輿水幸子「お仕事と特別レッスンですか」 (23)
P「新しい仕事の話がきてな。それで色々考えたんだが、幸子が適任だと思って」
幸子「プロデューサーさんもなかなか見る目がありますねってまさかスカイダイビングじゃないですよね?」
P「安心しろ。詳しい事はまだ秘密だがちゃんとスタジオでの撮影だ」
幸子「ドッキリ系でもありませんよね?」
P「それを正直にドッキリだと答えるヤツはないと思うが・・・まあ、今回は神とちひろさんに誓ってそういうのでもないと約束する」
幸子「それなら構いませんよ」
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P「ただな・・・」
幸子「ただ?」
P「その仕事をするのに今の幸子は実力不足なんだ」
幸子「大丈夫です、カワイイボクならどんなお仕事でもカンペキにこなしてみせますよ!」
P「思い上がるなよ輿水」
幸子「!?」
P「確かに幸子には才能がある。だが、自分の限界を見極めることが出来てこそ素晴らしい人間になれるんだぞ」
幸子「だ、だったらどうしてボクにそのお仕事を持ってきたんですか!」
P「その点は心配ない。幸子のために特別レッスンを組んである」
幸子「ああ、そのための特別レッスンというワケですか」
P「厳しいレッスンになると思うが、それを乗り切れば今回のみならず将来への大きなステップになる。幸子なら乗り越えられると見込んでの事だが・・・やるだろ?」
幸子「そういうことなら納得です。カワイイボクならどんなレッスンだってこなしてみせますよ!」
P「その答えを待っていた。特別レッスンは明日行うから、今日はしっかり休んでこいよ」
幸子「もちろんです。では、今日はこれで失礼します」
・・・
P「さて、レッスン場に着いたぞ」
幸子「それで、一体どなたが指導してくださるんですか? もしかしてマスタートレーナーさん?」
P「いや、今回は専門的な特訓になるからな、他のアイドル達に講師をお願いした。ちなみに5人だ」
幸子「そうですか」
P「落ち着いたところで早速だが講師を紹介しよう」
幸子「ハイ」
P「まずは真心の射手、水野翠!」
翠「頑張りましょう」
P「続いて清白の乙女、望月聖!」
聖「・・・こんにちは」
P「蒼翼の乙女、速水奏!」
奏「手は抜かないわよ。ふふっ!」
P「寡黙の女王、高峯のあ!」
のあ「・・・よろしく」
幸子(何この別世界に片足を踏み入れていそうな面子)
P「そして――」
のあ「P・・・今日はリーダーは急な仕事が入って来れないらしいわ」
P「そうか、それは残念だ。まあ、元々忙しい人で出来るならって話だったし、4人だけでも大丈夫だろう」
幸子「プロデューサーさんがそうおっしゃるなら構いませんが・・・もう一人はどなただったんですか?」
P「バッハ武藤さん」
幸子「偉大な方に何をさせようとしていたんですか!?」
翠「では、私から始めさせていただきます」
幸子「よろしくお願いします」
翠「さて、何をするにもまずは心が大事です。心が落ち着いていないと想定外のミスを引き起こします」
幸子「何となくわかりますね」
翠「そこで、いかなる状況下でも平常心を保つためのトレーニングをやっていただきたいのです」
幸子「ええ、何でも来いです!」
翠「こちらにいくつかのドリンクを用意しました」
幸子「外からは中は分かりませんね」
翠「この中に刺激的な飲み物がいくつか入っていますが、とりあえず全部飲み干しちゃってください」
幸子「刺激的って一体どんな飲み物なんですか?」
翠「Pさんに用意してもらったんですがそうですね・・・例としてタバスコ入りのお茶とか言ってましたね」
幸子「我慢大会か何かですか!?」
翠「ほら、早速あわててますね。先ほども言いましたが、どんな状況でも対応できる水面のような心を身につける事が私の特訓の目的です」
幸子「関連性があまり見えないような・・・」
翠「まずは挑戦です。口直し用のお酢はちゃんと用意してありますから安心してください」
幸子「何でライフラインがお酢なんですか!?」
聖「次は私の番・・・」
幸子「よろしくお願いしますね」
聖「私は歌・・・声の表現力の担当です」
幸子「一応CDを出していますので、多少はわかりますね」
聖「・・・既にある程度はご存知だと思いますが・・・今一度基礎からのトレーニング・・・です」
幸子「そうですね、歌に関しては望月さんの方が詳しいですしやってみます。~~♪」
聖「・・・」
幸子「こんな感じですが、どうですか?」
聖「・・・砂糖菓子より・・・甘い」
幸子「」
聖「まず最初の・・・息の吸い方から問題・・・それに今の・・・適当なビブラート・・・歌をなめてるんですか・・・!?」
幸子「あの、その、すいません、詳しくご教授お願いします」
聖「もちろん・・・発声練習からみっちりと・・・」
幸子「は、はい」
幸子(静かに怒られるって地味に辛い・・・)
聖「それと・・・私の出番が欲しいです・・・」
幸子「それ今言わなければいけない事ですか!?」
奏「ふふっ! 今度は私ね」
幸子「お願いします」
奏「私が見るのは魅力よ」
幸子「魅力・・・?」
奏「例えばセンス。例えばポーズ。女性の魅力は色々あるわ。そこで、私からの特訓は動きについてよ」
幸子「動きですか?」
奏「指先一本、唇の動きまで洗練された一連の動作。女性の魅力を表すには動きは大事だと思うの」
幸子「なるほど、一理ありますね」
奏「そこで、ここでは投げキッスの動作をやって欲しいの」
幸子「・・・は?」
奏「本当は実際のキスを用いた特訓にしようと思っていたけど、Pさんに止められちゃった」
幸子「それ、妥協した結果なんですか・・・というか何でキス」
奏「そこは私の好みみたいなものね。ふふっ!」
幸子「まあ、カワイイボクなら投げキッスもお手の物ですけど・・・」チュッ
奏「ふふっ、まだまだよ。まず、キスは色々大事なモノがあって、それは情熱と思想と理念と・・・」
幸子(と言われても、ファーストキスもまだのボクにはあまり理解しがたい内容なんですが・・・)
奏「そして何よりも相手が逃げる前にキスをする速さね♪」
幸子「相手の意思を無視する事がキスの真髄なんですか!?」
のあ「・・・改めて自己紹介するわ。私は高峯のあ。知っていると思うけど、アイドルは常に完璧を求められる」
のあ「それに応えるのは難しいけどうまく成長すればその輝きは天下一品よ」
のあ「その輝きの前では小手先のアピールなど無駄になるくらいの・・・ね」
のあ「・・・さて、そろそろ始めましょう。それとも今からシッポまいて帰るのかしら、輿水幸子!」
幸子「何でそんな何かの決戦前っぽい台詞なんですか」
のあ「・・・私が課すトレーニングはオーラよ」
幸子「オーラ、ですか」
のあ「・・・そして生命を最も感じさせる部位・・・それは瞳。私を見つめ、ひるませたら合格にしてあげるわ」
幸子「そ、そんなの無理じゃないですか!」
のあ「そう・・・貴女はカワイイアイドルを目指していると聞いたけど・・・言葉にしなくてもにじみ出る気迫で相手にカワイイと感じさせられるくらいにならなければ・・・貴女は永遠に目標に辿り着けないわ」
幸子「クッ・・・わかりました。カワイイボクに不可能なんてないことを今から証明して見せます!」
のあ「いい答えね・・・じゃあ、始めるわ」
幸子(とはいえ、この方をひるませられる人間なんて存在しないんじゃないでしょうか)
のあ「・・・」
幸子(おっと、確か瞳を見つめるように言われていましたね)
のあ「・・・」
幸子(虹色のカラコン、でしょうか。神秘的なイメージにピッタ・・・リ!?)
のあ「・・・」
幸子(なんでカラコンの色がうごめいているのでしょうか。光の加減ってレベルじゃないですよ!?)
のあ「・・・心が乱れている」
幸子(・・・帰りたい)
のあ「・・・今夜は寝かさないわよ?」
幸子「それ、女性から女性に言う台詞じゃありませんよね」
P「よく乗り切ったな幸子。内心では途中で投げ出すかもしれないと覚悟していたから、正直見直したぞ!」
幸子「た、確かにきつかったですが、ボクのカワイさをもってすれば乗り越えられない山なんてありません!」
P「それは頼もしいな」
幸子「で、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないですか?」
P「ん? 何をだ?」
幸子「ボクがやるそのお仕事の事です。特別レッスンも無事乗り越えましたし、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないですか?」
P「そうだな、いいだろう。その仕事なんだがな――」
・・・
のあ「・・・P」
P「あ、のあさん達、お疲れ様です。幸子の収録を見に来てくれたんですか」
聖「どうなったか気になって・・・今やってますね・・・」
幸子『ラ、ラ、ラ、ランドセル~は♪ て、て、て、天使のは~ね♪』
幸子(確かにボクは天使ですけど、この仕事はちょっと違うんじゃないんでしょうかプロデューサーさん!)
翠「いかなる試練でも冷静に対処する精神」
聖「心を・・・掴む声」
奏「魅力あふれる動き」
のあ「・・・相手を引き付ける目線」
P「以前の幸子に不足していたことだ。それを皆のトレーニングでつけられたよ。ありがとう」
幸子(確かに身長は低めでカワイイボクですが、流石に14歳でランドセルは抵抗ありますって! まあ、ボクより心に傷を負ってる方もいらっしゃいますが)
珠美(た、珠美は高校生なのにどうして仁奈殿や舞殿たちとランドセルのCMに出演しなきゃなんないんですか!)
幸子(彼女、少しだけとはいえ一応ボクより身長は高いんですが、ボクがセンターでいいんですかね・・・)
幸子『背中~にピッタリ ラランラ~♪ ててって、天使のは~ね♪』
若葉おねえさんは出てないですか?
P「お疲れ、幸子」
幸子「もう断れない段階だったのでやりきりましたが、もうちょっと年齢を考えて欲しかったです!」
P「いやぁ・・・天使と聞いて幸子を出さない手はないと思って」
幸子「ボクの天使っぷりを最大限に活かせるTPOを考慮してください! まったく」
P「それでだ、話は変わるが」
幸子「人の話を聞いてください」
P「今度はボンバーヤな子供向け雑誌のCMの出演依頼が来てるんだが」
幸子「絶対にやりませんからね!?」
バッハ武藤「モバゲーで検索!」
幸子「帰れ!」
おわり
旬なうちにバッハ武藤言いたかっただけのSS
構想練るのがもうちょっと遅かったら恐らくマルメターノおじさんSSになっていた
>>18
何か忘れてるような気がしていたけど若葉おねえさんだったか・・・ご想像にお任せします(のヮの)
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