希「舞い降りた天使」 (50)

ガラッ


希「うへぇー………」


希「びしょ濡れやん……」


希「急にドシャ降りって、天気予報は晴れやなかったっけ?」


希「タオルタオル………」


希「………へくし!」


希「うう……寒気する」ブルブル


希「風邪ひくかもしれんし、はやくお風呂入って暖かくしよ」

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――――――――――――


チュンチュン


希「ん………」


希「あれ……もう朝なんか…」ボー


希(……もうこんな時間やん)


希(なんか、だるいなぁ…)


希「よっと………」


希(今日の一限目は………古文やったな……)フラッ


バタン


希「あれ………?」


希(体が…熱い…?声が……かすれて…)


希(あかん、これ……ウチ、熱っぽい…)

希「はぁ………はぁ………」


希「今日…学校休むかな……」


希「学校に……‥連絡せな…」


希「ん……」


希(あかん、動けん……体重い…痛い…)


希「ふふっ。………こういう時……独り身は辛い……なぁ…」

希「こほっ…!こほっ…!」


希(鞄…に携帯が入ってたはず…)


希(きついけど……這いずってでも…)


希「ん………はぁ……はぁ…」ガサゴソ


希「携帯が……」


希(携帯が…ない…)

希(学校に忘れたんかな…?)


希(固定電話使おう…か)


希「んっ……」


フラフラ


希「遠いなぁ……」

希「こほっ!……やっと」


ガチャ


ピッ…ピッ…


希(目が霞んで…よく見えん……ボタン押せてるんかな…?)


フラッ


希(あれ…)


バタン

希「床がひんやりして……気持ちええなぁ……」


希(あかん…こんなとこで横になったら…)


希(はやく…電話して……お布団に…)


希(そういや……エリちと……約束が……)


希「はぁ……はぁ……」


希(エリ…ち……)


希「………」

「のぞみ!のぞみ!」


希(――――誰なん?)


希(ウチ、呼ぶんは…)


「しっかりしなさい!希!」


希(天使……?)


希(ああ………え…りち…)

――――少し前――――


絵里「……んもう」


絵里「今日は一緒に行こうって約束したのに…」


絵里「はやくしないと置いて行っちゃうんだから」


絵里「………」ソワソワ


絵里「も、もう遅いわね!電話するわ!」ピッピッ

アイシテルバンザーイ♪


絵里「……あら?」


絵里「私の鞄に希の携帯が入ってるわ」


絵里「希が間違えて入れたのかしら?」


絵里「学校で渡してもいいけど…」


絵里「希の家に行きましょう」


絵里「驚かせたついでに遅れた理由も聞かなくちゃ」

絵里「さて、希の家に着いたわ」


絵里「希が出てくるまで待ちましょう」


絵里「……………遅いわね」


絵里「………希とすれ違ってたらいないんじゃ?」


絵里「こ、これはいけないわ!私だけ遅刻になっちゃうじゃない」


絵里「はやく呼鈴鳴らして確かめなくちゃ…」

バタン


絵里「ん?」


絵里「いま、家の中で物音が…?」


絵里「まだいるみたいね」


絵里「朝からなにしてるのかしら」フフ


絵里「もうちょっと待ちましょう」

絵里「……遅いわね」


絵里「本当にいるのかしら?」


絵里「ちょっと聞き耳を立ててみましょう」


ピッピッ


絵里「電話……かしら?」


バタン


絵里「……まただわ」

絵里「なんだか嫌な予感がするわ」


ピンポーン


絵里「………」


絵里「………希?いる?」


ガラッ


絵里「あれ、開いてる………」


絵里「希?入るわよー?」

絵里「希?のぞっ……!」


希「はぁ……はぁ……」


絵里「のぞみ!?のぞみ!」


絵里「しっかりしなさい!希!」


絵里「どうしたの!?って熱い…!?」

絵里「凄い熱……汗も……」


希「こほっ……こほっ……!」


絵里「と、とにかくお布団に寝かせましょう」


絵里「希が起きたら病院に連れていきましょう」

――――――――――――


希「ん………」


希(あれ………ウチ……)


希(なんでお布団のなか……なん?)


希(それに額がひんやりする…)


希(濡れ…タオル…。いったい誰が…?)


絵里「目が覚めた?」


希「エリ……ち……?」


絵里「もう、驚いたわよ。携帯届けに来たら倒れてるんだもの」

絵里「それと玄関開いてたわよ。まったく不用心なんだから」


希(あれ……鍵…)


希(そういや……)


希(昨日バタバタ帰ったから戸締り確認しとらんかったんか)


絵里「学校には私から連絡入れておいたわ」


希「ありがとう……なあ」


絵里「立てる?歩いて病院行けそう?」


希「ちょっと…きついかも……」

絵里「そう…それじゃあタクシー呼びましょう」


希「ええよ……そこまで…‥」


希「家の……風邪薬呑んだら治るよ」


絵里「駄目よ」

絵里「最近の風邪は怖いんだから」


絵里「油断してると悪化するわ」


希「…………そうやね」


希「…落ち着いたら、行くから…エリちは学校行っておいで」


絵里「嫌よ。希ひとりにできないわ」


絵里「また倒れるかもだし」

希「でも……」


絵里「それに私も学校休むって言ってるわ」


絵里「希がなに言っても看病するわよ」


希「こほっ……ごめんな」


絵里「いいのよ。困ったときはお互いさまでしょ?」

絵里「さて、病院に行く前に着替えましょう」


絵里「下着はどこにあるのかしら?」


希「そこの……タンスの一番上」


絵里「ここね。洋服は私チョイスでいいわね?」


絵里「タオル持ってくるわ。余裕があったら服脱いでおいて」

絵里「持ってきたわ」


希「エリち……ごめん…」


絵里「いいわよ、起こすわよ?」


希「こほっ……うん」


絵里「よいしょっと、服脱がすわね?」

希「本当に……ごめんな…」


絵里「気にしないでって言ってるでしょ?」


絵里「それじゃ汗拭くわね」フキフキ


希「……なんか、介護されてる気分や」


絵里「介護してるのよ」フフッ

――――――――――――


ガラッ


絵里「大したことじゃなくてよかったわね」


希「うん……」フラフラ


絵里「大丈夫?」


希「大丈夫やけど、疲れたわ…」


希「…ちょっと……横になるな」

絵里「ひとりで大丈夫?」


希「うん……心配せんでだいじょ…」フラッ


絵里「危ない!」ダキ


希「ふふ……ごめんな…エリち…」


絵里「なに笑ってるのよ…!」


絵里「………もう、ひとりにしようとするとこれだもの」

絵里「それじゃ寝かせるわね」


希「ごめんなエリち……こほっ…」


絵里「さっきから謝ってばっかりじゃない」


希「なんか…弱気になってるなぁ…」


絵里「はやく元気になって調子戻しなさいよ?」


希「……うん」


絵里「隣の部屋にいるから、なにかあったらすぐ呼んでよ?」


希「うん、ありがと」

希「けほっ……けほっ……」


希(エリちが来てくれて本当助かったで)


希(ウチが携帯を忘れて、エリちが届けに来てくれて)


希(んで、ウチが鍵を閉め忘れてたからエリちが助けてくれた……なんて)


希(ラッキーっていうか、漫画みたいな展開っていうか)


希(エリちマジ天使…やね)


希(ウチ、ひとりやったらどうなってたんかな……)


希(……なんか…少し眠たくなってきた)

――――――――――――


希「ん………」


希「暗い……ずいぶんと寝てたみたいやね…」


希「時間は……19時か……」


希「こほっ……エリち?………エリちー?」


シーン


希「帰ったんかな…?」


希「もう遅いし……仕方ない…か……」

希「………」ポロポロ


希「あれ……なんで涙が…?」


希(なんでや……悲しくなんてないのに…)


希(………ああ、寂しいんか……)


希(ひと肌恋しいで…)


希(誰かに……傍にいてほしい…)


希「エリち………エリちぃ……」

絵里「買い忘れがあったなんて……」


ガラッ


絵里「ただいま。今帰ったわ」


絵里「さて、希が起きる前に夕食の支度済ませておきましょう」


絵里「と 、思ったけど起きてるみたいね」


ガラッ


絵里「希、調子はどう?喉乾いていない?」


絵里「………希?」

希「う……ぐす…」ポロポロ


絵里「の、希!?どうしたの!?」


絵里「どこが痛いの!?」


希「ぐす……え、エリちぃ……」ギュ


希「ひっぐ…けほっ…」


絵里「……希?」


希「さ、寂しかったで……どこにもいかんでよ……」


絵里「…ごめんなさい。何も言わずにいなくなって」


絵里「もう勝手にいなくなったりしないわ」ギュ


希「え、エリちぃ……こほっ…」

――――――――――――


絵里「落ち着いた……?」



希「うん…………でも」


希「 もう少し………このままで…‥」


絵里「いいわよ。好きなだけ甘えなさい」


希「うん。………うん」

ぐぅー


絵里「?」


希「………安心したらお腹すいたで」


絵里「ふふっ。希ったら、作ってくるから待ってなさい」


希「うん。ありがとうな」

――――――――――――


コンコン


ガラッ


絵里「作ってきたわ。消化のいい雑炊よ」


希「エリち食べさせて」アーン

絵里「いいわよ。甘えん坊ね」


絵里「出来立てだから熱いわよね。フーフー…」


絵里「はい、あーんっ」


希「あーん」パクッ


絵里「…どうかしら?」


希「……ごめん、味がようわからん」

絵里「あら、ごめんなさい。味付け濃くすればよかったわ」


希「そ、そんな謝らんでええよ」


希「もう一口ちょうだい。エリち」


絵里「ええ。フーフー…」


絵里「はい、あーんっ」


希「あーん」パクッ

希「うん……美味しいよ」ニッコリ


絵里「……味がわからないんじゃなかったの?」


希「気持ちがな…とても伝わるんよ……」


希「エリち、ありがとうな」


絵里「希……」

希「ふぅ……もうお腹一杯や」


希「けほっ……ごめんな、お腹すいたって言ったのにあまり食べれなくて」


絵里「いいのよ。仕方ないわ」


希「ホント……エリちは優しいなあ…」


希「 今なら……けほっ…エリちになにされてもいいで……?」

絵里「もう、馬鹿な事言ってないで、薬呑んで寝なさい」


希「エリちのいけずぅー……」


絵里「はいはい。冗談言えるまで回復したのは良い事だわ」


絵里「さ、薬呑んで横になってなさい」


希「……うん」


絵里「些細な事でもいいから何かあったら呼びなさいよ?」


希「……うん」

――――――――――――


希「エリちの看病のおかげで見事復活したで!」


希「ホント、エリちに感謝やな」


希「それにしても………」


希「今日こそは一緒に登校しようって約束したのに遅いなぁ」

ブーブー


希「ん?エリちからメールや」


希「えーと………風邪ひいたから学校休む、やって!?」


希「ウチの風邪移してしまったみたいやな……」

希「………」ピッピッピ


希「あ、東條です。すいません、今日も体調が優れないんで……はい……」


ピッ


希「さて、エリちの看病に行こうっと」


希「次はウチがエリちの天使になってやらんとな♪」





おわり


何だこの天使たちは

最後まで読んでいただきありがとうございました。
とりあえず書き溜めていたのはすべて投稿したので次回はちょっとかかりそうです。

おつ
花園すなぁ



えりのぞはすばらしいですな

おつやん

天使天使うるさい!希と絵里は女神だろ!

移し合い無限ループが発生する気がする

おつん
エリちSIDよかったね

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年08月12日 (火) 02:23:34   ID: HB0qa1zB

のぞえり最高♪のぞえり万歳♪のぞえり神♪
良いものが見れた!ありがとうございました。

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