もこっち「モテないし囲碁をやる」 (82)

もこっち「ヒマだな…テレビでも見るか」

テレビ「ここで右辺の黒が…」

もこっち(囲碁か…そういえばやり方知らないな)

テレビ「ここでコウにして失敗してますね」

もこっち(なにいってるんだこいつら…)

テレビ「白に地を稼がれてますね」

もこっち(ダメだ、全然わからない)

テレビ「ここで深く荒らしにきます」

もこっち(けっ…どうせ年寄りの遊びなんだろ誰がそんなもんやるか)

もこっち「あの~ここって囲碁打てるんですか?」

老人「ああ、お嬢ちゃん打つかい?」

もこっち「いえ、やり方がわからないから教えてもらおうかなって」

老人「そうかそうか、よしじゃあやりながら覚えようか」

もこっち「お願いします」


 ―1時間後―

老人「石の持ち方も大分うまくなってきたね」

もこっち「そうですか?ありがとうございます」

老人「お嬢ちゃんは素直ないい子だねぇ、よければうちの孫の嫁になってくれないか?」

もこっち「ええっ!そんなぁ~私なんかでよければ…」


―――――――――
――――――
―――
――

もこっち(なんてことになったりして…)

もこっち「あの~ここって囲碁打てるんですか?」

市川「あら?あなた一人?」

もこっち「え、ええ…まぁ…」

もこっち(なんだよ若い女の店員がいるなんて聞いてねーぞ…)

市川「子供は500円ね」

もこっち「ご…ごひゃくえんですか…そ、その…」

市川「なに?」

もこっち「あ、いえ…わたし…やり方教えてもらいたくて…」

市川「そう、囲碁をはじめたいのね、でもそれなら囲碁教室に言ったほうがいいかもしれないわね」

もこっち(囲碁教室か…ちっ、めんどくせーな)

市川「場所教えるわね」

もこっち(なんだよ…いきなり出鼻くじかれたよ…もうやる気おきねぇよ)

塔矢「キミ、囲碁おぼえたいの?」

もこっち「え!?は、はぁ…そ、その…」

塔矢「市川さん、いいよボクが教えるよ」

もこっち(なんだこのオカッパ…オカっ…あれ…よく見ると…)

塔矢「僕は塔矢アキラ、キミは?」

もこっち「え、ええ…あ…と…と…と…も…もこ…くろきです…」

塔矢「黒木さん?よろしく」

もこっち「こ……ここっ…こちら…こそ…」

塔矢「囲碁は地を取るゲームなんだ」

もこっち「は、はぁ…」

塔矢「難しく考えなくていいよ、とりあえずやってみようか」

もこっち「え、ええ…ど…どど…どうすれば…」

塔矢「とりあえずこの6路盤で」

もこっち(あ、なんか小さいな…これなら私にもできそう)

塔矢「まず黒木さん、石をどこでも置いてみて」

もこっち「え…え?…は…はい…」ぱちっ

塔矢(にこっ)

もこっち(なんか笑顔だ…この笑顔は初心者を見下すそれに近い…)

塔矢「石は線と線の交点に置いて」ぱち

もこっち(やっちまったよぉおお!これゼッタイ初心者にありがちなやつだぁあ!)かぁぁ…

塔矢「あ…いや、大丈夫、はじめは誰だってわからないんだから…」

もこっち(フォローまでされてる!なにか言わないとっ!笑顔でさわやかに返すんだ私!)

塔矢「黒木さん?」

もこっち「どへへ…えへへへ…そ、そうなん…だ…」

塔矢「うん、がんばってね」

もこっち(ぐっ…なんだよこのやさしさ…)

もこっち(こういう表面的にやさしい態度してる奴ほど内心では鬱陶しく思ってるんだ…)

塔矢「じゃあもういちど石を置いてみて」

もこっち(はっ!いかん…ネガティブだ…今日はいつも以上に負の思考になってる)

塔矢「えっと…」

もこっち(落ち着け私!こんなイケメンと長時間顔を突き合わせられるんだ!むしろ良い事だろ!)

塔矢(大丈夫かな?やっぱり緊張してるのかな?)

もこっち(そうだ、コイツだってきっと友達がいないんだ、だから囲碁なんてやってるんだ)

塔矢「市川さん、コーヒー二つください」

もこっち(もう大丈夫、このおかっぱレベルならもう冷静に対処できる!)

市川「はいコーヒー」

塔矢「ありがとう、はい黒木さん」

もこっち「あ、どうも…いただきます」

市川「塔矢くん、進藤くん来たわよ」

ヒカル「よお塔矢、それとそっちの子は…?」

塔矢「黒木さん、囲碁を覚えたいんだって」

ヒカル「へえ、だったら俺が教えてやるよ」

もこっち(なっ!なんかまた一人イケメンが来たっ!!?)

塔矢(それが進藤、彼女はちょっと緊張気味で…)

ヒカル(お前が怖い顔してるからじゃねーの?)

塔矢(そ、そんなことはない!)

ヒカル(いーや、あるね!お前は碁盤の前では必ず顔が険しくなる)

塔矢「そ、そうだったのか…ボクは…」

もこっち(なにか話してる…い、いまのうちにちょっとトイレへ…)

ヒカル「よぉ!俺進藤ヒカル、よろしくな」

もこっち「よ、よよ…よろしく…」

ヒカル「よ~~っし早速やろうぜ!」

もこっち(やべえ…最も苦手なタイプだ)

ヒカル「違うよ、こういう場合はこう置かないと石が取られちゃうだろ?」

もこっち「え、ええっと…は、はい…」

ヒカル「もう一回」

もこっち(こ、ここかな?よくわからない…)

ヒカル「だ~か~ら~!」

もこっち(ひいっ!)

市川(やっぱり塔矢くんが教えたほうがいいんじゃない?)

塔矢(彼女人見知りが激しいみたいだから進藤とは水と油だね…)

ヒカル「ほらもう一度」

もこっち(ダメだ…もう帰りたい…)

もこっち「ちょ、ちょっと…ト、トト…トイレへ…」

ヒカル「ああ、うん」

もこっち(うっ…!ぐぷ!…うろおろろろろ!!?)ビチャビチャビチャ!

もこっち「はぁ…はぁ…もう帰ろう…」ガチャ

ヒカル「よっし続きやろうぜ!」

もこっち「あの…私、帰ります…」

ヒカル「なんだよ、もう帰るのかまたいつでも来いよ」

もこっち(え……いまなんて?)

ヒカル「また来いよ、いつでも教えてやるからさ」

―――
――


もこっち「ぐへへっ…ぐふふふ…」

弟(キモ…)

もこっち(あーいうタイプも悪くないな…もしゃもしゃ…)

弟(もぐ…もぐ…)

もこっち(男ってやつは知識をひけらかしたがるからな…ズズ…)

弟「ごちそうさま」

もこっち(聞いてやるだけで好感度が楽に稼げるぜ…でゅふふ…)

弟(またなにかくだらねーこと考えてんなコイツ…)

ヒカル「そうじゃねえよ!何回言ったらわかるんだよこのメスブタ!」

もこっち「ごっ、ごめんなさい!」

ヒカル「ここは小ゲイマじゃなくケイマに受ける手だろうが!」

もこっち「そうですよね…」

ヒカル「才能ねーよ、もうやめちまえ!」

もこっち「そんな…」

ヒカル「なーんてウソだよ 智子のウッテガエシすげえよかったぜ」

もこっち「えへへ」

―――
――

(妄想ここまで)

もこっち「あっふーすっおうふっ」ナデナデ

もこっち(今日も来てしまった…)

市川「あらいらっしゃい」

もこっち(二日連続で来てよかったかな…ウザがられるかも…)

市川「昨日は進藤くんで大丈夫だった?彼ちょっと強引だから」

もこっち(強引!?)

市川「今日はよかったら他の人に教えてもらう?あそこの北島さんとか」

北島「なんだ市っちゃんその女の子?」

もこっち「えっ…い、いや…そ、その…」(うわっ…なんだよあのクソじじい…でしゃばんな死ね!)

市川「塔矢くんのほうがいいかしら?」

もこっち「ご、強引なくらいでちょうどいいです…」

市川「そ、そう…?」

進藤「黒木、今日もきたのか」

もこっち「は、はい…えへへへ…」

進藤「よしじゃあ今日も教えてやるよ」

もこっち「よ…よ…よよ、よろしくお願いします…」

市川(彼女もしかして進藤くんのことが好き?)

社「じゃまするで」

市川「あ、いらっしゃいませ」

進藤「社!?こっちに来てたの?」

社「ああ、対局でな 進藤と塔矢がここにいるかもって聞いて」

進藤「そっか」

社「なんや進藤その子、ひょっとして彼女か?」

進藤「はぁ?」

もこっち(ええっ!!?いきなりあらわれてなに言ってんだこいつ)

ヒカル「こいつは囲碁教えてるだけだよ」

社「なんやそうなんか」

もこっち(ちくしょぉお…なんだこのデリカシーのかけらもない奴は…)

社「まあええ進藤打つか」

ヒカル「悪ぃ、こいつまだ囲碁はじめたばっかでさ」

社「そうか じゃあオレも付き合うわ」

もこっち(なんだよコイツ…邪魔だよ大阪帰れよ…)

社「よろしくな彼女」

もこっち(帰……あれ?こいつイケメンだな)

塔矢「こんにちわ」

社「よう」

塔矢「社、こっちに来てたのか」

もこっち「ど、どうも…」

塔矢「黒木さん、いらっしゃい」

社「二人で彼女に教えてたんや」

塔矢「へえ…」

ヒカル「オレが教えればばっちりだぜ」

塔矢(それはない…やはり進藤は黒木さんに合わない)

社「いや、俺が教えたほうがええ」

塔矢「黒木さんにはボクが指導するよ」

ヒカル・社「なんだって?」

もこっち(あれ…なんだこれ…3人で私の奪い合いが…)

もこっち(これは夢なのか?)

ヒカル「なら勝負だ」

塔矢「望むところだ」

もこっち(ほら、勝負とか言ってるよ…3人のイケメンが私のためにバトルはじめる気だよ)

社「じゃあ一手1分の早碁やな」

ヒカル「北斗杯の前日を思い出すな」

もこっち(なにこれ…どうなるの?モテ期?モテ期なのか?)

 -6時間後-

塔矢「ありません」

社「次はオレや」

ヒカル「お願いします」

社「お願いします」

もこっち(あれ?これいつまで続くんだ?もう夜じゃん)

市川「3人とももう閉店よ」

塔矢「っと、もうそんな時間か」

ヒカル「じゃあそろそろ帰るか」

社「そうやな」

もこっち(閉店とか言ってるよ…なんだよこれ)

市川「塔矢くん送っていくわ」

塔矢「いつもありがとう市川さん」

社「オレももう大阪帰らんとな」

ヒカル「じゃあな社」

もこっち(そっか、じゃあ私には…)

ヒカル「黒木、家どこ?送ってくよ」

もこっち「あ、は…ひゃい…」

ヒカル「悪かったな、結局俺らだけ対局しちまって」

もこっち「い、いえっ…全然…その…い、いいです…」

あかり「おーいヒカル~!」

ヒカル「あかり、どうしたんだ?」

あかり「どうしたもこうしたも…あんまり遅いから迎えにきたんだよ」

ヒカル「そっか悪い」

もこっち(うん、やっぱりそーいうオチか…)

あかり「あの…隣の女の子?」

ヒカル「ああ、こいつ昨日囲碁はじめ……あれ?いねえ」

あかり「いま物凄い勢いで走っていったけど…」

ヒカル「え?」

もこっち(囲碁なんて二度とやるかちくしょぉぉぉおお!!!)


  「モテないし囲碁をやる」 おわり

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