もこっち「ガンプラバトル…?」 (44)

もこっち「あー、知ってる
確かガキが夢中になってるお遊びだよね」

ゆうちゃん「うん。でも大人もやってる人多いんだよ
世界大会だって開かれてるし」

もこっち(世界大会…そんなのもあるのか)

ゆうちゃん「女の子限定の大会もあるからって友達から誘われたんだけど…
面白そうだから、もこっちもどうかなって思って」

もこっち「わ、私が!?」

ゆうちゃん「もこっちってガンダムも見てたよね?確か…ダブルってやつ」

もこっち「ゆうちゃん…ダブルだと仮面ライダーになっちゃうよ
あれはウイング」

もこっち(まぁ主にヒイロやデュオ目当てで見てただけなんだけど)

ゆうちゃん「そうそう!ウイングガンダム!
もこっちもそのプラモデル作って、やろうよガンプラバトル!」

もこっち(ゆうちゃん何かヤル気満々だな)

もこっち「んー…いや、やめとくわ
何かめんどいし。プラモとか趣味じゃないし」

もこっち(というかガンプラバトルとかやってるってクラスの連中にバレたら、オタク認定でますます孤立してしまう)

ゆうちゃん「そっかー、残念」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1394036837

もこっち(プラモは昔Ez-8作ったことはあるけど、何かシールとか剥がれてきて見映え悪くなったし)

もこっち(第一、ウイングぐらいしか見たことの無い私みたいなやつがそんなオタク大会に参加したら、フルボッコに逢うのが運命だわ)

もこっち(ゆうちゃんと一緒にできないのは残念だけど…)

もこっち(まぁいいや、さっさと帰ってアニメ見よう)

もこっち「!」

もこっち(本屋…)

もこっち「………」

もこっち「ガンプラバトル特集!初心者でも始められる!
君もビルドファイターだ!」

もこっち「ふん、アホくさ…」

もこっち(結局買ってしまった…)

もこっち「…………」

もこっち「………ゲート処理?異界の扉でも封印するのか?」

もこっち「うお、塗装ってこんなに用意しなきゃならんのか…」

もこっち「RG?りあるげい?」

もこっち「…………」

もこっち「ダメだ…何書いてあるのかさっぱりわからん」

もこっち「というかガンプラってパーツ切って繋げてシール貼るだけでいいはずだろうが!
何でこんなめんどくさいことしなきゃならないんだ!」

もこっち「もういいや、ガンプラバトルなんざやらねーよ」

もこっち「………」

ガラッ

もこっち「なぁ、ガンプラ興味無いか?」

智貴「無い」

もこっち「チッ、使えないやつだな」

智貴「用が済んだなら出てけ」

もこっち「男ならガンプラの1つや2つ作るだろJK」

智貴「…………」

もこっち「あるんじゃないのか?この辺に!」ガサゴソ

智貴「何勝手に漁ってんだ!!やめろ!!」

もこっち「何だ、あるじゃん
……何だこれ?」

智貴「……何でもいいだろ」

もこっち「こいつの名前教えろよ」

智貴「出てけ」

もこっち「ほー、デテケガンダムか」

智貴「(イラッ!!!)それはガンダムじゃねーよ!!!」

もこっち「ふーん。で、名前は?」

智貴「……ゲルググ」

もこっち「よしよし。じゃあこのゲルググは今から姉のものだ
じゃあな愚弟よ」

バタン!

智貴「何なんだ一体…」

もこっち「ふーん、意外によく動くな…」

もこっち「何だ。ガンプラって結構楽しいな」

もこっち「はー!てやー!」

もこっち「ゆうちゃんにメールしよう…」

『今日帰りにガンプラ買って作ってみたけど、案外楽しいなこれ
次は何にしようかなぁ』

もこっち「写真もつけて、送信っと」

もこっち「………」

もこっち「お、返信はやっ」

もこっち「…………」

もこっち「喜んでる喜んでる
『もこっちもガンプラバトルするんだね!嬉しいよ!』だってさ」

もこっち「ふむふむ。今週の日曜にショップ大会があるのか」

もこっち「自前のガンプラがいるのか…これでいいや。
ふふふ、ガンプラバトルちょっと楽しみになってきたな」

ポキッ

もこっち「!?」

学校

もこっち(どうしようどうしようどうしよう
あれでガンプラバトル出てさっさと負けて終わらせてゆうちゃんと遊ぼうと思ってたのに!!)

もこっち(今さら引き下がれない…!
もしここで約束破るようなことがあれば…!)

もこっち(ああああああ!!唯一の友達がああああああ!!)

「……さん」

もこっち(正真正銘のソロプレイヤーになってしまうううううううううう!!!!)

「…木さん」

もこっち(今日はすでに火曜日…今から組めば何とか……)

「黒木さん」

もこっち(いや、ダメだ!Ez-8ですら2週間かかったというのに!このままじゃ間に合わな……)

「く、黒木さん!」

もこっち「う、うえぇ!?」

セイ「黒木さん、プリント回ってきたよ
……大丈夫?何かボーッとしてたけど」

もこっち(あー、イオリか
確かこいつガノタだったよな…
ガンプラまで作ってるキモオタ…)

もこっち(!
そうだ、こいつにガンプラ作らせれば…!でも、どうやって…ロクに話したことも無いし…)

セイ「………黒木さん?本当にどうしたの?」

もこっち「え!え、えー……あー……あにょ……………ガ……」

セイ「ガ……?」

もこっち「…………な、なんでも………ないです………」

セイ「………?」

放課後

もこっち「………」

もこっち(クソ!クソ!何だ私があんなオタクに遠慮しなきゃならんのだ!
オタクならむしろ私側の人間だろうに!!)

チナ「イオリくん」

セイ「委員長!もしかして今生徒会の仕事終わったの?」

チナ「うん、会長が抜けた穴を埋めるの大変で………」

もこっち「!!」

タタタタッ

セイ「!」

チナ「?
黒木さん?どうしたのかな…」

セイ「うん…
今日、僕に何か言いたげだったんだけど…」

チナ「私、ちょっと話聞いてみるよ」

セイ「うん
クラスメイトだし、悩んでることがあるなら解決してあげたいしね」

もこっち(何だあいつ!オタクの皮を被ったリア充じゃないか!!)

もこっち(しかも何だ!?抜けただの穴だの!
ここは学校だぞ!?チャラ男にクソビッチが!!)

もこっち(ああいうやつがいるから私みたいな人種の肩身が狭くなるんだ!まったく…!!)

もこっち(あんなやつに頼ろうとしてた私がバカだったわ!!)

帰り道

もこっち「はぁ…」

もこっち(でもどうしよう…ガンプラバトル…)

もこっち(やっぱ素直にゆうちゃんに謝ろうかな…)

もこっち(許してくれるよね…長い付き合いだし…)

もこっち(…………)

もこっち(……ヤマダ電機か
確かここガンプラ売ってたよな)

もこっち「まだ自分で作る道も残されてるか…」

もこっち(…………)

もこっち(何が何だかわからない……)

もこっち(あ、これ知ってる…
種とかいうやつのガンプラだ)

もこっち(バスター…フォビドゥン…
何かネーミングがチープだな…)

もこっち(だがデザインはなかなか)

もこっち(……あ、智貴のガンプラ
何か赤いな……)

もこっち(……………)

もこっち(どれがいいのかさっぱりわからん…)

もこっち(そうだウイング!デスサイズ!
ヒイロ!デュオ!!)

もこっち(……………)

もこっち(何だよこれ…何でこんなにいっぱいあるんだ…)

もこっち(この1/100とMGの違いは何だ?
サイズは一緒なのに、何が違う!?)

もこっち(……ダメだ、諦めよう)

チナ「……黒木さん」

もこっち「は、はひ!?こ、コウサカさん!?
(不味い、見られた!オタクであることを言いふらされる!)」

チナ「ごめんなさい、凄く真剣に選んでたから、なかなか声かけ辛くて…」

もこっち「しょ……しょうですか……」

もこっち(終わった…一部始終見られてた…
言い訳できない…)

チナ「イオリくん心配してたよ
何か力になれることがあれば、助けてあげたいって」

もこっち「………ぇ………ぁ……」

チナ「思い違いならごめんなさい
イオリくんに何か頼みたいことがあるんじゃないの?」

もこっち「ぁ……ぁ~……しょの……へへ……」

チナ「もしガンプラのことなら、イオリくん詳しいから、絶対助けになるよ!」

もこっち「ぇ……え~と、そ、そう…なの?」

チナ「うん!」

もこっち(何だこの展開……
遠回しな彼氏自慢か……?)

チナ「イオリくんの家、模型店なんだ
もし良かったら今から行ってみない?」

もこっち(実家の模型店………ただのオタクじゃなかったのか……)

リン子「あら~、セイ!委員長ちゃん一筋じゃなかったの?
二兎を追う者は一兎も得ずよ!」

セイ「か、母さん!委員長も黒木さんもそんなんじゃないって!」

チナ「///」

もこっち(やめてくれ……死にたくなる……)

セイ「え、えーと!それで!
黒木さん、ガンプラ始めるの?」

もこっち「は、はい」

セイ「もしかして、ガンプラバトルもするの!?」

もこっち「しょ、しょの……と、友達に……誘われてて……ぁ…ぇ……と」

ガシッ!

もこっち(握手!?両手で!?)

セイ「凄いよ黒木さん!女の子でガンプラバトルなんて、僕の周りじゃ委員長に続いて二人目だよ!」

もこっち「ぁ……………しょ……しょなの……」

リン子(初七日?)

もこっち(こいつ…何平気で手握ってきてんだ……!!
こんな可愛い顔して頭ん中はアッチのことでいっぱいか!!)

セイ「そうと決まればまずはガンプラ選びからだよ!!
僕に任せて!黒木さんにピッタリのガンプラを選んでみせるから!!」

もこっち「は、はひぃ!(何だこのテンション!?)」

セイ「作りやすいのはザクやジムだけど、ガンプラバトルや黒木さんの好みや持ち合わせるオーラも考慮して……」

もこっち(中身はキモオタまんまだなこいつ…)

チナ「ちなみに、これが私のガンプラ!
ベアッガイさん!」

もこっち(可愛い!)

もこっち「へ、へ~……こんなの、う、売ってるんだぁ~……」

チナ「ううん。これは既製品を改造したものなの」

もこっち「か、改造………」

もこっち(改造とかしていいのか…?
他のなら犯罪になるケースもあるぞ…)

セイ「黒木さんにはこれがいいかな!!」

もこっち「……ぁ……ありがと……ふへへへ、へへ……」

もこっち(何だこれ……ガンダムなのはガンダムっぽいけど……)

セイ「ドラゴンガンダム!機動武闘伝Gガンダムに登場した、ネオチャイナ代表サイ・サイシーが操るモビルファイターなんだ!!」

もこっち「ド………ドラゴ………?」

もこっち(ださ…小学生かよ…!!)

セイ「この機体の特徴は何といっても伸縮する腕!
これによって、基本的に近距離主体のモビルファイター相手にリーチの差をつけることができるんだ!」

もこっち(アニメの話かよ!現実を見ろクソガノタ!!!!!)

セイ「このガンプラを黒木さんにオススメしたのは、軽量化された機体による素早い動きと豊富な武装!
それに何といってもモビルファイターであること!
これからガンプラを始める黒木さんには、ダイナミックなガンプラバトルを楽しんでほしかったから、このドラゴンガンダムを選んでみたんだ!」

もこっち(こいつ…)

セイ「確かに遠距離武装は少ないから、勝てるようにするにはカスタマイズが必要だけど…そこは僕が全面的にサポートするから、安心して!」

もこっち「は、はぁ…」

もこっち「ドラゴン…ガンダム……」

リン子「今日はもう遅いから明日になさい」

セイ「わかったよ」

リン子(こうでも言っとかないと徹夜で付きっきりも有りうるからね…)

チナ「じゃあ私、黒木さん送ってきます」

もこっち「ひ、一人で帰れるから……」

レンタル屋

もこっち(…………)

もこっち(Gガンダムか…)

もこっち(ドラゴンガンダムが出る話はっと……)

自宅

『兄貴ー!』

もこっち「山口勝平かよ!何か時代を感じるキャラだなぁ……」

もこっち「……………」

もこっち「ふーん…悪くないな
ドラゴンガンダム…」

水曜日・放課後

もこっち「……こんにちは……」ボソ

セイ「いらっしゃい黒木さん!どうぞ!」

レイジ「おー?誰?」

もこっち(イケメン…)

セイ「クラスメイトの黒木智子さん!ガンプラ始めるから、僕も手伝おうと思って!」

レイジ「相変わらず人が良いっていうかガンプラバカっていうか…
えーと…智子だっけ?俺ぁレイジ!よろしくな!」

もこっち(また握手!?アメリカかここは!?)

もこっち「ぁ……はい、ども……く、黒木…でしゅ……」

レイジ「はぁ?聞こえねーぞ!
もっとデカい声で言えよ!」

もこっち「ぁ……ぅ、うう……」

レイジ「俺はレイジ!お前の名前は!?」

もこっち(何だこいつ!!一番苦手なタイプだ!!!)

セイ「レイジ。黒木さんは恥ずかしがりだから、あんまり勢いよく話し掛けたら困っちゃうよ」

レイジ「そうなのか?面倒なやつだなぁ」

もこっち([ピーーー]!!!!!!!!)

セイ「まずはランナーからパーツを切り取る作業から始めようか
このニッパーを使って……」

もこっち(ふむふむ…さすが言うだけあって分かりやすいな)

セイ「これで顔が完成」

もこっち「カッコいい…」

セイ「でしょ!?ドラゴンガンダムの頭部は個性派揃いのモビルファイターの中でも見劣りしないぐらい特徴的で…」

もこっち(うぇ…これが毎日か…)

~~~

セイ「ふぅ、ちょっと休憩しようか」

もこっち「つ…疲れた……」

セイ「一気に各部位を組んだからね
これから本体を組み合わせて、武器を作って、墨入れ、合わせ目消しに塗装。さらに……」

もこっち(もう嫌!帰りたい!!)

レイジ「おいセイ。こいつ初心者なんだろ?ちょっとは手加減してやれよ」

セイ「!!
ゴ、ゴメン黒木さん!僕熱中するといつもこうで…」

もこっち「あ…だ……だいじょぶ…です……」

レイジ「こいつに遠慮してたら一生ガンダムの話聞かされるぜ!
言いたいことはガツンと言えよ、智子!」

もこっち「ぁ…はぃ……ありがと……」

もこっち(相変わらずノリがうぜぇ……)

もこっち(…………)

もこっち(まぁでも悪いやつではないな)

セイ「今日はこのぐらいにしとこうか」

もこっち「あ……はい……」

もこっち(もうほぼ完成してるなこれ……)

自宅

もこっち「はぁー!疲れたぁー!」

もこっち「……本当にうまくいくんだろうか」

もこっち「ゆうちゃんはどうなんだろ?」

prrrr…

ゆうちゃん『あ、もこっちー?どう?ガンプラ作り進んでる?』

もこっち「うん、いい調子だよ
クラスに重度のガノタがいてさー。そいつに手伝わせてるんだけど、ガンダムの話ばっかしてなかなか進まないんだ」

ゆうちゃん『そうなんだー、大変だね』

もこっち「ゆうちゃんはガンプラもう出来たの?」

ゆうちゃん『ううん、まだまだ
何かすごくおっきいやつだから、全然完成しないよ
日曜日、間に合うかなぁ』

もこっち(むしろ間に合わないでくれる方が有り難いが…)

ゆうちゃん『もこっちも頑張ってね』

もこっち「うん、ゆうちゃんもね。
じゃあ」

プチッ

もこっち「………」

もこっち「……Gガン見て寝よう」

木曜日・放課後

セイ「……で、フェイロンフラッグは数が多いから、適当になりすぎないように……」

もこっち「………ふーん……」

シャッシャッ

もこっち(このナイフよく切れるなー…)

ラル「おお、また新たなガンプラ仲間が出来たのか」

セイ「ラルさん!」

もこっち(誰だこのオッサン…)

セイ「紹介するね
こちらはラルさん!うちの常連さんで、その筋で知らない人はいない超有名人!」

ラル「はっはっは、ただのガンプラ好きの中年だよ
よろしく、お嬢さん」

もこっち「ぁ……はぃ……ども………」

もこっち(常連客のオッサン…初めて店に来る客にとって一番鬱陶しい存在だな……)

セイ「こちらは、黒木智子さん!
僕のクラスメイトで、これからガンプラバトルに参加するんだ!」

ラル「ふむ。確か、日曜日に女性限定大会が開かれるはずだが、それにエントリーするのかね?」

もこっち(何でそんなことまで網羅してるんだよこのオッサンは!)

もこっち「えぇ……まぁ……」

ラル「そうかそうか。こうしてガンプラバトル参加者が増えていくのは喜ばしいことだ
……時にセイくん。今日はリン子さんは……」

セイ「買い物に行ってます」

ラル「あ………そう…」

もこっち(…………)

ラル「ほう、ドラゴンガンダムか。
初心者に薦めるには思いきったな」

もこっち(え!?そうなの!?)

ラル「だがいい機体だ
戦い方やカスタマイズによっては、いいところまで行けるだろう」

セイ「ちょっとまだ遠距離に対応できる武装が見つからなくて…」

ラル「どれ、ちょっと見せてみなさい」

もこっち(………どんどん私が置いてけぼりに……)

ラル「…………」

ラル「黒木くん…だったかな?」

もこっち「は、はひ!」

ラル「日曜まで、この機体は君が持ってなさい」

もこっち「………え?」

ラル「この機体はほぼ完成している
だが、これに足りないものがある
君のオリジナリティーだ」

セイ「でも、ラルさん
黒木さんは自分でガンプラを作れないから困ってたのに、いきなりオリジナリティーなんて無茶ですよ!」

ラル「もちろんアイデアを実現させるためにはセイくんの力が必要だ
要は、黒木くんがこの機体をどうしたいか?どうやって勝ちたいか?
これが重要だと私は思う」

もこっち(そんな小難しいことわかんねーよ!!
めんどくせーオッサンだな!)

~~

セイ「ラルさん、どうしてあんなことを…?」

ラル「彼女の目は死んでいた」

セイ「えっ!?」

ラル「彼女には、ただ間に合わせのガンプラバトルでは無く、真のガンプラバトルを知ってほしい
恐らくそれが、彼女の瞳を輝かせることになると信じている」

レイジ「何でオッサンがそんなに入れこんでんだよ?今日会ったばっかりだろ?」

ラル「年を取るとお節介になるものなんだよ、レイジくん」

レイジ「ふーん」

もこっち(…………)

カチャカチャ

もこっち「何かめんどくさいことになったな…」

カチャカチャ

もこっち「もう本当にガンプラバトル止めようかな…」

カチャカチャ

もこっち(とか言いつつ、何かガンプラ弄っちゃってるし…)

もこっち(何だよオリジナリティーって
私はただ無難にガンプラバトルをこなして、適当に負けて、それでいいのに…)

もこっち(…………)

もこっち(あ…Gガンの返却日明日だ…
さっさと見なきゃ…)

~~

『東西南北中央不敗!スーパーアジアとなるのだー!』

もこっち「何言ってんだこのジジイwwwwww」

もこっち「…………」

もこっち「………………」

もこっち「本当にどうしよう……」

もこっち「…………」

もこっち「……あー!もういいやガンプラバトルなんて!
ゆうちゃんには何か適当な言い訳しときゃ充分だろ!!」

もこっち「……………」

もこっち(ガンプラかぁ…)

もこっち(そういや昔は男の子とよく人形遊びしてたっけなぁ)

もこっち(弟のソフビの中に砂やら石やら詰めてよく泣かせたっけなぁ…)

もこっち(あの頃は楽しかった…何も考えなくても良かったのに……
今は……)

もこっち(……………)

もこっち(……もうちょっと考えてみるか……)

~~

もこっち(しかしオリジナリティーって何だよ…
やっぱイオリが言ってたように遠距離武器でもつけた方がいいのかな…)

もこっち(いやまぁでも、こいつの持ち味って格闘だったり伸びる腕だよな…
何か充分オリジナリティーに溢れてるんですが…)

もこっち(………)

もこっち(ヌンチャクとか似合いそうだな…)

もこっち(いやいやいや!さらに近距離武器を足してどうする!)

もこっち「うーん…」

金曜日・授業中

もこっち(やっぱネオチャイナだし拳法使いだし、カンフーがいいよな…)

もこっち(ヌンチャク…三節棍…酔拳………)

もこっち(もういっそ格闘だけにするか…いや、それじゃ勝てないよな…)

放課後

もこっち(ビームヌンチャク…お、何かそれっぽい)

もこっち(大型青竜刀…うわ、カッコいい…)

もこっち(この方向性で…)

イオリ模型店

セイ「いらっしゃい!黒木さん!
どう?イメージは固まった?」

もこっち「う、うん…まぁ……」

~~

セイ「ふむふむ。ビームヌンチャクに大型青竜刀、瓢箪型のエネルギータンク…」

セイ「すごいよこれ!本当にカンフー映画みたいなガンプラだよ!」

もこっち「へ、へへへ………ま、まぁ………」

セイ「早速作ろう!」

~~

セイ「出来た!」

レイジ「よし!早速勝負といくか!
セイ、スタービルドストライクで行くぜ!」

もこっち(い、いきなりバトル!?)

レイジ「心配すんな。ちゃんと手加減してやるからよ」

BATTLE START

レイジ「スタービルドストライク!行くぜ!」

もこっち「………ぇ……い、行きます……」

もこっち(そういや名前決めてなかったな…)

レイジ「余所見してっと危ねぇぞ!」

もこっち「どぅおう!?」

もこっち(あっぶねー!いきなりライフルぶっぱとか、初心者相手に何考えてんだ!?
どこが手加減してるんだよ!!)

レイジ「お、うまく避けたな?
だがこれならどうだ!!」

もこっち(ビ、ビームサーベルで突っ込んできた!?)

セイ「今だ黒木さん!その機体の真の力は…!」

もこっち「あわわわっ!」

レイジ「!!」

レイジ(避けられた!?速い!!)

セイ「ビームヌンチャクだ!」

もこっち「え、えーと、どこどこ…
ビームヌンチャクどこ……あった!」

レイジ「させるかよ!」

もこっち「!!」

もこっち(首元にビームサーベルが……)

レイジ「ま、こんなもんか」

BATTLE ENDED

もこっち「……ふはぁ~……」

セイ「まだちょっと武装選択に手間取るね」

レイジ「だがあの反応速度は凄かったぜ」

セイ「標準的な耐久力を保てるギリギリまで軽量化を図ってるからね
ビームライフルは並みの腕じゃ当たらないし、痺れを切らして格闘戦に持ち込めばこっちのものだよ」

レイジ「俺はわざと外したんだからな!」

もこっち(めんどくせー)

セイ「よし!じゃあこれから日曜まで特訓だ!」

日曜日

ゆうちゃん「もこっち!すごくカッコいねそのガンプラ!」

もこっち「へへへへ…
ゆうちゃんのは……何それ!?でかっ!?」

セイ「あれは…MGデンドロビウム!?」

レイジ「何だそりゃ」

セイ「あ…ありえない…!
あんな化け物を、あんな可愛い女の子が作るなんて!」

ゆうちゃん「?」

もこっち(ゆうちゃん、こんなの作ってたらそりゃ遅れるよ
というかよく間に合ったな)

レイジ「いいからさ、さっさとやろうぜ!
智子の実力は俺が保証する!」

もこっち「………」

もこっち(やば…緊張してきた)

ゆうちゃん「じゃあねもこっち!もし当たったら本気で勝負だからね!」

もこっち「え!?あ、う、うん」

もこっち(どうしよう…どうしよう…
もし負けたらカッコ悪いし、でも勝てる保証なんて無いし…)

『それでは、第一試合!
黒木智子さん、どうぞ!』

もこっち(どぅぅうわああぁぁぁ!!!
フルネームはやめてえええええええええ!!!!)

対戦相手「よろしく!負けないからね!」

もこっち「は、はぁ…ども…」

レイジ「相手のガンプラはどんなやつだ?」

セイ「ドムだね
ただし、ただのドムじゃない
かなりチューンされてる」

レイジ「おいおい、智子のやつヤベぇん
じゃねぇの?」

セイ「大丈夫!あのガンプラなら!」

Please set your GPbace

もこっち(こうかな…)カチャ

Please set your GUNPLA

Field Mountain

対戦相手「ビッグバンドム!行きます!」

もこっち(あ、あわわ…名前考えてなかった…名前………)

もこっち「ド、ドラゴンガンダム……行きます……」

もこっち(まんまかよ…何も考えてなかった…くそ!くそ!)

BATTLE START

もこっち(………どこだろ…吹雪で見えないな……)

セイ「危ない!」

もこっち「え?わわっ!」

対戦相手「チッ!」

ラルさん「吹雪を目隠しに利用しての一撃か
やりおるわ」

セイ「ラルさん!」

レイジ「オッサン、どう見る?」

ラルさん「パイロットの経験では相手が上だろうな」

セイ「だがあの機体ならば…あるいは…」

対戦相手「くっ!チョコマカと!」

もこっち「わ……わ……」

もこっち(すごい!私にも敵が見えるぞ!)

対戦相手「ならば!」

ラルさん「まずい!ジャイアントバズだ!」

対戦相手「食らえーっ!!」

レイジ「智子ーっ!!」

対戦相手「やった!?」

もこっち「………」

対戦相手「後ろ!?」

もこっち「えーと、ビームヌンチャク…ビームヌンチャク…これか!」

対戦相手「ぐっ!何この武装!動きが速すぎて見えない!?」

対戦相手「な…なめるなぁー!!」

ラルさん「相手もヒートサーベルで応戦してきおったか
だが…」

もこっち(大型青竜刀…大型青竜刀…あった!)

対戦相手「うわあっ!!」

レイジ「やったぜ!右腕を切り落としやがった!」

ラルさん「ヒートサーベルであれは防げまいて」

セイ「トドメだ!黒木さん!」

もこっち「DM(ドランクモンキー)システム…起動っと…」

ラルさん「セイくん、あれは?」

セイ「瓢箪型のエネルギータンクを改良したんです
プラフスキー粒子を応用し、補給するたびに反応速度が上がるシステム!」

ラルさん「なんと…まさに酔拳!」

セイ「ただし副作用もあって…」

対戦相手「は、速い!付いていけない!」

もこっち「こ、これならいける!!
………あれ?」

もこっち(機体の操作がうまくいかない!?)

セイ「補給すればするほど性能が上がるんですが、だんだんこちらの操作を受け付けなくなっていくんです」

ラルさん「なんと…まさに酔拳…」

レイジ「何でそんなシステム作ったんだよ」

セイ「つ、つい楽しくなっちゃって…」

もこっち「あわわわわ…もうこうなりゃヤケだ!」

対戦相手「こなくそーっ!!」

もこっち「………」

セイ「…………」

レイジ「…………」

ラルさん「……………」

レイジ「セイが悪い」

セイ「ごめんなさい……」

もこっち「い…いいよいいよ……何か…結構楽しかったし…」

ラルさん「うむ、敗北から得られる経験ほど貴重なものはない」

もこっち「………」

もこっち(ガンプラバトルかぁ……)

自宅

もこっち(…………)

もこっち(名前付けてやらないとな…私のガンプラ……)

ピロリロリン

もこっち「あ…メール
ゆうちゃんだ」

もこっち「そういや負けてそのまま帰ったから、あの後会わなかったんだっけ…」

もこっち「………」

もこっち「ゆうちゃん…優勝したんだ……」

もこっち「…………」

もこっち「次はもっと頑張ろう」


終わり

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