レナス「またお前か」キュウべぇ「久しぶり」 (68)


【注意】

先ずは、このSSがまどか☆マギガとヴァルキリープロファイルのクロスオーバーです。
VPは、レナスが主神なってそれなりに時間が経ったオリジナル設定です。

まどマギの設定は、特に弄ってません。

もしかすれば百合要素が入ることになります。


上記のことで納得できない方は、退出をお勧めします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363935037

人が居ない真夜中の路地裏で一人の戦乙女が、その銀色の髪を靡かせる。

極東の島国、日本。四季の美しい国であり、今でも新しいものと古きものが同居する少し変わった国だ。

本来であれば主神オーディンの死後、その座を受け継いだレナスが足を運ぶような場所ではない。
 
戦乙女であった時とは違い彼女は、世界中で死んでいった戦士の魂を導かなくともよいのだ。

ならばなぜ、主神となったレナスが日本に居るのかというと、目の前の不気味な存在を地球から排除するためである。

「またお前か。侵略者」

凛として、反論を許さない硬い声に白くてふわりとした尾が揺れた。

「久しぶりだねレナス。まさか僕を追ってここまで来たのかい?」

頭の中に直接響いてくる無機質な声にレナスは、この地球外生命体の本質を見た気がした。

外見は、白く猫のようでありながら懸け離れ瞳は宝石のように赤く、街灯の光りを反射している。


「貴様など世界に溢れかえって居るだろう。一つ一つ潰したところで意味が無いのは、千年前から理解している」

「もうそんなになるのか。君と出会ったの。と言っても直ぐに殺されたけど」

「そして別固体が新たに出てくる。それの繰り返しだ。私は、貴様を潰しに来たわけじゃない」

蒼穹の鎧を纏った神は、心が存在しない地球外生命体に背を向ける。

足元に落ちていた黒いモノを拾い上げた。

「そろそろキュウべぇって呼んでくれないかい?」

「その媚びる技術も千年の間に身に付けたのか?」

呆れたように問いただせば、白い生き物は尻尾を揺らしながら答える。

「統計上だと有効だからね。君には、効果が無いようだけど」

「お前達の尺度で測れるほど小さくなったつもりはない」

指で摘めるくらいの球体に針状の物が貫通したような不思議な形の物を懐に仕舞うとレナスは、話を切り上げる。

「出来れば二度と会いたくないのだがな」

「残念だな。それじゃ、最後に————僕と契約して魔法少女になってよ」

この千年近い時間の中で、何度その言葉を聴き、何度拒否してきただろう。思い返すことは、最早不可能の領域だ。

レナスは、キュウべぇの誘い文句が来る前に真っ白な羽根を羽ばたかせ夜空へと舞い上がった。

いかに宇宙の生命体であっても自由に空を飛ぶ事は、できないようである。

女神が目の前から消え去って後、キュウべぇも路地裏の闇に帰っていった。


区切りがいいので一旦終了します。

それでは、また。

期待

レナスは神格化した時代ってその程度なんだっけか
まあ世界中からエインフェリア集めているのに
QBの活動に気づかないって訳もなさそうだし…

それでは、続きを投下。

初めてなので色々と不手際などがあると思います。
その際は、ご指摘下さると嬉しいです。


世界の人々の最期であったり、因果律と言うものを感知できる上位存在。

————すなわち神。

その頂点に存在するレナスにとって無視できない出来事が起きたのは、今月の十六日の出来事。
一人の平凡な人間の因果があり得ないほど増加したのだ。
それは、もしかすれば世界が定めたルールを書き換えてしまえる程、膨大で危険なものだった。

しかも増幅したのは、少女。魔法少女の素質まで兼ね備えた子だった。

キュゥべぇから見れば最高級の鴨だ。人の役に立ちたいと常日頃から願っている中学生の少女ともなればこれは、鴨が材料と鍋のセットを背負って歩いているようなものである。
故にレナスは、奇跡を売り物にするキュゥべぇよりも先に異常値の因果を抱え込む少女を見に、極東の島に足を伸ばしたのだ。

自身の姿は、普段人間には見えない。
意識すれば誰にでも見えるようにもできるレナスは、人の往来が激しい中学校の門の近くで、渦中の人物を観察していた。

「あの子がそうか」

桃色の髪を左右で結んだ子が視界に映った瞬間、肌で感じるほどの圧がレナスに押し寄せる。
まるで大瀑布の滝を間近で見ている感覚に神である存在も唇を噛み締めた。
人間でありながら神を揺るがす存在である事がよく解った。その圧倒的な異常さに言葉が出てこない。


「できるなら平穏な日が続いて欲しいが……」

魔法少女にならない事を願うばかりである。
もし、なってしまえばあの少女が手に入れるのは、神の領域の力だ。
大昔、神になろうとした男を嫌でも思い出す。

人間にとって過ぎた力は、身を滅ぼす以上の悲惨な運命にしか辿り着かない。
あの男もその定めから逃れる事が出来なかった。

魔法少女もそうである。
人の輪から外れた力は、人間である事の否定に直結する。
だからこそ、レナスは魔法少女という存在自体に否定的なのだ。

「人に戻る手立てがあればいいのだが」

桃色の少女が無事に学校に入っていくのを確認するとレナスは、空に舞い上がる。
少し離れた場所で、弱いが不穏な魔翌力を感じた。
恐らく魔女の手下である使い魔が人を殺しに出向いたのだろう。


人が無闇に死ぬ事を望まない彼女は、翼に力を込めて羽ばたいた。





昨晩、キュゥべぇと居合わせたように人通りが全く無い路地裏。
そこは、見る者が見れば空間が歪んだ魔の入り口。
その入り口の手前に、文字通り空から一人の女神が舞い降りる。

「まったく最近の魔女や使い魔は、活発だな。処理が追いつかん」

腰から一本の剣を抜く。幾多の魔を斬り伏せてきた神の剣。レナス・ヴァルキュリアだけが持つ煌き。
剣を縦に一振りする。それだけで空間が裂け、完全に人の世から外れた世界が顔を覗かせた。

更に歪んだ世界に臆することなくレナスは、空間の裂け目に身を滑り込ませた。
人知の外である使い魔の結界内は、お菓子だらけの世界だった。

小さな結界の中に煩雑に散りばめられていた。だが甘いお菓子と相反するように、薬の類も山のように積まれている。
今まで数多くの魔女結界に入ってきたが、この脈絡の無さに首を傾げてしまう。

一体どの様な理由でお菓子と薬剤なのか。
どう考えても結びつかない物の間を歩きながらレナスは、嘆息した。

主神になってから大きな戦いを経験しその度、死んでいった魂を浄化して転生の輪に乗せてきた。
だが、エインフェリアになれるほど屈強な兵士という存在は、居なくなりつつある。

人間よりも便利な兵器の誕生は、人から蛮勇であり力強さを奪った。
この百年近く、戦乙女である者は、選定をしていない。かなり昔から居る英雄を転生させず使い続けているのが現状だ。


世界が真の平和であれば、それで問題など無かったのだが、魔女に使い魔、そして昔から神の敵対者である不死者と裏での闘争で人材不足が問題になっている。

だからこそ、神界に住まう神たちも人間の世に蔓延る魔を浄化する事になった。
特にここ数年、魔女の活発化が手に余る。

まるで宴でも始めるように各々が多くの人を死に追い込んで、なにより倒しても倒してもきりがない。
昨日の魔女といい、今回の使い魔。出没頻度が高くなっている。

「一番大変なのは、現行ヴァルキュリアのアーリィだろな。もっともそれに振り回されるアリューゼに同情すべきか」

どちらも超過密スケジュールで世界を回っているようなものだ。他の神より人間界に詳しいという理由で魔女や不死者の討伐の殆どを任されいるのだから損な役割である。
更にアリューゼは、エインフェリアの扱いがちょっと荒いアーリィのエインフェリアで、もっとも休み等が無い。

今も世界のどこかでアリューゼの奥義、ファイナリティブラストが炸裂している事だろう。

心の中で謝っておく。なんとかしてやりたいが、どうすることも出来ない。神とは、思った以上に万能ではない事をしみじみと実感する。




世界の心配から目の前の事に集中するようにレナスは、右手に持った剣を更強く握り締めた。
視界の先には、使い魔と思わしき一頭身の生物が忙しそうに何かを運んでいる。

黒い胴体に赤の玉模様の姿は、人を[ピーーー]ものには到底見えずテーマパークのちょい役の方がしっくりくるものだった。
だが、可愛らしくとも使い魔。

レナスは、冷厳な女神の表情で一気に加速し、使い魔を攻撃範囲に入れる。
突然、疾風の速さで迫られた使い魔も、気づいて回避しようとしたがもう遅い。

神速の刃は、横一閃に振るわれ使い魔は、真っ二つに斬り裂かれた。

使い魔は、崩れ落ちる前にポン! と音を立てて弾けるように消えてなくなった。
そして頭に乗せて運んでいた物が落ちる。

見ればパッケージにチーズと書かれている。しかしなぜあの使い魔は、チーズを運んでいたのだろうか。
不思議に思いながらも、レナスは剣を仕舞うと興味が失せたのか、いつの間にか戻っていた景色に一息つく。

表に一度出ようと身体の向きを変えると、一人の少女が裏路地の入り口で立ち止まっていた。
普通の人間であれば、今目に見えているのは、綺麗に包装されたチーズだけである。

だが、少女の視線は、確かにレナスを射抜いていた。

つまり導き出せる答えは、この場合一つだろう。

「魔法少女、か」

「どう、して?」

レナスの独白に驚いたような声を上げ、艶やかな黄金の髪を揺らして少女は、問いただした。

「貴女は、何者なんですか?」

「レナス・ヴァルキュリア。貴様が神という存在を信じている理解できるだろう」

その銀色の髪と同じように極寒の世界を連想させる冷厳にして威厳のある声に少女は、ただ圧巻されていた。
同時に神が存在したのだと、一時的に認めてしまうほどに。


今日は、ここまで終了です。

できるだけ早く上げられるようにします。
少し長くなる予定なので、読んで下さるなら恐縮です。

それでは、またいつか。

乙、面白いわ
マミさんがレザード・ヴァレスに会ったら詠唱を真似しそうだな…

次からはメ欄のsagaも忘れずに頼む

区切りがいい所まで出来たので、投下します。

>>16
指摘有り難うございます。
sageとsagaを二つ入れれば良いのですか?

>>15
そうですね。どちらかと言うと
マミさん流ニーベルン・ヴァレスティを生み出しそうな気もします。
でも彼女の事だから、真似してくれるでしょうね。


現在レナスが訪れている日本の土地を見滝原という。

都市開発が着実に進み、どこか日本の風景から逸脱したものになっているが住めば都。
特に問題がある訳でもない。

人工的な景観に不満を感じるかどうかが問題なくらいだ。

急に様変わりした街の風景にも慣れて、歴史的建造物を
モデルにした建物を観察するくらいの余裕が出てきた少女は、整えられた緑地の側で深呼吸をする。

少女の名前は、巴マミ。

見滝原中学に通う三年生だ。
美しく巻かれた金の髪を左右で結んだ特徴的な髪型と、淑やかな雰囲気がよく似合う女の子。
まるで咲き始めの大輪の華を想像させる。きっと将来は、かなりの美人になることだろう。

そんな彼女は、遅めの登校をしていた。
特に理由がある訳では無いが、学校に早く着くより家でのんびりしたいだけなのだ。

「あら?」

なにげなく自分の手を見てみると、左での中指に填めていたトパーズ色の指輪が淡く光っていた。
陶磁器のように白く滑らかな手の甲を目の前に掲げてみた。
そっと手を動かしてみる。すると光りは、路地裏の向けた時だけ強く輝いた。

「まったく。こんな時間から出てくるなんて」

マミは、もっと時間を考えて欲しいものだと愚痴を零しながら路地裏を覗いた。

そこは、なんの変哲も無い薄暗い通りだった。二人並んで歩くには、ちょっと狭い道に一歩足を踏み入れる。
魔法少女の彼女には、空間が不自然に揺らいでいるように見えた。

「結界が不安定ね。使い魔かしら」

魔女の結界なら魔法少女でも空間が揺らいで見えることは無い。
魔法少女だけが持つソウルジェムの光りだけが頼りだ。

足を踏み入れようとした瞬間、マミの視界に銀色の波が突如現れた。

薄暗い通路の真ん中でそれは、光りを発しているかのように輝いた波打つ美しい銀髪。
夏の美しい空の色をそのまま練りこんだ鎧に、繊細にして戦うために鍛えられた羽根飾りの兜。
戦衣装の身を固めた上半身に対し、下半身は上質な白い絹に包まれ、絹には縁取るように金の刺繍が施されている。

戦いと美。

戦場を駆ける乙女。

人の知る領域を超えた存在を目の当たりにして、マミは動けなくなった。
鼓動が五月蝿いくらいに脈打つのに、呼吸は凍りついた。

気配に気づいたのか、銀色の髪を揺らし、鎧に身を包んだ女が振り返る。

数秒間、見詰め合った末、女が言葉を紡ぐ。

「魔法少女、か」

「どう、して?」

可憐な唇から紡ぎだされた言葉に、マミは身を震わせた。
どうして、そのことを知っているのかと。

不可解な事ばかりで不安と恐怖がごちゃ混ぜになる。
恐怖から無意識にマミは、問いただした。

「貴女は、何者なんですか?」

「レナス・ヴァルキュリア。貴様が神という存在を信じているなら理解できるだろう」

人間の理解の外側に存在する者。
神というものを生まれてから信じてこなかったマミは、今日この瞬間、考えを覆された。
神秘の結晶。神は存在していたのだと。

「いきなり神と言われても難しいか?」

「え? いや、はい」

戸惑いながら返事をすると、レナスはマミに近づく。

「あ、あの」

「歩きながら質問に答えましょう。貴女にも人の営みと言うものがあるでしょうから」

迷う事のない足取りで表通りに出たレナスをマミは、急いで追う。
通学路を二人並んで歩きながら、マミは盗み見るように見上げた。

「なにかついてるかしら?」

「いえ、なにもついてません。えっとなんと呼んだらいいですか?」

マミの問いにレナスは、少し間を空けると柔らかな声で答える。

「レナスでいいわ。時代の変遷と共に私も名を名乗らないといけないのね」

どこか憂いを帯びた瞳でレナスは、空を見上げる。
その先に何も無いのは、マミでも理解できた。
きっと彼女が視ているのは、思い出となった時代の人々なのだろう。

漂う哀愁をふき取るようレナスは、マミに質問を促した。

「他に何が知りたい? 出来る限り答えるわ」

「でしたらレナスさんは、どんな神なんですか? たぶん戦乙女、ですよね?」

「今は、オーディンの跡を継いで主神よ。本当の戦乙女は、世界各地で人に害を及ぼす人外と戦ってるわ」

淀みなく答えるレナスにマミもすっかり疑惑という考えが排除された。
本当に神は居て、人の知らない場所で何かをしてる、という漠然とした認識が構築されていく。

「あの、聞いていいですか?」

「なにかしら?」

だからこそ、人の世界から隔絶した存在にマミは問う。
それは浅はかで、でもどうしようもないくらい真っ直ぐな気持ちであった。

「死者の声とか、気持ちとか聞けるんですよね?」

「えぇ。神話の本にでも載ってたかしら?」

望んでいた肯定の言葉にマミは、いよいよ緊張が高まり呼吸が止まりそうになった。
たった一人で生き残った彼女が望むこと。
それは、親しい人物の死を間近で体験した人なら誰でも願うもの。


「私の両親が、何を想って死んでいったか分かりますか?」


やはり、とレナスは心の中で呟いた。
質問から少女が何を望んでいるか察しがついたが、教えるべきかどうか。
この選択は、神であっても迷わせる。

死んだ両親の想いを語ることによって、これから少女の進む道の障害になったり、未来を縛り付けてしまうこともある。
逝ってしまった者と残された者。
絆が強ければ強いほど、残された者は傷つき、悲しむ。そして痛いほどに、縛り付ける。

かつて残し、残されたレナスには、マミの願いがどれだけの覚悟か理解できる。
だからこそ、迷うのだ。痛みを知るからこそ、言葉は選ばなければならない。

難しい表情で黙り込んでしまったレナスにマミは、戸惑う。

「無理ならいいんです。きっと死者の想いとか勝手に伝えては、いけなかったり」

「いや、特に規約はない。昔は、死者の最期の言葉を届けた事もあった。でも、考える時間を頂戴」

思い悩むレナスに圧される形でマミは頷いた。
そして向かい合うようにレナスは、マミの目の前に立つ。

「それじゃ、人の営みに戻りなさい。例え魔法少女であっても人としての生活を尊ぶべきだわ」

「どうやったらまた会えますか?」

中学校の門が目の前にある。あそこを潜れば、マミもただの学生に過ぎない。
故に魔法少女として聞いておかなければならない。

「そうね。ならソウルジェムに想いを込めて。そうすれば分かるから」

原理は分からないが、マミは魔法少女の間で交わせるテレパシーのようなものと仮定した。
だから深くは聞かず、ただ頷いた。

「それじゃ、またどこかで会いましょう」

それだけ言うとレナスの背中から純白の翼が広がる。
白鳥のように優雅な翼を羽ばたかせ、彼女はマミの視界から遥か彼方に飛び去って行く。
幻想的な光景が、幻ではなく現実だと思い知らせたのは、空から舞うように落ちてきた淡く光る羽の存在だった。


それでは、今回は終了させていただきます。

できるだけ、近いうちに投稿できるよう頑張ります。

てめぇの顔も見飽きたぜ!

見飽きたのはあなたの奥義です(^p^)

>>1乙スウォーム!



でも、そんな貴方は、いつも私のパーティーにいます

乙です。雰囲気がいいですね。

アリューゼはゲージ溜まりやすいから自分もレギュラー(笑)
あとジェラードは絶対メンバーに残す。
大魔法の詠唱が一人だけアレンジ入ってるスタッフの拘りGJ

アリューゼ以外にVP本編に出てきたエインフェリアは何人ぐらい残ってるの?
メルティーナとかジェラード、ラウリィ、ルシオとかはどうなったんだ?
現役なのか、それとも転生したのか

プチ報告
共有していたパソコンが、一人暮らしする家族に持って行かれ作業が倍以上になりました。
スマートフォンだと早打ち出来ないし、全体の文章みれないのが難点です。
出来る限り明日か今日にアップできるようにします。

>>28
本作で出てきたエインフェリアについては、このSSできちんと書きますので、もう暫くお待ち下さい。


私もアリューゼは初回プレイの時、最後まで活躍してくれました。
奥義は、必ず三番目。
絶対溜まる安心感。心の強かったなぁ



それでは投下します。

ストーリーがなかなか進まないなぁ
改善すべきか……

巴マミが女神と出会うと言う奇跡を起こしたのは、数時間前。
今は、既に昼休み。昼食を食べ終わり自由時間を楽しむ生徒は、屋上に来ない。

それを利用したマミは、一人屋上でソウルジェムを握りしめ、深呼吸をしていた。

緊張で強張った唇を硬く閉ざし、マミは念じる。
ただ心の中で思い描いたのは、一人の女神。
蒼穹の鎧を纏う戦乙女。

学生でいられる時間を削ってまで彼女がレナスを呼び出すのは、今朝の問いについて彼女なりの答えが出たからだ。
レナスの苦渋の表情を思い出すだけで、胸が痛い。
自分の浅はかで、自分勝手な事でレナスを傷つけたなら、謝りたい。
学校が終わってから謝ればいいと思わないのが、巴マミの美徳と言えるだろう。

神に祈りを捧げる。

来て欲しいと、言いたい事があるのだと。
敬虔な祈りを聞き届けたように、マミの頬を風が優しく撫でる。

その時、鳥とは違う羽ばたきがマミの鼓膜を震わせた。
もっと自由で、更に風を掴む翼の音。

「呼んだかしら、私を」

音が止むと同時に声が問う。
マミは、面を上げると答えた。

「はい。どうしても伝えたい事がありまして」

重々しい心が声音に表れる。
しかし、包み隠す術を知らないマミは、まさしく懺悔するように述べる。

「私は、レナスさんを困らせるような事を聞いてしまったと思っています」

「……」

否定出来ないレナスは、マミの言葉に静かに耳を傾けた。

「だから今朝の質問は、忘れて下さい。いつまでも死んだ人に囚われてたら駄目ですよね。それこそママやパパに笑われちゃうから」

己の欲を押さえつけ、子供なのに世界の真理を悟ろうとするマミの姿は、他の人から見れば、さぞ褒められた事だろう。
だからこそ、レナスは彼女の在り方に危うさを感じ取る。
子供なのに子供が当たり前に出来る感情の発露を知らず、大人の社会のルールを早く見に付けてしまった少女。
アンバランスでありながら、バランスが取れている。

今にも倒壊しそうな建物であり、
飛べない小鳥が巣から飛び出そうとしている様でもあった。
無理している事が手に取るように分かる。
切っ掛け一つでマミが崩れてしまう事も。

「だから御免なさい。きっと嫌な思いをさせたでしょうから」

自身の心の痛みをひた隠しにする。

「あ……」

レナスの脳裏で、目の前の少女とは別の少女の姿がちらついた。
境遇も産まれた時代も違うのに、壊れるまで痛みを無視する振る舞いだけが同じだった。

「マミ。よく頑張ったわね」

昔の自分の様になって欲しくない。
その一心でマミの頭を撫でた。
するとマミは、驚いた顔をしたが、次にくすぐったそうに瞳を細めた。

子供として頭を撫でられる事が久しぶりで、つい目頭が熱くなる。
マミが泣くのを堪える頃には、レナスに包み込むように抱きしめられていた。

ほんの数秒の事だったが、神であっても温もりは、人間と同じものだった。

「マミ。時間が来たわ。そろそろ教室に戻らないと」

レナスに言われマミは時計を見る。
針は、授業開始十分前。
確かに教室に戻った方がいい。

あと数分、一緒に居たかったマミは、唇をちょっと尖らせ不満そうな顔をする。
初めて見る子供らしい表情にレナスは、安堵する。

「また会えますよね?」

切実に見上げてくるマミにレナスは微笑んで頷くも、マミの不安は取れなかった。
レナスは必ずマミに会う必要がない。
それが不安材料になるのであれば、必ず会いに行く理由を作ればいい。

レナスは耳に付けていたイヤリングを外すとマミに握らせた。
マミが問う前にレナスは答える。

「それは私の大切な人から貰った宝物なの。ちょっとの間預かってくれるかしら?」

「でも大切な物なら!」

「心配いらなわ。今夜八時にくらいに取りに来るから。さぁ、もう行きなさい」

授業開始五分前の鐘がなる。
咄嗟にマミはイヤリングの片方をレナスに渡す。

「片方だけでも持っていてください。大切な物なら全てを手放したらダメです!」

勢いで受け取ったレナスを尻目にマミは駆け出し階段を全力で下って行った。
手の中に残る片方のイヤリングを見ながらレナスは、今マミが考えている事と同じ事を思った。

まるで御伽噺のシンデレラの様だと。

刻限により引き裂かれる二人。
マミは、魔法少女としての顔から、どこにでもいる生徒に。
そしてレナスは、マミが残した片方のイヤリングを目印にして探す。

どこか不思議な運命の巡り合わせを二人は感じたのだった。

今回は終了です。

ちょっと投稿数が少ないですが、許してください。

それでは、またいつか


面白そう


レナスさんが関わるとフラグがですね

戦乙女

>>1
             .,  ,.ィ
            /l// ——‐ァ___

            ,ハ:::::::::::::::::::::::::::::::<
              /  ̄ ̄ ̄ ̄ゝ:::::<
           l ノ      |ヽヽ:::::::ゝ
           | ●     ● |::::::::ゝ
            l⊃ 、_,、_,⊂|⊃レ )N   てめぇの顔も見飽きたぜ
        /⌒ヽ__ .ヘ  ゝ._)   /⌒i
      \ /:ヾ入ゝ  ┌‐''''"~/  /
.         ヽ:::::::::jlヽ イ-—'''ヘ、__/

奥義・ファイナリティブラスト!!


と、言うわけで投稿開始。

巴マミが教室に着いた頃。
レナスは、一人屋上で苛立ち腕を組んでいた。
彼女をここまで怒らせる理由は、二つ。

魔法少女になった後の少女たちの辿る悲惨な末路。そして、奇跡という甘い言葉で誘い奈落の底に招く白い使者。

特にキュゥべえの存在自体がレナスに不快感を与える。
確かに魔法少女となる者の大半が奇跡を必要としていた。
家族のため、自分のため。

縋らなければ生きていけない場合だってある事は、レナスも承知している。
故にキュゥべえが気に食わない。

絶対悪でも救世主でもない侵略者。
その全てを否定出来たらどれだけ良かっただろう。

「侵略者。どうして奇跡を、今だけの救いを少女達に与える?」

一見、誰も居ない屋上。
そこで普通の人の耳では、聞く事の出来ない会話が繰り広げられる。

「簡単に言えば、希望を与えるためかな?」

どこからともなく背後に現れた白い生き物をレナスは、睨みつけた。

「希望だと?」

「そうさ。そして希望から絶望が生まれる。まぁ、どちらにしても見返りを欲しがるのが人間だからね」

変化しない声のトーンは、耳触り以外の何物でもなくレナスの神経を逆撫でる。
しかし、レナスが正常を保てるのは、キュゥべえの口から語られる人間の心の真実のおかげであった。

「貴様の言う希望など未来が無い。詭弁だ。お前たちがやっている事に意味はない」

「一番意味が無いのは、どっちだい? やがて彼女達は宇宙を維持するための大事なエネルギーになる。
それなのに君たちがやっている事は、無作為に人を殺す化け物退治。
誰も救えない、人に干渉出来ない神に存在意義なんてあるのかい?」

キュゥべえの言葉は、レナスの心臓を的確に撃ち抜いた。
心の無い彼らは、神をも説き伏せる。

なぜレナスが人の世に過剰な干渉をしないのかと言うと、人間の意思で、選べる範囲の自由を感じて欲しいからだ。
だがその想いが、人の世界から奇跡を、神の力をかき消した。

前主神オーディンは、人の世界に混沌と戦乱を招いたり、利用出来る人間は殺し無理矢理にでもエインフェリアにする横暴を見せた。
人の営みが神に支配される。
人に真の自由などありはしなかった。

レナスは、人と神の間を転成していた経験からそれだけは、許せなかった。
だから手を引いた。
人に自由であって欲しい。神が定めた運命など無くとも人は生きていけるのだと。


信じていたかった。


唇を噛み締めて拳を震わせるレナスにキュゥべえは、容赦無く畳み掛ける。

「僕らは世界を救う。神とは、もはや時代錯誤の代物だ。だから僕と契約して魔法少女になってよ」

キュゥべえが紡ぐ言葉の先をレナスは、知っている。
この千年の間でたった一回、聞いた事があるのだ。
一度聞いて、後悔した。

「……やめろ!!」

咄嗟に出た悲鳴に近い声を無視してキュゥべえは、続ける。

「君ほどの因果なら全てをやり直せる。選択の全てを、間違ったものを。それを望んでいるのは、誰よりも君だろう? ねぇレナス」

奈落に突き落とそうと、キュゥべえの声が囁く。
世界を守る神としての重責。選択した先の責任。
押し潰されそうになる心の隙間に、この生き物の言葉は良く響く。

「レナス。君にとって世界が、人々が幸せである事が望みなら、僕と契約出来るはずだ」

「わ、私は……」

彼女が前主神の様に傲慢であったならば、迷う事も無かっただろう。
真剣に幸せを考えるからこそ、生まれた迷いと願い。

「さぁ、君の願いを言ってごらん」

思わずレナスの体が強張る。
その時、手の中で小さい何かの存在を感じた。

ふと思い出す。
それは、マミが教室に帰る際に返した片方のイヤリング。
レナスにとって特別な物。
自分が人間であり神である証明。それと同時に最愛の人からの贈り物。

「ルシオ」

誰にも聞こえないくらい小さな声で名を呼ぶ。
もう、彼は居ない。転生させたのだ。
だが、それでも彼は勇気をくれる。
折れそうになった時、必ず励ましてくれた。

レナスは、一度深呼吸すると、キュゥべえに毅然として答える。

「貴様に望む事などない。私は、やり直す事だけはしない!」

「残念だ。でも諦めないから。君は、三女神の中で一番因果の量が多くて、希望と絶望を知っているからね」

本当に残念に思って居るのか疑わしいくらい、表情一つ変えずキュゥべえは、その小さな身体を跳躍させフェンスに乗る。

後は、振り向く事無く屋上から飛び降りて行った。

視界からキュゥべえが消え、レナスは漸く肩の力を抜いた。
そして手の中にあったイヤリングを見つめながら、溜息を付く。

自分が時々、情けなくて仕方ない。
硬く決意しても揺らいでしまうのだから。

投稿は終了

今度も早く出来る様に頑張ります。
それでは、またいつか

↑訂正

今度も、ではなく【次も】でした

何これ面白い

無限の乙閃、貴様に見えるか!
神宮流剣技、>>1乙刃!

乙乙、魔法少女になるレナスさんのビジュアルが一切想像出来ない

ホームベースなレナス何ていやだ……

レナスさんは年齢(人間換算)的に少女と呼ぶには難しいですね。


次にまどマギにSS書くなら仁美ちゃんを主人公にしようと思う今日この頃。

という訳で投稿開始。

昼の空。雲の隙間から一人の女神が下の様子を窺う。
吹き荒れる風の中、彼女の周りだけが穏やかに風が流れていた。

そして雲の隙間から覗く国を見ながら眉間に皺を寄せる。

「やはり、因果の量が異常だな」

神であっても不可解な現象と言うものは、あるらしい。
初めての事に彼女も少し、戸惑いを見せた。

神の領域さえも飛び越えるような因果の力が突然感知されたのだ。
気になって飛び出して来てみれば、力の発生源は平凡を絵に描いた少女。
まるで肩透かしを食らった気分である。

「レナスが直々に出向いたらしいが、アイツは人間に甘いからな」

彼女は、もし少女が神に敵対、若しくは世界の敵になるならば殺す事も辞さない。
しかし主神であるレナスは、神の判決で人の生を奪う事を嫌う傾向が強い。
例え、爆弾を抱えていても本人が爆発させる気が無いならば見逃すのだ。

「だが私は、殺すぞレナス。人間が一人死ぬのと世界が死ぬのとでは、話が全く違うからな」

漆黒の鎧が太陽の光りを反射する。

時にヴァルキュリアという神は、死神として描かれる。
戦場で死んだ戦士を拾い集めヴァルハラに導く。
聞こえは良いが、人の死を待つ神だ。恐怖の象徴として捉えられたことなど数多い。

古から語り継がれるヴァルキュリアの恐怖の象徴を作り上げたのは、もしかしたら彼女、アーリィ・ヴァルキュリアなのかもしれない。

そしてアーリィは、白い翼を羽ばたかせ地上に向かう。
その島国の名前は、日本。

大きくない国で神同士が対峙しようとしていた。

神が不安要素として密かに監視している少女、鹿目まどか。
どこから見ても特に秀でた所も無く、普通という印象しか抱けない彼女の日常も普通で在り来たりなものだった。
朝起きて、学校に行って、仲のいい友達と話したり授業を受け、そして家に帰って一通りの事を済ますと寝る。
それの繰り返し。平和な日常。

だからこそ、まどかと言う少女は悩んでいた。
自分に誇れる所が無くて、人の為に何かが出来るわけでもない。そんな自分が嫌で、でも何も出来なくて。
毎日を積もっていく様な焦燥感に駆られていた。

そして今日もいつもの様に学校を終え、帰路につく。

「バイバイさやかちゃん」

「またねー、まどか!」

親友の一人と別れ、それぞれの家に向かう。
また明日学校で会う事が出来るから、今の別れなど寂しくもなかった。
ただもうちょっとお喋りしたいな、というくらいの気持ちでしかない。

また会える別れは、悲しみにならない。
しかし二度と会えない永遠の別れは、引き裂かれそうなほど強い痛みと悲しみを与える。
そしてこの少女もそんな悲劇を体験する事となった。

「あれ?」

帰り道の途中にある公園に隣接する道路。広い通りの端に黒くて小さな物が横たわっていた。
それが何なのか分からない。
だが同時にどこか見たことがある光景でもあった。
歩いている時に見かける事は少ないが、車の中でたまに遭遇してしまう。

野生動物が車に轢かれ、放置された光景。

見るたびに心が痛む。しかし何もして上げられないのが現状なのだ。
可哀想だと思う反面、どうしようもないという諦めの感情にまどかは、胸が苦しくなった。
人の為に何も出来ないばかりではなく、こんな小さな生き物にも何もして上げられない無力感に泣きそうになる。

出来るだけ動物の死体を見ないように目線を公園に向けていると、一人の大人の女性が公園から出てきた。
そして迷うことなく、車道の端にしゃがみ込み、動物の死体を抱き上げる。
大抵の人なら見なかった事にするか、無関心を装うのに彼女は違った。

厳冬を思わせる白銀の長い髪。銀幕のカーテンから覗く蒼穹の瞳が憂いと、慈愛の光りを帯びていた。
その視線の先は、哀れな動物の死体。
本当に悲しんで、本当に何かをし様としている人の行動にまどかは、歩みを止めてしまった。


私では、あんな事出来ない。
私は、本当の意味で可哀想だと思ってないんだ。
本当に可哀想で何かをしてあげたいなら、行動できる筈だもん。
なのに、なのに————


殆ど放心した状態でまどかは、銀髪の女性が立ち上がるのを見ていた。
不謹慎ながらその光景があまりにも神秘的で、神々しくて。
魂が吸い込まれそうになる。

現実から遠のくような感覚が覚めたのは、一瞬の事だった。

女性が公園に戻ろうとして身体の向きを変えたとき、腕の中にいたものがまどかの視界に飛び込んだ。
それは、猫だった。よく見知った猫だった。

「エイミー!」

無意識に名前を呼び、まどかは女性の元に走る。
血相を変えて来たまどかに女性は、ゆっくりと訊ねた。

「この子の、飼い主かしら?」

「いえ、でもエイミーは、エイミーは!!」

想いを言葉に出来なくなる。嗚咽が呼吸と言葉を邪魔し、なにより涙で目の前が見えなくなった。
あまりにも悲しくて、あまりにも唐突で、奪われる痛みに、耐えられなくなる。

悲しみだけが残ったまどかの心に、女性の声が滑り込んだ。

「死別というのは、寂しいものよ。好きなだけ泣いていいわ。だけど、振り返っては駄目」

「どう、してですか?」

真っ赤に泣き腫らした瞳で訴えるまどかに、女性は優しく微笑んだ。

「振り返ってあるのは、死だけ。辛くて寂しくて悲しい事だけが待っている。
それじゃ心が耐えられないわ。だから残された者は、前を向いて歩かないと、この子にも失礼でしょう?」

「エイミー……」

「死者を悼むのは、決して悪い事じゃない。でも死んで逝った者達が、残された人に絶望を感じて欲しく無いはずよ」

女性の腕の中で動かないエイミーを見て、それでも乗り越えられない痛みにまどかは、首を左右に振った。

「それでも、やっぱり悲しいです」

「えぇ、今は、それでもいいわ。いずれ向き合う日が来る事は、確かよ」

気持ちの整理が付かないまどかは、心の中で奇跡を願ってしまった。
エイミーを生き返らせて欲しいと。
誰もが一度は願うであろう事を。

「けれど、生き返って欲しいとは、望まない事ね」

「え?」

驚きすぎてまどかの涙が止まった。
心を覗いたんじゃないんだろうかと疑ってしまうくらい、適切なタイミングで女性は忠告する。

「命とは、一つしかないから別れが寂しくて辛い。だからこそ、たった一度の生を人や動物は謳歌するわ。
悔いが残らないように、一生懸命に。でも生き返れるなら一度目の死は、無意味になる。それこそ一回くらいなら殺してもいいなんて思う人が出てきてしまう」

「……何度も死ねる命だと、命としての意味を失うんですね?」

女性の言葉から、まどかなりの答えを出す。
たった一つだからこそ意味と価値が宿るのだと。
だから永遠の別れは、悲しくて、尊い。

それでもまだ、どこか吹っ切れないまどかに女性は最期の忠告をする。

「気を付けなさい。奇跡は起こるだけ。後の事なんて何も考えてくれないわ」

「それってどう言う意味ですか?」

「奇跡は、絶対に幸福を運ぶ訳じゃない。善意が必ず人の為にならないのと一緒よ。もしこの子を生き返らせたとしても、また死んでしまったら二度の苦痛を受ける事になる。
思いつきや浅慮な願いは、不幸を呼び寄せるでしょうね」

圧倒するような威厳で言い放つ女性にまどかは、無言で頷いた。
なぜ、この女性がこんな事を言うのか分からないが、聞き流すことやどうでもいいと思うことが出来なかった。
竦むような威厳と言うよりは、神からの信託。

忘れないようにまどかは、口の中で何度も繰り返す。

「さぁ、帰りなさい。この子は、私が責任もって供養するから」

「あ、はい。……よろしくお願いします」

すっかり夕日が道路を赤く染め上げる。
もう直ぐ太陽が沈み、暗くなる時間だ。そろそろ帰らないと親が心配するだろう。
後ろ髪が引かれる思いだがまどかは、後の事を頼むと歩き出した。

まどかの姿を見送ったあと、女性は猫の遺体を抱いたまま公園に入る。
白く長いスカートを揺らし、一般女性の恰好をしたレナスは、腕の中の猫に語りかけた。

「アナタの身体は、この世に残らないけどいいかしら?」

問い答えるようにレナスの耳だけに猫の鳴き声が木霊す。
誰も居ない公園の真ん中で、レナスは猫をそっと撫でた。

すると、猫の遺体が蒼い炎に包まれる。鮮やかな蒼は、猫だけを灰に変えた。
そして手の中に残った灰を、風が舞い上げ連れて行く。

儚い情景を見送ると、レナスが公園の一角に視点を固定して、嫌悪感を表した。

「またお前か」

「やぁ、お昼ぶりだね。まったく君も酷いな。折角の契約チャンスだったのに」

ブランコの腰掛部分にキュゥべえが座る。
非難しているのだろうが、感情がない声で言われても冗談に聞こえてしまう。

「これでまどかに猫を生き返らせるって言っても契約してくれないじゃないか」

「そうか。だからと言って貴様は諦めないのだろう?」

「もちろんさ。それに君の事だって諦めた訳じゃないんだ」

淡々と会話していた空気が、キュゥべえの一言で凍りついた。
絶対零度の眼差しでレナスは、キュゥべえを射抜く。動いた瞬間、きっとこの生き物は真っ二つに切り捨てられるだろう。

「いい加減にしろ。魔法少女を生み出すと言う事が、なんなのか分かっているのか?」

「創りだした本人に問うだなんて、そんなの分かりきっているさ。いつか宇宙を支えるエネルギーになる。それだけだろう?」

「いや、違う」

感情のないキュゥべえに対し、レナスは苦渋を舐めたように顔を顰める。

「魔女になった魔法少女の魂は、転生の輪から外れ永久に消えるのだ。肉体と精神の死だけではない。
それ以上の惨事をお前は、招いている!」

「希望から絶望の転換の際に魂までもエネルギーに換えてるのは知ってるよ。でもいいじゃないか人間は数が多すぎる。ちょっと減ったとしても変わらないはずだ」

キュゥべえの口から出てきた言葉にレナスの思考が一時停止した。
それほど衝撃的だったのだ。

運命の輪から外れた者を不死者という。主に人の強い情念が転生の輪に加わる事を拒絶し、時間の摂理から外れた者がそうなる。しかし浄化すれば、彼らもまた転生の輪に加わり、また新たな生を受けられるのだ。

しかし魔女は、違う。魔女は、レナスが感じたところ強大な絶望が産み落とした欠片でしかない。
実際、魂は感情の核であり、感情をエネルギーに変換する彼らの技術で少女達の魂は、輪廻転生を迎える事無く消耗品となる。

つまり、総数が決まっている魂が少しずつ、消えているのだ。

このまま彼らの言うエネルギー回収が続けば、どれだけの魂が消滅する事か。
それでも彼らから見れば、適切な出費なのだろう。
例え絶対数が減る事になっても、地球という星に溢れる生命の数は、把握する事が不可能なほど莫大である。

しかし、そこが問題なのではない。

大切なのは、生きていた証が証明されない事だ。

「貴様、解っていながら……」

「宇宙全体の事として考えて欲しいね。この星が滅亡しても宇宙が無事ならいくらでも可能性があるじゃないか」

怒りで声が震える。
今すぐ斬り捨てたいが、ここで斬ったとしてもこの生き物は、新しい個体を作り表れる。
全ての固体が並列し、思考の共有が成され同じモノが複数存在すると言う奇妙な構図が出来上がっていた。

先ほどまどかに話したが、何度も死ねる命を彼らは持ち合わせていることになる。
つまり何度殺そうとも無意味でしかない。

「そうか、なら滅亡する側が貴様らになっても宇宙の為なら死ねるのか!?」

「さぁね。その時の状況にならないと分からないや」

飄々と質問を返し、キュゥべえは座っていたブランコの腰掛部分から降りた。
話す事がもう無いのか、レナスの前を横切る。

だが、キュゥべえがレナスの前を完全に横切ったと同時に、キュゥべえの身体が爆発した。
いや、そう錯覚させるほどの速さで投擲されたハルバートがキュゥべえを貫き、公園の地面にちょっとしたクレーターを作り上げたからだ。
無残に肉の切れ端となったキュゥべえを視界の端に捕らえ、レナスは溜め息をつく。
どこかスカッとしたが、こんなクレーターを作ったら明日、この市の人間は混乱するだろうに。

そしてこの惨状を作りだした張本人は、ハルバートを大きく窪んだ地面から引き抜いた。

「レナス。下等生物に侮辱されて何もしないのは、感心しないな」

髪も鎧も漆黒に染まった女神が苛立ちを隠さず問い詰める。
その衣服は、レナスのものと酷似していた。
黒い羽飾りの兜から覗く紫色の瞳が酷く残酷な光りを湛えていた。

「だからと言って、ここまでしなくともいいだろう。アーリィ!」

「貴様が甘いからだ。さっき話していた小娘が今回の案件ならば話は早い。殺せばいいだろう」

「何を言っているの? 殺してどうなる。あの子は、確かに異常だけど本人に悪意があるわけじゃない。
原因を探して膨大な因果の流れを断ち切る方法を探すべきだわ」

鹿目まどかという少女の処遇について、話が平行線を辿る。
お互いが主張を譲る事無く、睨みつけた。

「人間一人死ぬだけで世界が救われるのだぞ?」

「その自分勝手な考え方が嫌だから人に自由を与えたの。もう忘れたかしら?」

「自由の結果が慢性的な紛争、転生先の偏り、延いては庇護の存在を忘却し神を蔑ろにする輩を生み出した事は、理解しているのか?」

「でも神の勝手で人の生死を自由にした結果、多くの不死者を生み出した事を覚えているわよね」

正反対の価値観を持ち合わせた二人の衝突に巻き込まれる形となったキュゥべえは、木っ端微塵と化した固体を回収できず、草陰に隠れ様子を窺う。

ついにレナスが戦乙女の鎧を纏う。こうなれば人に目視されず、なにより戦闘を開始してもあまり気づかれない。
物を壊さない限り、という条件付で。

「さっきから言ってるでしょう! 因果が集中した原因を突き止めて解消すれば、あの莫大な量は霧散するわ!」

レナスの発言に公園の草陰の中でキュゥべえが、それは困るなぁと呟く。

そこに運命の三女神の長女、アーリィの怒号が響く。

「そんな悠長な事を言っている場合か!! あの下等生物は既に目を付けているのだぞ。
それにあの小娘の因果の流れは、我ら神にしても辿る事が不可能。ならば殺したほうが確実だ!」

朗報だ。でも殺さないで、というキュゥべえ呟きは、レナスの苛立つ声に掻き消される。

「ふざけないで!! そんな浅い考えがブラムスを生み出したんでしょう!? また過ちを繰り返すの?」

「ふん! 凡俗な小娘程度に何が出来る!? それよりも重視すべきは世界の安定だ。人柱なんぞ珍しくも無い!」

ついにレナスが抜刀し、アーリィがハルバートを構えた。
神同士の対決。
それは、人の領域を超えた者同士の激突を意味する。もし地上でそんな事をやらかしたら地形くらい簡単に変えてしまうだろう。

だが、いくら頭に血が上っているからといって二人もそこまで考え無しではない。
同時に武器を下げ、しかし漲る闘志だけは、健在だ。

アーリィが提案するようにこう言った。

「お前との決着は、魔女結界に入ってからだ。あそこなら人間界に影響が出ないからな。本気でやれる」

「いいだろう。そろそろ、主神の言う事くらい聞いて欲しいものね」

レナスとアーリィの対峙がとりあえず終った事にキュゥべえは、安堵した。
これで昔のように巻き込まれて、塵も残らず消滅する心配がない。

その代わり、今回たまたま表れた魔女は、悲惨な運命を辿るだろ。
なにせあの姉妹の戦いは、遠慮を知らないのだから。巻き込まれれば、間違いなく余波で死ぬ。


ニーベルン・ヴァレスティ対ニーベルン・ヴァレスティ。


感情のないキュゥべえでも、二度と御免だと思ってしまう体験だった。
戦乙女達は、魔女を探すために飛び立つ。


今回は、これにて終了です。

シルメリア時代のアーリィじゃないので、まだまだ思考が神様より
これから柔らかくなっていくといいですね。

個人的にアーリィ主役のゲームが欲しいです。
きっと天界を満喫できるに違いない!

キュウベェにお願いしてアーリィ主役にしてもらおう

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