植木耕助「あんたが俺のマスター?」衛宮士郎「え?」 (130)



ランサー「はっ、悪いな小僧――死ねっ!」


衛宮士郎「――っ!」


致死に至る槍が迫る

衛宮士郎が死を覚悟したまさにその時――


ガシッ



ランサー「は?」

間の抜けた男の声

衛宮士郎は恐る恐る目を開けた



「ふーん、今の俺は神器と職能力が使えるのかー」



衛宮士郎の前に立つのは、モップを持った緑色の髪の少年


ランサー「なんだ、てめぇは!」

深紅の槍を使う男は、緑髪の男を睨む


しかし、緑髪の男は飄々とした態度を崩さず、一言呟いた







「唯我独尊」




ランサー「あんなんブルガッ」



槍を持った男は、地面から出た箱に噛みつかれた

ランサー「ガッ――」

苦しむ槍の男に、緑髪の男は追い討ちをかける

「百鬼夜行!」


ランサー「グッ」


地面から生えた棒に打たれ、槍使いは消えた



緑髪の男は衛宮士郎の方を見て――言った




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1395155846







「あんたが俺のマスターか?」







この時から、少年の聖杯戦争は始まった




翌日


衛宮士郎「・・・」


緑髪の男「・・・」

衛宮士郎「あの・・・」

緑髪の男「ん?」

衛宮士郎「昨日言った話は本当なのか?」

緑髪の男「本当だ。あんたは俺のマスターで、俺とあんたは聖杯戦争に巻き込まれた」

衛宮士郎「そ、そうか」


衛宮士郎はこの飄々とした男が掴めなかった

昨日、自分を助けてくれた男は、てきとーな説明をして、眠ったからだ

一応、この緑髪の男のステータスというのは、男の言う通りにしたら見れた


クラス セイバー
真名 植木耕助
性別 男性
属性 混沌・善
特技 緑化活動、人助け
好き 仲間、正義
苦手 悪
天敵 悪を行う人間

クラススキル
対魔力 D
一行程による魔術行使を無効化する。魔除けのアミュレット程度
騎乗 D
自転車を乗りこなすくらいの技能

保有スキル
再開の才 EX
別々の世界を繋げるほどの才能。如何なる人に対しても、因果を曲げて再開する才能である。
変換(ゴミ→木) B
ゴミを木に変える能力。一握りのゴミしか木にできない。

回帰 B
相手の術を元に戻す力。

神性 E
 一応天界人

能力値
筋力 D
魔力 C
耐久 A
幸運 C
敏捷 C
宝具 EX

宝具
神器 ランクEX 種別? レンジ? 最大捕捉?
天界人たる彼が持っている十個の宝具の総称。砲撃宝具の鉄、防御宝具の威風堂々、切断宝具の快刀乱麻、圧殺宝具の唯我独尊、突貫宝具の百鬼夜行、機動宝具の電光石火、捕捉宝具の旅人、打撃宝具の浪花、飛行宝具の花鳥風月、決戦宝具の魔王、の十個である。

救うために掴むモップ ランクB 種別対人宝具 レンジ1‐15 最大捕捉1‐5
セイバーが職能力を発揮するために使うモップ。変幻自在な「剣」である。



衛宮士郎「・・・」


強いのかどうかよくわからない

とりあえず天界人とは何か、と云う疑問をぐっと飲み込んで、衛宮士郎は問う





衛宮士郎「えっと、セイバーは何で戦うんだ?」


その問いに、セイバーはぶっきらぼうに答える

セイバー「森のため」

衛宮士郎「はぁ」


やはり、ゴミを木に変える能力を持っているから、昨今の地球温暖化と緑茶現象を憂いているのか、と衛宮士郎は検討外れなことを考えたのだった


短いけど今日はここまで

おやすみなさい




衛宮士郎「そういえばセイバー、今から藤ねぇが来るけどいいか?」

セイバー「ん?藤ねぇ?」

衛宮士郎「ああ、俺にとって姉代わりのような人だ」

セイバー「ふぅん、姉代わりか」

セイバーは少し懐かしそうな目で、遠くを見る



十分後――

藤村大河「へぇ、切嗣さんの知り合いの息子さんねぇ」

セイバー「植木耕助です。よろしくお願いします」

衛宮士郎「植木の父親が、中東に行くから、家で預かることとなったんだ」

藤村大河「植木くんなら、桜ちゃんとも仲良くなれそうね」

衛宮士郎「だな」

セイバー「さくら?」

衛宮士郎「ああ、うちによく来る後輩だ」

セイバー「へぇ、いつか会ってみたいな」

セイバーはにこりと笑いながら朝食を食べていた




セイバー「んー、士郎士郎」

衛宮士郎「ああ、どうしたセイバー?」

セイバー「正直マスターって呼ぶのは面倒だから士郎って読んでいいか?士郎も俺のこと植木って呼んでいいぞ」

衛宮士郎「ああ、植木がそれで良いなら」

気さくだなぁ、なんて衛宮士郎は思いながら登校準備をする

植木耕助「士郎、何かあったら令呪で俺を呼べよ」

衛宮士郎「わかってる」

そういいながら、衛宮士郎は高校に向かう









植木耕助「さて、士郎も行ったし出てこいよ。お茶でも飲もうぜ」







植木耕助は衛宮士郎を見送った後、屋根の上に呼び掛ける





ランサー「ちっ、気がついてやがったか」



降りてくるのは青い男――ケルトの英雄、クーフーリンである

ランサー「いつから気がついてやがった?」

植木耕助「ん?まぁ、なんとなく」

ランサー「はっ、変なやつだ。てめぇは本当に英霊か?」

植木耕助「さぁ、俺は知らない。俺よりコバセンの方が英霊っぽいな」

ランサー「コバセン?だれだそれ?」

植木耕助「俺の理想――で、何で来たんだ?」

ランサー「ちっ、てめぇと話してると殺る気が削がれる――もう今日はなんもしねぇよ」

植木耕助「そうか、じゃあなー」

植木耕助は間の抜けた声で、ランサーに語りかける

ランサー「ちっ、本当に変なやつだ」

ランサーは去る


植木耕助「本当に変な青タイツだなぁ」

植木は別の所に目をつけていた


英霊 植木耕助について

適正クラスはセイバー、ランサー、アーチャー、バーサーカー

セイバー時は最もバランスの良いステータスと、全ての戦闘系宝具が普段と同じように使える身体機能を得る
ランサー時は、敏捷が高まり、幸運が下がる。百鬼夜行とモップの威力や使いやすさなどが普段よりも高い。
アーチャー時は全体的にステータスが下がるが、鉄と魔王の威力が上がり、宝具にテンコとウールが追加される。
バーサーカー時は天界力の暴走状態が宝具であり、モップと神器が使えない



本編は空いた時間にチョロチョロ打っていきます




同時刻


遠坂凛「アーチャー、どう?」

アーチャー「どう、とは?」

遠坂凛「昨日あんたが見たサーヴァントよ。ランサーを追ったときにみて、あんたは手を出すべきじゃないって判断したけど・・・具体的にどうなのよ」

アーチャー「読めないサーヴァントだ。いきなり箱でランサーを押し潰し、棒で打った」

遠坂凛「セイバーじゃ、ない?」

アーチャー「恐らく、とにかくよくわからない」

遠坂凛「なら今夜仕掛けるわ」

アーチャー「わかった」




衛宮家


植木耕助「」ズズズッ


植木耕助「」ボリボリ


植木耕助「」ボリボリ


植木耕助「ぷはー」


衛宮士郎がいない間、植木耕助はお茶と煎餅でまったりしていた




放課後


衛宮士郎「ふぁ。帰るか」

衛宮士郎は靴を履き、帰路につく

植木耕助「士郎ー」

衛宮士郎「お、植木。どうしたんだ?」

植木耕助「なんかこの辺りから怪しい気配がする」

衛宮士郎「わかった」


植木耕助はモップを取りだし、衛宮士郎は掃除箱からパクった箒を強化した







遠坂凛「・・・サーヴァントはモップを持って、マスターは箒を持つ?って、あのマスター衛宮くんよね!?」


アーチャー「凛、馬鹿らしい姿だからと言って油断するな」

アーチャー「あのサーヴァント・・・並のサーヴァントなら返り討ちにあうだろうな」

遠坂凛「そんな強いの?」

アーチャー「かなり、だな」


アーチャーはごくりと唾を飲み込む




暗い街中

モップを持った少年と、箒を持った少年は共に歩く


植木耕助「さっきからつけられている」

衛宮士郎「本当か?」

植木耕助「ああ」


植木耕助の言葉と同時に、後ろから声がする




アーチャー「おおっ!」


掛け声と共に、赤い外套の男が躍りでて――



遠坂凛「らっ!」


反対側から少女が飛び出した


赤い外套の男が撃った矢は植木耕助がモップでつかみ、少女が打ち出した何かをそれではじく

植木耕助「旅人!」

敵の先手を防いだ後、植木耕助は捕獲の宝具を発動させる

植木耕助「よし、捕獲成功」

遠坂凛「嘘・・・」

あまりにも呆気ない終わり

飛び出した少女はへたりと座り込む

衛宮士郎「え?遠坂?」

ここで衛宮士郎はすっとんきょうな声をあげたのだった




遠坂凛「かくかくしかじか――というわけで、奇襲しましたはい」グルグルギュー

アーチャー「」ギューブクブク

衛宮士郎「昨日から思っていたんだけど、植木強いな」

植木耕助「まぁ、俺場数踏んでるし」

衛宮士郎「で、どうするんだ?」

植木耕助「うーん、とりあえずアーチャーが士郎だから倒さないように捕獲したけど、どうする?」


衛宮士郎「は?」

遠坂凛「へ?」


植木耕助「え?」




アーチャー「」チーン



場が凍る




植木耕助「え?だってアーチャーってどっからどう見ても士郎だろう?」

衛宮士郎「いや、それは無いだろう」

遠坂凛「それは無いでしょう」

植木耕助「え?浪花」

アーチャー「ブルグァ!」ビダーン

衛宮士郎「」

遠坂凛「」


植木耕助「アーチャー、お前って衛宮士郎だよな?」


アーチャー「な、何で解ったんだ!?」

衛宮士郎「」

遠坂凛「」

植木耕助「いや、普通に見てたらわかるだろう」


衛宮士郎「それはないない」

遠坂凛「いやいや、あんたの観察力がおかしいのよ!」

アーチャー「まさか・・・初見で見破られるとは・・・」


植木耕助「で、どうするんだ?」


アーチャーの口調に違和感が
慌ててるから素に戻ってるのか?



十分後

遠坂凛「ハァー」ゴゴゴゴゴ

アーチャー「」ボロッキュー

植木耕助「」ガタガタブルブル

衛宮士郎「」ガタガタブルブル


アーチャーの真名が解った直後、遠坂凛は「よくも謀っていたわねーっ!」と叫びながら、アーチャーに八極拳の技を一気にぶちこみ、アーチャーは「なんでさー!」と云う断末魔をあげながら力尽きた


衛宮士郎「遠坂怖い」ガタガタブルブル

植木耕助「鈴子並みにこえー」ガタガタブルブル


衛宮士郎は学園のアイドルの修羅っぷりにビビり、植木耕助は「黙れケダモノ」の恐怖を呼び起こされ、二人して震えていた。

アーチャーはアーチャーで、遠坂凛から「なに口調きざってるのよ!」等と言われ、素を晒してしまった事を後悔しながら痛みに沈んだ




遠坂凛「えっと・・・とりあえず私たちの処遇はどうなるの?」

赤い悪魔が覇気を出しながら衛宮士郎と植木耕助を睨む

植木耕助「とりあえず組んだ方がいいんじゃないか、士郎」ガタガタブルブル

衛宮士郎「そうだな植木」ガタガタブルブル


ガタガタブルブルと震えている二人ではあるが、双方考えがあっての結論だった


植木耕助は前回の聖杯戦争で組んだマスターに比べて弱いマスターの為、彼と自分のみで戦う事に不安があり、衛宮士郎は衛宮士郎で、自分のみなら不安だと思っていたから、遠坂凛とアーチャーの登場は渡りに船だった


遠坂凛「そう、それなら宜しく」ニコリ


遠坂凛はニコリと笑った

こうして、衛宮遠坂の同盟は成立した


衛宮家に向かう道

アーチャー「」

衛宮士郎「」

植木耕助「なんか気まずいな」

遠坂凛「当たり前でしょう、何せ同一人物がバッタリよ。普通はこうなるわよ」

気まずい衛宮士郎とアーチャーを尻目に、植木耕助と遠坂凛は談笑する



その時だった








「見つけた、おにいちゃん!」





>>54

yes




植木耕助「――っ!」

その殺気に気がついたのは植木耕助


植木耕助「百鬼夜行!」


普段はむやみやたらに攻撃神器を撃たない植木だが、彼がためらいなく神器をぶっぱなす位の恐怖がそこにあった

「■■■■■■■■■――ッ!」

バギィンと音がし、百鬼夜行が折れる

遠坂凛「えっ!?」

衛宮士郎「はっ!?」

アーチャー「!?」ガシャン

三人も異常に気がつき、後ろを向く


イリヤ「こんばんは、おにいちゃん」

雪のような白髪、陶磁器のような白い肌。異様な少女のその姿を見た瞬間、誰よりも最初に反応したのは――植木耕助だった

植木耕助「イリヤ!?」


イリヤスフィール「あはは、植木おにいちゃんもいたー」

遠坂凛「イリヤスフィール?まさか・・・イリヤスフィール・フォン・アインツベルン?」

イリヤ「そうよ、凛――ふうん、それにしても植木。今はおにいちゃんのサーヴァントなんだー」

イリヤスフィールの顔が歪む

植木耕助「――っ!アーチャー、士郎と凛を守ってくれ!」

アーチャー「あ、ああ!」

アーチャーはとっさに二人を庇う

イリヤ「やっちゃえ、バーサーカー!」

バーサーカー「



音を置き去りにするような速度

それはまさに一つの災害



植木耕助「威風堂々!」


植木耕助は防御神器である威風堂々を繰り出すが――



ドン



植木耕助「グゥッ!」

神を決める戦いで、数多の強者の攻撃を止めた威風堂々は、いとも簡単に砕かれる


バーサーカー「■■■ッ!」

間髪入れず、狂戦士は斧剣を振り回す


植木耕助「くっ!」

植木は咄嗟にモップでバーサーカーの足を掴む


植木耕助「らぁっ!」


バーサーカー「■ッッ!」

体勢を崩したが故に、バーサーカーの斧剣は空を切る


植木耕助「――百鬼夜行、浪花、鉄!」


突破の百鬼夜行、変幻自在な浪花、遠距離の鉄を同時に放つ


バーサーカー「■■■■■ッ」バギン


百鬼夜行は折られ、浪花は千切られたが、鉄がバーサーカーの頭を潰す




植木耕助「よしっ!」



植木耕助は勝利を確信し、少し気を抜いてしまった――


だが――

イリヤスフィール「」ニヤリ

恐怖は――

イリヤスフィール「やっちゃえバーサーカーぁぁぁぁぁぁぁっ!」

潰えない――

バーサーカー「■■■■ッ!」


アーチャー「なっ!?」

衛宮士郎「なんだと!?」

遠坂凛「嘘っ!」


植木耕助「――っ!」


バーサーカーの斧剣が植木にぶつかる


植木耕助「ぐぶっ」


植木耕助は吹き飛ばされる


衛宮士郎「植木ぃぃぃぃぃぃっ!」






夜に響く衛宮士郎の声


だが、植木耕助は動かない


アーチャー「凛!逃げろ!教会まで逃げて、保護を求めろ!」

アーチャーはこの瞬間、マスターであり凛を生かす戦術に切り替えた

己が犠牲となり、二人を逃がす

彼の切り札でも勝てない事がわからないほど、アーチャーは愚かではない



イリヤスフィール「生かさないわよ、おにいちゃんも、凛も――すぐに植木と同じにしてやる!」


バーサーカー「■■■■■ッ!」


バーサーカーは迫る

遠坂凛「ひっ」

衛宮士郎「――っ」

遠坂凛と衛宮士郎は動けなかった






薄れ行く意識の中――





植木耕助は思い出す










「君が僕のサーヴァントかい?」

植木耕助「ああ」

メガサイトで二つの世界を繋いでいる時、彼は呼ばれた

呼ばれた瞬間、彼は己が巻き込まれた「聖杯戦争」について理解した――それと同時に、今まで失ったあらゆる才と、天界力、神器を再び手にいれた事を悟った――

初めは正直、乗り気ではなかった


植木耕助――彼は戦うのはあまり好きではなかったからだ


しかし、彼は二つの理由で、第四次聖杯戦争に身を投じる事となった



一つは――



「僕は正義の味方を目指していたんだ」



自分の理想を目指して壊れた彼のマスターの為





もう一つは――



「もう忘れない!あんたの事は絶対忘れない!」



彼のために泣いた少女の為











バーサーカー「■■■■■!」


迫るバーサーカー

アーチャー「凛、逃げろ!」


マスターに呼び掛けながら、彼は彼唯一の盾を出そうとする

だが――間に合いそうにない



アーチャー「――っ!」



アーチャーは死を覚悟する









植木耕助「森――」




薄れ行く意識の中、植木耕助は自分の衣服の切れ端を握り、木に変える


ジュン


伸びる木は、バーサーカーに当たり、バーサーカーをこかした


バーサーカー「■■■■■ッ!」ズーン



バーサーカーは立ち上がろうとする


その瞬間



イリヤスフィール「興が醒めたわ、帰りましょう、バーサーカー」



その一言で悪夢は終わったのだ









植木耕助「森――」




薄れ行く意識の中、植木耕助は自分の衣服の切れ端を握り、木に変える


ジュン


伸びる木は、バーサーカーに当たり、バーサーカーをこかした


バーサーカー「■■■■■ッ!」ズーン



バーサーカーは立ち上がろうとする


その瞬間



イリヤスフィール「興が醒めたわ、帰りましょう、バーサーカー」



その一言で悪夢は終わったのだ





意識の底


ふわふわとたゆたう


魂は雲のように浮かぶ


植木耕助はこのまま浮かんでしまおうかと考えた


浮かべばきっと楽になる


浮遊と云う逃避を行いたかった



楽になろう




彼らしくない事を彼が思った瞬間――




――バカ植木、あんたを待ってる人がまだいるでしょう――



懐かしい声がした



――ああ、わりいな。また助けられた――


意識の底で、植木耕助は笑う




植木耕助「――」


柔らかい布団に包まれたが故に生じる、心地よい感覚に抗いながら植木耕助は起き上がる


植木耕助「ん」



白い布団に彼は寝かされていた

アーチャー「セイバー、君は変わったサーヴァントだな。霊体化しないとは」

彼の枕元にはアーチャーがいた

植木耕助「アーチャー、二人は?」

アーチャー「居間で反省会中だ」

植木耕助「そうか」

植木耕助は胸を撫で下ろした


アーチャー「どうやら凛が君に聞きたい事があるみたいだ」

植木耕助「そうか」

アーチャー「だから楽になり次第居間に来てくれ」

植木耕助「わかった」


居間


遠坂凛「来たわね、セイバー」

植木耕助「ああ」ドカッ

植木耕助はどっと座る

遠坂凛「さて、聞かせてもらうわよ――あなたが何者かを」

遠坂凛の眼は鋭く光る

衛宮士郎「植木、もしよかったら話してくれ」

衛宮士郎は真剣な眼差しで植木耕助の眼を見つめる







植木耕助「ああ、話すよ」





緑茶を一口飲んで喉を潤わせ、植木耕助は語る――





植木耕助「俺は正義を貫きたかった」

衛宮士郎「」ビクッ

正義という言葉に衛宮士郎は反応する

植木耕助「コバセンって人に憧れて俺の中で正義は信念となった」

植木耕助「それから、俺は神様を決める戦いに巻き込まれた」

植木耕助「100人の中学生の中で最強を決める戦い」

植木耕助「そこで俺が得たのは、『ゴミを木に変える力』」

植木耕助「そこからいろんなやつ――李崩、ロベルト、マリー、アノン、佐野、鈴子、ヒデヨシ、テンコ、森」

植木耕助「そして世界は人間界、地獄界、天界の三つに別れてて――俺が天界人だってこともわかった」

遠坂凛「信じられない・・・そんなこと、魔術の根底が覆されるわ」

衛宮士郎「植木は神様なのか?」

植木耕助「そんなもんじゃないよ――話を続けよう」

植木耕助「最後には、神様を取り込んだアノンに勝って、俺は神様を決める戦いに勝った」



植木耕助「そして、束の間の平穏の後、また俺は戦いに巻き込まれた」




植木耕助「ある日世界中から大事な記憶が抜き取られた」

遠坂凛「はぁ?もうむちゃくちゃじゃないの!?」

植木耕助「それはキューブってもんが世界中から抜き取られたからなんだ」

植木耕助「俺はそのままキューブを取り戻す戦いに入っていった」

植木耕助「そこで職能力を得て、ウール、ハイジ、ソラ、ナガラと共に、スパークと戦った」

植木耕助「スパークを倒した後、俺はキューブを人間界に戻すために、メガサイトに100年留まることになった」


植木耕助「メガサイトで過ごしている時に、俺は呼ばれたんだ」






植木耕助「衛宮切嗣に」




衛宮士郎「じいさんに!?」






植木耕助「そうか、士郎はやっぱり切嗣の関係者か」


衛宮士郎「衛宮切嗣は俺の義父だ」

植木耕助「――ああ、わかった」クスリ


植木耕助は何かを納得したように笑う




――回想――


 「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。 祖には我が大師シュバインオーグ。
  降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
 「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
 「―――――Anfang」
 「――――告げる。  汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。  聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」
>
 「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」




体が引っ張られる

浮くような感覚の中――植木耕助は三度目の戦いに呼ばれる






植木耕助「あんたが俺のマスターってやつか?」

衛宮切嗣「――これがアーサー王?」

アイリスフィール「エクスカリバーはモップだったの!?」

植木耕助「アーサー王?俺は植木耕助って名前だけど?」


衛宮切嗣「」

アイリスフィール「」





植木耕助「あんたが俺のマスターってやつか?」

衛宮切嗣「――これがアーサー王?」

アイリスフィール「エクスカリバーはモップだったの!?」

植木耕助「アーサー王?俺は植木耕助って名前だけど?」


衛宮切嗣「」

アイリスフィール「」





衛宮切嗣「あり得ない・・・アインツベルンが用意したのはアヴァロンじゃないのか?」

アイリスフィール「いえ、確かにアヴァロンと言ってたわ」

狼狽える二人を尻目に、植木耕助は足元の鞘を手に取る


植木耕助「これ新しい神器か?」

その鞘は、植木耕助がよく知る『神器』のような感覚だった


ためしに、神器を使うように力を流してみると――


パラパラ


鞘は少しずつ展開されていく

別次元からの攻撃さえもシャットアウトする最強の防御宝具――植木耕助の天界力に反応すると云うことは、天界に関連する何かではないか、と思いながら植木耕助はアヴァロンを床に置いた




衛宮切嗣「アヴァロンを、動かした?」

アイリスフィール「なんなの・・・この子」

ああ、説明しなきゃ駄目なんだろうな、と聖杯から与えられた知識を思い出しながら、植木耕助は話し出す――



>クラス セイバー
>真名 植木耕助
>性別 男性
>属性 混沌・善
>特技 緑化活動、人助け
>好き 仲間、正義
>苦手 悪
>天敵 悪を行う人間
>
>クラススキル
>対魔力 D
>一行程による魔術行使を無効化する。魔除けのアミュレット程度
>騎乗 D
>自転車を乗りこなすくらいの技能
>
>保有スキル
>再開の才 EX
>別々の世界を繋げるほどの才能。如何なる人に対しても、因果を曲げて再開する才能である。
>変換(ゴミ→木) B
>ゴミを木に変える能力。一握りのゴミしか木にできない。
>
>回帰 B
>相手の術を元に戻す力。
>
>神性 E
> 一応天界人
>
>能力値
>筋力 C
>魔力 B
>耐久 A
>幸運 C
>敏捷 B
>宝具 EX
>
>宝具
>神器 ランクEX 種別? レンジ? 最大捕捉?
>天界人たる彼が持っている十個の宝具の総称。砲撃宝具の鉄、防御宝具の威風堂々、切断宝具の快刀乱麻、圧殺宝具の唯我独尊、突貫宝具の百鬼夜行、機動宝具の電光石火、捕捉宝具の旅人、打撃宝具の浪花、飛行宝具の花鳥風月、決戦宝具の魔王、の十個である。
>
>救うために掴むモップ ランクB 種別対人宝具 レンジ1‐15 最大捕捉1‐5
セイバーが職能力を発揮するために使うモップ。変幻自在な「剣」である

よく間違えるやつ多いけど、サーヴァント召喚でシュバインオーグのくだりが入るのはゼルレッチの系譜の遠坂陣営だけ

>>103

指摘ありがとう御座います


――衛宮家居間

衛宮士郎「それで、それからセイバーはじいさんのサーヴァントとして戦ったんだな?」

植木耕助「ああ――切嗣は強かった。まぁ、相容れない戦い方も、ランサーを魔王で倒してからは封印してくれたし、正直俺にとっていいマスターだったな」

アーチャー「相容れない戦い方?」

植木耕助「そうだ。初戦で、切嗣はライダーのマスターを暗殺しようとした。そこで切嗣と喧嘩して、ライダーを取り逃がしたんだ」

遠坂凛「うわぁ」

植木耕助「で、結局アイリスフィール――イリヤのかあさんの仲立ちで、『次のサーヴァントを無傷で倒したら切嗣は俺の方針に従う』って約束を切嗣としたんだ」

遠坂凛「サーヴァントを無傷って、無理でしょう?」

植木耕助「いや、できた」

アーチャー「ほう――」

植木耕助「ランサーをモップで押さえながら旅人で捕獲。外から魔王を打ち込んだら勝てた」

遠坂凛「相変わらず無茶苦茶ね・・・」

植木耕助「そっから切嗣は渋々俺の方針に従いながら戦った」



――

キャスター「うおおおっ!」


海魔「ピギィィィィ!」

植木耕助「浪花っ!」

ライダー「がはははは、面白い武器だなセイバーよ!」

アーチャー「ほう、我の宝物庫に無い武器だと?」

アイリスフィール「今よ――セイバー!」

植木耕助「ああ――魔王!」

キャスター「ああ――ジャンヌ。あなたはそこに――」


――

アサシンS「」ワラワラカサカサ


植木耕助「ゴキブリみてーだな」

アーチャー「セイバー、あの雑種どもの動きを止めれるか?」

植木耕助「ああ」

ライダー「む、出番なしか?」


植木耕助「旅人!」

アサシンS「しまった!」ガシャン

アーチャー「ゲートオブバビロン!」バッビローン

アサシンS「ガハッ!」

――

バーサーカー「ア゙ア゙ア゙ア゙サアア゙ア゙ア゙ア゙!」

植木耕助「鉄!百鬼夜行!快刀乱麻ぁぁぁっ!」

バーサーカー「ガァァァァァッ!」

アイリスフィール「倒れない!?」

植木耕助「強いな、お前――」

植木耕助「モップに掴を加える力っ!」

バーサーカー「ガッ!?」

間桐雁夜「バーサーカーをこかした!?」

植木耕助「百鬼夜行!」

バーサーカー「グゥッ!」

植木耕助「いっけぇぇぇぇっ!快刀乱



植木耕助「いっけぇぇぇぇっ!快刀乱麻ぁぁぁっ!」


バーサーカー「ア゙ア゙ア゙ア゙サアア゙ア゙ア゙ア゙!」


間桐雁夜「グゥッ」バタン


植木耕助「おい、大丈夫か!?」

アイリスフィール「無駄よ、セイバー。バーサーカーのマスターは魔力切れで死んだわ」

植木耕助「くっ・・・」




植木耕助「――バーサーカーを倒した後、ライダーがアーチャーに倒され、遠坂時臣が殺された」

遠坂凛「」グッ

植木耕助「だけど、舞弥さんの報告では、アーチャーは未だに限界していた」

植木耕助「同時期、俺と共に戦っていたアイリスフィールが弱って、倒れて、動けなくなった」

植木耕助「そんな時だ――アーチャーが俺たちの所に来たんだ」




――


アーチャー「ふはははは、雑種よ」

植木耕助「アーチャー?」

アーチャー「待て、雑種――今日は戦いに来たわけではない。我は貴様に興味があって来たのだ」

植木耕助「興味?」

アーチャー「そうだ、世界の全ての財を持っている我にも、貴様の宝具がわからなかった」

アーチャー「優男を消したあの宝具など、我には解らぬ事が多かった」

アーチャー「解らぬが故に、一度共闘して、その宝具の正体を探ろうとしたが掴めなかった」

アーチャー「故に我は貴様に問おう、雑種――貴様は何者だ?」

植木耕助「俺は――天界人だ」

アーチャー「ほう――人ではないのか?」

植木耕助「まぁ、そうなのかな?」

アーチャー「ふはははは!雑種、気に入ったぞ!良いだろう、聖杯が顕現し場で、綺礼と待つ!」



――


衛宮切嗣「行くぞ――セイバー」

植木耕助「ああ」


言峰綺礼「アーチャー、始めるぞ」

アーチャー「ふん」


以下色々ムキムキおっさん達のバトルは略


植木耕助「鉄快刀乱麻百鬼夜行浪花ぁぁぁっ!」

アーチャー「ふはは、我を楽しませろ!」バッビローン


植木耕助「威風堂々!」ガガガァァァン

アーチャー「ふはははは!」

植木耕助(こいつ――アノンよりつえぇっ!)

アーチャー「ははは!足掻け雑種!」


植木耕助(魔王は残り二発――次の魔王を確実に当てる)

アーチャー「どうした、もっと我を楽しませろぉぉっ!」




植木耕助「旅人!」



アーチャー「むっ――この程度で王を捕らえた気になったのか?」バッビローン





アーチャーが旅人を壊すまでの僅かなタイムラグ――それが植木耕助の狙いだった



植木耕助「魔王!」


アーチャー「なっ!」

アーチャーは間一髪避けて、聖杯を背にするように陣取った


植木耕助「うわぁ、すげぇな」

植木が感心した――その時









令呪をもって命じる――セイバー、聖杯を破壊せよ――







衛宮家


植木耕助「そこで聖杯を魔王で破壊して、俺の一回目の聖杯戦争は終わった」

植木耕助「俺は知りたい――何であれだけ聖杯に拘っていた切嗣が俺に聖杯を破壊させたかを」

植木耕助「そして、今度こそ聖杯の力でメガサイトから抜け出す」

そういい放つ植木耕助の眼には、確固たる信念があった

衛宮士郎「じいさんがそんな事をしていたなんて、初めて知った」

遠坂凛「衛宮切嗣――魔術師殺しの魔術師ねぇ」

アーチャー(・・・なんだ、この話の違和感は?)


植木耕助「まぁ、俺から言えるのはこんくらいだな」

衛宮士郎「ああ、ありがとう植木」


こうして話し合いは一旦終わった



アーチャー「凛」

遠坂凛「どうしたのアーチャー?」

アーチャー「いや、どうも先程の話に引っ掛かることがあってな」

遠坂凛「え、なに?」

アーチャー「うむ、それが解らないから君に聞こうと思ったんだが」

遠坂凛「うーん、私には解らないわ。思い当たる事があったら言うわね」

アーチャー「よろしく頼んだ」



植木耕助「」ズズッ

緑茶を啜りながら、植木耕助は考える

植木耕助「――はぁ」

彼は、まだ頼りない彼のマスターから、嘗てのマスターの斬新を感じ取っていた





植木耕助「今回こそは――」


それは固い誓い――

仲間を悲しませないために――




間桐慎二「衛宮がマスターだと?」

ライダー「はい、マスター。遠坂陣営に対する偵察で明らかになりました」

間桐慎二「・・・・・・」


間桐慎二「そうか、わかった」




翌日昼


衛宮士郎「」チーン


植木耕助「ん?どうしたんだ?」

アーチャー「いや、過去の私から頼まれたから剣を教えたのだが・・・」

遠坂凛「けちょんけちょんにやられたのよ」

植木耕助「そうか」


昼は静かに過ぎる

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom