妹「お兄ちゃんなんてもう…いらない…!」俺「え?」(57)

パリーン

何かが割れる音がした
そのせいで俺はいつもよりも早い朝を迎える事になった

俺「ん…んん…なんだぁ?」

時計を見る
時間は…まだ午前8時23分だ

音はキッチンの方からだった
俺は眠い目をこすりながら階段を降りキッチンに向かった

妹が地べたに座って泣いている
足元には割れた皿が散らばっていた

俺「なんだ…皿が割れただけかよ」

妹「グズッ…グズッ…」

俺は妹が嫌いだ
なんせヘタレだからだ

俺ん家の親は二人共3年前事故で死んだ
妹はまだ高校通ってるけど俺はもうとっくに成人過ぎてるし妹と二人暮らしってことになった
しかしコイツは家事が全くできないしビビりだし体力もないからバイトもロクにできない

そして何より両親が逝ったのはコイツのせいなんだ

俺「もういいや…部屋戻ろ」

と 言うものの今日は平日
そう かく言う俺もニートをやってるのだ
勿論 今仕事をちゃんと探してる

俺「とりあえず12時くらいまで寝るかね」

俺がベッドに入ろうと腰を乗せた時だ

ガラッ

妹「…」

俺「…ん?妹…?」

俺「…って…部屋入るときはノックくらいしr…」

俺「!?」

口から引きつったような音の無い声が出た

妹が泣いている そんなことよりもだ

俺「お…おい…なんで…包丁なんて持ってるんだ…?」

妹「…ヒグッ…ヒグッ…」

妹がゆっくり近付いてくる
俺はベッドの上でゆっくり後退りする

俺「お…おい…な…何する気だ…?なあ?」

妹「お兄ちゃんなんてもう…グズッ…いらない…グズッ」

俺「は…はは…は…妹…」

妹「う…う…うわああああああ


俺「ま…待って…まっ」ザグッ



刺された

腹部を思いっきり

そんな

そんなバカな

頭が真っ白になった

妹「…ひっ…」

妹「ひ…う…う…うわあぁぁあ…!」

妹「いやああぁぁぁああああ!!」

俺「おい…!」

妹は部屋を飛び出した
そしてドアを思いっきり開けて閉める音が聞こえた
家を飛び出したのだろう

しかし出て行った妹の行き先などどうでもいい

俺「血が…!うわあぁぁあ…血…血…!」

俺はパニックになっていた

俺「でで電話…!救急車…!」

俺「け…け携帯…!どこだ…!」

子棚の上にある携帯を見つけ取ろうとするがうまく掴めない

俺「あ…あ…ちくしょ…!」

俺「はぁ…はぁ…落ち着け俺…!」

冷静になると腹部には包丁が刺さってるが意外と痛くない気がしてきた

俺「なんだこれ…もうすぐ死ぬってのかよ…!」

俺「はぁ…はぁ…妹の野郎…」

俺は少し冷静になり携帯を掴み119を押した

プルルルルとコールが入った時どこかで音がした

ドゴッ…という鈍い音が



ーーーーー

俺「っ!!」ガバッ

俺「…はぁ…はぁ…はぁ…」

俺「…」

俺「…あれ?」

俺はベッドの上で寝ていた
しっかり毛布を被って

俺「え?え?」

俺「い…今のは?…妹は?」

腹部を確認する
何も刺さってない

時刻を確認する
午前8時23分だ

俺「…」

俺「ふふっ…ははは…」

俺「ははは…なんだよ…」

俺「夢かよ…だっせぇな…」

それにしてもリアルな夢だった
まだ心臓の鼓動が聞こえる

俺「…たくっ」

パリーン

何かが割れる音がした

俺「ん?なんだ?」

俺は部屋を出ようとドアを開けて立ち止まった

同じだ

さっきと同じじゃないか?

俺「…」

俺「ふふっ…まさかな…」

俺は階段を降りた

妹「グズッ…グズッ…」

デジャヴだ

全く同じ光景を見たことがある

それもついさっき

妹がキッチンの地べたに座り泣いている
そして足元には割れた皿が

俺「あ…あ…あ…」

足が竦んだ
階段の途中で後退りした為転けて階段に座る形になってしまった

妹「グズッ…」

妹がこっちを見ている

俺「うわあああああ!」

俺は急いで自分の部屋に戻りベッドに潜り込んだ

俺「まさか…まさか…」

さっきの映像がフラッシュバックする
妹が包丁を持って迫ってくる映像が

…待て…さっきの夢の通りにいくとしたら…

俺「あ…あ…あぁ…!」

俺は今までにない恐怖を憶えた

考える間は無かった

ガラッ

妹「…」

完全にさっきの夢が再現されていた

俺は恐怖で何もできなかった

なぜなら妹が次に何をするか分かっているからだ

妹「…ヒグッ…ヒグッ…」

なんとか止めなくては
俺は確実に殺られる

妹「お兄ちゃんなんてもう…グズッ…いらない…グズッ」

しかしやはり体は動かない
人間本当の恐怖に直面した時身体が硬直してしまうらしい

俺「ひ…い…い…いも…」

妹「う…う…うわああああああ」

俺「…っ!」ザグッ

俺「う"う"ぅ"ぅぅうあ"っ!!」

妹「…ひっ…」

妹「ひ…う…う…うわあぁぁあ…!」

妹「いやああぁぁぁああああ!!」

俺「妹…!」

やはり妹は出て行った

俺「く…う"ぅ"ぅう…」

俺は血が湧き出る腹を抑える

しかし先程と同様痛みが無い気がする事に気がつく

俺「う…んん…ん?」

やはり痛みが無い
しかし体がうまく動かない
軽い金縛りのような状態だ

俺「く…なんだよ…これ…!」

俺はなんとか子棚の携帯を触るが掴みきれず落としてしまった

俺「なんだってんだ…どうすれば…!」

俺はベッドの上で携帯を取ろうと伸ばした右手を震わせ呟いた

その時どこかで音がした

ドゴッ…という鈍い音が



ーーーーー

俺「っ!!」ガバッ

俺「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

俺「…」

俺「…あれ?」

夢…?夢だった…?また…?

俺は腹部を確認する
何も刺さっていない
俺はつい今まで毛布を被り眠っていたらしい
時計を見る
午前8時23分をさしている

俺「…」

俺に何とも言えぬ恐怖が襲い掛かる
さっきと全く同じ光景が広がっているからだ

俺「ま…まさか…な…」

パリーン

何かが割れる音がした

きっと皿だ

俺「は…ははは…なんだよこれ…おい…」

俺「なんなんだよ…」

俺は涙目で呟いた

俺は動く元気が無かった

誰か階段を上ってくる

ガラッ

妹「…」

妹「…ヒグッ…ヒグッ…」

俺は驚かなかった
しかし恐怖だけが襲い掛かる

俺はまた殺されるのか?

妹「お兄ちゃんなんてもう…グズッ…いらない…グズッ」

俺「ふふっ…ははは…」

俺「妹…なんで…どうしたんだよ…」

妹「う…う…うわああああああ


俺「なぁ妹」ザグッ

やっぱり痛い気がする
取りあえず気分のいいものじゃない

妹「…ひっ…」

妹「ひ…う…う…うわあぁぁあ…!」

妹「いやああぁぁぁああああ!!」

やはり妹は家を飛び出していった

俺「はは…やっぱ体動かねぇ…」

俺「一体…なんなんだよ…」

俺「なんなんだよ!!」

俺が涙ながらに叫んだ時どこかで音がした

ドゴッ…という鈍い音が





ーーーーー

俺「…」

俺「…」

俺「…」

目を覚ますといつもの部屋だった
ベッドに寝そべったまま時計を見る
午前8時23分をさしている

俺「…」

勿論腹部に包丁は刺さってない

俺「…」

俺「ふっ…」

俺「ふははははは…」

俺「ふははははははははははははははははははw」

パリーン

何かが割れる音がした
皿だろう

俺「ははは…は…」

俺「…」

俺は気付くと涙を流していた

ガラッ

妹「…」

妹「…ヒグッ…ヒグッ…」

俺「夢なんだろ?」

妹「お兄ちゃんなんてもう…グズッ…いらない…グズッ」

俺「どうせこれも夢なんだろぉ!?なぁ!!」

妹「う…う…うわああああああ


俺は妹のナイフを持つ手を掴んだ

妹「…っ!」

俺「このぉ…!させねぇぞ…!」

妹が俺の上に覆い被さる
やけに力が強い
夢と言えども目の前で包丁を振り下ろそうとされてるんだ 手の震えが止まらない

俺は力尽きた

包丁は俺のおでこのど真ん中を射止めやがった

すっげえ痛い気がする 実際は痛くないかもしれないが

俺「うううあぁっ!」

妹「…ひっ…」

妹「ひ…う…う…うわあぁぁあ…!」

妹「いやああぁぁぁああああ!!」

妹は家を飛び出した

俺「…」

俺「…」

俺「なぁもういいだろ…」

俺「夢なのは分かったからさ…」

包丁の刺さったでこから血が垂れる

俺「夢なんだろぉ!?覚ましてくれぇ!なんなんだよこれはぁああ!」

俺「あああああああああああああああああああああ!!」

その時どこかで音がした

ドゴッ…という鈍い音が



ーーーーー

俺「…」

俺「…」

確信した

俺は夢を無限ループしてる

どうすればいい?
そもそも何かしなくちゃダメなのか?
何かすれば何か変わるのか?

俺「せめてもっとマシな夢なら…」

パリーン

皿の割れる音がした

俺「…待てよ…妹が部屋に入ってこないようにすれば…」

俺の部屋のドアはスライド式で鍵がない
全く使った事のないほうきが押し入れにあった
それでドアが開かないように差し押さえておけば

俺「よし…開かないな」

ドアは俺が開けようとしても開かないくらい固く固定された

妹が階段を上がってきた

ガッ

ガッガッガッ

妹が頑張ってドアを開けようとしている
しかしお前の力では開かないぞ妹よ

「うわあああああああ」

ドアの外で叫び声が聞こえた
そしてまた妹が家を出て行く音が聞こえた

俺「…」

俺「…ふ…ふふふ…」

俺「やった…勝ったぞ!」

俺「ふははははははははははw」

その時どこかで音がした

ドゴッ…という鈍い音が



ーーーーー

俺「…」

俺「…は?」

俺「待てよ…どういうことだよ…」

時刻は8時23分
景色は変わらなかった

俺「俺は殺されなかったんだぞ?なんだ…どうすれば…」

パリーン

毎度のごとく皿の割れる音が聞こえる

俺「そうだ 今のうちに妹を止めれば」

俺はすぐさま階段を降りてキッチンに駆け寄った

俺「おい妹」

妹「グズッ…グズッ…」

妹の周りに皿が散らばってる
俺は妹に早歩きで駆け寄る

俺「おい 知ってんだぞ
お前俺を殺そうとしてんだろ?あ?」

妹「…!」

妹「い…いや…くるな…」

妹の胸ぐらを掴む

俺「何がしたいんだお前はぁ!!」

俺「……あ?」

俺の腹に包丁が刺さってる
力が抜けていく
妹の野郎…既に持ってやがったらしい

妹「…ひっ…」

妹が手をプルプルと震わせゆっくり包丁から手を離す

妹「ひ…う…う…うわあぁぁあ…!」

妹「いやああぁぁぁああああ!!」

妹は家を飛び出した

俺「…」

腹が立ってきた
夢とは言えただでさえ俺が嫌いな妹になんでここまでされなくちゃいけない

どこかで音が聞こえた

ドゴッ…という鈍い音が



ーーーーー

俺「…」

取りあえず整理しよう

あいつがまず洗ってた皿を落として割る
俺がここで何もしなければあいつが俺の部屋に入ってきて俺は殺される
部屋に入れなくしてもなぜか強制終了
包丁で刺されると痛みは無いが体が動かなくなる まるでほんとに刺されたかのように

進展があるなら俺がキッチンに行ってからだ
あいつは座りながら泣いている
その時既に包丁を所持している

俺がなんとか殺されないようにしなくては…

パリーン

皿が割れた

俺は部屋のバットを手にとり階段を降りる

やはり妹は地べたに座り泣いている

俺「妹…俺を殺そうとしてるのは分かってる…」

妹「…!」

俺「お前が今包丁を持っている事も…!」

妹「ひ…!」

俺はバットを構えゆっくり妹に近付く

妹「い…いや…いやあああ!」

妹が立ち上がり俺から距離をとった
そして包丁を自分の首元に向ける

俺「!」

俺「お前…何する気だ…!」

妹「見たら分かるでしょ?自殺よ」

俺「…」

妹「どちらにしても死のうと思ってたの」

俺「…」

妹「…それじゃ」

俺「…」

俺「お前なんか…死ねばいいさ」

妹「…」

妹「」グジャァア

俺「…」

顔を背けなかった事を後悔した



ーーーーー

俺「…」

俺「…あれ?」

俺はベッドの上にいた

時刻を確認する

8時23分だ

俺「…」

俺「…妹が死んだら戻ってきた?」

俺「妹が死ぬ事で夢がループしているのか?」

俺「いや…そうだとしたら前までのはなんだったんだ…」

パリーン

俺は階段を駆け下りる

俺「妹…」

妹「グズッ…グズッ…」

俺「一回落ち着け?な?」

俺はゆっくり妹に近付く

妹「いや…いや…!」

妹「んん!」

妹が包丁を俺に向けてきた
なんて短気な奴だ

俺「やめろぉ!」

揉み合いになり俺が包丁をなんとか妹の手から振り落とす

妹「…!」

俺「おい…お前は何がしたいんだよ」

妹「…」

妹「いやぁあああ!」

妹が家を出て行く

俺「待て!」

俺は後を追う

妹は家のすぐ隣のビルの側面にある非常用の螺旋階段を上り始めた

俺は家の前でその様子を見ていた

ビルの三階の途中辺りで妹はそこから飛び降りた

妹は俺の目の前に落ちてきた

なぜか俺は冷静だった

妹は自殺を決意してる
なんせ飛び降りるのを全く恐れてないからだ
なんて事を考えていた

そしてそれと同時に

どこかで聞こえたドゴッ…という鈍い音の正体を知った



ーーーーー

俺「…」

時刻は8時23分

俺「…妹が死ねば夢がループする」

俺「妹の自殺を俺が止めなければいけないってことか…」

俺「…なんで俺が妹なんかの為に…あんな奴死んでくれて構わないのに…」

俺は思い出す 両親の事故を

母親と喧嘩して家出した妹を捜すため車で街を走っていた両親がトラックとの衝突事故にあい死亡した
あの両親の最期の顔が忘れられない

俺はそれ以来妹を毛嫌いした
あいつはあいつで反省していたらしいけど

俺「夢の中でまで俺に迷惑かけんなよ…」

パリーン

俺「…はぁ…」

俺は階段を降りる

そしてキッチンの妹に掴みかかり包丁を奪った
妹から包丁を奪うのは容易だった

妹「ひっ…」

俺「なぁ妹」

俺は妹の腕を掴む

妹「いや…」

俺「これ以上俺に迷惑かけないでくれよ」

妹「…い…い…いやぁあ!!」

妹が俺の手を振り払い家を出て行く
そしてまた例の非常螺旋階段を上ろうとした
俺がそれをなんとか追いつきまた妹の腕を掴んで止める

俺「いい加減にしろよぉ!」

妹「ヒグッ…」

俺「なんでお前は死のうとする!俺が困るんだよ!」

妹「…ない…」

俺「なに?」

妹「お兄ちゃんのせいじゃない!」

妹は道路側へ走り出した

俺「おい!妹!」

妹は走ってきた大型トラックに跳ねられた

妹はその衝撃で10メートルくらい空中にとばされた

そして体が地面に叩きつけられる音がした

グヂャッ…という血の気の引くような音が



ーーーーー

俺「…」

俺「…はぁ」

俺「俺のせいだと?」

時刻は午前8時23分だ

パリーン

どうすればいいかなんて考える時間はなかった

俺「ちくしょう…」

俺は階段を降りキッチンの妹から包丁を奪った

俺「なあ教えてくれ…なんで死のうとする?」

妹「ヒグッ…ヒグッ…」

俺「教えろ」

俺は妹を部屋の角に追い込んだ

妹「…ない…」

俺「あ?」

妹「お兄ちゃんのせいじゃない!」

俺「だからなんで俺なんだよ!」

妹「今…家が苦しいの…分かってるでしょ?」

俺「それは…お前がドジでバイトクビになるからだろ」

妹「それも悪かったよ…でもお兄ちゃんだって」

俺「俺だって今必死に仕事探してるだろ!?」

妹「探してないじゃない!」

俺「な…!」

妹「形だけじゃん!ハローワーク行くだけいって頑張った気になって!本当は仕事したくないんでしょ!?」

俺「…なんだと…!」

妹「私…もう疲れたの!バイトも沢山応募して…分からない家の家事とか沢山やって…学校では虐められて…もう…疲れたよ…」

俺「お前…虐められてるのか?」

妹「…グズッ…グズッ…」

妹はスキを見て走り出し家を出た
俺が後を追うと妹は螺旋階段を上り始めていた

俺「待て!」

俺も妹を追いかける為螺旋階段を上る
妹がビルの三階あたりで止まった

妹「それ以上来たら飛び降りるから」

俺は階段の半階下で止まり妹を見上げる

俺「待てよぉ!な…なんでお前が死ぬ必要があるんだ」

妹「さっきも言ったじゃない!もう疲れたの!このさき生きていくのがっ」

俺「…で…でも…その…!」

ダメだ言葉が出てこない

妹「…だからお兄ちゃんを殺して私も死のうかと思ったんだけど…どうやら死ぬのは私だけみたい」

そういうことか…だから俺を刺した後飛び降りる音が聞こえたのか

俺「妹…まて…!あれだ…その…」

妹「…」

妹は飛び降りた

下の方で音が聞こえた

ドゴッ…という鈍い音が



ーーーーー

俺「…」

思い返せばそうだった
俺はただ仕事をしたくなかっただけなのだ
気付くと俺はグチグチと言うだけで実際部屋に籠もって2chをやってる毎日
妹が怒るのも仕方ない

俺「…何やってたんだ…俺…」

ふとある朝を思い返す

ーーー「…ちゃん…」

「お兄ちゃん…!」

「お兄ちゃん起きてよっ!
今日お仕事探しにいくんでしょっ!」

「ほら…もう9時だよぉ!」

「え?明日にする?」

「…何言ってるの…ほらっ着替えて着替えてっ」



「寝癖も直した方がいいよっ」

「襟ズレてるよ」

「はいっ」

「それじゃっ頑張ってね」

「いってらっしゃーい!」ーーー

俺「…」

俺「…本当は分かってたのかな…俺が頑張ってないこと…」

俺「本心では…憎んでたのか…?」

俺「そりゃそうだよな…殺したいほどだから」

パリーン

俺「…」

俺「…行くか」

俺は階段を降りキッチンに行き 割れた皿の横に座って泣いている妹の元へ近寄った

妹「ヒグッ…ヒグッ…」

俺「妹…」

妹「…ヒグッ」

妹が立ち上がり包丁を向けてきた

妹「お兄ちゃんなんてもう…グズッ…いらない…グズッ」

俺「…」

俺「悪かったよ…妹…俺」ザグッ

刺された

妹は俺の話など聞く気は無かった
やはり妹の包丁を掴む手は震えてた

妹「…ひっ…」

やっぱり体が妙に言うことを聞かなくなる

妹「ひ…う…う…うわあぁぁあ…!」

妹「いやああぁぁぁああああ!!」

俺は痺れる体で妹を抱きしめた

妹「…!」

俺「…」

俺「ごめん…妹…俺は…お前の事を考えていなかった…」

俺「苦しかったろ?」

妹「…お兄ちゃん…?」

俺は知らず知らずのうちに泣いていた

俺「お前…お前を守らなきゃいけないのは俺なのによぉ…」

俺「妹…俺やり直すよ…絶対に…お前を悲しませたりしないように…頑張るから…」

妹「…」

俺「お前は俺のたった一人の家族なんだ…お前が必要なんだ…だから死のうとなんかしないでくれぇ!!」

妹「…」

妹「…」

俺「今まで…ごめん」

妹「グズッ…グズッ…」

妹「お兄ちゃん…!」

妹「ごめん…お兄ちゃん…ごめん…!」

俺「…」

妹「私も…私のせいで…お母さん達死んじゃったから…そのせいで…こんなことに…」

俺「心配するな お前のせいなんかじゃない」

妹「……お兄ちゃん…!」

俺は妹を更に強く抱きしめた

妹も泣いていた

俺は誓った
妹を守り抜くと

その時耳元で声が聞こえた

「ありがとう…」…という小さく優しい声が



ーーーーー

「…!」

「…ちゃん!」

「お兄ちゃん!」

俺「っ!!」ガバッ

妹「もう…お兄ちゃん今日もお仕事探しにいくんでしょっ!」

俺「い…い…今何時だ…?」

妹「もう9時過ぎてるよぉ!早く起きてっ」

時計を見る
午前9時45分をさしている

俺「い…妹…!皿割ったかっ?お皿割らなかったか?」

妹「お皿?はぁ?お兄ちゃん何言ってるの?」

俺「…」

戻ってこれた

戻ってこれたんだ

俺「…」

妹「え…!?お兄ちゃんなに泣いてるの…きもぉっ!w」

俺「う…うるせぇ…!」

俺「…」

俺「妹…その…なんだ…頑張るよ…今日も」

妹「…う…うん?…お兄ちゃんさっきから何言ってるの~変なお兄ちゃん」

妹は今も怒っているのだろうか
きっと怒っているだろう
それでもこうやって話してくれる優しい妹だ
これからは俺がちゃんと守ってやるからな

俺「よ~し!今日こそ仕事見つけるぞ~!」

妹「お~その意気だよお兄ちゃん~w」

俺「へへへw」

何か言い知れぬ希望が湧いてきた
なぜかとても心が華やかになっていた

俺は心のどこかで妹との悪い関係を気にしていたのかもしれない

俺は自然と零れる笑みを妹に見られないようにスーツに着替え始めた





妹が背中に隠した包丁にも気付かずに


end

おわり

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