シアン「やぁ、ここは名もない村だよ」【オリss】 (16)

シアン「僕の名前はシアン。この世界に飛ばされてきた異世界人だよ」

リザー「シアン。ご飯作って」

シアン「え、リザーってメイドだよね」

リザー「放浪のメイドと言えばリザーのことだよ?」

シアン「ならご飯くらい作れないの?」

リザー「え、なんで作らなきゃいけないの?」

シアン「だって、メイド……」

リザー「は?」

シアン「メイド……」

リザー「は?」

シアン「今日何食べたい?」

リザー「サンドラゴンのカラアゲ!」

シアン「……はい、かしこまりました」



異世界ファンタジーssです。

実質3スレ目ですが、ここからでも楽しめると思います。

よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388548926

平野

シアン「………」

シアン(サンドラゴンは非常に警戒心が強い。けど、動き自体は鈍いから射程圏内まで引き付ければ……、最小限の魔法の矢で……)ブゥン


サンドラゴン「………」


シアン「いまだっ」ヒュッ

サンドラゴン「ぐぎゃぁ!」ドサッ

シアン「よしっ」





名もない村 シアンとリザーの部屋

シアン「ただいまー」

リザー「おかえりなさいませご主人様」

シアン「……何を企んでるのかな?」

リザー「いえいえ、リザーはメイドですから」ニコッ

シアン(そう、リザーは“自称”メイドだ。しかも、貴族が多い中央帝国において最優秀メイドに選ばれるほどの凄腕だったとか)

シアン「メイドなのは見た目だけだよね」

リザー「可愛いだろ?」

シアン「その口調がなければ」

シアン(優秀なメイドなのに口調は常にタメ口。……まぁ、僕のメイドって訳じゃないから文句は言えないけど……)

シアン「塩でいいの?」

リザー「マヨネーズ!」

シアン「……太るぞ?」

リザー「おいおい、このお腹見てもそんなこと言えるのか?」バッ

シアン「ちょっ/// す、スカートまくらないで!」

リザー「全く、一か月以上も一緒に暮らしててよく理性が持つな」ハハッ

シアン「魅力ないんじゃない?」

リザー「ぶっ飛ばしますよ? ご主人様♪」ニコッ

シアン「……さぁて、料理料理ー」

リザー「………」

シアン(僕が中央帝国の中央都市に建てた喫茶店を引き上げたのは、もう一か月も前のことだ)トントントン

リザー「なぁシアンー。暇ー」

シアン「暇なら手伝ってよ」

リザー「やだよ。めんどくさいじゃん」

シアン「………」

リザー「ねぇ、シアンってなんで喫茶店辞めたの?」

シアン「まぁ、色々あってね」

リザー「しかもこんな村に引っ越すなんて」

シアン「リザーだってついてきたじゃないか」

リザー「ほんとタイミング良くストーカーしてて良かった」

シアン「ストーカーにタイミングあるの!?」

リザー「まぁまぁ、それより本当に誰にも行き先伝えてないの?」

シアン「うん、これはある人との約束だからね」

リザー「ふぅん……」

シアン「できたよ」コト

リザー「相変わらず良い腕だな」

シアン「見ただけで分かるの?」

リザー「料理は得意だからね」

シアン「………」

リザー「得意なのと好きなのは違うよ」

シアン「弁明したっ!?」

リザー「いえーいぴーすぴーす」

シアン「固定イメージ付いちゃうからやめて!」

リザー「片づけくらいやるよ」

シアン「はいはい」

リザー「今日は午後からどうするの?」

シアン「うーん、特にやることないなぁ」

リザー「それじゃあ、平原にある巨大樹に行こう?」

シアン「デート?」

リザー「うん、デート」

シアン「手は?」

リザー「繋ぐ」

シアン「いいよ」

リザー「準備してくる」タタタッ

シアン(可愛いのか可愛くないのか……)ヤレヤレ


 この物語は元勇者物語の主人公がとある村で隠居する誰得ssです。

 安価もあるかもしれません。というかこの流れで行くと安価するしかないと思います。

 とりあえず、頑張りますのでよろしくお願いします。



 一旦離れます。

登場人物紹介

・シアン

 地球人。
 異世界へ召喚された少年(高校生くらい)。
 とある理由でけっこう大きな魔力を有している。
 戦闘はそんなに好きじゃない。
 この世界では珍しい黒髪黒目。
 どっちかというと可愛い系の顔?


・リザー

 この世界のメイド。
 現在は誰にも仕えていない放浪のメイド。
 誰にでもタメ口を聞く。
 実はけっこうすごいメイドらしいが何がすごいかシアンは知らない。


平原にそびえ立つ超巨大な木。

シアン「この木って不思議だよね」

リザー「なんで?」

シアン「だってさ、こんなに大きな木なのに誰も伐採しないし、かといって崇めてる訳でもない。まるで〝誰も気にしていない”ような感じなのに、僕たちはこの木を認識してる」

リザー「ふーん、難しいことはよくわかんないや」

シアン「うん、ただちょっと気になっただけだから」

リザー「木だけに?」

シアン(あー、この世界はダジャレが寒いっていう感性じゃないからなぁ……)

シアン「木だけに」

リザー「あはは、シアン面白いー」バシバシ

シアン「………」ヤレヤレ

リザー「でさ、あの村にも慣れてきたじゃない?」

シアン「そうだね。小さいけどみんな良い人たちだし」



リザー「本当にずっとここに住むの?」



シアン「………」

リザー「そりゃ、シアンが良ければ私もかまわないけど、本当にいいの?」


 良いか悪いか。

 リザーが言っているそれは、僕がここに住むかどうかの話ではないことは容易にわかる。

 〝知り合いを置き去りにして”本当に良いのか。

 僕は、日傘のように太陽を拒絶した空を見上げながら絞り出すようにつぶやいた。


シアン「それは僕が決める事じゃない」


 リザーはそれ以上この話題に触れることはなかった。

 草原を駆け巡る心地よい風が頬を撫でる。

 この世界にきて何度目の夏だろうか。


村長の家

村長「さぁ、今日はシアンが狩ってきてくれたサンドラゴンの料理だよ」

子供たち「「わーい!!」」

村長妻「シアンさん、いつもいつもありがとうございます」

シアン「いえ、お気遣いなく」


 村長の家は孤児院が併設しており、そこには十数人の孤児たちが住んでいた。


村長「いやいや、こんな小さな村でこの子達が養えるのは、シアンが来てくれたおかげです」ニコニコ

リザー「………」

村長妻「ほらほら、がっつかないの。あなた達は〝女神の子”なんだからもっと高貴に振る舞いなさい」

子供たち「「はーい」」


 女神の子。

 中央大陸では中央帝国、聖王国、南共和国の三大国が勢力争いをしているが、それ以外にも東諸国、北西の国レイムなど小国家がたくさん存在する。

 彼らは戦争孤児であり、自らの国境を知らないため、この大陸の女神の子である。

 村長は慈愛に満ちた表情で何度もそう語った。


シアン「この世界に戦争が無ければこの子達も……」

村長「シアン」


 村長は子供たちへの視線と同じものをシアンに向ける。そこには優しさと厳しさが伴っており、シアンは罰が悪そうに視線を逸らした。

 村長は少しばかり微笑んで、ゆっくりと言葉を紡ぐ。

村長「戦争は確かに多くの犠牲が出る。しかし、それを否定することは〝死んでいった者達”を無駄死にだと罵る行為に等しいことも分かって欲しい」

シアン「………」

村長妻「私たちの息子はね、何の取り柄も、知識も、喧嘩の仕方さえも知らない子だったの。でも、この村にも徴兵の達しが来たときは嬉しそうに〝僕も国の役に立つんだ”って勇んで出て行った」

リザー「心配ですね」

村長妻「いいえ、まったく心配しなかったわ」

シアン「……何故です?」

村長妻「なぜかと聞かれるとね、具体的な答えは出てこないわ。でも、あの子がそう言って笑った瞬間、〝ああ、私たちが生まれてきた意味はここにあったんだ”って気づいたの」

シアン「生まれてきた……意味…」

村長妻「結局、最初の戦争であの子は怪我をして、そのまま併発した病気で他界したけども、私たちはあの子の行いが間違っていたなんて微塵も思わないわ」

リザー「………」

村長「今は納得いかないかもしれない。けれど、いつか、シアンならそう遠くないうちに〝己が宿命”というものが存在することを知ると思うよ」ニコリ

シアン「………」


 村長の迷いない瞳に、シアンははいともいいえとも答えることができなかった。

 その日の夜、どうしても寝付けなかったシアンは自分たちで建てた家の屋根に登って紅と蒼に光る二つの月を眺めていた。


ジニー「こんなところにいたんだ」

シアン「ジニー……」

ジニー「心に刺さる言葉だったね」

シアン「うん……って、ジニーも?」

ジニー「たぶん、私の方が……辛いかも」

シアン(こんな辛そうな顔してるジニー初めて見た……)

ジニー「私がなんでメイドとして奉公しないか分かる?」

シアン「いや……趣味かと」

ジニー「馬鹿なの?」

シアン「バカです……」シュン

ジニー「……私が最後に仕えた主はな、



 私をかばって死んだんだ」



ごめんなさい。ウチ切ります。

HTML化申請してきます。

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