰を回すンだ。腰で打て」

長介「ふんっ」ブォンッ

一方通行「良い感じだ」パシ-ンッ

一方通行「よし、じゃあやり行くぞ」

長介「えっ?」

一方通行「何だよ?別に明日に持ち越す必要ねェだろ。それに……大体連中が溜まりそォな場所は見当ついてンだろ?」

長介「それは、うん」

一方通行「なら行こォぜ?大丈夫。死にはしねェンだからどォとでもなる」

長介「……」

一方通行「……怖ェか?あっちは3人がかりだもンなァ」

長介「怖い……けど、姉ちゃんを馬鹿にされたままの方が嫌だ」

一方通行「ククッ、その気持ちがあンなら平気だ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜公園〜〜〜


長介「お前ら!!」

少年A「ちっ、また来たよ」

少年B「しかも今度は大人連れて……ダッセー!」

一方通行「心配すンなよガキ共。オレはここで見てるだけだ……なァ長介?」

長介「お前らなんかオレ1人で勝てる」

少年C「そうか……よっ!」バキ

長介「くっ……うぉおおお!!」

一方通行(手ェ出さねェとは言ったものの……3人相手じゃあなァ。アイツには華ァ持たせてやりてェ…………状況次第だな)


ーーーーーー
ーーーー
ーー



長介「はぁ……はぁ……」

一方通行「結構いいパンチもらっちまってンなァ……そら、いつまでもそンなとこに寝てると服が汚れるぜ?」グイ

長介「あ、ありがとう兄ちゃん」

一方通行「誇れよ、お前の勝ちだ。あいつら逃げ帰りやがったからな」

長介「そっか……俺勝ったんだ」

一方通行「本当の事言うとよ、オレはお前がヤバくなったら手助けするつもりだったンだよ。だから……まさか3人相手にあァも立ち回れるとはなァ」

長介「自分でも良く分かんないよ。ただ、姉ちゃんが馬鹿にされたままじゃ絶対嫌だから無我夢中で……」

一方通行「あァ、何が何でもって感じはあの野郎を思わせたぜ……」

長介「?」

一方通行「っと、お前には関係ねェ話だ気にすンな。さァ帰るか。腹減ったろ、姉ちゃんが飯作って待ってンぜ?」ポン

長介「うん!」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜やよい宅〜〜〜


やよい「長介!さっきよりも傷増えてるじゃない!何があったの!?」オロオロ

長介「それは……男同士の秘密だよね兄ちゃん?」

一方通行「そォだなァ。これはやよいにも言えねェなァ」

やよい「もー!何ですかそれ一方通行さんまで!!」

一方通行「まァ、そォいうなよ。お前が心配するよォな事はねェから……ほら長介、姉ちゃンに何か言う事あンじゃねェのか?」

長介「うん。姉ちゃんさっきはヒドイこと言ってごめん。学校でちょっと嫌な事あったんだ。あ、でも心配しないで!兄ちゃんのおかげで解決したから」

やよい「え、一方通行さんの?」

一方通行「オレは別に何もしてねェ。それよりほら他の家族を紹介してくれよ。やよいンちは大家族なンだろ?」

やよい「は、はい!こっちの部屋に来て下さい、みんな揃ってるんで!」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜外〜〜〜


一方通行「いいからお前家帰ってろよ」

やよい「いえ!お送りします!」

一方通行「夜道をお前1人で歩かせらンねェだろ」

やよい「いいんです。ちょっと歩きたい気分なんです」

一方通行「ハァ……じゃあそこら辺散歩しようぜ、それでいいンだろ?」

やよい「いいんですか一方通行さん?明日も早いんじゃ……」

一方通行「別に平気だ」

一方通行「……それにしても飯美味かったなァ」

やよい「はい!お肉凄く美味しかったです」

一方通行「いや、肉よりタレが美味かった。今度また作り方教えてくれよ」

やよい「もちろんです!」

一方通行「……」スタスタ

やよい「……」トコトコ

やよい「長介がすいませんでした。一方通行さんに何かずっとベッタリしてて……」

一方通行「別に構わねェよ。オレも男のガキと話すのなンて新鮮だったし」



やよい「けどいーなー長介は」

一方通行「ン?」

やよい「だって新しいお兄ちゃんが出来たみたいにはしゃいでました。私もお姉ちゃんかお兄ちゃん欲しかったです……」

一方通行「ならオレがお前のお兄ちゃンでいいじゃねェか。長介の兄貴分がオレなら当然やよいの兄貴分もオレだろ」

やよい「ア、一方通行さんがお兄ちゃんですかーっ?」

一方通行「ンだよ嫌なのか?」

やよい「そ、そんなことないです」ブンブン

一方通行「お姉ちゃンにしてもウチの事務所に一杯いるじゃねェか。誰かしら捕まえてお姉ちゃンって呼ンでみたらどォだ?」

やよい「そんな……迷惑じゃないですか?」

一方通行「全員アホみてェに喜ぶンじゃねェの?……ちなみにやよいがお姉ちゃンって呼ぶとしたら誰選ぶンだ?」

やよい「うーん、春香さん、かなぁ」

一方通行「えェ、春香かよ……」

やよい「え、ダメですか!?春香さんが本当のお姉ちゃんだったら嬉しいかなーって」

一方通行「そォかァ?」

やよい「じゃあ、一方通行さんだったら誰にお姉ちゃんになって欲しいですか?」

一方通行「どォだろォなァ……やっぱ小鳥さンかァ?あの人がガキの頃からいたらオレの性格もちっとはマシだったかもなァ」



やよい「事務所全体が家族って考えると面白いですよね」

やよい「お父さんが社長で、お母さんが小鳥さんです!」

一方通行「本人に言ったらキレそォだけどな。長女はあずさか?」

やよい「はい、基本的に年齢順で」

一方通行「つったらオレと千早と響は三つ子か……ハハッ、春香が姉貴はうぜェだろォなァ」

やよい「うっうー!小鳥さんは子沢山ですね!」

一方通行「社長の経済能力じゃ一家まとめて路頭に迷うだろォな」

やよい「そこは長男の一方通行お兄ちゃんが家族のために頑張るんです……あ、現実と変わらないですね!」ニコ

一方通行(たまに毒吐くよな……邪気があンのかどォかは知らねェけど)

一方通行「つゥか、家族だったとしても立ち位置とか関係性は大して変わンねェだろォな」

やよい「だったらそれってすっごく素敵な事です」

一方通行「そォかもしンねェなァ……」

一方通行「そォいや兄貴が出来たらやって欲しいこととかあンのか?」



やよい「あ、あるにはありますけど……」モジモジ

一方通行「遠慮しねェで言ってみろよ」

やよい「肩車して欲しいかなーって……」

一方通行「肩車?分かった、じゃあ行くぞ?」

やよい「は、はい」

一方通行(能力使うか……)グォン

やよい「わぁー!」キラキラ

一方通行「肩車なンかで良いのかよ?」

やよい「良いんです!この前かすみにやってあげた時すっごく喜んでて、私もやって欲しいなぁって思ってたんです」

一方通行(あの体格差で持ち上げたのか……やよいって結構力持ちなンだな)

やよい「あの、一方通行さん!このまま走ることって出来ますか!?」

一方通行「別に出来っけど、いいのかよ?結構怖いンじゃねェの?それにお前高所恐怖症だろ?」

やよい「大丈夫です!やっちゃって下さい!」

一方通行「……しっかり掴まっとけよ?」ダッ!

やよい「きゃー!!」ケタケタケタ



ーーーーーー
ーーーー
ーー


やよい「ありがとうございました」ガル-ン

一方通行「こンなンで良かったのかよ」

やよい「はい、嬉しかったです!」

一方通行「まァ、お前もどっちかつゥとあンま人に頼ンないタイプだけどよ……たまにはこうやって甘えていいンだぜ?オレはお前のお兄ちゃンだからなァ」ナデ

やよい「一方通行さん……」

一方通行「お前はホントすげェよ。まだ中坊なのに家事だの何だの全部こなして……しかも金まで稼いでるときた」

やよい「そんな、凄くないですよ……まだ出来ない事の方が多いです」

一方通行「その出来ない事をオレがやってやる……別にプロデューサーだからって訳じゃねェ。単純にオレはお前の助けになりてェのさ」

一方通行「お前だってまだガキなンだからもっと自分のやりてェ事をしていいンだよ」

やよい「でも……」

一方通行「長介だって、アイツもっとお前に頼って欲しいンだろォぜ?これからはちょっとずつ頼ンでみろよ」



やよい「そうでしょうか?」

一方通行「あァ、アイツも男だからな。お前の為に何も出来ねェのが悔しいのさ」

やよい「帰ったら言ってみます……」

一方通行「おォ、そォしとけ」

やよい「でも一方通行さん、私は自分のやりたい事は出来てます!」

一方通行「あン?」

やよい「弟たちの面倒を見て、事務所のみんなと一緒にお仕事して、一方通行さんとこういう風にお喋りして……そういうのが凄く好きなんです!だから私は重荷にだなんて思ってません!」

一方通行「……そォか、ならオレはお前の楽しいひと時を奪わねェようにこれからも良い仕事取ってこなきゃなァ」

やよい「はい、私も頑張りまーすっ!」ウズウズ

一方通行「ハイ……」スッ

やよい「ターッチ!いぇい!」パァン

一方通行「さて、お前ンち着いたし、そろそろ散歩も終わりだな」



やよい「はい、ありがとうございました一方通行さん」

一方通行「おォ、じゃあまた明日な」

やよい「はい、おやすみなさい」ガル-ン

一方通行「おォ」ヒラヒラ

一方通行「にしても……」ポリポリ

一方通行(なンつゥか、こっちが励まされた気分だ……アイツはやっぱお姉ちゃンなンだなァ)



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数日後


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「……」グッタリ

伊織「情けないわねぇ、なにグッタリしてんのよシャキッとしなさい!」




一方通行「真と千早に言え……アイツらのトレーニングに無理矢理付き合わされたンだよ。しかも取引き先の奴がミスったからオレが尻拭いして今日寝てねェンだよ」グデ-ン

小鳥「寝ててもいいのよ?」

一方通行「もォすぐ打ち合わせあるンで……」

小鳥「あれ?そういえば一方通行君の最後の休日っていつだっけ?」

伊織「そんなもん無いわよ。コイツ、社長に休日はいらないって言ったんだから」

小鳥「えぇ!?」

伊織「律子と美希が働かせ過ぎだって社長に直談判しに行ったのよ。そしたら一方通行がそんなもの必要無い、大きなお世話だって……ねぇ?」

一方通行「おォ……」

小鳥「そうなの……」

小鳥(でも本人が良いって言ってもやっぱ無理あるわよね……社長に会った時に報告しとこう)

やよい「大丈夫ですか一方通行さん?」

一方通行「……大丈夫じゃない」

伊織「しょうがないわねぇ、この伊織ちゃんが……」

やよい「何か私に出来る事ありませんか!?」ガバ

一方通行「別にいい……それについこの前オレに頼れって言ったのにお前に頼ったら情けねェ」



やよい「そんな事ないです!私は一方的に助けられるより、お互いに助け合いたいです!」

一方通行「……」

一方通行「じゃあ何か言った後に自分の名前を2回言ながらその時の行動や内心を喋ってくれ……そォすりゃ元気出るから」

やよい「えーっと、これで元気が出るんですかーってやよいはやよいは一方通行さんに話しかけます」

一方通行「……」ナデナデ

やよい「ひゃっ」

小鳥(喋り方フェチ?)

あずさ「まぁ、それって何かの遊び?ってあずさはあずさは頭を撫でてみるわぁ」ナデナデ

美希「ミキがハニーに元気注入してあげるね!ってミキはミキはハニーをギュウっと抱き締めるの!」ギュウ

一方通行「……」

伊織「伊織は、伊織は……」ボソ

小鳥「ん?何か言った伊織ちゃん?」ニヤニヤ

伊織「!!何も言ってないわよっ!!」



美希「元気出たー?ハニー?」

一方通行「……」グッタリ

やよい「わー!美希さん首絞まってます!」

美希「あっ」バッ

一方通行「ゴホッ……」

美希「ご、ごめんハニー」

やよい「もう、抱き締めるんならちゃんと抱き締める場所選ばないとメッ、ですよ?」

美希「面目無いの……」

真美「兄ちゃん平気ー?」ピョコ

一方通行「何をワラワラ集まってきてンだお前らは……あとアンタはいつまで頭撫でてンだよ」ガシ

あずさ「あら」

一方通行「チッ、どいつもこいつも……ありがとうなやよい。お陰で元気出たぜ」

やよい「兄貴分を助けるのは当然ですっ!」

春香「ぶっ」

伊織「アンタやよいに何教えてんのよ!!」



一方通行「別に教えたわけじゃ……」

小鳥(やよいちゃんが漢らしい言葉使うとギャップで可愛いわねぇ……そういう仕事増えないかしら)

亜美「おーっとやよいっちぃ!我ら双子から兄ちゃんの妹ポジションを奪う気かい?そう簡単に妹になれると思ったら大間違いだよ!ね、真美?」

一方通行「ポジションもクソもねェだろォが」

真美「別に、真美は兄ちゃんの妹になんかなりたくないよ……」

亜美「え……?」

一方通行「!?」ガ-ン

真美「ほら、妹なんかより兄ちゃんをこのセクチービームでメロメロにした方が面白いよ」

亜美「だ、だよね!兄ちゃん亜美欲しいゲームがあるのぉ」アハ-ン

美希「ハニーは色仕掛けになんか負ける人じゃないの!」

あずさ「そうよねぇ……いっつも暖簾に腕押しって感じだものね」ハァ

美希「え?……試したのあずさ?」

あずさ「……」



春香「聞いた?真美は一方通行のお兄ちゃんにだけはなりたくないって」ボソボソ

一方通行「……」ギュ

春香「いっ!?いはいはいはいぃ!」

小鳥「ア、一方通行君!顔はつねっちゃダメよ!」

一方通行「……すンませン」パッ

春香「くぅぅ」ヒリヒリ



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数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


真美「ねぇねぇお姫ちん」

貴音「なんでしょう真美?」

真美「あのねぇ、兄ちゃんに何かあげたいんだけど何なら喜ぶかな?」



貴音「何とは……なんです?」

真美「この前兄ちゃん疲れてたっしょー?だから元気出して欲しいんだよ〜」

貴音「その気持ちだけで一方通行は喜ぶと思いますが」

真美「形に残る物があげたいの!お姫ちんなら兄ちゃんのこと詳しいでしょ?」

貴音「皆そう申しますが皆が言う程私も知りませんよ。一方通行は秘密主義ですしね……真、困った方です」フフ

真美「えーお姫ちんがそれ言う?」

貴音「いっその事本人に聞いてしまえばいいのでは?」

真美「それじゃあサプライズじゃなくなっちゃうじゃん」

貴音「はて……さぷらいずとは」

亜美「なになにー何の話してんの〜?」

貴音「おや亜美、今ですね……」

真美「わーストップお姫ちん!亜美に言っちゃダメだよ!」

亜美「えーなにそれー」

貴音「そうなのですか?」

真美「うん、てゆうか誰にも言っちゃダメだよ!もう真美行くから、また相談に乗ってね」ダッ



貴音「はぁ」

亜美「……」

一方通行「おい亜美、まだ打ち合わせの途中だろォが」

亜美「うん……ごめんね兄ちゃん」

一方通行「?」

貴音「ときに一方通行、今日のお昼ご飯は……」

一方通行「もォ作り置きしてある……ちなみにラーメンではねェぞ?」

貴音「構いませんよ。作ってくれるというだけで心が奮い立つというものです。感謝こそすれ不満など……」

貴音「ですがしかし、一方通行が作ったらぁめんを一度は食してみたいと思うのもまた本心……」ハァ

一方通行「一応栄養バランスが良いメニューにしてっからなァ、その機会はねェンじゃねェか?」

貴音「そこを何とか!」ズイ

一方通行「嫌だ、つゥか無理だ……お前の事だからスープのダシから作れとか言うだろ?用具もねェし、ンなの手間掛かり過ぎンだよ」

貴音「ふむ……」

一方通行「もォいいか?時間ねェンだよ。おい、行くぞ亜美」

亜美「うん」

貴音(用具ですか……幾らくらいするのでしょう?真美に倣い私もぷれぜんとしてみましょう)



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ーーーー
ーー

〜〜〜公園〜〜〜


亜美「今日テレビ局で収録だよね?なんで公園?」

一方通行「いや、なんか元気ねェみてェだから気分転換に連れてきた」

亜美「わざわざそんなのしてくんなくていいよ」

一方通行「まァそォ突き離すなよ。来ちまったンだからもォ遅ェし」

亜美「兄ちゃんが勝手に連れてきたんじゃん」

一方通行「あーうるせェ……飲みモン買ってやるよ何にする?」チャリンチャリン

亜美「サイダー……」

一方通行「ほらよ」ポイ

亜美「ありがと」パシ

一方通行「……」プシュッ

一方通行「でェ?何をお前は真美にムカついてンの?」ゴクゴク

亜美「……なんでそこで真美が出てくんの?」



一方通行「そりゃあお前がおかしくなンの真美と喋った後だし」

亜美「……」

一方通行「なンだァ?学校で好きな奴とか取り合ってンのかァ?」ケタケタ

亜美「違うよ……最近真美がなに考えてるかわかんないんだよ」ションボリ

一方通行「はァ?」

亜美「いつもなら真美と喋んなくても真美が思ってる事は何となくわかんのに……もう分かんなくなっちゃったんだよ」

一方通行「分かんねェなら直接聞きゃいンじゃねェの?」

亜美「真美は何も教えてくれないんだよ。家でもコソコソしてる時あるし、今日だってお姫ちんと何か喋ってたみたいだけど亜美が話に入ったら話すのやめちゃった」

亜美「亜美、真美に怒られるようなことしちゃったのかなぁ」ジワァ

一方通行「心当たりでもあンのか?」

亜美「……」ブンブン

一方通行「ならそォじゃねェンだろ。真美が怒ってる風でも無かったし」



亜美「兄ちゃんに分かんの?」

一方通行「お前らの面ァみたら大体の喜怒哀楽は分かる」

亜美「そうなんだ……じゃあ何で亜美には教えてくれないんだろう?」

一方通行「まァ、アイツも大人になってってるっつゥ事じゃねェの?」

亜美「?」

一方通行「そりゃそォだろ。お前らだっていつまでも一緒の考えで一緒の行動って訳にも行かねェだろォし、何よりそォいうのが嫌だから真美も双海真美としてアイドルデビューしたンだろ?」

亜美「そうだけどさ……」

一方通行「なら、それで良いじゃねェか」

亜美「……良い?何が良いの?真美の事が分かんなくなるのが大人だから!?何それ?兄ちゃんは何もわかってない!!」

亜美「いつまでも一緒じゃないなんて分かってるよ!でも亜美は嫌なんだよ!!真美の事が分かんなくなんなら亜美は大人になんてなりたくないっ!!」

一方通行「……」

亜美「……」フ-フ-

一方通行「それでも人間は大人になっていくンだよ」



亜美「やだぁ……やだっ!」ポロポロ

一方通行「何を泣く必要があンだよ亜美?お前は一つ勘違いしてる」

亜美「え?」

一方通行「お前の想像した未来はこれから先真美の事を全く理解できねェってンだろ?そォじゃねェよ」

亜美「何が違うの?」

一方通行「別に大人だろォがなンだろォが、相手の気持ちは察せれる……オレとか律子達だってそォだろ?」

亜美「うん」

一方通行「お前は今迄が理解出来過ぎたンだよ。双子故にかもしンねェが。だから今は理解できねェンじゃなくて戸惑ってるだけだ」

亜美「戸惑い?」

一方通行「あァ、まァ焦りっつってもいいのかもしンねェけど……けどそりゃそォだよなァ、生まれた時から一緒の相方が急に変わったらそりゃビビるわ」

亜美「うん……」

一方通行「けど、ちょっと前まで真美もお前と同じ気持ちだったンだろォぜ?」



亜美「どういうこと……?」

一方通行「双子の妹が世間的には自分より知名度あってよ、しかも竜宮小町ってユニット組んでライブでTVで大活躍……真美は置いていかれた気持ちになってたンだろォな」

亜美「あ……」

一方通行「けど、アイツは一皮剥けた。周囲の糞みてェな雑音も振り切って自分は自分だ、自分はここにいるって、存在の証明をしたンだ」

亜美「あ、亜美は……真美に……」

一方通行「別にお前が罪悪感持つよォな事じゃねェ……お前は実力で選ばれたンだし、双子でアイドルやってる以上いずれは片付けなきゃなンねェ問題だった」ポン

亜美「兄ちゃん……」

一方通行「だから、お前もちょっとずつ自分のペースで成長して、変わって行ったらいい……」ナデナデ

亜美「うん……」ジワァ

一方通行「ッ!?な、なンでまた泣くンだよ」アタフタ

亜美「だってぇ、慰められると……ひっぐ、なぎだぐなるんだよぉ〜」ギュウウウ

一方通行「おォーよしよし」ナデナデ

亜美「うわぁぁーん!!!」ポロポロ

一方通行(キレ方から抱き癖まで姉妹一緒かよ……あ、真美はオレから抱きしめたのか)



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ーーーー
ーー


一方通行「ほら、これで涙拭けよ」スッ

亜美「ありがと……兄ちゃんハンカチなんて持ち歩いてんだね」フキフキ

一方通行「律子に持たされた。社会人なンだからそォいう細かい所もちゃンとしろって」

亜美「そうなんだ……あ!仕事の時間!!」

一方通行「心配すンな。今から向えば良い塩梅だ」

亜美「……」

一方通行「なンだよ褒めろよ。兄ちゃンの時間の配分の仕方は最高だね!って」

亜美「だからムカつくんだよ!何か兄ちゃんの手の平の上で踊らされたみたい!亜美は女のリーサルウェポンまで出させられたのに!!」プンスカ

一方通行「ンなの別に偶然だよ……お前がまだ腹の中のもン吐き出しきれてねェよォだったら仕事すっぽかす覚悟もしてたしな」

亜美「むぅー!!そういうセリフがポンポン出てくるのがムカつく!兄ちゃんって女の敵だよ!!もやし!!」

一方通行「亜美がもやしを馬鹿にしたってやよいにチクってやろ」



亜美「いーよー、なら亜美はミキミキに兄ちゃんに口説かれたって言うから」

一方通行「やめろよ。めっちゃ面倒くさそォ……」

亜美「そうだ、兄ちゃん。真美に亜美が泣いてたって絶対言っちゃダメだからね!」

一方通行「まァ元々言う気もねェけど、分かってる」

亜美「絶対だよ〜?………あ!」

一方通行「今度はなンだァ?」

亜美「亜美も真美に言えない秘密が出来ちゃったよ〜」

一方通行「これは秘密の内に入んのか?」

亜美「入るっしょー、亜美は大人としてちょびっとレベルアップしたよ」

一方通行「はいはい」

亜美「……あんがとね兄ちゃん」

一方通行「ン?」

亜美「胸の中がスッとした、兄ちゃんやっぱ頼りになるよ……だからさ、もし亜美が……」

一方通行「お前がまた壁だの何だのにブチ当たったらまたこォやって話そォぜ、何度でもよ」

亜美「……うん!」パァ



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ーー

数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



伊織「キーッ!!いい加減961プロには腹が立ってきたわ!!」

真「いい加減も何も最初っから怒ってたじゃないか」

伊織「最初よりもっと上よ!!最近の嫌がらせの量は半端じゃないわ!」

一方通行「まァ、オレンジジュースやるから落ち着けよ」スッ

伊織「何よ、アンタだってこの前青筋立ててたじゃない」チュ-

雪歩「あんまりお外で怒っちゃダメだよ一方通行君」

一方通行「いや未遂だったし……」

ア-イシ-テルアイシ-テルボクハイマ-デモ-♪

一方通行「ン、美希からだ」パカッ

真「……」

伊織「……ちょっとぉ?冗談にしてわタチが悪過ぎるんじゃないかしらぁ」ピキピキ

一方通行「はァ?何がだよ?」

伊織「その着信音よ!!」

一方通行「あァ……いやだってお前らが着信音味気ないから変えろっつったンじゃねェか」

真「にしたってさぁ、何でわざわざジュピター?」

伊織「そうよ!それに私は着信音はDIAMONDにすればって言ったのよ!……いいえ、百歩譲ってウチの事務所の誰かの曲ならまだ許せてたわ。こいつらは敵なのよ!?」



一方通行「敵って……別にコイツ等、上から嘘の情報教えられてるだけだろ?なら敵じゃねェよ。それに普通に良い曲だしな、恋をはじめよう」

伊織「961に居るんだから敵よ!敵敵!」

一方通行「なンでそォ目の仇にするかね」

雪歩「一方通行君はジュピターの事好きなんだね」

一方通行「まァな。アイツ等の仕事に対する姿勢は中々イイぜ?オレはプロ意識が高けェ奴が好きなンだ」

伊織「ハンッ、自分達が騙されてるとも知らないでのうのうと騒ぎ立てるなんてただの二流よ」

一方通行「騙されてる……か。まァお前らもアイツ等と同じで社長に騙されてるけどな」

伊織「……どういうことよ?」

一方通行「お前らマジでこっちがなンもしてねェのにこンなに粘着されてると思ってンのか?」

真「え?」

一方通行「なわけねェよなァ?オレも道理に合わねェと思って調べたンだよ。そしたら……」

雪歩「……」

一方通行「真っ黒だったよ……正直お前らにいつ言うか迷ってた……小鳥さンも知らねェみたいだったしな」



真「そ、そんな……」

伊織「嘘よ……社長はそんなことしない……」

一方通行「信じられねェか?無理もねェ……オレだってそォだったよ」

伊織「嫌よ……そんなの嫌」ガクガク

ぺシンッ!

一方通行「いてっ」

貴音「戯れもそこまでにしたらどうです?」

真「貴音?」

雪歩(あ、やっぱ冗談だったんだ)

伊織「え、嘘……だったの?」

貴音「ですよね一方通行?」

一方通行「おォ」

伊織「!!……バカバカバカバカァッ!!何下手くそな演技してんのよぉ!」ポカポカポカ

一方通行「ガッツリ騙されてたじゃねェか……まァでもジュピターが何で騙されたままなのか分かったろ?」

伊織「何がよ!?」

一方通行「お前が社長を信じてるように、ジュピターも自分とこの社長を信じてんだ」

伊織「……」

一方通行「だからそォ文句言ってやンな……つゥ事で着信音の変更は無しだ」

真「もしかして着信音を変えるのが面倒臭いからこんな事したの?」

一方通行「それと、憂さ晴らし?」

伊織「変態っ!!」パシンッ、パシンッ

一方通行「よせ」

雪歩「でも避けないんだね」

貴音「一方通行なりに罪悪感があるのでしょう」


ーーーーーー
ーーーー
ーー



一方通行(あァーやっと解放された……後から亜美と真美も来やがったし)コキコキ

響「あれ、一方通行今日は事務所にいるの?」

一方通行「いや、律子とやよい待ちだ。アイツ等が来たらすぐ行く」

響「ふぅん、じゃあ今サーターアンダギー食べる?今日のは自信作だぞ!」

一方通行「いや、いいや寝っ転がってる……」ゴロン

響「何だ食べないのか……まぁいっか!あっちでみんなで食べてるから欲しくなったら言ってよ!」

一方通行「おォ」

響「みんなー!」

ワイワイキャッキャッ

一方通行「……」チラ

亜美「知ってた?サーターアンダギーって牛乳と一緒に食べるとめっちゃ美味しいんだよ」

真美「えぇ?それはちんすこうじゃない?」

亜美「あり?そうだっけ?」

響「サーターアンダギーと合うのはさんぴん茶だぞ!今日はさんぴん茶も持ってきたさー」

亜真美「やったー!」



一方通行(亜美はもォ真美とわだかまりは無くなったみてェだな)フッ

一方通行(他の奴等も問題なさそォだし……ン?)

小鳥「ふぅ……」グッタリ

一方通行(小鳥さン疲れてるみてェだな。無理もねェ、アイツ等も有名になってきて小鳥さンの仕事もどンどン増えてきてる。何かできねェかな……)

小鳥「はぁーあ……」

小鳥(流石に徹夜でゲームやるのもそろそろ辛い年かなぁ)ノビ-

一方通行(そォいやマニュアルに……いや、でもアイツ等の前でやンのは流石に……待てよ?逆に2人きりでやる方がやべェよな)

一方通行(なら覚悟決めろ。恥ずかしがるンじゃねェ!てめェは小鳥さンになンの恩も返さねェつもりか一方通行!!…………よし)スクッ

貴音「……何やら不穏な気配が」

響「え?」

小鳥(仕事したくないなぁ……)カタカタ

一方通行「……」ダキッ

小鳥「えっ///」

一方通行「後はオレに任せて……寝てろよ小鳥」ボソッ

全員「!?」

伊織「ばっ!?何してんのよこの変態っ!!」



小鳥(に、妊娠した………今絶対耳から妊娠した)トロ-ン

伊織「アンタ何考えてんの!?ばっかじゃないの!!」

真「セクハラだよ一方通行……」

亜美「兄ちゃんは男の人なのにエッチじゃないなぁって思ってたけど、実はその真っ白い体にどす黒い性欲を溜めてたんだね……」

一方通行「ち、ちっげェよ!オレは小鳥’Sマニュアルに則ってだなァ」

雪歩「小鳥’Sマニュアル?」

伊織「またそれ?ちょっとそのマニュアル見せてみなさいよ!」

一方通行「……」ガラッ

一方通行「ほら、丁重に扱えよ?」スッ

伊織「どれどれ……」パラパラッ

響「あ、ここじゃないか?なになに……事務員が辛そうな時は後ろから優しく抱き締めて悶えさせる様に労いの言葉を掛けてあげよう……この時、名前を呼び捨てにするのがポイントだぞ☆だって」

雪歩「他にも色々あるね……事務員が撫でて欲しそうな顔をしてたら即座にやってあげよう」

伊織「どんな顔よ……ていうか何でアンタもこんな悪ふざけを手伝ってんのよ?」

一方通行「悪ふざけ?何言ってンだ?」

亜美「いやいやいやいや、逆に何で悪ふざけじゃないと思ってんの兄ちゃん」

一方通行「小鳥さんがオレにそンな事教えるわけねェだろ」



真「はは」

真美「兄ちゃんは何で普段ビシッと決まってんのにピヨちゃんの事となるとそうポンコツになるかなー」ジト

響「一方通行は普段もポンコツさー、なぁハム蔵?」

ハム蔵「……」

響「え?ハム蔵?」

一方通行「クカカッ!馬鹿がァ!!ハム蔵がいつまでもてめェの愉快な仲間だとでも思ってンのかァ?来いよハム蔵」

ハム蔵「ぎゅいっ!」トットコ

響「な、なぁっ!?」プルプル

一方通行「まァ、てめェの人望なンてこンなもンだ……ほらハム蔵、ひまわりの種だ」ニヤァ

ハム蔵「ぎゅいぎゅいっ」カジカジカジ

亜美「ピヨちゃん起きてー、兄ちゃんの頭にハム蔵が乗ってるよー。ピヨちゃん的にシャッターチャンスなんじゃないのー?」ユッサユッサ

小鳥「えへへへぇ///」

亜美「ダメだこりゃ……」



貴音「ふむ、水瀬伊織……教本をこちらに」

伊織「?はい」スッ

貴音「……」カキカキカキカキ

一方通行「あァッ!?てめェなに勝手に書き込ンでやがる!!」

貴音「プロデューサーたるもの、事務員に行った労いは平等にあいどるにも行うべし、と」

一方通行「?」

貴音「さぁ、いつでもどうぞ一方通行」クルッ

一方通行「いややらねェよお前馬鹿か?」

貴音「この法は小鳥嬢以外には適用されないと?では私も新たに私専用のものを追加するとしましょう」カキカキカキ

一方通行「あン?」

真美「いいねぇそれ真美も書こう!」カキカキ

雪歩「わ、わたしも」

伊織「私にも寄越しなさいよ」

ワーワーギャーギャー

一方通行「おい!!」

亜美「諦めろよ若僧……人生ってやつぁそれでも続いてくんだ……」ポン



一方通行「誰だよてめェは……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー



〜〜〜楽屋〜〜〜


一方通行「つゥ事があったンだ。小鳥’Sマニュアル大切にしてたのに……」

律子「知らないわよ……」

やよい「だからみんな騒いでたんですね」

律子「ていうか何でこのタイミングでその話なのよ。もうすぐイベント始まるのに……」

一方通行「いや、お前が緊張してるみてェだからその緊張ほぐしてやろうかと」

律子「ほぐれないわよ!」

一方通行「お前はホンット硬いわ……やよいも何か言ってやれ」

やよい「律子さんなら大丈夫です!自信を持っていきましょーっ!」

律子「自信……信じられる自分なんて……」

やよい「え、えっと、竜宮小町を作ったのは律子さんだから凄いですよ!ここの偉い人達も褒めてましたよ」

律子「そうよね。私の評価が竜宮にも関わるんだもの。私がもしもここで失敗しようものなら竜宮は…………終わる」ドヨ-ン

やよい「えっ」

一方通行(前から思ってたけどコイツでけェ舞台に弱ェよなァ)



やよい「ア、一方通行さん」オドオド

一方通行「大丈夫だ。布石を打っておいたからな」

律子「布石?」

コンコン、ガチャッ

スタッフ「すいません、お二人ともそろそろお願いしまーす」

や律「はーい」

一方通行「律子、アイドルやってた頃思い出せ。そしたら大丈夫だ」

律子「いや、あの時とは規模が違うでしょ」

一方通行「それでもだ。別にお前は1人でアイドルやってた訳じゃねェンだから」

律子「?」

一方通行「まァ、プロデューサーの言うことは信用するもンだぜ?やよい、律子の事フォローしてやってくれ……頼りにしてるぞ」

やよい「うっうー!任せて下さい!」

一方通行「よし、じゃあ行くか」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜ステージ〜〜〜

ガヤガヤガヤガヤ

律子(うぅ、何がアイドルの時を思い出せよ。あの時と比較しちゃって余計緊張しちゃうわ)ガチガチ

律子「え?」

律子(何で緑のサイリウムなんて……!!あの人達まさかっ)

ーーーーーー
ーーーー
ーー

律子『大好き好きよハンバーガー・』

やよい『大好きよハンバーガー・』

律や『大好き好きよハンバーガーさぁ、い、た、だ、き、ましょっ・』

やよい『だ〜けれど・』

律子『やぁぱっりダーリンと〜・』

律や『食べ〜たいなぁ〜・』

律っちゃああん!!!うぉぉおお律ちゃん!!

ワーワーワーワー!!



律子(みんな……ありがとう)ジワ

一方通行(他の奴等も、律子みてェに引退した後も応援してくれるファンがいる……そンなアイドルになってもらいてェなァ)フッ


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〜〜〜楽屋〜〜〜


やよい「本当に好きなだけハンバーガーもらっちゃっていいんですか!?」キラキラ

一方通行「あァ、ブースにあるからどれだけ持ってってもいいってよ。長介たちの分も持って帰ってやったらどォだ?」

やよい「はい!じゃあ私ちょっと行ってきます!!」ダッ

一方通行「……さて」

一方通行「久々のアイドル、手応えはどォだったよ?」

律子「すっごい疲れたわよ……水取って、肩揉んで。プロデューサーでしょ?」

一方通行「へいへい」スクッ



一方通行「けどよォ……」トントンモミモミ

律子「ん?」

一方通行「ステージのお前は結構楽しそォだったぜ?」

律子「そりゃ、楽しかったわよ。緊張したけどね」

一方通行「ならよ、またアイドルやりゃあイイじゃねェか。お前本当はアイドルやりたいンじゃないのか?」

律子「……」

律子「私が何でアイドル辞めたか知ってるでしょ。鳴かず飛ばずだったからよぉ?」

一方通行「そりゃあプロデューサーが居なかったからだろ?今ならオレがいる。竜宮だってプロデューサー兼アイドルって感じで続行すりゃ問題ねェだろ」

律子「なるほどね。確かにアンタがいれば私もアイドルとして芽が出るかもしれないわね。竜宮も一方通行と相性悪くないから私が居ない場合のフォローも問題ない……」

一方通行「なら」

律子「でも、いいわ……」

一方通行「なンでだよ?」



律子「アイドルって職業には確かに憧れるし楽しいけど……それでもやっぱり私はプロデューサーって仕事に強烈に惹かれてるのよ」

一方通行「……」

律子「それに今は頼れる同僚と切磋琢磨するのが凄い楽しいし?」ニッ

一方通行「ハッ、ンだよそりゃ」プイ

律子「ていうかそういうアンタこそアイドルになったら?」

一方通行「あァ?絶対ェやだよ」

律子「ふふっ、先に仕掛けて来たのはアンタだからね〜」

一方通行「マジで勘弁してくれ……」


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数ヶ月後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


響「は、はぁん///」

一方通行「ダメだ、まだ恥じらってる」

響「そりゃ恥らうに決まってるさー、一方通行もやってみればいいじゃないか!」



一方通行「オレがやっても気持ち悪ィだけだろ」

貴音「響、この少女の気持ちになって音とするのです」

響「じゃあ貴音やってみてよ」

貴音「では……はぁぁぁぁんっ」

貴音「どうです?」

響「や、やり過ぎじゃないか?ね、一方通行」

一方通行「まァ確かにエロ過ぎな気もすっけど、良いンじゃねェか?そォいう歌詞だし」

美希「ねぇねぇ、ハニーはこういうのが好きなの?」

一方通行「別に……ほら、次お前な」

美希「行くよー?……はぁんっ・」

響貴「おぉ」パチパチ

一方通行「おォ、そンぐれェが丁度いい」

小鳥「ふふっ、歌の練習?完成するのがほんっとう楽しみねぇ」

一方通行「小鳥さン、すンませンうるさくて」

小鳥「いいのよぉ!むしろもっと大声でもいいわ」

一方通行「は、 はァ」

小鳥「そうだ!衣装届いてるのよ、良かったら来てみない?」

一方通行「だってよ」

美希「着たい着たい!」

ごめん、これスマホで書いてたからここにペーストし直すといくつかの記号がただの点になってるわ



響「自分もー」

貴音「では参りましょうか」

一方通行「場所は……応接室でいいか」

美希「ハニーも来る?ミキ、ハニーならいいよ?」アハァンッ

一方通行「アホが。まず入らねェし他の2人の事を考えろ」

貴音「クス……一方通行なら構いませんがね」

美響「!?」

一方通行(コイツの最近のこういうの冗談で言ってンのかどォかわかンねェンだよな)ポリポリ

小鳥(行けっ!飛び込んじゃえ一方通行君!私に君の獣の本性を見せて!!)ドキドキドキ

美希「貴音、そういうエッチな事は言っちゃダメだと思う……」

貴音「はて……美希も同じ事を言っていたではありませんか」

美希「ミキは冗談だもん……ハニーはそんなことしないの」

響「ま、貴音も冗談でしょ?」

貴音「ふふっ……」

美希「ちょっ、覗いたらダメだからねハニー!特に貴音を覗いたらミキ怒るからね!?」

一方通行「……覗かねェからさっさと着替えろ」



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小鳥「なんだかドキドキしちゃう事言われちゃったわね。思春期の少年には辛いんじゃない?」ニヤニヤ

一方通行「……貴音に限った話じゃねェけど、なァンか最近あァいうノリ多いンですよね」

小鳥「え、それはどういう……」

一方通行「あずさとか前より胸当たってる気がするし、雪歩は妙にくっついてくるっつゥか……」

一方通行「あァ、くっついてくるつったら真美もか。まァアイツの場合触れるか触れないかぐらいの感じで手とかに触ってくるンですけど」

小鳥(くぅあぁぁ真美ちゃん甘酸っぱ過ぎてお姉さん死んじゃいそう……!最近綺麗になってきたと思ったけどやっぱり恋してるのねぇ……あれ?)

小鳥「伊織ちゃんは?」

一方通行「伊織ですか?」

小鳥「う、うん」

小鳥(私の予想では伊織ちゃんも一方通行君に参ってるメンバーなんだけど)



一方通行「伊織は相変わらず手が掛かンねェ奴ですよ……まァ、強いて言うなら仕事終わりに軽くドライブするくらい、ですかね」

小鳥「えっ、そこ詳しくお願い」

一方通行「詳しくっつっても……最近はオレも竜宮の誰かの仕事に同行する事あるじゃないですか」

小鳥「うんうん」

一方通行「そォいう時は伊織と組む事が多いンですけど、仕事終わったら大抵このまま軽く流してよって言ってくンですよね」

小鳥「そ、それはそのまま夜のデートって感じかしら……?」

一方通行「いや、ただ適当に車でそこら辺走り回ってるだけですよ。車ン中でも特に会話ねェし、伊織もなンか時々こっち見ながらボーッと景色観てるだけですよ」

小鳥(なんだろ……なんか今までの話で一番生々しい気がする///ていうか伊織ちゃん大人びてるなぁ……)

一方通行「あァ、家にもよく呼ばれますね伊織には。まァ何人も呼ンできますけど伊織が一番多いかな」

小鳥「えっ、初めて知った。みんな一方通行君呼んでんの?えっ?」

一方通行「行ったことないのは千早ンちですかね」

小鳥「……気になる事はいっぱいあるけど、貴音ちゃんちがどうだったか一番気になるわ!」

一方通行「?別に普通のマンションですよ。ンで真みてェに部屋にはぬいぐるみだらけとか、ンな事もなかったです」



小鳥「逆に意外ね」

一方通行「ただ、食器具は一般家庭にはねェであろう物が多々ありましたよ」

小鳥「そうなの?」

一方通行「えェ、オレに作らせるために……」

小鳥「あぁ……」

一方通行「あのアホ……ラーメンから始まり、ピザだの何だの……今のオレは和洋中のどれでも作れますよ」

小鳥「うん、最近はみんな無理矢理お昼時に事務所に残ろうとするようになったものね。律子さんが怒ってたわ」

小鳥「そういえば伊織ちゃんちに一番行ってるのよね?伊織ちゃんちで何してるの?」

一方通行「風呂入ったり……とか?」

小鳥「えーーとぉ?」ダラダラ

一方通行「別にそのまンまの意味ですよ……銭湯ばっか行ってないでたまには良い風呂に入れ、みてェな」

小鳥「安心したわ……流石にね、アイドルとプロデューサーだものね」ホッ

一方通行「アイツなンか色々オレに気ィ使ってるみたいで……良い飯食わしてやるから来いだの、もっと良い寝具で寝ろだの」



小鳥「あぁ、そういえば一方通行君が今使ってる掛け布団は伊織ちゃんが進呈したものだったわね。枕は美希ちゃんよね?」

一方通行「美希の場合貰ったンじゃなくて無理矢理アイツが使ってた枕と交換させられたンですけどね……」

小鳥「ファンが聞いたら発狂ものね」

小鳥(美希ちゃんが一番積極的だと思ってたけど、伊織ちゃんも中々ね)

小鳥(それにしても……お互いの気持ちをつい知っちゃう事もあるでしょうに……それでもギスギスした関係にならないなんて、ウチの子たちは本当に良い子ばっかりだわぁ)ホロリ

美希「着替え終わったよー!!」

小鳥「きゃああああ!!みんな可愛いー!!」


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ーー


一方通行「帰り仕度できたか?」

美希「オッケーなの」

響「アレ?貴音は?」キョロキョロ

一方通行「あァ、アイツは今日は1人で帰りてェって言うから……」

響「帰らせたのか!?」

一方通行「な、なンだよ……?」



響「いや、自分でもよくわかんないんだけど……貴音を1人で帰らすのって怖いんだ」

一方通行「別にガキじゃねェンだから」

美希「ミキ、わかるよその気持ち。貴音って急にどっかに消えちゃいそうな気がするよね」

響「そうそう!そうなんだよ。一方通行だって貴音が月を見てるとこ見たことあるでしょ?」

一方通行「あァ」

響「自分は貴音が月を見てる時が一番怖いんだ……なんか自分たちがいる世界にいない気がして」

美希「そういえば最近1人で帰るって言う時多いよね。それって月を静かにみたいからでしょ?」

全員「……」

響「ごめん!なんか変な空気にしちゃって。自分だって別に確証があるわけじゃないさー。はは……」

一方通行「いや、オレもお前の言う通りだと思う……まァ、今度話聞いてみっから心配すンな」

響「うん……」

一方通行「じゃあ行くぞ」

美希「あ、ハニー!明日のおにぎりの具の事なんだけど……」



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数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



貴音「一方通行、今日は送って頂かなくて結構です。あぁ、心配なさらずとも少し散歩をして帰るだけですよ」

一方通行(来たか……オレも一緒に行くって言うか?いや、それで前に逃げられた事あったからなぁ……尾行、はコイツには通用しねェだろォし。待ち伏せでもするか)

一方通行「あァ、わかった。気をつけてな」

貴音「えぇ。では……」バタンッ

一方通行「さて……」

一方通行「小鳥さンちょっと出ますね」

小鳥「はーい」

小鳥(一方通行君が帰ってくるまでゲームでもやってよ)


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〜〜〜橋〜〜〜


貴音(!……あれは、一方通行……?)スタスタ…ピタ

一方通行「……」ボ-

貴音「……」

一方通行「おい……こォして思わせ振りに立ってンだ。さっさと声掛けたらどォなンだよ?」

貴音「……申し訳ありません。目を奪われていたもので」

一方通行「あ?」

貴音「一方通行、貴方は月に映えますね。やはり月と兎と言うのは相性が良いのでしょう」

一方通行「……お前、他に言う事ねェのかよ?なンでここにオレがいンだよ、とか」

貴音「あぁ、そういえば……何故です?」

一方通行「待ち伏せしてたンだよお前を」

貴音「私をですか?何か用でもあったのでしょうか?」

一方通行「響と美希がよ……お前が1人で帰ると心配なンだとよ。もちろンオレもだ。額面通りの意味じゃねェって事はお前だったら分かるよな?」

貴音「…………それにしても良く私が此処を通ると分かりましたね」

一方通行「前にお前が言ってきたンだろォが。この橋から見える月がここら辺じゃ一番綺麗だってよ」

貴音「憶えていてくれたのですね」



一方通行「まァな……」

貴音「嬉しい限りです」

一方通行「……」

貴音「……」

一方通行「……どっか行け、とか言わねェの?」

貴音「何故です?一方通行と見る月はこんなにも綺麗ですのに……それに、今更一方通行に取り繕うのは無理だと悟りました」

一方通行「あン?」

貴音「貴方と共にいると……貴方の事を想うと私は縋り付きたくなってしまうのです。そう私が言ったら貴方はどうしますか?」

一方通行「好きに縋り付いたらイイじゃねェか……お前に寄り掛かられた程度で倒れるオレじゃねェ」

貴音「クス…貴方ならそう言うと思っておりました。しかし、そう単純な話でもないのです……」

一方通行「…………トップアイドルになるっつゥ使命がお前にとって重荷なら捨てちまえよそンな使命」

貴音「え?」

一方通行「オレに縋り付きてェっつったお前の面は告白なンて色気はなくてただただ辛そォだったぜ。キツいンだろ?自分1人じゃ潰れそォなンだろ?」

一方通行「だったら捨てちまえよ……オレが協力してやっから」



貴音「し、しかし……!」

一方通行「月の奴等が許さねェって?ふざけンな。女一人を矢面に立たしてやがるくせに」

貴音「な、何故それを……」

一方通行「別に詮索した訳じゃないぜ、勝手に気付いただけだ。そォ約束したからな……そンでェ?その使命とやらを反故にしたらどォなンだ?お前が月に帰されるとかかァ?安心しろォ。お前をかぐや姫にはさせねェよ」

貴音「勘違いをなさっているようですが、私が使命から逃げようが果たせまいが私を罰する者はおりません」

一方通行「じゃあなンで……」

貴音「使命から目を背ければ私が私で無くなるのです。私は故郷の民の為に希望の象徴にならなければなりません」

一方通行「だから自分を押し殺してアイドルやってるってか?」

貴音「それは違います。確かに最初はあいどるというものに何ら感慨も持っていなかったかもしれません」

貴音「しかし今は違うのですよ一方通行。私は事務所の皆と同じ時間を共有するのが何よりも大切なものだと思えるのです……そして、そう思わせてくれるきっかけを作って下さったのは貴方です」ニコ

一方通行「?」

貴音「貴方は私の正体を知った後こう言いました。お前が何だろうと関係ない、とっぷあいどるに成りたいお前としたい俺、それだけあれば充分だと」

一方通行「あァ」

貴音「貴方のその言葉でどれだけ救われたことか……それからです。あいどるの仕事が面白い、と思えるようになったのは」



一方通行「だったらおかしいじゃねェか。なンで今のお前はキツそォなンだよ」

貴音「それは……皆との距離が無くなるにつれて思ったのです。皆に自分の正体を明かさない自分は何なのかと、それは本当の仲間足り得るのかと」

一方通行「…………」

貴音「それを1人で悩んでおりました。そして私は自分がこの星で本当に独りなのだという事を思い出してしまったのです……」

一方通行「オレじゃ駄目だったのかよ」

貴音「え?」

一方通行「てめェの相談相手だよ。オレはお前の正体を知っていて、受け入れてたじゃねェか」

貴音「そうですね……きっと話すのが怖かったのです。万が一にも貴方に拒絶されたらそれこそ私は本当に二度と立ち上がれない程に壊れてしまうと思ったから」

貴音「しかし、なんてことはありませんでした。貴方は私の故郷を看破し、私の話を聞いて下さった。そして今も……」

貴音「それがわ、私は……」ポロ

貴音「あぁ、な、涙が止まりません……」ポロポロ



一方通行「貴音……」

貴音「申し訳ありません……すぐ泣き止みますので、ひっぐ、ぐす……こんな所を誰かに見られたら」

一方通行「好きなだけ泣けよ。誰も見ちゃいねェさ」

貴音「月がみております……」ゴシゴシ

一方通行「……ならこうすりゃ見えねェだろ」ダキッ

貴音「あっ」

貴音「一方通行……」

一方通行「ほら、今はお前が気ィ張る必要ねェぞ」

貴音「うっ……ひっ、独りは怖いです一方通行……ぐすっ寂しいです……辛いです」ボロボロ

一方通行「そォだな。オレもだ」ナデナデ

貴音「もう、独りで夜を過ごしたくはないのです」ポロポロ

一方通行「これからはオレがいる……オレはお前に何があっても受け入れる。オレはお前の味方だ」

貴音「うっ、ううう……うああああんっ!!」ギュウ

一方通行「……」ポンポン


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ーー



貴音「お恥ずかしい所をお見せしてしまいました」ペコ

一方通行「別に気にすンなよ。まァ、おめェがガキみてェに泣くのは意外だったが」

貴音「もぅっ、一方通行はいけずですっ///」

一方通行「どォだ?一頻り泣いてお前の心の重圧は晴れたかよ?」

貴音「はい、おかげさまで。幾分心が軽くなりました」

一方通行「ま、また泣きたくなったら胸貸してやるよ。お前もオレの前なら泣けるだろ?」

貴音「……」

一方通行「チッ……確かに今のは自分で言ってて笑っちまうくれェに臭ェセリフだがよォ、何もシカトすることねェじゃねェか」

貴音「いえ、そうではなく……以前亜美が、一方通行は女たらしだと言っていたのですが真その通りだと……」

一方通行「くっだらねェ。人を遊び人みてェに言うなよな」

貴音「自覚がないのですか?」

一方通行「ねェよ!」

貴音「それは困りましたね。私達の気持ちにも気付いていらっしゃらないのでしょうか」

一方通行「何言ってンだよてめェは?」

貴音「……心からお慕いしておりますよ一方通行」

一方通行「あァ!?」

貴音「貴方は私と事務所の皆だったらどちらを取って下さるのでしょうか」



一方通行「なンだよそのクソみてェな質問は……」

貴音「どちらです?」

一方通行「…………」

貴音「答えては下さらないのですね。そんなところも愛おしいですよ一方通行」

一方通行「お前なァ……」

貴音「これは偽らざる私の心からの本音です。貴方の隣は真心地良い所になりました。きっと貴方が良い意味で変わったからでしょうね」

貴音「今の貴方の放つ気は、優しく……暖かく……そして甘い波動で満ちています。そんな貴方は滴る程に美味なのでしょう」サワッ

一方通行「……」

貴音「いつものように触るな、と手を振りほどかないのですか?」

一方通行「一瞬でもお前から目を反らしたら喰われちまうよォな気がしてなァ」

貴音「ふふっ、今ならあの新譜の吸血鬼の少女の気持ちがわかります」スッ

一方通行「チッ、さっきまでメソメソしてた女はどこ行ったよ」プイ

貴音「そういけずな事をおっしゃらず……貴方が救って下さったのではないですか」

一方通行「そォかい、そりゃ結構。ならもォ帰ろうぜ」

貴音「そうですね。嗚呼、月があんなにも傾いて……」



一方通行「ほら、行くぞ」

貴音「あ、私は1人で帰りますので一方通行とはここでお別れです」

一方通行「……おいおい」

貴音「ご心配なさらず。なにも後ろ向きな意思で申してるのではありません。これは自制の為です」

一方通行「あァ?」

貴音「分かりませんか?正直今にも貴方を襲ってしまいそうです。なにぶん、今宵は誰か様のおかげで気持ちが高ぶっておりますので……」

一方通行「……」ポカ-ン

一方通行「……アイドルの台詞とは思えねェなァ」

貴音「貴方の前での私は四条貴音……いえ、ただの貴音という娘ですから」

一方通行「…………知るかよ。まァいい、なら気を付けて帰れよ」スタスタ

貴音「一方通行!」

一方通行「あァン?」クルッ

貴音「あの……そのっ、寂しくなったら月見に誘って良いでしょうか?今宵の様に話し相手になって下さりますか?」モジモジ

一方通行「さっきもそォ言ったろォが。毎日はよしてくれよ? じゃあな」ヒラヒラ

貴音「はい!」パァッ

貴音「…………ウフフッ///」



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数日後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


亜真美「いーやーだー!!」

一方通行「ダメだ、やれ」

真美「なんで折角のオフなのに勉強しなきゃいけないの!?」

亜美「やりたいゲームが溜まってるんだよ兄ちゃーん」

一方通行「勉強が終わったら好きなだけやれ」

真美「勉強ってどのくらい?」

一方通行「お前らが赤点取った全部の教科」

亜美「うあうあ〜、そんなの殆どじゃん!ていうか亜美たちアイドルだから勉強する必要なんてないっしょー」

一方通行「オレは馬鹿なアイドルをプロデュースする気はねェ」

真美「えー」

やよい「そんな……」

一方通行「…………やよいも結構やべェンだったな」

やよい「はい」シュン




亜美「仲間だ仲間だー」

真美「やよいっちは何が悪かったの?」

やよい「算す……数学」

一方通行(算数って……)

一方通行「理系はオレの得意分野だ心配すンな」

真美「文系はー?」

一方通行「別に出来ねェことねェけど」

亜美「もしかして英語喋れたりすんの?」

一方通行「何ヶ国語か喋れるぞ」

小鳥(聞きてぇ……)

真美「兄ちゃんチートじゃん……」

亜美「ふぅん、まぁ取り敢えず古文から教えてよ」

一方通行「古文か……貴音!お前出来ンじゃねェの?」

貴音「はい、一通りは。ちなみに範囲はどこですか?」

亜美「この竹取物語ってとこなんだけど」

貴一「……」

亜美(え、なにこの雰囲気……)

一方通行「問題ねェな?」

貴音「はい」



真美「ていうか兄ちゃんは教えてくれないわけ?」

一方通行「教えてやりてェのはやまやまだがウチには劣等生が多いらしくてなァ……」

真美「え、だれ?」

一方通行「17歳組だよ……」

真美「いないじゃん今」

一方通行「勉強するぞっつったらキャッキャッ言いながら菓子買いに行ったよあの馬鹿共」

亜美「女子会じゃん女子会」

一方通行「まァ、こンな風にオレは舐めた奴らに現実叩きつけなきゃいけねェから忙しいンだよ。分かったか?」

真美「ちぇ、わかったよ」

一方通行「古文終わったらこっちこい。あァ、律子のとこでもいいぞ。律子も手伝ってくれンだよなァ?」

律子「今やってるのが終わったらね」カタカタ

亜美「えぇー鬼軍曹はノーサンキューかなーって」

律子「アンタ逆指名ね」

亜美「……」

一方通行「ほら、やるぞ。やよいはこっちこい」

やよい「はーい……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

やよい「うぅ……」

真「ただいまー」ガチャ

春香「おぉ、みんな頑張ってるー?」

雪歩「お菓子買ってきたよー」

全員「……」

春香「え、と」

やよい「一方通行さん……数学って必要ですか?」

一方通行「あン?」

やよい「だって私スーパーとかでも家計簿書く時も方程式なんて使った事ないです!春香さんだってなんの役に立たないって言ってました!」

一方通行「……」ギロッ

春香「あ、はは……言ったかなー?」

真「けど、その気持ちは分かるよ……ボクだってそう思いながら授業受けてるもん」

一方通行「いいか、やよい。数学ってのは確かに実生活にそのまま役立つもンじゃねェ。だがな、論理性を養うものなンだ」

やよい「ろんりせい?」

一方通行「あァ。物事を順序よく考えていくっていうな。それに、こンな数式使わないってのは典型的な馬鹿の発言だ。オレはやよいに馬鹿になって欲しくねェンだよ」

やよい「一方通行さん……」

一方通行「お前ぐらいの年ならまだまだ巻き返せる。もォ少し頑張ってみねェか?」



やよい「はい!やってみます。一方通行さんが先生なら頑張れる気がしますっ」

一方通行「そォか」ナデナデ

一方通行「さて……いつまで突っ立ってやがる?その馬鹿みてェに買い込ンだ菓子を置いて座れ……この手遅れな馬鹿共が」

春真「……はい」ストン

雪歩「……」

一方通行「なに澄ました顔してンだ、てめェもだ雪歩」

雪歩「えぇっ、私も?」

一方通行「他の連中よりマシだがてめェも成績良いわけじゃねェだろ」

雪歩「うぅっ」

春香「ま、待って一方通行!」

一方通行「なンだよ?」

春香「こ、ここに美希と響がいないのはおかしいと思う!」

雪歩(うわぁ……)

真「そ、そうだよ!」

一方通行「ハァ……お前らホンット抱き締めちまうぐれェ哀れだわ」

一方通行「なンなら全員分の説明してやるよ。まず千早、あいつは言うまでもなく成績良かった。だてに進学校通ってねェなァ」



一方通行「ンで響、お前ら高校が違ェから一概にそォとは言い切れねェけど、あいつは千早の次に成績良いぞ」

真「うっそ!?」

一方通行「まァ完璧を自称してるくらいだからなァ。次伊織、あいつも何個かは危ねェのあるみてェだが赤点を取るレベルじゃねェ」

雪歩「え、私も赤点取ってないよ?」

一方通行「お前は赤点取りそォなのが何個かあるだろォが。次美希、美希も成績かなり良いなァ。ちょっと見直しちまったよ」

春香「え、えんぴつをコロコロして決めたんだよ!絶対そうだよ!」

小鳥(は、春香ちゃん……)

一方通行「記号問題以外もテストにはあンだろ?」

春香「くっ……」

一方通行「納得したか?じゃあ、やろォや」ニタァッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー



真「……」カリカリカリ

一方通行「違ェっ!現代文はフィーリングで解くなっつったろォが!!」

春香「……」チラ…カキカキ…チラ

一方通行「……お前なにカンニングしてンの?」ガッ…グググ

春香「イタタタタタッ!?」

雪歩(先に終わっちゃったから暇だなぁ)

亜美「兄ちゃーん!!」ダキッ

一方通行「うォッ!?……どォした?」

亜美「先生代わってよ!兄ちゃんがいい!律っちゃんはやだ!!」

律子「待ちなさい、まだ終わってないわ」ガシッ

亜美「ヒィッ!?」

律子「ていうか私はマシでしょ?あっちと比べたら」

一方通行「なに?」チラッ

貴音「ここが違いますよ」ペシンッ

真美「ひぅっ!…………うぅ」ジワァ

一方通行「おい……コラッ」コツン

貴音「いたっ」



一方通行「なァに堂々と体罰してンだよてめェは」

真美「うぅ、兄ちゃん!!」ギュウ

一方通行「余計勉強嫌いになンだろォが!」ヨシヨシ

貴音「そう……なのですか?なにぶん、人に勉学を教えるのが初めてなもので、私がじいやに教わっていた時のようにしようと心を痛めながら行っていたのですが……」

一方通行「まァスパルタが間違ってるとは言わねェが相手によンだよ。もォ少し優しく教えてやれ」

小鳥(一方通行君のとこからは怒号と春香ちゃんと真ちゃんの悲鳴が聞こえるけど……)

貴音「確かにその通りですね……私が間違っていました。真美、許してくれますか?」

真美「もう、真美が間違っても手を叩かない?」

貴音「もちろんです。私も出来れば怒りたくなどないのですから」ニコッ

真美「うん、じゃあいーよ」

真美(泣きマネしたかいがあったよ……兄ちゃんにも抱きつけたし)

貴音「ありがとうございます真美。分かりにくいところがございましたらすぐに言って下さいね」

真美「うん!」

一方通行「ン?……やべェ、もォこンな時間か」



律子「え、まだ仕事の時間じゃないわよね?」

一方通行「いや、美希に学校まで迎え来いって言われてンだよ。ちょっと行ってくる!真、春香、てめェらサボってやがったら……」

真「サボんないよ」キラキラ

春香「行ってらっしゃーい」ワクワク

一方通行「……雪歩、見張っといてくれ」

雪歩「う、うん」

春真「……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜学校前〜〜〜


一方通行「来ねェな……」

ザワザワガヤガヤ

一方通行(そりゃ校門のとこにこンなのが立ってたら目立つよなァ……やっぱ車ン中で待ってりゃ良かった。けど今から車戻ンのなンか負けた気がするしなァ)



美希「あ!ハ……一方通行!!」タッタッタッ

一方通行「遅ェよ」

美希「ごめんなの……でも車の中で待ってると思ってた」

一方通行「オレの判断ミスだ。悪ィな、どォやら悪目立ちしちまったみてェだ」キョロキョロ

美希「ううん、すっごく嬉しいの!それにみんな一方通行がカッコいいから見てるんだと思うな」

一方通行「あァ?だとしたら目が潰れてンだなァ」

美希「そんなことないの。友達に一方通行の写真みせたらみんなカッコいいって褒めてたよ?」

一方通行「なに見せてンだよ……」

美希「それに今は一方通行みたいな中性的な男の子がモテるんだよ?」

一方通行「ふゥン」

一方通行(確かに真の人気も凄ェしなァ)

美希「ミキは別に流行に流されたわけじゃないけどね!」ウィンクッ

一方通行「別に聞いてねェし」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜車内〜〜〜


美希「ふんふ〜ん♪」ルンルン

一方通行「やけに上機嫌じゃねェか。なンかイイことでもあったのか?」

美希「あはっ☆だって学校まで迎えに来てもらうってなんだか恋人同士みたいなの」

一方通行「だから迎え頼ンだのかよ」

美希「これでこのままショッピングとか行けたら最高ってミキは思うな」チラ

一方通行「そのまま妄想に耽ってろ。どォせ叶わねェから」

美希「言ってみただけだもん」

一方通行「……悪ィな。ここンとこ一緒に仕事行ってやれなくて」

美希「え?フェアリーでの仕事でならいつも一緒なの」

一方通行「オレとお前の2人での話だよ。お前はそォいうのが多い方がいいンだろ?2人なら仕事前に軽くどっか行けたりすンだけど……」

一方通行「今やうちで一番の稼ぎ頭だからなァお前。でけェ仕事ばっかだから相手側からも至れり尽くせりでオレが面倒見る必要もねェし、失敗する心配もねェし」

一方通行「だからお前1人に任せちまうこと多いンだ」



美希「じゃあアイドルやめちゃおっかな?」

一方通行「……」

美希「冗談だよ?」

一方通行「知ってるよ」

美希「心配しなくてもちゃんと分かってるから大丈夫だよハニー」

一方通行「ン?」

美希「ハニーがミキに時間を取れないのはしょうがない事なの。だからそれでミキは怒ったりお仕事投げ出したりしないよ?それに最近すっっごいお仕事楽しいし」

美希「だから……ミキは大丈夫だよ」ニコッ

一方通行「……明日のオニギリお前の好きな具にしてやる」

美希「ハニー……大好きなのー!」ダキッ

一方通行「バッ、てめっ!運転中に抱きつくな!!」


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ーーーー
ーー




〜〜〜765プロ事務所〜〜〜

ガチャ

美希「おはよーなの」

一方通行「戻ったぜェ」

響「はいさーい!」

一方通行「おォ響、もォ支度できてンのか?」

響「うん、バッチリさー!」

一方通行「よし、じゃあ……」

真美「兄ちゃーんみてみて〜」トテトテトテ

亜美「兄ちゃんが作ったテストで高得点取れたよ〜」トテトテトテ

一方通行「おォ、やれば出来ンじゃねェか」ナデ

亜美「ま、本気だしゃあこんなもんっしょー」

真美「もっと褒めるがよいぞ兄ちゃん君」

一方通行「本番のテストでイイ点取れたらなァ」

春香「私達も終わったよ〜」ピラ

真「これでもういいんだよね?」ドヤァ

雪歩「……」

一方通行「カンニングしてねェだろォなァ……?」

春香「し、してないよ!」

一方通行「片手間でやれる程オレの問題は簡単じゃねェはずなンだがなァ」

真「?」

一方通行「てめェら嘘吐くンならまず口元の食べカス拭けよ」

春香「!?」バッ

真「え、うそ!?」ゴシゴシ



一方通行「嘘だバァカ!……てめェら愉快に素敵にはしゃぎやがって」ギラッ

春香「ひぃっ」

一方通行「お前ら課題量倍な」

真「そんな……」

一方通行「やよいは?」キョロ

亜美「あーやよいっちは……」

真美「千早姉ちゃんに捕まった」

一方通行「捕まった?」チラ

やよい「ここで出たのをここに代入するんですか?」

千早「そうよ。高槻さんとっても覚えが早いわ!テストの点数が悪かったのが嘘みたい……!」パァッ

一方通行(幸せそォな面してンなァ……)

貴音「如月千早が教えたそうにしていたものですから……いけなかったでしょうか?」

一方通行「いや、ナイスだ」

響「一方通行、時間ないぞ〜」

一方通行「おォ悪ィ。じゃあ仕事行ってくる」

貴音「はい、行ってらっしゃいませ……あなた様」

全員「!?」

一方通行「……あ?」

貴音「?」



一方通行「いや、いいや時間ねェし……行くぞ響」

響「え、えぇ〜……」

バタンッ

全員「…………」

小鳥(これは……ついに修羅場か……!?)ワクワク

雪歩「お、お茶を……」

美希「あなた様ってなんなのかな貴音?」

貴音「……一方通行の呼称です」

真美「にしたってあなた様ぁ?」

美希「ハニーはハ・ニ・ィ、が一番似合ってるの」

春香(いや、それが一番遠い)

真美「兄ちゃんは兄ちゃんっしょー」

貴音「それです!!」バッ、キリ

美真「?」

貴音「美希ははにぃ、真美と亜美は兄ちゃんと、それぞれの呼び名があり羨ましく思っていたのです。ですので私も私なりの呼び方をと」

律子「それであなた様に落ち着いたと」

貴音「えぇ」

真美「え、お姫ちんも兄ちゃんの事が好き、なの……?」



貴音「ほう……も、とは?」

真美「あ、いやほら!ミキミキもそうだし!」アタフタ

亜美(あっ……)

美希「ハニーはカッコいいから無理もないの!だから今更驚きもしないの!」

貴音「そうですね」ニコ

美希「けどライバルが増えたの……最近ハニーと一緒に居られないのに」

律子「あ、そうだ。美希?あんた一方通行が忙しいのわかってるでしょ、もうわざわざお迎えなんて頼んじゃダメよ?」

美希「えぇ〜!!だったら律子さんだってハニーに家の掃除頼んじゃダメだと思うな!」

律子「な、なんで知ってんのよ!?」

美希「ハニーが言ってたの。律子んちは思ってたより汚かったって」

亜美「おやおや、こりゃあ面白い事を聞いてしまいましたなぁ」ニタァ

律子「あんのモヤシッ、秘密にしろって言ったのに!」

亜美「で、実際鬼軍曹の部屋は汚いのでありますか!?亜美たちにはすごいうるさいのに」

律子「いつもは汚くないわよ!けど最近仕事が溜まっててそれで……」



亜美「それでイケメンの後輩を自分の家に招いてシッポリやってしまったと」メモメモ

律子「……どこで覚えてきたのよ?」ピキピキ

亜美「ピヨちゃんが持ってた薄いマンガ!」

律子「小鳥さん!!」クワッ

小鳥「ご、誤解ですっ!」

美希「あ、台本見直そ」

千早「最近仕事熱心ね」

美希「ん?そお?」

雪歩「うん、現場でも凄いし……なんて言うんだろう?オーラとか?」

貴音「そうですね。私も一緒に舞台に立っている時に肌で感じます」

美希「それってミキが成長してるって意味だよね?だったら嬉しいの」エヘヘ

律子「確かに美希は評判凄いわねぇ……何か特別なトレーニングでも始めたの?」

美希「うーん、別に何もしてないけど……あ、お仕事頑張る理由が変わったからかも」



千早「頑張る理由?」

美希「うん。ミキ、最初はミキがキラキラするように頑張ってたの。でも最近はハニーの為に仕事してるんだー」

小鳥「そこはファンの人達の為じゃないのね……」

美希「もちろんファンの人達は大切だし出来るだけキラキラしてるミキを見てもらいたいの!でも今の一番はハニーなの」

真美「兄ちゃんを有名にさせる為に頑張る的な?」

美希「ううん、違うよ。ミキはハニーにキラキラした景色を見せてあげたいの」

律子「どういうことよ?」

美希「ハニーはここに来た時と比べてすっごい笑ってくれるようになったよね?」

亜美「亜美たちと一杯喋ってくれるようになったしねー」

春香「遠慮もなくなったね」

美希「うん、もうハニーは765プロの一員ってカンジ」

やよい「みんな家族ですー!」

千早「……」

美希「でも、それでもハニーは時々すごい暗い表情するの……みんなもそれは分かるよね?」

貴音「そうですね……」



美希「ミキね、ハニーのそういう顔見ると胸がキュウッてなっちゃうの。ミキはハニーが笑っててくれなきゃヤなの」

美希「だからミキお仕事頑張ってハニーをキラキラした、明るい所に連れてってあげるんだ!」

真「美希……」

律子「なるほどねぇ、何であんたが飛ぶ鳥を落とす勢いなのか納得がいったわ」

春香「あ、だから学校の勉強も頑張ってるの?けど美希は元々頭が良い子じゃなかったよね!?テストも勘でしょ!?」

雪歩「は、春香ちゃん……」

真美「うわぁ……」

美希「勉強?勉強は別にお仕事とは関係ないかな。これは単純にハニーの好みになる為の努力なの」

貴音「というと?」

美希「うん、ハニーがね頭の悪い女は嫌いなんだよって言ってたの。だからミキは勉強もちょっと頑張ったんだ。あはっ☆ミキは好きな人には尽くすタイプなの!」

真美「え、それ本当……?」

美希「そうだよ。あんまり頭悪いとハニーに愛想尽かされちゃうかもね、ミキは平気だけど」

真美(これからちゃんとやろ……)

小鳥(みんなの学力上がりそぉ……ま、私は大人だから関係ないわよね!)



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ーーーー
ーー

数週間後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「沖縄だァ?」

高木「うむ。我那覇君が沖縄の親善大使に選ばれてね、その講演が沖縄であるから一方通行君は同行してくれたまえ」

一方通行「にしたって二泊三日かよ?日帰りで出来る仕事だろ」

響「そうだぞ、一方通行がそんなに休んでこの事務所は大丈夫なのか?」

高木「まぁこれは休暇のようなものだ。一方通行君にはゆっくり羽を伸ばしてもらいたい」

あずさ「あらぁいいわねぇ、お土産は泡盛がいいかしら〜」

一方通行「あンた酒強くねェだろ……」

あずさ「大丈夫よぉ小鳥さんと一方通行君がいるし」

一方通行「でもなァ……」

小鳥「泡盛かー、しばらく飲んでないなぁ」

高木「いいねぇ、飲む時は私も一緒に頼むよ」

一方通行「はァ……」

響「二泊かー、水族館は行くとして……海も行く?」



一方通行「あァ?」

響「沖縄の海に行けばその真っ白い肌も1日で自分みたいになれるさー!」

雪歩「ダメだよっ!!!!!!」

響「!?」ビクッ

雪歩「一方通行君は白い肌だからこそ赤い瞳が映えるんだよ?それに肌が黒くなったらせっかくの中性的な印象も薄れちゃうし銀髪にも合わないよ一方通行君の服装はモノトーンのものが多いからその魅力を引き出すのはやっぱり白い肌だと思うし……」ペラペラ

響「ちょ、冗談さ雪歩……は、離して」

雪歩「あっ、ご、ごめん響ちゃん」

一方通行(ハム蔵震えてンじゃねェか……)

響「あ、はは……大丈夫さーちょっと驚いただけだから」

一方通行「つゥかおめェが心配しねェでも肌なンて焼けねェだろ。今、秋だぞ?」

響「そうでもないぞ、沖縄はやっぱり内地に比べて陽射しは強いし……日焼けしたくないなら日焼け止め持ってった方がいいかもね」

一方通行「あァー平気平気、そンなもンなくても日焼けしねェから」



伊織「確かにアンタみんなで海行った時も全く日焼けしなかったわねぇ。何か対策してるわけでもないんでしょう?」ペタペタ

一方通行「……日焼け止めは塗ったりしてねェな。てか触ンな!なンかベタベタしてンぞてめェの手!」

伊織「あぁ、ボディクリーム塗ったばっかだったわ」

一方通行「しかもこれニオイ付きじゃねェか」クン

伊織「そりゃあね。良かったじゃないスーパーアイドル伊織ちゃんの体と同じ匂いしてるのよ、光栄でしょ?」

一方通行「アホか余計落ち着かねェよ」ゴシゴシ

伊織「ふぅん、一方通行は私の匂いがすると落ち着かなくてドキドキしちゃうの。にひひっ」

一方通行「うっぜェ」

小鳥(あぁっ、美希ちゃん。あなたのハニーが同い年の女の子にマーキングされてるわよ)

一方通行「にしても泊まりか……用意、はいいか別に。アレ?お前いぬ美とかどォすンだァ?」

響「うーん、ブリーダーの人にお願いしようかな」

一方通行「ワニのブリーダーとか居ンのか?……そォいや泊まるホテルとかもォ決まってンのかよ社長?」

社長「あぁ先方から用意されたところはあるが……」

響「ウチに泊まりなよ一方通行!自分の家族を紹介するさー!」



一方通行「そォいやお前ンち民宿だったか」

社長「ふむ、では先方にもそう伝えておこう。2人とも楽しんできたまえ」

響「はーい」

一方通行「ふン」プイ



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数日後

〜〜〜空港〜〜〜



響「誰も見送りに来てくれなかったぞ……」ズ-ン

一方通行「当たりめェだろォが。たかが3日間いなくなるぐれェで見送りに来るかよ……」

響「それはわかってるけどさー、最近みんなが集まるの自体少なくなってきたし」

一方通行「嬉しい悲鳴ってやつか?」

響「そりゃ一方通行は自分たちをトップアイドルにする為にここに来たんだからそうなんだろうけど……最近どっちが良かったのかなって考えちゃうぞ」



一方通行「ン?」

響「いやだからさ……あんま忙しくないけどみんなで居られるのと、今みたいな状況とどっちがいいんだろうって」

一方通行「お前らそンなに話せてねェの?」

響「メールぐらいはする……けど」

一方通行「ならいいじゃねェかよ」

響「良くないぞ!一方通行は冷たい奴だなぁ。面と向かって喋らないと喋った気にならないぞ」

一方通行「そォいうもンかね」

響「そういうもんだよ……このまま離れ離れになったらどうしよう」

一方通行「はァ?」

響「みんなで居ないのが平気になってそのまま会わなくなるなんて自分は絶対嫌だ」

一方通行「大げさじゃねェの?」

響「大袈裟なんかじゃない!自分、もう誰かとサヨナラするのは嫌なんだ……」

一方通行「それって沖縄に居た奴らの事か?」

響「うん……」



一方通行「お前がペット飼いまくってる理由わかったわ。相当な寂しがり屋なンだな」

響「一方通行だって寂しがり屋だろ!?」

一方通行「はァ?オレの何処がだよ?」

響「顔見たら大体わかるぞ。あぁ、この人は寂しがり屋だなって」

一方通行「変な特技持ってンなァお前」

響「けど一方通行は結構平気そうだよね、なんかコツでもあるの?」

一方通行「まァ、オレが百歩譲って寂しがり屋だとしてよォ、今のオレの状況は奇跡みてェなもンなンだよ。だから寂しいと思うのもおこがましいっつゥか」

響「奇跡?」

一方通行「あァ……本当にこンな事になるとは思わなかった」

響「じゃあ一方通行は今が幸せなんだ?」

一方通行「完璧にでは無いけどな。迎えに行かなきゃならねェ奴がいる」

響(美希が言ってた暗い理由ってこれか?次会った時に教えてあげよう)

響「でもその人と離れ離れなわけでしょう?不安じゃないの?」



一方通行「別に平気なわけじゃねェけど不安でもねェなァ」

響「なんで?もう会えないかもしれないんだぞ?」

一方通行「そォならねェことを知ってっからだ」

響「え?」

一方通行「人なンてもンは好きな奴もクソみてェな奴も一度知り合っちまえば、そォ関係が崩れるもンじゃねェンだよ」

一方通行「お前気にし過ぎなンだよ。お前が会いたいと思えば会いに行けンだろ。そいつが何処にいよォがなァ」

響「そうかな……」

一方通行「そォだろ、あっち着いたらお前の友達も一杯来るンじゃねェの?」

響「でも行く時間とか教えてないし」

一方通行「なら会場に来ンだろ」

響「でも、来なかったら!?」

一方通行「そン時は家まで押し掛けちまえばいいンだよ」

響「それ嫌われる奴だぞ……」

一方通行「来なかった理由が嫌いだってンならそれ以上落ちる評価がねェンだから心配いらねェよ」アッヒャヒャ



響「変だぞその理屈」

一方通行「まァ、多分居るだろお前の友達。自分のダチ信じてろよ。さァそろそろ行こうぜ」

響「うん……」



ーーーーーー
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ーー

〜〜〜会場〜〜〜


響「みんなー!ありがとうー!!」

ワァーーーーッ!!


ーーーーーー
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ーー


〜〜〜楽屋〜〜〜


響「ア、一方通行!」

一方通行「あの最前列にいた奴等お前の友達か?」

響「うん!うんっ!」ジワァ

一方通行「ほらだから言ったじゃねェか、人との関係はそォ簡単に切れねェよ」



響「本当良かっだぞぉ〜」ポロポロ

一方通行「な、泣くな」

響「だっでぇでぢゃうんだもん」ダバダバ

一方通行「ほら、これで仕事終わったンだから友達と喋ってこいよ。待っててやるから」

響「・ん」ゴシゴシ

響「一方通行も紹介するぞ!自分のプロデューサーだって」

一方通行「オレはいい。水差したくねェし」

響「そうか?じゃあ行ってくる!待っててね!」ダッ

一方通行「おォ」ヒラヒラ

一方通行(良かったじゃねェか…………友達ねェ、オレにもそンな存在が居たンだよなァ………)


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜外〜〜〜


響「待たせてごめんね一方通行」

一方通行「もォいいのかよ?まだ喋っててもいいぞ」

響「大丈夫!あんまーにも早く会いたいし、ウチに行くさー」

一方通行「おォじゃあ行くか、ちょっと待ってろタクシー呼ンでもらうから……」



響「あっ待ってその前にコンビニ行ってくる!」ダッ

一方通行「あァならついでにコーヒーも……オイッ!てめっ待てや!!…………チッ、行きやがった」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


響「一方通行ァ!!」ハァハァ

一方通行「なンだよ?おめェはホント騒がしいよなァ、一応聞くけどオレのコーヒー……」

響「そ、そんなことより…ハァ…ハァ……これ」スッ

一方通行「あァ?週刊誌ィ?………………如月千早血塗られた過去……」

響「ね、ねぇ何これ?なんでこんな」

一方通行(千早の胸につかえてたのはこれか……)パラパラ

一方通行「これ出たのいつだ?」

響「昨日みたいだぞ」

一方通行「チッ、出たばっかだから騒ぎになってなかったのか……」



響「これ……事務所のみんなも見たよね?」

一方通行「電話してみる……」ポパピ…トゥルルルッ

一方通行「……おォ律子か?週刊誌見たか?……おォ…あァ!?病院だァ!?ンだよそれ…おォ…………チッ、わかった。あァ」ピッ

響「び、病院って何かあったのか!?」

一方通行「…………なったってよ」ボソ

響「え……?」

一方通行「千早が歌えなくなったってよ……声が出ねェらしい」

響「そ、そんな……」ジワ

一方通行「……」

響「事務所に帰ろう一方通行」

一方通行「いいのかよ、家族に会うの久し振りなンだろ?それに友達だって……」

響「今は家族より千早だぞ!それに……会わなくたって終わりじゃないって言ったのは一方通行じゃないか」

一方通行「そォだな……わかったすぐチケット手配する」



ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「帰ったぞ!!」バァンッ!

響「千早は!?」

律子「ア、アンタ達なんで……」

響「千早が心配で飛んで来たんさ」

小鳥「千早ちゃんなら自分のお家にいるわ」

響「そうなんだ……」

一方通行「……つゥか全員揃ってンだな」

真「うん、久し振りにみんないるのにね……こんな理由でなんて」

全員「…………」ドヨ-ン

一方通行「千早の容態はどォなンだ?医者はなンて?」

律子「…………精神的なものだから治る見込みは無いそうよ」ギュウ

一方通行「アイツに来てる仕事は断わンのか?」

律子「今それを話してたとこなの」

美希「ミキがやるよ」

伊織「私もやるわ」



律子「あなた達……」

一方通行「わかった、任せる」

真美「ね、ねぇ兄ちゃん……このままアイドル辞めるとか……ないよね?」

一方通行「千早はなンて言ってンだ?普通に喋る事は出来ンだろ?」

律子「とりあえず今きてる仕事は全部断るって……」

亜美「けど別に大丈夫だよね!?歌わないアイドルだっているじゃん!」

一方通行「千早はあの顔とキャラだから歌わなくたって仕事はくる」

真美「じ、じゃあ……」

一方通行「本人が納得しねェよ。アイツは歌を歌いたくてここにいンだから」

亜美「そう、だよね……」

春香「私、千早ちゃんの家に行ってくる!」ダッ

あずさ「あ、春香ちゃん!?」

一方通行「この記事書かせたのは961プロか?」



高木「黒井の差し金とみて間違いないだろうね……」

一方通行「またか」

一方通行「……ククッ……クカカッ」

雪歩「一方通行君?」

一方通行「ハハッ、たまンねェなァ!なァおい?今回の件どォ思ってンだよ社長」

高木「?」

一方通行「てめェらのくだらねェ因縁が何も関係ねェ千早を傷付けたンだ!!それもこれもアンタが向き合わねェで先延ばしにしてたからだろォがッ!!」

高木「……」

小鳥「ちょっと、一方通行君そんな下らないだなんて……」

一方通行「そォだろォが!てめェらの因縁にオレ等は関係ねェンだろ?だったら2人でやってろよクソがッ!それを関係ねェ奴まで巻き込みやがって」

一方通行「おォ、アンタらにとっては下らねェ問題じゃねェのかもしれねェ。嫌がらせすンのもされンのも仕方ねェのかもしれねェ……だがなァ、千早が傷付いていい理由にはなンねェンだよッ!!」ガァンッ!

やよい「ひぅっ」ビク

伊織「一方通行!」



一方通行「…………悪ィ」

高木「ア、一方通行君」

一方通行「外出てくる……」バタン

美希「あっ……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜外〜〜〜


一方通行(もォ学園都市とか法律とか関係ねェよ……!黒井を殺して速攻で打ち止めンとこ行って向かってくる奴みな殺しにすりゃあいいンだろ?)

一方通行(そン時千早も連れてくか……冥土帰しならなンとかすンだろ……事務所の奴らには悪ィがもォ我慢できねェ……殺してやるよ黒井ィ)

一方通行「あ?」ピタ

貴音「……」

一方通行「何してンだ、どけよてめェ」

貴音「早まってはなりませんよ一方通行」

一方通行「しらねェ失せろよ邪魔すンな……もォ疲れたンだよ。やっぱりオレはこっち側の人間じゃねェ。早く楽になりてェンだ……だから、どけ」



貴音「なにを甘えているのです!!」ピシャリ

一方通行「!」

貴音「961ぷろのやり口に気付いていながら何も出来なかった自分が許せませんか?自罰的な貴方の事です。どうせ今からやろうとしてる事を後悔すると確信しながら行う気だったのでしょうね」

一方通行「……」

貴音「逃げてはなりませんよ一方通行、あなた様は私達を統べる存在。そんなあなた様がその体たらくでどうするのです!」

貴音「この優しくも暖かき手は血塗られるべきものではなく、私達を支える手であるべきです」ギュッ

貴音「いい加減に自覚なさい。あなた様は日向にいるべきお方。なにも無理して自ら陰鬱は場所に身を投じる必要などないのですよ」ニコ

一方通行「貴音……」

貴音「それとも私達全員を泣かせるおつもりですか?女の涙は高くつきますよ」ギュウウウ

一方通行「いってェ!分かったから離せ!もォ黒井ン所に行くのはやめた!」グググ

貴音「……」ギュウウウウウウ

一方通行「ッ!ほ、本当だって……信じろ!」

貴音「ふふっ……ならば良いのです」パッ



一方通行「チッ、乱暴な奴」サスサス

貴音「そう仰らないで下さい。私としてもあなた様が我々の前から消えるかどうかの瀬戸際だったのですから」

一方通行「もォ心配いらねェよ……」

貴音「はい、私はあなた様を信じております」ニコッ

貴音「さて、では事務所に戻るとしましょうか」

一方通行「いや、そこら辺歩いてく。オレがやるべき事を整理しねェとなァ」

貴音「私もお邪魔しても?」

一方通行「邪魔だ」

貴音「は、はい……それでは」シュン…トボトボ

一方通行「……貴音、ありがとな。お礼にお前が食いたいもンなンでも奢ってやる」

貴音「……」パァアッ

貴音「で、ではあなた様と料理を作ってみたいです!それを二人で食したいです!朝昼晩でですよ!」

一方通行「あァ?そンなンでいいのかよ?」

貴音「はい、それがよいのです!」

一方通行「わかった。次のお前のオフにオレも休日もらう事にする」

貴音「はい!」

一方通行「事務所の奴になンか聞かれたらオレは対策でも考えてるとでも言っといてくれ。じゃあな」スタスタスタ



ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行「さて……」ポパピプペ…トゥルルル

一方通行「……よォ冥土帰し、久し振りだなァ……おォ…そォか、アイツは元気にやってンのか」

一方通行「けど違ェ、今日はその話じゃねェ……歌が歌えなくなっちまった奴が居るンだがどォすりゃ治る?…あァ?なンで知ってンだよ?…ハッ、まさかアンタがアイドルに興味あるとは思わなかったぜ」

一方通行「で、方法は…………おいおい死人以外はなンでも治すンじゃねェのか?…あ?周りが下手な事して余計悪化したらどォすンだよ?」

一方通行「どォしよォもなくなったら連れてこいって…………チッ、わかったよ。マジでヤバくなって治りませンでしたじゃあ許さねェからな!!…おォ、じゃあな」ピッ

一方通行(トラウマは自身で、または親しい間柄の奴と一緒に乗り越えた方が再発の危険も減るし患者の精神も安定する、か)

一方通行(まァ冥土帰しが治すっつった以上千早が歌えないまま終わるっつゥ未来は無くなった。後はどれだけハッピーエンドに近づけれるかだ)

一方通行(春香が千早ンち行くって言ってたなァ。取り敢えずは春香に任せるか……オレはその間にいつでも動けるよォに仕事を片付けとかねェと)



ーーーーーー
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ーー

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜

ガチャ

一方通行「あ……」

高木「あ……」

一方通行「……」

高木「……」

一方通行「……他の奴等は?」

高木「全員、今日の所は帰ってもらったよ」

一方通行「そォか……」

高木「あぁ……」

一方通行「……怒鳴って悪かった」

高木「え?」

一方通行「悪ィのはアンタだけじゃねェ。オレだって961プロを止めようと思えば止められたンだ……八つ当たりだった。だから、すまねェ」

高木「君が気に病む事じゃない。君の言う通り今まで放置していた私が悪かったんだ」



高木「今回の一件で私は君を落胆させてしまったかな?」

一方通行「…………正直な。アンタはオレにとって数少ねェ尊敬できる大人なンだ。だから……あンま失望させねェでくれよ」

高木「そうか……君に嫌われるのは私としても御免被りたいとこだからね。私も立ち向かわねばならないよ」

一方通行「?」

高木「今夜、黒井と決着をつけてくる」

一方通行「マジか」

高木「あぁ、少し挑発したら直ぐに誘いに乗ってきたよ。私はそこで自分の過去を清算するつもりだ」

一方通行「オイオイ……」

高木「ん?あぁ、勘違いしないでくれたまえ。何も刺し違えようって訳じゃない。真正面から話すだけさ」

高木「黒井の事は私に任せてくれたまえ。だから……」

一方通行「分かってる。千早はオレ達の任せろよ」

高木「うむ、では行ってくるとしよう」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

深夜


高木「……」ガチャ

一方通行「よォ」

高木「おや……まだ起きていたのかい?」

一方通行「今日はアンタが戻ってくるよォな気がしたからなァ」

高木「ふっ……そうか」

一方通行「で、どォだった?過去の清算とやらは出来たのかよ?」

高木「どう…なんだろうね。いや、この年にもなると以前のように仲良しこよしとはいかないようだ」

一方通行「そォか」

高木「あぁ、だが黒井はもうウチに嫌がらせする気はなくなったようだよ。如月君の記事を書かせる事ももうないだろう」

一方通行「だが黒井は所詮は種火だろ?このゴシップがなくなるわけじゃねェ」

高木「扇動者のいない騒動なんてたかが知れてる。如月君が復活すれば直ぐに収束するさ」

一方通行「……アイツにはさっさと元気になってもらわねェとなァ」



高木「彼女には本当に悪い事をした……」

一方通行「……社長、千早はオレらに心を開いているよォに見えるか?」

高木「ん?完全に心を開いてくれてるとは言えないが……」

一方通行「オレもそォ思う。そンでその原因はこの記事に書いてある過去だろ?つまりいつかはアイツが立ち向かわなきゃならねェ事だったンだよ」

高木「……」

一方通行「良い機会だと思おうじゃねェか……まァ、流石に荒療治すぎるけどなァ」

高木「……もしかして、慰めてくれてるのかい?」

一方通行「気持ち悪ィこと言ってンなよおっさン……ただの事実だ。それに助ける側が前向きじゃねェと助けられるもンも助けらンねェだろォが」

高木「ははは、確かに一理あるなぁ」

一方通行「だったら社長もいつまでもショボくれてンなよなァ」

高木「あぁ、そう振る舞おう。実は1人で飲もうと思ってビールを買ってきたんだが一緒にどうだい?」

一方通行「オレは仕事の片付け最中だ。勝手に飲ンでろ」

高木「まぁまぁ、そう言わずに」

一方通行「うるせェ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

翌々日


春香「ただいま戻りました……」ガチャ

一方通行「おォ、今日も千早ンち寄ってきてたのか?」

春香「うん……」

一方通行「どォしたンだよ?」

春香「いや、その…千早ちゃんにおせっかいって言われちゃって……はは、流石に堪えたっていうかその通りっていうか」

一方通行「ヘコンでンのか?」

春香「うん……このまま私が踏み込んでいいものなのかなって」

一方通行「そンなのはお前の好きにしたらいいのさ。オレもそォしてきたし」

春香「え?」

一方通行「オレ達は家族なンだろ?だったら思うままに行動したらいいンだよ。なァに心配いらねェ。例えなンかやらかしたとしても他の家族がどォにかしてくれるさ」

春香「ア、一方通行……」

一方通行「ということでオレは行くぜ千早ンとこ。なンか言伝はあるか?」

春香「あ、これ!」

一方通行「ン?スケッチブック?」

春香「うん、これ優君の物なんだって。さっき表で千早ちゃんのお母さんが千早ちゃんに渡してくれって」



一方通行「母親が?チッ…母親なら直接渡してやれよなァ。まァいいわかった。持ってく」

春香「うん……千早ちゃんの事お願いね一方通行」

一方通行「……なァ春香、千早はお前の事を心の底から疎ンでる訳じゃねェよ」

春香「え?」

一方通行「ただ、お前みてェに明るくて自分の心をさらけ出してくる相手にどォ対応していいか分かンねェから突き離すだけなンだ。だから迷惑なンかじゃねェンだよ」

春香「そうなのかな……?」

一方通行「あァ、オレにはその気持ちが良く分かる。だから元気出せよ春香。お前が笑ってねェとこっちが調子狂う」

春香「え、えっと……こうかな」ニ…ニコ

一方通行「まだ駄目だなァ……ま、お前の笑顔は千早が復活した時にでも見してもらうとするわ。じゃあな」バタンッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜千早宅〜〜〜


一方通行『おォ千早ァ、起きてっかァ〜』

千早(この声……一方通行?誰とも話したくないのに……)



一方通行『オレは春香みてェに優しくねェからよォ、無理矢理こじ開けさせてもらうぞ』

千早「?」

ガチャガチャ……ガチャンッ

千早「!?」

一方通行「よォ、ひでェ面してンなァ千早」スタスタ

千早「ど、どうやって……」

一方通行「超能力?」

千早「出てって…………ほっといてっ!!!」

一方通行「ほっとかねェよ」

千早「お願いだから……1人にして……」

一方通行「1人で居たら事態が好転すンのか?しねェだろ?だからお前を1人にしねェ」

一方通行「今日はお前と喋る為にたっぷり時間取ってきたからなァ、ほっといて欲しかったら力付くで退かしてみろよ」ストンッ

千早「……」

一方通行「にしてもお前の部屋なンもねェなァ。もォ少し家具置けよ」キョロキョロ

一方通行「あ、あいつ等からの見舞いの品捨ててなかったのか。春香がドアの前に置いといたとか言ってたが、わざわざ取りに行くあたりおめェらしいよ」ガサゴソ



一方通行「ふゥン……全員役に立つンだか立たねェンだか微妙なもンばっかだなァ」アハギャハ

一方通行「おっ、お茶っ葉あンじゃねェか……特別にオレが茶ァ淹れてやろォか?とっ、急須もねェか……」

一方通行「……お前がキャンセルした仕事の事なら心配すンな。美希と伊織とかが張り切って穴埋めしてっからよォ、今度お礼言っとけ」

一方通行「あァお前それと春香になンか言ったンだって?アイツあれで結構気にするタイプなンだからちゃンとフォローしてやれよ?どォせお前も言った事後悔してンだろ?」

千早「…………」

一方通行「おい、いい加減相づちくれェ打てよ。流石に空しくなってくるぜ」

千早「……」

一方通行「ハァ……あン?お前なンか髪がやたらベッタリしてねェか?まさか風呂入ってねェのか」

一方通行「チッ、おいおいおいおい頼むぜェ、おめェはウチのアイドルなンだからよォ……動くな?ちょっと体触るぞ」チョン

千早「?」

一方通行「……」キィィンッ

千早「!?」

一方通行「どォだ、スッキリしたろ?」



千早「え、どうやって……」

一方通行「今お前の体に付着してた汚れを吹っ飛ばした。おめェらには言ってねェがオレはそォいう事が出来る力を持ってンだよ」

千早「…………それで私の喉を治す事はできないの?」

一方通行「言うと思った…………まァ出来る出来ねェで言えば出来るぜ。ただしおめェが歌ってる間中オレがお前の体に触れてるって条件が付くがなァ」

千早「それでも……!」

一方通行「歌えるなら、ってか?それはお前が望むもンじゃねェだろ。それにそンな状態治ってるなンて言えねェし」

千早「……」

一方通行「そンな手間掛かる事やるよりお前が過去の事全部乗り越えた方が早ェしお互いにとってもいいだろォ」

千早「簡単に言わないで……」

一方通行「まァ、オレは当事者じゃねェからなァ……そォいやパパラッチされた内容がいつだったかお前が言ってた昔の話か?」

千早「……」コク

一方通行「そォか……悪ィな。お前が話す前に知っちまったよ」

千早「何よそれ……あなたにいつかは話そうと思ってた。本当よ」



一方通行「なら今聞かせてくれよ」

千早「え?」

一方通行「雑誌に書いてある事なンて殆どあっちに都合良い事ばっかだろ?お前の口から聞きてェンだ」

千早「上手く話せるかどうか……」

一方通行「別に上手く話す必要なンざねェよ。ゆっくり、お前の言葉で聞かせてくれ。その時どンな気持ちだったかとかな」

千早「えぇ……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

千早「これが私が話したかった事よ」

一方通行「そォか……」

千早「私は歌を歌っていなければならないのに……」プルプル

一方通行「……そンな心づもりだから声が出ねェンじゃねェのか」

千早「え……?」

一方通行「これ見ろ。お前の弟のなンだろ?春香がお前の母親から渡されたみてェだ。千早に届けてくれって」スッ

千早「これ……」パラ…パラ

一方通行「そこに描いてあるのお前と弟だろ?」

千早「そうよ」

一方通行「そォか。お前……笑えンじゃねェか、歌ってる時でも。反吐が出る程月並みな言い回しで申し訳ねェが、お前の弟が好きだったのは笑ってる千早だったンじゃねェか?」



千早「優ッ……!」ギュ

一方通行「オレよォ、お前に自己投影してンだわ。勝手な話だがな……」

一方通行「オレも前まで仲間だの絆だの家族だの自分には関係ねェもンだと思ってた。こンなクソみてェなオレがそンなもン持つ資格ねェって思ってた」

一方通行「けどよォ、そォじゃなかった。こンなオレでも仲間だって言ってくれる奴はいて、そンでそこの居心地はすげェ良い所だった」

一方通行「だからオレはもォ1人で平気なフリをすンのはやめる。お前ももォ自分の殻に閉じこもンのやめろ……出来るなら明るい所を歩いて行きてェじゃねェか。なァ、お前もそォ思うだろ?」

千早「……」

一方通行「これ」スッ

千早「CD?」

一方通行「アイツ等がお前の為に作詞した曲だ……お前次の定例ライブまでに歌詞覚えとけ。出番開けとくから」

千早「待ってまだ……」

一方通行「ここにはもォこねェ……お前がオレたちンとこまで来い」

千早「一方通行……」

一方通行「待ってるからな千早……じゃあな」スタスタスタ

ガチャン

千早「優……私は……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数日後

〜〜〜ライブ会場〜〜〜


律子「来ないわね……千早」

全員「…………」

春香「ねぇ、円陣組も……」

ガチャッ!!

全員「!?」クルッ

千早「すみません……遅れました」ハァ…ハァ

春香「千早ちゃん!!」

律子「千早!!」

ワイワイガヤガヤ

一方通行(千早……)フッ

ーーーーーー
ーーーー
ーー



千早『ーーーッーーーァ』

律子「あの子まだ……!?」

一方通行(ちきしょう……!どォする、どォするっ!?……1秒で考えろ、その為の頭だろォがよ!!)

春香「ッ!」ダッ

律子「春香!?ちょっ、みんなも……!」

一方通行「待て律子!止めンな!!……曲もそのまま続けてくれ」

一方通行(そォだ……別にオレ1人で解決する必要なンてねェンだ。頼ンだぞ……お前ら)


ーーーーーー
ーーーー
ーー

千早(ありがとう……みんな……)スッ

千早『歩こう〜果てない道歌おう〜天を超えて・』

律子「!」ブワッ

一方通行「よしッ!」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜舞台袖〜〜〜

ワァーーーーッ!!!

美希「千早さん!」ダキッ

千早「み、美希……みんな、ありがとう」ボロボロ

春香「おかえり千早ちゃん」ポロポロ

千早「うん…………あなたも、泣いてくれるのね……一方通行」グス

一方通行「……あ?」ツ-

一方通行「うォッ!?なンだこれ!?」ゴシゴシ

亜美「あぁ〜兄ちゃん男のクセに泣いてる〜」

真美「はっずかちぃ〜」

一方通行「あァ!?てめェらだって泣いてンだろォが!!」

真「いやいやこれはレアだよ」

伊織「もぉ〜、こんな時に笑わせないでよね」

一方通行「てっめェらこっちみンな!死ね!ぶっ殺すぞ!?」クル

律子「って出番出番こんなことしてる場合じゃないわよ!!」アタフタ

ワイワイギャーギャー



ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜外〜〜〜


一方通行(さて、荷物はこれで全部トランクに入れたかな)バタン

冬馬「よぉ」

一方通行「お前ら……」

冬馬「如月千早、もう大丈夫みてぇだな」

一方通行「心配してたのか?」

冬馬「別に違ぇよ」

翔太「違わないことないでしょう〜あんなに気にしてたクセにぃ。あ、冬馬君もしかして恥ずかしいの?」

北斗「別に恥ずかしがる事ないぞ冬馬。エンジェルたちを心配するのは男の義務みたいなものだから」

冬馬「だからそういうんじゃねぇって……」

一方通行「でェ?結局なンの用だよ?」

冬馬「……アイツのあのゴシップ、オッサンがやったんだろ?それだけじゃねぇ……今までも裏でコソコソやられてたんだろ?」

一方通行「そォいう卑劣な真似すンのは765プロのお家芸なンじゃなかったのか?」



冬馬「流石に気付くぜ……」

翔太「冬馬君たら大変だったんだよ、黒ちゃんと取っ組み合いのケンカまでしちゃうし」

一方通行「マジか」

北斗「大事になる前に止めたけどね」

一方通行「所属事務所の社長にンな事して居場所あンのかよおめェら?」

冬馬「あんなとこコッチから辞めてやったよ」

一方通行「はァ?」

翔太「そうそう、おかげで僕たちフリーター?」

冬馬「嫌なら戻ってもいいんだぞ?」

北斗「ははは、それが出来る程度の仲なら苦労しないさ」

一方通行「………黒井はもォ卑怯な手を使わねェってウチの社長が言ってたぜ?だったらお前らが辞める理由なンて……」

冬馬「だからって許されるわけじゃねぇだろ」

一方通行「まァな……」

冬馬「俺は一度でもそんな事した奴の所には居たくねぇ…………それから」

一方通行「?」

冬馬「黒井のおっさんの代わりに謝らせてくれ……すまなかった!」バッ




翔太「ごめんなさい」スッ

北斗「すまなかった」バッ

一方通行「……なンでてめェらが謝る?」

冬馬「あんな奴とはいえ仲間だったんだ。だったら尻拭いをすんのは当然だろう」

一方通行「……ハッ、前のオレならそのままてめェらぶっ殺しちまうとこだが、今はその青臭ェノリは嫌いじゃねェ。オラ、てめェらさっさと頭上げろよ」

冬馬「アイツ等にも、ちゃんと謝るからよ……」

一方通行「まァそこは好きにしろよ……つゥかよ、お前ら次の事務所決まってンのか?」

冬馬「いや……まだだ」

一方通行「ならウチに来いよ。てめェらなら社長も大歓迎すンだろ」

冬馬「いや、それはねえな」

一方通行「なンでだ?」

冬馬「ライバルと同じ事務所じゃ本気で戦えないだろ?俺らは俺らでアンタ等みてぇに団結っつぅのを大切にする事務所を探してみるよ」




一方通行「そォかい……頑張れよ、応援してるぜ」

冬馬「おう、アイツ等にも言っといてくれ。すぐに追い付いてやるからな、って」

一方通行「あァ、伝えとく」

冬馬「それじゃあな」

一方通行「あァ」

一方通行(ジュピターか、これからどォなるか見ものじゃねェか。オレ達も気を引き締めねェとなァ)



ーーーーーー
ーーーー
ーー

ごめんもう寝る。続きは明日の昼の1時ぐらいから投下する
あと完結済みなので心配しなくて大丈夫だよ

想像してたより見てくれてる人がいて嬉しい
再開します


数週間後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜



千早「一方通行」

一方通行「ン?」クルッ

パシャッ

一方通行「…………なに勝手に撮ってンだてめェ?」

千早「ふふっ、昨日買ってみたのよ」

一方通行「買ってみたのよ、じゃなくてよォ……」

千早「色々自分の世界を広げてみようと思って……まだ上手に撮れないんだけど」



一方通行「ふゥン……つかなンでカメラなンだ?」

千早「大切な事を忘れないように。だから撮っていいでしょ?ほら、笑って?」

一方通行「撮るのは別に構わねェが楽しくねェのに笑えねェよ」

千早「……」ピカッ!パシャパシャパシャ

一方通行「てめッ、フラッシュ焚いてンじゃねェ!」

千早「ふふっ」ニコニコ

一方通行「カメラ寄越せ!てめェのその腑抜けた面撮ってやる」

千早「嫌よ」

美希「ハニィィィィィ!!」

一方通行「うォっ!?……なンだよ?」

美希「ハニーは千早さんに甘過ぎると思うな!美希には勝手に写メ撮るなとか言うくせに!」

一方通行「別にそンな事ねェだろ」

美希「そうなのぉっ!」プリプリ

千早「そんなに怒らないで美希……ほら、一方通行との写真撮ってあげるから」

美希「ホントに!?ハニーほら早くこっち来て!」グイグイ

一方通行「あァー?」

美希「千早さんオッケーなの!」ギュウ

一方通行「オイ、腕組むなよ……」



千早「いくわよ……」

パシャッ

千早「現像したらあげるわね」

美希「わぁ!千早さんありがとなの!」キラキラ

千早「一方通行もいるでしょ?」

一方通行「いらねェよ」

美希「えぇー!?お財布に入れて仕事先の人にこれオレのコレ、って紹介して欲しいの!」

一方通行「お前それ絶対やンなよ!!」

千早「そういえばそろそろ行かないとまずいんじゃない?」

美希「え、でもまだみんな揃ってないよ?」

一方通行「現地集合だからな」

美希「そっか……それにしても社長、みんなをバーに招待してくれるなんて太っ腹だね」

一方通行「太っ腹かァ?どォせならパーティ会場でも貸し切……いいや、もォ行こうぜ?」




千早「え、その恰好で?」

一方通行「あ?スーツじゃダメなのか?指定されたのはフォーマルな服装だろ」

美希「ミキそれじゃあダメだって思うな!みんな折角オシャレしてくるんだからハニーもやらなきゃダメってカンジ」

一方通行「つっても替えの服なンて……」

美希「ミキ買ってきてあるの!」

一方通行「なンでだよ」

美希「今日はオシャレするって分かってたから用意しておいたの。恋人の服装を決めるのは女の楽しみだもん」

一方通行「オレがいつてめェの恋人になったよ……」

美希「あはっ☆時間の問題なの」

千早「取り敢えず着替えてきたら?時間も無いんだし」

一方通行「おォ、ちょっくら着替えてくる」スタスタ

美希「…………千早さん、カメラ貸して欲しいの」

千早「盗撮はダメよ」

美希「盗撮じゃないよ?ミキはいつでも直球勝負なの」パシッ




千早「あ、ちょっと……」

ハニーーー!!
てめェ!入ってくンじゃねェよ!!!ガシャーンッ!!
キャーー!!ドォン!!ガラガラ!

千早「カ、カメラが……」オロオロ


ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜バー〜〜〜


美希「みんなー」

亜美「あ、ミキミキだ!」

真「もー、遅いよ」

千早「ごめんなさい、事務所で戸惑ってしまって」

一方通行「社長は?」



律子「あれ?さっきまで居たんだけど……」

伊織「まったく、アンタ達来るのおそっ///!?」

真美「兄ちゃん私服カッコよ!!」キラキラ

あずさ「ホントねぇ〜、チラリと見える鎖骨がセクシーよぉ?」

春香(あずささん鎖骨フェチなのかなぁ)

一方通行「あァ、美希が買ってくれてよォ」

響「ははっ、ヒモだぞそれぇ〜」ケラケラ

一方通行「……」グググ

響「ハ、ハム蔵……助け…て」

貴音「似合っていますよあなた様」ニコ

一方通行「おめェらも今日は大人びてンなァ」

雪歩「そうかなぁ///」テレテレ

やよい「わたしもですか?ちゃんと大人っぽく見えてますか!?」

一方通行「今までで一番な」ナデ

やよい「うっうー!良かっですー」ペカッ



一方通行(つゥか小鳥さンもいねェし)キョロキョロ

春香「え?壇上に居るのって……」

一方通行「ン?……!?」

一方通行(小鳥さンがなンで……マイクとピアノ……おいおいマジかよ小鳥さンが歌うのか!?)ニタァ

高木「あ、一方通行君来てくれたか……すまないがちょっと私に着いてきてくれないか?」コソコソ

一方通行「……」シカト

高木「ア、一方通行君?」

一方通行「今……話し掛けンな」

高木「まぁまぁ、そう言わずに」グイ-

一方通行「ッ!離せッ!!オレは小鳥さンの歌を聴くンだ!!」ジタバタ

高木「シィー、静かに……ここで騒げばここにいる全員に迷惑が掛かることになる。もちろん音無君にもね」

一方通行「!」

高木「さぁ、行こうか」


ーーーーーー
ーーーー
ーー



一方通行「で、用件はなンだ?」

高木「いやぁ、黒井の奴が君と話させろとうるさくてね」

一方通行「……ここにいンのか?」

高木「カウンター席に座ってる……ほら、アイツだ」

黒井「ほぉ、貴様が一方通行か」

一方通行「そォいうアンタは黒井か?」

黒井「ウィ、まぁ楽にしたまえ」

一方通行「……」

黒井「……」

高木「……」ハラハラ

黒井「何をしている?私を殴らんのかね?」

一方通行「あァ?」

黒井「高木からは貴様と話すのなら1発殴られる覚悟をしておけと言われたものでねぇ。貴様の方も私が憎いだろう?」

一方通行「別に許したわけじゃねェ……が、アンタのお仲間から謝罪は受けたしなァ……あァ、元お仲間か?」

黒井「なにぃ?…………ふん、あいつらめ余計な事を!」



黒井「まぁいい、話というのは……一方通行、貴様我が961プロに来る気はないか?」

一方通行「……なンだ?今オレは喧嘩売られてンのか?」

黒井「ノン、これは純粋なヘッドハンティングだ。優秀な人材は幾らいても無駄にはならんからな」

黒井「貴様の仕事ぶりは拝見させてもらっていた……率直にいって良い腕だ。765プロに置いておくには惜しい」

一方通行「オレがお前みてェな手口を使う奴の下に就くと思うか?」

黒井「貴様がそういうなら貴様等がいうところのその卑怯な手口とやらは多少は譲歩しよう。だが完全には無くさん。これが私の信じるやり方だからな」

一方通行「ハッ、そンなものが?」

黒井「何か勘違いしているようだが私の目指す者は圧倒的強者だ。その為には手段を選ばん、と言っている」

一方通行「……」

黒井「そうは思わんか?団結ぅ?絆ぁ?ハッ、確かにそれも良いのかもしれんなぁ!?だがな、それを維持する方法はなんだ?簡単な話だ。地位!権力!富だ!それらが一つでも備わっていないのなら話にならんよ」



黒井「貴様の目はそれを分かっている目だろう。競争が強さを生み出すと知っている目だ」

黒井「では何故お前は765プロにいる?さぞ居心地が悪かった事だろう。貴様は私のいうところの強者だからなぁ!悪いようにはせん。さぁ、私のとこに来い一方通行。共に頂点に君臨するぞ」

一方通行(なるほど……社長とはまた違ェベクトルで人を惹きつける男だなァ。冬馬達が信頼してたのも頷けるかもしンねェ)

一方通行「確かにオレにはアンタのとこの方があってるかもなァ……アイドルの売り出し方、演出、オレ好みだと思ってたぜェ?961プロ所属の奴も嫌いじゃねェし」

黒井「ならば……」

一方通行「だがアンタのとこにはいかねェ……」

高木「……」ニッコリ

黒井「な、何故だ!?」

一方通行「アンタの事務所にはアイツ等がいねェからだ……アイツ等以外のアイドルを面倒見ても面白くねェよ。それがオレが765プロにいる理由だ」

一方通行「もォいいかい?話は終わりだ。オレは戻る」スタスタスタ

黒井「……」

高木「……」



黒井「くく……フハハハハハッ!!聞いたか高木ィ!裏を返せば!貴様のアイドルを抱き込めばあの男も私の下に来るということだ!そうなれば貴様は終わりだなぁっ!!」

高木「ははっ、ははははは!!!」

黒井「貴様ァ!!何を笑っている!?」ダンッ

高木「ははは、これが笑わずにいられるか。彼はね、強制的に765プロに所属させられているんだよ」

黒井「ほう……」

高木「それを理由に断ると思っていたが……まさか彼女達がいるから辞めないとは…くっく、はははは!」

高木「こんなに嬉しいことはない!!飲もう黒井、私の奢りだ!!」

黒井「馬鹿か貴様は!セレブの私がど庶民の貴様から施しを受けるわけないだろう!逆にこの私が貴様に施しを与えてやろう。乞食のように感謝しろ」

高木「もう飲めればなんでもいいさ」

ギャーギャー

小鳥(うるさいのよねぇ…あの人たち)イライラ



ーーーーーー
ーーーー
ーー

数ヶ月後

〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


真美「あっ!違うって兄ちゃん!そこは……」

一方通行「イインだよこれで!黙って見てろよ」ピコピコ

貴音「おや?げぇむ、ですか?随分熱中していますね」

一方通行「おォ、亜美にスコア抜かれちまってなァ今抜き返してるとこなンだよ……チッ、クソッ!」ピコピコ

真美「じゃあ次真美の番ねー」

美希「ハニー!ちょっとこっち来て〜」

一方通行「ン?」

真美「ダメだよ!兄ちゃんは今真美とゲームやってんだから!」

美希「ハニーと、って今真美がやってるんでしょ?」キョトン

真美「待ってる人は隣りで見ててなきゃダメなの!!」



美希「え〜よく分かんないの。ちょっとの間だけだから……ね?」グイ-

真美「ミキミキはこの前仕事一緒に行ってたじゃん!だから今日は真美の番!」グイ-

美希「ミキ、悲しいけどそういうこと言う子は大人になれないと思うな」グイグイ

真美「大人は兄ちゃんを無理矢理引っ張ってはいかないっしょー」グイグイ

一方通行「どォでもいいけど引っ張ンのやめてくンねェか?痛てェンだけど」

あずさ「駄目よぉ2人とも?一方通行君が困ってるじゃない」

一方通行「いやだから困るじゃなくて痛いンだよ」

美希「……」ググググ

真美「……」ググググ

あずさ「……そう言えばこんな寓話あったわねぇ。痛がる息子を想って先に手を離した方が本当のお母さん……」

美希「!」パッ

真美「!」パッ



一方通行「ふゥ……」

あずさ「あら〜2人とも一方通行君のお母さんになりたいの?じゃあ私はお嫁さんになりたいから隣り座るわね」ストン

美希「わっ」ドサ

貴音「では私は反対側を……」スッ

真美「うわぁっ」ドサ

あずさ「一方通行君、最近飲み会の頻度減ってない?お姉さん寂しいなぁ」

一方通行「いや、ンな暇ねェだろアンタ」

貴音「料理も作ってくれなくなりましたね……」

一方通行「お前ンちでだろ?事務所では作ってンだから許せよ」

美希「……」ポカ-ン

真美「き、汚いよ!汚い大人だ!」

あずさ「そうよ真美ちゃん。大人はね、汚いのよ」

真美「くぅ……」

美希「真美、こっちに来るの!ハニー強奪作戦を計画するの!」タッタッタ

真美「アイアイサーだよミキミキ!」タッタッタ



あずさ「まぁ、強奪ですって……どうしましょう?大切なものはやっぱりしまっておくべきかしらね」

一方通行「冗談なら笑いながら言えよ怖ェから」

貴音「どのような策を練ってくるか楽しみですね」

一方通行「そォいやお前珍しく悪ノリに乗ってきたじゃねェか」

貴音「……全員ではありませんが事務所で皆と会うのは久しぶりですしね、胸が躍っているようです」

あずさ「そうねぇ、みんな揃って会うのなんて生っすかの時ぐらいだものね」

一方通行(確かに、響が嘆いてた時の比じゃねェくれェこいつら集まってねェよなァ……)

一方通行「まァ一週間後に全員集合するじゃねェか」

貴音「あぁ、そういえば……高木殿のお話とは一体……?」

一方通行「大方次のライブの事じゃねェか?」

あずさ「ライブ!?」

一方通行「シィー、静かに…アイツ等に聞こえねェよォにしろよ」

あずさ「ご、ごめんなさい……けどそれ本当?」

一方通行「他に多忙なお前等を無理矢理集合させる理由が思いつかねェ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

一週間後


高木「なんと!二ヶ月後に765プロセカンドライブが行われる事に決定した!!」

律子「えぇ!?」

小鳥「本当ですか!?」

春香「やったぁ!!」

ワイワイキャッキャッ!!

一方通行(やっぱりな……)

高木「ふっふっふ、驚くのはまだ早い。場所は何と学園都市だ!今回の為にスタジアムも建設してくれるようだよ」

亜美「うっそ!?学園都市!?」

真美「じゃあ中に入れるの!?」

高木「はっはっは、もちろんだとも」

やよい「うわぁ……!」キラキラ

伊織「え……」チラッ

一方通行「ふざけンなッ!!!!」ダァンッ!



シィーーーーーン

一方通行「学園都市にコイツ等を連れてくだと?オイオイなンだそりゃ?ホラーアトラクションか何かかよ?あァッ!?」

千早「一方通行?」

高木「学園都市からこの話を受けてね」

一方通行「だから!!アレイスターのクソ野郎が呼ンだンだろ!?……あの野郎どれだけ人を虚仮にしやがったら気が済むンだよ。絶対ェコイツ等には手を出させねェぞ……手ェ出す奴は皆殺しにしてやる……!」

雪歩「……」ゴク

高木「安全には細心の注意を払うと言っていたよ」

一方通行「…………ハハッ、お、おいマジかよ?まさかあンな奴のこと信用してンじゃねェだろォな?」

高木「しているさ。友だからね」

一方通行「なッ……」

高木「これは決定事項だ。君には学園都市との交渉役に……」

一方通行「黙れッ……黙ってくれ……」

真「ちょ、ははっ、どうしたのさ一方通行〜なんだか凄い怖いよ?」



一方通行「………………外に行ってくる」

バタンッ!!

小鳥「え、えっと社長〜、我が社のホープが学園都市でライブをするのは反対みたいですけど……」

高木「こ、怖かったね」

律子「いや、怖かったねってそんな事言ってる場合じゃないですよ!アレをどう説得するんですか!?」

高木「あぁ、そこは心配いらない。アレイスターがこうなる事を予測していたみたいでね、手は打つと言っていたから」

響(誰……?)


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜夜道〜〜〜


一方通行(学園都市は何が狙いだ?…………オレ?)

一方通行(いや、だとしたらこンな周りくどい真似しねェで速攻で殺してくるはず……まさかアイツ等の中に学園都市に利用価値があるよォな奴がいンのか?)

一方通行(伊織を拉致って水瀬財閥を掌握?いや、学園都市が金銭に困るとは思えねェ……水瀬財閥は極秘裏に何かしらの研究を進めてンのか?)

一方通行(それとも貴音か?アイツの体は普通じゃねェ……モルモットとしての価値はあるか。もしくは……)

?「動くと刺す……」

一方通行「……」ピタッ

一方通行「……あァー、別に刺してもイイがそン時死ぬのはお前だぜ?オレの能力は知ってンだろォ?学園都市の犬っコロォ」



土御門「ふっ、同僚に対してその言い草は無いんじゃないか一方通行?」

一方通行「ケッ、周りくどい登場しやがって」

土御門「だがお前反射切ってたろ?背後も簡単に取れるし、予告無しだったら刺せたぞ。随分俗ボケしたな」

一方通行「…………ここじゃそォいう能力は必要ねェンだよ」ポリポリ

土御門「ほぉー、変わったなぁお前」

一方通行「チッ、用件は?殺しにきたンじゃねェンだろ?」

土御門「あぁ、今日お前の社長から話されたろ?ライブの話だ」

一方通行「…」ピクッ

土御門「安心しろ一方通行。学園都市はお前や765プロに敵意は無い」

一方通行「信用できねェ」

土御門「お前がこっちに移ってから学園都市は大きく変わった……良い方向にな」

一方通行「あァン?」

土御門「非人道的な研究の永久凍結、レベル制による経済格差の排除、暗部の解体、etcだ」

一方通行「!?」

土御門「言っとくがマジだぜ?」



一方通行「そンな夢物語みてェな事が起きるはずねェだろ!」

土御門「起きたんだよ実際に。学園都市の治安も今はかなり改善されてな、夜道を女の子が1人で歩いていても安心だ」

一方通行「待てよ、じゃあなンでてめェは上の使いっ走りみてェな事してンだ!もォ暗部はねェンだろ?」

土御門「暗部の、取り分け力がある奴らは学園都市のゴミ掃除をしてるのさ。何分人材不足でな」

一方通行「?」

土御門「アレイスターは自分に逆らう奴を片っ端から潰していった。新たな学園都市には不必要な連中だ。もちろん、その中には統括理事会も含まれている」

一方通行「組織体制がグジャグジャじゃねェか。そっちの方がよっぽどやべェンじゃねェか」

土御門「これがそうでもないのさ。それに……元暗部の連中が束になっても敵わないなんて奴なんてそういないしな」

一方通行「束って……マジでお前ら仲良しこよししてンのかよ?」

土御門「暗部にいるような奴なんて大抵俺やお前のように弱味を握られていた奴等なんだ。それをゴミ掃除くらいで無くしてもらえるなら安い話だろ?人も殺す必要もないんだし」

一方通行「打ち止めは……?まだ解放されてねェンだろ?」

土御門「まぁまだ人質扱いといったらそうだが、あの子の監視役は俺に代わったよ。証拠も見せるか?ほら、この前打ち止めと撮ったツーショットだ」パカッ

一方通行「!?」

土御門「これだけ言えばもう分かったろ?一方通行、生まれ変わった学園都市は中々良いとこだぞ」



一方通行「待てよ、一番オレが気にしてるとこがまだだ……なンでわざわざアイツ等を学園都市に呼ぶ?」

土御門「……………………」

一方通行「おい……?」

土御門「……アレイスターがお前等のファンなんだよ……学園都市を整備した理由も765プロを招いてライブをしてもらいたかったからだ。こう考えると、お前のトコのアイドルは学園都市にとっての救世主だな」

一方通行「は、はァ?悪ィが冗談に付き合う余裕は……」

土御門「聞き返すなよ!俺だって無理矢理納得しているんだ」

一方通行「にしたって……」

土御門「もう学園都市ではお前等のライブの告知が大々的に行われてるよ……会場だってまだ建設途中なのに」

一方通行「…………」

土御門「とにかく!お前は大人しく学園都市に来い。アレイスターはアイドルの中でも特に765推しだからな。学園都市のアイドルマーケットを独占できるんだ、そちらに取っても悪い話では無いだろうプロデューサー?」

一方通行「……条件がある」

土御門「言ってみろ、可能なものなら全て許可しろとアレイスターから言われているからな」

一方通行「社長が言うには、今回のライブで学園都市側と打ち合わせや交渉するのはオレになるらしい」

土御門「だろうな」

一方通行「でだ、学園都市の交渉役はお前がやれ土御門」

土御門「馬鹿かっ!今俺がどれだけ忙しいと思っている!?舞夏に会う時間を削ってさえいるんだぞ!?」



一方通行「知らねェよ。出来ンだろ?」

土御門「貴様ッ」

一方通行「他の奴等は信用なンねェ……てめェなら、少しくらいは信頼してやる」プイ

土御門「一方通行……」

土御門「お前、随分気持ち悪くなったなぁ……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「……」ガチャ

雪歩「一方通行君!」

高木「その顔は、どうやら話はついたみたいだね」

やよい「もう怒ってませんか?」

一方通行「あァ。ンだァもしかしてまた怖がらせちまったかァ?」

やよい「いえ、大丈夫です!ただ……みんなで喜んでる時に一方通行さんだけ笑ってないのは嫌だなぁって思ってたんです」

千早「高槻さん……」キュンッ

一方通行「クソ野郎と話てきたばっかだから心が洗われるぜ」ナデ



高木「ふむ、では先程の続きだが先方との打ち合わせは君に任せる」

一方通行「おォ」

高木「ライブの演出や衣装、セットリストの順番などその他諸々の事も全て君に任すよ」

一方通行「は?」

高木「学園都市側としてもかなり力を入れている大プロジェクトのようだからねぇ、こちらとしてもそこにリソースを使いたいんだよ」

一方通行「だからってオレ1人かよ!?衣装なんかは律子とも相談しながら決めるべきだろ」

律子「私はアンタがいない間にこの子達を見ててなきゃいけないからそこまで首回んないわよ。それに、アンタの選ぶものだったら文句はないわよ私。失敗もないでしょうし」

真美「うあうあ〜っ、じゃあ兄ちゃん真美たちの仕事について来てくれなくなんの〜!?」

律子「かなり減るでしょうね」

雪歩「そんな……今でも少ないのに……」

美希「そんなのってないの……」

伊織「しょうがないでしょ仕事なんだから……まったく、このぐらいの事で騒いじゃって」

亜美「んっふっふ〜、言いのかなぁいおりん〜そんな事言っちゃって〜」

伊織「はぁ?何がよ?」

亜美「兄ちゃんが忙しくなるって事はいおりんが兄ちゃんが着た後のスーツのニオイを嗅ぐ機会も減っちゃうよ〜」

伊織「なっ!?」

一方通行「えっ」

小鳥「おやおや」

伊織「ちがっ、し!してない!しないわよ!そんな事してないわよっ///!!」



真美「いおりんじゃなくてむっつりんじゃんw」

伊織「失礼ね!怒るわよ!?」

高木「うぉっほん!!」

高木「今話したように一方通行君も律子君も多忙の身だ。今までのようにレッスンの様子を見る余裕もないだろう」

高木「そこで、アイドルの誰かにライブに向けたレッスンの指揮を執ってもらいたい。私は天海君が良いと思うんだが……どうかね?」

春香「わ、わたしですか!?」

一方通行「異論はねェ、むしろ適役だ」

律子「私もです」

千早「私も、春香が良いと思います」

私も!私もー!賛成ー!!はるるんに決定っしょー!ワイワイキャッキャッ

春香「みんな……」

高木「よし、決定だね。ではみんな、ライブまで後2カ月頑張って行こう!……765プロォ……」

春香「765プロー、ファイトォーッ!!」

全員「オォーッ!!」

高木「お、おー!」



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一ヶ月後


〜〜〜765プロ事務所〜〜〜


一方通行「……」ムス…カタカタカタカタ

ガチャッ

真美「おっはよー」

小鳥「あら、真美ちゃん!おはよっ」

真美「ピヨちゃんおはー」

小鳥「お茶淹れてきてあげるわね」

真美「ピヨちゃん大好きっ!」

真美「兄ちゃんもおっはろー!」ピョンッ

一方通行「…………おォ」カタカタカタカタ

真美「あれ、もしかしてオヤスミの方があってる?」

一方通行「あァ、いつ寝たかオレにはわからねェ」カタカタ

真美「えぇっ、それヤバイじゃん!ちゃんと寝なよ」

一方通行「終わらねェンだよ……!いくらやっても……!!」カタカタカタ



真美「けどちょっとは休憩しないとダメっしょ〜」

一方通行「そォだな」ボ-

真美「10分くらい寝たら?今なら真美が特別に兄ちゃんだけの抱き枕になってあげる…………なーんて……」

一方通行「そォだな」ダキッ

真美「え///?」ドサッ

真美(に、兄ちゃんが壊れたーーっ!!!)

真美「に、兄ちゃん。ヤバイよ流石に……」

一方通行「……」ス-ス-

真美「……」

真美「お疲れ兄ちゃん」ナデナデ

真美「ふふ」

真美(なんだか兄ちゃん真美より子どもみたい)

真美「おぉーよしよし」ナデナデ

小鳥「キ、キャーッ!!何してるの2人とも!?」ガチャ-ン

一方通行「うォッ!?」ガバッ!

真美「もぉーピヨちゃん!!」



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ーー

一方通行「そンでェ?どォした?お前も暇じゃねェだろ」

真美「うんちょっと相談したいことが」

一方通行「あン?」

真美「ライブでやるソロ曲ってさ、真美達が選んでいいんだよね?」

一方通行「おォ」

真美「だったらさ、新曲でもいいの?」

一方通行「別に構わねェが……今から誰かに新曲作ってもらうってことか?」

真美「うん、ていうか曲だけ……真美、作詞してみたい!」

一方通行「作詞ィ?どォいう風の吹き回しだよ」

真美「最近興味あってね、やってみたいな〜って」

一方通行「ふゥン、分かった。なら歌詞書いて寄越してくれ。作曲家に渡してみっから」

真美「えぇっ!?ダメだよ!兄ちゃんにはまだ秘密だもん!」

一方通行「はァ?」



真美「実は律っちゃんと前もって話は進めてたんだ。そんで実現しそうだから兄ちゃんにも報告しとかなっきゃって」

一方通行「そォか。ま、分かった。真美は新曲でいくンだな」

真美「うん!楽しみにしててね兄ちゃん!」

一方通行「おォ…………練習の調子はどォだ?順調か?」

真美「……ううん、微妙」

一方通行「そォなのか?」

真美「うん、はるるんもめっちゃ頑張って予定立ててくれるんだけど、みんな収録押しとかで中々出来ないんだ」

一方通行「……」

小鳥「そういえば、ちょっと前に春香ちゃん事務所に来てたわね」

一方通行「え?今全員直行直帰ですよね?」

小鳥「うん、そうなんだけど。一方通行君いる?って……」

一方通行「メールとかは来てませンでしたけど」

真美「はるるんもみんなみたいに兄ちゃんに会いたかったんじゃん?」

一方通行「そォいうタイプかァ?」

一方通行(なンか相談事か……?)



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数日後

〜〜〜空港〜〜〜


一方通行「悪ィな見送りがオレだけで」

千早「何言ってるのよ、一方通行が見送りに来てくれただけで嬉しいわ。あなたもすごい忙しいんでしょ?」

一方通行「別に平気だよ。忙しくねェプロデューサーなンてやべェだろ?」

千早「ふふっ、それもそうね」

一方通行「にしてもニューヨークか。イイのか?本当に着いて行かなくて?」

千早「まぁ、それは次の機会に取っておくわ。レコーディングであなたを独占するのもみんなに悪いし」

一方通行「次ってェと……ニューヨークでライブとかか?」

千早「いいえ、世界ツアーよ」

一方通行「ハッ、大きく出たなァ」

千早「目標は大きい方がいいから……あ、もう行かなきゃ」



一方通行「おォ、じゃあ気を付けてな」

千早「えぇ……そうだ、一方通行」

一方通行「ン?」

千早「春香の事、気に掛けておいてくれない?」

一方通行「どォいうことだ?」

千早「最近すごい悩んでるみたいなの」

一方通行「あァ、全体練習できてねェンだろお前等?」

千早「それもあるんでしょうけど……直接の原因はそれではないと思うのよ。私の思い過ごしだったらいいのだけど……」

一方通行「お前が言うンだ、思い過ごしじゃねェンだろォ。お前は春香の親友だろ?」

千早「そう、呼べる関係だとしたら嬉しいけど///」モジモジ

一方通行「わかった。アイツの事は気に掛けておく、だからお前はレコーディングに集中しとけ」

千早「えぇ、信頼しているわ。じゃ行ってくるわね」

一方通行「おォ、またな」



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数日後

〜〜〜765プロ事務所前〜〜〜


春香(はぁ……私どうしたらいいんだろう?一方通行、今日はいるかな)

キィッ

一方通行「あァ!?」

春香(いた!)

一方通行「だァから!!そォじゃねェッて言ってンだろォがァ!いいか!?ウチはアイドルとファンとの一体感を大事にしてンだよ!そのやり方じゃそれが薄まンだろォがッ!!」

春香「……」

春香「……」コツン

パタン

春香(なに弱気になってたんだろう……一方通行が頑張ってるんだから私も頑張らなくちゃっ!)ヨシッ

バァンッ!!

春香「ヒッ!」ビク

一方通行「てめェなに黙って出て行ってンだ。オレに用があンだろ?入れよ」クイ

春香「う、うん」



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ーー


一方通行「確かに……ひでェ面してンなァ」

春香「え……?」

一方通行「千早の奴がよ、お前の様子が変だって言っててな……」

春香「そっか、千早ちゃんが……」

一方通行「どォしたンだ春香?練習が上手く出来てねェから焦ってるってだけじゃねェンだろ?」

春香「うん…………なんか怖くて」

一方通行「?」

春香「このままみんな離れ離れになっちゃうんじゃないかって」

春香「生っすかも終わっちゃってみんな全員で会える機会がなくなっちゃった……」

一方通行「あァ、そォだな」

春香「私は……本当は、今の仕事を辞めてでもみんなと一緒に練習したい……一緒の時間を過ごしたい」



春香「みんなにもそうしてほしい……けどっ、それって私のワガママで、みんなの足を引っ張る事になるんじゃないかって……」

春香「私のみんな楽しく、がみんなの迷惑になるんじゃないかなって……!」ポロポロ

一方通行「そォか、それをずっと悩ンでて、アイツ等にも言えなかったのか……」

春香「うん……」ポロポロ

一方通行「すまねェ……お前にそンな思いをさせたのはオレと律子が不甲斐ねェからだ」ペコ

春香「なっ、そんな事ないから頭なんて下げないでよ」

一方通行「そンな事あンだよ。プロデューサーなンだからスケジュール調整に気を付けなきゃ駄目だ」

一方通行「オレも前から仕事取り過ぎじゃねェかって思ってたンだよ。もォ少し待っててくれライブ練習の時間取れるように……」

春香「そんなの駄目だよ!!」

一方通行「なンでだよ……?」

春香「だってそれじゃあみんなの仕事を減らすって事でしょ?そんなの……」

一方通行「むしろお前等の為になると思うぜ?」



春香「え?」

一方通行「765プロの色っつったらやっぱりお前等の仲の良さだ。そォいう空気はお前等にも良い影響を与えてる。ま、事務所は家でオレ等は家族みてェなもンだろ?」

春香「うん……」

一方通行「今お前等はそォいう心の支えとか拠り所が無くなりつつある。それはやべェだろ?今は成功続きだから良いが、1人で失敗した時誰が助けてくれる?誰が側に居てくれる?全員仕事の予定がぎゅうぎゅうだってのに」

春香「……」

一方通行「このままの状態じゃいずれお前等の中の誰かが潰れるなァ。お前等の誰にも気付かれずにな……」

一方通行「な?現状の方がやべェだろ?」

春香「そう、だけど……」

一方通行「それによォ、お前等まだ大半が未成年なンだから今のウチにガンガン仕事しねェでもっと色ンな事やった方がいいンじゃねェの?」

春香「でもアイドルは人気商売だし、仕事もらえるうちに頑張んなきゃ……」

一方通行「別に全部辞めろとは言ってねェンだから平気だよ。それによ、なンの為のプロデューサーだ?」

春香「けど、みんな納得するかどうか……」グス



一方通行「さっき聞いてて思ったけどよォ、お前のそのみんなに迷惑って言い分はお前しか765プロの事を大切に思ってないって言い分だろ?」

春香「っ!そんなこと……!」

一方通行「なら信じろよ………信じてアイツ等に言ってやれ、今のお前のその気持ちを」

春香「!」

一方通行「大丈夫だ。オレ達は家族だろ?思いは一緒さ」ギュ

一方通行「オレもやっぱ、お前等全員揃ってねェと収まり悪ィンだよ……」ポリポリ

春香「うん……一方通行、みんなと話したい。スケジュール調整してくれる?」

一方通行「あァ、任せろよ」

春香「でも、どうするの?そんな簡単に断れるの?謝りに行くにしても一方通行だって忙しいのに」

一方通行「そこはまァ……頭下げてもらおうや。ウチの家長に」ニィ


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〜〜〜日焼けサロン〜〜〜


高木「?」ゾクッ



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ライブ前日


〜〜〜学園都市〜〜〜


亜美「着いたーーー!!」

やよい「うわぁ!」キラキラッ

一方通行「じゃあ今日仕事入ってる奴等着いてこい。入ってないのはホテルに行ってくれ」

数人「はーい」

あずさ「そういえば今日泊まるホテルってエステとかプールとかあるらしいですよ」

律子「わぁ!楽しみですね!」

真美「ねぇねぇ!前ノリしたって事は学園都市を探検していいってことっしょ!?」

一方通行「ダメだ、大人しくホテル行け」

やよい「えぇー!?それはちょっと残念かなーって」

一方通行「……」

伊織「別にちょっとくらい良いじゃないの」

一方通行「お前は分かってンだろ?」

伊織「ウチのSPを何人も忍ばせてるから平気よ」コショコショ

一方通行「なンかありそォだったらすぐ電話しろよ?」

伊織「分かってるわよ」

一方通行「よし、ならくれぐれも離れて行動すンなよ?特に双子!分かってンなァ?」

亜真美「アイアイサーだよ兄ちゃん!」




響「ちぇー、いいなぁ伊織たち」

雪歩「しょうがないよ今日は高校生組だけの仕事だし」

春香「"学園"都市だもんねぇ」

美希「むー、だったらミキがここに居るのはおかしいの!」

真「まぁ美希は中学生には見えないしなぁ」

貴音「私に至っては学生ですらありませんが……」

千早「でも、もし学校に通っていたとしたら高校生3年生ですよね?」

一方通行「おら、くっちゃべってねェで行くぞォ」


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〜〜〜ホテル〜〜〜


亜美「でさー!そん時やよいっちがね」

やよい「あー!言わないって約束したのに」

真美「ねぇ兄ちゃん聞いてるー?」

一方通行「…………いや、今書類チェック中なンだけど、どっか行けよお前等」

亜美「えぇー酷くなぁい?」ガシ

真美「そんな事言うと邪魔しちゃうよ〜ん」ガシ

一方通行「お・り・ろ!」

亜真美「やだよ〜ん!!」ケタケタケタ

一方通行「……お前等はプール行かなくていいのか?」

やよい「プールですかぁ?」

一方通行「おォ、このホテルプールあンだよ。真達は行ったみてェだぞ?」

真美「水着は?」

一方通行「フロントに言えばくれると思うぞ」

亜美「マジで!?じゃあ行こうよ!」

やよい「うん!」




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〜〜〜外〜〜〜


伊織「で、なんで私だけ外に連れ出されたのよ?」

一方通行「お前の事だからどォせアイツ等の事心配してずっと気ィ張ってて満足に楽しンでなかったンだろ?」

一方通行「オレの隣りに居ンならそンな心配もいらねェ。だからそこら辺歩こォぜ?」

伊織「あら、随分でかい口叩くじゃない」

一方通行「当たり前だろ。オレの隣りが世界で一番安全だぜ?」

伊織「プッ、何よそれw!まぁいいわ、それじゃあエスコートして下さる?」

一方通行「かしこまりました……お嬢様?」ペコ

伊織「にひひっ、中々様になるじゃない。本当に私の執事にしちゃおうかしら」


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ーー



伊織「学園都市って本当に道端にロボットがいるのねぇ」

一方通行「あァ清掃用ロボットか?確かに便利かもしンねェが結構うぜェよ」

伊織「ふ〜ん、一台幾らかしら?」

一方通行(ザッと歩いてみた感じ不穏な気配はしねェ、マジで土御門の言った通りか……)

一方通行「ノド渇かねェか?そこの自販機でなンか買ってやろォか?」

伊織「学園都市の自販機って他にはない銘柄ばっかなんでしょ?オレンジジュースある?」

一方通行「あァー、どれどれ……お、これが一番近いンじゃ……」

?「ア、アンタは……!?」

一方通行「あァ?」クルッ

一方通行「……てめェ、オリジナルか……?」

美琴「なんでアンタみたいなのがこんなとこに……っ!!その子に何するつもり!?離れなさいよ!!」

伊織「な、何よ?一方通行の知り合い?」オドオド

美琴「え、水瀬……伊織?」



美琴「本当だったんだ、アンタがアイドルのプロデューサーやってるって噂……」

一方通行「……」

美琴「ねぇ?どの面下げてそんなことしてんの?次はその子達を殺すんだ?その子達殺せば無敵になれるの?」

一方通行「そンなンじゃねェ……」

美琴「じゃあなんでアンタみたいのがプロデューサーなんてやってんのよ!!最低の大量殺人鬼のくせに!!なにのうのうと生きてんのよ!?私はまだ許してない!」

一方通行「……許されようなンて思っちゃいねェよ。一生な」

美琴「……」ギリィッ

伊織「ちょっとちょっと、なんなのよアンタ!!こいつの事大して知りもしないくせに好き勝手言ってんじゃないわよ!!」

美琴「知らないのはそっちでしょ!?コイツはただの学園都市が生んだ化け物よ!……アンタこそ関係ないんだからすっこんでてくれる?」

伊織「化け物ですって?アンタごときが一方通行を語るんじゃないわよ!!今のアンタの目の方がよっぽど化け物じみてるじゃない!」

美琴「なんですってぇ……」

一方通行「オイ、伊織……」

伊織「言わせなさいよ!アンタが悪く言われてんのに黙って見過ごせないでしょ!?」



美琴「あぁ、そうなんだ……アンタ、立派に表の世界の住人やってるんだ?」

伊織「?」ゾク

美琴「あの子達を……散々痛めつけたアンタが」パチッ……パチパチ

伊織「な!?」

一方通行「下がれ伊織、オレの前にぜってェ立つな」グイ

美琴「……」バリバリバリィッ

一方通行「……」

おーーーいビリビリー!何処言ったー!?

美琴「!?」

一方通行(この声……?)

美琴「…………二度と、その顔見せないで」タッタッタッ

一方通行「ふゥ……」

伊織「あれが……超能力ってやつなのね……」



ーーーーーー
ーーーー
ーー



一方通行「悪ィな、せっかくの埋合せがあンな事になっちまって」スタスタ

伊織「別にいいわよ……」トコトコ

一方通行「……」スタスタ

伊織「……」トコトコ、キュッ

一方通行「どォしたいきなり手なンざ握ってきて、さっきの怖かったか?」

伊織「違うわよ……アンタが心細そうにしてるからよ」

一方通行「………………まァ、間違ってはねェよ」

伊織「絶対能力進化実験って本当だったのね……」

一方通行「!?……社長から聞いたのか?」

伊織「ううん、お父様から……」

一方通行「そォか…………怖くないのか?」

伊織「怖くないわよ、むしろ悲しくなった……アンタの事を思うと泣きそうよ」ギュウ

一方通行「?」



伊織「一方通行が私達の考えてる事が分かるように、私達だってアンタの考えてる事くらい大体想像つくわよ」

伊織「もう一度自分が居た場所に戻りたかったんでしょ?自分と敵対するのが馬鹿らしいくらい強くなれば、また楽しい世界に戻ってこれると思ったから実験に手を貸したんでしょ!?」

一方通行「…………」ギュウ

伊織「なのに……っ、なのにっ!!なんでアンタばっかりこんな目に合わなきゃいけないのよ!!アンタは幸せになりたかっただけじゃない!それがそんなにいけないことなの……?」ボロボロ

一方通行「それだけの事をしたンだよオレは……」

伊織「知らないわよ!私は事務所に来てからのアンタしか知らないんだからアンタの肩持つのは当然じゃない!!他の奴らの気持ちなんて知りたくもないわよ!!」フ-フ-

一方通行「なンでお前がオレの事で泣くンだよ」

伊織「アンタが泣かないから代わりに泣いてやってんのよ!!」ポロポロ

伊織「認めないわよ……?アンタが幸せになれないなんて私は絶対認めない!アンタはこれだけ私達に沢山のモノをくれたのにそれが報われないなんて嘘じゃない!」

一方通行「……」

伊織「私に出会った事を後悔しなさい一方通行」

一方通行「はァ?」

伊織「見逃さないから……アンタが幸せになるまで絶対に私は離れない!一生つきまとってやるから」



一方通行「……ハハッ、なンだよそりゃァ?プロポーズかなンかか?」

伊織「それで一方通行が幸せになるっていうなら結婚でもなんでもしてあげるわよ!」

一方通行「お、おい……そォ自暴自棄になンなよ」

伊織「なってない!」

一方通行「幸せ、ねェ……なァ伊織、オレはこれでも充分幸せなンだよ。たまらねェくらいに……」

一方通行「今のオレは昔のオレじゃ有り得ねェ台詞連発してるしよォ……ホンット、どォしてこォなったンだか、ククッ」

一方通行「お前等がオレを変えてくれた。感謝してる。オレも今じゃ人並みの人生を送りてェって思えるよォになったしな」

伊織「それじゃあ足りないって言ってんのよ!」

一方通行「そォか?」

伊織「そうよ!」

一方通行「ふゥン、そォかい……まァ、お前がオレをどォ幸せにしてくれンのか楽しみにしてるぜ?」

伊織「ふん、過去の事を思い出す暇なんて無いくらい幸せにしてあげるわ」



ーーーーーー
ーーーー
ーー

ライブ当日

〜〜〜ライブ会場〜〜〜


一方通行「あァ、それはあっちに運ンどいてくれ」ドンッ

一方通行「っと、悪ィ平気か?」

麦野「ってぇなぁ!!……ん?白髪?まさかアンタが第1位?ふぅん、中々良い男じゃない♪」

一方通行「誰だ……?」

麦野「メルトダウナー、って言ったらわかるかにゃ〜ん?」

一方通行「お前第4位か……確か麦野沈利だったか?」

麦野「ご明答〜」

一方通行「なンでこンなとこいンだァ?」

麦野「会場警備だよ。外か客席は男が……楽屋周りなんかは女が守るってわけ」

一方通行「暗部の奴が使われてるとは聞いてたがレベル5も使われてンのか……」



絹旗「麦野ーなにサボってるんですか!?」

麦野「あー悪い悪い」

一方通行「こいつも暗部か?」

絹旗「一方通行!?」ギリ

麦野「ほーら、今はお前の因縁晴らす状況じゃねぇだろうが」ポン

一方通行(因縁?こンな奴覚えねェぞ……?)

麦野「コホンッ、そ、そんな事より真様いないの?」

一方通行「は?」

麦野「だぁから真様だよ!!まだリハしないの?」

一方通行「しねェよ。てかお前真のファンなのか?言っとくが節度は持てよ?警備員なンだろ?」

真「あっ、一方通行〜。ボクの衣装にスカート無いみたいなんだけどどうかしたのかなぁ〜?」

一方通行「あ、馬鹿ッ……」

麦野「ま、真様っ!!あの、その貴方のファンです!!握手して下さい///!!」スッ

絹旗(超誰ですかこの乙女は?浜面あたりに写メでも送ってやりましょうか)

真「え、はい!ありがとございます!」ニカッ、ギュッ



麦野「〜〜ッ///」ジュンッ

真「それにしても光栄だなぁ。貴女みたいに綺麗な人にファンだって言ってもらえるなんて!ボクが男だったら絶対ほっときませんよ」

麦野「はぅっ……///」バタンッ

絹旗「うわぁぁぁ!!麦野が超倒れたー!?」

真「うわぁどうしよう、一方通行!き、救急車!救急車ぁ!!」

一方通行「いや、いいほっとけ」

真「で、でも」

一方通行「いいから……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行(ったく、土御門の野郎どこ行きやがった?まだ打ち合わせ済ンでねェってのに)キョロ

シュンッ

結標「へぇ、本当にプロデューサーやってるのねえ。スーツ似合ってるわよ?」

一方通行「……」キョロキョロ

結標「ちょっと!なに無視してんのよ!」

一方通行「うぜェな忙しいンだよ!土御門連れてこい!」



結標「まったく、久し振りに会ったっていうのにご挨拶ね」

美希「あ、ハニーこんなとこにいたの?」

結標「ハニィー?」ニヤニヤ

美希「あっ」ビクッ

一方通行「気にすンな、コイツは知り合いだ」

結標「そうよ?"彼"とは何もないんだから気にしないで?」

美希「む」カチンッ

美希「……どんな知り合い?」

一方通行「あ?別にどォでもいいだろ?」

美希「どんな知り合い!?」

一方通行「どンなって……元同僚?」

結標「あら、素っ気ないのね。人には言えない事を沢山してきた仲じゃない」

美希「なっ!」

一方通行「はァ?」

結標「あなたは大丈夫?この人って凄く乱暴にするでしょう?私も初めてあった時に乱暴にされてね、血が凄い出っちゃって大変だったわ。何日かずっと痛かったし……」ハァ

美希「///」パクパクパク



一方通行「お前……なンでそォいう言い方しか出来ねェの?」

結標「あら、事実は事実でしょ?」

美希「ハニーの馬鹿ぁ!!」バチンッ

一方通行「いってェ!」ドサッ

結標(こいつ……女の子に叩かれて倒れちゃってるわww)プルプル

美希「……」ガシ

一方通行「?」

美希「んっ」チュウッ

一方通行「んむっ!?……ぷはァ、てめッいきなり何して///」ゴシゴシ

美希「……」キッ

結標「ふふっ、なにかしら?」

美希「事務所の誰かならまだしも……どこの馬の骨かわかんない人には負けないの!」

結標「へぇ?」

美希「ハニー!早くこの人との話を終わらして"私"の所に帰ってきてね!?」ドスドスドスドス



一方通行「てめェ……どォいうつもりだよ!?」

結標「アイドルとキス出来たんだからいいじゃない」

一方通行「良いわけねェだろ!!」

結標「まぁ、私もあんな事になるとは思ってなかったわ。最初はなんだかあなた達が仲睦まじいようだからチョロっとからかうつもりだったんだけど」

結標「ふふ、一気にあの子のファンになっちゃたわ」

一方通行「美希にとっちゃありがた迷惑だろォな」

結標「ま、良い暇つぶしになったしそろそろ行くわ。じゃあせいぜいプロデューサー業務頑張りなさい?あ、美希ちゃんとも仲良くしてあげなさいよ、ハニー?」シュンッ

一方通行「……」

一方通行「何をイイ女ぶってやがンだショタコン女がよォ……!」イライラッ


ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行「あァーさっきはすげェ目に会ったなァ」ポリポリ

一方通行(チッ、まだ感触が残ってやがる……)



海原「お久しぶりです一方通行。何やら疲れていら……いったぁ!?」

海原「なんでいきなり殴りかかってくるんですか!?」

一方通行「うるせェなァ!!ぜってェくると思ったぜこのストーカー野郎がァ!!」ブォン

海原「ち、ちょっと!」バッ

一方通行「消えろ今すぐ消えろじゃねェと……」

貴音「一方通行、振り付けの確認をして欲しいのですが……」

一方通行「こォなるから……」

貴音「あっ、申し訳ありません。お話の最中でしたか」

海原「いえ、僕の事はお気になさらず」

一方通行「振り付けチェックつってンだぞ?てめェがいたら貴音の気が散ンだろォが消えろ」

貴音「おや、お知り合いですか?随分砕けた態度をとっているようですが……」

海原「そうですねぇ……一方通行はかけがえのない仲間です」

一方通行「反吐が出るなオイ」

海原「ははっ、僕もですよ」

貴音「なるほど、一方通行の仲間というだけあってあなたも中々不思議な力を持っているご様子」



海原「え?」

貴音「そこで疑問なのですが……何故、仮面を被っているのですか?」

海原「なっ!?」サ-

貴音「?」キョトン

海原「四条さんは魔術師か何かですか!?」クル

一方通行「さァなァ?てめェの変装が下手なンじゃねェの?」ケラケラ

海原「そんなわけないでしょう!」

貴音「あ、あなた様、もしや私は何か余計な事を言ってしまったのでしょうか?」オロオロ

一方通行「あっ」

海原「あなた様……ですか」ニタ

一方通行「……」

海原「四条さん、もしやあなたは一方通行に好意を?」

貴音「はい、四条貴音という一個人として一方通行を慕っておりますが……」

海原「そうなんですか?この人極度のロリコンですよw?」

貴音「ろり……こん、はて、確か亜美と真美がそのような言葉を使っていたような……」

一方通行「あァー貴音、ちょっと待っててくれこのクソ野郎捨ててくっから」ガシ

海原「みなさーん!一方通行はロリコンですよー!!」ズルズルズル




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ーー

一方通行「ったく、てめェらは人の邪魔しかしねェな」

海原「ははっ、まぁ僕等なりの愛ということで」

一方通行「ハッ、気味悪ィよ」

海原「で、僕の用件ですが……昨日のあの御坂さんの発言、そう気にしなくても良いと思いますよ?」

一方通行「……この際なンで知ってンのかは聞かねェ、何故そォ思う?」

海原「御坂さんの耳にも、あなたがどれだけ打ち止めさんと妹さんたちを助けてるか伝わってるんですよ。妹さんの口からね……あぁそれに御坂さんのお母様を助けた事も」

一方通行「……」

海原「御坂さんからしたらあなたという人にどんな感情を持っていいかわからない。真っ直ぐなあの人の事です。憎もうにも憎めないわけですからね」

海原「ですから昨日は、やり場の無い怒りからつい思ってる事以上に辛辣な言葉が出てしまったんでしょう。本心ではあなたを許すのかどうか葛藤していますよ」

一方通行「……なンでそンな事わかンだよ?」

海原「何故って……僕は御坂さんの事ならなんでも知っていますから」ニコッ

一方通行「うわっ……気ッ持ち悪ィ……」



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ーー


一方通行(よし、リハも問題なかった。後は本番を待つだけだ……アイツ等に一声かけにいくか)

土御門「一方通行」

一方通行「なンだ?アイツ等ンとこ行きてェンだけど」

土御門「アレイスターから伝言だ」

一方通行「…………なンだ?」

土御門「任務達成だとさ。良かったな、これでお前も打ち止めも自由の身だ」

一方通行「まだ全員がトップアイドルになったわけじゃねェ」

土御門「ふっ、今の765プロを見て誰がそんな事を言うんだ?」

一方通行「…………」

土御門「もうここに居る理由も無いんだ。嬉しくないのか?」

一方通行「……なンで本番直前に言うンだ。死ねよてめェ」

土御門「今このタイミングだからこそだろう?丁度学園都市にいることだしな」

一方通行「……今日学園都市に帰れって言ってンのか?」

土御門「なんだ?お別れパーティでも開いてもらう気だったのか?」



一方通行「てめェ……」ギリッ

土御門「それに、別に急にじゃないだろ。今までこの事を考えてこなかった訳じゃないんだろう?」

一方通行「……もし、オレがここに残るって言ったらどォなる?」

土御門「別に?なにも起きないし変わらないさ。だから……お前の好きにすると良い」

一方通行「……」ウツムキ

土御門「じゃあ、俺はもう行く。ライブ、楽しませてもらうぞ」スタスタスタ

一方通行「オレは……」

ガタッ

一方通行「誰だ!?」

小鳥「あ、あのハハハ……」

一方通行「小鳥さん……」


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小鳥「ごめんね、盗み聞きする気はなかったの」

一方通行「まァ、別に……」

小鳥「……どうするの?」

一方通行「……分からないです」

小鳥「そう」

一方通行「…………オレは、ここに残った方がいいですか?」

小鳥「そりゃあそうよ!……けど、学園都市にもそう思う人がいるんでしょ?」

一方通行「……」

小鳥「一方通行君が決めた事なら誰も反対はしないわよ。文句は言うだろうけどねっ」

一方通行「はは、そっちの方が気が楽ですよ……」

小鳥「……」

一方通行「……」

小鳥「私行くわね?ライブ頑張って!……ライブ終わった後は事務所で打ち上げしましょうね!って言うのは流石に卑怯かしら?」

一方通行「小鳥さン……」

小鳥「どっちにするにしても社長にはちゃんと言わなきゃダメよ?……それじゃあ!」タッタッタッ

一方通行(もしかして……泣いてたか今?)



小鳥(・ぅ〜行がないで〜一方通行ぐうん)ゴシゴシ


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一方通行「……」ボ-

一方通行(もォすぐライブの時間か……アイツ等に声掛けらンなかったな)

一方通行「どォするべきか…………ハッ、分かってンだろォ?一方通行ァ。……オレ以外の誰がアイツを守ってやンだよ?」


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真「あ、遅いよ!一方通行!もう始まっちゃうよ!?」

一方通行「あァー悪ィ、小便してた」

伊織「ったく、緊張感のない奴ね」

春香「それじゃあ、円陣組もうか?」

一方通行「あァそれ、オレも入っていいか?」



響「それはいいけど……」

千早「どういう風の吹き回し?」

一方通行「別になンとなくだ……おい、律子も来いよ」

律子「えぇっ、私はいいわよ!」

あずさ「まぁまぁ、そう仰らずに〜」グイ-

貴音「……」

真美「もう兄ちゃん達もステージで歌っちゃえば?」

一方通行「アホか。ほら、時間ねェだろ……春香、頼む」

春香「うん……765プロォ……ファイトー!!」

全員「オォー!!」


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〜〜〜舞台袖〜〜〜


一方通行「ソロのトップバッターはお前だな」

貴音「……」

一方通行「思えば、お前がオレが一番最初にプロデュースしたアイドルなンだよなァ……感謝してるぜ、こンなオレに着いてきてくれてありがとうな」

貴音「やめてください……それではまるで、別れの言葉のようではありませんか」




一方通行「お前に隠し事はできねェからな……」

貴音「……どうあっても覆らないのですね」

一方通行「もォ決めたンだ……」

貴音「……スゥ、ハァ、今日の四条貴音を髪の毛一本から爪の先に至るまで、その全てを焼きつけなさい一方通行!決して忘れる事の無いように!」バッ

一方通行「あァ、そのつもりだ」

貴音「では、参りましょうか」

一方通行「行くのはお前1人じゃねェか」

貴音「ふふっ、言わせたいのですか?何処にいようが何をしようが、心はあなた様と共に在ります」スタスタスタ

一方通行「……」


ワァァァァァアアッッ!!


一方通行(四条貴音……嘘はバレるわ、心は読み取られるわ、アイツは本当びっくり人間だったなァ……)

一方通行(いつか使命も終わって、ただの貴音としてアイツ等と付き合えるよォになるといいな……大丈夫さ、アイツ等ならきっと受け入れてくれる。怖がる必要なンてねェンだよ)



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真美『コドモ扱いしないでっすぐ上から目線・ちゃんと話を聞いてよマジメなんだぞっ・』

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真美『本当に美しいもの探してね、まだまだ、輝く力弱いけど・ダイヤモンドが最高じゃないんだよ可能性は未知数・』

真美『ただ君が手に取るの待ってる・見っつけたっ?』

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真美「兄ちゃん!ちゃんと見ててくれた!?」ハァ、ハァ

一方通行「あァ、ずっと見てたぜ」

真美「ど、どうだった!?」

一方通行「あのステージに立ってる女は誰だよ?って思ってみてた」

真美「んっふっふ〜、それって兄ちゃんが真美の事1人の女として見てるってことっしょー?」



一方通行「ステージから下りてきたら急にガキンちょになって帰ってきたけどなァ」ケラケラ

真美「もぉー何さそれ!年だって2つ3つしか変わんないのに!ふふ〜ん、まぁいいや。兄ちゃんなんて後3年ぐらいしたら真美のスーパーボディでメロメロにしちゃうもん!」

一方通行「スーパーボディはともかく、お前にならメロメロになっちまうかもなァ」

真美「んっふっふ〜、覚悟しててよね?……あっやば!?衣装着替えなきゃ!じゃね兄ちゃん」タッタッタッ


一方通行(双海真美……自己って奴に人一倍悩ンでる奴だった。けど、自分を見つけたアイツはすげェ魅力的だ。自然に目が奪われるくれェに……)

一方通行(応えてやる事はできねェが……あン時言ってた新しく出来た亜美と違う所、ちゃンと見つけたからな真美)


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真「よし……」スタ

一方通行「ぶはッ!お前かっけェなその衣装!」ケタケタ

真「何言ってんのさ一方通行が選んだくせに」プク-

一方通行「まさかこンなにハマるとはなァ……不満か?」




真「ううん!すっごく気に入ってるよ!」

一方通行「お前の好きなフリフリじゃねェぜ?」

真「まぁ、そこはいいよ。そういうの着れる機会は増えたし……お姫様扱いしてくれる人もちゃんといるし?」

一方通行「ご要望があればなンなりと……」スッ

真「そうだなぁ……じゃあ跪いて手の平に口づけをしてくれるかな?」

一方通行「……お前それ女王様じゃねェか?」

真「え、そう?ハハッ、けどそれもいいね!いつも偉そうな一方通行を従えられるんだから」

一方通行「お前にそンな素質があるとは知らなかったぜ」

真「やだなぁ冗談だよ……あ、そろそろかな?じゃあ行ってくるよ」

一方通行「おォ、失敗しないよォにな。王子様?」

真「へへーん!まっかせといて!」タタタタッ

一方通行(菊地真……見た目は男みてェな女だが中身はただの少女マンガに憧れるような普通の女だった)

一方通行(もォ、自分が男っぽいっつゥコンプレックスは無くなったみてェだなァ。最近じゃ男のファンも女ファンと同じくれェの人数なンじゃねェか?きっとアイツはこの先すげェ良い女になってくンだろォなァ……中身はどォなるのか知らねェが)



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雪歩「……」スゥ、ハァ-

一方通行「出番前にビビンなくなったよな」

雪歩「あ、一方通行君。うん……最近はちょびっとだけど自信ついてきた気がするの」

一方通行「結構な事じゃねェか」

雪歩「一方通行君のおかげだよ?いっつも私の事を見ててくれたから……1人じゃないっ、て安心するの」

一方通行「それはお前がそォ思ォうとしてるだけさ……お前なら別にオレがいなくても大丈夫だろ」

雪歩「そうなのかな……でもだとしたら、今度は私が一方通行君を助けてあげるね?今までは助けられてばかりだったから」

一方通行「ククッ、本当に頼もしくなったよお前は」

一方通行「じゃあ早速助けてくれ。昨日もろくに寝てねェから体の疲れがやべェンだ。だからオレの疲れが吹っ飛ぶくれェのステージ魅せてくれよ」

雪歩「えへへ、一方通行君はノセるのが本当に上手いよね。わかった!精一杯やってくるね!」タッタッタ



一方通行(萩原雪歩……アイドルのくせに男が苦手な引っ込み思案な女だった)

一方通行(雪歩が多分一番成長したンだろォな。最近のアイツは自信で満ち溢れてる感じがする、その分笑顔が多くなった。泣き顔もまァ、悪くはねェけどお前はやっぱり笑顔が一番だと思うぜ)


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伊織「あ、一方通行」

一方通行「ン?」

伊織「私のソロで歌う曲変えたから」

一方通行「はァッ!?お前なに勝手に……」

伊織「うっさいわね!律子とスタッフには許可取ったわよ!……アンタは黙って聴いてなさい」スタスタ

一方通行「……なンだってンだァ?」

一方通行(最後にDIAMOND聴いておきたかったンだが……)

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伊織『ボクがチカラになってあげるよ・キミの全てはここで終わりじゃない〜・』

伊織『以前の自分はリライトしよう〜・嬉しいことで。楽しいことで〜・』

一方通行(伊織……)



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伊織「ま、そういう事よ。いつまでも過去に囚われるんじゃないわよ?」ポン

一方通行「フッ、これがお前が言ってたオレを幸せにする方法ってやつか?」

伊織「この私がアンタの為に曲まで変えてあげたんだから光栄過ぎて震えちゃうでしょ?」

一方通行「ククッ、そォだな」

伊織「でもこんなのまだまだ序の口よ。これから先、もっともっと私がアンタを喜ばせてあげるんだから!だから……その度に笑いなさい。馬鹿みたいに、私の前でね」

一方通行「想像つかねェな」

伊織「にひひっ!笑顔のアンタなんてみたら気持ち悪くて私まで笑っちゃうわよ」

一方通行「ハンッ、勝手な事ばっか言いやがって」

伊織「ふふ、そうね……じゃあ私次の準備あるから行くわね」スタスタスタ

一方通行「おォ」

一方通行(水瀬伊織………最初はなンて小生意気なクソガキだと思ってたが、フタを開けてみりゃあ気高い良い女だった)

一方通行(アイドルとしての在り方なら、ウチの奴等ン中で伊織が一番好きなンだろォなァオレは。昨日、それでもオレの肩を持つっつってくれて嬉しいかったぜ……?)



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あずさ「あ、そうだ一方通行君?」

一方通行「ン?」

あずさ「えい!」ギュギュゥゥ

一方通行「いへェッ!?」

あずさ「……」ギュウウ…パッ

一方通行「いってェ……なンでいきなり抓ってくンだよ!」

あずさ「あら〜、このぐらい良いじゃない。みんなはそれ以上に心を痛める事になるんだし〜」

一方通行「?」

あずさ「辞めちゃうんでしょ?プロデューサー」

一方通行「話、聞いてたのか……?」

あずさ「いいえ、何となくよ?」

一方通行「……」ポカ-ン

あずさ「あぁ〜あ、でも残念だなぁ……あ、そうだわ!私も一緒に連れてっちゃうのはどうかしら?」

一方通行「どこに?」




あずさ「学園都市によ〜」

一方通行「嫌だ、アンタのファンに恨まれたくねェ」

あずさ「釣れないわねぇ……あっ、だったら私が連れ去ってしまえばいいのかしら?」

一方通行「アンタに連れ去られたら何処向かうか分かンねェなァ」ケタケタ

あずさ「あら、最近は目的地には着くようになったのよ?」

一方通行「移動時間はアホほど掛かってるがなァ」

あずさ「うふふ、一方通行君への道はどれくらい掛かるかしらね?」

一方通行「そンな道は存在しねェと思うけどな」

あずさ「大丈夫よ〜、私どんなに迷っても最後にはいつも良い結末が待ってるのよ」

一方通行「ふゥン」

あずさ「それじゃ、行ってくるから待っててね?」スタスタ

一方通行(三浦あずさ……のほほンとした女だと思ってたが、まさかバレてたとはなァ。流石は最年長って奴かァ?)

一方通行(にしてもあずさは本当人の肩の力を抜くよな……あァ、いつだったか律子があずさは幸運の女神だとか言ってたっけかァ?……確かに、アイツと居りゃ悪ィ事なンて全部良い事に変えてくれそォだよな)



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ーー


一方通行「やよい、髪留め取れ掛かってンぞ」

やよい「え?どっちですかー?」

一方通行「動くな……オレがやってやる」スッ

やよい「……」

一方通行「ン」

やよい「ありがとうございます!誰かにこういうのやってもらうのって新鮮ですね!いつもは私が妹にやってあげてるので」

一方通行「そォなのか?なら今度からアイツ等にやってもらったらどォだ?やってもらうの悪くは無かったンだろ?」

やよい「……一方通行さンはやってくれないのかなーって?」カシゲ

一方通行「……」ガシガシ

やよい「うわぁ、髪のセット崩れちゃいますよぉ〜」

一方通行「あ、悪ィ……長介はどォだ、元気してっか?」

やよい「はい!家のお仕事、最近は結構任せたりしてるんですよ。なんだか長介、頼もしくなってきたかなーって!」

一方通行「フッ、そォか……長介によォ、これからは男なンだからお前が姉ちゃンを守れって伝えてくれねェか?」

やよい「長介にですか?あっ!どうせだったら一方通行さんが直接伝えてあげてくれませんか?兄ちゃんは次いつ家に来るんだ、ってうるさいんですよぉ」



一方通行「…………悪ィが、しばらくは無理だ」

やよい「そうなんですか、残念です……じゃあ次に一方通行さんが来てくれる時はもやしパーティする準備して待ってますね!」ニコッ

一方通行「あァ、そン時はまた肉を馬鹿みてェに買ってくよ」

やよい「うっうー!今から楽しみですね!じゃあ私、行ってきますね!」

一方通行「あ、やよい!……あァ、その、なンだ……」

やよい「?……!」

やよい「一方通行さん!ハイ……ターッチ」

やよい「イェイッ!!」パチ-ン

やよい「一方通行さんのお陰でやる気が出て来ました!今度こそ行ってきまーっす!!」タッタッタッ

一方通行(と、年下のガキに思いっきり気遣わせちまったッ///)

一方通行(高槻やよい……底抜けに明るいだけじゃなく、強さも兼ね備えたすげェ奴だ)

一方通行(オレも事務所の奴等もその笑顔にどれだけ救われたことか……だからこそアイツは自分より他人の事を優先しやすい。お前だってまだまだ甘やかされる側の子どもだろォに。頼ンだぞ……長介?)



ーーーーーー
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ーー


亜美「ふぃ〜、お疲れちゃん、兄ちゃん君!元気に馬車馬のように働いてますかな?」

一方通行「おォ、てめェ等の為に必死になァ」

亜美「兄ちゃんは働き者だねぇ〜、ウチの事務所って兄ちゃん居なくなったら回らなそうだよね〜」

一方通行(分かってるわけじゃねェンだろォが、こいつたまに核心つくっつゥか、鋭いっつゥか……)

一方通行「ンなヤワじゃねェだろお前等は……ほら、水」スッ

亜美「えっ?」

一方通行「ン?ノド渇いてたんだろ?お前ノド渇くと襟引っ張る癖あるからなァ」

亜美「……兄ちゃん便利ぃ!一家に一、一方通行だね!」

一方通行「オレは一点物だからなァ、それは難しいンじゃねェの?」

亜美「んっふっふ〜、そこはお姉ちゃんの活躍に期待ってとこかな」

一方通行「……」ギョッ

亜美「いくら何でも姉妹なんだから気付くっしょー」



亜美「けど兄ちゃんも大変だねっ、プロデューサーなのに何人ものアイドルに好かれちゃって」

一方通行「贅沢な悩みじゃねェか……」

亜美「それでも好意に応えられないっていうのは辛いもん。良く耐えてるね、えらいえらい」ナデナデ

一方通行「……さっさとお前に相談すりゃ良かったわ」

亜美「えぇー、兄ちゃんのグチは別に聞きたくないっしょー」

一方通行「薄情な奴だなァオイ」

亜美「亜美は面倒臭そうな事には首突っ込まない主義だもん」

一方通行「トラブルメーカーがなに言ってンだか」

亜美「あ、やばっ出番だ!んっふっふ〜亜美のステージを見て惚れるなよ一方通行?じゃねっ!」シュタタタタ

一方通行(双海亜美……オレが気付かなかっただけで、良い意味でも悪ィ意味でもウチの事務所の一番の曲者はアイツなのかもな)

一方通行(亜美にはなンつゥかガキ特有の浮遊感っつゥか、自由さっつゥか、そォいう魅力がある。この雰囲気は作ろォと思って作れるもンじゃねェ、亜美が大人になってもその魅力はなくして欲しくねェなァ)



ーーーーーー
ーーーー
ーー

律子「……」グス

一方通行「お前結構涙脆いよな」

律子「しょうがないでしょ、あの子たちの晴れ舞台なんだから」

一方通行「ライブの度に泣く気かよ?」

律子「アンタだって、私が泣いてる理由が即座に分かるんだからその気持ちが分かるってことでしょ?」

一方通行「ふン……」

律子「泣きなさいよ〜」ウリウリ

一方通行「泣かねェよ……あァでも、お前がアイツ等と同じステージに立ってたら泣くかもなァ」

律子「しっつこいわねぇ、私はやんないわよ」

一方通行「イイじゃねェか、もォ一回ぐれェお前のステージ見てェンだよ」

律子「はぁ……そんなに見たいんなら今度カラオケでやってあげるわよ。それで満足しなさいよ?」

一方通行「クカカカッ、今度かァ……そりゃあ待ち遠ォしくて狂っちまいそォだなァ」

一方通行「律子、オレなりに考えたプロデュースマニュアルをパソコンの中に纏めてある。こン中にはお得意先の扱い方とか、アイツ等の売り出し方とか書いてあっから困ったら見ろ」



律子「?」

スタッフ「律子さ〜ん!」

律子「あ、はーい!ちょっと行ってくるわね!」スタスタスタ

一方通行「おォ」

一方通行(秋月律子……頼りになる同僚だった。これで19だっつゥンだからよく出来た奴だよな)

一方通行(多分オレが居なくなる事で一番負担掛かるのは律子だ。正直悪ィとは思うが律子ならまァ平気だろ。欲を言えば、いつかテレビでアイツが歌ってる姿が見れればいいな)


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ーー

美希「……」

一方通行「なンだよ、まだ怒ってンのか?」

美希「だって……ハニーが美希達以外にあんなに親しそうにしてたの初めて見たんだもん」

美希「それに、あの人美人でスタイル良かったの」

一方通行「アイツが美人w?あンなのただの露出狂のショタコンだぞ」



美希「そういう遠慮のない言い回しが仲良さそうでムカッとくるの!」

一方通行「ンな事言われてもなァ」

美希「ねぇハニー……ミキとあの人どっちが好き?どっちが大切?」

一方通行「はァ?なンだよそのくだらねェ質問。お前に決まってンだろ。アイツよりお前の方が百倍イイ女だしな」

美希「ホント!?」パァッ

一方通行「ホントだよ」

美希「ホントにホント!?」

一方通行「ホントにホントだ」

美希「結婚するなら!?」

一方通行「お前だ」

美希「じゃあ結婚する!?」

一方通行「しねェよ馬鹿か」

美希「むー、勢いで言ってくれると思ったのに」

一方通行「オイ、そろそろスタンバイしとけよ」

美希「はーいなの……ねぇねぇハニー最後の質問。ミキはハニーの一番?」

一方通行「どォかな」



美希「あはっ☆いつか絶対ミキのものにしてみせるの!じゃあ行ってくるね!ちゃんとミキを見ててくれなきゃヤだからね!?」タッタッタッ

一方通行「分かってる」

一方通行(星井美希……規格外の才能を持った女だ。最初は持て余してたみてェだけど、その才能も無事開花したみてェだな)

一方通行(アイツが一番ストレートに好意を寄せてきた奴だったなァ。オレはいつもはぐらかしてばっかだったのに……正直、お前に纏わり付かれる日々は、口では悪態ついてたが……悪くなかったぜ美希)


ーーーーーー
ーーーー
ーー


響「……」

一方通行「どォした?」

響「いや、何か胸騒ぎがするっていうか……もしかして自分に何か隠してる?」

一方通行(……動物的カンってやつか?)

一方通行「いや?ただ単に自分のソロの出番が来たから緊張してるだけじゃねェのか?」



響「う〜んそうなのかなぁ〜」

一方通行「気合い入れろよ、今日はお前の地元のダチも来てくれてンだろ?」

響「うん!いつも以上にやる気出しちゃうさー!」

一方通行「親も来てンのか?」

響「ううん、アンマーは来れなかったみたい……でも、いいさー。沖縄に届くくらいに頑張って歌うから!」

一方通行「へェ?」ニタニタ

響「あっ、今馬鹿にしたな!?空は続いてるんだからきっと届くぞ!」

一方通行「…………」

響「一方通行?」

一方通行「そォだな、お前等の歌はどこにいよォが届くよな……」

響「?……!?うぎゃー、ヤバイ出番が!!なんで言ってくれないんだ一方通行の馬鹿ぁ!!」ダッ

一方通行「あ、悪ィ」

一方通行(我那覇響……1人でなんでも出来るのに、そのくせ人一倍寂しがりやな女だった)

一方通行(本人にはもちろンそンなつもりはないンだろォが……すげェ励まされちまったなァ。空は続いてる、か。ホント、太陽みてェな女だよお前は)



ーーーーーー
ーーーー
ーー

千早「……」

一方通行「気負い、みてェなのが無くなったよなお前」

千早「一方通行……あ、もしかして気が抜けた様な顔をしてたかしら?」

一方通行「いやそォじゃなくてよ、良い意味で肩の力が抜けたよなお前は」

千早「そうかしら……そうね、うん。最近は自分でも色々なモノが見えてる気がするの。みんなのおかげね」

一方通行「お互い、貴重な奴等に出会えたよなァ……」

千早「あら、今言った"みんな"にはあなたも入っているのだけど?」

一方通行「オレの"奴等"にもお前が入ってるぜ?」

千早「……」

一方通行「……」

千早「ふふふっ」

一方通行「クカカッ」

千早「クス、まさか自分がこんな風にこんな事で笑えるようになるとは思わなったわ」



一方通行「あァ、オレもだ」

千早「楽しいわね、前を向いて生きるっていうことは」

一方通行「そォだな……」

千早「そろそろ出番ね……じゃあ、行ってきます」スタスタ

一方通行「あァ」

一方通行(如月千早……765の歌姫。また歌えるようになって本当に良かったな)

一方通行(アイツは本当良く笑うよォになった。事務所でもリラックスした表情みせるよォになったし……これから先、千早には楽しいことが一杯待ってンだろォなァ)

一方通行(そォじゃねェ時でも大丈夫だ。お前はもォ自分は1人じゃねェって分かってンだから)


ーーーーーー
ーーーー
ーー


一方通行「よォ、ハルシュタイン閣下。パフォーマンスの調子は良さそォだな」

春香「ち、ちょっと止めてよそれ!」

一方通行「何を照れてンだかこのリボンは」



春香「いや照れとかじゃなくて……」

一方通行「ライブももォ後半だな」

春香「うん……ライブの終わりにはいつも考えるけど、終わって欲しくないなって思っちゃうよね」

一方通行「あァ……」

春香「この次のライブはやっぱりドームかな?」

一方通行「……さァなァ」

春香「ちょっと、プロデューサーなんだからちゃんと目標決めてもらわなきゃダメだよ」

一方通行「……」

春香「もしもーし、聞いてますかー?」

一方通行「アイツ等をお前がドームまで引っ張ってってやれ春香」

春香「え?」

一方通行「お前がセンターやれっつってンだ。おら、分かったらさっさと行けよ765プロの屋台骨!」バシッ

春香「痛っ!?もぉーなんなの?……はぁ、行ってくるね!」タッタッタッタ

一方通行(天海春香……無個性な女、って思ってンのは本人だけだ。一皮剥けたアイツのオーラは半端じゃねェ。閣下呼びが定着してンのも納得だ)

一方通行(春香は誰よりも連帯感を好む。時にはそれが諍いを生む一因にもなるンだろォが……別にお前等なら平気さ。いくらケンカした所でどォせ元の鞘に戻る。だから、いつまでも"みんな楽しく"を大切にしとけよ春香?)

一方通行「さて……」




ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜連絡口〜〜〜


高木「どうしたんだいこんな所に呼び出して、まさか何か問題でも!?」

一方通行「いや?ライブは予定通り順調だぜ?」

高木「ではなんだい?まだライブの最中だというのに」

一方通行「なァ社長、アイツ等はもォトップアイドルって言えるよな?」

高木「?」

一方通行「竜宮とフェアリーはランクA、他の奴等はまだBだが……まァぶっちゃけランクアップすンのは楽勝だろ」

高木「まさか…………辞める気なのかい?」

一方通行「あァ、オレは今日ここを出て行く」

高木「そんな……」

一方通行「今までの給料、使ってねェ分はオレのデスクの引き出しに入ってる。オレはいらねェからアイツ等の為に使ってくれ」

高木「ま、待ってくれ!まさかアレイスターに何か言われたのかい?だったら私が……」

一方通行「違ェ、自分の意志で帰るンだ」



高木「そうか……ライブには最後までいるんだろう?」

一方通行「いや、ライブも後数曲だ。オレがいなくても平気だろ。社長と話し終わったら消えるさ」

高木「な!?ちょっとくらいいいじゃないか、切羽詰まった状況というわけでもないんだろう?」

一方通行「これ以上ここにいたら決心が鈍りそォなンだよ」

高木「……みんな悲しむだろうね、無論私も」

一方通行「アンタ等には悪ィと思ってる」

高木「いや、仕方がないさ。元々そういう契約だったしね……あの子達に何か伝言はあるかい?」

一方通行「そォだな、すまね……いや、お前等と付き合うのも疲れたし飽きた。だから後は勝手にやってろって伝えてくれ」

高木「ははは、そんな風に言っても誰も君の事を嫌いにはならないだろうが、分かった伝えておこう」

一方通行「じゃあそろそろ行くぜ?」

高木「一方通行君、学園都市にもあるんだろうが、ウチの事務所も君の立派な家の一つだよ」

一方通行「……家が2つって変だろ」

高木「別に変じゃないさ。帰れる所なんて多ければ多いほどいい……だから一方通行君、いつでも帰ってきなさい。私達は待っているよ」

一方通行「……社長、今まで世話になった。感謝してる」ペコ

一方通行「それじゃ……」スタスタスタ

高木「"またな"一方通行君!」ブンブン

一方通行「……」スタスタスタ



ーーーーーー
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ーー


〜〜〜スタジアム出口〜〜〜

一方通行「……」スタスタ…クル

一方通行「またn……あばよ765プロ」


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〜〜〜黄泉川宅〜〜〜


一方通行(何も考えずに来たが、アイツ等家に居るンだろォな……?)ポチ

ピンポーン

一方通行「……」

黄泉川「はーい、どちらさんじゃん?」ガチャ

一方通行「よ、よォ久しぶりだなァ」

黄泉川「ア、一方通行!?」

打ち止め「えっ!?どこどこ!?本当にあの人なの!?」ダッダッダッ



一方通行「打ち止め……」

打ち止め「ア、一方通行ァってミサカは、ミサカはぁ……!」ジワァ

黄泉川「ばかやろっ!」ガツン

一方通行「ガッ!?…………て、てめェ何しやがンだ?」

黄泉川「今までどこほっつき歩いてたんじゃんこの馬鹿息子が!」ムギュウウ

一方通行「お、おいっ!?」

打ち止め「ちょっ、流石にその役目はミサカじゃない?ってミサカはミサカは思わなぬ伏兵に驚愕してみる!」

芳川「あら、本当に帰ってきたのね。もしかして背が伸びた?」ポリポリ

一方通行「てめェは相変わらずみてェだなァ……取り敢えずこいつをどォにかしてくれ」


ーーーーーー
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ーー

黄泉川「ほぉー、アイドル事務所のプロデューサーねぇ」

芳川「シュールなギャグかしら?」

一方通行「ただの事実だ」

打ち止め「ミサカ達も知ってるアイドル?」ピョコ

一方通行「765プロ」

打ち止め「765プロ!?あんな可愛い人達があなたみたいな凶暴な人と一緒にいたんだねってミサカはミサカは有り得たかもしれない惨劇に震えてみる」ブルル

一方通行「てめェにその惨劇を披露してやろォか」ビシッ



芳川「ん?けど765プロって今学園都市でライブしてるわよね?あなたは何でここにいるの?」

一方通行「あァー、辞めてきた」

芳川「あら、勿体無い。アイドルの子と接する機会なんてそうそうないわよ?」

黄泉川「お前さては〜……」ニタニタ

一方通行「違ェぞ」

打ち止め「どういうこと?ってミサカはミサカはこの弛緩した空気に一石を投じてみたり」

黄泉川「一方通行も男だったって事じゃん?」

一方通行「だァから違ェつってンだろォがぶっ殺すぞ!?」

打ち止め「う〜ん、良くわかんないけど一方通行はこれからはミサカ達と一緒に居られるって事だよね!?」

一方通行「あァ、だからまた世話ンなるぜ黄泉川」

黄泉川「それは構わないじゃん」

芳川「この家にニートが増えるわね」

黄泉川「そう思うなら働くじゃん桔梗……」

打ち止め「あっ、そうだ!あなたがいつ帰ってきてもいいようにこの家には缶コーヒーが常備されてるんだよ!飲むでしょ?ってミサカはミサカは仕事が出来る女アピールをしてみる」



一方通行「それはありがてェンだけどよ、お茶はねェのか?」

打ち止め「え、お茶?ってミサカはミサカは予想外の反応にきょとんとしてみる」キョトン

芳川「珍しいわね、あなたがコーヒー以外の飲み物を口にするなんて」

一方通行「まァなァ」

黄泉川「ほらお茶じゃん、ペットボトルのやつだけど」コト

一方通行「さんきゅ」ズズッ

全員「!?」

黄泉川(え、今お礼言ったかコイツ!?)

芳川(誰よこの白いのは……そういえば杖もついてないし)

打ち止め(アイドル事務所って礼儀にうるさいのかな)

一方通行(不味い……やっぱお茶が好きになった訳じゃなくて雪歩が淹れた茶が好きだったンだなァ)


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ーー

〜〜〜数週間後〜〜〜


一方通行「……」ジ-

打ち止め「もぉーまたテレビ見てるの?ってミサカはミサカはもっとミサカに構ってよって遠回しに言ってみる」

一方通行(オレが居なくなってもアイツ等ちゃンとやってるみたいだな)



打ち止め「聞いてる!?」

一方通行「うるっせェなァ、耳元で叫ぶな」

一方通行「ほら、お前も見ろよ。生っすか好きなンだろ」

打ち止め「うん!……そういえば生っすかサンデーって一回打ち切りになっちゃったけど何でなの?ってミサカはミサカは芸能界の闇に触れてみる」

一方通行「打ち切りっつゥか、まァアイツ等の需要が最高点に達して、未成年が多い日曜の765プロのスケジュール独占すンのはやめてくれって事で潰れたンだよ」

打ち止め「へぇ、そうなんだ。けどじゃあなんで今復活してるの?」

一方通行「そりゃあオレと律子が努力したからだ。まァ、オレは途中で抜けたからほぼ律子のお陰だけどなァ」

打ち止め「律子?」

一方通行「あァ、同僚だ」

打ち止め「へぇ!あなたにも友達が出来たんだねってミサカはミサカは一方通行の人間的成長に感動してみたり」

一方通行「はいはい」

打ち止め「♪」ルンルン

一方通行「そォいやお前765プロなら誰が一番好きなンだ?」

打ち止め「う〜ん、みんな好きだけど選ぶとしたら千早ちゃんかなってミサカはミサカは断腸の思いで宣言してみる」



一方通行「へェ、千早か。意外だなァ」

打ち止め「だって綺麗でカッコいいもん!頭も良さそうだしってミサカはミサカは惜しみない賞賛を浴びせてみたり」

一方通行「頭良いねェ……アイツたまに真面目過ぎて馬鹿みてェな時あるけどな」

打ち止め「えぇ、どんな!?ってミサカはミサカは興味津々!」

一方通行「おォ、コーヒー一緒に飲み行った時の話なンだけどよォ、アイツもオレと同じブラックコーヒー頼ンでて、すげェ苦そォにしてたンだよ」

打ち止め「ふんふんそれで?」

一方通行「だから苦ェンならミルクか砂糖入れろよって言ったらアイツよ、『私の勝手な都合で作り手の想いを歪めたくないから……私も自分の歌がそんな扱いを受けたら嫌だもの』とか言ってよォw」

打ち止め「ww」

一方通行「な、馬鹿だろ?コーヒーと歌は全然違ェだろォが!素直にミルク入れろよって話だよなァwww」アハギャッハ

打ち止め「www」ケタケタケタ

打ち止め「ねぇねぇ他には?他のアイドル達の面白エピソードも知りたいな」

一方通行「いいぜ、誰から行く?アイツ等アイドルとは思えねェくれェに奇怪な行動取るからなァ、話題に事欠かねェよ」



黄泉川「お前は随分明るくなったじゃん一方通行」

一方通行「そォか?」

打ち止め「ていうか社交的になった?」

黄泉川「けど、今のお前は心底退屈そうだな。鬱憤が溜まってるって感じじゃん」

一方通行「そりゃあな」

黄泉川「そこで提案なんだが、お前私の学校に来る気ないか?」

一方通行「なンだと?」

黄泉川「もうお前等が誰から狙われる心配も無いんだし、そもそも、子どもは学校に通うものじゃん?」

一方通行「…………それもいいのかもしンねェな」

黄泉川「本当にお前は変わったな。もちろん良い意味で」ガシガシ

打ち止め「はいはーい!だったらミサカも学校に行きたい!って前々からの嘆願を叩きつけてみる」

一方通行「はァ?ダメだろ」

黄泉川「なんでじゃん?お前だって肌で感じてるだろ?学園都市にはもうお前が考えてるような悪意は存在しないじゃん」

一方通行「だからって……」

黄泉川「だからって打ち止めを1人にさせる訳にはいかないか?だったらどうする?お前がいつでも側にいるつもりか?お前だって自分の人生があるだろうに」

黄泉川「一方通行、お前のそういうのは"守る"とは言わないじゃん」



一方通行「……」

打ち止め「そうだよ!ミサカはあなたが居ない間に1人で色々出来るようになったんだから!ってミサカはミサカはチクりと嫌味を言ってみる」

一方通行「勘弁してくれ……」

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ーー




一方通行(確かにくまなく学園都市歩いた感じ、まったく不穏な気配はねェ。打ち止めの心配はしなくていいのかもな……)

芳川「あ、一方通行、テレビ見てみなさい」

一方通行「あ?」

黄泉川「765プロが生中継やるみたいじゃん」

一方通行「別に生中継なンて珍しくね……あン?」

一方通行(事務所で生中継?どォいう事だ?)

芳川「学園都市に向けてのメッセージらしいわよ?放送局も学園都市のものだし……」

一方通行「あァ?」

春香『学園都市のみなさん!こんばんわ!天海春香ですっ!私たちのライブ楽しんでもらえましたか?』




美希『あはっ☆今回のライブ、学園都市ですっっごい評判みたいだったからまたやる事に決定したのっ』

千早『それがいつになるかは分かりませんが、その時は765プロ一丸となって頑張ります』

真美『あれあれ〜?ウチのメンバーが1人足りませんな〜』

全員『……』ミアワセ

全員『一方通行ァ!!』

真『休暇ならもう充分でしょ!?』

雪歩『一方通行君がいないとみんなてんてこまいだよ〜』

やよい『早く来てくださーっい』

伊織『みんな待ってるんだから!』

真美『クレープの約束、まだ終わってないよ!』

亜美『兄ちゃんがいないとエッグいイタズラが仕掛けられないじゃんか〜』

響『ハム蔵も寂しがってるぞ!』

貴音『無論、私達もです……』

あずさ『ふふ、私達にはまだまだ君が必要なのよ?……ほら、律子さんも』グイ

律子『わぁっ!ちょっとっ……何で私まで、オホンッ、アンタが居なくなってどれだけ大変だったか分かってるんでしょうね!?戻ってきた時覚悟してなさい!』



美希『ずっと、待ってるから……!』

千早『私たちの場所で』

春香「"みんな楽しく"でしょ?だから……せーの」

全員『早く帰ってこい!プロデューサー!!』


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ーー


一方通行「……」ギュ

黄泉川「ヒュー!名指しのラブコールとは……これは応えてやらなきゃ男が廃るじゃん?」ヘラヘラ

芳川(アクセラレータっていう個人名を知らない人は何の話かと思ったのかしらね)

打ち止め「お風呂上がったよー!ってミサカはミサカは湯船によって生まれ変わった自分を主張してみる」

一方通行「外行ってくる……」スタスタ

打ち止め「え?こんな時間に?」

黄泉川「……打ち止め、一方通行がどんな選択をしてもワガママ言っちゃダメじゃん?」

打ち止め「?」

芳川(今夜はネットが面白くなりそうね……)

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〜〜〜公園〜〜〜


一方通行「どォしたらいいンだよクソが……」ボ-

一方通行(自分で逃げ出しといて今更未練かよ?我ながら女々しくて嫌ンなるぜ……!)

一方通行「……ノド渇いたな」

一方通行「……」チャリンチャリン、ピッ

一方通行「……」

一方通行「……」ピッピッピッピッ

自販機「……」

一方通行「なンだっつゥンだよどいつもこいつもォォォッ!!!」

上条「あー、その自販機はここを叩くんだよ」ガンッ

ゴトンッ

一方通行「あァ悪ィ……な!?」

上条「ん?……ぶっ!?ア、一方通行!?」

一方通行「てめェはあン時のヒーロー……」

上条「ヒ、ヒーローって……俺はそんな大層なもんじゃねぇよ」

一方通行「なら三下か?」

上条「せめて名前で呼んでくれよ……」

一方通行「オレはてめェの名前なンざ知らねェよ」

上条「あぁ、そうだったか?俺の名前は上条当麻だ。よろしくな一方通行」

一方通行「よろしくだとォ?人のことぶっ飛ばした奴が吐いていいセリフじゃねェなァ」

上条「あ、あん時はほらアレだ!お前が間違ってたし、それに……」

一方通行「もォーいい。今更てめェをどォにかする気はねェ」ドサッ

上条「ふぅ、安心したよ」ドサ

一方通行「…………なンでオレの隣りに座ってンだ?」

上条「いや、何となく……?」

一方通行「そォか、消えろ。こっちは誰かと話す気分じゃねェンだ」

上条「そんな事言うなよ、家に帰りたくないんだ俺は……」

一方通行「はァ?」

上条「実はスーパーの特売逃してな?晩飯の材料が買えなかったんだ……あぁ、暴食シスターが発狂する未来が見える」ブルブル

一方通行「…………暴食シスター?……!?てめェがトウマか!!」

上条「インデックスを知ってるのか?」

一方通行「前にアホ程飯を奢らされた事があンだよ」

上条「お前が?ははっ、案外優しいとこあるんだな」

一方通行「ハッ、オレが何やったか知っておいてその発言かよ?」

上条「そりゃあ前のお前は最悪だったけど、今は違うだろ?目を見ればわかるよ」

一方通行「……」

上条「そうだ!お前765プロのプロデューサーやってるんだろ!?……どうにかあずささんのサインを戴くことは出来ないでせうか?」

一方通行「もォ辞めた……」

上条「そうなのか?」

一方通行「つゥか誰から聞いたンだよ?お前もあの生中継見てたくちか?」

上条「俺?俺はビリビリから……あぁ、御坂な」

一方通行「オリジナルか…………ン?待てよ、お前あのシスターと一緒に暮らしてンだよな?」

上条「おぅ」

一方通行「オリジナルはその事についてなンもいわねェのか?」

上条「は?何で御坂に何か言ってもらう必要があるんだ?」キョトン

一方通行「おっ前アイツの人生救っといてそれかよ?お前、アレだろ?自分は女どもから嫌われてると思ってンだろ?」

上条「思ってもなにも事実です……」ズ-ン

一方通行(なンつゥ鈍感野郎だ……まァいいか、関係ねェし……そォだ、こいつならオレの迷いを振り払ってくれるかもしンねェ)

一方通行「オイ上条、オレが誰かと協力してオリジナルとシスターを今からぶっ殺すっつったらてめェどォする?」

上条「は、はぁ?」

一方通行「助けられるのはどっちか1人だけだ。お前は誰にも協力を得ることはできねェ。この状況だったら、お前はどっちを選ぶ?」

上条「お前何言って……」

一方通行「答えろッ!!」

上条「選ぶまでもねぇよ」

一方通行「へェ……?」

上条「俺は両方助ける」

一方通行「頭湧いてンのか?」

上条「じゃあお前だったらその状況誰を選ぶんだ?」

一方通行「……」

上条「頭湧いてるのはそっちだろ?」

一方通行「なに……?」ギリ

上条「まだやってもないのにどっちか1人だけしか助からないなんて分からないじゃねぇか」

上条「そんな事を悩む時は、俺が限界を越えてぶっ壊れちまった時だけだ。そうならない限り俺はもがき続けるぞ……お前は違うのかよ?」

一方通行「オレは……」ウツムキ

上条「いいぜ……?」ギリィ

上条「てめぇがどっちかしか選べねぇって本気で思ってんなら、まずは……そのふざけた幻想をぶち殺すッ!!!」ブォン

一方通行「……」パシィッ

一方通行「いきなり、なに殴り掛かってきてンだァてめェ?」ギロ

上条「あっ……いや、あの、ここかな?って。一応決め台詞みたいなものだし……すみませんでした!」

一方通行(真のトレーニングに付き合った甲斐があったなァ)

上条「まぁ、けど……お前みてぇな頭良い奴が悩んでる事なんだ。こんな答えじゃダメか……はは」

一方通行「なンだと?」

上条「え?自分が悩んでるから俺に相談してきたんだろ?」

一方通行「……チッ」

上条「で、誰が狙われてるんだ……?俺にも協力させてくれ」

一方通行「いや、心配いらねェ……もォ解決した。悪ィがもォ行くぜ」スタスタ

上条「お、おい……!?」

一方通行「あ、そォだ……」クルッ

一方通行「おい上条、お前やっぱヒーローだわ。あばよ」スタスタスタ

上条「な、なんだったんだ……?」

ーーーー
ーー

一方通行(そォだ!オレは何をやりもしねェで馬鹿みてェに考えてたンだ!別にどっちか一つを選ぶ必要なンてねェ……!)

一方通行(学園都市はもォ安全だ。だからオレが付きっきりでアイツに付いてる必要はねェ。黄泉川たちもいる事だしな。家でのアレは、多分もっと周りを信用しろって事だろう)

一方通行(もし打ち止めが駄々こねやがったら……構わねェ、765プロと学園都市を毎日往復してやるよ。オレの能力がアレば不可能じゃねェだろ。残業だって黄泉川の家でやりゃあいい)

一方通行(いいぜェヒーロォー?オレがぶっ壊れるまでやってやろォじゃねェか……!だが、まずは)


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〜〜〜常盤台女子寮前〜〜〜


御坂「二度と顔見せないでって言ったわよね?」

一方通行「心配すンな、もォ来ねェよ。今日はお前に聞いてもらいてェ事があってな」

御坂「なによ……?」

一方通行「オレは学園都市を出て行く」

御坂「…………打ち止めはどうするのよ?」

一方通行「アイツは置いて行く……」

御坂「ふっ、何それ?やっぱりアンタはそういう奴なんだ。あの子達も何でアンタみたいなのを信用してるんだか」

一方通行「勘違いすンなよ、別に見捨てるわけじゃねェ」

御坂「一緒じゃない!」

一方通行「全然違ェよ」

御坂「それで?まさかそれを言いに来たの?」

一方通行「違う……オレは学園都市を出る。勿論打ち止め達の危機には駆け付けるつもりだ。だが今まで通りとは行かねェ。即座に動けるわけじゃねェからな」

御坂「それで?」

一方通行「だから、お前にはアイツ等をオレがいねェ間守って欲しいンだ。今の学園都市が安全って事は分かってる。だが、いつどンな馬鹿が出てくるか分からねェ」

御坂「……」

一方通行「それとよ……」

御坂「?」

一方通行「オレの事は一生許さなくて構わねェし許して欲しいとも思わねェ……ただよォ、打ち止めの奴とは仲良くしてやってくンねェか?アイツはお前の事が大好きなンだよ」

一方通行「頼む、この通りだ……」ペコ

御坂「…………頭上げなさいよ。アンタにわざわざ言われなくてもあの子達は守るし、打ち止めとは仲良くするわよ。みんな私の大切な妹なんだから」

一方通行「あァ……」

御坂「話はこれで終わり?」

一方通行「あァ……あ、そォだ。オレなりにお前に礼がしてェ」

御坂「?」

一方通行「上条に惚れてンなら外堀埋めてから告白するより告白してから外堀埋めた方が絶対効果的だぞ」

御坂「な……なっ///」

一方通行「あばよオリジナル、アイツ等の事頼ンだぜ?」ドヒュンッ

御坂「ふっざけんなぁぁぁぁあああっっ///!!」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

〜〜〜黄泉川宅〜〜〜


一方通行「帰ったぜ」ガチャ

打ち止め「あっ、こんな時間まで出歩いてるなんて不良だよ?ってミサカはミサカは見た目通りの行動を取る一方通行に苦言を呈してみる」

一方通行「打ち止め……それと黄泉川」

黄泉川「ん?」

一方通行「話してェ事があるンだ……」


ーーーーーー
ーーーー
ーー

打ち止め「こっちに帰ってきてからあなたの表情が冴えなかった理由ってもしかしてそんな事が原因だったの?」

一方通行「そ、そンな事だと?」

打ち止め「だって冷静に考えてみてあなたのスペックなら学園都市を行き来する事くらい簡単だよね?今はバッテリーによる時間制限も無いんだしってミサカはミサカは鋭い洞察力を発揮してみる」

一方通行「簡単に言いやがって……オレにとっては気持ちの問題もあンだよ」

黄泉川「ま、男ってのはそういう筋ってもんに縛られる生き物じゃん?」

打ち止め「ふーん、男の人って大変だねってミサカはミサカは女性社会の到来を肌で感じてみたり」

一方通行「つゥかお前はいいのかよ?オレはまたここから居なくなるぞ?」

打ち止め「う〜ん、寂しいけど……前みたいにずっと帰ってこれないわけじゃないんでしょ?」

一方通行「ちょくちょく帰ってくるよォにはするけどよ」

打ち止め「だったら許す!ってミサカはミサカは女として成長した自分を誇ってみる!」

一方通行「…………わかった。じゃあそォいう事だ黄泉川、オレはここを出る」

黄泉川「そうか。私も寂しいけど、まっ!仕方ないじゃん!それで?あっちにはいつ行くんだ?」

一方通行「今から」

黄泉川「今から!?」

一方通行「アイツ等が事務所で待ってる気がすンだよ……」

一方通行「取り敢えず明日の朝にはまたこっちに戻ってくる」

黄泉川「そうか」フッ

一方通行「それじゃあ行ってくる。打ち止め、何かあったらメールでも電話でもして来い」

打ち止め「案外あなたの方が先に連絡してくるかもねってミサカはミサカは小悪魔的に笑ってみる」

一方通行「ハッ、そォかもな」

黄泉川「一方通行、好きな時に帰ってこいよ?ここもお前の家なんだからな」

一方通行「あァ……じゃあまたな、芳川にもよろしく言っといてくれ」スタスタスタスタ

バタンッ

打ち止め「……」ポロ、ポロ

打ち止め「うわぁ〜ん!よみがわぁ〜!」ギュウウウ

黄泉川「よしよし、アイツが出てくまで良く泣かなかったじゃん」ナデナデ

芳川「あら?一方通行はまた出掛けたの?駄目じゃない愛穂。教師なんだから未成年の深夜徘徊は注意しなくちゃ」

黄泉川「お前は少しは打ち止めを見習え……」

ーーーーーー
ーーーー
ーー


〜〜〜765プロ事務所前〜〜〜


ビュオッ……ダァンッ!

一方通行(やっと着いたぜ。事務所に明かりは……着いてる)

一方通行「……」ゴクッ

一方通行(冷静に考えたらどの面下げて来たンだよって話だよなァ)

一方通行(いやいや、ここまで来て何をビビってンだ……よし、3秒数えたら……)

ガチャ

一方通行「あ」

小鳥「え?」

小鳥「ア、一方通行君!?」

一方通行「ひ、久しぶりです小鳥さン」

真美「えぇっ!?本当に兄ちゃんなの!?」ガバッ

一方通行「よ、よォ」

真美「……ぅ、ぁ……兄ちゃぁぁぁあん!!」ギュウウウ

亜美「マジで兄ちゃんだ!みんな!兄ちゃん帰ってきた!!」

やよい「ア、一方通行さん。帰ってきてくれたんですね?うっうー……うっうー!」ピョン!ピョン!

小鳥「取り敢えず中に入りましょ?」

一方通行「はい」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


全員「……」

一方通行「勝手に居なくなっちまってすまなかった」ペコ

高木「……」ウンウン

千早「許せないわね」

一方通行「……どォすりゃ許してくれる?」

春香「土下座?」

雪歩「えっ」

一方通行「………………」スッ

春香「わぁー!!冗談冗談っ!」

一方通行「冗談なのか?」

真「でも怒ってるのは本当だからね!?何もライブの途中で抜け出さなくても」

一方通行「返す言葉もねェ」

雪歩「本当あの時、大変だったんだよ?」

一方通行「あァ……けどお前等、オレの予想よりダメージ少なかったみてェだからこォいっちゃなンだが安心してテレビ観てたよ」

真美「あーそう見えた?真美達は頑張ってたけど大人組がね〜」

一方通行「あン?」

小鳥「律子さんは多忙の極みで一方通行君が居てくれたらってよくボヤいてたし」

律子「ち、ちょっと小鳥さん!?」

伊織「あずさは朝一で会うとお酒の匂いを残してたわね」

あずさ「だってぇ〜」

響「貴音なんて毎日自分の家に来て泣いてたぞ」

貴音「響!それは皆には内密にと約束したではありませんか///!」

一方通行「そォだったのか……」

亜美「亜美的にはミキミキがあんま騒がなかったのが驚きなんだけど……」

雪歩「そうだね。一方通行君がいなくなった時は敢えて聞かないようにしてたんだけど、何でだったの?」

美希「ん?ハニーが学園都市に居る事は分かってたからその時迎え行けばいいかなって。だからミキ、学園都市のお仕事一杯入れてもらったの!でもハニーが帰ってきたからアレかな」

律子「ん?アレ、何?何を言おうとしたの?」ピキ

美希「が、頑張らなきゃってカンジ」

律子「そうね!仕事をキャンセルする事なくキッチリこなして来なさい!」

やよい「伊織ちゃんも学園都市に行く計画立ててたんだよねー」

伊織「あっ、そんな事言わなくていいのよやよい」

一方通行「……」ポリポリ

千早「自分がどれだけ必要とされてるか分かった?もう絶対に勝手に消えないで一方通行」

全員「……」コク

一方通行「もちろンだ……お前等に誓う。だから社長、都合良い事言ってるってのは分かってる。それでももォ一回オレを雇ってくれねェか」ペコ

高木「ふむ……しかしぃ、実は新しいプロデューサーをもう雇ってしまったんだよねぇ」

全員「!?」

小鳥「なっ、社長!ここに居る全員を敵に回すつもりですか!それに一方通行君の代わりのプロデューサーなんて!その人にとっても不幸ですよ、絶対イジメられますよ!?」

亜美「いじめる」

真美「なつかない」

伊織「仲良くは出来ないわね」

やよい「私もちょっと嫌かなーって」




一方通行「頼む社長!雑用でも何でもここに居る為だったら何だってやる!だからオレをここに置いてくれ!」

律子「……」ニタァ

高木「何でも……かね」ニタ

一方通行「あ、あァ……」

高木「実はウチもそろそろ男のアイドル業界に進出しようと考えていてねぇ……だがいかんせん中々ピンッとくる人材が居ないんだ」

高木「しかし君が何でもやるというのなら話は早い、ウチのアイドル兼プロデューサーになりたまえ一方通行君」

一方通行「なっ!?」

美希「ハニーが……」

春香「アイドル……?」

小鳥「最っっっ高ぅぅ!!」

伊織「……」キラキラ

響「う、歌って踊るのか?一方通行がぁ?」プルプル

あずさ「あらあら〜すっっごい楽しみねぇ」

真「ていうか結局プロデューサーもなんだ」

千早「一方通行って歌上手いの?」

雪歩「私達とも一緒にライブしたりするのかな!?」

やよい「早く見てみたいですーっ!」

真美「これからは一緒にレッスン出来んだね!」

貴音「なんと、文字通り共に参れる日が来ようとは……」

亜美「からかい甲斐ありそう〜」

一方通行「律子、てめェ……」

律子「言ったじゃない、先に仕掛けてきたのはアンタよって」

ワーワーキャーキャー!

高木「うぉっほん!ま、そういう事だ。改めてよろしく頼むぞ一方通行君?」

一方通行「あァ……こちらこそよろしく頼む」

春香「もぉー何でそんな他人行儀なの!?私達はそういうのじゃないでしょ?」

春香「実はね、一方通行が来たらなんて言うか私達決めてたんだ……せーの」

全員「「お帰り!一方通行っ!!」」

一方通行「……」ポカ-ン

一方通行「……」ポリポリ

一方通行「///」

一方通行「ただいま」ニコッ






おわり

読んでくれてありがとう!
おつかれ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月26日 (金) 16:19:41   ID: drIYZaFS

この後一方通行がどうなるか見てみたい

2 :  SS好きの774さん   2015年07月13日 (月) 22:45:32   ID: HJvJZfTM

大変お疲れ様でした。

3 :  SS好きの774さん   2015年09月16日 (水) 11:56:02   ID: jcHzCgYy

久しぶりに素晴らしいssを見た

4 :  SS好きの774さん   2016年01月11日 (月) 02:05:26   ID: d1bXPPck

いいクロスやん……

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