龍驤「私、本当に君の秘書官でええんやろか」 (20)




~鎮守府~



提督「ん?」


龍驤「あっ、いや、あんなぁ?そのー、私、他の艦娘と違って生意気やし、秘書業も上手くこなせてへんし……」


提督「……」


龍驤「そのお……可愛くないし……胸も……その……ま、まあな?ほら、い、いっぱい他に綺麗な艦娘とかおるやん?」


提督「……そうか?」


龍驤「そ、そうやろ」


提督「……そうは思わないけど」


龍驤「……」


龍驤「君はそう言うてくれるかもしれんけど……実際他の艦娘はそう思っとる」


提督「……誰が」


龍驤「えぇ?……えっと……か、加賀とか赤城とかさ」


提督「ふむ」プルルルル


龍驤「えっ、な、なにしてるん?」


提督「あー、加賀か?近くに赤城もいるな。ちょっと司令室に来てくれ」


龍驤「あ、あかん!!なにしてるんや!?」




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・・・・・・5分後



赤城「失礼しまーす」


加賀「何かご用でしょうか」


龍驤「あっ、い、いや……」


提督「なあ、赤城、加賀」


提督「オレは秘書官は龍驤しかいないと思ってるんだが、お前らそのことについてどう思う?」


龍驤「はっ!?あ、い、いや!」


加賀「……別に、文句はありません」


赤城「提督が仰られたことなのですし、反論はありませんねえ」


龍驤「は!?」


提督「……だ、そうだが」


龍驤「えっ、いや、そ、そんなこと……」


加賀「……失礼してよろしいでしょうか。今五航戦の子と将棋中でしたので」


赤城「そうですね。私も吹雪さんと甘味のお約束がありますし」


提督「うむ、ご苦労だった。足労かけてすまないな」


龍驤「いや、ちょっ、ちょっと待たんかい!」





加賀「……なに?」


龍驤「な、なにって……!」


龍驤「あんたら……ほ、本当にそう思ってるんか!?私は軽空母やし、あんたらみたいにカリスマ性とか、実力も器量もないし……そ、それに女としての武器もない!」


赤城「……そうかしら?」


龍驤「そうや!!」


龍驤「武器だって大したもん装備できるわけやないし……ポテンシャル、っていうんか?その……潜在能力もあらへんし……」


加賀「……それは私達空母に喧嘩を売ってるのかしら」


龍驤「な、なんでそうなるんや!?うちは当たり前のことを言うとるだけや!」


赤城「……あたりまえ、あかぎ~」


龍驤「それニコ動のやつやろ!?なんか人気あるかもしれへんけど、そんなもんでうちは誤魔化されへんで!?」


赤城「うーん、なんて言ったらいいのかしら」


加賀「……私は色々な面で貴方より上回っているわ。龍驤」


龍驤「えっ」


加賀「……でも、私たちには越えられないものがある」


加賀「それで十分じゃないかしら」


龍驤「え……い、いや」


提督「……だってさ」


龍驤「き、君は黙っといてくれへんか!?これはうちと他の艦娘の話し合いや!!」


提督「へいへい」




提督「とりあえず言っとくけど、また自称がうちに戻ってるぞ」


龍驤「はっ!!……す、すまん……」


加賀「……」


龍驤「……こういうとこもや……私、君と約束したこともすぐ忘れるし……」


赤城「んー、まあ、人間ですからねえ」


龍驤「うちは艦娘や!!」


加賀「また自称間違ってますよ」


龍驤「う……す、すまん」


提督「……」


龍驤「……な、なあ。だから言うたやろ?私に君の秘書官とか無理や……」


龍驤「自分の呼称を変えられへんし……器量も良くないし……仕事も雑やし……」


提督「……」


龍驤「だからさ、その、な?うちなんかより加賀とか赤城みたいな正規空母の方が……」


プルルルル


提督「……あ、飛龍?蒼龍もいるか?良ければ瑞鶴や翔鶴も誘って提督室に来てほしいんだが」


龍驤「いやだから君ほんま何してるん!!?」





・・・・・・5分後



蒼龍「失礼しまーす」


飛龍「あら、赤城さんたちもいたのですか」


瑞鶴「……ちぇっ、加賀さんいるじゃん」


翔鶴「こら、瑞鶴ったら!」


龍驤「……」


提督「みんな夜にすまないな。ちょっと龍驤が落ち込んでいてね」


龍驤「お、落ち込んでる訳やあれへん!うちはみんなの空気を読んでやな……!」


赤城「……空気?」


加賀「……はあ。面倒くさい……」


龍驤「うっ、い、いや、すまん。こ、これも君がみんなを呼ぶから……!」


提督「……そうじゃないと納得しないのだろう」


龍驤「う……」


飛龍「で、どうしたんですか?一体」


提督「えっと、龍驤が今オレの秘書官をしてるんだが、皆それに不満はあるか?」


蒼龍「??、ないですけど」


飛龍「ないですね」


瑞鶴「むしろ龍驤しかいないんじゃないかな」


翔鶴「そうねえ」


龍驤「は、はあ!?」









龍驤「みんなそれ本気で言うてるんか!?だ、だって、うちやぞ!?」


加賀「……龍驤。自称」


龍驤「あ、す、すまん……」


飛龍「っていうか、龍驤さんが秘書官がダメという理由が分からないのですが……」


蒼龍「そだねえ。まあ、龍驤なら秘書官やらせてても安心よねえ」


龍驤「はあ!?な、なんでや!?」


翔鶴「なんでって……んー、龍驤さんだからですかね」


龍驤「答えになってへん!」


瑞鶴「……ってかなんなのこれ……龍驤さんの元気を出すために私達集められたの……?」


提督「……まあ、端的に言えばそうだな」


龍驤「は!?」


赤城「ぷっ。あはは。まあ、ならいいですけどね」


加賀「私は迷惑です」


赤城「まあまあ加賀さん。皆龍驤さんの素晴らしさは分かっているじゃないですか」


加賀「……」





龍驤「……ていとくぅ……」


提督「あはは。なんだよ目に涙浮かべて」


龍驤「こっ、これは汗や汗!」



蒼龍「……こないだ、出撃から帰った時、龍驤さんが私に言ってくれたんです」


蒼龍「大丈夫か、大破してないか、すまんな、うちも秘書官じゃなかったら一緒に出撃できたのにな、と」


蒼龍「蒼龍はどんな海域でも出撃に文句も言わずに頑張ってくれるな。うちはそんな蒼龍を心から誇りに思ってる、しんどかったらいつでもいいな、うちが提督に文句言ったるって」


提督「……」


龍驤「い、いや、あれはやな……その……」


飛龍「……私もありましたねえ」


飛龍「ミッドウェーの海戦の前、龍驤さんが夜に部屋に来てくれたんです」


飛龍「うちらは艦娘や。いつ轟沈するか分からへん。でもな、提督の指揮だけは絶対に信じなあかんで、あいつは君らを同じ運命にさせんよう寝ずに作戦を考えとるんや。皆の命を一番に考えてくれてるお人なんや、って」


龍驤「……」


龍驤「……そんな……こと……言ってへん……」


飛龍「あははは。言ってますよ。だって私あの言葉で勇気が出ましたもん」


飛龍「そして、私は無事に生還できた」


龍驤「……」





翔鶴「私は……そうですね。お酒の席かしら」


龍驤「え……」


翔鶴「ほら、提督って艦娘の皆に人気あるじゃないですか」


翔鶴「でもミッドウェー成功の打ち上げの時、龍驤さんは提督と会話もせず、一人だけ他の艦娘の子にお酒や食事を進めてましたよね?」


龍驤「いや……そ、それはただ単に、駆逐艦とかの子がまだお酒飲めへんから……」


翔鶴「……私だったらできないですね」


翔鶴「大好きな提督の側にずっと居たいと考えます。だって他の艦娘の子に提督を取られるのが怖いから」


龍驤「……」


翔鶴「……それでも貴方は、提督のことより私達艦娘を優先した」


翔鶴「というか、あの空間を一体にしてくれたんですよ。誰もはぶることもなく」


翔鶴「それって多分、皆を平等に接していきたいと考える提督の考えの生き写しだと思うんです」


翔鶴「だから、秘書官というのは、他者を思いやれる龍驤さん以外できないんじゃないかなーって思ってます」


龍驤「……そんなもん……」


龍驤「う、うちがやったことを……良いように解釈しとるだけや……」


瑞鶴「……あー、もう!面倒くさいなあ!!」


龍驤「えっ」


瑞鶴「求婚されたんでしょ!!?提督に!!」


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