モバP「紗南にリベンジ」 (122)

モバP「紗南と勝負」の続編です。
前作にこれで終わりかよ、という声を(1名から)頂いたので続きを考えてみました。
構成は出来てますが、遅筆です。
前作読んでなくても全然大丈夫ですが、読んでくれたら嬉しいです。
では、よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382539505

P 「たのもぉーう!」

紗南「ん?Pさんか。お帰り~」ピコピコ

P 「…」キョロキョロ

紗南「どうしたの?そんなキョロキョロして」

P 「ちひろさんがいないな。どこ行ったか知ってるか?」

紗南「ん~、さっきお偉いさんとの会議があるって出かけてったよ」ピコピコ

P (よし、ちひろさんはしばらく帰ってこない…)

P 「紗南、今ヒマか?」

紗南「見ればわかるでしょ~?」ピコピコ

P 「忙しいとこ悪いんだが、ちょっと俺に付き合ってくれないか?」

紗南「つ、つき?!あっ…」ゲームオーバー

P 「おっ、紗南がそんなところでやられるなんて珍しいな」

P 「まぁ一区切りついたってことで話くらい聞いてくれよ」

紗南「はぁ~…ま、いいや。で、どうしたの?」ドキドキ

P 「紗南、実はな俺はお前に…」

紗南「う、うん…」ドキドキ

P 「再戦を申し込む!」

紗南「…は?」

P 「勝ち逃げは許さんぞ!この前の続きだ!俺とウイイレで勝負しろ!」

紗南(なんだ、その話か…)

紗南「ゲームするのはいいけどさ、違うのにした方がいいんじゃない?」

紗南「言っちゃなんだけどPさんあんまり強くなかったし…」

P 「違う!この前は前日に波動拳の打ちすぎで左手親指の皮は剥けてたし…」

P 「キャプテン翼Jでシュート決めるときにAボタン連打しすぎて右手も腱鞘炎だったんだ!」

P 「今日は体調も万全!貴様になど負けん!」

紗南(お、大人気ない…)

紗南「ま、いいよ。Pさんがやりたいなら」

P 「よろしく頼む。この前の約束は覚えているな?」

紗南「ん?何かあったっけ?」

P 「俺が勝ったら、何でも一つ言うことを聞くという約束だ。忘れたとは言わせんぞ」

紗南「あぁ、それね。うん、いいよ」

紗南(負けてあげたっていいんだけど、負けようがないんだよね…)

P 「試合時間は15分。全員好調で、会場はカンプノウ、天候は小雨でいいか?」

紗南「いいよ、好きに選んで」

紗南(雨?あんな下手だったのにパスサッカーでもするつもりなの?)

P 「よし、じゃあそれでいこう」

紗南「んじゃ、あたしはまた日本にするね」

P 「紗南、俺はこの前お前に負けてショックだった」

紗南(え?あんな程度で勝つつもりだったの?)

P 「何故負けたのか三日三晩考え抜いた」

紗南(選手の能力値と操作してる人の問題だと思うな~)

紗南(強くすればいいものを妙に本物に忠実な能力値だったし…)

P 「俺は気づいた…いくらアイドル達が高性能とはいえそれだけでは勝てないことを…」

紗南(第一関門はクリア…スタジアムと天候を考えればスペインが濃厚、次点でブラジルかバルセロナか?)

P 「サッカーは11人でやるもの。好きなアイドルを11人並べたってそりゃ勝てないよな…」

紗南(そういう人選だったのか…)

P 「今日の俺は二の轍は踏まない…」

紗南(まぁ多少は進歩したかな?ってか早くチーム選んでよ)

P 「紗南、すまないが…」

P 「俺はエディットチームを使わせてもらう」

紗南「なんでだよぉぉぉぉ!」ガタッ

P 「わっ、そんなに怒るなよ紗南」

P 「俺はどうしてもお前に勝って頼みたいことがあるんだ」

紗南(普通に頼めば大抵のことは聞いてあげるのにな…)

紗南「はぁ…で?この前と同じチームとか言わないよね?」

紗南(もしかしたら過去の名選手だけを集めたレジェンドチームかもしれないし…)

P 「ふふふ、そうか気になるか?今回は連携を重視して組んでみたんだ」

P 「俺が三晩寝ないで考えた最強のチーム、心して味わってくれ」

P 「フォーメーションは4-3-3のバルセロナスタイル!」

P 「連携、結果ともに現在最高峰なのはバルセロナだからな。大いに参考にさせてもらった」

紗南「ふーん」

P 「メッシという絶対的なエースがいながらそれに頼りきりにはならず、細かいパスからの崩し」

P 「体格的に恵まれない選手が多い中、相手を走らせ、90分間ゲームを支配し続ける」

P 「大いに感銘を受けた。あのパスサッカーは連携が肝。連携の取れたチームが勝利するってことだ」

紗南(まぁ、あながち間違っちゃあいないんだけど…)

紗南(イタリアレジェンドとかで組んでるわけないよね、Pさんじゃ…)

P 「まずはキーパーからの紹介だ!」

P 「キーパーは私ことP!」

紗南「だーかーらー?!」

P 「うわ、怒るなって紗南。考えあってのことなんだから…」

紗南(考え?あるの?こんな人選に…)

紗南「というか、え?Pさんって現役のときキーパーだったの?」

P 「ん?違うよ?俺はフォワードだった」

紗南「は?じゃあなんでキーパーなの?」

P 「だから考えがあるんだって。一応小学生の頃はキーパーだったしな」

紗南「いや、でもさ…」

P 「俺も身長175あるだろ?高くはないが出来なくはないだろ」

P 「川口だって身長高くないけど名キーパーだしな」

紗南「え、もしかしてその辺もちゃんと反映してるの?」

P 「当たり前だろ?卑怯なことはしないって。疑うなら見てみろよ」ヒョイッ

紗南「う、うん。えぇっと…」

紗南(うわ、本当だ。身長は175だし、パワーもレスポンスも微妙な数値…)

P 「な?紗南には勝ちたいけど不正はしないって」

紗南(むしろ不正して欲しいくらいなんだけどね…)

紗南(あぁ、ダメだ。この前よりひどい未来しか見えないよ…)

P 「どうした紗南、頭なんか抱え込んじゃって」

P 「もう降参か?まだキーパーしか紹介してないぞ?ははっ」

紗南(だ、ダメだ我慢できない…けちょんけちょんにしてやる…)メラメラ

P 「よーし、次はディフェンスの紹介行くぞー」

盛り上がってきました(?)が、もうよい時間なのでこれくらいで。
前回みたいな終わり方はしないはずです。

再開は夜になるかと思います。
読んでくださってる方、遅くまでありがとうございました。

こんばんは。ようやく都合がついたのでこれから開始します。
今日明日には終わるだろうか…

P 「右サイドバックは水本ゆかり!」

紗南「…え?」

紗南「いくらなんでも運動には向いてないんじゃない?」

P 「甘いな、紗南。今回は連携を重視に組んだといったろう」

P 「それにゆかりってフルート吹いてるだろ?ってことは肺活量あるし、ってことは体力も多少はあるだろ」

紗南「い、いやそれはどうだろ…」

P 「まぁ確かに身体能力はあまり高くないし、特にパワーなんて論外だ」

P 「でも俺の言うことなら何でも聞けるって言ってるし、連携はバッチリだろ?」

P 「センターバックには五十嵐響子!」

P 「響子は凄いんだぞ~。俺が家に帰ったら鍵も渡してないのに中で夕飯料理して待っててくれたり…」

P 「この前なんか引越しして住所教えてないのに家の中にいたからな!」

紗南「それってそんな朗らかに言うことなの…?」

P 「そこで俺は気づいたんだ。あれ、響子ってディフェンスに向いてるんじゃね?ってな」

P 「どこまでも追いかけていきながらその存在を気づかせない」

P 「きっとインターセプトとか超上手いよ、多分」

P 「スピード、パワーに難があるが、まぁしょうがないよなそれは」

紗南「…」

P 「もう一人のセンターバックは佐久間まゆ!」

P 「言わずもがなだが、まゆの魅力はその守備力だ」

P 「言い寄ってくる男をガンガン振ってるらしいからな。まさに鉄壁だ」

P 「さらに優れた戦術眼も魅力の一つだ」

紗南「ん?そうなの?」

P 「あぁ、俺がこの前営業に行くって嘘ついて高校のときの同級生(女性)に会いにいったんだがな…」

P 「何故だかまゆにバレてて怒られちゃったよ」

P 「何で知ってるんだ?って聞いたらPさんの車がいつもと違うところに停まってたから、って」

P 「すごいよな、まゆ。だってその日スタジオで収録だったんだぜ?」

紗南(それは車にGPSついてるから…)

P 「身長がネックなのはもちろんだが、最大のネックはまゆがいい子ってことだよな」

P 「いい子なのは良いことだが、サッカーはフィールドの格闘技。闘ってもらわなきゃ困る」

P 「だから俺をキーパーにしたんだ。まゆが気を抜いてたらビシッと言ってやれるようにな」

紗南「うん、それは良い選択だと思うよ…」

P 「おっ、紗南もそう思うか?いやー、紗南に褒められると嬉しいな」

紗南(この人いつか刺されるんじゃないかな…)

紗南「で?左のサイドバックは緒方智絵里さん?」

P 「お?なんでわかったんだ?でも紗南と同じ人選だなんて俺の目も狂っちゃいないってことだな!」

紗南(いや、狂いまくりだと思うけど…)

P 「確かに智絵里はおとなしい子だ…しかし、芯には強さがある」

P 「ということは体幹がしっかりしてるってことだ」

紗南「は?」

P 「そこで比較的ボディバランスは高目に設定させてもらった」

紗南「いやいやいやいや」

P 「やはりどんなポジションでもボディバランスは必須だからな」

P 「よく智絵里からは視線を感じるし、俺のことをよく見てくれてるみたいだから連携は完璧だ

P 「以上が俺のバックラインだ。誰が呼んだかCu四天王。このラインは強力だぞ?」

P 「それにこの4人は仲良いんだぞ?」

P 「この前響子と家で夕飯食べてたら3人が押しかけて5人で夕飯になったし…」

P 「オフに智絵里と公園に四葉のクローバー探しにいったらいつのまにか5人で探してたりな」

紗南「そ、そう…」

P 「紗南でもそう簡単にこの連携は破れないぞ?」

紗南(確かにPさんが絡んだらこの4人は凄そうだ…)

紗南(Pさんに近づく人は必死にマークするだろうし、最後は身体を投げ出してでもブロックするだろう…)

紗南(現実なら、ね…)

P 「ははっ、どうやって崩そうか考えてるのか?まぁ無理だろうけどな!」

P 「お次はミッドフィルダーだ!」

P 「MFは流動的に動いてもらうから特にポジションは指定しない」

P 「俺が選んだ3人は…」

P 「三船美優、和久井留美、服部瞳子の三名だ」

紗南「わーお」

P 「三人とも特筆すべき身体能力は無い」

P 「しかし年齢と共に経験を積んだためかここ一番での押しには凄いものがある」

紗南「…どういうこと?」

P 「…子供は知らなくていいんだよ」トオイメ

P 「それにな、この三人も凄く仲がいいんだ」

P 「この前三船さんと鎌倉に行ったら偶然旅行に来てた和久井さんに会ったりとか…」

P 「事務所に戻ったら三人ともウェディングドレス着てたりとかな」

P 「あれは和久井さんにとってきた仕事だったのにな~」

紗南(意外とこの人凄いよね。なんで刺されないんだろう…)

P 「ともかく連携は抜群!今回の作戦にはぴったりだ!」

P 「残るはフォワード!」

P 「右に張るのは若林智香!」

P 「ダンスが得意だし、運動性能が高いことに疑いはない」

P 「そして左に張るのは姫川友紀!」

P 「野球やってるから手を使わないかは多少心配だが、これまた運動神経は抜群だ」

P 「それに二人ともチアの経験あるからな。上手くうちのエースを盛り立ててくれるだろう」

P 「最後に前線に君臨するうちのエースは森久保乃々!」

紗南「え?」

P 「いや、あいつ潜在能力は高いと思うんだよ」

P 「ただ、やる気が無いというより引っ込み思案すぎるんだよな~」

P 「その辺を考慮してコンディション安定度は最低にさせてもらった」

P 「でも今回は好調固定だからな。活躍が期待できる」

P 「元気過ぎる二人に囲まれて戸惑いながらも結果をだそうとする乃々…滾るものがあるな」

P 「以上がメンバーだ。さぁかかってこい!」

紗南「はいはい、結果は見えてると思うけどね」

P 「おっ、もう敗北宣言か?遠慮しなくていいんだぞ?」

紗南「…」

ゲーム「ピー」Kickoff

P 「いや、違う。そっちじゃないって!」ゴール

P 「今のは取れねぇや。うん、これは仕方ない」ゴール

P 「バカ!なんでマーク外すんだよ?!」ゴール

P 「いけ、まゆ!滑ってとめろ!」ゴール

P 「まぁ、あんなプレー実際だったらありえないし」ゴール

P 「なんかこのコントローラー反応悪くない?」ゴール

ゲーム「ピッピッピー」シアイシュウリョウ

P0-6紗南

ー終戦ー

P 「…」

紗南「…」

P 「さ、紗南…」

紗南「…何?」

P 「もう一回…」

紗南「はぁ…」

紗南「Pさん、この際だからはっきりさせておくよ」

紗南「もうやめた方がいいよ。このままじゃ何度やったって勝てないよ」

紗南「Pさんとゲームできるのは嬉しいけどさ」

紗南「こんなんじゃはっきり言って差がありすぎて楽しくないよ」

紗南「Pさんは好きな選手使って好きなようにやってるからいいかもしれないよ?」

紗南「でもあたしはどうなるの?言っとくけどこれでも手抜いてるんだよ?」

紗南「相手のことを考えずに好き勝手やるならCPU相手にやってればいいじゃん」グスッ

P 「さ、紗南…」

P 「…」

紗南「…」

P 「紗南、ごめんな。俺今日は帰るよ」

紗南「あ、ぴ、Pさん…」

P 「申し訳ないけどそのゲームは片付けてから帰ってくれな」

P 「じゃあな…」

紗南「あ…」

紗南「…」

紗南(い、言いすぎちゃったかな…?)

紗南(私が悪いんだよね、たかがゲームなのに熱くなっちゃって…)

紗南(…うん、明日会ったら謝ろう)

紗南(そしたらまた一緒にゲームして遊んでくれるよね?)グスッ

ちひろ「ただいま戻りました~」

ちひろ「あれ?紗南ちゃんだけ?プロデューサーさんは?」

紗南「!!あ、あたし今日は帰るねっ」タッタッタッ

ちひろ「え、紗南ちゃん?!あーあー、ゲーム出しっぱなしで…」

ちひろ(でも紗南ちゃん…泣いてた?)

~次の日~

P 「お疲れ様で~す」

ちひろ「お帰りなさい」

紗南「あ、あのさ、Pさん…」

P 「紗南…悪いな、ちょっとちひろさんと話があるんだ」

P 「長くなると思うから今日は先に帰っててくれ」

紗南「う、うん…」

P 「ちひろさん今時間大丈夫ですか?」

ちひろ「は、はい、大丈夫ですけど…」チラッ

紗南「お先に失礼します…」トボトボ

~さらに次の日~

P 「ただ今戻りました~」

紗南「あ、あn」

P 「おっ、今日もだらだらしてるな~、杏」

P 「ヒマか?ヒマだろ?」

杏 「見てわからない?杏はだらだらするのに忙しいの」

P 「そっか~、家まで送ってやろうと思ったんだけどな~」

杏 「別にいいよ、きらりに送ってもらうし」

P 「そっか~、明日からのオフの話もあったんだけど、じゃあ無しってことで」

杏 「オフ?!」

P 「いや、働いてくれるならいいんだ。ほいじゃまた明日な」

杏 「ま、待って!詳しい話を聞かせてもらおうじゃないか!」

P 「よし。続きは車の中でな」

P 「じゃあちひろさん、お先に失礼します」

P 「あとのことは予定通りお願いします。何かあったら連絡ください」

ちひろ「はい、お疲れ様でした~」

紗南「……」

紗南「…明日にしよ」

さすがに明日に響くのでこれくらいで…。
まだ予定の半分くらいなんですが…また夜の再開になると思います。
もし読んでくれている方がいたら遅くまでお付き合いありがとうございました。

こんばんは、お疲れ様です。
用事が済みましたのでこれから書きたいと思います。今日中に終わるかな…

~さらに翌日~

紗南「……」

ちひろ「そろそろ事務所閉めますよ~」

ちひろ「あら、紗南ちゃんこんな遅くまでいちゃダメよ?」

ちひろ「危ないから一緒に帰りましょ?」

紗南「ちひろさん、Pさんは…?」

ちひろ「あ、プロデューサーさんに用事だった?私が伝えておこうか?」

紗南「う、うぅん、そういうわけじゃないけど今日見かけなかったから…」

ちひろ「今日プロデューサーさんは現場から直帰だったの。聞いてなかった?」

紗南「なら、いいんだ。も、もう帰るねっ」ダッ

ちひろ「あっ、だから危ないから一緒に帰りましょうって…」

ちひろ「…行っちゃった」

ちひろ「はぁ。プロデューサーさんもどういうつもりなんでしょうかね?」

~さらに翌々日~

紗南「あの、ちひろさん…今日はPさんは…」

ちひろ(ふぅ~)

ちひろ「今日はプロデューサーさんお休みなんだって」

紗南「で、でも今までPさんが休んだことなんて一度も…」

ちひろ「うん、私にもよくわからないんだけど、今日はお休みします、って」

紗南「あのさ、Pさん他に何か言ってなかった?」

ちひろ「他にって?」

紗南「例えば…その…仕事辞めるとか…あたしの担当外れるとか…」

ちひろ「そんなことあるわけないわよ、大丈夫大丈夫」

紗南「そうだよね…じゃああたしレッスン行ってきます…」

ちひろ(ホント何考えてるんですかね、あの人は…)

ちひろ(これ以上紗南ちゃんを落ち込ませるようなことがあったら許しませんからね)ピキピキ

~さらに翌々々日~

紗南(もうちひろさんに聞かなくたって

わかる)

紗南(Pさんの予定が書いてあるホワイトボードは真っ白)

紗南(今日も事務所には来ないってことだ)

紗南(……)

紗南(…電話してみよう)ピッ

電話「……」

電話「…ピッ」

紗南「あ、ぴ、Pさ…」

電話「」オカケニナッタバンゴウハ…

紗南「…」ピッ

紗南「……」

紗南「…帰ろ」

~さらに翌々々々日~

紗南(わかってる、今日もホワイトボードは真っ白)

紗南(Pさんが来ないのはわかってる)

紗南(でも私はレッスンが終わってもここにいる)

紗南(何をするわけでもなくずっとここで待ってる)

P 「おっ、紗南が空き時間にゲームしてないなんて珍しいな」

紗南「ゲームなんてやる気になれないよ…」

P 「ど、どうした紗南。熱でもあるのか?!」

紗南「はぁ…もうアイドル辞めようかな…」

P 「はぁ?!ほ、本気で言ってるのか?!」

紗南「もううるさいな…そんなのあたしの勝手…」

紗南「え?ぴ、Pさん?今日は休みじゃないの?!」

P 「ん?いや、そんなことはどうでもいいんだ」

P 「アイドルを辞めるって本気で言ってるのか?!」

紗南「だって…だって…」グスグスッ

P 「え?!ど、どうしたんだよ。誰かに虐められたか?ゲームで負けたのか?おなかでも痛いのか?」オロオロ

紗南「……」ウッウッ

P (えぇ~、俺こんなの聞いてないよぉ~。こういうの苦手なんだよぉ~)

P (とりあえずこんな所見られたらヤバい。早くなだめないと…ん?どこからか視線が…)チラッ

ちひろ「…」ジー

P (あ、これもう俺終わったわ)

P 「紗南、大丈夫か?もう落ち着いたか?」

紗南「うん…」

P 「何かあったのか?…その…アイドル辞めたいと思うようなことが」

紗南「Pさんはさ…あたしのこと嫌い?」

P 「え、なんで?何か俺したっけ?むしろ好きだよ、うん、超好き」

事務所内「?!」ガタガタッ

ちひろ(そういうことあんまり事務所内で言わないでくれないですかねぇ…)

紗南「で、でもさ最近あたしのことさ、避けるみたいにさ…」

P 「い、いや、それは…」

紗南「昨日もさ、電話したのに出てくれないし…」

P 「あのな、それにはな…あー、山より深く谷より高い理由がだな…」

P (何言ってんだろ、俺…)

P 「とにかくだな、絶対そんなことないから、うん」

紗南「ホント?」

P 「本当だって」

紗南「絶対?」

P 「うん、絶対」

紗南「わかった…」

P 「さ、じゃあ顔洗って来い。そしたら話があるから…」

紗南「うん…」テクテク

ちひろ「Pさん、後で話がありますから残ってくださいね」ギロッ

P 「えぇ~…」

ドア「バタン」

紗南「ごめんね、Pさん。もう大丈夫だから。で、話って何?」

P 「いやさ、大した話じゃないんだけど…」

紗南「…」

P 「や、やっぱり今度にするか?」

紗南(あ、やっぱり良くない話なんだ…)

紗南(私が泣いたから話しにくくなっちゃったんだよね。うん、これ以上Pさんに迷惑はかけられない)

紗南「…いいよ、今話して」

P 「そうか?じゃあ言うけど…」

P 「あのさぁ、紗南…」

紗南「…」

P 「もう一度俺と勝負してくれないか?」

紗南「…は?」

P 「ま、まぁわかるよ?!この前無様に負けておいて何言ってるんだってことは」

紗南「い、いや、そうじゃないけど…」

P 「でもな、俺はこの前の俺とは一味違う」

P 「いや、二味、四味違うといっても過言ではない」

紗南(何言ってんだ、こいつ…)

P 「あ、なんか調子出てきた」

P 「ほら、だからもう一回勝負しよ?ウイイレ」

P 「な?な?一生のお願い!これが最後だから!」

紗南(あ、あたしはこんな人のために落ち込んだりしてたの…?)

P 「な、いいだろ、紗南~」

紗南「はぁ…いいよ」

P 「おっ、さすが紗南。そうなれば善は急げだ。準備は俺がするから」カチャカチャ

紗南(なんかもう悩んでた自分が馬鹿らしく思えてきたよ…)

紗南(あ~、もういいや。けちょんけちょんにして憂さ晴らししよう)

紗南「言っとくけどね、Pさん。今日は手加減しないから」

P 「望むところだよ」キリッ

紗南(何でこんなに自信満々…?いや、騙されちゃいけない)

紗南「で?今日はどこのスタジアムにするの?」

P 「いや、今日はどこでもいいよ。天候も。大して意味ないんだな、知らなかったよ」

紗南(へ、今さら?知らなかった?)

P 「特に希望ないんだったらランダムでいいか」

紗南「う、うん…あたしは今回も日本にするね」

P 「そうか。それじゃあ俺は今回は…」

P 「エディットチームを使わせてもらう」

紗南(あぁ、やっぱり進歩なしか…)ガッカリ

P 「あー!今お前俺のこと馬鹿にしただろ!いーや、絶対にした!」

紗南(子供かよ…)

P 「今回は違う。マジで違う」

紗南「はぁ…まぁ一応聞いてあげるよ」

P 「俺はこの前気づいたんだ…」

紗南「はいはい」

P 「俺には決定的に人選のセンスが無いってことをな」

紗南「え?」

P 「だから俺は頼んだ、ちひろさんにな」

紗南「な、何を…?」

P 「ん?そりゃ人選だよ。一緒にサッカーの上手そうなアイドル考えてくださいーって」

紗南「じゃ、じゃあこの前のちひろさんとしてた大事な話って…」

P 「あぁ、それそれ。まぁもう一つお願いもあったんだけどな」ホワンホワン

~回想~

紗南「お先に失礼します…」トボトボ

P 「……」

P 「よし、紗南は帰ったな」

ちひろ「いいんですか?紗南ちゃん可哀想でしたよ」

P 「仕方ないんです、紗南に聞かれるわけにはいかないんで」

ちひろ「はぁ。で、大事な話って何ですか?」

P 「ちひろさんってアイドルに詳しいですよね?」

ちひろ「まぁ、この仕事してますからね。でもPさんの方が詳しいんじゃないですか?」

P 「いえ、俺じゃダメなんです。まだ日が浅くてこの事務所はともかく他事務所のアイドルなんて全然知らないんで」

ちひろ「なるほど。で、何が聞きたいんですか?」

P 「えーとですね。運動が得意なアイドルって誰ですかね?」

ちひろ「へ?茜ちゃんとかきらりちゃんじゃ駄目なんですか?」

P 「…単刀直入に聞きます」

ちひろ「は、はぁ…」

P 「サッカー得意そうなアイドルって誰ですかね?」

ちひろ「はぁ?!」

P 「そのですね、俺今度アイドルでサッカーチーム組もうと思ってるんですよ」

ちひろ「はぁ…」

P 「でもちょっといい人選が思いつかないのでちひろさんに相談しようかと」

ちひろ(番組の企画?でもフットサルじゃなくてサッカーだなんて…)

P 「ま、ま、気楽にでいいんで思いつく子を教えてくださいよ」

ちひろ「はぁ、そうですねぇ…」

~回想終了~

P 「そんなこんなで出来上がったのがこのチームだ。」

P 「やっぱり凄いよな、ちひろさん。名前聞いただけで豪華だもん」

P 「びびって失禁するなよ?」

紗南(まぁ…ちひろさんなら今までよりマシかな?)

P 「フォーメーションはオーソドックスな4-4-2のボックススタイル」

P 「まずはキーパーからの紹介だ!」

すいません、ちょっと風呂入ってくるので中断します。

P 「キーパーは諸星きらり!」

紗南「あ、そこは変わらないんだ」

P 「まぁきらりより背の高いアイドルなんてまずいないからな。それはいい人選だと褒めてもらった」

紗南(ゲームの人選だとちひろさんは思ってないだろうけどね…)

P 「両サイドバックは北川真尋、愛野渚」

P 「センターバックは木場真奈美、高峯のあだ」

紗南「はぁ」

P 「俺もこれを聞いた瞬間最高のコンビだと確信したよ」

P 「俺は高森藍子、如月千早のセンターバックはどうですかって言ったんだけどな」

紗南「はぁ?!」

P 「ふざけてるんですかって怒られちゃったよ」

P 「まさに鉄壁のディフェンスってやつだと思ったんだけどなぁ」

紗南(そりゃそうだ)

紗南「これって能力値設定ちひろさんがやったの…?」

P 「ん?いや、俺がやったよ。他事務所の子は特徴がわからんからちひろさんから特徴を聞いて設定した」

紗南(なるほどね)

P 「次は中盤だな」

P 「ボランチの1枚は向井拓海!」

P 「茜ほどの体力は無いにしろ拓海も肉体派だからな」

P 「パワー、ボディバランス、タックルの数値は高めにしておいた」

P 「茜より戦術理解度があるのも魅力だな」

紗南(あ、やっぱ人選ダメかも)

P 「もう1枚は澤穂希さん!」

紗南「え?」

紗南「聞き間違いかな。今誰って言ったの?」

P 「だから澤穂希さんだって。知ってるだろ?」

紗南「う、うん、知ってるけどさ。アイドルでチーム組んでるんじゃないの?」

P 「え?澤さんはアイドルじゃん。」

紗南「そ、そうなの?」

P 「そうだよ、ドリブル上手いし」

紗南「…」

P 「外でそんなこと言うなよ?とてつもなく失礼にあたるからな」

紗南(えぇ~…)

P 「トップ下の1人は結城晴!」

紗南「あ、トップ下にしたんだ」

P 「むしろ晴にはこっちの方があってる気もするんだよな」

P 「こう…パスの選択肢もシュートの選択肢もあるってのが」

P 「それにフォワードには使いたい選手がいたからな」

紗南「ふ~ん」

P 「もう一人のトップ下は徳川まつり!」

紗南「ほ?」

P 「ん、やっぱり紗南も知らないか」

P 「765さんのところのアイドルらしいんだけどな」

P 「この前のサッカー大会ではループシュート決めたり無回転シュート打ったりと獅子奮迅の活躍だったらしい」

紗南「そ、それは凄いね…」

P 「そんな大エースが我がチームに来てくれるとはありがたい」

P 「当然すべてのプレースキックは彼女に任せている」

P 「ファールには気をつけることだな」

P 「そして最後はフォワードだ!」

P 「まずは菊地真」

P 「いわずと知れた765さんのイケメンアイドルだ」

紗南「うん、真さんは知ってるよ」

P 「運動神経は抜群、スポーツ万能で格闘技にも精通しているらしい」

P 「ダンスも得意だからフェイントも得意だろう」

紗南(いつも思うけどそのこじつけは何なんだろう)

P 「紗南なんぞこの真さんがまっこまっこりーんにしてくれるから覚悟しておくことだな」

紗南「…」

P 「ラスト、もう一枚のフォワードは…」

P 「三好紗南」

紗南「へ?」

紗南「あ、あたし?!」

P 「正直に言おう、俺は対人戦で点を取ったことがなかった。というよりこの前まで対人戦をしたことがなかった」

紗南(え?それなのにあんな自身満々だったの?)

P 「それで俺は考えたんだ。どうやったら点が取れるかってな」

P 「思い出したのは現役の頃のことだ。どうしても点が取りたい、その気持ちがなきゃストライカーなんてできない」

P 「ということはどうしても点を取らせたいと思う選手にフォワードをやらせればいいと気づいたわけだ」

紗南(この思考のぶっ飛び具合はどうにかした方がいいと思うんだよね)

紗南「ん?!待って、それって…」

P 「俺が誰に活躍し、ゴールを決めて欲しいかと考えたときに真っ先に思い浮かんだのは紗南だった」

P 「だから俺は紗南をフォワードにしたんだ」

紗南「あ、ありがと…」カァァ

P 「礼を言うことは無い。俺の紗南が紗南を絶望の淵に叩き落すんだからな」フフンッ

紗南(お、お礼言って損した…!)ブルブル

P 「と、以上がスタメンだ。あとさ、覚えてるな、約束は」

紗南「負けたらいうこと聞くってやつ?うん、いいよ」

P 「あのさ…恥を忍んで言うんだが…」

紗南「どしたの?」

P 「俺が試合で紗南に勝てるとは思えない。だから頼みがある」キリッ

P 「俺がもし…もし1点でも取ったら俺の勝ちってことにしてくれ」

紗南(ん~、どうしよっか。でも勝てないって認めただけでも進歩だよね)

紗南(どう考えてもこの前みたいな感じじゃ点取られることはないだろうし)

紗南「わかった。いいよ、それで」

P 「悪いな、紗南」

P (ククク、馬鹿め、紗南。その油断が命取りだ)

紗南「あ、一応エディット選手の能力見ていい?」

P 「いいぞ。むしろ俺の渾身の力作を見てくれ」

紗南(ん~、良し。全体的に日本より皆能力高いね。これならこの前よりはマシかも)

紗南(あたしの能力が低めなのは納得いかないけど)

P 「なぁ、紗南。お前が見てるのは能力値だけか?」

紗南「ん?そうだけど」

P 「能力値もいいけど顔も見てくれよ、顔」

紗南「顔?」

P 「そう、顔。見ろよこのきらり。今にもにょわー☆とか言いそうだろ?」

紗南「え?た、確かに似てるけど…全員顔までエディットしてたの?」

P 「当たり前だろ、そうじゃなきゃ感情移入できないじゃん」

P 「結構大変なんだぞ?写真横に置きながら各パーツごとに似てるのを探すのは…」

紗南「う、うんそりゃ大変だろうね…」

P 「仕事から帰ってそれやってるとすぐに寝る時間になっちゃうんだよな。まぁ楽しいからいいんだけど」

紗南(対人戦やったことないとかいうのはそのせいか…)

紗南(確かに作りこんであって凄いけど、その前にやることあるでしょうが…!)

P 「いやー、初めて人に見せれて嬉しいよ」

紗南「え、これ誰に見せるでもなく一人で家でやってたの?」

P 「うん。だって俺こっちに友達少ないし…」

P 「それに売り出し中のアイドルの顔に似てるって言ったって、誰にも似てるかわかってもらえないじゃん」

紗南「Pさん…」ホロリ

P 「おっ、それは感動の涙か?凄いだろ~、紗南も結構似てると思うぞ?」

紗南(涙で霞んでよく見えないよ…)

P 「ほらほら、見ろよ紗南。目のところとかそっくりだろ?」

紗南「そ、それは後で見るからさ。今は勝負しよう勝負!」

P 「ん、そうだな。あとでじっくり見てくれ」

P 「よし、じゃあ勝負だ」

ゲーム「ピー」Kickoff

紗南(さーて、どうするかね。普通にやったらこの前の二の舞になっちゃうし3-0くらいに留めておきたいよね)

紗南(んじゃ、今日はダイレクトシュートのみにするかな。ドリブルからのシュートは無し)

紗南(日本シュート下手だしダイレクトならそうそう入らないでしょ)

紗南(ではでは本田で中央突破を…)

紗南「あっ」

P 「わはは、どうだ。木場さんのタックルは鋭いだろう」

紗南(この前はスライディングしかしてこなかったPさんが×ボタンのタックルだと…?)

紗南(ま、偶然だよね、偶然。さっさと取り返して…)

P 「えーっと、あんまり上画面見ないで下の画面のマーク見ながらパス回すんだったな~」ポチポチ

紗南(い、意外といいパス回しするじゃん)

P 「おっすげぇ、サポート意識リスキーにするとちゃんと真尋上がってきてくれるんだな」スルーパス

紗南(え?え?え?)

P 「低いセンタリングって何回○押せばいいんだっけ?ま、いっか。連打すれば」ポチポチポチポチ

P 「いや、いいボール!決めろ紗南!」シュート

P 「あーあー、紗南ふかしやがった。でもファーストシュートは俺だったな」

紗南「ちょ、ちょっと待ってよPさん!」ポーズ

P 「ん、なんだよ?」

紗南「何で急に上手くなってるの?!」

P 「そりゃあ練習したもんこの3日間」

紗南「え、でも今までだってやってたんでしょ?3日練習したくらいで…」

P 「いや、俺買ってからエディットチーム作るのしかやったこと無かったんだよね、楽しかったし」

P 「だからこの前紗南と試合したときが初めての試合だったよ」

紗南「はぁ?!」

P 「しかもこの3日間の練習は普通の練習じゃない。師匠を迎えての厳しい特訓の日々だったからな」

紗南「はぁ…え、ちょ、ちょっと待って。じゃあ最近仕事休んでたのって…」

P 「うん、ずっとウイイレやってた」

紗南「」

P 「とはいっても我流じゃ限界があるからな。杏師匠に協力を頼んだんだ」

紗南「杏さん?!じゃああの日私を無視したのって…」

P 「ん?俺紗南を無視なんてしたか?気づかなかったわ、ごめん」

P 「まぁ俺もその頃は紗南に勝とうと必死だったからな」ハハッ

P 「うん、あの特訓は辛かった」ホワンホワン

~回想@車の中~

杏 「で、オフ、オフの話は?」

P 「まぁ慌てるな杏。このオフを得るには2つの条件がある」

杏 「えー。めんどくさいのだったらヤだよ」

P 「安心しろ。そんなに大変なことじゃない。むしろ杏にとっても良い条件かもしれん」

杏 「ふーん。で、内容は?」

P 「まず1つ。明日の仕事が終わったら2日間オフをやろう。で、その間俺をお前の家に泊めてくれ」

杏 「は?嫌だよ。なんでプロデューサーをうちに上がらせなきゃいけないのさ」

P 「まぁそう言うなって。代わりに炊事洗濯ゴミだしから部屋の片付けまで俺が全部やってやろう」

P 「どうせ部屋散らかってるんだろ?」

杏 「む、確かに…手出さないでよ?」

P 「ははっ、そんなことするわけ無いだろう」

杏 (なんかそれはそれでムカつくね…)

~翌日~

P 「お邪魔しま~す。っておぉ、散らかってんな。服くらい片付けとけよ」

杏 「次の日にかたしてくれる人がいるのに片付けるわけ無いじゃん」

P 「そりゃそうか。んじゃ、とりあえず片付けから始めるか」

杏 「私はそこで寝てるから」ゴロン

P 「おう、お疲れ。片付け終わって飯作ったら起こすから」

P 「うわ、下着まで落ちてる。さすがにこれは片付けておけよ」

P 「あいつどれくらい食べるんだろ?まぁハヤシライスでも作っとけば量調整できるし初日はいいだろ」

P 「…」リョウリチュウ

P 「おーい、杏。飯出来たぞ」

杏 「ん…うわ、部屋めっちゃ綺麗じゃん」

P 「いや、今までが汚すぎただけだろ。ま、まずは飯食え、飯」

杏 「いただきまーす」パクッ

杏 「ん、美味しいよこれ」

P 「お、そうか。なら良かった」

杏 「はー、いいね。黙ってても食事出てくるってのは。プロデューサーずっとうちにいてもいいよ?」

P 「わはは、そういうわけにもいかんがな。杏が俺にゲームを教えてくれる限りは快適な環境を提供しよう」

杏 「別にどうでもいいけど、なんでウイイレ上手くなりたいなんて言い出したの?」

P 「ちょっとコテンパンに負けちゃってな。見返してやりたいんだよ」

杏 「はぁ。でも別にゲームでしょ?負けたっていいじゃん」

P 「俺もそう思ってたんだがな。遊んでやるかくらいの気持ちで」

P 「でも俺は人と楽しめるレベルにも達してなかったみたいでな。ちょっと申し訳なくて」

杏 (あれ?プロデューサーってこんなに良いやつだったっけ?)

P 「やっぱプロデューサーたるものアイドルに舐められちゃいかんよな」

P 「次戦で力の差を見せ付けて尊敬を得ると共にどっちが格上かってことを思い知らせてやるのだ」

杏 (あ、良かった。やっぱりクズだ、クズ)

P 「ということで杏、よろしく頼む。そのためにはどんな辛い練習にも耐える所存

杏 (努力の方向性間違ってる気がするな~)

杏 (ま、適当に苦手なとこアドバイスしてあげりゃいいっしょ)

杏 「んじゃ、とりあえずCPU戦やってみてよ。どれくらいの実力か測るから」

P 「了解。CPUって強いのか?」

杏 「え?やったことないの?」

P 「ないよ。エディットチーム作るくらいしか時間なかったもん」

杏 (ふ、不吉な予感が…)

ゲーム「ピー」Kickoff

P 「うわ、パス強いよ」

杏 「…」

P 「え?なんで味方いないところにパス出すんだよ」

杏 「…」

P 「うわ、シュートふかした。宇宙開発ってやつだな」

杏 「…」

P 「うおっ、CPUのくせにドリブル上手い」ゴール

杏 「…」

P0-1CPU

ー終戦ー

P 「どうだった?俺センスあるかな?」

杏 「プロデューサー…」

P 「うんうん」

杏 「諦めた方がいいよ」

P 「え?!」

杏 「間違いなくセンス無いね。あれじゃ誰にも勝てないよ」

P 「い、いやそういうわけにもいかないんだよ。明後日試合するつもりだし…」

P 「何より2日間有給を取ってしまった。仕事休みじゃすること無いじゃん」

杏 「へ?じゃあ普段休みのときって何してるのさ?」

P 「いや、毎日誰かしら仕事はあるからな。俺が休むわけにもいかんだろう」

P 「家に帰るより事務所泊まってる日のほうが多いかもしれないな」

杏 「」

P 「あ、時間あるときは帰ってウイイレやってるよ?でもほらあんま時間無くてエディットする時間しかないんだよ」

杏 「プロデューサー…」

P 「な?だから頼むよ」

杏 「うん。一から教えたげるよ」ホロリ

P 「おっ、そりゃありがたい。俺学生の頃フランスW杯のウイイレやって以来のウイイレなんだよ」

杏 (15年前?!)

杏 「はぁ…説明書は読んでるよね?」

P 「うぅん、説明書無しだと中古で500円引きだったから、ついてないの買った」

杏 (コイツ、ことごとくふざけてやがる…)

杏 「じゃあ、あたしのやつ読んで。まずはそこからだよ」

P 「へー、ほー、ふーん…」ヨミヨミ

P 「よし、わかった」

杏 「ホント?」

P 「ボタン押す長さでパスの強さ変わるのね。知らなかったわ」

P 「挙句の果てに味方いないところにもパス出せるのね。技術の進歩ってすげぇなぁ…」

P 「俺今なら余裕で勝てる気するわ」

杏 (なんでこんなすぐ調子に乗れるんだろう…)

杏 「んじゃ、あとはCPU戦で練習して」

P 「おうよ」kickoff

P 「…!」ガチャガチャ

杏 「ん…?ちょっと待って」

P 「どした?」

杏 「何で十字キー使ってるの?」

P 「え、それ以外何使うってんだよ」

杏 「いや、普通はこっち使うんだけど」左スティック

P 「そうなの?でも俺こんなのまともに使える気しないんだけど」

杏 (こりゃ前途多難だね…)

~次の日~

杏 「多少まともになったね」

P 「そうだろ、俺はセンスの塊だからな」

杏 (私が起きたときにはやってたから徹夜でやってたんだろうね。なにもそこまで…)

P 「で、どう?俺勝てるかな?」

杏 「はっきり言って…無理だろうね」

杏 「多少マシになったレベルで普通に下手だし」

杏 「相手は紗南でしょ?まぁあの子には勝てないだろうね」

P 「う~ん、そっか…ん?なんで紗南だってわかったの?」

杏 「そりゃうちの事務所でゲームやる人なんて紗南かありすしかいないじゃん」

杏 「ありすも下手だからプロデューサーが負けるとしたら紗南でしょ」

P 「凄いな、探偵みたいじゃん。今度都と一緒に探偵ドラマでも出るか?」

杏 「いや、誰でもわかるよ…ってかプロデューサーもういいんじゃない?」

杏 「勝てないだろうけど、まぁまともな試合にはなるよ?それでいいじゃん」

P 「いや…それじゃダメなんだ。俺はアイツを見返してやらなきゃいけないんだ」

P 「そのためには点を取って完勝、これしかないんだ。な、頼むよ杏?!」ガバッ

杏 「わかった、わかったから!」

杏 「でもそしたらあれだね。作戦をたてよう」

P 「作戦?」

杏 「点を取る形を一つ覚えてそれを完璧にする。それしか可能性は無いよ」

P 「なるほどね」

杏 「私が得意なの一つ教えてあげるから、それ徹底的に練習しよう」

P 「なるほど、よろしく頼む、杏師匠」

杏 「うん、まずはだね…」

~さらに次の日~

P 「見た?!見た?!」

杏 「見たって…」

P 「いや~、初めて杏から点取ったよ~」

杏 「まぁ私は守備しかしてないけどね」

P 「いや~、完璧なゴールだったねぇ」

杏 「あまり耳元で騒がないでくれるかな…」

P 「んじゃ、このゴール記念にセーブしとくね。何度も見返してくれ」

P 「よし、残り時間は少なかったが間に合った。これから紗南に勝負を挑んでくる」

杏 「良かったね、さぁいってらっしゃい」

P 「え、なんか杏冷たくない?」

杏 「私は徹夜で眠いんだよ…」

P 「わはは、根性無しめ。では行ってくる。勝利報告を楽しみにしててくれ」

杏 「ん~」ヒラヒラ

杏 (まぁ万が一にも勝つことはないだろうけど…)

杏 (私が出来ることはした…)

杏 (あ、もう無理。寝よ)バタン

~回想終了~

P 「ということだ。昔の俺とは違う。こころしてかかってこい」

紗南(そ、そんなことしてたんだ…)

紗南(とはいえ、そんな付け焼刃…)

紗南(ドリブルで崩してみせる!)

紗南「あっ」

P 「わはは、これが仲間プレス。思い知ったか」

紗南(ならばスルーパスで…!)

P 「キーパー飛び出し!いいよー、さすがきらり脚速いよ~」

紗南(ならセンタリングで…!)

P 「のあさん!いいよー、さすがのあさんヘディング強い」

紗南(くそっ)

ゲーム「ピッピー」ハーフタイム

紗南(仕方がない、本気でいこう…)

ゲーム「ピー」コウハンカイシ

紗南(Pさんのサッカーはサイドバックが上がる。そこを突けば…)パス

P 「あれ?渚どこにいるんだ?」

紗南(そして選手の能力値は高いがPさんは上手くない。そこをついたアーリークロス…)

P 「あっ、違うよ木場さん!そっちじゃない!」

紗南(あとは流し込むだけ…)

P 「きらり!止めろきらり!」

紗南「よしっ」ゴール

P 「くっ、これで勝ったと思うなよ、紗南」

紗南「ふふん」

P (落ち着け…杏が教えてくれたようにやるんだ…)

P (まずはサイドから中に動いてディフェンスを引きつける…)

P (そこから澤さんにはたいてダイレクトで裏に走っている真尋を使う…)

紗南「あっ」

P (えぐってそこからの低いクロス…)

P 「真さん!決めてください!決めろ真ォ!」

紗南「…!」ポロッ

P 「こぼれた!紗南!紗南!紗南!」ゴール

P 「見た?見た?見た?俺の紗南が点決めたよ、俺の紗南が!」

紗南(俺の俺のって…)カァァ

P 「いや~、美しいゴールだ」

P 「これだよ、これ。これが俺の実力ってやつですよ」

P 「華麗な展開から紗南が押し込む。プラン通りじゃないっすか」

P 「これを俺だけが堪能するのはあまりにももったいない。セーブして代々この事務所に受け継いでもらおう」

P 「見た?紗南も。美しいゴールだろ?」

紗南「Pさん…」

P 「おっ、なんだ?思う存分感想を聞かせてくれ」

紗南「…リプレイ何度も見せつけるのやめてくれない?」

P 「え~、いいじゃん。いいゴールだったんだから。もっと褒めてもいいんだよ?」

ちひろ「プロデューサーさん?」

P 「ね、ね、ちひろさんもそう思いますよね?」

ちひろ「お仕事をしてる人もいるので少し静かにしてもらえますか?」

P 「えっ、あっ、はい、すいません…」

P 「…」

紗南「…」

P 「続き、しよっか…」

紗南「うん…」

ちひろ(その後も一進一退の攻防は続いた)

ちひろ(最初こそ同等だった戦いも、紗南ちゃんがプロデューサーさんがサイドからの攻めしか出来ないのを見破ってからはプロデューサーさんの防戦一方だった)

ちひろ(そして…)

P 「あっ」ファール

P 「ちょっと拓海~、プレー荒いよ~」

紗南「ここからなら直接狙えるね」

P 「ん?直接狙うの?」

紗南「うん」

P 「あ、じゃあちょっと待って」

紗南「え、どうしたの?」

P 「呪いかけるから」

紗南「は?」

P 「外せ~外せ~外せ~外せ~」

紗南(ホントにこの人社会人なのかな?)

紗南(ま、いいや、無視無視。よーし)ポチッ、ポチッ

紗南「よしっ」ゴール

P 「えっ、今ブレなかった?」

紗南「最近のウイイレはブレ球蹴れるんだよ」

P 「あっ、そうなの?すげーなぁ…」

P 「うん、これもいいゴールだからセーブしとこう」

P 「まだ10分あるし。逆転も余裕だな」

紗南(この根拠無い自信はどこから来るんだろうね?)

P 「いーよぉー、まつりさん軽快だよー。」

P 「晴!紗南に出せ!フリーだよ!」

P 「紗南!打て!打て!」シュート

P 「あぁ~、紗南~。シュート弱いよ~」

紗南(なんかあたしだけディスられてて納得いかない)

ゲーム「ピッピッピー」シアイシュウリョウ

P1-2紗南

ー終戦ー

もう…ダメ…
眠くて話が雑になってきたので今日はここら辺で終わりにします。

朝9時くらいから再開します。あとはエピローグをいれて終わりです。
もし読んでいてくださってる方がいたらこんな時間までありがとうございました。

おはようございます。
あとはもう終わりに向けて再開します…

P 「あー、負けたか…」

紗南「でもいい試合だったよ。Pさん凄く上手くなってた」

紗南「それとさ…」

紗南「この前はごめんね…あたし熱くなって言いすぎちゃって…」

P 「ん、気にするな。俺も悪かったしな。それに…」

P 「今日は俺の勝ちだからな。気分がいい」

紗南「へ?勝ったのあたしじゃん」

P 「確かに試合には負けた。しかし俺は点を取った。これは試合に負けて勝負に勝ったということだな」

P 「約束どおり言うことを一つ聞いてもらうぞ!」ビシッ

紗南(まぁPさんが頑張ってたのはわかるし…)

紗南「いいよ、なんでもしたげる」

P 「よい覚悟だ。ではですね…」

P 「今度の日曜オフだろ?空いてる?」

紗南「ん?特に予定は無いけど…」

P 「んじゃさ、俺んち来ない?俺もオフにするから」

事務所内「?!」ガタガタッ

紗南「え?え?え?」

P 「あ、家わかんないか。駅まで来てくれれば迎えに行くから」

紗南「あ、うん…でもなんで…?」

P 「あー…」

P 「ここじゃ恥ずかしいからうち来たときに言うよ」

事務所内「?!」ガタガタッ

ちひろさん(だから事務所内でそういうことを言うなと…)

事務所内「」アッ、マユチャンガタオレタ!ミフネサンモシロメムイテマス!

P 「よしっ、じゃあ日曜にな」

紗南「う、うん…」

P 「あ、ちゃんと変装して来いよ?いつ誰に見られてるかわかったもんじゃないからな」

P 「ちひろさーん、せっかく事務所来たし仕事手伝いますよー」

紗南(日曜、か…)

~日曜日~

紗南(へ、変じゃないよね?一番いい服着てきたし…)

P 「おーっす、紗南」

紗南「あ、Pさん…」

P 「なんだよ、しおらしいな。おー、でも私服も新鮮で可愛いな。さすがアイドル」

紗南「そ、そう?」

紗南(良かった…)

P 「でもそんないい服着てこなくてよかったのに。皺になっちゃったらアレだし」

紗南(服が皺になる…?)

P 「とりあえず、さっさと行くか。外は一応危ないしな」

紗南「う、うん…」テクテク

P 「ここが俺の家だ」

紗南「結構普通のマンションなんだね」

P 「そりゃ俺は一般人だからな。学生の頃から使ってて住み慣れてるし」

紗南「そうなんだ、お邪魔しまーす」

P 「おう、お茶でも入れてくるからリビングで待っててくれ」

紗南(リビングはここかな?)ガチャ

紗南「」

紗南(布団敷いてあるんですけど…)

紗南(こ、これはあれだよね、起きてそのままってことだよね?)

紗南(い、いやそれにしてはシーツの端がきれい過ぎる…)

紗南「あ、あのさ、Pさん」

P 「ん~?どした?」

紗南「布団出しっぱなしだけど片付けなくていいの?」

P 「あー、いいよ。すぐ使うと思って準備したんだから」

紗南(え?え?え?)

紗南(P『服が皺になるから…』P『布団はすぐ使うから…』こ、これって…)

P 「お待たせ~、紗南。早速いいか?」

紗南「い、いやっ、あたしちょっと心の準備がっ」

P 「ん、そうか?まぁ時間はたっぷりあるしな」

紗南(じ、時間はたっぷり…?!)

P 「ま、とりあえずお菓子でも食ってからにするか」

紗南「うん!それがいいよ!」

紗南(どうしよう…いくらなんでもこんなのは予想してなかったよ…)

P 「」モグモグ

紗南「」ポリポリ

P 「あのさぁ、紗南」

紗南「!」ビクッ

P 「そろそろいいか?」

紗南「ちょ、ちょっとだけ待って!」

紗南「…」スーハースーハー

紗南「うん、いいよ」ドキドキ

P 「あのな紗南、俺に…」

紗南「…」ドキドキ

P 「モンハン教えてくれない?」

紗南「……」

紗南「は?」

P 「いや、俺知ってるんだよ?紗南が移動中にずっとモンハンやってるの」

P 「それ隣から見てて面白そうだなー、と思って買ったんだけどさ」

P 「あれ難しくね?一人じゃなんもできないんだよね」

P 「オンラインに出てもみたんだけど誰にも相手されなくてさ」

P 「まだキノコ運ぶクエストしかクリアしてないんだよ」

P 「ってことで、一緒にやりながら俺に教えてよ」

P 「今日もどうせやりながら来たんだろ?」

紗南(そ、そんなことだったか…)

紗南「はぁ…」

P 「え、そんなに嫌か?なぁ頼むよ~」

P 「あ、違うよ俺勝ったもん。ほら、約束だよ約束」

紗南(しかもうるさい…)

紗南(はぁ…まぁ負けたのは確かだし…)

紗南「ん、いいよ」

P 「よっしゃ、さすが紗南」

紗南「で、でもさ。この布団はなんで…」

P 「だって寝転がってゲームするだろ?」

P 「直接床に寝たら肘痛いじゃん」

紗南(ぐっ、納得の理由…)

P 「あ、服が皺になるの嫌だったらジャージ貸すぞ」

紗南「ん、いいよ、大丈夫」

P 「そうか、じゃあ早速やろうぜ。俺ずっと日曜楽しみにしてたんだ」

紗南(そっか、楽しみに、ね…)

紗南「うん、今日は一日中付き合ってあげるよ」

P 「よし、ちょっと待っててくれ。持ってくるから」

紗南「Pさん早く早く!」

紗南「あたしはクエスト準備おっけー♪」

ー終わりー

続編書けってことですかね?!(ポジティブ感)
お付き合いありがとうございました、html化依頼してきます~。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月26日 (土) 01:39:27   ID: YH_KYgie

澤wwww

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