水銀燈「砂糖たっぷりの卵焼き」(46)

金糸雀「おっ昼ごはん!おっ昼ごはん!」

金糸雀「今日もみっちゃん特製のお弁当かしら!」パカッ

金糸雀「わぁー卵焼きたくさん入ってるかしら!」キラキラ

金糸雀「みっちゃんありがとうかしら!」

金糸雀「それじゃ、いっただきまーs」

カァーカァー!! バサバサ

カシラー!!

水銀燈「うん?今なんか聞こえた?メイメイ?」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「ふーん…いってみましょう」バサッ

バサバサ カァー!!カァー!!

水銀燈「…なにかしらぁ…あれ…?」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「なんかエサにでも群がってるのね。汚ならしい」

カシラー…

水銀燈「…うん?」

メイメイ<チカッ

水銀燈「…はぁーしょうがないわね…ほら、あんた達どっか行きなさい」シュバッ

カァー!? カァーカァー!!

バサバサ

金糸雀「う、うぅ…た、助かったかしらー…」ボロッ

水銀燈「…なにやってるの…貴女は…」

金糸雀「あ、水銀燈…貴女が助けてくれたのかしら?」

水銀燈「別にぃ…汚いカラスが見苦しかったから追い払っただけよ」

金糸雀「それでもありがとうかしら。命拾いしたかしら」

水銀燈「カラスごときにやられるなんておっかしい…」クスクス

金糸雀「もうっ…あぁー…やっぱりお弁当ぐちゃぐちゃかしらー…」グスン

水銀燈「うわっ…なにそれ…きったなーい…」

金糸雀「さっきまでは美味しそうなお弁当だったかしら…」

水銀燈「ふーん…」

金糸雀「あ、でも卵焼きが一個だけ生き残ってるかしら…?」ヒョイ

水銀燈「止めときなさいよ。みっともない」

金糸雀「むむむっ!みっちゃんの卵焼きは絶品なんだから!それにカナのために折角…」

水銀燈「はいはい。意地汚くてやーね」

金糸雀「むー…」

水銀燈「…貴女ってそんなに食い意地張ってた?」

金糸雀「別に普通かしら?でもこの卵焼きは本当に美味しいかしら」

水銀燈「へぇー…」

金糸雀「あ、そうだ!水銀燈にも半分あげるかしら」モソモソ

水銀燈「はぁ?いらないわよ…そんなカラスにつつかれたの…」

金糸雀「だーかーらー!これは無事なやつかしら!ほら、あーんするかしら!」アーン

水銀燈「貴女が大口開けてどうするのよ…自分で食べるからいいモガッ」

金糸雀「どうかしら?美味しいかしら?」

水銀燈「…」モグモグ

金糸雀「…」ニコニコ

水銀燈「あ゛っまーい…」

金糸雀「でも美味しいかしら?」

水銀燈「こんな甘いのがおかずなんておかしいんじゃないの?」

金糸雀「そうかしら?ま、残り半分はカナが食べるかしら」パクッ

水銀燈「…」

金糸雀「んー!美味しいかしらー!」パアァ

水銀燈「…本当に好きなのねぇ」

金糸雀「もちろんかしら!今日は少ししか食べれなかったけど…」シュン

水銀燈「それなら私に分けなくてもよかったじゃない」

金糸雀「んー…それとこれとは違うかしら」

水銀燈「はぁ?」

水銀燈「…はぁ…私はもう行くわぁ」バサッ

金糸雀「えぇー…もうちょっとお話しするかしらー」

水銀燈「生憎私は貴女みたいに暇じゃないの」

金糸雀「むぅ…カナだってこう見えて忙しいんだから!」

水銀燈「はいはい。じゃあね」バサバサ

金糸雀「もうー!最後まで聞くかしらー!」

水銀燈「…」バサバサ

金糸雀「…水銀燈ー!助けてくれてありがとかしらー!改めてお礼を言うかしらー!」

水銀燈「…」バサバサ








水銀燈「…」バサバサ

水銀燈「…卵焼き…ねぇ…」バサバサ

めぐ「あら、いつの間に来てたの?水銀燈」

水銀燈「ついさっきよ」

めぐ「そう…今日はなにかあった?」

水銀燈「…別になにも」

めぐ「そのわりにはいつもよりソワソワしてない?」

水銀燈「…気のせいじゃなぁい?」

めぐ「ふーん…じゃあそういうことにしといてあげる」

水銀燈「なんで上から目線なのよ…」

めぐ「ふふっ」

水銀燈「…ねぇ、めぐ」

めぐ「うん?なあに?」

水銀燈「…貴女って料理できる?」

めぐ「あはは…料理なんてしたことないよ。そもそも私にとって食べることに意味はないから」

水銀燈「…」

めぐ「自分の手料理食べさせたい人もいないしね」

水銀燈「…最初から期待はしてなかったわ」

めぐ「ひどいなぁ。水銀燈はどうしてそんなことを?」

水銀燈「…ただの気まぐれよ…忘れなさい」

水銀燈「あと料理できそうな知り合いと言えば…蒼星石と翠星石かしら…」バサバサ

水銀燈「…絶対にいやね…馴れ合いなんて死んでもごめんだわ…」

水銀燈「そもそも笑われるに決まってるわ…翠星石なんか特に…」

水銀燈「…はぁーあ…どうしよう…」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「え?別に…ちょっと料理でもしたら面白いじゃないかと思っただけ。気まぐれよ」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「…なんでここであの子の名前が出てくるのよ…」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「しつこいわねぇ…いい加減にしないと握り潰すわよ」

メイメイ<…チカッ

水銀燈「うん?…なるほどね」

深夜

水銀燈「今時の本屋は大抵なんでもあるのね」スルッ

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「はいはい。えーと、あの辺り?」テクテク

メイメイ<チカッ

『初めてのお弁当づくりbook』

水銀燈「ふーん…」ペラ

水銀燈「…」ペラペラ

水銀燈「…あった。これね。材料と作り方は…っと…」フムフム

…………

水銀燈「…めぐー」バサバサ

めぐ「あれ?どうかしたの?」

水銀燈「えっと…その…」モジモジ

めぐ「?」

水銀燈「うー…あの…ちょっとお願いがあるのだけど…」モジモジ

めぐ「うん、なあに?」

水銀燈「あの…少しおこづかいくれないかしら…?」カァァ

めぐ「??何に使うの?」

水銀燈「…それはちょっと…」

めぐ「…まぁいいよ。水銀燈も秘密にしたいことぐらいあるものね。500円ぐらいで足りる?」

水銀燈「…ええ」

真夜中・スーパー

水銀燈「えっと…卵が90円で…砂糖が…」

水銀燈「…なんとか500円におさまったわぁ。レジにお金を置いて…」チャリン

水銀燈「材料は確保ね。後は設備だけど…どうしましょう…」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「うっ…気が進まないけどそこぐらいしかないわね…いくわよ」バサッ

水銀燈「…重い」フラフラ

ソー

水銀燈「…誰もいないわね」ササッ

水銀燈「フライパンはどこかしら…?」ゴソゴソ

水銀燈「…あったわ。後はボウルと…」ゴソゴソ

水銀燈「んっー…大きくて出すのにも一苦労ね…」クグッ

水銀燈「材料も出して…」ガサガサ

水銀燈「こんなところかしら…」

水銀燈「…よし、揃ったところで始めるわよ」

水銀燈「卵…」トントン

水銀燈「うっ…手についたわぁ…あ、殻入っちゃたじゃない!」

水銀燈「えい!えい!取れない!?」

メイメイ<…

水銀燈「はぁ…なんとか…次はかき混ぜればいいのよね?」

水銀燈「…ん!なにこれ!」ガッチャガッチャ

水銀燈「人間用サイズだから使いづらいったらないわぁ!」ガッチャガッチャ

水銀燈「あ、砂糖もいれないと…」サッサッ

水銀燈「…こんなんでいいのかしら?」マゼマゼ

のり「ふぁー…トイレ行きたくなっちゃった…」ゴソゴソ

のり「んー…」トコトコ

のり「…あれ?」

ガチャガチャ
…ッモウ!ツカイヅライワネ!!…
ナニヨコレ…

のり「…音がする…?」ハッ

のり(も、もしかして泥棒!?)

のり(…)ソー

ガチャガチャ

水銀燈「…」

メイメイ<…

卵焼き<マックロ

水銀燈「…なんでよぉ…作り方はあってるはずなのに…」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「くっ…もう一回!もう一回よ!」ガッチャガッチャ

ガタン!

水銀燈「!?」バッ

のり「あ、音たてちゃった…!」

水銀燈「…貴女は…」

のり「あ、その…貴女は何を…?」

水銀燈「…勝手に忍び込んで悪かったわよ…もう来ないからこの事は黙っててちょうだい」

のり「え?でも…」

水銀燈「いいから。忘れなさい」

のり「…もしかして卵焼き作ってたの?」

水銀燈「…関係ないでしょ」

のり「…」チラッ

卵焼き<マックロ!!

水銀燈「な…なによぅ…」

のり「…」

のり「…ちょっと貸してもらってもいい?」

水銀燈「…はぁ?」

のり「えーっと…」トントン パカッ マゼマゼ

水銀燈「ちょ、ちょっと…(手際良いわね…)」

のり「混ぜるのはだいたいこのくらい。フライパンは最初によく暖めて置いて…」ジーッ

水銀燈「はぁ…」ジーッ

のり「うん。このくらいかな?そしたら卵を少しずつ流して…」ジュワー

水銀燈「…」

のり「で、これくらい火が通ったらこうして…」クルクル

水銀燈「わ…」

のり「これの繰返しだよ。はい、できあがり」ホカホカ

水銀燈(すごい…きれい…)

のり「今度は自分でやってみる?」

水銀燈「!…え、えぇ」

のり「そうそう!上手上手!」

水銀燈「こ、このくらいでいいかしら?」マゼマゼ

のり「うん!バッチリ!次はフライパンに…」

水銀燈「…よし」ドキドキ

ソー
ジュワー

のり「砂糖入ってると焦げやすいから気をつけてね。ほら、今ひっくり返して!」

水銀燈「!よっ…と…!あ、あぁ!」グチャ

のり「あ、形崩れちゃたね」

水銀燈「うぅ…」

のり「…大丈夫!練習すればすぐできるよ!」

水銀燈「そうかしら…」

ホラ!!モウイッカイ!!
イワレナクテモ ヤルワヨ

…………

カァーカァー

金糸雀「うっ…うっ…」グスグス

ピチカート<チカッチカッ…

金糸雀「また…またしてもやられたかしら…」グスグス

ピチカート<…

金糸雀「うっ…うっ…今回は全滅かしら…」ボロ

弁当箱<カラッポ

金糸雀「…折角楽しみにしてたのにー!」エーン!!

ピチカート<…

金糸雀「ううっ…もう無いものは仕方ないかしら…今日はお水だけで我慢するかしら…」

ピチカート<チカッ…

金糸雀「…はぁ…お腹ペコペコかしら…」トボトボ

水銀燈「あらぁ?またカラスなんかに襲われたのぉ?」

金糸雀「!いつの間にいたのかしら?水銀燈?」

水銀燈「ついさっきよぉ。というより服がずいぶん汚れてるじゃない」

金糸雀「うっ…今綺麗にするかしら…」パンパン

水銀燈「ちょっと、お尻の辺りはらえてないわよ」

金糸雀「え?どこかしら?」パンパン

水銀燈「まったく…ここよ」パンパン

金糸雀「わ、ありがとかしら」

水銀燈「お子様は手がかかるわねぇ」

金糸雀「またそんなこと言ってー…」

水銀燈「…ところで、貴女はまた昼食を盗られたの?」

金糸雀「…その通りかしら…お陰でテンションだだ下がりかしら…」ズーン

水銀燈「ふーん…」

金糸雀「はぁーお腹すいたかしら…」グゥゥ

水銀燈「…ねぇ」

金糸雀「うん?なにかしら?」

水銀燈「…えーっと…」モジモジ

金糸雀「?」

水銀燈「…もし…よかったら…ソノ…」モジモジ

金糸雀「??」

水銀燈「エト…ツクリスギタカラ…タマゴヤキ…」ボソボソ

金糸雀「うん?なんて言ったかしら?(なんか聴こえ辛いかしら…)」

水銀燈「ーーっ!!」カァァ

水銀燈「もう!なんでもないわよ!私帰る!」バサッ

金糸雀「え?いきなりどうしたかしら?」

水銀燈「知らない!知らない!知らない!」バサバサ

金糸雀「えぇー!?ちょっと!!水銀燈!!」

ピチカート<チカッチカッ!

金糸雀「あら?…水銀燈ー!なんか包み忘れていってるかしらー!!」

水銀燈「っ!」バサバサ!!

金糸雀「えぇ!?なんかめちゃくちゃ早く去って行ったかしら…」

ピチカート<…

金糸雀「置いてったのか…忘れてったのか…よく分からないかしら…」

金糸雀「うーん?なにかしら?これ?勝手に空けちゃうかしら」ゴソゴソ

金糸雀「…お弁当箱?」パカッ

金糸雀「…こ、これは!?」

ピチカート<チカッチカッ!!

金糸雀「すごい…!卵焼き弁当かしら…!」

ピチカート<チカッ

金糸雀「…ハッ!こんなところにいては行けないかしら!安全な所に…!」ササッ

ピチカート<チカッチカッ

金糸雀「同じ過ちはおかさないかしら!2回も横取りなんてされないかしら!」フワッ

ピチカート<チカッ

金糸雀「そうねー…じゃあそこへ移動するかしら」

金糸雀「うーん!美味しいかしらー」モグモグ

真紅「貴女はわざわざお弁当を食べるためだけにここに来たの?」

金糸雀「まぁいろいろ事情があるかしら」モグモグ

真紅「貴女の行動はたまに理解できないわ」

翠星石「それにしても見た目が悪い卵焼きですぅ…美味しいんですか?それ」

金糸雀「料理は見た目が全てじゃないかしら?」モグモグ

雛苺「金糸雀ーヒナにもちょっと分けて欲しいのー」

金糸雀「どうぞかしら!はい」ヒョイ

雛苺「んー甘くて美味しいの!」モグモグ

金糸雀「でしょでしょ!」

真紅「…見たところいつもみっちゃんさんが作ってる卵焼きとは違うようだけど…」

金糸雀「んーそのあたりは内緒かしら!」

真紅「?」

ワイワイ

水銀燈「…」ジーッ

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「…気分が変わったわぁ…今日のところはやめといてあげる」

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「…なに。私だってたまには機嫌の良いときぐらいあるわよ…」バサバサ

メイメイ<チカッチカッ

水銀燈「だからなんでそこであの子の名前が出てくるのよ」

メイメイ<…

水銀燈「ちょっと?なんか微笑ましいみたいな空気出すの止めなさい!」

バッサバサバサ

金糸雀「…?」

真紅「どうかしたの?金糸雀」

金糸雀「…ううん。なんでもないかしら」

金糸雀(そういえば水銀燈ってお茶の時間が大好きだったかしら…)

金糸雀(本人は否定してるけど…)

金糸雀(…)

金糸雀「翠星石、お願いがあるかしら!」

翠星石「うん?なんですか?」

金糸雀「紅茶にあうお菓子の作り方教えて欲しいかしら!」

翠星石「別にいいですけど…えらい突然ですねぇ…」

真紅「貴女が料理?珍しいわね」

金糸雀「ちょっと個人的にお茶会を開こうと思って…」

翠星石「お茶会のためにわざわざ手作りですか?面倒じゃないですか?」

雛苺「手作りじゃなきゃ駄目なの?」

金糸雀「うーん…だって」




金糸雀「大好きな人には自分の手作り食べさせたくなるものじゃないかしら?」

おわり
亀進行で申し訳なかった
銀金姉妹ほど需要と供給が釣り合ってないものは無いと思うの

ここまでありがとうございました

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