やはり俺が素直に好意を伝えるのは間違っている。 (114)

たったら書いてみるテスト

投稿初めてなので、お手柔らかにお願いしたいです。

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短いですが、ご了承願います。





寒くて厳しい冬から暖かくも彩った春の音が聞こえてくる。
ぼっち生活だったはずが、周りに気をかけてくる奴らが増えたものだ。
誰にも何も期待しているつもりはなかった。
これ以上人を信じるつもりもなかった。
でも、どこかで本物が欲しいと願っていた。
いまだにそれがどんなものかを具体的に表現するのは個人的に憚るが
今の自分が過去の自分に比べて弱くなったとは思わない。
俺は俺で変わったんだと思う。小町あたりはニシシと笑いながらそう言うだろう。
だから、柄にもなくたまには素直に感謝の言葉でも伝えてみるのも悪くないんじゃないかと。
登校中の桜を見ながら、ふとそんな考えが過る。

「おはよう。比企谷君」
「……うす」
「相変わらず覇気が無いわね。小町さんの入学も決まったというのに」
「悪いな、少し考え事をしてたんだ」
雪ノ下は変わらない。いや少しは変わったのか。
「もう春なんだなと、少し思っただけだ。桜も咲いたことだしな」
「そうね、きっと由比ヶ浜さんがお花見をしましょうと誘ってくることでしょうね」
「ボッチを引っ張り出すのはマジでやめてほしい。HPなんてあってないようなものなんだぞ」
「あなたはもう少し外に出なさい、引きこもり谷君」
なんてことはない日常だ。それでも一年前の俺には関係ないただの風景だった。
映し出されたモニターのコントラストとカラー設定を行い傍観するだけの世界。

「別にいいじゃねえか。誰にも迷惑かけてないだろ」
「由比ヶ浜さんが提案したらもう諦めなさい。私は諦めたわ」
対等な関係を構築することなんてないと思っていた。いつだって見えない壁が距離を生み上辺と建前が横行する世界。
それはたぶんこいつも一緒だろうな。由比ヶ浜という友人が出来たからか最初に奉仕部であったときより
柔らかい雰囲気が出るようになってきたのはわかる。
感情が表情に出るようになったのはいつからだったか。
由比ヶ浜さんパネェっす。
「あら、いつもよりほんのごくわずかにその腐った瞳が色づいているわ。世界の終末が近いのかしら」
「俺の目の変化がどんだけ世界へ影響を及ぼすんだ。どんなバタフライエフェクトだそれ」
「大丈夫よ、冗談だもの」
何よりこんな冗談を言う関係になるとはね。

「そろそろ校門ね、ではまた放課後会いましょう」
いつからこうなったのか、いつからこうだったのか。気づけば変わっていた。
高校2年目の一年が俺の環境を変えるのには十分すぎるものだったのは言うまでもなく
今思えば、決して悪くない一年だったことは認めざるを得ない。
だから、春の陽気にあてられて少し口が滑ることもあるだろう。
「雪ノ下。これからもよろしくな」
ふと、雪ノ下の足が止まる。俺もそれに合わせて振り返る
「どうした?」
「いいえ、少しびっくりしただけよ」
まぁ、こんなこと普段言わないからな、とても普段の俺では考えられない。
「あなたが素直になることがあるとはね」
当たり前だろ、小町や戸塚はむしろ素直な俺しか知らんぞ。
何よりも自分に対しては正直だぞ。働きたくないでござる!

「あぁ、お前とはこれからも仲良くしたいからな」
「……どうしたのかしら、気持ち悪いのだけれど」
「今日の占いは素直になれって言われたからな、それだけだ」
俺と雪ノ下の距離は2歩程度、その間を春の風が撫でる。
「そう、あなたらしくないわね」
でしょうね。誰より俺が一番わかってる。春は少しだけ優しくなるような気がしただけだ。自分だけじゃなくほんの少しだけ人にもな。
二人の距離は変わらない、いつだってその身をもって正義と振りかざす雪ノ下と、人の嫌がるやり方でしか解決してこなかった俺の距離。
ただ、お互い認められる存在。今の俺たちはそのぐらいがちょうどいい。
だから次の言葉は耳を疑うくらいがちょうどいい。

「でも、そうね。私は捻くれ者で人の意見を屁理屈で受け流すより、素直な言葉を言えるあなたのほうが好きよ」
「……おい、あんまりそういうこと言うなよ。好きになっちゃうだろうが」
「構わないわよ。好意を持たれるのは慣れているもの」
いつものやり取りだ、雪ノ下雪乃と比企谷八幡の関係。
いつもと違うのは、彼女の強さと美しさが際立つその表情。
美人のほほえみとはそれだけで絵になる。それは世界の画家や写真が証明してくれたものだ。
俺は精一杯の強がりをもって、吐き出すようにこう告げる。
「雪ノ下、俺お前のこと好きだ」

思ったよりすんなり出た言葉に驚きつつも、俺はその目を見つめると、雪ノ下も俺をまっすぐに見ていた。
一瞬なのか、数秒なのか、もしかしたら数十秒かもしれないし、1分程度あったのかもしれない。
そのわずかなのか長い間なのかもわからない時間、二人だけの時間があったと思う。
だから、こんな空気にしないでいつも通りの罵倒を返してくれないと困るんだが。
「……そう、あなたが私のことをね」
「……お、おう」
あーあ、やっちまった。もっと冗談っぽくなるはずがマジっぽい感じじゃん。どうすんのこの雰囲気。
そこはさ、数々の男どもをちぎって投げたように俺にも言えばいいんだけど。
雪ノ下さんは空気読める子でしょ。どんな時もはっきり言えるでしょ。俺が欲しいのそういうのじゃないからね!

「あの、さっきのはなかっ!」
たことにしてほしいと流そうと続けるはずが、唇が暖かく湿った。感触がしたと思ったら、俺の胸に雪ノ下の顔が埋まっている。
落ち着けと言い聞かせつつ、状況が把握できない。
周りを見渡すと、俺を中心に時が止まっていた。

ぼっちが目立ってしまった瞬間である。

「ゆ、雪ノ下さん?あの、今のは……」
「今のは求愛行動よ。わからないの?」
いや、わかるとかわからないではなく理解ができない。おかしいよね、俺が間違ってんの?
確かに世界の方が常々間違ってると思ってるから、俺間違ってない。よし、QED証明終了。

「ちげぇ、理解ができないってこった!お前なんで公共の場で何してんの!ぼっちは目立っちゃうことを一番忌避するっての!」
「好意に答えたのに理解できないなんて、本当に国語学年3位の台詞かしら」
あー、やっぱりそういうことなのかー。もしかしたらなんていつも勘違いして終わるのに、今回このタイミングで俺リア充になっちゃう系!?
こうなるとウェイウェイとか言っちゃう俺マジconfusion。
「あなたのことだから、言葉で伝えるより行為で伝えないと伝わらないでしょ。好意だけにね」
誰がうまいこと言えと。あとその首かしげる仕草やめてもらえませんか、かわいいから。
「いや、理解できるから、マジ俺COOLだから、それよりあの、自転車倒れているんで起こさないとダメなんだけど」
「大丈夫よ、まだHRまで5分以上あるわ」

そういうと俺の胸に顔をうずめてすりすりする雪ノ下、あれ、天使がいる。戸塚だけじゃない?天使って他にもいるの?
って俺の心臓はもう5分ももたんわ。なにこのかわいい生き物。あれでしょ夢でしょ。これ、きっとそう。間違いない!
一通り現実逃避をしたものの、俺の胸元には雪ノ下がいることに変わりない。現実は非常である。
「頼むから!後でなんでもするから」
言った瞬間空気が変わった。具体的に言うと待っていたといわんばかりに雪ノ下がにこやかに俺の目を見つめて言う。
「なんでも?」
人は失敗して、経験を重ねていくものだ。それは間違いない。ただ俺は自分の胸に女性が顔をうずめるなんて経験をいまだかつてしたことがない。
だから対処なんて想像したこともなければ、わかるはずもない。よって俺に残された道は雪ノ下の言うことを聞くだけだ。
「そうね、それならまずは……」
右手を顎に添えて、考えるその姿も様になるは美人の特権か、などど他人事のように達観していると雪ノ下は悪戯っぽく微笑むと優しい声音で言葉を告げる。
「今すぐ抱きしめてもらえるかしら」
今日は早退しよう、明日は休もう。もう八幡のライフはゼロよ!そう考えながら俺は雪ノ下の肩を包み込むように抱き返した。

以上でした。皆様はどのくらい時間をかけて書くものなのでしょうか。

コメントは次回があれば参考にさせていただきます。
ではでは。失礼いたしました。

改行は気付かなかった。。。

ご指摘ありがとうございました。

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