太公望「ここは桃源郷ではないのか?」佐天「学園都市ですけど…」(519)

太公望「学園都市?聞いたことあるかスープ―?」

四不象「ないっス」

四不象「けどココ、仙人界並みに科学が発展してるっスよ」

太公望「むぅ、確かに……いや、ひょっとしたら仙人界以上やも?」

四不象「こんな所があるなんて世の中は広いっスねぇ」

太公望「確かに」

太公望「のう、お主」

佐天「あ、はい」

太公望「この街は本当に学園都市という名の都市で、桃源郷ではないのだな?」

佐天「え、ええ…そうですけど」

太公望「ふむ」

四不象「どうするッス、御主人?」

太公望「う~~~む、申公豹のやつは太上老君は桃源郷におると言うておったしのう」

四不象「けど、あの人が言う通りの方に来たっスよ?」

太公望「もしや、わざとわしらに嘘の道を教えたのやも…」

四不象「えぇぇ!?」

太公望「まぁ、考えても仕方あるまい」

太公望「もともと、あやつの証言だけしか太上老君の手掛かりは無かったのだ」

太公望「ならばいっそのこと、この街で太上老君の手掛かりを探すとするかのう」

四不象「手掛かりがあればいいすけどねェ」

太公望「うむ」

太公望「おっと、少女よ。すまなかったな」

佐天「あ、いえ」

太公望「……ん?」ジー

佐天「?」

太公望「ふむ、お主。風に好かれておるのう」

佐天「へ?」

太公望「あぁ、いや……しかし、……ふむ」ジー

佐天「???」

太公望「お主、ひょっとして仙人か?」

佐天「へぇ?」

四不象「えぇぇ?」

四不象「こ、この子、仙人なんスか?」

太公望「いや、違うかも…」ジー

四不象「どっちなんスか、御主人」

太公望「う~~~む、わしにもよう分からん。だが、それに近しいモノは感じる」

佐天「???」

太公望「確かなのは、この娘には人には実現不可能な力が宿っておるくらいだな」

佐天「!!!」

佐天(それって、ひょっとして…)

太公望「これは、あてもなく太上老君を探す旅の初めとしては最高のスタート
    やもしれぬぞ。スープ―」

~~~クレープ屋~~~


太公望「この街の食べ物は変わった味だのう」ハグハグハグ

四不象「おいしいっス!こんなの仙人界でも食べた事ないッス」モグモグモグ

太公望「うむ、この甘ったるい食べ物は是非、レシピをならって周に持ち帰りたいものだ」ハグハグハグ

四不象「相変わらずの甘党ッスね~~~」モグモグモグ

太公望「しかし、すまなかったな。おごってもらって」ハグハグハグ

佐天「いえ。気にしないでください」

佐天「人にあんな事言ってもらったの初めてで……あたし、嬉しくて…」

太公望「?」ピタッ

太公望「よーわからぬが、お主が喜んでくれたのならまあ、よい」

太公望「ところで佐天とやら」

佐天「あ、はい」

太公望「さっき、そこのくれーぷやとやらで、お主が払っておった
    この街の通貨を見せてくれぬか?」

佐天「ええ、良いですよ」スッ

太公望「ふ~~~~む」ジー

太公望「やはり見た事のない金だのう」

四不象「けどこのお金、なんかすごい綺麗っスよ」

太公望「うむ、おそらくかなり高度な技術で作られておるのだ」

太公望「スープーよ、その紙幣、太陽にかざしてみろ」

四不象「分かったス?」スッ

四不象「!?」

四不象「き、キラキラ輝いてるっス!!!」

太公望「うむ。つまり、この街の通貨を偽造しようと思っても、その技術を持たぬ
    わしには不可能だという事だ」

四不象「そ、そんな事考えてたっスか、道士のくせに…」

太公望「先立つものは金だからのう」モグモグモグ

太公望「さて、と」スッ

四不象「?」

太公望「佐天とやら、少しここで待っててくれぬか。な~にすぐに戻ってくるでのう」

佐天「はあ、まあ良いですけど?」

太公望「よし、では……う~~~む、あそこがよいか」

四不象「ハッ!?ご主人、まさか…」

太公望「ぬはははははははははははははははは!!!!」

太公望「さ~~~さ~~~お立会い!ミスター太公望のマジックが始まるぞ!!!」

            ワーワー ナンダナンダ?

四不象「やっぱり金を稼ぐつもりっすね」

四不象「初めて禁城に忍び込もうとした時から、変わってないっス」

~~~1時間後~~~


太公望「まあ、こんなもんでよいか」

  エー モーオワリー?

太公望「心配するな、明日もやるでのう」

   ワー ホントウ?

太公望「うむ、ではまた明日ここに来るがいい」

    ワーワーワー

太公望「さて、スープー」

四不象「はいっス」

太公望「みろ、この大金を」ジャラジャラジャラ

四不象「す、凄いッス」

四不象「相変わらず道士のくせに金儲けの仕方だけは天才的っス」

太公望「ふふふ、これだけあればここでの生活も大丈夫だ」

太公望「いや、いっそのことココで永住すれば一生遊んで暮らせるやもしれぬぞ」

四不象「太上老君の捜索なんかすっかり忘れてるっスね、ご主人」シクシクシク

太公望「っと、いかんいかん」

太公望「佐天とやら」

佐天「えっ、ああ。はい」

太公望「おお良かった、ちゃんと待っててくれたのだな」

佐天「ええ、約束してましたし」

太公望「では、ホレ。先程おごってもらったお礼だ」ジャラジャラジャラ

佐天「ひっ!?」

四不象「ご、御主人がおごってもらったお金を返すだなんて、どういう事っスか!?」ヒィィィィ

四不象「もしや、そお女の子に惚れたっスか?」

佐天「え、えぇぇぇぇぇ!?」

四不象「やめるっスご主人!捕まるっスよ!?」ガバァ

太公望「たわけ、誤解するでないわ」

太公望「いくらわしでもこんな子供から奢ってもらうのはどうかと思っただけだ」

太公望「他意はない」

四不象「そ、そうだったスか。悪かったっス」シュン

太公望「お主、わしをなんだと思っておるのだ、土行孫や武王ではないのだぞ」

四不象「面目ないッス」シュン

太公望「佐天とやら、すまなかったな。うちのカバが変な誤解をして」

佐天「い、いえ、……べ、別にあたしは気にしてないっていうか、なんてゆ~か…」

太公望「?」

太公望「とにかく、もう遅い。送って行こう。家はドコだ?」

佐天「い、いえ、その……おかまいなく…ひ、一人で帰れますから…」

太公望「だが、夜道は危険だ、ホレ」ニギッ

佐天「だ、大丈夫ですから!!!」ダッ

太公望「ちょ……どうしたというのだ、いったい」

四不象「女心が分かってないっすね~ご主人」ヤレヤレ

四不象「佐天ちゃんが可哀想ッス」

太公望「ぬ、そういうお主は分かっておるのか?」

四不象「少なくともご主人よりは分かってるつもりッス」ウンウン

太公望「ぐぬ、空飛ぶカバが偉そうに」

四不象「むぅ!言ってはいけない台詞を!!!」

太公望「ふん!」

四不象「ふん!!!」

太公望「……」

四不象「……」

太公望「……」

四不象「……それよりご主人」

太公望「む?」

四不象「なんだってあの子にそんなに肩入れするッスか?」

四不象「いつものご主人なら、いくら子供でもあんなに優しくはしないっス」

四不象「あの子になんかあるッスか?」

太公望「なんだ、ばれておったか」

四不象「これでも長い付き合いっスからね」

太公望「そうだのう」

太公望「……風だよ」

四不象「風?」

太公望「あの子の周りの風がやけに辛そうだった」

太公望「もしかしたらあの子が道を踏み外してしまわないかと、ひどく心配しておったわ」

四不象「そうだったんすか、気付かなかったっス」

太公望「まあ、宝貝も持たぬお主には気付けまい」

四不象「それで、同じ風使いとしてご主人もなにか思う所があったスね?」

太公望「……どうかのう」

太公望「まあ、なるようにしかならぬ」

四不象「……そうっスね」


~~~翌日~~~


太公望「なぜだ」

四不象「さあ」

太公望「なぜホテルで寝ておっただけで、ワシらは牢に入れられておるのだ」

四不象「酷いッス!横暴ッス!」ガシャガシャガシャ

看守「ええい、だまれケダモノ!」

四不象「ひぃぃぃぃ」

四不象「ご主人、ご主人もなにか言ってくださいッス!」

四不象「ボクらは無実っスよ?」

太公望「おかしい、この街ではまだ悪さはしとらんはずだ」ガタガタガタ

四不象「……ボクは言葉もでないッス。まだという事は、する気はあったんスね。ご主人」

太公望「くぬぅ、嵌められたとしか思えん」

四不象「もういいッスよ、ご主人」シクシウシク

太公望「くっ、のう、お主」

看守「なんだ?」

太公望「ワシはなんの罪で牢に入れられておるのだ?」

看守「ふん、下手な芝居しやがって」

看守「この街に不法侵入した罪に決まってるだろうが!」

太公望「なにっ!?」

四不象「この街、関所があったスか?」

看守「関所って……いつの人間、いやカバだよ」

四不象「あぁ~~~それで、ボク等捕まったスね?ご主人がよく確かめもせずに
    積乱雲に突っ込めとか言うから…」

太公望「ぬぅ!?お主、わしのせいにする気か?」

四不象「だってそうじゃないっスか」

太公望「しかし、あれは申公豹が…」

四不象「申公豹様はあっちにあるとしか言わなかったス。積乱雲に突っ込めと
    言ったのはご主人スよ」

太公望「え~~~い、お主、どっちの味方なのだ」

     ワーワー ギャーギャー ドタバタドタバタ

看守「やかましい!静かにせんか!」

看守「そうでなくてもこっちは最近、忙しいんだからな」

太公望「……」ピタッ

看守「ん、大人しくなったか」

太公望「のう、お主。取引をせぬか?」

看守「取引だぁ?」

太公望「そうだ、この街は最近色々物騒な事件があるであろう」

看守「!?」

太公望「例えば……お主の言う事件、レベルアッパーとかのな」

看守「なぜ、それだと分かった?」

太公望「ふぅむ、やはりな」

看守「お前、カマ掛けやがったのか?」

太公望「いや、そういう訳ではない。ちょっと小耳にはさんでの」

四不象「す、凄いッスご主人。いつの間にそんな情報を」ヒソヒソ

太公望「な~~~に、昨日の金稼ぎのときそんな噂を聞いたのだ」ヒソヒソ

太公望「さいきんこの街で物騒な事件が起こっておるとな」ヒソヒソ

四不象「そ、そうだったんスか!」ヒソヒソ

太公望「看守なんかやっておるおぬしの事だからもしやと思ったのだが、やはり…」

看守「ああ、そうだよ!ここ最近の仕事はそれ関係ばっかりだ!」

看守「もう嫌になってくるぜ」

太公望「ふむ……」

太公望「ならば、わしが解決してやろう」

四不象「えぇっ!?」

看守「なにっ!?」

太公望「おおかた、お主が嫌になっておるのは、レベルアッパーとかいう代物の
    せいで危険な事件が増大しておることだろう?」

看守「そ、その通りだが…。おまえに何が……」

太公望「出来る!」

看守「!?」

太公望「ミスター太公望の超魔術に不可能はない!!!」

それから……


太公望「ふうむ、やっぱりシャバの空気は良いのう」

四不象「とても道士の言葉とは思えない台詞ッス」

太公望「まあ、そう言うな。晴れてこの街を堂々と歩けるようになったのだぞ?」

四不象「あの看守さんに感謝っス」

四不象「それはそうと、御主人。本当にレベルアッパーの事件解決するつもりっスか?」

太公望「なんだ、お主は嫌なのか?」

四不象「嫌じゃないっスけど……太上老君を探す旅のはずなのに、こんな所で
    油売ってていいッスか、ご主人?」

太公望「なんだ、そんな事か」

四不象「そんな事って…」

太公望「心配するな、スープー。ちゃんと太上老君探しも兼ねておる」

四不象「ホントっスか~?」ジトー

太公望「う、疑り深い目を向けるでない」

四不象「ご主人はなんのかんの言っても、困ってる人がいるとついつい助けて、
    すぐに本来の目的から離れるッスからね~~~」ジトー

太公望「それを言われるとつらいが……」

太公望「まあ、今回に限ってはそれはないから安心しろ」

四不象「信じるッスよ?」

太公望「うむ!」

???「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!?」

太公望「む?」

四不象「叫び声ッス!」

太公望「スープー!あっちだ!!!」

四不象「はいっス!!!」ギュウウウウウウウン

太公望「こ、これは……」

四不象「凄い数の人が逃げてるっス!!!」

       ワー キャー ワッハー

太公望「いったい、中で何が?」

アンチスキル「ちょっとそこの君!」

太公望「む、わしの事か?」

アンチスキル「そう!危ないから近づかないで!」

太公望「中で何が起こっておるのだ?」

アンチスキル「爆弾魔だ!また爆弾魔があらわれたんだ!」

太公望「爆弾魔?」

四不象「また?」

アンチスキル「ああ、この間捕まえたばかりなのに、また出たんだ!」

アンチスキル「犯人は別人らしいが……こいつも爆発させる能力を持ってる」

アンチスキル「だから君たちは危険だからこの場を…!」

太公望「ふうむ、牢から出たばかりなのにすぐに事件に出会うとはのう」

四不象「これもレベルアッパーがらみの事件ッスかね?」

太公望「さてのう」

太公望「しかし、捨ておく訳にもいくまい」

太公望「行くぞ!スープー!」

四不象「ラジャーっす!!!」ドギュウウウン


アンチスキル「おい、君達!?」

アンチスキル「くっ!本部に連絡!」

アンチスキル「ビルの中に人が入った!至急応援を求む!わたしも中に入る!」ダッ

~~~ビル内部~~~


太公望「さて、爆弾魔はどこにおるかのう?」キョロキョロ

四不象「ご主人…」

太公望「ん、なんだスープー。おぬしも探さぬか」キョロキョロ

四不象「勢いで入ったスけど、これはもしや不味い状況なのでは?」

太公望「何を言っておる」

四不象「だって、相手は爆弾魔ッスよ?」

四不象「爆弾だけ仕掛けて本人はいないかもしれないッス!」オロオロ

四不象「だとしたら、ボク等がどんなに探しても見つかないッス。爆破されておしまいっス!!!」

太公望「なんだ、そんな心配をしておったのか」

太公望「心配するな、スープー。犯人はこのビルの中におる」

四不象「え?どうしてそんな事が分かるッスか?」

太公望「風だよ」

四不象「また風ッスか?あんまり風のせいにばかりすると、読者に飽きられるッスよ?」

太公望「誰に言っておるのだ、誰に!」

四不象「一人言ッス」

太公望「まあよい。いいか?風が不自然すぎるのだ」

四不象「不自然ッスか?」

太公望「そうだ」

太公望「このビルの中で爆発が起こっておるのはみての通りだ」

         チュドーン ドカーン

四不象「危ないっすねぇ」

太公望「しかし、明らかに爆発の仕方が怪しい」

四不象「何処がッスか?」

太公望「考えてもみろ。もしビルを爆破して倒壊させるだけが目的ならば、
    どこを狙う?」

四不象「根元ッス」

太公望「そうであろう。しかし、実際にはビルの上部しか爆破されておらぬ」

四不象「ほ、ホントッス!上の方でしか爆発音が聞こえないッス!」

            チュドーン

太公望「そうであろう?」

四不象「凄いッス!こんな短時間で、よく分かったすね。ご主人!」

太公望「な~に、、風を読んだだけのことよ」

太公望「さて、ここまで分かれば、答えは出たも同然」

太公望「犯人はビルを爆破させるという建前のもと、何かをしておるのだ」

四不象「そ、そうだったっスか。さすがご主人ッス!」

太公望「ふふふ、そう褒めるでない」

四不象「いやいや、ご主人は天才ッス!さすが崑崙一のイカサマ師ッス!!!」

太公望「か~~~~かっかっかっかっか!!!」


   ドカドカドカドカドカーーーーーーーーーン!!!!


太公望「ぶふう!?」

四不象「ぐはっ!?」

太公望「……あ、あら?」

四不象「ご、ご主人!?犯人は下の階は狙わなかったんじゃないッスか!?」

太公望「あれ~~~?」

四不象「この嘘吐き!詐欺師!どうするッスか~~~~!?」バタバタバタ

太公望「お、落ち着け、スープー」

四不象「これが落ち着いていられるワケないっス~~~!!!」

四不象「ボク等は爆破されて生き埋めになっちゃうッスよ~~~~!!!!」

太公望「だから落ち着けというに……犯人さえ探し出して止めてしまえばよかろう」

四不象「犯人がビルにいる可能性がさっきの爆破で薄くなったスよ?」

太公望「それはそうだが……」

四不象「やっぱりボク等はここでお終いっスよ!臨終ッスよ~~~~!!!」

太公望「……」

太公望(本当にそうであろうか?少なくともさっきまでの爆破の仕方は……)

       チュドォォォォーーーーーーーーーーーン

太公望「ぐっ、おちおち考えとるヒマも……おろ?」

???「ぐへへへへへへへへへ」

太公望「な、なんだ。あ奴は?」

???「ひ、ひひひひひ、、ひひひひひひひひひ」

太公望「あ、怪しい…」

太公望「の、のう、お主…」

???「いひひひひ、いひひひひひひひひひ!!!!」

四不象「き、聞く耳持ってないッス。それに気持ち悪いッス」

太公望「…うむ」

???「いひっ!?いひひひひひひひひひひひひひ!?」グリン

太公望「ぬおっ?」

四不象「こ、こっち見たっス。まさか悪口聞こえてたっスか?」

太公望「ま、まあよい。お主に聞きたい事が…」

???「けけ~~~~~~~!!!!!」


      ドカーーーーーーーーン!!!

太公望「のわっ!?爆発!?」

四不象「じゃあ、こいつが!?」

太公望「爆弾魔か!」

犯人「いひっ、いひひひひひひ」ジリジリ

太公望「うぅ、気持ち悪いのう」

四不象「しっかりするッス!ご主人!こいつを倒せば爆発はおさまるッス!」

太公望「う、うむ!」

太公望「だがしかし……」ジトー

四不象「な、なんスか?」

太公望「お主、なぜそんな離れた所で隠れておるのだ?」

四不象「こ、こんな狭い所での戦闘はボクに乗って出来ないっすから…」

太公望「そんなこと言って、お主、怖くて隠れてるだけじゃあ…」

四不象「あっ!き、来たっスよご主人!!!」

犯人「けけ~~~~~!!!」

太公望「ッチ!!!」


            バカーーーーーン!!!


四不象「上手いッス!相殺したッスよ!」

太公望「にしても不味い。仙道でもない奴に宝貝で傷をつけるわけにも…」

四不象「えっ?この人、仙人じゃないっスか?」

太公望「こやつは人間だ」

四不象「で、でも一般の人間がこんな芸当…」

太公望「うむ、だがこやつは人間のようだぞ。ちょっと頭をいじくられてはおるようだが」

犯人「いひひひひひひひひひひ」グリングリン

四不象「ちょ、ちょっとスか?」

太公望「そう言うな。自信がなくなる…」

四不象「け、けど宝貝で戦わなきゃいくらご主人でもやられるッスよ?」

太公望「分かっておる。しかしのう…」

四不象「あっ、また来たッスよ!ご主人!」

犯人「けけ~~~~~~」

太公望「ッチィ!!!」


          バカバカバカーーーーン!!!

太公望「これではラチがあかぬか…」

犯人「いっひっひひひひひひひひひひ♪」シャカシャカシャカ

太公望「な、なんだ。突然」

四不象「踊ってるっス…」

太公望「戦いの最中に踊るとは変な奴……しかも独特なステップを……む?」

四不象「どうしたッスか、ご主人?」

太公望「あやつ、耳になにかはめておる」

四不象「ホントッス!よく分かったすね、ご主人」

太公望「もしや……おい、スープー!」

四不象「は、はいッス!」

太公望「桃だ!」

四不象「桃?」

太公望「うむ、桃の用意だ!」

犯人「いひっ、いひひひひひひひひひ」シャカシャカシャカ ダンスダンスダンス オドロウ ダンスダンスダンス

太公望「か~~~~かかかかかかか。上手い!」テーテッテテー

四不象「な、なんの闘いをしてるっスか、二人とも…」

太公望「うい~~~~、ひっく」ガブガブガブ

四不象「あ!」

太公望「うい~~~~~」

四不象「で、泥酔拳!?」

太公望「そうだ、っひっく。もっと酒だ~~~~酒もってこ~~~い」

四不象「ず、随分久しぶりに使ったスね…読者は誰も覚えてないんじゃないッスか?」

太公望「かまわん……やつを傷つけずに…ひっく……抑えるにはこれしかある…ひっく…まいよ」

四不象「そ、そうなんスか?」

太公望「うむ、では行くぞ、爆弾魔!覚悟せい…ひっく…よ!」

四不象「しまらないッスねえ…」

太公望「とりゃ~~~~」ブン ペチ

犯人「ひひ?」グルン

太公望「てい、とうっ」ブンブン ペチペチ

四不象「ああっ!店の中のものを投げちゃ後で怒られるッスよ!?」

太公望「かまわぬ!かまわ~~~ぬ!えい、えい」ブンブン ペチペチ

四不象「ああ、ボクは知らないッス」

犯人「いひっひひひひひひひひひ!?」グリン

四不象「ほ、ほら犯人も怒っちゃったじゃないッスか?」

太公望「そろそろか……てい」ブン

犯人「うがあああああああああああああああああああああああ!!!!」


    ドカカカカカーーーーーーーーーーーン

四不象「うわっ!?切れてさっきより凄い爆発ッス!」

太公望「ここだ」スッ

四不象「え?」

太公望「てい」スポッ

犯人「ヒヒッ?」ガクン

太公望「ふむ、まあこんなもんか」

四不象「???」

太公望「おう、スープー。もう大丈夫だぞ」

四不象「どうなったスか?」

太公望「これだよ」

四不象「それは……犯人が耳にはめてた…」

太公望「どうやらこ奴は、こいつのおかげで狂ってたらしいのう」

四不象「なるほど、だから泥酔券で近づいたッスか…」

太公望「うむ」

四不象「それでどうするッスか、それ」

太公望「う~~~む、まあ持っとくか、何かの役に立つかもしれんし」スッ

四不象「ご主人まで狂わないでくださいッスよ?」

太公望「変な心配をするでない」

四不象「それでこの犯人は…」

太公望「まあ、この街の役人に頼みに…」

アンチスキルB「いたぞ!犯人とみられる男だ!」

太公望「おう、噂をすれば」

アンチスキルB「おまえだな、このビルを爆破しまくった犯人というのは!」

太公望「え?」

アンチスキルB「怪しいカバめ、お前も仲間だな」

四不象「か、カバ?」

アンチスキルB「拘束しろ!」

部下「はっ!」

太公望「ちょ、ちょい待ち!」

アンチスキルB「問答無用!つれてけ!」

太公望「バカな~~~~~!?」ザッザッザッ

牢屋


看守「それでここに戻ってきたワケか」

太公望「うぅぅ」

看守「泣くなよ」

太公望「泣いてなどおらぬ!」

看守「はぁ、ま、いいけどさ」

看守「お前さんが捕まえた爆弾魔もさっき放り込まれてきてたから、じきに
   出られるだろうよ」

太公望「くそぅ、なんでワシがこんな目に!?」

看守「嘆くなって。これでも俺は感謝してんだぜ?」

太公望「ぬ?」

看守「まさか本当に、レベルアッパーの事件を解決しようと
   してくれてるとは思わなかったからな」

太公望「ふん」

看守「で、実際にレベルアッパーの使い手と戦って、どうだった?」

太公望「……お主の言っておった通りだったよ」

看守「そうか」

太公望「あやつら、狂ったように戦っておったわ。およそ自我が保てておったとは思えぬ」

看守「やっぱり…」

太公望「……しかし、どうしておぬしはそこまで詳しい?」

太公望「一看守としては、知りすぎておる。おぬし、何者だ?」

看守「何者でもないさ」

太公望「本当にそうかのう?」

看守「仮に俺が何者であったとしても……お前には関係ないハズだ。今の所はな」

太公望「あとでまた会う事になるとでも?」

太公望「さすがにもう、牢に入れられるようなヘマはせぬわ」

看守「どうかな?俺はあんたとは、またこうやって閉鎖された所で会う予感がしてる」

太公望「それは牢ではない別の場所か?」

看守「さあな」

        トコトコトコトコ ザツザッザッ


看守「と、おしゃべりの時間は終わったみたいだぜ」

看守「出な」

太公望「……うむ」

看守「じゃあな、ここにはもう来んなよ」

太公望「分かっておるわ」

太公望「では、世話になったの」ザッザッザッ



看守「…………行ったか」

看守?「じゃあ、またな。別の物語で会おうぜ、『俺』」ヴン

用事が出来たのでちょっと出かけてきます

太公望「ふうむ、やっぱりシャバの空気は良いのう」

四不象「まさか一日に二回もその台詞を聞く事になると思わなかったッス」

四不象「ボクはご主人にそういう趣味があるんじゃないかと疑いたくなるっスよ」

太公望「おぬし、わしが好き好んで牢に入っとるとでも言いたいのか?」

四不象「だって、ご主人。今まで何回捕まったスか?」

四不象「少年漫画の主人公としてあり得ない回数ッスよ」

太公望「ぬう…」

太公望「ま、まあ出れたから良いではないか?」ケロッ

四不象「ご主人…」ジトー

太公望「さっ、それよりさっさとこの事件を解決してしまうぞ、スープー」

四不象「絶対話題をそらしたッス…」プイ

太公望「のほほほほ~~~~♪」クネクネ

四不象「けど、ご主人、こう言うのもなんっスけど、手掛かり無いッスよ?」

四不象「昼間の爆弾魔さんも結局あやつられてただけだったんスから」

太公望「まあのう」

四不象「それなのに、どうやってさっさと解決するつもりっスか?」

太公望「いや、レベルアッパーを造った犯人は、すぐにわしに会いに来るであろう」

四不象「えっ?どうしてっすか?」

太公望「それはな……む?」

四不象「あ!」

佐天「……」

四不象「ご主人!佐天ちゃんッス!」

太公望「…うむ」

四不象「お~~~い!佐天ちゃ~~~…」ピュルルルルル

佐天「……」

太公望「待て、スープー!様子がおかしい!」

四不象「へ?」ピタッ

佐天「…………」バッ!!!

      ゴオオオォォォォォォォ!!!!


四不象「か、風!?」

太公望「佐天……」

四不象「ご、ご主人!!!」

太公望「うむ、佐天の耳をよく見よ」

四不象「あっ、あれは昼間の爆弾魔さんと同じ!」

太公望「どうやら、彼女もあやつられておるようだ…」

四不象「そんなっ!?」

太公望「悪い予感が当たりおったわ。昨日彼女に会ったときから、
   取り巻いておる風がおかしいとは思っておったが」

四不象「そんな、佐天ちゃんも……」

四不象「ご主人!!!」

太公望「分かっておる。女子供と戦うのは嫌いだが、そういう訳にも行くまい」

太公望「スープー、桃の用意だ!」

四不象「ラジャーッス!仙桃ッスね?」ゴソゴソ

佐天「……」バッ

ゴオオオォォォォ

太公望「いかん、ッチ!」

ヒュウウウウウウウウ!!!

太公望「スープー、まだか?」

四不象「ま、待つッス!」ゴソゴソ

四不象「お、おかしいッスね?旅に出る前はあんなに…」ゴソゴソ

四不象「ハッ!?もしや!?」

太公望「はっ!?」

四不象「ご主人!ボクに隠れて食べたっスね?」

太公望「し、しまった~~~~~!?」ガビーン

四不象「こんのアホ道士!!!なんであなたはそう食い意地ばっかり張ってるんスか!?」

太公望「くっ、まさかこんな事になるとは…」

四不象「ボクは呆れて言葉も出ないッスよ」シクシクシク

太公望「ぬぅ…」

      ゴオオオオオォォォ    ヒュウウウウゥゥゥ


太公望「しかし困ったのう……仙桃がないと泥酔拳は…」

四不象「な、なんとか頑張るッス!」

太公望「だが、普段の状態であれほどの動きは……む?」

佐天「……」タラー

四不象「鼻血?」

太公望「いかん、力に彼女の身体がついていけてない!」

四不象「そんなっ?」

四不象「どうするッス、ご主人?」

太公望「……」

四不象「ご主人!!!」

太公望「…………仕方あるまい」スッ

四不象「……え?」

太公望「泥酔拳が使えぬ以上、宝貝でやるしかあるまい」

四不象「佐天ちゃんはどうなるッス?」

太公望「……手加減はする」

四不象「そんな……」

太公望「どっちにしろ、彼女の身体は長くは持たぬだろう」

太公望「あの鼻血がいい証拠」

佐天「……」ドクドク

四不象「けど、ご主人はソレで良いッスか?」

太公望「……」

太公望「誰かが、止めねばならぬなら、わしがしよう」スッ

四不象「ご主人……」

太公望「それがせめてもの、彼女への礼だ」

四不象「……」

太公望「行くぞっ!」

太公望「疾っ!!!!!」

ギョォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオンンンンンンンン!!!!

四不象「た、竜巻!?」

太公望「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

  ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンン!!!!!

四不象「こ、これのどこが手加減ッスか、ご主人~~~~!?」

太公望「…………イマだっ!!!!」

太公望「疾っ~~~~~!!!!!」

       ギュルルルルルルルルルルルルン!!!

四不象「ご主人~~~~!!!!」

太公望「ふう……終わった」スッ

四不象「終わったじゃないッス!!!」ドゲシ

太公望「な、何をするスープー?」

四不象「何をするじゃないっス!手加減はどうしたッスか?」

四不象「佐天ちゃんが竜巻で切り刻まれて!!!」

太公望「たわけ、佐天のおった場所をよく見てみい」

四不象「へ?」

佐天「……」

四不象「佐天ちゃん!!!」

太公望「やれやれ、どうやら成功したようだのう」

四不象「どうやったスか、ご主人?」

太公望「な~~~に、佐天の耳にはめておるアレは音を出す機械だ」

太公望「ならば音が聞こえなければ、操られずに済むのではないかと思っただけの事よ」

四不象「それで竜巻を…」

太公望「うむ、竜巻の中心におればどんなに耳に直接当てがっても、大抵の音
    はかき消されるであろう?」

四不象「す、凄いッス。ご主人!!!」

太公望「ふっふっふ」

四不象「あれ?でもこれって、随分危険な賭けっスよね」

太公望「む?」

四不象「もし、それでも操られてた場合はどうしてたっスか?」

四不象「耳のアレを外す以外に方法がなかったとしたら……」ゾクゾク

太公望「……うむ。それはわしも最悪のケースの一つとしては考えておった」

四不象「その場合は、やっぱり佐天ちゃんを傷つけるのを覚悟の上で……」

太公望「まあのう。ただ、どっちにしろ、あの場面では竜巻しか選択肢はなかった」

四不象「?」

太公望「竜巻ならば、佐天がどう風を操った所でわしの風でかき消せるし、
    それに竜巻の内部は真空状態に近い、長く息が続くとも思えぬ」

太公望「無呼吸状態にして気絶させれば、能力も使えまい」

四不象「な、なるほど」

太公望「それでも最悪、佐天の身体が先に限界に来ておったら、衣服を全て切り刻み
    強制的に音を聞くのをやめさせるつもりだったが……」

四不象「へ、変態ッス!!!」

太公望「ダアホ。わしだってやりたくてやろうとしたわけではない」

太公望「だが、その前に倒れてくれたのはありがたかった。どれ」スッ

太公望「…ふむ」

四不象「やっぱり爆弾魔さんが持ってたのと同じっスね!」

太公望「色は違うがのう」シャカシャカ

四不象「こんなので人を操ってるなんて許せないッス!!!」

太公望「……」

四不象「ご主人?」

太公望「……来たか」

四不象「え?」

??「ばれてたのね」

太公望「まあのう。それよりお主の目的はこれか?」スッ

??「……それがなにか知ってるの?」

太公望「レベルアッパーとかいう代物だろう?」

??「そう、知ってるの。だったら話は早い」

??「それを譲ってくれない?」

太公望「嫌だと言ったら?」

??「力尽くでと言いたいところだけど……やめておいた方が良さそうかしら?」

太公望「さてのう」

??「…………さっきのあなたの闘いを見てたわ。あれ、なに?」

??「あなた、この街の能力者?」

太公望「違う」

??「そう」

??「だったら……」

太公望「のう、そんな腹の探り合いはやめぬか?」

??「え?」

太公望「わしにはお主の正体は分かっておる。大方このレベルアッパーとか
    いうモノを作った科学者であろう?」

??「……驚いた。まさか、もうばれてるなんてね」

太公望「安心しろ、まだわし以外の人間は気付いとらんだろう」

木山「……そう」

太公望「お主の名は?」

木山「……木山春生」

太公望「木山とやら……お主がなぜこのような物を作ったのかはわしには
    分からぬ」

木山「……」

太公望「しかし、造った以上は責任があるのは分かっておるな?」

木山「ええ、全部終わったら、私は罰を受けるつもりだ」

太公望「そうか」

木山「……」

太公望「ならば、持って行くがよい」スッ

木山「なっ!?」

太公望「何を驚いた顔をしておる?これを取りにここまで来たのであろう?」

木山「そ、それはそうだが!」

木山「い、いいのか?」

太公望「うむ、わしにはこんなもの二つも必要無いのでな」

木山(二つ?)

太公望「それに、お主に返した方がこの事件は早く解決する気がするしのう」

木山「!!!」

木山「き、気付いていたのか」

太公望「うむ、佐天と爆弾魔身につけておったそのレベルアッパーというもの。
    お主が造った本来のものではあるまい」

木山「驚いた……まさか爆弾魔の事件を解決してくれたのもあんただったか」

太公望「まあ、な」

木山「そうか、それで話が繋がった」

木山「爆弾魔からレベルアッパーを持ち去ったのはあんただったか」

太公望「うむ」

四不象「ま、まさかご主人が犯人がすぐに来るって言ってたのはコレッスか?」ババーン

太公望「なんだ、スープー。突然話に入ってきて」

四不象「ぼ、ボクだって喋りたいっスから!」

太公望「うむ、だが今は取り込み中だ。また後でのう」

四不象「ひ、酷いッス~~~~!!!」

正解は美琴を登場させるつもりだったのに、急遽木山先生になったから
口調が戻しきれてなかっただけだったりする

ちょっと席離れます

太公望「さてと、確かにお主に渡したからな」     

                ヒドイッスー

太公望「せいぜい、さっさと事件を鎮静化させてくれよ」

木山「……分かっている」

太公望「それと……早くお主も笑えるようになれ」

木山「!?」

太公望「大切な者の為にしておる事なのだろう?」

木山「……ああ」

太公望「では、失礼する」ペコリ

木山「待ってくれ」

太公望「うん?」

木山「君の名前を、教えてくれないか?」

太公望「……太公望だ」

木山「…太公望」

太公望「そうだ」

木山「太公望、感謝する」ペコリ

太公望「……ゆくぞ、スープー」

四不象「はっ?はいッス!」

四不象「……」フヨフヨ

太公望「……」テクテク

四不象「……ねえ、ご主人」

太公望「なんだ?」

四不象「もしかしてあの竜巻って、木山さんに発見してもらいやすくする為に
   ワザとあんなに大きくしたッスか?」

太公望「……」

四不象「万が一、ご主人じゃ佐天ちゃんを無傷で救出できそうに無かった時の
    保険として木山さんに知らせるために……」

太公望「…………考えすぎだ、スープー」

四不象「……」

太公望「考えすぎだよ」

そう言って、ご主人は佐天ちゃんを抱きかかえてホテルまで戻ったッス……。

佐天ちゃんを抱きかかえて帰るご主人の顔は、どこか思いつめた物があって、
ついにホテルにつくまで、ボクは声をかける事が出来なかったスよ。

~~~翌日~~~


太公望「なぜだ」

四不象「またッスね」

太公望「なぜホテルで寝ておっただけで、ワシらは牢に入れられておるのだ」 ガシャガシャガシャ

四不象「分かり切ってるッス!女の子をホテルに連れ込んだからッスよ!!!」

太公望「ぐぬぬぬぬぬうううう」

太公望「まさか、またもや牢に入る事になろうとは……」ギリギリギリ

四不象「ご主人、ボクは情けなくって涙も出ないッス」

太公望「え~~~い、わしは無実だ!」

太公望「それは昨日いっしょにおったお主も知っておるであろう?」

四不象「それはそうっスけど……」

太公望「だいたい、あのような少女に間違った気など起こさぬわ!!!」

四不象「けど最近は、あぶない趣味の人もいるっスからねぇ」

四不象「きっと変態の類と間違われたんスよ…」シクシクシク

太公望「だああああああああああ!!!!!」

看守B「こら、静かにしろ!」

太公望「ぐぅ」

看守B「まったく、このあいだ小学校を卒業したばかりの子供をホテルに
    連れ込むなんざ、なんて奴だ。根性が腐ってる」

太公望「誤解だぁぁぁぁぁ!!!」

太公望「おい、スープー!お主もなんとか言え!このままだとわしが変態と
    いうことになってしまう!!!」

四不象「もう諦めてもいいんじゃないッスか?」ハァ

太公望「お主!?」

看守B「そうだ、諦めろ」

看守B「それにどっちにしろ、そこの空飛ぶカバの証言など誰も聞く耳持たん」

四不象「カバ!?」ガーン

四不象「カバとはなんスか、カバとは!?」

看守B「カバはカバだろう」

看守B「人語を操り、空を飛ぶ白いカバ以外お前をどう表現すればいいのだ」

四不象「ボクは四不象ってちゃんとした名前があるッスよ!カバじゃないッス!」

看守B「分かった分かった、四不象という名前のカバなのだな」

四不象「だからカバじゃないッス~~~!!!」

太公望「よせ、スープー」ガシッ

四不象「ご主人~~~」ウルウルウル

太公望「あ奴の言うとおり、お主はどこからどう見てもカバだ」

太公望「受け入れろ」

四不象「ケ~~~~~~!!!!」ドゲシ

太公望「ぶふう」ドバッ

四不象「ひどいッス!あんまりッス!!!」

太公望「お、お主……本気でぶつかってくるとは……」

四不象「知らないッス!」プンプン

太公望「やれやれ……ところで看守よ」

看守B「ん?」

太公望「昨日までの看守はドコに行ったのだ?」

看守B「昨日まで?」

看守B「おかしなこと言う奴だな。昨日もその前の日も、ここの看守はずっと私だ」

太公望「……本当か?」

看守B「こんなのでウソをついてどうする」

太公望「あいや、すまん。どうやらわしの勘違いだったようだ、忘れてくれ」

看守B「へんな奴…」

太公望「ふ~~~む」

四不象「ご主人」ヒソヒソ

太公望「うむ、どうやら昨日の看守はここの看守ではなかったようだのう」ヒソヒソ

四不象「怪しいッスね、もしかしてあの人が木山さんの造ったレベルアッパー
    を改造した人だったスか?」ヒソヒソ

太公望「それは分からぬ……だが、こんな所でわざわざ看守として潜り込んで
    おったからには無関係でもなさそうだが…」ヒソヒソ

太公望「それに、やたらレベルアッパーについても詳しかったしのう」ヒソヒソ

太公望「まあ、どちらにせよ。ここから出なければ話になるまい」

太公望「おい、看守よ」

看守B「今度はなんだ?」

太公望「わしはいつ出られるのだ?」

看守B「はあ?」

太公望「だから、いつ出られるのかと聞いておる」

看守「そんなの私が知る筈ないだろ!」

太公望「本当だな?」

看守B「くどい!」

太公望「やえやれ、仕方ないのう」スッ

四不象「あっ、ご主人?」

太公望「スープー、下がっておれ」

看守B「?」

看守B「なにするつもり…」

太公望「疾っ~~~~~~」


      ドカアアアアアアアアアンンンンン!!!!!


四不象「わあああぁぁぁぁぁ~~~~~!?」

太公望「よしっ!」

四不象「なにがよしッスか、ご主人!!!これじゃ脱獄っスよ!?」

太公望「仕方なかろう、こうせねば、いつまでも外に出られぬのだから」

四不象「それはそうっスけど…」

太公望「え~い、なにをボサッとしておる!ゆくぞ、スープー!」

四不象「あぁぁぁ~~~!!!もう、どうなっても知らないッス!!!」

看守B「こら、待てお前ら!!!」

太公望「待た~ぬ」ヒラリ

看守「くっ?」

太公望「かっかっか。では、さらばだ。もう会う事もあるまい」

四不象「!!!」ビクッ

四不象「やめるっス、ご主人。その台詞はフラグの予感っす!」

太公望「そうか?では、またのう看守!」

四不象「ああ!それはそれでまた会うフラグになりそうで怖いッス!」

太公望「どないせーちゅーんじゃ」

太公望「いいから行くぞ!全速前進!!!」

四不象「ラジャーっす!」ピルルルルルルル


看守B「くっ」

看守B「アンチスキルに連絡!脱獄したヤツが居る!」

看守B「至急、応援を頼む!!!」

               {    /   _/        ̄ゝ     _
               / //    __」  ,   --ト、_  .i     //
こまけぇこたぁ      l/ _, - '  _〆こ_----  i  ̄ヘ_ゝ   7      |  ̄ |    ___
              〈孑'"  _ - ':::::::::::::::゙::-..,    i    ~フ ,'       | #|    || | .|\
    いいんだよ!! i  /::/i::/i:::::::i',:::_::::::::゙'..-..レヘ /  ,'       |#  .|   .|| | | /ヽ
               .i /:::::::i _i:i i:::::::i ',iヾ,ェ、::::::::::::'-,V  ,'         |_旦_|   .|| | | /  ヘ
         /)     く/::::::::::ik-+,ォ、',:::::i_'≠'ョュヽ,::::::::::',-、_.,'         ||‐'「┨   ||.|||./ /
       ///)    i {::::::::i, ヽャ'〃iヽi ヾ='‐'".i\::::i ~fフ       ||,ニ、||   ||.||//
.     /,.=゙''"/     { ヽ:::i .',≠  く   ./∠ /{ 〆ヾ;i!ヽ,/、       ノ└'/>、.  ||||.
    i f ,.r='"-‐'つ   i! iヽi.ヾ,ヽ、 、-‐‐ァ  /i〃~ヽ-i!_ ヽ,ヽ,    /\ V//~\(っ彡)

   /   _,.-‐'~       ヽi/ヾi ゝ,.ヽ, .ノ , ' i/__ir,_  i!ゝ_ > ヽ
   ,i   ,二ニ⊃      /  _〃F yi .ヽ、_ン- 、 yヽ、 ~ヽ /./ヽ     よくありません!
  ノ    il゙フ       /  /  r iヽ,___/ / ゙̄\  丶, ゙ ./ハ/-ュ
 ,イ「ト、  ,!,!|      ∠_  〈  r=i ヽ,ヽ-{ /::::   ...'y    / /  i
./ iトヾヽ_/ィ"        ゙ - 〉/  ヽ ヽ i ヽ{::::::::::::::::::/    //

それから


太公望「さてと、脱獄に成功したはいいが、どうするか」

四不象「う~~~ん、ボクは佐天ちゃんがあれからどうなったか気になるッス」

太公望「佐天か……しかし、彼女は今どこにいるかも…」

太公望「第一、家が何処にあるかも知らぬしのう」

四不象「まあ、彼女の家を知ってたら、きのうわざわざホテルまで連れて帰ることもなかったスからねえ」

太公望「うむ」

太公望「しかし佐天のことも気がかりだが今は……」

四不象「あっ!ご、ご主人!」

太公望「どうした、スープー?」

四不象「あそこ!佐天ちゃんがいるッスよ!」

佐天「……」テクテクテク

太公望「おりょ?本当だ」

四不象「お~~~~~い、佐て……」ブンブン

太公望「待て」ガシッ

四不象「ふごっ!?ふごふご~~~~!?」ジタジタ

太公望「…………佐天のヤツが昨日のダメージも残っておるであろうに、
    こんな所を出歩いておるのは不自然だ」ヒソヒソヒソ

四不象「ふごっ!?」

太公望(昨日、ホテルに連れ帰った後まるで死んだように眠っておった)

太公望(それなのに、もう目覚めて出歩けるようになっておるとは考えにくい)

太公望(もしや……)

太公望「スープー、あとをつけるぞ」ヒソヒソ

四不象「本気ッスか、ご主人?」

太公望「ああ、上手くいけば一連の犯人を押えられるやもしれぬぞ」

佐天「……」テクテク

太公望「…」コソコソ

四不象「…」コソコソ

佐天「……」テクテク

太公望「…」コソコソ

四不象「…」コソコソ

佐天「……」テクテク

太公望「…」コソコソ

四不象「…ご主人」コソコソ

太公望「なんだ?」コソコソ

四不象「どうしてボクらっていつもこんな主人公っぽくない行動ばっかりなんすかね?」シクシクシク

太公望「泣くな、スープー。気付かれる」

佐天「……」ピタ

太公望「おりょ?」

四不象「止まったッス」

佐天「……」スッ

四不象「あ、あれは!!!」

太公望「レべルアッパー!?不味い!!!」バッ

四不象「ご主人!?」

太公望「やめよ、佐天!!!」

佐天「!!!」ビクッ

太公望「そんなもので力を手に入れたとしても、それはお主の力ではない!」

太公望「お主の力ではないどころか、その力は酷くお主を傷つける!!!」

太公望「わしの声が聞こえておるのなら、やめるのだ!」

佐天「……」プルプルプル

佐天「あ…た…は……い…」

太公望「?」

佐天「あなたには、分からないわ!!!」ゴゥ

太公望「ぬ!」

太公望(風?まさか…?)

太公望「お主!!!」

佐天「あたしは、手に入れたの……ひぐ……やっと、やっと!!!!」

太公望(泣いて…)

太公望「やめろ、佐天!この力は!!!」

佐天「あたしは、もう無能力者じゃないんだから~~~~~~~~~~!!!!!」

     ゴォオオォォォォォォォオオオオオオオオオ

太公望「いかん!」

太公望「疾っ!!!」

        ギュルルルルルルルルルルルルルルルル

太公望「くぅっ!」

四不象「ご主人!」

四不象「や、やめるッス、佐天ちゃん!」

四不象「ご主人はあなたと戦うつもりは!!!」

太公望「…無駄だ、スープー」

四不象「え?」

太公望「彼女の耳には聞こえておらぬ」

四不象「そんなハズは無いッス!彼女はレベルアッパーを聞いてないッスよ?」

四不象「操られてるわけ…」

太公望「依存症というやつだ」

四不象「…依存、症?」

太公望「うむ」

太公望「わしとした事が抜かったわ」

太公望「最初に佐天と会ったときに風がおかしかったのに、もっと注意を
    凝らすべきだった。あのとき、佐天は別にレベルアッパーを聞いて
    おった訳ではなかった」

太公望「にも関わらず、彼女を取り巻く風がおかしかったのだ」

四不象「そういえば、そんなこと言ってたっスね」

太公望「うむ、つまり佐天はあのときから既に、たとえあの機械を耳から
    外しても、常に音を聞いておるのと変わらぬレベルまで洗脳されて
    おったという事だ」

   n    __  __ ,、 ,、  / //  
   ll   / / ヘヘヽ'ヽ'〔/ /     ハ ハ  負ける気がせんのう
   ll   / /   \\     /´   ( ゚з゚)r'゚'=、
   ll    |`|    ´   /     /つ / ̄`''''"'x、

   ll    | ニ7      7_//  (,-=''"`i, ,x'''''''v'" ̄`x,__,,,_
   ll    |__|         /_,,/    i!        i, ̄\ ` 、
   ll    n  n       /    |   /ヽ      /・l, l,   \ ヽ
   ll    || | |,ヘ    /    1  i・ ノ       く、ノ |    i  i,
   ll    /_ノ |,/   {.     {,      ニ  ,    .|    |  i,
   l|   ___      ̄フ    }   人   ノヽ   |    {   {
   |l   `---, /    /      T`'''i,  `ー"  \__,/     .}   |
   ll     /,、ヽ、   >       },  `ー--ー'''" /       }   i,
   l|    </   ヽ >  \.       `x,    _,,.x="       .|   ,}
   |l   ___◎   トー        `ー'"          iiJi_,ノ
   ll   `-―‐‐, /   |
   ll       //   iヾ
. n. n. n   </    {
  |!  |!  |!    へ   l
  o  o  o  /   \  |

四不象「どうするっすか、ご主人?」

太公望「う~~~む、まいったのう…」

太公望「アヤツを無傷で元に戻す方法がまったく思い浮かばぬわ…」

四不象「そんな…」

四不象「そ、そうだ!きのうみたいに竜巻を起こすっスよ!」

四不象「そうすれば真空状態で呼吸できなくなって、能力も止まるッス!」

太公望「だめだ」

四不象「え?」

太公望「そんなことをしても無意味だ」

太公望「なぜなら佐天は今まさに夢の中、気絶しておるのにわしに向かってきておる
    ようなものだからのう」

太公望「初めから気絶しておるような奴が、簡単に能力を止めるとは思えぬ」

四不象「けど…」

太公望「それどころか、本当に死んでしまうまで能力を使い続けるであろう」

四不象「そんな、そんなの嫌っス!」

太公望「それになにより……」

四不象「!?」

  ごぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!

太公望「昨日の佐天の風よりはるかに強力だ」

四不象「竜巻!?」

それこそ老子を連れてくるしかないな

太公望「参ったのう、これほどの風を操るとは想定外だ」

太公望「佐天のヤツ、これほどまでに隠れた力を持っておったとは…」

四不象「感心してる場合ッスか?」

太公望「すまんすまん。だがこうも巨大な竜巻を作られては……む?」

佐天「……」トロー

太公望「……鼻血」

太公望「やはり、どんなに潜在能力が高くとも、今はまだ使いこなすだけの器が…」

太公望「時間稼ぎにしかならぬやもしれぬが……」

太公望「疾っ!!!」

  ゴゴォォッォォオオオオオオォォォォォオオオオオ!!!

四不象「ご主人も竜巻を?」

四不象「ご主人!佐天ちゃんを殺す気ッスか?」

太公望「まあ、見ておれ」

太公望「疾っ!!!」

         ギュルルルルルルルルルルルルル

          サァァァァァァアアアアアア

四不象「竜巻が二つとも消えたっス…」

太公望「佐天の竜巻と逆回転の竜巻を無理やり作り出し相殺したのだ」

太公望「完璧に相殺できるような回転数にせねばならなかった故、出来るかは不安だったが」

四不象「でも。やったすよ、ご主人!」

四不象「これで佐天ちゃんも!」

太公望「まだだ」

四不象「へ?」

太公望「まだ終わってはおらぬ」

  ギュルルルルルルルルルルルルルルルルルンンンンンン!!!!

四不象「また竜巻が…」

太公望「やはり元を叩かねば無駄か」

太公望「それにさっきの竜巻よりも強力になっておるな」

太公望「回転数もランダムに変化させたようだし、学習しておるわ」

四不象「うわぁぁああああ、もうダメっす!」

太公望「うるさいのう」

四不象「未来の教科書には、ご主人がまだ小さな女の子を竜巻で切り刻んで
    殺したって一文が絶対に書かれるッスよ!」

太公望「なんとも嫌な教科書だのう…」

四不象「決定ッス!もうボクらに打つ手はないッス!」

太公望「まあ待て。そう結論を急ぐ必要もあるまい」

四不象「?」

太公望「たとえ可能性が1パーセントしかなくとも、可能性がるのなら
    それにかけてみようではないか」

四不象「な、なんか思いついたッスか、ご主人?」

太公望「いや、思いついたと言うほどではないが…」

四不象「なんでも良いッス!教えて欲しいッス!」

太公望「…うむ」

太公望「ではスープーよ、木山を呼んでくるのだ」

四不象「木山さんを?」

太公望「そうだ」

太公望「昨日の今日でレベルアッパーに仕組まれた改造をどうにか出来ておる
    とは到底思えぬが…」

太公望「あやつなら依存症に対する対策を知っておるやもしれぬ。元々の設計者だからのう」

四不象「ようは全くの他人を当てにする訳っすね?」

太公望「……平たく言えばそうなる」

四不象「……けど、現状、佐天ちゃんを救う方法がそれしかないならやるッス!」

太公望「うむ、頼んだぞ。スープー」

太公望「それまではわしが……」

太公望「時間を稼ぐ!!!疾っ!!!!!」

四不象「任せるッスよ、ご主人!!!きっと木山さんを連れてくるッス!!!」ピルルルルルルルル

太公望「うむ!」

佐天「……」ツツー

太公望「だが急いでくれよ。スープー」

太公望「佐天の身体がいつまで持つかはハッキリ言ってわしにも分からぬからな」

~~~学園都市・上空~~~


四不象「う~~~~、とは言ったものの木山さんが何処にいるかなんて
    分からないッスよ」

四不象「せめて住所くらい聞いておけば良かったっス」

四不象「それにこの街も来て日が浅い……というよりほとんど牢とホテル周辺
    しかうろついてなかったスから街の構造自体も分からないッス」

四不象「あぁぁ~~~、佐天ちゃんが危ないのってのに困ったスよ~~~!!!」

四不象「とにかく、降りて聞き込みするしかないッスか…」ピルルルルルル

子供「あ~~~カバだ~~~!」ビシッ

四不象「カバじゃないッス」クルッ

子供「カバが喋った!」

四不象「だからカバじゃないって……いや、もうカバでいいッス」

子供「?」

子供「ね~ね~、どうしたの~?」

カバ「こんな子供に聞いても知ってるはず無いっすよね…はぁ」

子供「ね~ね~どうしたの、カバさん?」

カバ「一応聞くけど、木山さんって知ってるスか?知ってたら何処にいるか
   教えて欲しいんスけど」

子供「うん、い~よ~」

カバ「やっぱり知ってる訳ないッスよね。ありが……え?」

子供「?」

カバ「い、今なんと?」

子供「木山先生でしょ。ボク知ってるよ」

カバ「ほ、ホントッスか?」

子供「うん!」

カバ「ウソじゃないっすよね?」

子供「だったら一緒に来なよ。案内したげるからさ」

カバ「い、行くッス!お願いするッスよ!」

カバ(待っててください、ご主人!すぐに木山さんを連れていくっスからね!!!)


~~~同時刻~~~


太公望「ぐぬぬぬぬぬぬ」

佐天「……」ボタボタボタボタ

太公望「佐天!わしの声が聞こえておるか?」

佐天「……」ボタボタボタ

太公望「いや、おぬしは聞こえておったとしても、聞こえておらぬふりを
    しておるだけだな」

太公望「レベルアッパーを耳につけていない事からも、まだお主の心が完全に
    狂った訳でなさそうだしのう」

佐天「……」ボタボタ

太公望「よいか、よく聞け佐天!」

太公望「お主の心がまだ残っておるのなら、洗脳に対して抵抗するのだ!」

太公望「心を強く持て!さすれば洗脳から抜け出せるはずだ!」

太公望「かつて、わしも洗脳の術にかかりそうになった事がある」

太公望「だが、同時にそこで常に洗脳されるような状況下であっても全く
    物怖じせずに堂々としておった男と出会ったのだ!」

佐天「……」

太公望「その男は言った。洗脳にかからぬには、ようは気合!心の持ちようだと」

太公望「わしもその通りだと思う!!!」

太公望「心を強く持て!」

太公望「会ってまだ間もないが…お主なら出来るとわしは思う!」

佐天「……」ボタボタ

太公望「なぜなら、こんなにも風を操れるお主の心が、弱いとは到底思えぬからだ!」

佐天「!!!」ピクッ

太公望(反応した?)

太公望「頑張れ、佐天!!!」

太公望「お主ならやれる!洗脳なんかに心を許すな!」

佐天「……」ボタボタ

太公望「……」

太公望(もしや……)


  「確かなのは、この娘には人には実現不可能な力が宿っておるくらいだな」

  「人にあんな事言ってもらったの初めてで……あたし、嬉しくて…」

  「あたしは、もう無能力者じゃないんだから~~~~~~~~~~!!!!!」


太公望(なるほど……これがこの娘のトラウマの正体か!)

太公望「ならば……」ザザザザ

佐天「……」ボタボタボタボタ

太公望「佐天!お主は無能力者なんかではないぞ!」

佐天「!!!」

太公望「自分をよく見てみろ!今わしと戦っておるのは誰だ?」

太公望「お主であろう?」

太公望「ただの一般人にこんな芸当が出来ると思うか?」

佐天「……」

太公望「出来るはずはないのう」

太公望「こんな巨大な竜巻の中に飛び込んでくるなんて自殺志願者か特殊な
    能力を持った者だけだ」

太公望「お主はどっちだ?」

佐天「あ、た、しは…」

太公望「!!!」

佐天「あたしは!!!」

太公望(もう一息か!?)

カバ「ご主人~~~~!!!」ピルルルルルル

太公望「スープー!いい所へ!木山は?」

カバ「連れてきたッス!」

太公望「でかした!」

木山「ま、まさかこんな事になっているとは……すまない。すべて私のせいだ」

太公望「御託は後にせい!それより!!!」

木山「分かっている」

木山「キャパシティダウンとレベルアッパーのアンインスール複合機…」

木山「始動!!!」ポチッ


       オーレーハジャイアーン ガーキダーイショー


太公望「ぐう!なんとひどい歌なのだ!?」

カバ「み、耳が痛いッス」

太公望「佐天は!?」

佐天「…」ピクピク

太公望「やった!効いておる!」

カバ「で、でも別の意味で死にそうになってるッス…」

太公望「せっかくのラストなのに、それを言うでない」

太公望「とにもかくにも……終わったみたいだのう」

カバ「疲れったス、もうくたくたっスよ~~~」グデー

太公望「ま、佐天も無事で良かった良かった!」

木山「……」

太公望「どうした、浮かない顔をして?」

木山「いや……」

木山「当初の私の予定では、こんな被害を出すだなんて思ってなくてな」

木山「誰も犠牲に出さずに、目的を達成できると思っていたのに…」

太公望「ふむ」

木山「それが御覧のありさまだ」

木山「私は、私が望んだ代償の事なんて、まるで考えてなかった…」

木山「それが腹立たしい…!!!」

太公望「木山…」

木山「レベルアッパーによる奪還法は諦める事にする」

太公望「いいのか?何を犠牲にしても守りたいものがあったのだろう?」

木山「こんなんじゃ、あの子たちに怒られてしまいそうだからね」

木山「先生、何やってんのって…」

太公望「そうか…」

うん
今原作引っ張ってきたけど万里起雲煙(ばんりきうんえん)が弓矢のやつで
火の鳥のやつが火鴉壺(かあこ)だ

木山「それに、私が造ったレベルっパーの改悪品が造られてこんな騒動起こしてるんじゃ、
   どっちにしろ私の目標とする演算結果が出せるとも思えないしね」

太公望「なるほどのう。システム内に入り込むバグの可能性を危惧をしておるのか」

木山「ああ。どこかで誰かが不正アクセスする可能性がこうして現実味を
   帯びてしまったからな」

木山「まったく……自分でもとんだ失敗作を作ってしまったよ」

太公望「……だが、そこまで卑下にする物でもあるまい」

木山「……」

太公望「それに、きっとこ奴はお主に感謝しておるさ」

佐天「むびゃむにゃ」クテー

木山「気休めはよしてくれ。私はその子に…!!!」

太公望「お主はそう思っておるだろうが、こ奴は無能力者としての自分を恥じておった」

木山「……」

太公望「そんな佐天に、お主は夢を与えたのだ」

木山「それはきっと悪夢さ」

太公望「それでも……感謝しておると、わしは思うぞ?」

木山「……」

太公望「まあ良い」

太公望「お主がどう思おうが、これからどんな行動をとろうが、それは
    お主の自由だ。好きにせい」

木山「……ああ」

太公望「だが、可能ならば、一人で抱え込まずに、誰かに助けを求めるが
    解決への一番の近道だとわしは思う」

木山「……」

太公望「でわの」

木山「ま、待ってくれ!!!」

太公望「なんだ?」

木山「も、もし私が君に助けを求めたら、助けて…くれるか?」

太公望「そうだのう……条件にもよるが……」

太公望「桃、百個といったところかの?」

カバ「ご主人!?」

木山「……」

太公望「ぬ?数が多すぎたか?それなら別に50個でも…」

木山「いや、桃、百個で良いんだな?」

太公望「最高級の桃だぞ?」

木山「分かってる!!!」

太公望「よし、交渉成立だ!スープー、もうしばらくこの街に留まるぞ!」

カバ「ご、ご主人。太上老君探しはどうする気ッスか?」

太公望「か~~~かっかっか、その内なんとかなる!」

カバ「あぁぁぁぁぁ~~~、ボクは楊戩さんに叱られる姿が目に浮かぶッス!!!」

太公望「ま、気楽に行こうではないか!のう!」

木山「ははははは、……そうだな!」

太公望「うむ!!!」

カバ「そなぁぁぁ~~~~~!!!」




こうして、この一連の騒動は一応の幕を閉じた。
しかし、きっとこの先も、しばらくこの街での騒動はやみそうになかったのである まる


太公望「ここは桃源郷ではないのか?」佐天「学園都市ですけど…」   完

終わりです

最後の最後のレスで脱字をしてしまう自分が憎いですが
呼んで下さった方、保守して下さった方、支援して下さった方、ありがとうございました

                    ミ    ヘ  /    食 く .働  .|   ./::::
                  ミ  / ミ |    .わ .ら .く   |  /::::::
      , -‐ 、           ミ /  ミ ゞ.    ぬ .い    |  /::::::::
   /     ヽ         .ミ `''=,,ミ,ヽ    !!! な    / /::::::::::
   f  ニ こ ゙ヽ        ミ  /  ヘ\     ら   / /:::::::::::
   |  | .の  |        .ミ /   ''ミ>,,     __/~''ヾ:::::::::::
  .l   ト     .|         ミ/       ~~∨~~~´:::::::::::::::::::::::::
   l   が    / ヾ      ミ.          ::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   .ヽ       ,√゙'''r、|,r━",'''/,,l            ::::::::::::::::::::::::::::::::::
      ゙,ミ=''ヘ,l、 ._、 ` : .゙゙゙ミミミ./             ::::::::::::::::::::::::::::::
   .,,ll___广_~  . .,i´、  .゙ヘヾ,..,|               ::::::::::::::::::::::::::::
   `.,/イ ソ //    ミ  ヘ..|             | ,,:::::::::::::::::::::::::::
   .,l「',l`√ソ  .| //| ∧ミ\ |     ,,_____    .|::::|:::::::::: ,,__,,::
   .:″,l:./|/ゞ_=_彳/Vミ士≦ミ     (,,__,,,ツ  .'::::::::::::::::(,,__,,,,)
    .l゙li''''|'、 ・ヾ'; ''’~~・゜''|          :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

    l″,ミ '~´   '~~´´>|          :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      /         //.|        :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     |             ミ      :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     |            ∩ミ  ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
     ヾ,           ソ/ヘ,,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


今思うとなかなか使えそうなAAが割とあるな



>>488
連載当時ニートって単語あったっけ?

>>500
ないはず
本当はカバのセリフのとこおろは「御主人…」って書いてある

あと黒点虎って最強の霊獣って言われてるけど千里眼以外になんかしたことあったっけ?

    ,ュ .,__          / ̄ ̄ヽ

    'ィ /ム         {  釣  }
    〈,_ヾ .人        .{  れ  .}
     i~゙ヽ、ヾ=ミッ_彡"弋  .{  ま  .}
    .i 西 /',ヾ≠--ヤ ̄  .{  す  .}
     i   i ム   ヽi    .{  か  }
     i  tヾ/        { ?  .}
     i  ,〉ヽュ       .ヽ__/
    /.y__i゙ヽi ト,_

    i  }_ 〉 i ヾiト、_
   ノ  i ̄ i  ヾ ~キ-ュ          _iヽ-ノi
 / ,.'/   .i    \ i ト、        ≠iV,_ヾ,  〃'- .,_
..}  .〈 i!  ./     ヽ+ i ヽ,     ,.__ 。ヾ_~ノ___〃    ~ '-
.ヤ .i /  /        i yっ'     'y  ヾ、__/ 〃
 i ヽ,i   y        i/≠㍉    i   (_ノ,_ { ミ}⌒}
 i y-/   マ            ゙    ゙=ニ二ヾ { ミチ_ --i
 ゝ' 冫  'y___                 }ヾ  ~   / ヽ
   i!≠~   ̄~゙ヽ,       ,ィ'~゙ ' --,__,.{__i  ,ノィ   i_
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄        ̄ ̄ ̄ ゙̄"  ゙ " ヽi  __ミミッ,
                               ~( '"yヽチ

                                 '-' iiiiii㍉


これか

            ヽ: : : : :y: : : :": :ヾ ~゙'-、_ /

   よ か 大     i: : :/: : :/: : : : :ヤ  y~:ヽ,ヽ,_
   う .か 物     }: /: : :/: : : : : : :゙-": : : : : :i i
   だ っ .が     }/: : :i: : : : : : :;; ;i: : : : : : : :i {
   の .た       .i: : /;;i: : :;: : :;;;: ;;i : : : : : : : :.i ヤ
   う         .ノi ;;;;;;;i: : ;; : ;;;;/;;:i;;: : : : : : : :{ ゝ
           ノョュ;;;;;/i: ;;;;,,;;;;/ i;,;iヾ, : : ;, : : , i i

          .,.イ/~゙i ;/_i ;;;;;;;;;/  i;;;i ヾ;; : ;;, : : i ヤ
        ,ィ"_,ィi==ヾミミi ;;;;/   i;;;i ヾ;;, :;;;,: : i; i
゙ ー k, ,-,ー ,';;;;i! ≠/㍉、_.キ i:::/  _ェエニこ于y;;;;;;;; : i;;丶
    ゙'ヽ ;;/,.i! ~゙式゙-"゙ノ i!i   〃ヾヽ,゙゙'=,ヽ;;;;;;; ヽ
     .',;/ { i!  ヽェ辷'   }   .{::::し-=} キ, ;:;;;;;ヽ
      ヤ ,゙i! / i  i   ,i    弋_戊'" ≠ /y-;
     _ - フ/.i!      .ヾ,   / ,゙ -‐"   /≠_,
 _,- フ /::/..{ ヽ    _________   '  i  ク- "
~:::::/  .{ / iヽi ;;'>,   ヽェ_____ア     .ク ヽ
::::/ 〉 .i i{  .i ヾ;;;;;;>,         ,ィ' /i ヽ-ェ.,_

:/ /  i .{ヘ,  i  ヾ;;;;;;㍉     _,ィ'/;;;i _タ 冫:::::::
i イ   {i .i: :ヽ, i   'ヾ;;;;;;゙ー彡"~ /≠''" /i ヾ:::


そしてこの台詞である
大物、の部分を適当に変える必要はあるけど

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom