【ラブライブ】星空の絆メーカー (90)

ラブライブのSSになります
若干のキャラ崩壊、微エロを含む可能性がありますご容赦を

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1412179097

ある日。私は一人の老人に出会った。

μ’sの練習のない日で、私は掃除当番だったから、まきちゃんとかよちんには先に帰ってもらった。

一人で下校してる途中、そこでその老人が重そうな荷物を持って歩いているのを見かけた。

りん「よかったら、お持ちしますよ?」

老人「ありがとう……若いのに親切だねえ……」

りん「いえいえ!私じゃなくてもきっと」

そんな話をしながら、老人の荷物を持って歩いた。

老人「この角を曲がったらすぐだから、ここまでで結構だよ」

りん「え?そうですか」

荷物を返すと、老人はその中からスマートフォンくらいの大きさの機械を取り出した。

老人「お礼にこれを、あげるよ」

別に、ゲームとかやらないんだけどなあ。

りん「大切なものなんじゃ?」

例えば、お孫さんへのプレゼントだったとか。

老人「いいんだ。持っておいておくれよ、りんちゃん」

老人はスイッと荷物を持ち上げると軽やかに角を曲がって行った。

りん「そんな、もらえませんよ……え?」

追いかけた角の先に、既に老人はいなかった。

家に帰って、その機会をいじってみる。

私はそういうのに弱いから、これがなんなのかもわからない。

りん「ゲーム機じゃなかったみたいだし……」

ピッ

……電源が入っちゃった。

画面に文字が浮かび上がる。

りん「絆メーカー……?」

~選んだ対象の関係を自由自在にコントロールする機械~

りん「なにこれ」

~対象を二人選んでください~

りん「え、ええと」

ふと、かよちんが浮かぶ。

~対象、小泉はなよ 星空りん~

あれ、頭に思い浮かべただけなのに……寒気がするほど高性能にゃ。

~数値を決めてください~

りん「うーん、わけわかんないや」

私はその奇怪な機械を放り投げてベッドに横たわる。



……数値、100。

はあ、なんだか眠たくなってきた。

プルルルルルル

そのタイミングで、電話が鳴る。

りん「もしもし?かよちん、どうかしたの」

はなよ「りんちゃん……」

電話から、かよちんの弱々しい声が聞こえてくる。

なんだか、いつにも増して弱々しい気がする。

はなよ「ごめんね、なんだか急に声が聞きたくなって」

りん「え~嬉しいにゃー」

はなよ「でも、もう声聞いたら……声だけじゃ寂しいよりんちゃん」

かよちん?すすり泣いているのが聞こえる。いったい何があったの……?

はなよ「会いたいよ今すぐ。行っていい、かな?」

りん「……!?どうしたのかよちん、りんにできることならなんでも」

はなよ「わからないよ、りんちゃんに逢いたくて逢いたくて逢いたくて」

だんだんかよちんの息が荒くなってくる。はあ、はあ、と吐息が受話器越しに耳を……

ご、ごくり。

はなよ「り、りんちゃん、りんちゃん!私もう」

りん「う、うん。りんはかよちんの味方だよ!えっと」

はなよ「私りんちゃんのところ行くから!今から行くから!」

電話は切れた。

これはただ事ではない。

ふと、さっきの……絆メーカー?に目が行く。

~はなよ→りん100~

りん「なんだろこれ」

なんとなく、頭の中で100を10にしてみる。

ただ思うだけ。なぜだかそれでそうなる気がした。

~はなよ→りん10~

10になった。いや、でもだからってこれはなんなんだろう?

プルルルルルル

また、かよちんからだ。

りん「もしもし!かよちん大丈夫!?」

はなよ「あ、もしもし?なんか急にどうでも良くなっちゃった」

りん「え」

はなよ「疲れるし、時間とかもったいないからやっぱり行くのやめるね。じゃ」

りん「ちょ」

ツー、ツー……

そりゃないよ。

かよちんはいったい、ん?

もしかして……絆メーカー、この機械が!?

選んだ対象の関係を自由自在にコントロールする機械。

まさか本当に?

かよちんは、数値を100にしたからりんに逢いたくて仕方がなくなって、10にしたらどうでもよくなった……

そういうこと?

そ、そうか!じゃあ今のかよちん氷河期はこれのせい!

頭で思う。

はなよ→りん80

これくらいかな。

プルルルルルル

はなよ「ごめんねりんちゃん!私さっきはどうかしてた!」

情緒不安定なかよちんも好きだにゃー。

謝るかよちんを他所に、私は冷静だった。

つまり、この機械は……。私のもとに、とんでもない機会が訪れた。

なんちゃって。

次の日、私は早速学校に絆メーカーを持ってきてみた。

部室に集まっているとき、すかさず入力してみる。ものは試し、だっけ?

操作はいらない。思うだけ。

……うーん、にこちゃんとことりちゃん。この組み合わせでいってみよう。

数値も入力する。

操作はいらない。思うだけ。

にこ→ことり90

にこ「びくっ」

ひひひ。どうなるかにゃ?

にこ「ことりちゃ、ことり」

ことり「どうしたの?にこちゃん」

にこ「あ、あわわえっと、なんでもない?」

ことり「えぇ、なあに~?」

にこ「よ、呼んだだけ!」

のぞみ「なんやにこっち、ニヤニヤして」

にこ「なっ!してない!!!」

これはこっちまでニヤニヤしちゃうよ!

よーし!

にこ→ことり100

にこ「すー……はー……」

にこちゃん必死に押さえ込もうとしてる!

まき「りん、何してるのさっさと着替えるわよ」

りん「あっごめん」

とりあえず、みんな練習着に着替え始めた。

にこ「あばば、ばか!待ってことりちゃん!こんなところで着替えるなんて」

ことり……ちゃん?

に、にこちゃん頭の中ではちゃん付けしてるの!?

りん「ぷっ!……ううん、ごほごほ」

ことり「ど、どうしたの?みんな普通にここで着替えてるよ?」

にこ「そうなんだけどなんか、はあ、はあ」

ほのか「にこちゃん……?だいじょ」

にこ「ああんもう!ことりちゃん!ことりちゃーん!」

にこちゃんはことりちゃんに抱きついてスリスリと顔を寄せる。

ことり「……!?……!?」

うみ「に、にこ!??」

にこ「あああ、はああ、ふああ……ことりちゃんだいす」

ここで50くらいに戻すよー。

にこ「だいす……」

ことり「だいす?」

一同「だいす?」

にこ「ダイス。サイコロのことね」

ことり「うん?」

にこ「ちがあああう!!!今のはなんか違うの!!!知らない!違う!」

顔を一の目のように真っ赤にして悶えるにこちゃん。

これはおもしろいイタズラキッドを手に入れてしまった。

にこ「うわあああ今のはにこじゃないのおおお」

……やりすぎたかな。


面白そう

期待

面白い

うみ「ことり……さっきのは?」

ことり「うん。どうしちゃったんだろうね、にこちゃん」

えり「にこ……心に闇を抱えているのかしら」

のぞみ「にこっちの闇は深い」

まき「のぞみ、茶化さないで。明らかに様子が変だったけど」

りん「気のせいにゃー」

ほのか「きっと人肌恋しくなっちゃったんだよー」

なーんにも問題はない。

こんなことでみんなの関係が揺らぐことはない。なぜなら!

それすら全て私の思い通りなんだ!

ぜーんぶ、この星空りんの思い通りなんだ!

【tellerにこ】



にこ「……」

き、昨日のはなんだったのかしら。

なんだか急にことりちゃんのことが愛おしくなって……

ぬあ!なに言ってるのにこ!

実際、あの時の変な気持ちはもうすっかり消えてる。

あれはなにかの間違いだったのよ。そう。魔が差したの。

と、とにかく。昨日のことはなかったことにしましょう。何事もなかった。

フウ、と一息ついてから扉を開ける。

にこ「おはよう。みんな」

ほのか「あ、にこちゃんおはよう!」

うみ「おはようございます」

ことり「おはよう」

げっ、よりによって今いるのはこの三人か……

ほのかちゃんは大丈夫そう……なんとなくだけど。

しかしうみちゃんと本人は、どうかしら。

いや!だめだめだめぇ!さっき決めたじゃない。昨日は何もなかった。

にこ「ほのかー、前言ってた振り付けの事なんだけど」

ほのか「あっ!どう?いいと思うんだけど」

平常心平常心。

ことり「あの、にこちゃん?」

へへへ平常心……へいじょうしん。

にこ「ひゃい!」

ほのか「なにそれ!……くくくっ」

ことり「衣装、下書きしてきたんだけど見てくれる?」

にこ「あ、ああーいいんじゃなーい」

よしよし大丈夫よにこ。落ち着いて。


うみ「そういえばにこ、昨日のことですが」

ぎゃああああああああ!!?

にこ「ふ、ふええ?なんのこと?にこわかんなーい」

にこわかんなーい。にこわかんなーい。きこえませーん。

うみ「昨日ことりに……」

にこ「にっこにっこにー!そういえば今日の夕飯は何にしようかしら!!!」

だれかたすけてー。

ほのか「あー……!うみちゃん。私教室に忘れ物しちゃった、ついてきて!」

うみ「えっ、ちょっ、ほのか!えっと」

ズルズルとうみちゃんはほのかちゃんに引っ張られ部室を出て行った。

ふ、ふう。助かった。これで……あれ?

つまり今、私はことりちゃんと二人きり?

やばい。

ことり「あはは、行っちゃったね、二人共」

にこ「え!いや別に私はなにも!」

ことり「えっ?」

どうすれば!

にこ「こ、ことり!」

ことり「わ、はい」

あああ頭真っ白。自分でもなんであんなことしちゃったのかわからないのに……

ど、どうやって場をつなげれば……えっと、いつもどんな話してるっけ?

りん「そーっ……」

にこ「ピクッ」

あ、れまたなんか……

まるでどこかからスイッチを押されたみたいに……

にこ「ねえ……ことりちゃん?」

ことり「に、にこちゃん?」

にこ「にこ、にこはね、アイドルなの。だけど」

少しづつことりちゃんに近づいていく。

にこ「誰かのものになっちゃいけないんだけど……」

ああ、私また変だ。

ことり「にこちゃん?ち、近いよ……どうしたの」

にこ「ことりちゃん……」

ことり「え、きゃっ」

ことりちゃんを壁際に押し倒す。

ああ、もういいや。ことりちゃん、ことりちゃん。……ことり。ことり!

ずりずりと壁にもたれるようにしてしゃがみこむことり。

これがニッポンの文化、壁ドン。

からの私は覆いかぶさるわけ。触れたくて触れたくて仕方がない。

だって、こんなに近くにいるのに、触らないなんてありえないじゃない。

にこ「はあはあ……んっ」

体が密着する。ああ、温かい。ことりを肌で感じる。

ことりの太腿が私のそれと擦れあう。

私の……にこの太腿もことりのそれと擦れ合う。

ことり「んっ……えぇ……?」

ことりの困惑した表情。か、かわいい。

もうどうにかなっちゃいそう。……いや、どうにかなっちゃったみたい。

にこ「ことり、ことり……!」

どうしたらこの胸からこみ上げるものを……

わからなくて、とりあえず名前を呼んだり、ぎゅーっと抱きしめてみる。

でも全然ダメ。私の頭の中はもうことりでいっぱい。

もっともっとことりでいっぱいにしたい。体中をことりで満たしたいのに……

にこ「はあ……」

ことり「ひゃあっ……」

漏れた吐息がことりの左耳にかかる。

ああ、耳もちっちゃくて可愛い。ラブニコ。

その耳にちゅっ、と唇を寄せてみる。

ことり「……!はっ、やぁ……」

もうだめだ。止まらないわこれ。

唇を耳から首筋、頬……とつたわせていく。目的地へと向かわせる。

ことり「にこちゃん……こんなぁ」

きっとことりは涙目で訴えていることでしょうね。

でももう、にこはいろんなものをぶち壊してしまう。

ことりの唇……少し湿ってる。そこににこの唇が……

りん「なにやってるのー?」

星空りんが覗いていた。

にこ「……」

ことり「……」

終わった。

いや。そもそも誰に見られてようがいまいが、もう終わってる。

ことり「り、りんちゃんこれは……にこちゃんが転んじゃって!」

この期に及んで私を庇うの?ことりちゃん……あんた優しすぎる。

優しすぎるから、辛い。

でもこの激情はもう決壊寸前にこぉ!

りん「なあんだ。転んだだけか」

と、思ったけどそうでもない?

さっきまでのおかしい矢澤にこはすっかり失せていた。

りん「ぷぷぷ!にこちゃんドジだにゃ」

にこ「なんですってぇ!待ちなさい!!!」

りん「捕まらないよ~!」

ドタバタと私はりんちゃんを追いかける。



うみ「まったく、何を忘れたか忘れるなんて!」

ほのか「ごめんごめん。あれ、ことりちゃん一人?にこちゃんは?」

ことり「りんちゃん追いかけてどこか行っちゃった」

ほのか「えー!」

ことり「ぼー……っ」

うみ「ことり?」

ことり「へっ?」

うみ「どうしたんです?顔が赤いですよ」

ことり「う、ううん」

【tellerりん】



絆メーカーを手に入れて数日。

おおよそ使い方はわかったにゃ。

さて、今日はどんなイタズラしようかな!



えり「のぞみ、そこの資料とってくれる?」

のぞみ「はいよ」

えり「ありがと」

りん「コンコン。おじゃましまーす」

のぞみ「あらりんちゃん、いらっしゃい。コーヒーでいい?」

えり「ここにコーヒーはないでしょ。ごめんなさい、まだ生徒会の仕事残ってるの」

りん「じゃありんも手伝うよ!」

のぞみ「ほんと?助かるなあ」

まずは、えり→のぞみ90

えり「ま、待って大丈夫よ。私とのぞみで十分」

のぞみ「ええ?えりち、遠慮するような仲やないよ?」

えり「えっ!でも……二人きりで」

のぞみ「はい、りんちゃんはここ整理しておいてくれる?」

りん「任せてよ!」

えり「むすっ」

のぞみ「?」

えり「ふんっ。さ、早く終わらせましょう」

うひひ、えりちゃんむくれてる!

のぞみ→えり20

のぞみ「ていうか、ウチとりんちゃんで十分やし、えりち先いってていいよ?」

えり「え?嫌よ!えっと……」

のぞみ「別にいいやん」

えり「そんなこと言わないでよぉ」

のぞみ「喋ってないで手動かしてー」

えり「ひどいわのぞみ……私はこんなに」

のぞみ「わかったわかった。じゃあこれ全部よろしくね。任せたよ」

えり「え、全部!?のぞみは?」

のぞみ「ウチは練習顔だしてくる。えりちも終わったらきてな」

えり「のぞみ……任せて!あなたのために全て請け負うわ!!!」

のぞみ「さ。いこか、りんちゃん」

このままじゃちょっとアレだよね。よーし。

えり→のぞみ10

のぞみ→えり80

えり「ちょっと待ってよ何それ?なんで私があなたの為にそんなことしなきゃいけないの?」

のぞみ「そ、そうやんなあ。ごめんえりち……」

えり「はあ?」

のぞみ「ごめんなえりち」

えり「そのエセ関西弁やめてくれる?」

のぞみ「ごめんなさい」

のぞみ→えり100

のぞみ「でも私!えりちのことが好きなの!」

えり「突然何?冗談やめてよ」

のぞみ「冗談じゃない!本気なの!」

えり「ふーん。じゃあ土下座でお願いしてみて?」

のぞみ「もちろん」

そう言うとのぞみちゃんはえりちゃんの前で額を床につけた。

これはやり過ぎちゃった。ここらで……

えり「ほら、嬉しいでしょ?私のこと好きなんだものね」

のぞみ「ああっ、えりちに踏まれて……ウチは幸せや」

えり「関西弁やめてって言ったでしょ」

のぞみ「はい!ごめんなさい!」

……なんか妙なことになってきた。

のぞみ→えり10

のぞみ「ってなにするん!!!」

えり「えっ」

のぞみ「ウチだっていつまでも下手に出るわけやないんよ!?」

えり「なによ!急に態度でかくなってんじゃないわよ!」

のぞみ「なんや!踏まれた分踏ませてくれんと納得いかない!」

えり「喜んでたクセに!!!」

のぞみ「喜んでないっ!」

えり「のぞみなんかだいっ……」

のぞみ「えりちなんてだいっ……」

両方100にするにゃ。

えり「だいっ好きよ。愛してる」

のぞみ「もうっ、先に言っちゃうなんてズルいえりちやね」

のぞえり「うふふふふふふふ」

のぞみ「ズルい子にはお仕置きやっ。えいっ」

えり「やんっ!もう!お返しっ」

のぞみ「きゃーっ」

りん「……」

のぞえり「うふふ、あはは、あはははは」

なんだこれ。

両方50

えり「ああっ!私ったら何を……ごめんなさいのぞみ」

のぞみ「冷静になってみたらなんてことを」

りん「……ひー!……ひー!」

わっらい過ぎて息がっ!

えり「ちょっとりん!今のはちがくて」

りん「お腹痛い!腹筋割れちゃうよ!16分割にゃ!」

まき「……」

あ、まきちゃん。見られてたかな?

のぞみ「ああ!待ってまきちゃんこれは」

まき「私なんにもみてないから。じゃ」

りん「りんも知らないにゃ!じゃ」

可哀想だから二人きりにしてあげよっと。

えり「……」

のぞみ「……」



両方100にして。



えり「さあ……さっきの続きをしましょうか」

のぞみ「そうやね……」

えり「大丈夫。内側から鍵をかけたわ」

のぞみ「これでここは二人だけの絶対不可侵な花園やね」



まきちゃんと二人で屋上に向かう。

まき「やっぱりなんかみんな変だわ。主に三年組」

りん「考えすぎだよ!」

まき→りん90

まき「でも、何かあったときはりんは私が守るから」

りん「えっ、ありがとう」

まき「命に代えても」

りん「重っ」

この凛ちゃんいつか痛い目にあいそう

むしろそれが楽しみ

まき「みんなお待たせ。りんを連れてきたわ」

ほのか「もー!りんちゃん、えりちゃんとのぞみちゃん連れてきてって言ったのに!」

りん「ごめんごめん」

まき「待って!りんは悪くないの。二人がお取り込み中で」

うみ「やはりまだ仕事が残っているんですね」

まき「……そう。そうよ、とにかく責めないで」

ほのか「別に責めてるつもりじゃ」

まき「やめて!りんを傷つけないで!代わりに私を」

ほのか「えぇ……ごめん。う、うみちゃーん!」

うみ「知りません」

はなよ「じゃあ先に始めてようか」

うみ「そうですね。では二人組でストレッチから」



ことり「にこちゃんよかったら私と」

にこ「別にいいけど」

ことり「私気にしてないから……むしろ」

にこ「?」



まき「り、りん。私と組みましょう。それがいいわ」

りん「えっうん」

まきちゃんがグイグイ手を引っ張ってくる。

ずいぶん強引だにゃ。



うみ「ではほのかとはなよで組んでください。私は後で構いません」

はなよ「ありがとうございます。すぐ終わらせるね」

ほのか「よーし」

二人組で背中合わせになって手首を掴んで仰け反る。

肩から背中にかけてよーく伸びるにゃー。

ガチャン

あっ、ポケットから絆メーカー落としちゃった。

そうだ忘れてた、まきちゃんの私に対する絆90のままだった。

ひ、拾えない……

まき「ほら、足広げて。背中押すわよ」

りん「うん……」

な、なんか体の距離が近いような。

グイッ

りん「びくっ!」

まき「なんか力入ってない?力抜いて」

りん「ま、まきちゃんそこはもっと優しく……」

まき「伸ばすんだからこれくらい押さないと」

りん「で、でもそこはりん……んっ」

まき「どうかしたの?」

りん「ま、まきちゃん、あっ……」

まき「ふふっ、ほら。もっと」

りん「んっ、ん、あっ……いっ」

まき「ここは?」

りん「はっ、あ……」

まき「こっちは?」

りん「ま、まきちゃん」

まき「ここはどうかしら?」

りん「ふっ、ん……あっ」

まき「どうしたの?そんな声出して。みんな見てるわよ」

なんかまきちゃん怖い……

手元にないと数字はいじれないしどうしよう。

ただストレッチしてるだけなのにどうしてこんなことに……

まきちゃんおそろしい子。

まき「あら?なにこれ」

まきちゃんが絆メーカーに気づく。まずい。

まき「これ、りんのじゃない?」

りん「あっ!それ触っちゃ」

ピッ

りん「あっ」

りん→まき100

ほのか→ことり90

ことり→うみ90

うみ→ほのか90

……なんか一瞬でいろいろ変わった気が。

まきちゃん普段一体頭の中で何を考えてまきちゃん。

まき「え?なにこれ」

りん「まきちゃーん!まきちゃんまきちゃんまきちゃん!!!」

まき「うええ?」

まきちゃんラブ。まきちゃんがなくちゃたいへーん。まきちゃんばんざーい!

まき「ちょ、りんそんな急に」

りん「はあ。まきちゃんいい匂い柔らかい」

まき「りん……!ようやく私の魅力に気づいてくれたのね!」

りん「まきちゃあん!綺麗な指してたんだね、知らなかったよ」

まき「も、もう」

うみ「はなよ!早くしてください!早くほのかを渡してください!」

はなよ「ええ!?ご、ごめんなさい」

ほのか「いいなーにこちゃんことりちゃんと組んでー!」

うみ「ほのか!私だって」

ことり「うみちゃん……ほのかちゃんばっかりじゃなくて私も」

にこ「なに……?なんで急に三角関係が始まったの?」

はなよ「仲良しさんだね、三人とも」



りん「まきちゃーん!」

まきちゃんまきちゃんまきちゃん。

まき「ほら、りん。これ落としたんじゃない?」

りん「そう!これりんの!ありがとうまきちゃん!お礼になんでもするよ」

まき「な、なんでも!?」

りん「そう……なんでも。いいよ?」

まき「じゃ、じゃあ」

まきちゃんから絆メーカーを渡してもらう。

ああっ!まきちゃんのぬくもりが残ってる!!!

関節タッチしちゃった!どどどうしよ……

ピッ

りん→まき60

りん「……」

まき「ほ、ほんとになんでもいいのね!?いいのね!?」

りん「あ、うん」

まき→りん60

まき「……じゃあそろそろ私のストレッチを手伝って。うん」

りん「うん。任せて」

まき「……うん」

りん「……うん」

……や、やばい!!!身を持ってこの絆メーカーの効力を知ったにゃ!

100がここまですごいなんて。

まきちゃんもまだ顔真っ赤だよ。

ちょ、ちょっとこれあんまりイタズラに使うのはよそう……

家。

考える。これってもしかして軽い気持ちで乱用していいものじゃなかった?

うん。自分で経験するまでわからなかったけど、これすんごい危ないものだ。

でも、うまく使いこなすことができれば。

そうだ。よりみんなの関係をよくすることができる。

うんうん。私は目が覚めた!

りん「りんがみんなの絆を深めるキューピットになるにゃー!」

私の気分はさながら人を導く神のようだった。



「絆メーカー」ヘルプの欄より一部抜粋。

決して侮ることなかれ。

この力は果ては国家間の戦争にまで至る。

決して驕ることなかれ。

この力は神には遠く及ばない。

決して忘れることなかれ。

天は人の上に人をつくらない。

次の日、教室。

りん「かよちんはさ、μ’sの中で苦手だなーって人いる?」

はなよ「えっ、ど、どうして?いないよ」

りん「りんはかよちんの嘘ついた時の癖知ってるよ!」

はなよ「わっ、えと……」

まき「ちょっとりん、はなよを困らせないの」

はなよ「苦手っていうか、ちょっと怖いなって」

りん「怖い?」

はなよ「うん。ほら、昔の高圧的だった頃をときどき思い出しちゃって」

りん「ああ~!えりちゃんか!」

はなよ「……でも、えりちゃんのことは好きだし、苦手ではない、かな」

りん「そっかあ。まきちゃんは?」

まき「うええ!?私は……」

はなよ「ジー」

まき「わかったわよ。そうね、うみは何考えてんだかわからないわ」

はなよ「え?うみちゃん?意外だな」

まき「ときどき歌詞を書いて持ってくるのよ。私が曲作るわけだし」

りん「うんうん」

まき「たまーに、不安になる歌詞書いてくるのよあの子」

りん「え?」

まき「名誉の為に内容は伏せるけど、ちょっといみわかんない」

りん「それで苦手?」

まき「苦手ってほどじゃないけど、恐ろしくなるわ」

はなよ「りんちゃんは?」

りん「りんはそんな人いないにゃー!」

まき「ずるいわよっ!」



よーし。じゃあまずは手始めにかよちんとえりちゃんにゃ!

かよちんは数値が高くなると依存度が高まって危ないから……

えりちゃんに頑張ってもらおっと!

えり→はなよ80

これくらいで様子を見よう。

かくして、「りんのみんな仲良し作戦」が始まったのであった!

なんちゃって。

放課後。

なかなかえりちゃんがかよちんに接触しない。

おかしいなあ。80まで上げてるのに。

にこ「ねえりん……」

りん「にゃ?」

にこ「あの二人、最近なんかあったの?」

あのふたり???

えり「はい、あーん」

のぞみ「うふふ、ぱくっ。んっ!おーいしい!」

えり「よかったあ。あなたのために作ってきたの。たくさん食べてね」

のぞみ「えりちはお料理上手や。いいお嫁さんになるよ」

えり「も、もうっ!のぞみったら!」

のぞみ「そや。今度流星群が見られるらしいよ」

えり「それぜひ見たいわ!……二人きりで。きゃっ!」

のぞみ「見に行こう。二人で」

のぞえり「うふふふふふ」

あの二人か……

りん「い、いや……知らない」

にこ「そうよね……」

忘れてた。あの時からあの二人ずっとあのまんまだった。

ここは一旦、50くらいにしよう。



えり「ねえ、のぞみ……」

のぞみ「うん?」

えり「私たち、そろそろ潮時だと思うの」

にこ「なんで急に修羅場!?」

えり「もう、限界よ……」

にこ「そんな、さっきまであんなラブラブだったのに……これじゃのぞみが」

のぞみ「そうやね。そうしよう」

にこ「いいの!!?なんで!?」

のぞみ「ウチもそう思ったところ。終わりしよう」

にこ「このままじゃ二人が!いえ、μ’sが崩壊してしまう!」

で、60に上げてと。

えり「でも私たちの友情は不滅よ」

のぞみ「そうやね。これからもよろしく。えりち」

にこ「マジか。もうわけわかんないわ」



えり「そうだわ。はなよ!」

おっ!きたきた!

はなよ「はい?」

えり「その、今度の休日空いているかしら?」

はなよ「え、えっと?」

えり「考えてみたんだけど、私たちあんまり二人きりで話したことないじゃない?」

はなよ「そ、それはいいですけど、のぞみちゃんは?」

えり「え?どうしてのぞみが出てくるの?」

はなよ「だ、だってさっきまで」

えり「誤解よ!あれはほんのコミュニケーションの一環」

はなよ「私もあんなことされるのかな……」

【tellerえり】

今日は日曜日。

はなよとお出かけをする約束をしているわ。

予定は特に決めていないけれど……

そうね、あの子のことだからきっとアイドルショップあたりかしら。

なんにしてもとても楽しみだわ。

ありさ「お姉ちゃんどこか行くの?」

えり「ええ。遊びに行ってくるわ」

ありさ「遊びに!?誰と!?どこに!?」

えり「はなよを誘ったの。どこかは決めていないけれど」

ありさ「ダメよお姉ちゃん!誘ったのに予定がないなんて!」

えり「え、そうなの?」

ありさ「そうだよ!」

そうだったの……?知らなかったわ。

考えてみたら私、自分から遊びに誘ったことなんてなかったかも。

な、なんて大胆なことをしてしまったのかしら……!

えり「と、時計」

よし、約束の時間までまだ少しある。

プランを練って、しっかりと行く場所を決めて……

はなよを楽しませてあげなきゃ!

10:32

はなよ「えりちゃん遅いな……なにかあったのかな」

えり「はなよ~!」

はなよ「あ、よかった」

えり「ごめんなさい、私が遅れてしまうなんて」

はなよ「ううん。えっと、じゃあどこ行く?」

えり「三十分の遅れ……あそこを削れば修正は可能ね」

はなよ「どうしたの?」

えり「大丈夫よ。そうね、まずはお茶でもしましょう!」

はなよ「え?いきなりお茶?」

えり「いいお店を知ってるの!」

予定では十時十五分には入店していたのに……急がなきゃ。

えり「ここよ」



にこ「お店入ってったわよ」

りん「わかってるよ」

にこ「なんで私がこんなのに付き合わなきゃ……」

りん「部室でのことりちゃんとのことバラしちゃうよ~!」

にこ「ぐぬぬ……わかったわよ」

りん「りんはかよちんが心配なだけだよ」

えり「知ってる?ここはサイズがS、M、Tなのよ。Lじゃないの」

はなよ「そ、そうなんだー」

えり「好きな奴、なんでもいいわよ」

はなよ「えっ、自分で払うよ」

えり「私が誘ったんだもの。気にしないで」

はなよ「そういうわけにはいきません」

えり「もう!たまにはいいじゃない」

はなよ「でも……」

えり「ほら、早くしないと後ろのお客さんが」

はなよ「あ、あわわ……わかりましたじゃあ」



はなよ「……ズズ」

えり「……ズズ」

せっかく美味しいのに、いまいち会話がないわ。

えり「緊張、してるの?」

はなよ「え、ええ!?ししししてないよ」

してるのね。どうしてかしら?

えり「何か私に思う所がある?」

はなよ「え?」

えり「だって……」

だって、二人きりだとこんなに静かになっちゃうなんて思ってなかった。

えり「なんでも正直に言って欲しいの。μ’sのためにも、ね」

はなよ「μ’sのため……」

えり「そ、そういう意味じゃなくて、えっと。ほら」

はなよ「ううん。いいんです。私がうじうじしてるから」

えり「……」

はなよ「私、まだちょっとえりちゃんのことが怖いのかも」

えり「怖い?」

そうか、はなよはまだ……

はなよ「ずいぶん一緒にいるのに変だよね」

えり「いいえ。第一印象って結構引きずるものよ。私こそごめんなさい」

はなよ「ごめんなさい」

そうだったんだ。

えり「でも私だって結構明るいところとか、おもしろおかしいところとか……」

あれ、自分でなに言ってるのかしら。

はなよ「そうなの?」

えり「ほら!かしこいかわいいエリーチカ!」

シーン……。やってしまったわ。

はなよ「それです!!!」

えり「え」

はなよ「アイドルにおける持ちネタのようなもの!決め台詞!キャッチコピーと言っても構いません!」

えり「えっと」

はなよ「ああ!えりちゃんそんなものを隠していたんですね!!!」

えり「かくしてたっていうか……」

はなよ「グッときました!流石です!これからどんどん使っていきましょう!」

えり「あ、ありがとう」

はなよ「μ’sにはいままでそういうのがありませんでしたから!!!」



にこ「ちょっと!にこのにっこにっこにーがあるのに……」

りん「にこちゃんうるさい!みつかっちゃうにゃ」

にこ「なんでよー!」

りん「でもえりちゃん流石だよ。かよちんのハートを掴んだにゃ」



えり「略してKKEよ!!!」

はなよ「最っ高です!!!」



にこ「あれは調子乗っちゃってるだけなんじゃ」

えり「あっ!しまったもうこんな時間」

はなよ「えっ」

えり「次にいきましょう!!!」

はなよ「えっ」



りん「盛り上がってきたのになんで会話ぶった切っちゃうの……」

にこ「さっさと追うわよ!」

りん「おっ、にこちゃんノリノリにゃー!」



まずいわ。つい話しすぎて……予定が押してる。

えり「次はショッピングね。お洋服でも見に行きましょう」

はなよ「う、うん」



12:30

えり「そろそろお昼ご飯にしましょう!」

はなよ「そうだね」



13:30

えり「次は映画を見に行きましょう!」

はなよ「映画かぁ。どれ見ようか?」

えり「これを見るわ!」

はなよ「えっ、うん」



15:30

えり「三時のおやつを食べながら感想でもお話しましょう」

はなよ「わあ、米粉ロールだって!私これにするね」

えり「私は……」

はなよ「待って、今度は私が払うよ」

えり「えっ?」

はなよ「そういうものだよ?」

えり「そういうものなの?」



えり「でね、あそこのロバートのセリフが……」

はなよ「うんうん」

えり「ああ、思い出すだけで泣けてきちゃった」

はなよ「切ないよね……あのあと二人はどうなっちゃったんだろう」



にこ「ぜえ、ぜえ」

りん「よく動き回るにゃ」


そのあとも私たちはほぼ計画通りに遊び回ったわ。

きっとはなよも楽しんでくれたはず。



18:00

はなよ「ううぅ、外でたら寒いね」

えり「そうね」

私はそっと、上着をはなよにかけるわ。

はなよ「え、えりちゃん!?」

えり「いいのいいの」

はなよ「でもそれじゃ」

えり「忘れたの?私にはロシアの血が流れているのよ。このくらい平気」

はなよ「えりちゃん……」



にこりん「っきたああああああ!!!」

にこ「でたわね天然タラシ!」

りん「ひぃー!それはずるいよえりちゃん!!!」

にこ「反則よ反則!!!」

りん「こーれはポイント高いにゃー!!!」

にこ「反則ポイントにこ!!!」



えり「……今日は、楽しんでくれた?」

はなよ「えりちゃんは?」

えり「え?」

そうだった。私、楽しませようってばっかりで気がつかなかった。

えり「とっても楽しんじゃったわ」

はなよ「ふふ。私も楽しかった」

満面の笑みではなよはそう言ってくれた。

ああ。今日は素晴らしい日になったわ。

えり「よかったら……その、また」

はなよ「今度は私が予定を立てて誘うね」

えり「……!はなよ」

にこ「いやぁ~いいもん見れたわ」

りん「ちょっとかよちん取られたみたいで複雑……」

にこ「あんたも大概じゃない」

りん「でも作戦は成功だね」

にこ「なーにが作戦よ!散々私を振り回して」

りん「にこちゃんは、楽しくなかった?」

にこ「な……そりゃ、ちょっとは楽しめた、わよ」

りん「にひひ」

にこ「それにしてもなんであの二人急に仲良くなったのかしら」

りん「細かいことはいいんだよー!」



はなよと別れ、私は家路に着く。

本当に、いい一日だった。

えり「でね、そのときはなよったら……」

ありさ「楽しかったんだね!」

えり「ええ。はなよの知らない面がたくさん見えたわ」

ありさ「きっとはなよさんもお姉ちゃんを知れたよね」

えり「そうよね。それが一番だわ」

【tellerりん】



「りんのみんな仲良し作戦」その一、かよちんとえりちゃんは成功。

幸先いいスタートを切ったよ!

そもそもこれさえあれば失敗するはずがないんだけどね。

次はまきちゃんとうみちゃんでいってみよー!



りん「おっはよー!」

はなよ「おはよう、りんちゃん」

えり「りん。今日も元気ね」

まきちゃんが耳元で言う。

まき「ちょっとりん、はなよとえりは何かあったの?急に仲良くなったみたい」

りん「えー知らないけどいいことにゃ」

まき「あら?そう。あなたのことだから嫉妬すると思ったわ」

にこ「実は昨日」

りん「にこちゃん」

にこ「なんでもないわ」

まき「?」



ほのか「ことりちゃん、疲れてない?肩揉むよー!」

ことり「え?大丈夫だよ。それよりうみちゃん」

うみ「では私がほのかの肩を揉みましょう」



まき「なんか」

にこ「あの三人も」

のぞみ「ちょっと変やね」

ええ?おかしいな。あの三人は特にいじってないはずなのに。

にこ「ちょっとズレてるっていうか」

のぞみ「オトノキトライアングルやね」

そうか!もしかしてこの前まきちゃんに絆メーカー触られたとき一緒に……

戻さなきゃ。

ほのか→ことり60

ほのか「ねえことりちゃーん!」

あれ、反応しない?どうして……もう一回!

はなよ「あっ!アルパカ!!!」

りん「え?アルパカ?」

ほのか→アルパカ100

はなよ「私今日飼育当番でした!エサあげてこなきゃ」

ほのか「待って!!!はなよちゃん!私が行く!!!」

はなよ「え?」

うみ「ほのか、何を急に」

ほのか「私が行くったら行く!!!」

はなよ「そうはいきません!私の当番ですから」

ほのか「そこをどいて!はなよちゃん」

はなよ「……できません。私には責任と義務がある」

ほのか「私には愛がある」

はなよ「え……」

ほのか「責任と義務?そんなのアルパカは望んでない。私のほうが愛がある」

はなよ「愛……」

ほのか「愛の前には全て大した障害じゃないよね」

はなよ「っ私の、負けです。行ってください」

うみ「待ってくださいほのか……!ああ」

ほのか「行ってくる」

うみ「あなたは……私を置いて行ってしまうのですね」

ことり「うみちゃん……そんな目でほのかちゃんを見ないで」

うみ「うっ、うっ……」

ことり「ああ、あなたの目には私は映らないんだね」

はなよ「私には……愛がないんですね」

えり「そんなことないわ。はなよ」

はなよ「えりちゃん……」

えり「ないなら、私が注いであげるから」

はなよ「……!」



まき「やっぱり」

にこ「みんな」

のぞみ「おかしいね」



その後の修正には一苦労したにゃ。

でもなぜかオトノキトライアングルは直せなかった。

たぶん、あれをやったのはまきちゃんだから。

まきちゃんしか戻せないんだ。

でも絆メーカーの存在をまきちゃんに教えるわけにもいかず……

結局私は、ほのか→ことり→うみ→ほのか

この関係をしばらく放置するほかなかった。

とりあえず、作戦第二弾。

まきちゃんとうみちゃんを仲良しにするよ。

りん「あれ、ヘルプ?説明の欄があったんだ」

私は説明書とか読まないタイプだから気がつかなかった。

どれどれ。

最初に書いてある小難しいことは飛ばしちゃお。

えっと。使用者にしか一度入力した数値は変えられない。

やっぱり、あそこだけまきちゃんがいじったから……

「0」は一度数値を入力したことのある対象にしかできない。

ゼロ……考えたことなかった。絆を0にすることもできるのか……

ま、いっか。

うみ→まき80

明日が楽しみにゃ。



このとき私はまだ気がついていなかった。

自分が、何をしているのか。

何をしてしまっているのか。

【tellerうみ】



最近自分で自分がわかりません。

昔からほのかのことは友達として好きでしたが、最近特に……

それに。気がつかない振りをしていますが、ことりから熱い視線を感じます。

しかしほのかは、アルパカにうつつを抜かしたり、ことりの話ばかり。

私を見てくれません。

そんな最中私は突然、まきともっと仲良くなりたくなりました。

本当に自分がわかりません。

うみ「まき」

まき「なに?」

うみ「その、また作詞をしてみたんですがどうでしょう?」

まき「どれどれ」

しばらく、まきは私の書いたものを……何度目でも恥ずかしいです。

まき「おどろいたわ。こんなのも書けるのね」

うみ「え?はい」

まき「いいじゃない。すごくいいと思う」

最近の私の思いを書いてみたところ、まきは気に入ってくれました。

まき「うん。インスピレーションが湧いてくるわ」

そういうとまきはピアノを弾き始めます。

まき「~♪」

うみ「す、すごい」

いきなり私の詞を歌に。

まき「全然ダメよ。ここから煮詰めていくわ」

うみ「あまり無理はしないでくださいね」

まき「そうね。最近スランプ気味だから、気分転換も必要かも」

うみ「なら、よかったら今度の休日私と外に出ませんか?」

待ち合わせ場所

うみ「そろそろ時間ですね」

まき「おまたせ」

うみ「まき、さすが。時間ぴったりですね」

まき「ええ。うみは早いのね。待たせちゃったかしら?」

うみ「いえ、それほど待ってません」

まき「こういうときは全然待ってないっていうものよ」

うみ「見え透いたお世辞を言う仲でもないでしょう」



にこ「ったく。急に呼び出して何かと思ったらまた?」

りん「りんはまきちゃんが心配なだけだよ」

にこ「なんで私が……」

りん「ばらしちゃってもいいの~?」

にこ「……今にあんたバチが当たるわよ」

りん「望むところにゃ」

にこ「今日はまきとうみを見張るのね」

りん「話が早くて助かるよー」



うみ「誰ですか!?」

まき「うええ!?西木野まきだけど……」

うみ「いえ……誰かに見られていたような」

まき「気のせいよ。行きましょう」

うみ「そうですね」



にこ「あっぶないわね」

りん「うみちゃんすごいにゃ……今日は慎重に行くよ」

うみ「どこに行きましょうか」

まき「決めてないの?」

うみ「はい」

まき「普通誘ったほうが決めとくものでしょうが」

うみ「ですから、どこでも好きなところを言ってください」

まき「なにそれ」

うみ「今日一日、私の身を全てあなたに預けます。どこへでも行きましょう」

まき「そんな重いものいらないわよ。そうね、じゃあ」

うみ「重い……」

まき「違うわ!あなたの身が重いって話じゃなくてっ」



楽器屋

うみ「楽器屋ですか。まきらしいです」

まき「ギターの弦、そろそろ張り替えなきゃだから」

うみ「まきはギターもできるんでしたっけ」

まき「私にかかれば楽器全般お手の物よ」

うみ「私も武道全般なら」

まき「一緒にしないでよ……」

うみ「弓にも弦はあります」

マキ「ヘリツクよ」



美術館

うみ「……私には少し難しいかもしれません」

まき「そう?メンバー内で一緒に行くならあなただと思っていたんだけど」

うみ「え?」

まき「……一番理解を示してくれそうって話」

うみ「ふふ。そうですか。では期待に沿えるよう努めます」

まき「うみは、行きたいところないの?」

うみ「いえ、私は今日は」

まき「次はうみが行きたいところに行きたいわ」

うみ「……一回りするまで考えておきます」

雑貨屋

まき「こんなところでいいの?」

うみ「す、すみません。普段こんなところ来ないものでつい」

まき「私もよ」

うみ「みんな、どういうものを欲しがるんでしょうね」

まき「……かわいい」

うみ「そのキーホルダーがどうかしましたか?」

まき「な、なんでもない!!!」

うみ「?」

まき「いいから!」



にこ「ようやく高校生の遊びって感じね」

りん「楽器屋さんとか美術館とか、りんには縁遠いにゃー」

にこ「待って!うみがこっちくる!」

りん「わわわ、隠れて!」



うみ「やはりここは私たちには縁遠い場所でしょうか」

まき「そうかもね」

うみ「先に店の外で待っていてください」

まき「うみは?」

うみ「おて洗……お花を摘みに行ってきます」

まき「はいはい」



りん「うみちゃん腹痛かにゃ?」

にこ「さあ」

うみ「お待たせしました。まき」

まき「外はもう寒いわね」

うみ「すみません、気が回らず……」

まき「別に」

うみ「よかったら私の上着を」

まき「えっ」



りん「うーん、残念うみちゃん。それはもうえりちゃんがやったよ」

にこ「二番煎じじゃグッとこないわね」



まき「そろそろ帰りましょうか」

うみ「そうですね」

まき「……」

うみ「今日は記念日です」

まき「なによ急に」

うみ「まきと二人で遊んだ記念です」

まき「なにそれ!いみわかんない」

うみ「右手か左手か、当ててください」

まき「え?」

うみ「どちらか一方の拳にプレゼントが入っています」

まき「なにその茶番……右」

うみ「残念。こちらの手ではありません」

まき「じゃあ左じゃない」

うみ「このままでは当てられてしまいますね。移動させましょう」

左手をまきの着ている上着に向かって振ります。

うみ「はっ!」

まき「なに?手品?」

うみ「これでプレゼントはあなたのポケットに移動しました」

まき「そんなわけ……え!?」

うみ「どうですか?」

まき「……入ってる」

にこりん「うひゃあああああああ」

りん「うみちゃんロマンチスト~!!!これはイチコロにゃ」

にこ「やってくれるじゃない!上着を着せたのは布石だったのね!」

りん「にくいにゃ~にくいにゃ~」

にこ「ポケットにプレゼントを仕込ませていたなんて!」



まき「ってこれあなたの上着でしょ!さっき入れてたのね!」

うみ「ふふ。いいじゃないですか。開けてください」

まき「これって……」

うみ「さっきのお店でそのキーホルダー見つめていたでしょう?」

まき「……ありがとう」



にこりん「っはあああああああ」

りん「この勝負うみちゃんの勝ち!!!」

にこ「えりには悪いけど同感だわ!!!うみが優勝よ!」



まき「今日は付き合ってくれてありが……とう」

うみ「私も楽しかったです」

まき「そう言わないでよ」

うみ「なぜですか?」

まき「お礼、したいから」

うみ「お礼なんてそんな」

まき「今度ね、流星群が見られるの」

うみ「はあ」

まき「そのとき、うちきなさいよ。天体観測の道具いっぱいあるから……」

うみ「そういえばまきは星を見るのが好きなんでしたね」

まき「……」

うみ「ロマンチストです」

まき「あんたにだけは言われたくないわよっ!!!」

うみ「約束です。一緒に見ましょう」

まき「……約束よ」



こうしてまきとの一日を終えました。

たまには、こんな日も悪くないです。

それから、いつかの天体観測。楽しみですね。

冗長で退屈な展開が続きましたが
明日から話が展開するかとおもいます

今日はここまでです


うみまき・・・もっとうみまき・・・

おつ
面白いよ

ええよ
崩壊が楽しみ

【tellerりん】



なにかがおかしい。

私はμ’sがより良くなるために尽力してきた。

結果としてそれは成功してるはず。

なのに……

なにかが、おかしい。



のぞみ「あ、えりち」

はなよ「えりちゃん!」

えり「どうしたの?はなよ」

はなよ「ここのステップが複雑でよくわからなくて……」

えり「確かにここは難しいわね。見てて」

のぞみ「……」



ほのか「今度ことりちゃんの為に和菓子作ってみるよ!」

ことり「じゃあ私はうみちゃんにお菓子つくるねっ」

うみ「ほのか、私には作ってくれないんですか……」

まき「うみ……」



そうだ。きっとオトノキトライアングルが原因だ。

一度入ったら出てこられないという魔の三角地帯。

のちのち解決しなきゃいけない課題。

それにはまきちゃんの協力が必要。

つまり、まきちゃんに絆メーカーのことを話さなくてはいけないんだ。

大丈夫。まきちゃんならきっと理解してくれる。

だって私とまきちゃんはとっても仲良しだもん。

りん「まきちゃんあのね、大事な話があるの」

まき「大事な話?」

私はおおよそ全てをまきちゃんに打ち明けた。

まき「……」

りん「という訳だから、あの三人をもとに戻せるのはまきちゃんだけなの」

まき「知らなかったとはいえとんでもないことをしてしまったわ」

りん「まきちゃんのせいじゃないよ」

まき「りんは、これ他に使ってないでしょうね?」

う……強制力のある聞き方。

りん「うん……」

まき「ならよかった。今回のことは私が原因みたいだし、私が責任を負うわ」

そう言うとまきちゃんは絆メーカーを手にとった。

まき「戻したわ。はい」

りん「ありがとう」

まき「こんな危険なもの手元に置いておくべきじゃない。さっさと処分しなさい」

りん「うん……」

まき「……本当に使ったことないのよね?」

りん「うん」

まき「……違うわね。そうか、最近みんな変だったのは」

りん「……」

まき「あなたの仕業ね、りん」

りん「り、りんはみんなの仲をより良くしようと」

まき「最低よ、あなた」



え?

まき「自分が何をしたのかわかっているの!?」

な、なんで?なんでまきちゃん怒るの?

私……悪いことしたの?

まき「みんなを勝手に引っ付けたり、引き離したりイタズラしてたのね」

りん「そ、そんな人聞き悪……」

まき「自覚がないのね。じゃあ教えてあげる」

りん「な……ま、まきちゃん、こわい」

まき「あなたはみんなの心を弄んで、蔑ろにしているのよ」

りん「……?」

まき「勝手に好きな気持ちにさせて、その気持ちをなかったことにする。それがどれだけ残酷なことか」

りん「えと」

まき「よく考えてみなさい」

……そこまで考えたことなかった。

私にとってはボタンひとつの操作でも、当人にとってはそれは本当の気持ち……

まき「私にも……使ったの?」

りん「うん……ちょっと。ごめんなさい」

まき「そう。じゃあもう何も信じられないわ」

りん「まきちゃん」

まき「どれが本当の私の気持ちかもわからないじゃない。それを使ってあなたは私と仲良くなったの?」

りん「違う!!!」

まき「そういうことよ。証拠はない」

りん「りんは!まきちゃんのために!うみちゃんだって……」

まき「まさか、うみが私を遊びに誘ってくれたのも」

りん「……」

まき「そんなの……あんまりよ。せっかく、うみと仲良くなれたと思ってたのに」

りん「な、仲良くなれたでしょ?」

まき「このキーホルダーも……あの約束も……嘘っぱちだったなんて」

りん「あ、う」

まき「あんまりよ……」

うみ「どうかしたんですか?りん、まき?」

まき「やめてよっ!!!」

うみ「えっ」

まき「全部嘘っぱちのクセに!!!私に優しくしないでよ……」

うみ「ま、まき?」

まき「せっかく仲良くなれたと思ったのに!!!」

ほのか「ああ!うみちゃんまきちゃんになにしたの!!!」

うみ「私はなにも……」

ほのか「だってまきちゃん泣いてるよ!!!」

うみ「そんな」

ことり「とりあえず、謝ったほうが」

うみ「ま、まきごめんなさい」

まき「やめてって言ってるでしょ!!!」

まきちゃんは飛び出して行ってしまった。

わた……りんは……なにを……

そのとき始めてりんは自分がいままでなにをしてきたのか理解した。

ほのか「うみちゃん!!!」

ことり「いったいなにが……」

うみ「あ、あわわ」

にこ「あんたたちいい加減にしなさいよ!!!」

ずっと黙ってたにこちゃんが叫んだ。

にこ「ここんところみんなおかしいわよ!しっかりしてよ!なんなのよ!!!」

のぞみ「……」

にこ「りんを見習いなさいよ!最近一番まともなのはこの子よ」

ズキッ……

ほのか「にこちゃんだって人のこと言えないじゃん!!!」

にこ「なんですってぇ!?」

ほのか「ことりちゃんから聞いてるんだよ!二人の部室でのこと!」

にこ「なっ……こ、とり?」

ことり「そんな!悪口のつもりで言ったんじゃ……」

にこ「ひ、ひどいよ……グスッ」

ほのか「ひどいのはにこちゃんじゃん!!!」

にこ「あれはにこじゃないもん……」

えり「……?一体何が起きて?」

にこ「うわはあああああああああん」

はなよ「にこちゃんが」

のぞみ「にこっちが泣いた……?」

ことり「ほのかちゃん!そんな言い方ないよ!」

ほのか「だって」

ことり「私はにこちゃんと仲良くなれて嬉しかったのに!!!」

・・・・・

まき「嘘っぱちだったなんて」

・・・・・

ズキッ

のぞみ「待ってよほのかちゃん、何があったかわからないけど」

にこ「グスッ……グスッ」

のぞみ「にこっちの言い分も聞いてあげて」

ほのか「でも!にこちゃんがっ」

ことり「もぉやめてよぉ!!!ヒグッ」

ほのか「こ、ことりちゃん?」

にこちゃんのあれも、にこちゃんのせいじゃない。私のせいなのに。

・・・・・

にこ「りんを見習いなさいよ!最近一番まともなのはこの子よ」

・・・・・

ズキッ

りん「痛い……痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!!」

はなよ「りんちゃん……?」

りんもその場から走り去った。

μ’sは絶妙なバランスで成り立っていた。

りんがしてきたことは、それを少しずつずらしていた。

やがてバランスを崩し、揺れが大きくなる。



そして今、μ’sのバランスは崩壊した。

そりゃそうなるわな

こんなはずじゃなかった。

学校に行きたくない。

誰にも会いたくない。

自分が許せない。

「りん、ここにご飯置いておくからね……」

完全に侮っていた。

完全に驕っていた。

完全に忘れていた。

りんは、人知を超えた力で全能感に浸っていただけだった。

何がみんな仲良し作戦……

もうあの場から走り去ってどのくらい経ったのかもわからない。

一時間前かもしれないし、二日くらい前かもしれないし、百年くらい経ったかもしれない。

りんは罪悪感に押しつぶされた。

めまい、吐き気、頭痛……体調の異常を示す信号は一通り網羅している。

たぶん二万リットルくらい涙も流した。

五億デシベルくらいの騒音で泣き叫んだ。

千兆回くらい自分を責めた。

たった一回の過ちで、全てが壊れた。

絆メーカー……何が絆……こんなもの!!!

……できない。まだできない。どうしてもできない。

そんな自分が不甲斐なくて、千兆一回目の自分を責める。

「絆メーカー」最後のルール

いままで入力した全ての対象と使用者との絆を0にすることで……

リセット。デフォルトに戻る。

全て元通りにできる。

でもそれは……

作り物でも確かにそこにあった絆を壊してしまう。

全てなかったことにしてしまう。

勝手に作って勝手に壊す……そんなの。

りんは神様じゃない。



そして。



一度0になった絆はその使用者は二度と変えることはできない。



つまり、りんとみんなの絆が0になる代わりに、他の全てを元通りにできる。

絆が0ってことは絆がないってこと。

絆がないってことは、赤の他人ってこと。

自問自答。

星空りん。あなたにそれができる?

……りんは……



りん「はは、ふはは。にゃははははっははは……」



・・・・・

にこ「……今にあんたバチが当たるわよ」

・・・・・



できる。

それが報いなら。

たとえみんなの心を踏みにじることになったのしても。

本来の絆を取り戻すためなら。

できる。

できる。

できない。

できる。

できる。

できる。

できない。

できる。

できない。

できる。

できる。

できる。

できる。

できる。

できる。

できない。

できる。

できる。

できる。

できる。

できる。



できる!

りんは、初めてその数字を入力した。

はなよ→りん0

まき→りん0

ほのか→りん0

ことり→りん0

うみ→りん0

のぞみ→りん0

にこ→りん0

えり→りん0

リセットを開始します

・・・・・

・・・



リセット完了。設定をデフォルトに戻します。

・・・・・

・・・



全ての手順が完了しました。



はなよ「あっ、えりちゃんのコート借りたままだった……あれ?いつ借りたんだっけ?」



えり「私のコートがない!そんな、どこにやったのかしら」



まき「このキーホルダー、どこで買ったんだったかしら?」



うみ「誰かと大切な約束をしていた気が……忘れてしまいました」



ごめんねみんな。自分勝手なりんをどうか許さないで。

でも、やっぱりどうしてもμ’sがバラバラになるのは嫌だから。

ごめんね。許さないで。許さないで。

ほのか「おっはよー!」

にこ「あんたはいっつも元気ねー」

ことり「そこがほのかちゃんのいいところだから」

うみ「さ、行きましょう!」

まき「ちょっと待ちなさいよ」

はなよ「まだ準備が……だれか助けてー!」

えり「急がなくても大丈夫よ」

のぞみ「そうそう。みんな待ってるから」

ことり「みんな?」

のぞみ「そう。みーんな」




みんなの中から、りんは完全に消えた。

メールも、お見舞いも一切来ないのが証拠。

しょうがないよね。

それだけのことをりんはしたよね。

バチが当たったんだよね。

しょうがないよね。

しょうがない、よね……

いやだ。

いやだいやだいやだいやだいやだ。

やだやだやだやだやだ!!!

そんなのいやだ!!!

ごめんなさい!!!

もうイタズラしないから!!!

魚も頑張って食べるから!!!

説明書もちゃんと読むから!!!

行動の前に考えるから!!!

いい子になるから!!!

ごめんなさい!!!

ごめんなさい!!!

りん「許してください……だれか」

だれか許してください。お願いします。

りん「絆メーカー!ごめんなさい!りんもうわかったから……!」

おねがいします。

りん「もとに戻してください……やだよぉ」



りん「みんなと一緒に居たいよぉ……ごめんなざい!ごめんなざい」



りん「ねえ何か応えてよぉもう戻して……」



りん「待ってよ……待ってよぉ」



りん「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

にこ「当然の報いよ。私を陥れて」

りん「やめてぇ」



はなよ「えりちゃんと仲良くなれたのも偽物だったんだね」

りん「ちがうちがうちがう!!!やめて!!!」



えり「なにが違うの?あなたは私たちの気持ちを、殺したのよ」

りん「ごめんなさい!ごめんなさい!」



のぞみ「えりちと流星群を見るって約束もなかったことになったんよ」

りん「ごめんなさい……許して……」



うみ「そうです。私もまきの家に見に行くはずだったのに」

りん「なんで耳ふさいでも聞こえるのぉ……」



まき「思い出も消えて、うみからのプレゼントももう価値がない」

りん「やだ、やだ、頭が……」



ほのか「私別にアルパカそこまで好きじゃないし」

りん「わかってるよぉ……だれか、もう許して……」



ことり「りんちゃん……私はあなたを……」

りん「うぅ……グスッ、ヒック……ごえんあざい……!」

ちょっとかわいそう

ことり「りんちゃん」

りん「ごめんなさい、ごめんなさい」



ことり「りんちゃん!!!」

りん「ふええ……?」



幻聴だけじゃない。幻覚まで?



ことり「私はここにいるよ」

……?このぬくもりも、圧力も、幻覚?



ことり「りんちゃん、しっかりして」

りん「こ、と、り、ちゃん?」

ことり「うん」

りん「ど、うし、て」

ことり「大丈夫だよ。私が許してあげる」



ことり→りん0 (error)

どうして……?

どうしてことりちゃんだけエラーになったの?

どうしてエラーなのにリセットは成功しているの?

途中途中確認した説明書きをまた確認する。

「0」は一度数値を入力したことのある対象にしかできない。

いままで入力した全ての対象と使用者との絆を0にすることでリセット。デフォルトに戻る。





思い返す。

最初にかよちんの数値を間違って入力した。

実験でにこちゃんの数値を入力した。

イタズラでのぞみちゃんとえりちゃんの数値を入力した。

ごまかすためにまきちゃんの数値を入力した。

修正のつもりが間違えてほのかちゃんの数値を入力した。

よかれと思ってうみちゃんの数値を入力した。



……りんは、一度もことりちゃんの数値を入力していない。

「0」は一度数値を入力したことのある対象にしかできない。




ことりちゃんは入力したことがなかったから、0にならなかった?

ことりちゃんはりんとの絆が残っている……?

ことり「みんなりんちゃんなんか知らないって言い出して」



ことり「最初は冗談だと思ったの」



ことり「でもいつまで経ってもそのままで」



ことり「みんなおかしくなっちゃったの」



ことり「それで私、りんちゃんの家まで」



りん「ことりちゃん……」



りんはまた泣いた。

たぶん海より多く涙を流した。

地球が揺れるくらい泣き叫んだ。

悲しみの涙より、喜びの涙の方がずっとすごいということを知った。

りん「あうあうあうあうあ」

ことり「うん。大丈夫、大丈夫だよ」



しばらくしてようやく落ち着いてきたりんは、包み隠さず嘘偽りなく全てを話した。

ことり「そんなことが……」

ことりちゃんはなにも追求せず、ただ信じてくれた。

りん「ごめんなさい」

ことり「うん。怒ったよ」

りん「ごめんなさい」

ことり「でももう反省してるんだよね」

りん「ごめんなさい」

ことり「だから、もう許したよ」

りん「もう、絆メーカーは使わないから」

ことり「うん」

りん「……?」

ことり「みんなに、謝りに行こう?」

うみ「ことり?誰です?その子は」

みんなの反応は、どれも同じ。

りん「っ……!」

ことり「りんちゃん……」

ほのか「ああ!もしかしてファンの子!?サインとか!?」

にこ「しょーがないわねー!にこのサインを……」

ことり「違うの!」

えり「何かワケアリのようだけれど」

りん「あ、あの。り、私謝りたくて」

はなよ「え?何をですか?」

りん「私が、みんなをめちゃくちゃにしちゃったの」

まき「なに?あなた大丈夫?」

りん「今は元通りで、みんなもう覚えてないけど、それを謝りたいんです」

のぞみ「スピリチュアルやね」

りん「ごめんなさい!!!本当にごめんなさい!!!」

ことり「……」

ほのか「そっかあ。よくわからないけど、いいよ!」

うみ「ほのか?」

ほのか「こんなに真剣に謝ってくれるんだもん。許さないわけないよ」

のぞみ「そうやね」

うみ「はあ、わかりました。私も」

まき「よくわかんないけどそうね。許してあげる」

はなよ「うん!」

にこ「にこぉ~よくわかんないけどぉ、許してあ、げ」

えり「気にすることないわ。安心して」

ことり「ね、大丈夫だったでしょ」

りん「ごめんなさい……ありがとう……!ありがとうみんな」

どこまで届いたかわからないけど、懺悔はした。

許しももらえた。

また……一からみんなと絆を作っていこうかな……でも。

りん「もう絆メーカーなんかいらないよ」



ことり「最後に一回、私に使わせて」

りん「だ、だめだよ」

ことり「全てをもとに戻せるよ」

ことりちゃんは再びリセットをしようとする。

ことり「これでりんちゃんとみんなのゼロもリセット」

りん「でもそれじゃ」

ことり「私は誰にも使ってないから、誰ともゼロにならないよ」

全ての手順が完了しました。



世界が暗転する。

自分が瞬きしたのかな?と思ったけど、それにしては長く。



「……んちゃん!」

「りんちゃん!」



りん「にゃ……?」

はなよ「もう、お昼寝しちゃうなんて」

りん「お昼寝……?」

ほのか「もう、せっかく学校で合宿だっていうのに!」

うみ「ほら、練習の時間です。りん」

にこ「また練習!?」

りん「みんな、なんで」

えり「ふふ。寝ぼけてるのね」

のぞみ「りんちゃんかわいいなあ」

まき「ほら、シャキっとしなさい」

ことり「おはよう!りんちゃん」

夢……じゃない。

今確かに、りんのポケットにはアレが入ってる。

全てがリセットされて、修正されたんだ。

どうやらみんなで学校で合宿みたいにゃ。



うみ「ほら、屋上行きますよ」

お昼寝、と言われたけど結構遅い時間みたい。

日はすっかり沈んでいる。



えり「こんな暗いのに練習はちょっと……」

ことり「そうだね」

はなよ「わあ。星が綺麗」

にこ「本当ね」

ほのか「あ!!!流れ星!!!」

のぞみ「はあ、ほのかちゃん。そんなタイミングよく……」

のぞまき「あっ!!!」

まき「すっかり忘れてた!!!」

のぞみ「今日が流星群の日やん!!!」

うみ「えええ!!!」

ほのか「わあー!、みんなで星を見よう!!!」

燦然と煌く星空。

尾を引いて駆ける流れ星。

学校の屋上。

みんなで寝そべって、手を繋いで、それを見上げる。

そうだ。絆って、こうやって築いていくものだよね。

やっと気づいたよ。

なんちゃって。

少なくとも、機械仕掛けの絆なんてあってはならない。

私はそっと、ポケットの中のソレの電源を切った。

そして星空に願う。

ずっとみんなと一緒にいられますように。



ずっとみんなと一緒にいられますように。



ずっとみんなと一緒にいられますように。





「星空の絆メーカー」

終劇

乙です
ラブライブはイチャラブ系以外減ってるから、地の文ありのこういうの読みたかった

お付き合い下さった方ありがとうございました

おつ

ハッピーエンドで良かったよほんと

HTML化依頼してきました。

完結後になんか喋るのはいい思い出ないのであれなんですが、
星空の絆メーカー=流れ星っつうオチでした。以上です

乙 凛が追い詰められていく部分の描写がよかった
名前がひらがなだったのは理由があるの?

それはなんていうか、自分勝手なポリシーみたいなものです
ほのかちゃんは間違いなく穂乃果ちゃんだし、うみちゃんも海未ちゃんなんですが
偉そうに言うと二次創作書くにあたって公式との線引きというかなんというか…
そんな感じの理由です。ちゃんと伝えられただろうか

なるほどなるほど、理解した
面白かったから、また何か書いて欲しい 改めて乙!

すごいすき

乙!
ハッピーエンドで良かった……


面白かった



(・8・)さて、凛ちゃんの記憶も消えたことだし穂乃果→ことり100にするチュン。海未ちゃんは真姫ちゃんにでもくっつけとくチュン

消えろことほの厨
台無しだわ

いい話の終わり方だった、乙です

他所で凛ちゃんの人称が間違っているという指摘を見かけたので補足
脳内では「私」、発言では「りん」と分けられている
また、真姫ちゃんに自分の過ちを指摘されて以降は脳内でも「りん」になっている
余計だったらすみません

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