水銀燈観察日記 (86)

もう何年も前、ローゼンメイデンが第1期が放送されてた頃書いたSS投下していく。
ローゼンメイデン3期来るということで記念に。文章力に関しては目をつむって欲しい。

 いつものように水銀燈が桜田家を訪れてローゼンバトル。

 水銀燈が真紅に向かってやいやい言っているのを眺めていると、僕は何だか水銀燈の腋が舐めたくなった。

 もう辛抱堪らなくなった僕は真紅を退け、水銀燈を無理やり押し倒す。

 そしてそのままがっぱり腋にむしゃぶりつく。

 ——無味無臭だった。

 いつも強気な水銀燈でも、その時ばかりは少女らしい悲鳴を上げた。

 僕はもう猛烈に興奮してさらに水銀燈の脇にむしゃぶりつくす。水銀燈の脇に存在する、毛穴という毛穴すべてにキスをする勢いでなめ回す。(よく考えれば人形なので毛穴はない)

 しかし幸せは長くは続かない。水銀燈はぼくにびんたを浴びせると、号泣しながら窓から飛び立って姿を消した。

 僕はというと、殴られた頬と、真紅たちからの白い目が痛い。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1364233167

まさかまーくんじゃなかろうな
支援

 2

 先日のことがあり、水銀燈は僕を警戒するようになった。

 さすがに悪いことをしたと思う。なので今日のぼくは、彼女たちのローゼンバトルを大人しく見届けることにする

 ローゼンバトルを眺めていると、あることに気づく。

 水銀燈がぼくを気にしている。真紅に対して憎まれ口を叩きながらも、しきりにぼくに視線をやり、ぼくを意識している!!

 ぼくは試しに、ぴくりと動いて見た。

 すると水銀燈は「びくり!」と体を強張らせた。その反動で、すってんとしりもちをついてしまう。

 その瞬間ぼくの理性はオフになってしまって、気づけばぼくはまた水銀燈の脇にむしゃぶりついていた。

 どういう原理か、人形である彼女の脇は前回よりも塩味がきつくなっており、それは理性の外れたぼくを更なる興奮へいざなうのに十分すぎる要素だった。

 僕は夢中で水銀燈の脇にむしゃぶりつきながら、タガの外れた頭の片隅で何度も繰り返した。

 ——これはぼくが悪いんじゃない。水銀燈が転んだから悪いんだ! ぼくはこんなことをするつもりはなかった。これは全て水銀燈があんなにかわいらしくしりもちをついたのがいけないんだ……!

 ああぼくの漆黒の天使よ。ぼくを地獄にいざなってくれても構わない。そこに君もいるのなら。

 ふと我にかえったときの、真紅たちが僕をみる目が忘れられない。

>>2
ごめんなさい多分違います。

 3

 連日の水銀燈に対する僕の行動について、真紅たちが「いくらなんでもあれは酷い」といってきた。

 僕はそれもそうだと思った。

 お詫びに「水銀燈にも、僕の脇をなめさせてあげよう」と提案したら、

 馬鹿じゃないのかお前は死んでしまえ、と散々非難された。

 僕は悪くない。

>>4
そうか。気にしないでくれ
いまのところすげー好き。期待

 4

 懲りない僕に倒して、薔薇乙女たちは「お前は阿呆なのかそれとも気が触れているのか」といいように罵倒してくる。

「僕は阿呆じゃないが、変態かもしれない」

 と言い返したところ、ぼこぼこにされた挙句、「二度とアリスゲームの邪魔はするな」と言われた。

 僕はそんなのは絶対嫌だと思った。何故ならそんなのは「もう二度と銀ちゃんの脇をなめちゃ駄目よ」と言われたのと同じじゃないか!

 なので、「じゃあ僕も薔薇乙女になる! それならアリスゲームに参加できるだろ!」

 と叫び、自作の少女趣味満載なフリフリドレスを押入れから引っ張り出し、

 真紅たちの目の前でこれ見よがしに着替え、くるくると踊り狂いながら、

「ほらぁ! ほらぁ! これで僕も薔薇乙女でしょう! とっても可愛いでしょう! ねっ!? ねっ!?」

 とのたうちまわったら

 もう二度と誰も口をきいてくれなくなった。

>>6
ありがとうございます酔っ払った勢いで投下始めましたがよかったです。
あとなにぶん数年前に書いたSSなので文章がめちゃくちゃで、今ちょっとずつ文章を読みやすいように書き換えているので投下スピードはそんなに速くないですソーリー。

 5

 今日も今日とて水銀燈は真紅にアリスゲームを挑みにやってくる。

 もたもたしていられない。さっそく僕もアリスゲームに参加すべく、フリフリドレスに着替えた。

 ついでに通販で注文しておいた、魔法少女が持ってるやつ的な杖も装備する。

 いざアリスゲーム!

 僕は気合を入れるために「でやあああ!」と勇ましく叫ぶ。

 そのまま、一番近くにいた真紅を殴りつける。(何故真紅に殴りかかったのか?という疑問に対して、僕は「一番近くにいたから」という問いしかもたない。その瞬間の僕は、それほどまでに何も考えず行動したのだ)

 真紅は何の躊躇も無く僕の腕を折った。

 僕は動けなくなり、衰弱し部屋の隅に横たわる。すると、水銀燈と目が合った。

 痛みによって小刻みに息を吐く僕の姿は、漆黒の天使の瞳に酷く醜く映ったのか

 彼女は呆れた顔で小さく「きもっ」と呟いた。

 それほど悪い気分ではない

 6

 水銀燈はヤクルトが好きらしい。

 これは良いことを聞いた。彼女に対して好感度をあげるチャンスである。

 僕はさっそく、水銀燈にヤクルトをプレゼントしてみることにした。

 いつものように桜田家にローゼンバトルしかけてくる水銀燈。

 僕はそんな彼女の目の前に、ずいっ、ヤクルトを差し出す。

 すると水銀燈は警戒しながらも、受け取ってくれた。

 よっぽど好きなのか水銀燈はそれを一気に飲み干すと、「もっとないの?」とおかわりを所望してきた。

「ちょっと待ってろ、今ひねり出すから」

 僕はズボンを脱ぎ、空になったヤクルトの容器に向かって、僕自身のマエストロを構えた。

 そこから記憶がない。気がつくと僕は酷い怪我で入院していた。

※このSSは当時の同人誌で流行っていたネタが頻出しております。作者のローゼンメイデンの知識はアニメと初期の漫画のみで、
ジュンくんが大学生になったあたりは一切わかりません。このSSはアニメ第1期あたりをパロっております。

 7

 一連のことから、水銀燈は僕を完全に無視するようになってしまった。

 関わってはいけない人間だと気づいたのだろう。

 僕がもうどんなに話しかけても完全なる無視である。ひょっとして僕は今透明人間になっているのではないかと勘違いしてしまうほどだ。

 今日も水銀燈は僕の部屋にやってきて、真紅たちにローゼンバトルけしかける。

 彼女はお得意の前口上をべらべらまくし立てる。いわく「どちらがお父様にふさわしいのか、ジャンクはどちらなのか、はっきりさせようじゃないかさあどうする」といった内容。

 ぼくはそんな水銀燈の周りをぐるぐる回ってみる。

 しかし水銀燈はやはり、僕がいないかのように無反応である。

 顔を近づけてじっと見つめ続けても全く無反応。(蛇足だがこのとき僕は水銀燈のあまりにも美しい顔を間近にし、勃○していた)

 僕はさてどうしたものかと思案する。なんとかして水銀燈に反応してもらいたい。

 ふと、そのとき僕は床に輪ゴムが落ちているのを見つけた。

 それを拾い上げると、思い切り引っ張って、水銀燈の顔面に狙いをつけてみる。

 水銀燈はそれでも僕に視線すら送らない。

 しかしよく観察してみると、ぴくぴくと頬を引きつらせているのがわかった。

 これは……怖がっている……! 水銀燈は輪ゴムでばちんってされてしまうことを怖がっている——!!

 僕はその瞬間猛烈なる罪悪感に襲われた。

 ——ああ——僕の漆黒の天使よ——僕はなんて馬鹿だったのだろう。君のそのあまりにも美しい顔に、輪ゴムをばちんとさせようと試みるなんて——

 僕は輪ゴムを引っ込ませると、「ごめんな」と呟いて、水銀燈の鼻先にキスをした。

 僕は一時的に視力を失うほど水銀燈に顔面を殴られた。

 8

 水銀燈が桜田家にやってくる時間を見計らい、僕は部屋中にビニールを敷いた。

 マットの上に転がり、服を脱ぎ捨て、ローションを体中に塗りたくる。

 そんな異様な様相の僕に対しても、もう慣れているのか、それとも呆れているのか、薔薇乙女たちは何も言ってこない。

 ただ真紅のみが一人だけ、ぽつりと「馬鹿が…」と呟いたのを聞いた。

 水銀燈がやってくる。

 水銀燈は最初、異様な状態の僕に驚いていたが、やはりみだらに動揺することは彼女のプライドが許さないのか、すぐさま落ち着きを取り戻して真紅に向き直っていた。

 僕はそんな彼女に向かって「ねえおいでよ! こっちにおいでよ! 最初は怖くても、大丈夫すごく気持ちいいから!」と叫ぶ。

 だが予想していた通り、水銀燈は僕が存在していないかのように無反応である。

「ねぇ! 何でこっちをみないの!? あっ、そうだ! きっと僕は妖精さんなんだね! だからみんなに僕の姿は見えないんだね!

 そんなぁあああああああ! 嫌だぁあああ! 誰も僕のことが見えないなんて僕は永遠に独りなのかぁあああ!

 あっ?! すっごい! すっごい! ねえみて! ねえみてよ! すっごい! こんなに奥まで入ったよ!!」

 水銀燈はこらえきれずふきだしていた。真紅はその隙をついて、水銀燈にパンチを食らわせる。

 吹っ飛んだ水銀燈が調度僕の目の前に倒れたので、僕は顔を覗き込み、

「僕の名前はユータルトピースト! ローションの妖精さんだよ!」

 と叫んだ。

 ぐふぐふ呻きながら水銀燈は逃げ帰った。

 部屋を掃除しながら冷静になると、このネタのどこが面白いのかちっともわからなかった。

 9

 前回のことから水銀燈の笑いの沸点は低いことがわかった。

 なので僕は真紅に頼み込み、二人で漫才をすることにした。

 いつものように水銀燈がやってくる。僕と真紅は顔を見合わせて、お互いの立ち位置に移動した

 何事かと身構える水銀燈だが、それが結果的に、僕たち二人に意識を集中することになった。都合が良い。

 さっそく僕と真紅は漫才を始める。

「はいどうも〜」と僕。

「どうも〜」と真紅。

 水銀燈は一度びくりと驚いたが、以降は食い入るように僕たちを眺めていた。。

「聞いてくださいよジュンさん。私ね、このあいだカラオケ言ったんですよ、カラオケ」

「へぇ〜いいですね。それで真紅さんは何歌ったんですか?」

「あれですよ、ロードです。虎武竜の」

「えっ? なんですか?」

「ロードですよ」

「あ〜すみませんちょっと僕それわかりませんねぇ」

「本当ですか? そんな人いるんですねぇ」

「ねぇ〜。で話は変わるんですが、僕この間気づいちゃいましてね。何でもないようなことが幸せなんだなって」

「いやそれロードやん」

「え? 何ですか?」

「それロードやん」

「ちょっとわかんないですけどねぇ〜。あっ! そういえば、丁度一年前にこの道を通った夜にね」

「いやそれロードやん」

「二度とは戻れない夜なんですねぇ〜」

「ロードやん」

 我ながら素晴らしい出来だと思ったのだが、水銀燈のリアクションは薄かった。

「ロードってなに?」

 知らんのかい。

 ttp://www.youtube.com/watch?v=XQRuzQf0eu0

 10

 口の中にヤクルトを含みながら、ストローを咥えて、その先を水銀燈の口にねじ込む。

 そのまま一気に水銀燈の口の中にヤクルトを流し込んでやる。

 そんなことをしてみたいなと、ふと思った。

 水銀燈がいつもものようにやってきた。

 僕はさっそくヤクルトを口に含みながら、ストローを咥えた

 じりじりと水銀燈ににじり寄る。水銀燈は僕の思惑がわからなくとも、頬をぱんぱんに膨らませた僕に何らかの不吉なものを感じたらしい。

 僕から距離をとるべく、水銀燈は漆黒の羽を羽ばたかせると、悠々と天井まで飛び上がった

 僕は無言で雛苺に視線を送る。

 彼女がツタを伸ばして空中の水銀燈を引き摺り下ろすことを期待したのだ。

 しかし雛苺は険しい顔で「いやいや」と首を振ってみせた。

 なんて恩知らずな奴だ。あれほどイチゴ大福を食べさせてやったというのに。

 ちくり、とこめかみに痛みが走った。

 ふとみると水銀燈は天井付近という、僕の手が届かない絶対的に優位な場所にいながら、僕に向かって羽を飛ばしてきていた。

 天井付近に飛び上がっていては、水銀燈にヤクルトを飲ませてやることができない。

 仕方が無いので僕は諦めることにした。

 しかし僕の口の中で暖められたヤクルトをそのまま捨てるのはもったいない。

 なので完全に傍観決め込んでいた真紅の口の端にストローを突っ込み、流し入れた。

 本当は水銀燈にそうしたかったのだが、まあ真紅が相手でも悪くない。

 その代償に僕は右目を真紅に潰された。

 11

 家にストッキングが余っていたので、試しに頭に被ってみた。

 全部かぶった状態になってから、少しだけ上にくっと引っ張ると、良い感じに豚顔になれる。

 その状態で水銀燈を待ち受ける。

 水銀燈はいつもの時間にやってきた。

 彼女は僕を一目みた瞬間、ふきだした。

 そのまま転げまわって笑い出した。

 そんなに気に入ったのか。

 僕は水銀燈にもストッキングを被せてやった。上の少しだけくっと引っ張るのを忘れない。

 薔薇乙女たち大爆笑。僕も水銀燈の顔を見て笑った。

 折角なので記念写真を撮ったあたりで、

 水銀燈は大泣きして帰ってしまった。

 12

 いつものように始まったローゼンバトル。

 僕は服を脱ぎ捨て、ブリーフ一丁になった。

 その行為に意味などない。ただ僕は服を脱ぎたかったのだ。

 薔薇乙女たちは「またか…」という雰囲気を出しつつも、僕を無視してアリスゲームに興じる。

 僕はそっと、ブリーフから袋をはみ出させてみる。

 それをちろちろいじりながら、ぶつぶつ呟く

「ここがノルウェーで……ここがスウェーデンで……ここがフィンランド……」

 僕を無視していた薔薇乙女たちの肩がぷるぷる震え始めた。

 どうやら僕が今どんな状態にあるかわかっているらしい。

 お盛んな奴らめ。

 さらに「すっごい……! こんなに伸びるんだっ……!」と呟くと薔薇乙女たちは次々ふぐぅと噴出し始める。

 満足のいく結果だ。

 しかしちらりと水銀燈を見ると、一つも笑ってないで、ぽかんとしていた。

「それなに……? 何がついてるの……? 私にはそんなものついてないわ」

 と不思議そうな、興味深げな顔で、まじまじと僕の股間(マエストロ)を覗き込んできた。

 何だか恥ずかしくなって、僕は思わず泣いてしまった。

 水銀燈は慌てて謝ってきたが、僕が「帰って!」と怒鳴ると、しゅんと羽を落として帰った。

 13

 ここのところ水銀燈ばかりいじっていたが、たまには真紅をいじることにした。

 僕は部屋にくんくん人形を放置してから、しばらく退席する。

 ころあいをみて部屋に戻ると、案の定、真紅はくんくん人形で遊んでいた。

 真紅は僕に気づくと、はっとして、くんくん人形を放り投げて、傍らに置いてあった本を読み始めた。

 気高き真紅にとって、人形遊びをしているところなどを僕のようなゲスに見られたくないのだろう。

 僕は「うわあああああ!」と絶叫した。

 真紅は呆然と僕を見る。。

 僕は

「どうしてくんくんはこんなに愛されているのに、僕は愛されないんだぁああああああ!

 うわああああああ! 僕も真紅に良い子良い子されたいよぉおおおおおおお!

 頭なでなでして欲しいいいぃいぃぃい!

 僕はっっっっ! 君にっっっっ!『ずっと僕の傍にいてよ』って言うから!!!! そしたら君はっっっ! 「悪い子ね」って優しく微笑んでっっっっ!

 僕にそっとキスしてよよおぉおぉおぉおっぉお! いやぁあああああ!!!!」

 すると真紅は少し困った顔をしたあと、「しょうがない子」と言って僕の頭を撫でた。

 それから優しく微笑んだ。

 何だか妙に恥ずかしくなってしまった僕は、照れ隠しに

「次は僕のマエストロにちゅっちゅしてよ」とズボンを脱いだら

 右腕をもがれた。

 14

 最近僕はすっごくストレスが溜まっている。

 何故か? 憂鬱の原因はいくらでも考えられるが、一番は水銀燈が僕におっぱいを揉ませてくれないからだろう。

 今日も水銀燈は薔薇乙女たちにアリスゲームを挑みに我が家にやってくる。

 水銀燈は僕をみつけると、小さく舌打ちした。

「あらぁ引きこもりくん。今日も冴えないわねぇ? 嫌なもの見ちゃったわぁ」

 その瞬間僕のストレスは頂点に達した。

 僕は水銀燈にものすごい勢いで土下座した

「お願いします! おっぱいもませてくださいっ!!!!!!!!!!」

 僕はそうして床に頭をこすりつけながら、場があきれ返った空気で満ちたのを感じた。

 しかし僕は土下座をしながら堅く決心していた。

 水銀燈がおっぱいを揉ませてくれるまで、絶対に諦めないと——!

 その戦いは長期に及んだ。

 当初、水銀燈は激昂し、帰ろうとしたが、必死で頼めば引き止められた。(恐らく元来押しに弱いのだろう)

 僕は頭を下げた。頭を下げて、下げて、下げて——自分が何者であるのか忘れてしまうほど——ただ頭を下げるという行為に没頭した——

 恐らくはその行為が千には届いたときであろう、水銀燈は「もおっ! 好きにしなさい!」と怒鳴った。

 恐る恐る頭を上げると、水銀燈は怒りに震えながらも、僕にその控えめな胸を差し出してくれていた。

「一揉みだけよぉ!」

 そのとき僕は気づいた。水銀燈は怒りに震えているのではなく、緊張と恐怖で震えているのだと。

 そしてその頬はかすかに紅潮していた。

 頬を赤らめながらも、僕にその小さな胸を差し出してくる水銀燈。

 そんな彼女の姿を見た瞬間、僕は射○して、恥ずかしいことに気を失ってしまった。

 目を覚ますと夜が訪れていてすっかり部屋は暗かった。

 15

 今日も今日とて水銀燈は真紅にローゼンバトルを挑む。

「お父様は私のほうを愛しているのであって貴様のようなジャンクかぶれは一切愛しておらず、すなわち貴様は必要とされていないのだ」

 とお決まりの前口上をまくし立てる。

 ローゼンバトルの度に何度も何度もそう繰り返すので、僕はすっかりその話に飽きてしまっていた。

 僕はふと「帰れ! 帰れ!」とコールした。

 すると翠星石を筆頭に薔薇乙女たちも乗ってきた。

 「帰れ!」コールが僕の部屋に響く。

 すると水銀燈は顔を真っ赤にして涙目でぷるぷる震えだしてしまった。

 さすがに言い過ぎたかと反省である。水銀燈は今にも泣きそうだ。

 と思ったら目に涙を一杯に溜めながら、精一杯強がり、

「ふん、群れていないと、あなたたちは何もできないんでしょう」

 とか言った。

 その一言で皆すごくイラっと来てしまって、こうなったら意地でも泣かせてやろうと

「このジャンク!」

「失せろビッチ!」

「腹ぁ穴あいてんぞ!」

 などと罵倒を浴びせたら水銀燈は大泣きしてしまった。

 僕はうずくまって号泣する水銀燈に、さらに罵声を浴びせ続ける薔薇乙女たちの姿に

 虐めの真理を見た気がした。

 16

 僕はふと、疑問に襲われた。

 水銀燈は一体どこで寝泊りしているのだろう?

 そんなことをぽろりと蒼星石にもらしたら、「ああ彼女は今野宿しているらしいよ」と聞いた。

 つまり水銀燈は現在ホームレス状態なのだという。

 これは面白いことを聞いた。

 今日も今日とて水銀燈は懲りずに真紅にローゼンバトルふっかける。

 さっそく僕は、真紅に挑発しまくる水銀燈に向かって

「ねぇ、お風呂入ってる?」

 と聞いてみた。

 水銀燈は僕を無視して、真紅にいかに自分がアリスにふさわしいかを語り続ける

 僕は「ねぇ、お風呂入らないと汚いよ?」と囁き続ける「ちょっと臭うんじゃない?」

 しばらくそうしているととうとう泣いてしまった「臭くないもの…人形だもの…」

 さすがに女の子に悪いことしたなぁ、と思って「ごめんね。水銀燈は良い匂いだよ。フローラルだよ」

 と僕は彼女の肩に優しく手を置く。

 水銀燈は不安げな、涙目の顔で僕を見上げた。

「本当……?」

「くせっ」

 それからしばらく水銀燈は我が家に来なくなった。

 17

 突如として僕の中で空前の脇汗ブームが沸き起こった。

 霧吹きを用意して、僕は水銀燈を待つ。

 しばらくして水銀燈はいつものように僕の部屋にやってきた。

 水銀燈は僕が霧吹きを持っているのを見つけると、警戒し始めた。

「……あなた、またよからぬことをたくらんでいるんじゃなぁい?」

 僕はその問いに無言で答えない。ついでに無表情である。

 そんな僕にますます水銀燈は警戒を強めたようだが、僕がどういうつもりかわからないためになすすべが無いようで、不承不承といった様子で仕方なくアリスゲームに突入した。

 ゲームが進んでいくうちに、いくら僕を警戒していても、いやおう無しに水銀燈の意識は戦いに向いていく。

 僕はそんな隙をつき、水銀燈に接近する。

 水銀燈の腋に向かって霧吹きを吹いた。

「ひゃあ!冷たい!」

 水銀燈は驚いて悲鳴をあげた。僕は容赦なく、もう一方の脇にも霧を吹く。

 そのまま僕は水銀燈に馬乗りになり、腕を押さえつけ、霧で濡れた彼女の脇を食い入るように見つめる。

 水銀燈はもがいて僕から逃れようとするが、構わず押さえつける。

 ——僕は思い込む。

 これは霧で濡れているのではない。これは水銀燈の汗で濡れているのだ。

 ——ぼくは、そのときこの世界をうらんだ——

 ——こんなにも美しい少女は、人形であるがゆえに、脇汗を擬似的にしか表現できない——

 気づけば僕は泣いていた。

 だって僕は永久に水銀燈の脇汗をなめることができないのだから。

 そう、絶対に、絶対にできないのだ——

 水銀燈は僕を振り払うと、心底気持ち悪そうな顔をしながらそそくさと帰ってしまった。

 霧吹きの水がまだ余っている。

 試しに真紅の顔面に一吹きしてみたら

 眼球を抉られた。

 18

 突如として僕は、水銀燈の小さなお手てを口一杯に頬張りたい欲求に襲われた。

 なのでその日さっそく、水銀燈に襲い掛かった。

 しかし、度重なる僕の変態行為によって、水銀燈は異常なまでに僕を警戒するようになっていた。

 そう簡単には水銀燈に近づけなくなっていた。

 元々引きこもりの僕が戦闘ドール水銀燈の身体能力に適うわけがない。

 ふわりと華麗に避けられてしまう

「のろまなお馬鹿さぁん」

 などと水銀燈は僕にぺろっと舌を出して見せた。

 その様があまりにも可愛いらしく、僕は心臓が右にずれるぐらいどきっとした。

 同時に僕は水銀燈の小さなお手てを口いっぱいにほおばりたい欲求が我慢の限界に達した。

 過度のストレスに襲われた僕は頭を抱えてうずくまり「うわあああああああ」と絶叫する。

 さすがの水銀燈も僕の異常な様子に心配そうにこちらをうかがった。

 僕は叫ぶ。

「僕はっ!!!!! 今っ!!!!! どうしてもっ!!!!!!! 君のおててを!!!!! 口いっぱいに!!!!

 頬張りたいんだっ!!!!!!!!!

 ちくしょう!!! ちくしょう!!!!!!

 どうしていつも思い通りにいかないんだ!!!!

 どうしていつも皆僕を否定するんだっ!!!!!!!

 こうしてる間にも!!!!

 可愛いおててを口に頬張れている奴が!!!!!!!

 世界のどこかにいるはずなのにっ!!!!!!

 何でそれが僕にはできないんだ!!!!!!!

 ちくしょおおおおおおお!!!!」

 ひとしきり絶叫して落ち着いたころ、ふと顔を上げると、

 周りには誰もいなくなっていた。

 19

 パソコンいじくってると真紅が「あら」と声を上げた

「ジュン、耳垢が溜まっているわよ」

 だからなんだって言ったら、真紅は自分の膝を叩いて「いらっしゃい」と言った

 真紅はいつの間にか耳かきを持っていた

 どぎまぎしながら、僕は真紅の小さな膝に頭を預ける

 そこからは至高の時間だった

 水銀燈がやってくる

 いつもと違う僕たちに動揺していた「何してるのよ」

 僕は折角だから、水銀燈にもやってやれよと真紅に言ったのだが、「嫌よ。それに人形が耳垢をためるわけないでしょう」
 という

 それでも埃が溜まっているかもしれないだろう

 僕は膝を叩いて、水銀燈を招いた

 水銀燈は恐る恐る僕の膝に頭を預ける

 びくびく怯えながらそうする水銀燈を見たら、何だかもうどうでもよくなって、

 思わず水銀燈の耳にむしゃぶりついてしまった

 怒られるって思ったのに、水銀燈は顔を真っ赤にしながらも僕に身を預け続けた

「なるほどこれが耳掃除というものね。少しくすぐったいけど気持ちいいわ」

 とか言ってる

 次は僕にも頼むと言った所で、いつの間にか背後に立っていた真紅に耳を引きちぎられた

 20

 ふと、僕は、「水銀燈はドールの中で一番おっぱいが大きいなぁ」と思った。

 そのことを本人に伝えてみたら、「はあ?」と怪訝な顔で気味悪がられてしまった。

 照れてるんだろう。

 おっぱいが姉妹のなかで最も大きいという功績は誇ってしかるべきことである。

 僕がもっと褒めてあげなければ。

「銀ちゃんのおっぱいはすくすく育って偉いね! 偉いね! いい子いい子してあげゆ! あげゆ!」

 水銀燈のおっぱいに手を添えたら黒い羽が僕の手の甲を貫通した。

 それでも僕は「いい子いい子! いい子いい子!」と水銀燈の胸をさすり続けた。

 だってこれは敬意なんだ。

 すくすくと頑張って成長し続けた銀ちゃんのおっぱいに対する敬意なんだ。

 人形だからって関係ない。

 僕は本当に、銀ちゃんのおっぱいはすごいって思うんだ。

 今僕は義手で生活している

 21

 ふと、僕は引きこもりだから、絶対に制服デートなんかできないんだと悟った。

 それに気づいた途端、蹲って絶叫してしまった。

 薔薇乙女たちが「何だ何だ」と僕の周りを取り囲む。

 僕は「この中で僕のことが好きな人」と挙手を煽った。

 誰も手を上げなかった。

 僕はまた絶叫してしまった。

 薔薇乙女たちは同情混じりに「皆ジュンのこと好きだよ」と優しく言ってくれたが、

 僕が欲しいのはそんな答えじゃない。

 僕とセックスできるかどうかと聞いているんだ。

 すると薔薇乙女たちは

「じゃあジュンは誰が一番好きなの?」

 とたずねてきた。

 僕はまた絶叫する

「そんなの決められないよ!!!!!

 パパとママどっちが好きかって答えられないだろ!!!!!

 お饅頭を七等分して!!!!!

 どれが一番おいしいかって僕が聞いたら!!!!!!

 答えられるのかよ!!!!!!」

 と怒鳴り散らしたら次の日から皆少しだけ僕に優しくなった。

 22

 薔薇乙女たちの鞄はアンティークチックでお洒落だ。

 何とはなしに彼女たちの鞄を眺めていれば、僕も自分の鞄が欲しくなる。

 しかしそんな金はない。なので自作することにした。

 経過は割愛し、見事な鞄が出来上がる。

 僕はさっそく全裸になって、その鞄で昼寝してみることにした。

 こっそり隙間を開け、鞄の中から部屋を覗く。

 いつものように水銀燈がやってくる。

 まさか僕が鞄の中に全裸で潜んでいるとは思わなかったのだろう。僕の姿が見えないことに気づくと、水銀燈ほっとした様子で意気揚々とアリスゲームを始めた。

 僕はそっと、鞄を少しだけ開けて、外に僕の○茎(マエストロ)をはみ出させてみた。

 だからアリスゲームに集中する薔薇乙女たちは、誰も僕の恥ずかしい姿に気づかない。

 その状況に僕は言い知れぬ興奮を覚えた。

 その時、真紅にパンチを食らって吹っ飛ばされた水銀燈が僕の鞄の上に落下してきた。

 そこから記憶がない。

 23

 真紅がおやつにコーヒーゼリーを食べている。

 ふと、真紅がコーヒーゼリーを口に含んだまま牛乳を口にいれ、それをストローを経由し僕の口に流し込めば、それはとっても素敵なドロリッチになるだろうと思った。

 さっそく真紅にその旨を伝え、どうしても呑みたいんだ、と土下座する。

 真紅は食欲が無くなったと言い捨て、コーヒーゼリーを残したまま部屋に戻ってしまった。

 このままでは引き下がれない。

 僕は慌てて真紅が残したコーヒーゼリーと、真紅が使っていたプラスチックのスプーンを手に持つ。

 真紅を追いかけて、彼女の目の前で、そのコーヒーゼリーをスプーンと一緒に無理やり食べてみせる。

 ばりばり音がした。

 お前は何がしたいんだと真紅は飽きれたように言った。

 僕にもよくわからない。

 24

 ふと、こんなことを思った。

 水銀燈のヘッドドレスの天辺にカスタネットがついていて、それはランダムな時間が経ったあと、かちりと軽快な音をたてて閉まる機能を持っていたとしたら、

 僕はそれを銀ちゃんクライシスタイムと名付けて、自らのマエストロを挟めようと一年中銀ちゃんを全裸で追い掛け回し、

 そのためだけに生きて命を燃やすだろう。

 25

 いつものようにやってくる水銀燈に「ねぇ僕のこと好き?」と聞いてみた。

 しかし水銀燈は期待する僕に向かって「[ピーーー]」と冷酷にはき捨ててみせた。

 僕は蹲って絶叫した。

「いやぁあああああああああああああああ!!! いやだぁあああああああ!! 水銀燈に嫌われるなんて嫌だぁああああ!!!
 ねぇ好きって言ってよ!!! 僕のこと好きって言ってよ!!!! うんんんんんんんん!!!」

 と数時間ほどのたうちまわったら水銀燈はうんざりした顔で「好きよ好き」と言った。

「えっ!!!!???? 誰が!!!????? 誰が好きなの???????」

「あんたよ」

「やったああああああああ!!! ねえ結婚しよ?????? いいでしょだって僕たち両思いじゃないか!!!!!

 ねぇ結婚しようよ!!!! これってすっごく幸せなことだよ??????

 結婚式はひっそりと友達だけを呼んであげよ??????

 新婚旅行は熱海にいこっ??????

 子供は男の子と女の子と一人ずつつくろ?????

 ねぇいいでしょいいでしょいいでしょおぉおぉぉおおおんんんんんんんん!!!!」

 そう叫び散らす僕は、視界の端で水銀燈の心底軽蔑した顔をみた。

 26

 今日も今日とて水銀燈が僕の部屋にやってきた。

 この頃の僕は、僕なりにアリスゲームに参加しよう考えていた。

 ズボンを半分ずらし、僕の毛の一本すらないお尻をあらわにする。

 その半ケツを水銀燈に向ける。

「今からお尻パンチするからね!? 今からお尻パンチするけど、絶対カンチョーとかしないでよ!? しないでよ!! 絶対だからね!!」

 そう何度も念を押した。

 いざ、お尻パンチを繰り出す。

 水銀燈はひらりと僕をかわした。

 僕は無様にも尻餅をつき、しりもちをついて尻を強打してしまう。

「何でカンチョーしないんだっ!!!!」

 と怒鳴る僕は、視界の端で薄汚いものをみるかのような目つきの水銀燈を見た。

 27

 その日は一日全裸で過ごすことにした。

 薔薇乙女たちは僕と目があうとちっと舌打ちする。

 僕は「違うよ!???? これは服だよ!!???? 馬鹿には見えない服なんだよ!!!???」

 と弁明するが、しかし誰も僕の話を聞いていない。皆一様に顔を伏せて僕を無視する。

 そこに水銀燈がやってきた。

 水銀燈は全裸の僕を見るとひぃっと短く悲鳴を上げたが、薔薇乙女たちの様子を見て

 無視するのが最善と考えたのか、いつものようにローゼンゲームを始めた。

 僕は「違うよ!!!!!?????」と絶叫した。

「どうしてそうやって皆僕を無視するの??????? 違うよ??????

 僕は服を着てるよ????? ねえほらちゃんと見てよ???? 変態じゃないよ?????

 あっ!!!!!!! ひょっとして皆馬鹿なのかな?????

 馬鹿だからこの服が見えないのかなぁ?????

 きっとそうだよね!!!!!」

 とか言ってたら全員にぼこぼこにされた。

 気分は悪くない。

 28

 我が家に乗馬マシーンがやってきた。

 真紅が試しに乗ってみる。非常に卑猥な動きだった。

 しばらく真紅はきゃいきゃい言いながら乗馬マシーンで遊んでいたが、股間を膨らませている僕に気づくと

 舌打ちして以降二度と乗らなかった。

 水銀燈がやってくる。

 乗馬マシンを紹介すると、やはり姉妹なのか真紅と同じ反応できゃいきゃい騒ぎながら乗馬マシンで遊び始めた。

 小一時間ほど遊んだ後満足したのか水銀燈は帰ってしまった。

 僕はすぐさま水銀燈が乗っていた乗馬マシンに顔を埋めた。

 肺が千切れるぐらい深呼吸を繰り返し、水銀燈のお尻が纏っていた空気をゆっくり堪能する。

 次いでべろべろと舐めまわす。

 舌が合成皮にやられてぴりぴりしたが、僕はやめなかった。

 いつまでも、いつまでも、舐めまわしつづけたんだ。

 わかっていた。

 水銀燈は人形だから、こんなことに意味はないって。

 でも僕は、やめることができなくって、気づけば泣いていた。

 気づけば僕は乗馬マシンの上で眠ってしまっていた。

 起きると、誰かはわからないけど、毛布がかけられていた。

 まだこの世界も捨てたものではないと思えた。

 29

 朝食にトーストを食べていると、苺ジャムの赤みが目についた。

 ふとこの赤みは何と可愛らしいのだろうと思った。

 ロシアにはジャムを口に含んで紅茶をすするという飲み方があるという。

 僕はさっそくその飲み方を真紅に教えてあげた。

 真紅は意気揚々とジャムを口に含み、紅茶を口に含む。

 僕はそんな真紅の目の前にすかさずスライディングした。

「そして僕の口の中にそのお茶を注ぎいれて、ロシアンティーは完成する」

 と大きく口を開けたら喉の奥にパンチを食らってしばらく吐血が止まらなくなった。

 30

 水銀燈の小さなお手てと一緒に、親指相撲をやりたいとふと思い立った。

 その旨を伝えると水銀燈は露骨に嫌がった。

「そもそもあなたと私じゃ手の大きさが違うから、不利じゃない」

 僕は叫んだ。

「それなら僕はベロで!!!!!! 僕はベロで銀ちゃんの指を押さえ込むから!!!!

 ねっ!!!!???? これならフェアでしょう?????? これならフェアだよね????」

 水銀燈はちっと舌打ちすると「帰るわ」とすっくと立ち上がった。

 僕は水銀燈の足首を掴んで引き止める。

「じゃあ僕は小指を使うからあぁあああああああ!!」

 それならいいわよ、って水銀燈はしぶしぶだけど頷いてくれた。

 水銀燈の白く美しい手を握ったときの感動ったらなかった。

 ゲームを続けていたら貧弱な僕は案の定負けそうになってしまったので、「ようしベロで加勢だぁ!」

 って水銀燈の親指にむしゃぶりついたらそのまま胃の奥まで手を突っ込まれた。

 31

 水銀燈はヤクルトが好きだという。

 ならば僕の体中にヤクルトを塗りたくれば、水銀燈に嘗め回してもらえるんじゃないかと思ったが、さすがにそんなことはないだろう。

 だがやってみなければわからない。

 僕は偶然を装って、自身の体にヤクルトを付着させようと考えた。

 そうすればあのいやらしい水銀燈め、いやしくもヤクルトが付着した僕の体をいやらしく嘗め回すだろう。

 いつものように水銀燈がやってくる。

 僕はヤクルトを差し出した。ヤクルトでお茶でもしないか?

 水銀燈は警戒しながらも受け取ってくれた。大事そうに、ちびちびと飲み始める。

 五分ぐらい談笑したところで、僕は事故を装い自分の股間付近にヤクルトを零した。

 水銀燈なら「もったいなぁい!」と慌ててむしゃぶりついてくれるはずだ。

 しかし水銀燈は「あらあらお馬鹿さぁん」と極めて冷静で、あろうことかティッシュでヤクルトだらけになった僕の股間を拭いてくれた。

「気をつけなさいよぉ。こんなに零しちゃって」

 予想以上の卑猥な事態に僕は鼻血を出して卒倒した。

 32

 ある日、巴とかいう女が「桜田くん引きこもってばかりいては体が訛るよはいこれ」と竹刀を持ってきた。

 僕はそれを受け取った瞬間、何故か興奮してきて、

『これで思いっきり股間を突かれたら一体どんなことになるんだろう』

 という考えに思考が占領されてしまった。

 もちろん僕は水銀燈に竹刀で股間を突かれたい。

 さっそくと思ったが、今日はまだ水銀燈はやってきていない。

 だがもう我慢の限界だ。

 この際水銀燈じゃなくてもいい。他の薔薇乙女たちに頼もう、と思ったが、はたと、今日は運の悪いことに全員出払っている
ことを思い出した。

 僕は絶叫する。

「ちくしょう!!!!!」

「どうしたの桜田くん」

 巴は突然怒号した僕に目を丸くしていた。

 だが僕は構わない。

「今っ!!!! 僕はっ!!!!! おちんちんに!!!!! 竹刀を!!!!!突き立てて!!!!!!欲しいのにっつぅ!!!!!

 可愛い女の子に!!!!! 無残に僕の白子を散らして欲しいのに!!!!!!!

 今、誰もいないんだ!!!! ちくしょうおぉおおんんんんんんんいいいい!!!!」

 仕方が無いから僕は竹刀を床に突き立てて、全裸になってから、竹刀が股間に突き刺さるようにそこへ飛び降りた。

 薄れる意識の中、怯えと同情の混じった顔をした巴と目があった。

 33

 美しい花を手に入れたので、僕はそれを水銀燈にプレゼントすることにした。

 水銀燈がやってくる。

 いざアリスゲームを始めんとする真紅を押しのけて、僕はお手製のリボンで可愛く巻いた花を、水銀燈にずいっと突き出した。

 水銀燈は怪訝な顔をみせる。

「一体なんのつもりよぉ」

「花が綺麗に咲いたから君に」

 そう言うと水銀燈は恐る恐るだが花を受け取ってくれた。

「薔薇……」

 美しさに魅了されたのか水銀燈はぽつりとそう呟いた。

「花言葉は、情熱の愛だよ」

 僕は水銀燈の目の前に貸しづいて、その小さな手をとった。

「水銀燈よ、僕は君を世界で最も愛しているのだ」

「ふん、何気味の悪いことを言ってるのよぉ」

 そんなことを言うが、水銀燈の頬は紅潮していた。

 香りを嗅ごうとして、水銀燈はそっと、薔薇の花に顔を近づけた。

「あっそれ造花なんだけど」

 普通にビンタされた。

 だけど顔を赤くして涙目の水銀燈の姿は素晴らしくて、今日はたくさん出そうだと思った。

 34

 その日もいつものように水銀燈は我が家へローゼンバトルを申し込む。

 僕は珍しく、薔薇乙女たちの戦いを邪魔しないで、観戦していた。

 バトルも佳境、というその時、ぷぅ、という音が響いた。

 水銀燈が屁をこいたのだ。

 凍りつく薔薇乙女と、誤魔化そうとぐちゃぐちゃ喋るが動揺して話がまとまらない水銀燈。

 翠星石が「くせっ」と呟いたとき、とうとう水銀燈は泣き出してしまった。

 僕はどうしようもなく胸が苦しくなった。どうしておならをしたのは僕ではないのだろうか。

 せめて少しでも水銀燈の恥ずかしさが紛れるようにと、僕は水銀燈の前に躍り出た。

「大丈夫だよ銀ちゃん!!!!! おならなんて誰でもするもの!!!!

 あっ!!! そうだ!!! 僕もおならするから!!!! ねっ!!?????

 それなら恥ずかしくないよね???? 待っててね銀ちゃん今ひねり出すから!!!!」

 僕は床に寝そべり、腰を持ち上げて、ケツを天高くに突き出した。

 そして懇親の力を肛門にこめる。

「うおおおおおおおおおおおんんんんんんぃいいいいいいいいいっつ!!!!!」

 だが中々でないので、僕は口で擬音を表現しながら、さらに力をこめた。

「ぶりゅるううううぅうううっぷぴいいぃぃぃぃいいっ!!!!!ッビチビチビチビチ!!!!

 ぷっしゃああああああああ!!!じゃあああああああ!!!!!びぃいいいいいいいいいい!!!

 あっ!!!!!! 出そう!!!! 出そうだよ銀ちゃん!!!

 ほら見てて!!!! あっ! あっ! あっ! あぁああああ!!!!」

 実が出た。

 翠星石が過呼吸で死ぬんじゃないかってぐらい笑い転げてた。

 35

 ふと、薔薇乙女たちの口中は唾液で湿っているのかと気になった。

 水銀燈がやってくる。いつもどおりの前口上をべらべらまくし立て始めた。

 僕はその水銀燈の口の中に指を突っ込んだ。

 柔らかくて暖かくて、湿っていた。

 水銀燈の口の中に指を入れたまま、銀ちゃんの唾液はどんな味がするんだろう。

 とか考えていたら、人差し指の第二関節から先を噛み千切られた。

 36

 真紅は常々「あいつ殺したい」と僕のことを愚痴っているという話を、翠星石から聞いた。

 それならばとさっそく準備にとりかかる。

 僕は自分の両乳首を、糸に繋げた洗濯ばさみではさんだ。その糸の先を真紅の鞄をくくりつけた。

 そしてゆるみが一切でないよう、糸をぴんと張り詰めさせる。

 準備が全て終わったとき、丁度真紅が部屋にやってきた。僕と部屋の異常な状態に驚いて、あとじさる。

 僕は「ようこそここは僕のヘブン!!!!!」と叫んだ。

「ルールは簡単!!!! 僕を殺したいのなら、鞄の蓋を閉じるがいい!!!!

 この洗濯ばさみは鞄の蓋を閉じれば、糸に引っ張られる仕掛けになっている!!!!(仕掛けもなにも、糸と鞄は直結している)

 つまり君が眠りにつくとき、僕もまた、永遠の眠りにつくって寸法なのさ!!!!

 さあ真紅!!!!! 僕を[ピーーー]んだ!!!! 乳首を切り落としてくれ!!!!!」

 真紅はその日眠らなかった。

 どうして? って聞いたら「ほんとうにマスターに死なれては困るもの」ってものすごいクマができた顔で言った。

 僕は真紅のことが堪らなく愛しくなって、朝日が差し込む部屋で彼女のことをそっと抱きしめた。

 長時間洗濯ばさみに挟まれていた乳首は壊死していた。

 37

 真紅がなにやらこそこそ何かをしている。

 何かと思って後ろから覗き込んでみたら、どうやら僕のリップクリームを勝手に持ち出して使っているようだ。

 僕の視線に気づいた真紅はびくりと驚いて目を丸くした。

 一体どういうつもりだろう? わざわざ僕のリップクリームを使う必要はない。

「そもそも人形がリップクリームを使って意味があるのか?」

 僕がそう訊くと、真紅は顔を赤らめて目を伏せた。

「人形にも唇のお手入れは必要よ」

「そんなものか? 僕も使いたいんだけど」

 真紅はさらに顔を紅潮させ、おずおずとリップクリームを僕に差し出した。

 僕はいつものようによいしょとズボンを下ろし、リップクリームを肛門に塗りたくった。

 その後、何故か怒り狂った真紅の手により、

 僕の十二指腸1mほどが体外に引きずり出された。

 今回僕は悪くない。

 38

 水銀燈のヘッドドレスの天辺に世界で一番美しい花が咲いているとする。

 その花の蜜はこの世のあらゆる病気を治してしまう万病の薬だ。

 心優しき水銀燈はその蜜を必要とする人のために世界中を旅して回るんだろう。

 その蜜を狙った悪の組織が水銀燈を襲いだす。

 僕は水銀燈を守るために戦うのだ。

 だが、しつこい魔の手に僕はやがて深手を負ってしまう。

 水銀燈は泣きながら僕に自分の蜜を舐めるように言う。

 だけど僕はそれを拒否するんだ。

 だって、その蜜は、水銀燈の命を削って出る物だって知ってるから。

 水銀燈は今まで黙っていてごめんなさい、って出会ったときよりもやつれた顔で泣いた。

 それでも僕は微笑むんだ。

 銀ちゃんの命は、世界中で残り続ける。魂は滅びても、観念は残り続けるんだ。

 そして君の命は人々の笑顔に変わるんだ。

 だから僕にその蜜を吸う資格は無い。

 だって僕は、君がいなくなってしまったら、二度と笑える気がしないから。

 銀ちゃんはとめどなく涙を流しながら、「お馬鹿さぁん」って僕に口付けした。

 そんな妄想をして僕は生きている。

 39

 真紅の服の薔薇のブローチが取れてしまった。

 付け直すことになったが赤い紐が無い。

 専門店に買いに行ったところ、綺麗なブローチを見つけた。折角なら、とそれも購入した。

 だが真紅に見せたら「いらないわ」の一点張り。

 良かれと思っての行動を否定されたので、僕も引くに引けず、酷い口げんかに発展した。

 真紅のためにこのブローチを買ってきたのに、真紅がいらないといったら、じゃあ誰がこのブローチをつけるんだ?

 最終的に僕の乳首を切り落としてそのブローチを代わりにつけることで決着した。

 新しい乳首は気に入っている。

 40

 毎度毎度、翠星石が桜田家にやってくる際、鞄飛行で窓をぶち破る。

 困ったものだと思っていたら、蒼星石まで同じことをやりはじめた。

 どうしたらいいだろう、と考えあぐねていたら、翠星石は西の窓から、蒼星石は北の窓から窓をぶち破ることに気づいた。

 さらに計算してみると、二人の鞄が飛行する高度と、僕の部屋に侵入する角度は全く一致しており、お互いの鞄の角が接触する可能性があった。

 これはいけないと、僕はその日から全裸で待機することにした。

 二人の鞄の角が接触する瞬間、その間に男性器を挟み込むことができれば、鞄の損傷を免れると考えたのだ。

 姉妹は二度と桜田家にやってこなくなった。

おおっ!
いつだっけかに2chで長期連載してた人か!
期待!!

 41

 僕はこんな風に考える。

 射○という生理現象が、まるで嘔吐のように、体調のよしあし如何により我慢が難しい現象であるとしたら。

 薔薇乙女たちがはしゃぐ、花丸ハンバーグの晩餐会にて、

 僕はちょっと気分が悪い、と席を立った瞬間、

 花丸ハンバーグが並べられた机の上に自らの白子を暴発し

 そのまま気を失いたい。

最高だよ!

>>48
まさか知ってる人がいらっしゃるとは。あの時のSSを文章を推敲しながらうpしております。

 42

 今日も水銀燈がローゼンバトルを挑みにやってくる。

 僕は水銀燈に聞いてみた。

「ねぇ、ローゼンメイデンってエッチできるの?」

 すると水銀燈は、僕の言葉が耳に入るのも嫌といった風に舌打ちする。

「できるわけないでしょお馬鹿さぁん」

 僕は絶叫する。

「でも!!!!!!!

「銀ちゃんならできるんじゃない?????? だって銀ちゃんがドールたちの中で一番体がおっきいしさ!!!!

 それに一番おっぱいも大きいじゃない!!!!!!! すっごいね!!!! 銀ちゃんはすっごいね!!!!

 そんでさ、僕のマエストロの大きさならさ、全然余裕だと思うんだ!!!!!! あんまし大きくないからね///////!!!!!
 だから、僕と銀ちゃんってきっと、すっごく相性がいいと思うんだ!!!!!!!!」

 そんな僕に対して、水銀燈はいよいよ僕に憐憫な視線を送ると、「可哀想な子……」と呟いて帰ってしまった。

 その後、真紅に、そもそもローゼンメイデンにはそんな機能はついていないと聞かされて

 僕は泣いた。

>>51
ありがとうございます!

 43

 度重なる変態行為によって、水銀燈の僕への警戒心はとどまることをしらない。

 そのため僕は最早水銀燈に触れることはおろか、近くによることも難しくなったいた。

 だから僕は水銀燈の人形を作ることにした。

 水銀燈そっくりの美しい人形が完成する。

 水銀燈がやってくる。

 彼女は自分そっくりの人形を見て悲鳴を上げた。それから僕の思惑に気づいたらしく。

「ゲスめ……」と歯軋りしながら僕を睨んできた。

 僕は「もう昨日の夜だけで三回もしちゃった」と照れたように笑って見せたら。

 僕は水銀燈人形と共に頭蓋骨を砕かれた。

 44

 水銀燈の髪の毛をもぐもぐしたい、とふと思った。

 さっそく本人に伝える。

「[ピーーー]」

 と冷酷な一言。

 でも僕は絶対に諦められないと必死に訴えた。

 六時間ぐらい、水銀燈にしがみついて必死に訴えた

 その甲斐あり、僕の熱意が伝わって、一本ぐらいならと水銀燈は涙目で言ってくれた。

 僕は屈辱に身を震わせる水銀燈の目の前で、彼女の美しい一本の髪をもぐもぐと咀嚼してやった。

 水銀燈は泣いていた。

 僕は幸せだった。

 だがどうしてか胸がちくりと痛み、その不自然な痛みは以降も残り続けたのだった。

 45

 パソコンを弄っていると「あら」と真紅が声を上げた。

 鼻毛が出ているわよ汚らしい、とのことだった。

 見苦しいからさっさと処理しなさい、と真紅がうるさい。

 僕は「嫌だ!!!!!」と絶叫した。

「きっとこの鼻毛は、あまりにも銀ちゃんを想う僕の気持ちのせいで、すくすくと成長したんだ!!!!

 だから銀ちゃんが来るまでこの鼻毛は切らない!! たとえ代わりに四肢を切断されようとも、絶対にきらない!!!!!」

 真紅はあきれ果てた顔で「勝手にしなさい」とため息を吐いた。

 お待ちかねの水銀燈が現れた。

 僕ははやる気持ちを抑えて、平生を装いながら水銀燈に「見てくれ。ここまで伸びたんだ」と言った。

 すると水銀燈はふぐっ、とふきだすと、ぷるぷる肩を震わせた。

 僕は嬉しくなってもう我慢できなくなった。

「もっとよく見てよ銀ちゃん!!!!!! もっとよく!!!!!

 この鼻毛はね、きっと僕の銀ちゃんを想う気持ちを表していると想うんだ!!!!!

 だからこの鼻毛は、僕の銀ちゃんへの愛ってことなんだ!!!!

 ねぇ!!!!! 食べてみて!!!! 今きるから、もぐもぐと食べてみて!!!!

 きっととっても甘い味がすると想うんだ!!!!!」

 と叫んだら、水銀燈は「相変わらず可哀想な子ねぇ」とため息を吐いてから、

「けど、私を想う気持ちにしては、少し短すぎなぁい?」と鼻で笑った。

 それ以来僕は晩年に至るまで鼻毛を処理していない。

 46

 ローゼンバトルに勤しむ水銀燈を見てると、彼女に対する溢れんばかりの愛があふれ出てしまって、僕は思わず絶叫した。

「好きいいいぃいいいいいいいい!!!!」

 何事かと水銀燈は目を丸くして僕を見た。

 僕はそんな彼女に「水銀燈好きだ!!!!! 好きだ水銀燈!!!!!!結婚してくれぇぇええええええええ!!!!」と叫んだ。

 すると水銀燈は顔を真っ赤にして「私はめんどうくさいタイプよぉ」と言う。

「構わない!!!」

「まず人見知りするから、付き合ってしばらくはあなたとまともに話もできないだろうしぃ……」

「僕の傍にいてくれるだけで構わない!!!!」

「すっごく性格が変わってるからたまに変なこと言ってあなたのこと困らせるかもしれないしぃ……」

「君のためなら両足を切断してそれをハンバーグにして自ら食せと言われても構わない!!!!」

「たまに訳も無く悲しくなって突然泣き出しちゃったりするしぃ……」

「僕の胸で泣いてよ!!!」

「照れ屋さんだからあなたの要望に答えられないかもしれないしぃ……」

「僕が君の願いをかなえるから!!!! そのためだけに生きるから!!!!!」

「私口下手だから面白い話はできないしぃ……」

「僕が君を笑わせるよ!!!!!」

 僕はまた叫んだ。

「水銀燈!!!!! 僕だ!!!!!! 結婚してくれぇええええええええ!!!!!」

 そのとき水銀燈は、世界で一番じゃないかってぐらい美しい笑顔で

「はい喜んで」

 と言ったところで僕は目が覚めた。

 こんなことには慣れているから、僕は大丈夫。

 47

 今日も今日とて水銀燈はローゼンバトルを真紅に申し込む。

 僕はそのバトルの最中に叫んだ。

「水銀燈!!!!!! 今から五分以内に僕にキスしないと!!!!! 僕は自らの眼球を抉る!!!!!!」

 僕は失明した。

 48

 人には様々な癖がある。

 水銀燈にもある。水銀燈は嬉しかったり喜んでいたりすると背中の羽を小刻みに振るわせるのだ。

 僕はさっそくヤクルトを水銀燈に渡した。

 背中の羽は強烈に振動した。

 次に僕は顔の上にプリンを乗せて手を使わずに食べるという一発芸を水銀燈に見せてあげた。

 これは間違いない、と羽根を見たら

 微動だにしていなかった。

 49

 薔薇乙女たちと今日はお茶会に興じる。

 皆でおやつを食べたりお茶をすすったりしていると、水銀燈がやってきた。

 物欲しそうな顔をするので、クッキーを進めてみた。

 水銀燈はそれを恐る恐る齧ってから、ぱぁっと笑顔をみせてくれた「おいしいわぁ」

「実はそれ僕が作ったんだ」

 と言ったら何故かビンタされた。

 クッキーはみんなが喜んで食べてくれたらいいと思って、一生懸命作ったものだ。もちろん何の細工もしていない。

 僕は思わず泣いてしまった。

 50

 銀ちゃんが作ったおにぎりなら

 たとえそれが泥団子だったとしても

 僕はお腹一杯食べられるよ?

 と水銀燈に言ったら舌打ちされた。

 51

 部屋でのんびりしていたら翠星石が寄ってきた。

「どうして水銀燈や真紅にばかりちょっかい出すんですか?」

 言っている意味がよくわからなかったので、「ごめん後にして」と答えたら、涙目になっていた

「翠星石とも遊んでください」

 としつこい。

 仕方が無いので指相撲でもしようかと提案したら、「手の大きさが違うから不利ですよぉ」

 とどこか嬉しそうに言う。

 じゃあやめようか、と言ったら「馬鹿人間!」と怒ってどこかへ言ってしまった

 何だか知らないがあとで謝りにいかないとなぁと思っていたら

 水銀燈がやってきた。

 僕は思わず興奮してしまい「銀ちゃぁああああああああんんんんんん!!!!!」

 と叫んで水銀燈に抱きつこうとしたら

 両手の爪を丁寧に剥がされた。

 52

 水銀燈と真紅のローゼンバトルをつらつら眺めていると、ふと気づいた。

 水銀燈は真紅にパンチを食らうとき、床に落下する。

 その時八割の確立で、尻餅をつき、二割は背中から落下する。

 そしてさらに観察すると、水銀燈が落下する位置は、六割の確立で部屋の南側になり、その際

 計算する必要もないほどの高確率で近くの本棚に手をかけて立ち上がる。

 そのことに気づいてから、僕は十日の内八日間は水銀燈が落下する位置に全裸で寝そべり、

 そのうち二日間は本棚の中に身を潜めて水銀燈が手をかける場所に男性器を置いた。

 そんなことを続けて二週間ぐらい経ったある日、翠星石が鋏を持った蒼星石を連れてきた。

 僕は二人に気づいていない振りをしながら、全裸で本棚の中に隠れ続けた。

 蒼星石は不適に笑い、僕の男性器にはさみをあてがった。

 今から何が起こるのか、とても怖いけど、僕は酷く興奮していた。

 53

 水銀燈にかまけてばかりいたら翠星石の態度が冷たくなった。

 床にテープを張って「ここから先には近寄らないでください」などと言うし

 夜な夜な僕の首にナイフを突きつけて殺そうとするし、

 貰ったスコーンを食べたら毒が入っていたのか三日間意識を失うし

 いい加減我慢の限界なので一体僕の何が不満なんだと怒鳴ったら、

「今まで私があなたにした一連のことを、水銀燈にやられたことだと考えてみてください」

 といわれて、その通りにしたら、その瞬間僕はとてつもない多幸感に襲われ、

 不覚にも射精してしまった。

 僕は泣いた。

 翠星石も泣いていた。

 54

 つれづれ蒼星石が持つ鋏について考える。

 一体アレはどうして、あんなに大きいのだろう。

 アレは何を刈り取るものなのだろう。

 蒼星石はこれは草刈に使うんだよって言ってたけど絶対嘘だ。

 きっとアレは、僕の巨大なマエストロを刈り取るためだけに存在しているんだ。

 きっとそうに違いない。なんていやらしい鋏なんだ。

 そう考え出してから、蒼星石と目が合うたびに興奮するようになってしまった。

 いけない子だ蒼星石。

 その旨を蒼星石に伝えたら「お望みどおりにして上げるよ」

 と言われた後右足を股関節あたりから切断された。

 そこじゃないよって言ったら「ああごめん。巨大だって話だったから、足と間違えちゃったよ

 で、どれを切れば良かったんだっけ? ちょっと見当たらないや」

 いけない子だ蒼星石。

 55

 ふと、蒼星石の帽子の中には何が入っているんだろうと気になった。

 本人に訊いたら「何も入ってないよ」とのことだが絶対に嘘だ。

 僕が思うに蒼星石の帽子の中には、蒼星石のいけない妄想が詰まっているんだ。

 普段はあんなにクールだけど、きっと蒼星石は薔薇乙女たちのなかで一番いやらしいに決まっている。

 その旨を伝えたら「ふふそうかもしれないね」って笑った後「君の頭の中はどうなっているの?」

 って聞いてきたから、僕が蒼星石を使ってどんな妄想をしながら自慰行為をしているのか切々と説明してあげたら

「僕が訊きたいのはそういうことじゃないんだ」って蒼星石は笑って

 僕の頭蓋骨を嬉しそうに開頭しながら「へぇ意外と普通の造りなんだ」ってつまらなそうに言ったあと、前頭葉を握りつぶした。

 いけない子だ蒼星石。

 56

 水銀燈は今も無敵の可愛さだけど、眼鏡をかけてしまえばどうなってしまのだろう、とふと思った。

 きっと目があった瞬間に男共を一瞬で射精させる至上最強の淫獣になるに違いない。

 水銀燈が現れた。

 僕はさっそく、水銀燈に眼鏡をかけてくれるように頼んだ。

 案外、あっさりと水銀燈は了承した。上機嫌で「そんなに言うなら構わないわよぉ。それで眼鏡はどこ?」

 と言うので、僕は自分が今までかけていた眼鏡を水銀燈にかけてあげた。

 僕の皮脂まみれの眼鏡を水銀燈がかけて、お互いの皮脂を共有するという奇跡。

 言い知れぬ興奮を覚えて、僕はそのとき不覚にも射精してしまった。

 怒り狂った水銀燈に右腕を切り落とされて呻いていると、真紅が「人形に老廃物は出ないわよ」と哀れんできたが

 そんなのは関係ない。

 信じる心は必ず救われる。だからきっと信じ続けていれば、水銀燈だって人間のように老廃物を排出するに違いない。

 そしてそのタイミングで僕は水銀燈とまた油を交換するんだ。

 だってそれこそが奇跡ってやつだから。

 57

 蒼星石と雑談してるとき僕はふいに「水銀燈は頼み込めばやらせてくれそうだよね」と言ったら

 蒼星石は「あ〜そうかもね。試してみたら?」だと。

「まさか。冗談だよ」

 と答えたら蒼星石は「なんだい、意外と意気地なしなんだね」とからかうように言って僕の頬を撫でた。

 蒼星石の予想外の行動に思わず赤面して、顔を背けてしまったら「人形相手に赤面するなんて恥ずかしい人だね」

 と意地悪げに笑われた。

 僕は悔しくなって蒼星石の腕を乱暴に引き、そして叫んだ。

「やらせろよ!」

 そしたら蒼星石、それまでクールに僕のこと虐めていたくせに沸騰するんじゃないかってぐらい顔を真っ赤にして

「ばっ、馬鹿言わないでよ」

 って僕の腕を振り払って、顔を背けてしまった。

 こうなったら引っ込みがつかない、と僕は蒼星石の肩をつかんで無理やりこっちを向かせた。

「だからやらせろよ!!!!!!」

 蒼星石は顔を赤くしたままうつむいて、何も言わない。僕はじっと蒼星石の答えを待った。

 その時翠星石が部屋に入ってきた「二人してなにしてるですか。にらめっこですか」などと暢気に言う。

 それから蒼星石とはきまずくなってしまったけど、目を合わせるたびに顔を赤くする蒼星石は何だか新鮮で

 それからの自慰行為はすっごい量が出るようになった。

 58

「最近暑くなってきたわねぇ」と水銀燈が何気なく言うのを僕は聞き逃さなかった。

「えっ!!?? じゃあ銀ちゃんも汗かいたりするの!????」

 水銀燈は突然興奮し始めた僕に怪訝な顔をして「汗なんかかかないわよ人形だから」とめんどうくさそうに答えた。

「でもでも!!!! 暑いって感じるんだよね!!!!!」

「そうね」

「じゃあ暑苦しいとかも思うんだよね!!!!」

「そうね」

「じゃあじめじめとかぬるぬるとかべちょべちょとかも感じるんだよね!!!!!」

「……そうね」

「ところで握手してくれないか水銀燈」

 と平静を装って僕は手を差し出したのだけど水銀燈はちっと舌打ちして、何も言わずに帰ってしまった。

 汗ばんだ手で水銀燈の手を握りたいと思ったんだ。

 何時間も、何十時間も、何日間も、何年間もそうして、

 いつしかお互いの手が離れなくなってしまって

 僕たちは何億年後かに化石として発見されて

 それが未来人によって『永遠の愛』っていう名前で博物館に展示されればいいって

 思ったんだ。

 59

 もしこの世界が、この小さな部屋全てだったとして、

 そこには僕と君しかいなくて、

 そしたら僕は君を見続けて、何万年も勃起し続けるだろう。

 君は酷く怯えるだろうけど、そんなの構わない。

 だってこれは敬意なんだ。奇跡みたいに可愛い君に対する、僕なりの敬意なんだ。

 だから僕は何億年も君を見つめ続けて、勃起し続けるよ。

 そして太陽が滅びるとき、そっと君に口付けしたい。

 という話を水銀燈にしたら酷く気分の悪そうな顔をして「消えなさぁい」とか言われた。

 60

 水銀燈は現在近所の廃墟となった教会で暮らしているという情報を手に入れた。

 さっそく僕は遊びに行くことにした。

 驚かせてやろうと教会を窓から覗いて見ると、水銀燈は中で独りお人形遊びをしていた。

 胸がしめつけられた。

 その姿はあの気高き水銀燈とはあまりにもイメージとかけはなれていた。

 僕はショックを覚えつつも、言い知れない興奮に襲われた。

 さっそく教会に入り、水銀燈に挨拶する。水銀燈は突然の僕の来訪にこの世の終わりのような顔をした。

 僕は強烈な興奮でまともに呼吸ができなくなりつつも、平静を装い、怯える水銀燈に「僕も混ぜてくれないか」と何とか告げた。

 すると水銀燈はぱぁっと顔を明るくして「いいわよぉ」と笑顔になった。

 いくら人形とはいえまだ心は幼いのである。

「お人形は持っているのぉ? 私の貸してあげましょうかぁ?」

 と言われたので、僕はズボンのチャックを下ろして「大丈夫ちゃんと自分のお人形さんを持っているから」と言った。

 水銀燈は普通に大泣きした。挙句出て行け! と僕は教会を追い出されてしまった。

 帰り道、あれほど興奮していたのに、すっかり僕は冷静になって、最低な自分を強烈に後悔した。

 だけど何だか悔しくなったから、教会に引き返して、

 ぬいぐるみに抱きついてさめざめ泣いている水銀燈に気づかれないように近づいて

 後頭部に射精した。

 61

 今日は水銀燈が現れない、と思ったら、風邪をひいてしまったらしい。

 これはいけないと僕はさっそくメイド服を着込んで、水銀燈の住処である廃墟教会に向かった。

 水銀燈は布団の中で顔を赤くして息も絶え絶えな状態だった。

 彼女は僕の姿に気づくと、がたがたと震えしくしくと泣き出した

「私の貞操がぁ…」

 僕はそんな水銀燈に優しく声をかける。

「安心しろ水銀燈。僕が看病してやる」

 僕は水銀燈の風邪が治るまで甲斐甲斐しく看病してやった。

 おかゆを作ってやり、額に冷たいタオルを乗せてやり、粉薬が苦手な水銀燈のために、粉薬にヨーグルトを混ぜたおやつを作っ
てやり

 三日目の朝、ようやく水銀燈は回復してくれた。

 水銀燈は晴れ晴れとした顔で「最初は誤解してたけど、助かったわありがとぉ」とお礼を言ってくれた。

 僕は当然のことをしたまでだ、と答えた後、はたと冷静になり、自分が未だにメイド姿であることに気づいた。

 冷静に考えて見れば、これはどれほど変態的な格好なのだろう。

 その途端僕は強烈に興奮してしまって、慌てて水銀燈の額の上に乗せてあるタオルに射精した。

 水銀燈は大泣きした。

 62『雨傘小間付き』

 私が新しく仕えた地主は、この時代には珍しく女が主人を張っていた。

 彼女は戦後日本に西洋人形を普及させた第一人者であるという。小さな商店から始め、一代で自店を日本で有数の玩具メーカーへと成長させた。

 そのような実力を持った女はどんな老婆であろう、と思ったら、若い女人が私を出迎えたので驚いた。

 女の名前は翠星石といった。

 商売女によくあることで、彼女もまた気が強く強情であった。

 そんな彼女の性格に打ちのめされ、小姓は何人も止めていき、私で十二人めだという。

 それでもまあ私のことなどを拾ってくれるところはそうはいないので献身的にお仕えしていた。

 翠星石は酒を傾けるときよくこのようにお話をされた。

「私は幾人もの男に抱かれてきたが、本当に愛した人は一人もいないのよ」

 どこか自慢げにそうおっしゃられる。金を持つものは男でも女でも奔放になられるのだろう。

 私はへえそうですか、とお返しする。

 すると翠星石は私の手を握り、あなたは私に愛されるに足るかしら、と妖艶に耳元で呟いてきた。

 私はお茶請けの苺大福を出しながら、へえ、私がご主人様に、めっそうもありゃしません、へえとお返しした。

 すると翠星石はきょとんとした顔で、ならばどんな女がお前に合うというのだ、とおっしゃる。

「へぇ、私なんかには土臭い田舎娘なんかがお似合いでしょう。自分の育ちも大層な山の中なので。猿やなんかと大して変わりゃしませんて」

「つまり、田舎に恋人がおるというのか」

 ずばりと翠星石は私の境遇を見破った

 私は赤面してへぇ、へぇとお茶を濁したが、翠星石はそれからいつまでもくつくつ笑っておられた。

 またあるときはこんなこともあった。

 夜分、翠星石が苦しげな声でお呼びになるので、すわ大事かと急いで向かったら、

 あられもない姿でお布団に寝そべっていらっしゃるのでびっくらこいた。

 そんな姿で苦しげに「あなた背中を掻いてくださらんか」とおっしゃる。

 私はえらく緊張しながら彼女の白い肌を掻いた。彼女に近づくと、甘い香水の香りがした。

「ふふ、こそばゆい」

「へぇすみません」

「女の扱いに慣れておらんの」

「へぇすみません」

「女に触れたのは初めてか」

「へぇ、その通りで」

 翠星石はくつくつ笑うと、もっと触れてみとうとは思わんか、と私をいざなうように、かぶっていた布団を捲った。

 彼女は一切の衣服を見につけておらず裸であった。

 私は逡巡するよりも先にとっさに目を瞑る。

「へえすみません、ご主人様。ちょっくら用事を思い出しまして」

 と私はぎくしゃくしながらその場を辞した。

 襖を閉めた途端、翠星石は枕でも投げたのだろうか、どかん、と襖は揺れた

 私は「ああこれで首が飛んだか」と覚悟した。

 だが、翌朝翠星石に呼ばれて向かったら「お前あれでは駄目だよ」と言われるだけですんだ。

 彼女が言うには「据え膳なんとやら」「女に恥を」「そんなことでは田舎に待たせた恋人も」云々。

 翠星石からようやく開放されて、縁側でぼうっとしていると、女中の一人が声をかけてきた。

「あなた首になったの?」

「へぇ、何とか繋がりました」

「まぁ!」

 女中は酷く驚いた顔をして、あなたのような男は初めてよ、などと妙に感心して言った。

 翠星石は小姓にちょっかいをだして、肉体関係を持っては、小姓を首にするということを繰り返していたという。

 とんでもない屋敷に来てしまった、と私は思った。

 件の後以来、私はことあるごとに翠星石に呼ばれては、我侭をきかされるという立場に陥った。

 あてつけであろうと思うのだが、女中は主人はあなたを気に入ってらっしゃるようですよとからかうように言うのだ。

 ある日の晩、翠星石に一献お注ぎしていたら、酔いが回ったのかまたあの話をされた。

「私はね、今まで幾人の男に抱かれてきたが、誰も一度も愛してはいないのよ」

「へぇそれはそれは」

「幾人もの男に抱かれた女をどう思う?」

「どのようにも」

「汚らわしいと思うか?」

「めっそうもない」

「私は誰も一度も愛してこなかった」

「それはそれは」

「だから貴様を思うときのこの気持ちが、一体どのようなものであるのかよくわからない」

 彼女のおっしゃられることはよくわからなかったが、翠星石のお猪口を傾ける手は少し震えていた。

 次に翠星石は「おまえは愛した女にどのような感情を抱く?」と訊いてくる。

「へぇ私は教養がないもんですから、わかりません」

「答えろ」

 翠星石は潤んだ目でじっと私を見つめた。その瞳には、私を追い詰めるように力が込められているのに、見つめ返すと、何故か私が彼女を追い詰めているかのように錯覚した。

「へぇ例え話でありますが、私の想い人が雨に降られていたとして、私は自分の身が濡れるのを構わず、彼女に傘を差し出したいと思うでしょう」

 彼女はきょとんとすると、「それだけか?」とおっしゃった。

「それだけでございます」

「もっと、抱きたいとかとか」

「へぇ童貞なもんで」

 すると翠星石は夜だというのにげらげら笑って、しばらくうるさかった。

 その後も何事もなく平穏に私は彼女に仕え続けた。

 翠星石はあの夜以来、私にあの話をしてくることはなかった。どういう因果があるのか、その間翠星石はいかなる男とも関係を持つことはなかった。女中たちは「あれほど奔放でいらっしゃったのに」と驚いていた。

 数年ほど経ったのち、田舎から私の恋人がついに死去したという手紙がやってきた。

 元々彼女の病気を治すため、都に出て金を稼いでいた私は、文を読んだ途端お屋敷に仕え続ける理由がわからなくなり、

 その日の昼には翠星石に小姓を辞めたいと申し出ていた。

 翠星石は冷たい顔で「何故だ」と一言問うた。

「へぇもう金は必要ないので。田舎に帰って畑の手伝いでもしようかと思います」

 そうかと翠星石は一言おっしゃって、それぎり何も話さなくなられた。

 彼女の部屋を辞したところで、どこに潜んでいたのか、いつの間にか女中が私の目の前に現れ、何故か頬をぱちんと叩いてきた。

 それから私はお屋敷から放り投げられるように追い出された。一緒にいくばくかの銭を持たされ、計算してみるとそれは丁度田舎に帰るのに必要な賃金であった。

 道は雨が降っていた。私はとぼとぼと濡れながら歩くばかり。

 私は自分でも気づかないうちに顔を伏せて歩いていたのだろう。ふと人の気配がして顔をあげるとそこの翠星石がいらっしゃった。

 私は立ち止まる。翠星石はぶすっとした顔で私をただねめつける。ようく見ると、彼女の煌びやかな着物の裾は泥で汚れており、走ってここまできたのだろうとうかがい知れた。

 私は頭をさげた。

「へぇ今まであざんした」

 その頭がこつん叩かれた。拳の感覚ではないと顔を上げると、傘が差し出されていた。

 翠星石を見上げると、最早彼女は私に目を合わせない。

「私は誰も一度も愛してこなかった」

 ぽつりとおっしゃった。

 田舎に帰った後も、私は年に一度はお屋敷に文を出し、季節ものの野菜を送り続けたが、

 ついには、お屋敷のほうからお返事はなかった。

 63

 君の可愛いおでこが太陽だとしたら

 僕はきっと地球で

 つまり僕は君がいないと生きられないってことなんだ。

 そして僕が君の可愛いおでこにキスするとき

 それは世界が滅びるときってことなんだけど

 僕はそれでも構わないよ?

 って銀ちゃんに言ったらこめかみを指先で叩いて「お前いかれてるだろ」というジェスチャーをした。

 興奮する。

 64

 ひょっとして僕は夢を見ているのかもしれないと思った。

 だって水銀燈っていうまるで奇跡みたいな存在とこの地球っていう空間を共有できているんだから。

 さっそく僕はその奇跡を存分に堪能しようと水銀燈を監禁した。

 椅子に縛り付けた水銀燈の前で僕は全裸になる。

 水銀燈は恐怖に慄いた顔で、汚い言葉で僕を罵倒し始めた。

 僕はゆっくりと水銀燈の服に手をかけ、(中略)

 そんなこんなで僕と水銀燈は一子をもうけ、今では幸せに暮らしている。

 子供には、奇跡という名をつけようと思っている。

 65

 最近カラスを見ただけで

 水銀燈を想って勃起してしまうようになった。

 これって奇跡じゃない?

 って水銀燈に言ったら中指立てられた。

 その指で心臓を貫いてくれって思った。

 66

 水銀燈を思ってばかりいたらついに発熱してしまった。

 床に伏してぜいぜい苦しんでいたら水銀燈がやってきた。

 こりゃ今までの恨みを晴らされてしまうだろうと覚悟したら

「大丈夫ぅ?」

 とえらく心配そうに声をかけてきた。

 風邪がうつるかもしれないから近寄るな、と言ったら水銀燈はむっとして

「そんなこと言っている場合じゃないでしょぉ」

 と甲斐甲斐しく僕の看病を始めた。

「何か食べたいものあるぅ」

 と訊かれたから食欲がないと言ったら「食べなきゃ駄目よぉ」と怒る。

「ゼリーなら食べれるんじゃなぁい?」

 それも食べられないと返したら

「それじゃあ何が食べられるのよぉ」

 と怒ってきたから

「銀ちゃんがふーふー覚ましてくれたお粥なら食べられゆ」

 と答えたら「ばっ馬鹿じゃなぁい。心配して損したぁ」

 と怒って帰ってしまった。

 夜中寝苦しくって目を覚ましたら、水銀燈が傍にいた。

「あなた寝言すごいのね」

 とくすくす笑っている。

「何か言っていたか」

 と訊いたら「そんなに私のこと好きなのぉ?」だと。

 恥ずかしくなって「帰れよ」と怒鳴ったら「あらそう」

 ってまだくすくす笑いながら、おやすみなさぁい、って僕の頬にキスしてきた。

 朝起きると鍋が置いてあって、『食べなさぁい』という置手紙。

 開けてみるとお粥だった。ほどよく冷えている。

 僕は水銀燈が一生懸命お粥をふぅふぅ冷ましている姿を想像して射精してしまい、

 びっくりな卵粥が出来上がった。

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