橘純一「森島部長とご飯を食べに行こう!」(317)

ガララッ

梅原「いらっしゃーせー!……って、何だ大将かよ」

橘「おいおい、常連にそれはないだろ!?」

梅原「へへっ、冗談だよ。毎週毎週ありがとな」

橘「ここにこないと週が終わった気がしなくてね」

梅原「……おっと、今日はお連れさんがいるのかい?」

橘「う、うん」

梅原「おいおい、こんな美人どこで引っ掛けて……ってこの人は!」

森島「お久しぶりね、梅原君」

梅原「マジかよ……大将……」

森島「私、ちょっと化粧を直してくるから」

梅原「あ、はい。そっちの奥の左側です」

森島「ありがとう、梅原君」

スタスタ……

梅原「た、大将!?何で森島……部長だっけ!?とにかく、何であの人と!?」

橘「ぼ、僕だってびっくりだよ!?」

橘「今日、会社帰りにこんなことがあってね」

梅原「お、おう!話せ話せ!」

橘「あー、やっと今週も終わりだよ!」

橘「お腹もペコちゃんだし、早いところご飯を食べよう!」

橘「梅原のとこ、いいネタ入ってるかなぁ……」

橘「あぁ、楽しみだ!」

橘「……っとあそこにいるのは……森島……部長だな」

橘「う~ん、誰かを待ってるみたいだけど?……これからどこかで仕事の打ち合わせかな?」

橘「気まずいけど…々挨拶くらいした方がいいよな……上司だし」

橘「ぶ、部長!」

森島「……橘君?」

橘「お、お疲れ様です!お先に失礼します!」

森島「……待ちなさい」

橘「……へ?」

森島「待ちなさい、といったのだけど?」

橘(な、何だろう!?僕、何かしたかな!?)

橘(最近は仕事で大きなミスもなかったはずだけど……)

橘(もしかして、あの有名なラブリーチェックがついに僕にも!?)ガタブル

森島「何をそんなに緊張しているの?」

橘「え、えーと……」

森島「まぁ、いいわ」

森島「橘君……今から時間あるかしら?」

橘「え?」

森島「今から時間あるかって聞いてるのだけど?」

橘「は、はい!」

森島「……もう、私が悪いことしてるみたいだから、そんなに緊張しないで?」

橘「す、すみません!」

森島「はぁ……とにかく暇なのね?」

橘「はい、食事して帰るだけです」

森島「そう……それはちょうどよかった」

森島「橘君?私とお食事しに行かない?」

森島「その……仕事とか抜きで」

橘「えぇぇぇぇ!?」

森島「……嫌ならいいわ、邪魔したわね」

森島「じゃあね、お疲れ様」

スタスタ……

橘「ま、待ってください!部長!」

森島「何か?」

橘「い、嫌なんかじゃないです!ただ……びっくりしただけで!」

森島「……びっくりした、ね」

森島「……いいわ」

森島「じゃあ、行きましょうか。場所は任せるから」

橘「はい!」

橘「で、今に至るわけでして」

梅原「大将から会社の上司だったって聞いたときは驚いたけど……今日のはそれ以上だな」

梅原「話には聞いていたけど、想像以上に怖いな……森島先輩」

橘「……だろ?」

橘「社内でも特に僕には辛く当たってくるし、仕事は沢山回ってくるし……」

橘「自業自得なんだけど、正直辛いよ……」

梅原「おい、部長が戻ってきたからこの話は終わりな!」

橘「うん……」

森島「さて……」

橘・梅原「……」

森島「あー、もう!疲れたーっ!」

森島「もう、二人とも何で辛気臭い顔してるのよ!?」

橘・梅原「!?」

森島「梅原君!私、いくらとカッパ巻ね!」

梅原「へ、へい!」

橘「え?え?」

森島「会社じゃないからね!もう演技はいらないかなって!」

橘「え、演技!?」

森島「う~ん、安易なキャラ付け?まぁ、そんなところだよ?」

橘「えぇぇ……」

梅原「お、おまちどう!」

森島「わお!美味しそうね!」

橘「……梅原、僕はエンガワでも貰おうかな」

梅原「お、おう!」

森島「びっくりした?ねぇ、びっくりした!?」

橘「……そりゃ、びっくりしましたよ!」

橘「あれ、演技だったんですか!?」

森島「うん、部長だしね。ヘラヘラしてらんないでしょ?」

橘「……あの冷たい目付きも、ですか?」

森島「……あれはね、橘君?演技じゃないよ?」

橘「え?」

森島「あれは……」

森島「いいじゃない、そんなことどうでも!」

森島「もう!今は美味しくお寿司を食べるの!」

橘「は、はい!そうですね!」

梅原「ほら、大将」

橘「お、来た来た!」

橘「じゃ、じゃあ……」

橘・森島「いただきます!」

梅原「おう!食いねぇ、食いねぇ!」

モグモグ

森島「お、美味しい……!」

梅原「へへっ!光栄です!部長!」

森島「もう!今は部長はダメ!」

森島「橘君も!部長って呼ばないでね?」

橘「は、はい!」

橘「でも、何て呼べばいいのかな?」

森島「好きに呼んでくれていいよ?」

梅原「森島さん?……いや、違うなぁ」

橘「……やっぱり、森島先輩?」

梅原「だよなぁ、しっくりくるのは」

森島「ま、人生の先輩だしね」

森島「いいよ、森島先輩で」

橘「じゃあ、森島先輩……で」

梅原「森島先輩!次は何にします?」

森島「う~ん、そうねぇ……今って何が旬だっけ?」

梅原「へい!今の旬は……」

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橘「ふぅ、食べた食べた」

森島「梅原君!美味しかったよ!」

梅原「へへっ、先輩の為ならこれぐらいお安い御用で!」

橘「なんだよ、僕の時とは態度がえらく違うじゃないか」

橘「……香苗さんにいいつけるぞ?」

梅原「ま、待ってくれよ!大将!」

梅原「これでも飲んで落ち着け、な!?」

橘「こ、これは……」

梅原「あぁ、苦労したんだぜ?」

橘「幻の名酒!大吟醸 輝日東の紳士じゃないか!」

梅原「……大将の喜ぶ顔が見たくてな」

橘「う、梅原!ぼ、僕……」

梅原「いいんだよ、大将……」

森島「梅原くん、私も飲んでいいかな?」

梅原「勿論いいですが……先輩はイケる口で?」

森島「人並みに、かな?」

梅原「じゃあ、先輩もどうぞ」

梅原「あ、そうだ!折角だから大将についでやってくださいよ」

橘「えぇ!?」

森島「それもそうね、一度言ってみたかった言葉もあるし」

森島「橘君?」

森島「私の酒が飲めないのかー!?このっこのっ!」

橘「ちょ、ちょっと先輩!つぎすぎですって!」

橘「あ、そういえば……先輩?」

森島「なぁに?」

橘「塚原……先輩はお元気ですか?」

森島「……ひびきはね!ついに結婚するらしいよ!」

橘「ほ、本当ですか!?」

森島「うん!」

橘「そうか……塚原先輩も結婚か……」

森島「あのひびきのお眼鏡に叶う男だからね」

森島「さすがに『お父さん許しませんよ!』とは言えなかったよ」

橘「ははっ!そうでしたか!」

森島「ちょっと寂しいけどね」

森島「同期はみんな結婚していくし……私、取り残されちゃったなぁ……」

橘「先輩……」

森島「あ、辛気臭いのなし!飲むよ、橘君!」

橘「は、はい!お付き合いします!」

森島「う、うめはらくん!つぎのおさけは~!?」

橘「せ、先輩!大丈夫ですか!?」

梅原「せ、先輩!これを……」

クイッ

森島「う~ん……めいしゅはみずのごとしね」

梅原(お水だし、それ)

橘「う、梅原!ごめん!」

梅原「いや、いいってことよ!もう大将達しかお客さんいないしな」

森島「……たちばなく~ん!じゃあさ!ウチでのもうよ~!」

橘「ま、まだ飲むんですか!?」

森島「うん!ついでにおくってってー」

橘「梅原、お勘定!」

梅原「お、おう!え~と……」

森島「もう!たちばなくんったらいけないんだ~!」

森島「こういうときはおねえさんが……」

橘「梅原……これで足りるよね?」

梅原「お、おう!でもこんなに……」

橘「そのかわり!次もいいネタ頼むよ!」

梅原「悪いな……大将」

森島「あー、たちばなくんったらかっこうつけちゃってー」

橘「い、行きますよ!先輩!」

森島「も、もう!ひっぱらないでよー」

森島「もうあるけないよー、たちばなくん!」

橘「そ、そんなこと言われても!」

森島「……おぶって」

橘「え?」

森島「おんぶして、たちばなくん!これはぶちょうめいれいよ!?」

橘「わ、わかりましたから!」

森島「うむ、よろしい」

橘「どうぞ?」スッ

森島「うん……おじゃましまーす!」ギュッ

ムニュッ

橘(こ、これは!先輩の成熟したボディが僕の背中に!)

橘(こんなトキメキ、高校の時以来だ!)

橘(何てことだ……僕、社会人になってこんな大切なことを忘れてたなんて……)

森島「ん~、たちばなくん?」

橘「は、はい!気持ち悪くなったら言ってくださいね!?」

森島「あ、そこのまんしょんだからー」

橘「あ、はい!ここですね!」

橘(お高そうなところだなぁ……さすが部長)

森島「んふふー、見直した?」

橘「は、はい!さすが部長です!」

森島「ぶちょうってよぶなー!」

橘「す、すみません!先輩!」

森島「うんうん、わたしはせんぱいだからー」

橘「先輩、お部屋は何階ですか?」

森島「えーとね、うえのほう」

橘「う、上の方!?」

森島「うん、やけいがきれいなんだー」

橘「……何階なんですか?」

森島「…………」zzzzzz

橘「せ、先輩!?寝ないでください!」

橘「こ、この部屋か……疲れた」

森島「うむ、ごくろう!」

森島「いまあけるからー」

ガチャ

森島「ささっ、あがってあがって」

橘「で、でも……」

森島「うちぢふたりでのむってやくそくしたじゃない!?」

森島「またやくそくやぶるの!?」

橘「!?」

橘「わかりました……お邪魔します」

森島「いらっしゃーい」

橘「うわー、綺麗な部屋ですね!」

森島「でしょでしょー!?」

森島「ひとりですむにはひろすぎるんだよねー」

橘「そ、そうですか」

橘「ところで先輩?なんでずっと玄関に続くドアの前に立ってるんですか?」

森島「それはねー」

森島「……橘くんを逃がさない為だよ?」

橘「……え?」

橘「せ、先輩!?」

森島「酔っ払ってたなんて、ウソ」

森島「あれはね、橘君と二人っきりになる為の方便だよ?」

橘「え?」

森島「ちなみに会社でのアレも演技だなんて、ウソだから」

橘「えぇ!?」

森島「正確にはウソというか……」

森島「楽しかった昔を取り戻したかっただけなんだけどね」

森島「私はね……橘君?」

タタッ……ギュッ……

森島「ずっとこうしたかった……」

橘「せ、先輩……」

森島「私ね、辛かったんだ…….あの日以来、ずっとね」

森島「あの時は感情に任せて、ああ言ってしまったけど……」

森島「初めて人を好きになったから、わからないことだらけで……」

橘「……すみませんでした」

森島「私、現実が辛くて逃げたかったから……ちょうど大学受験があったから、そこに逃げたの」

森島「実際のところ成績的には余裕だったんだけどね、第一志望のとこは」

森島「でも……無駄に勉強に打ち込んじゃった」

森島「それで無事に合格して、大学生活が始まったわけだけど……」

森島「私が充実したキャンパスライフを送ってたと思う?」

橘「そ、それは……」

森島「彼氏作って、バイトして……サークルとかしたりね」

森島「……そんなわけないじゃない?」

森島「ずっと勉強漬けの模範的な大学生だったわよ?」

森島「初めの頃は……友達もいたし、男の人に声をかけられたりしたけどね」

森島「人を好きになるのが怖くなっちゃって……」

森島「飲み会とか、サークルとか……断り続けたら、気づいたら一人ぼっちになっててね」

森島「だから、なおのこと勉強ばっかりしてね」

森島「そんなだったから、学科の女の子に森島は生意気だって虐められたりしてね」

森島「……あの時からかしらね、あなたの言う『冷たい目』をするようになったのは」

橘「…………」

森島「まぁ、そんな境遇にも負けずに勉強し続けてたら首席になっちゃって」

森島「今の会社には学校の推薦で入ったのだけど」

森島「そこからは仕事漬けの毎日だったわ」

森島「自分が一人ぼっちの寂しい人間だって認めたくなくて、家にも帰らず仕事漬けの毎日」

森島「それでたまたま大きな仕事を続けて成功させてね、今のポストにいるの」

森島「私には仕事しかない、これしかない!……と思ってたときに現れたのが」

橘「僕、ですか?」

森島「えぇ、そうよ」

森島「正直、再開した時は気絶しそうになったわ」

森島「……だって、何食わぬ顔であなたがそこにいるんだもの」

森島「久しぶりの橘君だ!……何て声をかけよう!いっそのこと殴ってやろうか!」

森島「……と、頭の中がグルグルしちゃってね」

森島「……それでやっと出てきた言葉が……」

森島「ネクタイ曲がってるわよ?」

森島「……だったの」

森島「もう……頭の中が真っ白になっちゃって……正直あの後のことはよく覚えてない」

森島「仕事に支障がなくてよかったわ、本当に」

森島「そうそう、あなたに謝らなきゃいけないことがあるわ、橘君」

橘「……え?僕にですか?」

森島「……その、会社で冷たくして、ごめんね?」

森島「あと仕事で無理難題を押し付けたりとか……」

森島「あのね、最初の頃は『恨み』みたいなのもあったの……正直なところ」

森島「自分がこんな境遇になってしまったなは、あなたのせいだってね」

森島「弱い自分が悪いからで、逆恨みもいいとこなのだけど」

橘「わ、悪いのは僕です!」

森島「……でも、会社で橘君に嫌がらせを続けてるうちにね」

森島「何だか、高校の時を思い出しちゃって」

森島「明日は何をしてやろうかなーって考えてたあの頃をね」

森島「……気付いたら、またあなたのことを好きになってた」

森島「……不思議だよね」

森島「でも、今更じゃない?」

森島「あなたにはあなたの生活があるだろうし」

森島「そうやって自分を納得させていたんだけど……」

森島「そこに飛び込んで来たのが、ひびきの結婚の話」

森島「……何だか、急により一人ぼっちになった気がしちゃってね」

森島「ひびきにも『いい加減、橘君のことは精算しなさい』って怒られちゃったし」

森島「それで、いても立ってもいられなくなって……」

森島「今日、あなたのことを待ってたの」

橘「そうだったんですか……」

森島「ごめんね?……橘君には彼女とかいるよね?迷惑だよね?」

森島「……もうこんなことしないから」

森島「……今はもう少しだけ……」

ギュッ……

橘「先輩……」

橘「せ、先輩」

森島「……ごめんね、自分勝手で」

橘「じ、自分勝手なのは僕です!」

橘「そ、それに!」

橘「未練があるのは僕も同じですから!」

橘「先輩より身勝手なのは僕なんですよ!?」

橘「二股かけて、最低なことして……なのに!」

橘「自分で勝手にトラウマを増やして、周りに心配ばっかりさせてる!」

橘「誰かを好きになることが怖くなったのは、僕も同じです!」

橘「えぇ、わかってますよ……そもそも僕には他人を好きになる資格なんてないこと」

森島「そんなこと……」

橘「自分がされて嫌だったことを、先輩にやってますからね」

橘「挙句に『今上手く立ち回れれば、先輩との仲を取り戻せるかも?』なんて打算をしてしまっている!」

橘「僕は……僕は……!」

森島「……橘君!」

チュッ

橘「せ、先輩!?」

森島「……落ち着いて?ね?」

森島「私だって橘君の罪悪感につけ込んででこんなことしてるんだから」

橘「……」

森島「済んでしまったことはどうしようもないから、ね?」

森島「私、嬉しいんだ……まだ橘君が私とのことを覚えててくれて」

森島「……もう過去の存在になっちゃったと思ってたから」

森島「ねぇ?なかったことには出来ないけど、これから始めることはできるじゃない?」

森島「……ダメかな?」

橘「……本当にいいんですか?また傷付けるかもしれない男ですよ?」

森島「……私はね、橘君はもうそんなことしないって信じてるから」

橘「……こんな僕を信じるんですか?」

森島「……うん、信じる」

森島「だからさ、橘君?私と……」

橘「森島先輩!結婚してください!」

森島「えぇ!?け、結婚……!?」

橘「僕、責任を取ります!」

橘「先輩にここまでさせてしまったのですから」

橘「こんなこと言えた立場ではないですが……今度こそ、幸せにしますから!」

森島「……もう、ずるいんだから!」

森島「私がちょろい女みたいじゃない!?」

橘「す、すみません……」

森島「……でも、いいよ?」

森島「今度こそ幸せにしてね?」

橘「は、はい!」

森島「……みたいなね!」

塚原「はるか……そんな話聞かせる為に私を呼びたしたの?」

森島「うん?そうだよ?」

塚原「あなたって人は……」

塚原「橘君?あなたも一緒に考えたの?」

橘「いやー、ハハッ……考えてたら楽しくなっちゃって」

塚原「……このバカ夫婦が」

森島「でも……こんな可能性もあったわけだよね」

森島「私たちの関係って意外と危ういものにかもね、純一?」

橘「や、やめてよ!」

橘「僕がそんなことするわけないじゃないか!」






誤字多すぎた。死にたい

塚原「……で、話はそこで終わりなの?」

森島「え?続き?続き聞きたいの?ひびきちゃんったら、何だかんだで興味あるんじゃない!?」

塚原「ち、違うわよ!」

塚原「わざわざ私を呼び出したんだから、もっと面白い話はないのかって聞いてるの」

橘「う~ん、困ったなぁ……」

森島「え~とね、あのあと二人は抱き合ってね」


橘「はるか……」

森島「いいよ……純一」

森島「その……初めてだから……」

橘「う、うん」


森島「……みたいなね!」

塚原「それ、実話じゃないの?」

橘「つ、塚原先輩!?」

森島「もう、ひびきったら~」/////

塚原「現実的なあなた達の馴れ初めの話はいいのよ……聞きたくない」

森島「えぇ~!?」

橘「は、はるか!恥ずかしいよ!」

塚原「覗きに来いだとか、そんな話は何回も聞いたからいいの!」

森島「もう!どんなのを期待してるのよ!?」

塚原「会社でのこととか!色々あるでしょ!?」

森島「う~ん、そうだなぁ……」

森島「とりあえず、ひびきの子供の名前は純一だから」

塚原「は、はるか!?」

森島「昼ドラの基本よね!」

橘「す、すみません!塚原先輩!」

塚原「……続けて?」

森島「うん、それでね」

森島「何でそうなったかというと……」

森島「純一の二股の相手はひびきちゃんだったからって理由でね」

森島「ひびきも二股されてるとは知らなくて、怒るんだけど……」

森島「やっぱり純一のことを忘れられなくて……」

森島「純一はもう手に入らないから……自分の子供に、ね」

塚原「ふむ」

橘「ちょっと待って、はるか」

橘「……僕が本当に人間として終わってるじゃないか、それ」

森島「もう、例えばの話だからね!」

橘「う、うん」

塚原「それで……私はその後どうなるの?」

森島「え~と、ね……色々あって旦那さんと別れる」

塚原「色々……?まぁ、いいわ」

森島「で、子供も旦那さんに取られちゃって……」

森島「色々あって傷心で、自殺も考えてる所に現れるのがこの男!」

橘「ぼ、僕!?」

塚原「ちょっと待って、はるか?橘君は二度と浮気なんかしないんでしょ?」

橘「そ、そうだよ!僕ははるかを幸せにするって誓ったんだ!」

森島「ふふふ……甘いわよ?」

森島「純一は献身的に人助けしちゃからね」

森島「こんなの……ほっとけないよ!」

森島「とか言ってね!」

塚原「それは否定できないわね」

森島「だから私も苦労してるんだけどね……ってそれは置いといて!」

橘「そ、その辺に置かないで!」

森島「でね、仕事が上手くいってなくて、それで私にも負い目を感じてて……ストレスがたまった純一は、つい……」

塚原「私と一線を超えてしまうのね?」

森島「そうなのよ!だから純一って!」

橘「た、例えばの話!例えばの話だから!」

塚原「で、その後は……」

森島「……破滅しかないわね」

森島「私が純一とひびきを刺し殺して、お終い」

森島「勿論『この泥棒猫!』っていってやるんだから!」

橘「刺し殺すなんて物騒な!た、逮捕しちゃうぞ!」

森島「いやん!……優しくしてね?」

橘「た、逮捕だー!」

塚原「……ゴホン!」

橘・森島「すみませんでした」

塚原「はるか……この話の橘君との間にはそんな結末しかないの?」

森島「だって……幸せな結末は現実でお腹一杯だし?」

塚原「……何か腹立つわね」

塚原「橘君?はるかは退屈な日常に一つまみのスパイスが欲しいようよ?」

橘「そういわれましても……」

塚原「私も独り身で寂しいし……昼ドラしちゃおうか?」

橘「え、えぇ!?」

塚原「ほら、ほっとけないでしょ……こんな私を?」

橘「……ゴクリ」

森島「ダ、ダメ!ダメなんだから!!」

森島「純一も!……ゴクリじゃないよ!?」

塚原「……はるかに仕返しするときはこれに限るわね」

塚原「橘君、協力ありがとう」

橘「い、いえ!」

塚原「はぁ……私もいい人を見つけないとね」

塚原「……橘君みたいな真っ直ぐでいい人がいればいいのに」

森島「あげないからね!?」

塚原「……もう、わかったわよ」

塚原「あーあ、お見合いの話受けようかなぁ……」

橘「塚原先輩、お見合いするんですか?」

塚原「うん、いい加減結婚しろって親がうるさくて」

塚原「いい人だとは言われてるけど……名前が引っかかってね」

森島「どんな名前なの?」

塚原「……純一、だってさ」

森島「ひ、昼ドラ!?昼ドラなのね!?」

橘「うわぁ……」

塚原「ね?何か嫌でしょ?」

塚原「はぁ……私って男運ないのかな」

森島「ひびきちゃん……」

塚原「もう帰るね、いい時間だし」

橘「あ、駅まで送りますよ?」

塚原「大丈夫だよ、一人で」

塚原「じゃあね。お邪魔しました」



森島「……ひびきちゃんと純一が付き合ってて、結婚した世界もあるのかもね」

森島「その世界で、私はどんな顔してるかな」

森島「き、きっと!友達の幸せを祝福してるわよね!」

森島「だって!二人とも大切な人だし!」

橘「はるか!」

橘「そんな顔……しないで」

森島「うん……ごめんね」

森島「ふふっ……何だか酷い女だよね」

森島「例えの話なのに、ひびきに嫉妬しちゃうし」

森島「他の世界の純一は、私じゃない女の子と幸せになってるのかな」

森島「私……捨てられてたりして」

橘「はるか……」

森島「……なーんてね!」

森島「純一、私のことを離さないでね?」

森島「少なくともこの世界ではね、ふふっ」

橘「も、勿論だよ!」

森島「私も離さないんだから!」



今度こそ乙
自分でも何か書いてみるよ

>>202
期待してるよ

>>203
とりあえず七咲が彼女から橘を寝取ったらみたいなの考えてる
彼女役が桜井かスト子あたりで迷ってる

>>205
何てことだ……誰も幸せにならないじゃないか……

ひびきちゃん!

任せろ

ダメだった…ごめん

純一「……はい?」

森島「聞こえなかったの?ふぅ、仕方ないわね……今日は君と食事の席を設けたいのだけど都合は良いかしら?」

純一「僕と……ですか?なんでまた……」

森島「そうね……最近部下とのコミュニケーションが取れてないって思ったからかしらね」

純一「そう……ですか……」

森島「と言うわけでどこか良い所ないかしら?」

純一「ええっ?決めてなかったんですか!?」

森島「急に思い立ったし、まぁ機転が利くかどうかのテストも兼ねるってことで」

純一「今日……なんですよね……?」

森島「そうよ、何度も言わせないで頂戴」

純一「はい、すいません……」

森島「頼んだわね……なんだったら君の自宅でも良いから、それじゃ」

純一「!?」

純一「一体何が目的なんだ……って考えるまでもないな、絶対アレだ」

純一「とはいえ当日で部長をお招きするようなお店なんてないしな、仕方ない電話してみよう」

trrrrr…

『はい、どうしたのこんな時間に?』

純一「ゴメン、急でちょっと頼みたいことがあるんだけど」

『……すぐに済む話?こっちも忙しいんだけど』

純一「うん、手短に話すね……今日部長を家に招きたいんだけど頼めるかな?」

『ちょっと、部長ってまさか……?』

純一「そう、森島部長」

『……ふぅ、まぁいいけどなんでそんなことに?』

純一「なんでも部下とのコミュニケーションがどうとか」

『もっともらしいけど無理がある理由ね』

純一「うん、そうなんだけど断れなくって……」

『仕方ないか。わかった、何とか準備しておくから時間だけはちゃんと連絡して』

純一「うん、それは必ず」

『そうそう、今日は美也ちゃんも遊びに来たいって言っていたんだけどそっちはどうする?』

純一「ああっ!そういえば……ど、どうしようか」

『う~ん……良いんじゃないかしら別に』

純一「ええっ!?だ、だって森島部長だよ?」

『今更じゃない、知らない仲じゃないんだし』

純一「それはそうだけど……」

『大丈夫よ、いざというときは何とかするから』

純一「わかった、そっちは任せるよ。それじゃあ宜しく頼んだよ」

『うん、わかった任せておいて……それとよりみちはしな』ガチャッ

純一「ふぅ……これでなんとかなったか」

何かまだ残ってた。期待

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月31日 (土) 07:06:39   ID: 37_ghX8i

期待!

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