弟「姉さん遅いな、携帯も繋がらないし」携帯「prrrr」 (27)

弟(……ん、未登録の番号か。誰だろ)

弟「はい、もしもし」ガチャ

???「夜分遅くにすみません。こちら、弟さんのお電話番号でお間違えないでしょうか?)

弟(おっと、女の人か)

弟「そうですけど、どちら様ですか?」

???「申し遅れました。わたくし東雲警察署の者です」

弟(……そうだ、隣町の番号だ。なんだろ、落し物とか?)

弟「それで、警察の方がいったいどういったご用件で)

女警官「その、大変申し上げにくいのですが、お姉さんのことでお話が」

弟「……え、……姉さんの?」

女警官「はい、実は――――」

お尻がかゆい

続きはよ

女警官「姉は女装した男でした」

――ガラガラ


弟「……姉さん!」

姉「あっ、やっと来たー。よかったよー、これで帰れるー」

弟(あ、あれ、意外と元気そう?)

姉「ねぇ弟くん。着替え持ってきてくれたんだよね」

弟「い、一応、一式持ってきたけど」スッ

姉「さんきゅーさんきゅー!」パシ

姉「本当むかつくっていうか、破られたキャミだけでも一万円以上したのに、最悪ぅ」ゴソゴソ

弟(服を破られたってことは、襲われたのは確かなんだよな)

弟「ね、姉さん、あの、大丈夫なの?」

姉「あんまり大丈夫じゃない」

弟「……ッ!」

姉「いや、だからほら、着替え持ってきてもらって、わたし今から」チラ

弟「あ、ご、ご、ごめん!///」タタッ

女警官「では、翌日に改めて現場検証を致しますので」

姉「わかりました、よろしくお願いします」ペコ

弟「…………」

姉「待たせてごめんね。んじゃあ、帰ろっか」

弟「そ、そうだね」


女警官『数日中はできるだけ傍にいてあげてください』

弟(なんて言うからどれだけショック受けてるのかとびくびくしてたのに)


姉「…………」

弟「お、早くも空車発見」フリフリ

タクシー「キキーッ、バタンッ」

姉「え゛っ。ちょっとちょっと、まだ終電には余裕で」

弟「こういう日くらい大目に見てよ。すみません、隣町のゴトーヨーカドーまでお願いします」

はよ書けや

ゴトーヨーカドーwwwwwwwwww

運ちゃん「2480円になります」ピッ

弟「はい。これでお願いします」

運ちゃん「520円のお返しです。またご利用ください」バタン


姉「……あーあ、タクシー代あったら弟くんとヨナサンで贅沢ランチ食べれたのに」ブーブー

弟「わかった、わかったよ、今度バイト代入ったらなにか奢るから」

姉「ふむ、それなら許してあげないわけにもいかないか」

弟「さ、行こう」

姉「あ、ちょ、ちょっと待って!」

弟「ん、どうしたの?」

姉「いや、その、たまには手を繋いでいこーよ。ね!」モジモジ

弟「別に、いいけど……」

姉「ね、ねえ、弟くん?」キョロキョロ

弟「うん? どうかした」

姉「いや、その。この辺りって、こんなに静かで暗かったかなーって」

弟「いつもこんな感じじゃなかったかな。あまり意識したことないけど」

姉「そっか。うん、だったら、気のせいかな」

弟「…………」テクテク

姉「…………」テクテク

弟&姉「あの」

弟「っと、な、なに、姉さん?」ワタワタ

姉「いや、その、弟くんからどうぞ!」キョドキョド

弟「えっと、マンション、着いたんだけど」

姉「……あれ、ホントだ、いつの間に」

弟「近くに下ろしてもらったんだし、そりゃ時間はかからないよ」

姉「あはは、そ、そうだよねぇ」

弟(……今日ほどオートロックでよかったと実感する日はなかったな)ピッ

自動ドア「ウィーン」

姉「はぁ、明日から色々面倒だなー」スタスタ

弟「……手伝えることがあったら言ってよ。力になれるかはわからないけど」

姉「そだねぇ、たまには弟くんに甘えるのも悪く――」


――ガタンッ!


姉「ひっ!」ヒシッ

弟「……うわッ、とと!」ヨロ

姉「……あ……ぁ」ガクガク

弟「あ、あそこだ姉さん、風で自転車が倒れたんだよ」スッ

姉「……か……風で」ブルブル

弟「そうだよー。正直、僕も一瞬ドキっとしたけど」ポリポリ

姉「……あは、そ、そっか」

弟「だ、大丈夫? 歩ける?」

姉「……へ、平気平気。つか、いくらなんでも、びっくりしすぎだね、あははは」

弟「……気にしないで。それよりここ寒いから、早く部屋に入ろう」ギュ

姉「……そうだね、うん、そうしよ」


弟(さすがに今のは……、過剰反応だよな)

弟(まず暖房と、温かいココアでも入れて、熱めにお風呂を設定して……)

これは姉がいない奴がする妄想だわ

いいよいいいよー

――自宅

姉「あっちゃー、もうすぐ日付変わっちゃうじゃん。宿題どうしよ」

弟「明日早起きしてやったら? 今日は疲れてるでしょ」コポコポ

姉「そうだね。そうしようかな」

弟「はい、ココア。寝る前だからミルク多めだけど」

姉「うわーい、ありがとー。持つべき物は気が利く弟だねぇ」

弟「飲み物一杯で大袈裟」

姉「……ん、おいし。なんだか、やっと落ち着いた気がする」ホッ

弟「そりゃよかった。……っと」ブブ

姉「今、バイブなったよね?」

弟「ああ、そういえばマナーにしてたんだ。コートのポケットに入れっぱなしで全然――」カチ


着信:姉 23:45
着信:姉 23:38
着信:姉 23:35
着信:姉 23:34


弟「」ゾワ

ん?

姉の携帯は何処へ

はよ

おいおい、ねれなくなったぞ

こわ

橘さんと同じ匂いがする

襲われる直前に助け求めようとしてたんだろ

ゴ、ゴクリ

姉の携帯置いてきたんだろ

おい

おい

風邪引くだろふざけんな

なにこれ

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