わたしが下着をつけるようになった話です。

わたしは下着をつけるのがきらいなの。
だから付けなかった。
単純明快でわかりやすいでしょ？

わたしは物心つく頃から下着をつけるのがきらいだった。
特にパンティね。
あんな窮屈な布切れを身につけるなんてどうかしてるとおもうの。

下着をつけるのがいやになったきっかけなんてものを聞かれるといつも回答にこまる。
ただ言えるのは、生まれながらに下着がきらいだった。それだけ。

わたしがまだ赤ちゃんだった時からそうだったみたいだから三つ子の魂百ってやつなんだと思う。

オムツをはかせると自分で脱ごうとしたなんて話を親から何度も聞かされたわ。

小学校に入ってもおねしょ癖の治らなかったわたしは寝るときだけオムツを履いてそれを朝脱ぎ捨てて登校する。なんて生活をしていたの。

何も履かないのが基本ってこと。わかる？

普通のパンティが嫌いだったんだからおしめなんてもっと嫌いに決まってる。
でも物事の分別はついてたから。

おねしょが治ってからはずっとパンティ・フリーの生活だった。
ほんと理解のある親でよかったって思ってる。

けどそんな自由な生活は数年で終わっちゃった。
小学校高学年になったころからに初経があって、それからは定期的に下着に縛られるようになったの。

中学生の３年間は毎月やってくる下着に慣れることで終わったわ。
ばかみたいだけど。

ぼんやりとした中学生活を過ごした私にも高校で彼氏ができた。
サッカー部で背が高くて、いつも寝不足みたいにぼーっとしてる優しい人だった。

でもそれは私の思い違いみたいで高校を卒業した後にカレがわけのわからないことを言い出して、それでケンカになって別れちゃった。

それで今からそんなわたしが下着をつけるようになったわけってのを話すんだけど。
絶対にバカにしないでね？

これはわたしが華々しいキャンパスライフに向けての準備を始めた頃の話なんだけど。
あ、カレとは別れたあとね。

それでその日はスカートを履いていったの。
風が強い日だったけどマキシ丈だったし大丈夫かなって思ったの。
マキシ丈ってわかる？長めでかわいいやつってこと。

それで出かけていって、買いたいものもだいたい買ったからスタバの新作でも飲みに行こうかな、

なんてことを考えながら信号待ちをしていたんだけど、
その時にすごい風が吹いたの。

それで私のスカートはすごい勢いで風に煽られてめくれちゃったの、マリリン・モンローみたいに。

その瞬間、世界が真っ赤になってね。

たとえじゃないの。
ほんとに真っ赤ですごく明るくなったの。

その日は曇だったんだけどもうほんとに真っ赤で眩しかった。
太陽が堕ちてきたかと思うくらい。

終末の日が来たのかと思ったけどラッパはなっていなかったし、
ピカドンかとも思ったけどドンはなかったの。

でもとにかくやばい。そう思った。

世界が真っ赤光りだしてからわたしうごけなかったんだけど。
逃げなきゃって思っても足が動かなかったし。
信号も何色かわかんなかった、ていうか真っ赤だったし。

それもだんだん元に戻ってきて、そこから走って逃げた。
信号が青なのが見えたから。

それでわたし分かったの。

これは神様からの警告なんだ、ってね。
警告は黄色なのかもしれないけどほんとにやばいから赤。
レッドカードで退場なはずなのにここにいられるっていうのが奇跡なの。

バカにしないで、ほんきだから。




多分次に私が下着なしの姿を公に晒したら、

世界は滅ぶわ。

だから私は下着をつけるようになったの。

おわり