ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」 (1000)

プリペッド通り四番地

ハニー「ヴォルデモート。あの、豚以下の黒豚」

ハニー「……あいつが復活して、一ヶ月」

ハニー「この夏は、あいつについての襲撃事件のニュースが連日飛び込んでくる、そう思っていたけれど」

ハニー「……無しのつぶてだわ。まるで、今もこの世界は平穏無事で誰もが健やか、そういうように」

ハニー「……まぁ」


ハニー「この、私が。健やかどころか高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的なのは、言わずもがなでしょうけれど。そうでしょ、ダドリー?私の豚?」

ダドリー「ヒンヒン!!」

ピアーズ「踏んでくださいハニー姐さん!!ヒンヒン!!」

バーノン「やめんか小娘、やめんか!!!!ダドリーを踏みつけるのはやめろと言うとろうが!!」

ハニー「新聞どころか……あの子たちからの手紙までこないなんて、どういうことなのよ!この豚!!」

バーノン「お前の頭がおかしいお仲間のことなんぞ知るか!!おい!!!ダドリーに当たるな小娘!!ダドリーが苦しんで……」

ダドリー「ご褒美です」

ピアーズ「名誉なことです」

「そうですおじさん」
「むしろウエルカムなんです」
「ヒンヒン!」

バーノン「だまらっしゃい!!ダドリーの友人たち、どきなさい!!!わしから小娘を守るように反復横とびするんじゃない!やめろ!やめんか!!」

ハニー「さすがは私の可愛い豚たちね。そうね、さしずめ私と言うクイーンを守る……」


ハニー「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」

ダドリー「ヒンヒン!!ヒーン!!」

バーノン「だからやめんかぁあああああああ!!!」

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ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」

ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」

ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」

ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」
ハニー・ポッター「いつか必ず、来るものは来るのよ」
ハニー・ポッター「来るものは来る、来た時に受けてたてばいいのよ。勝つのは、私よ」

のつづきやで

キタァァァァヒンヒン!

公園

ハニー「あの豚以下の見た目豚に追い出されてしまったわ。まったく何様なのかしら」

ダドリー「ヒンヒン」

ハニー「えぇ、そうね。あなたのお父様なのになんて出来の悪い人かしら。『おじさん』だなんて絶対に呼んであげないわ。私にとってその呼び方は……うるさいわねこの豚!!」

ダドリー「ヒンヒン!ありがとうございまヒン!!」

フィッグ「おんや、ハニー。こんばんわ。ダッド坊やは相変わらずあんたのベンチ代わりかい?」

ハニー「あら、フィッグおばあさん。あなたこそ、相変わらずたくさん猫をつれておいでね」

ナーゴ  ンニャーーゴ 
 ゴロニャー ニャーフォイ

フィッグ「色んな子がいるからねぇ。飽きやいないよ」

ハニー「えぇ、そうね。個性で済まされないような鳴き声が聞こえた気がするけれど、そういうことにしておくわ」

フィッグ「散歩の途中だ、それじゃあねぇ。あんまり暗くならないうちに帰んなよ、あのバカが勝手にどこかに行ったsゲフンゲフン」

ハニー「?」

フィッグ「こっちの話さね」

ハニー「……暗くならないうちに、ね。あの人は何もしらないはずなのに、優しいわ」

ハニー「愛を振りまく私に世界が優しいのは当然のことだけれど。ねぇ?」

ダドリー「ヒンヒン!」

ハニー「そうよね……それなのに」

ハニー「……」

ガサガサッ

『——例のあの人については、あまり詳しく書けないの。あぁ、ハニー。ごめんなさい、でもふくろうが襲われることを考えたらどうしても、って、止められていて……』

ハニー「……私があなたに会う時に襲うことこそ、止められないのだから。覚悟してなさい」

ハニー「……この口ぶりだと、ハーマイオニーはきっと……なにかしら、魔法界から接触があるみたい」

ハニー「……私には、なにもないのに」

ハニー「……ロンにいたっては、手紙すら来ていないわ」

ハニー「……」

ガサガサッ

『——君はきっとイライラしていることだろう。あぁ、だからと言って、あまり耳の後ろを掻き毟ってはいけないよ。女の子のしていいクセではない』

ハニー「何のことかしら……当たっているのが、くやしいけれど。もう、シリウスは……」

ダドリー「!ヒンヒン!ハニー!やっと笑っ痛い!!」

ハニー「誰がヒトの言葉を喋っていいと言ったのこの豚!!」

ダドリー「ヒンヒン!ヒーン!」

『不満はあるだろうが、おとなしくしていなさい。そうすれば全て大丈夫だ』

ハニー「……」

『間違っても蛙をわし掴みにしたり、ポケットの中を蛙の卵で一杯にしてはいけないよ』

ハニー「どういう行動なの、それ……」

『無茶はするな。いいね。君の家族である私と、約束してくれ』

ハニー「……おじさんが、そう言うなら。でも、なんだか理不尽だわ……シリウスこそ、アズカバンからの脱走なんてとっても控えめな無茶をするような人、なのに……私をこんな、子供のように扱って」

ハニー「そうよ。どうしてこんな、子供みたいに……もう!!」

ダドリー「痛い!!ヒン!!!ありがヒンヒン!」

ハニー「私、子供じゃないわ。いつだって……あいつと対面した時だって」

ハニー「……」

ハニー「……セドリック」

ダドリー「!!」

ハニー「子供扱いされても、しょうがないのかしら」

ハニー「セドリックは……私が、もっとしっかりしていれば」

ダドリー「ヒンヒン!ヒン!!」

ハニー「いいえ、セドリックはきっと無事だって、信じてる。そう決めたじゃないの、わたし。もう、クヨクヨしない……夢に出た時の朝じゃ、ないのだから」

ダドリー「ヒン!ヒンヒン!!ハニー!!ヒン!ヒンヒンヒ……うぅ」

ハニー「なぁに、この豚。さっきから、何を……」

ハニー「さっきから……そうよね。どうして、私……こんなに、弱気なことばかり」

ハニー「この、私が……それに、真夏なのに。この寒気、って……」

ハニー「っ!」

吸魂鬼「————」

ハニー「っ、どうし、て、こんなところに!吸魂鬼<ディメンター>が……きゃっ!?」

ダドリー「ハニー!」

ハニー「つっ、ダドリー!この私を突き飛ばすなんて、何のまね……」

吸魂鬼「————」スゥゥゥゥゥゥゥッ

ダドリー「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!許してください、ぼくはきみになんてこと、あぁ、また君にひどいことを……!」

ハニー「っ、な、にを……まさか、吸魂鬼のせいで。昔のことを……?」

ダドリー「ごめんなさい、あぁ……許してなんていえない、いえないようなことをしてきたのは分かってる、けど、ぼくは」

ハニー「なにを、勝手なことを言ってるの。この……ダドリー!!しっかりなさい、あなたは、今は!私の、豚でしょう!!可愛い豚、許すも、何もない!!わたしの、愛を注ぐ相手!!もう、終わったことよ」

ハニー「吸魂鬼、勝手なことをして私の豚を困らせないで……あんたなんかに、せっかく変われたわたし達のことを邪魔する、ような真似、させないわ!」

ハニー「『エクスペクト・パトローナム!!』」

吸魂鬼「——」スゥゥゥゥウウウウッ

——ハニーを連れて、逃げろ!大丈夫だ、僕を誰だと思ってる?あんな、お辞儀草如きに——

ハニー「っ、『エクスペクト・パトローナム!』」

——死の飛翔、ザ・俺様——

ハニー「『守護霊よ、来たれ!』」

——やーい、やーーい、親無し孤児、やーい!——

ダドリー「あぁ、うぁ、ごめんなさい、ごめん……」

——おい、お前なんてうちの家政婦みたいなもんだろ!トイレでも掃除してろよ——

ハニー「やめろ、って、言って……」

ハニー「(なん、で……ダドリーのことは、もう、もうずっと前に許してる)」

ハニー「(なのに、なのに……あの時のことお、思いださせられ、て)」

ハニー「(杖を、ダドリーに向けてしまいたく、なって、どう、して……ダメ。集中しなさい、わたし!でない、と)」

ハニー「『エクスペクト・パトローナム!』」

ボヤァァァ

ハニー「っ、守護霊、が……『エクスペクト・パトローナム!守護霊よ、来たれ!』」

吸魂鬼「————」

ハニー「(ダドリーを呪うなんて、そんな気持ち、私、わたしには、もうない、のに)」

ハニー「(集中、しないと……幸せな、思い出)」

ハニー「『エクスペクト・パトローナム!』」

ハニー「(そうよ……夏、休みなのに。まだ、誰にも。可愛い豚は、いる、けれど)」

ハニー「『守護霊よ、来たれ!』」

ハニー「(まだ誰にも、会えてないのに……手紙さえ、満足に!)」

ハニー「ロンに、ハーマイオニーに……会う、ん、だから!!『エクスペクト・パトローナム!守護霊よ、来たれ!』」

守護霊『——僕の宝に何をしいるんだい、この下衆が』

吸魂鬼「!?!?!?!?!?」

ハニー「っ!出た、出たわ!守護霊で、パパ……の、私の中のイメージというか、そういうの」

守護霊『消えろ。その前に跪け。僕と僕らの宝物の前でお前の汚い顔を拝ませるのを許可してやる。フードを脱いで礼儀正しく三つ指ついて土下座してからとっとと消えろ!!!」

吸魂鬼「!?!?!?!?」ガタガタガタガタガタ

ハニー「……この間、会ったせいで。ある意味悪化してるわ。頼りにはなるけれど」

ハニー「……行ったわね。どういうことなのかしら。どうして、吸魂鬼がマグルの街中に……」

守護霊『……』

ハニー「あら……今回はすぐ消えないのね、パパ?」

守護霊『お友達の名前だけ呼んでいたけれど、本当のとこあいつにも会いたいんだ、って想いは僕はよーく分かってるよ。なにせ僕ぁおまえのパパだからねHAHAH』

ハニー「用が済んだならさっさと消えて!!!」

ポンッ!!

ハニー「……でも、今のって私のイメージだから……自答のようなも、うるさいわねこの豚!!」

ダドリー「ひ、ヒンッ、ヒン……!」

ハニー「っ、ダドリー! 平気? 立てる、わよね?私の豚なら……あぁ、手をかすわ。だから……」

フィッグ「なんてことだい!!あぁ、こりゃもう、なーんてこった!!」

ハニー「ふぃ、フィッグおばあさん……あ、あー、その、これは、あのね?私の豚を折檻するための、ただの枝で……」

フィッグ「ただの枝!そりゃそうだろうさ、あんたにとっちゃーね!こちとらそれを使うのがどんだけ大変か!仕舞うんじゃないよ、あんたの呪文がまだ必要かもしれないんだから!」

ハニー「!?」

ハニー「じゅ、呪文、って? あー、フィッグおばあさん?」

フィッグ「ミスター・チブルスを見張りにつけていて正解だった!吸魂鬼が現れるなて!マンタンガスのバカめ、うちの猫やらニーズルよりも役立たずだってダンブルドアに報告してやる!」

ハニー「あの、落ち着いて頂戴……ダンブルドア!?あなたは、ダンブルドアをご存知なの!?」

フィッグ「そりゃそうさね、ダンブルドアを知らん人間が魔法界におるのかい?マンタンガスのアホでさえよーく知ってるよ」

ハニー「そ、れじゃぁ!あなたは、魔女!?でも、、だって、ご近所で、何度もその、猫さんを触らせてもらったけれど!そんなこと一度だって……!」

フィッグ「出来損ないのスクイブだがね。あー、あー!それがダンブルドアの狙いさ、そうだろ!?」

フィッグ「あたしみたいな弱い魔法力の人間ならあんたの近くにいても気づかれないからうってつけ、ってねぇ。あんたにも、例のあの人にも!んなこたぁ、どうだっていいんだ!」

ハニー「よく、ないわよ!私……」

フィッグ「それよりマンタンガスのトンチキさ!あたしゃ呪文なんざ使えないってのに、あんたの護衛を放っぽってどこぞに行っちまったんだから!」

ハニー「マンタンガス……その人、も、私のことを?」

フィッグ「あぁ、今日はあいつの当番だったのさ。まったく!まったく!マンタンガスの[ピーーー]!!!」

ダドリー「ヒンヒン!」

ハニー「なっ、なによこの豚!急に立ち上がって私の耳を塞がないの!ちょっと!!」

フィッグ「そのどでかいカボチャみたいなケツの豚は一人で立てるね?え?ほら、さっさと行くよ!」

ハニー「私の豚を私以外が豚って呼ばないで……ねぇ、フィッグおばあさん」

フィッグ「質問は歩きながらにしとくれ!杖は出したまま!魂吸鬼がまた出たら頼むよ、あたしゃティーパック一つ変身させたこともないんだ」

ハニー「……分かったわ」

フィッグ「あぁ、でも今度やるときゃもーちょっと別の呪文に出来ないかい?え?あの眼鏡、ありゃ心臓に悪い」

ハニー「私のパパになんて言い草なのかしら」

フィッグ「そりゃあんたにとっちゃそうだろうがねぇ……とにかく別のにしとくれ。なーに、何を使ったっていいだろうさ。『機密保持法』なんて気にするこたぁないよ。卵泥棒で一回魔法を使うのも、ドラゴンを盗むのに万回使うのも一緒さ」

ハニー「その理屈はよく分からないけれど」

ハニー「『モビリコーパス』」

ダドリー「! やった!やったぞ同胞!僕は一足先に空飛ぶぶt」

ハニー「誰がヒトの言葉を喋っていいといったの、ってば。自力で立てないダメな豚さん?」

ダドリー「ヒンヒン(泣)!」

フィッグ「便利でいいね魔法ってのは。あー、でもあんた、十四かい?え?」

ハニー「……つい一昨日が誕生日だったから、十五だわ」

フィッグ「おっとそりゃおめでとさん。でも『姿くらまし』はできないねぇ。あぁ、どうやってダンブルドアにこのことを知らせりゃいいんだい、まったくマンタンガスのくそったれめ!」

ハニー「あー、わたし、ふくろうなら持っているわ?可愛い白豚だけれど、それでよければ……」

フィッグ「分かっちゃないね、ハニー!あの片はすぐさま動かなくちゃいけないのさ!ふくろう!?んなもんに頼むならあたしゃ……」

バシンッ!!

ハニー「キャっ!?……あ、あら?誰か、が、私達の前に……あぁ、今のって『姿あらわし』の……」

マンタンガス「あー、ん?フィギー、どうなってんだ?ん?ハニーにゃ正体、ばらさねぇってぇ話じゃねぇのかい?」

フィッグ「あたしゃあんたをバラしてやりたいところさねこのバカアホ間抜けトンチキ!!!吸魂鬼だ!!吸魂鬼が出たんだよ!!」

マンタンガス「……おーけー、フィギー。おーちつけよ。ほら、あんまり落ち込むこたーねぇよ。な?ほら、あんたもいい歳だs」

フィッグ「どこまでもボケてんのはあんただけだこのすっとこどっこい!!!やっちまいなミスター・プレンティス!」

猫「ナーーーーーンッ!!」

マンタンガス「や、やめっ、やーーーめろ!!やーーめろって!!!いでっ!いてぇ!!」

ハニー「……ついさっきまで、魔法界からなんにも、と思っていたのだけれどね」

フィッグ「まったくあいつめ!報告するついでに怒髪天なダンブルドアに死刑にされりゃいいんだ!」

ハニー「腹黒豚はそれを材料にもっとあの人を働かせそうだわ」

フィッグ「よく分かってるじゃないか。ともかくこれで、ダンブルドアも動けるんだあんたのために。夏中そうしていたがね」

ハニー「夏中……?」

フィッグ「あぁ、あたしらを見張りにたてて、あんたに魔法を使わせないようにって……」

ハニー「……」

フィッグ「……その心配が大当たりしちまったわけだけど。こぼれた魔法薬盆に返らず、気にしてもしかたないさね。でもまぁ、猫の尾も借りたいくらいとんでもねーこの騒動になっちまったねぇ」

ハニー「夏中、それじゃ。あの腹黒……ダンブルドアは、私のために色々と?」

フィッグ「そりゃそうさ。六月にあんなことがあったのに、あんたを一人にするわけないだろう?」

ハニー「……それなら、もうちょっと。やりようがあったじゃないの」

フィッグ「あたしに言わんでおくれ。ダンブルドアのやることに、間違いはねーんだ。そう思っときな。さぁ、行くよ。ところでそっちの太っちょは浮かびつつあんたを日差しから守ってるけど、器用な真似するねぇ」

ハニー「出来る豚と呼んであげるわ、ダドリー」

ダドリー「ヒンヒン!」

ダーズリー家

バーノン「ダドリーに何をしおった小娘!」

ぺチュニア「ダッドちゃん?平気?あぁ、可愛いダドちゃんかわいそうに……何をしたの!?その杖で、何かしたのね!?」

ハニー「違うわよ!私は、私と豚を……あっ!」

コノハズク「ケェーッ」

バーノン「ふくろうめ!!我が家に入ってくるなこの非常識の象徴!!くそっ!!全部の窓に鉄格子と『ふくろうおことわり!』の看板をくくりつけてやる!!!」

ハニー「ご近所から非常識の塊とこれ以上思われても知らないわ……それで、これは……魔法省からの、手紙?」


『ポッター様

 我々の把握したところによれば、貴女は先刻マグルの居住区において、マグルの面前で、守護霊の魔法を行使した

 『未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令』の重大な違反により、貴女はホグワーツ魔法魔術学校(笑)を退学となります

 貴女には既に『国際魔法戦士連盟機密保持法』の第十三条違反の前科があるため、遺憾ながら魔法省への懲戒尋問への出席が要求されることをお知らせします

 尋問は八月十二日午前九時から魔法省にて行われますのでお間違えのなきよう

 貴女のせいぜいのご健勝をお祈りいたします

 魔法省 魔法不適正使用取締り局 局次長 マファルダ・ホップカーク』

ハニー「……退、学?」

バーノン「ほーう、ほーーーう!『魔法を行使した』!ほれみろ小娘!お前はその杖であの魔のつくなんちゃらを……!」

ハニー「眼くらいは正常でありなさいよ、『守護霊の』がつくのが見えないの!?この私の守護霊、つまりパパよ!?」

バーノン「なんだそれはそれこそ悪夢だろうがあの眼鏡は!!」

ハニー「どういう意味よ!!!」

ペチュニア「そういう意味で……あぁっ!バーノン!」

バーノン「あいたっ!!なん、だ、このフクロウ!わしにぶつかってきおって!!おい小娘、まーたお前に手紙か!?え!?」

ハニー「そのようだからよこしなさい、振り回すと本当に死んでしまうわよその……エロールは。ハァイ、エロール。久しぶりね。私の豚は元気?」

エロール「ゲェーッ」

ハニー「そうでもないの、そう……当然よね、この私に一月も会えていないわけだもの。それで、お手紙ね……おじさんから、だわ」

『ハニー——ダンブルドアがたった今魔法省についた。なんとか収拾をつけようとしている。いいかね、絶対にその家から離れてはいけない。これ以上魔法を使わないように  アーサー』

ハニー「……これだけ??」

バーノン「おい小娘!今度はなんだ!お前達のその、悪夢のような魔法省とかいうのが、そうだ、お前を捕まえるとかそういう……のあ!?またふくろうか!!ふくろうのつぶて、わしの家に!!まったく!!まったく!!」

『ポッター様

 約二十二分前の当方からの手紙に引き続き連絡申し上げる

 当省は貴女のホグワーツ魔法・魔術学校への退学、そして杖の破棄についての決定を直ちに変更した。

 これらの殊遇については先の日程において開廷される懲戒尋問に決定することとし、貴女はそれまで停学状態であることを理解されたし』

ハニー「手のひら返しにもほどがあるわね……とりあえず、ダンブルドアには感謝、するべきなのかしら……それで」

バーノン「もう驚かん!!もう驚かんぞ!ほーれ捕まえた!!ふくろうだ!!!こいつめ!!!ペチュニア、今夜はふくろう鍋にするぞ!!」

ダドリー「パパがおかしくなっちゃった……ヒンヒン(驚愕)」

ハニー「あのふくろう……よこして!!手紙をよこしなさい!!早く!!これ、って。シリウスの……!!」



『アーサーが今、何が起きたのかを話してくれた。何があろうとも、決して家を離れるんじゃない。いいね?』

ハニー「……? これ、だけ? いいえ、きっと、裏、裏になにか……」

ハニー「なにも……なにも!?!?なんにも!?!?みんな、私が悪さしたように、諭す、だけで!」

ハニー「誰も、だれも私わたしに……っ!吸魂鬼を、わたし、一人で追い払った、のに!!こわ、かったのに!誰も、褒めて……なに、なによ!!」

バーノン「ふくろうがつっつき、もといふくろうが次々!許さんぞ小娘!こむ、おい、あー、おい!何を泣いとる!!泣きたいのはこっちだ!!!」

ハニー「誰が泣いてるの、よっ!っ!ヒンヒン鳴いてなさいよ!!」

ダドリー「ヒンヒン!!!」

バーノン「グズグズと泣いとるだろうが!おい、何か追い払ったとか言ったな!?え!?ダドリーの何を追い払った!?」

ハニー「このわた、っ、私が私の豚に何かするわけないでしょう、って、言っいるじゃないの!」

バーノン「お前数時間前この子踏んどっただろうが!?!?!?」

ハニー「ご褒美よあれは!!吸魂鬼、よ!言っても、分からないでしょうけれど……」

ペチュニア「魔法使いの監獄の看守ね。アズカバンの」

ハニー「!?」

バーノン「!?」

ダドリー「ヒンヒン!」

ペチュニア「あっ……って、あの、近所の奥さんが、あー……」

ハニー「どこの井戸端にそんな会話が転がってるのよ、紹介しなさい私に」

ペチュニア「オホン!昔——そう、昔のことよ。あのとんでもない眼鏡があの妹に!そう話しているのを聞いたの」

ハニー「……なにが楽しくて、パパは監獄のことなんてママに話すというわけ!?」

ペチュニア「そんなものでしょうあの眼鏡なんて」

バーノン「そうだそうだ、あの眼鏡なんて」

ハニー「どいつもこいつもパパのことを眼鏡眼鏡って!パパ自身がそう言っていたから否定はしないけれど!もう!」

バーノン「車のことを聞いて箒の話をしだす馬鹿者のことなどどうでもいい!どうでも眼鏡だ!」

ハニー「なによそれ悪態のつもりなの?パパをバカにするなら……」

バーノン「だまらっしゃい!ともかく!あー、なんだ!?なんなんだ、そのキューコンバー?とかいうのは」

ペチュニア「吸魂鬼<ディメンター>よ。幸福な感情を糧にして、悪い思い出だけで頭を一杯にしてしまう……って、きょ、今日のテレビで言ってたわ!!!」

ハニー「だから教えなさいよどのチャンネルなのよ魔法省の情報流すそれは。そう、そいつがここに現れたのよ」

バーノン「何のためにだ!?え!?そんなとんでもな生き物、どうせお前の、あのへんてこりんな世界のものにきまっとる!」

ハニー「世界初人語を喋る豚のような容姿をして何を言っているのかしら」

バーノン「黙れ!なんでそんなものが、可愛いダドリーを襲う道理がある!?え!?わしら普通の真っ当な人間の街で!」

ハニー「それは……それは、私にも分からないわ。悔しいけれど」

バーノン「分からない、なんてものが許されるか!この辺一帯にはお前だけが異常な、例の、あの、ただ一人のあの魔のつく、『例のアレ』なんだ!!」

ハニー「だから……『例のアレ』……あぁ。少し、検討がついたわ。なるほど、ホント、今日は色々起こる日ね」

バーノン「何だ?貴様が本当に退学になることが起きたのならわしにとってはまたとない吉報だがな!」

ハニー「そんなことになってたまるもんですか。違うわ。きっと、あいつが送り込んだのよ……ヴォルデモートが」

ペチュニア「……あの人は、死んだはずだわ」

ハニー「……それは、今日の通販カタログにでも載っていたわけ?」

ペチュニア「えっ、えぇ……そうよ」

原作でもペツニアはんの正体はわからず仕舞いだったものなー…

リリーが色々教えてたりしたんだろうけど、実はあの人も魔法幾つか使えたりしたんじゃなかろうか

バーノン「おい!バーノン・ダーズリーだがな!貴様のとこの雑誌はもう届けんでいいぞ!妻にとんでもないことを吹き込みおって!失礼する!」

ハニー「すぐさま電話だなんて、あなたも随分と夫豚をしつけてるのね」

ペチュニア「普通に愛しているだけよお黙り。それで、あの人は死んだはずでしょう?何を、言っているの」

ハニー「戻ってきたの。あいつは、戻ってきたのよ……あぁ、この場所で、よりによってあなたにこんな話をするなんて本当に、今日はなんていう日なのかしら」

ペチュニア「戻ってきた……?」

バーノン「ペチュニア、ペチュニアや。わしにも分かるように説明してくれんか?え?」

ペチュニア「……この子の、両親を殺した悪人が。あー……娑婆に戻った、というようなことよ、バーノン」

バーノン「ほぉ……ん?まてまて、おい待て。そいつがつまり、その危険な生き物をお前にけしかけた、と?」

ハニー「そうね、たまには物分りがいいじゃない」

バーノン「つまりそいつは、今度はお前を狙っている、そういうことか?え?」

ハニー「こっちだってそのつもりよ。あいつに勝つのは私だもの」

バーノン「なるほど。さて、これで決まりだ小娘。出て行け。いいな?」

ハニー「えぇ、そうね。私もう、休ませてもらうわ。お願いを聞いてあげる。あなたは私の豚ではないけれど……」

バーノン「違う、そうじゃない。部屋から、じゃぁない。この家から出て行けと言っておるんだ!!!この厄介者!!!」

ハニー「……」

バーノン「十四年前にそうするべきだった!出て行け!出て行け!わしらの家から出て行け!」

ハニー「ちょ、待ちなさい。待ってよ、そういうわけに……」

バーノン「うるさい!!うるさい!特にここ数年は!お前は調子に乗るわ、ダドリーはわけのわからんことになるわ」

ハニー「……なによ」

バーノン「大男に酷い目に合わされるわ、デザートは爆発するわマージは膨らむわおまけに空飛ぶ車!車は飛ばん!!間違っても車は、飛ばん!!あんな安物車にそんな機能があってたまるか!!」

バーノン「出て行け!狂った奴がお前を狙って、お前のせいで妻や息子を危険には晒させはせんぞ!お前一人でそんなものは持っていけ!出て行け!」

ハニー「なに、よ!分かったわよ!分かった、わよ……!えぇ、お世話様!私、出て行く……ダドリー!離しなさいこの豚!!」

ダドリー「ヒン!ヒン、ヒンヒン!」

ハニー「っ、私の、私の言うことが聞けないの!?豚の、豚のくせに!」

ダドリー「ヒン、ヒーーーン!!」

ハニー「っ、手紙が何!?何よ、だって、本当じゃないの!!私が、ここにいちゃ……!!!」

バーノン「ダッダー!離すんだ!でないと……お、お前も外に放り出すぞ!?」

ダドリー「そりゃいいやパパ、今までで最高のプレゼントだよ」

バーノン「!?こ、こいつ、久しぶりに一言以上喋ったと思ったら!!!!あいたっ!! ま た ふ く ろ う だ !!!」

ハニー「! 私宛!?よこして……ちょっと、ふくろう!どうして私の手をスルーして……え?」

ペチュニア「……わた、し? 赤い封筒……いやよ、あなた達の方からの手紙なんて、私、二度と貰わないわ……!」

ハニー「あれって、『吼えメール』……早く開けないと酷い事になるわよ!?」

バーノン「!? き、聞いたかペチュニア!こやつわしらを脅して……」

ハニー「黙りなさい!  あっ」

ビリビリッ!

『 私 と の 最 後 の 約 束 を 思 い だ す のj 思 い 出 せ ペ チ ュ ニ ア 』

バーノン「!?」

ぺチュニア「っ!?」

ハニー「……せめて隠しきりなさいよ」

ダメですsir!意外と重要なんですバーノンさん


……j(笑)

ちょいメシ
悩みどころは越えたのでペースを上げられる
21時には戻る

再開
×マンタンガス
○マンダンガス

バーノン「あー、な、何だったんだ、今のは。男……?の大声が封筒から。ふんっ、やっぱりお前達の世界はとち狂っとる!喋る手紙だなんて!

ハニー「あれは私達の中でも特殊なものよ。それより……最後の、約束……?」

ペチュニア「……バーノン、この子はこの家に置いておかないといけないわ」

バーノン「へ?ぺ、ペチュニア?なんと?」

ペチュニア「ここに置くのです。ほら……あー——この子を追い出したとなれば、ご近所の噂になりますわ。この子は、いかんせん、目立つもの」

ハニー「私がいつ何時もどこでだって目立つのは当たり前だけれど……」

ペチュニア「黙って。面倒なことを聞いてくるわ、この子がどこに行ったのか、とか……みんな知りたがるでしょう? 置いておくしかありません」

バーノン「ペチュニア!?な、なーにを言っとるんだ!?え!?」

ペチュニア「ダッドちゃん?ダドちゃんも、その方がいいのでしょう?」

ダドリー「もちの同胞だよママ」

ペチュニア「ほら、ダドリー坊やもそう言ってるわ、あなた……お前は部屋に戻りなさい。外に出てはいけません。これから夏中ね」

ハニー「……あなた、魔法使いと接触しているわけ?」

ペチュニア「質問はしない、答えるつもりもないわ。さぁ、寝なさい!」

ハニー「……最後の手紙を運んできたふくろう、もらっていくわ。それじゃ」

HPN(Honey Pig Network)でもあるんじゃねww

ハニーの部屋

ハニー「……『何が起こっているか、私はいつまでここにいればいいのか。それだけが知りたいの。待ってるわ』」

ハニー「この手紙を、送りましょう……えぇ、一通だけ」

ハニー「おじさまとシリウスからの手紙がほとんど同時に来たということは……きっと、同じ場所にいるんだわ」

ハニー「ハーマイオニーも……ロンも。そういう話しぶりだったわ、たった一通だけ届いた手紙には」

ハニー「お願いね、メンフクロウさん」

メンフクロウ「ピーィ」

バッ シューーーーッ

白豚「……フィピーヒンヒン」

ハニー「……そうね、白豚。みんなが手紙を送れない理由も、なんとなく分かったわ」

ハニー「……あの人のことだもの。入念に準備をしているのでしょうね。そのためには、少しの情報も漏らすわけにはいかない」

ハニー「放っておかれたわけじゃ、なかった。私を守るために——監視のような真似だけれど、動いていてくれたのは、分かった」

ハニー「……分かってる。分かってるのよ」

ハニー「でも……もう、傷の痛みも、夢も、どこから相談すればいいか分からないくらい、みんなと」

ハニー「みんなと話したくって、たまらないのに……」

ハニー「おじさまも、シリウスも……私の心配なんて、少しも……!」

ハニー「寂しい、よ……ヘドウィグ」

ヘドウィグ「……ヒン、フィヒーン」

四日後

ハニー「……」

ガチャッ

バーノン「おい小娘、生きとるか。生意気にもおばさんが用意した料理に全然手をつけんそうだが、何様だ」

ハニー「……ハニー様よ」

バーノン「意外なほど元気でイライラさせてくれるな、お前は。フンッ、まぁいい。わしらは、出かけるぞ」

ハニー「えぇ、わざわざご報告くださらなくたって。いつだって私は置き去りじゃないの」

バーノン「当たり前だ。だが今回は遠出だし、お前はこの間とんでもないことをした後だからな」

バーノン「いいか、小娘。何日か留守にするが、その間、この家を吹き飛ばしたりするんじゃないぞ?え?」

ハニー「そうしてあげるわ」

バーノン「……自分の部屋から出てはならんぞ?」

ハニー「そうしてあげる」

バーノン「テレビやステレオ、そのほかわしらの持ち物に触ってはいかんぞ?」

ハニー「えぇ、そうしてあげる」

バーノン「……ふんっ、いつもそれだけ聞きわけがよければいいものを……おい!もう夜中だ、窓を閉めろ……」

ハニー「いやよ」

バーノン「……わけのわからん奴だ、今に始まったことじゃないが。それじゃ、おとなしくしとれ。いいな」

バタンッ

ハニー「……」

ハニー「……寝ている間に、手紙をもったふくろうが来ていて、届けられなかったりしたら。嫌だもの」

ハニー「でも、もうあれから四日……翌朝すぐに、みんなからの手紙が一斉にくる、っていう。この私の期待は裏切られたわね」

ハニー「……」

ハニー「いい度胸じゃないの、みんな」

ハニー「この私を、高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的なこの、私を!」

ハニー「ここまで待たせるだなんて……なによ、なによっ!!!」

ガシャンッ!パリーン!

ハニー「!? な、なに……それは、私怒っていたけれど……そうよ、別に、っ、眼は少し、かゆいけれど」

ハニー「何も投げていないのに、何か物音が……割れた、ような? 何かしら……もしかして、私が怒ったせいで……」

ガヤガヤガヤ、ガヤ

ハニー「……人の、声……キッチンのあたりだわ」

ハニー「ど……泥棒!?」

白豚「ピィーヒン!!」

シュバッ!

ハニー「!?ちょ、ちょっと白豚!?どこへ……」

ガシャアアアアアアン!

「なんだ!?!?敵か!!!死ねぇええええええええ!!」
「ちょ、ちょっとマッド-アイ!ストップ、ストーーーップ!!ただのふくろうだよ、ほら!もう、あなたの顔のがよっぽど怖いから杖下ろして!」
「あぁ、それはきっとハニーのふくろうだよ。まったく、みんな彼女のためならなんとやらだなぁ、うん」

ハニー「……この声、って」

可愛い水の妖精ニンファドーラさんは今度こそ幸せになれるといいね

ガチャッ

ハニー「……まだ、キッチンの辺りにいるみたい」

ハニー「……そーっと、行きましょう。そーっと」

ガヤガヤガヤ

「よし、三人一組だ。廊下を先行する組、その後ろについて援護する組、全滅した場合この家もろとも壊しさる待機組にわかれて……」

「最悪すぎる想定しないでよ、もう!」

「油断大敵!わしが教え込んだのにそんなことも忘れおったのか!?え!?」

「そうだね、一年会えなかったからあなたからの教えすっとんじゃった!その間、マッド-アイ?どこでバカンスだったって言ったけ、えーっと?あなたのトランク、だっけ?」

「ここで無駄にもめるのはやめよう。さぁ、ロンから受け取ったこの家の見取り図だよ。さて、ハニーは上の階にいるようだけど、迎えに行くのは……」

「うむ、私がやろう」「すっこんでろハゲピアス、ここは私が」「わた、ゼェ、私、が、ゼェ」
「まぁまぁ、ここは、っさ!いっちばん歳の近い私に任せてよ」「お前に任せるくらいなら私が」

「あぁ、そうだね。みんな行きたい、ってことでこの大隊になったのだった、愚問だね、あぁ。それじゃぁ、皆で行こう……おや」

ハニー「あっ……リーマス……リーマス、なの!?」

リーマス「やぁ、ハニー。ひs」

「おい小娘杖をおろせ!こっちは九人だぞ!!」

リーマス「……」

ハニー「……」

「……最悪よ、マッド-アイ」

「何を言う!まだこやつが本物のポッターかわからんだろうが!!油断大敵!!!」

ムーディーさんはいつも異常な安定性ww

リーマス「……ハニー、君の守護霊はなんの形をしている?」

ハニー「……パパよ」

「マジかよ」
「すげぇ」
「流石眼鏡」
「さもありなん」

リーマス「さて、マッド-アイ。彼女に守護霊の呪文を指導した私が保証して、ここにいるのはハニー・ポッターその人だと断定するが、私は二年ぶりに再会した挨拶をつづけてもいいかな?うん?」

「それなら好きにしろ。ただし時間がないから手短にな」

ハニー「相変わらずのようね、ムーディ先生」

ムーディ「むっ。『先生』かどうかはよくわからん。結局お前さんにはほとんど教える機会がなかったからな、え?」

「でもさ、ちゃんと顔が見えたほうがいいんじゃない?私達、なんでこんな暗いところで話してるわけ?せっかくキングズリーがファッジからこのあたりでの魔法行使許可取ったんだから、派手に使おうよ。『ルーモス、光よ!』」

パァァァァッ

ハニー「眩しい……あら、本当に。キッチン一杯に、三角帽を被った魔法使いと、魔女が」

オォーーーーーッ

「わぁー、私の思ったとおりの顔してる!よっ、ハニー!元気?」

ハニー「えぇ、ありがとう」

「本当に、リーマス。君の言う通り、リリーそっくりだな」

リーマス「あぁ、私も初めて見た時は夢の続きかとばかり……痛い。トンクス、また私の足を踏んでいるよ?気をつけてくれ」

「でも、ゼェ、ゼェ。眼、目が違う」

「うん、ジェームズだな」

「あー、ジェームズだな」

「あー……ほんとだなぁ」

ハニー「?」

リーマス「気にしないでいいよ、ハニー。みんな懐かしんでいるのさ、それぞれでね」

ハニー「えーっと、リーマスや先生がいるということは。味方、ということでいいのよね?私、物騒な物音がしたから泥棒かとばかり……」

「君が食器を割るからだぞ、全く。そんなことだから……」

「ご、ごめんごめん、ハニー!わたしそういうドジばっかで、あっはは。怖がらせたね?」

ハニー「怖がる?冗談やめて、私が恐れるのは退屈と体重計だけなんだから……そうよ。随分、退屈させられたわ。リーマス」

リーマス「すまないね、いや、私達の間でも意見が割れていたんだ、うん」

「『もっと早くハニーを連れだせ』『ダンブルドアの言う事情なんて知るか』『迎えにいこういや行かせろ』『止めるな噛み付くぞ狂犬病って知ってるかい』だっけ」

リーマス「あぁ、おかげで近所のペットショップではドックフードが売り切れさ」

ハニー「……何故かは聞かないわ。それで、えーっと……ここにいるのは」

「あっ、それじゃ自己紹介しよっか!あのね……」

リーマス「いや、その前に。ハニー、残念ながらね。君の友人たちは若すぎて連れてこられなかったし、それに、今尚魔法省から犯罪者として追われている人物をここには参加させられなかった。すまないね」

ハニー「……そう、いいえ!別になんにも。なんにも期待して、なかったわ!えぇ!」

リーマス「そうか、それは良かった……後ろのみんな、返ったら彼に投げ与える分のほねっこは二番倉庫にあるから」

割れたってかどうみてもおいたん一人がゴネてただけじゃねーかww

ハニー「……私が注目されるのはいつものことだし、世界の摂理で当然のことだけれど」

ハニー「あー……みんな、ジロジロと見すぎではないかしら」

リーマス「皆、話には聞いていたけど君を間近に観るのは初めての者ばかりだからね。大目に見てあげてほしい」

ハニー「四日も閉じこもって、髪も梳かしていないのだけれど……それでも完璧なのは流石私、だけれど」

「そうですとも、ハニー!ヒンヒン!」

ハニー「あら、あなたは……ディーダラスね?一年生の時の、『漏れる鍋』で豚にした」

ディーダラス「!覚えでおいででしたか、ハニー!まっこと光栄でヒンヒン!!ヒン!!!」

ハニー「この私が私の豚を忘れるわけないじゃない。ふふっ、出来る豚ね、あなたって」フーッ

ディーダラス「ヒンヒン!ヒーーーン!」

「ずるいぞディーダラス!!」

「そう、ゼェ、そうだ!ゼェ」

ハニー「あら、お望みならばもれなく私の豚に……」

リーマス「とりあえずそれは、後にしてもらおうかな」

「豚って何だろ、あとなんでヒンヒンなのかな」

ムーディ「お前さんは知らなくていい。おい、ポッター!そんなところに杖を仕舞うな!」

ハニー「?そんなところ、って。後ろのポケットに?」

ムーディ「杖の安全な扱いの初歩だぞ!わしはそこに突っ込んだまま座って、ケツに火がついた魔法使いを一人知っとる!」

「へーぇ、誰?そういえば、マッド-アイ。あなたってなんだかいっつも座る時変な体勢じゃない?気のせい?」

ムーディ「いつものお前の勘違いだろう小娘、だまっとれ」

「はーいはい」

ハニー「……私も、この私でさえ今でこそ馴れたけれど。なんだか、お若いのに随分とムーディ先生と、あー、親しい?というか、遠慮がないようね」

リーマス「師弟のようなものでね。紹介するよ、ハニー。ニンファドーラ——」

「そ の 名前で!!呼ばないで、ってば!!リーマス!!」

リーマス「ニンファドーラ・トンクス、ファミリーネームで覚えてほしいそうだ。おかしな話だろう?いい名前なのに」

トンクス「よ、余計なお世話!特にリーマスはダメ!ダメだから!」

ムーディ「キングズリー、明日の夜勤任務はあの二人にしているだろうな?」

「もちのアーサーの息子だ」

トンクス「おい後ろおっさんどもうるさい!!」

ハニー「へぇ……リーマスも、隅に置けないのね。ふふっ」

リーマス「?」

トンクス「ハニーはいいよね、シンプルでかわいくてさ」

ハニー「えぇ、それでおまけに高貴で可憐ね」

トンクス「んー、そうだね。後で参考にさせて」

ハニー「?」

トンクス「わたしのはさ、ほら。おやさしいお母様さまさまが『可愛い水の妖精ニンファドーラ』、だなんて。ウェーって名前じゃなきゃ、もうちょっとかっこよく自己紹介できたんだけどね。まっ、よろしく!」

リーマス「こっちも、改めておこうか。ほぼ初対面のようなものだしね。こちらは、アラスター・ムーディだ」

ムーディ「指差すななんだ呪う気か?え?」

ハニー「よーく知ってるわ。全然違いがないようだもの」

ムーディ「あのアズカバンで喚いとるとかいう若造のおかげさまでな。でもわしは、あんな軟弱者より厳しいから覚悟しろよ、ポッター」

トンクス「厳しいっていうか、マッド-アイは理不尽なんだよね、うん。おっかしいし」

「マッド-アイのしごきにそれで済ませる君も十分おかしいがね」

リーマス「そんなこちらは、キングズリー・シャックルボルト。私達が今日君を助けるのに色々と、魔法省内で尽力してくれた」

ハニー「そうなの、感謝してあげるわ。ピアスがステキね、シャックルボルトさん」

キングズリー「ああ、ありがとう。誰かの初対面の時のように髪のことを言われたらどうしようかと思ったよ、あぁ」

リーマス「こっちは、エルファイアス・ドージ」

エルファイアス「どう、ゼェ、どうも。ハニー。ゼェ。」

ハニー「ハァイ。なんだか息があがっておいでだけれど、平気?」

リーマス「緊張しているのさ、君に会えるとなると大体がそうなる。おっと、君は違うかな、エメリーン・バンスだ」

エメリーン「よろしく、ハニー。いい眼をしてるわね、眼鏡的な意味でなく」

ハニー「えぇ、あなたも堂々としていて……パパがなにか?  眼鏡=パパが分かってきてなんだかいやだわ」

リーマス「スタージス・ポドモアに、ヘスチア・ジョーンズだ」

スタージス「やぁ、ハニー」

ヘスチア「こんにちは、ハニー。キャラがないのがキャラよ」

ハニー「何言ってるのか分からないけれど、よろしく」

確かに特に何か役立つわけでもなくフェードアウトしてった可哀想なキャラだったものな…

キングズリー「君を助けに行く部隊を組むとき、それはもうたくさんの志願者がいてね。選ぶのに大変だった」

リーマス「犬も紛れていたしね、あぁ」

ハニー「……そっ。当然ね、えぇ」

リーマス「あぁ、当然さハニー。誰もが、君を放っておいたことをとても後悔していたんだ」

ハニー「……そう」

ムーディ「あぁ、まぁ、護衛は多いにこしたことはない。それだけ誰かに何かあっても、柔軟に対応できる、そうだろうが?」

トンクス「台無しだってばマッド-アイ、ちょっと黙ってなよ。えーっとさ、出発の合図まだかな?私達結構喋りこんでるけど」

リーマス「あと十五分はある、と思う。ハニー、君は荷造りは済んで……いるね、そうだろうと思ったよ」

ハニー「もっと早く来てくれるものと思っていたのだけれどね、えぇ」

トンクス「それじゃ、私と取りに行こうか。ここのキッチン綺麗過ぎてさ、もうあんまりいられなよ、うん。私のパパもマグル生まれだけどね、ここまで綺麗にしておくのって異常だよ?気づいてる?」

ハニー「?さぁ、私はいつもこのくらいにしておくよう言われていたけれど……」

ムーディ「おい、待て小娘二人」

トンクス「ねぇマッド-アイ。あなたがもしもいっくら偉いからって言って相手から『そこの隻眼男』って呼ばれたらどんな気持ちがする? 小娘はやめてよ!」

ムーディ「小娘は小娘だ。お前達が二階に上がっている間の様子が見えんのは、どうに心配に尽きるからな。まったく、あの若造に使われてから調子が悪くてかなわん……」グチュッ

ハニー「っ!? あー……」

トンクス「……ねー、マッド-アイ。魔法の義眼外すのって傍から見たらとーっても気持ち悪いわよ」

ムーディ「なんだそのくらい、この眼の効果を考えれば安いもんだろうが」

トンクス「女の子を怖がらせるなって言ってんのよ」

ハニー「誰が!こ、わいのは、あー、あなたってこと?そうね、それなら……」

キングズリー「いや、ハニー。女の子、なのは君だけだろう」

トンクス「表出ろこの禿げピアス!上司だからってただじゃおかないわ!決闘よ!!」

ハニー「……トンクスって、からかわれ役なの?」

リーマス「ムードメーカーで、愛されてるのさ、あぁ」

ハニー「そっ。きっとそれを本人には言わないのでしょうね、あなたって。私の周りってどうしてこういう素直じゃない人ばっかり、ックシュ。? 風邪かしら」

ハニーの部屋

トンクス「ほんとだ、ここもやっぱり片付きすぎだよ、あーぁ」

ハニー「なんで残念がられなければいけないのかしら……」

トンクス「いやぁね、ママから女の子は家事くらいできないと!っていっつも言われてて、生返事するんだけどさぁ。こう見せ付けられると自信がね……おっ、畳み損ねたソックスがある。ひょいひょい、ひょい、っと」

ハニー「……ソックスが、なんだか塊になってトランクの方に転がったわ」

トンクス「うーん……こういう才能ないんだよね、アハハ。これでも『闇払い』なのかってよく言われるよ」

ハニー「! あなた、ムーディ先生と同じ『闇払い』なの?」

トンクス「そうそう、さっき言ってたでしょ?引退してたマッド-アイに眼をつけられて——あっ、言葉通りにね。あのおっかない眼で睨まれてたし——いつのまにやら!っていう」

ハニー「あー、そんなに簡単に、なれるものなのかしら」

トンクス「ほら、マッド-アイは引退してても顔利くからね。でも、試験じゃ結構優等だったんだよ?ホントだって!『隠密追跡術』はちょっと、ほら、おドジをかましてギリギリだったけど」

スゥゥッ

ハニー「!?」

トンクス「ほーらね。こうすれば、勉強しなくたって『変装・隠遁術』はいつだって最高点だもん」

ハニー「えっ、えっ!?今、あなた杖も使わずに、どうやって髪、紫から私のような赤い髪に!?」

トンクス「わたし、生まれつき『七変化』っていう能力を持ってるの、うん」

ハニー「そう……外見を、好きな風に……へぇ。羨ましいわ。もちろん、私はこの私自身に変えたいところなんて、ないけれど……」

トンクス「どうやってるのかー、なんて聞かないでね。そういうもんとしか言えないんだ。だからえっと、ほら……その傷もどうにかすれば隠せるよ、気にしないでもさ」

ハニー「……察しがいいのね」

トンクス「女の子だしね、やだよね……そだ。うーんと、こう、こうか!」

ハニー「!」

トンクス「へっへ、どう?ちょーっといつでもやるのは目立つから勘弁してほしいけど、さ!お揃いの傷!」

ハニー「……」

トンクス「ってあれ!?これじゃ逆だ!しまった、あーぁもう台無しだよわたしって、もー」

ハニー「いいえ、ふふっ。ありがとう、トンクスはいい人ね。リーマスにピッタリ」

トンクス「あっ、ほんと?嬉しいな……な、なにが!?は、っはは、ハニー、ジョークが巧いね!ハッ、フッ、ヘッ!だわ!!!」

トンクス「おっと、あんまりお喋りしてられないよね。荷物はオーケー、あとは鳥かご?あっ、いいねシロフクロウ」

ハニー「可愛い白豚よ」

白豚「ピィヒン!」

トンクス「ね、ネーミングはもうちょーっと考えたほうがいいと思うよ、うん。あっとそうだ、箒はちゃーんとある?」

ハニー「気に入ってるからいいのよ。箒?それなら、ここに」

トンクス「良かった。ほら、『姿くらまし』はダメだし、『移動キー』も許可が出なかったからね。確実な、箒で移動するしか……ワァーッ!それって、ファイアボルトじゃない!?」

ハニー「えっ、えぇ」

トンクス「初めてみたよ、すっごいなぁー!こーんな高価なもの、私、キングズリーの下で何年こき使われればいいのか検討もつかない!」

ハニー「えーっと、買ってくれたのは、シリウスなのだけれどね。あー、シリウスは知ってるのかしら」

トンクス「そりゃもう、よーく知ってるよ。そんですっごい納得。あなた、大事にされてるもんね、うん。話してて分かるよあの人と」

ハニー「っ、そう?それは当然ね、家族!ですもの」

トンクス「んー、そういう感情じゃなさそうだけどな。まぁいっか、よくわからな、クシュンッ!ん?風邪かな?」

キッチン

ムーディ「遅い!!あと三十秒遅れていたら敵襲と判断して二階に総攻撃をかけるところだったぞ!」

トンクス「うるさい。えーっと、リーマス?間に合った?」

リーマス「あぁ、あと五分はゆうにあるよ。ハニー、ちょっとこっちに来てごらん。準備をしないといけない」

ハニー「私を讃える準備を?」

リーマス「あぁ、今まさにあっちではその真っ最中だろうね、うん。おじさんとおばさんに手紙を書いておいたんだが、ここでいいかな?マグルの生活は分からなくてね」

ヘスチア「絶対それは手紙を差し込んでおくものよ!違いないわ!」

ハニー「あー、これ、トースターと言って。パンを焼くものなの」

リーマス「へえ、それはアーサーが興味津々だろうね……それでは普通に、テーブルにおいておくとしよう」

ハニー「何と書いてあるの?」

リーマス「まず、『全英郊外芝生手入れコンテスト』が嘘だったことのお詫びを」

トンクス「私が書いたんだ!パパによくマグル式の公文書の出し方教わってたから」

ハニー「あぁ、それであの人あんなに誇らしげに。いい気味ね、あの芝生をあそこまで綺麗に育ったのは誰のおかげか改めて考えればいいのよ」

リーマス「? それと、君は私達でしっかり守るから心配しないように、と——」

ハニー「しないわ、だってあの人たちだもの。ダドリーは例外だけれど」

リーマス「——君は安全だ、と」

ハニー「あの大きい豚の方は残念がるだけね、それは」

リーマス「——そして、また来年の夏休みは君を迎え入れてくれるように頼んで」

ハニー「そう、しなくちゃいけないの?」

リーマス「——っはは、まったく君は、あの二人の子供だよ、うん。どうだろうね、先のことは分からない。ひょっとしたら彼と暮らせるようになっているかも……今はいい、どうせ後でその手の話は山ほどするだろうからね、っと。マッド-アイ、頼むよ」

ムーディ「ポッター、ちょーっと眼をつむっとれ。なに、痛くはせん、『めくらまし』をかけるだけだ」

ハニー「? 何を、ですって?」

ムーディ「『目くらまし術』、だ。リーマスが、お前は良い透明マントを持っているとか言っていたが、飛びながらだと脱げてしまうだろう。マントほど完全ではないが、こちらのほうが上手く隠してくれる。ほれ——」

コンッ サァァーーーッ

トンクス「上手いわ、マッド-アイ。さっすが。ねぇハニー、カメレオンみたいなとこまでおそろいになっちゃったねぇ。ッハハ」

ハニー「なぁに、これ。私の姿が、後ろの壁とかキッチンの色そっくり……魔法って、すっごい!!」

リーマス「あぁ、今浮かべているであろう笑みはもうちょっと早く出してほしかったね、ハニー。ディーダラス他何名かが君が消えたように見えて取り乱してヒンヒン言い出したから」

ムーディ「えぇいうるさいぞ!黙れお前達!なんだ!?わしを呪う準備でもしとるのか!?よしこい!!返りうってやる!!!!」



ムーディ「あと一分だ。もう一度確認するぞポッター、よーく聞いておけ。これがわしの初授業だが、最後の授業にんるかもしれんからな!ハッハッハ!」

トンクス「笑えないからやめてよ!!」

ハニー「是非とも何度だって受け持ってほしいところだわ、先生。リーマスもそうなればよかったのだけれど」

リーマス「ありがとう、ハニー。今のはなんとかして声を残してあの不貞腐れ肉球に聞かせたいものだね」

ムーディ「明るい夜だ。もう少し曇るか、月が欠けてからに日を改めてほしかったのだがな」

リーマス「そうなると暴れだすのが二人ほどいるからよしてほしいよ、マッド-アイ」

ハニー「? あなたのあれなら、欠けていく時期なら平気なのじゃない?」

リーマス「あぁ、男は生まれ持っての狼だとかなんとか言い出すのがいるのさ。実際のところただの畜生と君の家畜だけどね」

スタージス「だってよトンクス」

ヘスチア「文字通りな狼さんに気をつけてねトンクス」

エメリーン「張り切るのはいいけどね、トンクスはそれが過ぎるから」

トンクス「う、うううっさいな!もう!望むところ、いや望まないよ何言ってるの!?」

キングズリー「言質とったぞマッド-アイ」

ムーディ「よーし、騎士団総力をあげて計画を進めんといかんな」

ハニー「?まだ何も聞いていないのに」

トンクス「ハニー、真面目に聞かないでいいよ。それでおっさんどもはちょっとは真面目にやりなさい!時間ないってわたしに怒ったのはなんだったのよマッド-アイ!!!もう!!!」

リーマス「トンクスは面白いなぁ」

ムーディ「しっかりと隊列を組んでいくぞ。ポッター、お前はトンクスの真後ろを飛べ。靴の裏のにおいが嗅げるくらいにぴったりと後ろをな」

トンクス「ファイアボルトにそんな付け方されたら、私コメット260ごと吹っ飛びそうなんだけど」

リーマス「問題ないよ、トンクス。ハニーはいい乗り手だから」

ハニー「史上空前のね、えぇ」

リーマス「あぁ、うん。誰かさんは空に飛び上がらんほど跳ねて観ていたらしいね、まったく」

ムーディ「その下をリーマス、背後はわしがついている。その他の者は周囲を旋回!わしらに何事かあったら、すぐにカバーに入れ。いいな?誰か一人殺されても、隊列を崩さず……」

ハニー「ちょっと待ちなさい、そんなのって作戦って言えないじゃない!ここにいる人みんな——」

ムーディ「みんな全滅し、お前だけ生き残ったら!ポッター、お前さんはひたすらに東を目ざせ!いいな?後発隊が控えておる。わしらの意志は彼奴らに残そう」

トンクス「そんなに似合わない詩的な台詞やめてよマッド-アイ、マッド吐きそう。少なくとも私は最後まで守るつもりだからね、ハニー。安心して?」

ハニー「えぇ、ありがと。みんなも、きっと無事でね……絶対よ?」

ディーダラス「ヒンヒンですとも!ハニー!ヒンヒン!」

ムーディ「甘い考えだ、ポッター!否定はせんがな。それに、うむ、トンクス、お前も見直したぞ」

トンクス「うぇっ!?なになに、マッド-アイがわたしを褒めるなんてさ!ほんとわたし、途中で落とされっちゃうんじゃない!?」

ムーディ「むっ、これでもいつも評価しとるつもりだぞ。いいや、うむ、お前さんはプロ意識に欠ける、そう思っとったが……髪の色や傷跡を似せて囮になろうとは、わしも言い出せんかったことをよく判断した。まっこと、お前の最期はしかとみとどけてy」

トンクス「わたしが折角ハニーと仲良くなろうと思ってやったことを穢すなこのトンチンカン!!!!!!」

ハニー「……トンクス」

トンクス「ショックうけてる!?!?ちが、ちがうんだよハニー!?わたしそんなつもりじゃ、もーーーー!もーーーーー!!」

キングズリー「トンクスいじりも落ち着いたところで、合図の魔法火が上がったようだ」

トンクス「人の尊厳時間つぶしに使うな!!」

ムーディ「全員箒に跨れ!第二の合図で飛び立つぞ、ポッター!」

ハニー「えぇ、そうしてあげる……ハァイ、炎豚」

炎豚「」プルプルプル

ハニー「あなたで飛ぶのは久しぶりね。期待に震えてる、そうね?私も、一緒だわ」

ヒューーーーッ、パンッ!
ヒンヒンヒーーーーン!!

リーマス「あー、魔法火の仕掛けを用意したのは、あの双子だったね、あぁ」

ムーディ「目立つ者はやめろと言うのに!えぇい、いけ!飛べ!」

ハニー「言われなくたって……っ!!」

ビュオォオオオオッ!

ハニー「——あぁ、私——自分の世界に、帰ってきたんだわ」

トンクス「うぅーう、寒い寒い。凍えないといーなぁ……ハニー!何か言ったー!?大丈夫ー!?」

ハニー「えぇ! 不安なんて、吹っ飛んだもの!平気よ!」

トンクス「そりゃいいや! そんじゃ……」

ムーディ「トンクス!さっさと先行しろ!マグルが見上げておる!高度を上げろ!早く!そうだな……400メートルほど!」

ハニー「!?」

トンクス「あー、ごめんねハニー。多分不安とか無くなるの、とりあえず星空眺めていられる今だけかも……ムーディ!!女の子二人もいるんだから、あんまり無理させないでよ!!」

キングズリー「ん?二人?」

トンクス「突き飛ばすわよ禿げ!!」

ヘスチア「二人?え?」

エメリーン「おかしいな、風が強いせいか、トンクス?ん?それともなにか?私達の耳が遠くなったとでも?え?」

トンクス「こ、言葉の、言葉のあやだよ、うん、四人、四人だね……それじゃ飛ばすよ、ハニー!」

ハニー「えぇ、お願い……なんだか私、とっても生きてる気分。幸せ、だわ!」

トンクス「あっはは、分かった。ハニー、あなたって飛行バカってやつだね、うん」

一時間後

トンクス「うーぅ、うーー、あー、ハニー?飛行だーいすきなあなたでもさ、ほら。やっぱこれはキッツイよね」

ハニー「えぇ、そうね……いつもは飛ぶと体が熱くなるから思ってもみなかったけれど。飛行でこんなに冷えたのって、三年生の時のハッフルパフ戦……あぁ、いやだわ。色々と思い出したくないことを……」

トンクス「あっ、ハッフルパフ!?へーぇ、そんなに強かったの?私の頃はてんで弱かったなぁ……」

ムーディ「南東をさせ!あそこの低い雲につっこむぞ!そこでさらに高度を……」

トンクス「雲につっこむ!?冗談よして、マッド-アイ!みんなぐしょ濡れになって、襲われてもないのに凍えて落ちっちまうわよ!!」

ムーディ「軟弱者め!これくらいの寒さがなんだ!」

トンクス「えぇ、えぇ!お尻に火が点いた人は言うこと違うわね!」

リーマス「マッド-アイ、確かにこの条件でこれ以上体力を消耗するわけにはいかない。トンクスの判断に任せよう」

ムーディ「油断大敵!だと言うに、まったく若いのはこれだから!」

キングズリー「油断はしていないさ、マッド-アイ。大丈夫、あなたも、私も眼を光らせているだろう?」

トンクス「あとピアスとか頭とかね!」

キングズリー「トンクス、減俸」

トンクス「酷い!!!」

ハニー「言ってはなんだけど、結構今更よ……?」



トンクス「うーー、寒い……箒に体が引っ付いた気分だよ。ハニー、平気?」

ハニー「えぇ……白豚が温かくて、少しは」

白豚「ピィーヒーン……!」

トンクス「あー、いーなーそれ。そのふくろうモフモフしてそうだもんね……髪もっと伸ばしてマフラーみたいにしようかな」

ハニー「飛んでる今やったら、とんでもないことになると思うわ」

トンクス「あー、そっか。頭いいね、そっか今やったらもうブワーって……もうすぐ着くし、我慢しよう!うん!」

ムーディ「少し来た道を戻るぞ!跡を追われていないか、確かめるのだ!」

トンクス「気は確かなの、マッド-アイ!そんなに何度もコースを外してたら到着が来週になっちゃうわよ!あとほんの1ブロックでしょ!?!?」

リーマス「マッド-アイ、夜明けも近い。時間的にももう頃合だ」

ムーディ「む……なるほど、そのようだな。降下ぁーーー、開始!!!」

トンクス「はーいはい、やったね!ハニー、着いて来てる?よーし——着陸!」

ザザッ、ザザァァァ

ハニー「っ……ふぅ。ありがとう、炎豚。それに白豚も。とっても、たすかったわ。できる豚ね」

白豚「ピィヒンヒンヒン!」

ハニー「それで……トンクスについていくので夢中だったから、よく見ていなかったけれど。ここって……見たところ、マグルの住宅街?『隠れ穴』に行くのかとばかり思っていたのだけれど」

リーマス「あそこは魔法省に居場所をつかまれすぎているからね。今は、危険すぎる。さぁ、立てるかい?トンクスも」

トンクス「あっ、あり、ありがとう。リーマス」

ムーディ「片足くらい凍傷でダメになっとっても、無事で着いたならそれで成功だぞ。いい義足屋を紹介しよう」

トンクス「生憎五体満足よお世話様!!」

ムーディ「よろしい。ポッター、ここがどこか、という話だがな……おっと、その前にコイツだ」

ハニー「なぁに、先生。懐から……それは、銀細工のライター?」

ムーディ「ダンブルドアから借りた。こいつは便利だぞ……そーれ」

カチッ パッ!パッ!パッ!!

ハニー「! 周りにあった外灯とか、残っていた家の明かりが……そのライターに集められたわ」

ムーディ「『火消しライター』とか言ってな。アルバスお手製だそうだ。それで、こっちも奴さんからだ、ほーれ。これを読め。しっかりと覚えるんだぞ?え?」

ハニー「羊皮紙の切れ端……ダンブルドアから!?手紙!?  じゃ、ない、わね……なぁに、これ」

ハニー「……」

ハニー「『不死鳥の騎士団本部は、ロンドン グリモールドプレイス 十二番地に存在する』」

ハニー「……豚団の間違い?」

リーマス「局所的にはそうなりそうだけどね、あぁ」

不死鳥の騎士団 本部

ギィィィッ

ハニー「……驚いたわ。あの紙に目を通した瞬間、マグルの住宅と住宅の間にお屋敷が現れたんだもの」

リーマス「驚きももっともだけどね、ハニー。すこーし静かにしてもらえるかな。トンクス、君も特にね。何も触らずに、玄関ホールを抜けるんだ。いいね?」

ハニー「そうして、あげる……ホコリっぽい。それに、なんだか空気がよどんで……ホールは広くて、シャンデリアまである豪華な作りなのに。廃屋のようだわ」

ハニー「あのシャンデリア……それに、燭台って。あれ、蛇をモチーフにしてるのかしら。かわいい」

トンクス「えっ!?」

ムーディ「どれ、そろそろわしらが到着したことに気づくだろう。いいか、油断するんじゃないぞ。まず第一声は『杖をおろせ!』だからな?え?」

キングズリー「いや本部の中が乗っ取られていたらもう終わりだからそれは意味がない、って言ってるじゃないかマッド-アイ」

モリー「まぁ、まぁまぁまぁみんな!お疲れ様!あぁ、ハニー!また会えて嬉しいわ!」

ハニー「おばさま! なんだか、少し痩せた?」

モリー「あなたこそ、ね。しっかり食べないといけないわ。でも、残念。夕食までは少し時間があるわ。とびっきりのものを用意していますからね!」

ハニー「えぇ、楽しみにしてるわ」

リーマス「モリー、あの方は?」

モリー「到着なさってますよ。他の人たちも集まってます、みんなすぐに……あぁ、ハニー。あなたはダメよ、騎士団のメンバーだけの会議ですもの」

ハニー「この私を止めるなんて、って、言いたいけれど……いいわ。でもこれだけ、言わせて頂戴。みんな、ありがとう」

トンクス「いいんだよハニー、楽しかったしね!またあとで!」

モリー「トンクスともう仲良くなったの?えぇ、とってもいいことだわ。そう、それで、ロンとハーマイオニーが上にいるわよ。すぐ案内するわ。でも、ホールではなるべく声を抑えて頂戴、あれを起こしたくないもの」

ハニー「あれ、って……あの、虫食いだらけの長いカーテンの方?何がいるのかしら」

モリー「おいおい説明するわ。さっ、いらっしゃい。お友達に早く会いたいでしょう?」

ハニー「……それはもう」

二階

ハニー「ねぇ、おばさま。みんなはここで、何をしているの?こんな、闇も闇、大闇の魔法使いがすんでいるような家で……」

モリー「あー、そうねぇ。確かに雰囲気は悪いし、えぇ。廊下に並べられた屋敷しもべ妖精の生首は趣味が悪い事この上ないけど、きっと掃除すれば印象も変わるわ。さっ、ここの部屋よ」

ハニー「……」

ガチャッ ギィィィッ



ロン「マーリンの髭!!マーリンの髭!!!ちっくしょうハーマイオニー!君まで大人の味方するだなんて絶対許さないんだからな髭!マー髭!!!」

ジニー「そうよそうよ!!どうして私達がおねぇさまに手紙を書いちゃいけないのよ!!それでなんでこんなに縛られていないといけないのよ!!縛るのはおねぇさまだけにしてよ!!ヒンヒン!!!」

ハーマイオニー「分かって頂戴、よ!私だって、私だって今すぐハニーに伝えたいことも話したいことだってたっくさんたくさんあるわ!!でもこれはハニーのためなの!!それに、あなたたちあの報せを聞いてからずっとこのお屋敷から飛び出しかねないからそうするしか……って、きゃぁ!?!?な、なに、後ろから突然……ハニー!?!?」

ハニー「ハァイ、ハーマイオニー。それに私の可愛い豚さんたち。私のことに一瞬早く気がついて、ハーマイオニーの気を逸らしたのはとっても褒めてあげるわ」

ロン「ヒンヒン!ハニー!会いたかったよハニー!うん?なんだい?そんなこと造作もないさ!何せ僕って君の一番の豚だからね、もちのロンで!」

ジニー「おねぇさま!ヒンヒン!ヒン!!」

ハーマイオニー「ま、またそうやって!!そうやって、っちょ、ハニー!話、話をさせて!先にお話、それは、私だってあなたに会えてとっても嬉しいだなんて、言わなくっても、あ、あぁ、ハニー、そんな、あなたって、名前と同じ、ハニーデュークスと同じくらい甘い匂いだ、なんて……溶けて、しまいそうで」

モリー「つづけて」

ジニー「どうぞ」

ロン「ヒンヒン!!」

モリー「さぁ、ジニー。あなたには頼みたいことがありますからね。ちょっとおいでなさい」

ジニー「そんな、ママ……あぁおねぇさま、またあとで!ヒンヒン!」

バタンッ

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、なに、何が甘い匂い、よ!このお屋敷のホコリっぽい臭いしかしないわ!!まったく!!」

ロン「いや君が口走ったことだけどさ。あぁハニー!君の素晴らしさったら千里を駆ける勢いだよねまったく!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ。あなたたちはその素晴らしさをそっくり忘れていたようだけれど、ね。ハーマイオニーは、後でもう少し教え込みましょう。夜とか」

ハーマイオニー「の、望むところ、違うわ!は、ハニー?」

ロン「おーっと。オーケー、ハニー……聞くよ。君はとってもおかんむりだ、そうだろ?」

ハニー「当たり前よ。私、とても怒っているわ……怒ってるの」

ハニー「ずっと、ずっとよ?あんなことがあったのに、何も連絡がなくて!私がどれだけ情報がほしかったか、なのに……!」

ハーマイオニー「ごめんなさい、ごめんなさいハニー!でも、私達ダンブルドアと約束させられたの。あなたに不用意に、あー、教えてはいけない、って——何度もそれを破って送ろうとしたのだけど、何故だかそういう時に限ってダンブルドアか、ムーディに見つかってしまって」

ロン「僕なんか常習だったせいでふくろうの部屋に僕専用の結界が張られたよ。マー髭だね」

ハーマイオニー「それで、二人に添削された……あんな手紙しか、送る事が」

ハニー「それでも、もっと本気になればいくらでも。手段はあったのじゃない?違う?ねぇ、本当に私に連絡をとる手段を、あの腹黒豚がふくろう以外にもっていないと思うの?」

ハーマイオニー「あー、そう、そうかもしれないわ。でもね、ハニー。ダンブルドアは、あなたの安全のことを考えて……」

ハニー「安全、聞いてあきれるわ。あなた達二人のどちらかが、この夏、吸魂鬼に襲われたというの?」

ロン「そりゃ、ノーさ。そこまで見越して、ダンブルドアは君に護衛をつけていたわけだもんな。君の護衛なんて国を背負ってるようなもんだよな、栄誉職だよ羨ましい」

ハニー「……私だけが、知らされてなかったのね。みんな、みんな知ってたのに。ここで、みんなと」

ハーマイオニー「そう、そうよね。えーっと、確かに私達はここで、あなたのことを聞いてたわ。あぁ、ハニー。吸魂鬼のこと、とっても心配したわ……本当よ?」

ロン「あぁ、ハーマイオニーなんてそれを聞いた後立てなくなっちまって、僕が背負って運ぶ羽目になったもんな」

ハニー「……」

ハーマイオニー「でもね?確かにここは本部だけど、私たち全然大人達の話には入れないの。いつも、あなたのことも後から聞き出すだけだわ——」

ロン「あぁ、僕らもやきもきしながらね。ハニーの焼けちまいそうな光輝きさには及ばないけど——」

ハニー「えぇ、そうね。あなたたちも、なんだか色々苦労したみたい」

ハニー「だから、なんだっていうのよ!!!!」

ロン「痛い!!!ありがとう!!!痛い!!!」

白豚「ピィーーヒィン!?」

ハーマイオニー「は、ハニー!?」

ハニー「私はずっとずっとずっと!!一月も!!!誰からも放っておかれて!!!!!」

ハニー「影で見守ってた!?!?私のために動いてた!?!?!?だからなんなのよ!!!私は、わたしのことは誰もみていないじゃない!!!わたしはひとりぼっちで、ひとりで……!!」

ハニー「私、わたし、少しでも魔法界のこと、って!!!読みたくも無い魔法省のデタラメ記事ばかりの『預言者新聞』を毎朝受け取って!!!ゴミ箱からマグルの新聞を漁ってたのよ!?!?」

ハニー「でも、でも情報なんてどうだってよかった!!あいつのニュースじゃなくったって、ほんとうは何だって良かった!!」

ハニー「えぇ、そうよ!!優しいあなたたたちが、わたしのことを心配していないはずないじゃない!そんなことわかってるわよ!!」

ハニー「でも、でも!!あなたたちは、わたしが一人なのに、一緒にいて……!!どうしようもなく、こんなこと考えたくないのに……!!」

ギューーーーッ

ハニー「腹が立って、寂しくて、悔しくて、しかたなく、て……わたし、会いたかった、よぉ……二人に、会いたかったの……それだけなのに……!!!」

ロン「……いいぜ、ハニー。僕は君のサンドバックだからね。存分に、うん。締めちゃっていいよ、窒息するくらいに。もちの僕で」

ハーマイオニー「はに、グスッ、ハニー……ごめんなさい。あなたの気持ちも考えないで、理屈、ばっかり……」

ハニー「ぅぅぅ、ぁあああっ、ゆる、ゆるさな、いん、だからあああああ、っっうう」

ロン「一生かけて償うさ!なぁ、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「もちのあなたよ。約束するわ、ハニー」

ハニー「あたり、まえよっ、っ、離してあげない、んだから、わたしの、二人はわたしの、なのぉ!!」

数十分後

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「忘れなさい」

ロン「いや、僕さっきのあの顔と台詞だけで向こう60年は戦えるね、あぁ」

ハーマイオニー「あら、来世までといわないのは珍しく謙虚に過ぎるわね」

ロン「そりゃ来世は来世でハニーの下に馳せ参ずるからね僕ぁ」

ハニー「忘れなさい、って言ってるの!!!もう!!……それで、ここは。騎士団っていうのは、なんなの、いったい」

ロン「君を崇拝し並びに影ながら支え、おっと、これは豚団の話だった」

ハーマイオニー「聞き捨てなら無いことを口走らないで」

ハニー「流石私の豚ね、言わなくてももう出来ているなんて。出来る豚だわ」

ハーマイオニー「公認してしまうのね、えぇ。分かってたけど。あー、不死鳥の騎士団は、ダンブルドアが率いる秘密同盟だそうよ。前回、『例のあの人』と戦った人たちなの」

ハニー「そう……ヴォルデモートと」

ロン「うひゃぁヒン!君はやっぱりとんでもないねハニー!とんでもないのは美貌とかその他諸々筆舌に尽くしがたいけどねヒンヒン!」

バチン!バチン!

ハニー「きゃぁ!?」

ハーマイオニー「! ちょっと、それ、やめて頂戴ってば!!」

フレッド「やぁやぁハニー、僕らの女王様。君のとんでもなく偉大な、鈴を崖から突き落としたような声がどうにも響いちまってね」

ジョージ「『伸び耳』の効果を妨害してるから顔をだしてみた次第さ。すぐにどこへとでも現れるこの術をみせびらかすついでにね」

ハニー「『姿現し』試験に合格した、そういうわけね……『伸び耳』?」

ロン「この二人の発明でさ、すっげーんだよハニー、君の次に」

ハーマイオニー「そればかりねあなた……まぁ、えぇ。二人の発明にしては、役立つほうだとは思うわ」

フレッド「おいおい、言いのかいグレンジャー嬢、そんなことを言っちまって」

ジョージ「例えば僕が究極の惚れ薬をつくっても、そんなことじゃ売らないぜ」

ハーマイオニー「そんなもの、ハニーから常に垂れ流しじゃないのよ」

ガチャッ

ジニー「おねぇさまただいま!ヒンヒン!あら、二人もいたの」

フレッド「いつでもいるぜ、君の心のそばにね」

ジョージ「可愛い末妹のためならどこにでもさ」

ジニー「頼まないから私の目の前に突然『姿あらわし』する悪戯はもうやめてよね。この『クソ爆弾』ぶつけてやるんだから」

ロン「物騒なものを持つなよ、ハニーへの想いだけもってろよまったく」

ジニー「両手一杯胸一杯よ、ヒンヒン!」

ハニー「一杯ならまだまだ上に積めるでしょう?励みなさい、私の豚さんたち」

ロン「ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!!」

ハーマイオニー「豚団の集まりは他所でやって。ジニー、本当に、それで何をしてたの?おばさまの用事っていうのは?」

ジニー「あー、それは途中で放り出して、会議の部屋に『邪魔よけ呪文』がかけられていないか調べてたの。トンクスが調べ方を教えてくれたんだけど、こういう有害なものを投げつければいい、って。ダメだったわ。だから『伸び耳』もきっと効果なしよ、二人とも」

フレッド「そうか、盗聴できないのはハニーのあまーい声は関係なかったみたいだな」

ジョージ「あの心が安らぐまるで滝のような、な。流れ落ちるのとは関係ないけどさ」

ハニー「うるさいわ」

ロン「ちぇっ、せっかく今日はあのスネイプの野郎がいるからおったまげる話が聞けるんだったのにな。マーリンの髭」

ハニー「……スネイプが?」

ジョージ「あぁ、マル秘の報告をしてるに違いない、ってぇ踏んでたんだけどね。スネイプのことだ」

フレッド「奴さんが関わるとなーんだかあやしいからな。怪しさプンプンの嫌な奴、それがスネイプ」

ハーマイオニー「まったく、そういう固定概念はやめなさい、ってば。スネイプはもう私達の味方よ?この本部に入れていることがその証拠じゃないの」

ロン「味方だろうとなんだろうと嫌な奴はいやな奴さ。あいつが僕らを観る目つきときたら。まるで家畜か何かを見てるようなもんだよ」

ハーマイオニー「ハニーはどうなのよハニーは、もう……」

ジニー「ビルもあの人が嫌いだわ。学生の頃に何度もいやな目にあったんだ、って。イケメンだもの、ビルって。嫉妬してるのねきっと」

ハニー「秀でた人が世の中で糾弾されるのは世の常ね、えぇ」

ロン「君は僕らが守るよハニー!ヒンヒン!!世の中?なんだいそれ?マーリンの髭かい?」

ハニー「それじゃ、ビルもこちらにいるの。たしか、エジプト勤務だったように思ったけれど」

ロン「事務職を希望して、ダイアゴンのグリンゴッツに配属になったんだ。騎士団の仕事をできるように、ってね。あー、あともう一つあるけどさ」

ハニー「? まわりくどいのは嫌いよ。なぁに?」

ロン「ごめんよヒンヒン!フラー!あのフラー・デラクールが、今年度からグリンゴッツに勤めたんだ。ビルの下でね」

フレッド「おぉっと、ビル兄ぃの何の下かは聞いちゃいけないぜ」

ジョージ「ナニのことだろうな、あぁ。舌が回らないね、僕ぁさ」

ハーマイオニー「部下ってことでしょう、やめなさい。ハニーには通じないからその手の話」

ハニー「なんだかバカにされたような気がするけれど。そう、フラーは良い子だし、ビルと上手くいってよかったわ」

ジニー「ママはあんまり嬉しくないみたいだけどね。チャーリーは、まだルーマニアだわ。いずれ帰ってくるけど、いまはダンブルドアの命であっちの人たちに活動を広めてるんだ、って」

ハニー「そう、大変なのね。外国の人たちに……あら?それなら、一番うってつけなのはそういうノウハウがある……パーシーじゃないのかしら?」

フレッド「あぁ、ハニー!なんたる悲劇! おふくろの前で、パースの名前を出さないほうがいいぜ」

ジョージ「その凄惨さたるやもはや喜劇! パースのやろ、あいつ、魔法省の側につきやがったのさ」

ハニー「えっ!?」

ジニー「大変だったのよ……パパはいまでもパーシーの事を話すと手に持ったものを壊してしまうし、ママは泣き出してしまうわ」

ロン「あぁ、うん。パパがあんな風に怒るのは、見たことなかったなぁ」

フレッド「僕らの家でヒステリー気味に叫びだす、といったらおふくろだもんな、あぁ」

ジョージ「夏休み一週目さ。パースが高らかに叫んだんだ。『昇進しました!』ってね」

ハニー「……冗談でしょう?クラウチさんのことが、あったのに」

ロン「そう、そこだよ。あーんな大失態したってのに、パースの奴『大臣付き下級補佐官』になったんだ。ファッジ直属の部下だよ……いつもより得意満面だったな、そんなことがありえるのなら」

ジニー「パパは、こう言ったの。『おそらくファッジはパーシーを使って、ダンブルドアと懇意にしてる私たちの情報を握ろうとしているに過ぎない』って」

フレッド「今の魔法界じゃダンブルドアの名前を鼻つまみ者にしてやがるのは、わざわざ言うまでもないね、ハニー?聡い君だ」

ジョージ「『例のあの人』なんていませんの一点張りだもんな、魔法省は。そんで、パーシーは親父の言い分が面白くなかった」

ロン「それで、言っちゃったんだ。あー、自分は魔法省の方針を信じる。それに、自分はこれまでうだつのあがらない父さんの評判のせいで苦労した、とか。あー、それで、そんなことだから僕達には、ほら。お金がないんだ、とか。そういうこと」

ハニー「……私、別段パーシーのこと、嫌ってはいなかったわ。でも、とんでもない豚以下になってしまったのね。あの人」

ハニー「それじゃ、パーシーは魔法省を。それに『預言者新聞』に書いてあるようなことを信じる、そう言っているわけね?」

ロン「あー、大体そんな感じ。まったく、君の言葉を信じないなんて。天啓にも等しいってのに」

ハーマイオニー「あなたを情緒不安定で目立ちたがりなホラ吹きだとか、ダンブルドアがもうろくしたイカレた老人だとか、そんな人の言うことは信じるに値しない、だとか……あ、ご、ごめんなさい」

ハニー「いいのよ、分かっているから……私の退学が決まったら、一面大見出しにすることでしょうね。その原因となった吸魂鬼の襲撃のことは、一言も書かないくせに」

ロン「悪だよな、連中って。僕らが向き合う悪なんて、『例のあの人』たちで十分なのに。なんでこうなっちゃうんだろ、マーリンの髭」

フレッド「珍しく考えた台詞を言うじゃないか、ロニー坊や」

ジョージ「それは、そうだな。お前も成人すりゃわか……お」

バチン!バチン!

ガチャッ

モリー「会議が終わりましたよ。ところで、このあたりからあの二人があの『バカ耳』を伸ばしていなかった?」

ジニー「さぁ。ママ、なんで『クソ爆弾』なんて持ってるの?」

モリー「誰かが扉の前にごっそりと置いてあったの。あの二人だと思う?」

ジニー「クリーチャーじゃないかしら、あれって、ちょっとおかしいもの」

モリー「あぁ……そうね、変なことばかりしているし」

ハーマイオニー「クリーチャーは変なんかじゃ、ないわ!長い間ここに一人だったから少し耳が遠く、そう!!ハニーと同じように!一人だったから!そうよ!」

ロン「クリーチャーってのは、ここにずーっと住んでた屋敷しもべ妖精のことだよハニー」

ハニー「そうみたいね。ハーマイオニーのそちらへの意思は……」

ロン「薄れちゃいないみたいだね、あぁ。反吐が出るよ」

ハーマイオニー「『S.P.E.W』!!!スピューじゃないったら!!!」

玄関ホール

ジニー「ママ、今日は誰が残ってるの?誰がいてもおねぇさまが入れば今日からの晩餐は豪華絢爛だろうけど」

モリー「リーマスにトンクス、それと、あー……マンダンガスだわ。今日こそあのパイプは遠慮してもらわないと……」

ロン「スネイプは絶対ここには残らないんだ、安心してくれよハニー。奴さんのためにも僕らのためにもそれがありがたいよな、まったく」

ハニー「一緒のお食事をしたい相手ではないわね、えぇ」

ハーマイオニー「だから味方だ、って言っているのに……どうしてもスネイプ先生を嫌いたいのね、あなたたちって」

ハニー「それは、私いつまでたってもあんな態度をとられているんだもの。そうでしょ?」

モリー「お話はそれまでにして。いいこと?ホールを横切るときは静かにね?」

ハニー「えぇ……と、言いたいけれど。一体どうしてなの?おばさまの頼みとは言え、理由もしらないのにコソコソするのは、私いやだわ」

ロン「知らない方がいいよ、ハニー……いや、ほんとに。これはほんとに、もちのロンで」

ハーマイオニー「そうよね……あ、戸口にトンクスとルーピン先生。二人でたくさんある扉の鍵をかけてるみたいね」

ハニー「あら、ほんとね。あの二人だけ残して、またみんなで気を使ったのね。下手な気を」

リーマス「あ、っと。すまないねトンクス、手が当たってしまった。指が細いな、君は。もっと食べなさい」

トンクス「わわっ!わ、わーーー!あ、あっはは!あの、私ほらそういうのも自在だからさ!やろうと思えばこんな風に、ほーら!腕も足もふとーく……あぁ!?」

ドンガラガッシャーーーーーーン!!

ロン「……すごいや。こんな音でこける人が本当にいるなんて。マーリンの髭」

ハニー「トロールの足くらいある傘立が、凄い勢いで転がったわ」

ハーマイオニー「ハニー、耳塞ぎましょう!はやく————」


『キィイェエエエエエエエエエエエエエエエエエエギヤァアアアアアアアアアアアアアアエエエエェエエアアアアアア!!!!!』

ハニー「!?!?な、なに!?さっきの、大きなカーテンが開かれて……扉じゃなく、て、あれは……肖像画!?う、るっさ……」

『穢らわしい クズども! 塵芥のやから! 雑種! 異形! 出来損ないのクズどもめ!!!ギヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

トンクス「う、いったた。ご、ごめんみんな、またやっちゃった……あーぁ、起きちゃったよ……鬼婆が」

『黙れ血を裏切る者の子供め! 今すぐ出て行け ここから立ち去れ! 我が祖先の館を、よくも汚してくれた——』

「やれやれ……トンクス、またやってしまったのか?え?あまりその声を聞きたくないのだがね、私は」

ハニー「あっ……!」

『コイツゥうううううううううう!!!!!!』

「黙れ鬼婆、だー、まー、れ!一度は私を見て青筋意外の線を立ててみりゃどうだ、まったく変わらないなあんたは」

『血を裏切る者よ、忌まわしい!我が骨肉の恥——!』

「私からみればあんたころ恥だ!ほら、大事な仲間の前で恥をかかせるな! リーマス、そっちを。せー、の!!」

ピシャッ!!

「ふぅ……あー、こんな出迎えですまないね。やぁ、ハニー」

ハニー「シリウス……!!!!!」

シリウス「どうやら、私のお優しいお母様に会ったようだね」




ハニー「お、お義母様!?!?!?シリウス、な、何言って!?」///

シリウス「うん?何かおかしなことを言ったかな……顔を赤くして、どうした?風邪でもひいたかい?え?道中寒かったようだし、さぁ、これでも着なさい……ハニー、ハニー!?どうしてこっちを向いてくれないね、うん!?そんなに熱が酷いか!?そ、それとも加齢臭か!?私の鼻でさえかぐわないくらい気を使ってるつもりだが、ハニー!?」

ロン「……リーマス、あのさ」

リーマス「あぁ、ほねっこなら用意しているよ」

ハーマイオニー「段々、ハニー自体もなんだかダメな気がしてきたわ」

とりあえずここで一旦区切り
昼ころに再開。夕方までかけて裁判までいきたい
じゃあの

再開

キッチン

ハニー「えっと、それじゃここは、シリウスのお家なの……?」

シリウス「誰も君に話していなかったのか。そう、厳密には私の両親の家、だった」

ハニー「?」

シリウス「深く考えなくていい。こんなところは自分の家だと思っていなかった、それだけさ。ブラック家の最後の生き残りとして、名義上は私の家に違いないがね」

ハニー「そう……シリウスが、最後の。えっと、私と。私と一緒ね?」

シリウス「そうだな、天涯孤独同士家族になるにはお似合いだろう?」

ハニー「んなっ、あっ、そ、そうね、えぇ!家族、家族になるのだもの、〜〜っ!」

ロン「痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

シリウス「? ところでハニー、そろそろ私の上着を脱いでもいいのではないか?温まっただろう?」

ハニー「寒いわ!ロンを敷いて、ハーマイオニーに手を暖めてもらってもまだ寒いの、そうよ、私、長旅だったんだもの」

ハーマイオニー「そうね、寒いでしょうとも。なんだか手が汗をかいてるもの、あなた。暑さではないわよね、これ」

ロン「あぁハニー!てんぱる君もステキだねヒンヒン!」

シリウス「古い家だ、隙間風もあるだろうからな、うん。だが、ここのマグル対策や隠蔽魔法は完璧だ。気に食わないが、本部としてはうってつけなので私がダンブルドアに提供したのさ——それくらいしか、私は彼のお役にたつことはできそうにございませんからね」

リーマス「ハニーの前でふてくされるのはよせばどうだい、シリウス。すまないね、君の出迎えメンバーになれなかったことをまだひきずっているようだ」

シリウス「当たり前だ、なんだ君たちは。こんな小さな女の子にあんな距離を飛ばさせるなんて。私ならハニーを横抱きにしてしっかり暖めながら飛ぶぞ、まったく」

ハニー「なっ、そ、そんなの、あぶ、危ないじゃない!!」

ロン「あぁ、寒いどころかハニーがオーバーヒートしちまうもんな。僕は君の美貌にいつも熱暴走だけどねヒンヒン!」

ハーマイオニー「髪どころかお顔も心も真っ赤よね、えぇ」

アーサー「それで、やはりチャーリーはこれ以上……おぉっと!やぁ、ハニー!会えて嬉しい、長旅ごくろうだったね!」

ハニー「ハァイ、おとうさま。そうね、私にかかれば容易いものだったわ。冷えたけれど」

シリウス「クリーチャーの奴はどこだ?暖炉の火を放って、まったくあいつめ」

リーマス「いい事を教えようか、君が持っているあの杖でも暖炉の火は起こせるんだ、知ってたかい?」

シリウス「奴の仕事は奴自身にやらせるのが当然だろう、甘やかすと付け上がる」

ビル「クリーチャーならさっき地下に行くのを見かけたよ。やぁ、ハニー。無事着いてよかった、それじゃマッド-アイはグリーンランド上空を経由しなかったんだね?」

トンクス「しようとしたわよ、あのイカレお師匠さんは。私が反対したおかげで、ハニーは凍え死なずに済んだんだから」

シリウス「それはありがたいね、さすが可愛い水のようせ、っく、妖精、ニンファドーラ」

トンクス「笑うな呼ぶなニヤんなそこの食肉目!ハニー、お願いだからそこのおっさんに影響されないでね、お願いだから」

ロン「もう遅いよな二年ほど」

ハーマイオニー「手遅れね、ええ」

ハニー「何の話よやめなさい……ビル、その羊皮紙はなんなの?建物の見取り図……?」

ビル「あっ、えーっと……なんでもないんだ。そうだな、うーん……僕とフラーの愛の巣の設計図、なーんてね」

ハニー「手が早いどころのお話じゃなくなってきたわね、あなた」

ビル「責任とるなら問題ないさ、うん」

モリー「許しませんよ!ママはまだ許してませんからね!」

ジニー「ママったら……これじゃ、私が嫁ぐ時なんてもっとうるさそう」

ロン「ありえるね。まぁ、ほら。僕みたいに出来た兄貴はどんな奴でも笑顔で祝福してやるぜ、ジニー?もちのロンで」

ハーマイオニー「なぜかしら、物凄く反対したあげくジニーに呪われかねない場面しか想像できないわ」

モリー「さぁさ、お食事を始めるんですから片付けて頂戴。ビル、会議が終わったらそんなものはすぐにしまわなくてはいけませんよ?」

ビル「分かった分かった、『エバネスコ、消えよ』」

ハニー「何巻きもあった羊皮紙が、消えてしまったわ……大事なものではないの?」

ビル「大丈夫、『変幻自在術』がかけられているから大元の羊皮紙にも書き込んだ諸々は映されているし、それに『双子の……』おっと、ママの目がコワイ。お食事前に難しい話はよそうぜ」

ハーマイオニー「『変幻自在術』……」

シリウス「ビルの言う通り、難しい話は後だ。食事をしたハニーには温かくなってもらわないと」

ロン「ハニー的にはこのまま寒すぎて上着が離せないほうがいいと思うけどね」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!」

シリウス「不便だろうそれは……そうだ、ハニー。マンダンガスには先日会っているらしいね?」

マンダンガス「ぐごー、ぐがー……ハッ、おンの名前、誰か呼んだか?ん?俺は、ふぁー。シリウスん賛成ぇする……」

シリウス「会議は終わったぞ、マンダンガス。なんだ、私に賛成してくれるならちゃんと起きていろ……『ハニーの部屋は私と一緒か隣がいいと思う』に二票入ったのに……」

ハニー「!? も、もう一票ここ、に、あの……」

ハーマイオニー「残念だけどハニー、反対票も二票増えるからドローだわ」

ロン「いや、ハニーのためを思えば、いやでも、ちくしょうマーリンの髭!!」

マンダンガス「あー……ハぁニー、あんたか。着いたんか、え?あー、元気か?」

ハニー「えぇ、いつだって完璧だもの。それで、あなたの方は……えぇっと、少し元気がなさそうね?というか、顔にお怪我……」

マンダンガス「いんや、心配しなくてもえぇ。あんたにゃあやまンにゃならん。うん、顔は、こいつぁ、まぁ、俺がやらかしちまったことにな、その、落とし前だ」

シリウス「当たり前だ、本当ならテムズ川に浮かべているところだ」

リーマス「満月の夜に出歩けるだけ感謝してほしいね」

トンクス「あー……吸魂鬼が出た後の会議はいろんな意味で修羅場だったなぁ」

ハニー「お、お友達同士でそんなのダメよ……」

マンダンガス「いんや、俺のやったことはそりゃ許されねぇ、うん。盗品の大鍋を、譲ってくれるっていうんでよ……商売のチャンスで、欲に目がくらんじまって……持ち場はなれたんだ、うん。すまねぇ、ほんとに」

ハニー「……いいわy」

マンダンガス「そんな大なべがこちら!今や魔法省付き上級補佐官となったホープのパーシー・ウィーズリーがかつて監修したという『絶対漏れないクラウチさん大鍋』!!いまならあんただけに安くsいてぇ!!!!」

シリウス「悪いねハニー、こいつは冗談が好きで。面白い奴なんだが、たまに面白さが過ぎるんだ。おいマンダンガス、ちょっとこっちこい」

リーマス「ちょっとお喋りしててごらん。さぁ、フレッチャー。夜に怯える覚悟はいいかい」

ハニー「……あー、変な人なのね?」

ハーマイオニー「否定はしないわ、全然ね」

ロン「ママが聞いてなくてよかったよ、ただでさえマンダンガスをあんまり好いてないのにさ」

トンクス「モリー!このお皿、こっちに運べばいいの、って、うわぁ!?」

ドンガラガッシャーーーーン!

モリー「トンクス!だからあなたは座ってて、って、あ、い、いいから!片付けようとしなくても、い、あぁ!前をみて前を!!」

ドンガラガッシャーーーーーン!!

マンダンガス「ずびばぜん、ほんどに」

ハニー「あ、えぇ。あの、いいのよ、気にしてないわ」

ロン「へい、ダグ。あんまり顔近づけないでくれよ、ハニーは優しいからむげになんてしないけど、怖がってんだよ僕にはわかる、何せ僕はハニーの下でハニーの少しの驚きも感じ取る事ができるか痛い!ありがとうございまヒン!」

マンダンガス「ほんど、俺ぁどうにもいけねぇ。ダンブルドアへの恩返しをしねぇとなのに、儲け話となると、どうも……あー、フィギーにはあれからあったかい?え?」

ハニー「いいえ。あれから、ついさっきまで誰にも会っていなかったもの」

マンダンガス「んー、そうか。そりゃ……おっ、猫だ。そン猫は、フィギーん家にいんのと似てるなぁ」

クルックシャンクス「ナーーゴ」

ハーマイオニー「? この子、ニーズルの雑種よ?」

ロン「そうだったのかい、なるほど、どうりで僕の髪を根こそぎマルはぐくらいの大きさだと思ったよ」

アーサー「髪の話はやめよう」

リーマス「うん、アラベラはそれを生業にしてるんだ。ハニー、ご近所じゃ猫屋敷として有名じゃなかったかい?それも、人をジーッとみてきて不気味な猫達の」

ハニー「そうだったわ。私は、昔からよく預けられていたからそれなりに仲良しだったけれど」

ロン「ハニーの近くにいて仲良くならない奴の気が知れないね!そんな奴マーリンの髭でもつまってるよ!」

ハニー「……そうね」

シリウス「よ、っと。この子は本当に賢いから、頼りになるよ。ダグ?ひょっとするとお前より見張りに向いてるかもな?え?」

マンダンガス「か、勘弁してくれシリウス……」

クルックシャンクス「ナーーーン」

ハニー「……シリウスの膝で、耳の後ろを……ねぇハーマイオニー、ポリジュース薬って」

ハーマイオニー「ネコになるのは私だけで十分だから却下よ」

ロン「意味深だなぁ、もちの僕で」

シリウス「フィッグも大変だったな、きっと……あぁ、君もよくやった。吸魂鬼を一人で追い返すなんて、中々の武勇伝だ。さすがだよ」

ハニー「あっ……ふふっ……ハッ!ね、ネコを撫でた手で私を撫でるなんて、あの、いい度胸じゃないシリウス!もう!」

ロン「なんで僕ってシリウスじゃないんだろ」

ハーマイオニー「ロナルド・ビリウス・ウィーズリーだからでしょ」

シリウス「しかし、なんだね。それじゃ、君は中々の夏休みを過ごせたのじゃないか?思っていたよりも」

ハニー「っ、どういう……?」

シリウス「少なくとも、君は外を散歩できた……手足を伸ばして、退屈をしのげて、それに命を賭けた死闘も。あぁ、もちろん君がそれを楽しめるなんて思ってはいない。怖かっただろう。だからこそ、私は本当に君と代わってやりたかった。何度ここを飛び出そうと思ったか」

リーマス「その度にダンブルドアか私がすかさずリード……オホン、腕を掴んで取り押さえたがね」

ハニー「……シリウスは、ずっとここに?」

シリウス「缶詰だ、あぁ。外出も許されなかった……魔法省はまだ私を追っている。手配書の頃とは随分違うが、なに、私は割りと目に付く容姿をしていてね。目立ってしかたないんだ」

ハニー「っ、えぇ、そうね。シリウスは、その……ハン、」

シリウス「うん?」

ハニー「は、半マイル先からでも分かるくらい、目立つもの!」

シリウス「ははっ、なら君と隣で並んで歩くと目立ってしかたないだろうな。とびきり可愛いから」

ハニー「〜〜〜っ!!」

ロン「痛い!ありがとう!!ヒンヒンマー髭!」

シリウス「おまけに、私の自慢の変身はヴォルデモートの闇(笑)の陣営に筒抜けで役に立たない」

リーマス「ご親切なワームテールが話してしまっただろうからね、あぁ」

ハニー「そう……それじゃ、ダンブルドアは、あなたには」

シリウス「そうだ。こんな、最前線にいるというのに。不死鳥の騎士団のために私が出来ることはなにもない、少なくともダンブルドアはそう思っているのだろう……」

ハニー「……わたし!」

シリウス「うん?」

ハニー「わたし、は!シリウスがいてくれて、とっても嬉しいわ! それじゃ、ダメ……?」

シリウス「……っ、っは、ッハハハハ! あぁ、うん。ありがとう、ハニー。君は本当に、高貴な子だ」

ハニー「だ、だから撫でないで、ってば!! どうしてもというなら、あの、やめなくてもいいけれど……」

リーマス「……全く、私達が何度なだめても不満顔だったくせに、これだ」

ロン「ハニーバカだからなぁ」

リーマス「まぁ、スネイプが事ある毎に彼を煽っていたのも原因だね、うん」

シリウス「おい、泣きみその話はやめるんだ。せっかく消臭の呪文を振りまいたのにまた汚水臭くなる」

ハニー「……スネイプは、ここで何をするの?」

シリウス「色々とご報告、さ。奴の命を賭けた任務のね。まぁ、それはいい。だが話の節々に私がここで平和にのうのうと暮らしているだの、大掃除は進んでいるかだの、嫌味な当てこすりたっぷりなことを——」

ハニー「あー、その。大掃除って?」

ハーマイオニー「ここを、人が済むのにふさわしい場所にしてるの。ほら、とっても汚れているでしょ?私達ここにきてからずーっとそうしてたわ」

シリウス「お優しい母上が亡くなってから十年も誰もすんでいなかったからな。あの屋敷しもべ妖精はいたが、奴さんすっかりひねくれてる」

ハーマイオニー「使えるべき主人がいなくなって心神喪失だったのよ!そんな言い方ってないわ!」

シリウス「あぁ、そうだな。さっさと他所に移るか、お仲間の首の横に並んでいればよかったのさ」

ハニー「えーっと……シリウスは、仲が悪いの……?その、クリーチャー?と」

シリウス「あれはこの家の嫌なところばかり思い出させる。それはあっちも一緒だろう。そうだな、仲睦まじいとはいえない。嫌ってもいないよ。どうでもいい、というのが正直な所だ」

マンダンガス「シリウス、なぁ、このゴブレッド、こりゃ純銀か?え?」

シリウス「それと同じくらいどうでもいいな。あぁ、十五世紀ゴブリン製の高級品だろう」

ハニー「屋敷しもべ妖精、それにこんなお屋敷、高級品……シリウス、って」

リーマス「お坊ちゃまだよ、あぁ」

シリウス「やめろ」

夕食

モリー「フレッド、ジョージ!いちいちナイフやフォークを呪文で浮かせて食べるんじゃありません!」

フレッド「ごめんよママ!でもさ、こうやって生活に呪文を使うことでなにやらがとぎすまされてどうやらふにゃっと」

ジョージ「そうさ!こういう日常的なでも細かい作業が伴うものを魔法で行うことによって僕らのなかのアレがこうね」

モリー「ふわっとした反論しかできないなら黙って普通に食べなさい!もう!」

ロン「あの二人はいいよな、成人したからもう好きに魔法が使えるんだ。あぁハニー!君は魔法がなくったって魔法みたいな美しさを誇ってるけどねヒンヒン!」

ハニー「当然ね、禁じられた呪文も真っ青だわ」

ハーマイオニー「従わせるのも苦しませるのも骨抜きにするのもできてしまうものね、あなた」

ハニー「一番骨抜きなのは、誰かしら……?」

ハーマイオニー「っ、ちょ、っと?お食事中、テーブルの下、ちょ、あの、後!後、夜で、って、さっき言ったでしょう!?」

モリー「まったく、兄さん達は誰もそんなおかしなことはしませんでしたよ!ビルは一メートルごとに『姿あらわし』なんてしなかったし、チャーリーは何でもかんでも呪文をかけたりしなかった!パーシーは……パーシー、は」

アーサー「ところでシリウス、リーマス。君の歳だとそろそろ抜け毛予防をしないと、後悔するころには遅いよ?」

シリウス「乗ってやろうアーサー。あー、その心配はいらないね。もうすぐ私は生え変えの時期だ」

トンクス「犬基準で話すのやめなよ、たまにどっちのこと言ってるかわかんなくなるよ」

リーマス「白髪のせいで老けてみられがちだな私は……そうか、もうそんな歳になるのか」

トンクス「り、リーマスのその髪、わたしはカッコイイと思うなー!」

リーマス「っはは、ありがとう。真似するのはやめた方がいい、君はいつものが似合っているよ」

ビル「髪、髪かぁ……僕も父さんみたくなるのかなぁ。フラーはなんていうかな」

アーサー「髪の話はやめよう」

シリウス「自分に返ってきたとたんそれかい」

モリー「グスッ、び、ビル。そうね、そのくらいのことはドーンと構えて気にしない人でないと、ダメよ!いいこと!?」


ハニー「……みんな、気を使ってるのね」

ロン「ママが泣き出すのはなれてなくてオロオロするからね。君が泣くのは結構日常茶飯事だけ痛い!ヒンヒン!」

ワイワイ、ワイワイ

ハニー「みんなそれぞれ、近くの人と話がはずんでるわね」

ロン「僕はいつだって君を思うと心がはずんでしかたないけどねヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。丸まるの豚さんだもの」

ハーマイオニー「姿までそうなってしまったらもう悪夢ってどころではないと思うからやめて」

シリウス「うん?ハニー、ポークチョップが欲しいか? チキンも美味しいが……ほら、とってあげよう」

ハニー「あ、ありがとう……あ、そう。皿に置いてくれるのね。ありがとう……」

ロン「あぁハニー!上機嫌な君が僕にしてくれるのと同じことをシリウスがしてくれたらとってもいい晩餐だったのに分かるよハニーなんてったって僕は」

ハニー「ロン」

ロン「なんだいヒンヒン!」

ハニー「はい、アーーーン」

ハーマイオニー「ハニー、貝殻を食べさせるのはいくらなんで、ロン、ロン!?ダメよちょ、口のなかズッタズタになるわよロン!?!?」

シリウス「はっはっは、仲がいいなぁ君達は」


ビル「小鬼がどちらの側につくのか、分からないんです。もちの末弟で、連中はどちらにも関わらないのが一番だと思ってるでしょうけど」

アーサー「ルードの件で魔法省にも不和があるし、前回の『あの人』の時代に殺されたノッティンガムの一家の件があるから、確かにそうかもしれない」

リーマス「思うに、見返りが何かによるでしょう。金銭のことじゃなく、連中が長く渇望していた『魔法界においての自由』、これを提供すれば彼らの気持ちも動くでしょうが……ファッジにそんな気概があるかというと」

アーサー「ないね、あぁ。『小鬼つぶしのファッジ』なんて呼び名、実は気に入っている節がある——」


フレッド「ッハハハハハハハ!!おい、おいおいそりゃぁいくらなんでも冗談だろ、ダグ!」

ジョージ「ッフハハハハ、ハハ!奴さん、自分の蛙を元値の倍以上で買っちまったのかい?」

マンダンガス「おーよ、自分とこから盗まれたもんだともしらねーでよ。俺、おっかしくておっかしくて……」

モリー「マンダンガス!!息子達に盗みの話なんてやめて!」

マンダンガス「ち、ちげぇんだようモリー。ウィルのヒキガエルは元々ハリスんとこから奴さんが盗んだやつだ、だから俺ぁなーんにも悪いこたぁしてねぇよ、な?」

モリー「ジニーも聞いてるんですよ!全く!」


ジニー「ねぇトンクス!豚みたいな鼻してみて!」

トンクス「オッケー……こう?オィンクオィンク!」

ジニー「完璧!でも、鳴き方違うわよ?ヒンヒンでしょ?」

トンクス「?豚なのに????」


マンダンガス「聞いちゃいねぇみたいだけんどもよぉ?」

モリー「黙りなさい!もう!!」


シリウス「あぁ、モリーが元気になってよかった。彼女が暗いとただでさえ暗いこの屋敷の影が濃くなる」

ハニー「私が来たからその心配はいらないわ」

ロン「ああハニー!君って僕らの太陽にも等しいもんね!物理的にも心理的にも!ヒンヒン!」

モリー「さっ、デザートも食べ終わったわ。みんな、お腹一杯ね?」

フレッド「ほんと、極上の馳走だったよママ。いつも以上にね、そんなことがあるなんておっどろきだったけど」

ジョージ「これなら僕らの女王様にはいつでもマグルの町から遥々ご到着願いたいもんだね。どうだいハニー?」

ハニー「それは遠まわしに帰れと言ってるのかしら」

シリウス「双子そこ座れ!」

リーマス「ちょっとお話しようか」

ロン「マーリンの髭!」

ハーマイオニー「日頃冗談ばっかりな人たちの言葉を真に受けないの! リーマスはしっかりして!」

モリー「まぁまぁ、いい晩餐になったようでよかったわ。それじゃ、もうみんな寝ましょうか——」

シリウス「いや、モリー。まだだ。私達は、ハニーをこの夏中置き去りにしてきたことに謝罪しないといけない」

ハニー「……いいのよ、シリウス。もうここに来られたし」

シリウス「いいや、きっと聞きたいはずだ。いいかい、私には遠慮するな。ヴォルデモートのこと、気にならないとは言わないだろうね」

アーサー「……」

ビル「……」

リーマス「……」

トンクス「……あっ」

ガシャーン!

シリウス「……トンクス、片付けなくていいからそこでジッとしてるんだ、いいね?」

トンクス「ご、ごめん。はい」

ハニー「……もちろん、気になるわ。だって私、あいつに負けないって決めたもの」

シリウス「あぁ、君ならそう言うだろうと思っていた」

ハニー「でも、ここに最初に着いた時。ロンとハーマイオニーに、あー、問い詰めたら」

ロン「ものすごい勢いでね、あぁ」

ハーマイオニー「どこからの何の勢いかは置いておきましょう」

ハニー「黙って。二人はほとんど何も聞かされていない、って言うから……きっと私達では若すぎて、騎士団にも入れていないからダメだとあの腹黒豚は思っているんでしょうね、って思って」

モリー「その通りよ!あなたたちは、若すぎます!」

シリウス「若ければ、騎士団に入っていなければ質問してはいけない、なんて。誰が決めた? ハニーは当事者だ。おまけに、何も知らされず一ヶ月も閉じ込められていた。知る権利がある。私達には教える義務がある」

フレッジョ「「俺達は成人なのになーんにも教わってないぞ!?」」

シリウス「君らは学生だろう。君達のご両親の判断だ、従いなさい。ハニーは……」

モリー「ハニーにとって何がいいのか決めるのは、あなたじゃないわ!シリウス、ダンブルドアのお言葉を忘れたの!?」

シリウス「あぁ、ありがたーいあの方のお言葉の、どれのことでしょうねぇ」

モリー「ハニーが必要であること以上のことを話してはならない!ということよ!」

シリウス「私はハニーが知る必要があること以上のことを、話すつもりはないよ。そして、ハニーは。いいかい?ヴォルデモート復活の場に居合わせた、当事者だ」

モリー「っ……」

シリウス「ハニーは、大方の人間よりずっと、知っていなくてはならないことが多い。むしろ、ハニーにこれ以上隠す事自体がハニーの危険を呼ぶ。そうだろう?」

モリー「でも、でもこの子は……騎士団のメンバーじゃないわ!まだ、たった15歳で……」

シリウス「これまで、もっと前からこの子がどれだけのことを成し遂げているか、わざわざ説明さしあげることもないと思うが」

モリー「っ……!」

シリウス「それに、私がジェームズと初めて死喰い人と戦ったのは、そう大差ない年齢だ。関係は……」

モリー「! それよ、それよ、シリウス!!この子はジェームズじゃないのよ!!一緒にしないで、あの眼鏡と!!いくら似ていても、この子はジェームズと違うの!あなたがハニーのしてきたことを口にするときは、ジェームズが戻ってきたような言い方だわ!」

ハニー「それのどこがいけないの???」

モリー「あなたはジェームズじゃないから、よ!ハニー!だから……」

シリウス「そんなことは分かっている!!!!」

モリー「!!」

シリウス「……分かってる。この子はジェームズと、リリーの子供だ。見ればわかる。これでまだ、ジェームズの方に似ていてくれたら私もそちらにすがれたのだろうがな。この子は、私のせいで……」

リーマス「二人とも、少し落ち着こう。血が登りすぎて、責任をもつべき大人の意見交換とは言えなくなっている」

モリー「っ、それじゃ、アーサー!何とか言ってくださいな。ハニーのためを思う、大人の立場で!!」

アーサー「……フーッ。母さん、モリーや。君の言うことはもっともだ。だがね、現状を考えてほしい……ダンブルドアも立場が変化したことをご存知だ。ハニーをこの本部に迎え入れた、ということは、アル手度の情報を与えるべきだと認めているはずだろう」

モリー「それは、それはそうですわ!でも、ハニーに何でも好きなことを聞くように促すのは、全然別です!ただでさえなんでも答えそうな大人が多いんですもの!」

シリウス「ないない」

モリー「ことあるごとにジェームズとリリーの話をしてる人は黙って!!!」

リーマス「落ち着いて。私個人としてはね、モリー。ハニーは事実を知っておくべきだ。歪曲された情報を、誰か他の者から知らされるよりは。今は形のない的である奴らを相手するのに、情報は何よりも恐ろしい武器になりうる」

モリー「……そう、そうですか。私の味方はいらっしゃらない、そういうことね!ハニーにとって一番いいことを、考えている私が!」

シリウス「何も恐れることはない、今は平和で世界は優しい、そう嘯いて大事にしまっておくのは娘だけにしておけばどうだい」

モリー「娘も、同然よ!!この子に、ほかにだれだいるというの!!」

シリウス「おっとどっこい、私はこの子の後見人だ。私は二人にハニーを任された。家族になる、そう決めたんだ」

モリー「っ、っ!!あら、それでもあなたがアズカバンにいる間は!お世話をするのに随分と大変だったでしょうね!!!」

シリウス「言って良い事と悪い事の区別もつかないなら教え込むしかないな杖をとれプルウェット家の生き残り……!!」

アーサー「モリー、言いすぎだ!やめなさい、おちついて。このテーブルについているもので、ハニーのことを気遣っているのは君だけじゃない」

リーマス「シリウス、おすわり!」

シリウス「やめろ!!」

ロン「リーマス、絶対タイミング見計らってたよな」

ハーマイオニー「すごく良い顔していたものね」

ハニー「なんだかリーマスはたまーに同族な気がするわ」

トンクス「大人の舌戦ってコワイなぁ……マッド-アイくらいむしろ武力行使なほうがわたし分かりやすくていいやー」

ビル「それはどうなんだろう、成人者として……あー、リーマス。ハニー本人の意思も、聞いてやるべきじゃないかな」

リーマス「大体君はいつでもそうだ、正論だからと言ってなんでもかんでもあんな風に捲くし立てていいわけじゃない。それだからいつまでたっても子供だといわれて……あぁ、そうだね」

シリウス「おやおやそうだな、君はいつだって大人だった。だから僕らが悪ふざけしている時も澄ました顔で見ていたんだものなよーく思い出したよ……あー、ワフン。ハニー、私の言ったことは気にせず、正直に答えてほしい」

ハニー「……」

リーマス「君ももう、自分で十分に判断できる年齢だ。私達は君の意見を尊重する」

ハニー「……おかあさま、ごめんなさい。私の事、娘同然って言われて、ほんとに、ほんとに嬉しいの。でも」

モリー「……」

ハニー「……私、わたし決めたの。怖くっても、逃げないって。だから」

ハニー「わたし、知りたい。何が起こってるのか」




ハニー「この、私の豚団の中で」

リーマス「あぁ、やはりそうなるか、なるほど。ダンブルドアの先見の明は確かだね、えぇ」

シリウス「うーむ、私はハニーがそう言い出すのはよく理屈が分からなかったが、ハニーの言うことだ、従おう。ビル、図案を」

ビル「えーっと、各団員に連絡をしないといけませんね。団旗とかも作り直しだし、そうだな、このあたりはハニーにデザインしてもらえば」

モリー「母さんに任せなさい。そうね、バックには百合をちりばめてっと」

アーサー「もはやダンブルドアに集まったというよりはハニーのために決起した団と言って過言じゃないからね、この団は」

トンクス「でもさー、なんか語呂がちょっと悪くないかなー。もうちょいこう、ハニーの可愛いとことか際立たせるような名前にしようよ!あっ、ニンファドーラは関係無いからねっ!?」

マンダンガス「ヒンヒン!」


ハーマイオニー「唯一真面目な象徴だった『不死鳥の騎士団』って名目を捨てるのはやめなさいこのダメ大人!!!!!!!!!!」

ロン「ハニーの前じゃどんな人でも骨抜きってことだよね、あぁハニー君って罪深いレベルの美しさだよヒンヒン!」

ハニー「当然ね、私だもの」

とりあえず今日はここまで
短くてすまんの
明日、このくらいの時間から深夜にかけて今度こそ裁判までやる
じゃあの

再開

リーマス「そういうわけで、私達はハニーの質問に答えようとおもう」

ロン「あぁ、だってそれって壁に投げたボールが返ってくるくらい当然のことだもんな。あぁハニー!君の計り知れない剛速球にぼくらはクラクラさ!」

ハニー「そうね、超ハイスクール級ね、えぇ」

ハーマイオニー「あなたたち何言ってるの?」

リーマス「モリー、いいね?」

モリー「えぇ……ハニーがそう言うなら、止めませんわ。さっ、フレッド、ジョージ、ジニー、ロン、ハーマイオニーは寝なさい!」

グレッド「おいおい相棒、おふくろは誰のこと呼んでんだろうな」

フォージ「ほんとだよな。俺達はグレッドとフォージなのになぁ」

モリー「サマーセーターを取り替えない!!

アーサー「モリー、二人を止めることはできないよ……確かに、二人は成人だ。もはや魔法責任を自ら負える立場にある。良くも悪くも」

フレッド「さっすがだぜパパ!俺達のいっちばんの理解者!」

ジョージ「毛生え薬が開発できたらいのいちばんに送るよ!」

モリー「そう、そうですか……それじゃ、ロンと、ハーマイオニーは!」

ロン「ママ、僕らはそれでもいいけどさ。僕のハニーが『例のあの人』のことなんていうメッチャくちゃに重い話題を一人で抱え込めると思うかい? そんなことさせないけどさ」

ハーマイオニー「おばさま。私達も、ハニーと一緒に聞きたいわ。ハニーを支える、大事な……」

ハニー「っ、あり、ありが……そ、そうね!私の豚だもの!当然で……」

ハーマイオニー「ヒンヒン?」

ハニー「やめてよ!!!」

モリー「……誰かカメラは?」

リーマス「落ち着いたのはいいが、話を進めようか、モリー」

シリウス「ヒンヒンってなんなんだ、ほんとに……くそぅ、私はあの子の後見人なのに」

リーマス「ワンワン鳴いていればいいじゃないかうるさいな」

シリウス「やめろ」

モリー「それじゃ……ジニー!ジニーは、寝なさい!!」

ジニー「私だって、きっとおねぇさまかr」

モリー「それとこれとは話しが違います!!私は母親としてあなたのためにこの場にはいさせません!さぁ、こっち!」

ジニー「いや!!放して!!ママ、やめてよ!!痛めつけられるのはおねぇさまからで十分よ!!」

ロン「何言ってんだよジニー、あれが痛いなんて君の感覚どうかしてるよ」

ハーマイオニー「あなたのほうこそね……お、おばさま、穏便に。それにジニー、言葉が過ぎるわ。冷静に……」

ジニー「やめ、やめ、て……ヒンヒン!!」

モリー「!」

ジニー「……」

モリー「……そうね、ジニー。あなたもハニーが心配なのよね……ママが、悪かっ」

ハーマイオニー「舌戦して。わけのわからない言語で収束してしまうくらいなら、私達に分かる形で話し合いをして。お願いだから」

ロン「あぁハニー!君を思えばみんなの心があの太陽が昇る地平線みたいに穏やかだよね!ヒンヒン!」

ハニー「当然ね、おまけに朝日でみんなの心を照らす、そういうことよね」

ハーマイオニー「夜よ、今は」

リーマス「……納得したのかな?」

モリー「……過激な言葉が出るようなら、私がジニーの耳を塞ぐ事にするわ」

フレッド「おーっと、それならダグはずーっと口を閉じてなきゃいけないぜ」

ジョージ「あんたのお話はちょーっと末妹が知るにゃ早すぎるからな、え?」

マンダンガス「いんや、あンこはきっと今に引く手あまたなどえれぇ美人になるからきっと……」

モリー「目玉を潰すわよこのゴロツキ」

アーサー「マンダンガス?」

ビル「これ以上財産差し押さえられたくないだろ?え?」

マンダンガス「……すいません」

ハニー「可愛がられているのね、ジニーって。私ほどじゃないけれど」

ロン「まぁ君を可愛がるのは人類の義務みたいなもんだしね」

シリウス「オーケー、みんなが納得してこの場にいる。ここから先は止めるのはなしだ、いいね?」

リーマス「君がハニーに飛びついたりしなければね」

ハニー「!?」

シリウス「ハッハッハ、面白い冗談だ、ムーニー。ハニー、今夜はベッドを空けていてくれるかい?」

ハニー「なっ、あっ、な、なん、よ、よろk」

ハーマイオニー「残念ですけど私が予約済みよ!!!!!」

ロン「二人とも冗談が過ぎるよ、こっちの二人とも真に受けないでくれよまったくマーリンの髭」

シリウス「よし。それじゃ、ハニー。まずは何を知りたい?」

ハニー「……あなたの誕生日」

シリウス「うん?よく聞こえなかった、なんだい?何でも聞いてくれ」

ハニー「あー、えっと、そうね。そうしてあげる……あの、ヴォルデモートは——」

トンクス「うわっ! あっ、あー……ごめん、シリウス。またここの皿減っちゃった……」

シリウス「……トンクス含め何人かがその名が出ると面倒なようだから、これからヴォルデモートを仮に『ニンファドーラ』と呼ぼうか……っく、っふ」

トンクス「やめてよ!!!!」

ハニー「……あのニンファドーr」

トンクス「やめてよぉ!!!!!」

リーマス「ふざけるのはよすんだ、シリウス。そうなると君は生きていられなくなるかもしれないが」

シリウス「何を言う、私はいつだってハニーのために真剣だ。それで?」

ハニー「あいつは、何をしているの?私、あいつが復活した以上、もっと大事になるのだと思っていたわ。でも、ここのところのニュースで、その……大きな事故とか、酷い事件が起きたとか、聞かないわ」

シリウス「あぁ、不審な死、凄惨な虐殺、それらはまだ起きていない。我々の知るかぎりでは、だが」

リーマス「あいつの想像以上に知っているんだがね、私達は」

シリウス「闇(笑)の陣営は今、潜伏状態にある。あいつは今、自分達に目を向けられては困るのだ。勢力は復活して間もないし、それに、奴の復活は自分の思い通りにはいかなかった」

リーマス「しくじったのさ、分かるだろう?誰あろう、君が。君のおかげで、今の所魔法界は悲惨な現状とまではいかない事態で踏みとどまってるんだ」

ハニー「私、の?」

ロン「やっぱりハニーって存在するだけで僕らを守護する女神だったってことだね、ヒンヒン!知ってたけど」

ハーマイオニー「茶々いれないの」

シリウス「君が生き残った、それがあいつにとって一番の誤算だ。恥ずかしい仮面を被ったあいつの崇拝者たちこと『死喰い人』(笑)以外は、奴の復活を知るはずじゃぁなかった」

リーマス「ところが君は生き残り、我々に奴の復活を知らせる証人になってくれた」

アーサー「あぁ、おまけにそれを一番に伝えたのが、ダンブルドアだ。これ以上の適任はいないよ、うん」

ハニー「? それが、なんの役にたつというの? いずれあの腹黒だって、知る事になるでしょう……?」

ビル「役にたった、なんてものじゃないよ、ハニー!忘れたかい?ダンブルドアは『例のあの人』が恐れた唯一の人だよ?」

ハニー「その呼び名には誤りがあるわね。今じゃ私が筆頭だもの」

ロン「『例のあの人』?HAHAHA!とびきり可愛い女の子の前じゃマーリンの髭さ!」

シリウス「言うじゃないか、さすがだね。それで、君のおかげでダンブルドアは奴の復活の一時間後には不死鳥の騎士団、あぁ、いや、君の豚団の全員に連絡をとる事ができた」

ハーマイオニー「その悪夢みたいな名称続ける気なのね、冗談じゃなく。冗談じゃないわ」

ハニー「冗談抜きな素晴らしさだもの、そうでしょ?」

ハーマイオニー「はいはい、そうね。そうでしょうとも」

ハニー「それで……一体、どんなことをしているの?あいつは、身を潜めているのでしょう?」

シリウス「あいつの計画が実行できないように、出来る限りのことをしている、そうだ」

リーマス「潜伏状態とは言ってもね、奴らはそれこそ表に出ないところで色々と行動を起こしてる。ダンブルドアは洞察力が鋭い。おかげで私達は学生時代何度煮え湯を飲まされたか……っと、それはいい」

シリウス「奴は、自分の軍団を再構築しようとしている。あぁ、あの恥ずかしい連中だけじゃない。奴と同じように、今は闇にまぎれ、表には出てくることがない者たち……」

ハニー「……闇の生き物や、それに、巨人ね。あいつが復活した夜、そう言ってたわ」

シリウス「あぁ、どうせ身振り手振りに溜めたっぷりの舞台役者のように語ったのだろう。まったく恥ずかしすぎて、逆に尊敬に値するね」

リーマス「おやおや、君が誰か女の子を誘うときに垂れていた文句を聴かせてあげたいものだね」

シリウス「やめろ」

ハニー「……」

ロン「痛い!ありがとう!!ヒンヒン!!!」

シリウス「そう、奴はかつて膨大な数の同病者……もとい、手下を傘下にしていた」

リーマス「忠実な『死喰い人』、脅して従わせた魔法使いや魔女、ありとあらゆる闇の生き物たち、お辞儀が得意な日本人」

ハニー「最後が分からないわ」

リーマス「いたぶって遊んでいたそうだ……まったく、悪趣味だよ」

シリウス「巨人は、奴が最も目をつけている種族といえる。それもほんの一つに過ぎないがね」

アーサー「私達は、『あの人』が手下を集めるのをできるだけ阻止しているんだよ。魔法省を相手に戦うだけの陣営が、あちらの側で出来上がらないように」

ビル「なるべく多くの魔法使いに、『例のあの人』が復活したことを信じさせて、警戒させているんだ。あわよくば、この団に入ってもらってる」

ロン「今じゃ入れ食いだろうな、もちのロンで」

ハニー「そうね、何せこの高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的な私の名を冠しているのだもの」

ハーマイオニー「むしろそちらに警戒するわよ、もう」

ハニー「……上手く、いってるの?」

シリウス「おっと、分かってるじゃないか。そう、これが中々厄介だ。魔法省の態度のせいでね」

トンクス「ファッジの奴、あれがあったっていう次の日に魔法省のエントランスで朝礼開いたんだよ。あー、おっさん臭くて敵わなかったわ、あれは」

アーサー「……」

モリー「大丈夫よあなた、加齢臭はしませんよ、ほんとに」

シリウス「若いからと言って何でも言っていいわけじゃないぞ、ニンファドーラ」

トンクス「そ、そんなつもりじゃ、うるさいな。ファッジはさ、全員に向かって『例のあの人』が復活したなんていうのはまったくのでたらめ!誇り高い魔法省勤務である諸君は決して真に受けることがないように! って。こんな顔で」

ハニー「……真っ赤になって、必死ね。そう、あの人は……本当に、ダンブルドアに」

リーマス「反抗するつもりだ、あぁ。恐ろしいのだろう、彼が」

アーサー「ファッジの思考はぶっとんでいてね……『あの人』が復活するわけはない、ならダンブルドアは何故そんなことを言うのか……そう、ダンブルドアは魔法省を混乱させて、自分の大臣職をかっさらう気だ、と」

ハニー「……バカなのかしら」

シリウス「否定はしない。できないしな。私はアズカバンの中でファッジが魔法省大臣になったと知った時、ついに自分も吸魂鬼の影響で悪夢を見ているのかと思ったものだ」

リーマス「彼は権力の味を覚え、悪い方向に自信をつけてきたんだ」

アーサー「昔はことあるごとにダンブルドアにお伺いを立てるダメな大臣、と、皆が言っていたのだが……思えばそれがいけなかったのかもしれない」

ビル「で、ダンブルドアや君の言うことは事実無根のまったくのデタラメ!って体でいるんだ。今でもね」

ハニ「……」

ロン「あぁハニー!見下げ果てたいけど奴さんの気持ちも分からなくはなくて複雑だねハニー!分かるよなんせ君はやさ痛い!!ヒンヒン!」

言うやまれぬ問題が起きた
尻切れで申し訳ないが一旦ここで区切る。深夜までには戻れるはず
すまんの

遅くなった。再開

リーマス「さぁ、そういうわけで私達がやっている魔法使いや魔女の説得は、正直言ってかなり難しい。何せ魔法省が否定しているし、なにより、本当のところ誰だってそんなことは信じたくないんだ」

シリウス「信じるだけの度胸がない、ともいえるがね」

リーマス「それを誰にも求めるのは酷だろう。信じるも何も、一切の事情を知らない者が大多数なわけだし」

シリウス「そしてその無知こそが、闇の連中が『服従の呪い』をかけようとするいいカモを産むわけだ」

ハニー「でも、そうはならないはずだわ。だって……みんなが、ここにいるみんなが、一生懸命説得して回ってる、そうなのでしょう?」

トンクス「ハッハ、ッハ。ハニー、あなたって本当に優しいね。みんながそうだったらいいのに、ほーんと」

ロン「今さら何言ってんのさ。ハニーの優しさときたら1000年前の大闇の魔法使いだってヒンヒン鳴くレベルだぜ?僕はいつだって100000年後だって鳴いてるけど」

シリウス「さて、私は未だに世間じゃ大量殺人者だと思われている。そんな私がロンドンの真っ只中で同士求む!なんてビラを配っていたら、どうなると思うね?」

ハニー「……受け取って、お話を聴くわ!」

ハーマイオニー「ハニー、あなたがとっても素直なのは分かったから」

リーマス「シリウスの首には一万ガリオンもの懸賞金がかけられている。ただ事にはならないだろうね」

フレッド「はした金だなぁ、なぁ相棒?僕らならあっという間にそれくらい稼げるだろうさ」

ジョージ「全くだぜ。僕らの商品展開が軌道に乗れば10倍に増やすくらいあっという間さ」

モリー「おまえたちは何を言っているの、まったく。増やす?まるで一千ガリオン持ってるみたいで……」

ロン「あぁハニー!君の金貨も霞むほどの素晴らしさときたら、一千ガリオンじゃとても足りないよヒンヒン!ねぇママ、ママもそう思うだろ?もちの僕で」

モリー「え?えぇ、そうねぇ」

ハニー「……出来る豚ね、ロン」フーッ

ロン「うひゃぁヒンヒン!」

ハニー「……とっても不服だけど、シリウスが勧誘したらほとんどの人は入ってくれるはずだと思うわ」

シリウス「あぁ、私は口が上手いからね」

ハニー「そうじゃなくて、いいえ、そうでもあるけど、その……〜〜っ!」

ロン「痛い!ありがとう!マー髭!」

リーマス「あぁ、シリウスが今もしも無実だったら、その手の広告塔としてバンバン働いてもらうはずだったのだけどね」

シリウス「おっと、あのヌラヌラ髪のような嫌味はその辺でやめてもらおうか、ムーニー」

リーマス「あぁ、そのつもりだよパッドフット。とにかく、シリウスはそういうことをするわけにはいかない。そして私はと言えば、魔法族の間では犬と同じくらいわざわざ夕食に招きたい客ではないのさ」

ハニー「? どうして?」

リーマス「あぁ、所謂職業病というやつさ。私の永久就職、狼人間という肩書きのね」

トンクス「そ、そんなもの気にしなくたって!うちはほら、いつだってリーマスを歓迎するよ!?ほんとだよ!?」

リーマス「ありがとう、トンクス」

トンクス「あー、あっはは!あとほら、もちろんモリーんちも、もっと言うとほら、騎士団みーんなね!だからほら、ね!?」

シリウス「……押して押して引くなよ、まったく歯がゆい」

ハーマイオニー「シリウスが言って良いこととは思えないけど。えぇ、ハニー。なんでもないわ、気にしないで」

ハニー「? おとうさま、あの二人はやっぱり?」

アーサー「あー、私達が全力で支援と言う名のからかいをしているのだけどね。中々どうして、主にトンクスの臆病とリーマスの難聴とかで」

トンクス「そこうっさいおっさんと女の子!オホン!ゴホン!えーっと、私やアーサーもやっぱり、これみよがしに宣伝なんてできないんだ。そんなことしたらファッジに目をつけられて、職を失っちゃうし」

ハニー「そう……でも、あなた自身は説得されたのね?」

トンクス「んー、私は元々騎士団のこと、知ってたんだ。ママはシリウスを可愛がってたし、マッド-アイからよく聞いてたから」

シリウス「前に話したことがあるだろう?アンドロメダ、私の好きな従姉だ」

ロン「痛い!ありがとう!」

トンクス「それで、ママの方にダンブルドアから打診があったんだけど、ママったら協力はするけどもう若くないから、って断っちゃって。それで、じゃぁ私が!ってな具合でね」

リーマス「あぁ、トンクスはとても優秀だとマッド-アイも言っていたから頼もしかったよ」

シリウス「痛い! 何をするんだニンファドーラ!」

トンクス「うっさい!!」

フレッド「蓋を空けてみて見れば、期待のホープは」

ジョージ「おドジなねーちゃんだったわけだけどな」

トンクス「ぐっ、言い返せないこと言ってくれるじゃない、この双子め。三つ子になって混乱させてもいいんだよ?」

シリウス「意味の分からないことをしようとするな。とにかく、おかげでマッド-アイが復帰するより前にキングズリーに話を通すことができた」

ハニー「キングズリーって、今日私をあそこから連れ出せるよう手配したって言っていた……」

トンクス「そっそ、あの禿げ……あ、ごめんアーサー。オホン。ピアスがステキなね。私よりちょびーっと偉いんだよ、あれで」

アーサー「キングズリーは、闇払い局でシリウスを追跡する責任者をしているんだ。おかげで魔法省は、シリウスをチベットにいるものだと思い込んでいる」

シリウス「あぁ、あすこはいいところだ。是非ともハニーと旅行に行きたいところだね」

ハーマイオニー「ハニー、また冗談だから真に受けるのはやめましょう?スケジュール帳……今日から全部花丸がついてるのね。ふふっ」

ロン「あぁハニー!君がいれば僕らの心はいつだって花真っ盛りだけどね!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「頭の中もでしょうけどね」

リーマス「少しずつだが、仲間は集まってきている。だがどうにも、苦境に立たされていることは否定しようがないんだ。魔法省は、ダンブルドアについてこき下ろす記事を『預言者』に書かせていることは知ってるね?」

ハニー「えぇ、おかげさまでダドリーの一日は新聞を細切れにするところから始まっていたわ」

ロン「同胞の奴、しっかりやってたみたいだね。あぁ、君のためなら豚は何だってするけどさ。もちのロンで」

リーマス「そう、だがそれだけじゃない。ダンブルドアの信用、そして権力も確実に奪っていっている」

シリウス「国際魔法使い連盟の議長職、ウィゼンガモット首席魔法戦士、それに、今週にはマーリン勲章勲一等を剥奪する話まで出ている」

ビル「ダンブルドアは、蛙チョコカードの裏に持っていたことだけ残ればそれでいい、って笑ってたけどね」

アーサー「笑い事ではないというのに、あの人は……しまいにはファッジは、ダンブルドアをアズカバンに放り込みかねないんだ」

ハニー「……でも、あの人なら脱獄くらい……」

シリウス「……そうだな、うん。ダンブルドアなら十三年もかからないだろう……すまないねハニー、不出来なおじさんをゆるs」 ポンッ! 「ワンワン!」

リーマス「あぁ、ハニー。謝らなくてもいいよ。彼のメンタルの問題だ。パッドフット、尻尾を踏まれたくなければさっさと戻ればどうだい」

アーサー「あー、確かにあの人はただで投獄されるような人じゃないがね。ダンブルドアが表立って動けなくなるというのは、私達にとって大きな打撃だ」

リーマス「ダンブルドアが企みを見抜いている、私達を使って何かあればすぐにでも動く、それを知っていればこそヴォルデモートも慎重になるのだからね」

ハニー「でも、慎重になると言ったって……死喰い人の数が大きくなればなるほどいつか絶対に、あいつのことに誰だって気づくはずだわ。ダンブルドアや私が、本当のことを言っていたんだ、って」

シリウス「ハニー、いつか、では遅い。その頃には奴は全ての手はずを整えて、魔法省を占拠し国家転覆するだろう。あいつの裏でコソコソ汚く意地悪く事を運ぶ手腕を甘くみない方がいい。本当に、ドブネズミのような繁殖力なんだ」

リーマス「騙し、呪いをかけ、恐喝する。あぁ、私達だって何十回、どうしてあの人が!と思ったものか……私は、特にね」

ハニー「……そう、よね。それが、以前あいつが力を持っていた時代にやっていたことなのだものね」

シリウス「あぁ、私が前に言ったとおり。あいつは、自身が動かなくとも人の不安を煽るやり方をよく知っている。今はその時期だ……それに、今は。前のときとは違う物も求めているらしい」

ハニー「? 配下を集める以外のことを?」

シリウス「あぁ、それとは……あー、このあたりか?」

リーマス「……そうだね。ハニー、私達が話すことができるのは、きっとここまでだろう。今は」

ハニー「待って、待ちなさいよ。ここまで話してくれたのに……それはどいうものなの?形があるもの?」

シリウス「一応は。武器、と言っていいだろう。奴が行動を起こすための、重要なね」

ロン「なるほど、ハニーの愛の鞭か」

ハーマイオニー「飴でもあなたすぐさま飛び起きるでしょ」

モリー「さぁ!お話は十分したでしょうね!みんな、ベッドに!」

フレッド「おいおいママ、僕らは成人だぜ?まだ先を聞く権利があるぞ!」

ジョージ「僕らを止められる権利はママにだってないはずさ、そうだろ?」

モリー「どうかしら、試してみてごらん!あななたちを見分けやすくする自信なら、母さんありますよ!」

フレッド「ほんのいつもの冗談さ、僕らの愛しの母上」

ジョージ「だから僕らの手足は献上させないでくれよ」

モリー「よろしい。ジニーなんて、もうとっくにうたた寝しているもの!長く話しすぎだわ!」

ビル「あぁ、僕の膝の上でぐっすりとね。誰かさんのダンブルドアもびっくりなほど鮮やかな呪文で」

モリー「あら、敵かしらねぇ」

アーサー「マッド-アイが聞いたら卒倒するね、あぁ。それじゃ、みんな寝よう。ハニー、不満はあるだろうが、聞いてくれるね?」

ハニー「……それがみんなの判断なのでしょう?」

トンクス「そうだよ、ハニー。もう十分。これ以上を知らせるなら、むしろ騎士団、もとい豚団に引き入れなくっちゃ」

ハニー「! そうして!そうしてよ!だって、私のなのに……」

リーマス「いいや、ダメだ。シリウス、黙ってろ。おすわり。私達の仕事は危険が伴う。成人もまだで、学校も卒業していない子を迎え入れるわけにはいかない。そうだろう?そんなことは、君の名付け親でなくたって分かるはずだ」

シリウス「……あぁ、そうだろうさ。なぁに、ハニー。私達に任せておけばいい。正確にはリーマスたちに、だがね。君は、そうだな。明日からは存分に私と過ごせばいい。一日中一緒なんだ、嫌でもね」

ハニー「あっ……そ、そうね!お掃除、とか……手伝うわ、わたし、得意だから!手伝ってあげる!だから……っ!!」

ロン「痛い!ありがとう!!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「スケジュール帳にハートでも足しておきましょうか」

ハニー「〜〜〜っ!ニヤニヤしないの!!!」

シリウス「ハッハッハ、ハニーは全くかわい……おいリーマス、我が友ムーニー。どうして杖をかざしてそんなに大量の、ほねっこを……おいおいアーサー、モリー、冗談だろう?冗談はやめ」

トンクス「さぁさぁ、お子様たちはさっさとベッド行こうかー。大人のやーなとこは、わたしたち子供は見たくないしね」

寝室

ロン「うーん、色々聞けたのはいいけどさ。最後の最後でまったく分からない物がでてきたよな。ハニーの美しさの秘密くらい」

ハニー「早寝早起きよ、それは」

ハーマイオニー「早寝は絶対嘘でしょう……?それで、ロンはやっぱり私達と同じ寝室なのね」

ロン「あ、大丈夫。事が始まったらナニごともないように僕廊下で寝るから。ご心配なさらず」

ハーマイオニー「どういう配慮なのいいえ配慮なのそれ!?」

ハニー「出来る豚ね、ロン。もう少しだけいてもいいわよ、許してあげる」

ロン「ありがとう!ヒンヒン!おっ」

バシッ!バシッ!

フレッド「失礼!おっとよかった、まだお二人の花園は開園していなかったね」

ジョージ「そりゃよかった。綺麗な百合の開花はもうちょい待っててくれよな」

ハーマイオニー「だからさっきからどういう配慮なのあなたたち兄弟は」

ハニー「二人も、さっきのことが気になってるのね?」

フレッド「そりゃそうさ。あんな思わせぶりな言い方されてすぐさまおやすみー、なんて。無理なお願いだよな」

ジョージ「そりゃとりあえずベッドに入ったフリをして、すぐそこで話してるだろう君達んとこにお伺いするさ」

ロン「僕らが二人の『伸び耳』で仕入れた以上の情報ってあんまりなかったよな。最後のアレ以外。ハニーの素晴らしさったらアレクサンドリア級だけど」

ハーマイオニー「それが何か知らないのに例えるのはやめて。武器、そう言っていたわよね」

ハニー「私の美貌?」

ロン「そりゃ三国どころか世界が傾くね、あぁ。もちの僕で」

ジョージ「そうは言っても、『アバダケダブラ』以上のもんなんてそうないだろ?死だぜ?」

フレッド「いーや、ひょっとしたら一度に何人もやっちまえるもんなのかもしれないだろ?」

ロン「滅茶苦茶苦しめっちまうものとか?ハニーに一ヶ月も会えなかった僕の精神くらいに」

ハーマイオニー「うーん、攻撃するものとは限らないわ。こちらの動きを完全に封じる手段とか、そういうものだとは思えない?」

ハニー「……何にせよ、それが今は私達の側にあるといいのだけれど。つまりは腹黒豚、ダンブルドアの方にね」

ロン「あー、『例のあの人』も手に入れられないってなるとそうかもね。どこだろう、城かなぁ」

フレッド「ありえない話じゃないぜ。『賢者の椅子』もあそこにあったんだろ?座れば一回ため息ついて、宇宙の真理について考え出すとかいう」

ハニー「どこの森の賢者なの」

ハーマイオニー「あなたのケンタウルスのイメージどうなってるの……?」

ジョージ「おいおい相棒とぼけるんじゃないぜ、まったく。『患者の医師』、つまりは……つまりは、なんだこれ?おいロニー、オチはまかせた」

ロン「マーリンの髭!」

ハーマイオニー「便利ね、それ。でもホグワーツは、そうね。前例があるもの、保管されていてもおかしくないわ」

ハニー「でもそれじゃ、割と簡単に看破されそう、よね」

ロン「あぁ、今年の『闇の魔術に対する防衛術』の先生には気をつけないといけないよねハニー。君の一挙動には豚全員が気をつけてるけどね、ヒンヒン!」

フレッド「でも考えてみりゃ、『例のあの人』くらいの極悪人ならとっくにおっそろしい呪いの数々くらい知ってるだろ?誰でも簡単にお釈迦にしちまうさぁ」

ジョージ「それに、去年のあのムーディもどきの授業で『磔の呪いは拷問器具を必要としない』ってあったしな。相手を滅茶苦茶に苦しめるって線もポシャだ」

ロン「ハーマイオニーの言ってた、なんだっけ?ハニーに見惚れて動けなくなる手段?」

ハニー「そうね、私の視線の前にはサラザールも真っ青ね、えぇ」

ハーマイオニー「生物兵器にしないで。ダンブルドアやその陣営の動きを封じる手段、ってこと。『武器』って言葉に気をとられてちゃ、平行線だわ」

フレッド「さっすが我らが獅子寮の才女様。して、その手段ってのは?」

ジョージ「ダンブルドアのこっぱずかしい秘密でも握ろうってのかい?」

ハーマイオニー「それは、分からないけど……要するに、どれも今じゃ想像の域を出ないのよ」

ハニー「あなたがそう言うなら、そうよね。私達、知らないことだらけだわ。悔しいけれど」

フレッド「歯がゆいね、あぁ。君がいっちょシリウスにさぁ、我らが女王様」

ジョージ「そうだぜ、ハニー。君がちょびっとシリウスに色目をつかえばさ」

ロン「おいおい二人とも、そんなもんにハニーの心臓が保つと思ってるのかい?ただでさえ同じ部屋にいるだけでいつもより心拍数が……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「……なんだか、応援したいけどやっぱり複雑……きゃぁ!?」

フレッド「おっとそれじゃ俺達は早々に引き上げよう」バシッ!

ジョージ「ごゆっくり!明日は早いから程ほどにな!」バシッ!

ハニー「えぇ、どうも。ねぇハーマイオニー、それは、シリウスは私の家族だもの。でもね、私、あなたのことだってずっとずっと大切で、もっともっとドキドキしたいって、思ってるのだけれど……?」

ハーマイオニー「あぁっ、ハニー、そんな。私、私そんな、ドキドキなんて、ゾンコの店の悪戯グッズ以上にあなたには驚かされっぱなしだけど……!」

ロン「つづけて!」

ガチャッ

モリー「どうぞ!」

ジニー「ヒンヒン!」

ロン「いたの、そりゃそうか。もちの僕でね」

区切りがいいのでここで
昼には再開。裁判、裁判はまだか
じゃあの

再開。夕方くらいまでになるが堪忍な



モリー「はい、みなさんおはよう!元気な子供達!」

フレッド「おはようママ、我らがウィーズリー家のお掃除隊長様。朝からほんと、気合ばっちりだね」

ジョージ「三角巾に大型マスクが決まってるね。対・超極悪汚れにも効き目抜群なスプレーも片手に」

ジニー「ママ、まだ朝食だって十分に食べ終わっていないのに……」

ロン「そうだよママ、ハニーとハーマイオニーなんてついさっき起きてきたんだぜ?ゆっくりさせてあげてよ、特にハーマイオニーは」

ハニー「そうね、足腰の方はもう大丈夫かしら?ハーマイオニー……?」

ハーマイオニー「なんの話をしてるの、も、ちょ、確かめなくていいから、昨夜十分、もう!!!」

モリー「是非とも続けてほしくはあるけど、お仕事をしなくてはいけませんよ。あなたたちはここで騎士団、もといハニーの豚団として役に立ちたい!夏中そう言っていたと母さんは覚えてます!」

ロン「ハニーのためならそりゃやる気もマーリンの髭倍だけどさ。わかった、わかったよママ。ところでシリウスは?奴さんがいないとハニーのやる気とか心拍数とかがマーリンの髭分の一になるんだけどさ」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「おばさまがもっているスプレー。一気飲みしたら、どうなるのかしら」

モリー「ロンが身をもって証明してくれた通り、このスプレーはとっても強力な魔法洗剤よ」

ロン「ゴポゴポゴポそうだろうねゴポゴポおかげで僕ぁ泡がくちからゴポゴポ髭さヒンヒン!」

ハニー「中々幻想的だわ、ロン。さすが、あなたは出来る私の豚さんね」

ハーマイオニー「あさからげんなりよどちらかと言うと」

モリー「こっちの黒い瓶は、ドクシー・キラーと言ってね。あそこのカーテンの裏にはびこっているドクシーに有効なの。男の子達にはこっちで、あの酷いのを大事してもらいましょう。まったく、あの屋敷しもべ妖精はこの十年一体何をしていたのかしら」

ハーマイオニー「クリーチャーはとっても歳をとってるのよ、おばさま!あまり労働を求めるのは酷というものだわ!」

シリウス「あぁ、確かにあいつは年寄りだ。だがね、ハーマイオニー。奴さんはやろうと思えば驚くほど色々なことに手が回るよ、まったく」

ハニー「! シリウ……きゃっ!?」

ロン「ゴポゴポシリゴポ!血まみれの紙ゴポろをもっていきなり現れないでゴポよ!ただでさえ君がゴポしたことでハニーのゴポゴポがゴポゴポでゴポゴポゴポ!!」

ハーマイオニー「口ゆすいできなさいな。あー、シリウス?その血まみれの紙袋はなんなの?」

シリウス「驚かせたね、すまない。バックビークのためのえさが入っていたんだ。私が捕まえたネズミどもの死骸がね」

ハニー「お、驚く?冗談やめて、ただ、そうね。あなたが怪我したんじゃないか、って。そう、それで少し心配して、それだけなんだから」

シリウス「はっは、そうか。なに、心配いらない。怪我をしてでも君を穢すような輩には負けはしないよ、私は」

ハニー「……シリウス」

モリー「勇ましい、おじさんですこと」

シリウス「おっと、君のほうこそ随分と一夜があけて勇ましい姿になったじゃないか。相手はなんだい?今日はうず高く聳え立つカビの山か?え?」

ハーマイオニー「大人なのだから引きずるのは止めて頂戴、二人とも」

フレッド「そりゃ無理な相談さハーマイオニー。おふくろはあれでムキになるたちだしさ」

ジョージ「シリウスは言わずもがな、たまァに俺達とそう変わらないたちだものな」

ハニー「シリウスがそれだけ、若いってことよね。えぇ、そうよ」

ロン「実年齢以外はね、痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

カランカラン、カラン!

シリウス「!? あぁ、だから扉のベルはあれだけ鳴らすなと言っているのに!」

『ギィイェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!』

ハニー「! 朝からこの私をなんて不快にさせるのかしら。ちょっと、文句を言ってくるわ」

ロン「あぁ、そうだねハニー。即座に手鏡で髪を整えて身支度しなくっても君はいつだって完璧だから張り切って挨拶にいくとい痛い!ありがとう!」

シリウス「いや、いや。ハニー、君はここでモリーを手伝っていなさい。あの鬼婆の相手を君にさせるわけにはいかない……おい、誰だベルを鳴らして入ってきたのは……キングズリー!?君は何のために禿げてるんだまったく!」

フレッド「何のためなんだろうな」

ジョージ「ハゲると冴えるのかも」

ジニー「だからパパってステキなのね、ママ」

モリー「やめてあげなさい。さっ、厄介な人もいなくなったところで……ハニー?別にいなくなってよかったと言っているのではないのよ?ただ、彼がいると話が進まないのですもの」

ハーマイオニー「分かるわ、おばさま」

モリー「はいありがとう。それじゃ、男の子はドクシーをお願いね。はい、『ギルデロイ・ロックハートのガイドブック——一般家庭の害虫をしくよろにグッナイ☆させるために』をあげますからね」

ロン「ママ、んなもん真に受けるくらいなら僕ぁドクシーに素手で殴りかかったほうが早いと思うよ」

フレッド「……これ、中身が半分以上奴さんのブロマイドになってらぁ」

ジョージ「あぁ、終盤の白黒ページにおまけ程度に害虫のこと書いてら」

ハニー「あこぎな商売してたのね、あの人。ハーマイオニー、どう思うのかしら」

ハーマイオニー「……えっ?なぁに?あなたに見惚れてて聞こえてなかったわ」

ロン「僕みたいなこと言い出すなよ、マーリンの髭」

フレッド「おい相棒!用意はいいか!?」

ジョージ「合点!ロニー坊やはどうだ?」

ロン「マーリンの髭!」

ブシャァアアアアア!ブシャァァアアアアア!!

ドクシー「ギィイイイイイ!!ギィイイイイイ!」

ハニー「……魔法界の妖精って、私が思っていたものをことごとく裏切ってくれるわよね。ドビーといい、庭小人といい」

ハーマイオニー「わかるわ、ハニー。ピクシーなんて可愛らしい名前の妖精もあんなのだったし、このドクシーにいたっては……毛むくじゃらで腕が四つもあって、羽はコガネムシのようなんだものね」

ジニー「? 妖精なんてあんなものだと思うわ。マグルの世界だと、どういうものだと思われてたの?」

ハニー「そうね、可愛らしくて小さな生き物よ。あら、私のことかしら」

ハーマイオニー「えぇ、否定はしないわよ。乙女なところとか」

ドクシー「ギィイイイイイイイ!」

『ギェェエエエエエエエ!! 血を裏切る者! 穢れた血!  ハゲ!!このハg』

 シリウス「キングズリーおちつけ!そりゃぁ、私だってこの絵は壁ごと燃やしっちまえばいいとは思うが!下手をしてこの屋敷の保護魔法が崩れたらどうする!落ち着け!」

モリー「あー、ドクシーの金切り声とホールの騒音が混ざって酷いわね。ハニー、ホールへの扉を閉めてくれるかしら?」

ハニー「えぇ、お母様。そうしてあげる……あら、お義母様、じゃなくて。シリウスのお母様の声がやんだわね……」

 シリウス「君は今日は任務が入っていなかったか?キングズリー」

 キングズリー「ヘスチアが代わってくれたんだ。だから、今はマッド-アイのマントは彼女が持っている。ダンブルドアへの報告を残しておこうと思ってね……」

ハニー「マント……?」

モリー「ハニー!お、じ、さ、ま!が気になるのも分かるけどすぐに戻りなさい!仕事がありますよ!」

ハニー「! そんなんじゃないわ、もう!シリウスのこと、なんて!」

バタンッ!


キングズリー「シリウス、落ち着け!君もさっき言ったばかりだろ!!!壁ごと吹き飛ばすのはダメだと!!いや今のは気持ちも分からないではないがやめるんだ!!やめ、り、リーマス!!シリウスを止めてくれいつものあれで!!リーマスーーー!!」

モリー「頑張ったわね、おまえたち。よくやりましたよ」

フレッド「そうだねママ、おかげで僕ら、ドクシー退治に関しちゃ岩のような心を持てたぜ」

ジョージ「それもこれもロックハート様様のおかげってね。いわずもがなな心意気だけどさ」

ロン「ハニー!見てたかいハニー!僕の華麗なスプレーさばき、というより何故かスプレー途中で切れたから素手だったけどねマーリンの髭!!髭!!!」

ハーマイオニー「動かないで、ほら。マートラップの酢漬けで止血してるんだから」

ハニー「よくやったわね、ロン。できる豚は好きよ?」フーッ

ロン「うひゃぁヒンヒン!ありがとう!ありがとう!あっ、ハーマイオニーもねもちのロンで!」

ハーマイオニー「はいはい、ついででいいわよもちのあなたで」

ジニー「うーん、私にも見せ場がないとなんだか……ドクシーに『コウモリはなくその呪い』でもかけてやればよかったわ」

フレッド「おいおいジニー、んなもん奴さん達が全滅しっちまうじゃないか」

ジョージ「追々話してやるけどそんなもん重大な損失だぜ、ここだけの話さ」

モリー「何をわけのわからないことを言っているの、おまえたちは……あら?思ったより、少なかったわねぇ……退治したドクシーは、このバケツの中にいるので全部でしょう?」

フレッド「そりゃそうさ、おふくろ。そんな汚らしい物ほかにどこにいるってんだい?」

ジョージ「なんならロニーの口の中を覗いてみなよ。たらふく詰ってるかもしれないよ」

ロン「何言ってんのさ僕の口の中は常にハニーへの賛美で溢れてるんだぞ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「あと泡とかナメクジとかよね」

フレッド「……おふくろは行ったか?え?ドクシーどもを処理しにさ」

ジョージ「隠れて俺達のことを見張ってたりしないよな?え?どうだ」

ジニー「? そんなことするわけないじゃない。午前中はもう終わりだから好きにしていいって言ってたわ」

ハーマイオニー「それで、二人はコソコソとポケットに何をお隠しになっているわけ?」

フレッド「おぉっと才女様、やっぱり君は目の付け所が違うね、あぁ。わーかってる、白状するよ。だけど、ママにはナイショだぜ?」

ジョージ「悪かったな、ロン。君のスプレーがさっさとなくなっちまったのは、こいつに薬以外の方法で気絶してもらう為だったのさ」

ロン「どういうことさ……ドクシー?それじゃ君達、ドクシーをわざわざ回収してたのか?なんのために」

フレッド「そりゃ、もちのお前でな」

ジョージ「新しい商品開発の為、さ」

ハニー「……ドクシーを実験台にするつもりなの?」

フレッド「おーっとお優しい女王様、違う違う。まぁ言われて見ればそれもありありで……冗談だって、本当さ」

ジョージ「こいつらの毒液を調べて、僕らの新商品『ズル休みスナックボックス』の材料にできないか、ってね」

ロン「それって、あれかい?前に言ってた……半分食べれば好きな時に病気の症状が出て、もう半分食べればすぐに元通り、っていう!?おったまげー!もうできたのかい!?

フレッド「早合点はよくないぜ、ロニー。そんなんだからいつまでもロニーなんだ。まだまだ試行錯誤のまっただ中さ」

ジョージ「どうしてもってんなら、手伝ってくれてもいいぜ。鼻血が止まらなくなって右往左往しても知らないけどね」

ハーマイオニー「まさか、それをホグワーツで売りさばこう、なんて思っているんじゃないでしょうね!?」

フレッド「どうだかね、そうなっても、君には売らないだろうから安心しなよ優等生さん」

ジョージ「君ならどんな病気になろうったって休むことはないだろうしな。ハニー病以外」

ハーマイオニー「お生憎さま、不治の病よ」

『ギィェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!』

ロン「あれ?なんだよ、またシリウスのママがヒステリーかい?ハニーの顔でも拝んで落ち着けばいいのに」

ハニー「やっぱりそうするべきよね?そうよね?」

ハーマイオニー「ハニー、朗報になってしまっていやだけど、相手はもう故人だから特に挨拶もいらないと思うわ」

フレッド「今度は誰がドジ踏んだのやら。まーたあのおドジなねーちゃんか?」

ジョージ「ちょっくら扉を開けて盗み聞くか……あー、いや。そうじゃねーな」

 モリー「この大鍋はなんです!!マンダンガス!!!!」

『ギィエエエエエエエァアアアアアアアアアィエエエエエエエエエ!!』

 マンダンガス「ち、ちげぇんだようモリー。あのよう、俺んとこにはもう置く場所がよぉ」

『ギィエエエエエエエエエエエエフォイェアアアアアアアアアアアア!この雑種!!血を裏切る者めぇええええ!!』

フレッド「うん、おふくろが他の誰かを怒鳴るのを聞くのは、いいもんだ」

ジョージ「新鮮だし気分が変わっていいよな、あぁ。ありがとうよ、ダグ」

ハニー「マンダンガスの大鍋、って、まさか」

ロン「あー……まずいね。まずいよマー髭さこれは」

『不名誉な汚点! 穢らわしい雑種!!!!』

 モリー「ここはあなたの盗品の隠し場所じゃないわ!それになんです、これ……これ、は……」

『ギィエエエエエエエエエエイ出て行け!!この屋敷からでていk』

 モリー「黙りなさいこのヒステリー女!!!!『ミセス・ゴシゴシの魔法万能汚れ落とし』でその厚い面の皮を剥いでやりますよ!?!?え!?!?!?」

『……』

 モリー「さぁマンダンガス、お食事にしましょうか。ゆっくり食べてお話しましょう?ね?あなたの最後のお食事になるかもしれませんけど」

 マンダンガス「お、おたすけモリー、モリーおっかさん、たのむ、俺、俺ぁ、ほん……ぐぇっ!!」


ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ジニー「……」

フレッド「……こんな、洗剤の入ったスプレーしかないけどさ」

ジョージ「ダグに、乾杯してやろうぜ。勇気あるバカヤロウに」

ハニー「おばさまも大変ね、ここの人たちの面倒を一挙にみないといけないわけだもの」

ハーマイオニー「子供みたいな大人ばっかりなところのね、えぇ。本当だわ」

ロン「まったく、みんな豚としての自覚が足りないよな。定例会議ものだよ」

フレッド「名前はあぁなっちまったけど首輪を嵌めてんのはお前くらいのもんだろ、ロニー」

ジョージ「面白半分でのっかった人が多いだろうな、うん。やっぱり子供だよな、みんなさ」

ジニー「二人に言われるって、相当よね。扉、閉めていいかしら……あっ!」

「……ドブ臭い、おまけに罪人がこの家を我が物顔で歩いている。赤毛の群れもゾロゾロと。血を裏切る者。いやらしい。おぉ、奥様は今のお屋敷を見たらなんとおっしゃるか、おぉ……」

ハニー「!? なに、この……えっと、屋敷しもべ妖精……?」

ロン「その通りだよハニー、さすが僕のハニーだねハニー! おーい、クリーチャー」

クリーチャー「……これはこれは、お若い旦那様!クリーチャー目めは気づきませんで申し訳ありませんそのまま跡形も無く消えればいいのに血裏切る者のガキめクソが」

フレッド「おーっと、うちのロニー坊やに最後で何か言わなかったか?クリーチャー?」

ジョージ「なんだかとーっても、俺達家族までもバカにしたような言葉が聞こえたが?」

クリーチャー「クリーチャーめは何も申しませんえぇ申しませんともだからいちいち突っかかってくるな気持ち悪い同じ顔の赤毛の野獣め両脇からバチンと挟まれて一個になればいいのに」

フレッド「おうおうこの野郎クリーチャー」

ジョージ「清々しいまでに屑だなこの野郎」

ハニー「……おかしくなってる、って言っていたわね?」

ジニー「あー……ずっと一人でいたせいで、なんだか、独り言の部分は誰にも聞こえていないくらいの声のつもりみたいなの」

クリーチャー「それにまた赤毛が増えた毛虱のごとくワサワサと潰されればいいのに誰だこいつここで何してる」

ロン「おーっとクリーチャー、潰されるのは君になるぞこのやヒン」

ジニー「あなたこそここで何をしてたのか分からなくさせてやるわよヒンヒン(怒)!」

ハーマイオニー「落ち着いて、悪気はないのよ、悪気は! えーっと、クリーチャー?こちらは、ハニー・ポッター。あなたもお名前くらい聞いたことはあるんじゃないかしら」

クリーチャー「穢れた血の屑がクリーチャーに友達面で話しかけるなんたる屈辱なんt」

ハニー「ロン!!!!」

ロン「もちのロンさこんの野郎今なんつったマーリンの髭!!髭!!!ナメクジを……!!」

ハーマイオニー「やめて!やめてってば!正気じゃないのよ!何を言ってるのか、分かっていないのだから……!」

フレッド「どうだかな。それにしては随分とここにきてる奴を見極めているみたいじゃぁないか」

ジョージ「おいクリーチャー、おれたちのことをさっき、なんって言ったっけ?言ってみろよ?」

クリーチャー「それはもう誉れ高いウィーズリー家の若旦那様にございますとも血を裏切りまくったクソの掃き溜めのな」

ハニー「ロン!!!」

ロン「合点さハニー!こいつ……!」

ハーマイオニー「やめ、やめて!っちょ、あぁ、でもそうね、一発くら、やめなさいってば!!!」

ハニー「……ここで何してるの?」

クリーチャー「本当だろうかハニー・ポッターと言えばそうだ奥方様が言っていた闇の帝王を止めたという女の子闇の帝王あぁあれをどうやって止めたのかクリーチャーは知りたい、そうすればきっと——」

ロン「おいおい僕のハニーをムシするなんてどういうことだよマーリンの髭。この家の、お客様が君に聞いてんだぜ?え?」

クリーチャー「——クリーチャーめは、掃除をしています」

シリウス「見え透いた嘘を吐くな」

ハニー「! シリウス……あっ」

ロン「あぁハニー!シリウスが戻ってきたと思ったら苦々しい顔でクリーチャーを見ててちょっとがっかり、いやそんな顔もって感じだねわかるよ痛い!!ありがとう!!」

クリーチャー「おぉーーう!ご主人様!お目通り叶いなんたる光栄!このクリーチャーめにおいては本日も献身的お支えする所存にございます!!」

シリウス「ちゃんと立て、だれがヘラヘラとバカ丁寧に頭を下げろと言った。答えろ、何をしていた?」

クリーチャー「クリーチャーめは掃除を!高貴なブラック家に仕える者として生きておりますゆえ——」

シリウス「そうだな、その割には日に日にそのブラック家はブラックになっているように見えるが?どうだ?お前のように汚らしく、な」

ハーマイオニー「シリウス!!!」

クリーチャー「ご主人様はいつでもご冗談が好きでした冗談にならないレベルでなこいつめ母君の心を滅茶苦茶にするなんて冗談じゃないひどい恩知らずなんというクズ卑劣漢犬にも劣る畜生……」

シリウス「母に心なんてあったものか。それと、私が犬以下だと?訂正しろ。犬だ私は」

ハーマイオニー「そこは妥協するところじゃないと思うわ」

ハニー「犬……!」

ハーマイオニー「新しい境地に目覚めなくていいからハニー、あなたシリウスとは家族になるんでしょ?そうでしょ?」

クリーチャー「ご主人様はおもしろおかしくいてらっしゃる!おかしい頭がこいつはなんという出来そこないであることか母君の靴の泥を拭くのにさえ相応しくないあぁ母君が今のクリーチャーの姿を見たらなんと嘆かれることか……」

シリウス「何が狙いかと聞いてるんだ。また父や母にゆかりのあるものをどこかに移すつもりか?どうでもいいが、私達の眼に触れるな。屋敷しもべ妖精ならそれくらいのことをしてみせろ」

クリーチャー「アズカバン帰り風情がクリーチャーに命令する。カスどもを引き込み、お屋敷を穢しきった男が先祖代々のお宝までも無碍にしていくのはなんたることか。奥様はこんな者は息子ではないとおっしゃったその通りだ。それにみながこいつは人殺しだと言っていた……」

シリウス「お望みなら妖精殺しでしょっぴかれてやろうか。さっさと消えろと言うんだ!」

クリーチャー「……チッ」

シリウス「最後までとことんだなお前は!!」

シリウス「……フーッ。すまないね、みっともないところを見せた」

フレッド「気にすんなよ」

ジョージ「いまさらだよ」

シリウス「うるさいな」

ハニー「シリウス、でも……少し、言いすぎじゃないかしら」

シリウス「いいや、この程度で堪えるようなやつじゃない。あいつは長いことあの狂った肖像画の命令を聞きすぎておかしくなったのは確かだが、しかし昔から、性根は腐った嫌なやつで——」

ハーマイオニー「そんなに見るのもいやなのなら、自由にしてあげればいいじゃない!違う?そうすればきっと、もしかしたら——」

シリウス「いいや、そうはいかない。あいつは騎士団のことをを知りすぎている……もう生きているはずがないと思っていた。皆を案内し、最初の会議が終わった頃……トンクスが、自分の尻の下に敷いていたのを見つけたんだ」

フレッド「ちょっとあいつ引きずり出してくる」

ジョージ「ちょっとリーマスのこと呼んでくる」

ハーマイオニー「〜〜〜っ!待ってて、それなら私、なんとかクリーチャーの記憶をそっくり消し去れるようにしてみせるんだから!それなら文句ないのでしょ!もう!」

ロン「あー、おいおいハーマイオニー……ったく。ハニー、僕、ハーマイオニーが暴走してロックハート宛に手紙なんて書き出さないか見てくるよ。あぁハニー!こんな暗い家に君を置き去りなんて心が痛いけどねヒンヒン!」

シリウス「大丈夫だ、私がいるからな」

ジニー「私も……えっ!?なぁにママ!? 昼食の準備を手伝うの!?もう……えっ、なにこの肉の量。ねぇママ、これ何の……あっ、うん、なんでもないわ。うん。この大鍋にぶち込めばいいのね……?」

シリウス「……ここも慌しくなってきたな。いいことだ。君が来るまで、みんながどこか沈んでいたよ」

ハニー「……あなたも含めて?」

シリウス「あぁ、私の落ち込みようといったら、リーマスが腹を立てて満月でもないのに狼になるくらいだったさ。なんてね……ハニー、こっちに来てごらん。懐かしいものがある」

ハニー「? なぁに……えっ、そっち、って、そんなくらい所……し、シリウス!?あの、わたし、それは、あの……壁一面の、タペストリー?」

シリウス「そう。ブラック家の家系図だ」

ハニー「……『高貴なる、由緒正しきブラック家〜純血よ永遠なれ〜』」

シリウス「……声に出さないでくれ。恥ずかしさが増すだろう?」

扉の向こう

フレッド「おい!さっさと『伸び耳』をのばせよ、つかえてる!」

ジョージ「しっかたねぇだろ!この数動かすのは初めてなんだ!」

ロン「シリウスめとうとう動いたなマーリンの髭!!!」

ハーマイオニー「はやく音声を頂戴!!早く!!!!」

ジニー「ヒンヒン!!」

モリー「おまえたち!成功したらお小遣いアップですよ!」

フレッド「俄然気合が入るね、ママ!」

ジョージ「おっと、きたきたきたぜ!」

ロン「!声が途切れ途切れだけど、たしかにハニーの声だ僕には分かる!なんせ僕ぁハニーの声ソムリエ一級だからね豚の中で!」

ハーマイオニー「何よその資格受けさせなさいよ! しっ!しずかに……!」


 シリウス『私——狼になる』

 ハニー『え——っち——そんな——所——し、シリウス!?あの、わたし——それは』

 シリウス『 声を出さないでくれ——恥ず——』


ハーマイオニー「」

ロン「うわあああぁぁぁあああああああああ!?!?!」

ジニー「あああああああああああああああああ!!!!」

フレッド「っしゃあぁあああああああ!!!」

ジョージ「っしゃらぁあああああああ!!!」

モリー「今夜は赤飯ね!!!」


リーマス「……とりあえずみんな、正座しようか」

ハニー「……随分と大きいのね、これ」

シリウス「あぁ、古いだけが自慢だからな。刺繍もボロボロだ、きっとドクシーが噛み付いていたんだろう」

ハニー「……?……?シリウスの名前、どこにも載っていないわ?」

シリウス「そうだな、かつてはここにあった。この焼け焦げた部分、ここだ。おやさしい母上が、私が家出した後にご丁寧にも消してくださった」

ハニー「……家出したの?」

シリウス「十六のころだ。ちょうど、今の君くらいのときか。もうたくさんだった。こんな家も、家族も、すべてがね」

ハニー「……どこへ行ったの?ご親戚のお家?」

シリウス「いいや、違う。君の父さんのところだ。君の、おじいさんとおばあさん……そう、ここだ」

ハニー「ここ?どこのこと……えっ!?!?!?」

シリウス「君のおばあさんは、私の大叔母にあたるんだよ。ドレア・ブラック。そしてチャールズ・ポッター」

ハニー「」

シリウス「いい人たちだった。私を養子同然にしてくれてね……本当に養子となると本家であるこちらの目に触れるから、私が断ったが」

ハニー「えっ、えっと、あの。サラッと……あの、待って、シリウス。まだ私、ついていけていないわ。あの、私とシリウスが……?」

シリウス「平たく言えば、親戚だな。何と呼ぶのだったか……再従妹?」

ハニー「……それって、あの……ちょっと待って」

シリウス「?」

ハニー「……六親等!!うん!いいわ!つづけて!」

シリウス「?まぁいい、あまり驚く事は無いよ。これも全て、この家の狂信的な純血主義の賜物だ……」

ハニー「……高貴なる、由緒正しき?」

シリウス「そう、恥ずかしいそれがね。純血同士で婚姻を結ぼうとしていったら、そうなるのは当たり前だ。モリーも私とは従姉弟関係にあたるよ。ここには載っていないがね。ウィーズリー家は由緒ある純血家系だが、血を裏切る者とか忌み嫌われている」

シリウス「くだらない考えだ。嫌気がさすのも当たり前さ、そうだろう?私は君のお父さんの家に転がり込んだ。叔父のアルファードが経済的に支援してくれたおかげで、成人後は一人暮らししたがね」

ハニー「アルファード……やっぱり、名前が無いわ?」

シリウス「あぁ、たぶんそれが原因で。ドレアが消されなかったのは、分からない……怖かったからkやめよう。だが独り立ちした後も、日曜日はポッター家の夕食に招待されていたよ。きみのおばあさんのチキン料理は最高だった、あぁ。そういえばいつか送ってくれたチキンがそれとそっくりだったのだが、あれはどこのものだい?」

ハニー「……さぁ?」

シリウス「?どうしたね、小さく拳を握って」

ハニー「なんでもないわ。なんでもね」

シリウス「……この家の人間は、君の家の者とは大違いだった。ジェームズがいつか、ここに乗り込んで来たとき言い放ったものだよ」

シリウス「『僕の素晴らしい母さんが、こんな陰気さ満載のクソッタレで育ったなんて!まさに奇跡だね!』と」

ハニー「……パパらしいわ」

シリウス「まったくだ。この家の者は、少なくとも私の家族達は全員、ブラック家が事実上の王族だと信じきっていた……純血を守り、誇り高く、とね。愚かな弟は、軟弱にもそれを頭から信じ込んでそだった……ここ、私の焼け焦げの横だ」

ハニー「……レギュラス・ブラック」

シリウス「私よりも、良い息子だった。それはそうだろう、聞きわけがよかったからな。だが私がホグワーツに行くまでは、あそこまで……いや、やめよう。もう終わったことだ。こいつはいない」

ハニー「十五年前に、亡くなったのね……ご病気?それとも、ヴォルデモートの……」

シリウス「あぁ、傘下に加わりそこで殺された。任務の途中、怖気づいたそうでね」

ハニー「……。……!? お、弟さん、は、死喰い人、だったというの!?」

シリウス「あー、ハニー。ここまで来れば、この家がどういう思想の持ち主で埋め尽くされていたかわかるだろう?うん?マグルの排除、純血の支配。わたしの両親はヴォルデモートの傘下に入るほどではなかったが、愚かしいことにこの考え方に大いに賛同していた。だからレギュが死喰い人になったときは、まるで小さな英雄よと褒め称えていたよ」

ハニー「でも、弟さんは……怖気づいた?裏切ろうとしたの?」

シリウス「どうもそうらしい。ある程度まで入り込んだとき、ヴォルデモートのやろうとしていることが、あいつの本性が分かってきたのだろう。マグルの排除、それが魔法使い側からの一方的な虐殺であることに」

ハニー「……」

シリウス「奴に一度仕えたら、おいそれと辞める事はできない。最後まで付き従うか、奴の手で最期を迎えるか、それだけだ。辞表をだせば、返事はお辞儀と緑の閃光だっただろう。俗に言うお辞儀草だな」

ハニー「絶対違うわ」

シリウス「……もう何年もこれを見ていなかった。見たくもなかったがね。ここを見てごらん」

ハニー「フィニアス・ナイジェラス?」

シリウス「ホグワーツの校長を務めた人だ。スリザリン出身最後の校長だったはずだ」

ハニー「凄い人だったのね」

シリウス「あぁ、凄まじく人望がなかったことで有名だ。偏屈で、生徒を塵を見る目で見ていたとかなんとか」

ハニー「どうなってるのホグワーツの人選」

シリウス「アラミンタ・メリフリア。マグル狩りを合法化する法案を強行可決しようとした魔女だ。母の従姉だがね、負けず劣らず狂っていたよ」

ハニー「……こっちの、エラドーラという人は?」

シリウス「廊下に並んでいた屋敷しもべ妖精の生首を見たね?年老いてお茶の盆を運べなくなったら即座に首を撥ねてあそこに並べさせるというすばらしい伝統を考えついたのはこいつだ」

ハニー「……出るわ出るわ、という感じね。どの人も」

シリウス「あぁ。みんな、みんな、頭がおかしかったよ。少しでもまともな魔法使いが出るとほとんどが勘当だ……アンドロメダも、結婚するまではここに名前があった。反抗することなく、だが器用に立ち回れる人だったからね。私も何度も助けてもらった」

ハニー「……焼け焦げているわ。そうね、トンクスのお父さんは、マグル生まれだって」

シリウス「あぁ、気の良い人だがね。ドロメダのほかの姉妹は素晴らしい(笑)純血結婚をしたからここに残っているよ。あぁ、見るだけで吐き気がする。そんな奴らだ」

ハニー「……ナルシッサ・ブラック。相手は……ルシウス・マルフォイ!?」

シリウス「あぁ、私が母に唯一感謝するとしたら、マルフォイ家の血が入っていなかったこと、それだけだね。そうでなければ今頃この屋敷はそこかしこでフォイフォイと……いや、何故か最近聞こえたな。なんだったか、あれは。まぁいい、そういうことだ。純血はほとんどが親戚関係、さっきもそう言っただろう?」

ハニー「……それに、こっちの方にあるのは。  レストレンジ」

シリウス「ベラトリクス、あぁ。あのアバズレだ」

ハニー「……不真面目なね」

シリウス「? あぁ、まぁ、そうとも言うが、うん?」

ハニー「……驚いたわ」

シリウス「幻滅したかね。無理も無い、だが、ハニー。分かっていて欲しいのは、私はここに名前のある人間を一度でも家族だなんて……」

ハニー「分かってる、それは分かってるの。驚いた、って言ったのは……そんなに、嫌な場所なのに。自分が苦しんだ場所なのに……あなたがここに、自ら戻ってきたってこと。それなの、シリウス」

シリウス「……あぁ、できれば私も、二度とここに来たくはなかったのだがね」

シリウス「ここにまた、閉じ込められるとは思っていなかった」

ハニー「……」

シリウス「私は自由になったはずだった。君のお父さんに引っ張られ、この家とはおさらばしたはずだった。ずっとずっと前に」

シリウス「『君は鎖につながれた犬か何かか、シリウス・ブラック』そう言われ、飛び出したはずだったんだ」

シリウス「私は、あの頃のままなのかもしれないな。何かに囚われている、そう思っていたが。この家こそが、私の首輪でありリードであり、檻で——」

ハニー「……」

シリウス「——ハニー」

シリウス「……君が私に抱きつくと、鼻のあたりがくすぐったくてたまらないのだが」

ハニー「……今度は、私が」

シリウス「うん?」

ハニー「今度は、わたしが!パパの代わりに、シリウスを!連れ出してみせる、ん、だから!」

シリウス「……ッハハ。ありがとう、ハニー。そうだな、君と歩くならどんな姿でも悪くない。犬のままでも、なんだってね」

ハニー「っ、いやよ! あなたの、ままで!そのままで、歩くんだから!絶対、絶対に!」

シリウス「……君は優しいな。あぁ、そんな君に私も答えたい。どうだろう、裁判の日は、変身して君に伴えないかダンブルドアに直訴しようと思うのだが」

ハニー「……」

ギュッ

シリウス「……思い出させてしまったな。すまない。だが、大丈夫だ。法律は君に味方する。絶対に無罪放免だ、約束するよ」

ハニー「うん、みんながそのために頑張ってくれてるって、分かってる……でもね、シリウス。もしも、もしもの話なのだけれど」

シリウス「なんだい?」

ハニー「わたしがもし、裁判に負けて……退学になってしまったら。ここで、あなたと暮らしていい?あなたを連れ出す、っていう約束とは、全く反対に、なっちゃうのだけれど」

シリウス「……あぁ、そんな救われ方も、悪くない。考えてみよう……だが、ハニー。弱気になってはいけないよ、そうだろう?」

ハニー「……うん。私、だもの。パパと、ママの」

シリウス「あぁ、そうだ。胸を張って行きなさい。君用の歯ブラシとマグカップを用意して、待っているよ」




ハーマイオニー「……敗訴を望んじゃっているじゃないの!!!!」バターーーーン!!!

ロン「マーリンの髭!!!!」

ハニー「!?!?」

シリウス「おやおや、聞き耳とは感心しないね。君も一緒かいムーニー、珍し、くはないか」

リーマス「うるさいよこの天然ジゴロ。えさは抜きだね」

今日は用事あるさかいこの辺で
明日の朝10時頃から再開。一日中やって裁判・夏休みを続ける
じゃあの

遅なった。再開

裁判前日

バタバタバタバタ!

 ドタバタバタバタ

ハニー「ここに来てからずっと、お掃除しているけれど。おわりが見えそうにないわね」

ハーマイオニー「ね?私達も中々大変だったのよ。あなたほどではないけど……このお屋敷は広いし、それに」

ジニー「そこら中が物で溢れているし、変な道具もいっぱいあるし」

フレッド「こりゃ大掃除と言うよりさ、相棒。この屋敷におれたちが戦争をしかけてるようなもんだよなぁ」

ジョージ「そりゃ大事にすぎるけどな、相棒。クリーチャーにけしかけれて抵抗されまくってるのはいるが」

ハニー「お掃除のし甲斐があるわ、そうでしょう?」

ジニー「おねぇさま家庭的ステキ!」

ハニー「そうね、私は高貴で可憐で……ロン!?」

ロン「うわっ!?なんだよこの銀細工、脚がたくさ、蜘蛛みたいで気持ち悪いマーリンの髭!!髭!!!ひげぇえええ!!」

ハーマイオニー「動かないで! っ!!」

ロン「うわぁ!? あー、ありがとうハーマイオニー。君にかかれば分厚い本も武器になるんだね、よーーーく覚えておくよ、ほんと。ハニーの美しさは忘れようがないけど」

ハニー「当然ね。その本は?」

ハーマイオニー「そこに置いてあったの。えーっと……『生粋の貴族——魔法界家系図』ですって。こんな本がなんとなしにおいてあるって……」

シリウス「この家のバカさ加減がよく分かるだろう?さっ、その気持ち悪い毛抜きも何の役にもたたない本もよこしなさい。こっちのいらないもの袋にいれてしまおう」

ジニー「捨てるものの袋も大きくなったわね。おねぇさまが来たからみんな気合が入ってもうおねぇさまってステキ」

ハニー「知っているわ。さながら、そうね。私はあらゆる善行の先導者と言ったところかしら」

ロン「あぁハニー!君がいればアズカバンの極悪人でさえ道端のゴミを拾って崇めるよ!ヒンヒン!」

シリウス「ハッハ、まったくだな」

ハーマイオニー「あなた無実だったでしょう……?」

ハニー「シリウス、手は大丈夫なの?さっき嗅ぎタバコいれに噛まれて、カサブタだらけになったでしょう?休んでいたほうが……」

シリウス「心配いらない、ただの『瘡蓋粉』の効果だ。呪文でこの通り。フレッド?あの嗅ぎタバコ入れは、布で包んで捨ててくれたろうね?」

フレッド「合点さ、シリウス」
ゴソゴソゴソゴソ
ジョージ「もちのロニーでな」

シリウス「あぁ、確かにポケットは布の中といえるだろうな。気をつけて扱うんだぞ、え?」

フレッジョ「「シリウスおじさん大好き!」」

シリウス「色んな意味でやめろ」

ハニー「……」

ロン「あぁハニー、言ってもいいと思うよ?私もtt痛い!あぁハニー!君からの折檻で受けたカサブタなんて豚にとっては勲章もんだよヒンヒン!」

ハーマイオニー「はたくだけでそこまでならないでしょ……あら?噂をすれば、勲章だわ……ま、マーリン勲章勲一等!?」

シリウス「あぁ、それか。つまらないものだよ、捨ててしまうといい。ほら」

ジニー「つまらないって、ダンブルドアの持っているのと同じものなのに……おねぇさまなら五百個くらい送られててもおかしくないけど」

ハニー「そうね、むしろ私そのものがマーリンみたいなものね。そうでしょう?」

ロン「伝説的だしねマーリンのハニー!」

ハーマイオニー「わけのわからないことを言わないの!本当に、いいのかしら……」

シリウス「なぁに、じいさんが魔法省にたらふく金をくれてやった、それだけのことでもらったものだ。何の価値もない。間違ってもダンブルドアの功績や、ハニーと同等のものなどではないよ」

ハーマイオニー「魔法界の嫌な部分をまた知ってしまったわ」

ロン「結局世の中お金、とハニーかぁ……」

ハニー「あら、あなたには私の豚っていう称号があれば十分だと思うのだけれど」

ロン「そうだねハニー!ヒンヒン!なんだこんな勲章マーリンの髭!マーリン勲章だけど!」

クリーチャー「……大旦那様の勲章までもなんたる侮辱何たる蛮行、このクリーチャーがこのクズどもから宝をお隠しせねばなんというこの盗賊ども塵以下のゴミ死ねばいいのにカサブタ粉が目にはいって死ねばいいのに……」

シリウス「そうだな、その程度で死ぬとは思えないがお前で試してみるか?え? 失せろ!!!」

ハーマイオニー「シリウス!言い過ぎで、あー……ハニーが聞いてるわよ!!」

シリウス「ご退席してもらおうか!!!」

ロン「扱いやすいなぁ」

クリーチャー「……ご主人様。クリーチャーめはご主人様たちのお力になろうと馳せ参じたまでにございます!」

シリウス「あぁ、お前がいないことが何より私達の力になる、それくらい分からないのか?え?」

ロン「ハニーと真逆だよな」

シリウス「全くだ」

ロン「痛い!ありがとう!ヒンヒン!」

シリウス「ともかくさっさとこの部屋から出ろ。それで……そいつをどこに持って行く気だ!」

クリーチャー「さて何のことやらクリーチャーめには分かりかねますご主人様ほど頭がよろしくありませんゆえあぁそのでっかちな頭で奥方が想像もしないような蛮行を働き通しだったこのクズめにこれを渡すわけにいくものかこれはブラック家の由緒ある……あぁ!!」

シリウス「ブラック家の家紋、父の指輪か。いいか、クリーチャー。こんなものを後生大事に取っていたとしても、ブラック家の再興はありえない。とっとと捨ててしまえ。よ、っと」

フレッド「ナイッシュー、シリウス!」

ジョージ「グリフィンドール先取点!」

クリーチャー「酷いあんまりだこのクズ出来損ない純血とは名ばかりの欠陥品めお前なんて、お前なんて闇夜に煌く一等星(笑)のくせに」

シリウス「それはあいつだって同じことだろうがうるさい!」

クリーチャー「片やしし座!方やおおいぬ(笑)座の一等星では格がちがうようにお思いいたしますねクリーチャーめは」

シリウス「いい加減にしろ!洋服をくれてやるぞ!?」

クリーチャー「やれるもんならやってみろクリーチャーは知ってるぞお前はそれをするわけにはいかないクリーチャーはお前達がここで何を企んでいるか知っているのだから。穢れた血と、血を裏切る者のクズどもと……」

シリウス「ハニー、目を瞑っていてくれるかい?」

ハニー「!?こ、ここで、そんな、きゅ、急に、あの……んっ、はい!つ、つぶったわ!!」

ロン「あぁハニー!手を胸元でぎゅっと握り締めて震える君はとてももうこの世のものとは思えないくらい素晴らしいけどね!!とりあえずあとでシリウスはリーマスにぶっとばしてもらうから安心しなよマー髭!」

ハーマイオニー「ハニーに対する間違った配慮は認めてあげるけど!腰布を掴んで放り出すのはやりすぎよシリウス!!!!」

フレッド「ナイッシューシリウス!」

ジョージ「グリフィンに追加点だ!」

シリウス「あいつは本当に……おっとハニー、もう開けてもいいよ」

ハニー「? な、何もしていないのに……あら?クリーチャーは……あぁ、そういう、そう……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「ニヤニヤするならクリーチャーと同じように出て行ってもらってもいいのよ!?」

ロン「あぁハニー、そうなると一番堪えるのは君だろうけどねなんでもないよヒンヒン!えっと、シリウス。邪魔者もいなくなったし、このキャビネットをさっさと終わらせっちまおうよ」

シリウス「そうだな、あとはここの写真の数々だけだ。やぁエラドーラ伯母、もう二度と会うこともないだろうがね」

ポイッ ガシャン! ギャーーーーァァァァァ!!

ジニー「写真が断末魔をあげてるわ……おねぇさまの豚になっていればこんな目にもあわなかったのに」

ハーマイオニー「時代を越えさせようとしないで。えーっと、シリウス。ここの食器も?」

シリウス「あぁ、捨てて良い。モリーはキッチンにある分で十分と言っていた」

フレッド「気分良いよな、いくらでも食器を割り放題っていうのはさぁ」

ジョージ「普段は一枚でも割れば荒れ放題の庭の掃除の刑だってのにな」

トンクス「食器を割るって?任せてよ」

ハーマイオニー「俄然やる気を見せないでよ、適任のように思うけど。こんにちわ、トンクス」

トンクス「よっ!報告もひと段落したからこっちを手伝おうってさ。ハニー、元気?」

ハニー「えぇ、私だもの。トンクスは?」

トンクス「そりゃわたしだからね、元気一杯だよ。あー、でもちょびーっと凹んでるかなー。ほら、報告に居合わせたのがさぁ、あの堅物の……」

「えぇ、そうでしょうとも。あなたが苦手な先生だったのですからね、ニンファドーラ・トンクス?」

トンクス「うひゃぁ!?!?う、うっわ、あ、あっはは!先生、冗談、冗談よ、ほんっと!」

ハニー「! マクゴナガル先生!」

フレッド「にゃんこー」

ジョージ「にゃんこー」

マクゴナガル「こんにちわ、ポッター。ウィーズリーズ、お望みならば赤毛の双子ネコに変えてさしあげましょうか?」

フレッジョ「「冗談きついぜ、先生」」

マクゴナガル「あなたが無事着いたと聞いて、ホッとしましたよ。えぇ、マッド-アイに任せれば確実だとも思ってはいましたが」

トンクス「せ、先生?今回はさ、わたしがすっごく頑張ったんだよ?ほんとだよ?ねぇ、ハニー?」

ハニー「えぇ、そうね。トンクスが引っ張ってくれたおかげで、ここまで来られたと思うわ」

マクゴナガル「それは結構。ですが、トンクス。団の最年少とは言えなんですその軽薄な態度は。いいですか?あなたはもう大人なんですから、もう少し落ち着いた言動をなさい。シリウス、あなたもです」

トンクス「うへぇ……はいはい、はーい、わっかりました……あー、承知つかまつりました」

シリウス「まっこと心の真に迫るお言葉をお聞かせいただき恐悦至極にございまする」

ロン「ぶれないなぁ、マクゴナガルは」

ハーマイオニー「先生だもの、当然よ。えぇ、これが大人よ、マグルの服装も完璧だし、さすが先生だわ」

ハニー「あら、ならあなたも大人になってみ——」

マクゴナガル「それで、ポッター」

ハニー「!? は、はい、先生」

ロン「……ぶれないなぁ、マクゴナガル。マーリンの髭」

ジニー「いいとこだったのに……ヒンヒン」

ハーマイオニー「……ハッ!そ、それが正しいのよ!後、ハニー!後で、よ!」

マクゴナガル「随分と掃除を頑張っているようですね。前回ここに来た時から、見違えたと言ってもいいでしょう」

ハニー「そうだと、いいのですけれど。リーマスが来てくれた時に、廊下の『通った人にボルトを吐きだす古時計』は直すことが出来たし、キッチンを暗くしてたあの紫色のカーテンも外せたわ」

ロン「あのカーテンのやつ、あやうく僕を締め殺すところだったなぁ、あぁ、ハニーのあの時の顔で僕軽く気を失いそうだったよ」

ハーマイオニー「首絞められていたからでしょ。マンダンガスが助けてくれて、なんとかなったのよね」

ジニー「ママが珍しく褒めてたわ、ハニーの次に」

マクゴナガル「それは良かった。ポッター、あなたがいるおかげでみな精力的に働く気になったようですね?」

ハニー「えぇ、そうみたい。先生、何せ私って……」

マクゴナガル「ですが、あなたは。あなた自身の問題も忘れないように」

ハニー「……」

マクゴナガル「明日の裁判、検討を祈っていますよ。それでは」

バタンッ

ハニー「……」

ロン「……あー、シリウス。休憩にしようよ。もちの僕で」

ジニー「ママに頼んでお茶を淹れてもらうから、もちの末兄で」

シリウス「あぁ、私が行ってこよう。さぁハニー、そっちに座っていなさい。ロンの上に、うん」

フレッド「ほーんと、ぶれねぇよなぁマクゴナガル先生はさ」

ジョージ「せっかく忙しさで忘れさせようとしてたってのに」

トンクス「真面目堅物だからね……い、いないよね!?もういないよね!?」

ハーマイオニー「あ、あぁ言う人も必要よ、あの……ハニー?大丈夫、絶対大丈夫よ。だか……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。絶対、平気だとは思うのだけれど……自信をつけさせて、もらえるかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、あぁ、そんな、ハニー。ダメよ、まだお昼なのに、そんな、あぁ、あなたの自信なんて、私がそうしなくたって、グリンゴッツの金貨みたいに山のようじゃない……あなたの、綺麗なところと、同じくらい……」

ロン「つづけて」

ジニー「どうぞ」

トンクス「な、なにしてんの!?!?なにしてんのちょ、っちょ、ちょっとあの、わ、わたしお茶手伝ってくるかうわぁ!?」

ドンガラガッシャーーーーン!!

シリウス「さぁ、お茶だよ。うん?ハーマイオニー、どうしたね。あれから君一人で片付けでもしたのかい?息があがっているが」

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、そ、そう、あの、えっと。心の整理といった、ところ、かしら」

ハニー「えぇ、そうね。おかげさまでスッキリだわ」

ロン「僕らの方こそ」

ジニー「ほんとほんと。あっ、ヒンとヒンと」

ハーマイオニー「黙ってて」

モリー「仲が良いことは良いことだわ。さっ、昼食も一緒にしてしまいますからね。あっ、トンクスは座ってて。なんだか顔も赤いもの」

トンクス「あー、そ、そう?分かった……さっきのは見間違いかなんかだと思おう、うん」

フレッド「綺麗に片付いた部屋でおふくろ特製サンドウィッチをたらふくほうばる、これ以上の贅沢があるかね相棒」

ジョージ「いいや、思い当たらないね。ふくろに入ったなんだかゴソゴソ言ってるのがなければもっと最高だけどさ」

シリウス「写真は引き裂いてから捨てるべきたったな。いや、ハニーがいるところでは見せられないか」

ロン「屠殺場みたいなもんだもんな。あぁハニー!君の美貌は僕らを軽々と悩殺するけどね!もちの僕で」

ハニー「病院がいくつあっても足りないわね、えぇ……」

モリー「ハニー、ミネルバが言ってしまったようだからお話してしまいましょう。明日は、アーサーがあなたに付き添うわ」

トンクス「アーサーが出勤するのに着いて行くんだよ。わたしでも良かったんだけどさ、何故だかみんなに反対されたのよ」

シリウス「この屋敷から出て真逆の方向に歩き出しかねない君に、ハニーを任せられるわけがないだろう……」

ハニー「……そう。ウィーズリーお父様に、ね……あの」

モリー「シリウスが着いて行くのは反対だ、と。ダンブルドアはお考えだわ。それに、私も——」

シリウス「あぁ、『ダンブルドアが正しい』と思いますよ。当然、全く、至極真っ当に。何一つ反論なんてないさ、あぁ」

モリー「そう、随分聞き分けがよろしくなってたすかりますこと!」

ハニー「……ダンブルドアは、いつそれを?手紙でも届いたのかしら。あの腹黒、私には一通も……」

モリー「あぁ、いいえ、ハニー。あの方はね」

シリウス「ダンブルドアは昨日の晩、君達が寝室に上がってからやってきたんだ。ここにね」

ハニー「…………そう」

ロン「定例会議もんだよ、もちの僕で」

ハーマイオニー「……ハニー?お紅茶、冷めてしまうわ」

ハニー「……そうね。どうでもいいわ。あんな、豚なんて。どうだって、いいんだから。もう」



ハニー「……」

ハニー「……(裁判の前日、ここに来ていたのに。あの人は私に、会おうともしなかった)」

ハニー「(それは、あの人は私の親でもおじいちゃんでもないけれど。少し、くらい)」

ハニー「(知恵を授けるでも、声をかけるでも。してくれたっていいじゃない)」

ハニー「(私の、わたしの豚なのでしょう? ヒンヒンって、言ってくれたじゃないの)」

ハニー「(相談、したかったのに。傷のこと。痛みのこと……それに)

ハニー「(あの夢……長い廊下、大きな扉。何度も何度もみている、あの夢)」

ハニー「(ダンブルドアは、何を考えているの?)」

ハニー「……」

ハニー「(あぁ、嫌だわ……嫌よ。私、ヴォルデモート以外にこんなこと、思いたくもないのに)」

ハニー「(今はダンブルドアが、なんだか。憎くて憎くて、仕方ないわ)」




ハーマイオニー「あっ、ちょ、ハニー、そんな強——」

バタンッ

ロン「残念だけど豚は寝る時間だ!もちのロンでお邪魔にならない廊下でね!ヒンヒン!」

早朝

ハニー「……」

ハニー「まだ、五時半ね」

ハーマイオニー「スーッ、スーッ」

ハニー「……ありがとう、落ち着かせてくれて。あなたは落ち着くどころではなかったでしょうけれど」

ハーマイオニー「スーッ、スーッ……んっ……スーッ……」

ハニー「行ってきます……次会うときも、あなたとホグワーツ生同士でいたいわ。わたしの大事な、お友達だもの」

ガチャッ

ロン「マーリンの髭が一万と7069本、マーリンの髭が……うーん」

ハニー「……あなたも。気の利く豚は好きよ? 行ってくるわね」

ロン「うーん、マーリンの髭が一万と7070本……」

ハニー「……ヒンヒン本といいたいの?結構、無理やりよ。ふふっ。安心しなさい、わたしはどこまでいってもあなたの飼い主だし……お友達なんだから」

ハニー「さぁ……朝食を、とりにいかなきゃ」


トン、トン、トントン……


ロン「……」

ガチャッ

ハーマイオニー「……ハニーは、行った……?」

ロン「あぁ。心をマーリンの髭にして、無言で送り出したけどさ。これは堪えるよな。でも大丈夫、僕のハニーだぜ?もちのロンで」

キッチン

ハニー「……みんな、起きていたの?」

トンクス「ふぁ、ぁーあ。おはよっ、ハニー。うーん、今まで起きてたってのがただしい、けどさ……座りなよ。こっち……あー、隣の椅子まで転げさせちゃったのは、気にしないれ……」

モリー「少しは気にして頂戴。さっ、ハニー。何を食べたいかしら?しっかり食べて、元気をつけなきゃ。オートミール?マフィン?ニシンの燻製?トースト?高級懐石?モリーのきまぐれパスタは今日は旬の食材をふんだんに——」

ハニー「あー、それじゃ。トーストをいただくわ……」

リーマス「もっと食べないともたないかもしれないよ、ハニー。それで、トンクス?何か言いかけていたね?」

トンクス「ん、スクリムジョールには気をつけないと、って……あいつ、私やキングズリーに変なこと聞いて来るんだ。何か勘ぐってる……ふあ〜ぁ」

モリー「はい、ハニー!トーストをどうぞ。たんとお食べなさい」

ハニー「いただくわ。ありがとう……」

シリウス「……美味しくないかい?うん?」

ハニー「……絨毯を噛んでいるみたい」

モリー「ちょっと待っていて頂戴ね、ハニー。あのパン屋、小麦粉をネズミにして潰してあげましょうか……」

ハニー「ちがうの、ちがうのよおかあさま。あのね、味が分からなくって……」

アーサー「緊張することはないよ、ハニー」

ハニー「私が、緊張?朝から冗談が過ぎるわ、おとうさま」

アーサー「あぁ、寝ぼけていてね。なに、すぐ終わるよ。それに尋問と言っても、私の事務所と同じ階にあるアメリア・ボーンズの事務所で行われるものだ。なにも仰々しいものじゃぁない」

トンクス「アメリアは良い人だよ、ハニー。公平な人だから、ちゃんと、ふぁ〜。事実だけ言えば」

リーマス「あぁ、法律は君に有利だ。全て事実なのだから、君の味方をするに決まっている。未成年の魔法使いでも、命を脅かされる状況では魔法を使って良い。これは当たり前のことだ」

アーサー「さて、ハニー。あまり腹に入らないようなら、もう行こうか。なるべく早く到着していた方が心象が良くなる。モリー、皆を頼んだよ」

トンクス「がんばれ、ハニー!わたし、ふあ、夢のなかで、おうえん、sて……ハッ!お、応援してるから!」

ハニー「徹夜だったのでしょう?寝て頂戴。ありがとう、トンクス」

リーマス「絶対にうまくいく、心配いらないよ」

シリウス「アメリアによろしく。いざとなったら、犬は平気か聞いてみるといい」

ハニー「……ふふっ。ありがとう……行ってきます」

シリウス「あぁ……さて、リーマス。私はしごく穏やかにハニーを送り出したわけだが、そろそろこの首に巻かれた屈辱的なものを外してもらおうかこいつめ」

リーマス「ダンブルドアの言いつけでハニーが帰るまで外すなということだからね、聞けないね。聞く気もないけど」

ハニー「……あの豚は、もう」

数十分後

魔法省入り口前

アーサー「いやぁ、マグルの交通施設は楽しかった!!まるで、そう!サーカスを見ている気分だったよ!あれなら毎日でも乗りたいものだね!」

ハニー「……私の罪状から省みて魔法無しで移動した方が良い、とは言っていたけれど。おとうさま、ただ自分が乗りたかっただけじゃ……」

アーサー「とんでもない!とんでも!決して!自動の切符売り場とか!自動の改札とか!どんな気電をつかったものかなんて!決して!!!」

ハニー「電気、だわ」

アーサー「だが以外だったのが……人型ロボットではなく箱形だった、というのが……いや、あれもあれで素晴らしい思いつきだがね?」

ハニー「実用性というものがあるの、何事も。えーっと、それでこれは?どう見ても、ただの……電話ボックスにしか見えないのだけれど……それもこんな裏路地の、人っ子一人いない古ぼけた」

アーサー「あぁ、移動キーの時も言っただろう?マグルの目を引いたり、興味をもたれてはいけないのさ。私も外来者用入り口を使うのは初めてだがね……さっ、入りなさい」

ハニー「……本当に、ただの電話ボックスだわ。みかけは」

アーサー「みかけはね。さて、ダイヤルを……6、2、4、4、2、っと」

ハニー「どういう文字列なの?」

アーサー「ロニーを獅子寮に、だよ。あの頃ロンは自分がグリフィンに入れるか不安がっていてね、願掛けのつもりで……」

ハニー「……あなたって」

アーサー「あぁ、ここの設計は私が……おっと、きたきた」

『魔法省へようこそ! お名前とご用件をどうぞ!』

アーサー「マグル製品不正使用取り締まり局のアーサー・ウィーズリーです。尋問を受けるハニー・ポッターに付き添ってきました」

『あらアーサー、元気?こないだは……ハニー・ポッター!?あのハニーのことを言ってるんじゃ——』

アーサー「とりあえず今は業務にしようか」

ハニー「……しっかりしてよ魔法省。まぁ、私の名前を聞いて戸惑うのは当たり前だけれど」

アーサー「あぁ、とくに今はそうだろうね、うん」

ゴウンゴウンゴウンゴウン

ハニー「すごい……電話ボックスごと、エレベーターのように地下へ潜っていくわ……!」

アーサー「なるほど、エレベーターというのはこんな感じなのかね。いつか空に向かって上がるというそれに乗ってみたいものだ……」

ハニー「流石にそんな技術はまだまだ先でしょうけれど……それで、これが外来者の証明なのね。また、バッジだわ。バッジ好きね魔法界」

アーサー「しっかり見える位置につけておくんだよ? さぁ……エントランスだ」

ハニー「……わぁ」

アーサー「あぁ、そうだね。私も入省したときは、驚いて口をあんぐりあけたものだよ……中々立派だろう?」

ハニー「ホグワーツの大広間、それよりももっと広いホールね……地下、なのに天井が真っ青で、ステキだわ!でも、あの文字がちらついているのが少し気になるかしら」

アーサー「あれはその日の業務や差し迫った日程なんかを流していてね。掲示板のようなもの、と思えば良い。ほら、あちらの壁を見てごらん。暖炉がいくつも並んでいるだろう?左側は入省用、右側は出省用だ。おやおや、夜勤の明けの連中が死にそうな顔で並んでいるね。亡者のようだ」

ハニー「亡者……?」

アーサー「よく言う冗談だよ、気にしなくていい。さぁ、着いた。行こう。杖の登録を済ませないとならないからね」

ハニー「えぇ……噴水まであるのね。室内なのに」

アーサー「あぁ、女子職員の『癒しをよこせ!!!』というなんとも癒されない剣幕での要望でね。中にある像は、あまり癒されるともいえないが」

ハニー「……黄金でできた魔法使いと魔女、それに二人をみあげるケンタウルスと小鬼、屋敷しもべ妖精の……そうね、なんだか嫌味だわ」

アーサー「『魔法族の和の泉』という名もまた、ね。でもここに入れられたお金は聖マンゴ疾患傷害病院に全額寄付されているから、その点では魔法族に有益をもたらしているよ、うん」

ハニー「……無罪だったら、ありったけの金貨を放り込むわ」

アーサー「いい心がけだよ。私も、そうだな。そう……い、1ガリオン、だけ、うん」

ハニー「心だけで十分だわ、ありがとう」

守衛室

守衛「……不死鳥の尾の羽、二十八センチ。試用期間四年、違いないか?」

ハニー「えぇ」

守衛「杖は返します。それと」

ハニー「なぁに?」

守衛「……握手を」

アーサー「おっと、今は急いでいるのでね。仕事が終わったら私に会いに来てくれるかい?それじゃ」

ハニー「えっ、あぁ、そうね。またね、守衛さん」

守衛「……」ブンブンブンブン

ハニー「……すごく手を振っているわ」

アーサー「あー、彼は寡黙だからわからなかったが、そうか。うん、君をここに入れさせたことはある意味ファッジにとって失敗かもしれないね、うん。預言者新聞にも『ポッターの記事は書いても写真は載せるな!』と言っていたのに」

ハニー「当然ね、私を目にすれば虜にならざるを得ないのですもの」

アーサー「彼はまぁ、元々公正な青年だからね、うん。ファッジ心酔の重症者にはきかないから覚えておくんだよ?例えばあの三男とか……さぁ、エレベーターに乗ろうか」

ハニー「呼ぶのじゃない、魔法界でもエレベーターって」

アーサー「さっきはマグル文化に興奮していたよ、うん。おっと、やぁボブ。まだ定員までは空きがあるよ、どうぞ。なにが入っているんだい?」

ボブ「よう、アーサー!HAHAHA!さーてね、だがそりゃおっかないもんだろうよ。うちのカミさんの手料理に比べればやさしいけどな!HAHAHA!」

ハニー「……ここ英国よね」

ボブ「おっとあんたは……ふぅん、ハニー・ポッター。なーるほどねぇ。それで、アーサー?こいつ、ただの鶏かと思ったら火を噴いて……おいおい、ハニー・ポッターだってぇ!?HAHAHAHAHA!冗談きついぜ!!!」

アーサー「ボブ、気持ちは分かるが浮かれすぎないでくれ。魔法省のイメージが、ほら。遅いがね」

『四階、魔法生物規制管理部です』

ボブ「それで、カミさんがマクドナルド片手にこう言ったんだ。俺の甲斐性なんてこのポテト……おっと、こうしちゃいられねぇ!アーサー、じゃあな!」

アーサー「オチはあとで送っておくれよ!?  あー、すまないねハニー。彼はどうにも小粋なやつで」

ハニー「今更なにが出てきても驚かないわ。この私が驚くこと自体ありえないけれど。送る、と言うのは?ふくろうを?」

アーサー「昔はそうしていたよ。だけど掃除が大変だし、書類が飛んでしまうから不評でね。あれを見てごらん。紙飛行機がいくつもエレベーターに乗っているだろう?あぁやって、局ごとに連絡メモを送ることができるんだ」

ハニー「ふぅん……便利だわ。私も豚に連絡を送るときはそうしようかしら」

アーサー「少し複雑な工程が入るから、難しいかもしれないよ。あー、そうだな。ダンブルドアに相談してみるといい」

ハニー「……できそうにないわ」

アーサー「うん?何か……おっと、着いたよハニー。二階、ここに私の働く部署があるんだ」

ハニー「……えーっと、ここってまだ地下のはずよね?何故だか、窓から日の光が見えるのだけれど」

アーサー「あぁ、『魔法ビル管理部』が設定するんだよ。この間は二ヶ月もハリケーンが続いた。『賃金を上げろ!!』というストライキでね。あれは参った。同僚達にまで迷惑をかけてどうするんだ、まったく……おっと、ハニー。すこし寄り道するよ。時間はまだあるからね」

ハニー「? ここって……『闇払い本部』」

キングズリー「おや。おはよう、ウィーズリー」

ハニー「あら、キング……えっ?」

アーサー「シッ、ハニー……やぁ、シャックルボルト。なんだか私に報告があるとかで立ち寄ったのだが、なるべく手短に頼めるかね。時間がおしている」

キングズリー「そう手間はとらせない。この資料の確認を頼むよ……君にもっていてもらおうか。さぁ」

ハニー「羊皮紙の束……?中に雑誌が挟まってるわ」

キングズリー「……雑誌の方は帰ったら彼と一緒に観るといい。面白がるだろう」

ハニー「!」

キングズリー「さぁ、アーサー。今渡したのは『空とぶマグルの乗り物』についての過去の事例だがね。なにとぞ、スペシャリストの君に話を聞きたいのだが」

アーサー「あぁ、そんなに褒めてもらわなくても身に染みているよ。そして私の見解だが、彼が古い空飛ぶオートバイ使用しているとは思えないね」

キングズリー「意見は報告書にまとめてくれ。その前に前回の『足榴弾』についての報告書も、直しがまだあがっていないようだが」

アーサー「正しくは『手榴弾』だよ、シャックルボルト。危険の伴う物には正しい知識がないと君の仕事はやっていられないのではないか?え?」

ハニー「……なんだかんだでやり手ね、二人って」

ヒソヒソ

「あの二人、馬が合わないよな……」

「同じハゲなのにな……」


キングズリー「そこ、減俸」

アーサー「あとで仕事を回させてもらうよ、そこのお二人」

アーサー「キングズリーはダンブルドアとの懇意にしていることさえまだ知られていないんだ。だから私とも、たまに報告書のことでひと悶着起こす同僚、の立ち位置を守っているんだよ」

ハニー「流石はプロといったところかしら……それで、あなたの部署はこの向こうなの?」

アーサー「あぁ。おっと、言いたいことはわかるよ、ハニー。悪いね、私の部署はいわゆる窓際族に近いのだ」

ハニー「あー、っと……廊下がいきなり、えっと。古めかしい感じに」

アーサー「優しいね君は。みすぼらしいと言っていいんだよ……さぁ、そのどんづまりのここ。ここが私の働く『マグル製品不正使用取締り局』だ」

ガチャッ

ハニー「……」

アーサー「狭いだろう?うん?」

ハニー「落ち着くわ」

アーサー「???」

ハニー「なんでもない。書類の山、ね……あら、自動車のポスター。ふふっ、しっかり趣味のものもかざっておいでなのね」

アーサー「あぁ、これは仕事に関わるから堂々と貼っていられるよ。それにエジソンの分解図に……」

ハニー「エンジン、だわ。怖すぎるわよそんなもの飾っていたら」

アーサー「おっと失礼、エンジンの分解図、それにプラグの配線の模式図」

ハニー「見るだけでワクワクするのでしょうね?」

アーサー「そしてこの、不思議な赤と緑のフィルムが貼られた眼鏡をかけてみると!なんと絵柄が飛び出すポスター!」

ハニー「……」

アーサー「これなんて、見てごらん!普通に見ていたらただの静止画だけど、自分が見る場所を移すととあら不思議!絵柄が変わるんだ!すごいだろう!?」

ハニー「……」

アーサー「さらに!ここ、ここだ!ここを擦るとリアルなにおいがする花のポスター!ハニー!なんと画期的だとは思わないかい!?いやー、マグルの発想は素晴らしいね、本当」

ハニー「魔法ってなんなのかしら」

アーサー「適当にかけてくれていいよ。まだ時間はある……パーキンズは来ていないね。彼の椅子を使うといい」

ハニー「えぇ、ありがと……あら、写真ね。みんなが手をふっているわ」

アーサー「あぁ、私の元気の源だよ。家族……あー」

ハニー「あっ。あー、あの……」

アーサー「いや、いや。気にしなくても良い。そうだね、職場は一番近いのに、この写真にはいない大馬鹿者もいるが……いつか分かるはずだ、彼も。うん」

ハニー「えっと、パーキンズというのは同僚の方?」

アーサー「あぁ、この部署は私と彼で回っていてね。年寄りだが、真面目で……おっと、噂をすれば」

パーキンズ「アーサー!よかった、もう来ていましたか!どうすればいいか分からなくて、今しがたふくろう便を送りにいったところだった……それはいい!問題が!!」

アーサー「うん?まさかまた逆流トイレのことかい? あれなら、魔法警察パトロールに一任することになっただろう?あぁ、こちらは——」

パーキンズ「ちがう、ちがうのですアーサー!ハニー・ポッターさんの尋問ですよ——つい、さっき!知らせが!尋問は古い十号法廷で、八時から、と……!」

アーサー「なんだって?だが私はアメリアの部屋と……八時、なんということだ!ハニー、急いで!さぁ立つんだ!もう五分も前にそこに着いていなくてはいけなかった!!」

ハニー「え、えぇ。あの、ありがとう!知らせてくれて!御礼を言ってあげる!!」

パーキンズ「いえ、いえ、私——うわぁ!?リリーだ!?」

ハニー「娘のハニーよ!覚えてね!ヒンヒン鳴いてもいいわ!」

パーキンズ「ヒンヒン!!」

アーサー「瞬殺か分かっていたが! さぁ、ハニー!あの法廷は随分と下だ!急がないと!」

ハニー「どうして、どうしていきなり変更になってしまったの???」

アーサー「さぁ、分からない。いや、もしかして……それはいい!さぁ、エレベーターに!下、下だ!早くここにいてよかったよ、出席しなかったら大惨事になるところだ!」

ゴウンゴウンゴウン

ポーン!

『三階。魔法事故惨事部です』

「やぁアーサー、どうしたい?随分と焦って……」

アーサー「悪いね私はいまとてもとても急いでるんだそれでもまだ君は私を呼び止めた上でこのエレベーターに乗ろうというのかいそうか君はむこう二週間ほどデスマーチを覚悟する用意があるというわけだなえっそんなことはないだったら早く閉めてくれるかマーリンの髭!!!」

ピシャンッ! ゴウンゴウンゴウン

ポーン!

『四階、魔法生物規制——』

アーサー「マーリンの髭!!アーサーの私に力を貸さなくてなにがマーリンだマーリンの髭!!髭!!!!」

ハニー「お、落ち着いてお父様!」

ポーン!

『エントランスでございます。この空間はアトリウムとも呼ばれ、以降はこちらの名称を使わせていただくことを——』

アーサー「どうでもいい!はやく!はや、まったく!おはようさんボード!」

ボード「おや……アーサー。あなたも下ですか。ここいらでは滅多に——会うことはないと思いましたが」

ハニー「……なんだか消え去りそうな声の魔女だわ」

アーサー「急用でね。この子を連れて行かないといけなくなったんだ」

ボード「ああ、そうですか——なるほど。あなたは……」

ポーン!

『神秘部でございます』

アーサー「ボード、また今度!さぁ、ハニー。こっちだ。十号法廷……あんな、何年も使われていないところなんて!」

ハニー「ここで、尋問が……?上の階の廊下と違って、ずいぶんと……壁も廊下もむき出しで、これじゃまるで……」

アーサー「いや、いや。ここじゃない。もっと下だ。あんなところまではエレベーターも通っていない……さぁ、こっちの階段を!あぁ、私にもっと体力があれば君をおぶってやれるのに!やっぱりシリウスをつれてくればよかった!」

ハニー「そ、そんなの、願ってもないけれど、いいえ、ちょ、早い……やっぱり、ホグワーツの地下牢教室みたいだわ、このあたりって」

アーサー「さぁ、この階だ……十号、十号、と……あった!この扉だ……ハァ、よかった。大遅刻、とまではならなかったようだ……」

ハニー「この……いかつい黒い扉の向こう?ここが、尋問の行われる場所なの?」

アーサー「あぁ、どうやらそうらしい。さぁハニー、心の準備をさせる時間がなくて本当にすまない。いってきなさい」

ハニー「……!? 私、一人で!?」

アーサー「あぁ……あぁ、そのことも言っていなかった。私は、ここまでだ。大丈夫、君なら絶対に。さぁ」

ハニー「……うん」


ギィィィィィィッ

ハニー「……」

シーーーーン

ハニー「ここ、って……すり鉢状の、演劇場のような。あぁ、私……ここに、来た事があるわ」

ハニー「……バーティJrが、アズカバン送りになった、大法廷」

ハニー「……上等、だわ」

バタンッ!

ハニー「……」

ファッジ「遅刻だ」

ハニー「……ごめんなさいね。でもどうやら、連絡にミスがあったようだわ。私はついさっき——」

ファッジ「ウィゼンガモットのせいではない。君には今朝方ふくろう便が送られている。言い訳は無用、着席しなさい」

ハニー「……この私が座るのに随分と固そうな椅子ですこと」

ハニー「……」

「「「「「……」」」」」」

ハニー「(五十人、くらいかしら。全員、赤紫のローブで胸に銀の刺繍……陪審員、というやつ、よね)」

ハニー「(……最前列にファッジ、あとの二人の魔女は……分からないわ)」

ハニー「(右側の魔女なんて、詰まれた書類で姿が隠れているもの……なんだか、嫌な予感しかしないのは何かしら)」

ハニー「……」

ファッジ「さぁ、被告人がやっと出廷した。始めよう、準備はいいか?」

「はい大臣!!ようございますもちの大臣ですあぁ大臣!!」

ハニー「!? ぱ、パーシー!?」

パーシー「余すところなく発言を記録しますよ!任せてください僕は 魔法省大臣付き上級補佐官! ですから!」

ハニー「……眼鏡が……」

ハニー「……意味が分からないけれど、か、かわいいネコの縁に……!!!」

ファッジ「うむ、ドローレス、君の人選や見立ては確かだね。さて」

ファッジ「懲戒尋問。八月十二日開廷」

パーシー「そうでしょうともはい大臣!」

ファッジ「未成年魔法使いの妥当な制限に関する法令と国際機密保持法の違反事件。被告人」

ファッジ「ハニー・リリー・フローレンス・ポッター、住所、サレー州、リトル・ウィンジング、プリベット通り四番地、違いないか」

ハニー「……えぇ」

ファッジ「よろしい。尋問官、コーネリウス・オズワルド・ファッジ魔法大臣、アメリア・スーザン・ボーンズ魔法法執行部部長、ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官、パーシー・イグネイシャス・ウィーズリー——」



ダンブルドア「被告側証人、アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア」

ハニー「!?」

ザワザワザワザワザワザワ
 ダンブルドアだ……! キャー!アルバース!

ファッジ「! お前は……!」

ダンブルドア「やぁ、コーネリウス。わしじゃよっ」

ザワザワザワザワザワ

ハニー「……はぁ。なんだか、気合が抜けてしまったわ。まったく……」

ファッジ「あー——ダンブルドア?えー、それではあなたは、あー……こちらからの伝言を……あー——無事に受け取れたようですな?」

ダンブルドア「それがのう、コーネリウス。わしのとこにはどうやら魔法省のふくろうがとどかなんだ」

ファッジ「それは、それは——あー」

ダンブルドア「む、君にも心当たりが皆目検討つかない、と。もしや奴の手の者の仕業かもしれんのう。ほれ、こないだヴォルデモート復活したじゃろ?」

ザワザワザワザワザワザワ!!

ファッジ「しずかに!!静かに!!!ダンブルドア、本件と関係の無い話をするのならば——!」

ダンブルドア「大有りなのじゃがのう。ともあれ、わしのとこには君からの連絡は来ておらん。だが、なぁに。心配ごむようじゃ。一昨日の晩あたりからこのあたりをぶらぶらしとったから」

ファッジ「!?!?」

ダンブルドア「というのは冗談で、三時間ほど前からここにおってのう。噴水の縁に腰掛けて、ボーーッと一昨日の晩御飯のことを考えておったのじゃが、水面に天井に移された尋問場所の変更が、それはもう唐突に一瞬だけ映ったのじゃ」

ファッジ「……なんのことやら」

ダンブルドア「さて、なんじゃろうな。座ってよいかね?おや、証人用に椅子がない、これは困った。老人に空気椅子をさせるつもりかね?うん?アルバス、無茶ブリには全力で答えるお茶目心もっとるよ?」

ファッジ「っ!おいウェーザビー!椅子を……!」

ダンブルドア「いや、いや、よいよ、パーシー。面白いめがねじゃの。心配ご無用、お世話様、じゃ」

ポンッ

ハニー「……ふかふかの、肘掛椅子が。あなって——」

ダンブルドア「さてコーネリウス、始めよう」

ファッジ「仕切るな!〜〜っ、よろしい!!揃ったようなので、尋問を開始する!!!」

ファッジ「えー、あー——罪状、罪状だ、そうだ。まずはこれを読み上げる!」

ダンブルドア「コーネリウス、落ち着くのじゃ。ヒッヒッ、フーじゃよ?最近のトレンドは深呼吸のようじゃがの」

ファッジ「うるさい!何を産ませる気だ!!」

ダンブルドア「我々の、相互理解じゃ」

ファッジ「うるさい黙れ!! ウォッホン!被告人の罪状は以下の通り!」

ファッジ「被告人は非魔法族——以後マグルと呼ぶ——の面前で守護霊の呪文を行った。これは一八七五年制定の『未成年魔法使いのだと運制限に関する法令C頁、並びに『国際魔法戦士連盟機密保持法』第十三条の重大な違反に当たる」

ファッジ「被告人は以前、マグルの面前で呪文を行使し、その際に同様の警告を受け取った経緯がある。そのため、その行動が違法であることは熟知している、それに違いはないな!」

ハニー「えぇ、でも——」

ファッジ「にも関わらず、被告人は八月二日の夜、守護霊を出現させた。そうだな?」

ハニー「えぇ、そうだわ。でも——」

ファッジ「繰り返し確認するが、十七歳未満の魔法使いが学校の外で魔法を使うことが許されていないと承知してのことだな?」

ハニー「そうよ。でも——」

ファッジ「その上で、マグルだらけの地区においてあんなにも目立つ呪文を行使したのだな?」

ハニー「そうだわ。でもあの時は、そうしないと——」

アメリア「完全な守護霊を?」

ハニー「えっ?えぇ、そうよ。私だもの。だから——」

アメリア「有体守護霊を作り出したのか?その歳で?」

ハニー「……霞以上のもの、という意味よね。もちろん、そうだわ。いつだってパパの形をしているもの」

ザワザワザワ

アメリア「ふむ……眼鏡の。いつだって、ということは以前から守護霊を?」

ハニー「三年生の時から。なぜなら……」

アメリア「驚きだ。この歳で、有体守護霊、ふむ。まさに、あれの子供だ」

ザワザワザワザワ

ファッジ「ウォッホン!この際、それがどのような魔法であるかはどうでもよい!!!」

ダンブルドア「どうでもよい、ということはないと思うがのう、コーネリウス。どういう状況で使われたのかを検証せんといかんじゃろう?」

ハニー「そう、そうよ!吸魂鬼!吸魂鬼が、あそこに現れたの!だから私……」

シーーーーーーーン

ハニー「……今更私に見惚れることはないと思うわ。とにかく、あそこに吸魂鬼が現れた。だから私は、連中を追い払うためにパ、守護霊を出した。それだけよ」

アメリア「……リトル・ウィンジングに、吸魂鬼? 君、それは……それは、わけが分からない。筋がとおっていないよ」

ファッジ「はっは、そうだろう、アメリア?この子は妄言癖がある、そう言っただろう、うん?さてさて、今回の嘘は中々考えたようだ。そうだな、吸魂鬼ならマグルに見えないから証言がなくともそれらしく聞こえる、そう考えたのだろうが、連中は——」

ハニー「嘘じゃないわ!私のいとこが襲われたの!!私は、わたしは必死に!!」

ファッジ「ではそのいとこが証言するというのかね!?見えもしないものを!?君は杖で脅して口裏を合わせているのではいか?えっ!?たくさんだ、もうたくさん!必死に練習した嘘を遮って悪いが——」

ダンブルドア「わしからも遮らせてもらおうかのう、コーネリウス。実は、ここに一粒のレモン・キャンデー……まちごうた。証人を呼んであるのじゃ。あすこに吸魂鬼があらわれたことを証拠づける、証人をのう」

ファッジ「……ダンブルドア、あなたのようなおいぼれの戯言を聞いてる暇は本省には」

ダンブルドア「おーぉう、そのおいぼれの知識も古臭くて誰も覚えておらんのかのう。ウィゼンガモット権利憲章に、被告人は自分の事件に関する証人を召喚する権利を有する、そうじゃろ?アメリア、その権利を差し止めるのがきみたち法執行部の方針かね?」

アメリア「……大臣、正当な意見です。証人を呼びましょう」

ファッジ「〜〜〜っ!よろしい!さぁ、どこのどいつだね!?え!?今ならシリウス・ブラックでも歓迎しよう!」

ハニー「ほんと!?」

ダンブルドア「ご期待のところ悪いがのう、あなたは面識ござらんでしょうな。アラベラ・ドーレン・フィッグさんじゃ」

ハニー「……!」

ザワザワザワザワ

フィッグ「……どえれぇところに引っ張りだされたもんさね」

ハニー「……フィッグさ、えっ?」

ダンブルドア「……」

ハニー「……(目で、話すな、って、言ってるわ。なによ。仕方ないじゃない。打ち合わせもなにも、してくれなかったのはあなたじゃないの……!!!)」

ファッジ「アラベラ・ドーレン・フィッグ?何者だね」

フィッグ「あたしゃ、リトル・ウィンジングの近くに住んどりましてね。この、ハニー・ポッターの家の近くで」

ファッジ「ポッターの周辺に、ポッター以外の魔法使いが住んでいるという記録はない!」

フィッグ「そりゃ、あたしゃスクイブで。だからあたしゃ、あんた様のところに登録なんかされとらんでしょうが?」

ファッジ「スクイブ……?なるほど……あとで調べさせよう。ここの、ウェーザビーに」

ハニー「……さっきウィーズリーって呼んでなかったかしら、普通に」

パーシー「あぁ大臣!愛称なんて光栄ですお任せく大臣!!」

ハニー「……あぁそう」

ファッジ「それで、スクイブというのは吸魂鬼が見えるものなのかね?え?」

フィッグ「バカにすんじゃないよ!見えますともさ!」

ハニー「……」

ファッジ「……結構。話を聴こうか」

フィッグ「あぁ、あたしゃあの日、ウィステリア・ウォークの奥にある角の店まで、キャット・フーズを買いに行ってたんさ。あー、行ってました。ミスター・プレンティスはそこのしか食わないでね。それで、あー……八月二日、夜ころだったかね。騒ぎを聞いたのは」

ファッジ「吸魂鬼が現れた、と??」

フィッグ「そのとおりで。連中は、あー、走って、ここにいる子ともう一人を——」

アメリア「吸魂鬼は走らない。滑るように移動するはず——」

フィッグ「そう言いたかったんでさぁ!なにせあたしゃ、あんたさまみたいに頭がよくないから。それで、滑って二人を追い詰めていて……」

アメリア「どんな姿をしていましたか?」

フィッグ「あん?あー、姿、そうさね。一人は、うん、ここんとこめっきり変わって、うん、べっぴんになった女の子と、あー、育ちすぎたボンレスハムみたいな」

アメリア「違う、違う。吸魂鬼の方です」

ハニー「……大丈夫かしら」

フィッグ「吸魂鬼、そう、そいつ。そいつが二人を追い詰めていたんでさぁ」

アメリア「それはもう聞きました、結構。吸魂鬼がどんな姿をしていたのか、答えなさい」

フィッグ「あっ、あぁ……えーっと、まず大きくて。そう、黒いマントを着ていた。あれは、そう、さながら死神を思わせるような姿で、仮に彼らが鎌をてに携えていたら我々は冥界からの迎えがきたと錯覚することだろう——間違ってはいないのだg」

アメリア「……訛りはどうしました?」

フィッグ「そんな感じだったさね!あぁ、真面目に考えさせんじゃないよ、柄じゃない」

ハニー「……もしかして本でみたことしか、ないんじゃ……」

ファッジ「ふんっ。それで終わりかね?え?」

フィッグ「あっ、ありまさぁ。あるんだ、うん。連中を近くに見たとき……あたしゃ、あたしゃなんだか恐ろしくなってねぇ。暑い夜だったってのに、一気に冷え込んじまって……それで、この世から幸せってもんが全て消えっちまったような、そんな気分になっちまったんだ。あ、なったんです」

アメリア「……!」

フィッグ「いやーな思い出しか考えられなくなっちまった……悪い、悪い思い出を」

アメリア「吸魂鬼は、二人に襲い掛かったのですね?」

フィッグ「あぁ、そんで、一人はとっくに倒れてて。もう一人、これがハニーだったんだ。ハニーは何度か、失敗しかけたけんども、しゅごれいを作り出して自分の方の吸魂鬼を追い払った。そんで、あの、例の、おそろしいことをいとこの方にしようとしてる吸魂鬼も。それで、それが、あの夜起こったことさ……暑い暑い、夏の夜のことさね」

ザワザワザワ……ザワ

ファッジ「……まとめ方だけはばっちり練習できていたようですな! それで、それがお前のみたことだな!?」

フィッグ「えぇ、それが起こったことでさぁ」

ファッジ「よろしい!退出しなさい、すぐに!」

フィッグ「……いいんかね?」

ダンブルドア「あぁ、アラベラ。まっこと、あなたはよくやってくれましたぞ」

フィッグ「そうかい、それじゃぁね……」

ハニー「……」

ギィィッ、バタンッ

ファッジ「……全く、証拠にはなりませんでしたな!!!そうでしょう、諸君!?!?」

ザワザワザワザワ

アメリア「いや、ファッジ。大変有用な証拠を述べてくれたと私は思う」

ファッジ「何を言うのだね、聞いていただろう!?あの不自然極まりない吸魂鬼の見た目の台詞を!」

アメリア「だが、彼女は吸魂鬼が襲うときの特徴を的確に表現していました。あれは、それを受けた事がある者にしか出せない表情だ。吸魂鬼がいなかったのなら、あんな顔はできない。それに、そんな証言をして何の意味がある?」

ファッジ「だが、しかしだ!吸魂鬼が、マグルの街をうろついていてたまたま魔法使いにでくわす!?そんな偶然がありえますかな??」

ダンブルドア「あぁコーネリウス、それが偶然だろうと信じる者はここにはおらんじゃろ」

ファッジ「……どういう意味かね!?我々がもしも吸魂鬼をその地区にうろつかせる、なんて意味の分からない命令をしたとしても!確実に記録が残っている!そういうことになっている!!」

ダンブルドア「そう、その記録は残っておらん。と、なれば。連中が今や、魔法省以外からの命令を受けることがあると思っていいのかもしれんのう」

ザワザワザワザワザワ!

ファッジ「静かに!静かに!! ダンブルドア、そのお言葉は先日うかがった!そしてその時も答えたはずだ!いいかね、吸魂鬼種族は全て!我々が管理下におくアズカバンに留まっている!我々の命令にのみしたがっているのだ!」

ダンブルドア「そうじゃの。そうなれば、コーネリウス。八月二日にリトル・ウィンジングに吸魂鬼が現れたことは既に証明された。ならばどうして、彼奴らはあそこにおったのか」

ザワザワザワザワ

ダンブルドア「我々は自問せねばならんじゃろうて。魔法省の 内の 誰が何のために。吸魂鬼にそのような命令をくだしたのか」

ザワザワザワ  シーーーーン



「エヘン、エヘンッ!」

ハニー「? なぁに、今の……小さい女の子が、自分の方に注意を引こうとだすような、可愛い咳払い……でも、ここにそんな……」

ダンブルドア「……したがって、コーネリウス、わしは——」

「あら、聞こえませんかしら。エヘンッ!エヘンッ!」

ダンブルドア「……」

「「「「「「……」」」」」」」

ハニー「……?やっぱり、可愛い女の子みたいな、甲高い声。飴を転がすような……どこに……?」

ダンブルドア「……ウィゼンガモット大法廷の諸君。わしは諸君らの立場から追われた者じゃが、今このときだけはわしの言葉に従って欲しい。ゆっくり、深呼吸といきましょうぞ」

ファッジ「おい!仕切るんじゃない! み、みなも何故したがっている!?!?」

スーーーーーー、ハーーーーーーーー

ダンブルドア「よろしい。気分の悪くなったものはわしの方へ。よいレモン・キャンデーをあげようぞ。なに、わしにとってはみんなはいつまでも味方じゃよ。そうじゃろ?」

アルバス……

ダンブルドア「……それでは。腹をくくって」



ダンブルドア「なんじゃね、ドローレス?」

ファッジ「お前が仕切るなというのに!!ドローレス・ジェーン・アンブリッジ上級次官に発言を許可する!」

アンブリッジ「感謝いたしますわ、大臣っ♪」

ハニー「!?」

魔法使い「『ウィゼンガモット法廷記その10、書類の山から立ち上がり姿を見せたのは我々が何より恐れるものだった……』

『その鈴の音がなるような声に騙されそちらを見ていた新人の多くが、あまりのことに表情が凍りつき、吐き気を催した。無理もない。同じ人類とは思えないほどだらりと開かれた大きな口、飛び出た丸い大きな目、しまりのない大きな顔、さながら青白いガマガエルのような、そんな人物が現れたのである』

『そんなおぞましい顔はクルクルとした巻き毛に覆われて、黒い小さなリボンをいくつもちりばめている。そうか、あれはお菓子のハエなのだな、と、誰もがおも、お……』ウォェエェエエエエエ!」

魔法使い2「もういい!もうやすめ!!耳を塞いで休むんだ!!」

アンブリッジ「わたくしが姿を見せるといつも沸きますわね!さながら、法廷のアイドルですわっ♪」

ウォェエエエエエエエエ!

ギャーーー!ギャーーー!

ザワザワザワザワ!

アンブリッジ「落ち着いて、落ち着いてみなさん?私は逃げも隠れもしませんわ、ですから歓声はそのへんで♪」

ウワァアアアアアアアア!!
 ギャアアアアアアアアアア!

ハニー「…………ダメよ私。見た目で判断しない。よしっ……うーん……うわぁ」

ファッジ「しずまれ!!静まらんか!!!」

ダンブルドア「そえで、どろーれふ。何かいいたいことがある、そうなのじゃろ?」

ハニー「……飴舐めてるわこの人」

アンブリッジ「えぇ、ダンブルドア先生♪」

ダンブルドア「おぉう……教師生活を後悔したのは初めてじゃ」

アンブリッジ「わたくし、きっと誤解していますのね!お優しいダンブルドアせんせっ?愚かにもわたくし、ほんの一瞬ですけどまるで……」

ハニー「……あまり直視したくはないけれど。この人、口元はニタニタしているのに……目が全然、笑っていないわ」

アンブリッジ「先生の言い方ですと、魔法省が命令してこの女の子を襲わせた!そうおっしゃってるように聞こえましたわっ♪オッホホホホホホホッ!」

アッハハハハハハ、ハハハ
 笑うしかねぇ、アッハハハハハ……

ダンブルドア「気を確かに。そうじゃの、吸魂鬼が魔法省からの命令のみにつき従うということが確かならば、そして一週間前、二人の吸魂鬼がこの子とそのいとこを襲ったのが確かならば、論理的にはそう言っておることになろう……それとも、なにかね。魔法省で制御できん吸魂鬼がおるとでも——」

ファッジ「魔法省の統制外にある吸魂鬼など、いない!!連中は、連中は我々のみに忠実だ!!!」

ダンブルドア「だといいのじゃが。それでは、コーネリウス。この件に関しては徹底的な調査がなされると期待しますぞ」

ファッジ「〜〜〜っ、魔法省が何を調査するかを決めるのは、あなたの仕事じゃぁないぞ!」

ダンブルドア「無論、君の仕事じゃ。わしはあの素晴らしい学びやであっちをちょこちょこ、こっちをちょこちょこするだけじゃ。わしはただ単に、君達の仕事に全幅の信頼をよせておる、そう言いたかっただけじゃよ。ホントジャヨー」

一旦区切る もうちっと進めたかったが
10時には戻るはず 今夜は寝ない

遅くなった。再開

ファッジ「〜〜〜っ、吸魂鬼のことは、もういい!今は、この子のやらかしたことの話をしている!」

ダンブルドア「そうじゃ。して、この子が行使した呪文はなんじゃったかの?守護霊の呪文、おぉ!吸魂鬼に有効な、まさにそれではないかね。すなわち法令第七条に記された例外的状況の、まさにそれじゃ」

ファッジ「っ、えぇい、一々講釈いただかなくとも第七条は熟知しているっ!!しかし、しかしだ!その子はこれまで何度も、本件と同じようなことをしでかしている!それを忘れてはいけませんぞ!」

ダンブルドア「さて、なんのことかのう」

ファッジ「その子はこれまでも様々なでっちあげによって魔法の不正使用の罪を逃れてきている!三年前にも同じ警告を……!」

ダンブルドア「そのことならば、それをしでかした確たる証人をここに呼んでもよいぞ?退学に絡んでおらんかったから今までそういうことにしておいたがのう。指パッチンで来てくれるじゃろ、ヒ……なんとかと言って」

ハニー「……」

ファッジ「〜〜っ、それに、それにだ!この子は、一昨年もおばさんをふくらませて……!」

ダンブルドア「その事に関しては、コーネリウス?ほかならぬあなた自身がでっちあげに協力してくれたはずじゃが?」

ファッジ「そ、それは、しかし、うむ……」

ダンブルドア「『もっと大人の魔法使いでさえ、感情の劇的な爆発に伴う魔法力の暴走を抑えるのは難しい』そう、おだやかな顔で言ってくれたはずじゃがのう。コーネリウス」

ファッジ「うるさい!うるさい!その上、その子は!あなたの学校で、今までいくつもの……」

ダンブルドア「しかし魔法省は、ホグワーツにおける生徒の不品行について罰則する権利はないはずじゃ。城における彼女の態度や素行は、本件とは全く無関係のはずじゃが」

ファッジ「ほーぉ、ほーぉう!?ダンブルドア、あなたが学校で何をやろうと、魔法省なんて関係ない!そうおっしゃりたいのですかな!」

ダンブルドア「生徒の話じゃ耳ついとるのかね君は。魔法省にホグワーツの生徒を退学にする権限など存在しない、これは八月二日にわしが念を押したはずじゃ。よいかの、コーネリウス。現在魔法界における法律において、本件当事者である彼女を罰するものは存在せん」

ファッジ「〜〜〜っ、法律は、変えられる!」

ダンブルドア「そのようじゃな。早速いくつかの事例を書き換えたようで。なんと、まぁ!誇り高いウィゼンガモット大法廷の諸君が、こんな小さな女の子をいじめるために召集されるとは!わしが在籍していたのなら黙っておかんがのう」

「あー、それは……ごにょごにょ」
「新しい、あの、あるば、ごにょごにょ」
「わたしたちもほんとは、あー、ごにょごにょ」
「……ぶっちゃけハニーを観たかっ、ごにょごにょ」

アンブリッジ「エヘンッ!エヘンッ!ファッジ大臣はどんなに小さな事案でも、それが後々に響く大犯罪の芽になるのならばこの法廷を動かすという素晴らしい先見の明をお持ちで——」

ダンブルドア「無駄に終わったわけじゃがの。本法廷において、彼女のこれまでの経歴の逐一一切を罰するような事案は存在せん。以上、わしの証言はおわりじゃ。さーて、判決はどうなるかのう。楽しみじゃ」

ファッジ「〜〜〜っ、この、この、……!!」

アメリア「大臣、もういいでしょう。あとは裁判官達の判断を待とう」

ザワザワザワザワ ヒソヒソヒソヒソ

ハニー「……これで決まってしまうのね。私、ほとんど喋っていないのに……」

ダンブルドア「……」

ハニー「……目も合わさないのね、そう。あの、アンブリッジとか言う人の方がよっぽど、私を見ている気がするわ」

アンブリッジ「……」

ハニー「……狙われたハエになった気分がして、とっても嫌だわ」

ザワザワザワザワ
 ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……」

ザワザワザワ……シーン

アメリア「……被告人を、無罪放免とすることに賛成の者、挙手を」

バッ サッ、 ササササササッ

ハニー「……怖い、けれど。ちゃんと、観なきゃ……っ!ほとんどが、手を!」

ファッジ「〜〜〜っ!!」

アメリア「結構。それでは、有罪とすることに賛成の者」

ファッジ「魔法界の秩序のために!」バッ!

アンブリッジ「もちろんですわ!!」バッ!

パーシー「はい、はいっ、大臣!そうですとも、大臣!!!」バッ!

サッ ソローッ

ハニー「……五、六人、というところかしら……やった、や、った……!」

ダンブルドア「……うむ?おぉ、評決中かの?うん?すまんのうコーネリウス、わし、残暑につられてちとうたた寝しておったようじゃ。どうなったのか、君の口から教えてくれんか」

ファッジ「結構、結構だ!無罪放免!!!」

ダンブルドア「上々、上々。今がわしの夢うつつの中でなければのう。さて、っと」

ハニー「あっ……ダンブる——」

ダンブルドア「生徒の無罪が決まったところで。わしは忙しいから行かねばならん。ゼノフィリウスんちに面白いカブが生ったそうでの。ホグる子もおるというし、楽しみじゃ。それでは」

ハニー「あっ、ちょ、っと……!」

ギィィィッ、バタンッ!

ザワザワザワザワ
 終わったー ザワザワザワザワ まさかあれがいるとは ザワザワザワザワ

ハニー「……結局一度もこっちを観なかったわね、あの人。なによ、もう……もう行って、いいのかしら」

ザワザワザワザワ

ファッジ「ウェーザビー!記録は録っただろうな!」

パーシー「はい大臣!ばっちりですともええ大臣!」

ファッジ「まったくの無駄だった!全部君が食べておきたまえ!」

パーシー「当然ですともはい大臣!僕はあなたのためならヤギにでもなんでもしゃもしゃもしゃもしゃ」

ハニー「……やっぱりロンのお兄さんなのよね、パーシーも」

×ホグる子もおるというし
○ホグった子もおるし
マーリンの髭!

ハニー「……もう私の事を完全にムシしているようだし、帰りましょう……あっちの人は、虫を見る目をしているけれど」

アンブリッジ「……」

ハニー「……」

「おい、声かけろよ……」

「無理だろ、ついさっきまで自分を裁いてた相手だぞ?話してくれるわけねぇよ……」

「で、でも噂だと、ジャンピングスライディング土下座をすれば踏んでくれるとかなんとか」

「何それご褒美……あぁっ!」

ガチャッ、ギィィィッ

アーサー「! ハニー、判決はどうなったね!?え!?ダンブルドアは何も言ってくれなかったんだ!カブがどう、とか!」

ハニー「無罪よ、無罪放免。とう、当然のことだけれど」

アーサー「そうか!よかった、よかった!いや、うん!もちろん、証拠の上ではそうなるに決まっているんだ!それでもやはり——」

ゾロゾロゾロゾロ……
 ガヤガヤガヤガヤ

アーサー「なんと……なんと、この人たちは」

「あー……おはよう、ウィーズリー」

「おはよう、アーサー……あー……うん、すまん……」

「おはよう……わ、わたしは、仕事があるから……」

アーサー「なんてこった、なんてこった!マーリンの髭!大法廷で裁かれたのか!?」

ハニー「……そうみたい。私にふさわしいステージだったわ、ええ」

アーサー「それは、それはまたなんという……あぁ、私も番号に気を取られていてここがどこか忘れていた……」

アメリア「おはよう、アーサー。その子はよくやったよ」

アーサー「あぁ、どうにもそうらしい。ありがとう……あぁ」

パーシー「……」

ファッジ「……」

ハニー「……険悪だわ」

アンブリッジ「……大臣、大臣♪早く行きましょう、お仕事が待っていますもの」

「そうでしょうとも、大臣。どうやらとても愉快ではない時間だったようで。私との会食で、気分を紛らわせてフォしィですな」

ツカッ、ツカッ、ツカッ、ツフォイ

ハニー「……あら、相も変わらずフォイフォイ言っておいでなわけね。ミスター・マルフォイ」

ルシウス「それはもう、守護霊ポッター嬢。それが我が門の誇りですからな」

ハニー「守護霊……そう、早速お仲間の誰かに聞いたわけね? 先月、あの面白くない仮面をつけた場にいたような仲間に?」

ルシウス「仮面?先月?なんのことでしょうな。先月といえば私はフィンランド、もといフォィランドにいましたが。おぉ、なんといい響フォィランド……」

ハニー「うるさいわ」

アーサー「ルシウス、君が此処になんのようだね」

ルシウス「おやおやウィーズリー。あなたに私とファッジ大臣との個人的なお話に口を挟む権利など、あるわけがないと思いますがな?とくに、これの」

ジャラッジャラジャラフォイ

ルシウス「絡むお話ですからな。あなたの人生分の給料でも、お話にならんでしょう」

ハニー「……汚いお金で、おとうさまが家族のために一生懸命稼ぐお金をバカにしないで頂戴」

パーシー「……」

ルシウス「汚い、そうおっしゃいますかな、ポッター。君こそまたダンブルドアのご機嫌うかがいで、また難を逃れたようだ。さながら君こそ、蛇のようですな?」

ハニー「可愛らしいと言いたいわけ?知ってるわよ」

ルシウス「???」

アーサー「???」

ハニー「私に用じゃないのなら、さっさとどこかに行けばいいじゃない。そうでしょ?」

ルシウス「これはこれは、想像以上の驕り高ぶりかただ。大臣、行きましょうか?ひとまずあなたの部屋でお話を……」

ファッジ「あぁ、そうしよう。ウェーザビー、アンブリッジ、職務室へ行っていたまえ」

アンブリッジ「はい大臣っ♪ さぁさ、行きましょう使える方のウィーズリー。今日の眼鏡はピッタリだったわ」

パーシー「は、はい、アンブ、うっぷ、アンブリッジ次官!仕事は出来る!あんぶり、うっ、アンブリッジ次官!!」

ハニー「……なんだか同情したくなってきたわ」

アーサー「……自分で選んだ道さ、パーシーも。まったく……それにしても、ルシウスか」

ハニー「……ねぇ、まさかとは思うけれど。大臣は、あちら側に操られているんじゃ……」

ファッジ「その可能性がないとは言い切れない。だが、少なくともダンブルドアはまだファッジは自分の考えで彼の邪魔をしてるのだろうと思っているよ……わざわざ操らなくとも、ダンブルドアを目の敵にしているからね」

ハニー「……わざわざ危険をおかすよりも、金貨を渡して自由の身を確保しておく、そういうこと?」

アーサー「ああ、まったく、ルシウスらしい汚い下衆な手だ。しかし自分のコネの使い方をしってる、まったく厄介だよ。ルシウス・マルフォイという奴は……さぁ、行こうか。こんなところにいつまでもいたら、息がつマルフォイ」

ハニー「うつってるわ落ち着いて」

>>541
原作のフォローと独自色の兼ね合いが上手いな

ハニーの感性では蛇は可愛いもの=蛇の様は褒め言葉
可愛い

ファッジ→アーサー?

>>542
気付いた時噴いたw
ハニー「ファッジ操られてるんじゃね?」
ファッジ「とりあえずまだ大丈夫ってダンブルドアは言ってた」
ってどういうことやねんとw

>>545だった

ポーン!

『アトリウムです』

アーサー「さぁ、早く戻ろう。みんなに君から吉報を伝えてフォしィからね」

ハニー「その前に少し噴水に座って休みましょう?疲れてるのよ、きっと」

アーサー「?なにがだね……あぁ、そうか。噴水といえば、そういえば……そう、そうだった。い、いいい1ガリオンだったね!うん!」

ハニー「……」

アーサー「大丈夫、大丈夫さ。ちょっと向こう半年ほど昼食は買いだめしておいたマグルの魔法の品『増えるワカメ』にたよることになるだろうけどね、君のお祝いだふふふ、ふふふふさよなら私の1ガリオン……」

ハニー「お父様、気持ちだけで十分だってば。そうね、じゃぁ投げ入れる形だけ。はい、これを入れて?」

アーサー「あ、あぁ、いいのかね、君みたいに小さな子から、金貨をもらうことになるなんて……」

ハニー「平気よ、言ったでしょう?私……」

クルッ、ジャラジャラジャラジャラジャラバサーーーッ!

アーサー「」

ハニー「巾着分ぜーんぶ、入れるつもりだったんだもの……あぁ、スッキリしたわ!色々!色々ね!」

アーサー「……ま、マーリンの、髭!!」

ポチャン!

>>541下から四番目
×ファッジ「〜〜
○アーサー「〜〜
マーリンの髭!髭!!!

グリモールド・プレイス

フレッド「ホーメン!」

ジョージ「ホーメン!」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーー!」」」

ジニー「さすがおねぇさま!!ヒンヒン!」

ロン「当たり前だろ!僕のハニーだぞ!ヒンヒン!おめでとうハニー!」

ハーマイオニー「分かってたわ!無罪になることくらい!だって何の罪にもならないってどこを調べてもそうなって、いたもの!そうよ!」

ハニー「はいはい、ありがとう。その割にはとっても、感極まって抱きついてくれるくらいホッとしたのね?ハーマイオニー」

ハーマイオニー「ぐすっ、そうで、なくったって!いつだって抱きつくわ、わたし!また今度、城でだって!」

ハニー「えぇ、そうね。そうしてもらえると、私もきっと楽しいわ」

フレッド「ホーメン!」

ジョージ「ホーメン!」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーー!!」

ジニー「おねぇさまステキ!!ヒンヒン!」

モリー「さぁさ、おまえたち。嬉しいのは分かるけど、ジニーを掴んでクルクル回らないの!えぇ、嬉しいのはとっても分かるけどねっ!」

アーサー「そうだぞ、うん。静かにしなさい、ハニーが詳しく聞かせられないだろう?あの後、法廷の前でルシウス・マルフォイと会って困るフォイだったこととかを」

シリウス「なるほどな、だからさっきから感染していたわけだ。なんだと?ルシウ——」

フレッド「ホーメン!」

ジョージ「ホーメン!」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーーー!」」」

ジニー「おねぇさま抱いて!!ヒンヒン!!!」

アーサー「こらっ!静かにせんか!あぁ、そうなのだ。またファッジに会っていたようでね。すぐに知らせないと」

シリウス「私が手紙を出してこよう、うん……あぁ、ハニー」

ハニー「シリウス!わたし…………あー」

シリウス「うん、そうだな。私は君の後見人として、とても嬉しい。君は、あぁ。無罪に決まっているし、あの城で学ぶべきものがまだまだたくさんある、そうだ。あの二人だってそれをのぞ、うん。望んでいる、そうだろう?よくやった、ワフン。良かったよ、おめでとう」

ハニー「……あ、ありがとう」

シリウス「それじゃ、私はちょっと、ちょっと行って来るよ……しばらくかかるかもしれない。探さないでくれ」

バタンッ

ハニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

犬「アォーーーーーーォウ!!!」

ハーマイオニー「……あぁいう遠吠えは、孤独を感じた時に起こすのだそうよ?」

ロン「……まぁ、さ。残りの夏で分からせてやればいいよ、ハニー。そうだろ?」

ハニー「……困った人ね、シリウスおじさんは」

フレッジョ・ジニー「「「ホッホッホーーーー!」」」

モリー「お黙り!!!!」

ロン「あのママの雄たけびはどういう時に?」

ハーマイオニー「いつものこと、そうなんでしょ?」

ロン「よく分かってるじゃないか。マーリンの髭」

数日後

モリー「さぁ!ハニーの無罪を祝って!今日はこのカビだらけの戸棚を三人には掃除してもらいましょう!」

ロン「ママ、何でもかんでも『ハニーの無罪を祝って』をつければ喜んでたのは昨日くらいだよ。マーリンの髭」

ハーマイオニー「昨日までそれに喜んでた私達も大概だけどね……」

ハニー「任せて、お母様。ピッカピカにして……私が学校に行った後も、シリウスがちゃんとここで暮らせるようにしておくんだから!」

ロン「ハニーは変な方向に燃えちゃったよ。シリウスが絡むといつも明後日どころか未来の彼方までいっちゃうけど」

ハーマイオニー「いつものことよね」

ハニー「うるさいわ。さっ、やってしまいましょ……っつ」

ハーマイオニー「……大丈夫?傷が痛むの?」

ハニー「えぇ……平気、ほんの少しだけよ。さっ、棚の上の方を磨きたいのだけれど……何か台がほしいわね」

ロン「うん?ハニー、何か言ったかい?ロナル台・ウィーズリーこと君の豚に相談してみなよ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「流れるように四つんばいになったわね、ぶれないわ、ほんと」

ハニー「使える豚は好きよ、ロン。よい、しょ、っと」

ロン「あぁハニー、ゆっくりでいいよ!危ないからね!もっと踏みしめるように!そう!もっとじっくり!ヒンヒン!ありがとう!よし、登ったね。それじゃハーマイオニー、次は君だよ」

ハーマイオニー「えぇ、ちょっと待って。歯をくいしばっておくことね」

ロン「おい、何助走とってんのさ!やめろよ!そのまま僕の背中酷く蹴り登る気かい!?僕はマゾじゃないぞ!!」

ハーマイオニー「それはびっくりだわね、えぇ」

ロン「シリウスはさ、あんまり掃除の手伝いをしなくなっちまったよな。ハニーは存在してるだけで僕らの生きる手助けになってるけどさ」

ハニー「眩しくてもしっかり見てみればいいわね、えぇ」

ハーマイオニー「何者になるつもりなの。もう、あの人は……バックビークの世話につきっきりね」

ハニー「……きっと、私が学校に行くのに未練が出来ないように、そう思っているのじゃないかしら」

ロン「ったく、ここにきて変に大人ぶられても困るフォイだよな。ハニーは行かせない!とかリーマスと言い合ってたほうがまだ……」

ハニー「そう、なの……!?」

ロン「……どうしよう、ハーマイオニー。僕、こんな期待の眼差しのハニーを裏切る手段知らないよ……そんなの、豚憲章に載ってないよ……マーリンの髭」

ハーマイオニー「……ハニー、ロンのいつもの冗談よ」

ハニー「ロン」

ロン「な、なんだいハニー!僕のハニー!」

ハニー「ちょっと、玄関ホールで『ブラック家なんて、僕んちに比べればマーリンの髭さ!』って、言ってきてほしいのだけれど」




シリウス「だからだな?まだ、新しい『闇の魔術に対する防衛術』の教師は決まっていないんだろう?変装すれば、ほら!私でも十分だろう!?え!?」

リーマス「だから、君の顔は目立ちすぎると言ってるんだ。原型を止めないくらいに変えてもいいならお望みどおりにしてあげるけどね」

トンクス「シリウスも『七変化』だったらよかったのにねー——」

『ギィエエエエエエエエエエエェェェィィこのクソガキぃぃぃいいいいいいいいい!!』

トンクス「うぇえ!?わ、私まだ何もしてないよ!?あっ、今朝また皿割っちゃったけどさぁ!?」

リーマス「!? 今日誰かが来る予定などなかったはずだが……」

シリウス「敵か!?」

バターン!!

シリウス「どこのどいつだ!私の大事なハニーに手を上げるつもりならそこになおれ!ブラック家のブラックなシミにして……君は何をしてるんだ」

ロン「はなせこんにゃろ!クリーチャー!いてっ!お客に手をあげるのが屋敷しもべ妖精のすることかよ!マーリンの髭!」

クリーチャー「うるさいこの血を裏切るガキ!奥方になんてことを!なんてことをこの死ね!死ね!脛を蹴られて死ねぇええええ!!!!」


ハニー「わ、私の、大事な、って……!と、当然だけれどね!だって私シリウス、シリウスは家族で、えぇ……!」

ハーマイオニー「……」

ハニー「ニヤニヤ、しないのっ!!!」

ロン「ただいま……脛が死ぬかと思った。スネイプが死ねばいいのに」

ハーマイオニー「サラッと酷い当てこすりはしてさしあげないの」

ハニー「よくやったわ、ロン。色々と」

ロン「あぁハニーもちの僕さハニー!ヒンヒン! でもママに怒られっちまったよ、さっさと掃除してきなさいって」

ハーマイオニー「それはそうよ、まだまだ途中だもの」

ロン「僕らがここに来てからどれだけの埃を取り除いてきたと思ってるんだい?ハニーの豚である誇りはいつも胸にあるけど。ここ、ここにねっ」

ハニー「えぇ、胸を張りなさい。私の一番の豚さん」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「私がおかしいのかしら、ロンの胸についてるのは埃しか見えないわ。もう」

ロン「そりゃまみれて掃除してるからね、もちのロンさ。あーぁ、屋敷しもべ妖精にでもなった気分だよ」

ハーマイオニー「それはそれは、良かったわ。これであなたも彼らに対する態度を改められるのじゃないかしら」

ロン「あぁ、クリーチャーに対して『こんにゃろう』って思うのが『こんちくしょう』に大改編されたよ」

ハーマイオニー「そうじゃなくて!『S.P.E.W』にもっと真剣になりましょう、って言っているの!」

ロン「おいおい、反吐の掃除までするなんて勘弁してよ」

ハーマイオニー「スピューじゃないったら!もう怒ったわ!ロナルド・ウィーズリー、そこになおって……あっ」

ハニー「落ち着いきなさい、ハーマイオニー。それはとっても複雑な問題だ、って……あら」

ロン「な、なんだよハーマイオニー拳なんか握ってさ避けられないだろうけどマーリンの髭……うん?どうしたんだい?」

ハーマイオニー「……降りられないわ」

ハニー「……」

ロン「……あー、オーケー。ハーマイオニーはまだ、分かるよ。でもハニー、言っちゃ悪いけどハニー、ほんと悪いけど、君飛行バカだよね?」

ハニー「誰がバカよこの豚!!それとこれとは、ち、ちがうのよ!こんな中途半端な高さ……それに、ここは箒の上じゃないわ!!」

ハーマイオニー「あぁ、もう、これじゃ私達、ネコみたいで……私の方だけでしょうとかいいから、い、今はそんな場合じゃないでしょハニー!?落ちても知らないわよ!?」

ギィィッ

シリウス「君達、ひと段落したら昼食にしようとモリーが言っているが……どうした?何か問題……」

ハニー「……」

シリウス「……」

ツカッ、ツカッ、ツカッ

シリウス「さあ!ハニー!!!私の胸に飛び込んで来い!」

ハニー「なっ、そん、そんなのいらないわ!いいから!な、何かはしごとか、そういうのでいいの!はや、はやく、もう!!ろ、ロン!さっきみたに台に、ちょ、っと!

ロン「すっごい良い顔だよ、ここ数日の鬱憤を晴らすかのように。マー髭」

ハーマイオニー「ハニーにとっては良い思い出よね」

ロン「だろうね。ほら、さっさとおいでよ君も。ハニーは俄然はりきるシリウスい任せるけどさ」

ハーマイオニー「……えっ」

ロン「……おいおい、なんで君までそこで固まるんだよ、おい。まったくマーリンの髭」

シリウス「さぁ、おいでハニー!はっはっは、君はまだ私が必要のようだな、そうかそうか!ハッハッハ!」

ハニー「〜〜〜っ!もう!シリウスおじさん!いじわる、しなでよぉ!!」

バターーーーーン!ガシャァアアアアアアアアン!

トンクス「そ、そんでさ。この間、キングズリーにいいお店紹介してもら……うわ!?何の音!?私まだ何もしてないよ!?!」

リーマス「……どこぞのへたれた犬が人が乗って不安定な棚に寄りかかった結果大惨事、とみるね。私は。まったく」

夏休み最終日

ハニー「……んっ。おはよう、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「んっ……あぁ、もう朝なの……?ついさっき、眠ったような……えぇ、時間的にそうなのでしょうね、もう」

ハニー「まだ最終日前日だけれどね……ロンは……?」

ハーマイオニー「あ、明日から学校なのだから今日は早く休むわ!絶対なんだから!分かってるの!? あぁ、ロンなら……なんだか夢半分で言われたわ。えーっと、豚定例会の連中に新学期についての手紙を送るからちょっと出てくる、とか……悪夢かしら」

ハニー「そっ、よくやっているわ、本当に……そう、それならもう少しゆっくりしていられるのかしら……ねぇ?」

ハーマイオニー「ちょ、っと。ダメよ、って、もう。みんなもう起きているでしょ!?着替えないと、ハニー、聞いて……」

白豚「ピィーヒンヒン!」

ハニー「……珍しく豚にしては気がきかない行いね、私の……あら?」

ハーマイオニー「なんだか最近いいところで邪魔されてばかりな気が、いいえ、それでいいんだけどよくないと言うか……アッ!ホグワーツからの、手紙ね!」

ハニー「……忘れられたのかと思ったわ、あの腹黒に」

ハーマイオニー「?そんなはずないじゃない。でも本当、遅すぎるわよね。今日中に教科書とか、そろえられるかしら……きっとすごく混むでしょうね、ダイアゴン横丁」

ハニー「新しい教科書……ミランダ・ゴズホーク著『基本呪文集・五学年用』と、ウィルバート・スリンクハード著『防衛術の理論』だわ」

ハーマイオニー「……スリンクハード?確かなの?」

ハニー「この私が読み違えるとでも?」

ハーマイオニー「古代の碑文でさえお手の物でしょうね、はいはい。おかしいわね……ホグワーツの先生が指定するような、内容ある本を書いている人ではないのだけど」

ハニー「流石、私のハーマイオニーね」

ハーマイオニー「褒めてもあなたのためになることしか出来ないわ。一体、新しい先生って誰なのかし————まぁ」

ハニー「あー……そう、よね。今年は……その年だわ」

ハーマイオニー「えっ——だ、だって、私達の寮には——あなた、あなたがいるじゃない!みんなに認められて、それに——」

ハニー「私が跪かせたりするのは関係ないのじゃないかしら。ハーマイオニー、あなたの知ってる事はわたしのためになる、って言っていたけれど。それって、グリフィンドールのためになることだ、って、多分みんな知っているわ」

ハーマイオニー「でも——ほんとうに?この、バッジ……あぁ、ハニー。どうしましょう!私、私とっても……!」

ハニー「えぇ。監督生おめでとう、ハーマイオニー!」

ハーマイオニー「あぁ……とっても光栄だわ。寮の模範生に選ばれるなんて……!」

ハニー「あなたは元からそうだけれどね……へぇ、なかなか良いバッジじゃない。ほんとバッジ好きね魔法界」

ハーマイオニー「えぇ、赤と金色……グリフィンドールのシンボル、ライオンのマークの上に『P』の文字……あぁ、絶対に私よりあなたの綺麗な赤毛に映えるのに」

ハニー「そんなことないわよ、もう。あなたはたまに自己評価が低すぎるのだから……分からせるわよ?」

ハーマイオニー「い、いいから! これ、とってもいい手触りだわ。パーシーがことあるごとに磨いていた気持ちもわかるわね……ハニー、触ってみる?」

ハニー「いいの?ありがとう……へぇ、ほんとね。なんだか陶器みたいな——」

バターーーーーン!!

ロン「マーリンの髭!!ねぇ、ハニー!!とんでもないことが起きたんだ!聞いてくれるかい!?ハニー!僕のハニー!信じられないよ!僕、僕……なんてこった!!!!マーリンの髭!!!!」

ハニー「!? あぁ、ろ、ロン。一体どうしたのよ、今更私の素晴らしさを改めて認識したの!?」

ロン「そんなの一秒後とにしてるよもちのロンで!君も!やっぱりね!!そうだと思ったよあぁハニーだって君って模範生どころか全人類の模範となるべき存在だもんね!!!」

ハニー「???あ、これね。ちがうのよ、私じゃ——」

ロン「僕も選ばれたんだ!!」

ハニー「?」

ロン「見てよ、ハニー!これ、ビルやチャーリーやパーシーがつけてたのとおんなじ!!完璧・パーフェクト・『P』バッジだ!!」

ハーマイオニー「……まぁ」

ロン「あぁ、君がもらうのは分かってたよハニー!そうだよハニー!だって君がなんなきゃ誰がなるってんだい!?え!?君を選ばないならそんなの選んだやつはとんでもないマヌケでトンチンカンな奴さ!」

ハーマイオニー「」

ハニー「えーっと……ロン、私の豚。落ち着いて。私じゃ、ないのよ。これをもらったのは」

ロン「あぁハニー!そうだねハニー!君って——えっ」

ハニー「……ハーマイオニーよ、監督生に選ばれたのは」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……」

ロン「……おめでとう、ハーマイオニー!分かってた、僕には、うん、分かってたよ、ほんと」

ハーマイオニー「……えぇ、どうも。誉高き監督生さん。お褒めの言葉は、あとずさりされるとよく聞こえないわ?」

ロン「あ、あっはは、あの、あのさ。ほら、僕ちょっと舞い上がっちまって、それだけで、あの」

ハーマイオニー「私をえらぶのはマヌケでトンチンカン?」

ロン「ち、ちが、ほんの、ほんの言葉の、マー髭で……ぎゃぁっ!!マーリンの髭!!髭!!」

ハニー「……ロンは、もう」

フレッド「悪夢だ、これは悪ぃ夢だ、至極当然の感覚でそう思うね、僕ぁ」

ジョージ「とんでもねぇ、こりゃ地獄に違いない、とうの昔に分かってた」

ハニー「現実よ、まぁ、私の豚ならばこれくらい当たり前のことだけれど。よくやったわ、ロン」

ロン「あ、ありがとうハニー。いてて。ハーマイオニーの奴、マメフクロウのピッグウィジョンことハニーの豚の鳥かごで殴りやがって、マーリンの髭」

ハニーの豚「ピピィーヒン!」

ハニー「ロンに嬉しい手紙を運べて誇らしそうね。出来る豚は好きよ、よしよし」

ロン「なんで僕ってふくろうじゃないんだろ」

ジニー「人類だからよ、ってハーマイオニーが昔言ってたわ。あぁ、ハーマイオニーは怒って行っちゃったわね」

ハニー「ご両親に手紙を出してくる、ですって。監督生の意味ならマグルのご両親でも分かるもの」

ジニー「それだけ名誉なこと、なのよね。うちじゃ散々茶化されていたから忘れてたわ。ロン、すごいわね。見直しちゃった」

ロン「ハーマイ鬼ーがなんだって? あぁ、なんだよ急に。豚以外のことで褒めるなよ、当たり前だろ僕はこれでも兄貴だぜ?」

フレッド「お前の兄貴である俺達からは、侮蔑と軽蔑をそれぞれこめた眼差しを送らせてもらうぜ。なにが監督生だ、くそくらえだよ」

ジョージ「お前だけは僕らの路線だとばかり思っていたのにな。分別と経験を積んだまともな頭をしてたら、監督生なんてならないね」

ロン「むっかつくけど、あー、僕だって今でも信じられてないよ……」

フレッド「おうおう、ママがムカつくぜ」

ジョージ「あぁあぁ、噂をすれば、だよ」

ガチャッ

モリー「なんです、騒々しい。ハーマイオニーはなんだか不機嫌だし……そういえば、教科書のリストが届いたって聞きましたよ?よこして頂戴、母さんがまとめて買ってきますからね」

フレッド「緊急の買出しでメチャ混みな上等な今日の横丁でもさ、ママ」

ジョージ「赤と金のバッジでもつけてりゃ目立って仕方ないだろうねぇ」

モリー「そんなバッジがどこにあるの、まったく。ロン?あなたはお洋服がもう全部二十センチも短くなったでしょう?まったくお前ときたらどうしてそうすぐに伸びるのかしら……パジャマは何色がいいかしら?栗色?ハニー色?」

フレッド「バッジなら、そのロニーが貸してくれるぜママ」

ジョージ「まさにそれと同じ、赤と金にしてやりゃいいさ」

モリー「何のバッジですって、ってば」

ハニー「お母様、選択が終わった私たちのお洋服を運ぶのに気を取られているのはわかるけれど、少しこっちを向いてくださるかしら」

ジニー「監督生バッジよ、ママ。ロンがもらったの」

モリー「……!?」

ビリビリッ!

ロン「あぁ!?唯一丈があってた僕のパジャマ!!ハニー色だったのに!!」

モリー「なんて、今、なんて?だって、それは……あぁ、あぁ——!!!ロン!その手にもっているのはなぁに!?ママによぉーく見せて頂戴!あぁ!ちょっと、おまえたちどきなさい! あぁ——ロン!なんて素晴らしい!これで兄弟みーんなだわ!」

フレッド「おうおう、どくともさ。抱き締められるのなんてお子ちゃまロニーで十分だからな」

ジョージ「兄弟みんなだってよ。それじゃ僕らはなんなんだよ、お隣さんかなにかかい?え?」

ロン「ま、ママ!やめてくれよ、ちょ、っと、マーリンの髭!」

モリー「お父様が聞いたら喜びますよ、ロン!あぁ、母さんは鼻が高いわ!あなたもビルやパーシーのようにこのまま首席になるかもしれない!あぁ、心配だらけのこんなときになんて良い報せ、あぁ、ロニーちゃん!!ちっちゃなロニーちゃんが監督生!!」

ロン「ママ、マーーーーマ!やめて、って!落ち着いて、くれよ!!もう!!!」

ジニー「ロンったら、首まで真っ赤」

ハニー「顔中お母様にキスされてるわ、ふふっ」

フレッジョ「「オェッ」」

モリー「ぐすっ、感動的過ぎて泣けてきたわ」

ロン「勘弁してよ、もう。鳴くのはヒンヒンで十分だよ……ヒンヒン」

ハニー「なく違いよ、お母様にそんなまねさせないわよ」

モリー「ごめんなさいねロン、あなたが産まれて来たとき一瞬、ほんの一瞬だけ、また男の子か……と思ってしまって」

ロン「僕だって何度僕ってなんで女の子じゃないんだろうと思ったことかここ四年ほど!!マーリンの髭!!!」

モリー「グスッ、ずずっ。さぁ、ロニー。なにが良い?パーシーにはふくろうを買ってあげたけど、おまえはもうもっていますものね?」

ロン「な、なにがだい?か、買う?うん?」

モリー「ご褒美をあげなくっちゃ、そうでしょう!?あぁ、可愛い可愛いロニー!」

ロン「!? そ、そんな悪いよ!ママ、僕……僕あー——」

モリー「なにが欲しい?言ってごらんなさい?」

ロン「は、ハニーの愛とか」

ハニー「年中無休で受け取ってるでしょう?」

ロン「そうだったねヒンヒン!」

ジニー「お金で買えないわよね、うん」

モリー「新しいダンスローブなんてどう?おまえはあれが気に入っていなかったでしょう?」

フレッド「僕らが買ってやったよ、まったくドブに捨てたも同然だったな」

ジョージ「これならまだドロ沼に沈めてやったほうが自然によかったよな」

ロン「あー——ママ、ほんと、無理ならいいんだ。あのさ……一度、一度でいいから」

モリー「えぇ!何でも言ってごらんなさいな!」

ロン「ほ、箒!自分用の箒が、欲しいんだ、僕……だ、ダメかな」

モリー「……もちのおまえでいいですとも!えぇ、お祝いだから当たり前よ!さっ、こうしていられないわ!箒も買うとなるともう行かないと。みんな、またあとで。昼食はトンクスに任せていますからね」

フレッド「正直に言いなよママ、つまり昼食抜きだろ?」

ジョージ「あの人に忠実に料理なんて無理な相談だよな」

モリー「だ、大丈夫よ、あたためるだけだもの——」

  チュドーーーーーーーン!!!

  トンクス「うわぁああああああああ!!大鍋爆発したーーーーーー!?!?!?」

モリー「……急いで作りなおしてから、いくわ。またあとで。あぁ、ロニー坊やが監督生! 荷造りはしておくんですよ!あぁ私、どうしていいやら!ロニー!その可愛いほっぺをもう一回ままにおだし!んー、まっ!」

ロン「やめてって、ママ!!あぁ、もう!マーリンの髭!」

フレッド「僕らもお前にキスしなくていいか?ロニー様」

ジョージ「跪いて手の甲にしてもいいぜ?ロニー様々?」

ロン「やめろよ。さもないと……」

フレッド「減点するってか?おぉ、怖い怖い。我らの悪戯三昧の日々もこれにて終幕かもなぁ」

ジョージ「僕らを罰則するってか?ハッ!面白いからやらせてみたいもんだね終末までにさぁ」

ハニー「気をつけなさいよ、二人とも。ロンはもう、それが出来る立場なのだから」

ロン「あー、ハニー。あの、君の命令ならあれだけど、僕は、あー。この二人のやる事には別に……マー髭で」

フレッド「なんとも頼もしいお言葉ですな、監督生さん!ハッハハ!せいぜい学校に奉公しろよ!」

ジョージ「頼り甲斐のある模範生だ。へいジニー、ビルが下にいるから報告しにいってやろうぜ?」

ジニー「ほんと?行くわ。おねぇさま、あとでまた!ロン、ほんとおめでヒン(監督生だなんてさっすがおねぇさまの一番の豚よね豚一同を代表して貴殿の益々の豚としての活躍に期待をこめてもう一度、おめでとう!)」

ガチャッ バタンッ

   フレッド「ロニー坊やがっ、っ!っ!かん、監督生!だってよっ!!」

   ジョージ「ねーよ!っははは、あーーーっははは!ねーーーーーよ!」

   ジニー「ちょ、ちょっと!笑いすぎよ!ねぇ!」

   フレッド「おーきくなっちまって!こりゃ僕らの助けなんてもういらないな!え?」

   ジョージ「あぁ、まったく!これで心置きなく最後の年を迎えられるってもんだ!」

   ジニー「だから、もう!……最後?何言ってるの?二人はまだ六年生じゃない……???」


ロン「ちっくしょ、あの二人笑いやがってさ。マーリンの髭」

ハニー「やっかみもあるでしょうけれど、二人なりに本当に嬉しいのもあると思うわよ?」

ロン「どうだか。まぁ、君が言うなら正しいんだろうけどさぁ……箒、箒かぁ」

ハニー「良かったわね。これで飛べる豚になれそう?」

ロン「あぁ!それに——いや、抜けぬマーリンの髭算用はやめよう。ママについて買い物にいければいいのになぁ。ニンバスは高くて絶対無理だけど、クリーンスイープの新しいのが出てるんだ——型落ちでいいから、新品がいいな」

ハニー「えぇ、お母様にそう伝えたほうが、いいのじゃない?」

ロン「うん、そうだね。流石ハニー!ヒンヒン!ちょっと急いで行って来るよ!君の言葉はいつだって僕の心に響いてくるよな!もちの僕で!」

ハニー「えぇ、行ってらっしゃい。ロン、本当におめでとう」

ロン「君に褒められるなんて光栄だよハニー!こんなバッジよりずっとずっとね!あぁハニー!僕のハニー!  ねぇ、ハニー」

ハニー「なぁに? さぁ、早く行きなさいな。お母様が出発してしまうわよ?」

ロン「ダンブルドアは、さ。何か考えがあるんだと思うよ。だから、こんなバッジがあるかどうかじゃ、君の価値なんて変わらない。それを、分かっててほしい」

ハニー「……」

ロン「——それに、ほら!僕とハーマイオニーが監督生だけど、君はそれよりもっともっと偉いグリフィンドールの女王様だからね!君に付き従うのは変わりないよ!もちのロンで!」

ハニー「……えぇ、ありがと。さっ、行きなさい。私の豚」

ロン「ヒンヒン!」

ガチャッ バタンッ

ハニー「……」

ツカッ、ツカッ、ツカッ

ボフッ

白豚「……ピィーヒン?」

ハニー「……ううん、ヘドウィグ。別に、気分が悪いわけじゃないの。ただ、すこしこうしてたいだけ。眠らないから……心配しないでね」

ハニー「……」

ハニー「分かってる。ハーマイオニーは、とっても良い子だもの」

ハニー「規則をよく分かってて、それを守るのがどれだけ大事かも分かってる。破る程度も、分かってきてる」

ハニー「ロンは、ロンはとっても気が利くわ。私のこと、支えてくれてる。なんだかんだ言って、きっと寮のみんなのことも見てあげられるはず」

ハニー「監督生に、ぴったり、なのよ。二人とも」

ハニー「二人が一緒に、っていうのもステキだわ。だから……だか、ら」

ハニー「応援、したい、のにな」

ハニー「……ハーマイオニーより、わたしのほうが、って、思っちゃう」

ハニー「ロンがなれるなら、特例を作ってでも私がなっても、って、思えてしまう」

ハニー「……またのけ者はごめんよ、って、どうしようもないことを、思ってしまう」

ハニー「……監督生を選ぶのであろう、あの人にも。ダンブルドア、にも」

ハニー「どうしてあの二人なの、って」

ハニー「あなたはわたしがこれまでしてきたこと、一番よく分かってくれてるはず、なのに」

ハニー「一番、褒めてくれた、のに。そんなあなたがどうして、選んでくれないの、って」

ハニー「……」

ハニー「わたし、嫌な子だ」

ハニー「とってもとっても、嫌な子、だわ」

ハニー「……ヘドウィグ、おいで。ちょっとだけ。すこーしだけ、こうさせて」

ギューーッ

ヘドウィグ「……ピーィ」

ハニー「……二人のお祝いの時には、良い子で、いたいから。ナイショね、ヘドウィグ」

ここで一度区切る
正午近くに再開。夕方までかけてお別れ会から列車までいければえぇな
じゃあの

再開
その前に訂正
>>598
ジニー「だから、もう!……最後?何言ってるの?二人はまだ六年生じゃない……???」
はなしで。双子が後々早めにあれすることに気を取られとった。マー髭。双子は今年七年やわ
数字に弱いけすまんの



モリー「みんなグラスはもった!?いきわたりましたか!えぇ、トンクス。あなたは座ったままでお願いね」

トンクス「そ、そうよね。めでたい席だし、こぼしちゃいけないよ、うん。おとなしく……うわぁ!?あー、肘がタルトに……ご、ごめん」

リーマス「すぐにみんな手をつけるんだ、気にすることはない。さぁ、モリー。音頭を」

モリー「えぇ!それじゃ、乾杯しましょう!新しい監督生おめでとう!ロン!ハーマイオニー!」

カンパーーーイ!

ロン「こ、こんなもんしてもらなくってもいいのにさ!まったく!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「あー、みんなありがとう。私、がんばります」

フレッド「おい聞いたか相棒、あの才女様々がこれまで以上に口うるさくおなりになるみたいだ」

ジョージ「そりゃいいニュースだぞ。益々ズル休みスナックボックスの需要がうなぎのぼりだな」

ハーマイオニー「いっておきますけど、私の目がハニーから離れている間はそんなもの売りさばかせませんからね!」

ハニー「それじゃ商売大繁盛ね、二人は。おめでとう、ロン、ハーマイオニー」

ロン「ありがとうハニー!何度でも言うよだって君に対する感謝は君が存在するだけで思わず口からこぼれでるくらい自然のせつりでありがとうハニー!ヒンヒン!」

モリー「さぁ、さぁ!お父様とビルにも知らせたらすぐに来るそうだけど、ロンには私たちからのプレゼントを先に渡してしまいましょう!さぁさ、ロニー!おまえの箒ですよ!」

ロン「! やったぜ、やった……ママ!?マジかよマーリンの髭!!髭!!クリーンスイープ11号、最新じゃないか!!!!」

モリー「ご褒美ですもの!奮発しなきゃ!」

フレッド「おうおう、俺たちも盛大に奮発してやろうぜ相棒」

ジョージ「あぁ、あぁ。まずはくそ爆弾の百連発と行こうか」

リーマス「いろいろな意味で後が怖いからやめてほしいね。ハーマイオニー、君の親御さんは喜んでいたかい?」

ハーマイオニー「えぇ、結局そこの角の電話ボックスで知らせたのだけど、とっても。後からお祝いも贈るって」

ハニー「今夜も私から受け取るでしょうけれどね」

シリウス「? なんだね、部屋でブラッシングでもしてあげるのかい?」

リーマス「それが褒美なのは君くらいだろう」

ギィィィッ

ムーディ「この騒ぎはなんだ!?敵か!?呪うぞ!!!」

モリー「あらあら、アラスター。いらしてくれてうれしいわ!さぁさぁ、そんな物騒なものは下ろしになって!」

ムーディ「むっ、そうか——むっ!?おい!?」

トンクス「……すっごいや、モリー、マッド-アイから杖奪って後ろにまわって、お尻のポケットに突っ込んじゃった」

リーマス「母の力というのは偉大だね、あぁ」

モリー「お祝いの席なんですよ、今日は!あぁ、でもその前にお願いしたいことがあるの。客間の文机を見て、何が中に入っているのか教えてくださらない?いつもガタガタ言っていて、きっと『まね妖怪』だとは思うのだけど」

ムーディ「祝いだと?え?それにかこつけて毒殺するつもりじゃないだろうな。わしはこの瓶からしか飲まんぞ……客間だな?むっ……なるほど、確かにまね妖怪が入っとる。わしが行こうか?」

モリー「いえ、いえ。私があとでやっておきましょう。今ならとっても簡単に追い払えそうな気がしますもの」

ムーディ「むっ、そうか。だが油断大敵!忘れるな?え?」

ハニー「ここからでも壁やらなにやら見透かしてしまうのね、ムーディ先生は」

ロン「便利だよな……あれっ、おいおい、ちょっと待てよ?」

ハーマイオニー「! そうよ、それならマッド-アイはまね妖怪の本当の姿——」

ロン「服やらなにやらまで透視できるってことかよマーリンの髭!髭!!ハニー!こんどからあのおっさんの前に立つときは僕を挟んでくれよ君の豚の僕をね!!もちのロンで!!」

ハーマイオニー「そっち!?   いえ、重要ね!!重要ねそれは!!!!」

ハニー「あの人ほど達観してたらそんなものいちいち見ないでしょ、もう」

ムーディ「何を騒いどる、聞こえとるぞ。第一、わしがこれをいれたのは十年くらい前のことだ。ガキじゃあるまいし、その頃には女の裸など見飽きとる」

ロン「この野郎!!!!!!!」

ハニー「……危険な男にはロマンスがつきもの、というやつかしら」

ハーマイオニー「シリウスのほうを見ながら言うといいたいこと筒抜けよ、ハニー」

ムーディ「それで?祝いというのは?誰か腕でも欠けたメンバーの退院祝いか?」

モリー「後ろ向きなお祝いになさらないで。ハーマイオニーと、うちのロンが監督生になったの!兄弟で四番目よ!」

フレッド「数的にゃ上から六番だけどね」

ジョージ「僕らは欠番さドンケツだしな」

ムーディ「むっ。監督生……なるほど?」

ハニー「……えぇ、私のロンとハーマイオニーが。さすがでしょう?」

ムーディ「うむ、まっことめでたいことだ。お二人さん」

ロン「うわっ!は、はい!」

ハーマイオニー「あ、ありがとうございます……」

ムーディ「権力は持っていて損はない。使い方を間違うとあの馬鹿のようになるが。して、権力を持ったものは往々にしてトラブルを引き寄せるものだ。だがダンブルドアは、お前たち二人が大概の呪い程度に遅れはとらんと判断したのだろうな?え?油断大敵!忘れるな。試しておくか?ん?」

ロン「ま、まままマーリンの髭!」

トンクス「いーじめないでよマッド-アイ。お二人さんおめでと」

ハーマイオニー「ありがとう、トンクス。あっ、今日は赤毛なのね。素敵だわ」

トンクス「あんがと!ハニーとお揃いってね!あとおでこ、ほら!傷も!ハニー、どう?今回は鏡みながらやったからね!ばっちりだよ……あれ?」

ハニー「あー……」

トンクス「……だからこれだと逆じゃない!!あぁ、もうわたしってさぁ……こんなんだから監督生に選ばれなかったんだろうなぁ」

ムーディ「あと目上に対する態度とかだろう、うん」

トンクス「マッド-アイは敬意払われるタイプじゃないでしょ?あー、でもよくお行儀よくなさいってスプラウト先生に言われたっけ。んー、チャーリーも割と滅茶苦茶してたけどなぁ」

ジニー「滅茶苦茶って?」

トンクス「うん、温室での合同授業でさ。作業中に居眠りしてて、スプラウト先生が怒ったら『チャーリーは夜明けまで飛んでたんです許してやってください!!』ってグリフィンドールの総土下座だよ」

ロン「……ほらハニー、監督生なんて大したあれじゃないんだよ、な?」

ハニー「あなたのお兄さんが規格外なだけだと思うわ」

ジニー「今度の手紙でチャーリーに監督生の話聞こうっと。シリウスは?」

シリウス「ハッハッハ!バウワウ!誰も私を監督生にするはずがない、そうだろう?ジェームズと悪戯ばかりしていたし、罰則三昧だ。ただし、点も引かれた倍は稼いでやったがね」

ハニー「……そうなの!」

ロン「この晴れやかなハニーの顔だよ、素敵だけど」

ハーマイオニー「仕方ないわ、素敵だからいいわよ、もう」

シリウス「リーマスは、そうだな。『良い子』にしていたから、五年生の時バッジをもらえた。そうだろ?え?」

リーマス「あぁ、君たちが一時期ピーマスと呼び出した時は怒りのあまり満月を早く迎えるところだった」

シリウス「あのねずみとかぶるからすぐにやめにしたがね。何より、語呂が悪い」

リーマス「君たちの意地とか性格もね。とにかく、ダンブルドアは私が親友たちをおとなしくさせられると思ったのだろう。見事失敗だったわけだが」

シリウス「あぁ、おかげでむしろやりやすくなった。監督生用の浴室も使い放題で……あぁそうだ、君たちも今年からはそうなるな。いいか?緑の蛇口に触れるなよ?」

ハニー「大惨事よね」

シリウス「おや、知っていたかいハニー。あぁ、例のアレでか。使いこなしているようでうれしいよ」

ハニー「えっ。え、あ、まぁ……そうね。私だもの、あの……」

ビル「監督生用の浴室の話?あそこはいいよな、綺麗だしおちつくし。やぁみんな。それでロン、ハーマイオニー。おめでとう」

ジニー「ビル! パパも!」

アーサー「知らせを聞いて飛び上がったよ。あぁ、ロン。よくやった」

ビル「まったくだ。それで、おーいフレッド、ジョージ」

フレッド「なんだよ優等生組、いそいそとやってきて」

ジョージ「俺たちゃドンケツをさするので忙しいんだ」

ビル「そうか?この間の——銀行からの融資の話の——お土産があるんだけどなぁ」

フレッジョ「「ようロニー!!!ちょっくら胴上げさせろよ!!!」」

ロン「うわぁ!?おい、おいなんだよやめろよ!!!僕をハニーの頭より高い位置にあげるなよ!ま、マーリンの!マーリンの髭!髭!!」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

ロン「十秒で120キロまで加速さ。悪くないだろ?ハニーの美しさは千里を駆けるけど」

トンクス「いいなぁ、コメットなんて最新型でも100ちょっとがせいぜいだよ……追い風で」

ハーマイオニー「監督生の業務ってどんなものがあるのかしら。放課後は拘束される?私、責任を負うのは望むところだけど勉強はおろそかにしたくないし、何よりハニーとの時間が——」

ルーピン「それほど仕事を押し付けられるということもないけど、君がどれくらい監督生然として過ごすかによるだろうね。やろうと思えば朝から晩まで生徒に文句をつけることができるわけだ」

ビル「そう、君がロンにカリカリするみたいにさ……冗談、冗談だよ。ハハハ——ママ!いきなり髪をつかむのはやめてくれよ!」


モリー「ほら、ジニー。やっぱりビルの髪は伸びすぎでしょう?絶対に短いほうがいいわ!」

ジニー「いいじゃない、かっこいいもの。それに、伸ばせるときに伸ばしたほうがいいと思うわ」

アーサー「そのとおりだよ、だから髪の話はやめよう」

シリウス「モリー、あまりうるさく言うのはやめておけ。若い頃はみんな自分のしたいようにするものだ。私も十代後半から伸ばしていたよ」

モリー「えぇ、えぇ!初めてみたときはどこのロックミュージシャン(笑)の若造かと思いましたよ!」

シリウス「あぁ、ハハハッ。昔マグルの、なんだ?警官?とかいうのにもそんな眼で見られたな、懐かしい。あのときはジェームズと一緒にまさに格好もそんな風だった……おや?ハニーはどこにいった? 糖蜜パイでも取りにいったかな」


キングズリー「ダンブルドアはなぜポッターを監督生にしなかったのだろう?私にはわからない」

ムーディ「あいつのことだ、何か考えがあるのだろう」

キングズリー「考え、そうだな。しかしそうすることで放っておきっぱなしにすることへの謝罪にもなっただろうに」

ムーディ「そんなくだらん情などであいつは判断せん。いかに自分の……うむ?」


ハニー「……みんな、話が弾んでるわ」

ハニー「……」

ハニー「……楽しいけれど。シリウスの言葉に励まされて、とっても楽しく思えたけれど」

ハニー「まだ、やっぱり……なんだか、もやもやしてしまうわ」

ハニー「……私、ベッドに戻ったほうが、みんなのためじゃ……」

ムーディ「こんな隅っこでどうした、え?食事に毒はなかったように思うが、盛られでもしたか?」

ハニー「……ムーディ先生」

ムーディ「先生ともう呼ぶな、呼び名は統一しろ混乱する」

ハニー「……割と影になっている場所だと思ったのに」

ムーディ「そういうところにこそ輩がおるからな、わしは定期的に確認しとる。どれ、なんだ、元気がないお前さんに面白いものを見せてやろう」

ハニー「……面白いもの?」

ムーディ「ポドモアの奴がわしの一張羅の『透明マント』を返しにこんし、古いほうの予備は効果が薄れてきおってな。まだどこかにあるはずだ、と家中をひっくりまわしておったのだが……」

ハニー「? 効果が薄れる?何をおっしゃっているの?」

ムーディ「うん?『透明マント』の透明効果の話だが……おぉ、これだ、これだ。不死鳥の騎士団設立時の写真だ、どうだ?え?」

ハニー「……そんなものがとってあったのね。あぁ、みんなが手を振ったり、乾杯したりしているわ」

ムーディ「わしはそんなものは残さなくていいと言ったのだがな……うん?モリー、あれにいくのか?」

モリー「えぇ、マッド-アイ。デザートもお食べになってね。私は食後の運動にサクッと『まね妖怪』をたたき出してきますから」

ムーディ「油断大敵だぞ! モリーはこの写真にはおらん。騎士団のメンバーではなかったからな。あの頃あいつは……そうだな、少し大変だった」

ハニー「? あぁ、誰か、子供が生まれた頃なのね」

ムーディ「そうだ。それにこのあとすぐ……やめにしよう。真ん中はダンブルドアだ、いまより髭が短いな。隣はわしだ。まだ鼻がちゃんとついとるじゃないか、え?」

ハニー「えぇ、かっこいいわ」

ムーディ「誉めても眼しか取り出せんぞ。こっちがディグル、こっちがマッキノン夫婦。それに、この二人がアリスにフランク・ロングボトム……わしの教え子だった」

ハニー「……ネビルの」

ムーディ「いい腕をした『闇払い』でな……あんなことになるのならば、鍛えないほうがよかったのかもしれん。こっちはエメリーン・バンズ、おまえの救出舞台にいたあいつだ。それに、ルーピンとブラック。若いが即戦力としてダンブルドアが迎え入れたメンバーだ。この時はお前と五つも離れとらんぞ?え?」

ハニー「私なら、もう入ってもおかしくないけれどね」

ムーディ「言いよるわ小娘が。フェンフィックにディアボーン……どちらもこのあとすぐにやられた。ディアボーンは遺体もみつからなんだ。ポドモア、なんと、若いな。この頃から借りたものを返さない癖があった……こっちはハグリッドだ、うむ、まっこと、何年たってもこいつは変わらん。でかくてひげもじゃだ」

ハニー「……ふふっ」

ムーディ「ギデオンとフェービアン・プルウェット兄弟……雄雄しく戦った。死喰い人五人を道連れにした。あぁ、妹に手出しさせんと思ったのだろうな」

ハニー「……妹さんがいらっしゃったの」

ムーディ「兄弟といえば、そうだな。こいつ、こいつはダンブルドアの弟でアバーフォース。似とるが、少し間抜けた顔だろうが?一度しかあっとらんが、変なやつだった……おぉ、やっとみつかったわ。おい、どいとくれ、どいとくれ。ほら、この二人だ」

ハニー「……あ」

ムーディ「リリーとジェームズ・ポッター!お前さんがこれを気に入ると思ってな」

ジェームズ『ハハハハハハハハ!』

リリー『————』ニコニコ

ハニー「……声は聞こえないはずなのだけれどね……あぁ、二人……あぁ……二人の、間に」


ピーター『————』

ハニー「……ピーター」

ムーディ「むっ?気に入らんか?うん?」

ハニー「——いいえ、その、とっても興味深かったわ。ねぇ、ほかのみんなに……シリウスたちに見せてあげれば、もっと喜ぶんじゃないかしら。その、私、荷造りが済んでなかったのを思い出したの。パパとママの、アルバムとか、出しっぱなしだわ。思い出させてくれて、ありがとう……それじゃ!」

タッタッタッタッタ

バタンッ!


ムーディ「……」

トンクス「……馬鹿じゃないの?」

ムーディ「……うるさいいつからいた」

トンクス「わたしだって闇払いだから注意くらい払うよ。まったく……ちょっとリーマスとシリウスに話してくる」

二階

ハニー「……」

ハニー「……あんな写真、見たことなかったわ」

ハニー「……そうよね、ピーターは最後の最後にパパが気づくまで、パパたちの親友だと周りに思われていたのだもの」

ハニー「本当は、あのアルバムにもたくさんうつったものがあってもおかしくないのよ」

ハニー「……ハグリッドがわざと、ピーターの映っているものははずしてくれていたのよね」

ハニー「少し考えれば、わかっていたはずなのに」

ハニー「……でも、パパとママが。二人と、ピーターが一緒にいるところ、なんて、見せられたら」

ハニー「……」

   「 あぁ、やめて! もう、もうやめて……!!」

ハニー「!? この声……客間のほう?」

   「あぁ、なんてひどい……うぅ、ぅぅぅっ」

ハニー「……」

ガチャッ ギィィィッ

モリー「あぁ、ロン!ロン……死んで、しまうなんて……!!」

ロン『』

ハニー「!? そんな、そんな——そんなこと、ありえないわ。だって、ロンはついさっき——お母様、杖!杖を!」

モリー「! り、り、『リディクラス』!」

バチンッ!!

ビル『』

ハニー「!今度はビルの、倒れた姿……」

モリー「やめてーっ!『リディクラス』!『リディクラス』!『リディクラス』!」

バチンッ!

アーサー『』

バチンッ!

フレッド『』ジョージ『おい、おい相棒、冗談はよせ——』

バチンッ!

パーシー『』

バチンッ!

チャーリー『』

バチンッ!

ジニー『』

バチンッ!

ハニー『』

ハニー「っ、この私のまねなんておこがましいわねまね妖怪風情のくせに!お母様、立って!ここから出て!!!」

モリー「ハ、ニー……?」

シリウス「何事で……ハニーィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!?!?」

リーマス「君、『闇の魔術に対する防衛術』の先生には向いていないようだよ」

ギューーーッ

ハニー「っちょ、っと、シリウス!苦しい、苦しいから!いいから、お母様のほうをささえ、んっ!ちょ、っと!耳に、息、が!!ねぇ!!!」

リーマス「……『リディクラス、ばかばかしい』ほんとばかばかしいよ」

バチンッ!

満月『』

リーマス「あぁ、今はそれを見ても恐れなんて感じないのさ残念なことにね。消えてくれ」

スウゥゥゥッ

モリー「おぉっ——おぉ、おぅ——うぅ、っ、ぉぉおっ——」

シリウス「心臓が止まって犬に生まれ変わるかと思った……モリー……さぁ、リーマスがあいつは蹴散らした。何もいないよ、君に悪夢をみせるやつは」

リーマス「ただのまね妖怪だ、モリー。そんなに——おっと。あぁ、泣くのはとめないがね、抱きとめさせてもらうよ」

モリー「あぁっ、なんて——私、いつも夢に——不安で不安で——!」

リーマス「……」

シリウス「……」

モリー「あぁ、ハニー——おばさんに失望したでしょうね?あんな簡単なまね妖怪も、追い払えない、ないんて——」

ハニー「……そんなことないわ、お母様。わたし、あれに何度も気絶させらているもの。だから……」

モリー「あぁ、私——私、心配で。家族の半分も——騎士団にいる!みんなが、みんなが——兄さんたちみたいに、なってしまったら、って——!!」

ハニー「兄さん……そういえば前にシリウスが、プルウェットって……あぁ……あぁ、お母様」

モリー「ハニー、ハニー!あなたみたいな優しい子まで、あぁ——!殺されてしまったら、と考えてしまって——パーシーとも仲直りできないままだったら、どうすれば——そのままお別れになって、しまったら——いつも二人一緒のあの子たちになにかあったら——アーサーや私が死んだら、ロンやジニーは——誰が面倒を!」

シリウス「……あの頃とは状況が違う。モリー、あの頃は私たち一人に対してやつらが二十人もいたんだ。あぁはならない、絶対にだ……それに、パーシーのことだがね。いつか気づいて、こちらに戻って頭を下げるさ。まぁ、私は一度頭をはたいてやらないと気がすまないだろうが。これはみんなに言えるかな?どうだい?」

リーマス「あぁ、眼鏡にヒビを入れてやろう、お手の物さ。それに、ロンとジニーのことだけど。もしも仮にそうなったとして、二人を路頭に迷わせると思うかい、モリー。私たちはちゃんとした大人のつもりだったのだが」

シリウス「あぁ、なんなら私を二人の後見人にすればいいさ。ドンとこい。片側の胸はハニーで埋まっているから、片方に二人抱え込むことになるがね」

モリー「——ふふっ、えぇ——ぐすっ、わたし、馬鹿なことを……ハニー」

ハニー「……えぇ、お母様。馬鹿なことなんかじゃ、ないわ。お母様は、とっても優しいから……みんなの、お母様よ?」

モリー「あり、ありがとうね、本当……あぁ、ハニー。今年、今年、こそは、学校で、お利口にしていて、頂戴ね?約束して?」

ハニー「……二人も監督生がいっしょなのだもの。流石の私も、そうなると思うのだけれど。そうでしょ?」

ハニー「……寝室まで送らなくても、よかったのに」

シリウス「あぁ、君は強い子だからな、いらないことは分かっている。私たちがそうしたかっただけだ」

リーマス「一応は、言っておくよ。ハニー、今日みたことは、誰にも——」

ハニー「話さないわ。当然、ロンやハーマイオニーにも」

リーマス「……言うまでもなかったね。うん、それじゃ、早く休みなさい」

シリウス「明日からは学校だ……楽しんできなさい。私のことなど忘れて」

ハニー「無理よ」

シリウス「……いいかね、ハニー。君には君の生活がある。こんなところで閉じ込められている者のことなど気にかけていては、楽しい学生時代を棒に——」

ハニー「それじゃ、シリウスは私のことを忘れたままここに閉じこもるというの?」

シリウス「それは——違う。しかし」

ハニー「だったら私だってそうするわ……とめる権利なんてないでしょ?」

リーマス「シリウス、君の負けだ。思えばこの目をした相手に君が口論できるはずがないんだ」

シリウス「……まったくだ。あぁ、ハニー。とても嬉しく思うよ。たまに手紙を書こう。返事をくれ」

ハニー「えぇ。リーマスも。私、せめて二人が元気にしているって分かれば、とっても勇気付けられるから」

リーマス「っ、っ、そうかい?あぁ、それじゃたまに書かせてもらうよ」

シリウス「小さくこぶしを握るのはやめてもらえるか肘があたる。それじゃ、ハニー。おやすみ」

リーマス「さっき追い払ったまね妖怪がどこかにいたら、ばかばかしく笑って追い払っておくれ」

ハニー「えぇ……ねぇ、そういえば。リーマスは、まね妖怪は満月に変わるでしょう?」

リーマス「あぁ、不発に終わったけどね」

ハニー「シリウスは……なんに、なるの……」

シリウス「私か?私……そう、だな」

ハニー「……」



シリウス「……君のご両親だろう。私は、あの二人に……おや」

ハニー「スーッ、スーッ」

リーマス「……眠ってしまったようだ。いろいろと、疲れたんだろう……それより君は、なんてことを言おうとしているんだ、まったく」

シリウス「……」

リーマス「……モリーのことを笑えるのかい、パッドフット」

シリウス「……後悔をする時間だけはあったんだよ、ムーニー」



モリー「こら!!まちなさい!!ジニーに大怪我をさせるところだったのよ!?分かっているのこの馬鹿息子!!」

フレッド「さーてね!僕らは赤と金色のバッジなんてもらってないからまったくさっぱりさ!許せよなジニー!」

ジョージ「ほーらよ!僕らの特性ハニーカラーの伸び耳をやるからさ!それできれいさっぱり水にながせよな!」

ジニー「あいたたた……許すわ!」

ロン「毎年のことだけど、新学期の移動前は騒々しいよね。ハニーを思う僕の心の内ほどじゃないけど」

ハニー「えぇ、騒音すぎて公害レベルね」

ハーマイオニー「ただでさえ今は、あのシリウスのお母さんの声で大変だけどね」

『キィエエエエエエエエエエエエエエこの穢れた血!血を裏切る者!芥の輩——』

モリー「語彙の足りないうるさい女は黙ってなさい!!こら!!待ちなさい!!!」

ロン「そんでママとの大合唱ってわけだ。朝から元気だなぁ」

ハニー「……ほんと、元気になってよかったわ……っ」

ハーマイオニー「……あなたの方こそ、そうだといいのだけど。また傷が痛むの、ハニー?」

ハニー「……平気。ハーマイオニーこそ、ベッドから立ててよかったわね」

ロン「あぁ、君たちついさっきまでヒンヒンがヒンヒンでヒンヒンだったもんな?うん?ヒンヒンうるさい?豚以外にはそう聞こえるんじゃないかな」

モリー「さぁ、ハニー、ロン、ハーマイオニー!こっちにおいでなさい!荷物は持たずに、マッド-アイが面倒みて駅まで厳重に運んでくれますからね!」

ハニー「お願いするわ、マッド-アイ」

ムーディ「手榴弾など入っとらんだろうな?え?」

ハニー「どこで手に入れるというのよ……あなたは正確に知ってるのね、流石だわ」

モリー「ここからキングズ・クロスまで歩いて二十分もないわ!ゆっくり、安全に行きなさい。トンクスが引率して……あぁ、うそでしょう?」

犬「バウワウッ!」

ハニー「!? し、シリウス!?」

モリー「……シリウス!ダンブルドアが、絶対にいけないと言ったはずです!!!」

犬「クゥーン?」

リーマス「……『なにをいっているのか、わた、ぼくスナッフル、はにーのおともだちだよっ☆』だそうだ」

ハニー「し、シリ、スナッフル。そんな、気持ちはとってもとっても、とっても嬉しいけれど……」

モリー「あぁっ、もう!時間がないというのに!それならご自分の責任でそうなさい!ただし、ハニーに何かあったらただじゃおきませんよ!」

犬「バフッ!」

ハニー「! お散歩できるわね、シリウ、スナッフル!」

ロン「言ってる言ってる」

ハーマイオニー「ハニー、ハニー、とりあえず落ち着いて。スリッパは脱ぎましょう?駅についてから恥をかくのはあなたよ?」

リーマス「シリウスにいたっては恥も外聞もないようだけどね」

トンクス「よっ!ハニー……うわ!?何その犬!呪うよ!?」

ハニー「えっと、あなたのお母様のいとこよ!」

トンクス「あっ、あー……そういやこんなだっだわ。何してんの……」

犬「バウワゥ!」

トンクス「いやリーマスじゃないんだから犬語わかんないよ、わたしは」

ロン「僕らからしてみりゃ、ママから聞いてなかったら君がトンクスだっていう方が信じられないんだけどね」

ハーマイオニー「いつもみたいに一部分だけ変えるんじゃなくて……今日は全身そっくり老婆になっているのね」

トンクス「大したもんでしょ?あーー、うぉっほん。たいしたもんじゃろが?え?さぁーて、ハニィや。駅に向かおうかねぇヒェッヒェッヒェッヒェ!」

ハーマイオニー「……やりすぎよ」

犬「キャンキャンッ!」

ハニー「ふふっ、シリウスったらとってもはしゃいでるわ」

ロン「君こそねハニー!あぁハニー!はしゃぐ君って素敵だよヒンヒン!」

ハニー「ロン」

ロン「なんだいハニー!」

ハニー「四足歩行だと、豚と犬って、どちらが速いのかしら」

九と四分の三番線

ポーーーーーッ!

ネビル「ハニー!あぁハニー!会えて光栄だよハニー!ヒンヒン!ろ、ロン?なんで出会って即効死にそうなくらいフラフラしてるんだい!?ロン、ローーーーン!?ホームから落っこちるよーーー!?!?」

ロン「ぜぇ、ぜぇ、聞くなよ、ネビル。豚の中の漢の君にだって、譲れないものがあるのさ。ゼェ、ゼェ、マーリンの髭」

犬「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ」

トンクス「見ものだったなぁ。ロンったらすごいね、箒いらないんじゃないの?」

ハニー「二人とも、全力疾走することないじゃないの……」

ハーマイオニー「意地の張り合いをけしかけたあなたが言わないの、まったく。こんにちわネビル」

ネビル「うん!あっ、女の子の監督生はハーマイオニーだったんだね。おめでとう。ハニーは僕らの女王様だけど」

ハーマイオニー「えぇ、はいはい。私のほうが偉いなんて微塵も思っていないから安心して頂戴」

ネビル「そういえば、ハニー犬を飼ってたんだ。いい犬だね、豚と同じくらい!ヒンヒン!」

犬「クゥーン?」

ハニー「えぇ、私の大事な、家族よ。そうね、あなたたちくらいにね」

ロン「ヒンヒン!」

ネビル「ヒンヒン!」

犬「バウワウッ!!」

ハーマイオニー「……スナッフル、隣に立ってる私に当たって痛いくらい尻尾をふるのはやめて」

フレッド「到着、っと。おぉっと、聞いてた通りにあの犬公はまったく元気にやってるな、え?」

ジョージ「日の光をずいぶんと浴びてなかっただろうしな、あそこじゃ陰気にもなるってもんだ」

モリー「はいはい、あれにかまっていないの。すぐに出発ですよ……アーサー!ジニー!どこ!?」

アーサー「ここだよ、モリー!みんな着いたようだね。さっ、はやく乗りなさい」

ルーピン「荷物も、到着だ。マッド-アイ、やはりぎりぎりになってしまったじゃないか。間に合ってよかったが、ハニーたちに着替えなしで生活させるところだったんですよ?」

ムーディ「何か仕掛けられて死ぬ目にあうよりマシだろうが!油断大敵!あとポッター!」

ハニー「なぁに?」

ムーディ「下着にまで名前を書くのは相手が萎えるからお勧めせ——」

ハニー「 あ な た 何 言 っ て る の ! ! ! 」

ロン「どうなのさ、そこんとこ」

ハーマイオニー「書くというより、綺麗な刺繍だからむしろ関心するわ」

ハニー「黙って!!黙って!!シリウ、スナッフル!!とってきて!!!」

犬「!! バウワウ!バウ!」

リーマス「あぁ、うん、それは有効な手だよハニー。分かってきたじゃないか」




マルフォイ「……フォーイ?……いや……ふぅーん……?」

ポーーーーーッ!

リーマス「みんな、乗るんだ。気をつけて。ハニー、行ってきなさい」

ムーディ「まっこと、目ん玉をひん剥いて目立たぬようにするんだぞ?」

トンクス「このデリカシーない人はあとでわたしがひん剥いておくから安心して。じゃあね。みんなに会えてうれしかった」

アーサー「手紙を書くときは内容に気をつけて。迷ったら、むしろ書かないほうがいい」

モリー「でも、あぁ、一言でいいから手紙を頂戴ね!みんな、みんなよ!いいこと、フレッド、ジョージ!」

フレッド「僕らかい?まっかせてくれよおふくろ!」

ジョージ「学校からの罰則の届けが大量だろうさ!」

モリー「あぁ、あぁ!それでもいいから!母さんにしっかり、元気でいることを伝えてちょうだい!いいわね!あぁ、おまえたち!元気で!お願いよ——!」

犬「バウワウッ!!」

ハニー「みんな、ありがとう!行ってきます……んっ!スナ、ッフル!い、行って来るわ……手をなめたりしたら、汚いじゃない!もう!」

ロン「あぁハニー!分かるよハニー!それでもその手は拭かないんだよねまったく君ったら最後まで痛い!ありがとう! じゃあねみんな!いつでも心にハニーを!」

ハーマイオニー「お見送りありがとう!あぁ、スナッフル!?並走したら危ないわ!?」

ジニー「あっはは、窓から顔だしたみんなも笑ってる……バイバイ!パパ、ママ!」

ハニー「行ってきます……ホグワーツに!」

犬「ハッハッハッハッハッハ……アォーーーーーーーーォウ!!」


ポーーーーーーーーッ!!!

ここで区切らないとアレが途中になってまうんでここで
次どうしても日曜にならんと書けん。すまん
嫁が出るので気合をいれて朝から翌深夜までやる
じゃあの

大変遅くなった
再開
このスレは一旦ここで区切りどころやもしれん

大変遅くなった
再開
このスレは一旦ここで区切りどころやもしれん

ガタンゴトン、ガタンゴトン

フレッド「それじゃ、俺達はリーと商売の話があるんでね。ここらで失礼するよ」

ジョージ「諸君、我らが獅子寮の勝敗のために今年も励みたまえよ。そんじゃな」

ハーマイオニー「言われなくともあなたたちにやりたい放題させないわ。ねぇ、ロン?私達、監督生だもの!」

ロン「えっ、あぁ、うん、そうだな、ハニーは監督になるべきだよな。クィディッチの終身名誉監督にね!それなら僕も目指す甲斐ってもんがヒンヒン!」

ジニー「目指す……?ロン、役職豚をこれ以上極めるの?」

ハニー「なんのことかしらね。さっ、私達も空いている席を探しましょう?」

ハーマイオニー「……あー……あの、ね。ハニー、ごめんなさい」

ロン「ごめん、ごめんよハニー!君からひと時も離れるなんて僕はなんてこった豚失格だちくしょう僕はいつになったら二つに分かれられんだマーリンの髭!」

ハニー「……なぁに?」

ハーマイオニー「私達、先に先頭車両の方に行かないといけないの。そこで、各寮の監督生との顔合わせだとか、城につくまでの見回りとかを……」

ハニー「……そっ。あなたたちのお仕事なのでしょ? 頑張って」

ロン「その言葉があれば僕はあの双子だってしょっぴいてやるくらい働いてみせるよハニー!あぁハニーごめんよh」

フレッド「へぇ?」

ジョージ「ほぉ?」

ロン「マー髭!!!」

ハーマイオニー「あぁ、本当にごめんなさいねハニー。でも、ずっとあちらにいるわけじゃないと思うわ。すぐに……きゃぁ!?」

ハニー「そうね。ロンとあなたの分の席も、とっておいてあげる。寝そべられるだけのスペースにしなくっちゃ、ね……?」

ハーマイオニー「そ、そんなにいらないわ、あなた、まだ学校にもついてな、あぁ、そんな、ハニー、それは、あなたを思うと私の鼓動はホグワーツ特急を追い抜いてしまいそうだけど……!」

ジニー「つづけて!」

ロン「どうっ、ごふっ、ごうぞ!!」

×ごうぞ
○どうぞ
マーリンの髭!

ジニー「おねぇさまとふたりきりあぁなんてひさしぶりおねぇさまと二人きりで歩けるなんて雌豚でよかった!!!(二人は行ってしまったわね、おねぇさま)」

ハニー「えぇ、そうね。二人の大事な役目だもの、応援しなくっちゃ」

ジニー「随分ギリギリだったから、席があるかしら……そうなったら私、通路に四つんばいになっておねぇさまのいすになるわ!ヒンヒン!」

ハニー「見上げた精神だけれど、そういうのはロンに任せるわ。あなたは立派な女の子なのだから……あら?」

ネビル「あっ!ハニー!また会えて光栄だよ!それにジニー!ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!」

ネビル「あっ、そうなんだ。二人は大変だね。監督生なんて、僕には荷が重いなぁ。尊敬しちゃうよ」

ハニー「私の傍にいる人たちだもの、それくらい軽いものよ。あら、あなただって私からの期待なら軽々応えられるとおもうのだけれど?」

ネビル「もちの一番豚だよハニー!」

ハニー「それはロンの特権だからやめてあげて。それで、ネビル。私を出迎える精神は見上げてあげるけれど、あなたはどこの席なのかしら?」

ネビル「あー、ごめんなさいハニー!僕もばあちゃんからのお小言が長くってギリギリに列車に乗ったものだから……空いているコンパートメントを見つけられていないんだ」

ジニー「当たり前だけど毎度メチャ混みよね、この特急……あら?」

ネビル「あぁごめんよハニー!こうなったら僕、通路に四つんばいになって君のいすになる準備を……!」

ハニー「流石私の豚さんたちね。考えることは一緒のようだわ」

ジニー「ネビル、空いていないなんて何言ってるの?すぐ、そこ。ほとんど空じゃない……ルーニーがいるだけで」

ハニー「? るーにー?」

ジニー「あっ、ごめんなさいおねぇさま。彼女って変わり者だからよくそう呼ばれてて……」

ネビル「あー……僕、あの子の邪魔はしたく、その……」

ハニー「ネビル、私、脚が疲れたのだけれど」

ネビル「ヒンヒン!!失礼!!!」

ジニー「流石ネビル!漢だわ!漢!豚の中で!」

ガラガラッ!!

「……急にどうしたの? みえざるピンクのユニコーンでもみつけた?」

ジニー「こんにちは、ルーナ。それってどういう生き物なの?」

ハニー「ルーナ……?」

「みえないからわかんないよ。今は、まだね」

ジニー「あっ、おねぇさまは初めてよね。えっと、私と同い年で……」

ハニー「……ええ、顔を見るのは。でも何度も名前だけは見たことがあるわ」

ジニー「?」

ネビル「ここ、座っていいかな!空いてる所他になくって!」

「いいんじゃない? あたし、ここに座るときに『姿が見えない名無しのなんとかさん。あたし、ここに座っていいのかな』なんて、聞いてないもン」

ネビル「そ、そう。ありがとう」

ハニー「失礼するわね……えぇっと」

ハニー「……ルーナ・ラブグッド、って。あなたのことだったのね」

ルーナ「うん……? あたし、顔に自分の名前書いたままだったのかな」

ハニー「そうじゃないけれど……書いていたことがあるの?」

ルーナ「みんながあんまりあたしの名前『ルーニー』って間違うから、知らないのかなって。違ったみたいだけど」

ジニー「あー、その……ルーナ? 夏休みは、楽しかった?」

ルーナ「うん。とっても楽しかったよ、ありがと」

ジニー「ぜ、ぜんぜんこっち観ないわ……おねぇさまを直視するなんて雌豚一号でもためらうのに!!」

ルーナ「それで……あんた、ハニー・ポッターだ」

ハニー「知っているわ」

ルーナ「そうかな? あたしはあんたがあんたのこと、あんまり知らないように見えるけど」

ハニー「!?」

ネビル「お、おい!ハニーと初対面のくせに何を言い出すんだよ!ぼ、僕、豚代表として戦うぞ!ヒンヒン!」

ルーナ「? 誰?」

ネビル「そこ!?ぼ、ぼく、あの、ネビル・ロングボトムだけど、あの、ルーニー」

ジニー「ネビル。ルーナ、よ。ルーナ・ラブグッド。レイブンクローの、四年生」

ルーナ「計り知れぬ英知こそ、われらが最大の宝なり〜♪」

ネビル「えっと……なんで雑誌をさかさまにもってるの?」

ルーナ「このルーン文字、解明されてない古代のものなんだ、って。さかさまにしてみたら分かることがあるんだ。きっと、相手の耳をキンカンに変えちゃう呪文とか、そういうのだよ」

ジニー「……また、ルーン文字のルーナ文字解釈?」

ハニー「ルーナ文字?」

ジニー「『古代ルーン文字学』の授業でルーに、あー、ルーナがこういう事を言い出すと、先生が困ってこう言うの」

ルーナ「『発想を柔軟に』って言うのにね。なんでかな」

ネビル「柔らかすぎて先生の手から零れ落ちるからじゃないかな」

ジニー「えっと、素敵なネックレス、ね?それって、あー……バタービールのコルク???」

ルーナ「うん。これをつけておけば、面白い人に会えるからって。ほんとだったね」

ハニー「それは私に言っているの?冗談、私を装飾する言葉は高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的のどれかからにして頂戴」

ルーナ「うん、当たってた。あんたやっぱり面白いもン」

ハニー「なっ、さっきから面白いってあなたね……杖、どうして耳に挟んでいるのかしら。あなたの方がよっぽど、面白い風貌だけれど」

ルーナ「? だってこうしたほうが、杖の声が聞こえるじゃない」

ハニー「杖の、声?」

ルーナ「うん」

ハニー「……あぁ、乱暴しないでーー、とか?そういうことね」

ジニー「!?」

ネビル「!?」

ルーナ「そういう時もあるかも。あたしのはいつも歌ってるけど」

ハニー「陽気なのね、はいはい。あなたを見ていればわかるけれど」

ネビル「じ、ジニー、どうしよう。ハニーが、僕らの分からない領域に……」

ジニー「……不思議ちゃん女王様!」

ネビル「!それだ!ヒンヒン!」

ハニー「ちょっと、一緒にしないで。私はただ聞いたことがある例をあげただけよ、ちょっと、ちょ、この豚!!!」

ネビル・ジニー「「ヒンヒン!!」」

ルーナ「……? 謝るなら普通に言えばいいんじゃないの?」

ルーナ「もういい?あたし、『ザ・クィブラー』を読むのに忙しいんだけど」

ネビル「! ハニーとの会話を自分から切り上げるなんてどんな神経しているんだい!ヒンヒン(怒)」

ジニー「魔法省大臣だってもっと謙虚よおねぇさまの前では!!」

ハニー「この夏すっかりふてぶてしかったけれどね。いいわ、ルーナ。邪魔したわね」

ルーナ「そうでもないよ。ただ、あたし早くこの呪文を知りたいから急いでるんだ」

ハニー「……耳をキンカンに?」

ルーナ「うん。だってキンカンは『ブリバリング・ハムディンガー』の大好物だって言われてるもン。耳がキンカンなら、きっと話しかけてくれるんじゃないかな」

ハニー「……そうね、えぇ。私達はこっちで、跪かせたりしているわ」

ネビル「喜んで!」

ジニー「ご褒美だわ!」

ルーナ「ん、お喋りしてて。あたしたまに笑っておくから——」

ネビル「……雑誌で顔覆っちゃった。あんな風にして読めるのかな」

ジニー「……読むんじゃなくて、杖が語りかけるのを聞いてる、とか、そういうことをいいそうだわ」

ハニー「……色んな人がいるのね、ほんと」

ハニー「いいわ。私達は私達で……あら。駅では曇り空だったのに、すっかり快晴ね」

ネビル「君っていう太陽が存在してるだけで豚のみんなはスッキリ快晴も同じだけどね……あっ!そういえばこいつを日にあてておかなきゃ!ハニーっていう日にも!」

ジニー「なに?おねぇさま記念日?毎日でしょう?……なに、その、えっと……内臓の鉢植えみたいなもの」

ハニー「……随分と的確ね、ジニー。褒めてあげるわ。そうね……灰色の、おできがついたサボテン?」

ネビル「これ、『ミンビュラス・ミンブルトニア』って言うんだ!この前の誕生日に、アルジー大叔父さんがくれたんだよ!とっても貴重なんだ!」

ジニー「ダンブル、なに?」

ネビル「『ミンビュラス・ミンブルトニア』!だ、ダンブルドアがここから生えてきたら驚きだろう!?」

ハニー「えぇ、そうね。ひっちぎってそこの窓から放り投げてやるわ」

ネビル「あの腹黒豚この夏君になにしたのハニー!?なんならリコール運動やるよハニー!?」

ハニー「むしろ何もしなかったのよ、忘れて。それで、どういう……あー、植物なの、これは」

ネビル「うん!とってもすごい防衛機能を持ってるんだよ、ハニー!スプラウト先生の温室にだってないかもしれないくらい貴重で……見てて?」

ジニー「……羽ペンをとりだして、なにするの?ネビル?」

ネビル「いいから!ハニー、きっとびっくりするよ!よーし!」

ハニー「ネビル……ネビル、ちょっと待ちなさい!ネビル!」

ブスッ

プルプルプル ブシャァアアアアアアアア!!

ジニー「!? ダンブルドアのおできというおできから、み、緑色の液体——」

ネビル「『ミンビュラス・ミンブルトニア』だって……う、うわ、こ、こんな——」

ガラガラッ!!

ロン「おっと失礼監督生のパトロールだよやぁハニーそれでなんだいネビル飲み物でも用意してくれたのかいありがマーリンの髭ぇえええええ!!」

ジニー「……」ポタポタポタポタ

ネビル「……」ポタポタポタポタ

ルーナ「……? あれ、周りを真緑にする呪文だったのかな?」

ハニー「……あなたは本で覆っていたから顔は無事なわけね。私の方もほとんどだけれど。ロン、私の豚。よくやったわ、出来る豚ね」

ロン「まずい!もういらない! あぁ、ハニー!君に一滴もかからなくて良かったよハニー!もう少しで終わるから君のハーマイオニーも一緒にすぐ戻るからねハニー!それじゃ、僕一度トイレにでも行って綺麗にしてくるよ!ヒンヒン」

ロン「ネビル 君の処分は今夜決めるから覚悟しとけな もちのロンで」

ハーマイオニー「……いよいよもってあなた化け物じみてきたわね」

ネビル「あー……ごめん、ごめんよ、まさかこんなに広範囲に飛ばすものとは、思わなくって」

ハニー「ネビル」

ネビル「はい!すいません!ヒンヒン!全部僕がすすります大丈夫『臭液』は毒じゃないから大丈夫でズズズズズズズズッ!」

ガラガラッ

「こんにちは、ハニ——あ、あら」

ハニー「!?」

ジニー「! 雌狐!!!!!」

ルーナ「チョウ・チャン?どうしたの?」

チョウ「ど、どうした、って、こっちの台詞……あン、えっと、ルーナ?あなたが?」

ルーナ「? あー、うん。緑色一色になれば『レタス喰い虫』の気持ちになれて、もっと下等な意思疎通手段の理解に、とかなんとか、あったもン」

チョウ「そ、そう……えぇっと、ハニー。あの、挨拶しようと思っただけなの。それじゃ、お城で。またね!きっとよ!」

ガラガラピシャンッ!!

ハニー「……ネビル!!!」

ネビル「ごめんなさいハニーあぁハニーほんとごめんなさいひんひ、いや、僕、僕なんて、ブヒィー!ブヒィー!」

ジニー「おねぇさま、あんな泥棒猫と話す機会が流れたことなんて気にしなくていいと思うわ。そうよ、うん!それにほら、こんなのすぐ綺麗になるわ……『スコージファイ、清めよ!』」

パッ!

ハニー「……シートや床に飛び散っていた緑色の液体が消えたわね。よくやったわ、ジニー」フーッ

ジニー「光栄だわおねぇさま!」

ネビル「僕の胃の中のもの以外はね、あっ、うん、当然の報いなので大丈夫です……えっと、ルーナ?あー、かばってくれてありがとう。チョウのハニーに対するイメージとかがきっと……でも、何も得しないのになんでだい?」

ルーナ「? んーん、いいよ。あたしの近くで変なことがあったら、大概あたしのせいにしとくんだ。ほら、あたしの傍で見えないピンクのユニコーンが、あたしに見てもらいたくて暴れたのかもしれないもン」

ハニー「……変な人ね、ほんと」

ルーナ「あんたに言われたくないかな」

昼過ぎ

ガラガラッ

ロン「あぁハニー!君に会えない午前中なんてまったく7月を思い出して死ぬかと思ったよマー髭!」

ハニー「えぇ、そうね。私もイマイチ座り心地が良くなくて困っていたところだわ、ロン」

ネビル「ロンが戸を開けて、ハニーが腰を浮かせて……そこにロンが滑り込んで」

ジニー「何事もなかったように会話……こ、これが、一番豚。凄いわ」

ハーマイオニー「えぇ、凄く馬鹿よね、ほんと。もう私から何も……あら?」

ルーナ「——? どこまで読んだかな——ここだ。キンカン、に、変える、耳の形は——」

ハーマイオニー「えぇっと、ハニー?こちらは……?」

ロン「おいおいピリピリすんなよハーマイオニー。君、あれだろ?うちのご近所の、ラブグッド家の」

ルーナ「——あ。クリスマス・ダンスパーティに、ハニーと行った……?」

ハーマイオニー「……」

ロン「ぴ、ピリピリさせるなよハーマイオニーを。それがどうかしたかい?」

ルーナ「あたし誰にも誘われなかったけど、気にしないな。だってクリスマスって静かに祝うものだし、それに、ダンスってあんまり好きじゃないんだ」

ロン「へぇ……?」

ルーナ「——つづき、っと、ここかな」

ロン「……えっ。今、会話終わったのかい?あれ?おーい、もしもーし……こりゃダメだ。ハニー、君に骨抜きにされておかしくなったのかい?」

ジニー「ルーナがいっつもちょっとおかしいのはいつものことよ?」

ロン「これが、ちょっと?そりゃいい評価だぜジニー。それなら君の中じゃスネイプの奴は少しだけ他の寮に厳しいけど良識のあるいい教師なんだろうな、もちのロンで。ハニーの良識ったら常識を覆すけどさ」

ハニー「そうね。私に合わせるものね、常識が」

ハーマイオニー「慣れてしまっている自分が嫌だわ」

ジニー「監督生の方はどうだったの?パーシーみたいな人はいた?あ、眼鏡ってことじゃなくて」

ハニー「パパ?」

ハーマイオニー「ハニー、その眼鏡じゃなくって。と言うかお父様=眼鏡で本当にいいの……?」

ロン「あんな完璧・パーフェクトみたいな監督生は後にも先にもパース一人で十分だよ。あぁ、ハーマイオニーは割とその路線かもしれないけどさ」

ハーマイオニー「あら、私は間違ってもハニーに反抗なんてしないわ」

ハニー「そうよね、私に、従順な、ハーマイオニー?」

ハーマイオニー「含みのある言い方はやめて!わ、私、私監督生なのだから!去年までとは違うわ!」

ロン「あぁ、シチュエーションが増えていいよな。ハニーの素晴らしさは羊皮紙を何枚増やしたところで食べきれないけど、豚でヤギたる僕でも」

ネビル「監督生って、寮に二人いるんだよね?他のとこはどうだったの?」

ハーマイオニー「ハッフルパフはアーニー・マクミランとハンナ・アボットだったわね」

ロン「出来る豚だよアーニーは。まぁ一番の豚は僕だけどさ」

ハニー「城で会ったらお祝いしないといけないわね、あの豚にも。レイブンクローは?」

ハーマイオニー「アンソニー・ゴールドスタインと、パドマ・パチルよ。パーバティの双子の腐ってない方」

ロン「それで、スリザリンだけどさ……誰だとおもう?」

ハニー「……回りくどい言い方は嫌いだけれど、今は知りたくないわね……まさか」

ロン「あぁ、君の予感はいつも正しいよハニー。そのまさか、マルフォイの野郎さ。それにイメチェン失敗パグ犬のパンジー・パーキンソン」

ネビル「あぁ、うん、三年生の時と雲泥の差だよね……ハニーはいつでも頂点な美しさだけど」

ハニー「当然ね、私だもの。それにしても……ほんと、あの腹黒は何を考えているのかしら」

ロン「あぁ、だってあのマルフォイの奴なら絶対に権利を濫用することなく誠実に学校のために勤めるもんね……言っててマーリンの髭が伸びそうだよ僕ぁ。あることないことでっちあげて僕らから減点してこようもんなら、こっちはあの脳みそトロール以下の豚以下に難癖つけてやろう」

ハーマイオニー「あなたまで濫用してどうするのよ」

ハニー「ロン、あいつと同じ位置に格を落とすようなまねはよしなさい」

ロン「ヒンヒン!ハニーがそういうならね! でもあいつがハニーは言わずもがなだけど豚の同胞たちにやってくれたら、僕だって黙ってられないよ」

ハーマイオニー「ヒンヒン言っておくわけ?いつものように豚語で」

ロン「ハニー以外が豚って言うなよ! 違うさ、ゴイルにでも書き取りの罰則をさせてやろう。『僕は ハニーの豚です なぜなら 頭が 豚の尻尾みたいに クルクル パーだから』……HAHAH——」

ルーナ「! っふふ、っふ、ふ、っはは、アハハハハハハハハッハハハハハ!!」

ジニー「!? る、ルーナ??」

ルーナ「クルく、っふふ、ハハハハハハハハハハッ!アッ、ッハハ、八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ ! !!」

ロン「あ、は、ははっ。そんなにウケるなんて……あー……確かに僕ぁゴイルのモノマネに関してはかなり自信があるよ?何せ一回マジもんになってことがあるからね」

ネビル「……?」

ロン「こっちの話だぜネビル。でも、あー、そこまで、笑えるとは……からかってる?」

ルーナ「ノ \ / \/ \ノ \ / \/ \ノ \ / \/ \ ! ! ! おっかしいぃ! あんたってあんた、なんだっけ?誰?」

ロン「今そこかい!? さっき言いかけてたけど、ほら、近所に住んでるロン・ウィーズリーだよ!またの名をハニーの一番の豚だよ!おっとこっちはハニーだけが呼べるものだけどね!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「なら一々名乗らないでいいじゃない。えーっと、ルーナ?大丈夫?雑誌、足元に滑り落ちたわよ……これ、『ザ・クィブラー』?」

ルーナ「あぁ、あんたって面白い、おもしロンだね——あぁ、あんがと。気になる?読んでも良いよ」

ハーマイオニー「えっ、いいえ、あの、遠慮するわ。だって……あら?シリウス・ブラック特集——」

ハニー「借りてもいいかしら!」

ハーマイオニー「——えぇ、そう言うだろうと、思っていましたとも」

ルーナ「うん。中々面白かったよ。うん、おもしロン、で、っふ、ふふっ、クルクル、ふふっ——」

ロン「ツボに入ったのは分かったからハニーの読書の邪魔するレベルの笑い方やめてくれよな、あとそのおもし僕ってのやめてくれよ」

ハーマイオニー「活用してるじゃないのよ」

ハニー「『シリウス・ブラック——加害者か、被害者か——』まぁ……ロン!」

ロン「あぁハニー!了解だよハニー!今度からそいつを定期購読を豚どもの義務にするぜヒンヒン!」

ルーナ「あんがと」

ハーマイオニー「なんであなたが……?」

ハニー「『シリウス・ブラックは本当に黒なのか——大量殺人者?それとも、歌う恋人?』」

ハニー「……なぁに、この見出し」

ロン「ヒンヒン!ストップ!伝令ストップ!!様子見だ豚ども!ヒンヒン!」  ヒンヒン!

ハーマイオニー「騒がしくしないで読み進めましょう……えっと……『シリウス・ブラックとは『例のあの人』の手下の中でも我々にとってもっとも有名な中の一人である。十四年前の大量殺人事件、そして二年前の大胆不敵な脱獄じけんで、この魔法界の紙面を大いに賑わせてきた。』」

ジニー「『魔法省始まって以来の広域捜査網は未だ彼を捕らえるにいたっていないが——』そうよね、黒光りするとっても立派な操作網(笑)よね!」

ネビル「な、なんでちょっと笑いながら言うの? それじゃ、ブラックが捕まるのもほんの時間の問題で……痛い!ロン!痛いよ!なんで脛を小突くんだい!?」

ロン「これはそうじゃないんだけどそうと言えない人の代わりだ!!ヒンヒン!!」

ハニー「出来る豚ね、ロン……『ブラックが再逮捕されて吸魂鬼に引き渡されるべきであることは、誰も疑わない——しかし、そうなのか?』違うわ!!!!」

ハーマイオニー「そうよね、そうかもしれないわよねだからハニー少し抑えて、ほら、肯定的な意見が始まるみたいよ?」

ハニー「そ、そうよね、えぇ。ロン、めくって」

ロン「もちの僕さ!」

ハニー「『最近明るみになった驚くべき事実によれば、シリウス・ブラックは十四年前のあの日、殺人現場にはいなかった可能性があるというのだ』……!!」

ハーマイオニー「ハニー、とりあえず喜ぶ顔は控えましょ?えぇ、控えるだけでいいから」

ロン「『「シリウス・ブラックの本名は、スタビィ・ボードマンよ!」パーキス夫人はそう語る』おったまげー」

ジニー「『「彼って十五年前くらいに耳をカブで打たれて引退した、『ザ・ホブゴブリンズ』ってロックバンドのリードボーカルだったの」』……へぇ」

ルーナ「カブってすごいね」

ハニー「『「新聞でブラックの顔をみたとき、私にはすぐに分かったわ!だってその少し前まで、私と彼は恋仲でロマンチックなディナーをしていたのだもの。魔法省は私のこの証言で、すぐに彼を特赦にするって——」』そういえば……若い頃……ロックミュージシャンみたいな格好、してた、って……」

ロン「おいハニーの豚!今すぐあの屋敷まで飛んでこい!!とっちめるんだ!」

ハーマイオニー「やめなさい。ほら、ハニー。本気にするだけ無駄よ、なんだか夢見がちなご婦人の悪い冗談だわ」

ルーナ「——」

ハーマイオニー「だって、この雑誌のほかの記事を見て?『ファッジは小鬼をパイに入れて焼く狂人』、『クリーンスイープ六号に乗って月蛙を袋一杯もって帰ったつきまくりの男』」

ロン「僕の最新型クリーンスイープだって無理に決まってるね。ハニーを乗せたら余裕だけど冥王星くらいまで」

ハーマイオニー「とにかく、ぜーんぶ眉唾にもほどがあるわ。『解明不可能な難解古代ルーン文字』?えぇ、えぇ。これがルーン文字だとしたらロンの居眠り中の落書きだって古代の碑文書として大英博物館に寄贈されるでしょうとも」

ロン「暑くなるなよハーマイオニー、でもやるね。おもしロンだぜ」

ハーマイオニー「気に入ってないで。とにかく、ハニー。真に受けないほうがいいわ。『ザ・クィブラー』ってこういう信じるにも値しない記事を書くクズ雑誌だ、って。有名で——」

ルーナ「あら あたしのパパが編集してるんだけど」

ハーマイオニー「そう、この子のお父様が編集するってくらいだからきっと——えっ。あっ、私、あの……」

ルーナ「返してもらえる? うん、あんがと。信じてもらえる人にしかパパもあんまり読んでもらいたくないだろうから」

ハーマイオニー「……あー、えっと。すくなくとも、えぇ。好奇心は、満たされるわね!あの、面白くって……」

ルーナ「なんでだろうね。あたしとパパが大真面目にやってることって、みんなに笑われるんだ。何が見えてるんだろ、わかんないな」

ハーマイオニー「……あの」

ロン「……君の負けだぜハーマイオニー。謝んなよ」

ハニー「許してあげてくれるかしら、悪気はそんなにないのよ」

ルーナ「?別に怒ってないよ。 不思議なだけ」

えらく進み遅くて申し訳ないがここで休憩
9時半には再開。今回分で朝までかけて城までいって、このスレの区切りにすると思う

戻った。再開

ルーナ「——」

ハーマイオニー「あぁ、どうしましょう。あんな風に本で顔を覆って……話したくもないくらい、怒ってしまったのかしら」

ジニー「平気よ、あの子の読書スタイルみたいだから」

ロン「君もにたようなもんだろ、ハーマイオニー?おっと、君の場合は本の方に覆いかぶさるって感じだけどね。ハニーの愛は世界中を覆ってるけど」

ハニー「えぇ、そうね。ワールドワイドね」

ハーマイオニー「どんなネットワーク構築してるのよ、もう……ああ、そうだわ。じきに車内販売のカートがくるから、お詫びになにか……あら、噂をすれば?」

ガラガラッ

ロン「……いーや、ハーマイオニ。あのハニーみたいに甘くてステキなお菓子のカートじゃぁないみたいだぜ。その反対、食欲も元気も奪っちまう胸糞野郎さ」

ハニー「何しにきたのよ、マルフォイ」

マルフォイ「礼儀正しくすることだな、ポッター。ポッティーのいかれポンチめ。さもないと罰則だ。生憎僕みたいな誇り高い人間は、このバッジを受け取っているものでね」

ネビル「さっそくホコリだらけみたいなくせに偉そうに」

マルフォイ「なんだロングボトム、罰則をくらいたいのかい?」

ネビル「舐めるな!僕はスネイプの授業で常習だ!君みたいな奴の罰則屁でもないよ!」

ロン「ネビル!漢だ!漢だね君は!豚の——」

ネビル「むしろウエルカムだよ!!」

ロン「戻って来いネビル、いくら豚とはいえそっちに行っちゃいけない。僕らはハニーの豚だろ眼ぇさませマー髭!」

ネビル「痛いっ! ハッ!僕は、なんてことを!ハニー以外からの折檻を懇願するなんて!!!!」

ハーマイオニー「茶番はやめていただける? マルフォイ、私達のいる前で難癖つけてくるのなら、同じ監督生として黙っていないわよ?」

マルフォイ「おぉ、怖い怖い。僕はただ聞きたかっただけさ。おいポッター、どんな気分だい?え?」

ハニー「あなたがいなければ気分爽快よ、えぇ」

マルフォイ「そこのウィーズリーのこそこそイタチやら、グレンジャーの出来損ないの下に着く気分のことさ。僕は一生味わえそうもないからね、参考までに聞こうと思ったんだ」

ハーマイオニー「あなたなんて生まれた瞬間から卑劣だわ。出て行って!」

マルフォイ「ふんっ、いいかポッター。僕は君が犬のように従えるクズども一人さえ見逃さないぞ。そう、 犬 のようにね」

ハニー「あら、それじゃハーマイオニーは猫さんだから大丈夫のようね……?」

ハーマイオニー「何の話をしてるの!違うでしょ、そういう……そう……にゃ、にゃー——」

マルフォイ「そう!犬のようにお前達を困るフォイさせてやるんだ!覚悟するんだな、ポッター!」

ロン「君、とことん空気読めないよな」

ネビル「かえれよ」

マルフォイ「ロングボトムはなんなんださっきから!!!」

ジニー「私達にとってはあなたの存在そのものが理解不能だから早くでていってコウモリの鼻くそ食らうの?」

マルフォイ「〜〜〜っ、ふん!」

ガラガラッ、フォイッ!

ハニー「……最後までうるさいわね」

ネビル「ほんと、フォイフォイのやつなんだったんだろうね」

ルーナ「——へぇ、あれがフォイなんだ。城で夜歩いてる時に、足音がフォイになると、っふ、おもし、ロンになっちゃって、進めなくなるから困る、ふぉ、ふふふっ、あはは——」

ジニー「ルーナ、あなたの笑い声心臓に悪いからやめてね?生フォイ聞いてなくてよかったわね。それで、えーっと……マルフォイの、ことだけど。あの、おねぇさま……?」

ハニー「……犬のように、ね」

ハーマイオニー「……知られていたんだわ」

ロン「あぁ、ハニーが犬も飼ってるってことがね!なぁネビル、ルーナ!フォイのことなんてフォイフォイ忘れてそっちの、なんだっけ?ネビルのもってる変な植物でフォイに復讐できないか考えようじゃないかもちの僕で」

ルーナ「ふぉ、あっは、ははっ、ッハハ、八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \ !  ! !」

ネビル「こ、声大きいよルーナ!?それとロン、これ、『ミンビュラス・ミンブルトニア』っていって……」

ロン「えっ?なんだって?ダンブルドア?」

ネビル「君達兄妹そのネタ好きだね!?」

ハーマイオニー「……ルーナとネビルがいるところでは、詳しく話ができないわ」

ハニー「……後でロンにはあーんをしてあげようかしら」

ガタンゴトン、ガタンゴトン

ハニー「さぁ、出来る豚にはご褒美よ、ロン。あーん」

ロン「ヒンヒン!恐れおおいよハニー!ありがとうございまモグモグ生きててよかった!!」

ネビル「ずるい!ずるいよロン!君ばっかりいつも得をして!僕もハニーのマットになれれば……!」

ロン「残念だったねネビル!漢の君にもこればっかりは譲れないよもちのロンで!」

ハーマイオニー「……譲る時が来たかもしれないわ。ロン、そろそろ時間よ?」

ロン「えっ?ハニーへの溢れる想いを叫ぶ時間かいあぁハニー君って最高だよ!!」

ハニー「えぇ、知ってるわ」

ハーマイオニー「そんなの常日頃でしょ。そうじゃなくて、見回りの時間。それに、もうお城に着くからまた先頭車両に行かなくっちゃ……ハニー、ごめんなさい」

ハニー「いい、ってば。あなたたちの仕事でしょう?これから三年間、毎回そうするつもり?あんまりしつこいと謝る度に喋れなくしてしまうけれど」

ハーマイオニー「……ごめんなさ——さ、させないわ!今年は!今年は私、監督生なんだから風紀を、風紀をあの!」

ネビル「いやいや気になさらず」

ロン「なーに返って空気がよくなる」

ジニー「だからどうぞ、つづけて」

ルーナ「? どうぞ?」

ハーマイオニー「あなたも分からないのに乗らないで! ほら、ロン!行くわよ!」

ロン「あっ!おい、ハニー以外が僕の首輪を引っ張るのはやめろよ!あぁハニー!またすぐ列車の外でねハニー!ヒンヒン!」

ガタンガタン、ガタン、ガタン……

ホグズミート駅

ガヤガヤガヤガヤ ザワザワザワ

ハニー「……寒いわね。あぁ、あなた。えっと、ルーナ。ロンの鳥篭を持ってくれてありがとう」

ルーナ「——いいよ。このふくろう、知り合いなんだ」

ハニーの豚「ピピィーヒーン!」

ハニー「あぁ、そういえばあの時……知り合い、って。へぇ。言葉は通じないと言っていたのに?まぁ、私は言葉がなくとも跪かせるけれど」

ルーナ「どうだろ、あたしの言うことって普通の人でも分かんないことが多いみたいだから。返ってそのほうがいいんじゃないかな。あんただって、言葉が通じる人間ならなんだって分かってもらえるわけじゃないでしょ?同じだよ」

ハニー「……ふくろうの話から、随分飛んだわね」

ルーナ「? ふくろうの話しかしてないよ、あたし」

ガヤガヤガヤガヤ
 ヒソヒソ、ヒソ

ハニー「なんでもないの。また、この視線ね……さて、ハグリッドはどこかしら。いつも通りなら、このくらいで……あら?」

「一年生はこっちにおいで!一年生!早くおいで!こんな天気の日に年寄りに無理させんじゃないよ!」

ハニー「あれは……グラプリー・プランク先生!?」

ネビル「あー、去年ハグリッドの代わりに『魔法生物飼育学』をおしえた……あれ?ハグリッドは?」

ジニー「知らないわ。ねぇ、早く城に向かいましょう?おねぇさまを冷やしていいと思ってるの、同胞のみんな」

コリン「ヒンヒン!それはいけません!さぁハニー!行きましょう行きましょう!」

ネビル「あっ!コリン君どっから出てきたのさ!ロンがいないなら僕がハニーの後ろヒンヒン!」

ハニー「押さないの、待ての出来ない豚は嫌いよ……あら?」

ネビル「どうしたのハニー!」

ハニー「……ねぇ、あれがいつもの、馬車よね?」

ジニー「そうだけど、何か変わりがあったの?」

ハニー「……一目瞭然じゃない。あんな……皮ばった爬虫類のような皮膚に、コウモリみたいな翼?頭はドラゴン、みたいな……」

ハニー「可愛い馬がいるわ!!!」

骨馬「……ブルルンッ!」

ネビル「……?」

ジニー「……?」

ルーナ「——」

ハニー「ねっ?とってもおかしな……あら、ロン!やっと来たのね」

ロン「あぁ、ごめんよハニー!こんな寒空を君に歩かせるなんておい豚ども何やってんだカーペットになりやがれ……えーっと、何の話をしてたんだい?道端にスクリュートでもいたのかな、可愛いって聞こえたけどさ」

ハーマイオニー「野生化したなんてそれこそ大惨事だわ。馬車がどう、って?ハニー?」

ハニー「えぇ、だって、ほら。こんな、骨のような馬が引いているのは初めてでしょう……?」

ロン「……?あぁ、いや、ちょっと待っててくれハニー。君が言うならそうなんだ、世界の真理だ、開け僕の中の真実つまりはハニーを見る目……見えた!なんてこった!チャドリーキャノンズが優勝だ!!!!!」

ハーマイオニー「明後日の方向を幻視しないで。別次元と言ってもいいわね……ハニー?えぇ、っと。その馬車は、いつもの通りだとおもうのだけど……?」

ハニー「……え?」

ルーナ「——」


あまり言い訳したくないのだが一つだけ。骨馬のネタバレ含むので嫌な人は読み飛ばす方向で
この骨馬を見られるようになる条件は、原作で言われたことだと矛盾が生じるため
ローリングのインタビューで明言された
『直面した死を正しく理解した後見られるようになる』とある
原作ハリーがセドの死の帰りの馬車ではまだ骨馬を見られなかったのはこのため
なので、ハニポタにおいては去年度の両親のゴーストでも霞でもないものがヴォルの杖から現れるのをみて
『ヴォルから引き継いでいた両親の最期の記憶を改めて理解したため見えるようになった』
という方向でまぁ細かいことはマー髭!!!!!で 以上

ハニー「見えないの?だって、こんな……霞んでもない、ここにいるのに?冗談はよして」

ハーマイオニー「あなたこそ、冗談じゃ……えぇっと、えぇ。ハニー、あなたがそんな冗談を言う人でないのは、分かってるけど……」

ロン「うーん、うーん……ハッ!見えた!!おい馬!なに一番の豚の僕をさしおいてハニーに熱い視線送ってんだ!マーリンの髭!」

ハニー「……ロン、そっちの馬?は今目をつぶっているわ。じゃぁ……本当に、これは……」

ルーナ「あんたがおかしくなったわけじゃないよ」

ハニー「……えっ?」

ルーナ「見えるよ、ヘンテコな天馬でしょ?あたし、入学したときからずーっと見えてたもン」

ハニー「あなたにも……?」

ハーマイオニー「ロン、万眼鏡も試してみましょう。なんとしても私達だってみるのだから!」

ロン「俄然もちの僕さ!!!!」

ルーナ「無理じゃないかな、あたしも初めて見える人に会ったし。そもそもあんまり人と喋んないけど。だから、あんたは何も変じゃないよ」

ハニー「……」

ルーナ「あんたは、あたしと同じくらいまともってことだもン」

ロン「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……」

ルーナ「そうは思えないくらい、変な人だけど」

ハニー「……ふふっ。あなたにだけは、言われたくないわ」

ガラガラガラガラガラ

ロン「馬……馬……うーん……馬ってなんだっけ……マーリンの髭?」

ハーマイオニー「知恵熱出ているわよ。もうやめにしましょう、見えないものは仕方ないわ……とっても不服だけど」

ハニー「私も何が原因で見えているのか分からないから、教えられないわよ?」

ジニー「うぅ、またおねぇさまたちがついていけないお話を……ね、ねぇ!ハグリッドは、どうしちゃったのかしら」

ネビル「さっき僕それ振ったとき流したよねジニー!?えぇっと、病気にでもなったのかなぁ。風邪とか」

ロン「ハグリッドが寝込む風邪なんてハニーが近づいたら一発でゲフンゲフンじゃないか!主にハーマイオニーの看病的な意味でゲフンゲフン!」

ハニー「えぇ、そうね。二人で仲良く療養しないといけないわ」

ハーマイオニー「絶対あなた薄着で治す気ないと思うわ、絶対。あー……何かトラブル、かしら」

ルーナ「——巨人にだけ悪いことをさせる歌、ってのを聴いたのかな。前の号で特集してたんだ」

ロン「おいおい、何を読んだか知らないけどな。彼は半巨人ってだけだぜ?」

ハニー「それにそんな眉唾なものなんかでハグリッドは悪いことなんてしないわ。私の豚だもの。それだけですぐに正気よ」

ルーナ「そっ。だといいけど、レイブンクローじゃあの人あんまりいい教師じゃないって言われてるから、喜ばれるかもね。あたしは面白いと思うけど」

ハーマイオニー「あー、それにはすこーしだけ分からないでも……冗談、冗談よ、ほんの……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうねハーマイオニー。そんな冗談口にする人の口は塞いで、おともだちの大切さ、体に教え込まないと、ね……?」

ハーマイオニー「あっ、そ、そんな、だって、今年私達『ふくろう試験』で、ちょっと、不安だったの、あの、あぁ、もちろんハグリッドはとっても素敵なお友達、あぁ、ハニー、あなたの大切さなんて、『叫びの屋敷』の真実くらい知っている、わ……」

ロン「つづけて!」

ジニー「どうぞ!」

ネビル「ヒンヒン!」

ルーナ「あれ?あんなところにナーズルがいる……なんで百合の花のところにいるんだろ——?」

大広間

ロン「あぁ、ここに来ると戻ってきたんだなーって感じするよな。ハニーの笑顔は常に僕らの中に残ってるけど」

ハニー「えぇ、そうね。供給も無尽蔵だから安心しなさい……帰って、きたのね」

ヒソヒソヒソ 

ハニー「……また、好きじゃない視線はついているようだけれど」

ハーマイオニー「何度目、っていうお話ね。気にしないのが一番よ、ハニー。まったくここの城の人たち、流されやすいにもほどがあるわ。この言い回しも何度目かしら」

ロン「ほぼ毎年な気がするよ。ルーナはあっちの、レイブンクローのテーブルに行ったね。君に中々懐いてたから、流れでこっちに来るもんかと思ってたよ」

ハニー「あれは懐いたというより、面白がっていたのよ。この私を。まったく」

ロン「豚にするかいハニー!ヒンヒン!」

ハニー「やりにくいから、考えておくだけにするわ。夜中の城の廊下で何をしているのかは、聞きたいところだけれど……ジニーは」

ハーマイオニー「私達についてくるかと思ったら、途中で同級生たちに呼び止められたわね……えーっと、男の子達のグループに」

ロン「……あいつら、ジニーの肩に少しでも触れてみろ。マーリンの髭を生やさせてやる髭」

ハニー「普通に仲が良さそうなのだから、余計なことはしないのよ、ロン」

ハーマイオニー「まったくステキなお兄様ですこと。先が思いやられるわね……ハグリッドもいない、わ」

ハニー「……教職員テーブルにあの豚がいないと、ひっそりして見えるわね、えぇ」

ロン「寂しいよねハニー、分かってるよ僕は君の一番痛い!ありがとう!」

ロン「それにしても、ハグリッドの奴どうしたのかな。良い同胞だし、もちのロン友達として心配だよ僕ぁ」

ハーマイオニー「預言者新聞にハグリッドのことは一度も書かれてなかったもの、また閉じこもっているという線はないでしょうし……本当に、病気なのかしら」

ハニー「……きっと、あの腹黒なら知っているのでしょうね」


ダンブルドア「——」


ロン「ダンブルドア? そりゃ、あの人なら大概のこと知ってるだろうけどね。ハニーのことなら負けないけど」

ハーマイオニー「私も参戦させていただくわよそんなもの。どういうこと、ハニー?」

ハニー「ほら、きっと。ハグリッドとマダム・マクシームには何か同じ任務が与えられた、そう言っていたでしょう?それがまだ終わっていないのだわ」

ロン「あー、そりゃありえそうだよハニー。なんてったって君の言うことだからね……あれ?足りないといえば、さ。まだ『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生らしき人、いないな」

ハーマイオニー「本当ね……あぁ、あれよ。あそこの人じゃないかしら?ハグリッドを探したせいで上を見すぎていたのね。あそこ、フリットウィック先生よりはもちろん大きいけど、とっても小柄な人のようだわ」

ロン「うん? うわっ、あれか。なんだいありゃ、早すぎる春のおめでたい陽気が人の形してるみたいだ。まっピンクのローブに、まっピンクのカーディガン、まっピンクの……ベール?マーリンの髭」

ハニー「顔が隠れているわね……でもなんだか、どこかで覚えがある服装のセンス、だわ。なんだかこちらを見ているような視線も、ね。」

???「……」

ガヤガヤガヤガヤ
 ザワザワザワザワ
 
ヒソヒソヒソ ヒン

ロン「よーし、ぶれない奴らもいるな。流石ハニーの豚」

ハニー「当然ね、私の可愛い豚たちだもの。随分とまた押されているようだけれど」

ロン「ヒンヒン!最後の一匹になっても僕は鳴き続けるよハニー!ヒンヒン!」

ネビル「僕だってヒンヒン!」

ヒンヒン!

ハーマイオニー「はいはい、グリフィンドールの大方は平気のようでよかったわね。静かにして、組分け帽子がおかれたわ」

マクゴナガル「一年生、お入りなさい!」

ギィィィィッ

ゾロゾロゾロゾロ

ロン「うわー、ちっこいジャリどもがたくさんだ」

ハーマイオニー「ロン!」

ロン「おっとごめんよ、未来のハニーの豚候補がたくさんだ」

ハーマイオニー「……もう何も言わないわ。私だって、『S.P.E.W』に一人でも多く加入してもらうんだから!」

ロン「おいおいハーマイオニー、君まで監督生の権力を濫用しないでくれよな。マーリンの髭」

ハニー「言い争いはやめて、もう……組分けが、歌いだすわ。今年も、去年とは違うのよね?」

ロン「あぁ、君にとっては三曲目かな?さーて、奴さん今年はどんな歌だろうね」



組分け「あー、あー——みんなありがとう」

……

組分け「突然だけど——みんな、友情、って……なんだろう」

ロン「……」

組分け「分からない、僕には——分からないんだ。一番よく知っていた、はずなのに」

ハーマイオニー「……」

組分け「そんなわけで、聴いてください 『組分けのバラード〜1995年夏with創設者』」

ハニー「……スッと歌い出しなさいよ」



  昔々のその昔 私がまだまだ新しく
  ホグワーツ校も新しく

  創始者四人も若かりし
  想いに別れを思いもせず

  同じ絆で結ばれた

  同じ望みは類なき
  魔法の学び舎興すこと
  四人の知識を残すこと

 「ともに興さん、教えん!」と

  四人の『友』は意を決し
  ホグワーツ校を興したり

  これほどの友ありうるや?
  スリザリンとグリフィンドール

  匹敵するはあと二人?
  ハッフルパフとレイブンクロー

  あぁ、願わくば聞きたまえ

帽子の歌う言の葉を
  歴史の残す真実を

  かくも固き友情は
  四人の結んだ絆の行方は
  いつしか綻び崩れ去る

  純血のみを教えたり
蛇はその身を眩ませた
  
  最も鋭き知能を追った
  鷹は地に落ち戻らない

  善良で全てを教えた優しさの
  穴熊は深き眠りにおちる

後に残るは、獅子なりしのみ
  勇気を求めし獅子なりしのみ

  
  悲しき歴史は時を巡り
  此度の城にも至りたる

  私の役目は分けること
  されど憂えるその結果
  
  毎年行う四分割
  恐れし結果が来はせぬか

  帽子の歌をききたまえ
  歴史の警告を利きたまえ

  ホグワーツ校は危機なるぞ
  外なる敵は恐ろしや

  我らが内に固めねば
  崩れ落ちなん 内部より

  ホグワーツ校の四寮は
  今ぞ手を取り助け合わん

  かつての四人がそうであり
  獅子の夢見た学び舎がため…

  さてさてはじめん! 組分けを


パチパチ……パチ
 ザワザワザワザワ ヒソヒソヒソ

ロン「あー……なんだか今年の歌は、いつもと違ったね?え?いつもはくどいくらい寮の特色を歌うのに、今年のは、なんていうか……悲劇でも聞いてる気分だった」

ハニー「……というか、そのまんまね。そこから、現状に対しての……警告」

ハーマイオニー「驚いたわ……これまでもこういうこと、あったのかしら」

「えぇ、ありましたとも」

ハニー「!  ニコラス・ド・ミムジー・ポーピントン郷。私の豚ならば、私の目の前の皿を透かして登場するような無粋なことはやめなさい」

ロン「そうだぜ『殆ど首なし豚のニック』!僕の上でハニーが驚いて縮み上がって痛い!」

ニック「これはこれは申し訳ありませんハニー!我らが霊魂の救済者ハニー!ヒンヒン! えぇ、前回の『例のあの人』の時代にも、あの帽子はこういった歌をよこしたことがありますよ」

ハーマイオニー「……外は危険、私達がお互いに、って?」

ニック「左様。あれはいつも校長室にいますからな。ダンブルドアが何かしているのを感じ取り、自分の歌で生徒に警告を促すのを名誉と思って、歌を考えているのでしょう。一年他にやることなくて暇でしょうし」

ロン「最後」

ハニー「たまに私の眼になったり、口から剣を吐いたりもするけれどね……あの歌バカも、創設者四人の知恵の結晶と言うだけある、ということね」

ハーマイオニー「そう、ね……歴史の重みある言葉だもの、説得力が……」



マクゴナガル「アバクロンビー、ユーアン!」

組分け「言いにくい!アズカバn」

マクゴナガル「遊ぶなら糸をすべてほどきますよ!?!?」

組分け「実はグリフィンドーーール!!」


ロン「えーっと、歴史の重みが、なんだって?」

ハーマイオニー「……うるさいわ」

ハニー「四人も中々ふざけた人たちだったのよ、えぇ」








マクゴナガル「ゼラー、ローズ!」

組分け「スリザリンかと思った?スリザリンかと思った?よろこべ!グリフィンドーーーーール!!!」

ワーーーーワーーー!
 パチパチパチパチ 性格悪いぞ組分けーーー!

組み分け「ありがとう、ありがとう。いやぁ確かに最後の発表の仕方はこの一年の集大成で——」

マクゴナガル「来年一度でもやれば四つに裂きますからね」

組分け「!? そ、それでは諸君、また来年!!」

パチパチパチパチパチ
 ザワザワザワザワザワ

ロン「まだあの歌の件でざわついてるね。僕の胃袋はハニーに会えなかった時期くらいざわついて仕方ないけどさ」

ハーマイオニー「あの頃とは違ってただ単におなかがすいてるだけでしょう?」

ハニー「私を見ているだけでおなか一杯なのではないの、ロン?私の豚?」

ロン「あぁ、君って僕の心の栄養だからねハニー!ヒンヒン……おっ!ダンブルドアが立った!いよいよだ!」


ダンブルドア「えーオホン、オホン。一年生の諸君、入学おめでとう。わしがダンブルドアじゃ。ほれ、カエルチョコカードの通りじゃろ。どうじゃ?有名人じゃよ?」


ワーーー スゲーーーー
クスクスクスクス


ハーマイオニー「……相変わらずの人ね、ダンブルドア先生って」

ハニー「……あんなに楽しそうなのはとても久しぶりだけれどね、えぇ。なによ」


ダンブルドア「さて、さて。古顔の諸君もこんばんはじゃ。ともあれ挨拶するにはまた後に時間がある。今は——おもいっきりかっ込めぇええい!」

ロン「いいぞいいぞ!!」

ネビル「わぁい!料理だぁー!」

ワーーーワーーー!
 パチパチパチパチパチ! ガヤガヤガヤガヤ



ダンブルドア「じゃが校長先生からの忠告じゃ。今年は食べすぎんほうが……しもうた、遅かった……ポモーナ、胃薬の準備を大至急……」

ポンフリー「例年の倍以上ストックしてありますわ、校長先生」

???「……」バクバクバクバクバクバクバクッ

×ポモーナ
○マダム・ポンフリー
ポモーナはスプラウト!マーリンの髭!!!

ガヤガヤガヤガヤ
 カチャカチャ、ガチャンッ
ワイワイワイワイ

ハニー「……」

ハーマイオニー「? ハニー、食欲がないの?」

ロン「もしかして例のあの馬とかなんとかのせいかいハニー!?あぁハニー、それともハニー、このうざったいヒソヒソのせいかな!?君が注目を集めるのは世の常なんだから気にしてたらキリ無いよだって君は僕のハニーだからねヒンヒン!」

ザワザワザワ ヒソヒソ

ハニー「……そんなんじゃないわ。それにあの馬は、可愛いって言ったでしょう?そうじゃなくて……いやな、予感がして」

ハーマイオニー「それで食べない、というわけ?もう、屋敷しもべ妖精が頑張ってつくってくれた料理なのに、食べないなんて」

ロン「あれ、丁度一年前の君からは思いも寄らない成長っぷりじゃないかハーマイオニー。この分じゃ来年には連中をはべらせてブヒブヒ言わせてるね怖い!フォークを目の前に突き刺すなよハニーのふとももに当たったらどうすんだ!!!」

ハーマイオニー「去年とは違って彼らの仕事を尊重することにしたの。それに、今年は色々と多角的に行動するんだから」

ロン「おいおい、まさかあそこでやった経験を生かして『お掃除体験教室!〜屋敷しもべ妖精の気持ちを体感しよう〜』なんてもん、おっぱじめる気じゃ……」

ハーマイオニー「!冴えてる、ロン、あなたとっても冴えてるわ!それ、いただきよ!流石ハニーの豚で『S.P.E.W』の幹部ね!!」

ロン「……ハニー以外が僕を豚って呼ぶなよ。あといつから僕幹部なのさマー髭」

ハニー「……これ以上ヒートアップされても困るから、糖蜜パイだけ、いただくわ」

ザワザワザワザワ 
 ヒソヒソヒソ ガヤガヤ

ダンブルドア「全員よく食べ、よく飲んだようじゃの。うむ、わしも正直もう眠い。今すぐここでベッドに向かってアクシオるかわしの特権校内『姿くらまし』るかもうこのまま立ったまま眠ってしまおうかと思っておる——ところ——j」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「うぉっほんおはよう諸君。君らが眠りをも貪る前にいくつかお知らせじゃ。脳みその端っこでよいから叩き起こして聞いてくれんかの。なーに、他愛ない話じゃ。天井の星の数を数えている間に終わるじゃろ」


ハニー「……本物の空映すから無数じゃないのよ」


ダンブルドア「今回で記念すべき五百回目になるそうじゃが、管理人のフィルチさんから伝言じゃ。授業と授業の間に廊下で呪文を使わないこと。その他諸々の禁止事項はフィルチさんの管理室の壁に全て張ってあるので、いつでも見にきていいそうじゃ」


フレッド「おいおいご冗談だろ校長先生、そんなことしてたら奴さんの部屋は羊皮紙で溢れっちまってるよ。そんな嘘じゃだまされないね、エイプリルフールじゃあるまいし」

ジョージ「大方ヒントを貰おうとしてノコノコとやってきた生徒をしょっぴいちまうんだろ、涙が溢れるね。あぁ、つまりは俺達二人の誕生日じゃあるまいしねってな、相棒」


ダンブルドア「ステレオで合いの手をどうもじゃミスター・ウィーズリーツインズ。さて、今年は二人、新しい先生をこの場に迎え入れることとなった。まずは、一時的な代理じゃが『魔法生物飼育学』の担当としてグランプリー・プランク先生を。心から歓迎申し上げましょうぞ」

パチパチパチパチパチ!

プランク「はいはい、ありがとねぇはいはい。すこーしのあいだだがね、あたしゃ」


ハニー「あの人には何にも恨みはないけれど、本当にそうだといいわね」

ロン「ハグリッドはいつ帰ってくるかなぁ」

ハーマイオニー「きっと、すぐよ。本来なら夏で終わらせるはずの任務だと思うもの……信じましょう?」

ハニー「当然よ。私の可愛い、豚だもの。わたしの、ね」


ダンブルドア「そしてもう一人。恒例の……『闇の魔術に対する防衛術』の——」

???「エヘンッ、エヘンッ!」

ザワザワザワザワ

ロン「うん? なんだろ、いまの声……随分女の子っぽい咳払いだったよな、ハニーには何周差か分からないくらい劣るけど」

ハニー「あれと比べられたくはないわ……いいえ、まだ、まだよ……」

ハーマイオニー「?ハニー、なんだかあなた顔色……あっ、あのまっピンクの人が立ち上がったわ!?」

ロン「文字通りだと緋色のおべべ、って感じだけどさ……声はすっごい、女の子っぽいな。マーリンの髭!」

ザワザワザワザワ

「女教師か……!?」
 「すっごい可愛い声だぞ!!」
「顔、顔が見たいなっ……!!」

???「あらあら、みなさんあわてんぼうですのね。校長?わたくし、自分の紹介は自分でいたしますわ。少しお時間をいただけますかしらっ♪」

???「エヘンッ、エヘンッ!みなさん、静粛にっ」

ザワザワザワザワ


???「ホグワーツに戻ってこられて本当に、嬉しいですわ!それに、みなさんの可愛いお顔がわたくしを見上げているのも!とってもとってもステキっ♪」


ザワザワザワザワ

フレッド「なんだよなんだよ、僕らは五歳児かい?なんなんだあのあやすような甘ったるい声は」

ジョージ「そうだそうだ、だのに馬鹿な野郎共は何人か照れてやがるぜ、ったくあまっちょろい」


???「みなさんとお知り合いになれるのをとても楽しみにしていますわ!そして——エヘンッ、エヘン」


ハニー「……あの咳払い、あの風貌……やっぱり……」



???「わたくしは魔法省から来た者として申し上げます。魔法省は常々この若い魔法使いや魔女の教育は非常に重要であると考えていました——」

ザワザワザワ ヒソヒソ

ロン「な、なんだかいきなり話し方が変わっちまったね、なんていうか、機械的?ハニーに尽くす僕らは機械も顔負けの従順さだけどね」

ハーマイオニー「……魔法、省!?」


???「みなさんが持って生まれた才能は、慎重に教え、導き、そして養って磨かなければものになりません。この魔法界の古来からの技は正しくそして等しく後代に伝えていかなければ、永久に失われてしまいます。そのような知識の宝庫を守り、また伝承する気高い教育という職場にいるみなさまに、わたくしは敬意を表し、そしてわたくし自身もそれらを守り、補い、磨く者として務めていく所存です」

マクゴナガル「——っ」

スネイプ「……チッ」


ハニー「……スネイプに同調したいのは初めてね……何にも、今の言葉にはなんにも心が篭ってない……きっと、これからの……」



???「しかしながらこの学園、ホグワーツは歴史あるあまり昨今では何らかの新規なものを導入していたように思えます。もちろん、そうあるべきです。進歩なければ待つのは衰退と停滞、しかしながら! 進歩のための進歩!これは奨励されるべくではありません。我々が守り進歩をもって磨くのは、証明された伝統と磨かれてきた歴史であり、手を加える必要のない真実なのです。ですから進歩のための進歩はむしろ非であり、我々が退けるべきと言え——」

ザワザワザワザワ

ロン「おい、ネビル。あの人の言うこと、すこしでも分かるか?」

ネビル「……へ?あ、うん。ごめんよ、ねてた」

ハニー「……みんな、聞く気もなくしたようね。あら、ルーナなんてまたあの雑誌……チョウは、お友達とお喋りしているわ。ねえ、ハーマイオニー?私達……あら」

ハーマイオニー「……ダメよ、ハニー。聞いていないと」

ハニー「……真剣なのは分かるけれど、あんまり見ていないほうがいいと思うわ」

???「——ですから大事なのはバランス、古きものと新しきもの、恒久的なものと変化、伝統と革新——」


フレッド「バランスだとよ、あんたのその目にも厳しい桃色一色はなんなんだ、と言いたいね」

ジョージ「まったくだ。なんならあの隠してる目のあたりにクソ爆弾でも一発投げ込むかい?」

ハニー「……私の思っているとおりなら、これからそれ以上の阿鼻叫喚になるわ」

フレッジョ「はっはは、冗談きついぜ、エイプリルフールじゃあるまいし!」」


???「——すなわち!変化には改善の変化ある一方で!時満ちれば、判断の誤りであったと認められるような変化もあるということです!古き慣習は維持されまたそうあるべきですが!時代遅れとなったものは放棄されるべきでしょう!」

ザワザワザワザワザワ


ロン「おいおい、なんだか熱が入ってきたぞ。相変わらず、言ってることはちんぷんかんぷんだけど。ハニーの美しさくらい明瞭だったらいいのにね」

ハニー「一目見れば誰でも分かるわね、えぇ。でもロン、あの人の方を向いてはだめよ……あぁ、みんな、まくしたて始めたのに気づいてみてしまっているわ……」


???「さあ、みなさん!可愛いホグワーツのみなさん!保持すべきは保持し、正すべきは正し、禁ずべきやり方と分かったものはなんであれ切り捨て、いざ前進しましょう♪」

ザワザワザワザワ

「なんだか良いことを……言ってる?」

「わかんねぇ……でも声優しいし」

「あぁ、おまけに可愛いっぽいし……」

???「さぁ!魔法省と共にいざ!」

バサッ!


アンブリッジ「このドローレス・ジェーン・アンブリッジが!みなさんを解放的で効果的で、かつ責任ある新しい時代へ!お連れしますわっ♪」



ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
アアァアアアアアアアアアアアア!??!?  オアアアアアアアアフォオオオイ!?!?

ロン「ヒンヒンヒン!おい豚どもバリケードだ、っぷ、ハニーに一目もふれさ、うぶっ、うぇ、おったまげー!なんだありゃ!?蛙!?人の服着た……早く壁を!!」

ハニー「ハーマイオニー、ハーマイオニー、気を確かに……んっ」

ハーマイオニー「ぅう、なに、が、おき——!?っちょ、んっ、ふっ、んんっ!?」

ロン「よーし!豚ども仕事が速いな!これであのカエルババアの姿はハニーに見えないし、おまけにハニーたちの姿も中にいる僕にしか、え?なんだって?そこ代われ?ふきとべ?もげろ?HAHAHA、やだねっ!!

ハーマイオニー「んっ、はに、は、にー!やめ、いいえ、やめ、てほしくはない、けど、ちょっ、と!聞いて、頂戴!あの、人。とんでもないことをしようとしてるわ!」

ハニー「えぇ、とんでもないのは見れば分かるったら。見たらみんなみたいになるのでしょうから、やめてほしいけれど」

ロン「あぁ、男子の八割は机につっぷしてるし、女子の大半は泣いてるし、あと、ルーナはなんだか鼻歌歌ってるねなんなんだあのこ、ウップ」


ルーナ「〜〜♪人間蛙はいたんだよ、パパ、っと〜〜〜♪今年は楽しくなりそうだもン!手紙は減ってもゆるしてほしいな」


ハーマイオニー「見た目じゃ、なくって!あの人の言っていたこと、聞いてた!?つまり……魔法省がこの学校に、干渉すると言っているのよ!?」

ハニー「……」

ロン「……」


アンブリッジ「あらあら、ここでもわたくしは大人気のようですわ……よろしく、みなさんっ♪」

ウワアッァアアアアアアアァアァlバババババババ


ハニー「……武力で?」

ロン「あぁ、おっそろしい生物兵器をぶちこんできたよな、もちのロンで」

ハーマイオニー「そ、それも、あるけど、そうじゃなくて!もう!」

ハニー「何を考えていようと、知ったことじゃないわ」


ハニー「私には、騎士団。いいえ、私の豚団がついているんだもの?そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!もちのロンさ、ハニー!」

ハーマイオニー「……緊張感に欠けるんだから、もう」

ヒンヒーーーーーン! ヒソヒソ……ヒソ



つづく

残りのページ数考えると終わるわけあらへんからこのスレは学校開始前で区切りや!
上巻でこれじゃ先が思いやられるで!
次はまた日曜になりそうやけど堪忍な!
ラドクリフお大事に
じゃあの!


 ハリー・ポッターシリーズ

 一巻〜七巻

 世界的大ヒット発売中!

 2014年後半、USJにて

 ハリポタアトラクション建設決定!!

 グッズ各種、先行発売中 ! !

闇醜律示(あんぶりっじ)

古代中国の拳法家、多 那真(た なしん)により考案された武術。
孤児であり非力な女性であった彼女が、戦乱の時代を生き抜くためには、
剛力、非力、女性、男性、あらゆる人間に対処できる武器が必要であった
聡明であった彼女は老若男女問わず人間であれば誰にでも存在する生理的嫌悪感を利用することを考えついた。
そこで彼女は最も相手に提示しやすい顔面を狂わしいほどの肉体改造により
あえてこの世のものとは思えないほど醜悪にすることで必殺の武器とした。
この技を極めきった彼女は、訪ねてくる罪無き者を犠牲にしないために
死ぬまでその住まいに明かりを灯さず暗闇の中でその生涯を送ったという。

余談ではあるが
修業中の醜悪な顔面を衆目に晒して平然と外を歩いていたこの技の修行者達を
抜身のまま武器を持ち歩くというその精神面での未熟さを批判して
「武素(ぶす)」と呼んでいたが、
この技が失伝して以降も単に醜い容姿のものにいたいしてマー髭っ!!うぇっ!ぺっ!


(民明書房刊 「オエエエエエエエエエエエエエ」 より)

さあ、豚の本気を見せるか

ヒン

ヒン

ヒン

お前ら頑張れ!後70ぐらいだヒン

埋めの雰囲気ならできる・・・

ハニーprprprprprprprrprprprprprrprprprprprprprprpr

ルーナprprprprprprprprprprprprprprprprprprprprpr

ハーマイオニーprprprprprprprprprprprprprprprprprprprpr

ジニーprprprprprprprprprprprprprprprprprprpr

同胞のフリした変態がおる……

ハニーprprprprprprprprprprprpr

ルーナprp・・・>>937しまった!?

うめ

うめ

ヒンヒン(例えハニーの目に映らない埋めであっても、ハニーへの礼節を忘れない。それが真の豚じゃないのか?

>>942
・・・ヒンヒン(・・・俺が悪かった、お前がナンバーワンだ)

うめ

ヒン

ヒン

ヒン(埋め)

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒンヒンヒンヒン

ヒンヒン(明日昼から用事だわ・・・)

ヒンヒン

ヒンヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

ヒン

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