京子「無人島漂流記!」(252)

京子「結衣、この宝くじ、当たってる……」

結衣「へえ、幾ら?」

京子「ごせんまんえん……」

結衣「……は?」

京子「よし、みんなで旅行行こう!世界旅行!豪華客船で!」

結衣「お、落ち着け」

ちなつ「ほんとですか!?」

あかり「あかり、お船で旅行するのはじめて!」

まり「うにー!」

京子「よーし、まりちゃんも行こう!ご家族ごとご招待だ!生徒会の皆も招集!」

綾乃「な、なんですってー!?」

結衣「いや、だから落ち着けって!」

京子「海だー!」

まり「うにー!」


京子「豪華客船だー!」

まり「うにー!」


京子「出港だー!」

まり「うにー!」


京子「嵐だー!」

まり「うにー!」


京子「難破だー!」

まり「うにー!」


京子「遭難だー!」

まり「うにー!」





京子「無人島だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

まり「うにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」




1:『探検』

~南国の無人島~

~海岸~


京子「ゆいー、お腹空いたー」クイクイ

結衣「……」ポカーン

京子「駄目だ、ショックのあまり、呆けちゃってる」

まり「おねえちゃん、大丈夫?」

京子「うん、しばらくすれば元に戻ると思うよ」

京子「よし、今のうちに落書きしちゃえ……」カキカキ

まり「まりも!まりも!」


キャッキャウフフ


京子「よし、暇だし避難ボートに備え付けられてる備蓄でも調べよっか」

まり「びちく?」

京子「ご飯とかお水とか!」

まり「……」グゥ~

京子「まりちゃんも、お腹空いた?」

まり「うん!」

京子「よし、じゃあ、ご飯にしよう!」

まり「うに、あるかなー?」トテトテ

京子「いやー、流石にうには無いよ~、あ、けど浅瀬に行けば採れるかも」

まり「うに!」タッ

京子「こーら、だめ、走っちゃ」ガッ

まり「うにあるのに?」

京子「うん、うに採るのは、ちょっとあとにしよ?」

京子「まず、結衣にご飯持って行ってあげないといけないしね」

まり「おねえちゃん、ご飯食べたら、元気になるかな」

京子「元気にならなかったら、くすぐっちゃおうか?」

まり「うん!」

京子(うーん、殆どの備蓄は流されちゃってるな……)

京子(保存食が幾つかと、水入りのペットボトルが少し……)

京子(まあ、食料や水は何とか探せるとして、救急箱が無いのが、キツいかも)

京子(まあ、ボートも殆ど水没しかけてて、ギリギリこの島に辿りついたって感じだったからなあ)

京子(仕方ないか……)

京子「あ、小型無線機だ、それにライターも……これ使えるかな……」

まり「きょうこおねーちゃん、ご飯、見つかった?」

京子「ばっちりだよ!」ニコ

京子「ゆいー、ご飯食べよ~」トテトテ

まり「ゆいおねーちゃーん!」トテテ

結衣「……はっ」

京子「お、正気に戻った?」

結衣「きょ、京子……こ、ここは?」

京子「ここは、無人島です!」

京子「私達三人、遭難しちゃったのです!」

結衣「……へー、そうなんだ……」

京子「あれ、わりと余裕あるね、駄洒落言うなんて」

結衣「よ、余裕って……そんなの、あるわけ……」

結衣「あるわけないだろ!」

京子「結衣っ」ガシッ

結衣「な、なに」ビクッ

京子「……」フルフル

結衣「え?」

まり「……ゆ、ゆいおねえちゃん、怒ってるの?」ビクビク

結衣「あ……」

結衣(そ、そっか、私達が、怖がったり焦ったりしてたら……)

結衣(まりちゃんにまで、それが伝わっちゃう……)

結衣(私達以上に脆いまりちゃんの心を守るには、表面上だけでも平静を保たないと……)

結衣(そう言う事、だよね、京子……)

結衣「い、いや、怒ってないよ、まいちゃん」ニコ

まり「う、うん」ホッ

京子「ほら、ゆい~、ご飯と水だぞ!」ポーイ

結衣「あ、ありがと、どうしたのコレ」

京子「ボートに残ってた保存食とペットボトル、ま、これを食べてちょっと休憩しようよ」

結衣「うん……」

京子「あ、中にスプーンと容器が入ってるね、これは捨てずに取って置こうっと」

まり「んー、袋、開けられない……」

結衣「……まりちゃん、貸してみて?」

まり「うん」

結衣「よっと……」パリッ

まり「うわあ、おねえちゃん、ありがとう!」ニコ

結衣「うん、どういたしまして」ニコ

京子「よーし、それじゃあ」


一同「「「いただきまーす!」」」

結衣「……うーん、あんまり美味しくないねこれ」モクモク

京子「え、わりと美味しいよ?」モクモク

結衣「マジか」

まり「……」モクモク

結衣「まりちゃん、美味しい?」

まり「うん!」モクモク

結衣「子供向けの味付けなのかな」モクモク

京子「ゆい~、私は子供じゃないよ~?」

結衣「子供みたいなもんだろ」

京子「ムキー!」ブンブン

結衣「あ、暴れるな」

まり「お姉ちゃん達、楽しそう」クスクス

京子「ゆいー、これ食べ終わったら、ちょっと探検に行こうよ!」

結衣「探検?いや、けど食料があるなら別に危険を冒さなくても……」

京子「うーん、あるにはあるんだけど、さ」

結衣(……量には不安があるって言うことか……)

京子「それに、お風呂は無理にしても、水浴びくらいはしたいじゃない?」

結衣(食料と水源の確保、それに衛生環境の改善が当面の課題って事かな……)

結衣「そうだな、寝れそうな場所も探さないといけないし……」

結衣「よし、じゃ、ちょっと探検してみようか」

まり「探検、たのしみー!」

京子「じゃ、海岸線の探検に、れっつごー!」

結衣「森の中は、入らなくていいの?」

京子「うん、川とかは絶対に海岸線へ繋がってるはずだしね」

京子「河口を見つけて、遡った方が簡単だと思う」

結衣「なるほど……京子は、そういう事には頭が回るよな」

京子「えへへへへ///」

まり「浅瀬で、うに採れる?」

結衣「うん、うにが居るかどうかも、探そうか」

まり「うん!」

京子「よし、まりちゃん、手繋いで行こう!」

まり「うん!」ギューッ

京子「おーてーてー、つーないで~♪」

まり「うーにーにーにーうーにーにー♪」

京子「歌詞全然違う!?」

結衣「ぷっ」クスクス

結衣(まりちゃん、楽しそうで良かった……)

結衣(……京子が居てくれて、本当に助かったな……)

結衣(私だけだったら、多分、まりちゃんの心を傷つけてたと思う……)

結衣「……」

結衣(あかりやちなつちゃん、綾乃達やまりちゃんの両親は、大丈夫なのかな……)

結衣(何とか、無事でいてくれるといいけど……)

まり「お鍋だー!」

結衣「え?」

京子「あの船に積まれてた物かな?」

結衣「あ、ああ、そうだね」

まり「……」スポッ

まり「えへへ」ニコ

京子「おー、まりちゃんの頭にジャストフィット!かっこいい!」

まり「やたー!」ピョーン

結衣「こっちにはビニールシートが落ちてる……割と、流れ着いてるもんなんだなあ」

結衣(これを上手く使えば、テントみたいなのを作れないかな……)

京子「ゆいー、河口見つけたよ~」

結衣「あ、ああ、判った~」タッタッタッ

まり「うに、居なかったね」

結衣「まあ、時間はたっぷりあるし、ゆっくり探せばいいよ」ニコ

まり「うに!」

京子「よし、じゃあ、河口を遡ろっか!」

京子「結衣、まりちゃん、ちょっとゲームしながら行かない?」

結衣「ゲーム?」

京子「そ、名付けて、足跡探しゲーム!」

まり「あしあと?」

京子「ほら、ここ見て~」

結衣「……それ、足跡か?何か、小さい穴が幾つも開いてるだけに見えるけど……」

京子「うん、小動物、多分、リスかネズミの足跡だと思う」

京子「この足跡より、おっきい足跡を見つけた人が勝ちね!」

まり「うん!まり、頑張って探す~!」

結衣「……」

結衣(そっか、川沿いだと野生生物が定期的に水を飲みに来てる可能性がある)

結衣(もしかしたら、大型の生物とかも……)ゾクッ

結衣(確かに、その辺も、警戒しておかないとな……)

京子「おっと、まりちゃん、この辺は足場が悪いから危ないよ、手、繋ごう?」

まり「うんー!」ギューッ

まり「あしあと、見つけたー!」

京子「どれどれー?あー、これはさっきの方がおっきいかなあ?」

まり「んー、そっかなあ……」ショボン

京子「じゃあ、おんなじくらい!」

まり「うん!」ニコ

結衣「京子、あれ、滝じゃない?」

京子「ん?おー!」



ザァァァァァァァァァァァァァァ


京子「滝つぼだー!」

まり「す、すげー!」キラキラ

結衣「綺麗な水……ここなら水浴びとかもできそうだな」

京子「いっちばーん!」

結衣「……え?」


ザブーンッ


まり「まりもー!」ピョーン


ザッブーンッ


結衣「お、おーい、せめて服くらいは脱ごうよ」

京子「え!?服を脱げだなんて……ゆ、ゆいのえっち!」

まり「えっちー!おねえちゃんえっちー!」ケラケラケラ

結衣「え、えっちじゃないっ///」

京子「うおー!ゆいが怒った!まりちゃん逃げろー!」ジャバジャバ

まり「うにー!」ジャバジャバ

結衣「はぁ……しようがないなあ、二人とも……まりちゃん、足がつかない所までは行っちゃだめだよ?」

まり「はーい!」

キャッキャウフフ


結衣「……私も入ろうかな」

結衣「服、どうしよう……」


バシャーンッ


結衣「つ、つめたっ!」

京子「うへへへ、結衣にゃん、油断しましたな」ニヤニヤ

結衣「……」


ザッブーンッ

バッシューンッ


京子「ぶはっ波がっ」

結衣「あははは、京子、ぶはって」クスクス

まり「きょうこおねえちゃん、ぶはっ、ぶはっ!」ケラケラ


結衣「ふー、さっぱりしたね、塩水のせいで身体がベタベタしてたし」

まり「うん!」

京子「だねえ」グデーン

結衣「けど、服、どうしよう、気温は高いけど、流石に濡れた服のままだと、風邪引いちゃうかも」

京子「ふっふっふっ、ちゃんと代用品は見つけてありますて」

結衣「代用品?ボートの中とかに服とか入ってたの?」

京子「いや、あれを使おう!」ビシッ

結衣「あれ……?」

結衣「……え?」

結衣「葉っぱ?」

京子「はい、まりちゃんのは、こんな感じかな?」

京子「蔦とおっきい葉っぱでワンピースみたいなの作ってみたんだけど」

まり「かっこいい!妖精さんみたい!」キラキラ

京子「ありがと」ニコ

結衣「相変わらず器用だな、京子は……というか」

結衣「な、何で私のはビキニみたいな感じになってるの///」

京子「その方が、動きやすいでしょ?」ニヤニヤ

結衣「お、お前、わざとやってるだろ///」

結衣(というか、水着とかよりもスースーする///)

京子「そして私のは……こうだ!」バサッ

結衣「うわあ……、なにか葉っぱで作ったキグルミみたいになってる……」

まり「かいじゅうみたい」

京子「うごきにくい!」バサバサ

結衣「まあ、そうだろうな……そのままだと、生活に不便だろ」

結衣「よし、まりちゃん、一緒にむしっちゃおう」バリバリバリー

まり「うにー!」バリバリバリー

京子「あんっ、や、やめてっ、ご無体なっ!」

京子「うう、酷い、結局ビキニみたいにされた……」ヨヨヨヨ

まり「おねーちゃん、にあってるー!」ニパ

京子「ほ、ほんと?」

結衣「……」ポー

京子「結衣にゃんは?どう思う?似合う?」

結衣「あ、う、うん、似合って、るよ///」

京子「何で結衣が照れてんの」

結衣「う、うるさいっ///」

結衣(葉っぱがヒラヒラしてて、京子の大切な所が見えそうなんだよっ///)

京子「よし、空のペットボトルにも水を補充できたし……そろそろ海岸に戻る?」

結衣「そ、そうだな、あまり遅くなると、暗くなって戻れなくなりそうだし」

まり「んー……」ゴシゴシ

結衣「まりちゃん?」

まり「ねむたい……」

結衣「……そっか」

まり「んに」

結衣(こんな小さい身体で、頑張ったもんな、まりちゃん)

結衣「よし、まりちゃん、私がおんぶしてあげる」

まり「いいのー?」

結衣「大丈夫、お姉ちゃんは京子を肩車した事だってあるんだから」ニコリ

まり「かたぐるま……すげえ」キラキラ

結衣「ふふふ、けど今日はおんぶね」

結衣「流石に足場が不安定で肩車は危ないから」

まり「うん!」

まり「おねーちゃん、ヒンヤリしてて気持ちいい……」ピト

結衣「そっか……」

京子「結衣は体温低めだからねえ」

まり「……おねえちゃんたち」

まり「……だいす……き」

まり「……」

結衣「まりちゃん、寝ちゃった?」

まり「……」zzz

結衣「……おやすみ、まりちゃん」

結衣「……京子」

京子「ん?」

結衣「ありがとうな」

京子「え、なにさ、いきなり」

結衣「まりちゃんの為に、色々と、考えてくれてたんだよね?」

結衣「京子が居てくれて、助かった」

京子「……うん」

京子「私、遭難して、正直、凄く怖かった」

結衣「……私も」

京子「泣きそうになったけど……」

京子「けどさ、まりちゃんが居てくれたおかげで、何とか平静を保とうって気になったんだよね」

結衣「……うん」

京子「多分だけど、私と結衣の二人っきりだったら……凄く、喧嘩とかしてたと思う」

結衣「……そうかも」

京子「だから、一番の功労者は、まりちゃん」ナデナデ

まり「うにぃ……」zzz

結衣「ふふふ、そうだな」ニコリ

結衣「ありがとう、まりちゃん……」

~海岸~

結衣「京子、そっち引っ張って~」

京子「ほーい!」


バサバサー


結衣「よし、上手くシートが樹に引っかかった……」

結衣「あとは蔦でシートを固定すれば……テント完成」ヒョイヒョイ

京子「結衣、器用に木に登るなあ……」

結衣「これで雨風は防げると思うよ、樹が倒れてこない限り」スタッ

京子「ありがと、結衣」ニコリ

京子「そういえば、ボートで無線機見つけたんだった!」

結衣「え、使えるの?」

京子「ずぶ濡れだったから、取りあえず電池外して乾かしておいたんだけど……」ゴソゴソ

京子「うん、乾いてる」

結衣「た、試してみようっ」

京子「んー……電源はこれかな」ポチッ


ザーーーー


京子「お、動いた」

結衣「やったな!けど何も聞こえない……?」

京子「周波数を合わせないとね、えーと、これかな……」クルクル


ザーーーー


京子「駄目だ……」

京子「電波が届いてないのか、それとも故障してるのか……操作の仕方が悪いって可能性も」

結衣「そ、そっか……」ガクッ

京子「……確か、映画とかでは、高い所に行けば電波が届くってパターンが多いんだよね」

結衣「高い所って?樹の上とか?」

京子「いやぁ……」

京子「あの、山の上、とかかなぁ?」

結衣「……あんな所まで、行くのか……」

京子「まあ、しばらくは海岸で過ごしてみようよ、救助隊が来てくれたら、それに越したことは無いんだし」

結衣「……そ、そうだな」

結衣(けど、もし来なければ……あの山の上まで登ることも考えないと)

京子「まだ夕方だけど……今日はもう寝ようか?まりちゃんも、疲れてるみたいだし」

結衣「うん、京子も、疲れてるだろ?」

京子「正直、へとへとです……」

結衣「そっか……」

結衣(京子、色々考えてくれて、頑張ってたもんな……)

結衣(……頑張った京子に、何かしてあげたい……)

まり「……」zzz

京子「よーし、まりちゃんは、真ん中ねっ」

まり「んむにゃ……」ゴロン

京子「よいしょっと」コロン

結衣「……」

京子「結衣、寝ないの?」

結衣「うん、あのさ、京子……」

京子「ん?」

結衣「……膝枕、してあげよっか?」

京子「え、な、なんで?」

結衣「京子、今日は頑張ってたから、何かしてあげたいなって……」

京子「……」

結衣「……いや、忘れて、変な事言ってごめんっ///」

京子「結衣……」

京子「……んじゃ、してもらおっかな、私が寝るまでだけでいいからね?」

結衣「そ、そう?」

結衣「じゃ……はい、膝に頭乗せて?」

京子「ん……ありがと」ポフ

結衣(何だか、懐かしいな、京子を膝枕してあげるのなんて、子供のころ以来だし……)

結衣(髪が太腿にあたって、ちょっとくすぐったいけど)

京子「結衣のお膝は、柔らかいなあ……」スリスリ

結衣「頬擦りするな///」

京子「えへへ、だって、結衣、やさしいんだもん……」

京子「……ゆい」

結衣「ん?」

京子「あしたも、がんばろう、ね……」

結衣「うん……一緒に頑張ろう……」

京子「おやすみ……」

結衣「……おやすみ」

京子「……」zzz

まり「……」zzz

結衣(京子……よっぽど疲れてたんだな……)

結衣(あっさり、寝ちゃった……)

京子「ん、ゆい……」zzz

結衣「……京子?」

京子「いかないで……」zzz

結衣「……!」

結衣「大丈夫、私は、ここにいるよ……」

結衣「ほら、手を握っていてあげるから……ね?」ギュ

京子「……んぅ」zzz

結衣(京子……)

結衣(大丈夫だよ、京子も、まりちゃんも、私が守ってあげるから……)

2:『不安』

~翌日早朝~

~テント内~


結衣「……ふご」

結衣「あ、あれ、私……」

結衣「そっか、京子を膝枕したまま、そのまま横になって寝ちゃってたんだ……」

結衣「さ、流石に身体が痛い……」

まり「……うーん」

結衣「まりちゃん、起きた?」

まり「……」ハァハァ

結衣「……まりちゃん?」

結衣(まりちゃんの様子がおかしい、何だろう、息が荒いけど……)

結衣「まりちゃん……?」ピト

結衣「……!」

結衣(身体がすごく熱くなってる!)

結衣(か、風邪?それとも、何か別の、伝染病とか……)

京子「ん、むにゃ……ゆい、おはよぉ」ゴシゴシ

結衣「きょ、京子!」

京子「え、どったの、結衣」

結衣「ま、まりちゃんが、まりちゃんが!」

まり「……」ハァハァ

京子「……」サワサワ

結衣「ど、どうしよう、京子、変な病気だったら、どうしよう……」

京子「発疹とかは出てないし、多分、風邪だと思うんだけど……」

京子「ごめん、流石に、ちょっとわかんない……」

結衣「そ、そんな……ど、どうしたら」オロオロ

結衣「私が、私が昨日の夜、もっとまりちゅんに気を使ってあげてれば……」

結衣「そ、そうすれば、もっと早く……」ウルッ

京子「結衣!」ガシッ

結衣「……!」ビクッ

京子「今は、悩まなくていいから、落ち着いて、私の言う事を、聞いて」

結衣「京子……」

京子「私たちにできることは、そう多くないけど、それを全部、まりちゃんにしてあげよう?」

結衣「う、うん……」

京子「取り合えず、昨日乾かしておいた服を全部まりちゃんに着せてあげて」

京子「あとは、余った服でタオルを作ってまりちゃんの汗を拭いたげよう」

京子「お願い、出来る?」

結衣「わかった!」タッ

結衣(京子が冷静で助かった……)

結衣(そ、そうだよ、悩んでてもまりちゃんが良くなる訳じゃない)

結衣(京子の言うとおり、やれる事をやってしまおう!)

結衣「京子!まりちゃんに服着せてきた!」

京子「うん、私も、枯れ木集めてきた」バサバサ

結衣「枯れ木?」

京子「……焚き火をすれば、体温下がるのは防げるでしょ」

京子「水は昨日、ペットボトルに入れてきた分があるから、濡れタオルで頭を冷やしてあげて……」

京子「あとは……栄養補給かな」

結衣「食べ物か……保存食くらいしか無いけど、今のまりちゃんは食べれないよ」

京子「保存食を水に溶かして飲ませてあげねしかないね」

京子「まりちゃんが被ってたお鍋があるから、それでお湯を沸かして保存食を溶かしてスープにしよう」

結衣「判った!」

結衣「他には、他には出来ること無いのかな!?」

京子「……あとは、励ましてあげることくらいかな」

結衣「そ、そっか……」

京子「結衣は、まりちゃんについててあげて」

結衣「京子は?」

京子「私は、ちょっと水を補充してくるよ、流石に使いすぎたしね」

結衣「……1人で大丈夫?」

京子「もう、結衣、心配する相手が違うよ?」

京子「今は、まりちゃん最優先!」

結衣「……判った、けど、気をつけろよ?」

京子「うん、ありがと」

まり「……ん」ハァハァ

結衣「まりちゃん?」

まり「おねーちゃん、おはよ……」ハァハァ

結衣「ん、おはよ……」ナデナデ

まり「何か、からだがあったかい……」ハァハァ

結衣「まりちゃん、風邪引いちゃったみたいだからね……」

まり「かぜ……」ゴホンッ

結衣「大丈夫?お水、飲む?」

まり「……うん」

結衣「はい、ゆっくり飲んでね……」

まり「……」コクコク

まり「きょーこ、おねえちゃんは……?」ハァハァ

結衣「京子は、お水汲みに行ってくれてるよ」

まり「そう……」ハァハァ

まり「……ごめんね、お姉ちゃん」ハァハァ

結衣「ん?」

まり「風邪引いちゃって……ごめんね……」ハァハァ

結衣「気にしなくていいよ、まりちゃん」ナデナデ

結衣「ほら、もう寝よう?きっと明日には、良くなってるからさ」

まり「……うん」ハァハァ

まり「……」

まり「……」zzz

結衣「まりちゃん……」ナデナデ

結衣「京子、遅いな、大丈夫なのかな……」

まり「……」zzz

結衣(もしかしたら、何かあったのかも……)

結衣(まりちゃんも、ちょっと安定したみたいだし……)

結衣(よし、少しだけ、様子見てこよう)

まり「……」zzz

結衣「まりちゃん、すぐ、戻ってくるからね」ナデナデ

結衣「おーい、京子、何処にいるの~!?」

京子「……結衣」

結衣「京子!何かあったの?遅いから心配したよ!?」

京子「う、うん……ちょっと、解熱用の薬草とか無いかなって、探してたんだ」

結衣「薬草って……京子、そんなの判るの?」

京子「同人誌のネタになるかなと思って、七森に生えてる薬草とか調べたことがあるんだ」

結衣「そ、そっか……それで、見つかった?」

京子「うん、あそこに……」

結衣「……崖の上か」

京子「うん……」

京子「斜面が急すぎて登れないし、何とか木の棒とかで採ろうとしたんだけど……ちょっと届かなくてさ」

結衣「……」

京子「仕方、無いよ……ほら、戻って、まりちゃんの看病続けよ?」

結衣「……」

京子「結衣?」

結衣「……あれくらいの崖なら、登れるんじゃないかな」

京子「は?」

結衣「ほら、足場になりそうな石とかあるしさ、京子には無理でも、私なら……」

京子「……ちょ、ちょっと待って」

結衣「大丈夫だよ、私、運動神経いいし、それに、お前にばっかり格好付けさせる訳には行かないからさ」ニコ

京子「待ってよ」

結衣「パッと行ってすぐ戻ってくるから、京子は」

京子「……」クイッ

結衣「ちょ、京子、葉っぱの服引っ張らないで、バラけちゃうでしょ///」

京子「……」

結衣「京子?」

京子「だめ、だよ」

結衣「え?」

京子「確かに足場になりそうな石はあるけど、結衣が体重かけた時に崩れるかもしれない」

京子「バランスが崩れて、落ちるかもしれない」

結衣「……確かにその可能性はあるけど、今は非常時なんだから、多少の危険は仕方ないよ」

京子「……やだ」

結衣「やだって……」

京子「ゆ、ゆい、あんな高さから落ちたら、どうするつもり?怪我したら?」

京子「わ、わたしたち、救急箱とか持って無いんだよ、怪我したら」

京子「怪我したら、ちゃんとした消毒も出来ずに、ばい菌が入って、そのうち熱が出て来て、結衣死んじゃうかも……」

結衣「そ、そんなの、考えすぎだろ?」

京子「考えすぎじゃない!」

結衣「……!」ビクッ

京子「私、やだ、やだよ、結衣が危ない事するの、やだ」ウルッ

結衣「京子……」

京子「しんじゃ、やだよ、みんなみたいに、いなくなっちゃ、やだよぉ」ヒック

結衣「……!」

京子「みんな、みんな、わたしが旅行に誘ったせいで、死んじゃったかもしれなくて」グスン

京子「まりちゃんが風邪引いたのだって、わたしが、暖を取る準備もせずに水浴び始めたからだし」ヒックヒック

京子「そ、そのうえ、結衣まで、結衣まで……」グスングスン

結衣「きょ、京子、それは違うよ、京子のせいじゃない、皆だって、きっと無事に決ってるよ……」ナデナデ

京子「けど、けどぉ」ヒック

結衣(京子、そんなこと考えてたのか……)

結衣(気づいてあげられなくて、ごめん……ずっと、一人で悩んでたんだね……)

結衣「京子、泣かないで……」ギュッ

京子「ううぅ、うえぇぇ」グスン

結衣(こうやって、泣いてる京子を抱っこして慰めてあげるのも、久しぶりだな……)

結衣「判った、判ったから、もう危ない事するとか言わないから、ね?」ナデナデ

京子「ひっく、ほ、ほんと?」

結衣「ごめんね、わたし、まりちゃんが熱出して、ちょっと焦ってた」

結衣「そうだよね、私が無茶して、怪我したら、まりちゃんが治っても喜んでくれないよね……」

京子「うん……」グスン

結衣「けど、あそこに薬草あるのに採れないのは口惜しいね」

京子「ゆい……?」ウルッ

結衣「大丈夫、もう登ろうなんて考えて無いから」ナデナデ

京子「うん……」

結衣「けど、他に方法が無いか考えるのは構わないでしょ?危険が無い範囲で」

京子「そ、そうだけど……」

結衣「木の棒では、無理だったんだよね……じゃあ、石か何かを投げて土台になってる土ごと落とせないかな?」

京子「おっきい石なら出来そうだけど、流石にそれをあそこまで投げるのは無理だよ……」

結衣「んー……」

結衣(石が無理なら、槍……木の枝で作った槍を投げるのはどうだろ)

結衣(槍投げなら、陸上部へ助っ人に行った時にコーチから教えて貰ったことあるし……)

結衣(懐かしいな、中学陸上では槍投げの大会とか無いからいらないって断ったのにコーチが無理やり……)

結衣(いや、まてよ、その時、一緒に……)

結衣「京子、テント作るのに使った蔦が余ってたよね?」

京子「うん……あるけど」

結衣「ちょっと持ってきてくれないかな」

京子「わ、わかった」

京子「もってきたよ……まりちゃんの様子も見てきたけど、今のところは大丈夫そう」

結衣「よし……じゃあ、蔦をコレに結んで……」

京子「石?」

結衣「これくらいの大きさの石なら、薬草がある所の土を崩せそうでしょ?」

京子「けど、そんな石、どうやって飛ばすの?」

結衣「よし、完成、と、これだけ結んでおけば石がすっぽ抜けることも無いと思う」

京子「……あ」

結衣「うん、ハンマー投げの要領で投げれば、この石をあそこまで放てると思う」

結衣「前に、陸上部のコーチから投げ方習ったことあるし」

京子「け、けど、そんな上手くいくかな……」

結衣「やってみないと、判んないよ」

京子「そうだけど……」

結衣「京子はまりちゃんの看病しててくれる?一人っきりにさせるのは可哀そうだしさ」

結衣「それに、ここに居られると、もし石がすっぽ抜けた時に危ないし」

京子「う、うん」

結衣「もう、そんな心配そうな顔しないで、京子……」

結衣「ほら、涙の跡が残ってるから、可愛い顔が台無しだ」フキフキ

京子「う、うう、自分で拭けるよ」ゴシゴシ

結衣「うん、偉いね、京子」ナデナデ

京子「こ、子供扱いしないでっ///」

結衣(よし、京子、ちょっとは元気が出てきたかな……)

京子「じゃ、じゃあ、まりちゃんの看病に戻るけど、結衣」

京子「本当に無茶とかしない、よね?」

結衣「うん、勝手に崖登ったりはしないよ、安心して?」

京子「……ん、信じる、がんばって、結衣」

結衣「さて、始めるか……」

結衣「……」クルックルックルッ

結衣「よっ!」


ヒューッ

ドカッ


結衣「あー、全然駄目だ……」

結衣「まあ、最初から成功するとは思って無いけどね……」

結衣「失敗しても、いいんだ、何度でも繰り返すから」

結衣「とにかく、一度だけ、一度だけ成功すれば、それで目的は果たせる」

結衣「なかなか成功しない……」

結衣「何かやりにくいんだよなあ……」

結衣「陸上部で練習した時とは、全然状況が違うからかな」

結衣「地形も、投げる物も……」

結衣「……駄目だ、そんな事が気にならないくらい、集中しないと」

結衣(集中しろ、船見結衣、ここは、そう、無人島なんかじゃない)

結衣(ここは陸上部のグラウンド)

結衣(今は、砲丸投げのラインを利用してハンマー投げの練習をしてる所)

結衣(観客席では、京子とまりちゃんが応援しててくれる……)

結衣(2人に、格好良いところ、見せないとね……)

結衣「ふー……」


クルックルックルッ

ヒューッ

ドカッ


ポロッ


結衣「……!」

~翌朝~

まり「んー……」ムクリ

まり「ふぁぁぁぁっ」ノビーッ

まり「んにっ、よくねた……」ゴシゴシ

まり「おねえちゃんたち、おはよー」

結衣「……」zzz

京子「……」zzz

まり「ふたりとも、おねぼう?」

まり「ゆいおねえちゃん、泥だらけ」

まり「つかれてるみたいだし、寝かせといてあげよっと」

まり「……」グゥー

まり「おなかすいた……」

まり「あ、お鍋だー」

まり「何か、葉っぱがいっぱいはいってる」

まり「食べられるのかな……」

まり「……」グゥー

まり「食べちゃおっ」

まり「……」モクモク

まり「にがい……」

まり「お、おねえちゃーん!ごはんー!」ユサユサ

結衣「ん、んぅ……あ、まりちゃん、おはよう」ムクリ

まり「おねーちゃん、ごはんー」

結衣「……あれ?ま、まりちゃん?」

結衣「……」

結衣「まりちゃん、大丈夫なの!?」

まり「んに?」

京子「ふご、むにゃむにゃ、ま、まりちゃん?」ゴシゴシ

京子「げ、元気になったの!?」

まり「うん、まり、元気だよ?」

京子「そ、そっか……良かった、良かったぁ……」ウルッ

結衣「うん、良かった、本当に……」グスン

まり「おねーちゃんたち、泣いてるの?」オロオロ

京子「い、いや、これは欠伸だよ、ほら、起きたばかりだからさ、あはははっ」ゴシゴシ

結衣「そ、そだよ、まりちゃん、ちょっと待っててね、今ご飯にするから……」ゴシゴシ

まり「うん!」

まり「きょうこおねーちゃーん」

京子「ん?どうしたの、まりちゃん」

まり「お鍋の中に入ってた葉っぱは、なーに?」

京子「あれは……結衣がまりちゃんの為に採ってきてくれた、薬草だよ」

まり「にがかったー」

京子「そっか」クスクス

まり「けど、ゆいおねえちゃんが採って来てくれたのなら、全部たべるー」

京子「……うん、まりちゃんは、いい子だね」ナデナデ

まり「えへへ」ニパ

結衣「はい、まりちゃん、スープ出来たよ~」

まり「ありがとう!おねーちゃん!」

結衣「ごめんね、ちょっと苦いの入ってるけど、我慢してたべれる?」

まり「うん!」

京子「じゃ、朝御飯、皆でたべようね?」

まり「うん!!」



一同「「「いたーだきまーす!」」」

3:『笑顔』

~数日後~

~滝つぼ付近~


京子「いやー、大量大量!」モッサリ

まり「たいりょー!」

結衣「京子、木の実は兎も角、その草とか花とか本当に食べられるの?」

京子「うん、全部食べられる野草だよ?」

結衣「まあ京子がそう言うのなら信じるけどさ……」

京子「流石に、保存食スープだけだと食卓が寂しかったからね~」

京子「今日からはゴージャスな食事が出来ます!」

まり「たのしみー!」

結衣「あ、京子、ちょっと待ってて、ついでにペットボトルに水汲んでくるから」

京子「私も持とうか?」

結衣「いや、いいよ、京子は収穫物落とさないようにちゃんと持ってて」

京子「ほーい」

まり「んーにー」トテテ

京子「まりちゃん?あんまり離れちゃ駄目だよ?」

まり「うんー!」

まり「~♪」

まり「あ、何かキノコ生えてる」

まり「……」


『今日からはゴージャスな食事が出来ます!』


まり「ごーじゃす、いい!」キラキラ

まり「……」ヒョイヒョイヒョイ

京子「まりちゃーん、そろそろ出発するよ~?」

まり「うんー!」

~テント前~


京子「とう、ちゃーく!」

京子「はー、重かった……」ドサー

まり「重かったー……」ドサー

京子「まりちゃん、荷物持ち手伝ってくれて、ありがとね」ニコ

まり「うん!」ニパ

京子「あーもー、まりちゃんは、本当に天使のように可愛いっ」ナデナデ

まり「えへへへ」ニコニコ

結衣「お鍋で沸かしたお湯に保存食を溶かして、中に木の実と野草を入れて……」

結衣「花は、デザートにしたほうがいいかな……」

まり「いいにおいー」

結衣「うん、確かに京子が言うように、昨日までのご飯よりゴージャスになりそうだ」

結衣「まりちゃん、楽しみにしててね」ニコ

まり「うん!」

まり「たのしみー、たのしみー♪」

まり「……あ」

まり「さっきのキノコ、忘れてた……」ガサゴソ

まり「……これ、おいしいかな?」

まり「……」グゥー

まり「食べてみよっと」パクッ

まり「……」モグモグ

まり「……」ポワーン

まり「えへへ///」

まり「おいしい///」

まり「……そーだ、おねえちゃんたちにも、食べさせてあげよっと///」

まり「///」トテテテ

結衣「~♪」

京子「結衣~、ちょっと手伝って~?」

結衣「今、お鍋混ぜてるところだから、手離せないよ」

京子「すぐ済むからさ、お願いっ」

結衣「もう、しょうがないなあ、京子は」スタスタ



まり「えへへ///」


ポイッポイッポイッ


まり「かくしあじ、おねえちゃんたち、よろこんでくれるかなぁ///」

結衣「よし、お鍋も煮えた事だし、そろそろご飯にしよっか?」

京子「やったー!ご飯だー!」

まり「えへへへ、嬉しいなっ///」

京子「お、まりちゃん、凄く元気だね」

まり「うん、凄く楽しいっ///」

結衣「まりちゃんがそんなに喜んでくれると、作った甲斐があるね」ニコ

まり「うん///」


一同「「「いただきまーす!」」」

結衣「……」モクモク

京子「……」モグモグ

まり「///」モクモク

結衣「うん、思った以上に美味しいね」

まり「うめー、うめー///」

京子「流石、結衣にゃんの手料理!結婚して!」

結衣「も、もう、京子、そんな冗談ばっかり///」

京子「え、えへへ///」

結衣「ま、まあ、冗談でも、そう言って貰えると、嬉しいんだけどね///」

まり「うめー、うめー///」

京子「べ、別に冗談じゃないんだけどね///」

結衣「ふえ///」

京子「わたし、あの、わりと本気で結衣と結婚したいって、思ってたり///」

結衣「きょ、きょうこ///」

京子「だって、子供の頃からの憧れだし、結衣は///」

結衣「あ、ありがとう、京子///」

京子「う、うん、ごめんね、いきなりこんな事、言っちゃって///」

結衣「あ、あやまる必要なんて無いよ、私も、私も、子供の頃から///」

結衣「京子のこと、凄く、好きだし///」

京子「え///」

まり「うめー、うめー///」

結衣「ど、どれくらい好きかっていうと、あの、一人でする時は何時も京子を想ってするくらい好き///」

京子「ゆ、ゆい!?///」

結衣「あ、あのさ、京子///」ツツツ

京子「ちょ、あの、ゆい、近いよっ///」

結衣「京子は、あの、私のこと、想って、したりするのかな///」

京子「ちょ、ちょって待って、何かおかしい///」

結衣「おかしくなんてないよ、京子、皆やってる事だしさ、恥ずかしくなんて///」

京子「い、いや、ちがっ、そうじゃなくて///」

まり「うめー、うめー///」

京子「と、いうか、これ、なに、キノコ?///」

結衣「京子はキノコが欲しいのか、ほら、食べさせてあげる///」

京子「違うって、結衣、これ、こんなキノコ、私、採った覚えないんだけど///」

結衣「もう、食いしん坊だなあ、京子は、ほら、あーんしてっ///」

京子「ゆい、駄目だって///」

結衣「京子が私の料理を食べてくれない、だったら……///」モグモグ

京子「あ、結衣、食べちゃ駄目っ///」

結衣「……」ガバッ

京子「ひゃっ///ゆいっ///」


チューッ


結衣「ぷはっ、ほら、こうして、食べさせてあげる///」

京子「もぐもく、おいしい///」

京子「って、ちがっ///」

結衣「ああ、もう、京子、好き、大好き、愛してる、可愛い京子大好きーっ///」ギューッ

京子「あふん///」

結衣「京子、身体、熱くなってるよ、私に抱きつかれて、興奮してるんだ///」ギューッ

京子「結衣、お願い、正気に戻って///」

結衣「京子、いい匂いがする、きようこぉ///」スリスリ

京子「も、もう、ほら、まりちゃんが見てるからっ///」

結衣「まりちゃん、もう寝てるじゃない///」

まり「……」zzz

結衣「ね?京子も、私のこと、好きなんだよね?///」

京子「う、うん、好きだけど、あの///」

結衣「じゃあ、私に抱きつかれて、嬉しい?///」

京子「嬉しいけど…も、もっと、ロマンチックに告白したかったよっ///」

結衣「私は、例えどんな状況ででも、京子に好きって言って貰えると、嬉しいよ///」

京子「ゆい…///」

結衣「私は、京子のことが、好き、何度でも、言えるよ、大好きだって///」

京子「わ、私も、結衣のこと、愛してる///」

結衣「きょ、京子……」スッ

京子「結衣……」


チュッ

結衣「……あ、あれ、わたし」

京子「あ、正気に戻った?」

結衣「……」

結衣「///」プシューッ

結衣「わ、わ、わ、わ、わたし、何てことを///」

京子「い、いやあ、結衣、積極的だったね」

結衣「ち、違うんだ、京子、わ、私は、違うのっ///」

京子「……ちがうの?」

結衣「……いや、違わ、ない、かな」

京子「うん、私も、違わないよ」

結衣「京子……」

京子「さっきは、ちょっと変になってたけど、私の本心であることには、変わりないから」

京子「こんな時にこんな場所で言うのは、卑怯かもしれないけど……」

京子「私は、結衣の事が大好き」

京子「結婚したいくらい、好き、愛してる」

結衣「///」

結衣「私も、京子の事が、好きだよ」

結衣「友達としてじゃなく、幼馴染としてじゃなく、その、恋人として、過ごしたいって、想ってた///」

結衣「あ、あの、京子?だめ、かな?私と、その、恋人として……」

京子「もう、結衣ったら」ギューッ

結衣「あっ」

京子「駄目じゃないよ、結衣、さっきも言ったじゃない、結婚したいくらいだって」

結衣「うん……」

結衣「ありがとう、京子……」ギュッ

京子「ゆい、大好き……」


チュッ

結衣「……」ポー

京子「結衣?」

結衣「あ、う、うん、なに///」

京子「さっきの告白の事なんだけどさ……」

結衣「う、うん」

京子「何時も一人でしてる時に私の事をネタにしてるってのも……本当なの?」

結衣「う、あ、あれは///」

京子「結衣って、ムッツリだよねえ、今までそんなそぶり見せなかった癖に」ニヤニヤ

結衣「ううううー///」

結衣「だって仕方ないだろ!好きなんだから!」

京子「……!」ビクーン

結衣「そういう京子は、私のことをネタにしてないの?」

京子「えっ///」

結衣「私は、さっき正直に言ったよ、ネタにしてるって」

京子「……結衣、女の子は秘密が多いほど綺麗になるって言うよ?」

結衣「京子はもう十分綺麗だ」

京子「うぐっ///」

結衣「さ、京子、応えてよ、私のこと、想像しながら、えっちな事とか、してたの?」ズイッ

京子「え、えっと///」

結衣「ちなみに、してないって言ったら、私、凄く傷つくから」ジーッ

京子「う、うう、し、して……」

結衣「して?」

京子「ました///」

結衣「ん、よろしい」

結衣「ちゃんと言えた、御褒美上げるね……」


チューッ

京子「う、ううー、結衣酷いっ///」

結衣「自業自得だよ、京子」クスクス

京子「もう、知らないよっ」プイッ

結衣「怒ってる京子も可愛いなあ」

京子「か、可愛くないっ///」

結衣「かーわいーっ」ギュッ

京子「あふん///」

結衣「ずっと、耳元で囁いてあげよっか、可愛いって」

京子「あうあう///」

結衣「囁きながら、可愛がってあげたいなあ……」

京子「ゆ、ゆい、えっちな事、いわないで///」

結衣「だって、しょうがないじゃない、京子がずーっと可愛い仕草してるんだし」

結衣「そんなの見せられたら、えっちな気持ちになっちゃうよ……」

京子「そ、そんな仕草なんて」ドキドキ

結衣「してるよ、京子、ずっと私を誘ってるでしょ」

結衣「自覚は無いのかもしれないけど」

京子「さ、誘ってなんか」


チュッ


京子「ひゃぅっ///耳にキスしないでっ///」

結衣「まあ、夜は長いんだし、ちょっとずつ、教えてあげる」

結衣「京子の何処が可愛いかを」

京子「ゆ、ゆい///」

結衣「京子、大好き……」

京子「う、うん、私も、好きだよ……」


チュッ

~翌朝~


まり「昨日のご飯、おいしかったねー!」

結衣「うん、美味しかったね、まりちゃん」ニコ

京子「まりちゃん、けど、もうキノコ入れちゃだめだよ?」

まり「ごめんなさい……」

京子「ん、ちゃんと謝れるまりちゃんはえらいっ!」ナデナデ

まり「えへへ」パァッ

結衣「朝御飯は、昨日のスープの残りでいいかな?キノコは全部取り除いたし」カチャン

京子「ん、ありがと、結衣」ニコ

結衣「……」

京子「どしたの?」

結衣「あ、いや、ありがとうのチューとかは、してくれないのかなって」

京子「なっ///」

結衣「……」ジーッ

京子「も、もう、結衣、判ったから///」

京子「ありがと、結衣///」


チュッ

まり「うわぁ、ふたりとも、ふーふみたい」

京子「うっ、ま、まりちゃん見てたのっ///」

まり「おねーちゃんたち、ふーふ!ふーふ!」キャッキャッ

結衣「うん、まりちゃん、私たち、結婚したんだ」

京子「結衣さん!?」

まり「けっこん、おめでとー!」キャッキャッ

結衣「まりちゃん、ありがとう」ナデナデ

京子「///」

結衣「ほら、京子も、いい加減立ち直って?」

京子「う、うん///」

結衣「じゃ、朝御飯、食べよ」

まり「うん!」


一同「「「いたーだきーます!」」」

4:『競争』

~数日後~

~海岸~


京子「結衣ー!ボートからワイヤー外せた!」

結衣「あ、外せたんだ、なら、アレが出来そうだね」

まり「あれ?」

京子「そう、とうとう始まるんだよ、まりちゃん」

京子「魚釣り大会が!」

まり「おおおー!」キラキラ

京子「ルールは簡単!日没までに一番多くの獲物をゲットした人が勝ち!」

結衣「はい、まりちゃん、釣竿」

まり「うにー!」

京子「ああん、無視しないでっ」

結衣「ちゃんと聞いてるよ、京子、優勝したら、何か貰えるの?」

京子「優勝した人は明日一日、お休みを貰えます!」

結衣「へえ、つまり、私が優勝したら京子が料理とか水汲みとかしてくれるって事?」

京子「頑張りますっ」

結衣「ん、その条件、乗った」

まり「まりもー!」

京子「よし、みんな、エサのうにゅうにゅは持ったね?」ミミズ

結衣「うん、持ったけど……京子、何処行くのさ?」

京子「ちょっと穴場探してくる!」

結衣「気をつけろよ?危ない場所とかに行っちゃ駄目だからな?」

京子「まっかせて!」

結衣「大丈夫かなあ……」

まり「おねーちゃん、うにゅうにゅ、どうやって針につけるの?」

結衣「あー、その辺は私に任せて?私はまりちゃんの近くで釣ってるから」

まり「うん!」

京子「さてと、この岩場の影とかが怪しいんだよな……」

京子「んー……」


パシャパシャ


京子「うお、驚くほど沢山いるっ……」

京子「よし、優勝は私で決定だっ」

京子「ひょいっと」シュッ


ポチャンッ


京子「~♪」


ピーンッ

京子「ふぃーっしゅっ!」クイッ


パシャーンッ


京子「つ、釣れた!正直、釘を曲げただけの針で釣れるか不安だったけど釣れた!」

京子「ほ、ほら、結衣!まりちゃん!釣れたよ!」


シーンッ


京子「あ、そっか、2人は側にいないんだった……」


バタンバタン


京子「おっと、お魚さんお魚さん……」

京子「岩で囲って作ったイケスに入れてあげるね」ポチャンッ

京子「よーし、どんどん釣るぞー!」

京子「早速、二匹目げっと!ほら、まりちゃん見てみて、さっきのよりおっきい!」


シーンッ


京子「三匹目、きたけど、引きが強くてあげられないっ!結衣、手伝って!」


シーンッ


京子「……なんだろ、空しい……」

結衣(京子、大丈夫かなあ、寂しがって無いといいけど……)

まり「おねーちゃん、釣らないの?」

結衣「うん、釣りはまりちゃんに任せるね、私はちょっと、コレを弄ってるよ」

まり「むせんき?」

結衣「うん……」

結衣(定期的に電波届くか試してるけど、成功しない……)

結衣(今日は成功してくれるといいんだけど……あんまり連続でやると電池がなくならないか心配だな)

結衣(とりあえず、10分だけ試してみよう)


ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァ


結衣「駄目か……いや、周波数を合わせれば……」クルクル


ザァァァァァソウサクタイガァァァァァァァァ


結衣「……!?」

結衣「今何か声が……」クルクル


≪ザザザッ……未発見者達の捜索を続行……ザザザッ……日本人少女……ザザザザザツ……≫

結衣「声だ、声が聞こえる……」

結衣「こ、こっちの声も届くのかな!?」

結衣「わ、私は、船見結衣!聞こえますか!」


≪ザザッ……ゆ、先輩……結衣ちゃ……ザザザザッ≫


結衣「え、この声、ちなつちゃんとあかり!?」


≪ザザザザッ……結衣先輩!聞こえ……ザザザザッ≫


結衣「ち、ちなつちゃん!私と京子とまりちゃんは、無事だから!他の子は、どうなった!?」


≪ザザザッ……結衣ちゃん、生徒会のみんなも保護され……ザザッ……まりちゃんの両親も無事……ザザザザッ≫


結衣「ぶ、無事なの!?みんな無事なの!?」

≪ザザザッ……京子ちゃ……まり……間に合わ……死んじゃ……ザザザザザッ≫


結衣「ちなつちゃん!?あかり!?」


≪ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ≫


結衣「だ、だめだ、電波、届かなくなった……」

結衣「け、けど、私たちが生きてるって事は、伝えられたよね」

結衣「なら、待ってれば、救助に来てくれるはず……」

結衣「よ、良かった……」ホッ

まり「おねーちゃーん!つれたー!」

結衣「あ、うん、今行くよ、まりちゃん!」

結衣(みんな、生きてるって判った)

結衣(京子、きっと喜ぶだろうな……)

結衣(表面上は明るくしてるけど、ずっと気にしてたみたいだし)

結衣(本当に、良かった……)

京子「ふー……何匹つれたかな、えっと、わん、つー、さん、しー……」

京子「10匹か」

京子「こ、これだけ釣れば楽勝だよね」

京子「楽勝だから、そろそろ結衣たちと合流してあげよっかなあ」

京子「きっと、向こうも寂しがってるはずだからね!」

京子「もう、結衣もまりちゃんも、私が居ないと駄目なんだから!」

京子「ゆ、ゆいぃ!まりちゃーん!」トテトテトテ

結衣「おー、まりちゃん、また釣ったのかぁ、凄いなあ」

まり「えへへへ」ニパ

京子「うわ……」

京子「ウニだらけやんけ!」

結衣「あ、京子、おかえり」

京子「え、このウニ、どうしたの?」

結衣「まりちゃんが釣った」

京子「……え?」

京子「ウニを?」

まり「おねーちゃーん、また釣れたよ~!」

結衣「まりちゃん、針をウニの針に絡めて上手く釣り上げるんだよ」

結衣「これなら、エサつけなくていいから、楽だよね」

結衣「もう30匹くらい釣ってるから、これはまりちゃんが優勝かな?」

京子「え、ええー、けど、ウニは魚じゃないじゃん」

結衣「京子、ルール説明のとき、なんて言ったか覚えてる?」


『日没までに一番多くの獲物をゲットした人が勝ち!』


結衣「魚限定とは、言って無い!」ズビシ

京子「し、しまった……」ガク

結衣「京子、そんなに休日欲しかったの?言ってくれれば、休ませてあげたのに……」

京子「ち、違うよっ!私は別にお休みなんか……」

結衣「え、じゃあ、なに?」

京子「い、言いたくない……」

結衣「言わないと、今日の晩御飯、京子だけ一品減らすけど」

京子「ひどいっ」

結衣「まったく……私は京子が何を望んでても受け入れるからさ、ほら、聞かせて?」

京子「う、うう、あのね、普段から結衣には料理とかで頑張ってもらってるから……」

京子「私がお休みゲットして、それを結衣にプレゼントしてあげよっかなって……」

結衣「きょ、京子……」

京子「///」

結衣「きょうこぉっ!」ガバッ

京子「ひゃぅっ///」

結衣「京子可愛い!そういう気使いしてくれる京子が本当に可愛い大好き!」ギューッ

京子「ゆ、ゆい、最近、愛情表現にクールさがなくなってるよっ///」

結衣「あ、それと、京子……」スリスリ

京子「な、なに///」

結衣「さっき、無線が通じた」

京子「……え」

結衣「みんな、無事だったよ、あかりも、ちなつちゃんも、綾乃達も、まりちゃんの両親も」

京子「ほ、ほんと……?」

結衣「うん、本当」

京子「そ、そっか……良かった……」ギュッ

京子「ゆい、よかった、よかったよぉ……」ウルッ

結衣「うん、良かったね……」ナデナデ

京子「わ、わたし、ずっと、不安で、不安で」ヒック

結衣「ん、時々、夜、うなされてたもんね……」ナデナデ

結衣「けど、もう、大丈夫だから、みんな、無事だから」

京子「う、うん……」グスン

結衣「きっと、もうすぐ、この島にも救助に来てくれるよ……」

京子「……」

結衣「京子……?」

京子「うん、そうだね、きっと、来てくれるよね」

結衣「うん……」

結衣「という訳で、優勝はまりちゃん!」

まり「うわーい!」バンザーイ

京子「おめでとう!まりちゃん!」

まり「えへへへ」ニパ

結衣「まりちゃん、明日はゆっくり休んでね?」

まり「んーん」フルフル

結衣「まりちゃん?」

まり「あのね、お休み、ゆいおねーちゃんと、きょうこおねーちゃんにあげる!」

結衣「……!」

京子「……!」

まり「おねえちゃんたち、いつも、いっぱい頑張ってるから、お休みあげたいな」ニコ

結衣「まりちゃん……」ギュッ

京子「まりちゃん……」ギュッ

まり「おねえちゃんたち、くすぐったいっ」

結衣「ありがとうね、まりちゃん、明日は、みんなでお休み、しよう?」

京子「そうだね……今日はいっぱい魚とウニが取れたし……明日くらい、何もしなくても困らないから」

まり「うに!」

京子「うん!今日の夜と明日は、ウニパーティーだ!」

まり「うにーーー!!!」


~夜~

結衣「ふー……沢山食べた……」ゴロン

京子「流石にもう食べられない……」ゴロン

まり「うに……」ムクリ

京子「ん?まりちゃん、何処行くの?」

まり「おとーいれー」

京子「そっか……もう暗いし、私もついて行ってあげるね」

まり「きょうこおねーちゃん、ありがとー」

結衣「2人で大丈夫?私も行こうか?」

京子「へいきへいき」

まり「すっきりした……」

京子「まりちゃん」

まり「んに?」

京子「もうすぐさ、救助隊の人たちが迎えに来るんだって」

まり「……?」

京子「私達、その時が来たら、もう帰らないといけない」

まり「……!」

まり「……ゆいおねえちゃん、怒るかな……」

京子「うん、怒るかもね……」

京子「けど、きっと結衣なら、許してくれるよ」

まり「……うん」

京子「まりちゃん、そんな不安そうな顔しないで」ナデナデ

まり「……」ウルッ

京子「大丈夫、私が一緒に、いてあげるから……」

まり「うん……」グスン

京子「ただいまっ」

結衣「おかえり……って、まりちゃん、どうしたの?」

まり「な、なんでもないよ」ゴシゴシ

結衣「泣いてた、の?」

京子「うん、まりちゃん、ちょっと寂しくなっちゃったみたいでさ」

結衣「そ、そっか……」

結衣「まりちゃん?」

まり「んに」

結衣「大丈夫、もうすぐ、寂しくなくなるからね、皆が迎えに来てくれるから……」

まり「……うん」

結衣「よし、まりちゃんはいい子だね……」ナデナデ

まり「……」

京子「……じゃ、今日はそろそろ、寝ようか?」

結衣「うん、そうだね」

結衣「ほら、まりちゃん、おいで?抱っこして寝てあげるから」

まり「ん……」ギュッ

結衣「よしよし」ギュッ

結衣「おやすみ、まりちゃん、京子……」

京子「おやすみ……」

まり「おやすみなさい……」

5:『物語』

~数日後の夜~

~テント内~


まり「きょうこおねーちゃん!今日も、お話聞かせて?」

結衣「うん、私も聞きたいな、昨日のロボットの話は、面白かった」

京子「よーし、じゃあ、今日は何の話にしようかなぁ……」

まり「どきどき!」

京子「よし、じゃあ今日は、とっても優しい吸血鬼さんのお話をしてあげよう!」

………

……

京子「こうして、三人は幸せに暮らしましたとさ……めでたしめでたし」

まり「……よか、た」zzz

結衣「まりちゃん、寝ちゃったみたいだね」

京子「うん……おやすみ、まりちゃん」

まり「……」zzz

京子「さて、私達もそろそろ寝ようか?」

結衣「うん……」

京子「……」

結衣「……」

京子「結衣、寝られないの?」

結衣「うん……」

結衣「こないだ無線が繋がってから、もう何日もたった……そろそろ、迎えが来るんじゃないかって思うと」

結衣「ちょっと気が高ぶっちゃって、ね」

京子「そっか……」

京子「しようがないなあ、結衣は……遠足前の子供みたい」クスクス

結衣「う、うるさい///」

京子「じゃあ、結衣が眠くなるまで、私がもう一つ、お話を聞かせてあげるよ」

結衣「うん、ありがと……」

京子「じゃあ、とある少女と無人島のお話……」

結衣「え……?」

ある所に、三人の女の子がいました

ある日、旅行に出かけた三人は、船の事故にあい、無人島に流れ着いてしまいました

色々と苦労をした三人ですが、なんとか力を合わせて頑張りました

そうしてるうちに、助けの船が島に辿り着きます

女の子達は大喜び

けれど、船の人たちは、不思議がりました

彼らが助けに来たのは、女の子一人だけだったからです

「そんな訳無いじゃない」

そう呟いて、少女は残る二人が居る方を振り向きました

しかし、そこには誰も居なかったのです

誰も、いなかったのです

何故ならば


結衣「やめて」

結衣「京子、そういう話は、やめて」

京子「……ごめん」

結衣「もう、恐いじゃない、そういうの」

京子「うん……そうだね」

結衣「……」

京子「……」

京子「結衣はさ、私のこと、好きって言ってくれたよね」

結衣「うん……好きだよ」

京子「じゃあさ、私が、何をしても、結衣は許せる?」

結衣「……許せるよ、京子」

結衣「例えば、京子が私を殺そうとしたとしても……私は、京子を許せると思う」

結衣「勿論、理由はちゃんと聞くけどね……で、馬鹿な理由だったら、殴ってでも止めるけど」

結衣「ちゃんと理由があるなら、私は京子に殺されてもいいと思ってる」

京子「結衣……」

京子「ありがと、結衣……それ聞いて、ちょっと気持ちが楽になった」

結衣「京子?」

京子「ごめん、忘れて……私も、救助が来る事に気が高ぶってるんだと思うから……」

結衣「そっか……」

京子「結衣……大好き」

結衣「私もだよ……」

京子「何があっても、私を好きでいてね……」

結衣「あたりまえだろ……」

~翌日~


バタバタバタバタバタバタ


結衣「……ん、んぅ、何の音……」

結衣「……え」

結衣「この音、ヘリコプター!?」

結衣「京子!まりちゃん!起きて!」ユサユサ

京子「う、ううん……」ムクリ

結衣「京子!この音!多分、救助隊だと思う!」

京子「……そっか」

結衣「あ、あっちの海岸に着陸するみたい!ほら、京子!まりちゃん!行こう!」

京子「……」

まり「……きょうこおねーちゃん」ギュッ

結衣「ど、どうしたの?」

京子「結衣、ごめんね」

結衣「え?」

まり「……お姉ちゃん、ごめん」

結衣「ふ、二人とも、何を言って……」

『けれど、船の人たちは、不思議がりました』

『彼らが助けに来たのは、女の子一人だけだったからです』


結衣「そんな訳、ないよね?」


『そう呟いて、少女は残る二人が居る方を振り向きました』

『しかし、そこには誰も居なかったのです』

『誰も、いなかったのです』

『何故ならば』


結衣「だって、だって、京子も、まりちゃんも、私の目の前に、居るじゃない……」

ひょっとしてこないだ吸血鬼のやつ書いてた?

ちなつ「結衣先輩!」

結衣「ちなつ、ちゃん」

ちなつ「よ、良かった、私、私、本当に、心配してっ」ウルッ

結衣「ヘリに同乗して、わざわざ来てくれたんだ、ありがとう」

結衣「……ちなつちゃん、京子とまりちゃん、見えるよね?」

結衣「ちゃんと、そこに、居るよね?」

ちなつ「ゆ、い、せんぱい……?」

結衣「どうしたの?ちなつちゃん」

ちなつ「……結衣先輩……」

結衣「なに?」

ちなつ「これ、見てください……」

結衣「かがみ……?」

ちなつ「……」

結衣「あああああああ!!!」

結衣「ひ、額に、肉って、落書きされてる!」

あかり「京子ちゃん、まりちゃんも、良かった、無事でよかったよぉ!」ダキッ

京子「おっと……ありがと、あかり、心配かけさせて、ごめんね」

まり「んに」

あかり「あかり、あかり、救助が間に合わなくて、京子ちゃん達、死んじゃってるんじゃないかって、ずっと不安で」グスン

京子「もう、泣かないでよ、あかり」ナデナデ

京子「みんな、無事でよかったよ、本当に……」

京子「これで、ハッピーエンドだね、まりちゃん」

まり「うん!」


END


結衣「いや、待て京子……」

結衣「綺麗に終わらせようとするな……」

京子「はい……」

結衣「この落書き、何時書いたの?」

京子「え、それ言うと、結衣怒ると思うから、言いたくない……」

結衣「まぁりぃちゃぁんん?」

まり「おねえちゃん、こわいよぉ」

結衣「何時書いたのかなぁ?」

まり「>>4

結衣「最初からじゃないかっ!」

京子「いやあ、結衣、ずっと気づかなかったから、なんだか言い出しにくくてさ」

京子「額に肉って書いたままシリアスな事をこなしてるから、逆にもうそれが格好良く見えてきて……」

まり「うん、お姉ちゃん、格好良かった」ニパ

結衣「そうか、格好良かったかぁ」ニコ

京子「まりちゃん、逃げよう」

まり「うに!」

結衣「待てっ!これが格好良いと思うなら、二人にも書いてあげるから!」

京子「や、やだよ!救助されてテレビとかに映るかもしれないのに、そんな馬鹿みたいな落書きされたくないよ!」

まり「うん!」

結衣「やっぱり馬鹿みたいって思ってるんじゃないかっ!」

結衣「何度擦っても消えないし、私はこのまま救助されるのなんて嫌だぞ!道連れになれ!」

京子「やーでぷー!」

まり「ぷー!」

結衣「くっ、こんな時だけ足が速いなこの二人っ!」

ちなつ「あのー、そろそろヘリを出発させたいらしいんですけど、結衣先輩~」

あかり「あはは、仲いいなあ、あの三人」クスクス

ちなつ「そ、そう?」

ある所に、三人の女の子がいました

ある日、旅行に出かけた三人は、船の事故にあい、無人島に流れ着いてしまいました

色々と苦労をした三人ですが、なんとか力を合わせて頑張りました

そうしてるうちに、助けの船が島に辿り着きます

女の子達は大喜び

けれど、船の人たちは、不思議がりました

無人島で暮らしていたはずなのに、彼女達が凄く楽しそうだったからです

女の子達は言いました

「大切な人と一緒に居られれば、何処でだって楽しいに決まってるよ」

こうして、家に帰った三人は、仲良く幸せに暮らしましたとさ

めでたし、めでたし




>>212
はい

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