ちなつ「ASN……!」(157)

私と櫻子ちゃんが部室を訪れると

ちなつちゃんが床に倒れ伏していた


京子「え、ちなつちゃんどうしたの?」

ちなつ「きょ、京子……先輩……」

櫻子「顔色真っ青だよ?ちなつちゃん、悪い物でも食べたの?」

ちなつ「えー……えす……えぬ……」ガクッ

京子「ち、ちなつちゃん?ちなつちゃん?」ユサユサ

櫻子「と、歳納先輩、ちなつちゃんは……?」

京子「うん……気絶しちゃったみたい」

櫻子「いったいどうしたんでしょうか……」

京子「これは……事件の香りがするね」

櫻子「ちなつちゃん、気絶する前に何か言ってましたよね、確か……えーてぃーえむ?」

京子「ASNだよ」

櫻子「えーえすえぬ……それを食べたせいで、ちなつちゃんは気絶しちゃったってことでしょうか」

櫻子「わたし、そんな食べ物食べた事ないですけど」

京子「いやあ、食べ物とは限らないでしょ~、何かの略語だとは思うけど」

櫻子「略語……A(あなたが)S(すきです)N(なめさせて)とかですかね」

京子「変態的な愛の告白された!?」

櫻子「A(明日の)S(食事は)N(納豆だ)……とか」

京子「んー、そんな感じで単語を組み合わせれば、ちなつちゃんが気絶した原因も判るかも」

京子(けど、単語なんて山ほどあるし、今のままでは原因に辿りつくのは難しいなあ……)

京子「……よし、櫻子ちゃん!」

櫻子「はい?」

京子「今から探偵ごっこをします!」

櫻子「……!」

私の名前はホームズ歳納

灰色の脳細胞を持つ、七森中学切っての名探偵だ

隣に居るのは、ワトソン櫻子

行動力に秀でた私の助手である


今日は私達二人の力で

ちなつちゃん気絶事件に挑むのだ!


プカプカ

櫻子「歳納先輩!パイプかっこいい!」

京子「ふふふ、駄菓子屋さんで買ってきたのだよ、シャボン玉が出るヤツ」プカプカ

櫻子私も何か欲しいなあ……」

京子「じゃあ、櫻子ちゃんにはこの付け髭をあげよう」

櫻子「やったぁ~♪」

京子「さて、準備は整ったし、事件のおさらいをしようか」

櫻子「はーい!」

京子「私たちが部室に入ったとき、ちなつちゃんが倒れていた……」

櫻子「ちなつちゃん以外は誰もいなかったですよね」

京子「うん、そしてちなつちゃんが残した謎の言葉……」

櫻子「ASN……これが、ちなつちゃんが気絶した原因を指しているのは、間違いないと思います」

京子「うむ!よくできました!」ナデナデ

櫻子「えへへ///」

京子「よし、現状を把握できたところで……部室の調査でもしよっか、何かヒントになるものが見つかるかも?」

櫻子「具体的に何を何を調べればいいんです?」

京子「んー……頭にAかSかNの付く物かなぁ?」

櫻子「なまこ、とかですか」

京子「うん、まあ、そんな感じ」

『ヒントワード:(N)なまこ を入手しました』

ゴソゴソゴソ

櫻子「む、おかし発見……えーと、うすしおポテト……んー、これは違うかなあ」ポリポリ

京子「あ、櫻子ちゃんひとりで食べてずっるーい!」プー

櫻子「歳納先輩も食べます?はい、あーん」

京子「あーん♪」

パリペリポリ

櫻子「ふー、何か口の中が油っぽいなあ……何か飲み物は、と……あれ」

櫻子「歳納先輩、机の上に」

京子「ほう、気づいたかね櫻子君」

京子(机の上には飲みかけのお茶が2つ……ちなつちゃんの他に誰かいた可能性が高いよね)

『ヒントワード:(N)飲みかけのお茶 を入手しました』

櫻子「歳納せんばーい、ちなつちゃん、手に何か持ってますよ?」

京子「え、それは見落としてたなあ……なんだろコレ、布?」

櫻子「んー、これは……」パッ

京子「うわ、パンツだ……ちなつちゃん、誰かのパンツを握りこんでた……」

櫻子「くらげさんパンツですね」

京子「……え」

京子(く、くらげさんパンツって、今日私が履いてたパンツじゃん……)

京子(もしかして、わたし、何時の間にかパンツ捕られてたの!?)


ゴソゴソ


京子「は、ちゃんと履いてるや」

櫻子「と、歳納先輩、自分のスカートまくり上げて何やってるんですかっ///」

京子「んー、私のじゃないとしたら、誰のパンツなんだろ……」

京子(このパンツは何か怪しい気がするけど……頭文字がAでもSでもNでもないんだよねえ……)

櫻子「ちなつちゃんはちゃんと下着つけてますし、誰のなんでしょうね」

京子「そっか、ちなつちゃんは下着つけて……って」

京子「スカートの中拝見したの!?」

櫻子「はい、何かヒントが隠されてるかもしれないですし」

京子(流石にそれは遠慮してたのに、恐ろしい子っ!)

京子「って、櫻子ちゃん今なんて?」

櫻子「え、何かヒントが隠されてるかもって」

京子「いや、その前」

櫻子「ちなつちゃんはちゃんと下着をつけてましたよ、と」

京子「そっか、物の呼び方は一つじゃない、つまりこのパンツも……」

『ヒントワード:(S)下着 を入手しました』

京子「改めてちなつちゃんの様子を見てみたけど、外傷はないんだよね」

櫻子「転んで気絶って訳じゃないんですね」

京子「ちなつちゃん、いーってしてみて~」グイー

ちなつ「……」グニー

クンクン

京子「ちなつちゃんのお口、食べ物の匂いはしないから悪い物を食べたって訳でもないみたい」

櫻子「んー、何か怖い物を見たショックで~とか?」

京子「ちなつちゃんの朝の様子はどうだったの?」

櫻子「教室では普段どおりでしたよ?」

櫻子「寧ろ、あかりちゃんや向日葵のほうがおかしかったくらいで」

京子「ひまっちゃんと……あかりが?」

櫻子「はい、何か二人とも落ち着かないみたいでした」

櫻子「理由聞いて見ても誤魔化されましたけどっ!」

京子(二人が何か知ってる可能性はあるかな)

京子「というか、あかりは頭文字がAだよね、見逃してたけど」

櫻子「うお、そうですね!」

櫻子「あ、杉浦先輩もAとS両方当てはまりますよ」

京子「櫻子ちゃんもSになるね、人名を含めると幅が広がるなあ」

『ヒントワード:(A)あかり (A)あやの (S)杉浦 (S)櫻子 を入手しました』

櫻子「集めた単語をまとめると」

(A)
あかり/あやの

(S)
杉浦/櫻子/下着

(N)
なまこ/飲みかけのお茶

櫻子「こうなりますね」

京子「うん、これを組み合わせて何か文章にできるかなぁ?」

櫻子「……あっ!」

京子「え?」

櫻子「ふふふ、歳納先輩、私、判っちゃいました!」

京子「ま、まじで!?探偵役の私を差し置いて!?」

櫻子「ふはは、世代交代の時期が来たようですね、歳納先輩っ!」

京子「くっ……そこまで言うなら答えを聞こうか、櫻子君!」

櫻子「簡単です!ASNの意味は……こうですよっ!」

(A)あかりちゃんの

(S)下着に

(N)なまこぶち込んだら蹴り返された

櫻子「どうです、歳納先輩」ドヤッ

京子「……ちなつちゃん、ド変態じゃないか……」

櫻子「ちなつちゃんも、犠牲者なんですよ……この乱れた性社会の……」

櫻子「そう考えると、悲しい事件でしたね……」


END

京子「いや、終わらせないで櫻子ちゃん!」

櫻子「え、けどこれで解決ですよね?」

京子「いやいやいや……ちなつちゃんには外傷は無かったんだし、蹴られた可能性はないって」

櫻子「じゃあ、なまこを口にぶち込まれ返されたとか」

京子「ちなつちゃんのお口はいい匂いしかしなかったよ」

櫻子「むぅ……」

京子「んー、やっぱり今のままでは単語が足りないかなあ……」

京子「よし、様子がおかしかったっていうひまっちゃんとあかりに聞き込みに行こうか」

櫻子「聞き込みっ……!パンと牛乳持ってこっそり二人を監視するんですねっ!?」

京子「それは、は・り・こ・み♪」ツンッ

櫻子「あうんっ///」

[1年教室]

櫻子「おーい、ひっまわりー!」ドーンッ

向日葵「うっ……」ヨロ

向日葵「櫻子、何の用事ですの……あら、歳納先輩まで」ハァ

櫻子「ね?歳納先輩、向日葵おかしいでしょ?全然反撃してこないし」

京子「ひまっちゃん、体調悪いの?」

向日葵「……わたくしは大丈夫です、それより、何か御用でしたか?」

京子「ごっほんっ、実はとある事件を調査していまして……ひまっちゃんが何か情報を握ってるんじゃないかと思い」

京子「馳せ参じたわけですな」プカプカ

櫻子「あ、パイプだ……私もお髭つけないと……」ゴソゴソ

向日葵「な、なんのお祭りですの?」

京子「今朝、ちなつちゃんと何かお喋りしましたかな?」プカプカ

向日葵「吉川さんと……?」

向日葵「そりゃあ、少しはお話をしましたが……」

櫻子「あれ、お髭がない……あ、そっか、さっきポテチ食べた時に邪魔だから置いてきたんだ」

向日葵「ぽ、ぽてち……」


グゥ~


京子「ん?」

櫻子「あれ?」

向日葵「……っ!」

櫻子「向日葵、ひょっとしてお腹すいてるの?」

向日葵「す、空いてませんわよっ///」プイッ

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「もしかして、向日葵また」

向日葵「な、な、なんですのっ!」キッ

櫻子「ふとった?」

向日葵「がっ……」ビクッ

京子「太った?ひまっちゃんが?全然そんな様子には見えないけど」

櫻子「いや、向日葵の場合はむかつくことに胸が太るんですよ」ボソボソ

京子「なにい、けしからんっ」ボソボソ

櫻子「けど、向日葵本人はそれが判んなくて、体重が増えたーって事でダイエットを決行する事が時々あるんです」ボソボソ

京子「ああ、それでお腹の虫が鳴いた訳だ」ボソボソ

京子「様子がおかしかったっていうのも、それが原因かな」ボソボソ

向日葵「な、何をひそひそ話してるんです?私は太ってませんわよっ!」

京子「うん、ひまっちゃんはナイスバディーだと思うよ?」

向日葵「え、あ、それほどでも……」

櫻子「けど、体重は増えたんだよね?」

向日葵「そうやって茶化すから櫻子には知られたくなかったんですわっ」

向日葵「吉川さんは、ちゃんとわたくしの相談を聞いてくれましたのにっ」

京子「え、ちなつちゃんに相談したの?それは今朝?」

向日葵「は、はい、スレンダーな身体を持っている吉川さんなら何か良いダイエット方法をご存知かなと」

向日葵「残念ながら、ご存じではないようでしたけど、色々と励ましていただきましたわ」

京子「ダイエット方法を相談……相談、か」

『ヒントワード:(S)相談 を入手しました』

櫻子「向日葵は何やら不発だったっポイですねえ」

京子「いや、ちなつちゃんがASNという言葉を残すに至った経緯は不明だし」

京子「関係ないように見える事でも、実は真相に繋がってるって可能性はあると思う」

櫻子「おおー、何か探偵っぽいっ!」

京子「ふふふ……さあ、次はあかりの調査に向かうよ、櫻子君っ!」プカプカ

櫻子「了解であります!」

京子「あかり、居ないなあ……」ウロウロ

櫻子「普段は娯楽部にいるんでしたよね?どこ行っちゃったんだろ」ウロウロ

京子「よし、電話してみよっと」ピッ


カチャッ


あかり『きょ、京子ちゃん?どうしたの?』

京子「あー、あかり?実はちょっと聞きたいことがあってさ」

あかり『ご、ごめん、あかり、いま、いまちょっと、ちょっと、あのね、えっとね』

京子「あかり?」

あかり『……』ゴソゴソ

京子「おーい、あっかりー」

あかり『……だから……だよぉ……』ゴソゴソ

京子(なーにやってんだろ、あかり)

あかり『ご、ごめんね、京子ちゃん、それで何の御用かな?』

京子「えっとね、今どこにいるの?」

あかり『い、いま、あの、部室に……』

京子「え、部室に?じゃあ入れ違いになったのかなあ……そこに、ちなつちゃん倒れてない?」

あかり『……え?』

京子「さっき、ちなつちゃんが倒れてたのを見つけてさあ」

あかり『……ちなつちゃんが、気絶してたの?』

京子「うん、今はとりあえず、毛布を被せて寝かせてあるけど……」

あかり『そ、そっか……』

京子「あかり?部室にいないの?何処にいるの?」

あかり『……今から、部室に行くよ、ちなつちゃんが目を覚ますまで、そばに居てあげないと……』

あかり『もう切るね、京子ちゃん、教えてくれてありがとうっ』

京子「切れちゃった……」

櫻子「あかりちゃん、なんて言ってました?」

京子「んー、ちなつちゃんが目を覚ますまで傍に居るって」

櫻子「おー、流石あかりちゃん、優しいなあ……」

京子(んー、あれは優しいっていうか……何か申し訳なさそうな口調だったなあ)

京子(ASNのAは、やっぱり「あかり」の可能性が高いのかな)

櫻子「それで次はどうします?部室に戻ります?」

京子「その前に綾乃の所へ寄って行きたいかなあ」

櫻子「杉浦先輩の?」

京子「うん、綾乃は苗字と名前の頭文字がSとAだからね」

京子「一応、確認だけでもしたほうがいいかなって」

櫻子「なるほどーじゃ、生徒会室に行きましょうか、お茶も出せると思いますし」

京子「プリンもね♪」

[生徒会室]

京子「あっやのー!」ドーン

綾乃「え、と、歳納京子!?」

櫻子「ただいまでーす!」

綾乃「大室さんまで!?」

櫻子「えへへ、お茶飲み戻ってきました~」

綾乃「そ、それはいいけど、どうして歳納京子と二人で……」

櫻子「ああ、生徒会の校内巡回に付き合ってもらってるんです」

綾乃「歳納京子が、生徒会のお手伝いを?」

京子「のんのん、違うよ綾乃、生徒会じゃなくて櫻子ちゃんのお手伝いなの」

綾乃「え?」

櫻子「私と歳納先輩は、もう友達以上の関係ですもんね~?」

京子「ね~?」

綾乃「ねー……って、え?え?大室さんと歳納京子って、そ、そういう、関係、なの?」

京子「言ってみれば夫婦みたいな関係だよね」

綾乃「……ふう、ふ」

櫻子「私も向日葵に聞いたことあります」

綾乃「……」

京子「お、ひまっちゃんもやっぱり探偵物の物語とか好きなのかなあ」

綾乃「……」

櫻子「探偵と助手って良く夫婦みたいな掛け合いをしてて……」

京子「そうそう、友達以上の関係っていう感じの……」

綾乃「……た」

京子「あやのー、プリン貰っていいー?」

櫻子「お茶入れますね、三人分でいいですよね?」

綾乃「……られた」

京子「綾乃?」

櫻子「杉浦先輩?」

綾乃「大室さんに歳納京子を寝取られたわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」ドーン

京子「……うわあ、綾乃、台風みたいな勢いで飛び出して行っちゃった」

櫻子「杉浦先輩も探偵と助手やりたかったのかな?」

京子「それに何か変なこと叫んでたよね」

櫻子「どういう意味でしょ?」

京子「ネットで検索してみよっか、ネ・ト・ラ・レ、と」ピッ

京子「えーと、好きな子が他の子とえっちな事していやーん?」

京子(綾乃は櫻子ちゃんの事が好きだったのかな、意外だなあ)

京子(けど綾乃にとって探偵ごっこはえっちな事なのか)

櫻子(杉浦先輩は歳納先輩の事が好きだったのかぁ、予想通りだなあ)

櫻子(やっぱり、二人っきりで遊んでたら変な誤解されるのかな、けど歳納先輩と遊ぶの楽しいし)

京子「……」

櫻子「……」

京子「櫻子ちゃんもプリン食べる?はんぶんこしようか?」ニコ

櫻子「わあい、いただきまーす!」ニコー


『ヒントワード:(S)好き (N)寝取られ を入手しました』

京子「さーて、休憩も終わったし、部室にもどろっか?」

櫻子「杉浦先輩からはお話聞かなくていいんですか?」

京子「んー、電話しても出てくれないし、仕方ないよ」

櫻子「そ、そですね」

京子「……」

櫻子「……」

京子(あれ、なにか意識しちゃうな、櫻子ちゃんの事)

京子(綾乃は櫻子ちゃんの事を好きみたいだけど、櫻子ちゃんはどうなのかな)

京子(私と櫻子ちゃんは、いたずら仲間で、最近よく遊んでるけど)

京子(そういう話は全然はしないし、判んないや……)

京子(そんな話しなくても、一緒に遊びまわって、楽しかったし)

京子(今日だって、私の遊びに付き合ってくれてるし)

京子「……」

櫻子(なんだろ、歳納先輩の事、意識しちゃうな)

櫻子(杉浦先輩はやっぱり歳納先輩の事好きみたいだけど、歳納先輩はどうなんだろう)

櫻子(うーん……やっぱり、好き、なのかな)

櫻子(まあ、二人とも、頭がいいしね、ある意味、お似合いのカップルかな)

櫻子(私も、助手として祝福してあげないと……いけないよね……)

櫻子「……」

京子「……櫻子ちゃん」

櫻子「え、あ、はい……」

京子「……えっと」

櫻子「……な、なんでしょ?」

京子「あ、あのね……」

結衣「きょうこ?」

京子「……!」ビクーッ

櫻子「……!」ビクッ

京子「ゆ、ゆい!?」

結衣「どーしたの、こんなところで」

京子「い、いや、別に」

結衣「そっかー、別にかぁ……えへへ」

京子「な、なに、結衣、テンション変じゃない?」

結衣「そう?別に普段通りだけど……♪」

京子(明らかに変じゃん)

京子「あ、けど、丁度良かったよ、結衣」

結衣「なになになーに?今は機嫌がいいから大概の事は聞いてあげるよ?」

京子「あ、うん……放課後、ちなつちゃんと会った?」

結衣「……」

京子「結衣?」

結衣「しまった、忘れてた……」

京子「え、なにを?」

結衣「……」

京子「結衣?どうしたの?」

結衣「……京子、ごめん、私ちょっと用事を思い出したから」

京子「え?」

結衣「じゃ、じゃあね!」タタタタッ

京子「ちょ、結衣!?」

京子「あー、行っちゃった……」

京子(結衣の様子、おかしかったなあ)

京子(ひょっとして、結衣もちなつちゃんの件に絡んでるのかな)

京子(けど、結衣は名前も苗字もASNじゃないし……)

櫻子「船見先輩、凄く急いでましたね、何だったんでしょ」

京子「……櫻子ちゃん、それだ」

櫻子「え?」

京子「あははは、やっぱり櫻子ちゃんを助手に選んだのは間違いじゃなかったよ!」ナデナデ

櫻子「ひゃわ!?」

京子「そう、相手を呼ぶときの呼び方は人それぞれなんだ!」

京子「私は結衣の事を結衣って呼ぶ」

京子「綾乃は船見さんって呼び方をする」

櫻子「は、はあ、私の場合は、船見先輩って呼びますね」

京子「うん、そしてちなつちゃんが結衣を呼ぶ時は、結衣先輩……」

京子「または、ただ『先輩』っと呼ぶんだ……!」

『ヒントワード:(S)先輩 を入手しました』

京子「これで、多分必要な単語は出そろった……!」

京子「あとはこれを上手く組み合わせれは、真相にたどり着くはずっ!」


(A)
あかり/あやの

(S)
杉浦/櫻子/下着/相談/好き/先輩

(N)
なまこ/飲みかけのお茶/寝取られ

[娯楽部]

京子「あかりー!結衣を寝取ったってほんとー!?」ドーンッ

あかり「ぶふー」

櫻子「あかりちゃん、正解?正解?」

あかり「ごほっごほっ……きょ、京子ちゃん、突然何をっ///」

京子「ふふふ、実はちなつちゃんが気絶する前にASNって言葉を言い残したのだよ」プカプカ

京子「いろいろ調べた結果、それの意味が」プカプカ


(A)あかりちゃんに (S)先輩を (N)寝取られた


京子「じゃないかと推理した訳ですよ、んっふっふっ」プカプカ

櫻子「あ、付け髭こんな所にあった」ヒョイッ

あかり「……そっか、流石京子ちゃんだね、たったそれだけの事から、全部判っちゃったんだ……」

あかり「うん、あかりね、結衣ちゃんの事が、ずっと好きだったの」

あかり「だからね、今日、部室で結衣ちゃんとお茶を飲んでた時、思い切って告白したの」

あかり「好きですって」

あかり「そうしたら、結衣ちゃんもあかりの思いを受け入れてくれて」

あかり「それで、あのね、何だか二人で気分が盛り上がっちゃったから、あの」

あかり「パンツを脱いで、えっちな事をしようとしたの」

京子「……え」

あかり「そうしたらね、運悪く、ちなつちゃんが部室に来ちゃって」

櫻子「お、おう」

あかり「ちなつちゃん、あかりのパンツを握りしめて、どういう事よーって怒ったの」

あかり「あかりも結衣ちゃんも、ちなつちゃんの剣幕が凄かったから、そのまま逃げちゃったの」

京子「え、ノーパンで?」

あかり「うん」

あかり「それでね、二人で体育倉庫まで逃げ込んだんだけど」

あかり「そこでじっと隠れてるうちに、その、二人で気分が盛り上がっちゃって」

櫻子「え、また?」

あかり「うん、それで、あの、そのままえっちな事をしようと思ってたら、京子ちゃんから電話がかかってきて」

京子「あー……確かにかけたね、あの時、あかりたちは」

あかり「うん、まっぱだったよ」

櫻子「わ、わお」

あかり「それでね、ちなつちゃんが倒れてるって聞いて、急いで服を着て部室に戻ったの」

あかり「結衣ちゃんには、知らせなかった……だって、あかりが悪いんだもん」

あかり「……あかりが、ちゃんとちなつちゃんに説明しなかったから」

あかり「そのショックで倒れちゃったんだと思うし……」

結衣「その先は、私が説明するよ」ガラッ

京子「ゆ、ゆい」

結衣「あかりに告白された私は、ちょっと浮かれてたんだと思う」

結衣「だって、あかりの事は小さい頃からずっと好きだったしね」

結衣「だからあかりが用事を思い出したって言って体育倉庫から出て行った後も、ちょっと浮かれちゃってて……」

結衣「校舎の周りをスキップしながら回ってた」

京子「そ、そっか」

結衣「けど、京子からちなつちゃんの事を聞いて、浮かれは吹き飛んだんだ」

結衣「ちなつちゃんは、あかりの一番の友達だ」

結衣「その友達が、あんなに怒ってたのなら、あかりは当然、それを宥めに行くだろうって」

結衣「だから、私は部室に急いだ、あかりだけを、ちなつちゃんの猛火に曝すわけにはいかないからね」

京子「その割には、部室来るの遅かったよね?」

結衣「あー……うん、途中で綾乃につかまってた」

京子「綾乃に?」

結衣「何か、物凄い勢いで泣いてたし、振り切れなかったんだよ……」

結衣「それで思い出したけど、京子、大室さんと付き合ってるんだって?」

結衣「おめでとう!」

京子「……え?」

櫻子「え……?」

京子「え、え、いや、私と櫻子ちゃんが!?」

櫻子「私と歳納先輩が!?」

結衣「うん、綾乃が泣きながらそう言ってたよ?」

京子「あ、あはははは、それは違って、ね、ねえ?櫻子ちゃん?」

櫻子「そ、そうですよ!歳納先輩とは、その……いたずら仲間で……」

京子「櫻子ちゃんは妹みたいに可愛いけど、付き合ってる訳じゃ……」モジモジ

櫻子「歳納先輩は優しいお姉ちゃんみたいで好きですけど、付き合ってる訳じゃ……」モジモジ

京子「確かに時々抱きしめたくなる時はあるよ、櫻子ちゃん、凄く純粋な目で私を見てくれるし……」モジモジ

櫻子「歳納先輩が時々なでなでしてくれた時は、凄く嬉しくて抱きつきたくはなるんですけど……」モジモジ

字数制限に引っかかりまくり

あかり「京子ちゃん」

京子「な、なに?」

あかり「あかりや結衣ちゃんの事をあれだけ推理できた京子ちゃんなんだから」

あかり「今、何をするべきか、判るはずだよ?」

京子「そ、それは、だって……私……」

あかり「頑張ろ、メイタインーさん」ニコ

京子「……!」

京子(そ、そうだ、私は、灰色の脳細胞を持つ、七森中学切っての名探偵……)

京子(今までの状況、そして私自身の思いを辿って、推理するんだ……)

京子「……」

京子「……あっ」

櫻子「え?」

京子「……ふふふ、櫻子ちゃん、私判っちゃったよ」

櫻子「え、判ったって、あの、何がです?」

京子「WSS……」

櫻子「わい、えす、えす?」

京子「そう、WSS……!」

(W)私は!

(S)櫻子ちゃんが!

(S)好きだ!

櫻子「歳納先輩が、私を……」

京子「すき」

櫻子「……」

京子「……」

櫻子「え、え、ええっ!?」

京子「い、い、言っちゃった、暗号風に告白しちゃったっ!」オロオロ

櫻子「え、え、そ、そんな、ええー!」オロオロ

京子「い、いやかな、私に告白されたらいやかなっ……!」オロオロ

櫻子「い、い、いやじゃないですけど、ですけどっ///」

京子「嫌じゃない……の?」

櫻子「い、いやじゃ、ない……です///」

京子「そ、それはどういう意味で?友達、的な意味で……なのかな」ドキドキ

櫻子「そ、それは……それは……///」

櫻子「ASN、という意味で、ですっ……!」

京子「え……」

京子「A(あかりに)S(先輩を)N(寝取られた)……?」

櫻子「ち、違います……私の、ASNはっ……」

A(あなたが)

S(すきです)

N(なめさせて)

京子「そ、それが、櫻子ちゃんの、ASNっ……!」

櫻子「は、はい……///」

京子「……あ、あの、舐めたい、の……?」

櫻子「う、うう……」コクッ

京子「ど、どこを?」

櫻子「く、くちびる、とか……その……///」モジモジ

京子「///」カーッ

京子「わ、私だって、WSSだもんっ……WSSなんだもんっ……!」

櫻子「私も負けてませんっ!ASNなんですっ!ASNなんですっ……!」

京子「さ、櫻子ちゃんっ///」

櫻子「歳納先輩っ///」


ギューーーッ

ちなつ「う、ううん……私、どうしたんだろ……」ムクッ

ちなつ「あ、そうだ、結衣先輩とあかりちゃんがえっちな事してるの見て、気絶しちゃったんだ……」

ちなつ「……」ハァー

ちなつ(まあ、気づいてたけどね、あかりちゃんが結衣先輩を見るときの視線、凄く優しかったし)

ちなつ(結衣先輩があかりちゃんを見るときの視線もそうだったし……)

ちなつ(ついカッとして怒っちゃったけど……ちゃんと祝福してあげないと……)

ちなつ(大切な先輩と、一番の友達なんだし……)


『WSS!WSS!』

『ASN!ASN!』


ちなつ「……え、なに、これ」

[翌日]

向日葵「それで、櫻子と歳納先輩がなんでしたっけ?」

ちなつ「だからね、WSSとかASNとか言いながら、二人がちゅっちゅしてたの」

向日葵「……ちゅっちゅ」

ちなつ「ぺろぺろとも言うかも」

向日葵「……すみません、意味が分かりませんわ」

向日葵「状況を整理しますと、昨日、船見先輩と赤座さんがカップルになったのを目撃された訳ですわよね?」

ちなつ「うん、ちょっとトラブルはあったんだけど……最後には、ちゃんと仲直りできたんだ」

向日葵「それは良かったですわ……それで」

ちなつ「その場にいた京子先輩と櫻子ちゃんがWSS・ASNって言い合いながらちゅっちゅっちゅ」

向日葵「……」

私の名前はポワロ向日葵

天才的な観察眼と推理力を持つ、七森中学切っての名探偵だ

隣に居るのは、レモンちなつ

奸計に秀でた私の秘書である


今日は私達二人の力で

謎のちゅっちゅっちゅ事件に挑むのだ!

ちなつ「って、私、昨日失恋したばかりなんだけど……」

向日葵「こうやって馬鹿なことをしていれば、傷の痛みも忘れられるでしょう?」

ちなつ「向日葵ちゃん……?」

向日葵「よ、吉川さんには、何時も色々と相談に乗ってもらってましたし……」

向日葵「たまには、その……恩返しがしたいかなと」

向日葵「ダメ……でしょうか?」

ちなつ「そうだね、たまには、向日葵ちゃんと馬鹿なことやるのも、いいかも」ニコ

向日葵「……!」

向日葵(吉川さん、相変わらず可愛いですわね)

向日葵(この可愛い笑顔を絶やさないようにしてあげたいですわ……)

ちなつ「向日葵ちゃん?まず何処から調査していく?」

向日葵「あ、は、はいっ……!まずは、うーん、何処から調べましょうか……」ワタワタ

ちなつ「もー、しっかりしてよ?名探偵さん?」

こうして、二人の一日は始まります

彼女達は無事、謎を解く事ができるでしょうか

そして彼女達の心の中に芽生えた微かな想いが叶う時は来るのでしょうか


その答えは……


「……謎は、全て解けましたわ」


名探偵だけが知っています


>>126

あかり「頑張ろ、メイタインーさん」ニコ



あかり「頑張ろ、メイタンテーさん」ニコ


その他色々と誤字はあると思いますが勘弁して下さいな

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom