悪の極星(12)

私は善いことが嫌いだ。
私は悪いことが好きだ。
私はヒーローが嫌いだ。
私は悪役たちが好きだ。
人間は性悪だから、本能を抑え、自己を抑える善いことが嫌いだ。
ヒーローは正義を振りかざすが、その正義は所詮主観での正義であり、相手にとっては迷惑かもしれないからだ。

そのようなことを私は城の図書館でブランデーを飲みながら考えていた。
ここは広い。闘技場並だ。この中の本棚は森のように生い茂り本は木になる果実のようにたくさんある。
私が今読んでいる本は世界の歴史。どの時代にもヒーローが出てくる。
それは暴君を討ち善政を敷く名君であったり、魔族からの進攻を防いだ名将であったり、敵軍勢を一人で撃退した英雄であったり。或いは、魔王を討ち倒した勇者であったり。
悪が栄えたことなどこの世界、セレモントには無かった。
ここで私は思う。私が世界初の悪の勝利者になろうと。

自作小説のプロットになりますが楽しんでいただけたら幸いです。

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