【艦これ】響「見惚れ合い」 (23)

響(四月、降り注ぐ陽は力を増し、冬の冷えた空気を暖める…そう、春の到来である)

響(その春の、溢れてくる活力に答えるように、私たちの鎮守府の庭の一本の桜の樹が…)

響(とても力強く、綺麗な花びらをつけ、私たちの鎮守府を桜色に染めていた)

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隼鷹「桜だー!」

千歳「花見よー!」

隼鷹/千歳「「すなわちお酒ー!」」ゴクゴク

加賀「花見ね…流石に気分が高揚します」バクバク

赤城「上々ね」モグモグ

提督「君ら、いつもと何も変わらない花より団子っぷりだね」

鳳翔「提督も一杯いかがですか?」

提督「いや、今日は遠慮しておこう。仕事が残っているんだ」

球磨「せっかくの花見に仕事とは、ゆとりの行動をするクマ」

多摩「そうにゃあ、今日くらい仕事のことを忘れるほうがいいにゃあ」

提督「お前らが普段仕事の事忘れている分のしわ寄せがきてんの」

球磨「…頑張れていとクマー!」

多摩「提督の分も私たちが楽しむにゃあ」

提督「調子のいい奴らだな…」

雷「司令官、私でよければ手伝うわ!」

電「わ、私もお手伝いするのです!」

暁「一人前のレディはこういうときにさりげなく手助けするのよ!」

提督「いや、お前らは花見を楽しみなさい。今日は俺一人で十分だから」

響「本当にいいのかい?」

提督「ああ、子供ってのはな、春には思う存分遊ぶ生き物だなんだ、だから今日は仕事や戦争の事は忘れて、思う存分に楽しめ」

響「司令官…」

提督「つうわけで大人ども、駆逐の奴らの世話頼むぞ。あと酒とか飲ませるなよ」

隼鷹「おう任された~」ベロンベロン

千歳「そうよ~私達だって子供にお酒を飲ませるような非常識な行動はしないわよ~」ベロンベロン

翔鶴「…もう大分酔っていますねお二人とも」

隼鷹「まあ子供たちに」ガシッ

翔鶴「え」

千歳「飲ませない分、ね?」ガシッ

翔鶴「え」

隼鷹/千歳「「沢山お酒飲もうね翔鶴ちゃ~ん?」」

翔鶴「え、あ、あ…ず、瑞鶴たすけ」

瑞鶴「じゅいかく!うたいましゅ!聞いてくだしゃい"吹雪"!!」ベロンベロン

瑞鳳/飛鷹/蒼龍/飛龍「「「「いえ~~~~!!!!!」」」」ベ ロンベロン

隼鷹「すでに仕込みは完了しているさ…」

千歳「もう逃げられないわよ…フフフ」

翔鶴「ひ、比叡さんではないですけど…」

翔鶴「ひえええええええええええええ!!!!」

加賀「…まだまだね五航戦も」ハァ

響(こうして、暖かい陽に照らされた桜の下、皆が思い思いに、春を満喫していた)

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

<夜>

響「…んぅ」パチ

響「あれ…ここ私たちの部屋、いつの間に…?」

暁「…レディなんだからピーマン位食べられるわよ…」zzz

電「…もう食べられないし飲めないのです…」zzz

雷「…お酌なら私に任せて…」zzz

響(ああ、いつの間にか眠ってしまっていたのか。 誰かが運んでくれたみたいだね)

提督『いや、今日は遠慮しておこう。仕事が残っているんだ』

響(司令官はまだ仕事をしているのかな…)

響(…うん、手伝いにいこう)

。。。。。。。。。。。

<廊下> 

響(…)

響(ん?あれは、司令官?)

提督「…」

響「やあ司令官、こんな時間にどうしたんだい?」

提督「ん?その声は、響か。お前こそどうしたんだこんな時間に、もう寝てる時間だろう?」

響「目が覚めてしまってね、眠れそうにないから、司令官の仕事の手伝いでもしようかと思ったのさ」

提督「なるほど、そりゃありがたい限りだが、仕事の方はもう終わってるよ。だから今日はもう寝なさい」

響「ふむ、そんな仕事終わりの司令官は、お酒を持ってどこにいくつもりだい?」

提督「あーいやこれは…なに仕事終わりの俺のささやかな楽しみみたいなものさ」

響「そうか、でもつまみの一つも持たないでかい?司令官がお酒を飲むときはいつもつまみとお酒のセットじゃないか」

提督「あー…これから鳳翔の所に行ってもらいにいくのさ」

響「鳳翔さんの居酒屋の方向は逆だよ?」

提督「…」

響「で、どこにいくつもりだい?」ニコッ

提督「…わかったよ、俺の負けだ」

響「さすが司令官だね、物分かりがいい」

提督「俺は優秀な部下を持って幸せだよっと…じゃあついてきな響」

響「ああ、エスコートを頼むよ」

。。。。。。。。。。。

提督「ほら、ここだよ」

響「ここって…桜じゃないか」

提督「…本当は独り占めしたかったんだが、仕方ない」

響「独り占め?」

提督「まあ響、桜の木の下にきてみろ」

響「あ、ああ…」

提督「…さて、ここに座って、下から桜を眺めてみな」

響「下から…?」スッ

響「っ!」

私は、見上げた瞬間に言葉を失った

美しい、そうただただ、美しい

月の光を浴びた桜の花びらは、その淡い光を透かし、薄紅色の光をその身に宿していた。

その光はとても淡く、儚く、美しく、妖艶な…

昼の、太陽の強く暖かな光とは違う、弱く、そして冷ややかな光なれど

それを浴びた桜の花びらは、目を離せぬほどに魅力的な…そう、魔性の魅力を放っていた

私は、見惚れてしまっていた

提督「…この桜は、ただ咲けば見られるってわけじゃない」

響「…えっ?」

提督「桜が咲き、月は最も強い光を放つ満月、その光を遮る雲一つない夜空、周りに他の光がない環境…」

提督「どれを欠いても、この夜桜は見られない、まさに奇跡の桜なんだ」

提督「それだけに、他のどんな桜よりも美しく…」

提督「他のどんな桜よりも、魅力的…」

提督「俺は、この桜を眺めながら飲む酒が大好きで」

提督「この桜を独り占めしたかったのさ」

響「…そういうことだったんだね」

提督「そういうことだ」

響「でも、わかる気がするよ」

響「この桜を、独り占めしたい気持ちが…」

響「こんなに、見惚れるほどに、綺麗な桜は」

響「静かに、見惚れていたいものだからね」

提督「…ああ、そうだな」

響「…」

提督「…なあ、響は…」チラッ

提督「っ!」

隣に座る響に、目を向けた瞬間だった

俺は、その刹那、見惚れてしまった

桜にではない、響に、桜に見惚れている響に、見惚れたのだ

桜の花びらを通して、薄紅色を帯びた光は、響のその美しい銀色の髪を

透き通るような透明感のある肌を、まるで宝石のようにきらめく蒼い瞳を、妖しく彩っていた

その姿は、ただただ美しく、美しく、美しく…

手を触れたら壊れてしまいそうなくらいに、だけど、それでも手を伸ばしてしまいそうな…

そんな魔性の美しさに

俺は、見惚れてしまっていた

提督「…」





独り占めしたい



提督「…なあ、響」

響「ん、なんだい司令官?」

提督「この桜は二人だけの秘密ってことにしないか?」

響「秘密?」

提督「ああそうだ、この桜は、俺達だけの秘密だ。誰にも言うなよ?」

提督「俺達二人だけが、この桜に見惚れることが出来るんだ」

響「…なるほど、独り占めならぬ、二人占めということだね」

提督「ああ、そうだな」

響「そうだね、素晴らしい提案だ。うん、私も、そうしたい…」

響「司令官と、私で、見惚れようじゃないか」





響「見惚れ合おうじゃないか…」



終わり。

じゃあの

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月13日 (月) 20:14:01   ID: yC5qOPxN

よきかな

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