アルミン「きる☆きるしゅ☆しゅたいん☆」(45)

■アルミンによるジャン・キルシュタイン名前いじり
■CP要素なし




アルミン「…慈悲深い、とは?」


まず、[キル]には存外たくさんの言語の綴り、言葉の意味にあふれていた記憶がある。

ジャンの普段の言動や表に面している性格などからふまえるに、僕は彼が[kill]に妥当するのでは?
と、しごく適当に独断してみたりする。

さてそのkillにも、数個の意味合いが存在している。

ここではひとまず、彼に当てはまるであろう3例を紹介しようと思う。



いち。人を圧倒する口ぶり。

「俺は正直者なんでね」
「人との信頼だ」
「お利口ぶってないで言えよ」

自分の身がかわいいだろ。
死にたくなんてないだろ。
わざわざ死にに行くなんて理解ができない、したくもない。
だから憲兵団に。
少しでも安全で安心な暮らしがしたい。

死にたくない。
巨人が怖い。
誰かが死ぬのは嫌だ。
自分が死ぬのはもっと怖い。

そうだろう。

もっと正直に生きたい。
自分はもっともっと自由になりたい。

生きていたい。

その権利を、俺は俺の実力をもって手にいれる。



彼を奮いたたせる要素にはおそらく殺生がある。のかも知れない。

今晩もお約束の恒例行事がはじまる。
言い合う二人をぼんやり眺めつつ、僕は夕食をいそいそ掻きこむ。

ミカサがエレンの皿を凝視していた。

つかの間、僕は食事に専念するのである。

ミカサ「エレン、野菜を残してはダメ」

ひとまずここまで

ほう



に。相手が返せないようなボールを打つこと。また、そうした難球。

ジャン「はっ…!オコサマ」

エレン「んだと!苦手なもんに年齢は関係ねえ!!そもそも俺とジャンは同い年だろーが!!」

ジャン「ああ?!んなじゃ巨人倒せねーぞ!くそ腹立つことにあいつら好き嫌いだけはなさそうだからな」

マルコ「(無茶ぶりするなぁ)」

エレン「うぬぬ」

ミカサ「エレン。ほら」

エレン「ぐっ…。…自分で食べるよ」

ジャン「いいからさっさと食っとけ」

エレン「分かった。分かったけどよぉ、うううっ納得できない!」

ジャン「だーかーらぁ!ミネラル摂れつってんだよこの死に急ぎ野郎!」

ミカサ「………」

エレン「? ミネラル?」

エレン「んー…汗しょっぱいし大丈夫なんじゃねえのか」

ジャン「はぁあ?!これだから」

エレン「なんだよ!?」

ジャン「死に急くぶんには俺も知ったこっちゃないが、熱中症なんかで目の前で倒れられでもしたら気分わりぃだろ!」

ジャン(! ミカサみてるー?)

エレン「!?」

ジャン「ああ?」

ミカサ「…不本意だがジャンが言っていることは、一理ある」

ジャン「え?」

ミカサ「私は口下手。代弁してくれて…その…助かった」

マルコ「それくらいにしときなよジャン。このままだと君がもんどりうつ展開だよ」

ジャン「…」

エレン「にやにや」

ジャン「死に急げ!!」



さん。仕止めること、単数では獲物そのもの。

ジャン「あああああ!めんどくせぇ!」

マルコ「ふっ、ははは」

ジャン「俺じきじきにそのよく動く口に突っ込んでやろうか!?」

エレン「やめろ!!」

ミカサ「やはりここは私が」

エレン「いただき、ます!」

ジャン「(あいつ今日の訓練中、フラフラしてたからなー)」

ジャン「(まぁ、そんな危険なレベルでもなかったけど。一応な)」

マルコ「ふふふ……あれ?」


サシャ「ジャン!発見でぇぇえす!」

コニー「ジャンジャン!!!」

サシャ「ジャァン!」

ジャン「ちょっなんだ!?こっち来んなよ!」

ジャン「うわ??お前ら…!やめっ」

マルコ「!! ジャーーン…!」


アルミン「(…ごちそうさまでした)」

彼はああみえて案外、苦労している。らしい。

ここまで
おやすみ!


アルミン「慈悲深い…かー……」


つぎに、[キルシュ]とは外の語でさくらんぼのことをあらわすと、昔読んだ祖父の秘蔵書に記されていた。

綴りはたしか[Kirsch]だったかな。

製菓のレシピでキルシュとあればキルシュヴァッサー。
つまり、さくらんぼのブランデーを指すらしい。

訓練休日、トロスト区内食堂。クリスタに誘われた焼き菓子と紅茶。

秋空はどこまでも高く、肌をなでる風は優しく涼しい。
落ち着いた装飾と人々の活気に満ちた店内も素敵だが、外の席もとても気持ちがいい。

簡易な白のテーブルに、僕たちと青い空がうっすら映りこんでいる。

クリスタ「前の休日にサシャと入ったんだけど、この紅茶がすごくおいしくってね!」

クリスタ「みんなと飲みたいなぁって思って」

一口含む。…うん。おいしい。やわらかい風味だ。

果物のほのかな甘さとみんなの笑顔に、場の会話も自然と弾む。

できたらまた夜に投下するかも

ユミル「当番なんかじゃなけりゃ私もお供したってのにー」

クリスタ「はいはい。ユミルはなんだかんだでしっかり者だものね。私が保証人」

ジャン「で、今日はサシャが受付手伝いってわけか」

ライナー「当番だって分かったときの顔、すごかったなぁ」

ユミル「ははっ!この世の終わりみてぇな顔してたな」

クリスタ「んー。どのお土産買って帰ろ?」

ライナー「(よくできた嫁さん)」

クリスタ「……あの…みんな、どう…かな?」

ユミル「さすがクリスタの見立てだ!ふつーにうまい!」

ライナー「クッキーもさっくさくだな!」

ジャン「うめー」

ユミル「だとよ?」

クリスタ「うん!良かったぁ。きっとサシャも喜んでくれるわ!」

ジャン「紅茶からほんのりと甘い匂いがすんな」

ベルトルト(さくらんぼ、かな)

ベルトルト「おいしいよ、クリスタ。僕なんて誘ってもらってありがとう」

ライナー「クリスタとお茶会なんてほんと最高だな!」

ユミル「おい!」

ライナー「冗談だ。みんなで、だからだろ?」

クリスタ「ふふっ、私もその通りだと思うよ」

アニ「(あと日用品は…)」

クリスタ「あっ!アニ!よかったら一緒にお茶どうかな?」

アニ「……う」

(辺りに響く談笑)

アニ「ううん。ごめん、まだ用事が残ってるから」

クリスタ「そっかー。…分かった。また宿舎でね!」

アニ「うん。じゃあ」

ライナー「どうした?」

クリスタ「少し残念だなって」

ユミル「そんじゃ次は無理矢理にでも連れてくるか」

クリスタ「もー!無理強いはしないからね!そういうのとは違うの!」

ユミル「どう違うんだ?」

クリスタ「それはっ!えっとね、違うの!なにかが違うと思うの!」

ベルトルト「…親しくなる過程…とか?」

クリスタ「! いまのしっくりきたよ。仲良くなるにも焦らず、よね」

ユミル「しょうがねぇなぁ。なら今度は、二人だけでくるか!」

ライナー「阻止!ならび同行!!」

ベルトルト「(……アニ)」

ジャン「ところでよ、さくらんぼって知ってるか?」

意外だった。
同時に、彼の口から何が語られるのか。
くすぶる好奇心を胸に、僕はゆったり首を傾げてみせた。

今日はここまで

乙!
続き期待して待機するわ

ベルトルト「ジャンは、知っているの?」

ライナー「? あの赤い実のことだよな?」

ベルトルト「……。僕もライナーも昔、図鑑でみたことがあるくらいだけど…」

ジャン「そう。赤くて丸くて甘くて瑞々しい果物らしい」

ユミル「コニーやサシャあたりなら実物知ってそうだな」

ジャン「その赤い実にちなんだうってつけの物語がある」

ライナー「どんな話なんだ?」

ジャン「へへっ、」

ベルトルト「ジャンは、知っているの?」

ライナー「? あの赤い実のことだよな?」

ベルトルト「……。僕もライナーも昔、図鑑でみたことがあるくらいだけど…」

ジャン「そう。赤くて丸くて甘くて瑞々しい果物らしい」

ユミル「コニーやサシャあたりなら実物知ってそうだな」

ジャン「その赤い実にちなんだうってつけの物語がある」

ライナー「どんな話なんだ?」

ジャン「へへっ、」


ある国で伝わっていた文学を集めた短編集をたまたま読んだことがあってな
そんとき見つけたんだけどよ
赤い実はじけた
つー話があって
それがなんともこっ恥ずかしいもんでよ

…少女が恋におちるまで
いわゆる初恋の様子をえがいてたんだ

クリスタ「わあ!初恋かぁー。それでそれで?」

ジャン「おう、」

その少女には苦手な男子がいるんだけどよ
ある出来事をきっかけに
少女は男子のことを少しずつ気にかけるんだ

んでこんな一文がある

それは本当だった。まったく突然。
パチン。予想もしていなかった。


ジャン「思わず飛び上がるほど胸が高鳴ったんだとよ」


ふわり。優しくそよぐ風と漂う紅茶の香りに、僕はそっと目を細めた。
みんなも思い思いの表情を浮かべている。

甘酸っぱい。想像もしていなかった何かがはじける。それはどんなに甘美で痺れる体験だろうか。

ジャン「初恋」

そうだね、君はミカサに焦がれている。

ライナー「初恋」

神様は敵が多いよ、ライナー。

ベルトルト「(はつ、恋…)」

まさか、恋を知っているのかな。

クリスタ「はつこい」

クリスタの愛は平等だ。いまはまだ難しいのかもね。

ユミル「クリスタ!好きだぜ!!私は常日頃はじけまくりだ!!」

ははっ。ユミルの一途さはお手本のようだね。

クリスタ「もぅ…!ユミルったら!もぅ…!」

重複投稿すまん
ひとまずここまで

支援

このスレタイ見てモニター殴ったわ
つまんねえよおい

恋をする。はじける。愛情の自覚が、さらなる苦悩と健やかな喜びとどうしようもない欲求を芽生えさせる。
その赤い実が熟すとき。

はるか昔では、思春期特有のありふれたうちのひとつの初恋綺譚だったのだろうか。

僕にはこの物語が体験談であったのかはたまた創作だったのか、残念ながら知るよしもない。

けれど、だからこそ想像は膨らむ。
素敵だなと思った。まるで桃源郷に近いと思った。
好きな人と穏やかに微睡んでみたい。大切な人達と満腹になるまで食べ飲みくらべ、夜を明かしてみたい。
朝目を覚ますと、地平線から太陽がのぼるんだ。

……うん。でもまたきっと、そんな世の中が訪れると、僕は願うよ。してみせるよ。

ジャン「あー。空が高いな」

クリスタ「トンボ、たくさん」

ライナー「陽が傾いてきたな」

ユミル「お。最後の一枚もーらい」

ベルトルト「思わず流されそうになるね」

ライナー「はー。そろそろ門限だー」

うーん、おふざけ感がすぎただろうか
今後はsage進行にするわ

今日はここまで

ジャン「日暮れだな。もう少し経って藍色が混ざりだすと、黄昏時とか逢魔時ともいうんだと」

ユミル「うん?さっきから妙に詳しいよなぁ」

ライナー「異国語ってことだろ。ジャンは好きな子のために色々と調べた様子だし」

ジャン「……まぁな。」

ユミル「なーるほど。目指せ東洋フリーク!ってか」

ジャン「俺さ、思ったんだ。いまは叶わなくても、はじけたら種が落ちるだろ」

ジャン「種から芽がでて大事に育てて、大きな大きな花を咲かせられたら、その時はたくさん実った果実を大切な人と食べるんだ」

ジャン「そんないつかに繋がるなら、悪くねえって」

ベルトルト「珍しいね」

ジャン「たまには、な」

ベルトルト「幻想的。そんないつかがやってくると思ってるんだ?」

ジャン「あぁ」

クリスタ「…怖いけどとても希望に満ちてるね」

ライナー「大丈夫だ。俺が倒してやるから安心していいぞ」

ベルトルト「それは安心だ」

ライナー「!」

ジャン「ほら。テーブル見てみろよ。俺らの顔、橙と赤色だ」

クリスタ「さくらんぼ、みたいね!」

ライナー「(激かわ)」

ユミル「ぷっ。ひっ!くくく!」

クリスタ「ユミル?」

ライナー「(楽しくて辛い)」

ユミル「ふくっ。…あんた馬面のくせしてやけにピュアっピュアだな~」

ジャン「はあ!馬面かんけーねぇし!頼むから空気読んでくれよ!?」

ユミル「ふうん?ならチェリーボーイくん。とでも形容しておこうか」

ベルトルト「ちょっとユミル」

ライナー「わははははは!」

クリスタ「??」

ライナー「正直、そこんとこどうなんだジャン?」

ジャン「るっせ!」

ベルトルト「やめなよ。さすがに下世話」

ライナー「すまんすまん。ただ少し羨ましくなってな」

ジャン「ぬああバカにしてんのか!?」

ライナー「違うんだ。まだ希望も可能性もあるって意味だ、そう目くじらたてるなよ」

クリスタ「(ユミル?)」

ユミル「(簡単にいえば、性的接触経験が皆無なウブ野郎ってことな)」

クリスタ「……!……っ……あ…え…、んと。そうだ。お土産!お土産どうしようかなー」

ジャン「くっそうううう!純情のなにが悪い!!」

僕はほわりと口元を緩め、ゆっくりとカップの中味を飲み干した。

冷めきった液体が喉を通り抜けていく。
不思議だ。全身があったかい。

エレンとミカサと、いまここには居ないけれどそれぞれのいまを過ごすみんな。
みんなとこうやって、あたたかく流れる時間を共有できる日が。いつかかならず。


あのさ
この紅茶はさくらんぼのお酒が隠し味になってたようだね
と、なんとなしにいきなり種明かしをしてみせた。

クリスタ「うっうう」

ユミル「ひっひっ!ふはは!結局言っちゃうのかよ!?」

ベルトルト「なんてタイミングなんだ」

クリスタ「アルミンー」

ライナー「(激かわ)」

ジャン「! アルミン!そうだ、お前は仲間だよな!そうだよな!?お前あれすらまだそうだもんな!」

彼は正直者な天の邪鬼だから、なんだか僕も素直な意趣返しをしてしまいたくなった。
時に好奇心は人をも殺す、なんてね。

邪鬼の邪気、退散!


ジャン?一説によると
チェリーボーイのチェリーには、真新しい、つまり初々しく青臭いという表現も含まれるんだってさ。

じゃ、そろそろ帰ろうか。
楽しくて穏やかなひとときをありがとう。


クリスタ「私こそ今日はありがとう。また、今度はみんなで来たいな」

ベルトルト「たまになら、息抜きも兼ねて、いいんじゃない?」

ライナー「あぁ、ベルトルト」

ユミル「んー! そんじゃ土産買って戻るぞ」

クリスタ「うん!」

澄んだ青と茜射す空に、大小さまざまな形の影が伸びる。

さて、魔が抜けたであろう当人といえば

ジャン「はは…フォローがいたく…染みてきやがるぜ…!」

とまあ、こんな具合で。
慈悲とは何か。
を、実に深く考えさせられる一日だった。

投下ここまで


さいご、[シュタイン]は[Stein]。これは間違いなく姓だと断言しよう。


これで終りだ。
どこまでも白く神々しかったであろう石造りの床が、ひんやりと冷たい。
教会。だった場所。

煌々と炎が燻り、崩れた壁の残骸が煤け、灰色の煙がところどころから細くたなびく。

遠く唸るような嗚咽の震えが風をつたい僕の耳を貫き、かけめぐった咆哮が心臓を突き刺す。

寒い。ひやりとぬめる体は黒ずんだ赤。
盛り増す冬の息吹きを、確かにひしひしとこの身に感じていた。


懺悔だろうか、痛みだろうか、恐怖だろうか、贖罪だろうか。安堵なんだろうか。
悔しい。もう分からないよ。
僕は。僕は。

僕を支配し続けた覚悟とは、結局何だったのだろう。
ばらばら捨ててきた種は、どんな実を宿したんだろう。
卑怯だね。
答えは、君に託す。


頼むよ

「あぁ。任せとけ」

なんだか頬がぬるいや

「初雪が舞ってんだよ」

しょっぱい

「アルミン。そりゃ海の味だろ」

そっか そうか そうだね

やっぱり君は
ジャン・キルシュタインだった



「僕はきたるべき未来を繋ぐ役目を果たせたかな」
「そうだと、いいな」

俺はアルミンの手を握り、強く強く頷いた。
視界をうっすらと覆っていた膜がはじけて落ちた。

春は花見が夏には海水浴が待ってるぜ

果敢で残酷でいつまでも夢を心に秘めた兵士であった彼に、俺の声は届いただろうか。

おわり

読んでくれた方、どうもありがとう!

乙!

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