海軍大将「艦娘のセクハラだと?」 (67)

大将「そうか、未だにそんなことが…全く自分の艦娘に手を出すとは何を考えとる。教師が教え子に手を出すようなものだ」

参謀「いえ、閣下。艦娘『の』セクハラです」

大将「…なに?」

参謀「鎮守府、それに泊地の提督から多くの報告が届いておりまして…」

参謀「えーとですね、まずは『ことあるごとに抱き付いてくる』『恋文らしきものを渡された』」

参謀「それに『艦娘用の宿舎に引っ張っていこうとする』『寝床に入り込んでくる』」

参謀「あとは『潜水艦が士官用の風呂に潜伏してのぼせていた』とか」

参謀「こんなところです。どう思われますか、閣下?」

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大将「……」

参謀「閣下?閣下ー?」

大将「…艦娘が導入される前も色々と風紀の問題はあったものだ」

参謀「はぁ」

大将「軍の物資を現地民に売りつけるわ、軍機の塊の艦内に芸者は呼ぶわ……まだ少女の現地妻を密航させた水兵もいた」

参謀「うわぁ」

大将「しかし、しかしだなぁ…」

参謀「はい」

大将「仮にも上官であるはずの提督に対するセクハラとは……聞いたことがないぞ」

参謀「それやったら普通は叛乱扱いですからねぇ…大将は『戦艦ポチョムキン』ご覧になりました?」 

大将「しかもあんな…素直で優しい艦娘がそんなことするとは思えん」

参謀(観艦式は見事なまでに猫かぶってたからなぁあの娘たち)

参謀「閣下、恐れながら艦娘たちはああ見えても女の子なのです」

大将「しかし女性である前に海軍の一員でも…」

参謀「…失礼ですが閣下は女性経験は豊富な方でいらっしゃいますか?」

大将「な、何を言う。私だとてご婦人の一人や二人」

参謀(『ご婦人』…)「本当ですか?もしかしたら士官学校では休日にニヤニヤしながら街へ抜け出していく同期を
尻目にガリ勉してたり、任官されてからも風紀の悪い水兵のケツをけっ飛ばすのに忙しくて上陸しても何もできなかったんじゃないですか?」

大将「け、ケツ…今ケツと言ったかね」

参謀「あ、すいません。つい…」

大将「ケツ…参謀くんが、ケツ……」ブツブツ

参謀「……閣下。もしかして、女の子に夢持ちすぎてませんか?」

大将「」ギクッ

参謀「いいですか閣下。艦娘たちは閣下が長年仕事してきた男所帯とはかなり違います」

参謀「男女差別する気じゃありませんが、やっぱり男の人と女の人ってのは性質が違うんです。艦娘も兵器ではありますが、同時に女の子でもあります。閣下だって、水兵や士官たちが兵士であって男の人ではない、とは言えないでしょう」

大将「う、うむ…」

参謀「有事であったとはいえ、艦娘の余りに急すぎる導入は色々と混乱も起きました。閣下が以前に取り組んでおられた提督のセクハラ問題とか」

大将「あれは本当に恥ずかしい問題だった……海外からも非難が殺到して危うく海軍が解体しかけた」

参謀「で、色々とあって一応安定したように見える我が海軍ですが…ここに来てまた問題が起きました。それが」

大将「艦娘のセクハラだと?」

参謀「大将、色々と提督の行動とかに制限を設けられましたよね。あと相談窓口とかも作りましたよね」

大将「ああ。宿舎に認証機能を取りつけたり監視カメラを設置したりしたな」

参謀「まぁそこまではいいと思いますが…艦娘の方に何か制限は設けましたか?」

大将「いや特に」

参謀「…何かズレてるって思いませんでした?」

大将「いや、必要ないだろう?君がさっき言ったように彼女達だって年頃の娘だ、恥じらいくらいは心得て」

参謀「年頃の娘だからですよ…」

大将「すると君は何か、彼女達が…その、ふしだらな行為を自主的に行っていると?」

参謀「じゃなきゃこんなに提督から苦情来ないと思いますよ」

大将「……」

参謀「全部が全部、本当のことだって言う気はありません。中には閣下が思われているように誇張しているのもあるかもしれません。でもはっきり言って閣下は女の事知らなさすぎですよ…みんながみんな、漫画のヒロインみたいな純粋な子じゃないと思います」

大将「…信じられん」ボソッ

参謀「へ?」

大将「この目で見るまで私は信じられん」

参謀「で、では内部調査をしましょう、こちらから人を送って一か月か二か月間調査を」

大将「いや、この目で見たい。間諜用の超小型ヘッドカメラがあったはずだ…頼んだぞ大淀くん」

参謀「あれは米軍からの借り物ですよ。それに誰を…へ、大淀?」

大将「大淀くん、君しか信頼に足る者がおらんのだ。それに艦娘の君なら無難に入り込めるだろう…大丈夫だ、仕事は何とかする」

大淀「そりゃ確かに私は艦娘ですけど…鎮守府や泊地で任務に当たってる娘とはタイプが」

大将「大淀くん」ズイッ

大淀「わっ!?」

大将「……」

大淀「ち、近いですよ閣下…」

大将「…これまでに提出していた休暇願い…全て受理しよう。もちろん今回の内密の調査に費やす期間とは別に」

大淀「……」

大将「そして誰にも露見することなく任務を達成できた場合特別報酬を約束する」

―――――――

大淀「全くあの人ときたら…職権濫用もいいところじゃない!」

大淀「休暇願全部なんて…下手したら一年余りよ」

大淀「そんな長期の休暇なんて産休か育児休暇くらいしか…」

大淀「……」

大淀「何よ、自分だって思いっきりセクハラしてるくせに」

『あーあー、聞こえるか「エンタープライズ」。こちら「サジタリウス」。どうぞ』

大淀「ぎゃっ!?」

大淀「か、閣下…音量デカすぎです…」

『おおすまんな。つい無線機を使ってたころの癖が』

大淀「ってか何ですかエンタープライズとかサジタリウスって」

『一応アメリカさんの衛星を借りとるわけだからな。せめてコードネームとやらをつけねばと』

大淀「日本語で話してる時点でバレバレですよ…」

『まぁ心配するな。きちんとそこらへんは考えてある』

大淀「本当ですか…?」

『ところで首尾はどうかね』

大淀「えーとですね、まずは国内の鎮守府からということで…『艦娘がことあるごとに抱き付いてくる』と陳情が寄せられた鎮守府です」

『うむ、よく見える。かなり大規模な鎮守府だ…ここは開戦当初は深海棲艦の襲来がかなり多かったのだ』

大淀「まるで要塞都市ですね…」

『そうだ。そして今も重要な拠点であることには変わりない。よって提督も艦娘も精鋭を配置してあるはずだが…』

大淀「どんな人なんですか、その精鋭の提督さんって」

『うむ。まずは士官学校を最年少かつ首席で卒業し、二年の勤務を経てイギリス王立海軍へ駐在武官として派遣。
そして今年になって本土へ帰還しいよいよ出世街道を駆け上ろうという正に麒麟児だ」

大淀「超エリートじゃないですか!?…う~ん、でもそういうエリートに限って…」

『彼に限ってはそういう心配はないだろう。しかしもし艦娘にそういうことをされているのであれば…
指揮官としての能力に疑問を感じざるを得ないな」

大淀「意外と厳しいですね…」

『私としても彼が艦娘を貶めようと虚偽の報告をしているとは考えたくないのだ。それよりはそう考えた方が気が楽でもある』

金剛「て・い・と・くぅ~~!お昼のハグの時間デ――――ス!」

大淀「ん?あれは…金剛型?追いかけてるのは…子供?」

子供「はっ、はっ、はっ…うあぁっ!?」ガクッ

大淀「あ、こけた」

金剛「んふふ~っ、捕まえたデスよぉ提督ぅ?何で逃げるんデスかぁ?イングランドに居た時は普通にしてたじゃないデスか?」

子供「あ、あれは英国での話だろ!それに…こういうことはお前みたいな大人の女とすべきじゃないって」

大淀「あの、閣下」

『サジタリウスだ』

大淀「あのサジタリウス閣下。まさかあれが」

『…うむ。彼がこの鎮守府の提督なのだ』

大淀「え、えぇ~っ!?あんなちっこいのが!?」

金剛「金剛は建築されてから十四年デース。提督と同じ年デスよ?」

ショタ提督「そういう話じゃない!そりゃイギリスにいた頃は何も知らなかったから…ゴニョゴニョ」

大淀「士官学校って小学生が入れたんですか…?」

『彼は超が付くほどの天才児でな…七歳で大卒資格を取った。無論、そんなものは常時だったらびっくり人間くらいの
価値としか思われない物だが…あの時はとにかく人手が無かった』

『そして子供を戦場に送るのはどうかという倫理上の問題もあったのだが…本人の強い希望により士官学校へ特例で入学したのだ』

大淀「そうなんですか…」

『比較的安全なイギリスで艦娘の指揮を学びながら王立海軍とドーバー海峡の防衛指揮を執っていたのだ。
そして深海棲艦が落ち着いた今、本国へ帰還しここの提督を任されたのだが…』

大淀「色々と問題アリ、みたいですね」

『金剛…お前には彼の保護者になってくれとは言ったがそこまでやる必要は』

金剛「さっ、提督お茶にシマショ!」

ショタ提督「お、降ろしてくれ!自分で歩ける!」

金剛「大丈夫デス!大将サンの御墨つきネ!」

金剛「アラ?貴女新しい艦娘デスカ?」

大淀「え、あっ、ハイ!軽巡洋艦の大淀ですっ!」

ショタ提督「! お、降ろしてくれ!」

金剛「きゃっ!」

ショタ提督「えー、オホン。○○鎮守府への着任、まずはおめでとう」キリッ

大淀「は、はぁ…」

ショタ提督「深海棲艦の脅威はひとまず鳴りをひそめたとはいえ、またいつ再来するとも知れない。
故にこの鎮守府も戦時中と変わりない防衛体制を崩せない。君には決して油断することなく、如何なる時もシーマンシップを忘れずに」クドクド

愛宕「提督?また新しい娘にお説教?」ムギュ

ショタ提督「むぐぅ!?」

金剛「あーっ!何するんですか愛宕!」

愛宕「いいじゃない、『スキンシップ』よ『スキンシップ』。金剛もいつもしてるじゃないの」

金剛「むうぅ~っ!」

大淀「あ、あのお二人とも?提督がお苦しそうですよ」

ショタ提督「ぷはっ!…はぁ、はぁ…大淀くん、後で改めて辞令を伝える。提督室に来給え…それと愛宕に金剛!
ことあるごとに抱き付くのはやめろ!はしたないぞ!」

ショタ提督「全く、僕は提督なのに…」ブツブツ

金剛「あっ、待ってクダサイ提督!テイトクー!」パタパタ

愛宕「もう、つれないんだから提督ったら…かわいい」ポッ

大淀「う~ん…どう思われます、閣下?」

『………』

大淀「閣下ー?」

『…初めて会った時、金剛は私にこう言ってくれたのだ……「絶対に守りマス!閣下の秘蔵っ子デスカラ!」と』

『その時の金剛はとても気丈で凛々しく…まるでジャンヌ・ダルクのようだった』

大淀「微妙に縁起悪い例えしないでください」

『それが今やあんな風に、仮にも男子に、やすやすと身体を許すような娘に育ってしまったとは……』ズゥーン

大淀「身体を許すって…でも確かにあれは過剰ですよね」

『イギリス海軍の悪習に染まってしまったのか…くそ、ライミーどもめ!大体あの『ヤギ事件』の時に気付くべきだったんだ!』

大淀「何ですかヤギって…まぁこれで提督くんからの訴えは事実だということが確認されましたね」

『うむ…戦時中は彼は実に巧みに艦隊を指揮したものだが……深海棲艦という脅威がなくなった今、覇気が無くなったのかもしれん』

大淀「そうですかねえ…でも提督くん、そんなに部下を従わせるようなタイプじゃないと思いますよ」

『ん?どういう意味だ?』

大淀「何というか…う~ん、よく言葉には表せません。取りあえず提督室に行ってみましょう」

――――――

大淀「はぁ~……」ゲッソリ

鈴谷「お、新入り?…はは~ん、さては提督にたっぷりお説教されたんでしょ?」

大淀「え、いえ…お説教とかそういうものでは」

鈴谷「いいっていいって、みんなわかってるんだから。この鎮守府に入る艦娘の洗礼みたいなもんよ」

鈴谷「海軍教本とか英字の本とか机の上にどさって置かれて、よくわかんない横文字とか並べて長々とお話、合ってるでしょ?」

大淀「あ、あはは…そうですね」

鈴谷「その後もずっとお説教ばっかだった?」

大淀「え、えぇまぁ…」

鈴谷「え?なになになに?ねぇねぇ他にも何か言われちゃったの?あの提督くんにっ!」ズイッ

大淀「そ、それはその…」

大淀(言っていいのかしら、これ…)

――――――――

ショタ提督「…最後になるが、君は僕の姿を見て何か思うか?」

大淀「その…随分、お若いですね」

ショタ提督「そうだ。僕は小さい。秘書艦の金剛など未だに僕を子供扱いだ…だが!」

大淀「は、はい!?」

ショタ提督「僕は提督だ!どんなに小さくたって君達の命を預かってるんだ!君達に守られてもいるが、君達を守る義務や責任だってある!…君達を絶対に沈ませはしない、信頼してくれ」

大淀「…」

ショタ提督「話は以上だ。下がってくれ」

―――――――

大淀「…って」

鈴谷「ね、ね、ね!やっぱり提督ってかわいいでしょ!あの顔であんな事言われたら本気にしちゃうかも!やばいでしょ実際!」

大淀「あのぉ…やっぱりこういうお話はやめにしませんか」

鈴谷「へ?」

大淀「提督、本当に私たちのこと大事に思ってくれてるんだと思います。なのにこんな風に話のネタにするのは…」

鈴谷「う…べ、別にそんなつもりじゃ…」

熊谷「あら、どうなされたのですか鈴谷さん?それにそちらの方は?」

大淀「あ、初めまして。新しく配属された軽巡の大淀です」

熊谷「あら、では提督からの熱いラブコールはもうお聞きになったのですか?」

大淀「ら、ラブコールう?」

熊野やで

熊谷「ああ、提督ったらそれはそれは素晴らしい御方ですの…とっても可愛らしい御方ですのに
いつも健気で私たちのことを考えてくださって…うふふ、それにとっても、とっても照れ屋さんでいらっしゃるんです」

鈴谷「そうそう。なんかさ、いつもガミガミ小難しいこと言ってるけどちょっと抱き付いてあげると顔真っ赤にしちゃうのよ!か~っわいい!」

大淀「あの、あんまり過剰なスキンシップは…提督も気にされているようですし」

熊谷「? そんなことはないと思いますよ?きっと提督も内心は喜んでおられるでしょうに…殿方とはそういったものです」

鈴谷「そうそう。でも照れ屋さんなとこもかわいいと思うなぁ…ツンデレってやつ?」

>>37 ごめんね

大淀(か、会話についてけない…)「あの、そろそろ失礼します…」

熊野「もう行ってしまわれるのですか?寂しいですわ…」

鈴谷「え~もう少しダベろうよ。ねえねえ、大淀は提督にはもうハグしたりした?」

――――――

大淀「はぁ~…やっと抜けだせたわ…えっと閣下、起きてらっしゃいますか?」

『………』

大淀「閣下!応答してください、閣下ー!!」

『だ、大丈夫だ…少し情報を整理させてくれ…』

『艦娘に嫌われているわけでも舐められているわけでもないようだが…指揮官として最良の位置にいるとは言い難いな』

大淀「まるでお姫様やアイドルみたいな扱いですからねぇ…本人の意志に関係なく艦娘たちが『こうすれば提督が喜ぶ』と考えているのも問題です」

『ふーむ…ここはやはり金剛を探るべきか』

大淀「大丈夫ですか?さっきものすごくショック受けてましたけど」

『何、もう吹っ切れた』

鈴谷「あれ、大淀じゃん。何してるのこんなとこで」

大淀「ひゃいっ!?」

鈴谷「? その耳に付けてるの何?…ひょっとして…」

大淀「あ、え、えぇと…こ、これはですね」

鈴谷「…わかった!あれでしょ、音楽プレイヤーでしょ!あの耳につけるやつ!」

大淀「! そ、そうなんですよ!実はそうなんです!」

鈴谷「へぇ~珍しいなぁ。雑誌なんかでよく見るけど付けてる人全然見たことないんだ」

大淀「えへへ、新しいもの好きですからついつい買っちゃうんです」

『よし大淀くん、上手く誤魔化せたぞ!』

大淀(か、閣下!音が漏れ…)

鈴谷「あ、音が漏れてる?あんまり性能自体は高くないのかなぁ…ちょっと見せてもらってもいい?」チャッ

大淀「あ」

鈴谷「へぇ~すっごい…こんなに小さいんだ…ん?何これ?えーと、ゆーえすねいび」

大淀「あ、あのっ!鈴谷さんってぶっちゃけ提督のことどう思ってらっしゃるんですかっ!」

鈴谷「へっ?」

大淀「何て言うか…その、私思ったんです。提督がみんなに好かれてるのはわかったけど…その…指揮官としては、どうお考えなんですか?」

鈴谷「指揮官?提督くんのこと?」

大淀「そうです。提督は自分は守られるばっかりじゃなくてみんなを守らなきゃいけないって仰ったじゃないですか。
でも…みんな抱き付いたりとか、自分の好きなところに引っ張っちゃったりとかで」

鈴谷「あははは、そんなことないよ!提督くんもきっと喜んでるって!だってさ、女の子に優しくされて喜ばない男の子なんていないもん。提督くんは照れ屋さんだし、照れてるだけだって」

鈴谷「…それにね、もし提督くんが危なくなったりしたら……私、絶対に提督くんのこと守るから。
それなら別に沈んだっていいもん」

大淀「え?」

鈴谷「あ、今のは提督くんの前では言わないでね!また守るだの何だの言い出しちゃうから。これ返すね。おやすみ」

大淀「今の…どういう意味なんでしょう閣下」

『これは…かなりいかんかもしれん』

『私はあの子の評価を間違えていたのかもしれんな…彼の指揮能力や作戦立案のセンスではない。
彼が何故あそこまで艦娘たちの忠誠を得ているか、ということについてだ』

大淀「閣下はどうお考えだったんですか?」

『彼は戦線にわざわざ出向いて指揮を執っていた。将官が部下と危険を分かち合うことで
士気を保つ、若く有能な将官にありがちなタイプだ。だから冷静さと慎重さを身に着けさせようと本土の守りにまわしたのだが…』

大淀「…事実は違ったと」

『士気を上げていたのは彼ではなく艦娘のほうだったのだ。恐らく幼くして戦場に飛び込んだ彼を守ろうと団結していたのだろう…』

大淀「やっぱり、金剛さんの影響なんでしょうか…」

『…かもしれん…』

金剛「提督、こんな遅くまでお勉強デスカ?お夜食お持ちいたしまシタ!」

ショタ提督「金剛か…そこに置いておいてくれ」

金剛「お体に障りマス、そろそろお休みになってくだサイ」

ショタ提督「大丈夫だって言ってるだろうこれくらい!僕は早く強くなら…い…と…すぅ…すぅ…」

金剛「さぁおねんねしまショウ?ネ?」ギュッ

ショタ提督「ん…」

金剛「ふふっ、大丈夫デス提督…私たちがお守りしマス…」


大淀「…きっと、提督くんは艦娘のみんなから『守りたい』って思われるような人柄だったんです。
あんな風に艦隊を動かせたのも艦娘の意志が提督くんを守るってことで一致してたんでしょう」

『だが、本人はそれに気付かない。そしていつまでも一方的に守られている自分が嫌になってきたのだ…真面目なあの子の性格を考えれば妥当だな』

大淀「だからあんな風に必死になって勉強したり新しい艦娘に長々とお説教したり…」

『…艦娘にとってそれは提督が自分たちから離れていくように感じたのだろう』

大淀「気持ちのすれ違いですね…」

大淀「さて、大体のセクハラの真相は掴めましたね閣下」

『ああ。悲しい事件だったな…だがこれで決着が付いた』

大淀「ええ…って何も解決してませんよ!これからどうするんですこの鎮守府は!」

『知らん。もう知らん。提督は必死になって戦術を研究してるし、艦娘の意志は統一されてるしでいいじゃないか』

大淀「現実逃避しないでください!有事に艦娘が提督の命令に従わなかったら偉いことになりますよ!」

『ええい、道は二つだ!一つは艦娘たちを説得し、提督の意志を尊重させること!』

大淀「軍隊でやる説得とは思えませんね」

『もう一つは提督を説得し、自分は守られてこそ真価を発揮すると納得させること!』

大淀「えぇ~…どうなんですかそれも」

『部下を引き付ける能力も立派な才能だ…そういう意味ではこの提督には艦娘を結びつける楔になってもらうという道もある』

大淀「提督くん自身が納得してくれるでしょうか…あんなにみんなを守ろうって頑張ってるのに」

『いざという時は私を出せ。彼なら秘密を保ってくれるかもしれん…陰険なやり方ではあるが』

大淀「艦娘たちを説得する方はどうでしょう?」

『それは君の要領にかかっているとしか言いようがない…金剛は数年前に顔を会わせたきりだ。それに私は…実は余り…』

大淀「今更認めるんですか」ボソッ

『ん?』

大淀「いえ、何でも。まずは艦娘の説得に当たってみましょう」

おやすみ

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