[緋弾のアリア 紅の夜叉]武偵殺し編 第一話 飛天の龍と鋼の錬金術師 (3)




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 東京武偵高等学校。

 そこは「武偵」を育成する特殊な学校。

 武偵とは凶悪化する犯罪に対抗して新設された国際資格で、武偵免許を持つ物は武装を許可され逮捕権を有するなど、警察に準ずる活動ができる。

 警察と違うのは金で動く事で、金さえ貰えば武偵法の許す範囲ならどんな荒っぽい仕事でも下さい仕事でも汚い仕事でもこなす。曰る、『便利屋』だ。

 東西500メートルの長方形の人工浮島《メガフロート》、「学園島」とあだ名される島の上にある総合教育機関には通常の一般科目に加え、14の専門科目が存在する。

 主に戦闘を主体とする科目は、近接戦による強襲逮捕を行う強襲科、狙撃による遠隔からの戦闘支援を行う狙撃科。

 主に戦闘支援を担当する裏方役は、犯罪組織に対する諜報・工作・破壊活動を行う諜報科、そして犯罪容疑者への尋問を行う尋問科。

 証拠や犯罪者を追い詰める役目は、探偵術と推理学による調査・分析行う探偵科と、犯罪現場や証拠の科学的検査を行う鑑識科だ。

 武偵の装備品や大切な移動手段を賄うのは、装備品の調達・カスタマイズとメンテナンスを行う装備科と、車輌・船舶・航空機の運転操縦及び整備・改造を行う車輌科の仕事だ。

 情報収集やその連絡は通信機器を用いたバックアップを行う通信科と情報処理機器を用いた情報収集と整理を行う情報科が。

 そして超能力や特殊条件下での犯罪捜査を行う|超能力捜査研究科と特殊捜査研究科。

  それらの、武偵に必要な特殊技能の習得を目指す半面、武偵校の偏差値は一般校に比べて低い事で有名である。勿論、中には例外的に全国でもトップクラスの成績を誇っている学生も存在するが、それは例外中の例外であると言える。彼等武偵に必要なのは、あくまで戦闘力や捜査能力、それらを補助する能力であって、一般教養など社会に出て恥ずかしくない程度に身に着けていれば良い、と言う訳である。又、学園内には、既に武偵として犯罪捜査の一線に立っている学生も存在する。

 エドガー・エルリックと緋村心斗は強襲科に通う武偵校2年生だ。





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 先程も説明したように強襲科は拳銃・刀剣その他を用いた近接戦による強襲逮捕を行う学科で、斬った撃ったは日常茶飯事。「明日無き学科」とか、エドや心斗と仲の良い友人なんかは、昔のアニメから「死ね死ね団」とか呼んでいる。

 その理由は学科の卒業時生存率が97,1%ーすなわち100人に3人は生きてこの学科を卒業出来ない。任務の遂行中、もしくは訓練中に死亡する生徒がいるのだ。

 そんな非常識な武偵校も今日が四月の始業式となる。臙脂色の防弾制服に身を包み自らの名前が書かれた名札を付けた生徒達は、1年生は新しい学び舎に期待と緊張感を募らせ、2、3年生は新たな気持ち、新たな学友と共にこれからの一年に思いを馳せる。そんな光景は武偵校も一般校も変わりがない。

「お、おろぉ!?」
「な、なんだ!?」

 突然、寮である事御構い無しの大音量で鳴り出した音楽に叩き起こされ、エドと心斗は辺りを見渡す。

 エドは小柄な身体に長い栗色混じりの金髪をみつ編みにした少年だ。頭頂には、髪が一房飛び出ており、皆に「アンテナ」と呼ばれるトレードマークのアホ毛が、窓から入ってくる春の暖かい風に揺れていた。

 対する心斗は一本に纏めた赤茶髪に端正で中性的な顔立ちを持つ少年だ。エド以上に小柄な上に細身という短身痩躯な体を持つ為、少年よりも少女といったほうがしっくりするだろう。

 どちらもまだキンキンする耳と寝ぼけぎみの頭をフル回転させ、何が起こったか確認する。

 すると、

「ようやく起きたか。お寝坊さん共。ニヒヒヒヒヒ」

 そこには二つの二段ベットの狭い間に置かれた、大型のコンポに肘を掛けてニヤニヤ笑う2人の同居人、諜報科の稲荷《いなり》智樹《ともき》がいた。

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