光彦「地獄少女?」 (578)

チッ、チッ、チッ……

光彦「もうすぐ12時……。早く、早く……」

チッ、チッ、チッ・・・・・・

光彦「憎い、彼が……。僕の人生をメチャクチャにしたあの男が……」

チッ、チッ、チッ……ジリリリリリリ!

光彦「江戸川コナンが!」カチッ

閻魔あい「……」

【地獄少女×名探偵コナン】
【サブタイトル「真実」】

翌日の朝。米花町、帝丹小学校前。

アハハ……。オハヨーゴザイマース!

光彦「……」ハァ

骨女「あれが、今回の依頼人かい?」

一目連「ああ。円谷光彦。この町の小学校に通う小学1年生。見た目通り、正真正銘のお子様さ」

輪入道「まあ、俺達の仕事に人間の歳は関係ねぇが、あんな年端もいかねぇ子供がそんなに強い恨みをもってるとはなあ」

骨女「確かにねぇ。お嬢の仕事に差し支えがあったら困るからねぇ。ここはひとつ調べてみるとしますかね」

一目連「俺は気が進まねぇな」

骨女「あら、どうしてだい?相手が子供だから躊躇してんのかい?」

一目連「いや、そうじゃねぇ。俺達が学校に潜入するってのは、良くあるパターンだと思って」

輪入道「まあそうだが、いちいち場所だの依頼人だの選んじゃいられねぇってのが俺達の因果ってもんだ」

骨女「そうそう。それだけ学校って所は恨みの集まる場所って事さ。何ならアンタだけ降りるかい?」

一目連「そういう訳にもいかないだろう?でも藁人形役はやりたくないぜ」

骨女「ま、それもお嬢が決める事さ」サッ

輪入道「ああ。ともかく、仕事だ仕事」サッ

一目連「……了解」サッ

光彦「ん……?誰かが今見ていた気がしたんですが……。気のせいですかね?」キョロキョロ

生徒A「おい光彦!校門の前で止まるなよ!邪魔だろ!」ゲシッ

光彦「す、すみません……」

生徒B「ホント邪魔だな!学校くんなよ!」

光彦「……すみません」

コナン「よう、光彦」

光彦「……!コ、コナン君」

コナン「何やってんだよ。教室、入らねーのか?」ニヤッ

光彦「は、入りますよ……」

コナン「早くしろよ。みんな待ってんぞ?【みんな】、な」ニヤッ





SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394880319

※タイトル通り地獄少女とコナンのクロスSSです。
 一部設定にこのSSに都合の良いようにオリ設定が加わっている部分があります。
 グロなどはあまりないですが、一応【閲覧注意】で願います。

教室。

光彦(ああ、また始まるんですね。今日も)ガラッ

歩美「あ、光彦君!おはよ!」ニヤッ

光彦「お、おはようございます......」

歩美「あのね、歩美ね、光彦君の為に机とイス拭いておいてあげたよ!」ニヤッ

光彦「ありがとうございます......?!」

歩美「どうしたの?」ニヤッ

光彦「これ......。机が真っ黒なんですが」

歩美「あ!いけない!水と間違えて墨汁で雑巾洗っちゃった!」ニヤッ

光彦「......」

歩美「怒ってるの?み・つ・ひ・こ・く・ん?」ジロッ

光彦「いえ......」

ドンッ

光彦「うわっ!?」ビチャッ

元太「おい光彦、ボーッと突っ立ってんなよ!ぶつかっちまったろ?」ニヤッ

光彦「......くっ」

元太「うわ、お前真っ黒だな!顔まで。ま、そばかすが消えていいんじゃねぇか?」ニヤッ

光彦「......ありがとうございます」ハァ

ガラッ

灰原「......ふぁーあ」

光彦(灰原さん!)

灰原「......あら、円谷君。今日は黒一色のファッションなのかしら?」クスッ

光彦「!......そ、そうなんです」

灰原「そう。でも周りが汚れちゃうから、掃除した方がいいわよ?」クスッ

光彦(あなたまで......僕を)グスッ

コナン「お、灰原。相変わらず眠そうだな」

灰原「江戸川君、おはよう」ダキッ

コナン「おいおい、朝から......」

歩美「あ、哀ちゃんずるーい!」ダキッ

コナン「お、おいおい。朝から困ったな」チラッ

光彦「......」ギリッ

一目連(......イジメ、か?)

本日はここまで、明日更新予定です。

光彦に親でも殺されたのかお前は

>>1
地獄少女は全部みたから凄い期待
地獄通信て偽名について触れたことないけど、どうなんだろね

皆さんありがとうございます。

>>8
コナンと言うのは本名じゃないから、それを光彦が知らなくても大丈夫かどうか?と言う事でしょうか?

地獄少女の二期で、顔も名前も知らない人間を流してるので、多分大丈夫では無いかと思います。

ちょっとだけ投下します。

コナン「何だよ光彦?いつに無く反抗的な目じゃねーか?」ニヤッ

光彦「いえ、そんな事は......」

コナン「さっき、【みんな】待ってるって言ったろ?こんだけ歓迎されてるんだから、喜べよ」ニヤッ

光彦「......はい」

灰原「とりあえず。立ちっぱなしも何だから、座ったら?」クスッ

光彦「え、ええ。(くっ、イスまで墨で真っ黒なのに......)」ガシッ

スパッ!

光彦「いだっ!!」

歩美「どうしたの?光彦君?」ニヤッ

光彦「イ、イスの縁に何か......?!カ、カッターの刃?!」タラーッ......

コナン「お?ホントだ。墨に隠れて見えなかったんだなあ。気をつけねーとな」ニカッ

光彦「き、気をつけろって!!」

元太「あん?」

光彦「自然にこうなる訳無いじゃないですか!」

コナン「随分今日は突っかかるじゃねーか。じゃ、オメーは誰かがこれを仕込んだって言いてーのか?」

光彦「当たり前じゃ......」

コナン「証拠は?」

光彦「は?」

コナン「根拠となる証拠はあるのか?」

光彦「い、いや!無いですけどこれは!」

灰原「最低ね、証拠も無いのに」

光彦「そ、そんな......。灰原さん......」

歩美「光彦君ひどーい」

サイアクー!ガッコウクンナヨ!ヒドーイ!

光彦「何で......?何で......」

コナン「ま、誰でも虫の居所ワリー時はあるわな。今回は許してやるよ」ニカッ

光彦「ぐぅぅ......」ギリッ

コナン「お、そろそろ先生来ちまうな。またな。光彦」ニヤッ

光彦(くそぉ!分かってるんです!コナン君が悪いって......。こんなに怨んでるのに!なのに......)

光彦(何故、現れてくれないんですか!地獄......少女......)

どうして光彦が死なないんだ…?

と思ったけど地獄少女の設定的にほいほい生き返ってもらっても困るか

>>13
この話は地獄少女の要素が強いので、いわゆる光彦SSの様な不死身ではありません。

この話が終わったら、コメディタッチのも書こうかなと思います。

本日はあと1、2レス投下します。
続きは明日予定です。

一目連(はぁーん。成る程ね。ああやって毎日やられてる内に、恨み辛みが溜まったのか)

光彦「う......。先生が来る前にきれいにしないと、また怒られます......」

コナン「......」ニヤッ

一目連(で、見たとこあの眼鏡のボーヤがその主犯格って訳か。だが......。何だか違和感を感じるな。依頼人にも、このクラスにも、あの眼鏡のボーヤにも)

ガラッ

小林先生「はーい!みんな席に着いて!今日も授業を始めますよ!」

ハーイ!!

一目連(あれが担任か?教師ならこの状況を見て説教の1つ位は......)

光彦(うわ......。間に合いませんでした......)

小林先生「あら、円谷君?どうしてそんなに机が汚れてるの?」

光彦「あの、それが......」

小林先生「聞かれたらすぐ答えなさい。何故汚れてるの?」

光彦「......」チラッ

元太「......」ニヤッ

歩美「......」ニヤッ

光彦「......すみません、不注意で」

小林先生「不注意でそんなに真っ黒になるの?全く。問題を起こすのはかまわないけど、後始末をするみんなの事を考えなさい!」

光彦「......すみません。あの」

小林先生「何?」

光彦「カッターで手を切ってしまって。保健室に行ってもいいでしょうか」

小林先生「全く。自分の後始末もしないで保健室に行こうと言うの?」ハァ

光彦「......すみません」

小林先生「もういいわ。行ってらっしゃい」ハァ

光彦「はい......」チラッ

コナン「......」ニヤッ

灰原「......」クスッ

クスクス......クスクス......

光彦「......」ガラッ

コナン「先生!光彦の机は、ボクが片付けておくよ!」

小林先生「あら、ありがとう!コナン君は偉いわね!」

コナン「えへへ」

小林先生「さあ、気を取り直して授業を始めしょう!」

ハーイ!

一目連(何だ?どういうこった?何故あのボーヤは自分がやられた事実を話さない?それにあの先生......。あの態度はどうなってる?気になるな。依頼人は骨女に任せて、俺は輪入道と少し視点を変えて調べてみるか)サッ

保健室。

光彦「すみません、失礼します」ガラッ

曽根(骨女の偽名)「あら、どうしたの?具合が悪いのかしら?」

光彦「はい。ちょっと手をケガしてしまって」

曽根「そう、見せてごらんなさい」

光彦「はい、お願いします」

曽根(さて、せっかく依頼人が来てくれたんだし。ちょっと話を聞いてみるかね)

夕暮れの里。

閻魔あい(以後あい)「......」

あいの祖母?「あい?何を考えているんだい?」

あい「......何でもない」

きくり「......」ソローッ

あい「......やめなさい」
 
きくり「はうっ!」ビクッ

あい「......障子を破くのはやめなさい。前も言ったでしょ」

きくり「えー?じゃあこっちー!」

あい「だ・め」

きくり「うー......」

あい「業の深さと、その数が......」

きくり「......えいっ!」プスッ

あい「あ......」

きくり「キャハハハ!」タタタッ

あい「......だめって、言ったのに」

帝丹小学校、教室。

灰原「ねぇ、工藤君?」

コナン「何だよ、灰原?」

灰原「今日は、朝からやりすぎたんじゃない?」クスッ

コナン「ん?ああ。光彦を保健室に逃がす口実を作っちまったな」チッ

灰原「前に上履きに爆竹を詰めたりして、同じように保健室に籠もられた時に、身体へのダメージはなるべく少なくするって言ってたじゃない」クスッ

コナン「ああ。でも真綿で首を絞めるようなのも飽きて来ちまったからな。ついな。しかし......」

灰原「どうしたの?」

コナン「アイツの目だよ。最近じゃ死んだ魚みたいな目してたのに。今日はずいぶん反抗的な目だった」

灰原「確かにね」

コナン「調べてみるか。今後の楽しみの為にな」ニヤッ

灰原「分かったわ。何かあれば言ってね」クスッ

コナン「ああ。頼むぜ......ん?」ニヤッ

元太「あー、腹減ったぁ!メシまだかよ!」

小林先生「こら!まだ一時間目よ?」

クスクス......アハハ......

コナン「相変わらずだな。あの間抜けキャラは」

灰原「そうね。最近とみに酷いわ」

コナン「......場合によっちゃ、アイツもだな」チッ

保健室。

曽根「それで?このケガはどうしたの?」

光彦「......先生は、僕の話を聞いてくれるんですか?」

曽根「?どういう事?」

光彦「先生は、僕を......。心配してくれるんですか?」

曽根「当たり前じゃないの。ケガをした子を見て、心配しない保健室の先生がどこにいるの?」

光彦「......うっ」グスッ

曽根「ちょっと、どうしたんだい?」

光彦「学校で......。いや、この町で......。僕を心配してくれる言葉を聞いたのは久しぶり過ぎて......」

曽根「何があったの?話してごらんなさいな」

光彦「......始まりはいつだったか分かりませんが、きっかけはコナン君が来た頃かと思います」

曽根「コナン?」

光彦「僕のクラスの同級生です。メガネをかけた、とても頭の良い人です」

曽根「ごめんね、話の腰折って。その子、日本人?」

光彦「ええ。そうですが......」

曽根「そ、そう。ごめんね、続けて」

光彦「はい...」

曽根(今時の人間、いや日本人はとんでもない名前をつけるんだねぇ......)

光彦「元々、僕はクラスに仲の良い元太君と言う男の子と、歩美ちゃんと言う女の子がいて、良く遊んでました。そして、転校して来たコナン君を誘って、4人で少年探偵団を作ったんです」

曽根「少年探偵団?」

光彦「ええ。依頼を受けて事件を調べたり、宝探しに行ったり。警察が関わる様な事件にも何度も出くわしました」

曽根「......それ、本の話じゃないよね?」

光彦「違いますよ!ちゃんと現場に行って、僕達で事件を解決した事だってあるんです!」

曽根「そ、そうなの(......信じがたいねぇ)」

光彦「それはともかく、その少年探偵団の中でコナン君は中心的存在でした。頭が良く、スポーツも出来て、大人顔負けの存在感。あの頃のコナン君は、僕の憧れでした」ニコッ

曽根「嬉しそうだねぇ。その頃は楽しかったんだね」

光彦「ええ。楽しかったです。みんなで色んな事をして、色んな所に行って。その内、灰原さんと言う女性も転校して来て、探偵団が5人になって。とても楽しかったです。阿笠博士も、僕達に良くしてくれましたし」

曽根「(女性?最近の子供は随分ませてるんだね)阿笠博士?誰だい?」

光彦「あ、阿笠博士はこの町に住んでる科学者と言うか発明家と言うか。コナン君と昔からのお付き合いがあるみたいで、僕達の面倒も見てくれました。今は、先ほど話した灰原さんと一緒に住んでます」

曽根「(博士ねぇ。調べてみるかね)でも、話してるのを聞くと、とても問題なんて起きそうも無い仲良い仲間って感じだけど。あったんだい?」

光彦「......自分でもよくわからないんですが、いつの間にか僕の周りに変化が起き始めたんです」

曽根「変化?」

光彦「ええ。最初はちょっと、探偵団のみんなが僕に対してよそよそしくなって、遊ぶ機会が減って。でも、それはみんな都合があるから、別に気にしていなかったんです」

曽根「でも、更におかしな事が起こった?」

光彦「はい。探偵団ばかりか、クラスメートはおろか、先生、家族まで僕によそよそしくなっていったんです。原因も分からず疎外されていくようになりました。訳も判らず悩みました。でも、それで終わるならまだ良かったんです」

曽根「じゃあ、まだ何か?」

光彦「ええ......。更に僕に不可解な事が起き始めたんです......」

曽根「この上、まだ何かあるのかい?」

光彦「はい......。初めは、いわゆる普通のイジメでした。上履きを隠されたり、イスに画鋲がつけられてたり、教科書を隠されたり。トイレに入ってる時にドアをガムテープや接着剤で塞がれて、上から水をかけられた事もありました」

曽根「そいつは酷いねぇ。親や先生には言ったのかい?」

光彦「勿論。言いました。でも、さっき言ったように何故か皆さん僕によそよそしくて。それどころか、寧ろ僕がイジメられるのはさも当たり前の様に言うんです。あれは、見て見ぬ振りではなくまるで......。それが普通であるかのように」

曽根「そんな馬鹿な事があるかい?じゃあ誰もアンタに味方してくれる人はいないってのかい?」

光彦「......ええ。それでも、最初は犯人も分かりませんでしたし、ちょっと疎遠になっただけで探偵団のみんなはいざとなれば僕を助けてくれる。そう思ってたんです。でも......」

数週間前。

生徒A「あれ?無い、無いよ!?」

歩美「どうしたの?」

生徒A「私の給食費がないの!」

歩美「ええ?!大変!」

ザワザワ......。ダレガトッタンダヨ......。

光彦(何かあったみたいですね。協力してあげましょう。そうすれば少しは僕の評判も変わるかも......)

歩美「......」ニヤッ

元太「......」ニヤッ

ガラッ

コナン「よう、どうした?」

光彦(あ、コナン君......)

歩美「あ、コナン君!大変なの!A子ちゃんの給食費が盗まれたの!」ニヤッ

コナン「そっか、そりゃ大変だ。みんなで探してやらねーとな。誰か、何か見た奴いねーか?」ニヤッ

ヒソヒソ......。オマエミタ?シラナーイ......。

元太「あのよぉ、コナン。俺実は見たんだよ」

コナン「おぅ、元太。何を見たんだ?」ニヤッ

元太「実はよ、見ちまったんだよ。犯人」

光彦(元太君が犯人を?一体誰が)

コナン「そっか、で?誰だったんだ?」

元太「それがよ......。光彦、なんだ」ニヤッ

光彦「!?!?」

コナン「本当か?元太」ニヤッ

元太「ああ、マジだぜ」ニヤッ

光彦「う、嘘ですよ!僕は何もしてない!何も......してません!」

歩美「じゃあ元太君が嘘をついてるって言うの?」

光彦「そうですよ!僕はそんな下らない事はしませんから!」

コナン「じゃあ、持ち物検査させろよ」ニヤッ

光彦「え?」

コナン「オメーが犯人じゃねーなら、そんくらい出来るだろ?」ニヤッ

光彦「わ、分かりましたよ!いいですとも!何もある筈が無い!」

コナン「んじゃ、机から......」ガサガサ

光彦「......」

コナン「机には、ねーな」

光彦「ほ、ほら!何もあるわけ無いんですよ!何も!」

コナン「まあ待てよ?カバンが残ってんだろ?」ニヤッ

光彦「くっ、さっさと調べて下さい!」

コナン「んじゃ、失礼」ガサガサ

光彦(何故なんです、コナン君......。僕を疑うのは)

コナン「あっれれー?おっかしいぞー?」ニヤッ

光彦「は?」

歩美「どうしたの?コナン君?」ニヤッ

コナン「見てよこれー。給食費の袋だよー?」ニヤッ

光彦「な!?!?」

元太「おう、本当だな!」ニヤッ

光彦「う、嘘です!」

コナン「じゃあこの名前は何なんだよ?どーみてもオメーの名前じゃねーだろ?」ニヤッ

光彦「そんな、そんな......!これは罠です!誰かが僕を陥れようと!」

コナン「黙れよクズ」

光彦「えっ......?」

コナン「人様のモン盗んで言い訳してんなよゴミクズ」

光彦「コナン、君......?何を言ってるんですか?」

コナン「何をもクソもねーだろ、この犯罪者が」

光彦「そんな......。コナン君は僕を信じてくれないんですか?探偵団の仲間である僕を!」

元太「お前みたいな自分の悪い事を人のせいにする奴と仲間になった覚えはねーよ」

光彦「えっ」

歩美「光彦君、ヒドすぎるよ」

生徒A「何で、私のお金取ったの!ひどいわ!」グスン

光彦「ち、違う......。僕は違う!」

サイテー。ドロボー!カエレヨ!

光彦「な、何で......?僕は悪くないのに」

コナン「まだ言うのかよ?いい加減現実を受け入れろ。お前はクラスメートの金を盗んでそれを認めない卑劣は犯罪者だ。見損なうにも程があるぜ」

光彦「信じて下さいよ、コナン君!僕達、友達でしょ?!」

コナン「オメーみたいな外道と友達?笑わせんなよ」

光彦「」

ガラッ

灰原「何の騒ぎ?」

光彦「は、灰原さん!」

コナン「おう、灰原。実はよ......」ヒソヒソ

灰原「ふーん、そうなの。円谷君が」

光彦「灰原さん!信じて下さい!僕はやって無いんですよ!」

灰原「でも、証拠品はあなたのカバンから出たのよね?」

光彦「え」

灰原「なら、私にはどうしようもないわ。あなたを信ずるに足る物もない、信じる理由も無いし」

光彦「は、灰原......さん......。あなたまで......」

コナン「見苦しいなマジで。灰原にまで縋るなよ。テメーの罪を無関係の人間に振るな」

光彦「だって......だって僕は」

バキッ!!

光彦「ぎゃあっ!!」ドサッ

元太「いい加減うるせーぞ」ニヤッ

光彦「あ、が......っ!ち、血が」ポタッ

元太「言い訳ばっかしてるからだよ、バカ」ニヤッ

光彦「げ、元太君まで......。僕を信じてくれないんですか......。僕はやってないのに」

歩美「ねぇ、コナン君?光彦君全然反省して無いよぉ?」ニヤッ

コナン「ああ。こりゃ指導が必要だな。みんなもそう思うだろ?」ニヤッ

ソーダソーダ!ヤッチマエ!

光彦「ひ、嫌だ!や、やめて下さい!僕は、僕は......」ガタガタ

コナン「裁きを受けろよ、クズ」ニヤッ

光彦「や、やめて!助けてコナンく......」

バキッ!ドガッ!ズガッ!

光彦「うわあああっ!!」

灰原「......」チラッ

光彦「は、灰原さん......。助けて......」ズルッ

灰原「......つまらないわ」プイッ

光彦「」

コナン「見ないのかよ?灰原」ニヤッ

灰原「あまり楽しくないわ。ただの暴力じゃ」

コナン「ま、それはわかってるさ。後々、な」ニヤッ

灰原「そう、それは楽しみね」クスッ

バキッ!ドガッ!ズガッ!ガスッ!

光彦「し、死ぬ......」チラッ

コナン「......」ニヤッ

光彦(あ、あの目は......。あの笑いは......あ、あなたが......)

コナン「おーい、その位にしとけよ。ソイツが死んだらオメーらが犯罪者になっちまうぜ。勿体ねーぞ?」

光彦「ぐ、はぁ......」プルプル

コナン「少しは反省出来たか?犯罪者君」

光彦「な、んで......」ガクガク

コナン「あ?」

光彦「友達、でしょ......」プルプル

コナン「オメー、まだ自分の立場が理解できてねーな。仕方ねー」ニヤッ

光彦「......え?」プルプル

コナン「これからゆっくり教えてやるよ。ゆーっくりな」ニヤッ

光彦「......!」ゾクッ

現在。

光彦「......」

曽根「そいつは......。辛かったね」

光彦「ええ......」

曽根「でもそれだけの事をされたんだ、学校だって動いてくれたんじゃないのかい?」

光彦「いえ。何も」

曽根「そんなバカな話があるかい?子供とは言え、そりゃ立派なリンチだ。それを何の注意もしないなんて」

光彦「......おかしな事言うんですね、先生」

曽根「え?」

光彦「ずっと学校にいるなら、僕がどういう扱いをされてるか、知ってるはずなのに」

曽根「ア、アタシはつい最近来たばかりだからね。知らない事もあるよ」

光彦「そう、でしたか。すみません。あの後学校は何もしてくれなかったんです。揉み消しや見て見ぬ振りとかじゃなく、まるで何もなかった様に無関心だったんです。学校だけじゃなく、家族も。いえ。町そのものが、僕に危害を加えるのをさも当たり前だと、言わんばかりに」

曽根「そんな事が本当に......?」

光彦「ええ。しかも、それを皮切りに精神的な攻撃のみならず大っぴらに直接的な肉体への攻撃も日常茶飯事になりました」

曽根「肉体的に?」

光彦「殴る、蹴るは当たり前。バケツの水をかけられたり、靴に画鋲や爆竹を仕込まれたり、階段から突き落とされたり。数えたらきりがありません」

曽根「そんな......」

光彦「しかも、やり方は巧妙でした。怪我をさせないようギリギリのラインをやってくるんです。肉体的な攻撃を緩めたと思えば精神的攻撃を強める。完全に僕が壊れないよう、でも希望や活力を与えないよう、真綿でじわじわ首を絞めるように。生かさず殺さず、学校を休ませないように」

曽根「まるで、悪魔の手口だね。惨いにも程があるよ」ハァ

光彦「......でも、それならまだ耐えられたんです。いつかきっとみんなも元に戻る。また楽しく過ごせる日が来るって。そう信じてたんです。でも......」

曽根「まだ何かあるってのかい?」

光彦「ええ。僕に取って一番辛いと言える事が」

曽根「一番辛い?」

光彦「......さっきの会話に出て来た、歩美ちゃんと言う女性と灰原さんと言う女性。その2人を僕は好きだったんです」

曽根「女の子、2人ともかい?」キョトン

光彦「ええ。いけませんか?」

曽根「い、いやあそんな事は!ないさぁ!(最近の子供は本当にマセてるんだねぇ......)で、その女の子達のどんなトコが好きだったんだい?」

光彦「は、はい///あ、歩美ちゃんは可愛らしくて明るくて真っ直ぐな所が。灰原さんは理知的でクールだけど、優しい所が好きでした」ニコッ

曽根「嬉しそうだねぇ」

光彦「え?」

曽根「その子達の事を話すの、アンタ本当に嬉しそうだねぇ。本当に好きだったんだね」

光彦「......はい」

曽根「だからこそ、その2人がアンタをイジメたのが悔しくて、許せない訳だ」

光彦「......それも、確かにあります。でも、それよりも僕を傷つけたのは......」

数週間前。

光彦「......はぁ。何故僕ばかりこんな目に会うんでしょうか。いっそ楽に......。いえ!バカな事考えちゃ......ん?」

灰原「......」スタスタ

光彦「灰原さん?この先は屋上......。何故屋上へ?」ソーッ

灰原「......」ガチャッ

光彦「......屋上に出ちゃいましたね。何をしてるんでしょう」チラッ

コナン「お、灰原。遅かったじゃねーか」ニカッ

灰原「ごめんなさい、遅くなって」ニコッ

光彦(コナン君と待ち合わせ?何を......)

コナン「ったく。待ちくたびれちまったぜ」ギュッ

灰原「私も会いたかったわ。工藤君」ギュッ

光彦(なっ......!)

灰原「こんなコソコソしなくても、もっとオープンに私を抱きしめてくれれば良いのに」クスッ

コナン「ああ。そうしてーけど、光彦がな」

光彦(......コナン君、何を)ワナワナ

灰原「いちいち彼に気を遣わなきゃならないのかしら?」

コナン「バーロ、気を遣ってんじゃねーよ。楽しみを取っといてんのさ」ニヤッ

灰原「成る程、そういう事」クスッ

コナン「アイツがオメーに惚れてんのはバカでもわかるからな。頃合を見て俺達の仲むつまじい姿を見せてやりゃあ、尚深い絶望を与えられるってもんだ」ニヤッ

灰原「本当に、悪い人ね」クスッ

コナン「そういう俺が、好きなんだろ?」ニカッ

灰原「ええ。その通りよ......」チュッ

光彦(ああああああぁぁぁっ!!?)ガタガタ

コナン(ん?)チラッ

光彦(そ、そん、そんなななななな.........)

コナン(あれは......。チッ、予定が狂うがまあ良い。地獄を見るのを自分で早めたな、光彦)ニヤッ

とりあえず一旦ここまで、本日1日不定期に更新していきます。

現在。

曽根「なるほど。そいつは辛かったね。でもこう言っちゃ何だけど......。その2人が好きあうのは仕方無いんじゃないのかい?男と女がくっつくってのは、本人の気持ち次第なんだからさ?勿論、アンタをイジメてる事は許される事じゃないけどね」

光彦「ええ。それは分かってます。誰を好きになるかは、灰原さんの自由ですから。でも、コナン君はそれを......。それを」グスン

曽根「ど、どうしたんだい?」

光彦「コナン君はあの日から、僕が屋上で2人を見た日からこれ見よがしに灰原さんといちゃつく様になりました。目の前で手を繋いだり、抱き合ったり、キ、キスをしたり......。しかも......」

曽根「しかも?」

光彦「歩美ちゃんとも......。同じ行為を僕に見せつけて......」

曽根「なっ」

光彦「僕が2人を好きなのを知ってて......。う、ううぅ......」グスン

曽根「......」

光彦「おまけに、最初は無表情で見てるだけだった灰原さんが、だんだん僕がやられる様を笑って見るようになり、最近は自分から参加するように......」グスン

曽根「だ、大丈夫かい?」

光彦「何故僕がこんな目に......。何にも悪い事してないのに!いきなり無視されて、友達に裏切られて、殴られ、蔑まれ、好きな人にまでイジメられて、その好きな人まで取られて......」

曽根(何だかこの坊やを見てると思い出しちまうねぇ)

光彦「許せない、みんなが......。何よりコナン君が!あの目と笑いを見て分かったんです!彼が僕を貶めた......地獄に落とした犯人だって!」

曽根(花魁だった頃の......。人間だった頃の自分をさ。裏切られて、騙されて、ゴミの様に扱われて。そりゃ辛いのも無理無いさ。こんな子供がそんな気持ちになっちまうなんて。世も末だね)

光彦「いや、やっぱりコナン君だけじゃない!僕を裏切った灰原さんも歩美ちゃんも元太君も!学校も!この町も!許せない!許せ......。うっ......。ハァ、ハァ、ハァ......」

曽根「大丈夫かい?ちょっと興奮し過ぎたんじゃ」

光彦「だ、大丈夫です。大丈夫......」ガクッ

曽根「無理しちゃダメだよ、ちょっと休みなよ」

光彦「は、はい......」

数十分後。

光彦「......」スゥーッ

曽根「どうやら、寝ちまったみたいだねぇ」

光彦「zzz......」

曽根「でもまあ、話を聞いて何となく解ったよ。お嬢が現れない訳がね。アンタ、口では主にコナンって子に対する恨みが強い様に聞こえるけど、実際は違う」

きくり「どう違うのー?」

曽根「な、いたのかい?アンタ」

きくり「どう違うのー?」クスクス

曽根「この子は......。この坊やは、凄まじい強い恨みを殆ど同じ強さで複数の人間に抱いちまってるんだよ。お嬢でも判定出来ない程にね」

きくり「それでそれで?」ニコッ

曽根「地獄通信を使って人を流せるのは生涯にただ一度、対象は1人きり。なのにこれだけ恨みの対象がいたんじゃあ、誰を流していいのか分からない。誰を一番に恨みゃあ良いのか判らない位の仕打ちを、この子色んな人間からは受けちまったのさ」

きくり「ふーん......」ジーッ

光彦「......」

きくり「そばかすー!!キャハハハ!!」タタタッ

曽根「あ!こら!ったくもう!」チラッ

光彦「......」

曽根「だからお嬢は待ってるんだねぇ。この子の心が、恨みの先が定まるまで。自分で本当に恨みを晴らしたい人間が誰かを理解出来るまで」

教室。

灰原「工藤君、例の仕掛け終わったわよ」

コナン「ああ、ワリーな。使っちまって」

灰原「あなたの為だからそれは構わないけど。でも、何故盗聴器なんて今更?」

コナン「オメーも気になったろ?アイツの態度」

灰原「ええ、まあ」

コナン「あれだけ死にかけてた目がまた生き返ってるからな。調べてみないとな」

灰原「調べて、それを消すのね」クスッ

コナン「ああ、希望の光は全て消し去ってやらねーとな」ニヤッ

元太「おーいコナン!次はどうやって光彦をやるんだ?」

コナン「バーロ!俺が灰原と2人で話してる時は割り込むなっつったろーが!」

元太「あ、わ、悪い......」

コナン「後で指示するからどっか行ってろ」

元太「お、おう......」スタスタ

コナン「ったく。貴重な灰原との時間を邪魔しやがって」

灰原「あら、嬉しいわね。でも工藤君?吉田さんとも抱き合ったりするのは私嫌よ」

コナン「お、おいおい。ありゃ光彦を......」

灰原「分かってるけど、嫌なものは嫌よ。キスまでする必要無いじゃない」プイッ

コナン「機嫌直せよ。あれは妹にキスしてるみてーなもんだよ。俺がしたいのは、灰原だけだよ」

灰原「......わかったわ。帰ったらしてね」

コナン「ああ」

灰原「あ、それと博士が近々顔を出せと言ってたわよ」

コナン「チッ、あのハゲジジイ......。何の用だ?」

灰原「分からないけど......」

コナン「......光彦に元太、博士か。まとめていい感じに処理してーもんだが」

灰原「何か私も対策を考えるわ」

コナン「ワリーな。頼む」

歩美「......」

保健室。

光彦「......あれ、僕」ムクッ

曽根「起きたかい?」

光彦「あ、先生。僕、寝てたんですね」

曽根「ムリも無いよ。あれだけ辛い事をしゃべってくれたんだ。疲れも出るさ。今日はもうお帰りよ、無理しちゃいけないよ」

光彦「は、はい」

曽根「よし、じゃあ荷物取って来てあげるから。待ってるんだよ」

光彦「はい。あの、先生」

曽根「何だい?」

光彦「......ありがとう」

曽根「何でお礼なんて?」

光彦「だって、僕を人間扱いしてくれたの、先生だけですから......」

曽根「......!あ、当たり前じゃないのさ。教師なら当然よ。さ、アタシが戻ってくるまで休んでなよ」

光彦「はい、ありがとうございます」

曽根「......」ガチャッ......バタンッ

曽根「......人間扱いしてくれるのが人間じゃないアタシだけなんてねぇ。悲しすぎるね......」

教室。

コナン「戻ってこねーな。光彦。ひょっとしたら」

灰原「そうね、早退するのかも」

コナン「ま、それならそれで良いさ。盗聴器の出番だ」ニヤッ

灰原「ええ......。あら?」

きくり「......」

コナン「ん?見かけない子だな。君、どこのクラス?」

きくり「ニセモノ!」

哀「えっ?」

きくり「2人とも、子供じゃないでしょー。ニセモノ!」タタタッ......

コナン「な、何だ?」

哀「不気味な子ね......」

きくり「キャハハハ!」

曽根「あ、こら!まーたイタズラかい......」ハァ

コナン「......あれ?あの人誰だっけ?」

灰原「記憶にあるような無いような......」

曽根「あ、そこのお2人さん?悪いんだけど、光彦って子の机、どこか教えてくれないかい?」

コナン「ああ、そこだよー」スッ

曽根「ありがと......うっ?!」ギョッ

灰原「どうかしたの?」

曽根「い、いや何でも......(な、何なんだいこれは?!ゴミが散乱してるし、はみ出してる教科書はズタズタ......。ひどいねぇ......)」

コナン「あのー、先生......だよね?」

曽根「あ、そ、そう。保健のね」

コナン「そっかぁ、ボクあんまり先生見た事無いからわかんなかったよ」ニヤッ

曽根「き、来たばかりだからねぇ。見たこと無いかもね」

コナン「ふぅん。ところで先生は何しに来たの?」ニヤッ

曽根「え?ああ、光彦君、具合が優れなくてね。早退する事になったから、荷物を取りに来たんだよ」

コナン「そっかぁ、じゃあ先生は光彦を心配してるんだね?」ニヤッ

曽根「そりゃあ当たり前じゃない。アタシは保健の先生だよ?」

コナン「ふぅん。おかしいなぁ」ジロッ

曽根「えっ?」

コナン「いーや、何でもないよ!光彦によろしくね。早く良くなってって!」ニヤッ

曽根「......伝えとくよ」スッ

コナン(コイツ、おかしい......)

曽根(何なんだい、この坊やは......?アタシ達の術が効いてないのかね?)

コナン「どうしたの?行かないの?」ニヤッ

曽根「......1つ聞いて良いかい?」

コナン「なあに?」

曽根「アンタ、江戸川コナン君だね?」

コナン「そうだよ?ボクに何か用事?」

曽根「いや、何でも無いさ。それじゃ、お邪魔様」クルッ

コナン「......」ジーッ

曽根(江戸川コナン。話して見て分かったけど、やはり得体の知れない坊やだね。ただ人を虐めて楽しむだけの単純な人間には見えないけど......。一度みんなと合流して、話をまとめてみようかね)

コナン「......」

灰原「どうしたの?工藤君。怖い顔して」

コナン「あ?ああ、何でも無いさ」

灰原「あの先生が何か?」

コナン「ん?ちょっとな。それより、光彦の盗聴。録音が出来たら聞かせてくれ」

灰原「ええ。分かったわ」

コナン(光彦の変化に謎の女か、忙しくなりそうだな)

保健室。

ガラッ

光彦「っ!」

曽根「そんなにビックリする事無いじゃないの。アタシだよ。はい、荷物持って来たからね」サッ

光彦「あ、ありがとうございます......。コナン君かと思って......。たまに保健室に来てまでやられる事もありますから」

曽根「......そうなの。まだ顔色悪いけど、大丈夫かい?送ろうか?」

光彦「いえ、大丈夫です。コナン君は何か言ってましたか?」

曽根「......早く良くなって、とさ」

光彦「......分かりました、ありがとうございます。では」サッ

曽根「気をつけるんだよ」

光彦「......」ガラッ......ガタンッ

曽根「さて、どうしたもんかねぇ......」

純粋コナンだったら応援できたがキチコナンよりかは、地獄勢を応援するわ
セリフや行動がしっかりしてて素晴らしい出来。特に地獄少女

>>40
ありがとうございます。
ちょっと投下します。

その日の夜。とある焼き肉バイキングにて。

ジューッ......。

骨女「ゴクッゴクッ....プハーッ!生き返るねぇ」

輪入道「骸骨の変化のお前ぇさんが生き返るたぁ、シャレが過ぎるぜ」フッ

一目連「て言うかその飲み方じゃあ、まるっきりオバサンだせ」

骨女「うるさいねぇ、飲まなきゃやってられないんだよ!」

あい「......」パクパク

きくり「おいハゲ!ウインナー焼いて!」

輪入道「やれやれ、相変わらず口がなってねぇなあ、お前ぇさんは」ハァ

あい「......」パクパク

輪入道「おっと、お嬢。皿が空になりそうだな。何か取ってくるか?」

あい「......お寿司」

輪入道「あいよ」スッ

きくり「きくり、ウインナー!」

骨女「アンタはまず焼いてるのを食べちまいな。焦げてるよ」ハァ

きくり「あっ!っと、ハフハフ......。まずーい」サッ

あい「......残さず食べなさい」

きくり「うーっ......。まずーい!」パクッ

輪入道「へい、お嬢。お待ちどう」サッ

あい「.....」パクッ

あい「......ワサビ、嫌い」ツーン

一目連「やれやれ、緩ーい空気だな。て言うか何で焼き肉バイキング?」

骨女「そりゃあアンタ、今回は一筋縄じゃ行かなさそうな仕事だもの。しっかり食べて血肉を蓄えないと!」

一目連「骨だけの体のどこに血肉を蓄えるんだよ?」

骨女「うるっさいね!全く、アンタ達ちゃんと仕事して来たんだろうね?」

輪入道「当たり前じゃねぇか。俺は依頼人の身辺をちょいと洗って来たぜ」

一目連「俺はターゲットになりそうな連中の身辺をな」

骨女「で、どうだったんだい?」

一目連「それが、かなり奇妙な事にな......」

骨女「ん?」

一目連「いや、ターゲットになりそうなヤツらの内、元太って太めのヤツと歩美って女の子はさして妙な点は無い。普通の家庭の普通の子ってトコだ。だが......」

骨女「江戸川コナン、かい?」

一目連「ああ。ソイツと灰原って子はかなりおかしい。まずこの2人は元々この町に住んでた訳じゃなく、転校生らしいんだが......。元居た学校がわからねぇ。で、気になってもっと調べてみたんだ」

骨女「成る程、で?」

一目連「結論から言うと、江戸川コナンなんて人間も灰原哀なんて人間もこの世にゃ存在しない」

骨女「はぁ?ど、どういう事だい?現にその2人は生きてあの学校に通ってるじゃないか」

一目連「俺はあの2人の背景を調べようと、まず戸籍を洗おうとした。大体の基本情報はそれで分かるからな。だが、いくら調べてもあの2人の戸籍は存在しない」

輪入道「調べ忘れってこたぁねぇのかい?義務教育の範疇なら、家庭の事情で戸籍を移さずとも転校出来ると聞くが」

一目連「その辺も調べた。だが、日本国内、主要国家、どこにもその2人が存在した形跡はねぇ」

骨女「そんなバカな話があるかい?じゃああの2人は何なんだい?アタシ達と同じ妖怪変化が人間になりすましてるとでも?」

一目連「いや、人間である事は間違いない。だがあの2人の事情はかなり複雑みたいだ」

骨女「複雑?」

一目連「ああ。あのコナンってのは今、この町の毛利探偵事務所って所に居候してる。何でも、親が仕事で遠くにいるとかで預かってるらしい。が、妙な事に毛利探偵事務所の住人の毛利小五郎もその娘も、その親がどこで何してるか知らない」

輪入道「知らない?自分の子供を預かってもらうのに自分が何をしてるか明かしてねぇってのかい?」

一目連「ああ。そうだ。何でも、あのコナンってのは阿笠博士とか言うこの町に住んでる発明家の親戚だか何からしい。その阿笠博士と毛利探偵事務所の娘は昔から付き合いがあるらしくてな。それもあってすんなり預かってるらしい」

骨女「阿笠博士.......?」

一目連「聞き覚えでも?」

骨女「確か、光彦って子が話してたよ。あの子達が作った少年探偵団の面倒を見てる人だとか」

一目連「らしいな。その話は近所でも評判らしい。作る発明はポンコツが多いが、子供好きで気のいいおっさんだとな」

輪入道「ふうむ。その阿笠博士ってのは調べたのか?」

一目連「いや、面目ねぇが色々細かく調べ過ぎてそっちはまだだ。明日調べようと思ってる」

骨女「そうかい。だが気になるね、その博士。ん?確か灰原って子はその博士と暮らしてるって......」

一目連「ああ、そうだ。数ヶ月前からな。灰原哀はコナン以上に足取りの掴めない人間だったが、コナンと灰原哀はこの阿笠博士って言う共通のキーワードで繋がっている」

輪入道「ふうむ。正体不明の人間を繋いでいる鍵が、阿笠博士ってぇ訳かい」

一目連「そういう事だ。そして今回の件の真相もその博士が握ってると俺は思う」

骨女「ふぅん。何だか狐につままれた様な話だねぇ」

一目連「ああ。そしてもう1つ。江戸川コナンがこの町に現れた頃と同時期に、工藤新一と言う高校生が行方不明になっている。何でも、高校生でありながら警察も一目置く探偵だとか」

骨女「それがどうしたんだい?その高校生と今回の件と何の関係があるんだい?」

一目連「工藤新一ってのは、マスコミでも取り上げられる位有名な人間だったらしい。だがある日その消息をぷっつり断ち、表舞台で見た人間はいない。幼なじみである毛利探偵事務所の娘ですら、はっきりとその所在を知らない。周りの話じゃ、かなり2人は深い仲に見えたそうだがな」

骨女「そいつはおかしいね。好きな子に位、自分がどこにいるか教えそうなもんだけどね」

一目連「ああ。そして、同時期に江戸川コナンと言う存在がこの町に現れて、さらに不可解な事が起きた」

輪入道「不可解な事?」

一目連「さっき江戸川コナンは毛利探偵事務所って所に居候してると言ったが、家主の毛利小五郎は探偵としての腕前はヘッポコも良いとこ。元デカらしくてな、浮気調査なんかの張り込みはいいが、頭を使った推理は点でダメだったらしい」

骨女「らしい?」

一目連「ああ。ある時期を境に突然毛利小五郎は一癖も二癖もある難事件を解決し始め、一躍有名になった。まるで工藤新一と入れ替わるようにな」

輪入道「ちょっと待て、そのある時期ってのはまさか......」

一目連「そうだ。江戸川コナンが毛利探偵事務所に来てからだ」

骨女「アンタ、何が言いたいんだい?」

一目連「想像はついてるんじゃないのか?」

輪入道「いや、しかしまさか......。そんな事があるとすりゃ、まるで御伽噺だぜ」

一目連「俺達妖怪変化ってもんが現実にいるんだ。何があっても不思議じゃあないだろ?」

骨女「......その工藤新一と江戸川コナンは」

一目連「恐らくは、同じ人間である可能性が高いだろうな」

輪入道「ムチャクチャだぜ、そいつぁ。死んだ奴が化けて出る事があっても、生きた人間が簡単に伸びたり縮んだりするかい?」

きくり「ニセモノだよー?」

骨女「え?」

きくり「あの2人、ニセモノー!!」

あい「......焦げるわよ」

ジュワーッ......

きくり「はわわっ!!あち、あち......。大丈夫!」ニヤッ

一目連「......決まりらしいな」

骨女「確かにきくりは時々妙な事を言うけど、鵜呑みにすんのかい?」

一目連「ま、その辺りは明日灰原哀と阿笠博士を調べりゃ自ずと見えてくると思うぜ」

骨女「ま、とりあえず分かったよ。ご苦労さん。で、輪入道は?」

輪入道「ああ。俺は依頼人の経歴やら、家族関係、近所の評判やら何かを調べてみた。が、どうも妙だ」

骨女「まさか、あの光彦って子までおかしいとでも?」

輪入道「いや、そっちじゃあねえ。おかしいのは周りだ」

一目連「周り?」

輪入道「あの家の親は教育者らしくてな。躾やら何ならには少々うるさい人間らしい。そんな親が息子がいじめられてるってぇのに何も反応しないのはおかしいと思ってな。ちょいと本人に聞いてみたんだ。教育委員会の者だと言ってな」

骨女「ふんふん。それで?」

輪入道「最初はやんわりと学校でいじめがある事は知っているか聞いてみたんだが、知らないと言うんでな。じゃあ息子に変わったことは無いかと聞いてみりゃ、無いと言うんだ。今日みたいに怪我して帰って来た日もあるだろうに、特に変わったことは無いと言いやがる」

一目連「そりゃあ、体裁を気にして黙殺してるってことか?」

輪入道「いやあ、それは違うな。話が進んだ後、その親はとんでもねぇ事をぬかしやがった」

骨女「とんでもない事?」

輪入道「ああ、あまりにも態度が解せねぇもんでな。ちょいと突っ込んで聞いてみたんだ。息子の様子がおかしいのに気づかないのか、教育委員会には、お宅の息子がいじめられてると投書があったんだぞ、と」

一目連「それで?」

輪入道「うちの息子がいじめられてるとして、それがおかしい事でしょうか?と言いやがった」

骨女「は、はぁ?」

一目連「な、何だそりゃ?」

輪入道「ああ、俺も驚いた。最初は俺も体裁を気にして我慢してるのか、子供のいじめなどよくある事と割り切ってるのかとも思ったが、ありゃあ違う。あの言葉にゃあ、何の感情も無かった。自分の息子がいじめられるのは当然、当たり前の事と言い切ってやがった」

骨女「実の親にも見捨てられてるって事、なのかい?」

輪入道「違うな。俺は他の人間にも聞いてみた。依頼人には姉がいるんだが、その姉も親と同じ反応だった。え?それがどうしたの?と言ってたぜ。近所の人間やら何やら色んな人間に聞いてみたが、返事は一緒だった。「円谷光彦がいじめられるのは社会の常識」とすら言わんばかりの反応だった」

一目連「一体、どうなってんだよ?それは」

輪入道「分からねぇが……。まるでこの町の人間は、何かに操られているかの様に皆同じ態度だったぜ。言葉から罪悪感も、同情も、怒りも、何も感じられねぇ。他の事は普通に見えるが、円谷光彦と言う言葉が出た途端に感情が消えちまうんだ」

骨女「そんな事って……。あの子をが苦しんでるのを、誰1人助ける者はいないってのかい……?」

(光彦の事、心配してるの?)

骨女「……!」ハッ

一目連「どうした?」

骨女「そういや、あのコナンって坊や……。アタシがあの光彦って子を心配する素振りをしたら、こう言ったんだよ。「ふぅん、おかしいなぁ」って」

輪入道「どういう事だ?」

骨女「分からないけど、あの子はアタシに違和感を持っていた様だった。あの子を心配する人間はこの町ではおかしい、と言わんばかりにね。良く良く考えりゃ、先生方の態度もおかしかったよ。この件はやっぱり、ただの子供同士のいじめじゃ済みそうに無いね。何か大きな意思だか力が働いてる。それにあの子が巻き込まれてると考えたほうが良さそうだよ」

一目連「本当に、浮世離れした話になってきたな。こりゃあ性根を据えてかからなきゃならないヤマらしい」

輪入道「ああ。お嬢の仕事に憂いがあっちゃぁならねぇ。完璧に背景を掴まねぇとな」

骨女「そうだねぇ、あの子がどういう結論を出して、どういう結果になろうとも……。その時お嬢がすっきり仕事出来るようにね」

一目連「どうも骨女は、依頼人よりに発言してる気がするが。情が移ったかい?」

骨女「そんなんじゃ無いさ。そんなんじゃあね」

輪入道「ま、辛気臭い気分は一旦置いとくとしよう。俺達も英気を養おうぜ」

一目連「賛成だ」

骨女(考えてみれば、確かにあの子はこの町が自分の敵の様な言い方をしてたねぇ。あれはイジメられてる人間の誇張みたいなもんかと思ってたけど......。輪入道の裏付けもある以上、本当だったんだねぇ......。不憫としか言えないね)ハァ

きくり「おい!オバン!アイス食べたいから取ってこーい!」

骨女「オバ......!?いい加減にしないとアタシも怒るよ!」

きくり「取ってこーい!」

骨女「ハァ、分かったよ。全く。あ、お嬢は何か......?!」

あい「......」パクパク

一目連「お、お嬢?一体何皿食ったんだこれ?」

輪入道「いつの間に......」

あい「......ストロベリー」

骨女「え?」

あい「アイス、取ってくるんでしょ?」

骨女「あ、あいよ」スッ

一目連「お嬢って、こんな健啖家だったか?」

輪入道「さあなあ。お嬢はお嬢で、今回の件に思う所があるのかも知れねぇなあ」

骨女「はいよ、お待ちどう。きくりもお嬢と一緒で良いだろう?」スッ

きくり「ご苦労!オバーン!」

骨女「......礼になって無いよ」

あい「......パクッ......冷たい」キーン

きくり「あーん......パクッ......つめたーい!」キーン

骨女(やれやれ、こう緩いと仕事を忘れちまいそうだねぇ......)フッ

深夜。光彦宅。

光彦「......」カチカチ

チッ、チッ、チッ、チッ......ジリリリリ!!

光彦「......」カチッ

シーン......

光彦「やはりダメ、ですか......」チラッ

光彦「何故、現れないんでしょう。こんなに僕は彼等を憎んでるのに......」

カタンッ......ドサッ......

光彦「ん?」スッ

光彦「これは......まだみんなと仲良かった頃の写真......。まだ片付けて無かったですね」

光彦「この頃は、みんな仲良く楽しかったのに......。何故こんな事になったんでしょう」

光彦「今日先生が心配してくれてちょっと救われたけど......。所詮一時の話」

光彦「明日学校に行けば、またみんなが僕を虐げる。辛い。許せるわけ無いじゃ無いですか。そんなの」

光彦「だから僕はあなたを信じて地獄通信を開いたのに!!」ドンッ!

光彦「何故現れてくれないんですか!あなたは、怨みを晴らしてくれるんじゃ......無いんですか......うっ、うう......」グスン

光彦「楽しかった日々を返して下さいよ......。誰が悪いんですか?何が悪いんですか?もう何を怨んだらいいか分からないけど......」

光彦「楽しかった日々が帰って来ないなら......。せめてこのやり場の無い怨みを晴らして下さいよ!地獄少女ぉぉお!!」グスン

阿笠博士宅、灰原哀の部屋。

「怨みを晴らして下さいよ、地獄少女ぉぉお!!」

灰原「ちょっとスピーカーのボリューム上げすぎたわね。耳が痛いわ。それにしても、地獄少女?何の話かしら。明日工藤君と話さなければね」

皆さんありがとうございます。
本日はここまで、明日更新予定です。

ギイィィ......

灰原「!?」バッ

阿笠「何をしとるのかね、哀君?」ニヤッ

灰原「......何でも無いわ」

阿笠「なら良いんじゃが。もう遅いから寝なさい」ニヤッ

灰原「......ええ」

阿笠「うむ。じゃあ、お休み」ニヤッ

灰原「......」

阿笠「ああ、そうじゃ。新一に顔を出すよう伝えてくれたかの?」ニヤッ

灰原「伝えたわよっ!」バンッ

阿笠「おお、怖いのぅ」ニヤッ

灰原「言うことはきいてるんだから、監視みたいな真似しないでよ!いつまで私達を......」

阿笠「ご機嫌斜めの様じゃが、ワシの言うことはきくべきじゃと思うがの?」ニヤッ

灰原「......っ!」

阿笠「じゃあ、頼んだぞい」パタンッ

灰原「......私達は、いつまで」グスン

灰原「工藤君......」

あい「......」

灰原「誰っ?!」クルッ

シーン...

灰原「誰かに見られてた様な......?気のせいかしら......?」

毛利探偵事務所。コナンの部屋。

コナン「......だーっ、くそっ!何度考えても分からん!あの女教師は何なんだ?ただでさえ今色々と面倒な時に」ガリガリ

コナン「はぁ、今考えても仕方ねぇ。寝るか。灰原の仕掛けてくれた盗聴機はどうなったかな......」

あい「......」

コナン「ん?!誰だっ?!」クルッ

フッ......

コナン「気のせいか?いや、一瞬見えた......。女の子?」

コナン「ちっ、何だか......。妙なものが俺達の周りにまとわりついてるみてーだな」

コナン「だが、邪魔はさせないぜ。何があろうと、俺の目的はな......」

翌日。

光彦「......来たくも無いのに、また学校。今日は何をされるんでしょうね」



アハハハ......。キャハハ......。

光彦「みんな楽しそうですね。まあ、僕が入るとこの笑いは僕を嘲笑う為の物に変わる訳ですが」ハァ

ガラッ......

光彦「おはようございます」

シーン......

光彦「え?」

シーン......

光彦(誰も何もして来ない?)

シーン......

光彦(誰1人視線すら合わせない。僕の方すら見ない......)

シーン......

光彦「......」スタスタ......

光彦(何故何もして来ないんですか?標的が来たんですよ?)

シーン......

光彦(ほら、来ないんですか??いつもならこの辺りで)キョロキョロ

シーン......

光彦(殴らないんですか?罵らないんですか?いつもみんな酷い事をするじゃないですか......っ!?)ピタッ

シーン......

光彦「......ふふ、ははは、あーっはっはっはっ!!」

シーン......

光彦(ふ、ふふ。僕は......。終わってる。いじめられる事を半ば期待してしまっているなんて。殴られなくてほっとするより、殴られなくて戸惑うなんて......)チラッ

コナン「......」フッ

光彦(ああ、やはりそうなんですね。僕のこの歪んだ気持ちを自覚させる為に......。僕を更に奈落に突き落とす為に......あえて無視させた)

コナン「......」

光彦(コナン君、何故君はそこまで僕を......)

コナン「気付いたみてーだな、こっちの意図に」フッ

灰原「ええ、その様ね」

コナン「自分の境遇を自覚して絶望してやがる。いい表情だぜ」ニヤッ

灰原「なまじ頭が良いだけに、理解が早いわ。そして、諦めもね」クスッ

コナン「ああ。で、例のは?」

灰原「ええ、ここに。イヤホンで聴いてみて」スッ

コナン「どれどれ?」サッ

光彦(何をしてるんでしょう、あの2人は)

元太(ちぇ、コナンには光彦を無視しろって言われたけど、つまんねーな。2人でイチャイチャしてるしよ)

歩美「......」チラッ

コナン「ちっ、イヤホンはめてると泣き声がうるせぇな。肝心の部分はどの辺りだ?」キーン

灰原「もう少しのはずよ」

光彦(一体何を聴いてるんでしょうか?)

元太(ちぇ、やっぱりつまんねー!やっちまおう!)ガタッ

灰原「......あら?工藤君、あれ」

コナン「え?」

元太「おい光彦」

光彦「......何ですか?元太くっ!?」バキッ!!

灰原「なっ?」

コナン「あの馬鹿が!」

ザワザワ......。ザワザワ......。

光彦「い、痛い......」

元太「痛いか? もっとやってやるぞ。お前が元気なのはつまんねーからな!」

光彦「......ふっ」

元太「何がおかしーんだよ?」イラッ

光彦「いえ、今日はまだ殴られてなかったので。つまらなかったんですよ、こっちも」

元太「てめぇ!」ブンッ!

コナン「元太ァー!!」ガンッ!!

元太「ひっ!!」ビクッ

コナン「元太。オメー何勝手な事してんだよ?」ギロッ

元太「だ、だってよ、つまんねーから......」ブルブル

コナン「ならテメーも一緒にやられるか?」

元太「わ、分かったよ、やめるよ......」

コナン「チッ、馬鹿が」チラッ

光彦「ふ、ふふ......。血が出てる。保健室行かなきゃ」スタスタ......

コナン「......」ギリッ

灰原「く......(流石にひそひそ話してもこれだけ注目されたら聞かれるかも)江戸川君?大丈夫?」

コナン「......ああ」

灰原「予定が狂ってしまったわね。せっかく上手く行きそうだったのに」

コナン「いや、問題はそっちじゃない。アイツを保健室に行かせちまった事だ」

灰原「え?」

コナン「光彦とあの得体の知れない保健室の先生と会わせたくなかった。だからなるべく怪我をしないやり方を選んだのに。元太のお陰でぶち壊しだぜ」

灰原「気になるの?あの先生がそんなに」

コナン「ああ。どうもあの人は俺達の事を探ってる気がしてならないんだよ」

灰原「私達を?何のために......」

コナン「それは分からないが、光彦が活力を取り戻した件とあの先生は関係がある気がするんだ。それに、あの気配......」

灰原「気配?」

コナン「昨日の夜、誰かに見られてる気がしてな。振り返ったら、一瞬女の子が見えたんだ。笑われるかも知れねーが」

灰原「えっ!?」ドキッ

コナン「どうした?」

灰原「私も......。感じたの、気配。姿は見えなかったけど」

コナン「本当に?」

灰原「ええ。 まさか、それが地獄少女......?」ボソッ

コナン「え?」

灰原「後で屋上に来て、さっきはつい人前で聞かせてしまったけど、やはり人には聞かれたくないわ」ブルブル

コナン「分かった。その表情はただ事じゃあないみてーだな」

灰原「ええ。その件以外にも、ちょっと話があるし」

コナン「分かった。じゃあ、昼休みにでもな」チラッ

元太「っ!」ビクッ

コナン(元太、俺の予定を狂わせた落とし前はつけてもらうぜ。それに......)チラッ

一目連(!)

コナン(どっからか俺達を見ている、誰かにもな)

灰原(何なのかしら、この得体の知れない不安......。工藤君の言う通り、何かが私達を?)

一目連(アイツ......。徐々に俺達に気付いてる。何てヤツだ。やはりただの坊やじゃないのは間違いなかったな。さっきも、見られちゃいないがこちらの気配を察知しやがった。コイツは危険かも知れない。調査を急ぐか)

皆さんありがとうございます。
本日はここまで、明日更新予定です。

保健室。

光彦「失礼します」ガチャッ

曽根「あら、おはよう。その顔、またやられたのかい?」

光彦「ええ。まあ」フッ

曽根「......何で笑ってるんだい?」

光彦「え?」

曽根「今、笑ってたよ。やられたのがそんなに嬉しいのかい?」

光彦「いえ、そういう訳では......」

曽根「じゃあ、何で?」

光彦「今日......。本当はコナン君は僕を無視させたかったみたい何ですけど、元太君がそれを破って僕を殴ったんです。コナン君、大慌てで」

曽根「それが嬉しかったのかい?」

光彦「嬉しいと言うか、少しスッとはしましたね。コナン君のあの時の顔、爽快でした」フッ

曽根「......でも、殴られてる事に変わりは無いよ。今の状況が続くなら、また同じ事の繰り返しさ」

光彦「今の状況......ですか。変える必要あるのかな......」

曽根「な、何を?」

光彦「ほら、いじめられるって言う事はある意味究極に構ってくれてるわけで。ある意味究極の愛情表現とも」

曽根「しっかりおしよ!」

光彦「!」

曽根「アンタが辛いのは分かる。でも、それに飲み込まれて自分を殺しちまったら、もう戻れないんだよ!苦しみを受け続けるだけの人生を是とするなんて、アタシは認めないよ!」

光彦「......」グスン

曽根「気持ちを空にしちまえば、確かに楽だよ。でもね、それじゃ生きてるとは言えないんだよ。生きながら死んでるのと変わらないんだ。アンタが生きて成し遂げたい事があるなら、辛くても自分を無くしちゃいけないよ」

光彦「ぼ、僕は、僕は......」グスン

曽根「泣いたらいいさ。辛いなら我慢しないで出しちまいな。そして、ゆっくり休んだらいいさ」

光彦「う......ううっ......うぁああ」グスン

曽根(追い詰められて来てるんだね。ちょっとした事で崩れちまいそうな程に。しかし、ちょっとアタシらの本分を外しちまったかね。柄にも無く説教なんてさ)

某スーパーマーケット、駐車場。

阿笠「よいしょっと。さて、買い物も終わったし帰るとするかの」カチャッ

ブルルルル......プスンッ

阿笠「な、何じゃ?」カチャッ

ブルルルル......プスンッ

阿笠「弱ったのぉ、故障かのぉ?」バタンッ

輪入道「どうかされましたか?」

阿笠「あ、いやはや。車が故障してしまった様で」

輪入道「それはお困りでしょうなぁ。どれ、1つ見てみましょうか」

阿笠「え?いやしかし......」

輪入道「まあまあ、袖すり合うも多少の縁と言いますからな。どれ?......ふんふん。ああしてこうして。はい、直った」

阿笠「え?本当ですか?」

輪入道「試してごらんなせぇな」

阿笠「ど、どれどれ?」カチャッ

ブルルルル......ブォーン!

阿笠「あ、動いた!いやー、助かりました。何せポンコツで良く壊れるもので。しかし、あなた乗り物にお詳しいんですなぁ」

輪入道「何、生まれつき乗り物だからねぇ」

阿笠「?」

輪入道「あ、いやいや。生まれつき乗り物に関わる家系と言う意味で」

阿笠「おお、そうでしたか。どうですか?お時間があるならお礼をしたいので。家はそれほど遠くありませんので、お茶でも」

輪入道「そうですか?それじゃあお1つ、お言葉に甘えさせてもらいますかな」

阿笠「おお、良かった。では、 参りますかな」

輪入道(さあて、上手く標的に近づけたが。果たして鬼が出るか蛇がでるか......)

保健室。

光彦「......」zzz

曽根「寝たみたいだね。泣き通しだったからねぇ」

一目連「骨女、いいか?」フッ

曽根「一目連、どうしたんだい?」

一目連「俺はこれから阿笠博士と灰原哀の調査に行く。輪入道も阿笠博士に接触したみたいだしな。俺も協力して調べてみるぜ」

曽根「そうかい。了解したよ。学校の方は任せなよ」

一目連「済まねぇな、江戸川コナンと灰原哀は休み時間に屋上に行くと言ってたぜ。アイツらやはりただ者じゃない。アイツらを調べてるつもりが、逆にこちら側に迫られてる感じだ」

曽根「だろうね。あの坊やの目はまるでこちらを射殺さんばかりに鋭かったからねぇ」

一目連「全く、気の休まらない仕事だぜ。本当ならもっと早く調べが着いてたはずなのにな」

曽根「仕方無いさ。ま、とにかく向こうは頼んだよ」

一目連「ああ。しかし、白衣が板に着いてるな。いっそ保健室にそのまま就職したらどうだ?人気出るぜ」ニッ

曽根「バカ言ってると、その目ン玉を2度とつかえなくしちまうよ!」

一目連「おお、怖っ!じゃ、行ってくるぜ」サッ

曽根「全く......」チラッ

曽根「でも、我ながら似合って無いことも無いかな?」クスッ

きくり「何笑ってるの、オバン?」

曽根「っ!な、何でもないよっ!!」

きくり「若作りしても、オバンはオバンだー!」タタタッ

曽根「......いつかお仕置きしてやるからね」イラッ

阿笠博士宅。

阿笠「さ、着きましたぞい。どうぞ中へ」

輪入道「すみませんなぁ。見ず知らずの人間がお邪魔しちまって」

阿笠「いやいや、あなたのお陰で家まで歩かず済みましたしのぉ。ま、どうぞ掛けてくだされ」

輪入道「じゃあ、失礼して。はぁ、しかし立派なお屋敷ですな」

阿笠「ハハ、見た目は良いが中身はボロですわい」

輪入道「いやいや。そんな事は。お1人で住んでるんで?」

阿笠「いや、一応同居人がおりますわい。女の子が1人」

輪入道「同居人?ご家族じゃあ?」

阿笠「一応、家族同然に暮らしてはおりますがの。血の繋がりはありませんわい」

輪入道「はあ。ご親戚か何かで?」

阿笠「まあ、そんな所ですわい」

輪入道(戸籍も何もねぇ人間を親戚も何もあったもんじゃねぇ。やはり何かあるな。しかし、話してる限りじゃあ人の良いじいさんだがなぁ)

阿笠「さ、どうぞ。粗茶ですがの」コトッ

輪入道「あ、こりゃご丁寧にどうも」

阿笠「所で、お招きして何ですがまだお互いに名前も名乗ってませんでしたな」

輪入道「あいや、こいつは失敬。轟と申します。ま、見ての通りの楽隠居でして」

阿笠「ワシは阿笠博士(ひろし)、まあ周りからは阿笠博士(はかせ)と呼ばれとりますわい。しがない発明家でしてな。所で、轟さん。単刀直入にお伺いしたいんじゃが」

輪入道「は?」

阿笠「一体、何の目的でワシに近づいたのかな?」ニヤッ

輪入道「......何の話で?」

阿笠「とぼけんでくだされ。何か用があって、車に細工したんじゃろ?」

輪入道「そいつぁ心外ですなぁ。親切で車を直したってぇのに、まるで犯罪者扱いだ」

阿笠「アンタを疑うに足る根拠はあるんじゃよ?ちゃんとのぉ」

輪入道「疑う?たまたま壊れたアンタの自動車を、たまたま散歩で通りかかった俺が直しただけじゃあねぇですかい?何が不思議なんで?」

阿笠「その自動車じゃよ。おかしいんじゃよ。壊れるのはの」ニヤッ

輪入道「おかしい?自分で言ってたはずだ。ポンコツだから良く壊れると」

阿笠「確かにのぉ。これが1週間前なら何も疑わなかったわい。だがタイミングが悪かったのぉ」ニヤッ

輪入道「何?」

阿笠「実はあの車、6日前に壊れてのぉ。2日前メーカー修理から戻って来たばかりなんじゃよ」ニヤッ

輪入道「!」

阿笠「いくらポンコツでも、整備したばかりの車がそうそう簡単に壊れはせんじゃろ?こりゃ余程の手抜きか、誰かが細工したとしか考えられないんじゃよ」ニヤッ

輪入道「そいつぁ、修理会社をまず調べてみるべきじゃ?」

阿笠「まあ、それは考えておこうかの。じゃがワシに用があるのは確かじゃろ?」ニヤッ

輪入道(ちっ、面倒な事になりやがったぜ)

阿笠「そう構えんでもええわい。別に取って食う訳じゃあないからの。別にワシに危害を加える積もりはないじゃろ?」ニヤッ

輪入道「まぁ、そいつは俺達の仕事じゃあねぇからなぁ」

阿笠「ほう。じゃあ何が目的なのかね?」

輪入道「アンタに直接用がある訳じゃあねぇさ。仕事の過程でアンタを調べる必要があっただけさ」

阿笠「ほう。なるほど。じゃが、生憎ワシはただの発明家に過ぎんよ。ただのな」ニヤッ

輪入道「良く言うぜ、ただの発明家がそんなに鋭い目を持ってる訳がねぇ」

阿笠「お互い様じゃろう?楽隠居が聞いて呆れるわい」ニヤッ

一目連(輪入道、大丈夫か?)ボソッ

輪入道(一目連か、済まねぇ。どうもいけねぇ流れだ)ボソッ

一目連(無理すんな、俺に任せな。俺なら気付かれず調べられる)ボソッ

輪入道(分かった。頼んだぜ)ボソッ

阿笠「どうしたのかね?うつむいて」

輪入道「いや、何でもねぇ。そろそろおいとまさせてもらうぜ。お茶、ご馳走さん」スッ

阿笠「大したもてなしも出来んで済まんのぅ」ニヤッ

輪入道「いや......。1つ聞きてぇんだが」

阿笠「何じゃね?」

輪入道「アンタ、本当は何なんだい?」

阿笠「そいつは、教えられんのう。知ればアンタを......」ニヤッ

輪入道「!」

阿笠「冗談じゃよ」ニヤッ

輪入道「......」スタスタ......バタンッ

阿笠「ふむ。久しぶりに刺激のある時間じゃったわい」ニヤッ

一目連(輪入道が気圧された......?コイツは、一体?)

輪入道(最後に放ったのは、ありゃあ殺気だな。やはりあの博士も、ただ者じゃなかったな......。気をつけろよ、一目連)

昼休み。帝丹小学校。

コナン「よし、行こうぜ灰原」

灰原「ええ」スッ

歩美(また2人でどこか行くんだ、コナン君と哀ちゃん......)

元太(アイツら、いつも2人でこそこそしやがって。よーし)スッ

屋上。

コナン「よし、誰もいないな。で、何があったんだ?」

灰原「まず、さっき途中だったこれを」スッ

コナン「ああ、そうだったな」スッ

灰原「......そろそろよ」

コナン「......怨みを晴らす?地獄少女?って言ってんのか?これ?」

灰原「ええ。そうよ」

コナン「地獄少女って、確か......」

灰原「ええ。都市伝説として最近流れてる話よ。調べてみたの。怨みを晴らしたい人が、午前零時に地獄通信と言うキーワードをネットに書き込み......」

コナン「ああ、俺も聞いた事あるぜ。その怨みが本当なら、地獄通信が開く。そして、地獄通信に怨んでる奴の名前を書き込むと地獄少女が現れ、怨みを晴らしてくれる。って話だよな?」

灰原「ええ。概ねその通りよ。それと」

コナン「怨みを晴らした奴も、地獄に堕ちる。だろ?」

灰原「ええ。そうよ」

ゴソゴソ......

元太(アイツら、いつも隠れて何かしやがって。ごっそり聞いてやるからな)

保健室。

曽根「......そろそろ、あの2人は屋上かね?」チラッ

光彦「......」

曽根「寝てるね。じゃ、行くとするかね」スッ

バタンッ......

光彦「......先生、何処へ?さっき寝ぼけてる時に微かに聞こえた屋上って、一体?気になります......」

再び屋上。

灰原「それで、これを聞いてあなたはどう考えるかしら?」

コナン「まあ、普段なら科学的根拠もねぇ様な与太話と笑っちまう所だけどな」

灰原「でも、信じると?」

コナン「ああ。光彦もバカじゃないからな。縋るにしても、ありもしない物には頼らないだろうからな。それに......」

灰原「私達の身の回りに起きている不可思議な事を考えれば」

コナン「ああ。地獄少女なんてものが存在しても、不思議じゃないって事さ」

灰原「まあ、私達自体が冗談みたいなモノだものね。何があっても不思議では無いのだけれど」

コナン「そういう事。光彦が活力を取り戻した理由も何となく納得出来るしな」

元太(ちきしょう、遠くて何言ってるかわかんねーよ)

灰原「しかし、もし地獄少女が存在するとして、何故私達に何も起こらないのかしら?」

コナン「確かにな。そんなモノがあるならもう起きててもいいはずだがな。地獄送りが」

元太(じ、地獄?)

灰原「地獄送り?」

コナン「ああ。怨みを晴らす方法は、相手を地獄に送る事だと聞くぜ」

灰原「相手を地獄へ......」

コナン「具体的にどうするのかは知らないけどな。そんな物を使う決心をしたのなら、今更躊躇いもせずに怨みを晴らすと思うんだがな」

灰原「自分も地獄に行くと言うのが本当なら、それを怖がっているとか?」

コナン「あるいは......。何か特別な条件でもあるのか。いずれにせよ、今はそれを使えないんだろう。だが......」

灰原「条件が整えば」

コナン「やられる可能性は、高いな。その条件を満たす前に対策を取らなきゃ、アウトだ」

灰原「でも、どうしたらいいのかしら。実際に検証しようにも......」

コナン「それはダメだ!例え実際に使えても、オメーまで地獄行きになっちまう。それはダメだ。オメーを失うのは......嫌だ」

灰原「工藤君......」

コナン「光彦も厄介なモノに手を出したもんだぜ。地獄行きとはな。復讐の手段としちゃあ、究極だな」

元太(な、な、何だ?じ、じ、地獄?光彦は俺達を......地獄へ送るのか!?そ、そんな事あり得るわけねーよ!)

本日はここまで、明日更新予定です。

>>77-78
連投ごめんなさい
エラーでも書き込まれてるのね

皆さんありがとうございます。
遅くなって申し訳ありません。

>>80
気にしないで下さいね、自分もたまにやっちゃいますから。
あれ、ダブってるって(笑)

今日1日、不定期に投稿します。

コナン「まあ、短い昼休みに考えても時間が足りない。授業中にでも考えるとしようぜ」

灰原「ええ。それと......」

コナン「ん?」

灰原「博士が、工藤君を......。また呼んでるの」

コナン「......そうか」

灰原「イヤなのは分かるわ、でも......」

コナン「いや、行くよ。灰原に何かされても困るからな」

灰原「ありがとう、工藤君」

コナン「礼なんか言うなよ、水くさいな。俺は決めたんだからよ。何があってもオメーを守るって」

灰原「......」ギュッ

コナン「お、おいおい。時間が......」

灰原「......嬉しい時位、素直にさせてよ」

コナン「......ああ」ギュッ

元太(地獄......光彦に殺される......)ガタガタ

ガチャッ

元太(!?)

曽根「さて、ちょっと遅くなっちまったかね。ん?」

元太「あう、あう......」ガタガタ

曽根「君は......」

元太「あひぃぃい......っ!!」ダダダッ

曽根「な、何だい?」

コナン・灰原「!?」ビクッ

コナン「誰かいるの?」

曽根(まっずいね、気付かれちまったよ)

コナン「いるんでしょ?誰か」

曽根(はぁ、仕方無いね)スッ

灰原「!」

コナン「先生?こんな所で何してるの?」

曽根「あ、いやそのー......。ちょっと風に当たりたくなってね。お2人さんの邪魔をする気は無かったんだけどねぇ」

灰原「......」

コナン「そうなんだ。でもタイミング良く会うよね、僕達」

曽根「そ、そうだねぇ。何か縁があるのかね」

コナン「ねぇ先生?僕達の話、聞いてた?」キッ

曽根「話?何か聞かれちゃ不味い話でも?」

コナン「いや、何でもないよ。行こう、灰原」サッ

灰原「え、ええ」サッ

曽根(はぁ、肝心の話は聞けないわ、警戒は強められるわ、ついてないねぇ)ハァ

コナン「そうだ、先生?」

曽根「何だい?」

コナン「先生は知ってるかなぁ?地獄......少女」

曽根「!」

コナン「どうしたの?驚いて」キラッ

曽根「あ、いや。噂くらいはね、聞いた事あるよ」

コナン「そう。じゃあもう1つ聞くけど、いい?」

曽根「......何だい?」

コナン「先生は、何者なのかな?」キラッ

灰原(く、工藤君。少し突っ込み過ぎじゃ......)

曽根「何者か、かい?アタシは保健室の先生。ただそれだけだよ。ま、1つ言えるのはアタシはアンタ達の敵じゃあない。でも、味方でも無い。どう?満足かい?」

コナン「うん。ありがとう。ねぇ先生?」

曽根「何だい?」

コナン「お互い、上手く行くと良いよね。色々さ」キラッ

曽根「......」

コナン「じゃあね、先生」スタスタ......

灰原「......」スタスタ......

曽根「......やられたね、どうもさ」



>>85の一番最後にミスがありました。
申し訳ありません。
あの一文字は間違いです。

灰原「ねぇ、工藤君?あんなに踏み込んだ質問して良かったの?」

コナン「ん?ああ。大丈夫さ。あれで何となく分かったよ。あの人の正体が何なのか」

灰原「え?」

コナン「ま、それは後でな。授業が始まっちまう。行こう」

灰原「分かったわ。あら?」

コナン「ん?どうした?」

灰原「何か、聞こえない?下の階から」

ザワザワ......ザワザワ......

コナン「本当だな。何かあったのか?行ってみるか」タタタッ

灰原「あ、待って!」タタタッ

保健室前。

ザワザワ......ザワザワ......

灰原「あそこみたいね、人だかりがあるわ」タタタッ

コナン「ああ。何なんだ一体?」

歩美「あ、コナン君!」

コナン「歩美ちゃん、何があったんだ?」

歩美「あれ......」スッ

コナン「え?な......っ!?」

灰原「......!」

屋上。

曽根「はぁ、結局本当に風に当たっちまった。そろそろ戻らないとねぇ。全く、あんな坊やに圧され気味だね。やんなっちまうよ」ハァ

教師A「あ、曽根先生!こんな所にいましたか!探しましたよ!」ダダダッ

曽根「え?あの、何か?」

教師A「保健室で大騒ぎですよ!来て下さい!」

曽根「ええっ?!」ダダダッ

教師A「あ、ちょっと!」

曽根(一体何があったんだい!まさか、まさか......!)ダダダッ

保健室前。

ザワザワ......ザワザワ......

曽根「ちょっと、どいとくれ!どいておくれよっ!!」ギューッ

ザワザワ......ザワザワ......

曽根「くっ、どいておくれってば!......なっ?!」

光彦「......ぐふっ」ポタポタ......

元太「ハァ、ハァ、ハァ......」ポタポタ......

曽根「ア、アンタ一体何やってんだい!?」

元太「ハァ、ハァ、こ、こいつが悪いんだ......」

曽根「は?」

元太「こいつがいるからぁぁあ!!」バキッ!

光彦「ぐぁっ......」

曽根「やめなってんだよっ!!」バチーン!!

元太「いだっ!!」ドテッ

曽根「アンタ、しっかりおしよ!」ガシッ

光彦「......」ピクピク

曽根「一体、何があったんだい......」

少し前。保健室。

光彦「先生、戻って来ませんね。何かあったんでしょうか」

光彦「......屋上。よし、行って見ましょう!怖いけど、ひょっとしたら何か分かるかも知れないですからね。僕達に一体何が起きてるのか」

バーン!!

光彦「えっ?」クルッ

元太「フーッ、フーッ、フーッ......」

光彦「げ、元太君?一体何ですか?何かあったんですか?」

元太「う、う、うがあああぁっ!!」ダダダッ

光彦「な、何をっ!!?」

元太「うるせぇっ!!」バキッ!!

光彦「ぐぁっ!!」ドサッ

元太「うわあああ!!お前が、お前何かにぃっ!!」バキッバキッバキッバキッ

光彦「い、ぐふっ、うぐぅっ......」ガクガク

元太「やられてたまるか、お前何かに、お前何かにぃっ!!」バキッバキッバキッバキッバキッバキッ

光彦「っ............ぁ......」ダラーン

女子生徒A「先生、いますか......キャーッ!!」

元太「うがあぁあああ!!」バキッバキッバキッバキッ

女子生徒A「だ、誰かぁ!」ダダダッ

光彦「う......」ダラーン

ザワザワ......ザワザワ......

「おい、人が殴られてるのここか?」

「でも、良く見ろよ。殴られてるのアイツじゃん」

「ああ、アイツか。じゃ、ほっとけよ」

光彦(人が......見えるの、に......だ、誰も助けて......くれな、い......。このまま、僕は......)ガクッ

本日はここまで、明日更新予定です。

現在。

光彦「......うぅ」プルプル

曽根「ちょ、ちょっとアンタ!大丈夫かい?」

光彦「......ぼ、僕は」

曽根「喋るんじゃないよ、今病院に連れてくからね!」

光彦「......せて」ボソッ

曽根「え?」

光彦「このまま......僕を......い、いかせて......。も、もう......僕は......」

曽根「バカな事言うんじゃないよっ!だ、誰か!救急車!救急車を呼んどくれ!」

コナン(あっ......マズイっ!!)

ピッピッピッピッピッピッ......

モシモシ......モシモシ......モシモシ......

曽根「!?」

コナン(くそ、こんな時に......。この人の前で!)チッ

灰原(こんな事になるなんて......タイミングが悪過ぎるわ......)

曽根(ど、どういう事なんだい?ここまでボロボロになるまで見て見ぬふりをしていた連中が、救急車を呼んでと言った途端に一斉に救急車!を呼び出した......?)

光彦「ぐふっ......」ガクッ

曽根「っ!とにかくすぐ病院に行けるように、玄関へ!しっかりおしよ!」ダダダッ......

ザワザワ......ザワザワ......

コナン(行ったか......。死なれたら困るからな。しかし面倒な事になったぜ)ギロッ

元太「う、うぅ......」ガクガク

コナン「おい、元太」ガシッ

元太「ひっ!?」

歩美「!」

灰原「工藤君?!」

コナン「大丈夫だ、手荒な事はしねー。おい、元太。オメー何であんな真似しやがった?」

元太「だ、だ、だってよ、アイツがいたら俺達がやられるだろ!」

コナン「やられる?」

灰原「あなた、まさか......。聞いていたの?」

元太「う、うるせぇっ!いつもお前らだけでこそこそしてやがるから!」

コナン「はぁーん、それで?何を聞いたってんだ?」

元太「とぼけんなよ!アイツは、俺達を......じごk」

コナン「もう良い。分かった。とにかくオメーは人の話を盗み聞きした挙げ句、その話の裏も取らずにとち狂ってこんな事をした訳だな」

元太「お、お前らがあんだけ真剣に喋ってるんだから、本当なんだろ!?」ガクガク

コナン「チッ、もう良い。喋るな。今日1日1言もな」バッ

元太「......」ガクガク

灰原「工藤君、大丈夫?」

コナン「ああ。しかし、阿笠の野郎が何て言うかだな......」

灰原「そうね......」

コナン「まあそれは光彦の結果次第か。しかし......」チラッ

元太「......」ガクガク

コナン(いよいよもってコイツは排除しなくちゃいけなくなったな)

キーンコーンカーンコーン......

コナン「っと、授業始まるか。話は後だ。行こう灰原」

灰原「ええ......。歩美ちゃんも、行きましょう」

歩美「......」

灰原「歩美ちゃん?」

歩美「あ、ゴメンね。今いく!」チラッ

コナン「?」

歩美(やっぱり、哀ちゃんとコナン君、内緒で何かしてたんだ。私だけ仲間外れ......。コナン君、やっぱり哀ちゃんといたいのかな......)

灰原(あの視線......。嫉妬の目......。気にかけて無かったけど、これを放置すると......。今回の様に災いになるかも知れないわね......)

元太「......」ガクガク

米花総合病院。

光彦「......」

曽根「しっかりおしよ!アンタ!」

看護師「先生、これから検査しますので。落ち着いて......。終わり次第お呼びしますから、ここでお待ち下さい」

曽根「は、はい......」

ガラガラ......バタンッ

曽根「......こんな事になるなんてね。アタシの責任だね。全て......」

あい「......」スッ

阿笠博士宅。灰原哀の部屋。

一目連「さて、ここがあのお嬢ちゃんの部屋か。何やらパソコンやら妙な液体の入ったビーカーやらフラスコ。到底小学生の弄るもんじゃねぇなあ。ん?」チラッ

一目連「この写真は?何処と無く灰原哀に似てなくも無いが......?ちょっと失礼してっと」カチャッ

一目連「裏書きがあるな。○○○○年、お姉ちゃん、か。お姉ちゃんだと?見た目に歳が離れ過ぎだろ!?まあ歳の離れた姉妹って可能性もあるが......。やはり灰原哀も江戸川コナンの様に......?」

あい「一目連」

一目連「っ!?お、お嬢!?」

あい「......骨女の所へ行ってあげて」

一目連「え?な、何かあったのか?結構今核心に迫りつつあるんだけど......」

あい「......行ってあげて」フッ

一目連「あ、お嬢!ったく、仕方無い。また後だな」フッ

米花総合病院。待合室。

一目連「ここだな?骨女がいるのは」

輪入道「お?一目連じゃあねぇか。何やってんだい?」

一目連「輪入道?そっちこそ何やってんだよ?」

輪入道「いやぁ、お前ぇさんに阿笠博士の家を任せた後、俺は俺で調べ物をしてたんだがな。突然お嬢に骨女の所へ行けと言われてな」

一目連「なんだ、そっちもかよ。俺もお嬢に呼ばれてさ。あ、いたぜ。おい、骨女!」

骨女「......ん?アンタ達、一体何やってんだい?仕事はどうしたんだい?あと、病院だから静かにおしよ」

輪入道「いやぁ、お嬢にお前ぇさんに会いに行けと言われたもんでな」

骨女「アタシに?何でまた?」

一目連「さあな。しかし随分凹んでるな。何かあったのか?」

骨女「......依頼人の坊や、アタシが目を離した時にボコボコに殴られちまってね。こうして病院に連れてきたのさ」

輪入道「それで責任感じて落ち込んでたってのか?」

骨女「そうじゃないけどさ、ちょっと......」

一目連「おいおい、そんなんで凹んでちゃ仕事になんないぜ?俺達の仕事は調査であってボディーガードじゃねぇんだ」

骨女「......分かってるよ」

輪入道「一目連の言う通り。俺達は正義の味方でもなけりゃ、悪逆の徒って訳でもねぇ。あくまでもお嬢の為に依頼人と標的を調べる。俺達と人間の関わりはその調査の過程で多少接するだけの事だ」

骨女「......」

一目連「大体、依頼人が調査の途中で事故や病気で死んじまったり、依頼人が別の人間に怨まれて流されたり。良く有る話だろ?何でそこまであの坊やの事で凹んでる?」

骨女「違うんだよ。そうじゃないのさ」

輪入道「ん?」

骨女「確かにアンタ達の言う通りさ。アタシはあくまでもお嬢の手足であり、耳であり、目だよ。そこから逸脱した事は無いと自分では思ってる」

一目連「......」

骨女「だけどね、今日アタシはあの坊やに......。江戸川コナンに気圧されて、一瞬心が緩んじまった。あの坊や達の会話を聞き逃した時点ですぐ保健室に戻ってりゃ、こんな事にはならなかった。だけどアタシはあそこでちょっとボーッとしちまった。あんな人間の......子供からプレッシャー受けてさ」

輪入道「......」

骨女「アンタ達の言う通り、別に依頼人の命を守るのはアタシ達の本分じゃない。でも、依頼を受けた以上は仕事が終わるまで生きててもらった方がキリがいいってもんさ」

一目連「だから、落ち込んでると?」

骨女「まあね。結局、アタシが仕事に徹して無いばかりに起きちまった事だからね。あの坊やに同情してないと言えば嘘になる。でも、今気分が優れないのは、仕事に徹して無かった自分に対する情けなさからさ。本当に、何年この仕事やってんだい?って、我ながら悲しくなってね」

輪入道「まあ、その気持ちは分からねぇでもねぇが。でも、肝心な事を忘れちゃいけねぇ」

骨女「え?」

一目連「お前が凹んでると、仕事が進まねぇ。それじゃお嬢が困る」

骨女「あ......」

輪入道「辛ぇのは分かる。だが今は気持ちを切り替えて仕事をすべきだ。それがわざわざ俺達をここへ寄越したお嬢の心遣いへの返事になるってもんだ」

一目連「そう言う事だ。いつも口喧しいのがだんまりされると、俺達もやりにくい」

骨女「アンタ達......(お嬢、アタシを励ます為にわざわざ......)」

本日はここまで、明日更新予定です。

骨女「分かったよ。そうだね、ここでショボくれてる訳にもいかないね。もう大丈夫だから、アンタ達も仕事に戻っておくれ。どの道アタシは、あの子の容態がハッキリするまでは動けないからさ」

輪入道「分かった。何かあればまた教えてくれ」

一目連「じゃ、後でな」

骨女「ああ、頼んだよ」

一目連「そうそう骨女」

骨女「ん?」

一目連「案外、凹んでブルーになってる顔もセクシーで良かったぜ」ニッ

骨女「そうかい。ありがと」フッ

一目連「何だよ、怒らないのか?」

骨女「今日は素直に誉め言葉と受け取っておくさ」フッ

一目連「何だよ、調子狂うな。じゃあな」サッ

骨女(ありがとうよ、アンタ達。お嬢......)

スタスタ......

一目連「しっかし、お嬢も珍しい事をするな」

輪入道「ああ。あの一件依頼、少しだけ感情を出すようになって来た気がするぜ」

一目連「あの一件......。あの親子のか」

輪入道「ああ。お嬢がどういう心境に至ったかは分からねぇが、ちったぁ人間らしくなった感じがするぜ」フッ

一目連「人間らしくねぇ。それは俺達にとって良いことなのかね」フッ

輪入道「まあ、今日の所は良しとしようや。じゃ、またな」サッ

一目連「ああ。お互いに気張ろうぜ」サッ

放課後。米花小学校。

コナン「さて、行くとすっか。アイツんとこへよ」

灰原「ええ。結局、放課後までに円谷くんの様子は分からなかったわね」

コナン「仕方ねぇさ。そっちはもうなるようになるとしか言えねぇからな」

灰原「まあ、それもそうだけど。彼も早退してしまったわね。結局」

コナン「元太か?すっかり怯えきってたからな。アイツも何とかしなきゃな」

灰原「ええ。あら……?」

コナン「どうした?」

灰原「……」スッ

コナン「ん?あ、歩美ちゃん?」

歩美「あの、コナン君。ちょっと話があるんだけど、良いかな?」

コナン「んっと、今から?」

歩美「うん、すぐ終わるから」

コナン「えっと……」チラッ

灰原「……」コクッ

コナン「分かった。灰原、先行っててくれ。すぐ追いつく」

灰原「ええ、分かったわ」スッ

コナン「で、話って?何だい?」

歩美「……コナン君、哀ちゃんとお昼に何の話してたの?」

コナン「あ、いや……」

歩美「哀ちゃんに話せて、歩美には教えてくれないの?」

コナン「そうじゃないけど……」

歩美「じゃあ、教えて。歩美だけ仲間外れにしないで。コナン君の事で知らない事あるの、嫌なの」

コナン(参ったな。かと言って無碍にしちまって第2の元太になられても困るしな……。ん?待てよ……。そうか……)キュピーン

歩美「どうしたの?コナン君?」

コナン「……歩美ちゃん、実は聞いて欲しいことがあるんだ」

歩美「え?」

コナン(本来、こんな事はしたくないんだがな。済まない、歩美ちゃん。俺はもう、止まれないんだ……)

歩美「なあに?どうしたの?」

コナン「実はね、××××××」

歩美「……え?」

しばし後。

灰原「……来たわね」

コナン「よう、待たせたな」

灰原「それは良いけど、彼女は何て?」

コナン「まあ、昼休みの件について聞かれたよ」

灰原「そう、なの」

コナン「……なあ、灰原」

灰原「何?工藤君?」

コナン「……いや、後で話す。とりあえず阿笠の所へ行こう」

灰原「……分かったわ」

コナン(まだ、上手くいく保証が無い……。そして、灰原がそれを受け入れてくれる保証もな……)スタスタ

灰原「あ、工藤君!前!」

コナン「え?」

ドンッ

コナン「うわっ!!」ドテッ

柴田つぐみ「きゃっ!!」ドテッ

コナン「イテテ……。あ、ご、ごめんなさい!大丈夫?」

柴田つぐみ「う、うん、こちらこそごめんなさい!大丈夫?」

コナン「う、うん。本当にゴメン。ボーッとしてて……」

灰原「全く、考え事するとすぐ周りが見えなくなるんだから。あなた、本当にケガは無い?」

柴田つぐみ「うん。ありがとう。あの、あなた達はこの町の人?」

灰原「ええ、そうよ。すぐそこの小学校に通っているわ。あなたは?」

柴田つぐみ「私は、はじめちゃんの……。あ、いや、お父さんの仕事で来たの。お父さん、記者だから」

コナン「記者?」

柴田つぐみ「うん、この町にあるコロンボって言うレストランを取材に来たの」

灰原「あら、コロンボなら知ってるわ。お父さん、レストランの場所知ってるの?」

柴田つぐみ「ううん、曖昧なまま来ちゃって。迷子状態なの」

コナン「それは大変だね、地図書いてあげるよ」サラサラ

柴田つぐみ「わあ、ありがとう!あ、ごめんなさい。名前も言ってなくて。私はつぐみ。柴田つぐみって言うの」

灰原「私は哀。灰原哀よ」

コナン「僕はコナン。江戸川コナンって言うんだ」

柴田つぐみ「コナン?変わった名前だね!」

コナン「ハハハ、よく言われるよ。はい、ちょっと見にくいけどこの通り行けばコロンボに着くよ」サッ

柴田つぐみ「ありがとう」サッ

ドクンッ

つぐみってはじめちゃんのとこの子だったよね確か

柴田つぐみ「!!」ビクッ

コナン「ど、どうかした?」

柴田つぐみ「……あ、ううん!何でもないの」

灰原「本当に大丈夫?顔が青いわよ?」

柴田つぐみ「う、うん!大丈夫だよ!ありがとうね、2人とも」

コナン「こちらこそ、本当にごめんね。じゃあ、無事行けるといいね」スッ

灰原「縁があれば、また会えると良いわね。じゃあ」スッ

柴田つぐみ「うん、またね……」

ドクンッ

柴田つぐみ「……あの子達は、もしかしたら」

柴田一「おーい!つぐみ!ここにいたのか!探しちまったぞ!」

柴田つぐみ「あ、はじめちゃん……」

柴田一「ん?どうした?何かあったのか?」

柴田つぐみ「あ、あの……。今そこであった子達が取材先のレストランの場所、教えてくれたの」

柴田一「そっか、そいつはラッキーだったな!良し、早速行くか!」

柴田つぐみ「うん……」

柴田一「どうした?元気ないな?」

柴田つぐみ「あのね、その子から感じたの……。地獄少女の気配……」

柴田一「っ!!本当か?」

柴田つぐみ「うん。微かにだけど……」

柴田一「……そうか」

柴田つぐみ「わかんない。気のせいかもしれないけど……」

柴田一(地獄少女……。お前は今もまだ、悲しい叫びを胸に秘めて地獄流しを行っているのか……?)

柴田つぐみ「はじめちゃん……?」

柴田一「あ、すまんすまん。つい、あの時の事を思い出してな……」

柴田つぐみ「大丈夫だよ、はじめちゃん。何があっても私達、ずっと一緒でしょ?」

柴田一「……ああ、もちろんだ。さぁ、行こう!取材費ごまかしてきたからな。たくさん食っちまえ!」ニッ

柴田つぐみ「もう、はじめちゃんったら!」ニコッ

柴田一(地獄少女。お前が地獄流しを続けることを、俺はもう否定しない。邪魔もしない。仙太郎の血を引く俺達を許さなくても構わない。だが、俺は……。この子を守る。そしていつか、お前の真実を世に伝える。それが俺に出来るただ1つの事だと思うからな。いつかお前が救われることを、願っているよ。閻魔あい……)

柴田つぐみ(あの子達は、地獄少女と何かあったのかな……。良い人達だったし、何も無いといいな……。地獄少女も、私とはじめちゃんみたいにいつか……。誰かと笑いあえるのかな……。笑いあえるよね、いつか……)

一旦中断します。
夜更新予定です。
核心部分に入ります。

>>100
その通りです。地獄少女第1期のキーパーソンです。

1期後パラレルなのか。
きくり居て、山童がいないと言うことはそう言うことだったのね
先が見えない期待

皆さんありがとうございます。
再開します。

>>105
イメージとしては、一期終了から二期のいつかを考えて書いてます。

阿笠博士宅前。

コナン「......着いたな」

灰原「ええ......」ギュッ

コナン「大丈夫。俺がついてるよ。行こう」

灰原「......うん」ガチャッ

阿笠「おお、哀君。お帰り。おや、そこにいるのは......」ニヤッ

コナン「......」ギロッ

阿笠「おやおや、いきなりおっかない目付きじゃのお。哀君。悪いが新一と2人で話したいのでな。下がってもらえるかの」

灰原「......」チラッ

コナン「......」コクッ

灰原「......分かったわ」スッ

阿笠「さて。久し振りじゃのう新一。最近はめっきりここに来てくれんかったからの」ニヤッ

コナン「何の用だ?早く帰りたいんだ」

阿笠「つれないのぅ。それが昔からの付き合いのある人間に対する態度かの?」

コナン「黙れよ。こっちはテメーの面見るのも嫌なんだよ」

阿笠「おやおや、嫌われたもんじゃな」ニヤッ

コナン「当たり前だ!テメーは、テメーは......」

阿笠博士宅。灰原哀の部屋。

一目連「ふぅ。色々見せてもらったが。なかなか面白い事が分かったな。ん?この気配は......」

ガチャッ

灰原「......」グスン

一目連(灰原哀......。帰って来たのか)

灰原「......工藤君、無理しないで」グスン

一目連(工藤君、か。やはりあの坊やは工藤新一、か。ん?その工藤新一の気配も感じるな。この家に来てるのか?見てみるか)スッ

阿笠博士宅。ホール。

一目連(お、いるいる。何やら話をするみたいだからな、聞かせてもらうぜ)

阿笠「おやおや、嫌われたもんじゃな」ニヤッ

コナン「当たり前だ!テメーは、テメーは......っ!!俺達の全てのトラブルの元凶!そして今なお俺達を縛る鎖......俺達が追い掛け続けた......」

阿笠「......」

コナン「黒の組織のボスなんだからよ!」

阿笠「黒の組織、か。懐かしいのぉ。覚えておるか、新一。あの日の事を」

コナン「忘れるハズがねぇだろ。あの日……。俺達が全てを失ったあの日……。そして、アンタの人形として生きる事を余儀なくされたあの日を……」

阿笠「そう。しかもそれは避けえたハズじゃった。お前が哀君と愛し合っていなければな」

コナン「……やめろ」

阿笠「全てに決着を付けられるチャンスはあったのに、お前は」

コナン「やめろぉぉぉおおおおお!!」ガシャーン!!

阿笠「ふふふ、いい顔じゃのう。それが見たくて呼んだんじゃよ」ニヤッ

コナン「ハァ、ハァ、ハァ……」ギロッ

阿笠「殺気立った目じゃのう。じゃがワシに逆えん事は自分が1番良く分かっておるじゃろう?」ニヤッ

コナン「……ぐっ」

阿笠「いや、資格が無いと言うべきかのう。お前には」

コナン「やめてくれ、頼むから……」

阿笠「何せ新一。お前は裏切り者じゃからな。哀君可愛さに全てを裏切った。無論哀君もじゃがな。お前さん達はあの日、恋人可愛さに全てを裏切ったんじゃからなぁ!」ニヤッ

コナン「やめて、やめて下さい、お願いします……」ガクッ

阿笠「そうやって最初から殊勝でおればいいものを。突っ張るからそうなるんじゃよ。お前はあの日から、ワシの物なんじゃから」

コナン「……」

阿笠「あの頃、まだワシの正体を知らずに組織を追っていた頃。幾度かの戦いの中でお前さんは哀君に惹かれていったのぉ」

コナン「……」

阿笠「哀君を守り、哀君と触れ合う内に知らず知らずお前は哀君を愛する様になっておった。そして、哀君もお前を愛しておった」

コナン「……」

阿笠「返事が無いのう、どうなんじゃ?」

コナン「……はい」

阿笠「それは、すぐワシにも分かった。それを知ったワシは、お前さん達の愛情を利用させてもらった。邪魔な物を処理するためにのう」ニヤッ

コナン「っ……」

阿笠「あの時、ワシはお前さん達に正体を明かした。あの時の顔ったら無かったのぉ!今まで追い続けた敵が身近におったと知った時のお前さん達のあの顔は!」

コナン「……」ギリッ

本日はここまで、明日更新予定です。
酉#付け忘れたので変更します。

阿笠「当然、最初はお前も信じられんと言った顔じゃった。平静を保とうとして、冗談はよせと笑っとった。じゃが、組織の長で無ければ分からん事実を話す内にその顔から笑みは消えた」

コナン「......あの時、アンタの口からあの言葉を聞くまでは信じられ無かった。アンタがボスだなんて。だってそうだろ?ガキの頃から俺を可愛がってくれた......。辛い時いつも助けてくれたアンタが、組織のボスとは信じられ無かった。信じたくなかった」

阿笠「......」

コナン「でも、あの時アンタの口から聞いちまった。組織のボスにつけられているコードネームを......。ベルモットが教えてくれた、組織の中でもベルモットとアンタしか知らない筈のコードネームを......アンタの口から聞いた瞬間、目の前が真っ暗になっちまったよ。ウソじゃねぇんだってな」

阿笠「ああ、あの瞬間お前の顔からはにじみ出とったのぉ。絶望が。あれは美しかったわい」ニヤッ

コナン「当たり前だろ。1番信頼してたと言っても良い人間が、1番の敵だったんだから......。随分皮肉めいたコードネームをつけてくれたとも思ったよ。コードネーム【ディオニューソス】。神話の酒の神......。酒の名前で呼び会う連中のトップらしいとは思ったけどさ......」

阿笠「......」

コナン「その名前の通りに、俺も、みんなも酔わされて騙されてたと思うと......。尚更やりきれなくなったよ」

阿笠「ああ、あの時もそんな事を言っとったの。そして怒り狂ってワシに攻撃をしようとした。じゃからワシは言いはなった。【ワシに危害を加えれば、即座にお前の関係者を皆この世から消してやる】と」ニヤッ

コナン「......」

阿笠「お前はその言葉で硬直した。そして、躊躇うお前達にこう言った。【お前の関係者を消したのち、お前達のどちらかだけを殺す】と」

コナン「......っ」ブルブル

阿笠「あの瞬間、お前と哀君からは完全に抵抗の2文字が消えたのう!おそらく最初の言葉だけなら刺し違えるつもりで攻撃して来たかも知れん。じゃが、片方だけを殺すと言った瞬間にその思いは雲散霧消した!」

コナン「それは......っ」

阿笠「片方だけ残されたく無かった。離れたく無かったんじゃろ?2人で一緒に逝けるならまだしも、片方だけ残されたく無かった。お前さん達にとっては、仲間の命以上に2人でいたいと言う思いの方が強かった」ニヤッ

遅くなってしまい申し訳ありません。
今日の夜には、なるべくラスト近くまで進めたいと思います。

コナン「お、俺は......っ!俺は!」

阿笠「別にムキにならんで良いわい。お前達の愛情の強さを知っているからこそああいう手段を取ったのじゃから」ニヤッ

コナン「......」ガタガタ

阿笠「どうしたんじゃ?思い出してしもうたか?その後の事を」ニヤッ

コナン「言わないでくれ......っ!頼むから」

阿笠「いやいや、良い思い出じゃあないか。あの日は」ニヤッ

コナン「......」ガタガタ

阿笠「抵抗を諦めたお前達にワシはある条件を出した。ワシの言う事さえ聞けば命を助け、その後の生活も安堵するとな。嫌がるかと思うたがすんなり聞き入れたもんじゃったの」

コナン「他に......。選択肢は無かったろ......」

阿笠「まあそうじゃのぉ。そしてワシはお前達にある情報をFBIの連中に渡させた。組織の本拠地と組織のボスに関する情報をな」ニヤッ

コナン「......」ガタガタ

阿笠「まあ、ワシの情報に関してはデタラメじゃったがの。多少真贋怪しくてもお前に対するFBIの信頼は絶大じゃ。奴等は食いついた」ニヤッ

コナン「誰1人......。疑わなかった。みんな俺を......俺をっ!!」

阿笠「ふふふ......。そしてワシは組織の幹部連中にも、FBIが攻めて来ることをリークして本拠地で向かえ撃つよう指示した」ニヤッ

コナン「う、うぅっ」ガタガタ

阿笠「そしてあの日......。ワシの演出した偽りの最終決戦に奴等は集まった」ニヤッ

コナン「うぐっ!」ガクンッ

阿笠「ん?思い出して苦しくなったか?まあ無理もないのぉ何せお前の裏切りの記憶じゃからの」ニヤッ

コナン「ハァ、ハァ......」

阿笠「FBIと組織の連中が良い感じにドンパチして膠着状態に陥った頃合いを見計らいワシはお前達を退避させた。そして......ドカーン!!」ニヤッ

コナン「うぅっ!」ガクガク

阿笠「いやあ、キレイな花火じゃった。惚れ惚れするほどのお!何せ邪魔な物が全部吹き飛んだんじゃからの!お前達の協力のおかげでな!」ニヤッ

コナン「うわああぁぁっ!!」ガクガク

阿笠「あの時、FBIに事の真相を伝えておれば皆助かったのかも知れんのにのぅ!哀君可愛さに皆を見殺しにしおって!じゃがワシはおかげで気分サッパリじゃよ」ニヤッ

コナン「な、何でなんだよ......」ハァ,ハァ

阿笠「ん?」

コナン「FBIを処分したかったのは分かるよ。な、何で組織の連中まであの時......」

阿笠「おやおや、そんな事を気にする余裕があったとはの。 何でって邪魔じゃったからのぉ」

コナン「......邪魔?」ハァ,ハァ

阿笠「あの組織は確かに便利じゃったよ。研究と金の為にはの。じゃがいかんせん大きくなりすぎての。言う事を聞かんものや余りに自分の欲求で動く者が増えすぎた。ベルモットやバーボンの様に独自の意思を優先したりする者、アイリッシュの馬鹿者の様に命令に背く者、ジンの様に自分を過信し過ぎてつけ込まれる者やらのう。でかくなりすぎたんじゃよ。あの組織は」



阿笠「ま、ワシにとっては黒の組織なんぞ数ある駒の1つに過ぎんのでな。邪魔な物はまとめて処理したまでの事じゃわい」ニヤッ

コナン「......だから他のみんなも殺したのかよ」

阿笠「他の?ああ、本堂やら服部やらの事かの?失礼じゃのう。行方不明じゃろ?行方不明。ワシは知らんぞ」ニヤッ

コナン「嘘つくなよ......。別に逆らったりしねーから.......教えてくれよ......」

阿笠「んー?じゃが知らんぞ?人体実験に使った中にそんな名前があったかもしれんがな」ニヤッ

コナン「っ!!じゃあ世良達も......」

阿笠「おいおい、ワシは女の子をホイホイ殺す気はないぞい。生きとるよ。まあ、あれも色々やり過ぎてもう人とは呼べんがの」ニヤッ

コナン「......FBIを殺して日本警察の関係者が生きてるのは何故だよ?」

阿笠「何じゃ何じゃ、事件から日が立つと疑問が気になるか?まあ無理もないのう。あの日からしばらくは思考停止状態じゃったからの。簡単な事じゃ、日本警察なんぞワシの手の内じゃからの。FBIにもワシの息はかかっとるが、全て思い通りではないのでな。始末した連中はそういう奴等じゃよ」ニヤッ

コナン「......父さんを」

阿笠「ん?」

コナン「父さんを殺したのも、アンタなんだろ?」

阿笠「ああ、あれは不幸な事故じゃったの。優秀すきたが故に、のぅ」ニヤッ

コナン「テメェ......」ギリッ

阿笠「なんじゃなんじゃ。事故じゃと言うておるじゃろ。まあ良いじゃないか。ワシに害を及ぼす危険も無さそうな人間は生きとるんじゃから。毛利一家やお前さんのお母さん、学校関係者なんかはの」ニヤッ

コナン「......」ギリッ

阿笠「そんな顔をするでない新一。大体そんな顔は出来んじゃろ?ワシらは共犯なんじゃからな」ニヤッ

1つだけミツヒコ関係あるのか?

本日はちょっと用事で書けなくなりましたので、明日再開します。

>>123
一応、全部繋がります。
大風呂敷を広げすぎましたが(笑)

黒の組織のメンバーは全滅と言うことでいいのん?

>>125
黒の組織に関しては全滅と言う事でOKです。
但し、ベルモット、キール及びジョディ先生は「行方不明」です。

コナン「くっ......」ギリッ

阿笠「ま、こうして後ろ立てを無くしたお前達はワシの庇護を受けて今を生きる事になったと言う事じゃな」ニヤッ

コナン「庇護?モルモットを観察の間違いじゃねーのか」

阿笠「まあ、そうとも言うかの」ニヤッ

コナン「何故......」

阿笠「ん?」

コナン「何故俺達は生かされた?」

阿笠「それは......。お前達が可愛いからじゃよ」

コナン「は?」

阿笠「いくらワシが組織のボスじゃと言うても、昔から付き合いのあるお前は可愛い。そして、一緒に住んでいる哀君もな。ワシはな、平穏も欲しいんじゃよ。お前達はワシに取って実験サンプルである事は間違いない。APTX4869やのな。じゃが子供の様に感じておるのもまた然りじゃ」

コナン「なら何故、俺を未だに毛利探偵事務所に住ませるんだ?もう俺はコナンとしてあそこにいる必要も無いんだ。可愛いからとか言うなら何故あそこに住む様に命令する?」

阿笠「それはお前さんへのちょっとした罰じゃ」

コナン「罰?」

阿笠「さよう。お前達の事は確かに可愛いが、ワシは蘭君も可愛いからの。まあ、哀君を選んだ事を責めはせんが、蘭君を捨てて哀君を選んだお前へのちょっとした罰じゃ。別れた女と暮らし続けると言うな」ニヤッ

コナン「何が罰だよ。知ってんだぜ?アンタは俺が灰原を好きになる前から蘭に変声機で俺の声を使い、別れ話をして揺さぶったり。男を送り込んで揺れる蘭の心につけ込みそっちに靡かせたり」

阿笠「......」

コナン「別れはあっちから告げられた。全部アンタが仕組んだんじゃねーか」

阿笠「そうじゃったかのぉ?いやはや、歳じゃから記憶が......」

コナン(何が可愛いから、だよ。テメーは俺達を弄んで楽しんでるだけじゃねーか。まあ、蘭に捨てられなくても......。灰原を好きになるのは間違いなかったけどな......)

一目連(ふぅん。何だか随分ヘビーな話だな。だが、まだこれじゃあコイツらの事情は知れても......。何故あの坊やがやられてたのか分からないが......)

阿笠「ま、ともかくお前は黙ってワシの言う通り生きれば良いんじゃよ。毛利探偵事務所で暮らす事以外は何も強制しとらんじゃろ?探偵団のみんなやワシと一緒に平穏に生きれば良いんじゃよ」ニヤッ

コナン「良く言うぜ。なら何であんな物を作った?」

阿笠「あんな物?」

コナン「とぼけんなよ。アンタが作った......。この町の人間を操ってる装置だよ」

皆さんありがとうございます。
再開します。

一目連(何?ひょっとしてそれが......?)

阿笠「ああ、あれか。素晴らしいじゃろ?何せ、指定した範囲の人間の思考を意のままに、しかも操られている自覚の無いままコントロール出来るんじゃからな」

コナン「それは聞いた。俺が聞きたいのは、何故あれを作ったのかって事だ」

阿笠「何故?それは......ワシが神になるためじゃよ」

コナン「......は?」

阿笠「ワシの目的......。それは人類を統治する事じゃ。その為にはまずワシが統治者としてふさわしい力を得る必要があった」

コナン「悪役お決まりの台詞だな。愚かな人類を自分が管理するってか?」

阿笠「そんな事は言うておらん。じゃがより良い方向に導く為の道標は必要じゃ。ワシはそういう存在になるのじゃよ」

コナン「大きく出たな。大言吐く奴は早死にするのが相場だぜ?博士」

阿笠「いいや、ワシは死なんよ。ワシは永遠に生き続け、人類を導く義務がある。その為にワシはまず不老不死の研究を始めた」

コナン「その課程で出来たのが、APTX4869って訳か......」

阿笠「さよう。そして、その研究資金の為、そして世界を覆す権力を得る為に黒の組織を始めとする組織を作った」

コナン「やりようは幾らでもあったんじゃないのか?何故犯罪組織である必要があったんだよ?」

阿笠「表だって支配出来るような物など、大した物は無い。影たる者こそ真に世界を支配し得るのじゃよ」

コナン「本当に......神気取りだな」

阿笠「神気取りではない。神そのものじゃ。富、権力、研究機関を手に入れた今、後は人類を統治する為の研究を進める時なのじゃよ」ニヤッ

コナン「で?その大層な研究を何故光彦をいじめる為なんかに使うんだ?言ってる事は大層なもんだが、やってる事は悪用そのものだろ?」

阿笠「おいおい、ワシはきちんと目的があって、それに相応しい人間じゃから光彦君を選んだんじゃよ」

コナン「目的?」

阿笠「ワシは人間の持つ加虐性と攻撃性、そして他者から攻撃を加えられた人間の精神状態の研究をしたかった。人間の持つ攻撃性を理解しコントロールする事が、人類の統治には不可欠じゃからな」

コナン「それで......光彦をいじめる環境を作ったのか?」

阿笠「さよう。被験者側の人間は純粋な感情を持っていることが望ましい。より自然で純粋なデータが取れるからの。それには大人より子供が良い。大人はどうしてもスレたのが多いからの。そこで、身近な子供から光彦君を選んだんじゃよ」

コナン「子供で良いんなら、歩美や元太じゃダメだったのか?」

阿笠「いかんな。歩美君は純粋じゃがやはり女の子。どうしても男よりは打たれ弱い。サンプルにはなるべく長く実験を受けて貰わねば」

コナン「だから、元太は?」

阿笠「元太君?論外じゃの。知性が足りなすぎるわい」

コナン「知性?それが必要だったってのか?」

阿笠「さよう。光彦君はあの年齢からすればとても頭が良い。知性がある。それは即ち、他者から理不尽な攻撃を受けた時に悩む事が出来ると言う事じゃ。ましてや友達思いの彼が理不尽に悩み、苦しみ、活路を見出だそうとしては潰される。その絶望こそ、最高のデータだとは思わんか?」ニヤッ

コナン「悪趣味過ぎるぜ。悪趣味を通り越してある意味感心しちまうよ」

阿笠「何を言う。そもそもお前に悪趣味と言う資格はないぞい」

コナン「それは......」

阿笠「ワシの装置の力は確かに強い。だが、お前程の精神力があれば支配を脱する事が出来る筈じゃ。他者からの支配に人がどこまで抗えるかと言うのも、この実験のテーマじゃからな。じゃがお前は抗うどころかワシの装置の支配を受け入れ、快楽のままに光彦君をいじめておるじゃあないか」ニヤッ

コナン「っ......!それは!」

阿笠「従わないと哀君に危害を加えられるから、か?いずれにせよ友達を裏切っとる事に変わりは無いわい」ニヤッ

コナン「......」

阿笠「第一、町の人間達には光彦君を攻撃する事に快感を感じ、光彦君に対する行為に関する善悪の倫理観を無くすようにプログラムしておる。じゃが、大事なサンプルを死なせないようにバランスを調整しておるじゃろ?」

コナン「どの......辺りがだよ」

阿笠「生命活動を失わせぬ様に、食事や排泄などはなるべく妨害せんように。生命の危険の際は全力で救うようにしとるじゃろ?」ニヤッ

コナン(ああ、そうかもな。だからあの時救急車を呼んでって先生が言ったらみんなして電話しだしたんだ。最も、元太のあの行為を生命の危険と認識出来ないんじゃあな。結局あの装置も不完全なのか。或いは、全力で救うってのはあくまでも医療に関してって事なのか......)

阿笠「どうじゃ?実験サンプルに対しても思い遣りを忘れとらんじゃろ?」ニヤッ

コナン「でも、今光彦死にかけだぜ」

阿笠「......何?」ピクッ

コナン「(いずれ判るからな。だが、本当の理由は伏せて......)元太の奴があまりに何でか知らねーけど興奮してさ。多分アンタの装置の制御越えちまったんじゃねーかな?それで光彦はボッコボコ。病院送りさ」

阿笠「ふむ......。まあ、命は医師が全力で救うじゃろうが。装置の調整が必要じゃな。全く。色んな意味で使えんのう、元太君は」ハァ

コナン「(それに関しては同感だが)どうすんだよ?この先もアンタの予測を越えちまって光彦が死ぬ事態になったら?」

阿笠「まあ、それはそれで構わんわい!ワシの研究の礎となれるなら本望じゃろ!」ニヤッ

コナン「結局、みんなアンタの駒だってか」

阿笠「そうじゃよ。お前も哀君も......皆ワシの可愛い人形じゃよ!グハハハハ!」

コナン「......」

一目連(何てこった。まさかそんな事情が有ろうとはな。しかしあの博士......。あの禍々しさはまるで妖怪......。いや、それ以上だ)

阿笠「どうじゃ新一?今日は随分食って掛かって来たが、疑問は解決したかの?」ニヤッ

コナン「ああ、ありがとう博士。お陰で納得したよ。表向きの理由はな」

阿笠「......何?」ピクッ

コナン「本当は違うんだろ?俺達を生かした理由も、光彦を痛めつけるのも。この一連の事件の背景には......。真の理由がある。違うか?」

阿笠「何を......言うておる?」

一目連(真の理由?まだ何かあるのか?)

コナン「表情が曇ったな、博士」

阿笠「っ!ハ、ハハ!何を言うておるんじゃ新一!ワシが話した以上に何があると言うんじゃ?」

コナン「俺は......。あの日、みんなを見殺しにしたあの日から疑問に思ってた。何故わざわざアンタは俺達に正体を明かしたのか」

阿笠「じゃから言うておるじゃろ?お前達の感情を利用して......」

コナン「いや、人間を冷徹に駒のように扱うアンタが、感情なんて不確かなモノに頼った計画を立てるとは思えない」

阿笠「じゃからそれは......」

コナン「他にも疑問に思う事はたくさんあったんだ。俺はあの日のショックから少しずつ立ち直り、その疑問を解消する為に考えを精査していった。そして、1つの結論に達した」

阿笠「結論、じゃと?」

コナン「ああ。その結論が正しいなら、全ての疑問点に納得が行く。アンタが今話した、表向きの理由と併せてな」

阿笠「ほう。それを明かしてどうする気じゃ?ワシに反旗を翻そうとでも?」

コナン「勘違いしないでくれよ。アンタに逆らう気は無いさ。俺の性格、知ってるだろ?疑問に思った事は答えを、真実を知りたい。それだけなんだよ」

阿笠「......良いじゃろう。聞いて見ようじゃないか。お前の見出だした真実とやらをな。じゃが、妙な真似はせん事じゃ」ニヤッ

コナン「しないさ(そう、表だってはな。これはテメーへの反撃の......細やかな第一歩だ)」

米花総合病院。病室。

光彦「......」スースー......

曽根「......痛々しい姿だねぇ。それで先生、結果は?」

医師「かなり手酷く殴られていましたが、命に別状はありません。ただ、歯や骨が何本か折れています。頬骨や肋骨などですね」

曽根「そう......。いつ目覚めそうですか?」

医師「何とも言えません。かなりのダメージを負ってますから。起きたとしても、身体が回復するまでは長時間覚醒するのは難しいでしょう。意識を取り戻してはすぐ気を失う。そんな感じだと思います」

曽根「そうですか。ありがとうございます」

医師「いえ、この患者は死なせてはいけないので」

曽根「え?」

医師「では、何かありましたら呼んでください」サッ

曽根「随分機械的だね。それに、死なせる訳にいかないって何なんだい?」

光彦「......う」ピクッ

曽根「あっ!光彦君、聞こえるかい?目が覚めたのかい?」

光彦「......ここは?」

曽根「良かった......。ここは病院だよ。アタシが誰かわかる?」

光彦「......せん、せい?」

曽根「そうだよ。何があったか覚えてる?」

光彦「思い......出せません。いきなり......何かに殴られたような......気が......うっ」

曽根「無理して思い出さなくて良いよ。今は休みな」

光彦「はい......。先生」

曽根「何だい?」

光彦「何故......僕は......助かってしまったんでしょう」

曽根「!」

光彦「もう......誰かに嫌われるのも......嫌だ......。誰かを......怨みたくも......無いの、に......」ガクッ

曽根「ちょ、アンタ!大丈夫かい?」

光彦「......」スースー......

曽根「そっか、また寝ちまったんだね」

光彦「......」スースー......

曽根「誰かを怨みたく無い、か。この場でそのセリフを言えるアンタは偉いよ。でも、人間それが一番難しいのさ。だから......アタシ達がいるのさ」

光彦「......」スースー......

曽根「さて、一応学校と家族に連絡しないとね。どうせ無反応なんだろうけどねぇ」スッ

スタスタ......パタンッ

光彦「......」

あい「......」

光彦「......」

あい「......流れは、止まらないわ」フッ

阿笠宅、灰原哀の部屋。

灰原「工藤君、今頃博士と......。お願いだから、無茶だけはしないで......。あの時......」

少し前、2人が帰宅する前。

コナン「もう少しで着くな」

灰原「ええ......。ごめんなさい、工藤君」

コナン「何だよ、急に?どうした?」ニッ

灰原「あなたをこうしてまた博士の家に......。きっとまた辛い目に合うのに」

コナン「何言ってんだよ、大丈夫さ」

灰原「でも......。またあなたを苦しめると思うと......。私、私......」グスッ

コナン「泣くなよ、オメーが泣くと俺まで悲しくなっちまう。俺があのジジイにちょっと痛ぶられる位でオメーを守れるなら、安いもんさ」ニッ

灰原「工藤君......。ありがとう。でも、1つ分かって欲しいの。私は自分が傷付きたくないから博士の所に行って欲しいんじゃないの。博士に逆らってあなたがもっと酷い目にあったらと思うと......」ギュッ

コナン「バーロ、辛いのはお互い様だろ?俺の心配しねーで、自分の気持ちを楽にさせてやれよ」ニッ

灰原「あなただって、私の心配してるじゃない」クスッ

コナン「ま、それもそうだな。なあ灰原。俺は今日、1つ博士に聞いて見ようと思う事があるんだ」

灰原「えっ?」

コナン「恐らく博士は今日もまた、俺のトラウマを抉って痛めつけようとするだろう。その優越感につけ込んで、聞いてみたい事がある」

灰原「それって......一体?」

コナン「真実、さ。今更知っても仕方無いかも知れない。だが、聞かなきゃならない。俺が博士に反旗を翻す、その第一歩として」

灰原「で、でも......。もしそれで博士の機嫌を損ねたら、あなたが」

コナン「大丈夫。俺の考えが正しければ、何があっても......少なくとも殺される事はない。いや、博士は俺達を殺せない、と言うべきかな」

灰原「どういう事?」

コナン「ま、今は憶測に過ぎない。全てを聞く事が出来たら、さっき言おうとした事も含めて全部話すよ。だから、心配しないでくれ」

灰原「でも、でも......」

コナン「まあ、とりあえず無事博士と話し終えたら、キスの1つもしてもらうかな」ニカッ

灰原「......バカね」チュッ

コナン「っと」ドキッ

灰原「そんなの、いつでもしてあげるわよ」クスッ

コナン「ハハ、その余裕ある感じの方が灰原らしいぜ。信じて、待っててくれよな」

灰原「ええ......。分かったわ。でも、無理はしないでね」

コナン「ああ。約束するよ」

現在。

灰原「あの時は、あなたが励ましてくれたからつい良いと言ってしまったけど......。やっぱり心配だわ......」ボソッ

灰原(あなたはいつもそう。あの日だって、あなたは身を切られる程辛かったはずなのに。私を守る為に全てを投げうってくれた。いいえ。あの日からの全てが、あなたには辛かったはずよ)

灰原(私は、あなたから離れたくないあまりに怯える事しか出来なかったのに。あなたは全てを背負って私を......)

灰原(お願い、工藤君。もう無理をしないで。私はあなたといられるならそれで良いの。例えどれだけの罪にまみれても、永遠に博士の支配を受ける日々だとしても......)

灰原(あなたがいてくれるなら、例え地獄でも構わない。だから......。これ以上辛い思いを重ね無いで......)グスッ

阿笠博士宅、ホール。

阿笠「それでは、聞かせてもらうかの。ワシが話した事以上の話とやらを」

コナン「ああ。まずは......。根源的に、何故アンタが俺達を生かしたのかから行こうか」

阿笠「ほう?お前達がワシにとって可愛い子供同然であり、かつ貴重な実験サンプルだからと言うのでは不満か?」

コナン「いや。だが、それはアンタの本当の目的に付随するオマケ見たいなもんだろ?」

阿笠「何?」

コナン「思い返して見れば......。これまでのアンタの行動は全ておかしかった。何故アンタは一番始めに俺を......。縮んだ俺を工藤新一と信じたのか。俺の正体を知りながら、何故俺に普通の生活をさせていたのか?」

阿笠「......」

コナン「何故灰原の正体を知りながらそのままにしておいたのか、何故、何故、何故......。疑問は尽きなかった。でも、ある時1つの考えが浮かんだ」

阿笠「考え?」

コナン「ああ。その考えに達した時......。今まで見えなかったモノが見えた気がしたんだ。そう、これまでの全ては......」キラッ

阿笠「!」

コナン「全て......。アンタに決められた運命だったんだ」

阿笠「全て、じゃと?その言いぐさだと、お前がコナンになる事も決まっていたと言う事かの?」

コナン「そうだ」

阿笠「ホッホッホッ!冗談はよさんか新一!いくらワシが神様に近いと言っても、何でも上手く行く訳じゃないぞい!大体、ワシが組織のボスだからと言って、あの日都合良くお前に取引を見させて薬を飲ませ、体を縮める事まで仕組んだと言うのか?」

コナン「いや、確かにあの日俺が縮んだのはアンタにとってはイレギュラーだったろう」

阿笠「じゃろう?」

コナン「だが、俺が縮む事は決まっていた。正確に言うなら、【APTX4869を飲んで若返る事は決まっていた】んだ」

阿笠「......!」ピクッ

コナン「図星、みてーだな」

阿笠「......」

コナン「ついでに言うなら、灰原が縮む事も決まっていた。アンタの正規のルートじゃなかったんだろうけどな」

阿笠「ふ、ふははは!バカな事を!一体何の目的があってお前達を縮める必要があるんじゃ?」

コナン「選ばれたからだ。アンタの計画の締めとして」

阿笠「何......じゃと?」

コナン「いや、アンタのと言うより......。アンタの前任者の計画と言う事かな」

阿笠「前任者じゃと?何の話をしておる?」

コナン「言葉通りの意味さ。この話の始まりはアンタが考えた物じゃない。もっとずっと前......。【阿笠博士】が生まれる前から動いていたんだ」

阿笠「引っ掛かる言い方じゃな。今までアンタと呼んでいたワシを阿笠博士と言い直すとは。まるでワシが阿笠とは別の人間のような言い方じゃあないか」

コナン「ああ。そうだ。アンタは阿笠博士じゃない」

阿笠「何?」

コナン「いや、正確に言うなら阿笠博士であって阿笠博士では無い存在。ある男の怨念が生み出したモノだ」

阿笠「ええい!御託は良いわい!ワシが阿笠で無いなら誰だと言うんじゃ!」ギロッ

コナン「アンタは......。黒の組織の本当の黒幕。俺達のトラブルの根源......。そう、アンタの正体は......【烏丸蓮耶】だ」

阿笠「......ふ、ふ、ふははは!何を言い出すかと思えば!烏丸蓮耶じゃと?気でも違ったか新一?半世紀近くも前に死んだ人間とワシがどう繋がるんじゃ?お前もそれは黄昏の館の件で知っておるじゃろ?」

コナン「ああ、確かに烏丸蓮耶は半世紀近くも前に死んだと言われてる。表向きにはな」

阿笠「......」ピクッ

コナン「だが、裏では生きていたんだ。そして、金と人を使ってある研究を進めさせていた」

阿笠「ある研究......じゃと?」

コナン「自分で言ってたろう?不老不死の研究だよ」

阿笠「ふん。確かに不老不死の研究はしとる。じゃが新一よ。仮に、仮にじゃぞ?ワシが烏丸蓮耶だとして、不老不死の研究が進んでいたとしてもじゃ。ワシの容姿と烏丸は全く違うと思うぞい?何なら、烏丸一族の誰かとDNA鑑定でも知てみるか?きっと合わんぞい」

コナン「確かに、アンタは肉体的には烏丸蓮耶とは関係無い。だが、烏丸蓮耶は違う意味で不死になる研究を実用までこぎ着けたんだ」

阿笠「違う意味で、じゃと?」

コナン「擬似的に不死になる研究、とでも言うべきかな?体は残らずとも、その人間の存在を残す事の出来る技術」

阿笠「体は残らずとも?クローンと言う事か?」

コナン「いや、似ているようで違う。アンタの使ったのは言わば記憶のクローン。そう、人間の記憶を電子的データにして他人の脳に焼き付ける......」

阿笠「......!」

コナン「そう、【記憶の人間ダウンロード理論】さ。つまり、アンタは......阿笠博士の体に烏丸蓮耶の記憶を焼き付けた、いわば烏丸蓮耶の......分身だ」

中断します。
本日夜再開予定です。

阿笠「き、貴様......」プルプル

コナン「どうした?顔色が悪いぜ」

一目連(凄まじい話だな......。人間はやはりこの世で1番怖いモノかもな)

阿笠「おかしい、おかしいわい!」

コナン「は?」

阿笠「ワシに違和感を抱くと言うだけなら分かる。じゃが......普通に考えた所で、ワシが烏丸蓮耶だ等と言う発想に至るハズが無いわ!」

コナン「......」

阿笠「さては......あの男が調べていたのか?」

コナン「あの男?」

阿笠「とぼけるでないわ!あの和装に帽子を被ったハゲ頭のジジイじゃ!あやつは貴様が雇った諜報員では無いのか!」

一目連(おいおい、それって輪入道の事か?)

コナン「だから、誰の話だよ?」

阿笠「しらばっくれるでない、新一。素直に吐くならば許してやらんでも無いぞ?貴様1人でそんな発想に至るなどあり得るハズが......」

コナン「何を勘違いしてるかは分からないが、俺がその発想に辿り着いたのは確かに......。俺だけの力じゃない。俺を導いてくれたのは、赤井さんの赤井さんのおかげさ」

阿笠「何じゃと?」

コナン「赤井さんはあの日、何かを悟ったのか俺に手帳を手渡した。そして、こう言い遺した。「俺に何かあれば、君がこれを使って真実に辿り着いてくれ」と」

阿笠「な、何ぃ!?」

コナン「あの人は......きっと俺の背景も分かっていたと思う。でも、こんな裏切り者の俺を信じて情報を託してくれたんだ。そこには、組織の背景にはちらほら【烏丸蓮耶】と言うワードが絡む事、【烏丸蓮耶】の足取りを追う内に、僅かながら不老不死や人間ダウンロード理論に関する足跡が見つかった事なんかが書いてあったよ」

阿笠「お、おのれ......赤井!死してなおワシを苛立たせるか!」プルプル

赤井さんの赤井さん(意味深)

>>154
あの部分ダブりました、申し訳ありません......。

皆さんありがとうございます。
今日1日不定期に投稿します。

コナン「怒り心頭だな。それはイエスと受け取っていいんだよな?アンタが阿笠博士では無いっていうさ」

阿笠「......!」

コナン「正直、アンタがボスだと知った時以上にショックだったよ。この結論に辿り着いた時はさ。それからは次から次と浮かんで来ちまったよ。考えたくも無いのに、アンタのしようとしてる事がさ」

阿笠「ワシの......しようとしておる事じゃと?」

コナン「ああ。恐らくアンタは......。力や金などの権力や支配欲、自らが生き続けたいと願う欲求がずば抜けて人より強い。だがその分、安らぎや平穏も欲しかったんじゃないかな」

阿笠「!」

コナン「アンタは、永遠に生き人類を支配したいと言う欲求と共に、普通の人生も生きたかったんだ。権力者にはありがちな発想だけどな」

阿笠「ワシが、そんなつまらぬモノを欲していたと言うのか?このワシが、神が!」

コナン「だから、だろ。特別になりすぎたアンタは、望んでも届かない【普通】を欲していた。でも、結局今の自分のままではそれは叶わない。【人間ダウンロード理論】をアンタが選んだのは、それも一因だろ?他人になって人生をやり直したいとアンタは思ったんだ」

阿笠「く、下らん......!ワシはそんな事は......!」

コナン「アンタが阿笠博士を選んだのが、何よりの証拠じゃないか」

阿笠「何?」ピクッ

コナン「世間から離れ不老不死の研究を進めさせていたアンタだったが、なかなか完全に不死になれる結果など出やしない。だが命の残り時間は過ぎて無くなっていく。焦ったろうな、アンタは。だから、せめて己の存在を残すために別のアプローチを取った」

阿笠「......」

コナン「人に自分の記憶を焼き付けるなんて、非人道的手段をな。まあアンタにしてみれば烏丸蓮耶と言う人間を存続させ続け、他人になって人生をやり直せるんだから、一石二鳥だったかもな。で、いざ他人になるならどうするか、アンタは考えた」

阿笠「......」

コナン「どうせ他人になるなら、自分も科学者になろうと。不老不死の研究を自分でも進める為にな。そして、平穏も欲しいアンタは優秀だが世間からはあまり認知されてない人間をピックアップした。その中に、博士がいたってワケだ」

阿笠「......」

コナン「アンタはピックアップした人間を呼び寄せた。研究を手伝って欲しいとか何とか言って、人を集め、最終的に自分の目で判断した阿笠博士に自分のデータを移した。こうして、今までの博士は死に、そして......」

阿笠「今のワシになった、と?」

コナン「そういう事。ここまで、間違ってたかよ?」

阿笠「......グ、グフフ」

コナン「!」

阿笠「アーッハッハハハ!いやはや参ったわい!まさかこんな若造にそこまで見抜かれるとはのう!」

コナン「じゃあ、やっぱりアンタは......」

阿笠「ああ。ワシは......。烏丸蓮耶に相違無いわい」ニヤッ

コナン「そうか、やっぱりな......」

阿笠「全く。優作君ですら掴めなんだワシの正体をお前が探り当ててしまうとは。大したもんじゃ」ニヤッ

コナン「やはり父さんを殺したのは、アンタの正体を探ってたからなのか......?」

阿笠「いやいや。あれは本当に事故じゃよ。ワシは彼を説得して、ワシの右腕として働いて欲しかった。じゃが、逃げられてしもうてな。追跡中事故でな。いやはや。惜しいことをしたもんじゃ」

コナン「右腕としてじゃなく、ボスとしてじゃないのか?」

阿笠「ん?」

コナン「アンタは、父さんを次の体にするつもりだったんじゃないのかと聞いてるんだよ」キラッ

阿笠「ほう!なるほど、全部お見通しと言うワケか?」

コナン「アンタが阿笠博士を選んだのは、さっき言った理由に加えてもう1つ......。父さんと言う優秀な人間が知り合いにいたから。アンタに何かあった時のスペアがいたから。だろ?」

阿笠「フフフ、新一は鋭いのぉ。なら分かっておるじゃろ?お前は何故生かされたのか」

コナン「ああ。父さんはあくまでアンタの予備。本命は俺だったんだろ?アンタの記憶をダウンロードし、不老不死の研究を持ってこの世を支配する為の体。それが......俺だ」

阿笠「正解、正解じゃよ新一!その通りじゃよ!いやはや聡明な子に育ってくれたわい!それでこそワシの新たな体に相応しいわい!」

コナン「......なあ、1つ聞きたいんだけど」

阿笠「何じゃ?ここまで来た以上、何でも答えるぞい!」ニヤッ

コナン「アンタが烏丸になったのは、俺が生まれる前なのか?生まれた後なのか?」

阿笠「フフフ、それはつまり......。お前が子供の頃から接してきた人間が、阿笠なのかワシなのか知りたいのじゃな?」ニヤッ

コナン「ああ、そうだ」

阿笠「フフフ、正解は......後者じゃよ。ワシが烏丸蓮耶になったのは、お前が子供の頃。10年ほど前じゃ」ニヤッ

コナン「その頃まで、オリジナルのアンタは生きていたのか?」

阿笠「ああ、辛うじてな。じゃが流石に限界でな。お前の言う通り、人を集めて選んだ中におったのが阿笠じゃったわい」

皆さんありがとうございます。
ちょっと今日書けませんので、明日再開します。

明日には地獄勢を動かせると思います。

コナン(博士......)

阿笠「採用面接と言う名目で色々部下に聞き込みをさせて、ワシはモニターで見とったがの。見た目も実績もパッとせん男じゃったが、ある言葉でこやつにしようと決めたわい」ニヤッ

コナン「ある言葉?」

阿笠「家族の事を聞いた時にな。「自分は結婚はしていないが、子供の様に可愛がっている子供達がいる」とな。お前達の事じゃよ」ニヤッ

コナン「!」

阿笠「で、工藤優作を始めお前達を調べあげてな。これならワシの計画にピタリと思ったわい。阿笠に採用と伝えた時は喜んでおったのぉ。その後自分がダウンロードされると知った時は絶望に震え取ったがな」ニヤッ

コナン「ぐっ......」ギリッ

阿笠「まあ、後はこうしてお前の読み通り烏丸蓮耶は阿笠博士として新生したわけじゃな。お前は子供の頃からずっと黒の組織のボスと居た訳じゃ」ニヤッ

コナン「だからこそ、アンタは俺が縮んだのも信じた。元々そうしようと思ってたんだから、当然だよな。そして、アイツも......」

阿笠「ん?」

コナン「アンタが選んだのは、もう1人......。灰原も、だよな」

阿笠「ほう、そこも分かっておるか」ニヤッ

コナン「アンタはおそらく、次の体に移った後の伴侶とすべき人間も考えてた。あくまでも阿笠博士を選んだのは応急的な措置だし、いちいち人を選ぶよりも、後継者たる自分の子供を育ててそっちに入れ替わる方が楽だからな。自分の思い通りにもしやすいし。最初は俺の幼馴染って事で蘭を考えてたんじゃないかな。でも、その後蘭が気に入らなかったのか、組織にいた灰原に目が止まってそっちを気に入ったのかは知らねーが、灰原を俺の……。いや、アンタが乗り移った俺の伴侶にしようとした」

阿笠「フフフ……。全く、まるで見てきたかの様に言いよるのう」

一目連(全くだ。頭ん中でそこまで考えついてしまうとはな。俺と仕事変わってもらいたいくらいだぜ)

コナン「実際、そうなんだろ?」

阿笠「ああ、そうじゃよ。まあ、蘭君が嫌いという訳では無かったが……。どうにも粘着質じゃし、自分で何でも解決できるだけの力があるのに妙な所でバーーーローー、バーーーローー、とセンチになっては事態を悪化させることもしばしばじゃしのう。1人の友人としてならまだしも、自分の妻としてはちょっと考えられなかったわい。そこで、組織の人間の中を調べておった所に哀君……。いや、宮野志保君を見つけたというわけじゃよ」ニヤッ

一目連(宮野志保……。それがあの子の本当の名前か)

コナン「蘭を気に入らなかったのはアンタの嗜好だからそれはどうでもいいが、何故灰原を選んだ?」

阿笠「何故か、か?まずお前と歳が近い。そして将来不老不死の研究の大きな手助けとなりうる。じゃが何よりも……。直感じゃよ。平たく言えばワシは彼女に光るモノを感じたんじゃよ」ニヤッ

コナン「ようは年甲斐もなく惚れたってか?幼女趣味も甚だしいな」

阿笠「何を言うか。哀君が成長し、美しい女性になり立派に成長したお前と結ばれる。そこまでを想像したまでのことじゃよ」ニヤッ

コナン「そう、当初はスムーズにそうなるはずだったんだろうな。偶然を装ってアイツと俺を引き合わせ、関係を深めさせることも頭の中の青写真にあったんだろう。だが、その計画はひょんなことから狂った」

阿笠「まあのう。お前がジンに薬を飲まされたのも誤算じゃったが、彼女の姉が殺されてしまったのも、哀君があのタイミングで縮んでしまったのも誤算じゃったわい。組織の中を上手く見通せていなかったワシの失策じゃったわ。ちょうどお前がコナンとなった事にかかりっきりで上手く内部をコントロール出来なかったわい。それさえ無ければあんな面倒なことにはならなんだものを」チッ

コナン「だが、アンタはその誤算をも計画に組み入れた。俺も、俺を頼ってきた灰原も、運良く自分の手元に置くことが出来たしな。そして、当初の計画から変更して俺に工藤バーーーローーとしてでは無く、江戸川コナンとしての日常を構築させることにした。だから俺達に普通の生活をさせていたんだ。そして、組織と関わるのを止めようとしなかったのは……。俺達を危険の中に置くため。そうする事で、俺と灰原の絆が深まる事を目論んだんだ」

阿笠「その通り。事実お前は哀君に惹かれてくれたからの」ニヤッ

>>166
名前欄に間違ってsaga入れてました、申し訳ありません。

コナン「結局、アンタの思い通りになっちまったワケだ。かなりのリスクも負ったろうけどな。俺達が死んでしまう可能性もあったんだから。でも、そんな中で生まれた絆だからこそ揺らぐ事はない。アンタが俺に成り代わった時、疑いを持たれる事はあってもそれを追及するには至らない、いや出来ない。そう考えたんだろ?」

阿笠「その通りじゃよ。今のお前達程の絆ならば揺らぐ事はない。全く、素晴らしいわい!お前達の愛情は!だからこそ、お前にワシが成り代わっても哀君はワシを愛し続けるじゃろう!いや、それしか出来ないと言うべきかの!」ニヤッ

コナン「俺を度々呼び出して痛めつけるのも、その一環ってワケだ。自分を悪役とする事でその効果をより高めようとした。マジで悪魔じみた頭脳だよ。アンタは。だけど、いざ全てが上手くいくと、却って小さいものが目につく。それが光彦だった」

一目連(何?)

阿笠「......その通りじゃ」

コナン「アンタがここまでして造り上げた俺と灰原の関係。それにちょっかいを出す光彦がアンタには凄まじくうっとおしく感じた。夏の蚊の様にな。だからアンタはあの大層な発明を光彦を痛ぶる為にワザワザ使った」

阿笠「当たり前じゃ。お前達をここまで導くのにどれだけ苦労したか。それにちょっかいを出す者は例え子供と言えど容赦せんわい」

コナン「子供が抱く様な淡い好き嫌いの感情すら許さないってか。アンタの支配欲は......異常だぜ、実際」

阿笠「何を言うか!全てはワシの思い通りにならねばならんのだよ!お前はワシの身体となり、哀君はワシの嫁となる!それに手を出す輩はあの小僧の様になぶり殺しじゃ!先程は平静を装って見せたが、ワシの獲物を勝手に殺しかけた元太もただでは済まさん!」ニヤッ

コナン「歩美は何故無事なんだよ?俺に好意を抱いてるあの子は、アンタの計画の邪魔にならないのか?」

阿笠「歩美君は構わんよ。ワシは彼女は気にいっとるんじゃ」ニヤッ

コナン「そうか、歩美もまた灰原のスペアってワケか......」

阿笠「ククク......。じゃが新一よ?それを知ってどうなる?全てを知った所でお前に何が出来るんじゃ?」ニヤッ

コナン「......何も、出来ないさ」

阿笠「そうじゃ!所詮お前には何も出来ん!ワシの身体となるのをじっと待つしか無いのじゃよ!まあ心配するでない!すぐではないからの!お前が哀君と時を重ね幸せの絶頂に達した時にお前にダウンロードしてやるわい!ククク......ガハハハハ!!」

コナン「......」

一目連(まさか......こんな真相が隠されていたとはな......。正直理解が追い付かねぇ。だがこれで、事件の背景は大体分かった。後はお嬢達に合流するか)フッ

阿笠「ククク......。新一、今日はもう帰ってよいぞい。どうせ哀君とこの後会うんじゃろ?全く、わざわざ隣で会わんでもここで会えば良かろうに」

コナン「俺達の親兄弟や仲間の敵と同じ空間にいたいわけがねーだろ」

阿笠「まあ良いわい。しかし、あの男は何じゃったのかのう......?本当に知らんのか?」

コナン「知らねーよ。こっちが知りたいくらいだ」

阿笠「ふむ。まあ良かろう」

コナン(心当たりはあるがな。誰が教えるかよ)

阿笠「ああ、そうじゃ新一」ポチッ

コナン「なん......うわぁぁぁああ!!」バチバチッ

阿笠「ワシのオモチャを守れんかった罰じゃ。少し痛い目にあってもらうぞい」ニヤッ

コナン「ぐあああぁぁ!な、何を......」バチバチッ

阿笠「なあに、ちょっと体に仕込みをな。このボタンを押すと電流が走る仕掛けじゃ。死にはせんしキズも出ないわい。死ぬ程痛いじゃろうがの」ポチッ

コナン「うわぁぁぁああ!!」バチバチッ

阿笠「今日は大目に見てやるが、ワシに逆らうでないぞ新一。哀君にこんな痛みを味あわせたくないじゃろ?」ニヤッ

コナン「ぐ......ぐあっ......わ、分かったよ......」

阿笠「よろしい。じゃあの。ククク......ガハハハハ!!」スタスタ......

コナン(痛い......。確かに痛いさ......。だが、何も出来ない今までの方が痛かった。だが俺は可能性を手にした。アンタを切る一太刀を手にする可能性をな。それが成功した時......。必ずアンタを送ってやる。文字通り......地獄へな!)

夕暮れの里。

一目連「ふぅ、疲れたぜ」

骨女「お疲れさん、どうだった?」

一目連「正直色々ありすぎて、こっちの頭がおかしくなりそうだ。あの坊やは?」

骨女「寝たまんまさ。病院に任せてきたよ。まあ家族や学校に報告しても素っ気ないもんだよ。全く」ハァ

輪入道「おぅ、お前ぇ達も帰って来てたか」

一目連「ああ、ついさっきな」

輪入道「そうかい。お嬢は?」

骨女「さっきから考え事してるみたいだよ。空を見上げてね」

輪入道「そうかい。やはり今回のヤマは色々とお嬢にとっても思う所があるのかも知れねぇなあ」

骨女「ま、とにかくこれまでの結果を話そうじゃないのさ。ん?」

きくり「あ、オバ......んぐっ!?」ギュッ

骨女「そう何度も何度も言われてたまるかいっての!」ギュッ

きくり「むぐむぐー!んー!んー!」

一目連「余計うるさいぜ。離してやれよ」

骨女「んもぅ、しょうがないねぇ」パッ

きくり「ぷはぁ!このぉ!行き遅れ!厚化粧!大年増ぁ!」タタタッ

骨女「......そんなに化粧してないじゃないのさ」ハァ

なんかからくりサーカスのフェイスレス思い出した
やっぱり悪の阿笠博士をやっつけるコナン(ダウンロード済)をやるんだろうか

>>172
元ネタはズバリからくりサーカスです。

結末に関してはもう決めてますが、きちんと書き上げた上で時間があれば、色々考えた結末を別に載せられればなと思います。

しばし後。

一目連「とまあ、以上が俺が見てきた阿笠や江戸川コナン、灰原哀についての背景だ」

骨女「……ちょっと待っておくれ。アタシはチンプンカンプンだよ」

輪入道「俺もだ。正直さっぱり分からねぇ」

一目連「だから、俺達の最初の読み通り江戸川コナンも灰原哀もアポトキシンとか言う妙な薬で縮んだ人間なんだよ。研究データやらは灰原哀の部屋のパソコンで見つけた。上手くいけば人間を幼児にまで戻しちまう薬なんだとさ。ここまでは良いか?」

骨女「それは分かったよ。その正体が工藤新一と宮野志保って人間だってこともね。でも、その後がさっぱりだよ。何さ?ダウンロードって?」

一目連「だから、簡単に言うと他人の記憶だけを別の人間の頭に移し替えちまうんだよ!大体、こんだけ人間に接してきてんだからパソコンや携帯位何度もいじってるだろ?」

骨女「それは分かるけど、人間の脳みそにそんな事が出来んのかい?それじゃあまるで妖術じゃあ無いか」

輪入道「ダメだ。俺ぁさっぱりついていけねぇ。寝ちまいそうだ。若ぇ者の話にゃあ年寄りは入れねぇなぁ」

一目連「全く。とにかく!簡単にいやあその他人が乗り移った阿笠が黒幕で!江戸川コナンと灰原哀は簡単に言えば実験台としてアイツに利用されて!で、その実験台に手を出す光彦って坊やが気に入らないから変な装置で町の人を操って痛ぶってた!これなら分かるか?」

骨女「まあ、それなら何と無く」

輪入道「それでも俺には信じられねぇなぁ」

一目連(大分端折ったんだが、本当にコイツら分かってんのかな……)

骨女「でもまあ、あの光彦って坊やが起きてどういう判断を下すかは分からないけど……。他人が乗り移ったにしろ、その阿笠ってのが黒幕なら、そいつを流すことになれば解決なのかね」

あい「……どうかしら」

輪入道「お嬢?どういう意味だ?」

あい「……何でも無い」

骨女「しかしまあ、とんでもない話だねぇ。1人の人間の化け物地味た欲望の為に、とてつもない人間が巻き込まれて不幸になった。江戸川コナンも、灰原哀も、そして光彦って坊やも……。どっちが化物だかわかりゃしない」

輪入道「全くだ。化物の方がよっぽど分別ってのを弁えてるぜ」

一目連「ああ。しかし、あの2人……。あの歳でそうとうハードな事に巻き込まれてたんだな。妙な殺し屋組織に追われたり、仲間はみんな殺されちまったり」

輪入道「ああ。この町で起きた事について調べてみたが、全く恐ろしい程事件だらけだ。殺人、盗み、誘拐、果ては爆弾だの銃撃戦だの……。良く普通の生活が送れてたもんだ」

骨女「それも、あの阿笠ってのの筋書きなのかねぇ」

一目連「さあな。でも、あの2人俺達の正体に迫りつつあるし、案外あの2人が俺達の依頼人になるかもな。阿笠を流してくれってさ」

骨女「冗談でもよしておくれよ。そんな事されたら、只でさえ頭が混乱してるのに収集つかなくなっちまう」

輪入道「まあ、とにかくやる事はやったんだ。これ以上考えても仕方ねぇさ」

骨女「本当に、そうかねぇ」ボソッ

一目連「何か気になってんのか?」

骨女「いや、何でもないさ」

あい「......」

骨女(どうにもモヤモヤしてるねぇ。何だか胸騒ぎがするんだよ。アタシらが見てきたのはほんの表層に過ぎないような......。ただあの坊やが誰かを流して終わらない気がさ)

一目連(骨女......。何か引っ掛かってんな。だが俺も......。何か気になるな。上手く言えないが......)

輪入道(どうにも外堀埋めてた俺には分からねぇもんが2人にゃあ気になってる見てぇだな。この一件、どうやら先がありそうだな)

工藤新一の家。

コナン「く......」フラフラ

灰原「大丈夫?無理しないでとあれ程言ったのに」グスッ

コナン「心配ねーさ。ちょっと痛かったけどな」

灰原「そうまでして......あなたは何を知りたかったの?知る事は出来たの?」

コナン「ああ、一応な。これから話すよ」

灰原「ええ。でも少し休んで......」

コナン「ああ、そうするよ(本当に知りたかった事は、結局曖昧なままだけどな......)」

灰原「工藤君?どうしたの?」

コナン「あ、悪ぃ。なぁ、灰原」

灰原「何?」

コナン「今晩......俺の計画通りなら、ある動きがある。それが上手くいくなら......」

灰原「え?」

コナン「まあ、それも含めて全部話すよ」

灰原「......分かったわ」

コナン(上手く行こうが行くまいが......。俺の行き先は地獄に間違いはねぇだろうけどな。それでも俺は......やるしか、無いんだ。灰原を守るには、そして、博士を止めるには、な)

その日の深夜。

チッ、チッ、チッ、チッ......

???「もうすぐ......」カタカタ......

【地獄通信】

???「......怖い」

チッ、チッ、チッ、チッ......ジリリリリ!

???「......っ!!」カチッ

チリーン!!

【地獄通信】
あなたの怨み、晴らします。

???「開いた......!!」

夕暮れの里。

あいの祖母?「あい。届いているよ」

あい「......ありがとう、おばあちゃん」スッ

一目連「お、お嬢。また依頼かい?」

あい「......」コクッ

輪入道「やれやれ。難儀なヤマを抱えてるのに仕事は尽きねぇなあ」

骨女「どれどれ?依頼人は......えっ......!?」

一目連「何だよ?骨女?」

骨女「こ、これ......」プルプル

輪入道「何だってんだ?ん?こ、こいつぁ......」

一目連「ん?......っ!!」

骨女「どうやら、動いたんだね。あの坊やは......」

現世。

???「これが、地獄通信......」カタカタ......

【????】

???「これで、これで......」ハァ、ハァ......

???「怖い、怖い......っ!!でも......っ!!」ハァ、ハァ......

???「でも、私っ!!」カチッ!

フッ......

夕暮れの里。

???「あ、あれ......?ここは?」

あい「......呼んだでしょ?」

???「っ!!」ビクッ!!

骨女「やれやれ。まさかこの子から依頼が来るなんてねぇ。吉田......歩美ちゃん」

歩美「......」

骨女「全く。何でこうなっちまうんだかねぇ。ただ巻き込まれただけの子と思いきや」ハァ

歩美「こ、ここはどこなの?あ、あなたは誰?」

あい「......私は、閻魔あい」

歩美「......!あなたが、地獄少女!?」

あい「骨女......」

骨女「あいよ、お嬢」サッ

パサッ......

あい「受け取りなさい......」スッ

歩美「な、何これ?お人形......?」

あい「あなたが本当に怨みを晴らしたいのなら、その赤い糸を解けばいい。糸を解けば、私と正式に契約を交わした事になる。怨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ」

歩美「怨みの相手を、地獄に......。本当、だったんだ......」スッ

あい「但し」

歩美「!?」ビクッ

あい「怨みを晴らしたら、あなた自身にも代償を支払ってもらう」

歩美「代償?」

あい「人を呪わば穴2つ。契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる。あなたの魂は、痛みと苦しみを味わいながら、永遠にさ迷う事になる」

歩美「っ!?」

あい「......死んだ後の話だけど」

歩美「で、でも!死んじゃったら私も地獄に落ちちゃうんでしょ?」

あい「そうよ」

歩美「そんな......」

あい「......後は、あなたが決める事よ」フッ

現世。

歩美「......あ、あれ?ここ、私の部屋?」キョロキョロ

歩美「夢......だったの?」チラッ

歩美「......夢じゃない。お人形、持ってる」ブルブル

歩美「糸を引いたら、私も......地獄に......。怖い、怖いよ、コナン君......」

同時刻。灰原哀の部屋。

灰原「......そろそろ、かしら」チラッ

灰原「零時を回った......。工藤君の予想通りなら、今頃......」

数時間前。

灰原「そ、んな......。博士の正体が、烏丸......?科学技術を使って、あなたの身体と私を......?」

コナン「ああ。そうだ。阿笠博士もまた、犠牲者の1人に過ぎない。今の博士は、烏丸の怨念に乗っ取られて生まれたバケモノ。人間の欲望が形を持った様な存在だ」

灰原「そんな......。そんな事って......」

コナン「残念だが、現実だ」

灰原「そんな......。それじゃ、このままじゃあなたはあなたじゃなくなってしまうの!?」

コナン「いつかは、な」

灰原「そんな......そんな!そんな訳は無いわ!だったら何故あなたにそんな情報を持たせて放っておくの?!私がそれを知ったら......」

コナン「知ったとして、対抗策がない」

灰原「え?」

コナン「人間ダウンロード......。それを行った後も元の人間の記憶が残るのなら、その人間が果たしてどちらの人格なのか......。ダウンロードされているのかいないのか、判別するのは難しい。俺が阿笠博士の異変に気付かなかったように」

灰原「あ......」

コナン「アイツは、そこまで読んでるんだ。そして、疑念を持っても結局俺達は離れられない。そう踏んでるんだ」

灰原「そんな......。何か、何か、対抗する術はある筈よ!」

コナン「......不可能だ。今の俺達には、アイツに対抗し得る力が無い。肉体的にも精神的にも、社会的にも。あれ程の歳月を、身体を替えてまで積み上げて来た力に、挑む術は無い。いや、あったのに......。手放した」

灰原「そんな......。じゃあ、私達はこのまま......。あの男の計画に呑み込まれるだけなの?!あなたを......今のあなたを失うしか無いと言うの!?嫌よ!そんなの......嫌あぁぁ!!」ブルブル

コナン「......まだ、話は終わって無い」

灰原「......え?」

コナン「確かに、今の俺達にアイツに対抗する術は無い。この世の理に従うならな。だが、光彦がヒントをくれた」

灰原「......!!ま、まさか」

コナン「そう。この世の理で対抗出来ないなら、この世成らざるモノの力を借りるまでだ」

灰原「で、でも......。まだいると決まった訳でも無いモノに頼るなんて......」

コナン「......だから、試す」

灰原「え?」

コナン「アイツを倒す為、そして、オメーを守る為......。その第1段階として、ある人間に頼み事をした。それが成功するならば、俺達はアイツに届く刃を掴み得る」

灰原「頼み事......?何を、誰に......?」

コナン「俺達の支障となる存在......。その1人を地獄に送って欲しいと」

灰原「だ、誰を......?いや、誰に?!誰に頼んだの!?」

コナン「......歩美だ」

灰原「!!」

コナン「俺は歩美に......。あの噂を話した。そして、それを試して欲しいと......頼んだ」

灰原「そ......んな......。どうして?!そんな、そんな事したら!!あの子は!!」

コナン「ああ。噂通りなら、地獄に落ちる」

灰原「何で!!何でこんなっ!!これじゃああなたも烏丸と変わらないじゃない!!何で!何でこんな......」

コナン「オメーを守る為だ」

灰原「え......」

コナン「俺自身がそれを使う事も、計算には入ってる。だが、俺1人じゃ足りないんだ。噂通りなら、あれを使えるのは1度きりだ。どうしても誰かの手を借りなければならなかった」

灰原「そんな......!でもそれじゃあなたも......っ!!」

コナン「どの道俺は、みんなを見殺しにしたあの日に、地獄に行く事は決まってる。なら、手段は選ばない。オメーに嫌われようと、蔑まれようと、もう止まらない。オメーの道を開く為なら、もう手をいくら汚そうが構わない」

灰原「......」

コナン「俺を許さなくて良い。俺は......」

灰原「許さないわよバカ!」

コナン「!」

灰原「何でも1人で決めて!!私はあなたの何なのよ!!私を大事に思うなら全部話してよ最初から!!そうやっていつもいつも私を置いていかないでよ!!」

コナン「灰原......お、お前......」

灰原「許さないわ、悟りすまして1人で地獄に行くなんて。私はあなたから離れない!!どこまでもどこまでも一緒に行くわ!!地獄の果てまででもね!!」

コナン「で、でも......」

灰原「あなたの意見は聞かない。私がそうしたいんだから!!」

コナン「......」

灰原「話してよ、あなたの考えの全て。私は、全て受け入れるわ......」

コナン「......分かった。なら......共に行こう。地獄までも、2人で」

灰原「......最初からそのつもりよ」

本日は終了します。
明日更新予定です。

現在。

灰原(こうして私は聞いた。工藤君の計画を。そして今夜それは始まる)

灰原(吉田さん......。いえ、歩美ちゃん。ごめんなさい。私もまた、止まれないの)

灰原(さあ、成功か失敗か。私達の運命はどちらに傾くのかしら......。どちらでも、地獄に変わらないけれどね......)

吉田歩美宅。

歩美「......どうしよう」チラッ

骨女(やめときな。アンタみたいな年端もいかない子が、こんな事するモンじゃないよ)

歩美「でも、決めたんだもん。歩美はコナン君の為に、やるって決めたんだもん!」ガシッ

骨女(やれやれ。年齢問わず、女は所詮女って事かい。惚れた弱味につけこんだのかい、あの坊やは......?)

歩美「怖い、怖いけど......!コナン君を苦しめるあの人を......!流してぇ!!」シュルッ!

ヒュルルル......

歩美「きゃっ!!」バサバサッ

骨女(怨み、聞き届けたり......!)

歩美「......あ、あれ?お人形が」キョロキョロ

歩美「やっちゃったんだ。私」

歩美「でも、これで褒めてくれるよね。コナン君......」ニコッ

夕暮れの里。

あいの祖母?「あい。長襦袢を置いておくよ」

あい「......ありがとう、おばあちゃん」スッ

シュルッ......

あい「......輪入道」

輪入道「あいよ。乗りなお嬢」

輪入道「ぬうぅぅん!!」ガタガタ

あい「......」

元太の家。

元太「ううぅ、ううぅ!嫌だ、怖い......」

元太「このままじゃ俺は......。コナンも助けてくれないし......」

元太「どっかに逃げてぇよ......」

あい「......なら、逃がしてあげようか?」

元太「へっ!?だ、誰だよお前!」

あい「......」スッ

元太「うわぁぁぁあああ!?」

???

元太「......あれ?ど、どこだ?ここは」キョロキョロ

元太「さっきまで俺は布団で......?あれ?おーい!父ちゃん!母ちゃん!どこだよ!?」キョロキョロ

元太「くそ、どうなってんだよ......ん?」クンクン

元太「あの匂いは......。うなぎ屋だあ!」ダダダッ

一目連「いらっしゃい。何にします?」

元太「やっぱりうなぎ屋だ!訳わかんねーけど腹減ったしな!でも俺金が......」

一目連「今日は開店祝いだ。タダでいいぜ」

元太「ホントか!じゃあ鰻重!」

一目連「あいよ、鰻重ね」

ジューッ......

一目連「へいお待ち」コトッ

元太「やったぁー!!とにかく食うぜ!いただきまーす!!」ガツガツ

一目連「どうだい?旨いかい?」

元太「うめー!!最高だあ!!」ガツガツ

一目連「そうかい。鰻も喜んでるぜ。お前【を】食べられてな」ニヤッ

元太「はっ?お前を?」

グニャグニャ......ッ

元太「う、うぐっ!?な、何だよ?!腹が......」

ブチブチッ......ブチッ!!

元太「ぎ、ぎゃあああぁ!?腹から鰻があああ!?」ジタバタ

一目連「だから言ったろ?お前【を】食べられて鰻も喜んでるって」ニヤッ

元太「い、痛ぇ!!痛ぇよぉ!!助けてぇ!!」ジタバタ

ニュルニュルッ......ガブッ!!

元太「ぎゃあああ!!く、食われるぅ!!やめでぇぇぇえ!!」ガクッ

一目連「気絶したか。だが、まだ終わらないぜ?」

フッ......

元太「あ、あれ......?ここは?今のは夢かあ?」キョロキョロ

骨女「さて、始めるかね」

元太「始める?何だ?ていうかここは?......ん?」ビクッ

輪入道「で、今日の料理は何だ?」

骨女「今日は......元太の蒲焼きだよ」

元太「!?!????!」


一目連「そんじゃ、始めますか」スタスタ......

元太「な、何言ってんだよ!?ん?」

骨女「輪入道、火を起こしといて」

輪入道「あいよっ」

元太「ほ、本気なのかよ!?て言うかこいつら......」

骨女「じゃ、まずは......」ヌッ

元太「で、でかい!?お、俺が縮んでるのか!?に、逃げなきゃ......」ダダダッ

骨女「あらあら、材料が逃げちゃあダメじゃないか」ガシッ

元太「ひ、ひいいぃぃ!?や、やめろ!やめ......」

骨女「じゃあまずは、材料を洗うかね。一目連!塩水!」

一目連「はいよ」スッ

元太「な、何すんだやめろぉ!!助けてぇ!!」バタバタ

骨女「暴れない暴れない。まずはキレイにしないと」ジャブッ

元太「がぼっ!ごぼっ?!だ、だずげっ!!ごぼっ?!ごはっ!!」バシャバシャッ

輪入道「もういいんじゃねぇかい?」

骨女「まだまだ。汚いと食べたくないだろ?」ジャブジャブ

元太「ぶはぁっ!!だずげっ!?じ、じおがめにじみるぅ(塩が目にしみる)!!」

骨女「流石にいいかね。じゃあ水切って」ブンブンッ

元太「ぎゃああぁぁ!!ふ、振らないで......う、うげぇ......」ゲロゲロ......

輪入道「おやおや、粗相しちまって」

骨女「あらら、やり直しだねぇ」ジャブッ

元太「ぎゃあああ......」

しばし後。

元太「う、うぅ......」

骨女「あら、ちょっと弱っちまったかね」

一目連「なあに。大丈夫さ」

骨女「そうだね。じゃ、次は串打ちだね。こんだけ太ってるなら丸焼きでいこう」

元太「く、くしうち?串打ち!?嘘だろぉ!!?」ガバッ


輪入道「肉が厚そうだから、ちと大変だな」

骨女「ま、何とかなるさ。じゃ、行くよ」キラッ

元太「や、やめろぉ!!そんな事したら!やめてくれぇ!!!」ジタバタ

グサッ!!

元太「ぎぃぃぃやぁぁああ!!!」ビクッビクッ

骨女「んー、やっぱり固かったかね?」グリグリッ

元太「あぎゃあああ!!」ジタバタ

ゴキッ!!

一目連「お、貫通したな」

元太「あ、あがが......」ピクピクッ

骨女「じゃ、タレにつけてっと」ジャブッ

元太「う、うげぇ......」ピクピクッ

骨女「じゃ、仕上げだね。蒸すのは飛ばして焼くよ!」

輪入道「おう、関西風だな」ニヤッ

元太「や、く......?やめ、やめでぐでぇ!!」ジタバタ

骨女「おや、まだ元気だねぇ」ニコッ

元太「じんじゃうよぉぉ!!いだいよぉぉお!!や、やめでぇ!!」ジタバタ

パチパチッ......

一目連「と、言っても火の準備万端だしな」

骨女「じゃ、行くよ!」ヒョイッ

元太「ぎぃぃぃやぁぁあああ!!」ジューッ!!

輪入道「おぅ、いい焼けっぷりだな」

元太「あづいぃぃぃい!!ぁあああ!!あづいぃぃ!!じぬぅぅう!!!」バタバタ

きくり「......」ヒョイッ

元太「だ、だずげっでぇぇえ!!」ピクピクッ

きくり「蒲焼きって言うより、焼おにぎりだぁ!!キャハハハ!!」

元太「なぁ......だずげっ、だずげで......どうぢゃん!があぢゃん!!だずげで......」ジューッ......

輪入道「どうだい?少しは自分の罪を認める気になったかい?」

元太「づみ?わげわがらん!あづいぃぃ!!」ジューッ......

骨女「友達をいじめて楽しんでたろう?」

元太「お、おれだげじゃないっ!!ゴ、ゴナンが、あいづがっ!!」ジューッ......

一目連「ま、その点は阿笠のせいだからあれだが、あんなにボコボコに殴る必要があったのか?」

元太「あ、あいづがわるいっ!!おれはわるぐないっ!!!あいづごぞじごぐにぃ!!」ジタバタ

骨女「だとさ、お嬢」

あい「......」スッ

元太「......!」

あい「闇に惑いし哀れな影よ。人を傷つけ貶めて。罪に溺るる業の魂」

元太「ひっ......!?」

あい「いっぺん、死んでみる?」クワッ

元太「うわぁぁぁあああ!」

チリーン......

三途の川。

あい「......」ギィッ、ギィッ......

元太「何で俺だけ......。悪い奴は他にもいるだろ!何でだよぉ!!」

あい「......」ギィッ、ギィッ......

元太「助けてくれよぉ、父ちゃん!母ちゃん!歩美ぃ!灰原ぁ!コナァァン!!」

あい「......」ギィッ、ギィッ......

元太「助けてくれよぉ、光彦ぉ!!謝るからぁ!!助けてくれよぉ!!なぁ、家に帰してくれよぉ!!」

あい「......それは、無理」ギィッ、ギィッ......

ニュルニュルッ!!

元太「う、鰻がまたっやめろぉ!」ギューッ!

ボコボコッ......ブワッ!!

元太「うわぁぁぁあああ!か、身体中から鰻がぁ!!む、むぐ、もがもがぁあ!!」バタバタ

あい「......この怨み、地獄へ......流します」ギィッ、ギィッ......

チリーン......

歩美「これで......これで良いんだもん。コナン君の為に......」

数時間前、帝丹小学校。

コナン「実はね、歩美ちゃん。俺と灰原は、元太に脅されてるんだ」

歩美「えっ?」

コナン「歩美ちゃんの見えない所で暴行を受けてるんだ」

歩美「う、嘘?何で?だっていつもコナン君は元太君に指示をしてるでしょ?」

コナン「それは表向きさ。力じゃアイツに敵わないからね。陰から俺達を脅してるんだ」

歩美「そんな、どうして?どうして?コナン君が元太君にいじめられなきゃいけないの?」ウルッ

コナン「それは......歩美ちゃんが俺の事を好きだって言ってくれるからだよ」

歩美「えっ?」

コナン「誤解しないでくれ。歩美ちゃんのせいじゃない。ただ、元太は......歩美ちゃんの事を好きだから。だから俺が気に入らないんだ。それで、俺を脅して、もう1人の気に入らない光彦をいじめさせていたんだ」

歩美「そんな、そんな理由でコナン君を?あ、哀ちゃんは?」

コナン「似た様な理由さ。いつも俺の側にいて、自分に靡かない灰原も気に入らないんだ」

歩美「そんな、ひどいよ......」グスッ

コナン「済まない、歩美ちゃん。喋れば歩美ちゃんに直接危害を加えると言われて......。それだけは嫌だったから......」

歩美「コナン君......。私の事、守ろうとして?」グスッ

コナン「済まない。却って歩美ちゃんに不安を与えてしまって」

歩美「そんな事無いよ!コナン君は、コナン君は......優しすぎるんだよ。ね、先生に相談しようよ。そしたら......」グスッ

コナン「ダメだ。そんな事したら、もっとアイツは暴れる。それは出来ない......」

歩美「そんな......」

コナン「歩美ちゃん、今日の事は忘れてくれ。俺達なら大丈夫......」

ギュッ

コナン「あ、歩美ちゃん?」

歩美「やだよ、コナン君が酷い目に合うの」グスッ

コナン「歩美ちゃん......」

歩美「許せない、元太君......!コナン君をこんな目に合わせるなんて......」グスッ

コナン「歩美ちゃん......」

歩美「コナン君が楽になるなら、私なんでもするのに......。歩美、コナン君が大好きだから......」グスッ

コナン「ありがとう、歩美ちゃん.....。心配しないでくれ。もうすぐその問題は解決する」キラッ

歩美「え?」

コナン「......地獄通信って、知ってるかい?」

歩美「ちょ、ちょっとなら......。怨んでる人の名前を書くと、地獄少女が怨みを晴らしてくれるって。コナン君、もしかして」

コナン「うん。それを使って......。元太を」

歩美「ダメだよ!良くは知らないけど、使ったらバチが当たるって......」

コナン「構わないさ、このままみんなが......。歩美ちゃんがアイツにいじめられる位なら、俺はどうなっても」

歩美「コナン君......」グスッ

コナン「泣かないでくれよ。笑ってる歩美ちゃんが俺は......大好きなんだから」キラッ

歩美「!」ドキッ

コナン「さて、俺はもう行かなきゃ。アイツを地獄通信に書く準備をしなきゃ......」

歩美「......待って!」

コナン「え?」

歩美「歩美がやる!」

コナン「な、何だって?」

歩美「私が地獄通信で、元太君を!」

コナン「ダ、ダメだ!バカな事を考えるな!」

歩美「バカでいいもん!歩美は、コナン君が元気でいないなんて、やだもん......」グスッ

コナン「歩美ちゃん......」

歩美「ダメって言ってもやるもん!元太君は、絶対許せない!」グスッ

コナン「......本気、なんだな?」

歩美「うんっ」コクッ

コナン「済まない、歩美ちゃん。俺は、俺は......」

歩美「謝らないで、これは歩美がしたくてするんだもん」ニコッ

コナン「歩美ちゃん......」ギュッ

歩美「コ、コナン君......」ドキッ

コナン「俺、何があっても歩美ちゃんの側にいるよ。大好きな歩美ちゃんを......ずっと守るよ」ギュッ

歩美「コナン君......。ありがとう」ギュッ

コナン「こちらこそ、ありがとう」キラッ

現在。

歩美「いいんだもん、もう。あのコナン君の一言で、歩美は幸せだから......。あ、コナン君に連絡しなきゃ......」ピッ

Prrrr.....Prrrr......

毛利探偵事務所。

ピッ

コナン「もしもし?」

歩美「こ、今晩は。コナン君」

コナン「あ、歩美ちゃん。どうした?」

歩美「あのね、あのね、やったの。来たの、地獄少女。元太君は、元太君は......」

コナン「良いよ、言わなくて。本当にいたんだな、地獄少女は」

歩美「信じて、くれる?」

コナン「もちろん、信じるさ。本当に、良くやってくれたね。ありがとう。何て言って良いのか......」

歩美「ううん。良いの。コナン君が喜んでくれるなら」

コナン「ありがとう、歩美ちゃん。今日はもう遅いから、明日学校で話そう」

歩美「う、うん。分かったよ。ねぇ、コナン君?」

コナン「何だい?」

歩美「......大好き」

コナン「俺も、さ。歩美ちゃん。大好きだ」

歩美「......!ありがとう!じゃあ、明日ね!おやすみなさい!」

コナン「ああ、おやすみ」

ピッ

コナン「......そうか、本当にやってくれたんだな」

コナン「これで実行出来る。博士を......。その為には、光彦。お前だ。お前が必要だ。頼むぜ、光彦......。早く意識を取り戻してくれ......」

コナン「そして......。済まねぇな。元太、歩美ちゃん。全てが済んだら、地獄で詫びさせて貰うよ。それまでは......俺は止まらない。もう、止まれないしな。今更......」ピッ、ピッ、ピッ

阿笠宅。灰原の部屋。

ピリリリ♪

灰原「......工藤君かしら」ピッ

灰原「......そう、成功したのね。まさか、本当にね」

灰原「さあ、私も準備をしなくてはね......」


阿笠「何の準備かね?」ヌッ

灰原「!?」サッ

阿笠「いやいや、すまんのう。灯りがついていたものでな」ニヤッ

灰原「何でもないわ......」キッ

阿笠「睨むでない睨むでない。別にワシは何もせんよ、何もな」ニヤッ

灰原「じゃあ何故こう付きまとうの?モルモットを手元に置いただけじゃ、満足出来ないの?」

阿笠「いやいや。ワシは哀君をモルモットなどとは思っておらんぞ?可愛いワシの娘じゃからのぅ」ニヤッ

灰原「白々しい......。悍ましい事この上無いわ」

阿笠「なら、ワシを止められるかの?」ニヤッ

灰原「!」

阿笠「出来やせんじゃろ?君達は親子揃ってワシの人形じゃからな」ニヤッ

灰原「な......?どういう意味よ?!」

阿笠「ふふっ、お休み。早く寝るんじゃぞ?」バタンッ

灰原「......さない」

灰原「絶対に許さない、あなただけは......」ギリッ

灰原「見ていなさい、あなたはもうすぐ......」

夕暮れの里。

骨女「まさか、こういう流れになるとはねぇ」

一目連「まあ、恐らく自分の意思では無いのかもな」

輪入道「誰かにやらされた、と?」

骨女「誰かに、なんて。決まってるじゃないか。あの坊やさ」

一目連「だろうな。出なきゃあんなに素直な子があんな事する筈もないしな」

骨女「全く。あの坊やは根は純だと思ってたんだけどねぇ。こんな真似するなんてね。人様利用して、地獄流しをさせるなんてさ」

一目連「狂気にあてられて、あの坊やも狂っちまったのかもな。何にせよ、地獄通信が開き、依頼人が糸を引いた以上はそれを拒む事は出来ないしな」

骨女「まあ、そうだけどさ」

輪入道「ふぅむ、しかし......。解らねぇな」

骨女「何が?」

輪入道「あのおにぎり頭を流させたワケがな」

骨女「ワケ?」

一目連「確かにそれは気になる。あの坊やに取って目の上のたんこぶはあの阿笠だ。それを流させりゃ良いものを、何故あのおにぎり頭なんだ?」

骨女「そういや、確かにね。自分の手を汚さずに邪魔者を消すチャンスだったのに」

輪入道「仮に阿笠以外を流させるにしたって、俺があの坊やなら、俺は光彦ってのを流すがなあ」

一目連「俺も同感だ。自分達を地獄通信で流そうとしたことを、アイツらは知ってる。なら、仮に阿笠を自分で流すにしても、他人には危険性の高い光彦を流す筈だ」

骨女「でも、それをしなかった。何故......」

輪入道「考えられるのは、あの坊やは何らかの目論見があって、その為に光彦を残す必要性かあった」

骨女「目論見?どんな?」

一目連「さあな。それは分からないが、きっとまだこのヤマは何も片付いちゃいない。あの坊やはきっと、大きな流れの堰を切ったんだ」

骨女「......まだ、何かある」

輪入道「その覚悟は、しといた方がいいな」

翌朝、阿笠宅。

Prrrr......Prrrr......

阿笠「何じゃ?こんな朝から?」ピッ

阿笠「はい、阿笠ですが?おや、これは元太君のお母さん。何か?......は?元太君が?いや、家には来ておりませんが?......はい、はい、はぁ、分かりました。何か分かりましたら、はい。それでは」ガチャッ

阿笠「元太君がいなくなった、じゃと?」

スタスタ......

灰原「......」スタスタ......

阿笠「これ、哀君」

灰原「何かしら」

阿笠「学校に行くときは、行ってきますと言わんか」

灰原「......行ってきます」

阿笠「よろしい。ああ、後ひとつ聞きたいんじゃが。今元太君のお母さんから連絡があってな。朝起きたら元太君がいなくなっていたそうじゃ」

灰原「!」

阿笠「何か知らんかの?」

灰原「さあ、分からないわ。警察に頼んだ方が早いんじゃないかしら」

阿笠「まあ、そうじゃが。もう一度聞くが、本当に知らんのかの?」ジロッ

灰原「......知らないわ。遅刻しちゃうから、行くわ」

阿笠「まあよい。ああ、新一にも言っておいてくれんか。話が聞きたいので今日来るように」

灰原「分かったわ」スタスタ......

阿笠「......何かあるのう、あれは。まあ、元太君がいなくなった所で、ワシには影響は無いがの」

阿笠「じゃが......。あまりに不審な事があるなら、早めなければならんかも知れんの。新一へのダウンロードをな」ニヤッ

帝丹小学校。コナンの教室。

歩美「......」

ガラッ

灰原「......あら?」キョロキョロ

歩美「あ、哀ちゃん。おはよう」

灰原「おはよう。江戸川君は?」

歩美「まだ見てないの。哀ちゃんも知らないの?」

灰原「ええ。今日は先に行ってしまったみたいだから」

歩美「そっか。どうしたんだろ?コナン君」

灰原「その内来ると思うけど」

歩美「そう......だね」ハァ

灰原「......顔色が悪いわ、大丈夫?」

歩美「う、うん。平気。大丈夫」

灰原(昨日の今日で、無理もないわね。人を地獄へ流したのだから)

歩美(コナン君、早く来てくれないかな。私を褒めてくれないかな......)

ブルッ

灰原(あ......メール?)ピッ

灰原「......!」

歩美「どうしたの?」

灰原「いえ、何でもないわ。私、トイレに行ってくるわ」スッ

歩美(......今のメール、コナン君かな。哀ちゃんとまた内緒の話?私には言葉をかけてくれないのかな......。約束、したのに......)

屋上。

コナン「......」

灰原「ここにいたの、工藤君。おはよう」

コナン「ん、灰原。おはよう」

灰原「もうすぐ授業が始まるのに、どうしてこんな所に?」

コナン「ん、ちょっとな」

灰原「吉田さんと顔を合わせるのが辛いのかしら?」

コナン「いや、そうじゃないけどな」

灰原「まあいいけど。ここに呼び出したのは、例の話かしら」

コナン「ああ。そうだ。次の段階に入る。地獄少女とも、コンタクトを取ることになるな」

灰原「終わるのね、もうすぐ」

コナン「さあ、どうかな。だが急がなきゃな。運命が俺達に矛を向ける前に、ケリを着けなくちゃ」

灰原「ええ。それと......。博士が彼が行方不明になった事を知って、あなたに話を聞きたいそうよ」

コナン「そうか。親から連絡が行ったのかな?」

灰原「そのようね」

コナン「まあ、他の人は博士の正体なんて知るはずも無いしな。探偵団の面倒見てた博士に連絡が行くのも無理ねぇか」

灰原「話を聞くだけなら良いけど、もし博士が疑いを強めて何かして来たら......」

コナン「してくるだろうな。今日明日では無いにしろ、何かしらの手を打ってくる。今までは余裕なのか何なのか盗聴も何もして来なかったが、監視を強めて来るかも知れないな」

灰原「最悪、あなたへのダウンロードを早める可能性も」

コナン「あるな。勿論。だが、もう後はなるようにしかならない。1種の賭けだからな。俺の1手が早いか、博士の1手が早いか。負ければ、それまでだ」

灰原「冷静なのね、随分」

コナン「違うさ。怖くて堪らない。強がりさ。こうでもしなきゃ、泣き崩れちまいそうだ」

灰原「私も、同じよ。ねぇ、工藤君?」

コナン「何だ?」

灰原「いっそのこと......ここで終わらせましょうか」

コナン「え?」

灰原「どうせ私達は地獄に行くわ。地獄少女に関わろうと関わるまいと。なら、ここで2人で終わらない?」

コナン「自ら、と言う事か?」

灰原「ええ」

コナン「悪いな、それは出来ない」

灰原「何故?2人で一緒にいれるなら、この世もあの世も変わらないわ」

コナン「俺はまだ知りたい事がある。それを確かめるまでは、確かめて博士を止めるまでは、死ねない。その為に元太まで犠牲にしちまったんだ。今更やめるわけにはいかない」

灰原「今更正義感ぶるつもり?」

コナン「いや。ただのワガママさ。どうせ汚れた身だからな。最後までワガママを通すさ」

灰原「そう。なら付き合うしかないわね」

コナン「良いのか?」

灰原「良いも何も、あなた決めたら曲げないじゃない」クスッ

コナン「......だな」

灰原「本当は、分かってたけど。あなたがそう言うの。ちょっと確かめたかっただけ」

コナン(そうは見えなかったけどな。あの目は本気だったぜ、灰原)

灰原「さ、とにかく戻りましょ?授業が始まるわ。続きは後にしましょう」

コナン「......ああ」

灰原「あ、それと。吉田さんへのフォローはちゃんとした方が良いわよ?」

コナン「同情か?それは」

灰原「バカね。もし噂と違って地獄少女を何度も使えたら大変よ?怨まれて流されてしまったら元も子もないわ」

コナン「......なるほど」

灰原「こんな発想、軽蔑するかしら?」

コナン「するわけないだろ?さ、行こうぜ」

灰原「......ええ」

コナン(灰原......。今お前の中にあるのは何だ?恐怖か?狂気か?それとも......)

灰原(結局、こうなったわね。まあ私は、どちらでも良かったのだけれど。でも、私も考えたら知りたい事があったし。これで良かったのかも知れないわね)

一目連「......」

米花総合病院。

光彦「うう......」ブルブル

元太「おう、光彦!」バキッ!

光彦「ぐわっ!!」ドサッ

歩美「あ、光彦君!転んだの?じゃあ起こしてあげる!」ポタッ

光彦「ぎゃあああぁ!!」ジュワーッ

歩美「痛くて起きたでしょ?」ニコッ

光彦「ううぅ......」

灰原「......」

光彦「は、灰原さん......」

灰原「醜いわね」クルッ

光彦「そ、そんな......」

「何でいるんだよ光彦」

「消えろよ光彦」

「光彦、ウザいよ」

「光彦、光彦、光彦、光彦......」

光彦「うわぁぁああ!!な、何で僕ばかりこんな目に......っ!!だ、誰か......助けて」

スッ

光彦「え......?」

コナン「大丈夫か?光彦」

光彦「コ、コナン君......?」

コナン「さ、行こうぜ光彦」スッ

光彦「あ、ありがとう、コナン君......」スッ

コナン「気にすんなよ、俺達は......××××」

光彦「え?コナン君、何て?コナン君、コナン君?」

コナン「......」スーッ

光彦「ま、待って!コナン君!コナン君!!」

ガバッ!!

光彦「コナン君っ!!」ハァ、ハァ

光彦「あ、あれ?ここは......?今のは、夢?」

スタスタ......

曽根「おや、目が覚めたのかい?」

光彦「あ、先生......?」

曽根「良かった、しばらく目覚めないみたいな事を先生が言ってたからね。無事起きてくれて良かったよ」

光彦「ぼ、僕は、一体?」

曽根「そうだね、話してあげるから。まずは水でも飲んで」

光彦「は、はい」

曽根(このタイミングでこの子が目覚めたのは、果たして偶然なのかね?ちょっと様子を見に来たつもりだったんだけど......。仕事が近いかも知れないね......)

しばし後。

光彦「......そうですか、僕は元太君に」

曽根「覚えてないのかい?」

光彦「微かに覚えてます。いきなり殴られた様な......」チラッ

曽根「ん?」

光彦「来てないんですね、僕の家族。僕が入院中なのに」

曽根「あ、ちょっと忙しいらしいからね。その内来るさ」

光彦「良いんですよ、気を遣わなくても」

曽根「な、何言ってんだい?」

光彦「......いえ、何でも」

曽根(......本当は連絡したけど、無事と分かったら後は知らないって感じだったからね。酷い機械だよ、全く)

光彦「そう言えば、元太君は......どうしてるでしょう?先生?」

曽根「え?」

光彦「いえ、思い返すと元太君は......何かに怯えてた見たいだったので。何かあったのかと」

曽根「あの子は今......行方不明だよ」

光彦「え?」

曽根「昨日の夜からね、行方知れずさ」

光彦「そんな、な、何故?」

曽根「さあ、分からないね。突然だからねぇ」

光彦「そんな......」

曽根(アタシ達が地獄に流した、なんて言えるわけないしねぇ......)

光彦「一体、元太君は何処に......」

曽根「心配なのかい?」

光彦「......分かりません。僕を今までいじめてたのも、こうして入院するまで暴行したのも事実ですから」

曽根「そう。じゃあ、怨んでる?」

光彦「......それも、分かりません。彼が友達だったのも、また事実ですから」

曽根「......そう」

光彦「そもそも、何を怨んだら良いのか。神様でも怨めば良いのか、来てくれない地獄少女を怨めば良いのか......」

曽根「それは......」

光彦「それは?」

曽根「あ、いや。何でもないよ」

光彦「......?」

曽根(余計な事は言えない。アタシ達の仕事は依頼人の決めた標的を流す事。怨みの相手を特定する様に持っていく事でも、正体を明かす事でも無いからね)

光彦「ねぇ、先生。僕は確かに何を怨んだら良いのか、どうしたら良いのか分かりません。でも、夢を見たんです」

曽根「夢を?」

光彦「ええ。いじめられている僕を、コナン君が助けてくれたんです。その時に何か僕に声を掛けていたんですけど、何て言ってるかは分からなくて」

曽根「......」

光彦「ただの僕の願望が見せた夢かも知れないけど、どうしても気になるんです。おかしいですよね」

曽根「いいや。アンタがそう言うなら、それは意味のある事かも知れないよ」

光彦「良いんですよ、気を遣わなくても。でも、僕は......確かめたいんです。この夢に意味はあるのか。僕は今、何に巻き込まれているのか。コナン君の本心は、どこにあるのか」

曽根「......」

光彦「先生、お願いがあります」

曽根「お願い?」

光彦「コナン君に会いたいんです。でも僕は動けません。どうか、コナン君を呼んできてくれませんか?」

曽根「!」

光彦「もしかしたら、結局僕が見てきたモノが真実なのかも知れない。コナン君が僕をいじめるリーダー。ただそれだけなのかも知れない」

曽根「......」

光彦「でも、違うのかも知れない。たかが夢でこんな事を考えるのはバカらしいかも知れないけど、僕は知りたい」

曽根「......何をだい?」

光彦「真実、ですよ。今言った様に。真実はいつも1つと、コナン君が言ってたから」

曽根「......」

光彦「もう、絶望してるだけなのは嫌なんです。地獄少女が来てくれないのなら、せめて自分の目で真実を確かめたい」

曽根「......」

光彦「お願いします、どうか......」

曽根「......分かったよ、学校に戻ったら声を掛けて見るよ。でも、無理強いは出来ない。それに、アンタの言うようにただイジメのリーダーだったとしたら、きっと来ないよ?」

光彦「それなら、それで良いんです」

曽根「......分かった。伝えてみるよ。だから、それまでアンタは休みなさいな」

光彦「ええ、分かりました」

曽根「それじゃ、とりあえず学校戻るから。後でね」スッ

光彦「先生!」

曽根「ん?」

光彦「......ありがとう」

曽根「......どういたしまして」スッ

光彦「......これで、良いんですよね。結果がどうでも、真実は1つなんだから」グスッ

曽根(......嫌な役回りだね、全く。きっとアンタの選択は、吉とは出ない。そんな気がするよ)

帝丹小学校。

歩美「......」

コナン「......」チラッ

灰原「......」コクッ

コナン「歩美ちゃん、ちょっといい?」

歩美「あ、コナン君......」

コナン「話があるんだ。来てくれる?」

歩美「う、うん。分かった」ガタッ

灰原「......割り切らないと。これも仕方の無い事と」ハァ

一目連(......灰原哀。お前は何を考えている?)

校舎裏。

コナン「ここなら良いかな」

歩美「ね、ねぇコナン君?お話って......」

ギユッ

歩美「え、コナン君?」ドキッ

コナン「済まなかった、歩美ちゃん。俺の為に、歩美ちゃんにとんでもない苦しみを与えてしまった」ギユッ

歩美「え、あの、き、昨日の事?地獄少女の事?」

コナン「ああ。俺の為に、怖い思いをさせてしまった。ごめんよ」

歩美「い、良いの!私は自分がやりたいからやったんだもん!」

コナン「だが、その代償は......」

歩美「いいの!コナン君の為だから」

コナン「歩美ちゃん......」

歩美「ちゃんって言わないで」

コナン「え?」

歩美「最近、変にちゃん付けするんだもん。コナン君。名前で呼んでよ」

コナン「あ、ああ。済まない。歩美」

歩美「ありがとう、コナン君。ねぇ、コナン君?」

コナン「ん?」

歩美「哀ちゃんと、何の話してたの?」

コナン「え?」

歩美「朝。哀ちゃんとお話してたんでしょ?」

コナン「あ、ああ。大した用じゃないよ」

歩美「じゃあ何で私の所に一番に来てくれなかったの?」グスッ

コナン「っ!」

歩美「私、コナン君が褒めてくれると思って、学校に早く来たのに。怖かったもん。昨日。でも、コナン君はきっと褒めてくれると思って楽しみに来てしてたのに」グスッ

コナン「......」

歩美「ねぇ、コナン君。コナン君は私を、元太君を何とかする為に使っただけなの?」

コナン「......!」ピクッ

歩美「違うよね?コナン君......」

コナン「......勿論、違うさ」

歩美「本当?」

コナン「ああ。本当さ」

歩美「じゃあ、朝のは?」

コナン「ああ、あれは元太がいなくなった件について聞かれたのさ。勿論、歩美の事は内緒にしたけどな」

歩美「そう、なの?」

コナン「ああ。そうさ」

歩美「じゃあ、コナン君は哀ちゃんより私が好き?」

コナン「......ああ、勿論」

歩美「本当?」

コナン「ああ。俺は本当に歩美に感謝してるし、約束通り歩美を守りたい。歩美が好きだから」

歩美「コナン、君......」ドキッ

コナン「歩美、ありがとうな」ギューッ

歩美「い、痛いよコナン君」ドキドキ

コナン「あ、ああ。ワリーな。所で歩美」

歩美「なあに?」

コナン「その、嫌かも知れないが......。地獄少女について聞かせてくれないか?どんな事が起こったのか」

歩美「う、うん。でも、どうして?」

コナン「知っておけばいざと言う時、歩美を守る力になるかも知れないからな。それに、当事者として知っておきたいんだ」

歩美「コナン君......。分かった!何があったか話すね」

コナン「ありがとう、歩美」

歩美「うん、いいの。あのね......」

コナン(ありがとう、そして済まない歩美。最後までオメーを利用する俺を......。きっと怨むだろうな。それを知るのは、全てが済んだ時だけどな。そう、全て......)

コナンの教室。

「それでね、夕方みたいな景色の所に......」

灰原「......へぇ、そんな所に行くの。色々驚きね」ザッ,ザーッ

灰原「......ちょっと通信状態が良くないわね。まあ、工藤君が聞いているし。私は補助的に聞いているだけなのだけれど」

灰原「とりあえずこれで地獄少女の利用法も分かる。後はタイミングを待つのみね」

「そう言えば、あの人。保健の先生そっくりだった!」

灰原「へぇ、やっぱり。工藤君の考え通りね」

灰原「それにしても、フォローはしておいてと言ったけれど。やはり2人きりにするのは、心穏やかじゃないわね」

灰原「まあそれも、全てが終われば心配する事も無くなるわ。博士の事も、そして、工藤君の事も......」

灰原「......楽しみね。その為に地獄少女に会うのが」

一目連(お嬢に会う?まさか、コイツも誰かを流す気か?とにかくこれで......。コイツらは俺達の情報を大分持ったワケだ。骨女にも伝えておくか)フッ

夕暮れの里。

きくり「......zzz」

あいの祖母?「あい、どうしたんだい?」カラカラ......

あい「......何でもないよ、おばあちゃん」

あいの祖母?「何か、悩んでるのかい?」

あい「......ううん。何でもない」

あい「......誰が、悪くても、悪くなくても。また流れる。そう、それだけ。ただ、それだけ......」

きくり「......zzz」

スルスルッ

女郎蜘蛛(あいよ、気になるのか。あの町の人間達が。だが、今度お前が掟を破れば、その時は今度こそお前に沙汰を下さねばならん。お前が今後地獄少女としてどう生きるのか。見定めさせてもらうぞ......)スルスルッ

きくり「んっ......あー、よく寝たっ!」グーッ

あい「......おはよう」

米花総合病院、正面玄関。

曽根「......さて、行くとするかね」

一目連「骨女」

曽根「あれ?何でアンタここにいるんだい?」

一目連「ちょっと伝えたい事があってな」

曽根「伝えたい事?」

訂正。

女郎蜘蛛じゃなくて人面蜘蛛でした。
申し訳ありません。

米花総合病院。ロビー。

曽根「あの坊や達が?」

一目連「ああ。また良からぬ事を企んでそうだったぜ」

曽根「そうかい。まあ、まだ何かあるのは覚悟してたけどねぇ」

一目連「アイツらが本当に何をするつもりなのかはまだ分からないけどな。でも、お前さんの正体もバレちまったぜ」

曽根「ま、それはもう感付かれてたからね。今更どうこう言ってもね」ハァ

一目連「暗いな、何かあったか?」

曽根「ああ。依頼人が目を覚ましたのさ。で、あの坊や達に会いたいんだとさ」

一目連「何故?自分をいじめてた連中だろ?」

曽根「真実を、知りたいんだとさ」

一目連「真実?」

曽根「あの子は、この現実にケリをつけたいのさ。例えどうなろうと、今に答えを出そうとしてる。それが不幸を呼ぼうとね」

一目連「ふぅん。それにまた同情してんのか?」

曽根「まあ、そうかもね。ただ、それ以上に感じてるのさ。あの子達が会った時に、この謎だらけの一件に終わりが来ることをね」

一目連「なら、良いことじゃあないのか?仕事が終わって一件落着だろ?」

曽根「確かにね。でも、その結末がこの町の人間にも、お嬢にも後味の悪いモノを残しそうでね」

一目連「また、お嬢が感情を爆発させそうだと?お嬢のトラウマを刺激しそうな結末が来ると?」

曽根「あくまで予感だけどね。そんな気がするんだよ」

一目連「なるほど。今回一番ターゲットにも依頼人にも接してる骨女が言うのなら、有り得なくは無いのかもな」

曽根「心配し過ぎだとは思うんだけどね。もし、お嬢が今度こそ地獄に流されたらと思うとね。今回は掴めない事だらけだし、何があっても不思議じゃないからね」

一目連「確かにな。だが、この先どうなるか。俺達が心配しても仕方無い。誰がどう答えを出すかは、本人次第だからな。依頼人も、お嬢も。その答えを、俺達は見届けるしかない」

曽根「......」

一目連「信じて、見届けてやれよ。あの坊やの答えと、それに対するお嬢を」

曽根「......そうだね。たまには良いこと言うじゃないか」

一目連「俺はいつでも良いことしか言わないの」

曽根「はいはい。所で、輪入道は?」

一目連「ああ、ちょっと阿笠の張り込み頼んだ。何かあれば連絡をくれと。俺は俺で、灰原哀に興味があったんでな」

曽根「おや、何でまた?」

一目連「確かめてみたいのさ。あの子が動いてる理由は、工藤新一への愛情なのか、それとも家族への想いからなのか」

曽根「あの子がお姉ちゃんを亡くしてるから、かい?兄弟姉妹ってモノに拘るね、アンタは」

一目連「拘りはお互い様だろ。さ、行こうぜ。あの坊や達を呼びに行くんだろ?付き合うぜ」

曽根「そうだね、行くかね。この仕事を終わらせにね」

本日は終了します。

最近、不定期でお礼も言えず皆さんすみませんでした。

長くなってしまいましたが、今週で終わる予定です。

阿笠宅前。

輪入道「やれやれ。一目連の奴。面倒押し付けてさっさと行っちまうたあなあ。年寄り労ろうってぇ気にはならねぇのか。全く」

ブーン.....キキーッ!!

輪入道「ん?何だありゃ?宅配便か?いや、何か妙だな......」

ピンポーン........ガチャッ

阿笠「おお、待っておったぞい。早速運びこんでくれ」

ゾロゾロ......

輪入道「何だありゃ?妙な機械を運びこんでやがるな。こりゃあ何か企んでやがるな......」

帝丹小学校。昼休み。

コナン「......ふぅ」

灰原「お疲れの様ね」

コナン「ん?大丈夫さ。今は歩美も先生に呼ばれていないしな」

灰原「そう。でも疲れた顔してるわ。さっきので気を病んだかしら?それとも、同情心から決心が鈍ったかしら」

コナン「今更か?んなわけねーだろ?」

灰原「そうかしら?」

コナン「随分突っ掛かるな」

灰原「そりゃそうよ。仕方無いとは言え、あなたが他人と2人きりでいるのは、気分が良くないわ」

コナン「それは悪かったが、フォローはしとけと言ったのはオメーだろ?」

灰原「そうだけど、女の嫉妬は理屈じゃないのよ」

コナン「......なあ灰原。オメーさ」

灰原「何かしら?」

コナン「いや、何でもない」

灰原「言いかけてやめるのは気分が良くないわ。言いなさいよ」

コナン「......じゃあ聞くが、オメーは」

曽根「お2人さん、お取り込み中ちょっと良いかい?」

灰原「!」

コナン「......先生、どうしたの?」

曽根「アンタに会いたいって人がいるんでね。ちょいと呼びに来たのさ。一緒に来て貰えるかい?」

灰原「会いたい?まさか......」

コナン「......それは、誰?」

曽根「来れば判るさ。でも、大体察しはつくんじゃないかい?」

コナン「......分かった、行くよ」

曽根「じゃあ、付いて来なよ。送るからさ」

コナン「分かったよ。校門で待っててくれる?」

曽根「あいよ、待ってる」スタスタ......

コナン「......どうやら、来たみたいだな」

灰原「会いたいって、まさか」

コナン「多分、光彦だろうな。時が来たんだ」

灰原「そう、なら......」

コナン「ああ。上手く行けば今夜、全てにケリが付く」

灰原「来たのね。この時が」

コナン「ああ、こんなに早く来るとは思ってなかったけどな。運命ってヤツかな」

灰原「……そうね。私は残るわ。あなた1人で行った方が、何かと都合が良いでしょうから」

コナン「分かった。帰ってきたら、また話そう」

灰原「ええ、分かったわ」

コナン「じゃあ、後でな」

灰原「気を付けて行ってきてね」

コナン「ああ、それじゃ」スタスタ……

灰原「……さあ、生き残るのはどちらなのかしら?あなた?それとも……【あなた】?どちらでも……私に避ける術は無いのだけれどね……」

校門前。

曽根「……」ソワソワ

一目連「落ち着けよ。こっちまでむず痒くなる」

曽根「うるさいね、良いじゃないか」

一目連「っと、何て言ってたら来たか」

曽根「!」

スタスタ……

コナン「ごめんなさい、遅くなって」

曽根「いや、良いさ。準備は良いかい?」

コナン「うん。その人は?」

曽根「ああ、これはアタシの知り合い」

一目連「これ、とは何だよ。石元蓮だ。よろしく」

コナン「よろしく、蓮さん。じゃあ、早速行こうよ」

曽根「あいよ。じゃ、運転よろしく」

一目連「あ?俺かよ?」

曽根「良いからやんな」

一目連「へいへいっと……」

コナン「仲良いんだね。あの人と。あの人も仲間?」

曽根「ん?」

コナン「……地獄少女のさ」

曽根「……さあてね。何の話やら」

コナン「……そっか。言いにくいか。じゃあ先生。世間話をしようよ」

曽根「世間話?」

コナン「そう。他愛もない、想像と推察に満ちた、世間話をさ」

曽根「あんまりペラペラ喋るのは好きじゃあ無いんだけどねぇ。特にアンタみたいな鋭い坊や相手は、さ」

コナン「僕も苦手だよ。先生みたいに正体の掴めない美人を相手にするのは、ね」

曽根「お世辞が上手いじゃないのさ」

コナン「美人が苦手って言うのは本当だよ。僕の周り、癖のある女の人ばっかりだったからさ」

曽根「みたいだね。いつも一緒にいる灰原哀ちゃんもまた、色々あるみたいな子だからねぇ」

コナン「まあね。先生はどこまで知ってるのかな?」

曽根「良い事教えてあげるよ。慌てる男は女心を見逃し易いもんさ。もっとじっくり攻めなきゃ」

コナン「そうしたいけど、そうも行かなくって」

曽根「アンタの計画のせいで、かい?」

コナン「……へぇ、やっぱりそういうトコまで知ってるんだ」キラッ

曽根「っと、つい……」

ブーン……キキッ!

一目連「ほら、乗んな」

曽根「続きは車の中にしようかね」

コナン「そうだね、病院に着くまでに終われば良いんだけどね」

曽根「何だい、やっぱり気付いてたのかい」

コナン「僕にわざわざ会いたいなんて、今思い付くのは光彦位だから」

曽根「なるほどね。ま、とにかく乗んなよ」

コナン「うん。……念の為聞くけど、変な事しないよね?」

曽根「何を持って変と言うかは知らないけど、危害を加えることは無いさ。その時が来ない限りは」

コナン「……そっか。その時までは、ね」ニッ

曽根「何だい?」

コナン「ううん。何でも」

曽根「……」

一目連「早くしてくれ。他の人の迷惑だ」

曽根「……はいよ」ガチャッ

移動車内。

曽根「......」

コナン「黙っちゃって、どうしたの?」

曽根「別に、何でもないさ」

コナン「いざとなると、話にくくなった?」

曽根「......」

一目連(あまり迂闊な話も出来ないしな......。それに、灰原哀も来るかと思ってたが、読みが外れたか)

コナン「ふぅ、じゃあ僕今から想像を独り言で話そっと。暇だから」

曽根「?!」

コナン「僕の周りに妙な事が起きたのは、光彦の様子が変わり始めた頃だったけど、あれは光彦が地獄少女を呼んだからなのかなあ」

一目連(何が独り言だよ。そんなのに答える訳が......)

曽根「......ふぅ、アタシも暇だから独り言でも言うかね。あくまで独り言の妄想を」

一目連(なっ?!)

曽根「光彦って坊やはまだ地獄少女に会ってはいないんじゃないかねぇ」

コナン「光彦は地獄少女に会ってないのかなあ?じゃあ何で僕らの周りでおかしな事が起きるのかなあ」

曽根「光彦って坊やは心が不安定なんじゃないかねぇ。だから、その怨みの相手を見定めるために、仲間が身辺調査を行ってたんじゃないかねぇ」

コナン「なるほどねー。独り言だけど」

曽根「アタシも疑問があるんだよねぇ。独り言だけど」

コナン「......」

曽根「とある所に妙な薬で身体の縮んじまった連中がいるんだけどね?まあその連中、複雑な事情を抱えてるみたいなんだけど、どうも判然としないんだよねぇ。その連中の目的がさ」

一目連(骨女、何考えてんだ?そんな話して面倒な事になったら......)

コナン「へぇ、薬で身体が縮むなんて不思議だなあ。一体何が不思議なのかなあ」

曽根「まあその連中、妙な奴に脅されててね。そいつを始末したいみたいなんだけど、今一回りくどいと言うか、何がしたいのやら」

コナン「回りくどい行動にも、意味はあるんじゃないのかなあ」

曽根「......意味?」

コナン「そう、意味」

曽根「どんな意味が......あるってんだい?」

一目連「お、おい......」

曽根「妙な機械のせいとは言え、友達いじめて平気な顔をする事に」

コナン「......」

曽根「惚れた女の為とは言え、周りの人間を巻き込む事に」

コナン「......」

曽根「女の子騙して、取り返しのつかない重荷を背負わせる事に」

一目連(やめろ、骨女)

曽根「一体何の意味があるんだい!」

一目連「もう良い、やめろ骨女」

曽根「......っ」ハッ

一目連「感情的になった時点でお前の敗けだ」

曽根「......」

コナン「意外と、人間らしいんだね。地獄少女の仲間なんだから、もっと怖くて無感情なんだと思ってた」

曽根「少なくとも、今のアンタよりは人間らしいさ。アンタの今の目は、常人の目じゃないよ。工藤新一」

コナン「へぇ、僕の......いや、俺達の正体も知ってるんだ」

曽根「ああ。アンタの正体やら背景は、大体ね」

コナン「そっか。知らない間に調べられてたんだ。探偵顔負けだね」

曽根「それが仕事だからね。見たくなかろうが知りたくなかろうが。お嬢の為に調べる必要のある物は調べる。それがアタシらの生きる意義だからね」

コナン「お嬢......?地獄少女はそう呼ばれてるんだ」

曽根「どう呼ぼうがアタシらの勝手さ。とやかく言われる筋合いは無いね」

コナン「別に、文句は無いよ。ただ、噂のイメージからは想像出来ない可愛らしい呼び名だと思ってさ」

曽根「見た目と中身が違う、イメージと現実が違うなんて事は良くある事さ。アンタ達がいい例だろう?」

コナン「……まあね」

曽根「で?わざわざアタシを怒らせて何が聞きたいのさ?」

コナン「聞きたい事があるわけじゃないよ。ただ知りたかっただけ。あなた達がどんな人なのか。まあ、さっき骨女って言われてたし、人間じゃあ無いのかな」

一目連「……」

曽根「何故、そんな事知りたいのさ?」

コナン「そりゃ決まってるよ。俺も依頼する事になるから。今晩にでも」

曽根「……!」

コナン「あなた達が依頼人の事を知っておきたいと思う様に、俺も頼む側の事を知っておきたいと思うのは変?」

曽根「……じゃあ、アンタはアタシ達を知る為にあの女の子を?」

コナン「それもある。理由は他にもあるんだけど」

曽根「……アンタ達は、最終的に何をしたいんだい?アンタは誰を流す気なんだい?」

コナン「それは、すぐ分かるよ。すぐにね」

曽根「……止まる気は無いのかい?」

コナン「無いよ。止まれないし」

曽根「これからあの子に会いに行って……。あの子も巻き込むのかい?」

コナン「……そうなる、かな。でも、邪魔しない。いや、出来ないんでしょう?あなた達は」

曽根「……ああ。あくまでアタシらは見てるだけ。その時が来るのを。その時が来たら、標的を速やかに地獄に流す。それが仕事さ」

コナン「そっか。やっぱそうだよね」

曽根「止めて欲しかったのかい?」

コナン「今更無理だよ。それは。アイツも止まれないし」

一目連「アイツってのは、灰原哀の事か?」

コナン「……そうだよ」

一目連「あの子が止まれないのは、お前の為か?家族の為か?」

コナン「灰原が気になるの?ひょっとしてさっき言ってた優秀な目ってあなた?」

一目連「……まあな」

曽根「一目連、アンタ……。わざわざ言わなくても」

一目連「今更、だ。沙汰が降るならとっくに降ってる。大丈夫だろ」

コナン「……正直、測りかねてる部分はあるんだ。アイツが今何を考えてるのか。でも、どの道2人で行き着く処は同じだから」

一目連「どういう意味だ?」

コナン「言葉通りだよ。その内分かるよ」

一目連「.......ま、俺は見てるだけだ。この先お前らがどうなろうとな」

コナン「そっか。さて、そろそろ着くね。ねぇ、ここで降ろしてよ。後は歩くから」

曽根「そう、だね。止めとくれ」

キキッ!

コナン「どうも、ありがとう」ガチャッ

曽根「アタシも行くよ。アンタ1人で行っても会わせてくれないだろうからね。一目連、アンタは行っとくれ」

一目連「......ああ。骨女。気を付けろよ」

曽根「大丈夫さ。後はなるようにしかならないさ。アンタはアンタの仕事しな」

一目連「......分かった。じゃあな」ブーン.....

曽根「さて、気は進まないが行くかね」

コナン「......光彦が気になるの?」

曽根「......ちょっとね。こっちの都合さ」

コナン「そう。ねぇ、あなたは暫く光彦を見て接してきたんでしょ?どう思った?」

曽根「何がだい?」

コナン「光彦が本当に怨むのは、誰だと思う?」

曽根「......それは、本人次第さ。ただ、あの子は、知りたいんだとさ」

コナン「何を?」

曽根「真実、だとさ」

コナン「......!」

曽根「自分に不都合だとしても、真実が知りたいんだとさ」

コナン「......そう」キラッ

米花総合病院。光彦の病室前。

曽根「さ、ここだよ。アタシは外で待ってる」

コナン「入らないの?」

曽根「人がいちゃ、お互い話しにくいだろう?早く行きなよ」

コナン「......そう、ありがとう」

コンコン

光彦「どうぞ」

コナン「......じゃあ」

曽根「......」コクッ

カチャッ

コナン「......」

光彦「......お待ちしてました。コナン君」

コナン「よう、光彦」

曽根(さあ、もう後戻りは出来ないね。行く所まで、行くだけさ......)







今週中と言いながら書けずに申し訳ありません......。
明日には完結します。

光彦「来てくれるとは、思ってませんでした」

コナン「俺も、お前がこんなに早く回復するとは考えてなかったよ。驚いた」

光彦「あなた方に鍛えられたお陰かもしれませんね」

コナン「皮肉のつもりかよ。ま、思考能力は正常みたいだな」

光彦「ええ。落ち着いてます。妙にスッキリしてます」

コナン「そうか。そりゃ何よりだ。ツラはひでーモンだがな」

光彦「そりゃあ、あれだけ殴られれば。そう言えば、元太君が行方不明と聞きましたが」

コナン「ああ。驚いたぜ。いきなりいなくなっちまったんだから」

光彦「ええ。何処に行ったんでしょうか......」

コナン「自分をそこまでボコった相手が、心配か?」

光彦「......分かりません」

コナン「そもそも、オメーをいじめてた俺を何故呼んだ?怨み辛みでも言おうってか?」

光彦「逆にお伺いします。何故来てくれたんですか?」

コナン「......」

光彦「話したい事があるから。だからこうして僕の呼び掛けに応えてくれたんでしょ?」

コナン「......まあな」

光彦「僕もです。僕はコナン君の本当の気持ちを知りたくて。だから呼んだんです」

コナン「何故知りたいんだ?オメーは俺を、いや。俺達を怨んでるんだろ?」

光彦「分かりません。僕は、自分の本当の気持ちを知りたくて。自分がどうしたいのか、その答えを知りたいんです」

コナン「答えを出して、地獄少女に怨みを晴らしてもらうか?」

光彦「っ!?何故それをっ!?」

コナン「つい先日まで死に体だったオメーが、生気を取り戻した。何か、希望を見出だせるモノに出会ったんじゃねーかとな。色々調べてよ。これじゃないかと踏んだのさ」

光彦「......流石ですね。何でもお見通しですか」

コナン「勘だよ、唯の。俺の話を聞いて俺を許せなければ、俺を地獄に送るか?」

光彦「......分かりません。でも僕は答えを出したいんです」

コナン「分かった。俺も話さなければと思ってた。オメーと本音で......。真実をな」

光彦「コナン君......」

コナン「今から話す事は信じられるモノじゃないかも知れない。だが、聞いてくれ。この気持ちを。秘めた真実を」

光彦「......分かりました」

コナン(そう、話そう。真実を。だが、その更なる奥の真実は......)

帝丹小学校。コナンの教室。

歩美「あーあ。小林先生お話長いんだもん。コナン君とお話してスッキリしようっ」

ガラッ

歩美「......あれ、コナン君がいない?」キョロキョロ

灰原「......」

歩美「あ、哀ちゃん。コナン君は?」

灰原「さぁ、どこかしら。知らないわ」

歩美「本当に?」

灰原「ええ。知らないわ」

歩美「......嘘つき」

灰原「......?」

歩美「哀ちゃんが知らないわけ無いもん!いつも秘密ばっかり!コナン君は何処に行ったの?」

灰原「そんなに気になるの?」

歩美「気になるもん!コナン君は私にとって特別なんだもん!私だって、コナン君の特別になれたと思ってたのに......」

灰原「......」

歩美「コナン君が嘘つくなんて思えない。でも、いつも私より哀ちゃんとばかりいて。私、私......」

灰原「......」

歩美「教えてよ。2人は一体、何を隠してるの?」

灰原「そんなに知りたい?」

歩美「......うん」

灰原「なら教えてあげるわ。私の言う通りにするならね」

歩美「え?」

灰原「知りたいのでしょう?真実を」

歩美「......うん」

灰原「なら、私の指示に従って。そうしたら全て教えてあげる」

歩美「......分かった」

灰原(......ごめんなさい、工藤君。ちょっとあなたの計画とはズレてしまいそうね)

米花総合病院。

光彦「......」

コナン「じゃあ、光彦。また後でな」スッ

光彦「コ、コナン君!」

コナン「......今は休んどけよ。その時の為にさ。じゃあな」スッ

光彦「......分かりました」

パタンッ

光彦「......許さない。許さないぞ、絶対。必ず流してやる!絶対に!」

スタスタ......

コナン「......」

曽根「終わったのかい?」

コナン「うん、終わった」

曽根「そうかい」

コナン「何の話をしたか聞かないの?」

曽根「言ったろ?ここまで来たら中に踏み込むのは野暮ってもんさ。アンタが何を企んでようと、別にそれを止めるつもりは無いさ」

コナン「そう、ありがとう。僕、1人で帰るから、後は良いよ。多分すぐ会うような気はするけど」

曽根「......そうかい。止めやしないよ」

コナン「じゃあ、また」スタスタ......

曽根「待ちなよ」

コナン「え?」クルッ

曽根「アンタらを見てて、理解出来ない所も多々ある。許せない所もね。何をしようとしてるのかも、良く分からない」

コナン「......」

曽根「けど、アンタの目を見て思ったよ。アンタの目。悲しみに満ちた目だ。狂った人間の目じゃない。アンタはまだ人間の筈だよ」

コナン「......」

曽根「やめる気は、無いのかい?」

コナン「何度も言わせないでよ。それは無理」

曽根「......そう。なら行きなよ。アンタを見ているのは辛いんだ」

コナン「......ありがとう。話せて良かったよ。あなたと」ニッ

曽根「......」

コナン「......じゃあ」スタスタ......

曽根「......哀れだね、アンタ達」

光彦「......」

コンコン

光彦「どうぞ」

スッ

曽根「どう?調子は」

光彦「あ、先生。ありがとうございます、コナン君を連れて来てくれて」

曽根「お礼を言われる程の事じゃないさ。それよりどう?気は晴れた?」

光彦「......ええ。やっと僕は自分の気持ちが理解出来ました」

曽根「......!」

光彦「分かったんですよ。僕は誰を怨むべきなのか。うふ、うふふ......」

曽根「......」

光彦「色々とありがとうございました、先生。僕はもう大丈夫です」

曽根「アンタ、まさか......」

光彦「うふ、うふふ......」

曽根「少し落ち着いて休んだらどうだい?ちょっと興奮してるみたいだし」

光彦「そうですね。そうします」

曽根「......じゃあ、また」

光彦「ええ」

曽根(......これが、狙いだったのかい?だとしたら......)

帝丹小学校。

歩美「......本当にそんな事をするの?」

灰原「ええ、そうよ」

歩美「でも......」

灰原「出来ないのなら、良いわ。でも江戸川君、悲しむでしょうね。あなたは......」

歩美「......分かった、哀ちゃんの言う通りにする」

灰原「そう、ありがとう。なら、また後で連絡するわ。よろしくね」

歩美「......うん」

灰原「......さて、後は工藤君からの連絡を待つばかりね」

一目連(......骨女が光彦と工藤新一の会話を見るなと言ったから灰原哀を見る余裕が出来たが。まさか、あの子をまだ利用する気なのか?灰原哀、お前は......)

prrrr......

一目連(あ?電話?)ピッ

一目連「もしもし?」

輪入道「おう、俺だ。今良いか?」

一目連「どうしたよ?」

輪入道「阿笠の家で妙な動きがある。悪いが見てくれねぇか」

一目連「了解、分かった」ピッ

一目連「やれやれ、阿笠の家だな......」

阿笠宅。

阿笠「ククク......。もうすぐ完成じゃ。ワシのデータを新一へ移すための装置がな......」

阿笠「予定より早くなってしまったが、最近妙な事ばかり起きるからの。用心に越した事は無いわい。楽しみじゃのう、新一の怯え慄く様がのう」ニヤリ

阿笠「以前この体にダウンロードした時の装置より高性能のマシンも運びこんだ。後はデータを入力して行くだけじゃわい。ま、深夜には終わるじゃろう」ニヤリ

prrrrr......

阿笠「む?電話かの」ピッ

阿笠「あー、もしもし?阿笠ですが。おー、君か。どうしたのかね?」

阿笠「......何?学校から消えた?ふむ、ふむ、分かったぞい。ありがとう」ピッ

阿笠「新一の奴め、こうも表立って怪しい動きをするとはの。まあ良い。機械をセットしてしまえば済む話。お前の人生も今日限りじゃ。せいぜいチョロチョロしとるが良いわ」ニヤッ

一目連(......こっちでも動きが。にわかに緊迫して来やがったな)フッ

一目連「......ふぅ。これはまた忙しくなりそうだな。戻るとするか」フッ

しばし後。帝丹小学校。

灰原「......遅いわね、まさか」

prrrrrr......

灰原「!」ピッ

灰原「もしもし?」

コナン「おう、俺だ」

灰原「遅かったわね」

コナン「まあ、ちょっとな」

灰原「で、首尾は?」

コナン「成功、かな。光彦との話は済んだ」

灰原「......なら」

コナン「ああ。今夜決行する」

灰原「そう。分かったわ。失敗する事も、覚悟していたけど」

コナン「俺もだ。まあ、今は良くても今夜失敗しちゃ意味がないけどな」

灰原「ええ。そうね。所で今晩だけど」

コナン「ん?」

灰原「彼女を使うわ」

コナン「え?それってまさか」

灰原「そうよ、そのまさか」

コナン「しかし、それは......」

灰原「私も今更、止まれないのよ」

コナン「......分かった」

灰原「では後程、合流しましょう」

コナン「......分かった」ピッ

コナン「......震えて来ちまった。今夜。今夜......」ブルブル

コナン「怖いのかな、博士が、自分が、灰原が......」

コナン「それとも、楽しみなのか?何が起こるのか。やっぱ狂ってるのかな、俺」ブルブル

コナン「済まねぇな、歩美、光彦......。今日で、最後だ」

あい「......」フッ

米花総合病院。

光彦「......もうすぐです。みんな、もうすぐ終わるんです。僕の手で」

光彦「待ってて下さいね。みんな......」

あい「......」 フッ

夕暮れの里。

骨女「......どこ行ったんだろうね、お嬢」

一目連「さあな。分からねぇ」

輪入道「まあ、待つとしようや。もう仕事が近いのは間違いねぇんだ」

骨女「ああ、間違い無く今夜。動くよ」

きくり「流すぞ流すぞー!たっくさん流すぞー!」

骨女「ちょっと!静かにしとくれよ!」

一目連「まあまあ。しかし、この息苦しい仕事も、やっと終わりか」

骨女「全く。胸苦しい日々だったよ」

輪入道「後は、お嬢......」

一目連「......大丈夫だろ、きっと」

骨女(お嬢......)

あい「......」フッ

三藁「!」

あい「......もうすぐ、仕事」

三藁「!......了解」

あい「......」

骨女(お嬢も、準備は出来たみたいだね。心の......)

何度も遅くなり申し訳ありません。
もうしばし時間がかかります。
本当に申し訳ありません。

皆さんありがとうございます。
なるべく早く、でも雑にならないように書いて行きたいと思います。

その日の夜。19時。【その時】まで6時間。

阿笠「やれやれ。突貫作業は疲れるわい。夢中でやっておったらいつの間にやら真っ暗じゃ」チラッ

阿笠「もうこんな時間か。全く時間を気にしておらんかったからのう。む?そう言えば哀君はどこじゃ?」キョロキョロ

阿笠「帰って来た形跡が無いわい。新一を呼ぶ様に言ってあったが、居らんみたいじゃし......」

阿笠「やはりこれは、反旗を翻そうとしておると見て間違いないかのう......」

ブーッ、ブーッ......

阿笠「む?メールかの?ん?哀君からじゃな」ピッ

阿笠「......何?歩美君の家に行くから今日は帰らんじゃと?」

阿笠「妙じゃのう。そんな話は......」

ブーッ、ブーッ......

阿笠「またメールか。今度は......。新一か?」ピッ

阿笠「何々?体調が悪いから今日は行けない?明日には必ず行く、じゃと?」

阿笠「ふん、白々しい。2人一緒に都合良く用事など信じられんわい」

阿笠「......まあ良いわ。どの道装置を完成させねばならんからの。明日に顔を出すと言うなら、明日がお前の最期じゃよ。新一」ニヤッ

阿笠「さて、もう一頑張りじゃな。しかし身体が重いわい。ま、我慢じゃな。完成さえすれば全て解決じゃ。若く美しい肉体、明晰な頭脳。美しい恋人。全てが手には入るのじゃから。これくらいは我慢せんとの、ククク......ヒヒヒヒヒ......」

阿笠「じゃが、何も出来やせんじゃろうが......。万が一邪魔をされても鬱陶しいしの。手は打っておくかの」ピッ

阿笠「......ふむ、アレを使うかの」ニヤッ

阿笠「ククク......。アレを見た時の新一の顔が見物じゃ」ニヤッ

同時刻、某所。

コナン「......後少しか。もどかしいな」

灰原「工藤君」

コナン「......来たか」

灰原「こんな所で黄昏てたの?」

コナン「まあな。気分が落ち着かなくてよ」

灰原「そう。無理も無いけど。今日私達は、博士をこの世から葬るのだから」

コナン「ああ、そうだな......」

灰原「あと数時間で行動開始よ。落ち着かないのは解るけど、食事して休みましょ。いざと言う時失敗しても知らないわよ」

コナン「分かってるさ。でも色々考え事がな」

灰原「この期に及んで何を?」

コナン「博士がどう動くか、とかな。俺達の動きがおかしいのは分かってるだろうからな。何らかの対策を打たれないとは限らない」

灰原「確かにね。でも、今更そんな事は分かりきってるじゃない。あなたの不安はそこじゃないでしょ?」

コナン「......」

灰原「話せないなら、良いけど」

コナン「......ちょっと、胸に来るモノがあってさ」

灰原「?」

コナン「さっき、光彦に会いに言った時さ。保健の先生と......。いや、地獄少女の遣いと話したけどさ」

灰原「......」

コナン「思ってたのと違ってたよ。血も涙も無いもんだと思ってた。何せ地獄の遣いなんだから。まさか、あんなに人間味あるとは考えても見なかった」

灰原「......それで?」

コナン「そんな連中が......。俺達と関係ある訳じゃない、しかも人を地獄に送るって連中の方が人情があるってのにさ。余程俺の方が化物みたいだよな、と思ってさ」

灰原「それが嫌だと?今になって辞めようと?」

コナン「いや、そうじゃないさ。ただ、改めて自分の罪深さを認識したのさ」

灰原「あなたらしいわね。どこまで行っても、中途半端に正義感を捨てきれない」

コナン「見損なったか?」

灰原「いいえ。そういうあなたが好きだから。と、言うよりはそういうあなただから良いの」

コナン「そっか、ありがとよ。なあ灰原。ついでだから聞いて良いか?」

灰原「何かしら?」

コナン「オメーが今胸に溜めてるモノ、良かったら話してくれよ」

灰原「......私の?」

コナン「ああ。あるんだろ?何か」

ちょくちょく更新よりまとめて一気に書いて欲しいかな

皆さんありがとうございます。

>>270さん
申し訳ありません。
タイミング悪く仕事で転勤になりバタバタしてまして......。

近日中にはまとめて投下したいと思いますので、ご容赦ください。

灰原「別に......。あなたと考えてる事は大差無いわよ」

コナン「本当か?」

灰原「ええ。と、言うより何故そう思うの?」

コナン「何と無く違和感を感じるからさ。オメーの言動に」

灰原「あら、私が信じられなくなった?」

コナン「違う、そうじゃない。ただ......」

灰原「まあ、言いたい事は分かるわ。そうね。今言うなら......。今のあなたの目的は私を守る事と、博士を止める事。だけど、私はあなたと居る事が第一。その違いじゃないかしら」

コナン「なら、俺と同じじゃないのか?」

灰原「違うわ。私とあなたでは1つ違いがある」

遅くなりました。
今日1日不定期に投稿します。

コナン「違い?」

灰原「……あなたから博士の正体を聞いた時。計画を聞いた時。吉田さんを巻き込むと聞いた時。最初は動揺したわ。驚き、混乱もした。でも、私のしたい事は1つだから覚悟は決めた。私はあなたと一緒にいたい。ただそれだけ。だから、私はあなたといれる1番確率の高い道を選ぶ」

コナン「だからあの時、2人で死のうと?終わらせようと?」

灰原「ええ。でも、やはり生きてあなたといたいとも思う。それにあなたは事を途中で辞めるつもりも無いみたいだし。それに……。あなた以外の事はどうでも良いとは言っても、やはり当事者として投げ出すのもね……。博士はまだ、私に対して何らかの秘密があるみたいだし」

コナン「……あれだけ最初動揺してたオメーが、今は落ち着いてる理由は何と無く分かった。でも、俺にはまだ分からない」

灰原「何が?」

コナン「オメーの言う俺との違いが。そして、オメーの目に宿る俺とは違う狂気の元が」

灰原「簡単よ。あなたは覚悟が足りてない」

コナン「覚悟?俺が?」

灰原「ええ、そうよ」

コナン「俺の……何が足りてないってんだ?俺は今更犠牲なんか……」

灰原「でも、怖いでしょう?失敗するのが」

コナン「!」

灰原「あなたは……。自分や他人を犠牲にする事は出来ても、失敗して私に何かある事を恐れてる。違う?)

コナン「それは……。当たり前じゃねぇか……」

灰原「私は怖くないわ。たとえ失敗して、あなたが阿笠博士にダウンロードされ今のあなたで無くなっても、あなたと一生いる覚悟は出来てる」

コナン「!」

灰原「そうなるのは嫌よ。でも、例えどうなっても、あなたはあなただから。だから私は失敗など恐れないわ」

コナン「灰原……」

灰原「この期に及んで引いた考えを持つ事こそ、1番してはいけないわ。躊躇、不安、動揺。それが土壇場で失敗を生む。どの道引き返せないなら、今更心配などしないで計画を成功させる事だけを考えて」

コナン「……」

灰原「あなたはいつも、そうしていたでしょう?成功するにしろ、失敗するにしろ」

コナン「……やれやれ」

灰原「何?」

コナン「オメー、よっぽど俺よりイっちまってるよ。絶対」ニッ

灰原「今更何言ってるの?お互い様よ」クスッ

コナン「……ワリーな。土壇場でビビっちまってたのかも知れねぇ」

灰原「違うわ。あなたは私に対して優しすぎるだけよ。嬉しいけどね」

コナン「……バーロ」

灰原「……気は済んだ?」

コナン「ああ。もう大丈夫だ。準備にかかるか。あと……数時間だ」

灰原「水をさす様で悪いけど」

コナン「ん?」

灰原「あなたは......何を知ろうとしてるの?」

コナン「唐突に何だよ?」

灰原「とぼけないで。博士の事よ」

コナン「......」

灰原「あなたは博士に話を聞き真実を知った。でも、まだ何か納得していないのでしょう?」

コナン「......」

灰原「何を聞きたいの?何を求めてるの?」

コナン「......博士がまだ、あそこに居るのかどうか」

灰原「えっ?」

コナン「烏丸の話じゃ、阿笠博士が乗っ取られたのは俺がガキの頃だって話だった。今でも覚えてる。あのちょっと間が抜けてるけと、俺と蘭を優しく見てくれた博士の笑顔」

灰原「......」

コナン「あ、ワリーな。蘭の名前出して。変な意味はねーんだ」

灰原「構わないわ。それで?」

コナン「......俺は今まで、博士の正体を見抜けなかった。烏丸の演技が完璧だったのかも知れないけど、果たして俺が博士の変貌を見抜けないなんて事が有り得るだろうか?」

灰原「何を......言いたいのかしら?」

コナン「ひょっとしたら博士の意識はまだ......。完全には乗っ取られて無いんじゃ無いか?」

灰原「......」

コナン「何処かに......。烏丸に支配された意識のほんの片隅にでも博士は残ってるんじゃないか?だから俺は博士の変貌を......」

灰原「......非常に申し訳無いけど、無いと思うわ」

コナン「......」

灰原「仮に......。仮にあったとしても、今更博士を救う手立ては無いわ。あなたの知っている頃の博士には、戻れない」

コナン「......分かってるさ。でも、オメーも博士に感じた瞬間は無いか?邪ではない、暖かさを」

灰原「......あるわ。だからこそあなたの話を最初は信じたくなかった。勿論、あの時博士がボスだと知った時もね」

コナン「......ひょっとしたら、俺達が生きているのは、烏丸の欲望では無く博士の意識が助けてくれてるんじゃないか。そんな気持ちもあるんだ」

灰原「仮にそうだとして、あなたはどうするの?」

コナン「......勿論、止めるさ。今更変わりはねぇよ。ただ......」

灰原「ただ?」

コナン「礼と謝罪くらい、言っときたくてよ。烏丸じゃなく、博士に」

灰原「センチな事ね。自己満足に過ぎないわ。所詮多数の犠牲の1人には変わり無い」

コナン「......ああ」

灰原「でも、それがあなただから。だから止めないわ。でも、私情が決断を鈍らせる事は、理解してるわよね」

コナン「ああ。分かってる」

本日はここまで、明日更新予定です。

灰原「......でも、おかしな物ね」

コナン「あん?」

灰原「どの道、結果がどうなろうと......。地獄に行くのよ?私達」

コナン「......ああ」

灰原「なのに、そんな恐ろしい未来が待ってるのに、他者の事で悩むなんて。何だかおかしいわ」

コナン「......だな」

灰原「......博士に、もし自意識の欠片でもあるなら」

コナン「ん?」

灰原「私も一言言ってあげないとね」

コナン「......何て?」

灰原「内緒よ。その時までね」

コナン「......ズリーな」

灰原「いつもの事じゃない」

コナン「......だな」

灰原「......後悔、してる?」

コナン「何をだよ?」

灰原「私を、選んだ事」

コナン「......してるわけねーだろ、バーロ」

灰原「私を選ばなければ、あなたの手を汚す事も無かったのに?」

コナン「んなのは結果論だろ。それで後悔する位なら最初から見捨ててるさ」

灰原「......本当に、バカね」

コナン「お互い様だ。さて......そろそろ行こうぜ。時間は迫ってる」

灰原「......ええ」

コナン「俺は......光彦を迎えに行かねーとな。アイツを最後まで巻き込むのは、申し訳ねーけどな」

灰原「私も......。吉田さんを迎えに行かないとね」

コナン「......全てを知ったら、アイツら何て言うかな」

灰原「さあ.......。それは本人達に聞くしかないわね」

コナン「アイツらも俺に運命を歪められた者、か」

灰原「でもそれは、ある意味必然。お互いの想いが絡み合い、この道を選択した」

コナン「......因果な運命だな」

灰原「ええ。でも、いつまでも続けるわけにも行かない」

コナン「......ケリをつけよう。俺達の過去と未来に」

灰原「......私達の、私達自身の選択する地獄の為に」

コナン「......それじゃあ、手筈通り」

灰原「ええ。午前1時。あそこで」

コナン「無理はするなよ」

灰原「......保証は出来ないわ」

コナン「おいおい......」

灰原「なら、約束の印。頂戴?」

コナン「......分かった」ギュッ

灰原「工藤、君......」

コナン「......愛してる」チュッ

灰原「......私もよ」

コナン「......じゃあ」スッ

灰原「ええ」

コナン「......気をつけろよ」

灰原「あなたも」

21時。【その時】まで、あと4時間。

夕暮れの里。

あい「......」

あい「......」フッ

骨女「......あれ?お嬢は?」

一目連「ん?さっきまでいたのに」

輪入道「その内戻るさ。お嬢にも色々思う処があるんだろう。そっとしときな」

骨女「......お嬢、もしかして」

米花総合病院。

光彦「......時間が迫って来ました」

光彦「果たして......。本当に僕は開けるんでしょうか。地獄通信を」

光彦「......開いたと、して。地獄に人を送るなんて、本当に僕に出来るんでしょうか」ブルブル

光彦「ふっ、震えが......。止まらないっ」ブルブル

光彦「恐いです......。や、やりたくない。本当はやりたくないっ!!」

光彦「何で......。僕ばかりこんな目に」

光彦「う、うう......」

あい「......」

光彦「!」

あい「......」

光彦「あ、あなたは......?」

あい「......私は、閻魔あい」

光彦「じ、地獄......少女?な、何故?地獄通信は......」

あい「まだ......。開いてないわ」

光彦「じゃ、じゃあ何故今......?」

あい「......」

光彦「......僕を、笑いに?今更怯えてる僕を」

あい「......」

光彦「......あなたは、本当に人を地獄に送れるんですか?」

あい「......そうよ」

光彦「何故、そんな事を?」

あい「......」

光彦「すみません、何でもありません」

あい「......」

光彦「僕を......。見ていたんですか?ずっと」

あい「......そうよ」

光彦「なら......。僕はどうしたら良いと思いますか?」

あい「......それは、あなたが決める事よ」

光彦「それは、分かってます。分かってますけどっ......」

あい「......私は、あなたが決めた事に従うだけ。あなたが私と契約するなら、私は速やかに怨みの相手を地獄に流す。しないのなら、それだけの事よ」

光彦「......教えて下さい。僕があなたに会える様になったと言う事は、僕の心は」

あい「......それも、あなたが決める事よ」

光彦「......」

あい「......自分の目で見て、考えて」

光彦「......あ、あなたは一体?僕にどうしろと?」

あい「......言ったでしょ。それは、あなたが決める事よ」フッ

光彦「......」ハッ

光彦「今のは......。幻?それとも......」

光彦「......僕が、決める事。僕は、僕は」

光彦「......決めなくちゃ。コナン君が来る前に。僕の......答えを」

夕暮れの里。

あい「......」

骨女「お嬢」

あい「......」

骨女「あの子に、会ってきたのかい?」

あい「......」

骨女「やっぱり、気になるのかい?やめて欲しいのかい?」

あい「......」

骨女「あの子が気にかかるから、地獄通信を開くの、やめさせたかったんじゃないのかい?」

あい「......別に。それは、自分が決める事だから」

骨女「お嬢......」

あい「......それに、見えてないし」

骨女「え?」

あい「......」スタスタ......

骨女「どういう......事だい?」

同じ頃、歩美宅。

歩美「......もうちょっとで約束の時間」

歩美「哀ちゃん......」

歩美「本当に、いいのかな。これで……」

歩美「でも、あの時……」

数時間前。

灰原「なら、私の指示に従って。そうしたら全て教えてあげる」

歩美「……分かった」

灰原「じゃあ、これから言う事を良く聞いて。まず、あなたは博士に電話して」

歩美「博士に……?何て?」

灰原「江戸川君が学校からいなくなった事を電話して」

歩美「ど、どうして?」

灰原「必要なことなのよ。お願い。まあ、彼がいなくなって心配だ、とでも言って」

歩美「う、うん。分かった」

灰原(これで……。恐らく博士は動き出すはず。私達を処断する為に。でも、それこそが彼が自由に動ける唯一にして一瞬のチャンス。作業に没頭した博士はそれが終わるまでは動かない。研究者にダウンロードしたのが失敗だったわね。その習性は博士から抜けていない)

歩美「で、電話すれば良いの?それだけ?」

灰原「無論、まだやって貰うことがあるわ」

歩美「な、何……?」

灰原「……あなた、全てを知りたくない?」

歩美「全て?」

灰原「そう、最近のあなたが抱いている疑問では無く……。彼や私とあなたが出会ってから抱いている疑問の全て」

歩美「……!」

灰原「おかしいと思った事も多々あるでしょ?それを知りたいとは思わない?」

歩美「教えて、くれるの?」

灰原「ええ。私に協力してくれればね」

歩美「……でも、何をするの?怖い事?」

灰原「そうね、怖いかもね。でも……。人を地獄に流すより怖い事なんて、そうそうあるのかしら」

歩美「……っ!?」

灰原「どうかした?」

歩美「何で、知ってるの?」

灰原「?」

歩美「私が......元太君を地獄に送ったのを?!コナン君に聞いたの!?」

灰原「......そうなの?」

歩美「え?」

灰原「私は、人を地獄に送るのは恐い、と言うニュアンスの話をしただけよ?最近、地獄少女なんて噂がある位だし。あなたが人を地獄に送った、なんて一言も言って無いわよ?」

歩美「え、あ、あの......」ブルブル

灰原「彼の為に......手を汚したの?」

歩美「わ、私は、私は......」ウルウル

灰原「大丈夫よ......」ギュッ

歩美「あ、哀ちゃん......」

灰原「私はあなたの味方よ。あなたを責めたりしないわ。落ち着いて」

歩美「う、うっ、うう......っ!こ、恐かったの、本当は」グスッ

灰原「そう......。やっぱり、会ったのね。地獄少女に」

歩美「う、うん。うん」グスッ

灰原「辛かったわね」

歩美「わ、私っ!コナン君が、コナン君に......っ!でも、コナン君の気持ちっ!わ、わからなくてっ......」

灰原「分かるわ。大丈夫よ。言わなくて良いわ」ナデナデ

歩美「哀ちゃん、哀ちゃん......」グスッ

灰原「大丈夫よ、私が全て上手くいくように手伝うから。彼の気持ちも、きちんとあなたに向かう様に」

歩美「本当に......?」グスッ

灰原「ええ。本当よ」

歩美「哀ちゃん......」グスッ

灰原「その代わり、私にも力を貸して欲しいの。あなたにとっても必要な事よ」

歩美「私にも......?」

灰原「ええ。強要はしたくないけど。出来ればお願いしたいわ」

歩美「......分かった。何を......すれば良いの?」

灰原「難しい事は無いわ。今夜......。私はあなたを迎えに行く。そして、私とある場所に行って欲しいの」

歩美「ある、場所?」

灰原「ええ。大丈夫かしら?お家の人が心配?」

歩美「う、ううん。今日は、パパもママもいないから......。だ、大丈夫」

灰原「そう。なら、今夜。頑張って寝ないで......。待っててね」

歩美「う、うん。でも、何をするの......?」

灰原「大丈夫、付いてきてくれれば。何も心は無いわ。何もね」

歩美「......わ、分かった」

灰原「じゃあ、よろしくね」ギュッ

歩美「あ、哀ちゃん......」

灰原「大丈夫よ。事が済めば、あなたは不安から解放されるわ。約束するわ」

歩美「......うんっ」ギュッ

灰原(そう、解放されるわ。不安からも、何もかもね......)

現在。

歩美「......哀ちゃん、いつ来るんだろ」

Prrrr......

歩美「あっ......」ピッ

歩美「もしもし?」

灰原「私よ、起きてる?」

歩美「う、うん」

灰原「もう少しで行くわ。準備しておいて」

歩美「う、うん。あ、あの......。哀ちゃん?」

灰原「何?」

歩美「その......。1人で来るの?お、お巡りさんに見つかったら怒られちゃうよ?」

灰原「その心配は無いわ。まあ、あなたは驚くかも知れないけれど」

歩美「え?」

灰原「何でもないわ。じゃ、後で」ピッ

歩美「あ......。もしもし?もしもし?ど、どう言う意味?」

プーッ、プーッ、プーッ......

歩美「......哀ちゃん」

某所。

灰原「......さて、私も準備をしなくてはね」サッ

灰原「博士の支配を受けてから、もうこれを使う事も無いと思ってたけど。子供の姿のままと言うのもね」ゴクッ

灰原「少ししたら効いてくるわね。こんな時に副作用が無いことを祈るわ」

灰原「工藤君も今頃は飲んだ頃かしら、解毒剤」

灰原「......何から何まで綱渡りね」

ドクンッ

灰原「うっ!!き、来たわね......」ガクガク

灰原「あ、熱いっ......体が、骨が、心臓がっ!」ドクンッ、ドクンッ

灰原「うああぁぁあああっ!!」ドクンッ

灰原「......」

灰原「......」ムクッ

灰原「どうやら......。無事に成功した様ね」ハァ、ハァ

灰原「久しぶりね。元の姿も」グッ、グッ

灰原「うん。運動機能も問題無しね」

灰原「後は、着替えて時を待つだけね。出来れば、工藤君より先に......。あそこに行きたいけれど。運に任せるしかないわね」

ピカッ

灰原「月が、綺麗ね。これから起きる事を考えたら、尚綺麗ね」

灰原「......工藤君」

米花総合病院付近。

コナン「......良し。そろそろ飲んどくか」ゴクッ

コナン「またアレを体感するのは嫌だがな......」

コナン「ガキの体じゃ、何かと不便だからな。上手く行くと良いが」

コナン「それと、光彦......。アイツは」

ドクンッ

コナン「っ、来やがったっ!!」

コナン「ぐ、何時やっても嫌だな、これっ!!ぐっ......!」 ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ......

コナン「うおああぁっ!!」ドクンッ

新一「......」

新一「......上手く、効いてくれたみたいだな」フゥ......

新一「コナンのままで相対しても良かったが、光彦連れ出すのに不便だからな......」

新一「......アイツは、上手く戻れたのか?」

新一「......とにかく、今は光彦だ。心が変わってなきゃ良いがな」

新一「......無事でいろよ、灰原......。いや、哀......」

米花総合病院。

光彦「......あの時。コナン君は言った。僕に話すべき事があると」

光彦「あの時......」

数時間前。

光彦「それで、お話とは......?」

コナン「......光彦。オメーさ。いじめられて、辛かったろう?」

光彦「......勿論。辛かったですよ。身体も痛い。心も痛い。誰も助けてくれない。味方と呼べる人はいない」

コナン「......」

光彦「いっそ、楽になりたいと何度も思いましたよ」

コナン「そうか。そうだよな」サッ

光彦「コ、コナン君?!何を?!」

コナン「......済まなかった。詫びて済む話では無いが。本当に済まなかった」

光彦「や、やめて下さいよ......」

コナン「済まなかった、本当に」

光彦「やめて下さいよっ!!」プルプル

コナン「......」

光彦「い、今更謝るなら何故、何故あんな事をしたんですかっ?!僕が、僕がどれ程苦しかったかっ!!」プルプル

コナン「......済まない」

光彦「謝らないで下さいよっ!何で、何で......」グスッ

コナン「......」

光彦「何で、今更謝るんですか.........。今またこんな辛い気持ちになる位なら」グスッ

コナン「......」

光彦「何で僕達は、友達のままでいられなかったんですか......」グスッ

コナン「......」

光彦「僕は......。皆さんの事が大好きだったのにっ!!何時までも友達だと思ってた!!それなのに、何で、何でっ!!」

コナン「済まない。憎いだろう。俺達が。この世から消し去ってしまいたい位、憎いだろう」

光彦「ぼ、僕はっ、僕はっ!!」

コナン「......」

光彦「僕はぁぁぁあああっ!!」

コナン「......」

光彦「......解らないんですよぅ、僕には」グスッ

光彦「最初に話した通り......。僕には今の自分の気持ちが良く解らない」グスッ

コナン「......」

光彦「あなた達を赦したいのか、赦したく無いのかさえっ、僕には......」グスッ

コナン「そうだよな。頭の中が、混乱しちまうよな。そういう事を、俺達がしちまったんだ」

光彦「......」グスッ

コナン「......何を言っても、言い訳にしかならねぇ。だが、それでも聞いて欲しい事がある」

光彦「......」

コナン「それがお前の望む答えかは、正直分からないけどな」

光彦「......」

コナン「だが、聞いてくれ。その上で俺を断罪するなら、それで構わない」

光彦「......分かりました。元より、そのつもりです。あなたの言葉を聞く為に、僕はこうしてるんですから」

コナン「......ありがとう、光彦」

光彦「いえ......。さあ、どうぞ。コナン君のタイミングで話して下さい」

コナン「......分かった。なら、結論から言おう」

光彦「!」

コナン「オメーをいじめていたのは、間違い無く俺達だ。だが、それをさせていたのは......。博士だ」

光彦「なっ......!?そ、そんな事って」

コナン「事実だ。博士の手により、俺はおろか、町中の人間がオメーに対する刺客と化した。オメーを、痛めつける為にな」

光彦「な、何故......?そもそも、博士の手によって??どういう事何ですかっ?!」

コナン「......博士は、ある発明をして、その実験台にオメーを選んだんだ」

光彦「じ、実験台......?!」

皆様、ありがとうございます。
ようやく、落ち着いて書ける時間が出来てきました。

今日はここまで、明日夜更新予定です。

コナン「......博士は、人の思考をコントロールする装置を発明し、それを利用して町の人を操り、オメーに苦痛を与えさせていたんだ」

光彦「そ、そんなっ?!何の為に?!」

コナン「......博士は、狂ってるのさ」

光彦「狂ってる......?」

コナン「詳しくはまた後で話すが、今の博士は悍しい欲望の塊だ。そしてその欲望は色んな所に広がっている。灰原を......。独占したいと言う欲にもな」

光彦「え、えっ?!ちょっと待って下さい。それって」

コナン「そうだ。灰原にちょっかいを出すオメーを、博士は憎悪の対象にしたんだ」

光彦「そんな......。それだけの事で......?」

コナン「そんな事で、人の命を奪う奴もいるのが今の時代だぜ」

光彦「......博士が、そんな事をするなんて信じられません。あの博士が?!」

コナン「まあ、信じられないだろうな」

光彦「それに、待って下さいよ......?町の人を操って?と、言う事は」

コナン「そうだ。元太も、歩美も、灰原も、町の人も、皆自発的にお前を攻撃し始めた訳じゃあない」

光彦「じゃ、じゃあコナン君も?!コナン君も機械に操られて!?」

コナン「......それはどうかな」

光彦「えっ......?!」

コナン「確かに、始まりは機械のせいだったかも知れねぇ。だが、博士は言ってた。精神力の強い者なら、その支配から抜けられると」

光彦「......」

コナン「だが、俺は抜けられなかった。博士を止めもしなかった。加虐の悦びに、酔ってしまっていたのかも知れない......」

光彦「......」

コナン「結局、始まりはどうでも俺は博士と同罪なんだよ。いや、それよりタチが悪いかも知れねぇ」

光彦「コ、コナン君......」

コナン「......オメーが地獄少女に頼んで怨みを晴らそうとするなら、裁かれるべきは俺だ。俺なんだ」

光彦「......」

コナン「オメーを見殺しにしたばかりか、加害者に成り果てたんだからな......」

光彦(コナン君......)

コナン「ったく、情けねーよな。今になって......。オメーに裁かれるかと思ってから、博士の支配から抜けるなんてな。遅すぎたよ」

コナン「なあ、光彦。こんな話を聞いて、お前はどう思うよ......?」

光彦「え?」

コナン「赦せないだろ?俺をさ」

光彦「......」

コナン「俺は......。お前を罵り、嘲り、貶め、痛め付けた。その全ては、始まりはどうあれ俺自身の気持ちによって行われたと言ってるんだ」

光彦「......」

コナン「赦せないだろ?なあ?」

光彦「......」

コナン「お前の気持ちをズタボロに踏みにじった人間が目の前にいるんだぜ?赦せないって言ってくれよ」

光彦「......」

コナン「何も......言わないのか?」

光彦「......」

コナン「そっか、そうだよな......。無理もねぇか」

光彦「......」

コナン「お前からしたら、んな事言われても......。理解の仕様も納得の仕様もないわな」

光彦「......」

コナン「結局......。俺はこんな事をお前に言って......。ただスッキリしたいだけなんだろうな、きっと」

光彦(......コナン、君)

コナン「......楽しかったのにな。前はさ」

光彦(......!)

コナン「オメーらと学校行ったり、色々出掛けたり、色々あったよな」

光彦(......っ!!)ズキッ

コナン「何で、こんな事になったんだかな」

光彦(コナン君、あなたは......)

コナン「俺、守れなかったんだよな。友達をさ」

光彦「!!」

コナン「大切な、友達だったはずなのにな」ツーッ

光彦「コナン君、涙を......?」

コナン「バーロ。涙を流すのは人間だけだろ。俺は博士の人形さ。人形は、涙を流さねえ。流す資格も、ねぇよ」

光彦「コナン君......」

コナン「ワリーな、見苦しいもん見せてよ」ツーッ

光彦(コナン君......。コナン君、今さっき僕を友達と言ってくれたんですね)プルプル

コナン「......」グスッ

光彦(ずっと、ずっと、苦しんでたんですね。コナン君)

コナン「......」

光彦(......許せない。絶対に許さない)

コナン「......はぁ。ワリー光彦。話の途中に。でも、まあ聞いたって」

光彦「......許さない」

コナン「えっ?」

光彦「僕は絶対に許さない」

コナン「そうか。俺を......」

光彦「違う!」

コナン「!」

光彦「コナン君は、コナン君は悪くないっ!!」

コナン「何を言ってんだよ。俺はオメーを」

光彦「違う!コナン君はずっと苦しんでた!そうでしょう?」

コナン「だから、俺は......」

光彦「機械の話ですか?そんなの、博士が嘘をついてるかも知れないじゃないですか!コナン君を陥れる為に!」

コナン「......つまり、何が言いたい?」

光彦「僕は、僕は!コナン君達を怨まない!」

コナン「......!」

光彦「確かに、辛かった!でも、それ以上に今!コナン君が苦しんでるのが辛い!」

コナン「光彦、オメー......」

光彦「許さない!僕の大事な友達をこんなに苦しめた阿笠博士を!!いや、阿笠を!!僕は絶対に!!」

コナン「......!」

光彦「許さないぃぃぃい!!」

コナン「み、光彦......」

光彦「コナン君、僕は博士を許せません。絶対に......」

コナン「......オメーは、博士を怨んでも、俺達は怨まないと言うのか?赦すと言うのか?」

光彦「......だって、僕達友達でしょう?」

コナン「......!」

光彦「友達を、怨めないですよ......」

コナン「光彦......。甘いやつだな。お前は」

光彦「......え?」

コナン「もし俺がまだ機械の支配を受けていたらどうするんだよ?これも博士の手の内だったら?」

光彦「......でも、僕にはさっきのコナン君の言葉は嘘とは思えません。僕は、僕は......。今までがどうであれ、今のコナン君を信じたい」

コナン「......光彦。ありがとな。なら、聞いてくれ。俺は......オメーに頼みがある」

光彦「頼み?」

コナン「ああ。全てを終わらせる為に、オメーに頼みたい事がある。やるかどうかは、これから話す事を聞いて、良く考えた上で、決めてほしい」

光彦「一体、何を......?」

コナン「俺は、今日......」

「××××××××」

光彦「そんな、事を......?」

コナン「ああ」

光彦「......」

コナン「......今すぐは、決められないだろう。だから、今夜、俺はお前を迎えに来る」

光彦「今夜......」

コナン「ああ。その時までに考えておいてくれ。オメーは、一体どうしたいのかを」

光彦「......」

コナン「そしてその時......。オメーに伝えなきゃいけない事がまだあるからな。それを伝えようと思う。今言っても頭に入らねーからな」

光彦「この上、まだ何か......?」

コナン「それは、また後でな。それまで、ゆっくり休みな」スッ

光彦「コ、コナン君!待って下さい!まだ僕は......」

コナン「......久し振りに、フツーにオメーと話せて良かったよ」

光彦「......」

現在。

光彦「......あの言葉が本当なら、もうすぐコナン君が来る」

光彦「......僕は、どうしたら」

皆様ありがとうございます。
ちょっと風邪で寝ております。
明日より再開します。

光彦「最初は、興奮して何も考えなかった。ただただ激しく怒りがこみ上げた」

光彦「僕を苦しめた人間がはっきりして……」

光彦「でも、時間が経つと分からなくなって来た。と言うより怖くなってきた」

光彦「僕は、どうしたら良いんだろう。どうしたら……」

スーッ……

光彦「だ、誰?!」

???「……光彦」

光彦「だ、誰ですか?」

???「俺だよ、俺」

光彦「その声は、コナン君ですか?暗くて分かりませんよ?!」

???「しっ!大きい声を出すな。忍び込んできたんだ。誰かに気付かれるとまずい」

光彦「す、すみません……。でも、顔くらい見せてくれても」

???「そんな事より……。答えは出たのか?」

光彦「え、あの……」

???「怖くなったんじゃないか?答えが出なくて困ってたんじゃないか?」

光彦「……はい。その通りです」

???「そうか。やっぱりな」

光彦「時間が経てば経つほど、頭が混乱してしまって……。僕は何を、誰を信じれば良いのか」

???「そうか……。なら、お前には頼めないな。俺は行くよ」

光彦「えっ……?」

???「迷いのあるオメーを、巻き込む訳には行かねーからな。ケリは俺がつけるさ。元々オメーを巻き込もうとしたのが間違いだった。済まねー、光彦」

光彦「……」

???「……じゃあな」

光彦「待って!」

???「……?」

光彦「僕を……。連れて行って下さい!」

???「……だが、オメーには迷いが」

光彦「確かにそうですが、このまま黙っていたくは無いんです!」

???「……」

光彦「コナン君の言っていた時間まで、あと少しありますよね?どうか、僕を連れて行って下さい!その間に、必ず答えを出して見せます!」

???「……良いんだな?止めるなら、これが最後のチャンスだ」

光彦「……はい」

???「分かった。取り敢えず後で説明すっから……文句言うなよ」パシュッ

プスッ

光彦「……?!コナン君、な、何を……?!」ガクッ

新一「ふぅ。連れ出す時に今の俺の姿まで説明すんのもメンドクセーからな。連れ出すまで眠っててくれ。その方が楽だ」

ガシッ

新一「さっきオメーが聞いてたのは、変声機の声さ。ま、後で説明はしてやるが」

光彦「……」

新一「……済まない、光彦」

新一「っと。早く出るか。誰かに見つかっても面倒だ。ワリーがこのケースに入っててくれ、光彦」

パタンッ

新一「よし。後は……。どっちが先に付くかだな。出来れば俺が先に行きたいが」

新一「薬も変なタイミングで切れないでくれよ……」

23時。【その時】まで2時間。

歩美「......来るって言って、まだ来ないなあ。哀ちゃん」

歩美「......コナン君からも連絡無いし。私、どうしたら」

prrrr......

歩美「あ.......」ピッ

歩美「もしもし?」

灰原「もしもし?私よ」

歩美「あ、哀ちゃん。今どこ?」

灰原「外にいるわ。窓から車が見える?」

歩美「車......?ん、と......。あ、見えるよ」

灰原「じゃあ、そこに来て。待ってるわ」

歩美「え?誰と一緒なの?誰が運転して......」

ガチャッ、プーッ、プーッ、プーッ......。

歩美「......怖いよ、コナン君。私、行って良いのかな」ピッ

prrrr......ガチャッ

「お掛けになった電話は、電源が入っていないか......」

歩美「何で、出てくれないの?行けば分かるの......?」

歩美「......行こう、行けば分かるなら」スッ

タッ、タッ、タッ......

歩美「はぁ、はぁ、あの車......」

ピカッ!

歩美「っ、まぶしい......」

灰原「お待たせしたわね」

歩美「......哀ちゃんなの?まぶしいよ、見えないっ」

灰原「ごめんなさい、わざとじゃないのだけど」カチッ

歩美「......え?」

灰原「迎えに来たわ、約束通り」

歩美「あ、あの、お姉さんは誰?あ、いつか会った......?」

灰原「......解らないかしら?私が誰か?」

歩美「え?」

灰原「いつも、学校で会っているのに」

歩美「?!」

灰原「今日も、会っているのに」

歩美「......!あ、い、ちゃん?!」

灰原「......正解よ」

歩美「どういう、事......?」

灰原「詳しく話す時間は、今は無いわ。でも、私があなたの知る灰原哀なのは、間違い無いわ」

歩美「......」

灰原「信じられない?」

歩美「ううん。何と無く、分かるから......。あなたが、哀ちゃんなのは」

灰原「凄いわね。普通の人は、きっと信じないし、鼻で笑う様な話なのに」

歩美「だって、哀ちゃんは哀ちゃんでしょ......?」

灰原「......そうね。さ、詳しい話は車でしましょう。他にも知りたい事はたくさんあるでしょう?」

歩美「う、うん。でも、どこ行くの?」

灰原「行けば分かるわ。取り敢えず、差し当たってやる事があるわ」

歩美「何をするの?」

灰原「午前零時に書き込まなきゃならないの。地獄通信にね」

歩美「!!」

灰原「驚いたかしら?でも、あなたも使ったでしょ?」

歩美「な、何するの?!」

灰原「さぁ......。何かしら。でも、あなたの大事な江戸川君の為になる事よ。付いてくるなら、彼にも会えるし、彼の気持ちも分かるわ。きっと」

歩美「......!」

灰原「さ、どうするの?」

歩美「......」スタスタ......

ガチャッ......バタンッ

歩美「......行くもん」

灰原「助かるわ。じゃ、行きましょうか」バタンッ

歩美「......」プルプル

灰原(震えてるわね。無理もないけど。あなたが来る事は、彼の為になるわ。そして、私の為にもね......)

某所。

新一「そろそろヤバイかな、光彦起こさなきゃ」ガチャッ

光彦「......」zzz

新一「ったく、ガキだから麻酔が強いのか?おい、光彦!起きろ!」ユサユサ

光彦「ん......?あ、あれ!ここは?」

新一「病院の外だよ。俺が連れ出した」

光彦「あなたは......?あ、あれ?あなたは確か高校生探偵の工藤新一さん?」

新一「御名答。そしてオメーのクラスメートさ」

光彦「は?何言ってるんですか?ん?オ、オメー......?その呼び方は!?」

新一「そーだよ。ホレ、こうして眼鏡かけると分かるかよ?」カチャッ

光彦「......!その、顔はコナン、君?!いや、まさか!?」

新一「だからそう言ったろ。俺は工藤新一。そして、オメーのクラスメート。江戸川コナンさ」

光彦「そんな、バカな事......」

新一「あのさ、なら何でオメーと面識も対して無いはずの俺がわざわざ病院からオメーを誘拐しなくちゃならないんだよ?今日のオメーとコナンのやり取りを知る人間じゃなきゃ、やらねーだろ?」

光彦「で、でも......さっきの声は」

新一「ああ、これだろ?」(変声機)

光彦「!?」

新一「この機械で声を変えたんだよ。コナンの時は、逆にこれで大人の声を出してた。便利だろ?」

光彦「......じゃ、本当に」

新一「ああ。俺は江戸川コナンさ」

光彦「......じゃあ、身体の大きさは」

新一「まあ、詳しく説明すると長いが、簡単に言うと博士のせいで変な薬を飲んだら身体が縮んだのさ。今は解毒剤で一時的に元に戻った」

光彦「......」

新一「まだ信じられねーなら、オメーと俺しか知らねー話を......」

光彦「いえ、もう良いです。話してみて分かりました。あなたはコナン君だって」

新一「ん?」

光彦「こんな空気を感じるのは、コナン君しかいませんから」

新一「......そうかよ」

光彦「......今、何時ですか?」

新一「深夜11時を過ぎた頃だ。時間は、あまり無い」

光彦「そうですか......」

新一「今更、帰りたいか?」

光彦「いえ.......。眠ったら落ち着きました。そして、思い出しました。元々、僕は全ての答えを出す為にコナン君と会う事を決めました。だから......行きます」

新一「......何があっても、おかしくねーぞ」

光彦「ええ。分かってます」

新一「そっか。なら、ホラ」グッ

光彦「え?」

新一「乗れよ。おぶるから」

光彦「でも......」

新一「まだケガは治ってねーだろ。時間がねぇ、早く」

光彦「......分かりました」グッ

新一「じゃ、行くぜ」スッ

光彦「......」フッ

新一「何だよ?」

光彦「コナン君とこうして協力するなんて、いつ以来かなって」

新一「......さあ、な」

光彦「......上手く行くでしょうか」

新一「やるしかねぇさ。でなきゃ終わりだ。みんな、な」

光彦「無事に終わって、またみんなで......一緒に遊びたいですね」

新一「......ああ」

光彦「......」ニコッ

新一(大丈夫さ、光彦。上手く行こうが行くまいが、俺達は一緒にいれるさ。必ずな。そう、必ず......)

深夜零時前。夕暮れの里。

あい「......」

骨女「......もうすぐ、時間だねぇ」

一目連「ああ。どうなるかな」

輪入道「さあてな、俺達は俺達の仕事をするまでだ」

きくり「流すぞ流すぞー!いっぱい流すぞー!」

一目連「あのな、少し静かにしてくれよ」

きくり「ふーんだ!」

あい「......やめなさい」

きくり「......」

骨女「さぁ、アンタ達は、どんな答えを出すんだい......?」

現世。某所。

灰原「もうすぐ、時間ね。やり方は、さっきので間違いないかしら?」

歩美「う、うん。でも、本当にやるの?哀ちゃん......」

灰原「やるしかないわ。みんなが平穏無事に生きていくにはね」

歩美「でも、車で聞いたお話、私信じられなくて......」

灰原「どの話かしら?私が元は大人だと言う事?博士が悪い人だと言う事?その博士を私達が止めようとしてる事?」

歩美「......全部」

灰原「残念だけど、全部真実よ。博士を止めなければ、私も、あなたも、そして江戸川君も、いずれ破滅するわ」

歩美「......でも、コナン君も哀ちゃんと同じように、本当は大人なんでしょ?」

灰原「そうよ。彼も私と同じ。いえ、私以上に不運な運命に巻き込まれた人よ」

歩美「なら、全部終わったら、2人は大人に戻っちゃうんでしょ?私は、私は......」

灰原「諦めるの?」

歩美「え......」

灰原「自分の知らない彼を知った位で、彼を諦めるの?と聞いてるの」

歩美「......」

灰原「江戸川君って、あなたにはそれ位のモノなのね」

歩美「違うもん!」

灰原「そう?」

歩美「違うもん!歩美は、諦めたりしないもん!コナン君が大好きだから!」

灰原「......なら、協力してくれるのね」

歩美「......うん!」

灰原「......ありがとう」

灰原(幼くも純粋な愛情。それがあるからこそ、私は......あなたを呼んだ。あなたは、あなたは......)

皆さまありがとうございます。
ようやっと次回から最終盤に入ります。

こんなに長くなる予定はありませんでしたが、申し訳ありません。

今日の夜か、明日更新予定です。

同時刻、某所。

新一「......さて、やるか」

光彦「ええ。でも、同時にやって大丈夫なんでしょうか?」

新一「さあな。それはやって見なきゃ分からねぇ」

光彦「それもそうですね」

新一「まあ、何だろうな......。怖いような、期待......とは違うけど、不思議な気分だぜ。直にお目見えする訳だからな。地獄少女と。後は、俺の怨みが通ずるかどうかだ」

光彦「......コナン君は、博士を」

新一「......今は止めよう。今更そんな話しても仕方ねぇ」

光彦「......はい。正直、僕は開く事が出来るか不安です。今まで、僕は......」

新一「答えはすぐ出るさ。腹括ろうぜ」

光彦「......はい!」

光彦(そうだ、今更考えても仕方無い。自分で決めた事をやるだけです......)

新一「さて、間も無くだ。腕時計でカウント10になったら数え始めるぜ。ケータイスタンバイしといてくれ」

光彦「......はい」

新一「......1分前」

光彦「......」ドクンッ

某所、灰原達も......。

灰原「......そろそろね」

歩美「本当に、やるの?」

灰原「ええ。後は、祈ってて」

歩美「......」

灰原「......30秒前」

新一「......15秒前」

灰原「10、9、8、7、6......」

新一「5、4、3、2、1......」

「......0」ピッ

チリーン......

新一「......!これが」

光彦「地獄......通信......」

灰原「......本当に、あったのね」

新一「後は、名前だな?」

光彦「ええ、そのはずです」

新一「よし、ならやろう」

光彦「はい......」ドキドキ

灰原「......」

「?????(名前欄)」ピッ

「?????」ピッ

「?????」ピッ

夕暮れの里。

チリーン......

あいの祖母?「あい、届いているよ」

あい「......ありがとう、おばあちゃん」

光彦「遂に......開きました。後は......?!あれ?」

光彦「コナン君?どこですか?!こ、ここは一体......?」

光彦「何故、夕方?さっきまで夜だったのに!?」

あい「......」

光彦「っ!?あ、あなたは」

あい「......」

光彦「ここは何処なんですか?僕は何故、こんな所に?」

あい「......呼んだから」

光彦「え?」

あい「......呼んだでしょ?」

光彦「じゃ、じゃあここは地獄?地獄通信を開いたら地獄に来てしまうんですか?」

骨女「そうじゃあないさ」

光彦「あ、あなたは?」

骨女「やれやれ、とうとう来ちまったんだね」

光彦「とうとう?僕を知って?ん?あ、あなたは......?先生......?保健室の先生?!」

骨女「だったね。ついさっきまでは」

光彦「さっきまで......?どういう......?」

あい「......骨女」

骨女「あいよ、お嬢」フッ

パサッ

光彦「?!」

あい「......受け取りなさい」スッ

光彦「先生が、人形に......。そうか、そうだったんですね。先生は人間じゃなかった。だから、あの町で僕を気にかけてくれたんですね......」スッ

あい「......あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けば良い。糸を解けば、私と正式に契約を交わした事になる。怨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ」

光彦「糸を、解けば......」

あい「......但し」

光彦「?!」

あい「......契約を交わしたら、あなたにも代償を支払ってもらう」

光彦「代償......?」

あい「......人を呪わば穴2つ。契約を交わしたら、あなたの魂も地獄に落ちる」

光彦「......!」

あい「......死んだ後の話だけど」

光彦「......死んだ後。それは、避けられないんですか?」

あい「......ええ」

光彦「そう、ですか。分かりました。あの、あなたは何故......」

あい「......後は、あなたが決める事よ」フッ

光彦「......!ここは、元の、場所」

光彦「......この糸を、解けば」

骨女(人形)(さて、この姿で......。見届けるかね。アンタ達の結末をね)



新一「......あれ?ここは何処だよ?何故夕方なんだ?光彦はどこだよ?」

あい「......」

新一「っ!?き、君は?」

骨女「......それが、アンタの本当の姿かい?」

新一「あ、あなたは......。じゃあ、君は地獄少女......?」

あい「......輪入道」

輪入道「あいよ、お嬢。しかし、本当に子供から大人に戻るとは、摩訶不思議だぜ」フッ

パサッ

あい「......受け取りなさい」スッ

新一「......?」スッ

あい「......あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けば良い。糸を解けば、私と正式に契約を交わした事になる。怨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ」

新一「糸を解けば......。なるほど。歩美の言う通りか」

あい「......但し」

新一「良いよ、分かってる。怨みを晴らしたら、俺も地獄に行くんだろ?」

あい「......ええ」

新一「分かった。ありがとう」

あい「......」

骨女「結局、やっちまうんだね」

新一「今更、止めらんないからね。あなたが人形になってくれるかと思ったけど」

骨女「あいにく、アタシは光彦って子に先約があるからね」

新一「そっか。でも、まあ光彦にくっついてるならあの場所まで来るか。なら」

骨女「ああ、見届けてやるさ。アンタがそこまでして求めた決着をさ」

新一「......」

あい「......」

新一「......何か?」

あい「......」

新一「まあ、言いたい事は何となく目を見れば分かるけど、もう止まれないのさ。済まねぇな」

あい「......なら、後はあなたが決める事よ」フッ

新一「......っ?あ、戻って来たのか」

新一「......博士。長かったな。もうすぐ終わるぜ。もうすぐ、な」

灰原「......どこかしら、ここは」

あい「......」

灰原「......あなたは?確か、前に私の所に」

あい「......呼んだでしょ」

灰原「......そう、あなたが地獄少女」

あい「......一目連」

一目連「あいよ、お嬢。しかし、でかくなると美人だな。アンタ」

灰原「私を知ってる口振りね。あの女の人の様に、私達を見ていたのかしら?あなたも」

一目連「まあな。色々見せてもらった。アンタにはちょっとした興味があったんでな」

灰原「興味?」

一目連「家族と......。いや、姉妹と恋人、どっちの為の怨みを晴らしたいと思うのかなってな」

灰原「......そう。本当に色々見たのね。見たなら、分かりそうなものだけど」

一目連「ま、何となくはな。だから、アンタに付いて見させてもらうさ。しかし......」チラッ

あい「......」

灰原「......何か?」

一目連「似てんな、雰囲気」フッ

パサッ

あい「......受け取りなさい」スッ

灰原「......」スッ

あい「......あなたが本当に怨みを晴らしたいと思うなら、その赤い糸を解けば良い。糸を解けば、私と正式に契約を交わした事になる。怨みの相手は、速やかに地獄に流されるわ」

灰原「ええ。聞いたわ。その後の話も」

あい「......そう。なら、後はあなたが決める事よ」

灰原「ええ。ところで、あなたの名前。確かめさせて」

あい「......閻魔あい」

灰原「そう。おんなじ名前ね。なら、似ててもおかしくないかもね。私達」

あい「......」

灰原「......あなたも、背負ってるのね。色々」

あい「......」フッ

灰原「......戻って来たのね」

※書いた順は光彦が先ですが、人形を渡されたのは新一→光彦→灰原の順です。

光彦・新一側。

光彦「......夢?」

新一「じゃ、ねーよ。手を見ろよ」

光彦「......ですね」

新一「開いちまったな。地獄通信」

光彦「ええ......。でもスッキリしてます。自分の気持ちがハッキリした証拠ですから」

新一「それは、喜んでやれねーけどな......」

光彦「......」

新一「さて。これで最後の準備は整った。行こうぜ」

光彦「ええ。終わらせましょう。この悪夢を」

新一「ああ、そうだな。このタチの悪い現実を終わらせよう」

光彦(これで、後はどうなろうと悔いはありません。後は、行くだけです)

新一(......)

灰原側。

灰原「......幻、じゃあないみたいね」

歩美「哀ちゃん......。本当に......」

灰原「ええ。会えたわ。これであなたと同じね」

歩美「......あの、私まだ良く分からないけど、哀ちゃんは博士を......。博士か悪い人だからその博士を止める為に地獄通信を使うって言ってたよね」

灰原「そうね」

歩美「じゃあ、博士の名前を書いたの?」

灰原「そうね。私にとって1番憎いだろう相手の名前を書いたわ」

歩美「その、恐くないの?」

灰原「恐くないわ。恐がる必要も無い。どの道、私は天国には行けないのだもの」

歩美「私は、元太君を流した時、恐かった」

灰原「それが普通よ。私は、普通じゃないのかもね」

歩美「......哀ちゃん」

灰原「さあ、行きましょうか。全てをハッキリして、終わらせたいでしょ?」

歩美「うん......」

灰原「大丈夫。すぐ終わるわ。さあ」スッ

歩美「え?」

灰原「ここからは歩きよ。手を」

歩美「......うん」ギュッ

灰原「さあ、行きましょう」

歩美「......暖かい、哀ちゃんの手」

灰原「......そう?」

歩美「私、正直まだ分からない事だらけだけど、哀ちゃんと一緒なら、恐くなくなる」

灰原「......」

歩美「頑張ろうね、哀ちゃん」

灰原「......ええ。私も、あなたと一緒なら恐くないわ」

歩美「本当?」

灰原「ええ。本当よ......。恐く......ないわ」

歩美「......ありがとう」

灰原(そう、恐くは無いわ。恐くは、ね......。後は、天秤がどちらに傾くのか、ね)

2組の人間達はそれぞれ思惑を秘め、目的地に向かい......

そして、午前1時。最終局面。開始。

阿笠宅。

阿笠「ククク......。遂に調整完了じゃわい。いつの間にやら深夜になってしもうたが。後は、新一の身体にデータをダウンロードするのみ。ヒヒヒ、楽しみじゃのう」

灰原「......随分と楽しそうね」

阿笠「ん!?その、声は......。哀君?」

灰原「ええ。そうよ」

阿笠「何じゃ、こんな時間まで何処に行っておったんじゃ?ま、とにかく座って......」

灰原「......動かないで」ガチャッ

阿笠「!?」

灰原「妙な真似をすれば、即座に撃つわ」

阿笠「何の真似じゃ?」

灰原「とぼけないで。こっちはあなたの正体も分かってるんだし、今の状況が理解出来ない程バカじゃないでしょう?烏丸さん?」

阿笠「......やれやれ、困った子じゃわい。君はもう少し頭の良い子じゃと思っていたがの。こんな間抜けな手に出るとは思わんかったぞい」

灰原「間抜けかどうかは、あなたが決める事じゃないわ」

阿笠「ふん。強がるのう。新一はどこじゃ?君1人でこんな無謀な事をするとは」

灰原「余計な詮索は不要よ!」ガチャッ

阿笠「おお恐い恐い。で?何の用なんじゃ?ワシへの復讐か?それならもっとマシな手段を考えるわのう。狙いはそれだけじゃあるまい?」

灰原「ええ。そうよ。あなたに聞きたい事があるから、こうして単身で来たのよ」

阿笠「ほう。何かね?」

灰原「その前に、膝をついて!手を頭の後ろに組んで!妙な真似をしたら本当に即撃つわ!」

阿笠「やれやれ。仕方無いのう。ま、子供相手にムキになっても仕方無いのう。しばしお遊びに付き合ってやるかの」

灰原「......ふざけないで」

阿笠「ふざけてなどおらんよ。君こそ、後で後悔するぞい。やはりワシには歯向かうべきではなかったとな」

灰原「......あなたこそ後悔するわ。私達をモルモット扱いして、生かしておいた事をね」

阿笠「......フフフ」

灰原「何がおかしいの?」

阿笠「いやあ、楽しみじゃと思ってのう。その顔が......。涙と恐怖に歪み、許しを乞う瞬間がのう!」

灰原「......何なの、その余裕は」

阿笠「余裕?はて、そう見えるかの?」ニタリ

灰原「人をあまり甘く見ない方が良いわよ。でなければ、寿命が縮む事になるわ」

阿笠「おぅ、恐い恐い!じゃが、大人の身体に戻った状態でのその怒りの表情。美しいのう」ニタリ

灰原「......っ!余計な事を言わないでと言った筈よ!それより、1つ確認するわ」

阿笠「何じゃ?」

灰原「さっき、あなたは新一は?と聞いたわね?工藤君は、ここには来ていないのね?」

阿笠「ああ。来とらんよ?来ておればどうなっているか、想像はつくじゃろ?」

灰原「......そう。良かった」

阿笠「何?」

灰原「......あなたには関係無いわ」

灰原(......あの時)

新一と灰原が2手に別れる前。(まだ解毒薬を飲んでいない)

コナン「良し、段取りを確認しておくぜ。まず、行動を円滑にする為にAPTX4869の解毒薬を飲み、元の身体に戻る」

灰原「ええ、用意はしてあるわ」

コナン「その後、2手に別れて計画に必要な人間を迎えに行く。俺は光彦。オメーは歩美だな」

灰原「ええ」

コナン「歩美を......。どう使う気だ?」

灰原「多分、あなたが円谷君にしようとしてるのとそう変わらないわ」

コナン「......」

灰原「まあ、この事件の当事者として知らないままと言うのもね。彼女には上手く担って貰うわ。足止めの役をね」

コナン「......足止め、ね。とにかく、迎えに行った後俺達はそのまま2手に別れ、目的地を目指す。途中で今回の最重要項目、地獄通信へのアクセスをしてからな」

灰原「2手に別れたままと言うのは、全滅を避ける為かしら?」

コナン「その通り。博士がどういう行動をするか分からないからな。せめてもの保険だ」

灰原「......」

コナン「本来、リスクを無くす為なら地獄通信にアクセスしてすぐ博士を地獄に送るべきなんだろう。歩美から得た情報を基にしてもな。だが、お互い博士に問い質したい事が残ってる。なら、こういう手段に出るしかない」

灰原「リスキーも良いところね。仕方無いけれど。ある程度の犠牲は覚悟しないとね......」

コナン「......ああ。それと、これを」スッ

灰原「......これは?」

コナン「生前の赤井さんから預かった銃だ。護身用に使えってな」

灰原「......」

コナン「何があるか、今回ばかりは分からない。持っているに越した事はねぇさ」

灰原「......分かったわ」

コナン「使い方は、分かるな?」

灰原「発砲したの、見た事あるでしょう?」クスッ

コナン「......そうだったな。しかし、因果だな」

灰原「何が?」

コナン「俺達が見殺しにした人の形見に、力を借りる事になるとはな......。きっとあの世で笑ってるよな。赤井さん」

灰原「......そうかもね」

コナン「とにかく、どちらが先に着くかは分からないが、決して無理をするなよ。上手く聞きたい事を聞き出して、地獄に送るのが目的だ。あくまでも銃は、オプションの1つに過ぎないからな」

灰原「ええ、分かってるわ」

コナン「......本当に、無茶だけはするなよ」

灰原「......心配し過ぎよ」

現在。

灰原(......どちらが先に着くかは分からなかったけど、私は先に着いた)

灰原(......工藤君には悪いけど、博士を問い質した後、速やかに私は博士を葬るわ)

灰原(......これ以上、あなたの手を汚させたく無いもの。例え行き着く先が地獄と決まっていても、これ以上あなたに重荷を背負わせたくない)

灰原(だから私はあなたより先にここに来たかった。そして、来れたからこそ......!)

阿笠「やれやれ。この状態でいるのも疲れるんじゃがのう。話があるならさっさとしてくれんか?」

灰原「なら、早速聞かせて貰うわ。あなたは、阿笠博士の身体を乗っ取った烏丸蓮耶。間違いないわね?」

阿笠「新一から聞いて知ってるんじゃろ?今更そんな事を聞いてどうするんじゃ?」

灰原「質問に答えなさい!あなたの意識は、烏丸蓮耶の物なのね?阿笠博士の意識は、残っていないの?」

阿笠「そんな事を知りたいのかの?なら教えてやろうかの。そんな物は残っとらんよ」ニタリ

灰原「......!」

阿笠「あくまでも阿笠の記憶は残っておるが、いわゆる人格やら感情は、全てワシの物に整理・統合された。阿笠自身の人格など、微塵も残っておらんわい」ニタリ

灰原「......」

阿笠「何を言い出すかと思えば。そんな下らん事の為にこんな真似をしたのかの?らしくない真似を。君は今や新一の事以外はどうでも良いと思っておったがの」

灰原「......そうよ。だから、彼の為に知りたかったのよ。彼が子供の頃から慕い、今でも心の奥では大切に思っている阿笠博士が、生きているのかどうか」

阿笠「ふん、ご苦労な事じゃの。じゃが、そんな感傷に囚われるから君達はいつまでもワシの人形なんじゃよ」

灰原「黙りなさい。まだ話は終わってないわ。あなたにはまだ聞かなければならない事があるわ」

阿笠「生憎じゃが、今ので興醒めじゃわい。君達におしおきもせねばならんしの。さ、銃を降ろしなさい。今なら、そんなに重たい罰は与えんであげよう」

灰原「黙りなさいと言ってるでしょ!それ以上ふざけた事を言ったら......」

阿笠「なら、撃つが良いわい」

灰原「!?」

阿笠「ワシに復讐するのが最終的な目標じゃろ?なら四の五の言わずに撃てば良いわい。下らん感傷に浸る内は、ワシに勝つなど夢のまた夢じゃよ」ニタリ

灰原「......なら、お望み通りにしてあげるわ。彼の心の痛みを、少しでも味わいなさい!」

灰原(殺しはしない。でも、せめて苦しんでもらうわ!)グッ

阿笠「......」ニッ

ドンッ!!......バシュッ!!

灰原「......なっ?!」

阿笠「どうした?当たっとらんぞい?」

灰原「......くっ!」

ドンッドンッドンッ!!

バシュッ、バシュッ、バシュッ!!

灰原「......な、何なの?!何故当たらないの?!」

阿笠「やれやれじゃよ。まさかここまで行き当たりばったりにワシに挑んでくるとはの。ワシに一矢報いたいなら、下調べ位すべきじゃろ?」ニタリ

灰原「何を......したの?」

阿笠「何、ちょっとした護身用の仕掛けじゃよ。銃器、いや、人に危害を加えるようなスピードで物体が動いた場合、即座に壁に仕込んだレーザーが対象を撃つ。この中では、銃は使えんよ」ニタリ

灰原「嘘、でしょ......。いつの間にそんな仕掛けを......」  

人に危害を加える程度の速さって下限はどのくらいなんだろうな
殴る速度でもアウトかな

阿笠「君らが現実逃避して乳くりあってる間にのう。時間は幾らでもあったわい」ニタリ

灰原「くっ!」ガチャッ

阿笠「無駄じゃ無駄じゃ。時間が勿体無いわい。弾も無駄になるだけじゃ」

灰原「あなたの言う事なんてっ!!」ドンッ

バシュッ!

灰原「......っ!」

ドンッドンッドンッ!

バシュッバシュッバシュッ!

灰原「......!」

阿笠「気は済んだかの?じゃあ、その銃はワシに寄越しなさい。君みたいな女の子が銃など持つものでは無いぞい」

灰原「銃どころか、もっと危険な物まで作らせてた人間の言う事じゃないわ!」ドンッ!

バシュッ!

阿笠「無駄じゃと言うに。まあ好きにするが良い。すぐ弾切れじゃ」

灰原(どうしたら良いの......?糸を解けば......。いや、ダメよ!まだ私は博士に聞きたい事が......。それに、あの人形を使うのは......。ならっ!)ダッ

阿笠「お?」

灰原(ゼロ距離で撃てば装置も意味をなさない!博士自身が巻き込まれる可能性だってある!これなら......!)タタタッ

阿笠「成る程。遠くでダメなら近づいて、か。まあ、この装置に対する対応としては正解じゃな。じゃが」スッ

灰原「!?」

阿笠「まだまだ考えが浅いわい」ガシッ

灰原「っ!掴んだからどうだって言うの?この距離なら......」

阿笠「......」ニッ

バチバチバチバチッ!!

灰原「うあああああぁぁぁっ!!」ガクガク

灰原(何、が......起きたの......?) ガクガク

ポロッ......ガシャンッ......

阿笠「やれやれ。最初から素直に銃を渡せば、痛い目に遭わずに済んだものを」ヒョイッ

灰原「......あ、う」ガクガク

阿笠「何が起きたか理解出来んって顔じゃな。意識があるならワシの手を見てみるが良い」

灰原「......!?て、手袋......?」ガクガク

阿笠「こいつはの。掌の辺りから電流を発する手袋じゃ。無論ワシには感電せん。君にくれてやったのはコレじゃよ」

灰原「あ、う......」ガクガク

阿笠「まあ、見た目でバレバレじゃからの。普段は使えんが。君みたいな判断力の鈍くなっとる人間にはよう効くわい」ニタリ

灰原(ダメ、立てない......っ!)ガクガク

阿笠「ワシが死角を残したままでいると思ったかの?甘いのう。ちょっと注意すれば、ワシが2の矢、3の矢と仕掛けをしているかもと気づくじゃろうに」

灰原「......くっ」ガクガク

阿笠「哀君。君は頭が良く機転も利くが、2手、3手先を読む力は新一より遥かに未熟じゃ。もう少し注意力を働かせるべきじゃったな」

灰原「......っ!」ギリッ

阿笠「さて。君には少し仕置きをせんとな。本格的な罰は後日として、とりあえず今やるべきは......。君の心をへし折ってやらんとの」ガシッ

灰原「っ!?」

バチバチバチバチッ!

灰原「あああああああぁぁぁっ!!」ガクガク

阿笠「ククク、死にはせん。いや、死なせんぞい。じゃが、この痛みは存分に味わってもらうぞい!」バチバチバチバチッ!

灰原「あああああああぁぁぁっ!!」ガクガク

阿笠「ククク、ワシはこの電流責めが好きでのう!死ぬ程の痛み、こいつを喰らえば大概の人間は刻み込まれた恐怖で心が折れるわい」バチバチバチバチッ!

灰原「いっ、あああああああぁぁっ!!」ガクガク

阿笠「イヒヒヒ!!それにこの絶叫!!この叫び声は何とも美しいわい!!女の子なら特にのう!」バチバチバチバチッ!

灰原「あ、あ、ぁぁ......」ガクガク

阿笠「おっと、いかんいかん。一度にやり過ぎては。未来の伴侶を殺す訳にはいかんしの」ニタリ

灰原「あ、あ、あ......」ガクガク

阿笠「どうじゃ?新一にもくれてやった電流の味は?」

灰原「......う、う」ガクガク

阿笠「痛みで聞こえとらんか?なら起こしてやるかの」ガシッ

灰原「......あ」

阿笠「さ、続きじゃぞい」ニタリ

灰原(く、工藤君.......)

タタタッ!

歩美「やめてよ!博士!」

阿笠「......!?あ、歩美君?何故ここに?」

灰原「吉......田......さん......」ガクガク

歩美「もうやめてよ博士!何でこんな酷い事するの!?」

阿笠「どういう事じゃ、何故こんな時間に君がここにおるんじゃ?哀君。まさか」

灰原「そ、うよ。私が......。連れて来たわ......」

阿笠「余計な事を......」

灰原「当事者として......。彼女、には......。知る権利があるわ......」ハァ、ハァ

阿笠「バカな真似を......」

歩美「ねぇ、博士!博士が哀ちゃんやコナン君をいじめてるんでしょ?何でそんな酷い事するの?!」

阿笠「......」

歩美「私、ここに来たら全部わかるって!コナン君の事とか、全部わかるって!それで、ここに来て......。呼ばれるまで待っててって......。でも、待ちきれなくて。でも、こんなの私、見たくない......っ!見たくないよ......」

阿笠「哀君。どういうつもりじゃ?無関係な歩美君まで引っ張り出して」

灰原「......む、無関係じゃ無いわ」ハァ、ハァ

阿笠「何?」

歩美「......?」

灰原「彼女には......その自覚は無くても......。彼女はあなたに利用されていたのだから」ハァ、ハァ

阿笠「ふん。例の装置の話かの?」

歩美「装置......?」

灰原「......今もあなたには自覚が無いでしょうけど、あなたや......皆が円谷君をいじめていたのは、全て阿笠博士が作った機械の......せいなの」ハァ、ハァ

歩美「え......?」

灰原「冷静に考えて......。あなたの様な優しい子が、あんな残酷な......事をするのはおかしいと、自分で違和感を......感じない?」ハァ、ハァ

歩美「......?!」

阿笠「ふん、装置の支配下にある人間にそんな事を言っても首を捻るばかりじゃわいの」

灰原「......確かに、ね。でも、私の言ってるのは、そっちじゃあ......無いわ」ハァ、ハァ

阿笠「何?」

歩美「......?」

灰原(正直、このタイミングで乱入してくれて助かったわ......。これを利用して、機を伺わせてもらうわ......。あなたには、辛い現実を見せる事になるけど......) ハァ、ハァ

皆さん、ありがとうございます。
お礼が遅くなり申し訳ありません。

>>366
細かくは決めてませんが、パンチ、キック、ダッシュ程度では反応しない感じです。

本日の朝より終日不定期に更新します。

阿笠「哀君。君は一体何を歩美君に伝えようとしたんじゃ?訳がわからんぞい」

灰原「全てよ。この......騒動の全て。彼女が......あなたの手駒だった事もね......」ガクガク

歩美「え?わ、私、何も......」

灰原「......今日、あなたに電話を掛けさせたでしょう?博士に」

歩美「う、うん......」

阿笠「それが何じゃ?」

灰原「あなた......。何の疑いも無く吉田さんの話を......信じたでしょう?」ハァ、ハァ

阿笠「何?」

灰原「私が......彼女に掛けさせたとも......疑わないで」ハァ、ハァ

阿笠「!?」

灰原「それで......。分かったのよ......。前から薄々思っていたけど、あなたは彼女から......。私達の情報を得ていたって......」ハァ、ハァ

歩美「わ、私そんな事......」

灰原「あなたには......。そんなつもりは無かったでしょうね......。多分あなた、こう言われなかった?」ハァ、ハァ

歩美「え?」

阿笠「......」

灰原「最近、忙しく......。中々哀君達と関われない......。だから、学校で変わった事があれば......。教えて欲しいと......」ハァ、ハァ

歩美「!」

灰原「当たり、ね」ハァ、ハァ

歩美「う、うん」

阿笠「それが......何じゃ?」

灰原「.......ずっと、引っ掛かってたのよ。何故私達は、大した束縛もされず、生活出来ていたのかって......。その全てが説明出来る訳では無いけど......。あなたが探偵団の子達を利用してたなら、ある程度は納得行くわ」ハァ、ハァ

歩美「......利用?」プルプル

灰原「そうよ......。さっき言った要領で......。あなた達に極自然に......。私達を監視させ、情報を得ていた......。仲の良いあなた達には、私達の異常がすぐ分かるから......」ハァ、ハァ

阿笠「......」

灰原「だから、あなたは......。自覚無く博士に利用されていた、と言う事よ......」ハァ、ハァ

歩美「私が、博士に......?私が、コナン君と哀ちゃんに酷い事をする手伝いをしてたの......?」プルプル

阿笠「......やれやれ。本当に余計な事を。歩美君も頭が混乱してしまうじゃろうに」

歩美「!」

阿笠「歩美君をこうして巻き込んで、時間でも稼ぎたかったのかの?新一恋しさにこんな幼気な子を巻き添えとは、君も悪人じゃなぁ」

歩美「......えっ?」

阿笠「人様の事を悪人呼ばわりする割に、君等もやる事はワシと変わらんのう!」ニタリ

灰原「……知っているわ。別に私は義侠心や正義感であなたを止めたい訳じゃない。全部自分の為よ」ハァ、ハァ

歩美「……ねぇ、哀ちゃん。どういう事……?」

灰原「!」

歩美「さっきの博士の話……。どういう意味なの……?」

灰原「……」

阿笠「何じゃ。何も話しておらんのか。ならワシが教えてやるとしようかの」

歩美「え?」

灰原「や、やめなさい……。今それを……」ハァ、ハァ

阿笠「こんな所まで連れて来て、今更じゃろ。歩美君。今何が起こっているのか、哀君が何をしたいのか知りたいじゃろ?」ニタリ

歩美「う、うん……」

阿笠「なら教えてやろう。歩美君。君はまず、何と言われてここに来たのかの?」

歩美「は、博士が……。哀ちゃんとコナン君をいじめてる悪い人だから……。それを止めるからって。それと、哀ちゃんやコナン君の秘密や考えてる事、全部教えてくれるって。私を助けてくれるって……」

阿笠「ほう、そう言ったのかの?哀君が」

灰原(……体が動かない。博士を止められそうに無い。こうなったら、仕方ないわ)スッ

歩美「う、うん……」

阿笠「なら言おう。ワシは悪い人では無い。だが、そこの哀君や江戸川コナン……。いや、工藤新一にとっては悪い人かもしれんの」

歩美「えっ……」

阿笠「哀君から話は聞いておるじゃろう?元々大人の身体だった哀君が、薬で体が縮んでしまった事は」

歩美「う、うん。コナン君もそうだって……」

阿笠「その通り。そのコナンの正体は工藤新一。高校生探偵じゃ」

歩美「……!」

阿笠「2人はある事情から身体が縮んでのう。お互い似た境遇の2人は原因であるワシを怨むと同時に、愛し合うようになったんじゃよ」

歩美「……!?」

阿笠「そして2人はどうやら、ワシに復讐を企んでおったようでの。それに君は巻き込まれたんじゃ」

歩美「……」

灰原「……あなたが、大勢の人を苦しめている……。犯罪者である事と……。私達の仲間を大勢葬った説明が……。されてないわよ……」

阿笠「ふん。そこは歩美君にとって重要ではなさそうじゃからの。歩美君が知りたいのはお前達の心根じゃろ?歩美君。君はな。利用されたんじゃよ。哀君にも、新一にもな。君はあやつらの捨て駒にされたんじゃ。自分達が愛し合うために君を巻き込み犠牲にしようとしておるんじゃよ」

歩美「……」

灰原「……吉田さん」

歩美「……本当なの、哀ちゃん。博士の言ってる事は、本当なの……?」

灰原「……ええ、一部は違うけど、本当よ」ハァ、ハァ

歩美「……!!」

灰原「彼と私が愛し合っているのは、間違い無いし。博士に対して復讐がしたいのも間違ってはいないわ」ハァ、ハァ

歩美「じゃあ、私をここに連れて来たのは……?」

灰原「全てを教えてあげるためよ。知る事が出来たでしょう?真実を」ハァ、ハァ

歩美「嘘……。じゃあ、コナン君も?やっぱりコナン君も私を騙してたの?!元太君を地獄に流させたのも、やっぱり私を利用しただけだったの!?」

阿笠(何?)ピクッ

灰原「……結果的に、そうなるかしらね」ハァ、ハァ

歩美「そんな、そんな……。コナン君は、私を好きだって言ってくれたのに……。哀ちゃんだって、私を不安から助けてくれるって、コナン君と上手く行く様に手伝ってくれるって言ったのに!全部、嘘なの!?」

灰原「……嘘じゃあないわ。少なくとも、あなたは不安から解放されるのは間違いない」ハァ、ハァ

歩美「嘘……。嘘……。う、うわぁぁぁぁぁん!!!」ポロポロ

阿笠(さっきから何の話をしておる……?地獄がどうだの、不安から解放されるだの……)

歩美「信じられない、もう何も信じられないよ……。何でこんなの……。やだよ……。コナン君、コナン君……。直接会いたい、会って話が聞きたい……。もう哀ちゃんも博士も信じられないよ……」グスン

灰原「……それは、叶わないわ」スッ

歩美「……え?」

灰原「全ては、ここで終わるから」ハァ、ハァ

歩美「……藁人形?流すの?博士を」グスッ

阿笠「流す……?何の話じゃ?」

灰原「……これがあるから、すぐカタが付くと油断してついつい策も無く感情的になってしまったから……。こうして望まない形になったし、痛みも負ってしまったけど。仕方ないわね」

阿笠「だから、何の話をしておるんじゃ?」

灰原「あなたは知らないでしょう。博士。地獄少女の話を。自分に変わって怨みを晴らしてくれるモノの存在を」ハァ、ハァ

阿笠「は?何じゃそりゃ?その藁人形で呪いでもかけると言うのかの?バカバカしい」

灰原「……笑ってなさい。今のうちにね。……吉田さん」ハァ、ハァ

歩美「……?」グスッ

灰原「最後に……。言っておくわ」

歩美「さ、いご……?」

灰原「工藤君は、あくまで初めは、あなたに小嶋君を流させて終わるつもりだった。悔いていたわ。彼には確かにあなたを想う気持ちはあった」

歩美「……コナン、君」グスッ

灰原「私もね、あなたが大好きよ。だからこそ、もっと違った形で終わらせてあげたかった。でも、こうなってしまった以上仕方ないの」グッ

歩美「……!哀、ちゃん?まさか!?哀ちゃんが流したいのって……!?」

灰原「……そう、そうよ。大好きだからこそよ。だから……」

歩美「や、やめて、哀ちゃん!やめて!私、まだコナン君に何も……」

阿笠「……?」

灰原「……さようなら。歩美ちゃん」シュルッ

歩美「いやあぁぁぁぁぁぁ!!」

ヒュルル……

一目連(怨み、聞き届けたり……)

三途の川。

あい「......」ギィッ、ギィッ......

歩美「ん......。あれ、ここは......?」

あい「......」ギィッ、ギィッ......

歩美「あ、地獄少女......。ここはどこ?どこに行くの?」

あい「......地獄よ」ギィッ、ギィッ......

歩美「え......。い、いや!いやよ!帰して!元に戻してよ!」ブルブル

あい「......それは無理」ギィッ、ギィッ......

歩美「やだよ、やだよぉ......!私、まだコナン君に何も......。何で?何で私......」グスッ

あい「......人を呪わば穴2つ。言ったはずよ」

歩美「......!」グスッ

あい「......」ギィッ、ギィッ......

歩美「......」

歩美「......」

歩美「......そっかぁ」

歩美「......ふふ、うふふ」ヘラヘラ

あい「......」ギィッ、ギィッ......

歩美「そっかあ、そうだよね。待ってたら哀ちゃんもコナン君も来るもんねぇ......。哀ちゃん、本当に、怖くなくなったよ......」ヘラヘラ

あい「......」ギィッ、ギィッ......

歩美「うふ、えへへ......。そうだよね。すぐ会えるもんねぇ。えへへ......」ヘラヘラ

あい「......」ギィッ、ギィッ......

歩美「うふっ!うふふ......。えへへ......。大好きだよ、コナン君、哀ちゃん......。待ってるからね、えへへ......」ヘラヘラ

あい「......この怨み、地獄へ流します」チリーン......

現世。

阿笠「な......!?歩美君!?な、何が起きた!?どこへ消えたんじゃ!?」

灰原「......地獄へ、行ったのよ」ガクガク

阿笠「な、に?」

灰原「さっき、言ったでしょう......?これが、あなたがせせら笑った......。地獄少女の力よ......」ハァ、ハァ

阿笠「何じゃと......?!」

灰原「契約を交わせば......。自分が地獄に落ちる代わりに、怨みの相手を地獄に送ってくれる......。それを今、使ったのよ......」ハァ、ハァ

阿笠「ば、馬鹿な!そんな非科学的な話が......?!」ガクガク

灰原「信じようと、信じまいと......。目の前から人が消え去ったのは、紛れも無い事実よ......」ハァ、ハァ

阿笠「ぐ、ぅっ!!」

灰原「......さて、コレは何でしょう?」サッ

阿笠「そ、それは......?」

灰原「見ていたでしょう?この、人形の糸を引けば......。あなたは地獄に落ちる......。歩美ちゃんと同じ様に......」ハァ、ハァ

阿笠「む、ぐっ!!」ギリッ

灰原「そうなりたくなければ......。私の質問に答えなさい......!!拒否は、認めない......!!」ハァ、ハァ

阿笠「わ、分かったわい。分かったから、落ち着いてくれんか」

灰原「随分と、余裕が消えたわね......。偉そうにしていても、やはり恐いものは恐いのね」ハァ、ハァ

阿笠(ぐっ!ど、通りであんなに感情的に突っ込んで来た訳じゃわい!糸を引けば終わりと言う余裕があったからここまで突っ張ってきた訳か!)

灰原「......どうしたの?反論出来ないの?」ハァ、ハァ

阿笠(お、おのれぇ!!計算外じゃ!!そんな非科学的な手があるなど思いもせなんだわ!)

灰原「......良い?余計な真似したら、即座に糸を引くわ!」ハァ、ハァ

阿笠(いかん......。恐らく、時間が経てば新一も来るのじゃろう!そうなればますます後手に......。アレが動くにはまだ時間が掛かる......。もしもの為に準備はしていたが......)チラッ

灰原「......何を見ているの?!」ハァ、ハァ

阿笠「な、何でもないわい」

灰原「......う、うぅっ」ガクガク

阿笠(......哀君はボロボロ。押せば倒れる。じゃが、あの人形)チラッ

灰原「......うっ、あぅっ」ガクガク

阿笠(人を地獄へ流すなんて都合の良い力を、そう何度も使えるとは思えん。ニセモノの可能性は充分考えられる。じゃが......。もし本物ならワシの負け......。ここは、時間を稼ぐに限るわ!)フゥッ

灰原「......?!何?深呼吸なんかして。悪巧みでも、考えてるのかしら?」ガクガク

阿笠「そうではないわい。1つ、1つだけ聞かせてくれんか?」

灰原「何?」

阿笠「何故ワシでは無く、歩美君を流したんじゃ?そんな事をする理由が......」

灰原「......本当は、ここで流す気なんて無かったのよ」ボソッ

阿笠「......え?」

灰原「......本当は、放っておいても彼女は地獄へ行くんだし。流す気なんて無かった」ハァ、ハァ

阿笠「何じゃと?」

灰原「......知らないわよね。小嶋君が......行方不明になった原因は......。彼女が地獄少女を使って......。彼を地獄に送ったから......」ハァ、ハァ

阿笠「何?!」

灰原「......正確には、私達が彼女に流させたから」ハァ、ハァ

阿笠「何故、そんな事を?!」

灰原「どうにも、邪魔だったからよ......。感情的に動き、余計な事ばかりする彼がいると......。その余波であなたから余計な事をされる恐れがあった......。実際、彼は円谷君を殺しかけた訳だし......。彼は、災いの元でしか......。無かった」ハァ、ハァ

阿笠「その為に、歩美君を利用したのかの?」

灰原「......そう。地獄少女の......。使い方を知る為にもね......」ハァ、ハァ

もう一個のは偽物だよな
2回契約は出来ないから

皆さんありがとうございます。
再開します。

一度に複数人なら送れるんだっけ?

屋外、阿笠宅から少し離れた地点。

新一「……くっ、遅くなるな!やはり徒歩は」タタタ……
 
光彦「す、すみませんコナン君……。僕を背負ってなければ」

新一「それは気にすんな!だが、やな予感がするぜ……」タタタ……

光彦「ほ、本当に灰原さんもこの計画に参加していて……。先に着いていると?」

新一「ああ、あそこに……。阿笠博士の家にな!」タタタ……

光彦「……灰原さん」

新一(くっ、アイツ……。早まったマネするんじゃねーぞ!)タタタ……

夕暮れの里。

一目連「……っと、早くもお役御免とはね」

あい「……お帰り」

一目連「お?お嬢。あの子はもう行ったのかい?」

あい「……ええ」

一目連「そっか。ま、人を呪わば穴二つ、だな」

あい「……」

一目連「さて、俺は仕事が来るまでここで見させてもらうか。あの子の行く末をな」

阿笠博士宅。

阿笠「……それで?地獄少女の使い方を知って、それでもう用済みでは無かったのかの?」

灰原「……尋問口調はやめなさい!今の私は……。もうあなたのモルモットじゃないわ」ハァ、ハァ

阿笠「……ククク」

灰原「……何がおかしいの」ハァ、ハァ

阿笠「いやぁ、ついついおかしくなってのう!何故なら……。先程から歩美君の事を話す君からは、ワシと同じどす黒さを感じるからのぅ!」

灰原「……!」ガクガク

阿笠「図星じゃろう?隠してもワシには分かる。全部見えるわい」

灰原「……だって、仕方ないじゃない」ハァ、ハァ

阿笠「……?」

灰原「嫌だったんだもの。どうしても」ハァ、ハァ

>>388
その通りです。契約は1度です。

>>390
1度に流せるのは1人、複数人を流すことは出来ないそうです。

灰原「……だって、せっかく工藤君と気持ちが通じ合えたのに」ハァ、ハァ

阿笠「……」

灰原「こんな環境に堕ちて、ようやく彼と愛し合えたのに」ハァ、ハァ

阿笠「……」

灰原「……それを邪魔する存在になるかも知れない彼女が、憎いとは思わない?」ハァ、ハァ

阿笠「……」

灰原「……彼女が大事な友達って言うのは本当よ?だから彼女を利用するって言われたらショックを受けたわ」ハァ、ハァ

阿笠「……」

灰原「……でも、それと同じ位嫌だったわ。例え計画に利用するだけでも彼女が関わるのが。私を守るために彼が計画してくれた事でも。演技でも、彼が……。彼女に好きとか大切とか愛してるとか言うのが……。嫌だった!!」ハァ、ハァ

阿笠「……」

灰原「……だから巻き込んだの。彼女を。でも、地獄に送るつもりは無かったの。真相を知らせて、彼を諦めさせようと思った。でも、状況が状況だったから……。あなたへの見せしめに使わせてもらった」ハァ、ハァ

阿笠「……嘘じゃな」ニタリ

灰原「……!?」ハァ、ハァ

阿笠「最初から地獄に送るつもりだったんじゃろ?【ここで流すつもりは】って最初に言っておるしの。でなきゃそもそも2つも藁人形を用意する必要も無いしの。元より君の頭には、ワシへの見せしめに彼女を使うつもりだったんじゃ。違うかの?」

灰原「……今更取り繕っても仕方ないものね」ギラッ

阿笠「……良い表情じゃの、哀君。新一が見たら何というかの?」ニタリ

中断します。
夜再開予定です。

最近書き終わると同時に寝てしまったりなどで、お礼が遅くなって申し訳ありません。

灰原「......私、そんな酷い顔してるかしら?」ハァ、ハァ

阿笠「ああ。愛憎入り雑じった良い顔じゃよ」

灰原「......そう、なら工藤君には見せられないわね......。今の私の歪みを、工藤君は不安視していたのかしら」ハァ、ハァ

阿笠(良し、このまま時間を稼げれば......)

灰原「なんて、考えてないわよね?」ハァ、ハァ

阿笠「っ!?」ビクッ

灰原「生憎、私はあなたを悦ばせる為に来た訳じゃないし、あなたのペースに乗る気も無い......。ちょっと落ち着く為に、多少本心を話したけど、これ以上......。彼にも見せてない本心を、あなたなんかには見せないわ」ハァ、ハァ

阿笠「.......」チッ

灰原「......さぁ、私の質問に答えて貰うわ」ハァ、ハァ

阿笠(......そろそろ、最終調整が終わるはずじゃ。それまでは......)チラッ

灰原「......そんなに早く地獄に行きたい?」ハァ、ハァ

阿笠「っ!で、何なんじゃ。ワシに聞きたい事とは」

灰原「......あなたが前に言った事。家族共々、あなたの人形だと言った事よ。その真意を答えて貰うわ」ハァ、ハァ

阿笠「......そんな事に今更興味があるとはの。新一の事以外は最早どうでも良いと思っておったが」

灰原「......良いから答えなさい」ハァ、ハァ

阿笠(......ああ、答えてやるわい。冥土の土産にでもな)ニヤリ

阿笠博士宅、地下。秘密ラボ。

???「......」

???(2人目)「......」

「......最終調整、終了。拘束具、解放します」

ガチャッ......

???「......」

???(2人目)「......」

「......指示事項。主人以外の人間を排除。生死は主人に委ねる事」

???「......了解」

???(2人目)「......了解」

阿笠宅、表層階。

灰原「......さぁ、答えなさい!この間のあの発言の......意味を!」ハァ、ハァ

阿笠「......その前に哀君。君は、君の親御さんが何故いなくなったか知っとるかね?」

灰原「......知らないわよ、知ってたらこんな事」ハァ、ハァ

阿笠「......ククク、面白いのう」ニタリ

灰原「......!?」ハァ、ハァ

阿笠「人間と言う奴は、どうしてこう......。情を刺激してやると操りやすいのか」ニタリ

灰原「......何を言っているの?!」ハァ、ハァ

阿笠「ククク、失敬失敬。いやあ、君の親はのう。君を思う余り、ワシの意のままに動いてくれたと言う話じゃ」ニタリ

灰原「......?!」

阿笠「君の親はのう、優れた研究者じゃったよ?ワシの為に良く働いてくれたわい。じゃがのぅ、ある時ワシの計画に異を唱え出したんじゃよ。妙なヒューマニズムにでも目覚めたのか知らんがな」

灰原「......」

阿笠「まあ、危険を感じたのかも知れんの。ワシは君の母親、エレーナ君に目をかけとったからの。君に似て美しい女性じゃった」ニタリ

灰原「......この、外道!」ギリッ

阿笠「ま、彼等は頭が良いでの。表だってそれ以上歯向かう事はせなんだがな。裏で着々とワシに対する反抗計画を進めておった。あの薬......。APTX4869を利用した計画をな」

灰原「.......!?何を!?」ハァ、ハァ

阿笠「実はのう、あの薬の基礎理論は君の両親が作ったんじゃよ。ワシの命でな」

灰原「......!?」ハァ、ハァ

阿笠「君が研究員になった時、ある研究データを見なかったかね?それを元に君はあの薬を作り上げた筈じゃ」

灰原「!」ハァ、ハァ

阿笠「そう、あの薬を君に作らせる事こそ君の両親の目的であり......。君と両親が別れる理由となったモノなのじゃよ」

灰原「......私の両親が、あの薬を作らせた?私に?な、何故?何故そんな事を?だって、だって両親はあなたの計画に反対してたんでしょ?!なら何故、あなたの計画を助長するあの薬を私に作らせたの?!......うっ」ガクガク

阿笠「興奮し過ぎじゃよ。そう焦らずとも、しっかり説明してやるわい」ニタリ

灰原「......」ハァ、ハァ

阿笠「しかし、天才と言うのは思いもよらぬ方法で物事を進めようとするもんじゃ。君に研究を引き継がせる事も、例の薬の事もな」

灰原「......?例の薬?」ハァ、ハァ

阿笠「彼等はのう、知っておったのじゃよ。ワシが人間ダウンロード理論を進めていた事にのう。仮に烏丸蓮耶を葬ったとしても、その記憶を引き継いだ誰かが自分達の知らない所にいるかも知れない。それでは意味が無い。そこで彼等は考えた」

灰原「......?」ハァ、ハァ

阿笠「不老不死の研究に必要な薬を完成させ、それを飲んだ者のみに反応し絶命させる薬を作ろうとな」

灰原「......!」ハァ、ハァ

阿笠「それこそが君等も耳にした......。コード【シルバーブレット】じゃよ」

灰原「......銀の......弾丸」ハァ、ハァ

阿笠「考えたもんじゃ。ワシが誰に成り代わろうとも、不老不死の研究に必要な薬なら必ず飲む。そこで自分達の作ったシルバーブレットをばら蒔けば、他人に被害を与えず確実にワシやそれに近い人間のみを葬れる。まさに、魔除けの銀の弾丸じゃ」

灰原「......それと、私と何の関係が!?第1、何故あなたはそれを知ってるの?!」ハァ、ハァ

阿笠「ククク、何故君が関わってくるか?それはな、彼等が君を守る為に下した苦渋の決断なのじゃよ」ニタリ

灰原「!?」ハァ、ハァ

阿笠「最初は彼等は組織の中で極秘に計画を進めるつもりだったんじゃろうがの。だんだん監視の目がきつくなるに連れて、逃亡を考えた。だが、逃げ切れる保証もない。そこで、君を守る為に、君に研究を引き継がせる事を考えた」

灰原「......何故?」ハァ、ハァ

阿笠「自分達の研究を託せるのは、自分の娘だけ。そして、少なくとも組織の研究者としての身分を得るなら、その間は君が殺される事は無い。君を魔道に引き込む苦渋の決断じゃったろうが、君の命を守り、ワシを葬る為に彼等は計画を実行した」

灰原「......!」ハァ、ハァ

阿笠「全く、良くもそこまでする気になったもんじゃ。黙ってワシの言う事を聞いていれば良かろうに。特に君のお母さんはワシに反抗的じゃったからな。ヘルエンジェルとはよう言うたわい」

灰原「お、父さん......。お母さん......」ハァ、ハァ

阿笠「まあ、全部......。ワシが仕向けたんじゃけどなぁ!」ニタリ

灰原「何......ですって?」ハァ、ハァ

阿笠「まあ、彼等の動向は全部調べて知ってたしのう。ワシに反抗ばかりするエレーナ君はもう良いと思ってな!君ならきっと美しく育つ、ワシの未来の身体の伴侶に相応しいと思ったからの!彼等が逃亡するように仕向けた訳じゃわい!」ニタリ

灰原「あ、あなたって人は.....!」ギリッ

阿笠「ついでに言えば、君のお姉さんをジンに始末させたのもワシじゃよ!」ニタリ

灰原「なっ......!」ブルブル

阿笠「新一がワシの所に小さくなって転がり込んで来たからの!君らを引き合わせようと思ってな!お姉さんが死ねば、君も組織から逃げる事を考えると思ってな!ま、薬を飲んでしまったのは誤算じゃったがな!ハッハッハ!!」ニタリ

灰原「......その為?そんな事の為に?」ギリギリッ

阿笠「感謝せい!そのお陰で新一に会えたんじゃからな!まあ、君のお姉さんも美しかったし勿体無かったがのう。いやあ残念残念!イヒヒヒヒヒ!!」

灰原の質問ってなんだっけ

>>404

>>209の阿笠の台詞
「君達は親子揃ってワシの人形」
とはどういう意味か?

です。

>>397の一文にありますが、ちょっと分かりにくいです。

申し訳ありません。

sage間違えました。
夜再度更新します。

遅くなって申し訳ありません、再開します。

灰原「......お母さん達も?」ハァ、ハァ

阿笠「?」

灰原「両親が死んだのも、あなたが......」ハァ、ハァ

阿笠「当たり前じゃろう?用の済んだ玩具など、さっさと始末するに限るわい」ニタリ

灰原「......」ギリッ

阿笠「まあ、タップリと拷問して自白剤を打って秘密を全部吐かせてから始末したがの!君とお姉さんの名前を何度も呼んでたのう!愉快じゃったわ!」ニタリ

阿笠「分かるかの?新一がそうであるように、君の運命も全てワシが決めていたのじゃよ!ククク、ガハハハハ!!」

灰原「......あなたは、何なの?」ギリッ

阿笠「あん?」

灰原「......人の命を弄んで、何様のつもりか聞いてるのよ!」ハァ、ハァ

阿笠「元太君や歩美君を利用した君達はその台詞は言えないじゃろ?君達も外道じゃよ」ニタリ

灰原「......分かってるわよ。私達も人の道を外れてる。でも、あなただけはこの世に留めてはおけないわ!」ハァ、ハァ

阿笠「ふん、小娘が偉そうに。大体、今更こんな事を知って何になる?新一の事しか頭に無い君が」

灰原「......例えどんなに感情を無くしても、肉親の死をそのままに出来る人間なんて、いないわ。ずっと目を背けたままなんて出来ない。私は......。あなたごと過去を清算する。彼と生きる為に」ハァ、ハァ

阿笠「清算、か。出来るかのぅ」チラッ

灰原「......?」ハァ、ハァ

阿笠「(頃合いかの)君も、新一も所詮ワシからは逃げられんよ」ニタリ

灰原「......さっきから、自分の立場を分かってる?この糸を引けば、あなたは」

阿笠「あー、それなんじゃがな?」

灰原「!?」ハァ、ハァ

阿笠「それ......。本当に本物かのう?」ニタリ

灰原「......!!」ハァ、ハァ

阿笠「おや?顔色が曇ったのう」ニタリ

灰原「......バカを言わないで。何故、そんな事を?あなたも見たはずよ?目の前で......」ハァ、ハァ

阿笠「そう、確かに目の前で歩美君は消えた。先程のは紛れもなく真実じゃろう。じゃが、おかしいんじゃよ」

灰原「......何が?」ハァ、ハァ

阿笠「これ見よがしに見せつけ過ぎなんじゃよ、君は」

灰原「っ!?」ハァ、ハァ

阿笠「普通、今の君の様に絶対的に有利な立場なら、無意識にもっと余裕が出るはずなんじゃよ。例え電流でフラフラでもな。じゃが、君は先程から焦りの色を見せとる。余裕が無い。虚勢を張っとるようにしか見えんのじゃよ」ニタリ

灰原「......なら、覚悟は良いのね?」

阿笠「出来るのなら、やってみるんじゃな。ホレ、早く」ニタリ

灰原(見抜かれた......?それともブラフ?)ハァ、ハァ

阿笠「何じゃ?やらんのかの?やはり偽物らしいのう」ニタリ

灰原(......確かに、これはもしもの為に作っておいた偽物よ。でも......。まだ手はある!)ハァ、ハァ

阿笠「やらんのなら、やはり偽物じゃな。では......」

灰原「どう......かしらね」ニッ

阿笠「!?」

灰原(確かに、もう私には地獄少女は使えない。銃も無い。でも、あなたを倒す手はまだあるわ)ハァ、ハァ

灰原「どうしたの?偽物と思うなら、来ないの?」ハァ、ハァ

阿笠「ふ、健気じゃのう。この場でまだハッタリをかますとは」ニタリ

阿笠「ま、良かろう。何があるか見てやるわい」ニタリ

灰原(そう、来なさい!そして、これを打ち込む!APTX4869、それを液体化した薬品。いつか、元に戻りたいと......。研究の過程で出来た不完全な粗悪品だけど、身体から薬物が検出されず、細胞を破壊する性質はコピー出来た) スッ

阿笠「......では」スッ

灰原(さあ、来なさい!ここで終わらせる!工藤君には悪いけど、この人を......。いえ、この悪魔をこの世に居させてはならない!)ハァ、ハァ

阿笠「......!」ピタッ

灰原(えっ?)

阿笠「......悪いのう、哀君。時間切れじゃ」ニタリ

灰原「何を......?」

ガシッ

灰原「!?」

???「......」ギューッ

阿笠「ご苦労、良いタイミングじゃ」ニタリ

灰原(だ、誰っ?仲間が......?!) グッ

???「......暴れるな」ギューッ

灰原(え?こ、この声は......?とにかく、逃げないとっ!)ジタバタ

???「......どうしますか?始末しますか?」

阿笠「いや、やはり殺すには惜しい。大人しくさせて連れてきなさい」

???「......了解しました。おい」

???(2人目)「......」

灰原「......!!あ、あなたは」

???(2人目)「......」ドスッ!

灰原「うっ!」ガクッ

阿笠「宜しい。例の装置に連れてきなさい」

???「......了解しました」

灰原(......何て、事なの。く、どうくん......。きちゃ、だ、め......)ガクッ

阿笠「ククク、新一用に本来備えておったが、役にたったわい」ニタリ

???「......」

阿笠「こやつらを見た時の、新一の顔が見物じゃよ」ニタリ

???(2人目)「......」

阿笠「さて、哀君にも新一にもタップリお灸を据えてやらねばのう!早く来い新一!」ニタリ

灰原「......」

阿笠「ククク、最高のショーが見れそうじゃわい!ガハハハハ!!」

ドクン......

阿笠「がっ!?な、何じゃ?!頭が......」

???「......いかがしました、ご主人様」

阿笠「う、ぐ......。な、何でもないわい」

???「......」

阿笠(......何じゃ?今のは?)

阿笠「ま、良いわい。さぁ、準備をしよう。新一をもてなす準備をな」ニタリ

屋外。阿笠宅付近。

新一「……!」ドクンッ

光彦「どうしたんですか?コナン君?」

新一「いや、何だか胸騒ぎがする。上手く言えねーが」

光彦「……何かあったんでしょうか」

新一「……とにかく急ごう!」ダッ

光彦(……あれから、僕はコナン君から色々な話を聞きました。コナン君達の正体、阿笠博士の正体、その他色々)

光彦(正直、僕には理解できない事だらけでした。コナン君と灰原さんが愛し合っているのも聞きました。灰原さんがこの計画に参加している事なども、色々……)

光彦(僕には、どう理解していいのか……。どうリアクションしていいのか分かりません)

光彦(話を聞いた上で尚、僕にはいろんなモヤモヤした気持ちがあるからです。100%コナン君を信じて良いのか。博士を止める事が出来るのか。そして、コナン君のあの頼みを実行できるのか……)

光彦(僕には分かりません。でも、博士の話を聞いた時に僕は思いました)

光彦(博士はまるで、無邪気で残酷な子供みたいだって。虫を痛ぶり、ボロボロにして、罪悪感を感じない子供の様だって)

光彦(そして、僕はその虫なんだって。突然訳も分からないまま、この流れに巻き込まれた虫なんだって)

光彦(そう思いました。このままの日々が続けば、きっと僕以外の人も同じ目に遭います。それは嫌です)

光彦(だから僕はコナン君について行きます。虫から、人の生活に戻る為に……。潰されてしまうかも知れないとしても)

新一(……凄まじくやな予感がするぜ。何か、得体の知れねぇ。くっ!アイツは無事なのか……?)タタタッ

新一(無事で居てくれ……!哀!最期まで俺達は……。一緒に……っ!)タタタッ

新一(そして博士……。必ずアンタを……。この手で!)タタタッ……

夕暮れの里。

一目連「……お嬢、俺ちょっと出てくるわ」

あい「……」

一目連「……別に何もしないさ、近くで見たいだけさ」

あい「……そう」

一目連(さて、大詰めかな。どうなることやら……)

あい「……」

しばし後。阿笠宅。

灰原「……んっ」ボーッ

阿笠「お目覚めかね?哀君」ニタリ

灰原「っ?!わ、私……。どうして?」ガチャッ

灰原「な、う、動けない……!どうして……」ガチャガチャッ

灰原(そうだ、さっき私……。後ろから襲われて、その後殴られて……)

阿笠「状況が呑み込めたかね?」ニタリ

灰原「……大体ね。私をどうするつもり?殺すの?」

阿笠「いやいや。そんな事はせんよ。ただ、君には罰を与えんとの」ニタリ

灰原「罰……?」

阿笠「君が今括り付けられている装置……。何か解るかね?」ニタリ

灰原「……!?これ、まさか!?」

阿笠「その通り!これこそ人間ダウンロードを行う為のマシンじゃよ!」ニタリ

灰原「な、何をする気なの?!」ガチャガチャッ

阿笠「ククク……。あれだけワシに楯突いてくれたからの。最初は正直殺意も沸いたが……。やはりワシは君が可愛いからの。じゃが、もう君をそのままの人格で野放しにしておくのも考え物なのでな。君には別人になって貰うことにした」

灰原「……はっ?何ですって?」

阿笠「聞こえんかったかの?この機械で君は生まれ変わるんじゃよ。歩美君にな!」ニタリ

灰原「っ!?」

阿笠「実はの、歩美君が遊びに来る度、歩美君の記憶のバックアップを取らせて貰っていたんじゃよ。本人は覚えとらんじゃろうがの。眠らせとったから。その記憶データを君に焼き付ける。無論、ワシの都合の良いように記憶はいじってあるが」

灰原「……」ガタガタ

阿笠「解るかの?君はこれからこの世から消えるんじゃ。灰原哀としての生は終わり……。君が利用し、地獄に送った歩美君として生まれ変わるのじゃ!!そして、ワシの伴侶となるのじゃよ!!」ニタリ

灰原「……い、嫌っ」ガタガタ

阿笠「ククク……。君の美しい身体に歩美君の清らかな心。素晴らしい女性に生まれ変わるのう!哀君!!」ニタリ

灰原「や、やめて……。お願い……。やめて、やめてぇぇ!!」ガタガタ

阿笠「イヒヒヒヒ!!怖いかの?恐ろしいかの?強がっておっても、覚悟を決めたつもりでも、やはり怖いじゃろ?自分が消えてしまうのは!!新一と別れるのは怖いんじゃろ!?」ニタリ

灰原「あ、ああ……。いや、いやああああああ!!」ガチャガチャ

阿笠「イヒヒヒヒ!!良い顔じゃあ!!存分に後悔するが良い!!ワシに歯向った事をな!!」ニタリ

灰原「いや、やめて……。お願い……」

阿笠「そう怯えんでも良いわい。新一が来るまではやらんからの」ニタリ

灰原「え……?」

阿笠「ショーの観客がおらんと面白く無いじゃろ?せっかく新一に会わせたい者もおるんじゃし」ニタリ

灰原「……!」

阿笠「ま、それまで大人しくしとるんじゃな。ワシは優しいじゃろ?最期に君に新一に会う機会をあたえてやるのじゃからな」ニタリ

灰原「……」

阿笠「じゃあ、しばし1人の時を味わうが良い。じわじわ迫る恐怖を感じながらのう」ガチャッ……バタンッ

灰原「……まさか、自分がこんな事になるなんてね」ブルブル

灰原「……来ちゃダメよ、工藤君。あなたは来ちゃダメ。だってここには……」

少し後、阿笠宅前。

新一「……やっと、着いたぜ。畜生」ハァ、ハァ

新一「……随分静かだ。人の気配がしねぇ。どうなってる……?」

新一「……入るしかねぇか。急がなくちゃな」ガチャッ

シーン……

新一「……誰もいない?そんなバカな?……いや」スッ

新一「所々が荒れている。さっきまで誰か居たみたいだが……?」

ザ、ザザ……ッ

阿笠(スピーカー)「遅かったの、新一!」

新一「!」

阿笠「お前が来るのを随分待ったが、余りに遅いんでの!待ちかねたわい!」

新一「……そうかよ。そりゃ悪かったな。待ったって事は、俺が何しに来たか分かってんだな?」

阿笠「ああ。分かっておる。先走った姫君がワシの手の内にあるからの」

新一「……テメェ、灰原に何をしやがった?」ギリッ

阿笠「安心せい、まだ何もしておらんよ。これからお前にも見せてやろうと思っての」

新一「この……。もしアイツに何かあったら……」ギリッ

阿笠「おっと。人の心配はそこまでじゃ。実はの、お前にプレゼントを用意したんじゃ」

新一「……あ?」

阿笠「そこにな、お前に会わせたい者達を待たせておる。まずは、その者達の歓迎を受けて貰おうかの」

新一「ふざけやがって……。ゲームのボスじゃあるまいし、何馬鹿げた事を……」

カタッ……

新一「っ!?」クルッ

???「……」ブンッ!

新一「うわっ!?」サッ

???「……」

新一「な、誰だ!?」

阿笠「おお、暗くて見えんか?なら、明かりを点けてやろう」パッ

新一「……!そ、そんな……!?お前は……」

阿笠「どうじゃ?懐かしいじゃろう?」

新一「う、嘘だろ……!?どうして、お前が……!?」

阿笠「喜ばんのか?感動の再会じゃろ?」

新一「……嘘だ、嘘だろ……?なあ、何とか言えよ……。世良!!」

世良「……」

本日はここまで、夜更新予定です。

だれ?

>>424
赤井秀一の妹です。
再開します。

新一「な、何で......?お、お前が......?」

世良「......」

阿笠「グフッ、グフフフ......。どうじゃ?仲間との感動の再会は?まだ驚くのは早いぞい」

新一「え......?」

スタ......スタ......

新一「あ、お、お前は......は、服部......?」

服部「......」

新一「嘘......だろ?オメーら......。何で、ここに」

阿笠「グフッ、グフフフ......。驚いたかの?新一?」

新一「何で......!?コイツらが、ここに!?」

阿笠「グフフフ......。其奴等はな、ワシが実験用に生かしておいたサンプルどもじゃ」

新一「っ?!」

阿笠「ホレ、他にもおるぞい。そこにモニターを出してやるわい」ピッ

ヴォンッ......

新一「あ、あれは......?ジョディ先生......?」

阿笠「正解じゃ。懐かしいじゃろ?」

新一「何で?何でみんな......」

皆さん、ありがとうございます。
再開します。

阿笠「フフ、嬉しいじゃろ?また仲間に会えて。まだ何人かストックはおるぞ」

新一「どう、して......?コイツらは、アンタが殺したんじゃ......?」

阿笠「ワシは、人体実験に使いはしたが、処分したとは言っとらんぞ?まあ、あの日ワシの邪魔になる者は大体は処分したがの。何人かは秘密裏に捕らえさせてラボに飼っておいたんじゃ。貴重なサンプルとしてな」

新一「サンプル......だと?コイツらに一体何をした?!」

阿笠「色々な実験に付き合ってもらっただけじゃわい。いやあ、感謝感謝じゃよ!楽しかったのう!薬物実験や肉体強化実験、色々やったわい!」

新一「この......」ギリッ

阿笠「いやあ、女の子達には慰み物にもなってもらったしの!ありがたい事じゃよ!」

新一「テメェ......」ギリッ

阿笠「ま、色々やり過ぎてボロボロになってしまったのでな、最終的には人間ダウンロードの応用実験に利用させてもらったわい」

新一「応用実験、だと?」

阿笠「そう、ワシの為に動く完全なる人形を作るためのな」

遅くなって申し訳ありません、再開します。

新一「人形......だと?」

阿笠「そやつらには、まず何もない【空の記憶】を張り付けた。いわば記憶の初期化じゃ。その後で、ワシの命令にのみ従う様にプログラムした記憶をダウンロードした。余りに脳をいじくりすぎたのでな。感情も何もかも失ってしもうたがな。ワシの人形にする事は成功したわい」

新一「そんな都合の良い話があるかよ!コイツらが、コイツらがそんな......」

阿笠「ふん、信じられんか?なら見せてやろう。真純君」

世良「......はい、ご主人様」

阿笠「そこにしゃがんで、床を舐めなさい」

世良「......はい、ご主人様」スッ

新一「な、やめろ!世良!バカな事すんじゃ......」

阿笠「服部君。新一を抑えなさい。ケガはさせんようにな」

服部「......了解しました」ガシッ

新一「な、よせ!服部!オメーまでっ!」

世良「......」ピチャピチャ

新一「やめろ!やめろぉ!世良ぁ!くそ、離せ!離せ服部!目を醒ませよ!」

阿笠「無駄じゃ無駄じゃ。もう其奴等に自我は無いんじゃ。せっかく生きてた仲間がこうなって、悲しいのぅ?新一や」

新一「この外道が......」

阿笠「ふん、ワシを地獄に送るために歩美くんや元太君まで利用した人間の言う話しかの。お前さんも、地獄少女とやらと契約したのか?」

新一「......!」

阿笠「ふん、さっさと使えば済むものを、お前さんも哀君も、何をとち狂ってここに来たのやら。呆れるわい」

新一「テメーに何が......?!待てよ、まさか......おい!まさか灰原にコイツらと同じ事を......!?」

阿笠「気になるか?そりゃそうじゃろうなあ?まだしておらんが、やってしまおうかのぅ?」

新一「や、やめろ!それだけは......!」グッ

服部「動くな」グイッ

新一「くそ、離せよ服部!関西弁まで無くしちまいやがって!!くそぉぉお!!」

阿笠「無様じゃの、新一。ワシを消すどころか、哀君も仲間も救えんのじゃから。ま、ワシの言う事を聞けば、哀君に関しては考えんでも無いぞ?其奴等はもう直せんがの」

新一「......!」

阿笠「さ、どうするんじゃ?」

新一「......分かった」ギリッ

阿笠「ふん、ならまず......。懐の銃と藁人形を服部君に渡してもらおうかの。服部君、離してやりなさい」

服部「......了解しました」パッ

新一「......」ゴソゴソ

阿笠「言っておくが、妙な真似はするで無いぞ?哀君は今ダウンロードの機械に繋がれている。そして、ワシが身につけている機械からワシの生体反応が感じられなくなれば、自動でダウンロードはスタートしてしまう。隙をついて糸を引くなど考えん事じゃ」

新一(......完全にバレている。アイツは......。そこまで手を尽くしても捕まっちまったってのか)スッ

新一「......ほらよ」サッ

服部「......」パシッ

阿笠「宜しい。では、そのまま......。サンドバッグになってもらおうかの」

新一「なっ?」

阿笠「貴様がワシの次の身体とは言え、今回の狼藉......。最早我慢ならん。後遺症が残らん程度に、じっくり痛め付けてやるわい。歯向かえば哀君は」

新一「......わーったよ。さっさと......やれよ」

阿笠「ふん。真純君、服部君。其奴を痛め付けなさい。ケガはさせんようにな。じわじわ嬲ってやりなさい」

世良「......了解しました」

服部「......了解しました」

新一「......くそ、マイッたぜ」

バキッ!

新一「ぐはっ?!」フラッ

世良「......」

ドカッ!

新一「ぐえっ!!」ガクッ

服部「......」

新一「ち、ちきしょう......。まさか、オメーらにボコられる日が来るなんてな。光彦をいじめた、バチかな......」

世良「......」ガシッ

新一「......お手柔らかに頼むわ」

バキッ!

新一「う......げっ......」ガクガク

阿笠「クク、良い様じゃ!さて、もう一方も楽しませてやらねば」スタスタ......

別室。

灰原(......博士はどこへ?工藤君は大丈夫かしら)

ガチャッ

阿笠「いやあ哀君、ほったらかしてすまんのう」ニタリ

灰原「......」ジロッ

阿笠「ふふ、少しは落ち着いたかの。実は、君を楽しませてやろうと思っての。プレゼントを用意したんじゃ」

灰原「......プレゼント、ですって?」

阿笠「ふふ、そうじゃ。あ、そう言えばさっき拾ったこの藁人形、やっぱり只の人形じゃったな。残念じゃ」ニタリ

灰原「......」

阿笠「新一のはどうかのう?後で試すとするかの」ニタリ

灰原「......何ですって?」

阿笠「ん?聞こえなんだか?ま、この映像を見れば解るじゃろ」ピッ


新一「......ぐ、はっ」バタッ


灰原「......!工藤君!!」ガチャッ

阿笠「ふふ、楽しいじゃろ?君の愛した人間が目の前で痛め付けられる。最高のショーじゃ」ニタリ

灰原「そんな、止めて!お願い!止めてぇ!!」ガチャガチャッ

阿笠「無理じゃなー。ワシに逆らったんじゃから」

灰原「お願いっ!私はどうなっても良いから!!工藤君を助けて!お願いっ!」ガチャガチャッ

阿笠「ん?全く。メッキが剥がれすぎじゃ。そんなに新一が愛しいなら黙って大人しくしていれば良かったろうに」

灰原「やめてぇ、お願い......。やめて......」グスッ

阿笠「いい顔じゃあ!新一もな、君の為にサンドバッグになっておるわ。ワシの言う事を聞けば、君のダウンロードは止めてやるとな」

灰原「......工藤君」グスッ

阿笠「ま、嘘じゃがなぁ!」ニタリ

灰原「えっ......?」

阿笠「殺さん程度に痛め付けた新一を引きずって来て、その目の前で君を歩美君にしてやるわい!」ニタリ

灰原「ふざけないで!何の為に彼は......っ!!」ガチャガチャッ

阿笠「黙らんか」ジロッ

灰原「......!」ビクッ

阿笠「ワシに逆らいさえしなければワシとてこんな事はせなんだのに。全て君等が招いたんじゃ。神に逆らうとどうなるか。思い知るが良い。絶望の内に君等の自我はこの世から消えるんじゃ」ニタリ

本日は終了します。
21日夜更新予定です。

質問です
他人の藁人形を奪って使うことはできるんですか

>>441
これについては、アニメとドラマで設定がブレてしまっている部分があるらしいですが、地獄少女二期の「あの人の記録」と言うお話で、娘さんが手に入れた藁人形を、お父さんが使うお話があります。

なので、「依頼者が別でも、最終的に糸を引いた人間の怨みに従って発動する」と解釈して書こうと思います。

ネタバレ失礼しました。

灰原「......どうして、なの?」

阿笠「ん?」

灰原「何故、あなたはそこまで神になりたがるの?」

阿笠「......」

灰原「そもそも、あなたが彼に記憶をダウンロードした所で......。あなたが彼になれる訳じゃない。同じ記憶を持った人間が増えるだけ」

阿笠「......」

灰原「寧ろ、古いあなたは用済みになるんじゃないの......?なのに、何故あなたはそこまでして烏丸蓮耶と言う存在を遺す事に拘るの......?」

阿笠「......」

灰原「何があなたをそうさせるの?大勢の人の命を奪って、人を支配して、それで得た物は何?」

阿笠「......」

灰原「答えてよ、あなたは何故」

阿笠「だって、嫌じゃろう?」

灰原「......え?」

阿笠「君は嫌じゃないのかの?死ぬのは」

灰原「......?!」



阿笠「何が欲しい、か。いい質問じゃな。ワシはなあ。何が欲しいのか分からんから、全て欲しいんじゃ」

灰原「なっ……」

阿笠「君は何が欲しいんじゃ?君の質問に答えてやるから、君も教えてくれんかの。君は人生で何を望むんじゃ?」

灰原「……私は、工藤君と居たい。それだけ」

阿笠「ふむ、それは何故かの?」

灰原「……彼以外に、私が愛したい人がいないから。他の何を犠牲にしても、彼と一緒に居たい。彼に愛されたい。そう思うから」

阿笠「成程。じゃが、答えになっておらんなあ」

灰原「……?」

阿笠「君が新一を根底から好きな理由の説明にはなっておらん。自分でも分からんのじゃろ?」

灰原「……」

阿笠「理屈なんてどうでも良い。どうしようも無い感情に揺られるから、新一が好きなんじゃろ?」

灰原「……それは、認めるわ。確かに理屈なんて、分からない。そんなの、どうでも良い。彼が居るなら、それで良い」

阿笠「じゃろう?それと一緒じゃ。理屈など無い。ただ、ワシは君と違って欲しい物が分からんのじゃ。だから、全て欲しい。それだけじゃ」

灰原「……まるで子供ね」

阿笠「そうかも知れんのう。じゃが、欲しい物を追い求めるのが人間では無いかの?」

灰原「人間、ならね。私もあなたも、もう人間じゃない。人の皮を被った悪魔よ」

阿笠「つれないのう。君なら理解できると思うたんじゃが。ま、どうでも良いか。もうすぐ君は消えるんじゃからな」

灰原「まだ、分からないでしょ。こんな事態を、あなたは予想してなかったでしょ?逆転のカードが無いとは限らないわ」

阿笠「こんなケースは、確かに考えておらなんだ。じゃが、君達がワシの命を狙って来る事は予想……。いや、期待してたわい」

灰原「……え?」

阿笠「何故君達は大した束縛も無く生きていたと思う?何故君達には自由があったと思う?そう仕向けたんじゃよ。いつかワシの命を狙って来るようにな。その時間をやったんじゃ。スリルが欲しくてのう!命懸けで向かって来る人間を叩き潰すのはたまらん楽しみじゃからな!」

灰原「……どこまでも、私達を玩具扱いなのね。スリルが欲しい?いつか、あなたも用済みですものね。工藤君があなたに成り代われば。生の実感でも欲しかった?」

阿笠「用済み?さっきから君の言っている事はズレておる。それではまだまだじゃ」

灰原「ズレている?」

阿笠「そうじゃ。別にワシはただ記憶を残し続けることだけを目的としている訳では無い。ワシの見定めた能力の高い者、次代を生きるべき者を選定し、それぞれにワシの記憶を植え付ける。政治家、企業家、科学者、などなど。新一はあくまでその足掛かりじゃ。そして、その人間たちは1個の意志を共有する最強の集団となる。そして、その者達が人々の上に立つことで、世界は烏丸蓮耶の名の元に支配される事となる。そしていつか、不老不死の研究を完全に完成させ、オリジナルのワシを復活させる。世界を統べるシンボルとしてな」

灰原「……どこまで狂ってるの」

阿笠「器が大きい、と言ってもらおうかの。最早ワシの計画は誰にも止められん。そう、誰にもな。お、見てみると良い。話しておる内に、良い場面じゃぞ」ニタリ

灰原「え……?」フッ


世良「……」

バキッ!

新一「……!」ガクガク

服部「……」

ドガッ!

新一「あ、が……っ」ガクガク

新一(た、耐えろ……。耐えなきゃ、アイツが……。た、えろ……。俺……。アイツを……。助けなきゃ……)フラッ

ドサッ……

新一「……うっ、ぐ」ピクピク

世良「……」

服部「……」


灰原「工藤、君……っ!」

阿笠「おやおや、ちょっとやりすぎたかの?」ニタリ

灰原「工藤君!工藤君!!しっかりして!!工藤君!!」ガチャガチャ

阿笠「ククク。まだまだじゃ。あー、真純君。新一の頭を掴んで、カメラに顔を向けなさい」


世良「……了解しました」ガシッ

新一「……うっ」

グイッ


灰原「……!」

阿笠「おやおや、痛そうじゃのう。可哀想に」

灰原「……もう、一思いにやって」

阿笠「ん?」

灰原「これ以上、彼に痛い思いをさせないで……。彼も私も、一思いに……」

阿笠「する訳無いじゃろ?最期の時まで後悔し続けるが良い」

灰原「......」

阿笠「さて......。新一を痛め付けてやるのも楽しいが、あの藁人形も調べたいしのう。服部君に持ってこさせるかの」

灰原「......それを、どうする気?」

阿笠「ん?まあ、興味深いからのう!この世ならざる力、不老不死の研究にも役立つかも知れんし!」

灰原「......私達に自由になる力では無いわ。止めた方が身の為よ」

阿笠「クク、この世にこうしている以上は解明出来ない事など無いわい。上手く行けば、邪魔な人間を地獄に流し放題になるかも知れんぞ?」

灰原「......本当に狂ってるのね」

阿笠「クク、まあ見ておるがよい。服部君。人形を持ってこちらへ来なさい。真純君は引き続き新一を躾てやりなさい」


服部「......了解しました」

世良「......了解しました」グリグリ

新一「......い、てぇな。ふ、踏みつけられる趣味は......ねぇぞ......」

新一(......ち、くしょう。も、もう......。力が入らねぇ。このまま、博士の一人勝ちかよ、ったく......。ざまぁ、ねぇな......)

一目連(おいおい。さっきから見てりゃ、誰が糸を引こうが知らねぇけど、あの阿笠に渡るのは不味いんじゃねぇか?何されるか分かったもんじゃねぇぞ、輪入道。どうすんだ?お嬢?)

本日はちょっと書けませんので、明日更新します。
申し訳ありません。

皆さんありがとうございます、再開します。

服部「......」スッ......

新一(ヤベ......。アレを博士に.....渡すわけには......)プルプル

世良「......」グリッ

新一「......ぐあっ!」ギリッ

世良「......動くな。お前をこの場で痛め付ける様に言われている。向こうには行かせない」

新一「何だよ、喋れるのかよ。世良......」ハァ、ハァ

世良「.....黙っていろ」グリッ

新一「うぐ......っ!!」ギリギリッ

世良「......ご主人様、いかがなさいますか?続けますか?」


阿笠「んー、そろそろ虫の息かの?ま、続きをこちらでやってもそれはそれで楽しいかも知れんしの。あー、真純君。引きずって連れて来なさい」


世良「......了解しました」ガシッ

新一「......ったく、よりによってオメーが博士の......。ボディガードになっちまってるなんてな......。ツイて......ねぇな......」ハァ、ハァ

世良「......」グイッ

新一「オメーの、兄さんも......。オメーも、俺が見殺しにしたんだ......。報い、かな......」ズルッ、ズルッ......

世良「......口を開くな。私にはご主人様以外に知り合いなどいない」グイッ

新一「ホントに、何もかも......。消されたのか......。俺も、灰原も......。そうなるのか......」ズルッ、ズルッ......

世良「......」グイッ

新一「俺がコナンだった事も......。その俺をさしつこくつけ回ってた事も......。忘れちまったんだな......」ズルッ、ズルッ......

世良「......何のつもりか知らないが、何を言おうが無駄だ」グイッ

新一「......そうかよ」ズルッ、ズルッ......

新一(ちきしょう......。やはり、ダメかよ。服部も、世良も......。そして、博士も......。治せ、ないのか......。そういや、ここ来て何分たったかな......。後は......。もう、運と......。アイツ、次第か......)

阿笠宅、屋外。

光彦「......もう、どれ位経ったでしょうか」

光彦「......コナン君は出てこない」

光彦「......」

新一が阿笠宅に入る少し前。

新一「......よし、もう少しだ!」ハァ、ハァ

光彦「大丈夫ですか?コナン君?もう走りっぱなしですよ?」

新一「バーロー、止まってらんねーだろ!急がなきゃ......!?」ドクッ

光彦「......コナン君?」

新一「......」

光彦「ど、どうしました?」

新一(胸騒ぎが......。強まっていく......。アイツは......。まさか......!)

光彦「......コナン君?」

新一「......いいか、光彦。良く聞け」

光彦「え?」

新一「俺は今から1人で博士の家に入る。お前は、少し離れた場所で待機してくれ」

光彦「え、え?何故ですか?今更ここまで来たのに?」

新一「......やな予感がすんだよ。アイツはひょっとしたら、いや......。間違いなく博士の手の内に落ちた。そんな確信が迫ってくる」

光彦「そ、そんな!だから1人で行くんですか?カッコつけてる場合じゃ!」

新一「いや、だから1人で行くんだ。もし博士が俺に対する備えをしてりゃ、一網打尽になりかねない。だが、オメーの存在を向こうは多分まだ知らねー筈だ。だから、残ってくれ」

光彦「で、でも......」

新一「......何があっても、俺はアイツを博士から取り返さなきゃならない。だから、打てる手は打たなきゃな。分かってくれ」

光彦「......止めてくださいよ。まるで、死亡フラグじゃないですか」

新一「バーロ、不吉な事言うんじゃねーよ。いいか。今から俺が中に入って30分しても反応が無ければ、それは失敗したって事だ。そん時は」

光彦「僕が中に入れば......」

新一「......いや、それはオメーに任せる」

光彦「え?」

新一「さっきも言ったが、オメーの存在を、向こうは知らない。だから、もし俺が失敗したなら、オメーは逃げても構わない。いや、逃げた方が良いのかも知れない」

光彦「な、何をバカな事!僕は今更2人を見捨てるなんて......」

新一「......元々、これは俺達の闘いだ。いや、闘いなんて高尚な物じゃない。たたのお互いの意地と欲のぶつかり合いだ。それに巻き込まれてオメーが死ぬ事はねぇさ」

光彦「で、でも!」

新一「......あくまで可能性の話だ。でも、もしそうなったら、オメーは自分を優先に考えろ。いいな」

光彦「い、嫌です!僕は、僕は......」

新一「......ワリーな、光彦。最期まで迷惑かけてよ」ドカッ!

光彦「......うぐっ!」ガクッ

新一「しばらく大人しくしててくれ」

光彦「......コ、コナン君っ」プルプル

新一「......後は、なる様になるさ。オメーがどういう選択をしようと、それが運命だ。じゃあな」

光彦「ま、待って......!コナン君......!」

新一「......またな」スッ

光彦「......!」プルプル

皆さんありがとうございます。
7時頃再開します。

現在。

光彦「......あれからようやく、動ける様になりましたが......。時間が大分経ってしまいました」

光彦「コナン君......。あなたは何がしたいんですか?僕にどうして欲しいんですか?」

光彦「......コナン君も、迷ってる?僕を利用したいのか、救いたいのか」

光彦「......冗談じゃないですよ。中途半端に僕を振り回して」グッ

光彦「......もううんざりです。僕は僕の好きにしますっ!もう知りませんよ!コナン君!」

阿笠宅内。

阿笠「ヒヒヒ、いよいよお楽しみの時が近づいてきたのう?哀君?」

灰原「......」

ガチャッ......

服部「......お持ちしました」スッ

阿笠「おお、ご苦労じゃったな」ガシッ

灰原「......っ!」

阿笠「ふむ、これが例の藁人形かの。成る程。触っただけで分かるわい。さっきの偽物とは違う。何かを感じるわい」ニタリ

灰原(......間違いなく、アレは本物ね。何て事なの)ギリッ

阿笠「クク、お楽しみが控えておるが......。調べずにはおれんのう。分析してみるかの。哀君。最期に1人の時間をあげよう。ゆっくり昔の想い出にでも浸ると良いわい」ニタリ

灰原「いらないわよ、さっさと......」

阿笠「クク、ズタボロの新一を目の前で見たら、そうも言えなくなるじゃろうがの。楽しみじゃな」

ガチャッ......バタンッ......

灰原「......終わり、かしら。私達の運命は」

一目連「......おい、ヤバイだろ。分析って何すんだよ?こりゃほっとくわけにゃ......」

フッ......

あい「......」

一目連「お嬢!来てたのか?まずいぜ、輪入道がヤバそうだ!依頼人に過度に干渉しないって言っても、あれは助けた方が......」

あい「......まだ、ダメ」

一目連「え?」

あい「......まだ。ダメ」

一目連「いや、でもよ!」

あい「......まだ大丈夫」

一目連「......?」

阿笠宅、新一側。

世良「......」グイッ

新一(クソッ、力入らねぇ。逃げれそうもねぇな......)ズルッ、ズルッ......

世良「......」グイッ

新一「......あんまり馬鹿力で引っ張るなよ」ズルッ、ズルッ......

世良「......」グイッ

新一「......自我を失っても、格闘技は忘れてねーし、力強えーし、昔と変わってねーな」ズルッ、ズルッ......

世良「......」グイッ

新一「......可哀想にな、良く見りゃあちこち傷だらけじゃねーか。火傷もしてるし。何されたんだよ......。オメーら」ズルッ、ズルッ......

世良「......」グイッ

新一「......返事無し、か。昔は......。嬉しそうにコナンだった俺にまとわりついてたのにさ」ズルッ、ズルッ......

世良「......」グイッ

新一「......全く、変わらないのは胸が無いとこ位か」ズルッ、ズルッ......

世良「......なる」ピタッ

新一「......え?」

世良「......これ、から......きく、なる」ボソッ

新一「......世良?」

世良「......からかわ、れる......コナ、ン君に......く、どう......くんに......う、あ......っ」

新一「世良!?まさか、まだオメー......。意識が......っ?!」

世良「あが、う、うううぅぅあっ!!」ガシャーン!!

新一「っ?!危ねっ?!」サッ

世良「あぅ......っ?!わ、私は......ご主人様、の......?私は、私?私、誰?」ブルブル

新一(意識が戻ったんじゃない、頭の中がバグってんのか?!無理な実験のせいか......。不安定なのか!?)

新一「世羅!しっかりしろ!」

世良「ああぁぁ!!や、め......。わたし、は、う、あぁ......っ」ガクッ

新一「っ?!世良?!」スッ

世良「......」

新一「意識を失ったのか......?」ユサユサ

世良「......」

新一「......チャンス、と見るべきか?でも」ガクガク

新一「ちっ、小細工を労する体力もねぇな......。とにかくこの隙に進むしかねーな。這ってでも、アイツの所へ......。博士に見つからない内に......」ヨロヨロ

新一「......待ってろよ、灰原っ」ギリッ

阿笠宅、特別研究室。

阿笠「クク、さて......。何から始めるかの?分解?成分分析?胸踊るわい。この世ならざる物を解析すれば、また一段と不老不死に近づけるやも知れんしの」ニタリ

ビーッ、ビーッ、ビーッ......

阿笠「ん?警戒信号じゃと?何じゃ?」スッ

阿笠「む?真純君の信号に異常じゃと?新一に真純君をどうにか出来る体力は無い筈じゃが?」

阿笠「......ちっ、所詮不出来な人形。バグを起こしたかの。ま、良い。服部君を差し向けた上で......。真純君にも最後の奉公をしてもらうかの」ニタリ

本日は終了します。
明日更新予定です。

皆さま、申し訳ありません。
仕事の為明日更新します。

灰原側。

灰原「......静かね、不思議な位」

灰原「......こうしていると、思い出してしまう。工藤君と、想いが通じた日の事」

灰原「......」

きくり「楽しい?」バッ

灰原「あなたは......。どこから入ったの?」

きくり「ねぇ、楽しい?友達を流して、楽しい?」

灰原「......あなたも人間じゃないのね。それは、内緒よ」

きくり「何で?」

灰原「どうしても、よ」

きくり「ふーん」タタタッ......

灰原「......」

ガチャッ......

阿笠「気分はどうかね?哀君?」

灰原「......良い訳無いわ」

阿笠「そうかそうか。何よりじゃ。さて、いよいよこのパーティも締めが近いわい」

灰原「工藤君が、来たの?」

阿笠「嬉しそうにしおって。ま、最後じゃからの」ニタリ

灰原「......」

なかなか立て込んでしまい、更新が滞り申し訳ありません。

5日には時間が取れるので、最悪その日には終わります。

ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません。

遅くなって申し訳ありません。
今晩には再開します。

灰原「1つ、言っておくわ」

阿笠「ん?」

灰原「全てが上手くいくなんて、思わない方が良いわ。物事なんて、ちょっとした事で崩れるのだから」

阿笠「ふん、忠告は受け取るが。この局面からの逆王手は無理じゃろうなぁ」

灰原「......」

阿笠「何にしても、最後のイベントを楽しむとしよう、ククク......」

灰原(......工藤君)

少し後 。

新一「ドアが見えてきたな。あそこ......か?」ハァ、ハァ

ガチャッ......

新一「......真っ暗だ。ここじゃないのか?」ハァ、ハァ

パッ!

新一「っ?!眩し......っ」

阿笠「良く来たのう、新一」ニタリ

新一「......よう、化け物」ハァ、ハァ

阿笠「おやおや、いきなり随分な言い種じゃな。しかし、随分ズタボロじゃな。可哀想に」ニタリ

新一「......るせーよ。灰原は?無事なんだろうな?」ハァ、ハァ

阿笠「つれないのう。ワシより哀君かの?」

新一「ったりめーだろ。アイツは何処だよ?」

阿笠「会いたいかの?まあ、会わせてやっても良いが」

新一「この野郎、またのらりくらりはぐらかす気か!!良いからアイツを......」

阿笠「まあまあ、焦るでない新一。今日でお前さんは消えるんじゃから。最後の一時位ゆっくりせんか」ニタリ

新一「ふざけやがって、ぐっ?!」ガクッ

阿笠「ふん、ボロボロの体で吠えるからじゃよ。立っとるのもやっとじゃな。ま、ここまで来た褒美に、見るがよい」ポチッ

ウィーン......

新一「......は、灰原っ!」

灰原「工藤君......。ごめんなさい、私......」

新一「バーロ、気にすんな......。良かった、まだオメーは、灰原のまんまなんだな」ニッ

灰原「ええ、まだ私は私よ。でも、あなたが......」

新一「こんくらいは平気さ。気にすんなよ。オメーが無事ならそれで......」

阿笠「そこまでじゃ。イチャつきおって。緊張感がないのう」

新一「るせーよ。早く灰原を解放しろ!俺は、もうどうなっても良いから......」

灰原「やめて!彼じゃなく私を!」

阿笠「クク、良かろう。その仲睦まじさに免じて、チャンスをやろう」パンパン

服部「......」スッ

新一「服部......」

阿笠「新一や。服部君相手に5分耐えてみるが良い。無事5分耐えたなら、2人を解放しよう」

新一「......とかいって、助ける気なんてねーんだろ?」グッ

阿笠「いやいや、ワシも男じゃ。嘘は言わん。約束しよう。きっかり5分耐えたなら、必ず2人を助けよう」

灰原「ダメよ、工藤君!どの道博士は......」

新一「良いから待ってろ。必ず......。助けっから」プルプル

灰原「工藤君......」

阿笠「クク、それでは始めよう。最後のゲームを」ニタリ

灰原「工藤君!やめて!これ以上......」

新一「......さっさとしろよ」プルプル

阿笠「ふむ。では、スタートじゃ。服部君。新一を再度痛めつけなさい」ニタリ

服部「......了解しました」ダッ

新一「チッ、オメーらとやり合いたくもねーし......」スッ

服部「......」ブンッ

新一「やり合ってる暇もねぇよ!」サッ

阿笠(ほう、粘りよる。じゃが、既に色々と仕込みは終わった。哀君のご忠告通り、イレギュラーにも対応出来る様にな。貴様は既に詰んでおるわい、新一)ニタリ

服部「......」ダッ

新一「ったく、オメーはそんな無口なキャラじゃ......ねーだろ?服部?思い出せよ!」

服部「......」ブンッ

新一「っ、聞く耳無しかよ」サッ

新一(クソ、動く度身体が軋む......。限界だっ......)ガクガク

灰原「工藤君......。やっぱり身体が......」

新一「心配すんなって、大丈夫......だからよ」ガクガク

阿笠「ほう、良い調子じゃな。なら、盛り上げる要素でも投入するかの」ポチッ

灰原「っ!?何を!?」

阿笠「クク、見てのお楽しみじゃ」ニタリ

遅くなって申し訳ありません。
結局休みがずれてしまいました。

今日1日で更新していきます。

服部「……」ブンッ

新一(よし、身体はキツイが……。動きが機械的だから読めて来た!このまま何とか……)サッ

阿笠「ほほう、素晴らしい!あと1分じゃ!頑張るが良い……。何事も無いと良いのう」ニタリ

新一「……?」

服部「……!!」ビキビキッ

新一「何だ?様子が……?」

服部「……」ビュンッ!!

新一「っ!?急に速くっ!?」フラッ

灰原「何をしたの?」

阿笠「何、ちょっと筋力のリミッターを外してやったたけじゃよ。2人ともな」ニタリ

灰原「2人……とも?」

タタタッ……

新一「クソッ、ヤバいな……」

ガシッ……

新一「えっ!?」

世良「……」ギリギリ

新一「なっ……世良っ!?」

服部「……」ヒュンッ

新一「しまっ……」ドゴッ……

新一「がっ……」ガクッ

灰原「工藤君!」

阿笠「ありゃあ、痛そうじゃのう!ま、死にはせんじゃろ、多分」ニタリ

灰原「そんな……。工藤君!しっかりして!!卑怯よ!!あんなの……」

阿笠「何が卑怯じゃ?加勢が入らんとは言ってはおらんぞ?ま、ワシがルールじゃ」ニタリ

灰原「くっ!工藤君!工藤君!!しっかりして!!」ガチャッ

新一「……ぐ、あ」ピクピク

阿笠「お前の負けじゃな、新一」ニタリ

新一「な、何故……?世良はもう、動ける状態じゃ……」ピクピク

阿笠「何、完全にこちらの機械でコントロール出来るように変更したまでじゃ。ま、そのせいでもう完全にロボットじゃがな。リミッターも外してしまったし、あと数十分でお陀仏じゃな。貴重なサンプルが減ってしまうわい」ニタリ

新一「テ、メェ……」ブルブル

阿笠「足掻くで無い、もうお前は負けたのじゃ。負けたからには罰を受けて貰おう。目の前で……。愛した人間が別人になる所を見ておるが良い。2人とも、新一の顔を上げなさい。瞬きもさせんように」

服部・世良「……」ガシッ

新一「や、めろ……やめ……」ブルブル

灰原「……工藤君!!工藤君!!」プルプル

阿笠「クク、最後の時じゃ。別れ位言うたらどうじゃ?」

灰原「……イヤ、助けて……工藤君、イヤ、イヤよ……消えたくない……工藤君、大丈夫?工藤君、工藤君……」ブルブル

阿笠「ふん、恐怖でおかしくなったかの?ま、良い。このスイッチを押して、終わりじゃ」ニタリ

新一「や、めろ……やめろぉぉぉおおお!!」

阿笠「もう遅い……。貴様等が招いた事じゃ。身を持って知るが良い。ワシの怒りをな!」ニタリ

光彦「……待って下さい!!」

灰原「……円谷、君?」

阿笠「あ……?何じゃ?光彦君じゃと?」

光彦「ハァ、ハァ、コナン君!大丈夫ですか!?」

新一「……バーロ、逃げなかったのかよ。光彦」ガクガク

光彦「逃げませんよ!その為に来たんですから!」ハァ、ハァ

阿笠「ふむ、つい楽しみすぎて上の階のセキュリティを忘れとったか。新一達を招き入れるために切ってあったのを忘れとったわい。で?歩美君に続いて光彦君まで引っ張り込んだ訳かの?ご苦労な事じゃ」

光彦「僕はコナン君に引っ張り込まれた訳じゃありません!全ての現況があなただと知って……。全てを終わらせる為に来たんです!」

阿笠「ふん、勇ましいのう。羽虫が……」ジロッ

光彦「……!?」ビクッ

阿笠「うっとおしい虫ケラが……。ワシの楽しみの場に割り込んできおって。虫ケラは虫ケラらしくひっそり隅に潜んでおれば良いモノを」

光彦「僕は虫じゃありません!人間です!あなたみたいな悪魔と一緒にしないで下さい!」

阿笠「黙らんか。いちいち勘に触るガキじゃ。あの装置のターゲットにした位では足らんかったようじゃな」

光彦「何ですって……?」

阿笠「例えばじゃがの、光彦君。君が誕生日にケーキを貰ったとするじゃろ?大事な家族が、心を込めて贈ってくれたケーキじゃ」

光彦「何の話ですか……?」

阿笠「そのケーキを、学校から帰って来たら食べようと楽しみにして……。長い授業を受けて……。いざ帰って来たら、そのケーキにアリがたかっておったら……。どんな気持ちになるかの?」

光彦「ど、どうって……」

阿笠「許せんじゃろう?大事なケーキを台無しにしたそのアリを……。プチッと潰したくなるじゃろ?」

光彦「何が言いたいんですか?」

阿笠「わからんか?君はワシにとって、そのアリだと言っとるんじゃ」ジロッ

光彦「なっ……?」

阿笠「ワシが精魂込めて作り上げて来た新一と哀君の関係……。その周りにチョロチョロと動き回る目障りな虫。何度一思いに潰してやろうと思ったか分からんわい」

光彦「そ、んな.....」

阿笠「君への怒りはそりゃあ中々の物じゃったよ?まあ、ああやって痛め付けて少しは溜飲も下がったが、こうして邪魔されるとまた腹が立って来たわい」

光彦「僕だって、怒ったんですよ!あなたが、コナン君を、灰原さんを、みんなを苦しめた事に!」

阿笠「ふん、君が何をほざこうが......。所詮ただの子供に何が出来るんじゃ?」

光彦「出来ますよ、あなたを......倒して、2人とも助けます!」

灰原「円谷君......」

光彦「......その話し方、見た目は大人だけど、やはりあなたは灰原さんなんですね」

灰原「......ええ」

光彦「ちょっと、びっくりです」

灰原「......ごめんなさい」

光彦「そして、コナン君。あの時の約束、今果たします!」スッ

阿笠「......!き、貴様!それは!」

光彦「これで、あなたを......。倒します!」

新一「み、光彦......」

光彦「......待ってて下さい、2人とも......。今助けます!」

数時間前。病室にて。

コナン「俺は今日、博士とケリをつけたいんだ。何としても。地獄少女の力を借りてな」

光彦「......それで、博士を?」

コナン「ああ。だが、俺はその前に博士に直接会いたいんだ。会って、確かめたい事がある」

光彦「でも、危険度が高くありませんか?直接博士の所に行くなんて」

コナン「ああ、その通りだ。この計画には、灰原も含まれているしな......」

光彦「なら、尚更......」

コナン「だから、オメーに頼みたい」

光彦「え?」

コナン「オメーには、一緒に来て見極めて欲しい。俺と博士を。そして、俺が信じられなきゃ俺を流せば良い。だが、もし俺より博士を流すべきだと感じた上で、俺がやられちまって博士を流せない状況になったら......。その時は俺のの代わりに博士を流してくれ」

光彦「......!」

コナン「難しく、危険な頼みだ。だが、どうか受けて欲しい。ここで博士を止めなきゃ、もう手立ては無いんだ」

光彦「......死ぬ気、ですか?」

コナン「バーロ、万が一の話だ。頼むぜ、光彦......」

現在。

光彦「あの時頼まれた事、ずっと悩んでました。僕は、どうすべきなのか。でも、今......。例えコナン君の内心がどうだろうと、僕はコナン君を助けたい!だから、この力を......使います!」グッ

新一「バ、バーロ......。カッコ、つけやがって......」プルプル

灰原(彼がこうしたと言う事は、天秤がこちらに傾いたの?でも、まだ......。事態が好転した感じがしない......)

阿笠「ま、さか......っ!貴様までその人形を!ワシを消す為にか?!」

光彦「......元々は違いましたけどね。でも今、僕の怒りと怨みは、確かにあなたに向いています!あなたがいたら、みんなが不幸になる!そんなの許せない!」

阿笠「ま、待て!早まるな!ワシを流したとてどうなるんじゃ!君も歩美君の様に利用されて捨てられるのがオチじゃぞ?!」

光彦「えっ?!」

新一「......っ」プルプル

灰原「......」ピクッ

光彦「どういう、事ですか.......?」

新一(やっぱり、こうなるよな.......。この流れまでは来た。後は本当に、運次第か....)

阿笠「この2人はな、ワシへの復讐に歩美君を巻き込んだ挙げ句、地獄へ流したんじゃよ!更に、元太君を歩美君に流させたのもこの2人じゃ!」

光彦「......!」

阿笠「君も結局、この2人に利用されとるだけなんじゃよ!考え直しなさい......。地獄に流されてしまうぞ?」

光彦「......本当、ですか?」

新一「......ああ」プルプル

灰原「......事実よ」

阿笠「言ったじゃろう?ワシも確かに君を虐げた。じゃが、地獄に送ったりはせん。だから、手を降ろすんじゃ。そうしてくれるなら、ワシは心から君に謝ろう」

光彦「......」

光彦「結局、どちらを選んでも僕は......。利用されるだけ......?」

光彦(何故?こうなるのが分かっていて、何故コナン君は僕をここへ?)チラッ

新一「......」ジッ

光彦(......!あの目、まさか......!あなたは......!)

灰原(工藤君......。あなたは......)

阿笠「さ、光彦君。その人形をワシに渡しなさい。そうじゃ、今までの君の苦痛に対する慰謝料も払おう!それに......」

光彦「......必要ありませんよ」

阿笠「何じゃと?」ピクッ

光彦「僕が怨みを晴らすべきは、あなたに間違いは無いんだから......。例えこの後コナン君に何かされたとしても......。この怒りをぶつけるのは、あなた以外にはいないんです!」

阿笠「何を言っておる、バカな真似は」

光彦「動くなぁ!糸を引くぞ!」グッ

阿笠「......!」

光彦「僕の地獄を作り出したのは、この世を地獄と思わせたのは、間違いなくあなたなんです!だから僕はあなたを......許さない!」グッ

阿笠「こ、の......。クソガキがあぁぁあ!!」ギリッ

新一「へ、へへ......。やっと余裕ぶった態度が消えやがったな......。ったく、光彦......。損な性格だな、オメーも」ハァ、ハァ

光彦「......どうせ博士の言う事聞いたって、裏切られるのがオチですし」

灰原「......」

阿笠「ぐ、くぬ......。じゃ、じゃがまだ勝ち誇るのは早い!今ワシが消えたらどうなるか、忘れたか新一!」

新一「......っ?!」

(ワシが消えれば、自動的に......)

新一「あ......っ!ま、待て!光彦!!」

光彦「えっ?」

新一「今、博士を消したら......。灰原が......っ!やられちまうっ!」ハァ、ハァ

光彦「そ、そんな!」

阿笠「そうじゃ、今ワシを消したら......。哀君は消えてしま」

灰原「......構わないわ」

阿笠「なっ?!」

新一「......灰原っ?!」

灰原「......」コクッ

新一(勝負に出るって事か、あの目は......。確かに、今を逃したら逆転のチャンスは無ぇ......)

灰原「......やりなさい、円谷君」

光彦「灰原さん......」

阿笠「バカを抜かすでない!そんな事をしたら君は消えてしまうんじゃぞ?!」

灰原「あら、私は歩美ちゃんになるんでしょう?どの道、工藤君を愛せる人格なら構わないわ」

阿笠「ぐ、ぐううぅぅ!?」ギリッ

灰原(何とか、この隙に手を......)

阿笠「き、さまらぁぁああ!」サッ

新一「あ、あれは......」

阿笠「そうじゃ、貴様から取り上げた人形じゃ!分析する時間は無かったが......。ワシにも糸を引けば使えるはずじゃ!こうなれば道連れにしてくれるわ!」

光彦「くっ、こうなれば!」

新一「待ちな、光彦......。博士、その人形は......。1人しか流せないぜ?」ニッ

阿笠「う?!」

新一「この場で......。アンタが光彦を流せりゃ、アンタの勝ちだが......。アンタが今1番怨んでるのは、誰かな?」

阿笠「??!」

灰原「......そうね、あなたが1番怨んでるのが私や工藤君なら、あなたは対抗策を浪費するだけ、になるわね」

阿笠「ぐ、ぬぅぅう!!」ギリギリ

新一「形勢逆転、だな。博士」ハァ、ハァ

光彦「さあ、まず灰原さんを解放して下さい!」

阿笠「ガキどもがぁ、図に乗りおってぇ!」ギリッ

灰原「弱った相手には漬け込む。あなたのお得意じゃない?」

阿笠「この.....減らす口を!!こうなれば!」サッ

新一「?!」

阿笠(モルモットどものリミッターを最大まで解放してくれるわ!もう生かしてはおかん!)カチッ

世良「......っ!!」ビキビキッ

服部「......っ!!」ビキビキッ

新一「ぐ、ああぁぁっ!!」バキバキッ

灰原「工藤君!」

光彦「コナン君っ?!」

阿笠「ギヒヒヒ、やれ!やってしまえ!1人残らず無力化せい!」

光彦「くっ、糸を......」

服部「......が、あっ!」ダッ

光彦「えっ......」

ガシッ!

光彦「ぐえっ......」ジタバタ

新一「光彦っ!」

世良「あ、がぁ......」ビキビキッ

新一「うわぁああっ!!」バキバキッ

阿笠「ヒヒ、次のワシの身体だからと、情けをかけたから付け上がられたんじゃ。もうここまでワシを怒らせた以上、手加減はせん......。苦しみ抜いて......逝くが良い!」ニタリ

灰原「工藤君っ!円谷君っ!」ガチャッ

阿笠「そして貴様もじゃ!調子に乗りおって......消えるが良い!」スッ

灰原「っ!」

新一「は、灰原......っ」ガクッ

光彦「灰原......さんっ......」プルプル

服部「ぐ、が、ぁ......っ!」ブンッ

光彦「うわぁっ?!」

阿笠「な?!」

ドカッ!

阿笠「ぐわっ?!」

光彦「いっ?!」

ゴロゴロ......ッ

新一「大丈夫かっ、光彦っ!......な、何だ?どうなってんだ?」

服部「があぁぁあ!!」

灰原「ぼ、暴走?」

阿笠「ぐ、ぐふっ......」プルプル

光彦「い、痛い......。ん?あ、人形......っ!」

阿笠「ぐ、し、しまった......」

光彦「い、痛い、動けない......で、でも取らなきゃ......」ズリッ

阿笠「う、クズどもめぇ......」ズリッ

服部「があぁぁあ!」バキッ!ドカッ!

灰原(見境無しに暴れている......。しかも、この部屋は......さっきのレーザートラップが無い?機械が巻き込まれるから?)

新一「何だか知らねぇが......。チャンス、かっ!」ピッ

世良「ぐっ?!」ピチャッ

新一「へ、へへ......。血塗れにしてくれたお陰で、目潰し成功だぜ......。今の内に、灰原を......」ズルッ......

遅くなって申し訳ありません。
夏バテで入院してました、お恥ずかしい......。

夜から再開します。

灰原「工藤君っ!!」

新一「ま、待ってろ。今行くからよ......」フラフラ

灰原(もう、意識を保つのもやっと......)

世良「う、う......」ジタバタ

新一「......っく!」ガシッ

灰原「工藤君、大丈夫?!」

新一「な、何とかな......。右手、折れてるみてーだけどな......」フラッ

灰原「ごめんなさい、私のせいで......」

新一「何言ってんだよ、待ってろ。今機械を解除すっから......」フラッ

阿笠「あ、のガキがぁ......っ!そうはさせ......?!」ビクッ

阿笠「ス、スイッチが壊れておる!?生体認証デバイスも......?!」

阿笠「さ、さっき投げつけられた時に......っ!!」ギリッ

光彦「......っく!」ズルッ、ズルッ......

阿笠「い、いかん......っ!人形を渡してたまるかっ」ズルッ、ズルッ......

光彦「も、もう少しっ......」ズルッ、ズルッ......

阿笠「ぐ、くそぉ......っ」ズルッ、ズルッ......

新一「......」カチャカチャ

灰原「工藤君、無理しないで......」

新一「静かに......」カチャカチャ......ガチャッ!

灰原「!」

新一「......っし、やったぜっ」フラッ

灰原「工藤君っ!」ガシッ

新一「ワ、ワリーな。女の子に、力仕事させてよ」

灰原「もう、バカね......」グスッ

阿笠「なんじゃと......」ハァ、ハァ

阿笠「ぐ、くそ!どいつもこいつも......」

光彦「とっ......たぁー!!」ガシッ

阿笠「!!?」

光彦「コナン......君っ!人形、取り返しましたよ!2つともっ!」ハァ、ハァ

新一「よっしゃ......。サンキュー、光彦。これで、終わりだな」ハァ、ハァ

阿笠「......」

光彦「博士、観念して下さい!大人しく......」

阿笠「......どいつもこいつも」ボソッ

光彦「?!」

パァン......ッ

新一「え......」

灰原「な......」

ドサッ......

光彦「がふっ......」ピクピクッ

新一「光彦っ!しっかりしろっ!」ハァ、ハァ

阿笠「動くなぁ!」ガチャッ

灰原「っ!」

阿笠「貴様等どいつもこいつも......。ワシをコケにしおって......!!」

光彦「が、がふっ......」ドクドク

光彦(い、痛い、痛い、痛い......)

新一「あの銃、俺の......」ハァ、ハァ

阿笠「そうじゃ、貴様から奪った銃じゃ!もうこうなれば後の事など知らんわ!貴様等はワシの障害にしかならん!排除してくれるわ!」

新一「この野郎っ......」

ガシッ

新一「っ?!」

灰原「うっ?!」

世良「......う、う」ギリギリッ

服部「......がっ」ギリギリッ

新一「オ、メーら、しつこいぞっ......」ジタバタ

灰原「苦、しい......っ」プルプル

阿笠「ふん、ゴミもたまには役に立つわい。さて、もう片方じゃ」クルッ

光彦「ぐ、ぐふっ......い、痛い、いだい......っ」ドクドク

阿笠「ふん、羽虫がチョロチョロ飛び回るからそうなるんじゃ。さあ、人形を渡すんじゃ。渡せば助けてやるぞい」ガチャッ

光彦「う、うう......」ブンブン

阿笠「ほう、拒否か。なら」グリッ

光彦「ぎゃああああぁぁぁっ!!」ズキズキッ

阿笠「ほれ、痛いじゃろ?痛い目に遭いたくないならさっさと渡すんじゃ」グリグリ

光彦「うわぁあああっ!!い、嫌ですっ!!」ズキズキッ

阿笠「このゴミ虫が!!」パァン

光彦「うぎゃあああああ!?」ドクドク

新一「み、光彦......っ」ガクガク

阿笠「うるさい虫じゃな。急所は外しとるわい。まだまだ痛めつけてくれるわ」

光彦「ひぐっ、うぐっ......」ピクピク

阿笠「さあ離せ!人形を渡すんじゃ!」

光彦「あ、い、嫌だ......」ピクピク

阿笠「この、さっさと渡すんじゃ!」ドガッ!

光彦「うげぇっ......」ビチャッ

新一「く、そ......」ギリギリ

灰原「う、う......」ギリギリ

世良「......う、う」グイッ

服部「......が、ぁ」グイッ

新一「こ、の......。離せよ、オメーらっ......」ハァ、ハァ

世良「......」ググッ

服部「......」ググッ

新一「悔しく、ねーのか......オ、メーら......。負けっぱなしでよ......」ハァ、ハァ

灰原「工......藤......君......」ハァ、ハァ

世良「......あ、う」ビキビキッ

服部「......う、ぐ」バキバキッ

灰原(2人とも、身体が......)

阿笠「ふん、無駄な事を。さっさと諦めれば良いものを」

新一「悔しく......ねーのかよ......あんな......奴にも......俺にも......負けっぱなしでよ......」ハァ、ハァ

新一「目、覚ませよ......」ハァ、ハァ

世良「あ、ああぁぁっ!」ググッ

服部「うがぁぁっ!」ググッ

灰原(意識が......っ)ガクッ

新一(ここ、までか......)プルプル

もう少しだな
頑張ってくれ

>>500
ありがとうございます。
結局こんなに遅くなりましたが、後少し、頑張ります。

ポタッ......

新一「......!?」

世良「......」ポロポロ

服部「......」ポロポロ

灰原(涙......?)

新一「オメーら、まさか......」ハァ、ハァ

阿笠「......ん?」ギロッ

世良「......く、どう、くん」ガクガク

服部「く、どう......」ガクガク

新一「オメーら、記憶が......」ハァ、ハァ

灰原「あの機械に、勝ったの......?」

阿笠「何じゃと......?」

世良「......ぐうっ!?」ビキビキッ

服部「......がっ?!」ビキビキッ

新一「オメーら、身体が!!」ハァ、ハァ

世良「......さよなら」ニッ

服部「......またな、工藤」ニッ

新一「えっ......?」

世良「......」ダッ

服部「......」ダッ

灰原「......!」

新一「待て、服部!世良!オメーら......」

世良「うわぁああっ!」ダッ

服部「うおおおおぉぉおっ!!」ダッ

阿笠「ふん。所詮欠陥品か。さらばじゃ、ゴミ達よ。【消去!】」

ボンッ!! ......プシャーッ......

世良「......」バタンッ

服部「......」バタンッ

新一「なっ......」

灰原「頭が......吹き飛んだ......」

阿笠「やれやれ。貴重なサンプルが減ってしもうたわい」

新一「な、何を......。何で......」ハァ、ハァ

阿笠「どうせもう身体が持たなくて終わる運命じゃったんじゃ。それで、頭に仕込んだ爆弾を起爆してやったまでじゃよ。楽にしてやったんじゃから、文句を言われる筋合いは無いのう」

灰原「......本物の悪魔ね、あなたは」

阿笠「ふん、聞きあきたわい。さ、寝てないで早く人形を渡さんか!」ドカッ!

光彦「げふっ......」ピクピク

新一「光彦っ!」

阿笠「動くなぁ!」パァン!

新一「ぐっ!」ザシュッ!

灰原「工藤君っ?!大丈夫!?」

新一「だ、大丈夫。かすっただけだ......」ハァ、ハァ

阿笠「貴様等は最後に料理してやるわい。黙っておれ!さあ、早く人形を渡せ!」

光彦「い、やだ......」ピクピク

阿笠「なら、仕方無いのう。貴様も吹き飛ばしてくれる。人形ごとな」

光彦「え......?」

阿笠「新一から奪った側の人形にはな、万一に備えて爆弾を埋めておいたんじゃ。こうなればまとめて吹き飛ばしてくれるわ!」

遅くなって申し訳ありません。
お昼から再開します。

屋外。

一目連「ヤ、ヤバイぜお嬢!あれ?」

一目連「まさか......?」

新一側。

阿笠「まずは一匹......。駆除じゃ!!」

新一「光彦っ!」

灰原「......!」

光彦(ああ、ここで終わりかあ......。結局、僕は......)

バチィッ!!

阿笠「ぐわっ?!」ビリビリ

光彦「......?」

新一「あ、あれは......」ハァ、ハァ

灰原「地獄、少女......」

あい「......」

阿笠「何じゃ、貴様は?!何者じゃ?!」

新一「そいつが、地獄少女だよ......」ハァ、ハァ

阿笠「何っ?」

あい「......」スッ

フワッ......

光彦「に、人形が......」ハァ、ハァ

あい「......」パシッ

あい「......」スッ

阿笠「......!爆弾が!」

新一「仲間を......。助けに来たのか?」ハァ、ハァ

灰原「......」

あい「......」

阿笠「なるほど、確かに人間じゃあなさそうじゃな。化物め......」

あい「......」

光彦「じ、地獄少女......」ハァ、ハァ

あい「......」スッ

新一「っと!」パシッ

光彦「......!」パシッ

あい「......あとは、あなた達が決める事よ」

阿笠「待て!ワシの邪魔をして、ただで帰れると思うか!」

あい「……」

阿笠「何じゃその眼は……。ワシを蔑むか?憐れむか?」

あい「……」

阿笠「その眼で見るなぁ!!」パァン!

あい「……」フッ

阿笠「ぐっ、消えおった……」ギリッ

新一「結果的に、助けられちまったな……」ハァ、ハァ

灰原「そうね……」

阿笠「お、おのれ……」

屋外

あい「……」フッ

一目連「お嬢、大丈夫か?」

あい「……うん」

一目連(大丈夫か……。さっきの動きが依頼人を助けたと思われなきゃ良いが……)

あい「……」

新一側。

阿笠「ぐ、こんな事が……。ワシが、ワシがここまで……」

新一「……覚悟は良いか?博士?」ハァ、ハァ

阿笠「っ!!」ビクッ

新一「これで終わりだ。運が悪かったな。こうなるとは思って無かったが……。アンタは余裕を持ちすぎた。天に見放されたんだ」ハァ、ハァ

阿笠「ま、待ってくれ新一!早まるな!!ワ、ワシは、ワシは……」

灰原「今更無駄よ、博士。最後位、潔くしたら?」

新一「もう、アンタは詰んでるんだ。手駒も自分で壊してしまった。その2人の苦しみも背負って、地獄に行くんだな……」

阿笠「ぐ、ぐぐ……」

光彦「あなたが今まで……。してきた分のツケが……。今来たんですよ……」ハァ、ハァ

阿笠「ふ、ふざけるな……。ワシが何故そんな事を言われねばならん!ワシはこの世を統べるために……。その為に何をしようがワシの勝手じゃろ!!」

新一「……本当に、アンタには人の心は残って無かったみたいだな。その言い草じゃ」ハァ、ハァ

阿笠「や、やめろ!死にたくない!ワシは、ワシはまだ……」

新一「光彦。手を出すな。俺がやる……」ハァ、ハァ

光彦「コナン君……」ハァ、ハァ

灰原「……」

新一「……さよならだ、博士」グッ

阿笠「ひ、ひぃぃいぃいいいい!!」ガクガク

新一「……」プルプル

阿笠「……!?」

灰原「……工藤君?」

新一「……引けねえ」プルプル

阿笠「……!?」

新一「引けねえよ、博士......」プルプル

灰原「何を言ってるの?!今更......」

新一「分かってる!でも......手が......動いてくれねえ......」グスッ

光彦「コナン君......」ハァ、ハァ

阿笠「......」

新一「博士......。なあ、本当にもうアンタはいないのか!?博士っ!!」グスッ

灰原「駄目よ、工藤君!ここでやらなければ、何をするか分からないわ!!それに、今までの事を無駄にするつもり!?」

新一「ぐっ......」プルプル

灰原「情に流されている場合じゃないわ!早く......」

光彦「コナン、君っ......」ハァ、ハァ

阿笠「......新一や」

新一「!?」

阿笠「済まなかったのう、そんなにお前を苦しめてしまって......」

新一「は、博士......」プルプル

灰原「まさか、記憶が......?」

阿笠「済まなかったのう。新一。お詫びに今......」スッ

阿笠「楽にしてやるからのう!!」ニタリ

新一「?!」

灰原「っ!?何をするつもり?!」

阿笠「これを見るが良い。この館の自爆スイッチじゃ」スッ

新一「!!」

阿笠「ククク、こうなれば一緒に楽になろうじゃあないか!」ニタリ

灰原「工藤君っ!!早く!!」

新一「くっ......」プルプル

阿笠「フフ、お前には引けんよ」ニタリ

光彦(なら、僕が......っ)

ドガッ!

光彦「うぐっ?!」ビキビキッ

阿笠「大人しくしとってくれ。どうせすぐみんな楽になるんじゃ」ニタリ

光彦「て、手が......っ!!」

新一「く、くそっ......!!」プルプル

灰原(駄目、私が引いても効果は......っ!!)

阿笠「ヒ、ヒヒヒ。最後に派手に花火を上げるぞい!!」スッ

新一「や、やめろ......。博士......」

新一「博士ーっ!!」

シーン......

灰原「......?」

新一「え?」

阿笠「ぐ、ががが......」プルプル

光彦「な、何ですか......?」ハァ、ハァ

阿笠「逃げ、ろ......。新一......。哀君......」プルプル

新一「......!?は、博士?阿笠博士なのか?!」ハァ、ハァ

灰原「本当に......?」

阿笠「光彦君も......。逃げ、るんじゃ......」プルプル

光彦「は、博士......」ハァ、ハァ

すったもんだあって
阿笠が人形をまた奪う
阿笠「糸を引くぞー」
覚醒阿笠が半身を乗っ取る
覚醒阿笠「糸を引くのはワシじゃー!」
阿笠「貴様ー!」
覚醒阿笠「ワシが一番恨みに思い殺してやりたいもの、それはワシ自身に他ならない!」
コナン「博士ーー!」
覚醒「バーーーローー…愛してくれてありがとう」
糸引く
阿笠「ぐわあああああ」消滅
コナン「バーーーローーーー!!!!」
灰原「江戸川くん…」寄り添い

羽虫「ゲヒヒ、悪は滅びましたね」

コナン「ああ…」
灰原「そうね…」

羽虫「みんな死んじゃいましたけど、ようやく(僕がいじめられるような)狂った世界は終わりをつげたんです
これからは昔みたいに仲の良い小学生生活を送れますよ!」

コナン「ああ……」
灰原「……」寄り添い

羽虫「………(お二人の仲は引き裂けないほど進展しているようですね、悔しいです。あのゴミ博士のいじめ発生装置のせいで羽原さんがおかしくなってなければ
あそこで寄り添われているのはコナンくんじゃなくて絶対に僕なはずだったのに……)でもまあ僕は2人を救った功労者で命の恩人です、多少のわがままは二人は逆らえないでしょうし、主導権は握ってますこのまま長く3人で過ごしていけばラッキースケベのひとつやふたつみっつよっつあるかもしれませんし
灰原さんがコナンくんに飽きて僕に転ぶことも十分に考えられます、これからですよ僕!」

コナン「声出てるぞ光彦」

コナン「そのことなんだがな光彦」

ゲス彦「はい? どのことですか?」

コナン「今後のことだよ」

クズ彦「は、はあ……。?」

コナン「ところで話は変わるが
博士が使った人形(光彦の)のほかに、ここに余った人形(俺の)がある」

カス彦「へぇ…ぶっそうですね、捨ててしまったらどうです? あ!なんなら命の恩人の聖人君主の僕が預かって管理しましょうか!?それが安全ですよ!ゲヒヒ」

コナン「いや、これはにはまだ使い道があるんだよ、というかその為にずっととっておいたようなもんだ、あんなピンチになってまでな」

ゴミ彦「は、はあ?(今更なにに使うんでしょうか)」

コナン「察しはついてるんだろ?光彦」
灰原「円谷君、あなた邪魔なのよ、二人で生きていく世界に」

彦「はいぃ!?」

灰原「ようやく二人で静かに暮らせる世界になったの、あなたみたいな[田島「チ○コ破裂するっ!」]精子くさい羽虫に周りを飛び回れたら気が滅入るのよ……」

彦「はいぃ!?」

コナン「wwwwwwwwwwwwじゃあな光彦wwwwwwwwwwwwwwww」糸引き

彦「ちょwwwwwwwwwwww
羽虫地獄落ち

一番の悪が葬りさられたその後

コナンと灰原は幸せなバカップル学生生活を送り
独り身の蘭にその仲を見せつけながら
成人してすぐに結婚した。

その後も独り身の蘭にその仲むつまじい関係を見せつけながら歳を重ね

ついには寿命を迎える年齢になった

老コナン「哀…」
老哀「あなた、死ぬときは一緒ですよ」



コナンと灰原は天に召された
本来は天国行きだが人形を使ったために地獄に落ちることは確定していた

コナン(ここはどこだ…なんで俺ガキの体なんだ?哀は…)
灰原「ん…」
コナン(いたか)

おーーーい


コナーーーン!
おーーーい!


コナン「誰だ?」


うなーーー



コナン「ゲン太か!?」

コナンくーん

コナン「あゆみちゃん!」

おーい新ー一ー哀く~ん

哀「博士の声だわ」


コナン「そうか、地獄に落ちてようやく、もとのあの楽しかった生活に戻るんだな」
灰原「行きましょうか」
コナン「ああ!」




コナン「おーい!みんな~!」



           ,r"゙\
         /"'-,,_/     ヽ_,,-'"i
    ,─--,,,,/__/      ヽ_,,l,,--─''ヽ

    \       \   /         / キリッ
      ヽ       (ー)  (ー)      /
       ヽ     ゙⌒(__人__)⌒'     /  
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          ,r"゙\
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        〉      |r┬-|     〈  チョッギッ、プルリリィィィィィィイwwwwwwwwwwwwww
       k//゙゙''-,,/ヽ'| |  |   -,,ア、
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        l /"\ ___  `ー'´     ,/゙ヽ l
      | "''ー-' ヽ 、-二''-、   `" '-‐''" |

 、ミ川川川彡                 ,ィr彡'";;;;;;;;;;;;;;;
  ミ       彡              ,.ィi彡',.=从i、;;;;;;;;;;;;
 三  ギ  そ  三            ,ィ/イ,r'" .i!li,il i、ミ',:;;;;

 三.  ャ  れ  三    ,. -‐==- 、, /!li/'/   l'' l', ',ヾ,ヽ;
 三  グ  は  三  ,,__-=ニ三三ニヾヽl!/,_ ,_i 、,,.ィ'=-、_ヾヾ

 三  で       三,. ‐ニ三=,==‐ ''' `‐゛j,ェツ''''ー=5r‐ォ、, ヽ
 三.   言  ひ  三  .,,__/      . ,' ン′    ̄
 三   っ  ょ  三   /           i l,
 三.  て   っ  三  ノ ..::.:... ,_  i    !  `´'      J
 三   る  と  三  iェァメ`'7rェ、,ー'    i }エ=、
  三   の   し  三 ノ "'    ̄     ! '';;;;;;;
  三   か  て  三. iヽ,_ン     J   l
  三  !?    三  !し=、 ヽ         i         ,.
   彡      ミ   ! "'' `'′      ヽ、,,__,,..,_ィ,..r,',",
    彡川川川ミ.   l        _, ,   | ` ー、≡=,ン _,,,
              ヽ、 _,,,,,ィニ三"'"  ,,.'ヘ rー‐ ''''''"
                `, i'''ニ'" ,. -‐'"   `/
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  ミ       彡              ,.ィi彡',.=从i、;;;;;;;;;;;;
 三  ギ  そ  三            ,ィ/イ,r'" .i!li,il i、ミ',:;;;;

 三.  ャ  れ  三    ,. -‐==- 、, /!li/'/   l'' l', ',ヾ,ヽ;
 三  グ  は  三  ,,__-=ニ三三ニヾヽl!/,_ ,_i 、,,.ィ'=-、_ヾヾ

 三  で       三,. ‐ニ三=,==‐ ''' `‐゛j,ェツ''''ー=5r‐ォ、, ヽ
 三.   言  ひ  三  .,,__/      . ,' ン′    ̄
 三   っ  ょ  三   /           i l,
 三.  て   っ  三  ノ ..::.:... ,_  i    !  `´'      J
 三   る  と  三  iェァメ`'7rェ、,ー'    i }エ=、
  三   の   し  三 ノ "'    ̄     ! '';;;;;;;
  三   か  て  三. iヽ,_ン     J   l
  三  !?    三  !し=、 ヽ         i         ,.
   彡      ミ   ! "'' `'′      ヽ、,,__,,..,_ィ,..r,',",
    彡川川川ミ.   l        _, ,   | ` ー、≡=,ン _,,,
              ヽ、 _,,,,,ィニ三"'"  ,,.'ヘ rー‐ ''''''"
                `, i'''ニ'" ,. -‐'"   `/
               ヽ !  i´       /
               ノレ'ー'!      / O


          ´         `ヽ
         ,′ く  ど お
           i   だ っ 願   i
           |   さ か い   |
          l   い .行 し   .|
               っ ま  
            ヽ     て す  ノ
             `ー--v--‐ ´
                .-─- 、

               . ´..:.:.:.:.:.: ´:. : .\
          /..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ_

          /..:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ト!_
.          / .. .:r==、、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ/! )
         /{.-┴- i i ..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:///{'
       .´ 丶'   `ヽヽ.:.:./マァァ77////
.       ,′´   ヽヽ i i/  }廴////
      i       i i | !ヽ  { 廴/
.       ! li | |  li | | ト{_人  ,}_/
       jハ{ | |  !l !リ<¨ __ノ
       ゝミL辷jムノ<¨´




     __  ∧  ,,__,,_,,_,,__,,_  ∧.  _
     \ \| |/yvvvvvvv,\| |/ /
       >┴ ,ィ´ ⌒  ⌒ `ゞ、┴<   
     /:::ィー{} ( ●)  (●) {}ヘ::::\

    /:::/ ./::::::⌒(__人__)⌒::::::\ \:::\    話しかけないでください
   /:::::::/  |     |r┬-|     |  ∨::∧
   |::::::::|.   \     `ー'´     /ヽ.._|::::::::|     あなたのことが嫌いです
.   \__|.  //`ン=- __ -= -‐ ´\(:.:.:.|__/
       { / .l☆|::|~^介^^|::|_,ハ ___ 〉、ィゝ| 
        | | l  |::|  .|  / ,' 3 `ヽーっチ.}
        { ヒト-、|:」  |  l   ⊃ ⌒_つ |
.       `/.:.:.:.:.:.: ̄ ̄ ̄`'ー-―ヘ'''" i.:ノ

       /_/.: /.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ__:__ム-ー'´
         ノ  ̄/ ̄ ̄.! ̄ ヽ

      | | | |
    _,..-‐,`‐' ` '     / ̄ ̄` >   ,.‐‐,   ,. ‐ヽ /\
,-‐' '"´  ,/           i‐''"` /    |   |   ヽ  |  `‐、 `、
ヽ、,.‐''/ /       ,. ‐ ‐.、  (   |    |  i    |  | ,-- .、`"
   / |     | , --、 )  \ ``'‐、 `、  ヽi  / / L -.、 `、
   |  \      i"`ノ __  ヽ‐"    ヽ_ノ  ヽ'    ,ノ ノ
   ヽ   `'‐‐フ   ''" ,‐´  _,.\ ,i´ ̄\        |" ,.‐"
    ``'‐--''´     /,. ‐''"  ヽ|/,‐"``'‐`:、      `"
              |     │    ●│
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              | ●    │     │
             │,.‐''"´ ̄ ̄``'‐.、   ,i
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    i´`、      /   ││   ," |   ヽ      , 、
    |  i,      │   ││   |  |   │    ノ )
     i、 L、_    /   ノ ,i   `-´    │   ノ  ノ、
   ,i´ i,-  )  Λ   (_ ノ        Λ  / つ/  )
  (  /´ヽ /   / |\           Λ ヽ (   ``)
   ``、   `、 │ |│`'‐.、 ____,.,‐''´| | │  >  i''
     `:、  ヽ │ | |  |_ノ、ノ  i_ ノ-;´ノ │ /  /
      ヽ  ヽ │ | ゙i ̄ /  ̄\  / / / /  /
       ゙i   ゙i \`、゙i/     `v´ / ノ /  /
        ゙i   ゙i   ゙ヽ ゙i、       / /"´ ノ  /
         ゙i   ゙i  ヽ \__/| /  /  /
          ゙i     `、   ヽ.ノ ノ    /
           `     ``'--‐''"    ‐''"


            ∩___∩
            /  ノ   \  ヽ
            | ●    ● |   なにマジになってんの?
          彡   (_●_)    ミ
           /、   |∪|    ,\   この鮭の切り身やるから帰れよ
          /.|     ヽノ    | ヽ
       ,,/-―ー-、, --、   .|_,|
    r-、,'''";;:;;:;::;;;;:;;::;:;:;;::;:;`'- /_,l,,__ )
   |,,ノ;;:;r'" ̄ ゙̄^"`Y'-、;;;::;:;::;:;:;:;::;:|

    .ヽ,′       ;   `"";;;;;⌒゙')
     ´`゙'''''''''''‐-‐'"`‐-‐'"゛  `゙´
              |  .∥ /
            ("___|_`つ



>>1

           ____
  .ni 7      /ノ   ヽ\   壁に向かってしゃべってろゴミ
l^l | | l ,/)   / /゚ヽ  /゚ヾ\      .n
', U ! レ' / /   ⌒   ⌒  \   l^l.| | /)
/    〈 |  (____人__)  |   | U レ'//)
     ヽ\    |lr┬-l|   /  ノ    /
 /´ ̄ ̄ノ    ゙=ニ二"   \rニ     |




>>1
   |/-O-O-ヽ| ブツブツ・・・
   | . : )'e'( : . |
   ` ‐-=-‐
   /    \
||\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
||\\.          \      ∧_∧

||. .\\          \    ( ;´Д`) (オイ、なんか変なのがいるぞ)
.    \\          \ /    ヽ.
.      \\         / .|   | |
.        \∧_∧   (⌒\|__./ ./
         ( ´,_・・`)目合わせるなって ∧_∧

.         _/   ヽ          \  (     ) うわー、こっち見てるよ



>>1
   |/-O-O-ヽ| ブツブツ・・・
   | . : )'e'( : . |
   ` ‐-=-‐
   /    \
||\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \
||\\.          \      ∧_∧

||. .\\          \    ( ;´Д`) (オイ、なんか変なのがいるぞ)
.    \\          \ /    ヽ.
.      \\         / .|   | |
.        \∧_∧   (⌒\|__./ ./
         ( ´,_・・`)目合わせるなって ∧_∧

.         _/   ヽ          \  (     ) うわー、こっち見てるよ



>>1

                 __, 、,,_
              , ィ三ミニニ 、ミ冫ミヽ、
            //´´´ヽヽヽヽ \ヽミ

            ソ ,!  ..... ..ヾ心 ミハ iハヽミ丶  あーあー
           , ソシ      ヾミハヽヽ彡川

         ./`/.)/| __, .,、,._壬ミミ彡彡川     聞こえなーい
          ! /. /`,ヾ.iiiiiiiiiii光iiiiiiiiiii、ミ彡川ヾ川
          | /./ ソ ゞ゙゙゙゙゙ソ ヽ`゙゙゙゙´ i彡巛 彡シ川、
    .     | .l . ! .|.!.  ,r'   、 ,  川 Vヽ ミ彡ヽ
         /, ,.  レ´ソ. .,,^:::t::^,,,   !iハ川ミヘ川
        !     | . /ζ.ノ`ヘ ヾ,,  i////// 入ノ
         !    /,/ヾ、` . .゙゙゙゚゚゚  .. ,゙ノ イ //乂/ {、
    __,,!     !/ソハ .ヾ、::::::::: ジ/{ノミ川:川=彡'ヾハ彡
  /::::::::::::/    ノハ′ ヽ    ./ ハ川ミヘ川__ヾハ ̄ヽヾ
  !:::::::::::::::/   /川ヾ彡ノ´`!   ノ⌒ヽ;ミ川:川=彡:ミ川::´::::::::`ヽ
 ! :::::::::/    /心从ミ    !  ./  冫 シV.彡川ミソシ/::::::::::::::ハ
..!::::::/ \  . /,彡丿川    ! /   /:::::::川ミヘ川__ヾ:.::::::::::::::::ヽ
/:::\   -  !:::::::::::!     !/   /:::::::::::::/::::::::::l:::/::::::::::::::::::::::::::.!
:::::::::::::::\   /:::::::::::|         ;'.:::::::::/:::::::::::::::::V.:::::::::::::::::::::::::::::.!



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                 __, 、,,_
              , ィ三ミニニ 、ミ冫ミヽ、
            //´´´ヽヽヽヽ \ヽミ

            ソ ,!  ..... ..ヾ心 ミハ iハヽミ丶  あーあー
           , ソシ      ヾミハヽヽ彡川

         ./`/.)/| __, .,、,._壬ミミ彡彡川     聞こえなーい
          ! /. /`,ヾ.iiiiiiiiiii光iiiiiiiiiii、ミ彡川ヾ川
          | /./ ソ ゞ゙゙゙゙゙ソ ヽ`゙゙゙゙´ i彡巛 彡シ川、
    .     | .l . ! .|.!.  ,r'   、 ,  川 Vヽ ミ彡ヽ
         /, ,.  レ´ソ. .,,^:::t::^,,,   !iハ川ミヘ川
        !     | . /ζ.ノ`ヘ ヾ,,  i////// 入ノ
         !    /,/ヾ、` . .゙゙゙゚゚゚  .. ,゙ノ イ //乂/ {、
    __,,!     !/ソハ .ヾ、::::::::: ジ/{ノミ川:川=彡'ヾハ彡
  /::::::::::::/    ノハ′ ヽ    ./ ハ川ミヘ川__ヾハ ̄ヽヾ
  !:::::::::::::::/   /川ヾ彡ノ´`!   ノ⌒ヽ;ミ川:川=彡:ミ川::´::::::::`ヽ
 ! :::::::::/    /心从ミ    !  ./  冫 シV.彡川ミソシ/::::::::::::::ハ
..!::::::/ \  . /,彡丿川    ! /   /:::::::川ミヘ川__ヾ:.::::::::::::::::ヽ
/:::\   -  !:::::::::::!     !/   /:::::::::::::/::::::::::l:::/::::::::::::::::::::::::::.!
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>>1

<(´・ω・`)>    三  ねえねえねえねえ
 ( )      三
  \\     三

..三   <(´・ω・`)> しかと?しかと?
 三     ( )
三    //

.   <(´・ω・`)>  三  ねえねえ?
    ( )    三
     \\   三

.三    <(´・ω・`)> しかと?なの?ねえねえねえ
 三     ( )
三    //


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)>  三
 ..三   ( )    ( )    ( )     ( )     ( )  三
..三   //   //   //    //    // 三
ねえねえー しかとー? ねえねえー   しかとー?

..三   <(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)> <(´・ω・`)> 三

 .三    ( )    ( )      ( )    ( )      ( )    三
  ..三   \\   \\     \\   \\      \\    三
みんなー     ねえねえ  なんでしかとするのー?ー   ねえー


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><.(´・ω・`)>  三
..三    ( )    ( )     (  )    ( )     ( )  三
..三   //   //    //    //    // 三
ねえー ねえー ねえねえねえねえ   しかとしないでよーー


>>72

<(´・ω・`)>    三  ねえねえねえねえ
 ( )      三
  \\     三

..三   <(´・ω・`)> しかと?しかと?
 三     ( )
三    //

.   <(´・ω・`)>  三  ねえねえ?
    ( )    三
     \\   三

.三    <(´・ω・`)> しかと?なの?ねえねえねえ
 三     ( )
三    //


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)>  三
 ..三   ( )    ( )    ( )     ( )     ( )  三
..三   //   //   //    //    // 三
ねえねえー しかとー? ねえねえー   しかとー?

..三   <(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)> <(´・ω・`)> 三

 .三    ( )    ( )      ( )    ( )      ( )    三
  ..三   \\   \\     \\   \\      \\    三
みんなー     ねえねえ  なんでしかとするのー?ー   ねえー


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><.(´・ω・`)>  三
..三    ( )    ( )     (  )    ( )     ( )  三
..三   //   //    //    //    // 三
ねえー ねえー ねえねえねえねえ   しかとしないでよーー


>>72

<(´・ω・`)>    三  ねえねえねえねえ
 ( )      三
  \\     三

..三   <(´・ω・`)> しかと?しかと?
 三     ( )
三    //

.   <(´・ω・`)>  三  ねえねえ?
    ( )    三
     \\   三

.三    <(´・ω・`)> しかと?なの?ねえねえねえ
 三     ( )
三    //


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)>  三
 ..三   ( )    ( )    ( )     ( )     ( )  三
..三   //   //   //    //    // 三
ねえねえー しかとー? ねえねえー   しかとー?

..三   <(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)> <(´・ω・`)> 三

 .三    ( )    ( )      ( )    ( )      ( )    三
  ..三   \\   \\     \\   \\      \\    三
みんなー     ねえねえ  なんでしかとするのー?ー   ねえー


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><.(´・ω・`)>  三
..三    ( )    ( )     (  )    ( )     ( )  三
..三   //   //    //    //    // 三
ねえー ねえー ねえねえねえねえ   しかとしないでよーー


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<(´・ω・`)>    三  ねえねえねえねえ
 ( )      三
  \\     三

..三   <(´・ω・`)> しかと?しかと?
 三     ( )
三    //

.   <(´・ω・`)>  三  ねえねえ?
    ( )    三
     \\   三

.三    <(´・ω・`)> しかと?なの?ねえねえねえ
 三     ( )
三    //


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)>  三
 ..三   ( )    ( )    ( )     ( )     ( )  三
..三   //   //   //    //    // 三
ねえねえー しかとー? ねえねえー   しかとー?

..三   <(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)> <(´・ω・`)> 三

 .三    ( )    ( )      ( )    ( )      ( )    三
  ..三   \\   \\     \\   \\      \\    三
みんなー     ねえねえ  なんでしかとするのー?ー   ねえー


  ..三<(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><(´・ω・`)><.(´・ω・`)>  三
..三    ( )    ( )     (  )    ( )     ( )  三
..三   //   //    //    //    // 三
ねえー ねえー ねえねえねえねえ   しかとしないでよーー


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年09月07日 (日) 17:01:24   ID: v-n89iI1

このコナンと灰原には腹立つ
操られてるとは言え光彦しかまともな奴いねぇじゃん

2 :  SS好きの774さん   2014年10月08日 (水) 20:46:56   ID: -zfacUMh

3 :  SS好きの774さん   2014年12月02日 (火) 04:13:20   ID: drvZ2FLL

いくらなんでも、中盤からがグダグダになりすぎ。もっと削ってシュッと終わらせれば5つ星なんだけどな。ほんとおしい作品。

4 :  SS好きの774さん   2015年01月29日 (木) 17:04:10   ID: heV7pRkU

最後のやっつけ感何なんだ 俺の一時間返せ
中盤までの骨女が可愛いことぐらいしか評価できない

5 :  SS好きの774さん   2015年04月02日 (木) 23:10:44   ID: K0xnV5sT

ちょっと待って、最後絶対おかしいだろ
光彦不憫すぎる

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