【ラブライブ】蕾の望み (58)

当たり障りのない内容のつもり。

設定はアニメ、SIDごちゃまぜ。

性格がちょっと違ったりしているかも。

文章力がないので見るに耐えない出来かもしれません。

それでも構わないと言うお暇な方だけどうぞ。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403800723

―――年が明けてもう1ヶ月。
流石に神社にお参りに来る人も1月1日からの1週間比べたらもう随分と減ってきた。
またもう少しだけしたらいつも通り、静かな境内に、静かに参拝者さんがきて、神田さんを拝んで帰ってく。

ちょっと寂しい気もするけど、ウチはこっちの雰囲気の方がなんか落ち着いて好きやな。
お正月のわいわいしたのも好きなんやけどね。
今はこっちの方が何となく好き。

―――

やっとふわふわしたお正月気分が抜けてきたところで2月にはドキドキのバレンタインデー。
3月は桃の節句の雛祭り。
女の子にはまだまだイベント盛り沢山やんな!


と言っても、ウチは17歳。年も明けたから今年度の6月9日で18歳。
流石にもうお雛様で喜ぶような歳と違うしなぁ
バレンタインといっても気になる男の子は居るわけちゃうし音ノ木は女子校。
友チョコってやつでお仕舞いやん。
…まあ、中には女の子同士で…。
なーんてこともあるらしいけど、当人達が幸せなんならええんちゃう?


エリちにはどんなんあげよかなー?
去年は一口サイズのカラフルチョコの中に1個だけ玩具の混ぜてて、えらい膨れっ面にさせてもたからなー。
まさか気付かずに食べようとしてまうなんて思わへんやん?

膨れっ面のエリちも可愛かったけど、やっぱり素直に喜んで笑ってくれるんが一番やん。
今年はちょっと奮発して有名なところのあげよかな?

あー、でもエリち、チョコ好きなのは伊達じゃないから色々知っとるんよなー。
味とか、メーカーとか、もちろんお値段とかも…。

今年でウチらも3年生。
生徒会長 絢瀬絵里と副会長 東條希。
ゲン担ぎとはちょっと違うけど今後の二人の景気づけにってことにしとけばエリちも渋々納得するやろ!
それでもあかんかったらウチもエリちと一緒に食べたかったんよー
とか、言えばいいやん?

―よしっ、これで万事オッケーや!
休憩も終わったしもうちょっとお掃除して神田さん綺麗にしよか!
今日は土曜日やし平日よりほんのちょっとだけお客さんも多いやん。
ウチもほんのちょっとだけ気合い入れんとな。

―お掃除も終わって午前中の参拝時間。
9時過ぎ頃に一番最初のお客さんがやってきた。

別に1人でお参りになんて珍しくもない。
寧ろ今までウチが見てきたお客さんは1人で来る人の方が多かった気もするしなぁ。


だけどなんでやろ、何故かその人がむっちゃ気になってしまってん。


白いロングコートによく映える赤い薔薇みたいな髪の毛、おまけにスタイルもいい。

身長もエリちと同じくらいありそやなー。
雰囲気も服装もえらい大人っぽいし、同い年か歳上くらいなんかな?


そんなことを考えながらその人を眺めていた。

入り口を潜る前に一礼
手水舎できっちりお清め
本殿の前のお賽銭箱にお賽銭を入れ
二礼二拍手一礼

作法もむっちゃしっかりしとるな。

ずっと眺めていたら縁起物売り場のウチと軽く目があった。
その人の軽く肩が軽く下がった。
一息ついたって感じかな、そのままこっちにやってきてん。


遠目で見たらコートと髪の色の所為もあってなんやお姫様みたいやったけど近くで見たらもっとそれっぽく見えるなあ。
そんなことを考えながら少し見とれていると


「えっと、お守り、貰えます?」

その言葉でふと我に帰る

「っとと、はい、
なんのお守りになさいますか?」

小難しそうな顔をして彼女は

「んー、合格祈願のものってあります?」

声も綺麗やなー。


「はい、それでしたらこちらの勝守がそれに値するものになります」

目も見えたけど切れ長で紫水晶みたいに綺麗な瞳や。

「では、それを1つお願いします」

お守りを小さな紙袋に入れている最中ふと思い立ち
ちょっとした世間話程度に話し掛けてみた

「お守り、誰かに差し上げるんですか?」

少し驚いた顔で、だが彼女は答えてくれた

「…はい、同じ中学の友達になんですけどね」

僅かな沈黙、こんな話をするなんて考えてなかったんだろう

「別々の高校に行くことになって、それで、
初詣には親と一緒にと言われていたので合わせられる時間がなくて、お互いに受験生で追い込みの時期だから中学以外で会える時間もなくて…」


また一息ついて
今度は優しそうに話してくれた

「お守りを最初にくれたのは彼女だったんです。別々の高校になっちゃうけど絶対受かろうねって。
私、今までこんなことなかったからどうしたらいいかあまりわからなくて… それで、母に聞いたら 」


貴女はどう?
それを貰ってどう思ったの?

「と、聞かれました。
私は頷きながらすごく嬉しかったと答えました。
そしたら母が」


なら、もうやらなきゃいけないことは決まってるんじゃない?
…いいお友達ね。そのお守りをくれたその子の想いも、そのお友達もずっとずっと大切にしなさい。

「母の素直な助言にはいつも助けられます。
娘の私が父に似て不器用なのを知っているので、そういうところの扱いだけは長けているんでしょうね」

軽く頷く

「ふむふむー、それで今日お守りを…」

ここまで話し込んでくれるとは思ってなかったなぁ。

なんというか、パッと見の第一印象では彼女は他人との距離感を明確にしたがって自分から壁を作って苦労してしまうタイプに見えたんよ。
さっきの話を聞く限りではそれも強ち間違いではなさそうやし。

「あっ、すみません。
どうでもいいこと話し込んでしまって…」

でもしっかり他人のことも思いやれる優しい子や。
きっと気持ちを素直に伝えるのが苦手なんやな
、どっかの誰かさんに似とるね。

「ああ、ええんよ、ウチから聞いてもうたんやから。
こういう話をたまに聞かせてもらうんも好きやしね!」

多分、その子のことむっちゃ大切に思っとるんやな。
そうじゃなかったらこんなに自分から話してくれたりもせーへんやろし、お母さんに相談してまでお守り買いに来ることもないやん?

「あの、、どうかしました?」

きっとウチが赤の他人できっともう会うこともないやろうと思って話してくれたんやろなー。
悩み事とかって自分に関係ある友達とか親とかせんせとかよりも
自分と繋がりがない、全く自分を知らない人の方が意外と話せれたりすんねんな。
教会でシスターさんが懺悔を聴いたりするんとちょっと似とるやん。

「あの…、大丈夫…ですか?」

それに中学ってことはこの子うちより年下やねんな。
ふふっ、そう思ったら今までのこの子の行動が急に可愛く思えてきたわ。

「あのっ!」

少し前に初めて聞いた少し大きな声に驚いて目を開けた

「おおっ、ビックリした、どうしたん?」

不思議そうにウチが聞くと

「お守り…」

と、呟くように私の手元を見るその子
視線の先に目をやると、いつの間にかお守りを入れていた袋が何重にもなっとってん。

「なんやこれ!?なんでこんなことに…?」

フフっと微笑んだあとにその子が言う

「さっきまでずっと私の呼び掛けを無視して、目をつぶってふわふわした笑顔浮かべながら何回も巫女さんが詰めてましたよ」

あちゃー、むっちゃ恥ずかしいとこ見られててんな…。

「あはは、変なとこ見られてもうたね…」

苦笑い

「いえ、なんか面白かったのでいいですよ」

「なんかちょっと府に落ちんなぁー」

言いながら袋を入れ替えようとすると

「あっ、そのままでいいですよ」

何で?と聞き返そうとする前に返事がきた

「こんな珍しいこと、あるんだなって。
ふふっ」

小悪魔めいた笑顔のまま放った意地悪な言葉なのに
それは何故だか私にも少し心地よかった

「しゃあないなー、その代わりと言ったらなんやけど二人とも志望校合格せんとあかんで?」

お守りを手渡しながら言う

「ふふっ、当然ですよ」



鳥居を潜って一礼。でもそれは真っ直ぐ本殿を見てじゃなくてほんの少し、
と言っても遠目のウチでもわかるくらいに縁起物売り場の方に体が向いててん。
本人はほんの少しのつもりなんやろな、ふふっ。

気持ちを素直に伝えるのが苦手なだけでしっかりしたええ子やんな。
きっと戻ってきてお礼いうなんてこっ恥ずかしいと思ってまったんやろね。
でもそれでも十分すぎるやん。


そういえばエリちが最近ソワソワしとったんは高校受験があったからやんな。
新年から神田さんでお手伝いばっかりしとったからすっかり忘れとったで。
お陰でエリちには仕事押し付けぎみやったけどなぁ、今度お詫びにパフェでも奢らなあかんね。

…そういえば、あの子どこ受けるんやろ。
そのくらい聞いといてもバチは当たらんかったなあ。

音ノ木やったら嬉しいけど、それはないかなあ。通っとるウチが言うのもなんやけどあんまり人気ある高校やないねんな、悲しいことに…。


そうだ、ここはひとつさっきの子とその子のお友達の為にもひとつお参りしとこか。


―――。


…よし。
神田さんのお守りがあるから大丈夫やとは思うけど、念には念をってやつやね。
お守りのスピリチュアルパワーと相まって満願成就間違いなしやん?

いつもはお参りする人ばっかり眺めてたから、自分でお参りしたらなんか変な気分やんな。巫女服のまんまやし。
でも、まあ、たまにはこんな日があってもええやんね?


―お参りを終えて、坂を覗いてみた

もう居るはずのないその子の陰を瞼の裏に
少しだけセンチな気分に浸る


人との出会いは一期一会

1分1秒が奇跡の連続

今まですれ違った人は

また同じところですれ違うかもしれないし

別のどこかですれ違うかもしれないし

もう一生どんな形でも再会することもないのかもしれない


顔も言葉も名前も

覚えてない聴こえてないから知らないから

ただなんとなく過ぎ去る日常の

気にも留めない風景の

ほんの一瞬の出来事なのだから

悲しくもならない


顔も言葉も名前も

覚えてない聴こえてないから知らないから

ただなんとなく過ぎ去る日常の

気にも留めない風景の

ほんの一瞬の出来事なのだから

悲しくもならない


それは本当は

ちょっぴり寂しいことなのかもしれない

でも仕方のないこと

誰だって知ってる わかってる


全ての人と仲良くなんて

全ての人に優しくなんて

絶対できっこない

圧倒的に時間が足りない

私たちの時間は限られているのだから



人との出会いは一期一会

瞬きする間も軌跡の欠片


だから大切にしたい

せめて私と

こんな私とほんの少しでも

関わりを持ってくれた全ての人の

これから出会ってくれる全ての人の

願いが叶いますように







あの子の望みも
きっと必ず叶いますように




終。

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