ジョセフがジョースター教を広めているようです (40)

ある日突然、ジョナサン=ジョースターの人生は、
忘却の彼方に消え去りました。

それは世の中の人々には決して知られることのない影の歴史です……


あの時……
わたしエリナ=ジョースターの体内に宿りつつあった『新しい生命』。

狂信的なまでの施しの精神。『ジョースター教』の教えは、
彼の子孫たちによって受け継がれていきます。





※前作「ダリオ=ブランドーがジョースター教にハマりました」
ダリオ=ブランドーがジョースター教にハマりました - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368706527/)

の続編で、『ジョジョの奇妙な冒険』第二部を元にした想像のお話です。

拙い文章ですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369110002

前作の『あらすじ』


ダリオ=ブランドーは、偶然の出会いから、
宗教『ジョースター教』へと入信してしまう。

その狂信ぶりは家族へ多大なる迷惑を与え、
息子ディオは一家を狂わせたジョースター家への復讐を決意。

その後ディオはジョースター家の養子となり、家督の乗っ取りを画策する。
しかし、計画は遅々として進まない。
それどころか、孤独や、ジョナサンからの一方的な『施し』を経て、
ディオは辛く苦しい青春時代を過ごすこととなる。

7年後。石仮面を用い吸血鬼と化したディオは、
その野望をスピードワゴンにより打ち砕かれ死の間際に追い込まれてしまうが、
狂信者と化したジョナサンの命を捨てた『施し』により、その命を救われることになる。



そしてこの時、エリナのお腹にはジョナサンとの『子供』が宿っていた。
ここから49年の時が流れる。

子供の名は『ジョージ』といい、ジョージの息子は『ジョセフ』という。


『ジョースター教』の物語は、ここから第二のスタートを切るのだッ!!

第二部『宗教潮流』

我われはこの老人を知っている!
いや!このまなざしとこのキズを知っている!

石油王となったスピードワゴン!

彼はこれからメキシコに『あるもの』を見に行く。
SPW財団の遺跡発掘隊が発見した、彼らしか知らない『あるもの』を!


スピードワゴン「ま、まさかこの『ミイラ』は……!」

発掘隊「このミイラが当時のどういう人物の『遺体』なのかはいまだ調査中です。
しかし、この保存具合から見て。これはおそらく……何らかの『聖人』のもの」

スピードワゴン「この遺跡に『聖なる遺体』がッ!!」

『聖なる遺体』!

これこそ!この物語の核心にせまる最大の謎!
究極の宗教家になりうる、最大のパワー源!!

- ニューヨーク -

サッ!

販売員「ヘイ!イギリスのにーちゃん!
盗られたのはあんたの財布だァ!いるんなら追っかけなよ!」

ジョセフ「……盗られた?追いかける?そんなことはしねー。
これはあの黒人への『施し』だからな……」


スモーキー「なんだァあいつは!一向に追ってこねえ。
よし!もう姿も見えねえッ!逃げ切ったぜ!」

ガシッ!

スモーキー「あっ……!」

警官「よお!スモーキー!とうとう捕まえたぜ現行犯だッ!!」

ドゴッ!バキ!ドカ!

スピードワゴン「いったい何者なのか……この遺体の正体は!?」

発掘隊「そしてさらにです……スピードワゴンさん。
これからあなたが遺跡の奥で目撃するものは……」

スピードワゴン「この遺跡の奥にさらに何かあると?
な…なんだ!?こ…この『柱にいる男』は!?『石仮面』もこんなにたくさんッ!」

発掘隊「アミノ酸がある!細胞がある!微妙ながら体温がある!
脈拍がある!生きているんです……『こいつ』はッ!!」

ババババルル!ズバズバッ!ズバ!

発掘隊「!? や、刃のついた帽子で…発掘隊の人間をこ…殺した!?
こ、これはいったいスピードワゴンさんッ!?」

スピードワゴン「……わたしはどんどん老いる。老いは止められん。
わたしは50年前の戦いの時、ひそかにディオとジョースターに憧れた……
あの強さに美しさに、不老不死に!そして宗主として、狂信者を育てるカリスマに!
人の心を狂わせる程の『教え』の力!わたしも石仮面と遺体の力が欲しいと思う!」

発掘隊「き…気でもちがったかスピードワゴ……」

ゴシャア!

- レストラン -

スモーキー「(いてて……財布一つでひでー目にあったぜェ〜。
なんとか逃げ出せたがよォ、とりあえず飯でも食べよう……)」

ジョセフ「(おッ、これは偶然。さっき財布を『施した』黒人がいるぞ)」

メリケンチンピラ「この店はよォ〜、
あんなクセーブタ野郎を入れてんのかァァァ〜〜〜!?
この店はブタがブタを食ってもいいのか〜〜〜ッ!ハーーーッ!!」

ジョセフ「まぁ、感じ方は人それぞれ。
おれ達には関係ないね、エリナばあちゃん」

エリナ「その通りよジョジョ。個人の主義主張は勝手ですもの」

マフィア1「マダム…あなたはエリナ=ジョースターさんですね?
わたしはスピードワゴンさんに大変世話になってやしてね。
さっき知った裏の情報ですが、スピードワゴンさんが発掘隊を皆殺しにしましたぜ」

ジョセフ「!?」

エリナ「でも…わかるような気がする……
スピードワゴンさんがかつて話してくれた『石仮面』と『ディオ』。
それにまつわることのような気がする……」

- 夜 -

マフィア2「マダム…あなたはエリナ=ジョースターさんですね?
わたしはスピードワゴンさんに大変世話になってやしてね。
さっき知った裏の情報ですが、スピードワゴンさんが殺されましたぜ。
うわさでは、殺ったのはナチス軍の『シュトロハイム』という男……」

ジョセフ「!?」

マフィア「そしてその『シュトロハイム』より、
ジョセフ=ジョースターに伝言です。『ローマ』に行け、と。
スピードワゴンからの『餞別』をくれてやる、とのことです」

ジョセフ「餞別だと!?そして…ローマだァ〜〜〜?」

- 数時間前 -

スピードワゴン「……わたしを殺すのはいい。
しかし、発掘したこの『遺体』だけはッ!
必ず『ジョセフ=ジョースター』に届けてくれ!必ずだッ!
この遺体は、『柱の男』に対抗できる可能性を秘めている……!」

シュトロハイム「……死の間際の願いがそれでいいのかァ〜〜?
まぁ…『石仮面』さえあればそんな遺体なぞどうでもいい。
柱の男たちへの対抗策になるかもしれんのだな?わかった。
その遺体は、柱の男たちがいる、イタリアの我が軍のもとへ送らせよう」

スピードワゴン「(『聖なる遺体』。わたしには何も道を示さなかった。
だがジョースター教の教えを継ぐ、『ジョジョ』ならば……
この遺体の持つ力を引き出せるかもしれないッ!!)」

- イタリア ローマ -

ジョセフ「ンめーじゃあねえかッ!このスパゲッティーッ!」 ズビズバー

「これは君へのプレゼントだよ、シニョリーナ。
そしてたのみがあるんだカワイイ人。
毎晩ベッドに入る前…これをはずす時ぼくのことを、必ず思い出して欲しいんだ」

ジョセフ「おおッ!あのイタ公、
まっ昼間からいちゃついてるぜ。お熱いのオォ〜〜」

「ネックレスにおまじないをするよ。君に愛の魔法がかかるように。
そして君の唇にも魔法がかかるように……」

ウェイター「シーザー=ツェペリ様。シュトロハイムという方から電話がはいっております」

シーザー「『シュトロハイム』。ママミーヤ。わかった今行くよ」

ジョセフ「あのスケコマシが!おれが会いにきたツェペリだったのかッ!!」

ウェイター「あれ?申し訳ありません、
既に電話が切れてしまっておりました……
(切れる寸前、叫び声と爆音が聞こえたが……)」





シーザー「……『波紋』を、全く知らないのか……?
シュトロハイムが『スピードワゴン曰く、才能のある奴』と
言うから少々期待していたのだが……ガッカリしたよ。こんな奴と組むのか?」

ジョセフ「そ…それはすまねえ。その『波紋』とは違う、
何か別の才能のことを言ってるんじゃあねーか?
(ただ、おれに『信仰心』以外の取り柄って何かあったかァ〜〜〜?)」

シーザー「……波紋以外か、そうかもな。相手は『柱の男』……
では『戦い』の才能を見せてもらおう。この『女の子』には勝てるかな?」

ガッバァ!

ジョセフ「!? キスの『波紋』で女の子を操ったのか!?」

ドガ!ドカッ!バキ!

シーザー「……女の子にすら勝てんとはなあ〜〜〜。
しかし、いくら殴られても全く抵抗しなかったな。
むしろもっと『殴ってくれ』という感じだった。なにか理由があるのか?」

ジョセフ「先祖代々の教え……
おれの信仰する『ジョースター教』の教えに従ったからだ」

シーザー「ジョースター教?それは、どんな教えなんだ?」

ジョセフ「いかなる『敵意』を向けられようとも、それに応じてはならない。
敵意に対し敵意を返しては、その波が大きくなるだけだからな。
ジョースター教は逆に考える。もっと『殴ってくれていいさ』とな」

シーザー「そうか。まぁ……悪い奴じゃあなさそうだし、
『先祖代々』の教えを忠実に守るのはけっこう好感持てるな。
わかった、コンビを組もう。よろしくなッ!ジョセフ=ジョースター!!」

- 真実の口 地下 -

ゴゴゴゴゴゴ…

ナチス「ひ…『柱の男』の額が、ハト時計の扉のように開いたぞッ!」

隊長「落ち着けィ!こいつは紫外線の照射をあびているのだ、動けんッ!
いったいなんなのか……注意して調べろッ!
(本日報告のあったメキシコのシュトロハイム隊の全滅……
これはよい教訓となった。紫外線はこいつらを岩石の状態のままにしている……
この安全策を知ったのだからな)」

ナチス「いったいどうなっているのだ。影になっていてよく見えないぞ…。
覗いてみよう。な…なんか音が……」

ドショオッ!

ナチス「うあああああ!つ…つ…つのがッ!
ま…まさかッ!こいつッ!……目覚めているッ!!」

バルバルバルバル!!
ボッゴオッ!!ビシャアアーーッ

隊長「ううッ!?ち…血と脳漿で紫外線の光球を…か、影にしたーーーッ!?
し…紫外線は!こいつにはきかないのかッ!?
メキシコの『柱の男』は動けないというのにッ!」

ワムウ「作った光でこのワムウを縛ったままにできるかッ!」

シュオオオオ

ナチス「うわああああ!手がッ!?くっついているッ!?
す…すわれる!!」

ドキュウーーン! パタパタパタパタ

ワムウ「目覚めたまえッ!わがあるじ達よ!!」

ワムウ「人間どもの会話からですが…海を渡った地(メキシコ)では、
サンタナがこの貧弱な光を発する機械に屈したとのこと……。
まさか……『波紋の一族』の仕業では?」

エシディシ「二千年前に我らが全滅させたはずのやつらが、
生き残っていたのだ……『間違いない』」

カーズ「『波紋の一族』か……。
また蹴散らせばいいこと。それよりも、『エイジャの赤石』だ」

エシディシ「『エイジャの赤石』!」

ワムウ「ローマ皇帝が持つといわれて探し求めてきた、『エイジャの赤石』……」

ジョセフ「なあシーザー。おれにもよォ、
その『波紋』とやらは可能か?
やってみたいんだ!おせーて!おせーてくれよォ!」

シーザー「まぁ、一時的になら、君の肺を動かす横隔膜の筋肉を刺激して、
軽い波紋なら作れるようにできるが……」

ジョセフ「ほんとうか!やってくれッ!!」

シーザー「わかった。いくぞ!パウッ!」

ドス!

ジョセフ「おおおオオ〜〜〜ッ!?練れる!『波紋』が練れるぜッ!
……ところでシーザー、スピードワゴンの『餞別』のことは聞いてるかい?」

シーザー「ああ。これから『それ』を受け取りにいく」

ギャキイイィィ!

ジョセフ「車!? なんだァ〜〜〜ッ!?あいつはナチスだッ!」

シーザー「ナチスのOKが出たようだ。『柱の男』はナチスが警備している!
餞別もそこに届いている!
そして彼がわれわれを案内してくれるのだ!」

- 真実の口 地下 -

ジョセフ「ん?あそこに棺が……どうやら、これがスピードワゴンの餞別らしいな。
中に入っているのは……『遺体』!?
ミイラ化している遺体だッ!スピードワゴンは、なぜこんなものをおれに……」

ゴゴゴゴゴゴ…

マルク「お…おかしい!ここにいるはずの我が軍の見張り番がいないッ!?
……ああああ!これはッ!?」

ジョセフ「ぜ…全滅しているぞォ!おいドイツ野郎!
そっちへ行くんじゃあねえ!なにか潜んでいるぞ!!」

シーザー「目覚めているッ!逃げろマルクーーーッ!!」

トン スカッ

カーズ「今はとりあえず人間世界の変化ぶりを、見学に行くとしよう。
2000年ぶりだからな、楽しみだ……」

エシディシ「いくぞ、ワムウ」

ワムウ「ハッ!」

マルク「ああああ…あああ〜〜〜!
こ、殺してくれッ!だ…だんだん痛みを感じてくる……!
は…はやく…ぼくを殺してほしい…」

ジョセフはマルクの心臓部に手を当て、波紋を流した!
シュゴオオォァ

マルク「あ…ありがと……う、ジョ…ジョ……は…波紋で心臓を……」

ガク…

カーズ「ムウッ!?あれは『波紋』!
生き残っておったかッ!『波紋の一族』がッ!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ジョセフ「……一つ聞きたい。なぜおまえらは人間を殺す?」

カーズ「貴様ら人間は、『蟻』を踏みつぶすのに理由があるのか?」

ジョセフ「……なるほど。何の『教え』もなく『ただ生きてきただけ』ってわけか。
哀れな生物だな。このおれが『施し』をかけてやるぜ。おまえたちを『救おう』」

ワムウ「『哀れ』だと?『施し』だとッ!?『救う』だとォォーーッ!!?
図に乗るなよ貴様ァーーーッ!!」

シュタァ!

ワムウ「闘技!『神砂嵐』!!!」

『左腕を関節ごと右回転!』
『右腕をひじの関節ごと左回転!』
『そのふたつの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間は!
まさに歯車的砂嵐の小宇宙!!』

ジョセフ「我が心と行動に一点の曇りなし。すべてが『救済』だ」

シーザー「ジョジョ!避けろッ!避けるんだッ!!
ジョジョオオォォーーーーッッ!!……ハッ!?」

ビカアアァァーーーッッ!!

シーザー「い…遺体がッ!ミイラ化した『遺体』が!光っている!?
こ、これはッ!?まっ、まぶしい!この輝きはッ!
目…目がくらむッ!げ、限界なく明るくなるぞおおォォーーッ!」

シーザー「ハッ!? み…見えたぞ。は…『入った』!
遺体が!ジョジョの……『体の中』にッ!!」

ドドドドドド…

ジョセフ「……」

エシディシ「な…なんだ?や…奴が、
あ…あたたかい輝きの中にいるように見えるぞ……」

ワムウ「カ、カーズ様……何か変です…奴……いや!
『ジョジョ様』に対して、敬いの感情が湧き上がってきますッ!」

カーズ「このカーズもだ…!崇めるだとか、敬うだとか、奉るだとかの……
そう!ヒンドゥーやユダヤを『信仰』する者が持っているであろう気持ち!!」

『宗教!』

そのすてきな好奇心が柱の男たちを行動させたッ!

- 数ヶ月後 -

ジョセフ「……本日の話はここまでだ」

ワムウ「本日も素晴らしいお話でしたね、カーズ様、エシディシ様」

カーズ「そうだな。我々は『神』になりたかった。
その為に石仮面を作り、赤石の行方を追った。だが……それは間違いだったようだ」

エシディシ「『天』におわす神は『地上』を作り、人間や、我々を生み出した。
上から下へ生まれ落ちた我々は、いつしか『上』を望むようになった。
すなわち、『神の傍』に帰りたいのだ。
我々は神になりたかったのではない。ただ、『帰りたかった』だけなのだ……」

カーズ「その通りだ、エシディシ。
そしてこの教えを守り続けることが、きっと『帰る』為の唯一の手段……」

ワムウ「ジョースター教では、他人の主義主張に寛大です。『帰り』を望む者同士の争い。
つまり『横』の争いに意味がないことを、理解しているからなのでしょう」

エシディシ「そうだな。しかし結局人間は、自分の目の前の利益を求める者が大多数だ。
我々が長い年月をかけ、『施し』をかけていかねばなるまい」

カーズ「ああ……これが『信仰』の心だ。
我々はジョジョ様に『出逢う』ために、何万年もさまよってたのかもしれぬ……」



≪ジョセフがジョースター教を広めているようです −完−≫

遺体は『誰』のイメージか

ジョセフがこの話で手に入れた聖なる遺体は、SBRの『イエス様』ではなく、
『モンテスマ(モクテスマ2世)』をイメージしております。


モンテスマは、メキシコにかつて存在した『アステカ帝国』の第9代君主である。
在位期間は18年、1520年に死亡している。

生贄文化の有名なアステカではあるが、
メンドーサ古写本に含まれている年代記曰く、
モンテスマ自身は、
「教養があり、また占星術師として、哲学者としてすべての技芸に優れた人物」
であったらしい。

聖人の意味は『高い学識・人徳や深い信仰をもつ、理想的な人。聖者』

宗教は否定しませんが、『狂信』は危ないと思うのです。


最後までご覧頂き誠にありがとうございました。

それでは。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom