お酒の席~恋をする頃~ (19)

*SSらしくない書き方をしています。

*軽く独自設定を含みます。
駆逐艦の『朝潮』が、少し成長した設定です。
幼くて無知で潔白な朝潮を壊したくない人は、遠慮を控えてください。

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*注意事項【R-20】******
スレッドを開いてくださり、ありがとうございます。
この作品には、未成年(と思われる存在)が飲酒する描写を含みます。未成年の飲酒は、『未成年者飲酒禁酒法』によって定められている、立派な犯罪です。大人にとっては『百薬の長』と言われる酒も、未成年には『百害あって一利なし』と言えるでしょう。この作品を閲覧することによって起きた事件に対して、作者は責任を負いません。あらかじめご了承ください。
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 世間では正月に限ってのみ、未成年の飲酒が許されるという傾向が無くもない。では『今日』という日にも未成年が飲酒をすることは許されるのではないかと思うのだ。

 数年に渡った戦争が終わった。しかも、深海棲艦との『和解』という素晴らしい形で終わった。現在軍部の調査隊が深海棲艦側と今後の在り方について話し合っているという。その話し合いが完結するまで、鎮守府は暇となった――

 艦娘は休暇をもらっても、提督の身分にはそれなりの仕事が流れてくる。艦娘の健康状態だったり精神状態だったり。また鎮守府の清掃状態だったり施設の壊れ具合だったりと、色々なことを調べなくてはならない。かといって艦娘に手伝ってもらうのは気が引ける。彼女たちは国を救った英雄なのだ。せっかくの休暇を邪魔したくはない。

 そんなこんなで、私は一人で執務を淡々と、鎮守府をあちこち動き回りながらこなしていた。たいていの艦娘は都市に行っているため、鎮守府は静かだ。外から入り込む波の音が、心地よく響いている。

 私は執務の一環で、トイレに入ることになる。建物の老朽具合の確認だ。この鎮守府は残しておくと聞いている。

 「おーい、誰かいるかー?」

 いないとは思うのだが、事務的な確認だ。

 「し、司令官!? どうかしたのですか?」

 確認を端折らなくてよかった。中から聞こえたのは、朝潮型駆逐艦のネームシップ『朝潮』の声。

 「悪い、施設点検の任務があってな。急がなくていいぞ」

 少しの間ののち、水の流れる音、水道を使う音がして、朝潮が出てくる。

 「お待たせしました。任務、お疲れ様です」

 朝潮は礼儀正しく、敬礼をする。彼女は昔からこの性格だ。生真面目で従順。軍隊の鑑といえる。

 私は朝潮を見つめながら、彼女の2年間を思い返した。朝潮型の長女として、当時から、見た目とは不釣り合いなほどにしっかりしていた。この2年間で背も伸びて、体つきも、多少は女性らしくなった。

 「あ、あの、どうかしましたか?」

 朝潮は恥ずかしそうに顔を赤らめ、首をかしげる。昔だったら、こんな反応はしなかったかもしれないなぁ。

 「ああ、すまない。よし、仕事するか」

 「あ、す、すいません!」

 私がトイレに入る手前で、朝潮に呼び止められる。朝潮は少しもじもじした後で、口を開いた。

 「良ければ、私もお仕事、お手伝いします」

 私は朝潮の優しさに感動した――

 「いやぁ、ありがとう朝潮。せっかくの休暇なのに、悪いな」

 「いえいえ、お役に立てて嬉しいです」

 朝潮はあの後、私の執務を全て手伝ってくれた。彼女の丁寧な仕事ぶりに、私はとても助かった。

 「そーだな……おっ」

 私は机の下から褐色の瓶を取り出す。軍部から祝辞としていただいたウーロンハイだ。最初は高級な日本酒やワインを薦められたのだが、私の我儘でウーロンハイにしてもらった。

 「朝潮、飲んでみるか? 飲みやすいぞ」

 「えっ!? わ、私は大丈夫です……」

 「いいんだ、いいんだ。めでたい時には少しくらい」

 「で、では、少しだけ……」

 私はグラスに四分の一だけ注ぐ。朝潮は緊張からか、顔を赤らめてグラスを手に取り、口に含み、一気に飲み干した。

 「ゴホッ、ゴホッ……」

 朝潮はせき込み、見る見るうちに顔が紅潮していく。注ぎすぎたのだろうか? 私は段々不安になってきた。

 「あ、朝潮、大丈夫か?」

 朝潮は少しの間うつむく。そしてトロンとした目で、私のことを見つめてきて、小さく微笑んだ。

 「……司令官」

 朝潮は私のひざに頭を置いた。いわゆる、『ひざまくら』である。私の不安感が急激に募ってくる。普通の朝潮であれば絶対にこんなことはしない。それとも、単に酔っ払っているだけなのか……

 「……司令官、ちょっといいですか……」

 朝潮は急に起き上がり、顔を近づける。彼女の視線は真っ直ぐと私の目をとらえ、私は固まった。

 鼻と鼻がふれそうな位置まで、朝潮の顔が近づく。私は朝潮が何をしたいのかが分からない。分からないがゆえに、恐怖を感じてしまうのだ。この、小柄な少女に対して。













 ――――唇に何かが触れる。時間が止まった――












 朝潮の酔いはしばらく続いた。膝枕を求めたと思えば、今度は頭を撫でてほしいと言ってくる。普段の朝潮からは予想もつかないほどに、幼い振る舞いだった。

 そして、時間が経つにつれ、朝潮はいつもの冷静さを取り戻し、自分のした行動に恥じらいを感じ始める。

 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」

 朝潮は顔を真っ赤にして何度も謝り、私はそのたびに許した。朝潮の顔は、酔った時と同じくらいに赤くなっていた。

 「お前には仕事を手伝ってもらったんだから、あれくらい気にするな。さあ、もう部屋に戻れ」

 朝潮はまだ顔を真っ赤にして、俯いている。鼻血でも出しそうな勢いだ。

 「……し、司令官は気にしていないのですね……」

 「ああ、気にしていないから、もう忘れろ」

 「じゃ、じゃあ」

 朝潮は真っ赤な顔を上げ、私の目を見た。酔った時と同じ目だ。

 「……私と、……」

 朝潮はどもりながら、必死に、声を絞り出している。






 「――私と、て、手をつないでください!」
-FIN

知識は得てもウブで真面目

*注意事項*
未成年の女性の飲酒は生理が不規則になり、無月経になることもあります。
出典:サントリーホールディングス株式会社(Suntory Holdings Limited)
http://www.suntory.co.jp/arp/main/minority/

*注意事項*
条文(未成年者飲酒禁酒法)
未成年者の飲酒を知って制止しなかった親権者や監督代行者に対して、科料を科す(3条2項)。
出典:wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%AA%E6%88%90%E5%B9%B4%E8%80%85%E9%A3%B2%E9%85%92%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%B3%95

閲覧ありがとうございます。あまり練り直しもしなかった、勢いだけの作品です。
お目汚し失礼しました。

私の場合は、カップルが手をつなぐのよりも、キスの方が、幼いころから知っていたような気がします。
世間でいう性行為のように、最高級の愛のコミュニケーションがキスだと思っていました。
ちなみに私は酒が飲めません。

また会えたら、よろしくお願いします。

追伸
HTML化依頼の判断で使うようなのでトリップを付けたんですが、トリップコードというのを知らなかったので途中で変更しました。
ごめんなさい

おつおつ

レス、ありがとうございます。

>>!6
そういってもらえるとありがたいです。
自分も分かりにくいと思い、つけようとしたのですが忘れてしまいました……

>>17
おつありです!

【書き込みますが、HTML化の処理をよろしくお願いします】

あと、いまさらですが……
>>1 の最後
遠慮を控えてください。→閲覧を控えてください。

に訂正です

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