咲「ぷるぷる わたしわるいスライムじゃないよ」(141)

咲スライム「いじめないでよぅ…」

和「…」

京太郎「って言ってるけどどうする? モンスターには間違いないと思うんだが」

優希「村のタコスを食い散らかすモンスターは生かしておけないじぇ!」

京太郎「それじゃ倒しとくか」キン

和「待って下さい」スッ

優希「のどちゃん?」

咲スライム「うぅ…ぷるぷる」

和「この子は本当に悪いモンスターではないようです。倒す必要はないでしょう」

和「というか仲間にしましょう」ニッコリ

優希「は?」

咲/スライム Lv.1
和/にげたドレイ Lv.22
京太郎/にげたドレイ Lv.13
優希/修道女 Lv.-

和「これからよろしくお願いしますね」

咲スライム「うん!」

京太郎「どうしてこうなったんだ…」

優希「きっとのどちゃんは魔物を手なずける力を持っているんだじぇ」

和「咲さん。私は今まであなたを襲ってきた人間とは違います」

咲スライム「えへへぇ…マスターは優しいなあ」ギュムッ

和「ええ。だから安心してくださいね」ニッコリ

咲スライム「それでみんなはどういった目的で旅をしてるの?」

和「実は…」

京太郎「俺さ、実は隣の国の王子なんだ」

咲スライム「へぇ……ええっ!?」

優希「けど、私たち3人は色々な事情があって悪党に攫われ奴隷生活を強いられてきたんだじぇ」

和「10年経った今、ようやく逃げることができたのですが…」

京太郎「俺の祖国はその間に悪い魔物に乗っ取られてしまってたんだ」

咲スライム(確かにちょっと格好良いし王子って感じするかも…)ドキドキ

優希「だからその魔物を倒すためのアイテムを探してる途中なんだじぇ」

咲スライム「そうなんだ…」

和「咲さん。力を貸してくれませんか?」

咲スライム「もちろん! マスターの言うことならなんでも聞くよ!」

和「そうですか」ニッコリ

和「では今日のところは夜も遅いので宿屋に宿泊することにしましょう」ニッコリ

優希「今からだと無料で泊まれる修道院まで遠いもんなー」

和「では二部屋とってきますね」

京太郎「んじゃあそこのスライム。お前は俺と一緒の部屋な」

咲スライム「スラッ///!?」

咲スライム「ま、待ってよ…私女の子だよ? お、男の人と一緒の部屋っていうのは…いいのかな///?」

京太郎「スライムのくせに何を恥ずかしがってんだよ…」

京太郎「宿は二人部屋だからお前を他の部屋にやると俺の部屋に他の女子を入れなくちゃならないんだよ」

京太郎「ま、まあ…和がお願いしてくれたら…そっちの方がいいけどな///」

咲スライム(ムッ…)ムスッ

優希「は? 何を言ってるんだこの犬?」

京太郎「うおおおっ優希? 聞いていたのか…」

和「咲さんは私の部屋で一緒に寝るんですよ」

咲スライム「そ、そうだよね! マスター」

咲スライム(残念なような安心したような…)

京太郎「そうなのか? それじゃあ和たちの部屋が狭いんじゃないか?」

優希「だから…私が京太郎の部屋で寝るんだじぇ///」

京太郎「なん…だと…!?」

和「優希は修道女ですしきっと間違いは起きないでしょう。ではまた明日」

咲スライム「お休みなさーい」ピョンピョン


京太郎「…」ズーン

優希「この部屋…ダブルベッドになってるじぇ。宿屋の粋な計らいか!」

優希「それじゃあ京太郎…私、先にシャワー浴びてくるからな///」

和「咲さん、一つお願いがあるんですが」

咲スライム「何? 私マスターの言うことなら何でも聞いちゃうよ」

和「そうですか? では…」

和「私と一緒に寝てくれませんか? 私は何かを抱いていないと眠れないんです」

咲スライム「そうなの? 確かにペンギンのような何かのヌイグルミを持っていないと眠れなさそうだもんね」

和「はい…。エトペン…」シュン

咲スライム「泣かないで、マスター。今は私がいるよ…」ギュッ

和「咲さん…咲さんは温かいですね。仲間にして正解でした」ニッコリ


京太郎「優希…うっ!」

優希「京太郎…京太郎…! 中にいっぱい出してくれたんだな…///」

まこ「昨日はお楽しみだったようじゃのう」ニヤニヤ

京太郎「…///」

優希「…///」

和「??」

咲スライム「あの、マスター」

和「なんですか? 咲さん」

咲スライム「私たちって今から悪い魔物を倒せるアイテムを探しに行くんだよね?」

和「はい、そうですよ」

咲スライム「それだとモンスターと戦わないといけないんだよね?」

和「ええ…あなたには辛いと思いますけど、よろしくお願いします」

和「でも大丈夫ですよ。あなたは私が守りますから」ニッコリ

咲スライム「マスター…うん!」

和「ではダンジョンに出向く前に装備を揃えておきましょう」

和「刃のブーメラン、お鍋のふた、貝殻帽子…」

優希「ん? 鎧は買わなくていいのかー?」

和「ええ。咲さんの身体なら鎧のない裸の方が素早く動けるでしょうから」ニッコリ

咲スライム「ちょっと寒いけどマスターがそういうなら私頑張るよ」スッポッポーン

和「それからこのリボン…いえ、これは必要ありませんね」

咲スライム「そのリボン可愛いね。それはマスターのものなの?」

和「いえ…昔の、友人のものです」

優希「昔の友人…つまり奴隷になる前のことだな」

京太郎「そのリボンは大事にとっておけよ。スライムにつけるようなものでもないしさ」

和「ええ…そうですね」

咲スライム「マスター…」

咲スライム「ここが神の塔…」

和「ええ。私たちはここにある『テルの鏡』を手に入れに来たんです」

京太郎「テルの鏡は全てを見通すと言われてる。これさえあれば王国を牛耳ってるやつが偽太后だって分かるはずだ!」

優希「それじゃ、行くじぇ…」ス…


優希「あれ?」

京太郎「おい、塔の扉が開かないぞ?」

和「修道院では清らかな修道女なら扉を開けると言ってたのに…」

優希「あ」

京太郎「」ブフッ

咲スライム「??」

小蒔「開きましたよ」

和「すみません、わざわざありがとうございました」ペコリ

小蒔「いえ、別に構いませんよ。困っている時は助け合う、それが神の教えですから」

優希「…///」

京太郎「…///」

和「では優希と須賀君は神代さんを修道院まで送り届けて下さい」

京太郎「おいおい、和とスライムだけでダンジョン攻略するつもりかよ」

和「ええ。神代さんをここに置いて行くわけにも連れていくわけにもいきませんからね」

咲スライム「安心して! 私がちゃんとマスターを守るよ!」

優希「のどちゃん…よし! 行くぞ京太郎!」

小蒔「気をつけて下さいね…ここにはとても恐ろしい魔物がいますから」

咲スライム「ルカナン!」

和「たあっ!」ドシュッ

和「…ふう。なかなか手ごわいですね」

咲スライム「マスター、大丈夫?」

和「ええ。咲さんが補助してくれるので随分と楽ですよ」

咲スライム「それなら良かったよ。もう強い魔物が出てこなければい―――」ゾクッ!


霞エンプーサ「うふふふふふ!!」タユンタユン


和「うっ…!? なんですか、あの魔物…」

咲スライム「さっきまでのモンスターとは桁違いだよ! 気をつけて、マスター!」

霞/エンプーサ

霞エンプーサ「うふふふふふふふ!!」タユンタユン

和「これは…『さそうおどり』ですか。動けません…」

咲スライム「…見惚れちゃうよね」ボインボイン

和「これが神代さんの言ってた恐ろしい魔物ですね」

和「しかし、立ち止まってはいられません!」

和「咲さん! 来て下さい!」

咲スライム「うん、マスター!」


和・咲スライム「「パルプンテ!」」

霞エンプーサ「!?」

和咲スライムナイト「「合体完了!」」

和咲/スライムナイト Lv.99

霞エンプーサ「なんですって!?」

和咲スライムナイト「「あなたを倒せるほど強くなる方法…それは」」

和咲スライムナイト「「私自身がモンスターになることだ」」

霞エンプーサ「」

咲(マスターと合体してる…気持ちいい!)スッポッポーン

和(咲さんと合体してる…とても気持ちいいです!)ニッコリ

和咲スライムナイト「「たあっ!」」ビシュッ

霞エンプーサ「きゃああああ!」バタリ

和「なんとか倒せましたね…」パパパパッパッパッパ-

和「咲さん、怪我はありませんか?」

咲スライム「うん、大丈夫だよ」

霞エンプーサ「あの…」スクッ

咲スライム「ん…?」

和「なんだか仲間になりたそうな目でこっちを見ていますね」

霞エンプーサ「その通りよ。私を仲間にして頂戴」

霞エンプーサ「そして修道院にいる小蒔ちゃんに会わせて! 私こんな塔で一人行き遅れたくなんてないのよ」オロロ…

和「はあ…でも神代さんはあなたのことを恐ろしい魔物だと言っていましたが」

霞エンプーサ「そ、そんなことないわよ!? あれは一時の気の迷いなのよ!」アセアセ

霞エンプーサ「しかも未遂に終わったしそれで巴ちゃんに頭冷やして来いと言われてここに閉じ込められて…」

霞エンプーサ「もうしっかり反省したの! 今度はちゃんと段階を踏んでから最終目標のア○ル責めに行くから!」

咲スライム「ニフラム」

和「テルの鏡、手に入れましたよ」

優希「さっすがのどちゃんだじぇ! よくやったな!」

京太郎「スライムもよくやったな。和のこと守ってくれてありがとよ」

咲スライム「えへへぇ…」

小蒔「でもお怪我などしませんでしたか? あそこにはとても恐ろしい魔物がいたはずですけど」

巴「行き遅れの変態おっぱいおばけが反省していたはずなんですけど」

咲スライム「大丈夫です。悪は滅びました」

和「シスター、お世話になりました」ペコリ

巴「旅は辛いでしょうが頑張って下さい」

小蒔「あなたたちに神のご加護があらんことを」

京太郎「…お前は修道院に残らなくていいのか?」

優希「当然だじぇ! この件が終わるまでは私もついていくじぇ!」

咲スライム「ここが京ちゃんの国…なんだか元気が無いね」

京太郎「ああ。俺がいた頃…10年前はすっげえ栄えてたはずなんだけど今は…」

和「偽物の太后が代わりに政治を行っているそうです。恐らくその偽物の太后というのは魔物…」

優希「そいつを倒して、この国を元気にするんだじぇ!」


和「あ、あれは…」

久「京太郎王子…生きて、いたのね…」ポロ…

京太郎「竹井議長!」

久「京太郎王子…魔物に攫われたと聞いてもう帰ってこないと思っていたわ…」

久「それに『あの人』の連れて来てくれた子…和。あなたが王子を守ってくれたんでしょ? ありがとう…」

和「いえ、私は別に…。それにまだ終わっていません」

京太郎「ああ。今こそ――あの偽物の太后を倒して、俺たちの国を取り戻す!」

太后?「な…! あの京太郎王子だと…!? 死んだはずではないのか」

京太郎「そういうお前は何者だ!」

優希「大人しく正体を現すんだじぇ!」スウウウ

咲スライム「テルの鏡が姿を写し出していく…この姿は!」

藤田ニセたいこう「ふっふっふ…よくぞ見破った」

和「やはり魔物でしたか」

久「うそ…」カタカタ

藤田ニセたいこう「この姿を見たからには生かしてはおけん。全員カツ丼の添え物にしてくれる!」


和「さあ…来ますよ! あの生え際が弱点です!」

京太郎「こいつを倒して国を守る!」

咲スライム「うん!」

藤田ニセたいこう「」

和「案外楽に倒せましたね」

咲スライム「だね」

京太郎「…悪は滅んだ。これでこの国にもう障害は無い」

久「ええ…」

京太郎「これから忙しくなるな。魔物を街から追い出して色々法律も見直していかないと」

久「そうね。王子…いえ、京太郎王、一緒に頑張って行きましょう」

優希「…」

優希(これで…京太郎は国を救えたんだな)

優希(それじゃあ私は邪魔になるから修道院に戻るじぇ…)

京太郎「おいおい。どこに行くんだよ、優希」

優希「え…?」

京太郎「お前はもう清らかな修道女じゃない。お前は…その…///」

京太郎「お、俺の妻で京太郎王の妻! そうつまり王妃なんだからな!」

優希「きょ、京太郎…///」

和「え」ポカーン

咲スライム「スラッ!?」

久「あらあら。10年見ないうちに立派になっちゃって」

京太郎「これからもさ…俺と一緒にいてくれよ」

優希「京太郎…」


優希「はい…!」

和「それでは私と咲さんは出発します」

咲スライム「幸せにね! 優希ちゃん、京ちゃん…京太郎王さま!」

京太郎「ああ。10年間世話になったな。それにスライム! 絶対和を守り抜くんだぞ!」

優希「またいつでも遊びに来てほしいじぇー! のどちゃんが結婚するときには絶対に行くじぇー!」

久「それで、どこを目指す予定なのかしら?」

和「…『あの人』が言ってたこと…伝説の勇者を探しに行くことにします」

咲スライム「マスター…」

京太郎「そっか。もし困ったことがあったら言ってくれよ。必ず力になるからさ」

和「ええ。では…行ってきます」

初美「船を出しますよー」


咲スライム「マスター…『あの人』って」

和「…」

和「『あの人』とは…私の命の恩人です」

和「10年前のあの日『あの人』がいなければきっと私はあの場で殺されていたんだと思います」

咲スライム「マスター…」

和「そして『あの人』は…私を庇って死んでしまいました」

和「今でも悪夢のように思い出してしまいます――」


玄『ぬわーーっっ!!』

和『玄さん! 玄さーーーーーーん!』


咲スライム「…」ブルッ

和「私は玄さんが探していた『伝説のおもち』…この世界を救う英雄を探しださないといけないんです」


初美「そろそろ目的地に到着しますよー」

初美「向こうの大陸には恐ろしい魔物が住み着いているらしいので注意した方がいいですよー」

和「さて、無事に街に辿り着けたことですし今日のところは宿に泊まるとしましょう」

咲スライム「うん。私初めての船旅で疲れちゃったよ」


和「…」

咲スライム「マスター…眠れないの?」

和「…すみません。以前話した通り、私は何かを抱いていないと眠れないんです」

和「どうしても…玄さんが焼かれていくところを思い起こしてしまうんです…!」ブルブル

咲スライム「マスター…」ゴソゴソ

咲スライム「マスター…こうしたら少しは安心できるかな…?」ギュムッ

和「咲さん…! ええ…とても温かいです」ニッコリ

ずっと…一緒にいて下さいね…


パリィン!

咲スライム「スラッ!?」

和「な、なんですか!?」

??「ぐるううううう」

まこ「なんじゃなんじゃ! こいつは…最近この辺を荒らしまわってるモンスターか!」

咲スライム「マスター! この子キラーパンサーだよ! とても強いモンスターだよ!」

??「ぐるううううう」

和「あ…」

??「うううう…」

和「あの頃からほとんど変わっていない裸ジャージ…もしかして…」


和「穏乃…?」

穏乃/キラーパンサー

咲スライム「マスター! 早く構えて! やられちゃうよ!」

和「穏乃…穏乃ですよね? 私です! 和ですよ!」

穏乃パンサー「のど…か?」

和「はい…! 昔憧や玄さんと一緒に遊んだじゃないですか!」

穏乃パンサー「のどか…?」スンスン

穏乃パンサー「違う…和はこんなんじゃない!」

穏乃パンサー「私の知ってる和はもっと胸が小さくていい匂いがしたはずなんだ」

和「そ、それは…もう10年も経っているからで」ボヨン

穏乃パンサー「お前からはスライムのニオイがする…」


穏乃パンサー「自宅を放火してそうなスライムのニオイだ!」

咲スライム「スラッ!?」

咲スライム「そんなことしてないよ。わたしわるいスライムじゃないよ」ぷるぷる

和「そうですよ。咲さんはそんなことしませんよ」

穏乃パンサー「そいつを庇うんだ…やっぱりお前は和じゃない!」

穏乃パンサー「和も玄さんももういないんだ! 『あの魔物』に焼かれて死んだんだ!」

穏乃パンサー「うわああああああああ!」

咲スライム(このままじゃマスターを守れない! ニフラムを…)

和「待って下さい! これを…これを覚えていませんか…?」スッ

穏乃パンサー「え…? そ、それは…」スンスン


穏乃パンサー「憧…憧が私にくれたリボンだ…」

穏乃パンサー「じゃあ本当に…」ポロ…

和「ええ…。長い間会えなくてごめんなさい、穏乃…」ギュムッ

穏乃パンサー「和っ…!」ギュウウウ

穏乃パンサー「和…えへへ///」ギュッ

和「ちょっと穏乃…そんなにくっついたら…ってきゃあ!? 顔を舐めないでください…」

咲スライム「…ムッ」

咲スライム(マスター…さっきは私のことずっとギュッてしてくれてたのに…)

咲スライム「マスターをギュッてするのは私だもん!」

和「きゃあっ!? ちょっと…咲さんまで」

穏乃パンサー「なっ…! この放火スライム! 10年越しの再会を邪魔するなよ!」

咲スライム「関係ないもん! マスターの一番のお供は私なんだから!」

穏乃パンサー「なんだとー! ぐるるるる!」

咲スライム「むむむむむ!」

和「二体とも落ちついて下さい。どちらも私の大切な仲間なんですから」ニッコリ

まこ「ふむ…なにやら修羅場のようじゃのう」

まこ「そんで? 宿の修繕費は出してくれるんかのう、モンスターつかい殿?」

和/モンスターつかい Lv.30
咲/スライム Lv.27
穏乃/キラーパンサー Lv.15

和「…」

穏乃パンサー「ごめん、和…」

和「い、いえ…穏乃が気にすることではありませんよ」

咲スライム「京ちゃんが王様で本当に良かったよ…」

和「まあ、今後は二体ともあまり暴れないようにして下さいね」

穏乃パンサー「はい…」

咲スライム「ごめんなさい…」

和「はい。では出発しましょうか」

和「目指すは――伝説の勇者の手掛かりがあるという火山の町です」

はやり/まほうつかい

まほうつかい(28)「ベギラマ☆」ハッヤリーン

咲スライム「うわっ、まほうつかいだ」

和「気をつけて下さい…あの熟年の経験から来る魔法は強力ですよ」

穏乃パンサー「なんのなんの! 私に任せてよ!」

穏乃パンサー「がるるるる!」ビシィッ!

まほうつかい(28)「きゃあっ☆!」ボヨン

和「いいですよ! 穏乃! …たたみかけます!」

咲スライム「負けてられない…やあっ!」ブンッ

まほうつかい(28)「きゅぅ…☆」

和「穏乃、腕は落ちていないようですね」

穏乃パンサー「もちろん!」

和「それに咲さんも…とても素晴らしいフォローでした」

咲スライム「えへへ…///」

和「さて、では行きましょうk…」

まほうつかい(28)「待ってよ☆」キャピキャピ

和「…」

穏乃パンサー「なんか仲間になりたそうな目をしてる…」

まほうつかい(28)「はやりも一緒に連れて行って☆ 火山の町に行くんでしょ☆?」

まほうつかい(28)「なんか今あの町の大富豪が娘のお嫁さんを探してるらしいからはやりも立候補しようと思って☆」

まほうつかい(28)「はやり、こんなところで行き遅れたくないの…☆」キャピーン

咲スライム「ニフラム」

まほうつかいの後ろにある数字はレベルか

穏乃パンサー「ついた…ここがサラボナの町」

和「どうやら先のまほうつかいが言っていた大富豪というのが伝説の勇者の手掛かりなようです。行ってみましょう」


衣「わーい、お客さんだー」ピョコピョコ

咲スライム「スラッ!?」ゾクッ…!

穏乃パンサー(なんだ、この子供…勝てる気がしない!?)ビビクン

和「こんにちは。あなたはこのお家に住んでいるんですか?」

衣「うん! ころもはこの家で一番のお姉さんなんだ」

和「ふふ。私は和。原村和というものです。衣さん、お家の方を呼んできてもらえますか?」

衣「任務了解! あとで一緒に遊ぼう、ノノカ!」

和「はい。では約束ですね」


??「あら。あの方…」

??「あまり初対面の人と仲良くしない衣とあんなにも楽しげに…」トクン

純「お、なんだなんだ? お前も透華の婚約者に立候補すんのか?」

和「いえ、私はでんs」

智紀「透華ならもうすぐ降りてくる…」

和「あの、私はただ伝説のy」

透華「あなたはさっきの巨乳!」

透華「ま、まさか先程衣と親しげにしていたあなたがわ、私の婚約者になりたいと願い出てくるなんて…///」

透華「べ、別に嬉しくありませんわよ///! あなたのような下品な巨乳なんて願い下げですの///!」

一「うわぁ…これは完全に一目惚れみたいだね」

和「あの…」

透華「どうしてもこの私と結婚したいと言うなら、二つの高価なリングを持ってきたらしてあげなくもないですわよ///!?」

純「だ、そうだ。それじゃあ頑張ってな」

和「話を聞いて下さい…」

和「…」

穏乃パンサー「ま、まあ和。たまにはこういうこともあるよ」

咲スライム「そうだよマスター。多分あの人たちが言っていたリングを持っていけばきっと話を聞いてくれるよ」

和「そうですね…。気を取り直して頑張りましょうか」

穏乃パンサー「そうでなくっちゃ!」

咲スライム「マスターは私が守るよ! …でも、あれ?」


咲スライム(もし、リングを集めて持っていったら…)トクン

穏乃パンサー(和が…あの人と結婚しちゃう!?)トクン

咲スライム「…」

穏乃パンサー「…」

雅枝/おどるほうせき

おどる雅枝「ぐはっ」

おどる雅枝「ってなんで『おどる雅枝』やねん! 『雅枝(宝石)』とかにしろや!」

咲スライム「ニフラム」

和「ただの光り物が好きな大阪の中年女性でしたね」


和「火のリングを手に入れました」

咲スライム「…」

穏乃パンサー「…」

和「残るはもう一つ…水のリングを探しに行きましょうか」

咲スライム(なんだろ、これ…胸が締め付けられるよ…)

穏乃パンサー(キュッて締め付けられて苦しい。和があの人と結婚するのを想像したらすごく辛い)

和「水のリングがあると言う滝の洞窟までの道中にある村で一休みしてから行きましょう」

穏乃パンサー(そっか…。私、和のことが好きなんだ…)

咲スライム「…静かな村だね」

和「ええ。けど…のどかでいい村だと思います」

穏乃パンサー「それになんだか懐かしい匂いがする…」スンスン

??「あ…」

穏乃パンサー「なんだか昔…和や憧と一緒に遊んでたときみたいな――」

??「その具が丸見えな裸ジャージ四つ這い…その、リボン…」

??「もしかして…しずと…和?」

穏乃パンサー「この匂い…!?」スンスン

和「憧…憧ですか!?」


憧「うん…そうだよ。和…、しず…」ウルッ…

憧「もう死んだって聞いてたのに…また、会えた…!」

和「紹介しますね、咲さん。彼女は憧、私と穏乃の幼馴染です」

咲スライム「私はスライムの咲です。マスターの一番のお供です」

穏乃パンサー「なんだとー!? 和の昔からのパートナーは私なんだからなー?」

憧「二人とも元気そうね。もう10年ぶりか…和は胸とかすっごい成長したし、しずも大きくなったね」

穏乃パンサー「そう言う憧こそ大人になったね! 髪も伸ばしてるしまるで別人みたいだよ!」

憧「そう? ありがと、しず」

穏乃パンサー「えへへ…。和と憧…二人とも一緒だ…」

憧「それで? 今は死んじゃった玄の残してった言葉を頼りに伝説のおもちを探してるわけだ」

穏乃「玄さん曰く『年増の垂れたおもちじゃなく若くてハリのある大きなおもち』だよね」

咲(これまで倒してきた魔物はみんな年増だし該当者はいなさそうだね…)

和「現在はサラボナの大富豪、龍門渕さんから手掛かりを教えてもらうためにリングを取りに行く予定なんです」

憧「そっか…それじゃ、あたしも行く!」

憧「夜のお城に行ったときみたいにさ、またみんなではしゃごう! そして…全国を旅しようよ!」

穏乃パンサー「うん! 遊ぶんだ…みんなと!」

憧「…でさ」ヒソヒソ

穏乃パンサー「どしたの? 憧?」ヒソヒソ

憧「さっきの龍門渕さんって…最近婚約者を探してるっていうあの龍門渕さんよね。うちの村でも聞いたわよ」ヒソヒソ

憧「もしかしてさ。和はその人と結婚しちゃうの?」

穏乃パンサー「!!」

憧「しず?」

穏乃パンサー「…うん。そうかもしれない」

憧「…」

憧「そっ…かあ」


和「…」

憧「和…」

咲スライム「よっ…と」

和「無事、水のリングを手に入れることができましたね。龍門渕さんのお屋敷に戻りましょう」

憧「ねえ、和…」

穏乃パンサー「憧?」


憧「和は、龍門渕さんと結婚するの?」

咲スライム「!?」

穏乃パンサー「憧っ!?」

和「え…?」


憧「もしもまだ決めてないなら…あたしと結婚しない?」

衣「お帰り、ノノカ! 無事にリングを手に入れたんだな!」

透華「ほ…本当に見つけ出しましたのね/// じょ、上出来でしてよ///」

純「そんじゃあ面倒だし明日の夜にでも結婚式開くか」

智紀「知り合い一同にはこちらで連絡しておく…」

和「待って下さい…すみませんが」

透華「ど、どどどうかしましたの///? そ、その…私はいつでも覚悟できてますの!」

一「…?」

憧「…」

咲スライム「…」

穏乃パンサー「…」

一「…」

一「うん。それじゃあ明日の朝、またここに来てよ。…それまでに、答えを出してきてね」

和「はい…」

まこ「…眠れないんか?」

和「ええ。…この町にも宿屋を開いていたんですね」

まこ「おう。チェーン店じゃからな」

まこ「…そんで? 何か悩みがあるようじゃの」

和「…はい」

まこ「前は数人でパーティ組んどったのに今日は一人だけじゃから何かあるとは思ってたんじゃけど」

和「…」

まこ「…眠れないならこの辺散歩してきたらどうじゃ?」

まこ「こんな綺麗な月夜なんじゃ。夜風に当たりながら頭を冷やすのもいいもんじゃぞ?」

和「…」

憧「…和」

和「憧…」

憧「ごめんね、和。突然ビックリしたよね」

和「いえ…」

憧「っ…」

和「憧、私は…」

憧「いいって。龍門渕さんすごい美人じゃない。あの人と結婚しちゃいなよ」

憧「そして伝説の勇者の手掛かりを手に入れて…」

憧「手に、入れて…」フルフル

和「憧…」

憧「ごめん、和。今日はやっぱりもう寝るわ」

和「…」

透華「は、はははははは原村和///!? こんな夜更けに何の用ですの!?」

透華「も、ももももももしかして夜這いですの///!?」

透華「いけませんわ///! わ、私たちまだ結婚前だと言うのに…///」

和「話を聞いて下さい…」

和「龍門渕さんはどうして私と、その…結婚してもいいと思ったんですか?」

透華「…」

透華「…一目惚れ、ですわ」

和「え?」

透華「あなたと衣が話しているのを見たとき…ビビッと来ましたの」

透華「あなたが私の運命の人…私を後ろに歩かせるに相応しい人なのだと」

透華「あなたが今、何に悩んでいるのかは私には分かりませんが…私、あなたのことを待っていますわ」

和「龍門渕さん…」

穏乃パンサー「…なあ、咲」

咲スライム「…どうしたの?」

穏乃パンサー「私、和のことが好きだ」

咲スライム「…!」

穏乃パンサー「10年間ずっと寒かった…けど、和がいてくれたら暖かいんだ」

咲スライム「うん…。私も、その気持ち分かるよ…」

穏乃パンサー「だから、さ…。私はずっと和についてく。例え和が結婚しても」

咲スライム「穏乃ちゃん…」

穏乃パンサー「もう和と離れたくないんだ…だから」

咲スライム「穏乃ちゃんは本当に、それでいいの?」

穏乃パンサー「っ…」

咲スライム「私はちょっと違うな…」

咲スライム「私は――」

純「それじゃ、なんか良く分からんが答えとやらを聞かせてもらおうか」

和「…」スタスタ

衣「??」

一「…」

透華「…」

憧「…」

穏乃パンサー「…」

咲スライム「…」



和「あの…」

智紀「え、私…///!?」

智紀「なんと、わたしが好きなの…? それは、ダメ…。もういちどよく考えて///」

和「話を聞いて下さ――」


穏乃パンサー「和ーーーーーー!」

穏乃パンサー「私は和が好きだ! 大好きだ!」

穏乃パンサー「ずっと一緒がいい! もう絶対離れたくない!」

穏乃パンサー「それに…」


穏乃パンサー「誰にも和を渡したくない! 和と結婚するのは私なんだ!」


和「し、穏乃…///!?」

透華「へ? キラーパンサー…ですわよね?」

憧(…)

憧「よし! あたしも…言わなきゃ!」

憧「ちょーっと待った!」

和「憧!?」


憧「あたしはしずのことが好き! ずっと…ずっとずっとしずのことが好き!」


憧「しずは和のことが好きだから…きっと和について行くって思った」

憧「だから和と結婚してしまえばしずとも一緒にいられると思った…」

憧「けど! そんなの本心じゃない! …いや、別に和のことは好きだけど」

憧「和への好きは友達としての好き、で…しずへの好きは恋の方の好き!」

憧「あたし…しずと結婚したい!」


穏乃「え…ええええええええっ!?」

透華「な、なんですのこれは…キラーパンサーと結婚ってどういうことですの?」ポカーン

一「ほら透華、出遅れちゃうよ」

透華「な、なんだかよく分からないのですけど…」コホン


透華「この龍門渕透華を差し置いて盛り上がるなど言語道断ですわ!」

透華「そ、その…///」

透華「は、原村和と結婚するのは私ですの///!」

透華「私は…ずっと待っていましたの。あなたが私の前に現れるのを…」

透華「私、あなたのことが大好きですわ///! 一生あなたについて行くと決めましたの!」


一「うん。ついでにボクは透華のことが好きだよ」

純「俺は実は国広くんのことが好きだ」

智紀「私は純が好き…///」

衣「衣はみんな大好きだー!」

和「こ、これは…」

咲スライム「マスター」

和「…咲、さん?」



咲スライム「私も…マスターのこと、好きだよ」



和「咲さん…」トクン

春「結婚式の用意ならできてる…」

京太郎「和が結婚と聞いて飛んできたぜ!」

優希「私と京太郎みたいないい夫婦になるんだじぇ!」

久「それで? 相手は誰なの?」

まこ「それがまだ決まってないみたいなんじゃ」

小蒔「あら…」

巴「これは原村さんも大変ですね」

初美「の、ようですねー」


和「みなさん…」

和「私は――」

俺「こ、これは…」

俺スライム「マスター」

俺「…俺、さん?」



俺スライム「私も…マスターのこと、好きだよ」



俺「咲さん…」トクン

これが恋か



穏乃パンサー「和を…離せっ!」

憧「たあああああっ!」

透華「メラゾーマですわ!」

ジャミ誠子「効かないな。その程度では!」

和(みなさん…私の為に傷ついて…)

和(もう、やめて下さい…!)パアアアアアアアアアアアア!

ジャミ誠子「な…!? なんだと、この光は…!」

ジャミ誠子「『伝説のおもち』…!?」

咲スライム「和ちゃんを…返してっ!」ゴッ!

ジャミ誠子「ぐわああああああああああ!」


和「そう、だったんですか…」

和「ずっと探していた、『伝説のおもち』が私だったなんて…」

ゴンズ堯深「その通り」

イブール菫「10年前あの焼き鳥と一緒に焼き払わなかったのはミスだったな――」

和「!! あなたは…玄さんを燃やした…!」

穏乃パンサー「ゲマテル!」

ゲマテル「今度は容赦しない…引き籠ってばかりのスコヤラース様のためにここであなたを倒す」

憧「みんな! 来るわよ!」

透華「どこからでもかかってくるといいですわ! この私が倒してさし上げますの!」

穏乃パンサー「ほら咲! 早く構えて!」

咲スライム「…え?」


咲スライム「お姉、ちゃん…?」

ゲマテル「…」

和「今度こそ見つけた…玄さんの仇!」

-ご愛読ありがとうございました。>>1の次回作にご期待下さい-

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