貴音「夢寐に参らせ」 (28)

美希「ぅうん……」ウトウト

貴音「美希?」

美希「……ぅぅ?」

貴音「ずいぶんと眠そうではありませんか」

美希「そうなの……あふぅ」

美希「昨日から朝までラジオの収録だったの……」

貴音(ふふ……あなた様もいささか酷な企画をお認めになりましたね……)

美希「眠いの……」ゴシゴシ

貴音「美希?」

美希「ん……」

貴音「今日は折りしも二人して『おふ』でありましょう……」

貴音「膝をお貸ししましょう」ポンポン

美希「……いいの?」ウトウト

貴音「このようなこと、迷惑にも入りませんよ」

美希「じゃあ……ちょっと借りる、の……あふ」コテ

貴音「……」

貴音「……」サスサス

美希「zzz」スゥ…

貴音(よく手入れされた髪ですね……豊穣なれど軽やかに、その艶は香しき美しさ……)サラ…

貴音「……」

貴音「~♪」

美希「zzz……♪」

貴音「~~♪」(お好みのBGMでどうぞ)

貴音(手先から吸い込まれるようなこの髪に……)サラサラ

貴音(抗えぬこの手は……いまはこの歌で赦してくださいまし)スル…

美希「~♪……なの……」スヤスヤ

明くる日

雪歩「すぅ……」

貴音「お早う御座います」ガチャ

雪歩「はぅっ?!」ビク

貴音「おや雪歩」

雪歩「ぁ……四条さん、おはようございます」ウトウト

貴音「おはよう雪歩、起こしてしまったようですね」

雪歩「大丈夫ですぅ……だい、じょう……」ウツラウツラ

貴音「……」

雪歩「zzz」スゥ…

貴音「~♪」ナデコナデコ

貴音(しっとりとした頬ですね……)サスサス

貴音(手に馴染むようです……これは贅沢な所業でしょうか)スルル…

雪歩「ん……ふぅ……zzz」スゥ…

貴音「~♪」サス…

貴音(また起こしてしまうでしょうか……ですが)

貴音(雪歩の内なる強さを満たしたこの肌を、今は触れさせてくださいな……)

雪歩「ふふ……んん……♪」スゥスゥ

また明くる日

伊織「んん……んんんっ……!」ノビー

貴音「お疲れのご様子と、お見受けしますが……伊織?」

伊織「ちょっとね……あのばかプロデューサーったら……」ブツブツ

貴音「あまり悪し様に言うものではありませんよ伊織?」

伊織「わ、わかってるわよ……ちょっとだけ気に入らなかっただけよ」

貴音「ふふ……あなたならよくお分かりのことでしょうし、わたくしはあまり小言は申しませんよ」

貴音「それでも心沈むときは……無心に食すか……」

伊織「それか?」

貴音「または安らかに眠ることです」

伊織「普通はふて寝っていうのよね、それ」

伊織「なんだか体良く言いくるめられた気がするわ……」コロン

貴音「眠りは人が発明した偉大な文化です……食と並んでそれは、なん人にも侵されぬ夢寐なる刻」ナデ

伊織「ぅうん……まったく口がいいわね……」ウツラウツラ

貴音「……」

貴音「……~♪」サス…

伊織「……ん」モジモジ

貴音「~~♪」ナデナデ

貴音(伊織の凛とした表情が……いまは健やかにまどろんで沈んでゆきますね)

貴音(まぶたの裏が動いています……さて如何な夢を観ているのでしょうか……)ツンツン

貴音(わたくしといえど、計り知れぬ世界ですね……ふふっ)サスサス

伊織「にひひ……っ……ん♪」スヤスヤ

またまた明くる日

真「はぁー……」ゴシゴシ

雪歩「ずいぶん眠そうだねぇ真ちゃん」

真「ぅうん……いつもは雪歩のお茶でしっかり目が覚めるんだけどなぁ……」フア…

雪歩「ごめんね、お茶っ葉切らしてるみたいで……」

真「いいよ、雪歩のせいじゃないよ……でも午後まで何して過ごそうかなぁ……」

雪歩「うぅん……わたしはもうすぐレッスンだし……」

真「あ、じゃあ行って来なよ?付き合ってもらっちゃ悪いし」

雪歩「う、うん……じゃあね真ちゃん?」

パタン…

真「はぁ……眠いなぁ最近……鈍ってきたのかなぁ……」

貴音「……」ススス

真「ぅうん……なんだかもう限界だ……お昼までってコトで……」ユラ…

貴音「!……っ」ヒュバッ

真「むにゃ……」ゴロン

貴音「……」ドキドキ

真「zzz」スースー

貴音(せぇふ……ですね)

貴音(膝以外は譲れぬぽじしょんでございますね……ふふっ)

貴音「~♪」ナデナデ

真「すぅー……」スースー

貴音(真はいつも溌剌として……なれど秘めたるそれは、まさしく姫なる心)

貴音(いずれあなたを、心から女性として愛しく想う殿方が参るでしょう)

真「ん……」モゾ

貴音「~~♪」スッ

貴音(愛らしい手ですね……きっと美希や雪歩から手入れをうるさく言われているのでしょう)キュッ

貴音(いつもは隠したその乙女の純朴……皆はしかと見ていますよ)ナデ…

真「すぅ……えへへ……」スースー

三度明くる日

響「ねぇ貴音?」

貴音「なんです?響?」

響「最近事務所の皆がなー?夢見がすっごく良くなってすっきりするって言うんだ」

貴音「まあ、それはまこと良きことではありませんか……響?如何な故か、気になることでも?」

響「大有りだぞっ!皆が言うには、貴音がいるときに気持ちよく寝られるって言うんだぞ!」

貴音「それは光栄ではありますが、きっとそれこそ由なきことですよ」

響「うー……そうなのか?」

貴音「ええ」

響「zzz」スヤ

貴音(すこし意地悪が過ぎたでしょうか……)

貴音(気がつけば、皆は私の膝で眠りにつき一時の床として……)ナデ

響「ん~……えへへ……」スヤ…

貴音「……」

貴音「……~~♪」

貴音(わたくしで良いのでしたら……如何様にもお貸しいたしましょう)

貴音(何より愛しき友のために……)ナデナデ

響「んー……んへへ……」スヤー

明くr(もう書かないぞ)

あずさ「あらー……ちょっと眠気が……」

貴音「まあ、あずさ?いかがしましたか?」

あずさ「え、ええ……すこし寝不足かしら~?」

貴音「あずさ?あまり食事を疎かにしてはなりませんよ?」

あずさ「あら~……やっぱり隠し事はできないわね?貴音ちゃんには」

貴音「ふふ……お腹を押さえて、冷蔵庫から無理に視線をはずしています。分からなければ不遜というものです」

あずさ「うふふ……今日はちゃんと食べてから帰るわね?」

貴音「それがよろしいでしょう……お聞きくださって嬉しく思います」

あずさ「じゃあ、ちょっとだけお願いしても……いいかしら?」

あずさ「すぅう……」スゥー…

貴音「まさか頼まれてしまうとは、いささか意表をつきますね」ナデ

貴音「……~~♪」

貴音(こうして皆の子守を務める間……わたくしは何にも勝る快い一時を享受するのです)

貴音(子守とはあずさにはいかにも不適当でしょうか……?)

あずさ「んふふ……ふふ」スゥー…

貴音「~♪」

貴音(……)ジッ

貴音(少しだけ……少しだけでございます、指先だけで……)ツンツン

あずさ「ん……」モジ…

貴音(やはり僅差とはいえ……これは殿方にとっての大いなる母性となるのでしょうか)ムゥ…

あずさ「ぁら……んふふ……」スヤスヤ

次の日

千早「ふぅ……」ストン

貴音「ため息は幸せが逃げるといいますよ千早?」

千早「誰が言い出したのかしらね……?きっと有り余る幸せを抱えていたのね」

貴音「失礼を……千早には思いもあることでしょう」

千早「いいえ……ごめんなさい……最近あまり眠れなくて」

貴音「いいのですよ……千早?一つ試し事をしてみる気はありますか?」

千早「はい?」

貴音「……」ポンポン

千早「……あの」

貴音「……」

千早「……」

千早「伊織と同じパターンね……」コテン

貴音「眠れそうにはなりませんか?」ナデ

千早「……いえ……とても気持ちいい……です」

貴音「それでよいのです……人の内なる望み……眠り」

貴音「いまはただ、眠り姫の囁きのままに……」

千早「ん……ぁ……」トロン

貴音「……~♪」サスサス

貴音(美しい肢体、と言いましょうか……慎ましやかでありながら、女性らしく柔和に横たえた身体)

貴音(まこと……十二分に魅力的ですよ……千早?)

千早「ふふ……っ……ん」スゥスゥ

次の週

春香「あのー?」

貴音「いかがしましたか?春香?」

春香「こないだ見ちゃったんですけどー……あの、亜美たちを寝かしつけてるところ」

貴音「ええ、あの二人とやよいの子守をしていたときですね」

春香「すっごく可愛かった、からー……そのー……」

貴音「いいですよ」

春香「や、やっぱり図々しいかねぁ……四条さんの膝で眠りた、えええええええ???!!!」

貴音「芸人ですね……さながら」

貴音「……そうして、やよいを加えた三人に、子守唄を披露したのです」

春香「へぇ……」

貴音「三人を膝に携えて……まどろみの愛撫に身を委ねた彼女らは……」

春香「すぅ……」スースー

貴音「ちょうど……今の春香の様なものでしたよ?」クス

貴音「……」

貴音「~~♪」

貴音(軽やかに垂れ下がる髪……赤く頬は映えて、指先まで包んだその眠りは如何な心地よさでしょう)

貴音(春香?あなたの前を見つめる瞳が、志す指先が、目指す足先が、愛おしいです)

春香「えへへ……ふふ……」スースー

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