モバP「考察する彼女と導いた結論」 (58)

「プロデューサー!プロデューサー!プロデューサー!プロデューサーぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!プロデューサープロデューサープロデューサーぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん」

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危うく持っていた携帯を落としそうになった。
…いや、この状況ではしかたない事だと思う。
大体の人は予想外の出来事が起こると思考が停止し体が動かなくなるものだろう。
咄嗟に動けるのはよく訓練された兵士か、早苗さんくらいだろう。

もしかしたら早苗さんですら、この状況の前では手も足も出ないかもしれない。

それ程までに、目の前の状況は異常だった。
私の日常は何処に行ってしまっただろうか。

状況を整理しよう。



何時もより若干早く起きた私は、
何時もより若干早く自宅を出て、
何時もより若干早く事務所に着いた。
何時もより若干早いおはようを言う前に

ーーーこれだ。

…何だ何時もより若干早い私が悪いのか。
私が何時も通りの朝を迎えていれば、
こんな爽やかな朝から、とてつもない非日常に突き落とされる事は無かったのか

恨むぞ、朝の私

さて、ようやく頭の回転が戻ってきた所で本題だ。




私はこの状況をどうやって乗り越えるべきか。

「間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!」


「何か」を咥えながら、訳の解らない事を宣う彼女。

最早そこには、事務所一番の売れっ子アイドルの姿は無く、ただ欲望の侭に動く変態がいた。



どう見ても手遅れだった。

…触…らぬ神に祟りなし。
三十六計逃げるにしかず。


私は事務所を後にした。

幸い、
レッスンまでまだ時間は有るしな。

ちょっと休憩

蜀埼幕

文字化けした


再開します

行きつけのカフェでコーヒーとサンドイッチを注文する。
片手にはスマートフォン。
注文した品が来るまでの時間潰しだ。

「修学旅行中のバスが崖から転落するも、奇跡的に死者0人!」

「「日本ドヤ顔大賞」輿水幸子?、史上最年少でのノミネート」

「「嫁に迎えたいアイドル」秋月涼?、2年連続で1位に!」

「2位キャッツ、今日から首位ホッパーズと直接対決!」

特に興味を惹かれる様なニュースは無かった。

>>14ミス

「「日本ドヤ顔大賞」輿水幸子、史上最年少でのノミネート!」
「「嫁に迎えたいアイドル」秋月涼、2年連続で1位!」

…ふと、今朝の事を思い出した。

獣の様に叫び、無我夢中で対象に食らいつく彼女。

その姿は、言い逃れの出来ないくらい変態だった。

ーーーーーー同時に湧いた小さな疑問




何が彼女をそこまで変えたのだろうか?

私の知る彼女は、凛とした佇まいの中に熱い心を持って、誰よりも輝こうとしている子だ。


少なくとも朝一番の事務所で変態的な行動を取るような子では無い筈だ。

ーー疑問が少しづつ大きくなる。



何故彼女はあそこまで豹変してしまったのか?

朝の光景を思い出してみる。

彼女は「何を持って」尚且つ「何をしていた」か?

此処で頭をフル回転させる。

…思い出せ、彼女は「何を持って」いた?


…訂正。「何を咥えて」いた?




…………ジャケットだ………

誰の? …朝一番の事務所となると、対象は絞られる。

ーーー疑問が何かに変わろうとしている



では、彼女は「何をして」いた?

…「彼」のジャケットに顔を押し付けていた


そして、あの奇声もとい言動

点と点が線で繋がる。

つまりはつまりでつまりの事

普段凛とした彼女をあそこまで変えてしまった原因。
皆の為に笑顔を振りまくアイドルを、一匹の獣に変えてしまった原因は…

一人の漢の匂い、
もとい「フェロモン」によるものでは無いかーーーー



詰まる所、

今をときめく「彼女」




もとい「渋谷 凛」は、


「プロデューサーの臭いを嗅いで発狂する、特殊な性癖の持ち主」


…という結論になる。



ーーーー疑問が好奇心と変わる




普段凛とした彼女がここまで乱れる、
その匂い


…一体どのような匂いなのだろうか?


臭い?酸っぱい?辛い?無臭?
それとも、未知なる香なのか?

嗅いだ時、私も「彼女」の様に豹変してしまうのか?


考える程疑問は尽きない



ーーー好奇心が後押しする






……嗅いでみたい




気づいた時には昼近くになっていた


スマートフォンには着信履歴が数件


この時初になってようやく、
私は午前中のレッスンをサボった事を理解した。

結論から言えば、午後のレッスンの出来は最悪だった。

恐らく過去最低の出来だっただろう。

だが仕方ない。

匂いが気になって仕方がないのだ。

アレからずっとその事だけを考えていた。

当然レッスンが見に入る訳もない。

指導して頂いてるトレーナーさんには、悪い事をしたと思っている。



だが仕方がない。

好奇心というのは、誰もが持っているモノだ。

「ソレ」が刺激された時、頭の中が「ソレ」について一杯になってしまうのは、仕方ない事だと思う。
だから、仕方ないのだ。

さしづめ好奇心が殺したのは、猫ではなくアイドルだったという話だ。

と、言う節をトレーナーさんに伝えた所、レッスンが早めに終わった。

帰り際にトレーナーさんから無言でスタドリを手渡された。



ほろ苦い味がした。

休憩

攻コス溜まったんで道場行ってきます

再開します

次の日。

目覚めは良かった。

始発の電車に乗りながら、
今日の予定を確認する。

午前・ドラマ撮影
午後・ラジオ収録


うん。何も問題無いな。

始発の電車に乗ったのも、
他の人達に邪魔をされない様にだ。

流石にこんなに朝早くから、
事務所に来る人は居ないだろうという考えだ。


計画は完璧だった。

事務所前に来た所で気付く。

そもそもこんな朝早くだと、
「彼」すら来て居ないのでは無いか?

私は、恐る恐る事務所のドアを開けた

が、どうやら杞憂の様だった。

仮眠室の扉を見ると「就寝中」と書かれたプレートが掲げられていた。
絶賛睡眠中のようだ。




椅子にはジャケットが掛かっていた。



これは……チャンスだ。




このチャンスを逃がさない様に素早く、尚且つ必要最小限の動きで目標に接近する。


「彼」の机の前に到着。
サイドステップを使い素早く回り込む。


…ついにこの時が来た。



心臓の音が五月蠅い。落ち着け集中出来ない。呼吸が乱れている。少し過呼吸気味か?




……不味いな



どうやら私は自分が思っている以上に浮かれているらしい。



…浮かれている?

…望む所ではないか


ならこのまま勢いに任せてジャケットに突っ込んでしまうのも有りかもしれない。そもそも冷静に考えて他人のジャケットの匂いを嗅ぎたいなんて発想事態可笑しいのではないか?そうか私は可笑しかったのか。きっとそうだ私は昨日の「あの」現場を見た時から可笑しくなっていたのかもしれない。だったらこのままジャケットに突っ込んでクンカクンカスースーするのは当然の事だろう。




…考察する事約2秒、私の中で「やっちまいなYo」という結論がでた。

自分の気持ちに正直になれという事ですね解ります。



…ごくり


ジャケットを持ち、匂いを確かめるため、顔に近づける。

……あぁ何とも言えない匂いがする
不思議と不快感では無い香りだ。



私は本格的に香りを堪能しようと、ジャケットに顔を埋めようとーーーーーー


がちゃり








扉が開く音がした。

私は音がした方向に目を向ける。

どうやら男子更衣室の扉が開いたらしい。

そこから出てくる、人影が一つ。



…どうやらお楽しみはここまでの様だ

私はその人影と対峙する

「何をしているんですか?






東郷さん」


「君こそ、何をしているんだ?




凛君」

ーーーーーーーーー
(何ですか…この状況は…)


プロデューサー殿の机を挟んで、
ジャケットを咥えたあい殿と男物の下着を被った凛殿が、微動だにせず睨み合っている…

朝一番の事務所で、全くわけのわからない攻防が、繰り広げられていた。

どうして二人ともそんなに殺気がむき出しなんでしょうか…

「レ、レッスン行ってきまーす………」

…今の珠美では、お二方の間に割って入るのは不可能と判断しました。


「珠美も…まだまだですね……」
事務所の外で呟く。


武の頂き今だ見えず。

強くなりたい…と

珠美は改めてそう思った。

おしまい


かっこいい東郷さんが書けて満足。

仕事に戻ります。

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