アカギ「希望ヶ峰学園……?」 (76)
安岡「お前宛に手紙がきてるぞ」
アカギ「へえ、オレ宛に……ね」ビリビリ
アカギ「希望ヶ峰学園……合格通知?」
安岡「なんだお前、いつの間に受験なんてしてやがったんだ」
アカギ「冗談は止してくださいよ。こんなの手の込んだイタズラに決まってる」ポイッ
安岡「だよな。お前が今更学校になんて……いや待てよ、どこの合格通知だって?」ガサゴソ
安岡「希望ヶ峰学園っ……!お前これ本物だぞっ……!」
アカギ「はぁ……?」
安岡「アカギ、本当に送るのはここまででいいのか?」
アカギ「ああ、世話になった。安岡さん」
安岡「しかしあのアカギが高校生か……。フフ、想像だにしなかったぜ」
アカギ「ククク、まあ青春ってやつを謳歌してきますよ」
安岡「それと今朝南郷から電話があってだな。お前に『入学おめでとう』と伝えてくれって」
アカギ「はぁ……」
安岡「じゃあ名残惜しいが行くぜ。また大きなヤマがあったら呼ぶからよ」
アカギ「クク、二度と御免だね」スタスタ
アカギ「ここが聖クロニカ学園か」
アカギ「隣人部?なるほど、斜め読みか。あらら」
一年半後
狛枝「赤木クン、麻雀やろうよ」
アカギ「へえ……?喰えねえ奴だとは思っていたが……」
狛枝「アハハ!超高校級の博徒のキミに目をかけられていたなんて嬉しいなぁ……!」
アカギ「クク、そうだな。腕一本賭けるならやってやる」
狛枝「え、それくらいでいいの?モチロン乗らせてもらうよ!」
狛枝「ああ……でもボクごときの腕一本とキミの腕一本じゃ釣り合わないよね」
狛枝「よし、こうしよう!ボクが勝ったら赤木クンの腕一本を貰う。でもキミが勝ったらボクの命を貰ってくれないかな?」
アカギ「ククク……いいだろう。狂気の沙汰ほど面白い……!」
小泉「なんだかアイツら物騒なこと言ってるけど止めなくていいかな……」
西園寺「あんなゴミ虫どもほっときなよー。それより小泉おねぇ!売店いこ!」グイグイ
小泉「あー、はいはい。行くからあんまり引っ張らないで」
小泉(何かあったら弐大か九頭龍が止めてくれるわよね……?)チラッ
弐大「クソじゃああああああああぁぁああぁあああぁ!!」
終里「んだよ、うっせーな。稽古は後でいいからとっとと行って来い」
弐大「クソに行くんじゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁ!!」ダッ
小泉(……)
小泉(九頭龍なら……)チラッ
超高校級の妹「てめー、お兄ちゃんに色目使ってんじゃねーぞ」ズイ
小泉「ひっ……!」ビク
西園寺「おいメスガキ、小泉おねぇにガン飛ばすな」ズイ
妹「あぁ!?」
西園寺「やるの?おーい澪田おねぇ!」
妹「くっ、加勢を呼ぶなんて卑怯な!」
九頭龍「何やってんだテメーら?」ヒョイ
妹「……あ、お兄ちゃん。ご飯一緒に食べよ♪」
九頭龍「ハァ?いい年して兄妹で飯なんか食えっかよ」
妹「いいからいいから♪」グイグイ
九頭龍「あ、ちょ……」ズルズル
九頭龍(辺古山と食おうと思ってたのに……)
西園寺「ちっ、逃げたか」
澪田「ほーい、日寄子ちゃん呼びましたっすー?」
西園寺「遅いよ。使えないなー。もう要らない」プイッ
澪田「えぇー!?そりゃヒドイっすよ!人権侵害っす!断固説明を求めるっす!」
西園寺「うるさいなー。小泉おねぇと売店行くからどっか行って」
澪田「ガーン!いま果てしなく傷付いたっすよー!」ヨヨヨ
小泉「……とりあえず唯吹ちゃんも一緒に三人で行こ?ね?」
西園寺「小泉おねぇがそういうならいいけど……」
澪田「うっひょー!真昼ちゃん話わかるっすー!」
西園寺「だからうるさいって!」
小泉「ふふ」
小泉(あれ、何か忘れてるような。……ま、いっか)
娯楽室
狛枝「メンツはテキトーに後輩を呼んだけどいいかな?」
アカギ「ククク、誰でも構いやしない」
苗木「狛枝先輩、赤木先輩、よろしくお願いします」
セレス「ふふ、お手柔らかに頼みますわ」
苗木「何だか緊張しちゃうなあ」
セレス「今回は狛枝さんと赤木さんの勝負とのことですが」
セレス「わたくし達が勝っても構いませんの?」
狛枝「もちろんだよ! ただ万が一ボクが勝っちゃってもキミたちからは何も取らないよ」
狛枝「当然ボクみたいな平凡な人間がキミたちのような素晴らしい才能を持つ人間に勝てるとは思ってないけど」クドクド
狛枝「赤木クンもそれでいいよね?」
アカギ「ああ」
狛枝「それじゃあ始めようか!命のやりとりを!」
苗木「い、命のやりとり?」
狛枝「あはは、言葉の綾だよ」
セレス「……」
そして幕は開く――
希望と絶望が渦巻く命がけの学級麻雀が始まる……
東一局
起親 苗木
苗木「よーし、せめて邪魔にならないように頑張るぞ!」
十一巡目
狛枝「うーんキツイなあ」タンッ
アカギ「ククク……その西、ロンだ」バラッ
セレス「すみません、頭ハネですわ」バラッ
苗木「あ、ボクも和了ってます!」バララッ
狛枝「ふー、危ない危ない。いきなり差し馬相手に満貫を払うところだったよ」ジャラッ
アカギ「……」
トリロンにより流局
東二局
親 セレス
ドラ西
六巡目
狛枝「ドラだけど要らないなあ」タンッ
アカギ・セレス・苗木「「「ロン」」」バララッ
苗木「えっ!?」
セレス(これは……しかしイカサマの形跡は見られませんわ)
アカギ「……ククク」
狛枝「また助かっちゃったよ」ニヤニヤ
トリロンにより流局
東三局
親 アカギ
ドラ西
十三巡目
狛枝「通るかなあ」タンッ
セレス「ロンですわ」
苗木「ロンです!」
セレス「あら、ここは苗木君にやられてしまいましたわね」
苗木「そんな、たまたまだよ」テレ
セレス(また西。本当に偶然……なのかしら)
苗木「ダブ東、ドラドラで満貫です!」
狛枝「ボクの幸運もここまでかぁ」ジャララ
アカギ(クク……)パタッ
アカギ手牌
①①①①②③④⑤⑥⑦⑧⑨西
苗木33000(+8000)
狛枝17000(-8000)
安広25000
赤木25000
東ラス
親 狛枝
狛枝「まいったな、やられっぱなしだ」
狛枝「何とかしないと」ニヤリ
アカギ「……」
狛枝配牌
一一一二三四五六七八九九九
狛枝「これは是非とも和了らなくっちゃ!」
一巡目
狛枝「あれぇ……もうツモっちゃったよ」ターンッ
セレス「!?」
苗木「天和九蓮宝燈……!?」
狛枝「ここまで八回分も放銃してきた甲斐があったよ」
狛枝「もしかしたら九回分だったかもしれないけれどね」チラ
アカギ「……」
苗木1000(-32000)
狛枝113000(+96000)
安広-7000(-32000)
赤木-7000(-32000)
狛枝「赤木クン、トビだね」
アカギ「ああ、この半荘はオレの負けだ」
狛枝「じゃあ約束を果してもらうよ」
アカギ「こんなもん、欲しけりゃくれてやる」スッ
狛枝「いいね……!さすがは超高校級の博徒だよ!」
狛枝「辺古山さぁん!」
辺古山「話は聞いている」スッ
苗木「うわあ!辺古山先輩、いつからここに!?」
辺古山「最初からいたが」
セレス「苗木君、気付きませんでしたの?」
苗木「とほほ」
辺古山「しかし……本当に良いのか?」
アカギ「構わない」
辺古山「正気の沙汰では無いぞ」
アカギ「ククク、狂気の沙汰ほど面白いっ……!」
辺古山「坊ちゃんを人質に取られていなければ」
辺古山「私だってこんな事は……」
苗木「な、何が起こるの?」
セレス「苗木君、見ちゃダメですわ」ギュッ
苗木「わ、わ、セレスさん。見えないよ」
狛枝「辺古山さん。一思いにやっちゃってよ」
辺古山「坊ちゃんの為だ。悪く思うなよ。赤木」ザシュ
アカギ「ぐっ……」ボトリ
狛枝「これが超高校級の博徒の腕かぁ……!」ウットリ
狛枝「そうそう、赤木クン。早く保健室行ったほうがいいよ」
狛枝「このままじゃ失血死しちゃうよ」
苗木「し、失血死!?」
セレス「苗木君、聞いちゃダメですわ」ギュッ
苗木「わ、セレスさん。頭を抱きかかえないでよ」
アカギ「ククク、馬鹿を言え」
狛枝「えっ?」
アカギ「オレの腕はもう一本残っている」
アカギ「倍プッシュだ」
辺古山「……」
セレス「……」
苗木「ねえ、セレスさん。何?何が起こってるの?」ジタバタ
狛枝「くくくく……あは、あははははははははははは!!!」
狛枝「最高だよ赤木クン……!キミはどこまでボクを楽しませてくれるんだ……!」
狛枝「じゃあ始めようか、次の半荘を!」
セレス「ちょっと待ってくださりませんこと?」
狛枝「なんだい?」
セレス「こういう事でしたら苗木君は巻き込まないでください」
狛枝「うーん……でもボクたちと麻雀打てそうな生徒が他にいるかなあ……」
ガラッ
江ノ島「どうやらこの私の力が必要みたいですね」キリッ
セレス「江ノ島さん?」
江ノ島「大体事情はわかったよー☆あたしも混ぜて☆」キャハ
セレス「で、ですが……」
江ノ島「うるさい。つべこべ言わずに打たせなさい」ビシィ
狛枝「江ノ島さんがいたか。助かるよ」
江ノ島「わ、私なんかがお役に立てるか不安ですが頑張ります」ドヨーン
セレス「はぁ……わたくしはとりあえず苗木君を教室に送ってきますわ」
苗木「え?何がどうなったの?ちょ、どこ行くのセレスさん!?」ズルズル
苗木リタイア
三十分後
罪木「はぅ……とりあえず出血は止めましたけどぉ……」
罪木「早く病院行かないと危険ですぅ……」オロオロ
アカギ「腕一本くらい構いやしない」
アカギ「さあ始めようぜ狛枝。次の半荘を」ククク
狛枝「うん。待ちくたびれちゃったよ」アハハ
そして再び幕は開く――
希望と絶望が渦巻く命がけの学級麻雀が始まる……
東一局
起親 江ノ島
江ノ島「やばい飽きた」
セレス「えっ」
狛枝「えっ」
アカギ「……」
江ノ島「なーんてね☆いっけぇー☆」キャルルン
江ノ島「むむ!この配牌は!」
江ノ島「糞みたいです……こんなんで何やれって言うんですか……」
江ノ島「と見せかけてダブルリーチ!」バシィ
セレス「……」
狛枝「……」
アカギ「……」
セレス(現物がありませんわ。どういたしましょう)チラッ
江ノ島「」テヘペロ
セレス「と、とりあえず……」タンッ
セレス 打北
江ノ島「ローン!ロンロンロンロン!ロォーン!」ジャラッ
セレス「くっ……」
江ノ島「ダブリー!メンホンメンチンサンカンツサンアンコウピンフサンショク!」ドヤァ
江ノ島手牌
①③④④ⅠⅡⅧ六六九西發白
江ノ島「役満です!」キリッ
セレス「……」
狛枝「……」
アカギ「……」
妹様13000(-12000)
狛枝29000(+4000)
安広29000(+4000)
赤木29000(+4000)
東二局
親 セレス
十巡目
アカギ 打四萬
狛枝「ロンだよ」
狛枝 和了形
②②②四四七七七ⅠⅠ 鳴 西西西
江ノ島「あんた超高校級の幸運の割には地味じゃね?」
狛枝「あはは、ボクのは欠陥品だからしょうがないよ」
セレス「前の半荘であれだけのことをしておいてよく言いますわ」
アカギ「ククク」
妹様13000
狛枝31600(+2600)
安広26400(-2600)
赤木29000
>>60訂正
妹様13000
狛枝31600(+2600)
安広29000
赤木26400(-2600)
東三局
親 アカギ
ドラ北
十八巡目
狛枝「そろそろ和了れそうなんだけどなあ」ツモル
狛枝「カンさせてもらうよ」
狛枝 北暗槓
新ドラ北
セレス「なっ……!」
狛枝「あはは、悪いね赤木クン……また勝たせてもらうよ」
一巡後
狛枝「ほら、ツモだ」
①②③④⑤⑥⑦⑧白白 暗槓北北北北 ツモ⑨
狛枝「ハァハァ……赤木クン、腕を二本とも無くしたらどうしちゃうんだい?」
狛枝「そんな状況でどうやって輝いてくれるんだい?」
狛枝「希望は前に進むんだ!く、くく、くはははははははは!!」
江ノ島「うぷぷ……」ニヤリ
アカギ「ククク……」ジャラッ
セレス(何だか常識人になった気分ですわ)
妹様5000(-8000)
狛枝63600(+32000)
安広21000(-8000)
赤木10400(-16000)
アカギ「ククク……さて、準備は整った……」
アカギ「始めようか、東ラスを……!」
一年後
左右田「よォ、アカギ。そろそろ義手のメンテじゃね?」
アカギ「あらら。頼む」
左右田「おうよ。……その代わり」
アカギ「クク、分かってる。抜かりはない」
左右田「へへ!持つべきものは怪しげな情報源がある友達だな!」
アカギ(友達……か)
アカギ(あの時、江ノ島が引き起こそうとしていた事件)
アカギ(狛枝と共謀して学園を……世界を絶望に陥れようと画策していた)
アカギ(手始めにオレをギャンブルで負かして仲間に引きずりこむとこだっただろうが)
アカギ(クク、相手が悪かったな。結局二回目の半荘からオレは猛攻に出て)
アカギ(狛枝を圧倒。命を奪い取り江ノ島の計画もぶっ潰した……!)
アカギ(生徒の大半は恐ろしいことが起ころうとしていたことすら知らないだろう)
アカギ(だがそれでいい)
アカギ(今ではこの平和ボケした生活が悪くないとすら感じている)
アカギ(ククク……安岡さん。アンタの言う通りにして良かったよ)
アカギ(今はこの束の間の平穏を満喫させてもらうとするぜ)
左右田「メンテ終わったぞ。で、早速見返りのソニアさんの情報を……」
アカギ「ああ、それだがソニアの好きな男子は田中だ」
左右田「は?」
ソニア「田中さん。来週はどこに遊びに行きましょう!」ムッハー
田中「そうだな。混沌の闇夜に浮かぶ夏の焔を観測しに行こうか」
ソニア「何だかよく分かりませんが……がってんしょうちのすけ!」
左右田「」
こうして青春を謳歌したアカギはなんやかんやあってアルツハイマーで自我を失う前に自殺するのであった。
飛散しろっ…!赤木しげるっ…!
完
みんなここまで読んでくれてありがとう
アカギは地の文か解説役いないとキツイと実感した
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません