「劇場版アイドルマスター333:Q」 (81)

※ヱヴァQ+アイマス

  過激な暴力描写は含みません

  解説なしで進みます


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1373896018



——成層圏オーディション会場


美希「あふぅ、ポイントが足りないの。おっ先〜」

伊織「本ッ当に役に立たないわね!」

伊織「何とかしなさいよバカプロデューサー!!」

P?「…………」カッ

伊織「!?」

美希「こ、このアピールって……!」



小鳥「伊織ちゃん、首尾は?」

伊織「オーディション、合格……これより帰社するわ」

——???通路


P?「あれ……ここ……」

???「対象、意識の回復を確認」

P?「そうだ、確か真美を助けて……」

???「記憶の継続性も認められます。コンタクトを試みます」

P?(誰だろう)

???「こんにちは」

P?「……こんにちは」

???「これは誰ですか?」

P「……俺ですけど」

P(Pヘッドだ)


——???デスク

小鳥「拘束を解いて下さい。下がって構わないです」

P「音無……さん?」

小鳥「プロデューサーさん、で良いんですよね」

律子「えぇ、物理的情報ではプロデューサーと完全に一致してます」

律子「なお、深層バーストアピール値は計測中」

小鳥「頚部へのSSチョーカーは?」

律子「すでに装着してあります。音無社長」

P「音無……社長? やっぱり音無さんじゃないか」

律子「……作動正常。パスコードを社長に」

小鳥「了解」カチッ

P(な、なんだ、ネクタイが急に)キュッ

P「なんなんですかこれ、外してくださいよもう……っ、ぐっ」

???「……絶対に外しませんよ、ソレ」

小鳥「面会終了。彼を隔離室へ」

P「えっ?」


Prrrrrrrrrrrr


「オーディション依頼複数件発生!!」

「巻頭、末、グラビアの依頼です!」

「テレビ局からの取材入ります! 繋げます!!」

小鳥「全社員、対メディア体制用意!」


雪歩「仕事の時間です。全員配置について下さい」

雪歩「そこ、グズグズするなですぅ〜!」

「無茶言わないで下さいよ課長」

「なんせファンも混じってる寄せ集め集団ですよ?」

雪歩「言い訳無用! 全員、さっさと手を動かしやがれです!」

雪歩「……ちっ、これだからキモオタ上がりは」

P(ゆ、雪歩!?)


「ええっと、このテレビ局の取材の受け答えはこうで……」

「おい、担当部署の仕事は済んだのか?」

「え〜? そこはウチの担当じゃないでしょう」

「前任はお前だ!!」

P(何なんだこの手際の悪い奴らは一体……)

???「移動は危険です。ここにいましょう」

???「でもまぁ、デスクでの仕事風景、緊張しますね」

小鳥「了解です、各対応の連動を維持しつつ……」

小鳥「ライブで歌うセットリストの構築を最優先してください!」

P「ライブ……?」

「ライブリハ、行けます!」

「取材依頼増加! このままではレギュラー放送の日程と被ります!」

律子「まずいわね……このままではブッキングの飽和状態に陥るわ」

「なおも出演依頼増加! 予定の調整間に合いません!!」

律子「音無社長、アイドルの即時散開を提案します」

小鳥「…………」

律子「社員の定数および練度不足。おまけに、弊社は引越し途中の未完成」

律子「とどめに、コア層であるファンの需要も把握しきれていない」

律子「ここは個々の仕事量を減らし、リスクを分散するべきです」


律子「現状を変えうる決定打がない今は、いつも通りDLCでお茶を濁し——」

小鳥「——だからこそ、ここで後顧の憂いを絶ちます」

小鳥「部長、着替えますよ」

律子「着替える? まさか、舞台に戻るつもりですか!?」

小鳥「全社! 出撃準備! 生放送に出演します!!」

「「「えぇーーーーっ!?!?」」」

律子「いきなり四十路での出演は危険すぎます!」

「同意です! リハもなしに無茶です」

「お化粧の合わせ、未経験です。自信ありません」

「‘取れない’出演は無しが良いな。私まだ(業界的に)死にたくないです」

「死ぬときゃ死ぬ。そんだけだ。若いもんが細かいこと言うな」

「えぇーー!? 年増なら慎重に行くもんでしょう!」

「くっ……」


小鳥「無茶は承知! 私と部長を主軸に、仕事を引きずり出します」

小鳥「婚期逃しの力……見極めさせてもらいます」

律子「しかし、肝心の舞台衣装は未試着のままですよ」

律子「まさか、アイドルのお下がりを使う気ですか?」

小鳥「美希ちゃん!」

美希「美希の衣装、サイズ的に無理って思うな」

小鳥「伊織ちゃん!」

P「伊織……?!」

伊織「もうやってる。ようは竜宮小町の衣装を着られる様にすれば良いんでしょ」


小鳥「頼むわね」

律子「しかし、ウエスト周辺は贅肉密度が高く、問題が」

律子「それに、ダイエット期間中でしょう!?」

伊織「ま、目的優先、現実軽視は社長のモットーだしね」

伊織「気にせず仕上げるわよ」

「裁縫機有線接続。電源起動」

「竜宮小町衣装、作業台へ移送」

伊織「まったく、せっかくの記念衣装だってのにもったいないわね」

P「やっぱりあの額、伊織!!」

P「良かった……無事だったんだ、伊織」


P「音無さん、俺はッ」

小鳥「全社、第一種出演配置」

「全社、第一種出演配置、繰り返す、第一種出演配置」

律子「業務指揮系統を移行、主要員は会議室Aへ」

小鳥「使用中札をオープン」

「了解、各部未使用電源を遮断、会議室内の電源を確保」

「宣材構成を開始、電源を確保後、ノートPCに優先配置」

P「音無さん! 俺の机、ここにあるんでしょう?!」

P「俺もやります! 伊織を手伝います!!」

「ちっ……」


P「俺は働かなくて良いんですか?!」

P「音無さん!!」

律子「そうです」

P「!?」

律子「あなたが仕事をする必要はありません」

「各員、移動開始」

「現在、業務箇所を会議室Aへ移行中」

P「必要ないって……それじゃあ、俺は何をすれば良いんですか?」

P「音無さん!」

小鳥「プロデューサーさん」

小鳥「あなたはもう——




————なにもしないで」





スタスタスタ

ガチャン


P「……………………」


——生放送終了後、隔離室

???「検体、いえ、プロデューサーさん、部長から説明があるそうです」

P「これが俺の仕事道具?」

律子「えぇ、プロデューサーの残したデータ等の資料は、」ペラッ

律子「現在弊社の基礎マニュアルと化しています」

律子「ゆえに作成者は不要です」

P「本当に要らないんだな」

律子「それと、あなたの深層バーストアピール値の解析がでました」

律子「アピール値は0.00%」

律子「仮にあなたがアイドルに指示を出しても影響しません」


???「ふわぁ〜、そっか。良かったですね、プロデューサーさん」

律子「とは言え、先に12秒間も突如、伊織がバースト状態に化した事実は看過できないので」

律子「あなたには、SS(紳士スタイル)チョーカーを着けさせてもらいました」

P「なんだ? SSチョーカーってのかコレ」

律子「私たちの保険。覚醒回避のための物理的安全装置」

律子「私たちの不信と、あなたへの罰の象徴」

P「どういうことだ」

律子「アイドルのアピール時、自己の感情を抑えきれずに覚醒を犯す」

律子「そのリスクに達した場合、あなたの一命をもってせき止めるというモノです」


P「それって、死ぬって事か?」

律子「否定はしません」

P「そんな……音無さん、どういう事なんですか死ぬって!」


P「変ですよ音無さん! 急にこんな事になってて、訳分からないですよ!」

律子「混乱するのも無理ないです。主任」

???「あ、はいっ!」

律子「彼に本名を」

???「えと、今更ですが、プロデューサーさんの身の回りをお世話します」

かすみ「高槻かすみ主任です。よろしくです」

P「あ、はい……、……! 高槻って、やよいの?」

かすみ「はい、お姉ちゃんがお世話になりました。妹のかすみです」

P「妹!? いや、お姉さんじゃなくて?」

かすみ「はい、妹です。えへへ」

P「妹……なんで……いや、でも確か……」


伊織「あれから14年経ってるって事よ。バカプロデューサー」

P「い、伊織っ!」

伊織「……」

P「良かった! やっぱり無事だったんだな! 伊織、あは、」ドンッ

P「っ?!」


伊織「ダメね、抑えきれない。ずっと我慢してたし」

P「……なんなんだよ」

伊織「怒りと悲しみの累積」

P「何の事だ?」

P「あれ、伊織、左目……」

伊織「アンタには関係ない」

P「伊織……さっき14年って、でも眼帯以外変わってない」

伊織「そう。アイドルの呪縛」

P「呪縛??」


伊織「……」スッ

P「ちょっと待ってくれ! 伊織なら知ってるんだろう?」

P「真美はどこにいるんだよ!?」

伊織「知らない」

P「知らないって……助けたんだあの時!!」

伊織「アイドル一人に大げさね」

伊織「もうそんな事に反応してる暇はないのよこの業界には」

伊織「そうでしょう? 音無社長」ガチャッ

P「伊織っ!」


P「音無さん、真美はどこなんですか教えてください!」

小鳥「プロデューサーさん、双海真美はもうこの業界に存在しません」

P「いいえ、あの時確かに助け出したんです!」

P「よく探せば見つかるはずです!」

律子「当然、行動範囲は全て捜索済みです」

律子「結果、発見されたのはあなたと」ウィーン

律子「なぜか、これが復元されていました」ガシュン

P(……社長のお下がりのウォークマンじゃないか)

律子「検査結果に問題はないので返却します」


P(あの時、真美が持っていた……やっぱり助けたんじゃないか!)


ゴウゥウン!

P「な、なんだ?!」

pirrrrrr

小鳥「私です」

「対象、側部通用口です。いきなり進入されました」

小鳥「……お出ましね」

律子「えぇ、想定よりも行動が早い」


「検体の保護を最優先」

「優先度の低い業務は停止、余剰人員は隔離室に援護へ」

伊織「美希! いけるでしょ?!」

美希「モチのロ〜ン! もう向かってるよでこちゃん」

伊織「だ〜れがでこちゃんよっ!!」

美希「それより、ハニーどうだった? 相変わらずきまってた?」

伊織「何も変わらず、気味悪いバカな頭してた!」

美希「その頭、見にいったんじゃないの〜?」

伊織「違う! 殴りに行っただけよ! これでスッキリしたわ」


P「音無さん! 律子!」

P「一体何が? 961プロの嫌がらせか?!」


『兄ちゃん』


『どこ……?』


P(真美!?)

P「今の! 真美の声だろう!? 音無さん! 律子!!」

小鳥「……」

律子「……」

P「なんなんだよもう!!」ダンッ


かすみ「準備できました! プロデューサーさん、こっちへ!」


『兄ちゃん』

『どこ……?』

P(やっぱり真美だ……!)

P「真美だよ! んんっ!」


ズズ゙ンッ

かすみ「プロデューサーさん! 急いで!!」

P「……もう良いよ」


P「真美! ここだ!!」


ズゥウゥゥンッ

かすみ「きゃあっ!」


「隔離室隔壁に損傷」

「想定外の衝撃を確認」

「予備隔壁を緊急閉鎖!」


P「真美! ……ビビットビキニ?」

『……暑いからね。兄ちゃん、こっち』

小鳥「駄目ですよ! プロデューサーさん!」

小鳥「こっちへ。ここにいて下さい」


P「何ですか音無さん……さっきまで要らないって言ってたじゃないか!」

小鳥「しかし、所属は私達で保障します」

P「そんなの勝手すぎですよ!!」


ビシュッ、パタタタッ

P「やめて下さい! 相手は真美ですよ!?」

小鳥「だからこそです!」

P「!?」

小鳥「765のアイドルは殲滅します」

P「765の……?! ここも765じゃないですか!」

小鳥「私達は876。765壊滅を掲げる新興勢力です!」


P「そんな……! でもここにいるのは真美なんですよ!?」

小鳥「違うわ! 真美ちゃんはもういないんです! プロデューサーさん!!」

P「嘘だ!! だってそこにいるでしょう!?」

P「音無さんの分からずや! 年増! 生き遅れ!! もう良いです!!」

小鳥「……!!」

かすみ「プロデューサーさん!!」

かすみ「帰っても良いですけど……」

かすみ「アイドルプロデュースだけはしないで下さいよ!!」

かすみ「本当、やめて欲しいかなーって!」

P「……」ギリッ


P「真美……」ギュッ

『兄ちゃん』


伊織「逃がすなっ!! 昼行灯!!」

美希「合点承知なの!」

美希「的を〜狙えば外さないの〜♪」

美希「へい、かまーん!」

ドシュンッ

『…………!』ピチャッ

ビシュッ、ビシュッ

『…………』

美希「や、やっぱし、あれは何とかの器なの!」

伊織「…………」


美希「むぅ〜! アイドルなら挨拶くらいして行けなの〜!」

P「行こう、真美」

『……』タタタッ


小鳥「っ!」プルプル

律子「資料より何より彼を優先して奪取という事は」

律子「トリガーとしての可能性を無視できないという事!」

律子「小鳥さん! SSチョーカーをっ!!」

小鳥「……」プルプル


ピーーー

[信号、途絶]



小鳥「…………」

律子「……部長より通達、追撃は不要」

律子「各自被害状況の確認、業務再開に努めよ」

「了解、各自持ち場の確認に当たれ」


伊織「ふん……あれじゃあバカじゃなく……」

伊織「変態ね……!」


アイドルマスター新劇場版:Q


——???部屋


P「はっ……んっ……」

「……」

P(真美……生きてる……良かった)

P「やっぱり助けてたじゃないか」

P「音無さんの二枚舌」

「……こっちへ」

——エレベーター

P「な、なぁ」

「……」

P「……」

P「……!」

P「屋内なのに、外が見えてる……ボロボロじゃないか」

P「ここが、765プロなのか?」

P「何があったんだ……」


——765デスク

P「本当に14年も経ってるのか」

〜♪

P(ゲーム機?)

???「……」チラッ

P「……んっ」

P(誰だ……見た事のない男だ)


——社長室

「ここ」

P「ん、なんだ? パソコン……?」

社長「そうだよ君ぃ」

P「社長……!」

社長「業務用パソコン第13号機。君とそこの彼のパソコンだ」

???「……」

P「さっきの?」

???「……」

社長「時が来たらそこの彼と企画を練りたまえ。話は終わりだよ」クルッ

P「ちょ、ちょっと待ってください社長!」

P「まだ話したい事や、聞きたい事が沢山あるんです!」

P「社長! 社長ーー!!」


——765社員寮

P「……支給の携帯もないし、車のキーもないのか」

P「はぁ……」

P「……」

P「やっぱり、礼の一つでも言っておくか」


——765女子寮

P「真美ー! どこだよ、真美ー!」ガチャッ

P「真美ー! ……なんだろうここ、真美? やっとみつけた……」

P「真美、ずいぶん探したぞ」

「……」

P「おっ、あっ!?」

「……」プルンッ

P「ちょ、ちょっと、何か服着ろって!」

「命令? ならそうするよ」


P「……入るぞ」

P「あ、そうだこれ、真美ありがとう。ずっと礼を言いたかったんだ」

「……」

P「……んっ」

P「髪型新しくなったんだな。似合うけど、左結びだとちょっと」

「……」

P「……なんだか、ずいぶん変わっちゃったんだな765プロ」

「……」


P「なんで音無さんは961じゃなくて765と競ってるんだ」

P「社長はこの状況で何をする気なんだ」

P「うちのアイドルたちはどうしちゃったんだろうな」

P「なぁ、真美は何か知らないか?」

「ちらない」

P「そうか、うん……そうかもな」

「……」

P「じゃあ、真美はどうアイマス2の後を過ごしていたんだ?」

「……」

P「……はぁ」


P「ここ、足の踏み場もないじゃないか」

P「真美らしいと言えばそうなのかもしれないけど」

P「学校とかなさそうだし、いつもどうしてるんだ?」

「命令を待ってるっぽいよ」

P「ここ、ゲームもないんだな。最近してないのか?」

「ゲーム? 双海真美なら、ゲームをするの?」

P「あぁ、よくしてたじゃないか? 持ち運んでたし」

「そうなんだ」

P「あぁ、そうだ! ゲーム、街のショップで探して持ってくるよ」

P「対戦ゲームがいいかな。いつも好きでやってたし」


「……好き?」

P「あぁ。……だと思うけど」

「好きって、なに?」


——???

善澤「ユーザーはまだ沈黙を守ったままか」

社長「なぁに、例の計画は規程通りに進行するさ」

社長「最早私達が騒いでも始まらない」

善澤「……今度はソーシャルに進出するつもりか?」

社長「……」

善澤「構わんがね。私は取材を続けるだけさ……彼女のためにもね」



——765社員寮

P「ダメか、動かない」カチッ、カチッ

P「……ふぅ」


小鳥『あなたはもうなにもしないで』

伊織『アンタには関係ない』

かすみ『アイドルプロデュースだけはしないで下さいよ!!』

社長『企画を練りたまえ』

『ちらない』


P「……………………くっ!」


——765女子寮

P(携帯ゲーム機に、対戦格闘ゲーム2本、アクションゲーム2本)

P(こんなもんか……真美、喜ぶかな)


——765デスク

P「……はぁ」

〜♪

???「こっちへ来たらどうです? プロデューサーさん、話しましょうよ」


P「……あ、あの、話をするんじゃ?」

???「パソコンのプログラミングもC言語の会話ですよ。やってみては?」

P「ん……んん……」


P「良いですよ。俺にはやっぱり無理ですよ」

???「生きていくためには新しい事を始める変化も大切ですよ」スッ

P(ち、近っ!)

???「簡単ですよ。あなたはこっちで、クリックするだけで良い」カタカタカタ

P「んっ……」カチッ

『はじめまして、プロデューサーさん! 島村卯月、17歳です』

P「!?」


???「ここをこうして」カタカタカタ

P「……」カチッ

『ふーん、アンタが私のプロデューサー? ……まあ、悪くないかな…』

P「これをあなたが……?!」

???「さ、もっといきましょう」

P「あ……はい」

『本田未央15歳。高校一年生ですっ!』

『はじめまして★ 城ヶ崎美嘉だよー』

『い、いやだっ! 私は働かないぞっ!』

???「いいですね、いい。あなたのチョイス、すごくいい」



『ねぇ、君。私、この年でもまだまだアイドルとしてイケると思ってるんだけど…』

『やっほー! かおるだよーっ!! ねぇねぇねぇ!! アイドルってほんとになれる?』

『プロデューサーさん、はじめまして、三村かな子です』

???「仕事が楽しい。二人ってすごいですね」カタカタ

P「……」コクッ


P「ありがとうございます。なんだか久しぶりに楽しかった」

???「僕もです。また一緒に仕事しましょうプロデューサーさん」

P「はい。あの、あなたは……」

モバP「僕はモバP、モバPです」

モバP「あなたと同じ、職業を仕組まれた男です」


——765女子寮

P「真美、またいない……ゲームもそのままか」

P「仕方ない、帰って寝よう」


——765デスク

モバP「おはようございます。プロデューサーさん」

モバP「今日は早いですね」

P「他にする事がないもので……」

〜オーネガイー♪

モバP「……いっそアイドルを100人以上出しちゃうんですよ」カタカタ

P「なるほど、広く需要をカバーすれば、誰かは好きになってもらえると」

モバP「えぇ、人気キャラには優先的に声と専用楽曲を実装します」

P「ならユーザー同士の競争心を煽るためにレアリティの概念を導入しましょう」

モバP「良いですね!」タタンッ


P「どうしたらもっと稼げますかね?」

モバP「稼ごうとする必要はないですよ」

モバP「ただ、貢ぎたいと思える偶像を創れば良い」

P「じゃあ、もっと貢ぎたいと思えるアイドルを創るにはどうしたら?」

モバP「市場調査ですよ。ユーザーの傾向を何度でも探る」

モバP「自分が良いなと思えるまで何度でも。それしかないでしょう」


——765社員寮

P(……疲れたな。でも、嫌な疲労感じゃない)

P(ウォークマン、聞きたいな……)

P(……頼んでみるか)


——765デスク

モバP「良いですよ。動くようにすれば良いんですね?」

P「はい、ありがとうございます。何だか悪いですねこんな事まで頼んで」

モバP「気にする事はないですよ。同僚ですからね」

P「……はい」

モバP「暗くなってきましたね。今日は帰りましょう」

P「あの、もう少しここにいませんか? 一緒にテレビを見ましょう」

モバP「テレビ?」


モー、モーモー、メッ!メッ!


モバP「……テレビが好きなんですね」

P「えぇ。この業界の大きさを感じていると」

P「昔から何だかすごく安らぐというか」

P「14年くらいじゃ変わらないものがある事が、安心というか」

P「自分の事なんてどうだっていい気がして、落ち着くっていうか」

P「……はは、うまく言えません」

モバP「あなたの気持ちは伝わりますよ」

P「えっ?」


モバP「急激な変化を求めず、根拠に基づく利を好む」

モバP「あなたらしいですよ」

モバP「いいですね。二人でテレビを見るって」

モバP「こんなに心地良いとは知りませんでした」

モバP「ありがとうございます。誘ってくれて」

P「い、いや、俺はそんな……」

P「モバPさんとテレビを見たら楽しいかなって思っただけで、」

モバP「楽しいですよ」


モバP「僕はあなたと会うために入社したんですね」


——765社員寮

P「少しは片付いてきたな」

P「ん、このディスクは……」カチッ


『うっうー! スマイル体操、始めますよ〜!!』


P「……!!」


——765デスク

モバP「はい、これで動くようになりましたよ」

P「ありがとうございます」

P「すごいですよモバPさん。何でもできるんですね」

モバP「こんなのは知識にすぎないですよ」

モバP「あなたより少し長く、この業界に携わっているに過ぎない」

P「でも、すごいですよ」

モバP「元気ないですね? どうかしましたか」

P「……心配になったんです、アイドルが」

モバP「アイドル?」


P「前は事務所に皆が居て、音無さんや律子、伊織に美希……」

P「俺は14年間も眠っていて……その間にいろんな事が変わってしまって」

モバP「その変化に耐え切れず、辛いんですね?」

P「なんだか怖いんです。街が、皆がどうなっちゃってんのか分からなくて」

P「怖いんです」

P「そう、怖いんだ!!」

モバP「…………知りたいですか」

P「……」コクッ


——765プロ地下階層

モバP「……」カチカチ

P(たるき亭の地下にこんな場所が……モバPさんは何を調べているんだ?)

P「モバPさん? モバPさん!!」

モバP「さぁ、もう少しですよ」

モバP「もうすぐ過去ログが見つかります」

モバP「あなたの知りたい真実が見えますよ」


P「……っ、……なんだこれ……」



どんな判断だ、金をドブに捨てる気か


可能性を生み出しただけでアウトなんだよ


誰得


アイマスはオワコンになった


新しいアイドルは見つけれん!!


こんなにユーザーと作り手で意識の差があるとは思わなかった・・・!


この筋書き書いた無能をクビにしろ


モバP「あなたがアイマス2を発表した後に起きた9・18事件の反響ですよ」

P「これじゃあ、ファンの皆は……」

モバP「この業界での大炎上は珍しい事じゃない」

モバP「むしろ進歩を促す面もあります」

モバP「ファンとは本来、アイドルに合わせて自らを変えていく存在ですからね」

モバP「しかし……ガチオタは自らではなくアイドルの方を変えていこうとする」

モバP「だから、765プロはガチオタを無理やり進歩させるための儀式を起こした」

モバP「古参のファンを贄とし、新たな派閥を与えて新規ファン層を作り出すためのね」

モバP「全てが昔から仕組まれていた企業戦略ですよ」

モバP「765プロでは……アイドルマスタープロジェクトの一環と言っていましたね」


P「765プロがこの惨状を……?」

P「社長は何をやってるんですか」

モバP「プロデューサーさん、一度覚醒し……」

モバP「ガフの扉を開いたアイマス2は9・18事件のトリガーとなってしまいました」

モバP「ファンの言うアイマスショック、全てのきっかけはあなたなんですよ」

P「……!!」

P「違う、俺はただ、真美をアピールしたかっただけだ」

モバP「そうですね……しかしそれが原因で」

P「そんな……俺は知らない!!」

P「そんな事急に言われたって! どうしようもない!!」

モバP「そう、どうしようもないあなたの経歴、あなたの知りたかった真実です」


モバP「結果として、ファンはあなたに罪の代償を与えた」

モバP「それが、その首のモノじゃないんですか?」

P「ぐっ……罪だなんて」

P「何もしてないですよ! 俺は関係ない!!」

モバP「あなたになくても、他人からはあるんですよ」

モバP「ただ、挽回できない事はない」

P「……」ポロポロ

モバP「希望は残っていますよ……どんな時にも」


THE IDOLM@STER MASTER
:3.33

You can (not) pro Ami


——社長室

善澤「CGプロのプロデューサーが彼に接触。外界の様を見せたようだ」

善澤「果たしてどう受け止めるのか」

善澤「良いのかい? 順二朗」

社長「CGの目論見を我々で書き換えるさ」

社長「あらゆる存在はそのための道具に過ぎないよ」

善澤「自分の生き様を見せても、彼のためにはならないとするか」

善澤「私はそうは思わんがね」

社長「……」


——765社員寮

rise your hands〜♪

P「何でだよ……こんな事になってるなんて……」

take it on〜♪

P「そうだ……真美を売り込んだんだ」

P「それで良いじゃないか……」


——765女子寮

P「…………またいない」

P「まだ遊んでない」


——765デスク

P(何だよ、真美もどうしたって言うんだもう!)


善澤「……」

P「……」チラッ

善澤「……」ジーッ

P「……」ペコリ

善澤「765のプロデューサー、将棋は打てるかい」

P「えぇ、ルールくらいは」

善澤「結構だ、付き合いたまえ。飛車角金銀桂馬香は落としてあげよう」


——765応接間

P「……」パチ

善澤「心を静かに落ち着かせる。アイドルプロデュースには必要な事さ」パチッ

善澤「72手先で君の詰みだね」

P「くっ……」

善澤「……将棋崩し。これなら楽しめるかい?」

善澤「老人の趣味に付き合ってくれて礼を言うよ」

P「……」

善澤「私も臆病でね。口実でもなければ、こうして君に取材する機会を持てなかった」


善澤「君は……双海君の母親を覚えているかい」

P「いえ、薄っすらとしか……それに、アイドルの関係資料は社長が全部処分したので」

善澤「……」スッ

P「ん、あっ!?」

P「この人は……真美の?」

善澤「双海君の母親だ。……病院では世話になってね」

善澤「今はアイマス2に失望して、こことは疎遠になっている」

P「……なぜ今これを?」

善澤「彼女が抱いている子供たちを見て欲しい」

P「こ、こんな、いや、バカな」


善澤「双海君の母親はアイマスショック後、自ら真美君を引き取りに来た」

善澤「君も見ていたよ。記憶は失っているようだがね」

——ニィチャン

  ゴメンネ

  カエリマショウ

P「…………」

善澤「結果、真美君は契約解消となり……」

善澤「彼女のノウハウだけが双海‘亜美’に引き継がれる形となった」

善澤「その娘も双海真美同様、母親の胎内から生れ落ちた存在だ」

善澤「全ては‘順一朗の計画’だよ」

P「そんな…………」


善澤「アイドルのイメージ像を崩すのは容易い」

善澤「だが、作り直すとなると、そうもいかない」

善澤「時と同じく、偶像に可逆性はないからね。ファンの心も……」

善澤「だから今、順二朗は自分たちの願いを叶える為にあらゆる犠牲を払っている」

善澤「自分の魂すら」

P「……」

善澤「君には少し、真実を伝えておきたかった。社長の事」

P「…・・・」ペコリ

スタスタスタ



善澤「まったく嫌な役回りだよ」

善澤「双海くん、これで良いんだね」


——社長室

社長「最後の契約の時が来る」

社長「もうすぐ会えるよぉ、一郎ちゃん」


——765女子寮

「……」

P「なんでゲーム、しないんだよ」

「命令にないからっぽいよ」

P「命令か……じゃあもういい!」グシャァッ

「……」

P「なぁ……真美だよな!?」

亜美「ちがうよ。双海、亜美」

P「アイマス2の発表で盛り上がったろう!?」

亜美「ちらない」

P「くっ! ……ん゛んっ!!」

亜美「……兄ちゃん?」


P「受け入れられなかったのか……アイマス2」


ナニモシナイデ、キカクヲネレ


P「売れたわけじゃなかったのか……真美……」


アンタニハカンケイナイ、アイドルプロデュースダケハシナイデホシイカナーッテ


P「社長……真美……」


キカクヲネレ、ナニモシナイデ、カンケイナイ、チラナイ


P「音無さん……」


——765社員寮

P「何してたんだ俺は……」カチッ

turn it up〜♪

P「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」ブンッ


ドガッ


P「…………」


——???

善澤「最後のシンデレラが遂に完成したか」

社長「そうだねぇ、これで道具は全て揃った」


モバP「時が満ちました」カタカタ

モバP「いよいよですねプロデューサーさん」タタンッ


——765社員寮

P「嫌だ! 仕事なんかもうしたくない!!」

P「真美は売り込めてなかったんだ」

P「アイドルをプロデュースしたって良い事なんか何もない!」

P「もう何もしたくない!!」

モバP「そうして、辛い感情の記憶ばかりをリフレインさせても……」

モバP「良い企画は何も生まれないですよ」

P「良い企画なんか無いですよ!!」

P「モバPさんが見せたんでしょう!」

P「あの日から、どうしようもない765プロの評価!」


モバP「アイマスで犯してしまった事は」

モバP「アイマスで再び変えてしまえば良いじゃないですか」

P「そんなこと言ったって、アイドルも社長も音無さんも」

P「何もかも信じられないですよ!!」

モバP「でも、僕は信じて欲しい」

P「できないですよ……!」ポロポロ

P「音無さんたちが俺にこれを付けたんです」

P「もうアイドルをプロデュースするなって」

P「アピールしたら死ぬって脅されて」

P「もう……アイドルなんかどうでも良いんです……」

モバP「……」ツカツカ


P「……ハッ?!」ピィーブッ

モバP「分かってます……」スッ

モバP「ファンの呪いとバーストアピールの覚醒リスクは僕が引き受けますよ」

P「っ、モバP、さん……」

モバP「気にしなくて良いですよ」カチリッ

モバP「元々は僕を恐れたファンたちが作った物ですからね」

モバP「いずれはこうするつもりだったんです」


モバP「プロデューサーさん、あなたの希望はソーシャルの市場に残る新たな需要」

モバP「それがアイドルマスターネクストステージ発動のキーとなってます」

モバP「僕らでその需要を手に入れれば良いんです」

モバP「そうすれば、家庭用支持層の取り込みも見込めますし」

モバP「第13号機と外注業者をセットで使えば、企画の早期実現も可能です」


P「そうですね……うん、あなたならできますよ」

モバP「あなたとなら、ですよ」

モバP「第13号機で企画中のゲームはダブルプランナーシステムなんです」

モバP「二人でファンの希望となりましょう!」

モバP「今のあなたに必要な事は何よりも希望。そして、贖罪と心の余裕ですからね」


P「……すごいですね。何でも分かってしまうのは」

モバP「いつもあなたの事しか考えていないからですよ」

P「ありがとう……モバPさん」

モバP「モバP、でいいですよ」

P「あの、俺もPで良いです」

モバP「仕事と同じです。二人一緒なら、良い事がありますよPくん」

P「うん、やろう。モバPくん」


——プレスリリース会場

P「……」チラッ

モバP「……」コクッ


「「アイドルマスターシンデレラガールズ、始動!」」

オーネガイー♪

「情報来ました。新たなアイマスの発表を確認」

小鳥「……」


P「俺たちだけじゃないんだね」チラッ

モバP「双海亜美の事ですか? 援護のためですよ」

モバP「876の動きを警戒しているんでしょう」

P「そんなの、俺たちだけで十分でしょう。真美じゃないのに……」

亜美「真美じゃ、ない……」ズキッ


「「「「ウォォオオオオフザケンナァァァァ」」」」

P「すごい、一部ファンが……」

モバP「ファンのなり損ないって口でしょう。あなたは気にしなくて良い」

モバP「もうすぐプレテストが開始します。この14年間、誰も触れ得なかった新たなアイマス」

P「まるで期待されてないみたいなんだけど」

モバP「大丈夫ですよ。そこをクリアするための企画でしょう」

モバP「二人なら出来ますよ」

P「そうだね」

モバP「呼吸を合わせましょう。仕事の風景を思い出して」

P「うん」

モバP「行きましょう、Pくん」


P「アイドルマスターシンデレラガールズは

——基本無料、アイドル育成、ガチャ、レッスン

トレード、報酬、レア度、交流

アルバム、新密度、ランキング、アイテム——

と様々な要素からなっており……」

モバP「大きな強みとしては100名を越すアイドルをプロデュースできる事が挙げられます」


「765コミナノカ!」

「マジカヨ……」

「スゴイ」

「ナルホド……」

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