カレン「……アリス……」アリス「いいんだよ」 (80)

カレン「……私どんな人だったデスか……」

アリス「大丈夫だよ。日本に来てから今まで、全然変じゃなかったよ」

カレン「ホント?」

アリス「ホントだよ」

カレン「なにも変じゃない? 私明るいデスか?」

アリス「そうだよ。カレン、えらいよ。日本に来てから今までずっと頑張ったよ。こうなったのも久しぶりでしょ?」ナデナデ

カレン「でも今日、陽子に変な子だって言われたデス。嫌われたかもしれないデス。このカレンは間違っているかもしれないデス。どのカレンならいいデスか。どのカレンならもっと好きになってもらえるデスか。アリス教えてくだs……」

アリス「カレン!」

カレン「ヒッ……アリ、ス?」

アリス「落ち着こうよ。それは、嫌われたワケじゃないんだよ?」

カレン「……嫌われてない……?」

アリス「そうだよ。嫌われてない、嫌われてない……」ナデナデ

カレン「私、嫌われてない……」

アリス「嫌われてない、間違ってない……」ナデナデ

カレン「間違ってない……」

アリス「落ち着いた?」

カレン「……ダイジョウブ、ダイジョウブ……だってアリスが言ってくれた……間違ってない……ダイジョウブ……アリス……アリス……アリス……?」

アリス「ここにいるよ?」

カレン「アリス信じてるデス……私の自信は全部アリスが与えてくれマス……間違ってない……私、上手くいってる……嫌われてない……日本で上手くやれてマス……アリスのおかげ……ありがとう……」

アリス「……」

アリス「もう大丈夫? 教室、行ける?」

カレン「……教室まで手を握ってくだサイ……」ギュッ

アリス「……」

アリス(久しぶりだね、カレン)

アリス(もう大丈夫だと思ったけど、やっぱりこうなるんだね)

アリス(いつまでも、こうなんだね)





一週間後

カレン「……え? 今日の放課後はシノと参考書買いに行くデスか?」

アリス「うん、ごめんね~皆。二人でシノに合ってる参考書を買いに行くから、お勉強会には参加できないんだ」

カレン「エ……ア」

陽子「えぇ~」

シノ「ごめんなさい。一人の金髪少女を独り占めにしちゃって♪」

綾「じゃあ、今日は私と陽子とカレンの三人で勉強ね。私の家でどうかしら?」

陽子「おぉ~綾様~私にご教授ください~」

カレン「サンニン……」

綾「 カレン、どうしたの? あっ、私の家じゃ嫌?」

カレン「いえ、そうではなくてデスね……」

綾「……?」

カレン「……わっ、私も! 一緒に参考書買いに行くデス! ちょうど欲しい参考書g 」

アリス「え? 参考書なら、昨日私と買いに行ったでしょ?」

カレン「……アリ、ス?」

陽子「な、なんだよカレン。私達三人じゃそんなに嫌?」

カレン「ヒッ……いや、そんなことないデス!! そんなことない!!!!」

陽子「な、何か怖いぞ?」

カレン「い、いやいや! それで決まりデス! 楽しみデスね!」

アリス「じゃあ、決まりだね。シノ、行こっか!」

シノ「今日はアリスと二人きりですね~♪」

アリス「うん!『二人きり』だね!」

カレン(……アリス?)

陽子「うし、じゃあ行くぞー。カレン、綾ー」

綾「うん」

カレン「はい……」





本屋

シノ「うーん、悩んじゃいますねー」

アリス「あっ、これなんかどうかな?」

シノ「……うわぁ、分かりやすい! 私専用みたいです!」

アリス「これで基本を固めれば通訳者間違いなしだよ!」

シノ「ありがとうございます、私のために……。 レジに持って行きますので、ちょっと待っていてください」

アリス「うん、わかった。雑誌読んで待ってるね」

アリス(シノ……)

アリス(なんで一緒にいるだけで、こんなに幸せな気持ちになるんだろう?)

アリス「~♪ モンダイナンカ~♪」

アリスーアリスー

アリス「~♪ ケッコーケッコー♪」

アリスーアリスー

アリス「イケルモンネ~♪」

アリス「……?」

アリスー……アリスー……

アリス「……カレン……?」

アッ……アリス!

アリス「……カレン」

カレン「や、やっと見つけたデス……」ハァハァ

アリス「どうして……」

カレン「アリス~!」ギュッ

アリス「ちょ、ちょっと……」



シノ「あれ? カレン?」

カレン「どーもデース!」

シノ「勉強会はどうしたんですか?」

カレン「それが、家に勉強道具を忘れてしまって……そもそも勉強できなかったデース」

シノ「おマヌケさんですね~♪」

アリス「……そうだね、カレンったら……ホントにおマヌケさんだね」

カレン「あはは~。それほどでもないデス」

アリス「……シノ。 向こうに金髪少女のグラビア雑誌があったよ……」

シノ「えっ!? ホントですか!? ああっ、あれですね!? ひゃー!」ピュー

アリス「カレン」

カレン「アリス……私、不安で……怖かったデス。途中まで頑張ったデスけど、やっぱり頭がグルグルなって……」

アリス「もう終わりにしないとダメだよ」

カレン「……? アリス? なんか変デス……」

アリス「カレン、変な子だよ。今日のことで、陽子と綾はきっと戸惑ってるよ」

カレン「ぇ……ぇ? なんでそんなこと言うデス? 私のこと、嫌いになったデス?」

アリス「そんなことない。私、カレンのこと大好きだよ」

カレン「 ?…… 私もアリスが大好きデスよ?」

アリス「じゃあ、終わらせようよ。こんなの……おか、しいよ」

カレン「おかしい?? アリス、私が頑張ってるって言ってくれたデス。私、アリスのために日本語勉強しまシタ。アリスに会いに日本へ来てこの高校に入りまシタ」

アリス「いい加減にして!」

カレン「エ」

アリス「こんなの、お互いのためにならないよ……私もカレンも、いつか潰れちゃうよ!?」

カレン「私は……アリスさえいれば、皆から愛されるカレンになれマス。潰れたりしないデス」

アリス「でも、そんなの嘘だよ。本当のカレンが認められたわけじゃないよ」

カレン「そんなの昔からデス」

アリス「もう、終わらせようって言ってるんだよ。大丈夫だよ。陽子だって綾だって、本当のカレンを認めてくれるよ!」

カレン「そんなわけないデス。 明るくない私なんて、」

アリス「じゃあ、私から言ってあげる」

カレン「え」

アリス「勇気が出ないなら、私から言ってあげるよ。それが私に出来る最後の手助けだよ」

カレン「そ、それだけは……お願いデス……」

アリス「カレン……」

アリス「私ね、カレンが大好きだよ。素のカレンが大好きだよ。だから、カレンが演技するたびに、素のカレンが傷ついていくの、もう見たくないよ」

アリス「シノ達みたいに、素の自分を出せたらすごく楽だと思う」

カレン「……楽……それは、そうかもしれないデスが……」

アリス「私が素のカレンが大好きなのに、シノ達が嫌うワケないよ。私のこと、信じて」

カレン「……ぅ」グスッ

アリス「明日だよ。明日、変わるんだよ」

カレン「……はい」

アリス「一人で、帰れる?」

カレン「……はい」

アリス「それじゃあ……」

カレン「待って……これを、渡しておくデス」ゴソゴソ

アリス「……?」

アリス「ノート?」

カレン「私の、設定デス。毎日毎日これを読み返して自分を保っていたデス」

アリス(こんなの、作ってたんだ……)

カレン「これを、渡すのは、すごく怖い、デスけど、受け取ってくだサイ。アリスが持っていないと意味がないと思うのデス」

アリス「わかった……。大切にするね」

カレン「えへへ……。じゃあ……シノに、よろしく伝えてくだサイ」

アリス「うん……上手く言っておくよ」

アリス(こんなノート、私も知らなかった……)

アリス(私、カレンに教えてあげたいよ。シノ達と一緒にいることがどんなに楽しくて、幸せなことなのか)







翌日昼休み


アリス(カレン、来てくれなかった)

アリス(……どうして? わかってくれたはずなのに)

アリス(今日から、変わるはずなのに……)

シノ「アリス、お弁当食べましょう~」

アリス「あ、うん……」

陽子「腹減った~」

アリス(カレンがいないんじゃ、意味ないんだよ……)

綾「……あら?」

陽子「どした、綾?」

綾「いや、カレンが廊下にいるから……」

アリス「!」

カレン「……」フラフラ

シノ「へ? お休みしてたんじゃ……カレン?」




カレン「……」バタン

アリス「カレン!」

陽子「ほ、保健室だ! はやく運ぶぞ!」

シノ「わ、私が足ですね! いや、腰!?」

綾「どこでもいいから!ほら!」




ザワザワ




保健室


カレン「……」スースー

陽子「ふぅ……」

綾「ひどいクマだわ……無理して学校に来たのね」

アリス「……」

シノ「大丈夫でしょうか……」

アリス「……みんな」

アリス「私、なんでカレンがこうなったのか、知ってる……」

アリス「聞いてくれる?」

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