地の文は補助程度に有り。
はたらく魔王さまの二人がある世界へお邪魔します。
片方の世界も書いても良かったんですが、ストーリーが進むことで明るみになったほうが面白いかなと思いました。
まぁすぐ分かっちゃいますけどね。
一応どちらも原作は全て読んでますが、時系列は、双方アニメにしときます。
ちょっと恵美の技とかでネタバレあります。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1381127424
ビルの窓に反射する太陽の赤い光が、日本都心の夕暮れを醸し出していた。
そこに伸びる二つの影。その影の主達はかつてエンテ・イスラで戦った宿敵同士なのであった。
恵美「ぐ……ぐぐ……なんで私が魔王なんかと買い物を……」
真奥「お前がまた階段踏み外して、それを俺がまた受け止めたはいいがその衝撃で俺達の大事な卵を割ったからだ」
恵美「ま、まあいいわよ。それは申し訳無いと思ってるわよ」
真奥「ほんとに思ってんだろーな!?ラスト1パック1円だったんだぞ!?」
恵美「あーーーーーもううっさいわね!!!!買えばいいんでしょ買えば!!私が言ってるのは!なんであんたがついて来てんのかって事!!!」
真奥「それは俺が卵を選ぶ為だ!お前が払う以上、より良いもの!より高品質なものを選ぶ!」ビシィ
高く上げたその左手には、割れた卵の中身が汚らしく付着していた。
恵美「手くらい洗いなさいよ……ていうかこういうのは芦屋に任せれば良かったんじゃないの?」
真奥「いいのか?俺たちだけの秘密にしてないとお前グチグチ言われるぞ?芦屋の食べ物の恨みは凄まじいぞ?」
真奥「お前のせいで卵が潰れたなんて言ったらどうなるか……」
恵美「……わかったわよ」
真奥「まあ安心しろ、高級なものじゃなくて状態の良いものを選ぶだけだ。値段は普通だよ」
恵美「本当でしょうね……」
真奥「当然だ!俺を誰だと思っている!!!」
恵美「魔王ね。やっぱり信用できないわ」
真奥「それもそうだな……っと、こっち抜けた方が早く着くぞ」
恵美「ビルとビルの間なんて変なのに絡まれるかもしれないわよ」
真奥「一応少し遅くなるとは連絡したが、それでも今からのんびり行って帰ってきてたら時間食っちまうからな」
真奥「ちと物騒だが、勇者がついていれば怖くねえ」
恵美「勇者がついてないと裏道通れない魔王ってどうなの……」
真奥「ほら急ぐぞ恵美!芦屋達が俺達の帰りを待っている!……ん?」
恵美「はいは……え?」
ズズズズ……
真奥「この感じ……ゲートが開く!?」
恵美「ど、どこ!?感じる魔力が近すぎて方向が分からない!!」
真奥「………まずいぞ恵美、ゲートが開く場所は……」
真奥「……ここだ!!」
ズッ!!!!
恵美「わっ!?」フワッ
恵美の体が宙に浮き、突如開いた暗黒の"ゲート"に吸い込まれる。
真奥「なっ……恵美つかまれ!!!」ガシッ
恵美「ちょっ離しなさいよ!!」
真奥「アホか!お前を今エンテ・イスラに戻すわけにはいかねぇ!!」
恵美「……魔王……あんた……」
腕を右手で掴んだまでは良かった。
しかし真奥貞夫の体と遊佐恵美の体を、ビルに張り付くパイプを掴んで支えているのは…
卵黄と卵白まみれの、左手。
ゆえに。
ズルッ
真奥「あ」
恵美「あ」
真奥「くっそおおお!!恵美に卵を買わせるまで戻るわけにはあああぁぁぁ…………」
恵美「あんた卵が一番大事だったわけえええぇぇぇぇ…………」
バシュンッ!!
そしてゲートは閉じ、二人のいた空間はゴミが散らかっただけの裏道に戻る。
そこは、碧色の太陽が照らす荒地。
そこに一人だけしゃがみこむ黒い塊。
男「んーと、これか…?」
漆黒の鎧に漆黒の角兜を纏い、
男「……これか……?」ブチッ
草むしりをする男がいた。
男「だーーーもうわかんねぇよ!魔界の薬草なんて!」
男「大体なんだこの絵!!」ガサッ
男が広げた紙にかかれた、草らしき二種類の絵。
それは子供が書いたような線の集合体。
男「こっちが毒草でこっちが薬草だから気を付けるように?わっかんねぇよ!」
男「しかもなんだこれ!?"薬草の特徴:食べると苦い!" "毒草の特徴:食べると死ぬ!"」
男「ふざけんな!くそ!なんで見分けるのに生死を賭ける必要があるんだ!!」
男「こんなの誰が書いて……ああいや、わかるけどさぁ……なんであの子に任せるんだよ……」
ゴツイ鎧の男が一人で無理難題に対するツッコミを叫ぶのは、いささか滑稽な画だった。
男「……ん?」
…男はただならぬ気配を感じ、警戒態勢に入る。
圧迫感。何もないはずの空間が重く感じる。
男「攻撃?…いや、辺りにそんな気配は……何が起こって…」
ブゥン
突如、男の頭上に暗黒の穴が開く。そして。
恵美「きゃああああ!!」
男「え?」
ガチャンッ!!!
男「ぐえあ!!」
恵美「いっつつ……情けないわね魔王……ってあれ?」
女性が落ちてきた。
男「とりあえず早くどいてくれ!!」
恵美「わ!!誰か下敷きにしちゃってる!!」バッ
下に居るのが真奥貞夫ではない誰かだと気付いた遊佐恵美は、素早く飛び退く。
男「なんだってんだちくしょー」ムクッ
恵美「……うわぁ…」
遊佐恵美はドン引きした。
漆黒の鎧に角兜。悪魔でもこんな格好はしない。
こんな派手な鎧を着るのは少し腕が立つだけで調子に乗る馬鹿な人間くらいだと、遊佐恵美は判断した。
恵美「……どこで売ってたのソレ」
男「え、ああ…まあ何かと便利なんだよ。俺あんまり顔とか見られたくねーんだ」
恵美「…ふーん」
男(……し、信じてない…もしかして正体が、)
恵美の反応に男は、ついた嘘がバレたと思った…が。
恵美「見栄なんて張らなくていいわよ。はいはい、かっこいいかっこいい」
男(……ムカつくやつだな……まぁ、いいか)
見当違いだったゆえに、男はそういう事にしておく。
男「……てかなんだその格好……奇抜な人だな、それで魔力の向上でもできるのか?」
恵美「え、あ!!しまった勤務先の服のままだった…ん…………あれ?」
ここでようやく、恵美は重大な事に気づく。
恵美「……………日本語?」
男「どうしたんだ?」
恵美「あなた……どうしてエンテ・イスラ語じゃなく日本語なの……!?」
日本でこんな鎧を着る者など居ない。否、それ以前に…
男「はい?」
恵美「っ!!」バッ
恵美は空を見て確信する。
空に浮かぶ碧色の太陽が、エンテ・イスラでも日本でも無い事を表していた。
恵美(…エンテ・イスラじゃ無い!……この人日本語話してるけど、明らかに日本でもない…よね!?参ったわね……)
男「……あのー?」
恵美(……まずは状況整理ね。ここはどういう世界なのか調べないと。)
恵美(一番気になるのは、この人…人よね?…が日本語を話してること……)
恵美(っああーもう!仕方ない!私が初めて日本に来た時、出会った人に催眠術かけて色々訊きだしちゃったけど、今回もそうするしか無いか……)
恵美(……手持ちのホーリービタンは、二日分か……ぎりぎりゲートを開くくらいはできるかな)
男「おぉぅい……」
恵美「……ごめんなさい」
男「え?」
バッ!!
恵美は男に向かって催眠術を放とうと手のひらを向けた
男「っ!!!」
瞬間。
男「……なんのつもりなんだ?」ザッ
バックステップ。
目の前に居たはずの男は、一瞬で"間合い"をとっていた。
恵美(こ、こいつ……)
本当に一瞬だった。
肉体のみでは絶対に不可能な移動。
"他の力"を使わないと不可能な移動。
恵美が感じた"他の力"は。
恵美(今、こいつは!!)
恵美("魔力"を使った!!!!)
魔力を使う。それが意味する事は。
恵美「あなた悪魔だったのね……騙される所だったわ」
男「はいぃ!?」
男は素っ頓狂な声をあげるが、恵美の目は既に"敵"を見る目になっていた。そして。
恵美「顕現せよ!わが力!魔を滅ぼさんがためっ!!」ゴォッ!!!
男「えっちょちょちょちょ」
遊佐恵美の周囲に光が満ちた瞬間、紅から銀へと髪が変色し
右手には"進化聖剣・片翼《ベター・ハーフ》"と、天界の金属"天銀"と呼ばれる防具が顕現したのだった。
聖法気が満足な量でないため、進化聖剣・片翼は細い刀身で、天銀は腕と膝の部分だけである。
かつてルシフェルと戦った時と同様の姿だった。
恵美「悪いけどちゃっちゃと終わらせてもらうわ!!」
男「あーもうなんだってんだ!!!」シャキン!
男も腰の剣を抜いて構える。
その剣はどこか……
恵美の持つ剣と似た雰囲気を持っていた。
今日はここまでっす。
書き溜めしてたら投下したくなっちゃって我慢できませんでした。
これまでで書き溜めの三分の一を消費しちゃったんでまた書き溜めの作業に戻ります
また明日、たぶん、投下します…
すいません、やっぱりスレタイは大事だということが分かったので内容少し変えて立て直します
了解です
立てました。今後ともよろしくお願いします
このスレはしばらくしたらhtml依頼に出そうと思います
恵美「この駄肉が!!」魔王「何故キレる!?」【はた魔×まおゆう】
恵美「この駄肉が!!」魔王「何故キレる!?」【はた魔×まおゆう】 - SSまとめ速報
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