【艦これ】熊野「似た者同士」 (48)

初SSです。
艦これです。
登場するのは熊野と鈴谷です。
性的描写はなしです。
二番煎じにならない事を祈ります。
よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1410074489

あと、短めかも

「はあ、はあ、はあ・・・」
目を開けると暗闇が辺りを包んでいた。
寝汗で服が濡れて張り付いている。気持ち悪い。
目が慣れてきて見回すと鈴谷が隣のベッドで寝ていた。
いつもの光景なのにそのことでとても安心する。
自分はまだ沈んでいないんだと・・・

何故名前卵にID入れてるのか

この鎮守府に着任して以来こういう夢を度々見てしまう。

仲間が次々に攻撃され沈んでいくこと。
自分も敵の攻撃を受け戦闘不可となり離脱をしなければ
ならなくなったこと。
沈んでいく中で見た感じた暗く冷たく底が見えない普段
見る海とは違う世界の海。

>>4
すみません。
勝手がわからないです。

汗で張り付いた服をそのままにして寝るということはできなかったので
シャワーを浴びることにした。

暖かい。
同じ水なのに温度が違うだけでこうも感じ方に違いがあるのは不思議に思う。
汗の不快感とともに冷たくなっていた心も暖められていくようだ。

新しい服に着替えてベッドに戻った。
しかし、目が冴えて眠れそうになかった。
あの夢のあとはいつもそうだ。
仕方がなくいつもの場所に行くことにした。

隣の物音で目が覚めた。
またあの夢か。
熊野が部屋から出て行ったのを確認して身体を起こす。
空っぽになった熊野のベッド。

この鎮守府に熊野が来てからこの部屋は二人で使用している。
同型艦は同じ部屋、ここのルールだ。
だから最上姉さんと三隈姉さん、鈴谷と熊野が同室になっている。

熊野が来るまでは自分も同じ経験をした。
熊野と同じ夢というわけではないと思うが。

今はそんな夢を見ることはなくなった。
熊野がここに来てからだ。
あまり起きていると熊野に起きていたことがバレるので布団をかぶり直す。

ガチャ
戻ってきた。
でも布団に入ってからすぐにまた部屋を出て行った。
これも同じ。
あの夢を見たあとは寝れなくなってしまう。
どうしてって聞かれると「なんとなく」と自分は答えると思う。
そう、なんとなくだ。

眠れない時、鈴谷はいつも屋上に行っていた。
そこで見る夜空はとても輝いていて綺麗で夢の
事なんか忘れてしまえるからだ。
現実逃避だと言われればそうだろう
しかしこれは自分にはどうすることもできない
ことなのだ。
だから熊野には感謝している。
あの夢の苦しみから逃れられたことを。

さて、今日は探しに行こうかな、熊野を。

ここから見る星空はいつも綺麗だ。
明るく美しく輝かしい。
曇った心に光を注ぎ込んでくれる。
夢を見たあとはいつもここに来ている。
寝れないことと夢のことを忘れたいからだ。

現実を見ろと言われればその通りかもしれない。
自分だって逃げたくない。
でも、どうしても押しつぶされそうになってしま
うことは誰にでもあると思う。
私にとって逃げたくなってしまうことがあの夢の
ことだ。

扉とは正反対にあるベンチに腰掛ける。
ここに来る間に食堂に寄ってコーヒーを
自分専用のマグカップに入れて来た。
まだ秋の初めなのに肌寒い。
一枚羽織って着て正解だった。

天体観測のことは全くわからないが最近読んだ雑誌によると、
周辺に光源がない広場で空気が澄んでいる所がいいらしい。
この鎮守府は周りが緑豊かで街の喧騒がなく空気がきれいだ。
外灯は出入り口付近にしかない。
条件は完璧といったところか。

温かいコーヒーを口にしてベンチに置き、手に持っていた
懐中電灯の光を消した。
秋の虫の音が聴こえる。
まだ数は少ないようだが、心地よい音色だ。
季節の移り変わりが心に安らぎを与えてくれる。

「どこにいるのかな~」
と言っても大体の見当はついている。
おそらくあの場所かな。
鈴谷と熊野はどこか似ていると思うんだ。

それにしても寒い。
上着か何か来てくればよかった。
この鎮守府の場所を舐めていた。

熊野は大丈夫かな・・・

屋上の扉を開けると風が吹き付けてきた。
冷たい。

さてさて、お嬢様を探しに行きますか。

ガチャ
誰か屋上に来たみたいだ。
こんな時間にこの場所へ来る娘なんてモノ好きもいたものだ。
・・・私もだ。

「あー、寒い寒い」
この声は、
「お、熊野見っけー」

何か明かりになるものを持ってく
ればよかったな。
後悔しても遅いけど。
ん、あの姿は・・・
「お、熊野見っけー」

「鈴谷、なぜここに?」
寝ているものばかりだと思っていたから驚いた。
「んー、起きた時に熊野がいなくてね。探したってわけ」
「そう。あっ、隣どうぞですわ。」
座るよう促すと置いてあったマグカップをどかした」

よく見ると肩が震えていた。
はぁ、こんなに寒いのに上着を着てこないなんて。
・・・鈴谷らしいけど。

あー、やっぱ寒い。
熊野は着てるみたいだから大丈夫そうだけど。
熊野には心配かけたくないし、ここは我慢し
なくちゃ。
「鈴谷、寒いんじゃなくて」
・・・バレた。
「はは、わかる?いやぁ、何か着てくればよかったって
後悔してるよ」
「はぁー・・・」
そりゃ呆れるよね。

「もっとこちらにいらして、鈴谷」
「ん」
この状況でこの言葉、もしかして・・・
熊野は羽織っていたショールを鈴谷の肩にかけた。
「こうすれば少しはマシになるかと」
「あ、ありがと」
これは、熊野にすごい近いし、恥ずかしい。

自分からした事とはいえ今更恥ずかしくなってきた。
鈴谷も先程から黙ってしまった。
どうすれば・・・
そうだ、何か話そう。
「す、鈴谷はなぜここへ?」

「だーかーらー、起きた時に熊野がいなかったからだって」
「それで私を探しにここへ?」
「そうだよ」
何か隠している気がした。
少し仕掛けてみましょう。
「とか言いながら、私がここに居ることはわかっていたのでしょう?」

ギクッ
どうしてこんな時だけ熊野は鋭いのか。
普段はすごい鈍感なのに。
「え、いやぁ、たまたま。そう偶然、偶然だよ!」
うわ、いくらなんでもこれはないわ。
「図星、ですわね。まぁ、他にも何かありそうですがいいですわ。」
「・・・」
苦笑いしかできない。

「そういう熊野はなんで?こんなに寒いのに」
攻め続けられるのも癪だからこちらも打って出る。
「私は・・・」
おっ、意外な反応。
「私は、そう。星を見に来ただけです。」
「・・・熊野。嘘が下手だよね。」
熊野は嘘をつくとき、決まって人の顔から目をそらす。
普段はどんな時でも目を見て話すからわかりやすいんだよね。

「そういう熊野はなんで?こんなに寒いのに」
返答に困る質問を・・・
夢を見てそれから眠れなくなってここへ来ているなんて言えない
「私は・・・」
どうしましょうか。
「私は、そう。星を見に来ただけです。
うう、自分でもこれはひどい。
「・・・熊野。嘘が下手だよね。」
早くもバレてしまった。

普段は鈍いのにこういう時だけずるい。

全てを見透かされていると思うと観念するしか・・・
「はぁー、わかりましたわ。」

なんとか逆転できたみたい。
さらに畳み掛ける。
「ま、鈴谷は知ってるんだけどね。
熊野がここに来た理由ぐらい」
キョトンとした顔をしている
うん、実にいいリアクション。
「そうだな~、夢を見てその夢をシャワー浴びて忘れようとしたけど
結局寝れなくて気分転換にここへ来た、こんな感じかな?」
「・・・」
多分今、自分すごい得意げな顔してるんだろうな。
熊野が呆れてるんだもん。

ここまで当てられるのはさすがに想定外。
あの顔が憎たらしい。
・・・もしかして、みてたの?
「はぁ、もうそんなに分かっているのなら私から言うことなんて
なくて?」
「鈴谷のこんな予想なんかより熊野の口から本当のこと聞きたいな」
あくまでもこちらから本音を出そうということですか。
ほとんどバレてそうだし仕方ないか。
「観念しますわ。と言っても鈴谷が言われた通りなんだけど」
すごいニヤニヤしてる。
もう呆れる気にもならない。
「うんうん、そうだよね。だって鈴谷もここに来たことがあるもん」
「えっ」

そりゃこんな顔にもなるよね。
だって、自分と同じことをしていたなんて夢にも思わないだろうし
同じ経験するなんて想像できないっしょ。
「鈴谷もね、熊野と同じ夢を見たんだよ。中身は違うと思うけど。
そのあと寝ようにも寝れないから、ここに来て気分を変えてたって
わけ。でもそれは熊野がここに来てから変わった。熊野が隣で一緒に
寝てくれるようになってから見なくなった。熊野のおかげだよ」
「・・・」

鈴谷も同じ経験をしていた?
私がここに来てから変わった?
なら、なぜ私は変われない?
なぜ、あの夢を見てこんなにも苦しめるの?
・・・分からない、わからない。
「鈴谷は、どうして私のおかげだと言い切れるの?
私何もしていませんのに」
「熊野はここに来てから私に会ったこと覚えてる?」
ここに来てから・・・
「あなたが抱きついてきたことかしら?」
「あー、それもだけど。もっと他のやつだよ」
他のことは・・・
「あっ、夜に泣いていたこと?」

そう、それだよ。
「熊野が来るまであの部屋、ずっと私一人だったんだ。二人だとそうも
感じないけど一人だと広くてね。たまに枕を濡らすこともあった。
でも熊野が来てからはそんなことはなくなった。あの時、熊野の胸で
いっぱい泣いたから。もう一人じゃないって思えたから。だから熊野には
とても感謝してる」
自然と目から涙がこぼれた。
はは、泣かないって決めてたのにな。
これじゃ、熊野にカッコがつかないじゃん。

気がつけば私は鈴谷に抱きしめられていた。
鈴谷の匂いがする。
暖かい。
なんだかとても心地がいい。
こうやって人に抱きしめられるなんて初めてだ。
普段は鈴谷が抱きついてくだけ。
そしてそれを鬱陶しく振舞う自分。
本当はとても嬉しいのに。
正直になれない。
「熊野も泣いちゃえば。貯めてるもの全部さらけ出しちゃってさ」

この言葉で線が切れた音がした。
自然と頬に流れる涙。
「す、すず、・・・鈴谷ぁー!」

お互いそれからは無言で抱きしめ合っていた。
私は熊野の頭を優しくなでる。
ようやく熊野が素直になってくれた。
そう、それでいいんだよ。
自分の中で貯めるのもいいけどこうやって人に頼らなくちゃならない時が
あるんだから。

今日はここまでにします。
明日で締めます。

A「あかさたな」

B「はまやらわ」
みたいに一行あけたほうが読みやすいよ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom